用語集
荒壁
読み方
あらかべ
荒壁(あらかべ、Rough Wall、First Coat Earthen Plaster)とは、土壁(つちかべ)の最初の塗り工程で、藁すさ(わらすさ、稲わらを細断したもの)を混ぜた粗い土を竹小舞下地に塗り付ける土壁構築の基礎工程を指す日本の伝統的左官技術である。土壁の標準工程は、(1)竹小舞編み(竹を縦横に編んだ下地)、(2)荒壁塗り(最初の土塗り、粗い土+藁すさ)、(3)裏返し(壁の反対側からも土を押し当てて密着)、(4)中塗り(やや細かい土・砂・藁すさを混ぜた中間層)、(5)上塗り(細かい土・砂・色土・スサで仕上げ層、漆喰・聚楽・色漆喰など)、と進む。荒壁の役割は、(A)土壁の基礎構造を形成し、上層の塗り工程の下地となる、(B)藁すさによる収縮割れの防止と引張強度の確保、(C)土の保湿性・調湿性・断熱性・吸音性の確保、(D)日本の気候風土に最適な伝統建材としての機能、などである。荒壁に使用する土は、(i)粘土分20〜35%、(ii)シルト分40〜60%、(iii)砂分20〜30%、を含む粘性土が適切で、地域の山土・畑土・古壁解体土などが用いられる。塗り厚は12〜25mm程度で、十分な乾燥期間(夏場2〜3週間、冬場1〜2ヶ月)を経て中塗りに進む。古民家・社寺仏閣・茶室・蔵などの伝統建築の修復工事で荒壁技術が必須となり、近年は左官職人の減少・育成が業界の重大課題となっている。マンション・ビル・ホテルの大規模修繕工事で直接の関連は薄いものの、文化財建造物・和風意匠住戸・特殊用途内装で関わる場合、明誠は専門左官職人との連携で対応可能である。

