用語集

エドゥアルドトロハ

読み方
えどぅあるどとろは

エドゥアルド・トロハ(Eduardo Torroja Miret, 1899-1961)とは、スペインを代表する構造技術者・建築家・教育者で、鉄筋コンクリート薄肉シェル構造(thin-shell concrete structure)の発展に多大な貢献をしたモダニズム期の巨匠である。代表作はマドリードのサルスエラ競馬場屋根(1935年、片持ち22.5mのキャンチレバー薄肉シェル)、フロンタン・レコレートス球技場屋根(1935年)、アルヘシラス市場ドーム(1933年)など、いずれも当時としては革新的な構造設計が施されている。1934年にスペイン国立建設科学技術研究所(IETcc、現エドゥアルド・トロハ研究所)を設立し、構造実験と研究の体系化に取り組んだ。著書『Razón y ser de los tipos estructurales(構造の論理と構造形態の理由)』は、構造形態学の古典として現在も世界中の建築・土木学科で教材として用いられている。日本の建築家にも大きな影響を与え、丹下健三、坪井善勝、川口衞らの構造意匠設計の理論的基盤の一つとなった。明誠が手掛けるマンション・ビル・ホテルの大規模修繕においては、トロハの設計したような薄肉シェル構造の建物は稀だが、戦後昭和期に建設されたPC造、HPシェル屋根、放物面ドームを持つ公共建築・体育館・教会建築の補修工事には、こうした古典的構造形態の理解が不可欠である。ロープアクセス工法は曲面屋根のような足場架設困難な構造物の点検・補修に最適で、トロハ作品の保全工事においても応用例がある。JCSAでは構造遺産の保全に関する研究会も開催されている。トロハの薄肉シェル構造設計は、コンピュータ解析がなかった時代に手計算と模型実験で実現されたもので、現代の構造解析技術(FEM、非線形解析)の前段階としての構造的洞察に満ちている。日本では1970〜80年代に建設されたコンクリートシェル構造物(東京カテドラル聖マリア大聖堂、国立屋内総合競技場、各地の体育館・教会など)の保全・改修工事において、トロハ流の構造思考が現代の技術者にも引き継がれている。明誠の大規模修繕事業では、こうしたコンクリートシェル構造の改修案件は希少だが、伝統的な構造形態を持つ公共建築・宗教建築のリニューアル工事への参画機会は存在する。ロープアクセス工法は、足場架設が困難な曲面屋根・ドーム屋根の補修・点検・塗装更新で大きな価値を発揮し、こうした文化遺産レベルの構造物保全に貢献できる。明誠は2026年から公共工事入札分野への参入を進めており、公共建築・文化財建築の保全工事への展開も視野に入る。フランチャイズ加盟業者の中には文化財修復の経験を持つ業者もあり、技術交流の機会となっている。JCSAでは構造遺産保全の研究会も開催され、加盟業者の高度技術領域への展開を支援している。明誠の経営戦略として、こうした文化的価値の高い案件への参画は社会的信用獲得の重要手段となる。明誠が目指す日本における大規模修繕業界の新しいスタンダード形成において、こうした個別技術領域の深掘りと幅広い対応力の両立が、フランチャイズ全国展開の中核戦略となる。JCSAを通じた業界横断的な情報共有が、こうした取り組みを下支えしている。

← 用語集一覧へ戻る

お気軽にご相談ください!