用語集
アーチダム
アーチダムとは、ダムの構造形式のひとつで、上流側からの水圧をダム本体が水平方向のアーチ作用によって両岸の岩盤(アバットメント)へ伝達するように設計されたコンクリート造ダムを指す。地形的には両岸が硬質岩盤で構成された深い峡谷形状の谷地形が適しており、世界的にはアルプス山脈・ピレネー山脈・アンデス山脈・ロッキー山脈等の山岳地帯、日本では中部山岳地帯・本州内陸部・九州山地などに多く建設されている。アーチダムの構造原理は、水圧を「曲げ」ではなく「圧縮」で受けるという点にあり、アーチ作用により水圧の大部分が水平方向の反力として両岸の岩盤に伝達される。この特徴により、重力式ダム(コンクリートの自重で水圧に耐える)に比べて使用するコンクリート量を大幅に削減でき、ダム高さに対するダム体積比が圧倒的に小さい経済的・合理的なダム形式である。世界初の本格的なアーチダムは1854年フランスのZola Damとされ、その後20世紀初頭にスイス・イタリア・アメリカで近代的設計理論が確立し、フーバーダム(1936年、米国、高221m、重力アーチダム)、グランデディキサンスダム(1965年、スイス、高285m)、イングリアダム(1980年、米国)、ジンピンI(2013年、中国、高305m、現時点で世界最高アーチダム)などが代表的な事例である。日本では黒部ダム(1963年、富山県、高186m、ドーム型アーチダム)、奈川渡ダム(1969年、長野県、高155m、アーチ式)、奥只見ダム(1960年、福島県・新潟県、高157m、重力式に分類)、温井ダム(2002年、広島県、高156m、アーチ式)、川治ダム(1983年、栃木県、高140m、アーチ式)など多数のアーチダムが建設されており、それぞれ発電・治水・上水道・農業用水など多目的に活用されている。アーチダムの設計には、有限要素法(FEM)による応力解析、3次元アーチ理論、両岸岩盤の地質調査・岩盤力学試験、地震応答解析、コンクリートの長期クリープ・乾燥収縮を考慮した解析など、高度な構造解析技術が必須となる。建設後の維持管理においても、変位計・歪計・温度計・揚圧計・継目開度計など多数の計測機器による継続的なモニタリングが行われ、長期にわたる構造健全性の確認が不可欠である。明誠グループの土木フランチャイズ加盟店は、ダム本体・付帯施設の点検・補修・塗装・防食工事に対応可能な技術を有し、ロープアクセス工法によるダム壁面の調査・補修もカバーできる体制を整えている。

