用語集
R290
R290とは、冷媒として用いられるプロパン(化学式C3H8)に割り当てられた冷媒番号であり、フロン類に代わる「自然冷媒」の代表格である。冷媒番号はISOやASHRAEの規格に基づき冷媒の種類を識別するために付されるもので、Rに続く番号の付け方によって冷媒の化学的な分類が表される。R290は炭化水素系冷媒に区分され、地球温暖化係数(GWP)が3程度とほぼゼロに近く、オゾン層破壊係数もゼロであるため、脱炭素・環境配慮が強く求められる現代の空調・冷凍分野で急速に注目を集めている。
用途としては、ヒートポンプ給湯機、業務用の冷凍冷蔵設備、自動販売機、ショーケース、ヒートポンプ式空調機などがあり、欧州を中心に規制強化と並行して採用が拡大してきた。熱力学的な性能にも優れ、エネルギー効率の高い運転が可能な点も評価されている。一方でプロパンは可燃性ガスであるため、機器への封入量の制限、漏えい検知センサーの設置、十分な換気の確保、着火源の排除といった安全対策が不可欠であり、機器設計・施工・メンテナンスの各段階で専門的な配慮が求められる。この可燃性への対応が、普及にあたっての技術的・制度的な課題となっている。
冷媒をめぐる国際的な潮流として、モントリオール議定書のキガリ改正やフロン排出抑制法により、高GWPの代替フロン(HFC)の段階的削減が進められている。家庭用エアコンではGWP約675のR32への転換が進む一方、より抜本的な低GWP化を目指して、R290をはじめR744(二酸化炭素)、R717(アンモニア)、R1234yfといった自然冷媒・低GWP冷媒への移行も今後さらに加速すると見られる。冷媒の種類は、空調・給湯設備の更新可否やランニングコスト、将来の規制対応に直結する重要な判断材料である。
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕や設備更新の現場では、外装・防水の改修にあわせて空調・給湯設備の冷媒種別や経年状態を確認し、規制動向や保守体制、保守部品の供給見通しを踏まえた更新計画を立てることが、ライフサイクルコストの最適化につながる。明誠は建物全体の改修を扱う立場から、外装修繕にとどまらず、設備更新の適切なタイミングや省エネ・脱炭素の観点もオーナーに整理して伝え、長期的な資産価値維持に資する提案を心がけている。冷媒に関する知識は、長期修繕計画の検討材料としても実務的に有用である。
なお、冷媒に関する規制は段階的に強化される見込みであり、設備更新の時期や機器選定の判断に影響する。明誠では、空調・給湯設備を含む建物全体のライフサイクルを踏まえ、いつ・どの設備をどう更新すべきかという長期的な視点をオーナーと共有し、外装改修と設備更新のタイミングを合理的に調整することで、足場や仮設の重複を避け、トータルコストを抑える提案を行っている。
加えて、冷媒の選定は機器メーカーの製品ラインナップや保守体制とも密接に関わるため、設備の専門業者と連携した検討が欠かせない。明誠はフランチャイズ加盟の電気・設備分野の専門職とも連携できる体制を備えており、外装改修にとどまらず、建物の設備計画まで含めた総合的な視点でオーナーを支援できる点を強みとしている。

