用語集
裏込め
裏込め(うらごめ)とは、伝統的な石垣・石造擁壁・煉瓦造構造物などの背面(建物側・地盤側)に詰める砂利・割栗石・小石・粒度調整砕石などの石材類を指し、石垣の安定性確保・排水機能・土留め機能を統合的に担う、現代まで継承されている伝統建設技術概念である。日本の伝統的な石垣構造(穴太積み・打ち込みハギ・切り込みハギ・野面積みなど)では、表面に積まれた石材(築石・面石)だけでは構造的に不安定で、その背面に詰める裏込め石が石垣全体の安定性を確保する重要な役割を果たしている。具体的な機能として、第一に「石垣の自重と背面土圧への抵抗」(石材の摩擦力で土圧を分散)、第二に「排水機能」(雨水を背面から石垣下部の暗渠へ導き、土圧上昇・凍上・含水軟弱化を防止)、第三に「土砂流出防止」(細かい裏砂利層が背面土砂の流出を防ぐフィルター)、第四に「凍結融解への耐性」(排水機能による含水抑制)、第五に「地震時の挙動緩衝」などが挙げられる。城郭石垣・寺社境内擁壁・棚田畦畔石垣・河川護岸石垣など全国各地に存在する伝統的石造構造物は、いずれも裏込め石を備えており、その存在こそが400年以上の長期耐久性を支えている。近年、文化財石垣の修復工事(熊本城・大坂城・名古屋城・首里城など)では、伝統的な裏込め技法の継承と現代工学的解析の融合が課題となっており、石材の選定・粒度分布・配置方法・排水経路の設計などに専門技術が求められる。マンション・ビル・ホテルの大規模修繕工事においても、敷地内の伝統的石垣・擁壁・装飾石組みの維持管理・補修対応が地方都市・観光地・歴史的景観区域などで求められるケースがあり、明誠フランチャイズの石工事・擁壁工事専門会社が対応している。JCSAでも伝統工法・文化財修復関連のセミナーを開催し、伝統技術の継承と最新工学の融合に取り組んでいる。

