用語集
裏桟
裏桟(うらざん)とは、建具(板戸・扉・引戸・襖・障子など)や板材(カウンター・棚板・座板など)の裏面に取り付ける細長い木材の桟を指し、建具・板材の反り・歪み防止・補強・強度向上を目的とした、現代まで継承される伝統的な木工技術概念である。木材は乾燥・湿潤・温度変化により膨張収縮し、特に幅広の板材は表裏の含水率差により反り(凹反り・凸反り)や捻れが生じやすい性質を持つ。裏桟はこの板材の動きを物理的に拘束し、平面性を保つ役割を果たす。技術的特徴として、第一に「板材繊維方向と直交する向きに取り付ける」(板材の幅方向の収縮を抑制)、第二に「複数本を等間隔配置」(部分的応力集中を避ける)、第三に「板材との接合方法」(クギ打ち・ビス止め・ダボ・蟻溝・吸付き桟など多様な接合技法)、第四に「材種選定」(軽量で強度の高い針葉樹・広葉樹を使い分け)などが挙げられる。伝統的な「吸付き桟」(蟻状の溝に桟を差し込む技法)は板材の幅方向の動きを許容しつつ反りを抑える絶妙な構造で、家具・建具・茶道具などの最高級品で採用される伝統技術である。現代建築においては、化粧合板・LVL・集成材・PB(パーティクルボード)・MDF・ハニカム芯材・フラッシュ構造などにより、無垢板の反りリスクが低減されているため、裏桟の必要性は相対的に低下している。しかし、伝統建築・社寺建築・茶室・数寄屋・本格和室・木造一戸建ての本格建具・高級家具の製作では今も継承されている重要な伝統技術である。マンション・ビル・ホテルの大規模修繕工事との直接関連は限定的だが、ホテルラウンジ・和風料亭・伝統建築の和室・障子・襖の維持管理では裏桟の知識が必要となり、明誠フランチャイズの建具工事・内装工事専門会社が対応している。JCSAでも伝統工法・木工技術関連のセミナーを開催している。

