この記事で答える質問:山梨県南アルプス市の分譲マンション管理組合が、2026年度(令和8年度)の大規模修繕で実際に使える補助金はどれか?
2026年8月17日 更新。
株式会社明誠の本間です。私は建設・改修の現場に20年近く身を置き、マンションやビル、ホテルの大規模修繕を、足場工法・ロープアクセス工法・その2つを組み合わせたハイブリッド工法の3つから提案してきました。
このブログでは、全国の自治体を1つずつ取り上げて「その市で本当に使える補助金」を一次情報から整理しています。今日は山梨県南アルプス市です。
先に、いちばん大事な結論から申し上げます。
南アルプス市には、分譲マンションの共用部大規模修繕そのものを正面から補助する制度は、公開情報の範囲では確認できませんでした。ここは正直にお伝えします。「〇〇市 マンション 大規模修繕 補助金」で検索して出てくるまとめサイトの多くは、実際には他市の制度や国の制度を並べているだけで、南アルプス市の要綱を読んでいません。
ただし、接点のある制度は確実に3つあります。しかもそのうち1つは、上限400万円という決して小さくない金額です。
以下、南アルプス市役所の一次情報だけを根拠に、使えるもの・使えないもの・確認が必要なものを分けて整理します。
南アルプス市の管理組合が2026年度に狙うべき補助金:結論の3行
結論を先に出します。理事会で配る資料はこの3行で足ります。
- 本命はアスベスト飛散防止対策事業。調査費は対象費用の10/10(上限25万円)、除去・封じ込め・囲い込みは対象費用の2/3(上限400万円)。窓口は建設部 管理住宅課。
- 現実的に通しやすいのはブロック塀等撤去改修事業費補助金。撤去で上限19万5,000円、フェンス改修で上限26万円(1敷地につき)。県内でも手厚い部類です。
- 木造住宅耐震化事業は、分譲マンションでは使えません。要綱に「長屋及び共同住宅以外の建物」と明記されており、これは一次情報で断定できます。
比較表にすると、こうなります。
| 制度名(正式名称) | 補助率 | 上限額 | 分譲マンション共用部との接点 | 所管 |
|---|---|---|---|---|
| 南アルプス市アスベスト飛散防止対策事業(調査) | 対象費用の10/10以内 | 25万円 | ○ 接点あり(要事前相談) | 建設部 管理住宅課 |
| 同(除去・封じ込め・囲い込み) | 対象費用の2/3以内 | 400万円 | ○ 接点あり(要事前相談) | 建設部 管理住宅課 |
| 南アルプス市ブロック塀等撤去改修事業費補助金(撤去) | 2/3以内 | 19万5,000円 | ○ 接点あり(要件確認要) | 建設部 管理住宅課 |
| 同(改修=安全なフェンスへ造り替え) | 2/3以内 | 26万円/1敷地 | ○ 接点あり(要件確認要) | 建設部 管理住宅課 |
| 南アルプス市住宅リフォーム等総合支援事業 | 定額 | 一律10万円 | △ 要綱に共用部の可否記載なし | 建設部 管理住宅課 |
| 木造住宅耐震診断・耐震改修・耐震シェルター | ― | 改修は143万7,500円 | × 対象外(共同住宅を明文で除外) | 建設部 管理住宅課 |
| 令和8年度エコライフ促進補助金 | 定額 | 蓄電池3万円ほか | △ 対象設備が修繕と別領域 | 市民部 環境課 |
(出典:南アルプス市 補助金・支援制度)
この表を見て「意外と少ないな」と思われたかもしれません。その感覚は正しいです。だからこそ、補助金で削るより、工法で削るほうが金額のインパクトが大きいという話を、記事の後半でさせてください。
南アルプス市という土地が、マンションの外壁に与えている影響
制度の話に入る前に、少しだけまちの話をさせてください。私が現地調査に行くとき、最初に見るのは建物ではなく、その土地の気候と地形だからです。
6町村が合併してできた、山梨県内でも面積の大きい市
南アルプス市は2003年に八田村・白根町・芦安村・若草町・櫛形町・甲西町の6町村が合併して誕生しました。人口は71,761人、世帯数は30,988世帯(令和8年7月1日現在。出典:南アルプス市 人口・世帯数)。
地区別に見ると、白根地区が19,018人、櫛形地区が18,769人、若草地区が14,348人、甲西地区が12,472人、八田地区が6,955人、そして南アルプス登山口を抱える芦安地区が199人。同じ市内で人口が100倍近く違うわけです。
この分布は、そのままマンションの分布とほぼ重なります。集合住宅がまとまって建っているのは白根・櫛形・若草・甲西の平野部で、中央自動車道の白根インターチェンジ・南アルプスインターチェンジ周辺、そして甲府盆地に向かう幹線道路沿いです。
内陸高地の「凍結融解」と「強い日射」という2つの敵
南アルプス市のマンションを診断していて、私がいつも気にする劣化要因は2つあります。
ひとつは凍結融解です。甲府盆地の西縁にあたるこの地域は、冬の朝の放射冷却で氷点下まで下がります。外壁のひび割れ(クラック)に染み込んだ水が夜に凍り、体積が9%ほど膨らんで、内側からコンクリートを押し広げる。それが昼に融けて、また夜に凍る。これを一冬に何十回も繰り返します。
海沿いのマンションで怖いのは塩害ですが、南アルプス市は海から遠く、塩害はほぼ気にしなくて構いません。その代わり、この凍結融解が効いてきます。「クラックはまだ細いから次回でいい」という判断が、内陸高地では一番危ないというのが私の実感です。細いクラックを放置した3年後に、タイルが浮いて叩けばポコポコ音がする状態になっていた物件を、私は何度も見ています。
もうひとつは日射です。山梨県は日照時間が全国トップクラスで、果樹栽培が盛んなのもそのおかげです。さくらんぼ、桃、すもも。すもも(プラム)の生産は日本一を誇ります。ただし建物の側から見ると、日照が長いということは紫外線による塗膜劣化と、シーリング(目地のゴム状の充填材)の硬化が早いということです。
南面と西面の塗膜が、北面と比べて明らかに先にチョーキング(手で触ると白い粉がつく現象)を起こしている。南アルプス市の物件では、これがはっきり出ます。
だから「12年周期」を機械的に当てはめないほうがいい
大規模修繕の周期は一般に12年前後と言われます。ただ私は、南アルプス市のような内陸高地では、周期で決めるのではなく、劣化診断の結果で決めるべきだと理事長さまにお伝えしています。
凍結融解と紫外線が同時に効く場所では、10年目でシーリングが限界に来ていることもあれば、逆に日陰が多い棟なら14年もつこともある。一律に「12年です」と言う業者がいたら、その根拠を聞いてみてください。
【本命】アスベスト飛散防止対策事業|調査は全額補助、除去は上限400万円
ここからが本題です。南アルプス市の制度で、大規模修繕にいちばん大きな金額が乗る可能性があるのが、この制度です。
制度の中身:数字を1文で
「吹付け建材のアスベスト含有調査は対象費用の10/10以内(上限25万円)、露出した吹付けアスベスト等の除去・封じ込め・囲い込みは対象費用の2/3以内(上限400万円)」(南アルプス市アスベスト飛散防止対策事業。出典:南アルプス市 アスベスト調査・除去工事等の補助について)。
| 補助対象事業 | 補助率 | 上限額 |
|---|---|---|
| 吹付け建材のアスベスト含有の有無に係る調査 | 対象費用の10/10以内 | 250,000円 |
| 露出した吹付けアスベスト等の除去・封じ込め・囲い込み | 対象費用の2/3以内 | 4,000,000円 |
調査費が10/10、つまり実質的に全額です。これは全国の自治体と比べても手厚い設定で、多くの市は上限10万〜15万円程度に留めています。
対象建築物の読み方が、この制度の肝
要綱の記載はこうです。
南アルプス市内に存する建築物。ただし、除去等事業については、多くの方が利用する建築物で、共同で利用する部分(付属する電気室、機械室等を含む)です。多くの方が利用する建築物とは、例えば、「店舗」「事務所」「工場」「駐車場」などです。
ここを丁寧に読んでください。
調査事業のほうは「市内に存する建築物」とだけ書かれており、用途の限定がありません。 木造限定でも、共同住宅除外でもない。分譲マンションが除外されるという記載は、要綱にも市のページにもありません。
除去等事業のほうは「多くの方が利用する建築物で、共同で利用する部分」と限定され、括弧書きで「付属する電気室、機械室等を含む」と明記されています。 分譲マンションの機械室・電気室・受水槽室・駐車場天井・階段室・パイプスペースは、まさにこの「共同で利用する部分」の概念に重なります。
ただし、例示は「店舗」「事務所」「工場」「駐車場」であり、「共同住宅」という文言は例示に入っていません。ですから私は、「分譲マンションの共用部は確実に対象です」とは申し上げません。断定できない以上、断定してはいけないと考えています。
私の推奨:まず「事前相談」に行ってください
この制度は、市自身が「補助金の申請にあたっては、補助対象となる建築物の対象範囲や内容等の確認のため、必ず事前相談を行ってください」と明記しています。つまり、対象になるかどうかは窓口で確認する設計になっているわけです。
持参すべき資料も市が指定しています。
- 位置図(対象建築物の敷地の位置がわかるもの)
- 配置図(対象建築物の位置がわかるもの)
- 平面図(調査または除去を行う場所がわかるもの)
- 現況写真(外観と、吹付けアスベストの状況が判断できるもの)
- 分析調査結果報告書(あれば)
窓口は南アルプス市役所 建設部 管理住宅課(電話 055-282-6397 直通)。建物に使われているアスベストそのものに関する技術的な相談は、山梨県 中北建設事務所 建築課(電話 055-224-1674 直通)です。
なぜマンションでアスベストの話になるのか
「うちのマンションにアスベストなんて」と思われるかもしれません。しかし吹付けアスベストは、昭和31年頃から昭和50年までに建築された建物に使用されている可能性があると、市のページ自体が説明しています。主な用途は鉄骨造建築物の耐火被覆材(はり・柱)と、ボイラー室等の吸音・断熱材です。
南アルプス市の合併前、白根町や櫛形町の時代に建った鉄骨造・RC造の集合住宅で、機械室やボイラー室に吹付け材が残っているケースは、実際にあります。私が別の内陸自治体で経験したのは、大規模修繕の足場を架けたあとに機械室天井の吹付け材が見つかり、工程が2か月止まった案件です。あのときの理事長さまの表情は、今でも覚えています。
大規模修繕の見積を取る前に、機械室・電気室の天井を一度見上げる。 それだけで、この400万円枠に手が届くかどうかが分かります。灰色で綿状に見える吹付け材があれば、調査の価値があります。
なお、破損していない状態のスレートボード等の成形板は、市のページでも「飛散の心配はありません」と説明されています。過度に不安になる必要はありません。
【現実的な一手】ブロック塀等撤去改修事業費補助金|上限26万円
アスベストが空振りだった場合でも、こちらは多くのマンションに接点があります。敷地の外周にブロック塀が残っている物件は、南アルプス市でも珍しくありません。
数字を1文で
「撤去は工事費と延長1mにつき1万3,000円を乗じた額の少ないほうの2/3以内(上限19万5,000円)、フェンスへの改修は工事費と延長1mにつき1万9,500円を乗じた額の少ないほうの2/3以内(上限26万円/1敷地)」(出典:南アルプス市ブロック塀等撤去改修事業費補助金制度)。
| 工事区分 | 単価の基準 | 補助率 | 上限額 |
|---|---|---|---|
| 撤去(高さ60cm以上のブロック塀等) | 1mにつき13,000円 | 2/3以内 | 195,000円 |
| 改修(撤去のうえ安全なフェンスへ造り替え) | 1mにつき19,500円 | 2/3以内 | 260,000円/1敷地 |
他の自治体を数多く調べてきた立場で申し上げると、この単価と上限は手厚い部類です。多くの市は「1mにつき1万円・上限15万円」前後で設定しています。南アルプス市は撤去で1万3,000円/m・19万5,000円、改修で1万9,500円/m・26万円。ここは南アルプス市の特徴として押さえておく価値があります。
見落としやすい5つの要件
ただし、要件が細かいので、そこを外すと通りません。理事会で確認すべきは以下です。
- 対象ブロック塀等が、南アルプス市耐震改修促進計画において避難路または通学路として位置付けた道路に面していること。 これが最大の関門です。敷地のどの面が該当するかは、管理住宅課で確認できます。
- 高さ60cm以上であること(基礎を含む地盤面から壁頂まで)。一部撤去の場合は、撤去後の高さを60cm以下にする工事が対象です。
- 県内に住所を有する施工業者に依頼すること。県外業者では対象外です。
- 交付決定通知後に工事着手すること。決定通知を受け取ってから業者と契約する、という順序です。事前着工は対象外になります。
- 市税(固定資産税・住民税・軽自動車税・国民健康保険税)の滞納がないこと、および補助金の交付は1敷地につき1回限りであること。
令和8年度は4月6日(月)から受付開始で、市は「事前相談も承ります」と案内しています。予算に限りがあるとも明記されていますので、年度後半になるほど厳しくなります。
なお、建築基準法第42条第2項に規定する道路(いわゆる2項道路)に面している場合は、道路後退について山梨県中北建設事務所建築課(055-224-1674)への確認が必要と市が案内しています。ここは見落としやすい点です。
私の実務感覚:塀は「大規模修繕とセットで」
私はこれを、必ずワンセットで提案するようにしています。理由は単純で、塀の工事を単独で発注すると、仮設・搬入・産廃処分がすべて別建てになり、割高になるからです。
大規模修繕の工程に組み込めば、既に敷地内に入っている重機・仮設・処分ルートを共用できます。20mの塀を撤去してフェンスに替えるとして、単独発注なら諸経費が3割乗ることも珍しくありません。同じ26万円の補助でも、母数が下がれば実質負担はもっと下がります。
住宅リフォーム等総合支援事業は、共用部に使えるのか
南アルプス市には、市内業者による住宅リフォームを支援する制度もあります。ここは正直に「断定できない」とお伝えします。
制度の中身
- 補助額:一律10万円(定額。同一住宅1棟につき1回のみ)
- 対象工事費:50万円以上(消費税除く)
- 施工業者:市内に住所を有し、南アルプス市商工会員、または市の競争入札参加資格・小規模工事等契約を登録した法人または個人
- 対象工事:屋根の葺き替え・塗装・防水工事(軒天井、破風板、鼻隠しを含む)、外壁の張り替えや塗装工事、耐震改修工事など全21項目
- 受付:令和8年5月7日から、年間100件予定・先着順
- 対象者:現に居住する住宅または空家住宅を所有している方。市税等の滞納がないこと。賃貸住宅等は不可
- 所管:建設部 管理住宅課(055-282-6397)
断定を避ける理由
対象工事に「屋根の防水工事」「外壁の塗装工事」が入っている以上、大規模修繕の工事内容とは重なります。ここまでは事実です。
しかし要綱の定義は「住宅=市内にある居住の用に供する建築物」「個人住宅=自らが所有する家屋又は家屋の一部分で、自らが居住の用に供するもの」となっており、共同住宅・分譲マンション・管理組合という語は、要綱にもパンフレットにも一度も登場しません。
明示的な除外文言もない代わりに、明示的な包含文言もない。「同一住宅1棟につき1回」「賃貸住宅等は不可」「自らが居住の用に供する」という条文の構造からは、管理組合が共用部工事で申請する枠組みは想定されていないと読めますが、これは私の読み方であって、要綱に書かれていることではありません。
ですから結論はこうです。管理組合として使えるかどうかは、管理住宅課(055-282-6397)に直接確認してください。 そして、仮に使えたとしても一律10万円です。数千万円規模の大規模修繕に対しては、正直、決め手にはなりません。
一方で、区分所有者の方が専有部のリフォームで使える可能性はあります。理事会からの情報提供として、住民に案内する価値はあると思います。
木造住宅耐震化事業がマンションで使えない理由(これは断定できます)
補助金のまとめ記事でいちばん多い誤りが、耐震補助の混同です。ここは一次情報で明確に断定できますので、はっきり書きます。
南アルプス市の耐震関連3事業(木造住宅耐震診断事業/木造住宅耐震改修事業費補助金/木造住宅耐震シェルター設置補助事業)は、いずれも対象住宅の要件として次を掲げています。
- 昭和56年5月31日以前に着工された住宅
- 木造在来工法で建てられた2階建て以下の個人住宅(長屋及び共同住宅以外の建物で、延床面積が300平方メートル以下の住宅)
- 所有者またはその3親等以内の親族が居住し、賃貸契約等による使用形態ではない住宅
(出典:南アルプス市 無料耐震診断と耐震化事業)
「長屋及び共同住宅以外の建物」と明文で除外されています。 さらに「木造在来工法」「2階建て以下」「延床300平方メートル以下」という条件が重なりますから、RC造・SRC造の分譲マンションが該当する余地はありません。
参考までに金額を挙げておくと、耐震診断は無料(市が費用を負担)、耐震改修は要する費用の全額で上限143万7,500円、耐震シェルター設置は全額で上限36万円です。いずれも令和8年4月6日から受付開始で、戸数に限りがあり先着順とされています。
理事会で「耐震の補助が使えるらしい」という話が出たら、この要件を読み上げてください。 無駄な検討時間を1回分節約できます。
エコライフ促進補助金と、これから議題になる充電設備
環境系の制度も見ておきます。令和8年度南アルプス市エコライフ促進補助金です。
| 対象機器 | 住宅用 | 事務所用 |
|---|---|---|
| 定置用リチウムイオン蓄電池 | 30,000円 | 30,000円 |
| ペレットストーブ | 50,000円 | 50,000円 |
| 電気自動車 | 100,000円 | 対象外 |
- 蓄電池は「太陽光発電システム(10kW未満)との同時設置、または設置済みの太陽光発電システムへの追加設置」が条件
- すべて新品購入に限る。リースは対象外
- 対象者に「市内に事業の用に供する建築物を有する者で、当該建築物に蓄電池又はペレットストーブを設置し、市税を滞納していない法人」が含まれる
- 申請書提出期限:令和9年3月19日。設置・購入後6か月以内。郵送不可(環境課へ持参)
- 所管:市民部 環境課(055-282-6097)
対象設備が蓄電池・ペレットストーブ・電気自動車ですから、大規模修繕とは領域が違います。管理組合が申請主体になれるかどうかも、要綱に記載がありません。
ただ、私が理事会で最近よく聞かれるのは、EV充電設備の話です。南アルプス市は中央道のインターチェンジが2つあり、自家用車の保有率も高い地域です。駐車場にEV充電器を置きたいという要望は、これから確実に増えます。
そのとき問題になるのが、幹線の引き回しと、駐車場の防水・舗装の状態です。大規模修繕で駐車場の床防水をやり直すタイミングと、充電設備の配線を通すタイミングは、本来そろえるべきものです。別々にやると、せっかく直した床をまた壊すことになります。
補助金の有無とは別の話として、「10年後に必要になるものを、今回の修繕の配管ルートに織り込んでおく」 という視点を、長期修繕計画の見直しのときに一度出してみてください。
管理計画認定制度と長寿命化促進税制|南アルプス市の「窓口の壁」
ここは、南アルプス市の管理組合にとって重要な、しかしあまり語られていない論点です。
山梨県の受付は「町村部のみ」
マンション管理計画認定制度は、マンション管理適正化法に基づき、管理状況が一定基準を満たす管理組合を自治体が認定する制度です。認定を行うのは、マンション管理適正化推進計画を作成した市・特別区(市以外の町村部は都道府県)とされています(出典:国土交通省 マンション管理計画認定制度)。
山梨県は令和4年4月1日から認定の受付を開始していますが、県のページには「県(町村部にあるマンションのみ対象)」と明記されています(出典:山梨県 マンション管理計画認定制度)。
南アルプス市は「市」ですから、県の受付対象である町村部には含まれません。そして、南アルプス市が独自にマンション管理適正化推進計画を作成し、認定事務を行っているという情報は、市の公式サイトでは確認できませんでした。
つまり現時点では、南アルプス市域のマンションが管理計画認定を申請できる窓口が、公開情報からは確認できないという状況です。「存在しない」と断定はしません。市が推進計画を作成すれば状況は変わりますし、公表されていないだけの可能性もあります。管理住宅課、または山梨県建築住宅課企画担当(055-223-1730)に確認していただくのが確実です。
参考までに、山梨県の認定申請手数料は、長期修繕計画が1つの場合で適合証あり3,600円/適合証なし25,500円です。
長寿命化促進税制が「使いにくい」ということ
なぜこの話をするかというと、マンション長寿命化促進税制(大規模修繕を行った一定のマンションの固定資産税を減額する国の制度)は、管理計画認定または長寿命化に係る認定を前提としているからです。認定の窓口がなければ、この税制の入口に立てません。
これは南アルプス市の管理組合にとって、地味ですが実害のある話です。東京23区の管理組合が当たり前に使っている制度が、ここでは使えない可能性がある。私はこういうことを、営業のときに黙っているべきではないと思っています。
なお国土交通省は、令和8年7月31日公布の省令・告示により、令和9年4月1日施行で管理計画認定制度を拡充し、分譲時に分譲事業者が管理計画を作成・申請できる仕組みを導入するとしています。制度は動いています。最新の状況は必ず公式で確認してください。
では、南アルプス市の管理組合の現実解は何か
窓口の壁があるなら、全国どこでも使える制度に目を向けるのが現実的です。
住宅金融支援機構のマンション共用部分リフォーム融資は、管理組合を借入人とする長期・固定金利の融資制度で、地域による制限がありません(出典:住宅金融支援機構 マンション共用部分リフォーム融資)。修繕積立金が計画に対して不足しているとき、一時金の徴収を避ける選択肢になります。
「借入は避けたい」というお気持ちは、私もよく分かります。ただ、一時金を徴収して総会が紛糾し、修繕そのものが2年遅れるという展開のほうが、結果的に建物にも住民にも高くつくことがあります。2年の遅れは、内陸高地では凍結融解2シーズン分の進行です。
補助金より効く|足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3工法でコストを下げる
ここまで読んでいただいて、お気づきかと思います。南アルプス市で使える補助金の合計は、アスベストが当たれば大きいものの、当たらなければ数十万円規模です。
一方、工法の選択で動く金額は、数百万円規模です。私が本当にお伝えしたいのはこちらです。
仮設足場は「工事費」ではなく「準備費」
大規模修繕の見積書を開いて、最初の項目を見てください。仮設足場です。物件によりますが、総工事費の15〜25%程度を占めることが多い項目です。
そして足場は、建物を1ミリも直しません。職人が高所で作業するための、準備のための費用です。
3つの工法を比較する
株式会社明誠は、この足場という前提そのものを見直せる会社です。日本でも数少ない、3つの工法から建物にとって最適なものを提案できる体制を取っています。
| 工法 | 特徴 | 南アルプス市で適する場面 |
|---|---|---|
| 通常足場工法 | 従来型の仮設足場。全面的な作業に向く | 中低層で敷地に余裕があり、外壁全面の張り替え・全面補修を伴う物件 |
| ロープアクセス工法(無足場工法) | 産業用ロープで職人が降下して施工。足場費が不要、工期短縮、居住者の生活影響が小さい | 部分補修、シーリング打ち替え、タイル浮き補修、隣地が迫って足場が架けにくい物件 |
| ハイブリッド工法 | 部位ごとに足場とロープアクセスを使い分ける | 大規模・複雑形状で、全面足場では過剰・全面ロープでは不足する物件 |
南アルプス市のマンションは、敷地に比較的余裕がある物件が多く、「足場は架けられる」ケースがほとんどです。だからこそ、「架けられるから架ける」で思考停止しないでほしいのです。
たとえば、外壁全面の劣化は軽微で、シーリングの打ち替えと南面・西面のタイル浮き補修が主体という診断結果だったとします。この場合、全面足場を架けるのは明らかに過剰です。ロープアクセスで必要な面だけ施工すれば、足場費まるごとが浮きます。
ロープアクセス工法の一般的な安全基準や技術的な考え方については、姉妹サイトのロープアクセスドットコムで詳しく解説しています。工法そのものを知りたい理事の方は、そちらもご覧ください。
居住者の生活への影響という、金額に出ない差
もうひとつ、見積書には出てこない差があります。
全面足場を架けると、工期中はバルコニーに出られず、窓を開けられず、洗濯物を外に干せません。防犯上の不安を訴える住民も必ず出ます。3か月から半年、その状態が続きます。
ロープアクセスなら、施工する面だけ、施工する日だけの制限で済みます。私は現場で20年やってきて、一番多く感謝されるのがこの点です。「今年は洗濯物が干せた」と言われたときの理事長さまの顔を、私は何度も見てきました。
明誠は、日本で初めてロープアクセス工事のフランチャイズ展開を行っており、塗装・防水・タイル・電気・看板といった各分野の専門職が加盟しています。だから高品質と低価格を両立できます。工法の全体像は大規模修繕工事のご紹介とロープアクセス工法のご紹介にまとめています。管理組合さま向けの進め方は管理組合さまへをご覧ください。
南アルプス市で大規模修繕を進める、実務スケジュール
最後に、理事会でそのまま使える段取りを置いておきます。
逆算すると、動き出しは工事の18か月前
| 時期 | やること | 補助金との関係 |
|---|---|---|
| 工事の18か月前 | 劣化診断を実施。機械室・電気室の吹付け材の有無も同時に確認 | アスベスト調査補助の対象判断の材料になる |
| 15か月前 | 管理住宅課へ事前相談(アスベスト・ブロック塀の両方) | 交付決定前着工は対象外のため、この順序が必須 |
| 12か月前 | 工法比較を含む見積を複数社から取得。足場前提とロープアクセス前提の両方 | 補助対象工事費の確定に必要 |
| 9か月前 | 修繕委員会で工法・業者を絞り込み、資金計画を確定 | 融資を使う場合はここで機構へ相談 |
| 6か月前 | 臨時総会または通常総会で決議 | ― |
| 4〜3か月前 | 補助金交付申請 → 交付決定通知の受領 | ★決定通知の後に契約 |
| 着工 | 工事 | 事前着工は補助対象外 |
| 完了後30日以内または年度2月末の早いほう | 実績報告書の提出 | 期限厳守 |
この表でいちばん大事なのは、下から4行目です。 交付決定通知を受け取る前に契約・着工してしまうと、南アルプス市の制度はいずれも対象外になります。「工事の日程が決まっているから先に契約だけ」——これで補助金を失った管理組合を、私は他の自治体で見ています。
令和8年度の受付開始日を、カレンダーに入れておく
- ブロック塀等撤去改修事業費補助金:令和8年4月6日(月)受付開始。事前相談可
- 木造住宅耐震診断・耐震改修等:令和8年4月6日(月)受付開始(※マンションは対象外)
- 住宅リフォーム等総合支援事業:令和8年5月7日受付開始、年間100件予定・先着順
- エコライフ促進補助金:申請書提出期限 令和9年3月19日
いずれも予算枠に達した時点で終了します。年度が明けたら早めに動く。これが鉄則です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 南アルプス市に、マンションの大規模修繕そのものを対象にした補助金はありますか?
A. 公開されている市の一次情報の範囲では、共用部の大規模修繕を正面から対象とする制度は確認できませんでした。接点があるのはアスベスト飛散防止対策事業とブロック塀等撤去改修事業費補助金です。最新情報は南アルプス市 補助金・支援制度でご確認ください。
Q2. アスベストの除去補助は、分譲マンションの機械室でも使えますか?
A. 要綱では除去等事業の対象を「多くの方が利用する建築物で、共同で利用する部分(付属する電気室、機械室等を含む)」としており、例示は店舗・事務所・工場・駐車場です。共同住宅という文言は例示に入っていないため、対象になるかどうかは断定できません。市が「必ず事前相談を」と案内していますので、管理住宅課(055-282-6397)へ配置図・平面図・現況写真を持参してご相談ください。
Q3. うちは築30年のRC造マンションです。耐震改修の補助(上限143万7,500円)は使えますか?
A. 使えません。南アルプス市の耐震関連3事業はいずれも「木造在来工法で建てられた2階建て以下の個人住宅(長屋及び共同住宅以外の建物で、延床面積が300平方メートル以下)」を対象としており、共同住宅は明文で除外されています(出典:南アルプス市 無料耐震診断と耐震化事業)。
Q4. 管理計画認定を取って、長寿命化促進税制を使いたいのですが。
A. 山梨県の認定受付は「町村部にあるマンションのみ対象」と県が明記しており、南アルプス市が独自に認定事務を行っているという情報は市の公式サイトでは確認できませんでした。まず山梨県建築住宅課企画担当(055-223-1730)または市の管理住宅課へ、南アルプス市域のマンションの申請窓口があるかをご確認ください。
Q5. ブロック塀の補助は、マンションの敷地でも申請できますか?
A. 要綱は「市内に存するブロック塀等の所有者」を対象者とし、管理組合名義での申請可否は明記されていません。加えて「避難路または通学路として位置付けた道路に面していること」という要件があります。該当するかどうかは管理住宅課で図面をもとに確認するのが確実です。
Q6. 補助金が使えないなら、コストを下げる方法はありますか?
A. 工法の見直しが最も効きます。仮設足場は総工事費の15〜25%程度を占めることが多く、部分補修が主体であればロープアクセス工法で足場費そのものを圧縮できます。全面補修が必要な部位だけ足場を架けるハイブリッド工法という選択肢もあります。無料の劣化調査からご相談を承ります。
この記事のポイントまとめ
- 南アルプス市に共用部大規模修繕の直接補助は確認できず、正直にそう記載した
- アスベスト調査は10/10・上限25万円、除去等は2/3・上限400万円が最大の目玉
- ブロック塀は撤去上限19.5万円・改修上限26万円で県内でも手厚い水準
- 木造耐震3事業は「長屋及び共同住宅以外」と明文除外、マンションは対象外
- 管理計画認定は山梨県が町村部限定、南アルプス市域の窓口は要確認
- 交付決定通知の前に契約・着工すると、いずれの制度も対象外になる
- 補助金より工法選択のほうが金額インパクトが大きい(足場費は総額の15〜25%)
出典・参考資料
- 南アルプス市「補助金・支援制度」
- 南アルプス市「アスベスト調査・除去工事等の補助について」
- 南アルプス市「南アルプス市ブロック塀等撤去改修事業費補助金制度」
- 南アルプス市「住宅リフォーム等総合支援事業」
- 南アルプス市「無料耐震診断と耐震化事業」
- 南アルプス市「令和8年度南アルプス市エコライフ促進補助金」
- 南アルプス市「人口・世帯数」
- 山梨県「マンション管理計画認定制度」
- 国土交通省「マンション管理計画認定制度」
- 住宅金融支援機構「マンション共用部分リフォーム融資」
※補助金・助成金の制度内容、金額、受付期間は変更される場合があります。申請にあたっては必ず各窓口の最新情報をご確認ください。本記事は2026年8月17日時点で公開されている情報に基づいています。
関連リソース
- 大規模修繕工事のご紹介
- ロープアクセス工法のご紹介
- 明誠の考え方(コンセプト)
- 管理組合さまへ
- お問合せフォーム
- ロープアクセス工法の技術情報・安全基準:ロープアクセスドットコム
南アルプス市の管理組合さまとお話ししていると、「うちの市は補助金が少ないから」と最初から諦めている理事長さまによくお会いします。
でも私は、補助金は手段のひとつでしかないと思っています。大事なのは、この建物をあと何年、どう使うのかを管理組合として決めることです。それが決まれば、必要な工事の範囲が決まり、範囲が決まれば工法が決まり、工法が決まって初めて金額が決まる。順番はいつもそうです。
ご相談だけでも遠慮なくお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。
執筆者:本間 幸紘(株式会社明誠 代表取締役)
専門領域:マンション大規模修繕/ロープアクセス工法/建物長寿命化計画
実務経験:建設・改修業界 20年以上
所属:一般社団法人 全国建設業支援協会(JCSA)
株式会社明誠について:東京都小平市を拠点に、東京・関東一円および周辺県でロープアクセス工法と従来足場工法の両方を提案できる改修会社。日本初のロープアクセス工事フランチャイズを展開し、塗装・防水・タイル・電気・看板の専門職が加盟しています。
最終更新:2026年8月17日


