本間社長ブログ

2026.09.29

賃貸オーナー220人調査で半数が家賃を『上げたくても上げられない』|物価高の中で大規模修繕の資金をどう確保するか、先送りしない資金設計の考え方【2026年9月】

賃貸オーナー220人調査で半数が家賃を『上げたくても上げられない』|物価高の中で大規模修繕の資金をどう確保するか、先送りしない資金設計の考え方【2026年9月】
本間 幸紘

著作者プロフィール

株式会社明誠 代表取締役

本間 幸紘

大規模修繕・外壁工事・ロープアクセス工事に関する情報を、現場経験をもとに分かりやすくお届けします。

この記事で分かること

「物価も金利も上がっているのに、家賃だけは思うように上げられない。それなのに外壁や屋上防水の修繕時期はやってくる」——賃貸マンションやビルを持つオーナーさまから、私が最近もっとも多くいただくご相談がこれです。

この記事では、次の問いにお答えします。家賃を上げにくい状況で、大規模修繕の資金をどう確保し、修繕を先送りせずに資産価値を守るには何を考えればよいのか?

きっかけは、2026年9月26日に健美家が配信した調査記事でした。エイブル総合研究所が全国のエイブル管理オーナー220人に行ったアンケートで、家賃の値上げを望んでいるのに実現できていないオーナーが半数を超えたというものです(出典:株式会社エイブル&パートナーズ プレスリリース(PR TIMES))。

私は株式会社明誠の本間と申します。東京都東大和市を拠点に、マンション・ビル・ホテルの大規模修繕を20年近くやってきました。この調査を読んで、私は「家賃が上げられない」という話と「修繕費が上がっている」という話が、実は同じオーナーさまの財布の中で正面からぶつかっている、と感じました。今日は、その衝突をどう和らげるかを、公的な一次情報と現場の感覚の両方からお伝えします。

なお、これは特定の投資判断や税務処理を勧める記事ではありません。数字はあくまで一般的な目安と、この記事のために置いた仮の試算です。個別の判断は、税理士や管理会社、設計者などの専門家とご確認ください。


結論:家賃に頼らず、「修繕を計画に落とす」ことが最初の一手です

先に結論をお伝えします。物価高の局面で家賃の値上げが難しいオーナーさまが取れる現実的な打ち手は、次の3つに整理できると私は考えています。

  1. 修繕を「その時になって考える出費」ではなく、年単位の積立に置き換える(長期修繕計画の作成と、毎月の資金確保)
  2. 工事の中身と工法を比べ、必要な範囲を見極める(足場・ロープアクセス・ハイブリッドの比較見積り)
  3. 税務上の扱いを事前に整理し、資金繰りの見通しを立てる(修繕費と資本的支出の区分など)

この3つは、家賃を上げられるかどうかに左右されません。だからこそ、値上げが難しい今の局面で優先度が上がると考えています。

調査項目(エイブル総合研究所) 結果
調査対象・人数 全国のエイブル管理オーナー220人
調査時期・方法 2026年5月18日〜5月31日、Webアンケート
「本来は家賃を値上げしたいが、できていない」 48.2%
「値上げを検討したが断念した」 2.7%(上記と合わせて50.9%)
物価上昇を「強く感じる」「やや感じる」 合計97.4%
賃貸経営で最も重視すること:「安定した賃貸経営」 66.4%

(出典:株式会社エイブル&パートナーズ プレスリリース(PR TIMES)、健美家「賃貸オーナー220人が回答 家賃上昇の陰にある”値上げできない”現実」)


調査が映し出した「値上げしたいのに、できない」オーナーの本音

半数が「上げたいのに上げられない」という現実

エイブル総合研究所の調査では、「本来は家賃を値上げしたいが、できていない」が48.2%、「値上げを検討したが断念した」が2.7%で、合わせて50.9%のオーナーが、値上げの意向を持ちながら実現できていないという結果でした。

大きな要因として挙げられているのは、空室リスクと入居者との関係への配慮です。私はこの結果を、オーナーさまの「弱気」ではなく、長く安定して貸し続けたいという「誠実さ」の表れだと受け止めています。入居者さまとの関係を大切にするほど、値上げには慎重になるものです。

ただし、ここに注意点があります。今回の調査対象は、エイブルが管理を受託しているオーナーさまです。全国のオーナーさま全体の傾向を示すものではないため、この数字を「賃貸オーナーの半数」と一般化するのは避けるべきだと私は考えています。この点は、本記事のタイトルでも「調査では」という含みを残す形にしています。

物価上昇を感じているのは97.4%

物価上昇を「強く感じる」「やや感じる」と答えたオーナーは、合わせて97.4%にのぼります。ほとんどのオーナーさまが、物価高が経営に影響していると感じているということです。

賃貸経営で物価高の影響を受けるのは、修繕費や管理費、設備の交換費用など多岐にわたります。家賃収入は一定のまま、支出側だけが膨らむと、手元に残るお金は少しずつ細っていきます。

66.4%が「収益最大化」より「安定」を選んでいる

賃貸経営で最も重視することとして、「安定した賃貸経営」を挙げたオーナーが66.4%と最多でした。私はこの数字を見て、大規模修繕の考え方と相性が良いと感じました。

大規模修繕は、家賃収入を増やす手段というより、建物の価値と入居率を守り、安定した経営を続けるための土台づくりだからです。「稼ぐ」よりも「守る」に軸足を置くオーナーさまが多数派なのであれば、修繕を計画的に組み込む発想は、むしろ多くの方にとって自然な選択肢になるはずです。


家賃を上げにくい時期に、修繕費だけが重なってくる理由

主な修繕の周期は「12〜15年」前後が目安です

国土交通省住宅局が管理業者向けに作成した「計画修繕ガイドブック」では、修繕周期の目安として、次のような例が示されています。

修繕項目 修繕周期の目安(同ガイドブックの例)
屋根防水 12〜15年
外壁塗装 12〜15年
鉄部塗装 12〜15年
給排水管 14〜18年

(出典:国土交通省住宅局「賃貸住宅管理業者向け 計画修繕ガイドブック」)

外壁、屋上防水、鉄部という主要な項目の周期が、ほぼ同じ時期に重なっていることに注目してください。これが、大規模修繕の費用がまとまって発生する理由です。私の経験でも、築12〜15年前後のタイミングで、外壁・防水・鉄部の劣化が同時に目立ってくる建物が少なくありません。

なお、周期はあくまで目安です。立地や施工品質、日当たり、過去の補修履歴によって、前後することがあります。建物ごとの劣化診断で確認するのが基本です。

計画的に修繕している家主は多くない、というデータもあります

国土交通省が平成31年3月にまとめた資料「賃貸住宅の計画的な維持管理及び性能向上の推進について」には、計画的・定期的に修繕を実施している家主の割合が約2割にとどまるという趣旨の調査データが載っています。また、修繕を実施していない家主の理由としては、「資金的余裕がない」「必要性が理解できない」「実施方法がわからない」といった声が挙げられています(出典:国土交通省「賃貸住宅の計画的な維持管理及び性能向上の推進について」(平成31年3月))。

なお、この資料は平成31年(2019年)時点のもので、現在の数字とは異なる可能性があります。最新の状況を示すものではない点にご留意ください。

私が現場で感じるのも、同じ構図です。「資金がないから先送りする」「先送りするから傷みが進む」「傷みが進むから工事費が膨らむ」。この悪循環に入ってしまう前に、何ができるかを整理しておくことが大切です。

修繕を先送りしたときに起きやすいこと

修繕の先送りには、次のようなリスクがあります。

  • 入居率への影響:外壁の汚れやひび割れ、共用部の錆は、内見時の第一印象を左右します
  • 雨漏りや漏水:防水の劣化を放置すると、室内への浸水につながることがあります。室内の補修費と入居者対応が上乗せされます
  • 工事範囲の拡大:表面の塗装で済んだはずの劣化が、下地の補修や部材交換を伴う工事に広がることがあります
  • 資産価値の低下:売却や借り換えの局面で、建物の状態が評価に影響します

先ほどの国交省の資料には、計画修繕を行うケースと行わないケースを比較したシミュレーションも掲載されています。同資料によると、実質利回りは木造で2.78%(修繕なし2.13%)、RC造で2.53%(修繕なし1.90%)という試算が示されています。あくまで一定の前提条件のもとでの試算ですが、計画修繕が長期的な収益を下支えするという考え方の参考になります(出典:国土交通省「賃貸住宅の計画的な維持管理及び性能向上の推進について」(平成31年3月))。


修繕費を賄うための5つの考え方

家賃を上げにくい局面でも、修繕費を賄う考え方はいくつかあります。私が日々のご相談でお伝えしている順に整理します。

考え方1:長期修繕計画を、賃貸経営の予算表にする

国土交通省は、分譲マンション向けに「長期修繕計画作成ガイドライン」を令和6年6月に改定しています(出典:国土交通省「長期修繕計画標準様式、長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント」(令和6年6月改定))。これは分譲マンションの管理組合向けの資料ですが、賃貸オーナーさまにとっても、「いつ、何に、いくらかかるかを一覧にする」という考え方の参考になります。

ポイントは、次の3点です。

  1. 修繕項目を洗い出す(外壁、屋上防水、鉄部、給排水、共用設備など)
  2. 各項目の修繕周期と概算費用を置く(前掲の周期目安や、業者の概算を使います)
  3. 30年程度の期間で、年ごとの支出を見える化する

これを作っておくと、「今年は何もない年、5年後に大きな支出がある」という波が見えます。波が見えれば、毎月いくらを別口座に積み立てておけばよいかを逆算できます。

考え方2:修繕積立を「毎月の固定費」として扱う

大規模修繕の資金を、その時点の手元資金から捻出しようとすると、どうしても苦しくなります。逆に、毎月の家賃収入から一定額を「修繕積立」として切り分けておけば、工事の時期が来たときに慌てずに済みます。

私はオーナーさまに、家賃収入の一定割合を修繕用として別の口座に移すやり方をおすすめすることがあります。割合は建物の築年数や規模で変わるため、具体的な水準は、管理会社や税理士とご相談のうえで決めていただくのが確実です。

考え方3:融資・補助制度を「使えるか」確認する

修繕や省エネ改修には、金融機関の融資や国の支援事業が用意されている場合があります。国土交通省は、住宅・建築物の省エネ改修を支援する事業を年度ごとに実施しており、対象や要件は年度によって変わります(出典:国土交通省「住宅・建築物省エネ等改修推進事業」)。

ここで大切なのは、次の2点です。

  • 制度は、年度ごとに要件や締切が変わるため、最新の公式情報でご確認ください
  • 補助の対象は、工事の内容や建物の用途によって異なります。すべての大規模修繕が対象になるわけではありません

上の国交省のページは、令和7年度の事業の案内です。令和8年度以降の制度の有無や条件は、国交省や自治体の最新の案内でご確認ください。

考え方4:工事の範囲を「必要なもの」に絞って見直す

すべてを一度にやる必要はありません。劣化診断の結果をもとに、緊急度の高い項目(雨漏りに直結する防水、剥落の恐れがある外壁など)と、時期を分けられる項目(意匠性の高い塗装の更新など)を分けて考えることで、単年度の負担を平準化できる場合があります。

ただし、分けすぎると足場を何度も組むことになり、かえって割高になることもあります。ここが、判断の難しいところです。

考え方5:工法を比べて、総額と工期を見直す

外壁や防水の工事では、足場の仮設費用が総額の中で大きな割合を占めることがあります。建物の形状や立地によっては、足場を組まずにロープで作業するロープアクセス工法(無足場工法)が、工期やコストの面で選択肢に入ることがあります。ただし、すべての建物に向くわけではありません。この点は、次の章で詳しくお話しします。


数字で体感する:家賃の値上げと修繕費の関係(仮の試算)

ここでは、読者の皆さまの財布感覚に近づけるため、仮の数字で考えてみます。以下は、この記事のために私が置いた仮の条件です。実在の物件のデータではなく、実際の工事費や賃料とは異なります。

仮の条件:30戸の賃貸マンション。外壁・屋上防水などの大規模修繕に、合計3,000万円かかると仮定(1戸あたり100万円)。

月あたりの値上げ額(1戸) 年間の増収額(30戸・満室想定) 3,000万円を回収するのに必要な年数
1,000円 36万円 約83年
3,000円 108万円 約28年
5,000円 180万円 約17年

(計算式:値上げ額 × 30戸 × 12か月 ÷ 3,000万円。満室・値上げによる退去なしを前提とした単純計算で、税金や金利は考慮していません)

この表から分かるのは、家賃の小幅な値上げだけで大規模修繕の費用を回収しようとすると、非常に長い時間がかかる、ということです。実際には、値上げが空室リスクを高めることもあるため、単純な計算どおりにはいきません。

つまり、家賃の値上げは「毎月の収支を少し改善する」ための手段であり、「大規模修繕の資金源」としては力不足になりやすいのです。だからこそ、修繕費は別建てで、計画的に準備しておく必要があると私は考えています。

反対に、修繕を計画的に行うことで、退去の抑制や、次の入居募集時の条件維持につながる可能性があります。この効果は数字にしにくいのですが、賃貸経営の「守り」の部分として、決して小さくないというのが私の実感です。


税務の整理:「修繕費」と「資本的支出」の違いを押さえる

修繕工事の資金計画を立てるときは、税務上の扱いも合わせて考えておくと、手元資金の見通しが立てやすくなります。国税庁のタックスアンサーでは、支出が「修繕費」になるか「資本的支出」になるかの判定基準が示されています。

修繕費にできる場合(形式基準)

国税庁のタックスアンサー(No.5402)によると、次のような基準が示されています(出典:国税庁「No.5402 修繕費とならないものの判定」)。

基準 内容
20万円未満 一つの修理・改良が20万円未満の場合
3年周期 おおむね3年以内の周期で行われることが明らかな修理・改良の場合
60万円未満 支出額が60万円未満の場合
前期末取得価額の10% 支出額が、前事業年度終了時の固定資産の取得価額のおおむね10%相当額以下の場合

資本的支出になる場合

資本的支出とは、固定資産の使用可能期間を延長させたり、価値を増加させたりするものを指します。この場合、支出は一度に費用にせず、減価償却を通じて長い期間にわたって費用化していくことになります。

また、修繕費か資本的支出かが明らかでない場合の取扱いとして、継続して支出額の30%を修繕費とし、残額を資本的支出とする方法も認められています(ただし、先に挙げた形式基準が優先します)。

なお、これは法人税の取扱いを中心とした一般的な説明です。個人で不動産所得を申告されている方には、所得税の基本通達に基づく取扱いが適用されます。具体的な判定は、工事の内容や契約書の記載によって変わるため、工事の発注前に税理士へ確認されることをおすすめします。私は税務の専門家ではありませんので、ここでは考え方の紹介にとどめます。


足場・ロープアクセス・ハイブリッド:工法の比較で総額を見直す

現場で感じる「足場代」の存在感

私が現場で20年近く工事を見てきて実感するのは、外壁や防水の大規模修繕では、足場の仮設・解体にかかる費用と工期が、全体の中で大きな比重を占めることがあるということです。建物の高さや形状、隣地との距離が厳しい場合は、なおさらです。

私のもとには、「足場をかけずにできないか」「営業しながら工事できないか」というご相談が、賃貸オーナーさまやホテル、ビルのオーナーさまから寄せられます。物件によっては、足場を組むことで入居者さまの日常に影響が出たり、防犯面の配慮が必要になったりするからです。

3つの工法の特徴

工法 特徴 向いているケースの例
通常の足場仮設 広い面で作業でき、大がかりな補修や塗装に対応しやすい 面積が広い、高所作業が長期に及ぶ、工事範囲が全面に及ぶ場合
ロープアクセス(無足場工法) 足場を組まないため、工期が短くなる可能性があり、仮設の負担を抑えやすい 部分補修、点検、外壁の打診調査、漏水箇所の対応、狭小地や近隣が近い建物
ハイブリッド(足場+ロープアクセス) 両者を組み合わせ、必要な箇所に応じた作業方法を選ぶ 部位によって作業条件が異なる建物

ここで大切なのは、どの工法にも「向き・不向き」があるという点です。ロープアクセスが常に安いわけではありません。工事内容や建物の形状によっては、通常の足場のほうが適する場合もあります。

だからこそ、私たち明誠は、通常の足場仮設、ロープアクセス、ハイブリッドの3つから、建物にとってもっとも合う工法をご提案することを大切にしています。特定の工法に偏らずに提案できる会社は、日本でも多くありません。工法ごとの技術や安全基準については、姉妹サイトのロープアクセスドットコムにも詳しくまとめています。

比較見積りで見るべき3つのポイント

工法を比べるときに、私が見ていただきたいポイントは次の3つです。

  1. 総額:足場費用の有無だけでなく、養生や安全対策費を含めた総額で比べる
  2. 工期:工期の長さは、入居者さまへの影響と、その間の管理の手間に直結する
  3. 品質と保証:塗装や防水の仕様、施工後の保証内容と、アフター点検の有無

なお、価格の安さだけで選ぶことはおすすめしません。仕様を落として単価を下げた見積りと、仕様を揃えた見積りを比べると、判断を誤ることがあるからです。仕様を揃えた「相見積り」を取ることが、公平な比較の前提になります。

私は、見積書を見せていただくたびに、「この項目は何を指しているのか」を一緒に確認させていただくようにしています。分からない項目を分からないままにしないことが、結果的に無駄な出費を防ぐと考えているからです。


今週から始められる4つのステップ

読み終えたあと、何をすればよいか分からない、という状態は避けたいと考えています。今週から始められることを4つに絞りました。

  1. 建物の修繕履歴を1枚にまとめる:いつ、どこを、いくらで修繕したかを一覧にします。過去の見積書や請求書が手がかりになります
  2. 現在の劣化状況を、専門家に見てもらう:外壁の浮きやひび、防水層の状態、鉄部の錆を、目視や調査で確認します
  3. 今後10〜30年の修繕予定と概算費用を並べる:完璧でなくて構いません。おおまかな波が見えれば十分です
  4. 毎月の修繕積立額を、仮でも決める:家賃収入から別口座に移す金額を決めておくと、資金計画が動き出します

どれも、家賃を上げられるかどうかに関係なく、今すぐ始められることばかりです。理事会や家族会議、管理会社との打ち合わせで、まず1つだけでも話題に出してみてください。

株式会社明誠では、大規模修繕工事のご相談やロープアクセス工法のご紹介、賃貸マンション・ビルのオーナーさま向けのご案内、ホテルオーナーさま向けのご案内を用意しています。劣化診断だけのご相談でも構いません。お問合せフォームから、お気軽にお声がけください。


よくある質問(FAQ)

Q1. 家賃を上げにくい場合、大規模修繕の資金はどうやって確保すればよいですか?
A. 家賃の値上げに頼らず、長期修繕計画で支出の波を見える化し、毎月の修繕積立を固定費として別口座に確保する方法が現実的です。融資や補助制度が使えるかどうかも、あわせて確認してください。

Q2. エイブル総合研究所の調査は、賃貸オーナー全体の傾向と考えてよいですか?
A. 調査の対象は、エイブルの管理オーナー220人、調査期間は2026年5月18日〜5月31日です。全国の賃貸オーナー全体を代表する結果とは限りません(出典:株式会社エイブル&パートナーズ プレスリリース)。

Q3. 外壁塗装や屋上防水の修繕周期は、何年が目安ですか?
A. 国土交通省住宅局の計画修繕ガイドブックでは、屋根防水・外壁塗装・鉄部塗装の周期の例として12〜15年が示されています。ただし、建物の状態によって前後するため、劣化診断で確認するのが基本です(出典:国土交通省住宅局「計画修繕ガイドブック」)。

Q4. 修繕費と資本的支出は、どう違いますか?
A. 資本的支出は、固定資産の使用可能期間を延長させたり価値を増加させたりする支出です。20万円未満など一定の形式基準を満たす場合は修繕費として扱えるとされています。個別の判断は税理士にご確認ください(出典:国税庁 タックスアンサーNo.5402)。

Q5. ロープアクセス(無足場工法)は、大規模修繕に使えますか?
A. 建物の形状や工事内容によって向き・不向きがあります。部分補修や点検、狭小地の建物などで有力な選択肢になることがありますが、面積の広い全面改修では通常の足場が適する場合もあります。建物ごとの比較見積りをおすすめします。

Q6. 修繕を先送りすると、どのようなリスクがありますか?
A. 入居率への影響、雨漏りや漏水、工事範囲の拡大、資産価値の低下などが考えられます。国土交通省の資料には、計画修繕を行うケースと行わないケースの実質利回りを比較したシミュレーションがあります(出典:国土交通省「賃貸住宅の計画的な維持管理及び性能向上の推進について」)。

Q7. 何から相談すればよいか分かりません。
A. まずは、建物の築年数と、これまでの修繕履歴が分かる資料をご用意ください。劣化診断だけのご相談でも構いません。お問合せフォームからお声がけいただければ、状況の整理からお手伝いします。


この記事のポイントまとめ

  • エイブル総合研究所の調査では、220人中50.9%が値上げを望みつつ実現できていない
  • 物価上昇を感じるオーナーは97.4%、66.4%が「安定した賃貸経営」を重視
  • 屋根防水・外壁塗装・鉄部塗装の周期は12〜15年が目安で、費用が重なりやすい
  • 家賃の小幅な値上げだけでは、大規模修繕の費用回収に長い年数がかかる(仮の試算)
  • 長期修繕計画と毎月の積立、税務の整理、工法の比較で、先送りを避けやすくなる
  • 制度や税務は年度・個別事情で変わるため、最新の公式情報と専門家に確認を

出典・参考資料


▼ロープアクセス工法・無足場工法の詳細解説はこちら
ロープアクセスドットコム|無足場工法専門メディア


この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年9月29日

これは私が現場で、家賃と修繕費の間で悩むオーナーさまの声を聞くたびに感じることです。「上げられない家賃」と「上がる工事費」の間で身動きが取れなくなる前に、一度、建物の状態と資金の見通しを紙に書き出してみてください。次回も、現場で本当に使える話だけをお届けします。


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