用語集
臼杵石仏
臼杵石仏(うすきせきぶつ)とは、大分県臼杵市の山中に造立された平安時代から鎌倉時代にかけての磨崖仏群(まがいぶつぐん)を指し、九州を代表する石仏遺産として日本国指定特別史跡・国宝に指定される、日本の石仏文化の最高峰を成す文化遺産概念である。所在地は大分県臼杵市深田、別府湾を望む丘陵地の凝灰岩の崖面に約60体以上の石仏が造立されている。年代は12世紀(平安時代末期)から13世紀(鎌倉時代初期)にかけてとされ、深田中尾観音、ホキ石仏第一群、ホキ石仏第二群、山王山石仏、古園石仏の5地区に分かれて展開している。最重要は「古園石仏」の中尊・大日如来坐像で、像高3.8m、岩を彫り抜いた半丸彫像として、日本の石仏の最高傑作の一つとされる。本仏群の特徴は、第一に「壮大な規模」(約60体以上の石仏が広範囲に造立、日本最大級の磨崖仏群)、第二に「彫刻技術の精緻さ」(半丸彫り、各種の彫法、表情の繊細さ)、第三に「複数地区への展開」(5地区にわたる広範な配置)、第四に「平安〜鎌倉時代の宗教文化の集大成」(密教、浄土教、神仏習合の総合的表現)、第五に「凝灰岩という風化しやすい素材」(保存修復の継続的課題)などである。1952年に国の史跡指定、1962年に特別史跡格上げ、1995年に日本初の石仏国宝指定(4体の石仏が国宝化、古園石仏中尊大日如来坐像、ホキ石仏第二群第一龕中尊大日如来坐像、ホキ石仏第一群第二龕中尊釈迦如来坐像、山王山石仏中尊釈迦如来坐像)。保存修復は、第一に「凝灰岩の風化・剥落防止」(薬剤含浸処理、断面補強)、第二に「ひび割れ・剥離の処置」(修復用樹脂、伝統的鉄ピン)、第三に「上部覆屋の整備」(雨水・温度変化からの保護)、第四に「監視・モニタリング」(変位センサー、定期点検)などが文化庁・大分県・臼杵市の連携で継続的に実施される。マンション・ビル・ホテルの大規模修繕工事との直接的関連は小さいが、文化財保存の長期的視点・素材の経年変化への対応・伝統技法の応用などは、現代建築の維持管理においても参考となる視点である。明誠ではロープアクセス工法の応用として、特殊用途の高所点検・補修施工にも対応可能。JCSAでも文化財保存・歴史建築維持管理のセミナーを開催している。

