用語集
RPO目標復旧時点
RPO(Recovery Point Objective、目標復旧時点)とは、災害やシステム障害が発生した際に「どの時点のデータまで復旧させるか」を定める、事業継続・IT-BCPの重要指標である。たとえばRPOを24時間と設定した場合、障害発生直前から最大24時間前までのデータ損失を許容することを意味し、1日1回のバックアップ運用で対応できる。一方、RPOをほぼゼロに近づけたい基幹システムでは、リアルタイムのデータ同期や頻繁なバックアップが必要となり、その分システム構成は複雑になり、コストも高くなる。
RPOとよく対比される指標にRTO(Recovery Time Objective、目標復旧時間)がある。RTOは「障害発生からシステムを復旧させるまでにかかってよい目標時間」を表し、RPOが「どこまでのデータを守るか(許容できるデータ損失量)」を示すのに対し、RTOは「いつまでに復旧させるか(許容できる停止時間)」を示す。両者を業務の重要度に応じて適切に設定することが、BCP(事業継続計画)策定の要となる。重要度の高い業務ほどRPO・RTOを短く設定し、相応の投資を行うという優先順位づけが、限られた経営資源を有効に配分するうえで欠かせない。
RPOを短くするための具体的な手段としては、バックアップ頻度の向上、遠隔地へのデータ複製(レプリケーション)、クラウドを活用したリアルタイム同期などがある。近年はクラウドサービスの普及により、従来は大企業でしか実現できなかった高度なデータ保全が、中小企業でも導入しやすくなっている。一方で、どこまで投資するかは、データ損失がもたらす損害と対策コストのバランスで判断する必要がある。
地震・台風・水害といった自然災害が多発する日本では、建設業・不動産業を含むあらゆる企業にとって、顧客データや工事情報、図面、会計データの保全は経営の根幹に関わる課題である。これらの重要情報が失われれば、復旧工事や顧客対応に支障が生じ、企業の信用を大きく損ないかねない。大規模修繕や設備更新を担う建設会社にとっても、施工記録・保証情報・契約情報を確実に保全し、万一の障害時にも事業を継続できる体制を整えておくことは、オーナーからの信頼を支える基盤となる。明誠が運営するJCSA(一般社団法人全国建設業支援協会)では、全国の建設業者に向けた経営支援の一環として、BCPや情報管理、災害対応に関する知識の普及に取り組む意義が大きい。RPO・RTOの考え方は、自社のどの情報・業務を優先的に守るべきかという判断の枠組みを与えるものであり、建設業の経営強靭化を考えるうえで実務的に有用な概念である。
事業継続への備えは、平時には目に見えにくいが、いざというときに企業の存続と顧客への責任を支える基盤となる。明誠とJCSAは、建設業者がBCPや情報管理を含む経営基盤を強化し、災害復旧の担い手として地域社会の期待に応えられるよう、実務に即した知識の共有と支援に取り組んでいる。RPOの考え方は、その第一歩として情報保全の優先順位を考えるうえで役立つ。

