用語集
インカ建築
インカ建築(インカけんちく、Inca Architecture)とは、南米アンデス山脈に位置するインカ帝国(13世紀〜16世紀、現在のペルー・ボリビア・エクアドル・チリ北部・アルゼンチン北西部を支配)で発達した独特の石造建築技術・建築様式を指す世界建築史・考古学用語である。インカ建築の最大の特徴は、第一に「巨石を精密に切断・加工して組み合わせる石組み技術」(モルタル等の接着剤を一切使わず、石と石の隙間が髪の毛も入らないほど精密、地震に強い)、第二に「台形のドアと窓」(地震に強い構造形式)、第三に「壁の内傾」(壁が垂直ではなく内側に傾斜、地震耐性向上)、第四に「巨大な石を運搬・加工する高度な技術」(クスコの大石は重さ100トン超もある)、第五に「丘陵地・山岳地への適応的配置」(山岳地形に合わせた段々の建築構成)、などである。代表的なインカ建築遺跡には、第一に「マチュ・ピチュ」(ペルー・クスコ州、空中都市、1983年世界文化遺産登録)、第二に「クスコ」(インカ帝国首都、12角の石・サクサイワマン要塞)、第三に「オリャンタイタンボ」(クスコ近郊の要塞・神殿群)、第四に「ピサック」(神聖な谷の段々畑と神殿群)、第五に「ティティカカ湖の島々」(神聖な太陽神殿)、第六に「インカ街道」(ペルー・チリを縦断する15,000km以上の道路網)、などがある。インカ建築の精密な石組み技術は、現代の工学技術でも完全には解明されておらず、考古学・建築工学・歴史学の重要研究テーマとして注目されている。地震に強い石組み技術は、現代の耐震建築設計にも示唆を与え、コンクリート造・鉄骨造の進化と並ぶ歴史的建築技術の達成として国際的に高く評価される。明誠の事業対象とは異なるが、世界の伝統建築技術の研究は、JCSA加盟の建設業者にとって視野拡大・技術革新の参考となる重要な題材である。

