用語集
ヴァルターグロピウス
ヴァルター・グロピウス(Walter Gropius)とは、20世紀のモダニズム建築運動の祖の一人で、バウハウス創設者として知られるドイツ出身の建築家を指す。本記事は前項「ヴァルター・グロピウス(1881年版)」と内容が重複するが、用語集における別ID項目として、グロピウスの建築思想と社会的影響の側面をより掘り下げて記載する。グロピウスは1883年にベルリンに生まれ、ベルリン工科大学とミュンヘン工科大学で建築を学んだ後、20世紀初頭の著名建築家ペーター・ベーレンス(Peter Behrens、AEG社の専属建築家)の事務所で実務修業を積んだ。ベーレンス事務所では同時期にミース・ファン・デル・ローエ、ル・コルビュジエ、アドルフ・マイヤーらが学んでおり、まさに20世紀建築運動の苗床となった環境であった。1910年に独立後、アドルフ・マイヤーと共同でファグス靴工場(1911〜1913)を設計し、ガラスカーテンウォール・鉄骨構造・最小限装飾という現代建築の特徴を先駆けて実現した。第一次世界大戦後の1919年、ザクセン=ヴァイマル=アイゼナハ大公国の招きでヴァイマルに「バウハウス(Staatliches Bauhaus)」を創設し、芸術・工芸・建築を統合する革新的な教育機関を運営した。バウハウスは1925年にデッサウへ移転し、グロピウス自身が設計したバウハウス・デッサウ校舎は、ガラスカーテンウォール・水平窓・幾何学的構成・機能主義の典型例として現代建築の聖典となった。1928年にバウハウス校長を辞任後、ベルリンに事務所を構え集合住宅・公共施設等の設計に携わったが、1933年のナチス政権成立後にイギリス、1937年にアメリカへ亡命。ハーバード大学デザイン大学院で教鞭を執り、TAC(The Architects Collaborative)を共同設立して大規模プロジェクトを多数手掛けた。グロピウスの主著『新しい建築の理論と組織』『国際建築』『総合芸術と新時代』は世界中の建築学生・実務家の必読書として継続的に読まれている。彼の機能主義的・合理主義的建築観は、戦後の世界中のモダニズム建築・モダンデザイン・建築教育に決定的影響を与え、現在もマンション・ビル・ホテル等の集合住宅・商業建築設計の基礎理念として継承されている。明誠およびJCSA加盟会社の建築技術者・設計者にとっても、バウハウスの精神は普遍的な学びの源である。

