本間社長ブログ

2026.09.24

足立区のマンション管理計画認定制度|手数料無料化と独自基準なしの申請ルート【2026年度版】

足立区のマンション管理計画認定制度|手数料無料化と独自基準なしの申請ルート【2026年度版】
本間 幸紘

著作者プロフィール

株式会社明誠 代表取締役

本間 幸紘

大規模修繕・外壁工事・ロープアクセス工事に関する情報を、現場経験をもとに分かりやすくお届けします。

結論:足立区で管理計画認定を取ると何が変わるか、手数料はいくらか

先に結論からお伝えします。足立区でマンション管理計画認定を取得する場合、区への申請手数料は当面のあいだ無料です(変更認定申請も含みます)。ただし、区の窓口に直接申請することはできません。新規申請は必ず(公財)マンション管理センターの「管理計画認定手続支援システム」を経由する必要があり、そこでシステム利用料などが別途かかります(出典:足立区「マンション管理計画認定制度について」、2026年4月1日更新)。

私はこれまで多くの管理組合の理事長さまから「認定を取ると何が変わるんですか」とご質問をいただいてきました。答えはシンプルで、固定資産税の減額、フラット35の金利引下げ、共用部リフォーム融資の金利引下げという3つの経済効果に加え、修繕積立金が適正に積み立てられている「安心なマンション」であることが対外的に証明される点にあります。足立区は現時点で区独自の上乗せ基準を設けておらず、国が定めた17項目の基準をクリアすれば認定される、比較的取り組みやすい制度設計になっています。

認定主体はどこか(足立区が認定行政庁)

マンション管理計画認定制度は、令和4年4月に始まった国の制度ですが、実際に審査・認定を行う「認定行政庁」は自治体ごとに異なります(用語補足:認定行政庁とは、認定の申請を受け付けて審査し、認定書を交付する権限を持つ役所のことです)。特別区や中核市・施行時特例市はその区市自身が認定行政庁となり、それ以外の市町村(東京都では島しょ部など)は都道府県が担います。

足立区は特別区のため、足立区長が認定行政庁です。神奈川県や千葉県内の町村部のように、まず都道府県に申請するケースとは窓口が異なりますので、足立区内の分譲マンションであれば足立区が定めた手続きに従うことになります。認定の有効期間は5年間で、期限が来たら更新申請が必要です(出典:東京都マンションポータルサイト「マンション管理計画認定制度」)。私は現場で「一度取れば終わり」と誤解されている理事さんに何度もお会いしましたが、5年ごとの更新が前提の制度だという点は最初にお伝えするようにしています。

認定17要件(総会・修繕計画・修繕積立金・長期修繕計画 等)

国が定める認定基準は、大きく5分野・合計17項目に整理されています(出典:国土交通省 認定基準)。

管理組合の運営に関する2項目では、管理者等と監事が定められていること、総会(区分所有者の集会)が定期的に開催されていることが求められます。管理規約に関する3項目では、規約そのものが整備されていることに加え、緊急時の専有部分への立入りに関する規定、修繕履歴の保管や情報提供に関する規定が必要です。管理組合の経理に関する3項目では、管理費と修繕積立金を区分経理していること、修繕積立金を他の会計に充当していないこと、滞納に適切に対処していることが確認されます。

もっとも項目数が多いのが長期修繕計画に関する7項目で、標準様式に準拠した長期修繕計画と修繕積立金額が総会で決議されていること、7年以内に作成または見直しがされていること、計画期間が30年以上かつ大規模修繕が2回以上含まれていること、一時金徴収を予定していないこと、修繕積立金の平均額が著しく低額でないこと、計画最終年度に借入金残高が残らないこと、その計画に基づく資金計画が適切であることが審査されます。最後にその他の2項目として、組合員名簿・居住者名簿の適切な管理と、都道府県等が定めるマンション管理適正化指針への適合性が確認されます。

独自基準の有無と実務への影響

ここが自治体ごとに差が出るポイントです。東京都内でも渋谷区のように、令和8年4月から防災(マニュアル整備・訓練・自主防災組織・備蓄など)やコミュニティ活動(自治会加入・地域連携の担当者選任など)に関する独自の上乗せ基準を追加した区が出てきています(出典:渋谷区ポータル「マンション管理計画認定制度」)。

一方で足立区は、区の公式ページに「足立区マンション管理適正化指針に照らして適切なものであること(区の独自基準による上乗せは、現在行っていません)」と明記されています。つまり足立区内のマンションは、国の17要件と適正化指針への適合を満たせば認定を受けられ、防災訓練の実施記録や自治会加入の証明といった追加書類を別途そろえる必要がありません。私の経験上、これは理事会の事務負担という観点で大きな違いです。上乗せ基準がある区では、認定準備と並行して自主防災組織の立ち上げから始めなければならない管理組合を何度も見てきました。

ただし独自基準がないからといって、修繕積立金の水準や長期修繕計画の中身が甘くて良いわけではありません。私が現場で一番悔しい思いをするのは、修繕積立金が「著しく低額」と判定されるほど乏しいまま大規模修繕の時期を迎えてしまった管理組合を見るときです。工事費そのものを圧縮できれば、同じ積立金額でも計画の実現性は上がります。実際に私たちが手がけた案件では、10階建て・外周80m程度の建物で、足場を組む従来工法だと概算168万円ほどかかる仮設費が、ロープアクセスドットコムで紹介している無足場工法(ロープアクセス工法)を使うと59万円程度に収まり、差額にして109万円ほど圧縮できたケースがありました(工事内容・建物条件により変動するため、あくまで目安としてご覧ください)。こうしたコスト最適化の積み重ねが、長期修繕計画の実現性、ひいては認定取得のしやすさにもつながっていきます。

手数料と申請ルート(事前確認あり・マンション管理センター経由)

手数料については冒頭でお伝えした通り、足立区への申請手数料は当面のあいだ無料です(変更認定申請を含む)。ただし新規申請では区の窓口へ直接書類を持ち込むことができず、必ず(公財)マンション管理センターが運営する「管理計画認定手続支援システム」を経由して「事前確認適合証」を取得する必要があります(出典:足立区「マンション管理計画認定制度について」)。変更認定の申請については、郵送または区の窓口への提出が認められています。

事前確認のルートはいくつかのパターンに分かれており、個別のマンション管理士に依頼する方法、管理業協会の適正評価制度を使う方法、日本マンション管理士会連合会の診断サービスを利用する方法などがあります。いずれのルートでも、マンション管理センターへのシステム利用料として1申請あたり10,000円(税込)が必要で、日管連の診断サービスを使う場合は事前確認審査料として長期修繕計画1計画あたり10,000円(税込)が別途かかります(出典:マンション管理センター「管理計画認定手続支援サービス」)。個別のマンション管理士や管理業協会のルートでは、審査料は管理組合と委託先の間で個別に決まります。私はいつも理事長さまに「区の手数料は無料でも、事前確認の実務費用はかかります」とお伝えするようにしています。総額の目安としては、ケースによって2万円台からそれ以上まで幅がありますので、事前に見積りを取ることをおすすめします。

認定の3つの経済効果(長寿命化促進税制/フラット35/共用部リフォーム融資)

管理計画認定を取得すると、主に3つの経済的なメリットにつながります。

1つ目は固定資産税の減額です。マンション長寿命化促進税制では、外壁塗装等工事・床防水工事・屋根防水工事の3工事すべてを実施し、築20年以上・総戸数10戸以上などの要件を満たした認定マンションについて、工事完了の翌年度分の固定資産税(家屋部分)が減額されます。東京23区では減額率が2分の1と定められており、工事完了日から3か月以内に申告する必要があります。対象となる工事の完了時期は令和5年4月1日から令和9年3月31日までとされています(出典:東京都主税局、国土交通省 マンション長寿命化促進税制)。なお足立区では、認定ルートとは別に、区の助言・指導を受けて是正した管理組合向けに証明書を発行する制度も設けられています(出典:足立区「マンション長寿命化促進税制の創設に伴う助言・指導内容実施等証明の交付について」、手数料1通300円)。

2つ目はフラット35の金利引下げです。認定マンションを購入する場合、借入金利が当初5年間で年0.25%引き下げられる制度が用意されています。3つ目は住宅金融支援機構の共用部分リフォーム融資で、認定マンションが計画に基づいて修繕工事を行う際、基準金利から年0.2%程度の引下げが受けられます(出典:府中市「マンションの管理計画認定制度」広報資料)。金利や税制の数字は年度や制度見直しによって変わり得るため、正直に申し上げると、実際に申請される時点で最新の数値を住宅金融支援機構(jhf.go.jp)や足立区の窓口で確認していただくのが確実です。

逆算スケジュール(総会決議→書類準備→認定申請→交付)

認定取得までの流れは、おおむね次のように逆算して考えるとスムーズです。まず理事会・総会で長期修繕計画と修繕積立金額の見直しを決議します。標準様式に沿った計画になっているか、7年以内の見直しか、30年以上・大規模修繕2回以上を含むかを、この段階で確認しておく必要があります。

次に管理規約や総会議事録、組合員名簿・居住者名簿などの必要書類を整えます。ここで規約に緊急時の立入り規定や情報提供規定が盛り込まれているかを再確認してください。書類がそろったら、マンション管理センターの手続支援システムから事前確認を申し込み、事前確認適合証の交付を受けます。最後にその適合証を添えて足立区へ申請し、審査を経て認定書が交付されるという流れです。私の経験上、書類準備から適合証の取得までに数週間から1〜2か月程度を見込んでおくと、総会シーズンに慌てずに済みます。

まとめ+今週動くこと3点

足立区は区の手数料が当面無料で、独自の上乗せ基準もない分、他区に比べて申請のハードルが低い自治体だと私は感じています。ただし新規申請は区の窓口への直接申請ができず、マンション管理センターの事前確認を経る必要がある点は見落とされがちです。

今週動けることとして、まず1つ目は長期修繕計画が7年以内に見直されているか、標準様式に沿っているかを理事会で確認すること。2つ目は修繕積立金の水準が著しく低額になっていないか、次回の大規模修繕費用の見積りと照らして点検すること。3つ目はマンション管理センターの事前確認ルートのうち、自分たちの管理組合にはどのパターンが合うか、費用感を含めて情報収集を始めることです。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがありますので、ご相談だけでも遠慮なくお声がけください。

大規模修繕そのものの費用を圧縮したい場合は、ロープアクセスドットコムで公開している無足場工法の技術情報や、明誠の大規模修繕工事の料金の考え方のページもあわせてご覧ください。管理組合さま向けのご相談は管理組合さま向けサービスのご案内から、実際の工事のイメージは明誠の施工事例でもご紹介しています。株式会社明誠はこれまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけており、ロープアクセス工法における高所作業では過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。

よくあるご質問

Q. 足立区への申請手数料は本当に無料ですか?

A. はい、当面のあいだ区への申請手数料は無料です(新規・変更ともに)。ただしマンション管理センターの事前確認にかかるシステム利用料や審査料は別途必要になります。

Q. 足立区には独自の上乗せ基準がありますか?

A. 現時点ではありません。足立区マンション管理適正化指針への適合は必要ですが、渋谷区などのような防災・コミュニティ活動の独自要件は設けられていません。

Q. 区の窓口に直接申請できますか?

A. 新規申請はできません。必ず(公財)マンション管理センターの管理計画認定手続支援システムを経由し、事前確認適合証を取得したうえで区へ申請する流れになります。変更認定は郵送または窓口提出が可能です。

Q. 認定の有効期間はどれくらいですか?

A. 5年間です。期限が近づいたら更新申請が必要になりますので、理事会の引き継ぎ事項として記録しておくことをおすすめします。

Q. 認定を取ると具体的にどんな経済的メリットがありますか?

A. 一定の要件を満たす大規模修繕を行った場合の固定資産税減額(東京23区は建物部分が2分の1)、フラット35購入時の金利引下げ、共用部分リフォーム融資の金利引下げの3つが主な効果です。数値は制度改定により変わることがあるため、申請時点の最新情報をご確認ください。

Q. 長期修繕計画がどんな内容だと認定を受けにくいですか?

A. 計画期間が30年未満だったり、大規模修繕が2回分含まれていなかったり、修繕積立金の平均額が著しく低額だったりすると、審査を通りにくくなります。7年以内の見直しがされているかもあわせて確認してください。

Q. 事前確認にはどのくらい費用がかかりますか?

A. パターンによって異なりますが、システム利用料が1申請あたり10,000円(税込)、日本マンション管理士会連合会の診断サービスを使う場合は長期修繕計画1計画あたり10,000円(税込)の審査料が目安です。個別の管理士や管理業協会に依頼する場合は、委託先との間で費用が決まります。

Q. 申請から認定までどのくらいの期間を見ておけばよいですか?

A. 書類準備から事前確認適合証の取得までに数週間から1〜2か月程度を見込んでおくと安心です。総会での決議事項が多いため、総会シーズンの前から準備を始めることをおすすめします。

この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年9月24日

本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月24日時点で公表されている足立区、東京都、国土交通省の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・要件変更があり得ます。実際に申請される前に、必ず足立区住宅課および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。

出典・参考資料

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