用語集

うなぎの寝床

読み方
うなぎのねどこ

うなぎの寝床(うなぎのねどこ、Eel-bed Layout、京町家形式)とは、間口が狭く奥行きが長い京町家・京都の伝統的町家の建築形式を指し、近世日本の都市計画・建築様式を象徴する伝統建築用語概念である。鰻(うなぎ)の細長い形状に例えて呼ばれる、独特の建築様式で、京都・近江・大阪・滋賀・奈良など近畿地方の伝統的町家に多く見られる。間口寸法は通常3〜6m程度、奥行きは20〜50m程度に及び、間口と奥行きの比率が1:5〜1:10程度の極端な形状を持つ。この形式の発祥には複数の説があるが、最も有力なのは「間口税対策」説で、江戸時代の京都・大阪などで、土地税・家屋税が「間口の長さ」で計算されたため、税負担を軽減するために建物の間口を狭く、奥行きを長くする工夫が広まったとされる。本形式の特徴は、第一に「土間(通り土間)」(建物の中央を奥行き方向に貫通する細長い土間、勝手場兼通路)、第二に「中庭・坪庭」(建物の中ほどに設けた小さな庭、採光・通風確保)、第三に「店の間・茶の間・座敷」(用途別に並ぶ部屋構成、奥に行くほどプライベート)、第四に「奥座敷」(最奥のフォーマルな客間)、第五に「土蔵」(最奥の倉庫、防火)、第六に「奥庭」(最奥の庭園)の順に配置される独特の空間構成を持つ。これらの空間配置は、第一に「採光・通風の工夫」(細長い建物の中央部に光・風を取り入れる工夫)、第二に「商売と生活の分離」(前面が店、奥が住居)、第三に「来客の格式に応じた応接空間」(手前から奥への階層的構成)、第四に「火災時の延焼防止」(土蔵による防火)などの機能を巧みに統合している。現代でも京都・近江八幡・倉敷・川越・金沢・松本・伊勢などの「伝統的建造物群保存地区」に多くの町家が現存し、観光資源・文化遺産・現代的リノベーション対象として活用されている。リノベーション事例として、京町家を改装したカフェ・レストラン・ホテル・ゲストハウス・ギャラリー・コワーキングスペースなど、多様な業態への転用が進んでいる。マンション・ビル・ホテルの大規模修繕工事との直接的関連は限定的だが、京町家の改装・再生プロジェクトに関わる建設会社にとって、本形式の建築計画・施工技術は重要な専門知識となる。明誠フランチャイズの一部の伝統建築・町家改装専門会社では、伝統的町家の保存・改装ノウハウを蓄積している。JCSAでも歴史建築・町家再生のセミナーを定期開催している。

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