用語集

卯建

読み方
うだつ

卯建(うだつ、Udatsu)とは、町家・町屋の屋根の両端に設けた小屋根付きの防火壁を指す日本の伝統建築用語で、近世の商業町(京都、岐阜美濃市、徳島脇町、福井三国町など)における富の象徴・地域景観の特徴を成す重要な伝統建築要素概念である。元来は、隣家との延焼防止のための防火壁として機能していたが、近世以降は装飾性が増し、商家の地位・財力を象徴する建築要素として発展した。「うだつが上がらない(出世しない、財を成せない)」という慣用句の語源として、現代日本語にも残る。本部材の主な構造は、第一に「壁面本体」(土壁、漆喰塗り、瓦葺き)、第二に「小屋根」(瓦葺の独立した小さな屋根、装飾的な軒先)、第三に「鬼瓦・装飾瓦」(家紋・縁起物の彫刻)、第四に「鏝絵・漆喰彫刻」(鏝細工の漆喰彫刻、商家の繁栄を表現)、第五に「妻入りデザイン」(屋根の妻側に独立配置)などである。地域別のバリエーションとして、第一に「卯建(うだつ)」(京都・近畿・東海の標準型)、第二に「袖卯建(そでうだつ)」(屋根面の上に独立して設けるタイプ)、第三に「本卯建(ほんうだつ)」(建物本体と一体化した大型タイプ)、第四に「下卯建(しもうだつ)」(建物の下方部分に設ける小型タイプ)など多様な意匠が地域・時代で発展した。代表的な卯建の街並みは、岐阜県美濃市の「うだつの上がる町並み」(国の重要伝統的建造物群保存地区)、徳島県美馬市の「脇町うだつの町並み」(同保存地区)、京都・滋賀の伝統町家、福井県三国町の「三国湊町」などがあり、文化観光の重要資源として位置付けられている。維持・保存は、第一に「文化庁・自治体の補助金制度」(重要伝統的建造物群保存地区での保存修復補助)、第二に「伝統技法の継承」(鏝細工、漆喰、瓦葺、土壁の伝統技術)、第三に「建築基準法の適用緩和」(伝統的構法の特例措置)、第4に「観光振興との連動」(街並み景観の保全による地域活性化)などが連携して実施される。マンション・ビル・ホテルの大規模修繕工事との直接的関連は小さいが、伝統建築の維持管理ノウハウは、現代建築の景観配慮・伝統融合提案にも応用可能。明誠フランチャイズの一部の伝統建築専門会社では、町家・歴史建築の保存修復にも対応可能で、JCSAでも歴史建築・観光振興関連のセミナーを開催している。

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