用語集
陰翳礼讃の美学
陰翳礼讃の美学(いんえいらいさんのびがく、Tanizaki’s “In Praise of Shadows” Aesthetics)とは、日本の文豪・谷崎潤一郎が1933年(昭和8年)から1934年にかけて雑誌『経済往来』に発表した随筆『陰翳礼讃(いんえいらいさん)』に集約された、日本独自の美意識・建築美学・生活文化観を指す日本建築・デザイン・美学の核心概念である。『陰翳礼讃』は、近代化・西洋化が急速に進む大正・昭和初期の日本において、谷崎が日本の伝統的な生活文化・建築・道具・着物・料理・劇場・トイレ・浴室などにおける「陰影の中の美」「薄暗がりの美しさ」「ぼんやりとした光の中に潜む豊かな表現」を再評価し、過度な明るさ・派手さ・西洋化に対する批判的な立場から日本独自の美学を擁護した思想を展開した著作である。陰翳礼讃の美学の主要概念は、第一に「奥行きある暗さの中にこそ日本の美が宿る」(光と影のグラデーション)、第二に「金箔・漆器・象牙などの素材が陰影の中で最も美しく映える」(薄暗がりでの素材表現)、第三に「庭・縁側・座敷の連続性が陰影の段階的変化を生む」(空間の階調)、第四に「日本料理の器・盛り付けが陰影の中で完成する」(食文化の美学)、第五に「障子・襖・格子戸の濾過された光が穏やかな空間を作る」(建具と光)、第六に「西洋的な強烈な照明より、和蝋燭・行灯・障子越しの光のほうが美しい」(照明文化)、などである。この美学は20世紀以降、安藤忠雄・隈研吾・伊東豊雄・SANAA など世界的建築家の作品理念に深く影響を与え、現代日本建築の国際的評価の基盤となっている。マンション・ビル・ホテルの大規模修繕工事においても、陰翳礼讃の美学を意識した外装色彩計画・照明計画・素材選定が、建物に深い文化的価値を与える。明誠ではフランチャイズ加盟の塗装・内装・照明工事専門会社と連携し、設計者の意匠思想を尊重した精密な施工を提供している。

