本間社長ブログ

2026.09.21

板橋区のマンション漏水・防災対策|崖152か所と荒川低地、ハザードが二層になる区【大規模修繕2026年度版】

板橋区のマンション漏水・防災対策|崖152か所と荒川低地、ハザードが二層になる区【大規模修繕2026年度版】
本間 幸紘

著作者プロフィール

株式会社明誠 代表取締役

本間 幸紘

大規模修繕・外壁工事・ロープアクセス工事に関する情報を、現場経験をもとに分かりやすくお届けします。

2026年9月21日 更新

板橋区の中台で、築28年の分譲マンションの理事長さまから「3階の角部屋だけ、毎年梅雨に壁紙が浮く」とご相談をいただいたことがあります。前の調査では「外壁のクラックだろう」という診断でした。ところが足場を組む前にロープで下りて実際に触ってみると、外壁のクラックはほとんど動いていませんでした。水を運んでいたのは、建物の背面にある高さ4mほどの擁壁でした。擁壁の水抜き管が土砂で詰まっていて、雨のたびに背面土が水を溜め、壁体を伝って建物側に染み出していたのです。

私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。東京都東大和市を拠点に、20年近くマンション・ビル・ホテルの外壁と向き合ってきました。仮設足場を組む工事も、ロープ1本でぶら下がる無足場の工事も、どちらも現場でやってきた人間です。

板橋区という区は、私の感覚では23区のなかでもっとも「同じ区内なのに答えが変わる」区です。理由ははっきりしていて、崖の多い台地と、荒川沿いの低地が、1つの区のなかに同居しているからです。常盤台の物件と舟渡の物件では、漏水の原因も、修繕の優先順位も、まるで違うものになります。

今日は、板橋区が公表している最新のハザード資料から逆算して、板橋区の分譲・賃貸マンションで先に手を打つべき漏水ポイントと、防災上の共用部の修繕優先度を整理します。


結論:板橋区は「自分の物件がどちらの板橋区にあるか」を先に確定させる区です

先に結論から申し上げます。板橋区で大規模修繕の優先順位を決めるとき、私が最初に確認するのは屋上でも外壁でもありません。その物件が「崖側の板橋区」なのか「低地側の板橋区」なのかです。

板橋区の土砂災害警戒区域は、令和8年3月25日の公示時点で警戒区域152か所、特別警戒区域118か所あります(出典:板橋区「板橋区土砂災害ハザードマップ」/ページ更新日 2026年8月12日、マップは令和8年8月時点の内容)。これは23区のなかでは飛び抜けて多い数字です。赤塚・徳丸・西台・中台・志村・小豆沢といった、武蔵野台地の北端が荒川低地に落ち込む線に沿って、崖と擁壁が連なっています。

一方で、舟渡・新河岸・高島平・蓮根のあたりは荒川の沖積低地です。荒川氾濫版の洪水ハザードマップは、荒川流域で3日間の総雨量632ミリメートルという想定最大規模の降雨を前提にしています(出典:板橋区「板橋区洪水ハザードマップ」/ページ更新日 2026年8月12日、荒川氾濫版は令和7年12月改訂)。

私が理事長さま・オーナーさまにお伝えしているのは、この3つです。

  1. 敷地に高低差があるなら、外壁より先に擁壁と水抜き管を見る(崖側の板橋区)
  2. 低地側なら、1階まわりと電気・給水・エレベーターの「高さ」を確認する(低地側の板橋区)
  3. どちらでも、内水(雨水出水)のマップは洪水マップとは別に必ず開く

この3つを先に決めてしまえば、限られた修繕積立金をどこに寄せるかの議論が、驚くほど早く終わります。


板橋区のハザードマップを1枚で読む(洪水・内水・高潮・土砂)

板橋区は、水防法に基づくハザードマップを種類ごとに分けて公表しています。区の公式ページにある一覧を、マンション修繕の視点で読み直すと次のようになります。

種類 区のマップ 改訂時点 想定の前提
洪水(荒川) 洪水ハザードマップ(荒川氾濫版) 令和7年12月改訂 荒川流域で3日間総雨量632mm
洪水(荒川・継続時間) 洪水ハザードマップ(荒川浸水継続時間版) 令和7年12月改訂 浸水深0.5m以上が引くまでの時間を図示
洪水(中小河川) 洪水ハザードマップ(中小河川版) 令和8年8月改訂 1時間雨量153mm・総雨量690mm/石神井川・新河岸川・白子川
雨水出水(内水) 雨水出水ハザードマップ 令和8年8月改訂 令和8年3月に東京都が公表した雨水出水浸水想定区域図
高潮 高潮ハザードマップ(氾濫版・浸水継続時間版) 令和7年12月改訂 令和6年12月に東京都が公表した高潮浸水想定区域図
土砂災害 土砂災害ハザードマップ(オモテ・ウラ) 令和8年8月改訂 令和8年3月25日公示/警戒152か所・特別警戒118か所
津波 — — 区に津波が到達する想定はありません

(出典:板橋区「板橋区洪水ハザードマップ」、板橋区「板橋区雨水出水ハザードマップ」、板橋区「板橋区高潮ハザードマップ」、板橋区「板橋区土砂災害ハザードマップ」)

この表で、実務上いちばん見落とされやすいのが中小河川版と雨水出水版が令和8年8月に改訂されたばかりだという点です。長期修繕計画の見直しで「以前ハザードを確認したから大丈夫」と言われることがありますが、その「以前」が令和7年以前なら、中小河川と内水については見直したほうが安全です。

区は洪水ハザードマップのページで、荒川氾濫版・荒川浸水継続時間版は令和7年12月時点、中小河川版は令和8年8月時点の内容であると、わざわざ分けて注記しています。マップごとに基準時点が違う。ここを揃えて読まないと、理事会での議論が噛み合いません。

もうひとつ、区は「板橋区に津波が到達する想定はありません」と明記しています。これは予算配分の話としては地味に大きな情報です。津波を心配するための予算は要らないということが、公式に確定しているわけですから、その分を擁壁と内水に寄せられます。


板橋区の土砂災害警戒区域は「去年と今年で答えが変わった」物件があります

板橋区の漏水・防災を語るうえで、いちばん重要なのがここです。

令和8年3月25日の告示で、板橋区内の土砂災害(特別)警戒区域の指定状況が17か所で変更されました。内訳を区の公表表から整理すると、次のようになります(出典:板橋区「板橋区土砂災害ハザードマップ」/ページ更新日 2026年8月12日)。

変更の種類 該当地区
指定追加 西台二丁目、西台一丁目、板橋四丁目、小豆沢三丁目、志村二丁目(2か所)、徳丸三丁目、徳丸一丁目
指定解除 西台一丁目、徳丸六丁目
特別警戒区域の一部解除 西台一丁目(2か所)、志村二・三丁目
特別警戒区域の解除 中台二丁目
区域の縮小 西台一丁目、中台二丁目、小豆沢三丁目

管理組合の実務でいうと、これは「重要事項説明の内容が変わった」「修繕の優先順位が変わった」物件が区内に十数件あるということです。

とくに注意していただきたいのが指定追加された側です。西台二丁目・板橋四丁目・小豆沢三丁目・志村二丁目・徳丸一丁目/三丁目で、令和8年3月25日から新たに区域に入った箇所があります。これらの物件では、これまで「うちは土砂災害と無関係」という前提で長期修繕計画を組んでいた可能性があります。擁壁の点検も水抜き管の清掃も、計画に入っていないかもしれません。

逆に解除・縮小された側も見逃せません。西台一丁目や徳丸六丁目、中台二丁目では、区域から外れた、あるいは特別警戒区域から警戒区域に格下げされた箇所があります。ここは「崖の心配で止めていた外壁・防水の予算を、本来やるべき工事に戻してよい」という判断ができるということです。

なお、区域の指定そのものは東京都建設局が土砂災害防止法に基づいて行っています。自分の物件の番地が該当するかどうかは、東京都土砂災害警戒区域マップで番地単位まで確認できます。理事会の資料としては、このマップの該当箇所を印刷して添付するのがいちばん早いです。


崖側の板橋区で、漏水が起きる本当の場所

擁壁のある敷地で起きる漏水は、外壁の漏水とはメカニズムがまったく違います。私が板橋区の台地側で実際に見てきた順に、多いものを挙げます。

1位:擁壁の水抜き管の詰まり

これが圧倒的に多いです。擁壁には通常、3平方メートルに1か所程度の割合で内径75mm以上の水抜き管が設けられています。ところが20年、30年と経つと、背面の土砂や根が入り込んで詰まります。水が抜けなくなった擁壁は、背面土の水圧を受け続け、目地やクラックから水を滲ませます。建物が擁壁に近接していると、その水が建物の基礎や1階外壁に回る。

水抜き管の清掃は、大規模修繕の費用全体からするとごく小さな金額です。にもかかわらず、修繕項目に入っていないことが本当に多い。擁壁のある物件では、これを見積書に入れてもらってください。

2位:斜面地の建物の「半地下」部分

板橋区の崖線沿いには、道路から見ると2階建てでも、裏側から見ると4階建て、という構成の建物がよくあります。この「道路から見えない下階」は、三方を土に囲まれていることがあり、構造的に漏水しやすい。しかも外部から目視できないため、発見が遅れます。

3位:斜面地特有の外壁の目地切れ

高低差のある敷地では、建物に不同沈下方向の力がかかりやすく、シーリングの目地が片側だけ先に切れることがあります。「北面だけ、なぜか5年でシーリングが痩せる」という物件は、たいてい地形が原因です。

こういう建物こそ、ロープアクセス工法の得意分野です。斜面地・狭隘地では足場の架設そのものが難しく、組めたとしても架設費が跳ね上がります。ロープアクセスなら屋上のアンカーから下りていくため、地上の条件にほとんど左右されません。工法の技術的な詳細は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムで整理しています。


低地側の板橋区で、先に確認すべき3つの「高さ」

舟渡・新河岸・高島平・蓮根といった荒川沿いの低地側では、話がまったく変わります。ここで私が最初に確認するのは、エレベーター機械室・受電設備(キュービクル)・給水ポンプの3つが、地上何メートルにあるかです。

理由は単純で、この3つが止まると上階は生活できなくなるからです。水が引くまで何日もかかる地域では、「建物は無事でも住めない」という状況が現実に起こります。区が荒川浸水継続時間版のハザードマップをわざわざ別に作っているのは、まさにこの「引くまでの時間」が避難の判断を変えるからです。

分譲マンションの理事会でこの話をすると、「移設には大金がかかるのでは」と言われます。確かに設備一式の移設は簡単ではありません。ただ、大規模修繕のタイミングであれば、次のような部分的な対策なら現実的な費用で入れられます。

  • キュービクル基礎のかさ上げ
  • 受電盤・分電盤まわりの止水処理
  • 給水ポンプ室の出入口への止水板の設置
  • 機械式駐車場のピット排水ポンプの二重化
  • エレベーターの浸水時管制運転(最上階待機)の設定確認

このうち止水板については、板橋区に助成制度があります。止水板設置工事等に要した費用の2分の1以内、1つの建築物について上限50万円です(出典:板橋区「止水板設置工事助成制度」/ページ更新日 2025年2月14日)。助成には要件があるため、設置を検討する段階で区の土木部土木計画・交通安全課(電話 03-3579-2297)に相談してほしい、と区は案内しています。

なお、この助成制度のページの更新日は2025年2月14日で、令和8年度としての受付内容が明示されているわけではありません。金額や要件が変わっている可能性があるため、申請前に必ず区の窓口で令和8年度の取扱いをご確認ください。


板橋区の浸水履歴が教えてくれること

ハザードマップと同じくらい、私が重視しているのが実際に水が出た記録です。板橋区は、昭和43年4月30日以降の浸水被害を町丁目別にPDFで公開しています(出典:板橋区「浸水履歴」/ページ更新日 2025年12月3日)。

この資料が優れているのは、次の3点です。

  • 平成10年以降は床上・床下浸水を分けて「番」まで掲載している
  • 平成12年9月12日以降の道路冠水被害を日付ごとに掲載している
  • 令和7年3月から、地域別浸水履歴にも道路冠水箇所を併記するようになった

つまり、自分の物件の町丁目のPDFを1枚開けば、「この町丁目で、いつ、どこまで水が来たか」が番地レベルで分かるということです。理事会の資料としてこれ以上のものはなかなかありません。

そして、区は逆の情報も公開しています。浸水記録がないため添付ファイルがない町丁目が、次の12か所として明記されています。

赤塚七丁目/大谷口一丁目/上板橋一丁目/志村二丁目/大門/高島平四丁目/常盤台二丁目/常盤台三丁目/徳丸八丁目/西台四丁目/南常盤台二丁目/四葉一丁目

(出典:板橋区「浸水履歴」)

これは修繕の予算配分としてはかなり強い情報です。昭和43年以降、区が把握している範囲で浸水記録がない町丁目であれば、1階まわりの浸水対策に厚く予算を置く必要性は相対的に低いと判断できます。その分を屋上防水やシーリング、あるいは擁壁に回したほうが、費用対効果は明らかに高くなります。

ただし、注意点が1つあります。この12か所のうち、志村二丁目・西台四丁目・徳丸八丁目・高島平四丁目は、台地側または台地と低地の境目に位置します。浸水記録がないことと、崖の心配がないことは別の話です。志村二丁目は先ほどの令和8年3月25日の告示で土砂災害警戒区域が2か所追加されている町丁目でもあります。水の履歴だけを見て安心しないでください。


「1時間153mm」という数字をどう受け止めるか

中小河川版の洪水ハザードマップが前提にしている1時間雨量153ミリメートルという数字は、はじめて見ると現実感がないかもしれません。ただ、板橋区では令和8年8月22日に集中豪雨があり、区は罹災証明書の発行や家屋等の消毒といった被災者支援を実施しています(出典:板橋区「8月22日の集中豪雨により被災された方へ」/ページ更新日 2026年8月26日)。想定の話ではなく、この夏に現実に起きたことです。

短時間の強い雨は、統計としても増え続けています。気象庁の観測では、1時間降水量50ミリメートル以上の年間発生回数は、統計開始からの最初の10年間と直近10年間を比べておおむね1.5倍に増えています(出典:気象庁「大雨や猛暑日など(極端現象)のこれまでの変化」)。

この変化が、建物にとって何を意味するか。私の現場感覚では、次の2つです。

1つは、屋上ドレンと縦樋の設計流量が足りなくなってきていること。築30年前後の建物は、当時の降雨強度を前提にドレンの径と数が決まっています。1時間100mmを超えるような雨では、屋上のプールに水が溜まり、防水層の立ち上がりを越える。オーバーフロー管が付いていない、あるいは詰まっている物件では、それがそのまま最上階の漏水になります。

もう1つは、横殴りの雨でサッシまわりの止水が抜けること。通常の雨なら問題ない目地でも、風速20m/s以上の雨では水が上向きに動きます。シーリングの劣化した目地、ビス穴、換気口が一気に弱点になる。「台風のときだけ濡れる」という相談は、ほぼこれです。

大規模修繕の見積を取るときは、ドレンの増設・オーバーフロー管の新設・サッシまわりのシーリング打ち替えの3点が入っているかを確認してください。この3点は金額としては大きくありませんが、効き方が大きい項目です。詳しくは明誠の漏水調査・漏水対応の考え方にも整理しています。


板橋区のマンションで使える工法の選び方と、かかる費用の目安

ここまでの話を、費用の話につなげます。板橋区のように擁壁がある・斜面地である・敷地に余裕がないという条件が重なると、足場の架設費が想定以上に膨らみます。

一般的な目安として、10階建て・外周80m・工期3か月の物件で、仮設足場の費用は168万円程度になることがあります。同じ範囲をロープアクセス工法で施工した場合、仮設にあたる費用は59万円程度で、差額はおよそ109万円です。あくまで参考値であり、実際の金額は建物形状・下地の状態・工事範囲によって大きく変わりますが、仮設費が総工費の15〜25%を占めることを考えると、無視できない差です。

工種ごとの㎡単価の目安も挙げておきます。いずれも参考値で、実際の見積は物件により変動します。

工種 単価の目安
外壁塗装 3,500〜4,500円/㎡
外壁打診調査 250〜500円/㎡
屋上・バルコニー防水 5,000〜8,000円/㎡

30戸規模のマンションの大規模修繕全体では、3,500万〜5,000万円程度がひとつのレンジになります。このうち仮設足場が15〜25%を占めるため、足場を減らせるかどうかで、同じ予算でできる工事の中身が変わるわけです。

ただし、私は「ロープアクセスがいつでも最適」とは考えていません。板橋区の物件でいえば、次のような整理になります。

建物の条件 向いている工法
敷地に余裕があり、全面的な下地補修が必要 通常足場工法
斜面地・狭隘地・擁壁隣接で足場の架設が難しい ロープアクセス工法(無足場工法)
低層部は補修量が多く、高層部は塗装中心 ハイブリッド工法(足場とロープの併用)

株式会社明誠は、この3工法から建物の特性に応じて選べる、日本でも数少ない会社です。どれか1つの工法しか持たない会社は、どうしても自社が持っている工法に寄せた提案になります。明誠の料金の考え方でも書いていますが、工法の選択肢を持っていること自体が、発注者にとってのコストメリットになります。


安全と品質について、数字でお伝えできること

高所作業を伴う工事を発注するとき、価格と同じくらい気にしていただきたいのが安全です。数字でお伝えできることを挙げます。

  • 株式会社明誠はこれまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました
  • ロープアクセス工法での高所作業について、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業では過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています
  • 作業員はIRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の技能訓練を受けています。品質面ではISO9001のマネジメントシステムに沿って施工管理を行い、日本ロープ高所作業協会の事務局も担当しています
  • 明誠は日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部です。塗装・防水・タイル・電気・看板の各分野の専門職が加盟しており、工種ごとに専門会社が直接施工します

フランチャイズという形をとっているのは、中間マージンを減らしながら専門性を確保するためです。明誠の安全管理の考え方に、現場での具体的な運用を記載しています。

なお、擁壁や斜面地で建物全体の劣化状況を把握したいときは、ドローンによる外観調査を先行させることもあります。ドローンによる外壁調査は、足場やロープを出す前の一次スクリーニングとして有効です。

これまでの施工事例(約6,000棟)は https://rita-construction.com/renew/blog/category/works/ からご覧いただけます。


板橋区の管理組合・オーナーさまへ:今期の理事会で決めておきたい5つのこと

長期修繕計画の見直しや、次回大規模修繕の準備をされている方向けに、板橋区の条件を踏まえた実務チェックリストを置いておきます。

  1. 令和8年3月25日の土砂災害区域の告示を、自分の物件の番地で確認する(東京都土砂災害警戒区域マップで番地単位まで確認できます)
  2. 雨水出水(内水)ハザードマップを、洪水マップとは別に開く(令和8年8月改訂版があります)
  3. 町丁目の浸水履歴PDFを1枚印刷し、理事会の資料に添付する(道路冠水箇所も令和7年3月から併記されています)
  4. 擁壁がある物件は、水抜き管の清掃を見積項目に入れる
  5. エレベーター機械室・キュービクル・給水ポンプの設置高さを図面で確認する

この5つは、専門家に頼まなくても理事会で進められます。そのうえで、実際に修繕項目と金額に落とし込む段階でご相談いただければ、板橋区の地形条件を踏まえた優先順位をご提案できます。管理組合さま向けのサポート内容は管理組合向けサービスに、賃貸オーナーさま向けの考え方は収益不動産オーナー向けサービスにまとめています。

工法そのものをもう少し深く知りたいという方は、技術情報を扱っているロープアクセスドットコムもご覧ください。同業の方やフランチャイズ加盟をご検討の方向けの情報も、こちらに集めています。


よくあるご質問

Q. 板橋区は土砂災害警戒区域が多いと聞きましたが、マンションでも関係ありますか?

A. 関係します。板橋区の土砂災害警戒区域は令和8年3月25日公示時点で152か所、特別警戒区域は118か所あります。区分所有のマンションでも、敷地に高さ2mを超える崖や擁壁がある場合は、擁壁の水抜き管・目地・クラックが修繕項目になります。まずは東京都土砂災害警戒区域マップで自分の物件の番地を確認してください。

Q. 擁壁の水抜き管の清掃は、いくらぐらいかかりますか?

A. 擁壁の長さ・高さ・水抜き管の本数によりますが、大規模修繕の総額から見ればごく小さな項目です。むしろ問題は、見積書に項目自体が入っていないケースが多いことです。擁壁のある物件では、見積依頼の段階で「擁壁の水抜き管清掃と目地補修を含めてほしい」と明示することをおすすめします。無料で概算のお見積りを提示できますので、お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。

Q. 足場を組まないロープアクセス工法だと、どれくらい安くなりますか?

A. 10階建て・外周80m・工期3か月の物件で、仮設足場168万円に対してロープアクセスは59万円程度、差額およそ109万円というのが参考値です。ただし下地補修の量が多い物件では足場のほうが有利になることもあります。物件を拝見したうえで、3工法それぞれの概算を比較できる形でお出しします。

Q. 工期はどれくらい変わりますか?

A. ロープアクセス工法なら足場工法の約60%の工期が目安です。10階建て・外周80mのマンションであれば、足場3か月に対しロープアクセス1.5〜2か月程度になります。加えて、足場の架設・解体の期間中に発生する居住者の生活影響(洗濯物・窓の開閉・防犯面の不安)がないことも、板橋区のようなファミリー層の多い区では大きな違いになります。

Q. 板橋区の止水板設置工事助成は、分譲マンションでも使えますか?

A. 助成額は工事費用の2分の1以内、1つの建築物について上限50万円です。助成には要件があるため、設置を検討する段階で板橋区土木部土木計画・交通安全課(電話 03-3579-2297)へご相談ください、と区は案内しています。制度内容は年度により変わる可能性がありますので、令和8年度の取扱いは必ず区の窓口でご確認ください。

Q. 「毎年、特定の部屋だけ濡れる」という漏水は、外壁を塗り直せば直りますか?

A. 直らないことがあります。私の経験では、特定の部屋だけ・毎年同じ季節に、というパターンは、外壁のクラックより先に、サッシまわりのシーリング、屋上ドレンの詰まり、擁壁や隣接する土からの水の回り込みを疑います。外壁塗装をしても原因がそこになければ再発します。塗る前に原因を特定することが、結果として費用を抑えます。

Q. 大規模修繕の前に、まず何をすればよいですか?

A. 建物の現況を客観的に把握することです。外観の劣化状況であればドローン調査、外壁タイルの浮きであれば打診調査(目安250〜500円/㎡)という順になります。板橋区の物件では、これに加えて敷地の高低差と擁壁の状態、そして町丁目の浸水履歴を確認しておくと、優先順位の議論が早く進みます。


板橋区の物件に関するご相談

板橋区は、常盤台・ときわ台の住宅地、赤塚・徳丸の台地、志村・小豆沢の崖線、高島平・舟渡・新河岸の低地と、同じ区内で条件がまったく違います。ですから「板橋区のマンションはこうです」という一般論は、あまり役に立ちません。

大切なのは、自分の物件がどちらの板橋区にあるのかを先に確定させ、そこから修繕項目を組み立てることです。そうすれば、限られた修繕積立金を、効く場所に集中させられます。

現地を拝見したうえで、通常足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3工法それぞれの概算を比較できる形でお出しします。お問い合わせはこちらのフォームから承っています。理事会の日程が決まっている場合は、その前にお声がけいただければ資料の形でご用意します。


本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月21日時点で公表されている板橋区および国土交通省・東京都の公式情報をもとに執筆しています。ハザードマップ・土砂災害警戒区域の指定・助成制度は年度途中でも改正や予算終了があり得ます。実際に申請・判断される前に、必ず板橋区および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。

免責事項:本記事に記載の費用はいずれも目安・参考値であり、実際のお見積りは建物の規模・形状・劣化状況により変動します。制度の適用可否についても、必ず所管窓口の判断をご確認ください。

この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年9月21日

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