本間社長ブログ
幸手市のマンション補助金|大規模修繕2026年度版
目次
- 早見表:幸手市のマンション共用部で使える制度・使えない制度
- 幸手市はこんな街です-団地型の旧世代から、2000年代の築浅まで
- マンション管理計画認定制度-幸手市の窓口は必ず事前に確認を
- マンション長寿命化促進税制(固定資産税の減額特例)の要件
- 住宅リフォーム補助金-共同住宅は「専有部分のみ」で、共用部は対象外
- 耐震診断・耐震改修の補助制度-分譲マンションは対象外
- 民間建築物アスベスト除去等補助制度-幸手市は対象地域に含まれます
- 埼玉県分譲マンションアドバイザー無料派遣-幸手市は対象外
- 幸手市は限定特定行政庁-RC造マンションの建築確認・12条点検は県の窓口
- 補助金が少ない街でこそ-工法選びで修繕費を下げる
- 補助が少ない街の管理組合が、積立金と合意形成で備えること
- 理事会が今から動くための逆算カレンダー
- よくある質問(FAQ)
- この記事のポイントまとめ
- 出典・参考資料

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著作者プロフィール
株式会社明誠 代表取締役
本間 幸紘
大規模修繕・外壁工事・ロープアクセス工事に関する情報を、現場経験をもとに分かりやすくお届けします。
2026年10月1日 更新
Q. 幸手市でマンションの大規模修繕に直接使える補助金はありますか? A. 本記事の執筆時点(令和8年10月)で、幸手市の公式サイトに、分譲マンション共用部の大規模修繕工事費そのものを補助する制度は確認できませんでした。市の住宅リフォーム補助金も、既存建築物の耐震補助も、分譲マンションの共用部は対象外です。一方で、国の「マンション長寿命化促進税制」や、埼玉県の「民間建築物アスベスト除去等補助」(幸手市は対象地域)は、管理組合が現実的に検討できる制度です。この記事では、幸手市・埼玉県・国の公式情報を一つずつ確認し、共用部に使えるものと使えないものをはっきり分けてお伝えします。
私は株式会社明誠の代表取締役として、東京・埼玉を中心にマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を20年近くやってきました。幸手市さんは、東武日光線の幸手駅を中心に、埼玉県の北東部に広がる街です。令和8年9月1日現在の人口は48,344人、世帯数は23,926世帯(幸手市公式サイト)。戸建て中心の住宅地の中に、分譲マンションが点在しているのが特徴です。築45年を超えた団地型の建物から、2000年代に竣工した比較的新しい建物まで、世代の違うマンションが同じ市内に並んでいます。今回は、そうした幸手市の事情を踏まえ、理事会の説明資料づくりにそのまま使えるように整理しました。
早見表:幸手市のマンション共用部で使える制度・使えない制度
まず結論を一覧にします。管理組合として「うちで使えるかどうか」を判断する最初のふるいとしてご利用ください。金額・期限は、公式ページに書かれていた内容のみを記載しています。
| 制度名 | 共用部の大規模修繕に使えるか | 補助額・条件の目安 | 実施主体 |
|---|---|---|---|
| マンション管理計画認定制度 | △ 直接の工事費補助ではないが、管理状態の可視化と税制・融資面の優遇につながり得る | 市部のマンションは市の窓口へ確認(県は町村部のみ担当)。手続支援システム利用料は1申請1万円 | 市(県は町村部) |
| マンション長寿命化促進税制(固定資産税の特例) | ○ 要件を満たす2回目以降の大規模修繕が対象 | 固定資産税額の2分の1を減額(1戸あたり100㎡分まで・翌年度分のみ) | 国土交通省・市町村 |
| 住宅リフォーム補助金 | × 共同住宅は専有部分のみ対象で、共用部は対象外 | 工事費(税抜き)の5%、上限10万円 | 幸手市 |
| 既存建築物耐震診断・耐震改修補助金 | × 対象は木造一戸建て・2階建て以下の住宅または併用住宅で、分譲マンションは対象外 | 診断は2分の1・上限5万円、改修は2分の1・上限20万円(ページ更新は2018年) | 幸手市 |
| 民間建築物アスベスト除去等補助 | ○ 吹付けアスベスト等が対象の場合、条件次第で対象になり得る | 除去工事は補助率3分の2、上限800万円(1,000㎡未満は上限400万円) | 埼玉県 |
| 埼玉県分譲マンションアドバイザー無料派遣(市部) | × 幸手市は対象19市に含まれない | 対象市では無料・2回まで | 埼玉県 |
この表のとおり、幸手市は「工事費を直接補助してくれる街」ではありません。ただ、だからこそ、使える制度を正しく拾い、使えない制度に時間を使わないことが、理事会の負担を減らします。
幸手市はこんな街です-団地型の旧世代から、2000年代の築浅まで
全国マンションデータベースに登録されている幸手市の分譲マンションは14件です。総戸数が確認できる11件の範囲では、最小16戸から最大161戸まで、竣工は1979年3月から2008年6月までとされています。最大規模でも200戸に届かない、小中規模中心の街です。
竣工年で大きく分けると、三つの世代が見えてきます。一つ目は1979年から1981年の竣工で、旧耐震基準(昭和56年5月31日以前の建築確認)の世代です。団地型の建物や、100戸超の建物が含まれます。二つ目は1989年から1992年の竣工で、登録件数のなかで最も厚いボリュームゾーンです。築30年台前半から後半にかけて、2回目、3回目の大規模修繕が視野に入ってくる時期です。三つ目は2006年から2008年の竣工で、築20年前後の比較的新しい建物です。最初の大規模修繕を終えたか、これから迎える段階でしょう。
この規模感が、大規模修繕の進め方に直結します。100戸を超えるマンションであれば、コンサルタントの設計監理方式で発注しても、戸あたりの負担が薄まります。一方、30戸前後の小規模マンションは、足場代の比重が重く、修繕積立金の残高にも余裕がない傾向があります。私が現場で見てきた実感として、小規模マンションほど「足場を組まない」という選択肢の効果が出やすい建物が多いと感じています。この点は後半の工法の章で触れます。
築年の幅も幸手市の特徴です。1990年前後の竣工の建物は、外壁タイルの浮き、鉄部の腐食、防水層の寿命など、複数の劣化が同時に進んでいることが多く、部分補修の積み重ねより、劣化診断に基づく計画的な修繕の方が結果的に安く済むケースが少なくありません。反対に築浅の建物は、いまのうちに長期修繕計画と積立金の水準を点検しておくことが、十数年後の一時金徴収を避ける最大の対策になります。
マンション管理計画認定制度-幸手市の窓口は必ず事前に確認を
管理計画認定制度は、令和4年4月に施行された改正「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」で創設された制度です。管理組合が作成した管理計画が、国の基準に適合していると、地方公共団体が認定します。
ここで正直にお伝えしなければならないことがあります。埼玉県の公式ページによると、県が認定を行うのは「町村部」のマンションだけで、市に立地するマンションは各市の担当窓口へ問い合わせるよう案内されています。幸手市は市ですので、認定の窓口は幸手市になります。ところが、幸手市の建築指導課のページや住宅・土地のページを確認した範囲では、管理計画認定制度の申請手順・手数料・認定実績を掲載した専用ページを私は確認できませんでした。制度そのものは全国共通ですが、幸手市での受付の有無や手数料は、建築指導課(電話0480-43-1111・内線572)へ直接お尋ねください。
手続きの流れと費用の目安
県の案内や公益財団法人マンション管理センターの資料で確認できる、一般的な流れは次のとおりです。
- マンション管理センターの「管理計画認定手続支援サービス」で、オンライン申請の準備をします
- マンション管理士などの事前確認者から、管理計画が基準に適合していることを示す「事前確認適合証」を受けます
- 適合証を添付して、自治体の窓口へ申請します
費用面では、手続支援システムの利用料が1申請あたり1万円(税込)です。事前確認の審査料は、パターンによって金額が異なります。自治体への申請手数料は自治体ごとに設定されるため、幸手市の分は窓口で確認が必要です。
認定基準の考え方
国土交通省の整理では、認定基準は大きく次の分野に分かれます。
- 管理組合の運営:総会が年1回以上開催されていること
- 管理規約:管理規約が作成されていること
- 管理組合の経理:管理費と修繕積立金が区分して経理されていること
- 長期修繕計画:計画期間が30年以上で、大規模修繕工事が2回以上含まれていること
- その他:居住者名簿の備え付けなど
認定を目指す過程で、長期修繕計画を見直し、積立金の不足を可視化することになります。私は、認定そのものよりも、この見直しの過程に価値があると考えています。
認定を受けると何が良いのか
国土交通省が挙げる主なメリットは、マンション長寿命化促進税制(固定資産税の減額)、住宅金融支援機構の融資金利の優遇、そして中古市場での「見える化」です。管理計画認定を受けたマンションは、不動産ポータルなどで管理状態の良さを客観的に示しやすくなります。築30年を超える建物ほど、売却時の評価に影響し得る点は見逃せません。
マンション長寿命化促進税制(固定資産税の減額特例)の要件
管理計画認定を受けたマンションが、要件を満たす大規模修繕を実施すると、翌年度の建物部分の固定資産税額が2分の1に減額される特例です。国土交通省の案内と、この制度を案内している他自治体の公式ページで確認できた要件は、次のとおりです。幸手市の固定資産税の担当課でも最新の取扱いをご確認ください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象マンション | 管理計画認定を受けたマンション |
| 居住用専有部分 | 床面積の2分の1以上 |
| 築年数 | 新築から20年以上経過 |
| 総戸数 | 10戸以上 |
| 過去の工事 | 外壁塗装等工事・床防水工事・屋根防水工事の全てを過去に1度以上実施 |
| 今回の工事 | 令和5年4月1日~令和9年3月31日に2回目以降の大規模修繕が完了 |
| 修繕積立金 | 令和3年9月1日以降に、国の基準以上へ引き上げ |
| 減額内容 | 固定資産税額の2分の1(1戸あたり100㎡分まで・土地と都市計画税は対象外) |
| 適用期間 | 工事完了年の翌年1月1日を賦課期日とする1年度分のみ |
| 申告期限 | 工事完了日から3か月以内 |
注意していただきたいのは、工事の完了期限が令和9年3月31日で、申告期限が「工事完了日から3か月以内」という点です。幸手市のマンションでは、1989年から1992年竣工の建物が2回目の大規模修繕の時期に入っていますから、対象になり得る管理組合は少なくないはずです。ただし、認定の取得、過去工事の証明書、積立金引上げの証明書と、準備に時間がかかる書類があります。工事が終わってから慌てて書類を集めると、間に合わないことがあります。今から逆算して動くことをお勧めします。
住宅リフォーム補助金-共同住宅は「専有部分のみ」で、共用部は対象外
幸手市には、市民の住宅改修を支援する「住宅リフォーム補助金」があります。幸手市公式サイトによると、令和8年度分は予算の範囲内で先着順の受付が続いており、ページの更新日は2026年9月18日です。内容は次のとおりです。
- 対象者:市内の対象住宅に居住する市民(市税などの滞納がないこと)
- 対象工事:修繕・模様替え(塗装、張り替えなど)、設備工事(キッチン、浴室など)、公共下水道等への接続工事、住宅部分の床面積の増加工事、調査・設計業務
- 補助額:工事費(税抜き)の5%相当額(千円未満切捨て)、上限10万円
- 共同住宅の扱い:「専有部分のみ」が補助対象
つまり、管理組合が発注する外壁塗装・防水・鉄部塗装といった共用部の大規模修繕には使えません。使えるのは、区分所有者の方が自分の住戸の中で行う浴室やキッチンの改修などに限られます。理事会で「市の補助が出るのでは」という声が出たときは、この点を最初に共有しておくと、無駄な期待や調べ直しを防げます。
耐震診断・耐震改修の補助制度-分譲マンションは対象外
幸手市には「既存建築物耐震診断及び耐震改修補助金制度」がありますが、対象は「木造一戸建ての建築物」および「住宅又は併用住宅(地上2階建て以下のもの)」で、分譲マンション・共同住宅は対象外と明記されています。対象要件は昭和56年5月31日以前に建築確認を取得した建築物で、補助額は耐震診断が費用の2分の1(上限5万円)、耐震改修工事が費用の2分の1(上限20万円)です。
なお、このページの最終更新は2018年2月26日とかなり古いため、現在の受付状況や金額は、建築指導課(電話0480-43-1111・内線572)に直接確認する必要があります。
旧耐震基準の分譲マンション(幸手市内では1979年から1981年竣工の建物が該当し得ます)の耐震診断・改修については、市の制度では支援を確認できませんでした。築45年を超える建物をお持ちの管理組合は、市の建築指導課へ、耐震関連の相談窓口があるかをお尋ねください。あわせて、大規模修繕の劣化診断の段階で、コンクリートの中性化や鉄筋の腐食状況を把握しておくことは、耐震性の議論を始めるうえでも役に立ちます。
民間建築物アスベスト除去等補助制度-幸手市は対象地域に含まれます
埼玉県の「民間建築物のアスベスト除去等に対する補助制度」は、吹付けアスベスト等が使われている民間建築物について、調査費と除去工事費を補助する制度です。埼玉県の公式ページ(最終更新2026年5月11日)によると、令和8年度の対象は、さいたま市・川越市・熊谷市・川口市・所沢市・春日部市・狭山市・上尾市・草加市・越谷市・新座市・久喜市を除く県内の地域で、幸手市は対象地域に含まれます。
- 除去工事:補助率3分の2、上限800万円(1,000㎡未満の建築物は上限400万円)
- 調査:実費(1検体8万円、1棟25万円を上限)
- 対象:吹付けアスベスト等が使われている民間建築物。1,000㎡未満の場合は、建築基準法に基づく定期調査・検査報告の対象であることなどの条件があり、共同住宅や寄宿舎は除かれる記載があります
- 申請:申込順の受付で、契約前に所定の申込書を県の担当課へ提出します
ここは重要なので、もう一歩踏み込んで書きます。県の制度は、除去工事の対象が「吹付けアスベスト等」である点と、規模によって対象となる建築物の条件が分かれる点に注意が必要です。共用部の外壁や天井に吹付け材が使われているか、あるいは機械室や駐車場の天井に吹付け材が残っていないかは、図面だけでは判断できません。まずは専門の調査者による事前調査が必要で、対象になるかどうかは県の窓口で確認することになります。なお、改修・解体工事では、請負金額100万円以上の工事について石綿の事前調査結果の報告が求められます。大規模修繕の現場でも、着工前に調査を済ませておくことが、工程と予算を守るうえで重要になっています。
埼玉県分譲マンションアドバイザー無料派遣-幸手市は対象外
埼玉県は、市部の管理組合に対し、マンション管理士などの専門家を無料で派遣する制度を設けています。県の公式ページ(掲載日2026年7月6日)によると、対象は熊谷市・飯能市・狭山市・鴻巣市・上尾市・戸田市・入間市・朝霞市・志木市・和光市・桶川市・久喜市・北本市・八潮市・富士見市・三郷市・坂戸市・鶴ヶ島市・吉川市の19市で、幸手市は含まれていません。派遣回数は2回が上限です。
ただし、この制度とは別に、県は「マンション管理相談・セミナー」の案内や、県住宅供給公社での相談窓口を設けています。専門家への相談は、管理計画認定の準備や、長期修繕計画の見直しの入口として有効です。
幸手市は限定特定行政庁-RC造マンションの建築確認・12条点検は県の窓口
「特定行政庁」とは、建築確認や定期報告(12条点検)などの権限を持つ自治体のことです。埼玉県の資料によると、幸手市は平成6年4月から限定特定行政庁で、越谷建築安全センターと連携する窓口の区分が示されています。限定特定行政庁は、主に比較的小規模な木造建築物などを扱い、それを超える規模や非木造の建築物は県の管轄となります。鉄筋コンクリート造の分譲マンションは非木造ですので、建築確認や12条点検に関する窓口は、まず県の越谷建築安全センターか、幸手市の建築指導課に確認するのが確実です。
12条点検(特定建築物定期調査)では、外壁の全面打診調査が求められる場合があります。この調査のタイミングと大規模修繕の足場を組み合わせると、足場を2回組まずに済み、費用を抑えられます。点検と修繕の時期を揃える発想は、幸手市のマンションでも有効です。
補助金が少ない街でこそ-工法選びで修繕費を下げる
ここまでお読みいただいた方には、「幸手市で使える直接の補助はほとんどない」ことがおわかりいただけたと思います。では、管理組合は何で修繕費を抑えればよいのか。私の答えは、工法選びと発注の仕方です。
大規模修繕の総工事費のうち、足場の仮設・解体にかかる費用は、建物の規模や形状にもよりますが、一定の割合を占めます。小規模マンションほど、その比率は高くなりがちです。当社は、通常の足場仮設による工事、足場を組まない無足場工法であるロープアクセスでの工事、足場とロープアクセスを組み合わせたハイブリッド工法の3つから、建物にとって最適な工法を提案できる、日本でも数少ない会社です。
たとえば、30戸から70戸ほどの中規模マンションで、外壁の劣化が一部に偏っている場合は、全面足場を組むより、ロープアクセスで必要な箇所だけを補修する方が、費用と工期を抑えられる場合があります。ロープアクセス工法の一般的な安全基準や事例は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムで解説しています。また、当社の工法の詳細はロープアクセス工法のご紹介、マンション管理組合の皆さまへのご案内は当社の施工のご案内をご覧ください。
もちろん、ロープアクセスがすべての建物に向くわけではありません。バルコニーの手すりや防水の全面改修、足場がないと品質管理が難しい工程が多い建物では、通常の足場工法が合理的です。私は、工法ありきで提案するのではなく、劣化診断の結果を見て、足場・ロープアクセス・ハイブリッドのどれが建物にとって最良かを、数字を並べて比較していただく姿勢を大切にしています。
見積書を比較するときの4つの視点
- 足場・仮設費の内訳が、他の工事費と区分して書かれているか
- 下地補修(タイル浮き、コンクリートひび割れ)の数量が、調査に基づく「概算数量」として明記され、増減精算の方法が示されているか
- 塗料・防水材の種類とメーカー、工程(下塗り・中塗り・上塗り)が具体的に記載されているか
- 工事後の保証内容と、定期点検の有無が書かれているか
見積書の総額が安くても、下地補修の数量が極端に少なく見積もられていると、着工後に追加費用が膨らみます。数量の根拠を、調査報告書と突き合わせて確認してください。
補助が少ない街の管理組合が、積立金と合意形成で備えること
補助金が期待できない以上、修繕の原資は修繕積立金が中心になります。幸手市のように30戸から70戸程度の中規模マンションが多い街では、積立金の残高が工事費に届かず、一時金の徴収や借入を検討せざるを得ない場面が出てきます。私がご相談を受けるなかでも、総会で一時金の議案が否決され、工事が数年止まってしまったという話は珍しくありません。
合意形成のコツは、「何を、いつ、いくらでやるか」を数字で示すことです。劣化診断の写真、優先順位をつけた工事項目、工法ごとの概算比較を並べ、区分所有者の方が自分で判断できる材料を用意してください。管理計画認定の準備で整理する長期修繕計画や積立金の水準は、そのまま総会資料の土台になります。住宅金融支援機構の共用部分リフォーム融資など、借入の選択肢も早めに調べておくと、議論の幅が広がります。
理事会が今から動くための逆算カレンダー
税制特例の完了期限(令和9年3月31日)を意識するなら、対象になり得る管理組合は、次のような逆算が現実的です。
- 今から1か月:理事会で、築年数・前回修繕の時期・積立金残高を整理し、管理計画認定の基準に照らして現状を確認する
- 2〜3か月後:劣化診断(建築士または施工会社による)を実施し、長期修繕計画を見直す
- 4〜6か月後:総会で、認定取得の方針、修繕積立金の見直し、修繕の進め方を決議する
- 6〜10か月後:施工会社の選定(相見積もり)、工事契約
- 工事完了後3か月以内:税制特例の申告書類を提出する
令和9年3月までの工事完了は、着工の時期によっては間に合わない管理組合もあります。間に合わないと分かった段階で、無理に急がず、特例の期限後の取扱いについて国や市の最新情報を確認する冷静さも必要です。
理事会で担当窓口に聞く質問リスト
- 幸手市での管理計画認定制度の受付の有無、申請手数料、認定実績
- マンション長寿命化促進税制の申告書の提出先と必要書類
- 耐震診断・改修の補助が、分譲マンション向けに新設・拡充される予定があるか
- 12条点検の窓口(市か、県の越谷建築安全センターか)
- 県のアスベスト除去補助について、共用部の吹付け材が対象になるかどうか
よくある質問(FAQ)
Q1. 幸手市には、マンション大規模修繕に使える補助金はありますか?
A. 本記事の執筆時点で、幸手市公式サイトに、分譲マンション共用部の大規模修繕工事費を補助する制度は確認できませんでした。国の固定資産税の特例や、県のアスベスト除去補助が検討の対象になります。
Q2. 幸手市の住宅リフォーム補助金は、マンションの外壁塗装に使えますか?
A. 使えません。共同住宅は専有部分のみが補助対象で、共用部の工事は対象外です。補助額は工事費(税抜き)の5%、上限10万円です。
Q3. 幸手市の耐震改修補助は、分譲マンションにも使えますか?
A. 使えません。対象は木造一戸建て、または2階建て以下の住宅・併用住宅で、分譲マンション・共同住宅は対象外と明記されています。
Q4. 管理計画認定を受けるメリットは?
A. 固定資産税の減額特例の前提になること、融資金利の優遇があること、中古市場での管理状態の「見える化」につながることです。認定の窓口や手数料は、幸手市の建築指導課へご確認ください。
Q5. 県のアドバイザー無料派遣は幸手市でも使えますか?
A. 市部の対象は19市で、幸手市は含まれていません。ただし、県の相談窓口やセミナーは利用できます。
この記事のポイントまとめ
- 幸手市に、マンション共用部の大規模修繕を直接補助する制度は確認できません
- 市のリフォーム補助は専有部分のみ、耐震補助は木造住宅のみが対象です
- 税制特例は、管理計画認定と2回目以降の修繕が前提で、完了期限は令和9年3月31日です
- 県のアスベスト除去補助は、幸手市も対象地域です
- 補助が少ない街だからこそ、工法選びと見積比較で修繕費を抑えることが大切です
出典・参考資料
- 幸手市「【受付継続中】住宅リフォームの資金を補助します」
- 幸手市「既存建築物耐震診断及び耐震改修補助金制度」
- 幸手市「住宅・土地」
- 幸手市「建築指導課」
- 幸手市「月別人口」
- 埼玉県「マンション管理計画認定制度について」
- 埼玉県「分譲マンション管理について」
- 埼玉県「民間建築物のアスベスト除去等に対する補助制度のご案内」
- 埼玉県「市部における埼玉県分譲マンションアドバイザーの無料派遣について」
- 埼玉県「幸手市(限定特定行政庁)窓口案内(PDF)」
- 国土交通省「マンション長寿命化促進税制(固定資産税の特例措置)」
- 国土交通省「マンション管理計画認定制度」
- 公益財団法人マンション管理センター「管理計画認定手続支援サービス」
- 全国マンションデータベース「幸手市|登録分譲マンション一覧」
本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月1日時点で公表されている幸手市、埼玉県、国土交通省の公式情報をもとに執筆しています。耐震補助のページなど、更新日が古い情報は現行内容を確認できていません。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請される前に、必ず幸手市および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。
▼ロープアクセス工法・無足場工法の詳細解説はこちら
ロープアクセスドットコム|無足場工法専門メディア
この記事の執筆者
本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。
最終更新:2026年10月1日
本間社長の著書のご案内
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正直に申し上げると、幸手市は「補助金が手厚い街」ではありません。ただ、使える制度と使えない制度を最初に仕分けておけば、理事会の時間を、本当に価値のある判断に使えます。団地型の旧世代から築浅まで並ぶこの街だからこそ、制度を待つだけでなく、工法選びと管理の見直しで自ら価値を作っていく発想が大切だと私は考えています。迷ったときはご相談だけでも遠慮なくお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。

