用語集
ArchiCAD
ArchiCAD(アーキキャド)とは、ハンガリーのGraphisoft(グラフィソフト)社が開発・提供する建築設計向けのBIM(Building Information Modeling、ビルディング・インフォメーション・モデリング)ソフトウェアである。1980年代に登場した世界初の本格的なBIMソフトの一つとして知られ、長い歴史のなかで建築設計のデジタル化を牽引してきた。最大の特徴は、3次元の建物モデルに対して寸法・面積・材料・数量・コスト・性能といった属性情報を統合的に持たせ、設計から積算、施工、さらには竣工後の維持管理まで一貫して活用できる点にある。従来の2次元CADが「線を引く」道具であったのに対し、BIMは「建物そのものをデータとして組み立てる」発想であり、設計の質と効率を大きく高めた。ArchiCADは意匠設計の分野で特に高い支持を得ており、直感的な操作性とデザイン表現力の高さから、アトリエ系の設計事務所から大手の組織設計事務所まで幅広く採用されている。同じくBIM分野で世界的に主要なAutodesk社のRevit(レビット)と並び称される存在で、IFCという国際標準の中間ファイル形式を介して、構造・設備など他分野のソフトとデータをやり取りできる相互運用性も備える。これにより、意匠・構造・設備の各担当が一つの建物情報を共有しながら設計を進める協働が可能になる。BIMの普及によって、平面図・立面図・断面図が一つのモデルから自動的に生成されるため、図面間の食い違いが起きにくく、設計変更にも迅速かつ整合的に対応できるようになった点は、従来方式に対する大きな進歩である。近年は、施工段階での干渉チェックや、維持管理段階でのデータ活用、さらには国の施策として公共工事におけるBIM/CIMの活用が推進されるなど、適用範囲が建物のライフサイクル全体へと広がっている。大規模修繕の分野においても、既存建物をBIMで3次元モデル化することで、外壁の劣化箇所やタイルの浮き、シーリングの劣化、防水層の範囲などを立体的に可視化し、足場計画やロープアクセスのアンカー(支点)配置を精密に検討できるという実務的なメリットがある。建物の数量を正確に拾えるため、見積りの精度向上や、発注者への透明性の高い説明にもつながる。明誠が手がけるマンション・ビル・ホテルの大規模修繕では、建物特性に応じて通常足場・ロープアクセス・ハイブリッド工法の3つから最適な工法を提案するが、こうしたBIMデータの活用は、工法選定の根拠づけ、工期短縮、足場費を含むコスト最適化の精度向上に寄与する。新築設計と既存建物の改修という双方の業務効率化を支える基盤技術として、ArchiCADの理解は建設業に携わる者にとって有益である。なお、BIMは単なる作図ツールではなく、設計・施工・維持管理にかかわる関係者が同じ建物情報を共有するためのプラットフォームでもある。大規模修繕においても、建物の劣化状況や補修履歴をデータとして蓄積していけば、次回以降の修繕計画や長期修繕計画の精度を高め、無駄のない投資判断を可能にする。明誠が重視するコスト最適化と資産価値の維持・向上という方針とも親和性が高く、BIMをはじめとする設計ソフトの理解は、建物のライフサイクル全体を見据えた提案力の土台となる。

