本間社長ブログ

2026.09.13

新宿区の管理組合が無料で使える相談・派遣9つ|「管理相談員派遣」は1回2時間、理事会にそのまま呼べます

新宿区の管理組合が無料で使える相談・派遣9つ|「管理相談員派遣」は1回2時間、理事会にそのまま呼べます
本間 幸紘

著作者プロフィール

株式会社明誠 代表取締役

本間 幸紘

大規模修繕・外壁工事・ロープアクセス工事に関する情報を、現場経験をもとに分かりやすくお届けします。

新宿区の管理組合が無料で使える相談・派遣9つ|「管理相談員派遣」は1回2時間、理事会にそのまま呼べます

2026年9月13日 更新

「相談って、区役所まで出向いて15分話すやつですよね」

新宿区の、築30年を超えたマンションの理事長さまから、こう言われたことがあります。大規模修繕の見積りを3社から取ったものの、どれが妥当なのか判断がつかない。誰かに聞きたいが、平日の昼間に区役所へ出向く時間がない。だから相談は諦めていた、という話でした。

私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。東京都東大和市を拠点に、20年近くマンションやビルの外壁と向き合ってきました。足場を組む工事も、ロープ1本でぶら下がる無足場の工事も、両方やってきた人間です。

そのときお伝えしたのは、「新宿区は、専門家のほうから理事会に来てくれる制度がありますよ」ということでした。

新宿区マンション管理相談員派遣。1回あたり2時間、1年度につき同一マンションで3回まで、費用は無料。しかも派遣先は「複数の区分所有者の方が集まる場」、つまり総会や理事会、修繕委員会の場そのものです。

理事長さまは「2時間も、理事会に来てくれるんですか」と言われました。そうなのです。区役所の窓口相談が1件15分から20分程度であることを思えば、2時間という枠がどれだけ大きいかが分かります。しかも理事全員がその場で同じ話を聞ける。

今日は、新宿区のマンション管理組合とビルオーナーが、お金をかけずに使える相談・派遣の制度を9つ、令和8年度(2026年4月1日から2027年3月31日まで)の一次情報で整理します。


結論:新宿区で無料で使える相談・派遣は9つある

先に一覧でお見せします。

# 制度・窓口 誰が対応するか 費用 申込先
1 新宿区マンション管理相談員派遣 区が委嘱した専門家 無料(1回2時間・年度3回まで) 住宅課居住支援係 03-5273-3567
2 マンション管理相談 区が委嘱した相談員 無料(第2・第4金曜/要予約) 住宅課居住支援係 03-5273-3567
3 分譲マンション無料なんでも相談 マンション管理士 無料(第1・第3水曜) 東京都マンション管理士会新宿支部
4 令和8年度 無料建築相談会 区職員+建築士 無料(年度内2回まで・1組30分) 建築指導課管理係 03-5273-3732
5 管理計画認定制度 相談ダイヤル マンション管理士 無料(月〜土) (一社)日本マンション管理士会連合会 03-5801-0858
6 東京都 マンションアドバイザー無料派遣 マンション管理士等 無料 (公財)東京都防災・建築まちづくりセンター
7 東京都 マンション管理士無料派遣 マンション管理士 無料(防災力向上・認知症対応) 東京都マンションポータルサイト
8 (公財)マンション管理センター 電話相談 相談員 無料 03-3222-1517/03-3222-1519
9 東京都 分譲マンション総合相談窓口 マンション管理士 無料 (公財)東京都防災・建築まちづくりセンター

これに加えて、長期修繕計画の作成費や管理計画認定の手数料に対する補助も新宿区にはあります。こちらは無料ではなく補助なので本稿の主題から外れますが、後半で触れます。

ここからが本題です。


1. マンション管理相談員派遣:新宿区の本命は「2時間×3回」という枠

新宿区の支援メニューのなかで、私が一番もったいないと感じているのがこの制度です。

費用と回数

新宿区の公式ページには、こう書かれています。

項目 内容
対象 区内にある分譲マンションの管理組合、賃貸マンションの所有者
派遣先 複数の区分所有者が集まる場など(総会、理事会、専門委員会など)
時間 1回あたり2時間
回数 1年度につき同一マンションで3回まで(区長が特に必要と認めたときは3回に限らない)
相談員 マンション管理士、一級建築士、建築設備士、弁護士などの資格を有する者、またはマンション問題に知見を有する者で区の委嘱を受けた専門家
費用 無料

(出典:新宿区「「新宿区マンション管理相談員派遣」」/最終更新日 2026年9月1日)

私がここで強調したいのは、相談員の顔ぶれが「マンション管理士」だけではないという点です。一級建築士、建築設備士が含まれている。つまり大規模修繕の話、劣化診断の話、設備更新の話を、それぞれ専門の人に聞ける設計になっています。

申請のときに相談内容を書きますから、そこで「外壁の劣化診断と修繕の進め方」と書けば、建築の分かる相談員が来る可能性が高くなります。逆に「滞納の督促方法」と書けば法律に強い相談員が来る。3回の枠を、論点ごとに割り当てるのが私のお勧めです。

賃貸マンションのオーナーも対象

見落とされがちですが、対象には「賃貸マンションの所有者」が入っています。分譲の管理組合限定ではありません。新宿区に収益物件をお持ちの個人オーナー・法人オーナーさまも使える制度です。

ただし派遣先が「複数の区分所有者が集まる場など」とされている点は、賃貸の場合どう扱われるかを事前に住宅課へご確認ください。

管理組合がまだ無い場合でも申請できる

ここは実務上とても大きいところです。

分譲マンションの場合は、管理組合の理事会の決定を経て理事長名で申請します。ただし管理組合設立前などで管理組合がない場合は、区分所有者の概ね5分の1以上、かつ議決権の概ね5分の1以上の区分所有者の連名で申請できるとされています。

「管理組合が機能していないから相談もできない」という詰まり方をしなくていい。私が現場で見てきたなかで、一番動けなくなっているのはこのパターンでした。5分の1という数字は、決して届かない数字ではありません。

手続きの流れ

順番 やること
1 派遣希望日の2週間前までに申請(紙の申請書または電子申請)
2 区が審査し「派遣決定通知書」または「派遣不承認通知書」が届く
3 派遣終了後、相談員が持参する「派遣業務報告書」に申請者が署名

申請書は令和8年9月1日に一部改正されています。古い様式を使い回さないよう、区のページから最新版をダウンロードしてください。電子申請のフォームも令和7年3月28日に変更されています。

そして希望日の2週間前までという締切。これが効きます。「次の理事会に呼びたい」と思いついてからでは間に合いません。理事会の年間スケジュールを決める段階で、派遣の申請日も一緒に決めてしまう。それが現実的な進め方です。


2. マンション管理相談:毎月2回、80分枠が2つ

派遣ほど大がかりでなく、理事長さま個人が持ち込む相談にはこちらです。

項目 内容
対象 区内の分譲マンションの管理組合役員・区分所有者、賃貸マンションの所有者
相談員 マンション管理士、一級建築士、弁護士等の資格を持つ者、またはマンション問題に知見を有する者で区の委嘱を受けた者
日程 原則として毎月第2・第4金曜日(祝日を除く)
時間 [1] 13時00分〜14時20分/[2] 14時30分〜15時50分
場所 新宿区役所 第一分庁舎2階 区民相談室(歌舞伎町一丁目5番1号)
相談料 無料
予約 住宅課居住支援係 03-5273-3567(相談日の2日前まで/電子申請も可)
人数 相談者は2名以内

(出典:新宿区「マンション管理相談」/最終更新日 2026年4月1日)

令和8年度の相談日は、4月10日・24日、5月8日・22日、6月12日・26日、7月10日・24日、8月14日・28日、9月11日・25日、10月9日・23日、11月13日・27日、12月11日・25日、令和9年1月8日・22日、2月12日・26日、3月12日・26日です。

注目していただきたいのは1枠80分という設計です。よくある「1件15分」の窓口相談とは性格が違います。図面や見積書を広げて話す時間が取れます。

ただし相談者は2名以内。理事長さまと修繕委員長さま、といった組み合わせが現実的です。そして賃貸マンションの所有者の場合は「建物の維持管理に関する相談のみ」とされています。


3. 分譲マンション無料なんでも相談:予約なしで、月2回

区の事業ではなく、東京都マンション管理士会新宿支部が主催している相談会です。区のページからも案内されています。

項目 内容
開催日 毎月第1・第3水曜日
時間 午後1時〜4時
場所 新宿区役所 本庁舎1階ロビー
対応 マンション管理士
費用 無料

(出典:東京都マンション管理士会新宿支部「分譲マンション無料なんでも相談」)

本庁舎1階のロビーで開かれます。区役所に別の用事で来たついでに立ち寄れる形です。「いきなり理事長になってしまった」「管理規約が実態に合っていない」「大規模修繕の進め方が分からない」といった、まだ整理できていない段階の相談に向いています。

私が思うに、この相談会の使いどころは「何を相談すべきかを相談する」ところです。ここで論点を整理してから、1の派遣や2の管理相談に持ち込むと、限られた枠が生きます。


4. 令和8年度 無料建築相談会:建物そのものの話はここ

管理組合の運営ではなく、建物の話に寄った相談はこちらです。一般社団法人東京都建築士事務所協会新宿支部との協働で実施されています。

項目 内容
相談内容 建替え、リフォーム、バリアフリー、耐震診断など(紛争等に関するもの、工事業者のあっせんは除く)
相談員 新宿区都市計画部職員/東京都建築士事務所協会新宿支部所属の建築士
費用 無料
時間 1組30分まで
回数 年度内2回まで
対象 新宿区内の建築物・土地についての相談
予約 開催日の3日前までの予約制(予約フォーム)
問合せ 建築指導課管理係 03-5273-3732

(出典:新宿区「令和8年度 無料建築相談会」)

令和8年度の開催日は、原則として毎月の水曜日に本庁舎3階302会議室で、13時30分・14時15分・15時00分の3枠です。10月15日(木)と2月18日(木)だけは本庁舎1階ロビーでの開催で、朝9時30分からの枠も含めて7枠に増え、当日受付も可能(予約優先)になります。

年度内2回までという上限があるので、使うタイミングを選んでください。私のお勧めは、劣化診断の見積りを取る前と、工事の見積書が出そろった後です。

なお「工事業者のあっせんは除く」とされています。ここで施工会社を紹介してもらうことはできません。図面や仕様の読み方、耐震診断の必要性といった、判断の土台を作る場です。


5. 管理計画認定制度の相談ダイヤル:制度そのものの疑問はここ

マンション管理計画認定制度や、マンション長寿命化促進税制について聞ける無料の電話相談です。

項目 内容
電話番号 03-5801-0858
受付時間 月曜から土曜 午前10時〜午後5時(祝日、年末年始を除く)
相談内容 マンション管理計画認定制度をはじめマンション管理適正化法全般
対応者 原則として相談者の地元の都道府県マンション管理士会の相談員

(出典:新宿区「新宿区マンション管理計画認定制度」/最終更新日 2026年6月1日)

土曜日も受け付けているのがこの窓口の強みです。平日昼間に電話できない理事長さまでも使えます。

新宿区は令和6年2月に新宿区マンション管理適正化推進計画を策定し、同月から管理計画認定制度の運用を開始しています。区への申請手数料は当面の間無料。ただしシステム利用料と事前確認審査料は別途かかります(この費用には補助があります。後述します)。

認定を取ると、住宅金融支援機構の金利優遇(マンションすまい・る債の債券利率上乗せ、【フラット35】や共用部分リフォーム融資の金利引下げ)の対象になります。長寿命化工事を実施して一定の要件を満たせば、固定資産税の減税措置の対象となる場合もあります。

大規模修繕を控えた管理組合にとって、認定は「借入条件が良くなるかもしれない札」です。工事の資金計画を立てる前に、この電話1本で確認しておく価値はあります。


6・7. 東京都の2つの無料派遣:区の枠を使い切っても、まだある

新宿区の枠とは別に、東京都の制度が2つあります。

マンションアドバイザー無料派遣

(公財)東京都防災・建築まちづくりセンターが実施しています。東京都の管理状況届出制度に届け出た管理組合が対象の枠と、管理不全の兆候がある場合の枠があり、回数の扱いが異なります。区の派遣と併用できるかを含め、事前に確認してください。

マンション管理士無料派遣(防災力向上・認知症対応)

東京都のマンション社会的機能向上支援事業(分譲)として、防災力向上と認知症対応の2つのテーマでマンション管理士を無料派遣するものです。募集件数の上限があり、達した時点で締め切られます。

(出典:(公財)東京都防災・建築まちづくりセンター「マンションアドバイザー無料派遣」、東京都マンションポータルサイト「分譲マンション向けマンション管理士無料派遣」)

防災は、大規模修繕と相性のいいテーマです。工事のタイミングでしか手を入れられない部位(屋上、避難ハッチ周り、外部階段の手すり)があります。防災の派遣で洗い出した課題を、修繕の仕様に織り込む。この順番で進めると、工事1回あたりの密度が上がります。


8・9. 国と都の常設窓口:区の外にもタダの窓口はある

(公財)マンション管理センター

国土交通大臣の指定を受けたマンション管理適正化推進センターです。

相談内容 電話
管理組合運営、管理規約等 03-3222-1517
建物・設備の維持管理 03-3222-1519

受付は月曜から金曜(祝日・年末年始を除く)の9時30分から17時。1件あたり15分前後でのアドバイスを心がけている、とされています(出典:(公財)マンション管理センター「相談窓口について」)。

公平・中立の立場でのアドバイスが原則で、特定の企業の紹介はしない、個別事案の適法性の判断はしない、回答は口頭のみ、という前提です。「うちの見積書は高いか安いか」を判定してもらう窓口ではありません。

東京都の分譲マンション総合相談窓口

(公財)東京都防災・建築まちづくりセンターが、分譲マンションの管理・建替え・改修に関する相談に専門のマンション管理士が総合的に応じる窓口を置いています。

なお、管理会社との契約トラブルや訪問販売型のリフォーム勧誘など、消費者トラブルの色が濃い話は消費生活相談の領域です。新宿区の消費生活相談の電話番号と受付時間は、変更されることがあるため、新宿区ホームページの相談窓口のページでご確認ください。法テラス(日本司法支援センター)も選択肢になります。


無料ではないが、知っておきたい3つの補助

無料の枠の外に置きましたが、新宿区には大規模修繕の準備段階に直結する補助があります。

長期修繕計画作成費等補助事業

項目 内容
対象 区内のマンション管理組合が当該年度に行う長期修繕計画の作成・見直しの委託経費
補助額 対象経費(消費税等を除く)の2分の1、上限20万円
主な要件 区分所有者5人以上/延べ面積の過半が住宅用途/建築後5年以上/作成・見直し後の計画期間が30年以上/総会等で決議済み
完了実績報告 令和9年3月31日まで

補助事業の着手(委託経費の支払いを含む)は交付決定後である必要があります。すでに契約したもの、すでに作成・見直しを実施したものは申請できません。ここで失敗する管理組合が本当に多い。「先に業者と契約してしまった」が一番よくある取りこぼしです。

順番は、総会で決議 → 区へ申請 → 交付決定 → 契約・着手、です。

管理計画認定手続支援サービス手数料補助事業

システム利用料(1万円)と事前確認審査料の補助で、合計5万円が限度です。事前確認審査料は依頼先によって上限が4通りに分かれており、事前確認講習を修了したマンション管理士に依頼する場合と、管理会社等を経由してマンション管理適正評価制度と併せて申請する場合が上限4万円。マンション管理士会連合会経由の管理適正化診断サービスと併せる場合とセンターのサービス利用の場合が1万円です。

要件として「管理計画の認定を受けたマンションである」ことが必要です。認定を取ってから申請する流れになります。

管理計画認定取得促進補助事業

認定を取得した区内分譲マンションの管理組合が新たに宅配ボックスを設置する費用の20%、上限20万円です。申請時点で宅配ボックスが設置されていないことが条件。総会等での決議も必要です。

(出典:新宿区「新宿区マンション管理計画認定制度」/最終更新日 2026年6月1日)


新宿区で令和8年10月1日に施行される2つの条例

相談窓口の話からは少し外れますが、新宿区の管理組合・オーナーさまに関わる制度変更なので触れておきます。

新宿区は、令和7年3月に策定した「新宿区マンション等まちづくり方針」に基づき、「新宿区大規模マンション及び開発事業に係る市街地環境の整備に関する条例」を制定し、「新宿区ワンルームマンション等の建築及び管理に関する条例」を改正しました。いずれも令和8年10月1日施行です。

大規模マンション条例は、100戸以上の共同住宅などと、都市開発諸制度等を活用した新築などの開発事業が対象で、計画の届出と事前協議が義務付けられます。

ワンルームマンション条例の改正は、既存のオーナーさまにも関わります。対象が「地階を除く階数3以上・ワンルーム形式10戸以上」から「地階を含む階数3以上」に広がり、「ワンルーム形式の住戸が総住戸の3分の1以上のもの」も加わりました(階数3の場合は総住戸10戸以上に限る)。基準の見直しでは、建築に関する基準に「再配達の削減のための設置」が追加され、管理に関する基準では管理人による管理方法が見直され、「廃棄物及び資源の適切な管理」「管理人用郵便受けの設置等」が追加されています。

(出典:新宿区「【令和8年4月配信】大規模マンション条例ほか1条例を公布しました!」/最終更新日 2026年4月1日)

新宿区にワンルーム主体の賃貸物件をお持ちのオーナーさまは、施行後の基準が自分の物件にどう当たるかを、1の派遣や4の建築相談で確認されるといいと思います。


何を用意していけばいいか:3点セット+1

相談窓口へ手ぶらで行くと、一般論しか返ってきません。私がいつも理事長さまにお伝えしているのは、次の3点を持っていくことです。

# 書類 なぜ必要か
1 総会議事録(直近2〜3年分) 何が決議済みで何が未決議かが分かる。相談員は「総会で何が決まっているか」を最初に確認する
2 長期修繕計画書 次の大規模修繕の時期と想定費用の前提が分かる。積立金不足の議論はここが出発点
3 管理規約(+使用細則) 工事の決議要件、専有と共用の区分、理事会の権限が書かれている

+1:修繕積立金の残高と滞納額

3点セットに加えて、修繕積立金の現在残高と滞納額を数字で言えるようにしておいてください。この2つの数字があるかないかで、相談の解像度がまるで変わります。

「積立金は足りていますか」と聞かれて「たぶん足りないと思います」と答える理事長さまを、私は何度も見てきました。残高が分からないと、工法の選択肢も絞れません。

写真があればもっといい

外壁のひび割れ、タイルの浮き、鉄部のさび、屋上の防水層の膨れ。スマートフォンで撮った写真で構いません。建築相談で建築士と話すとき、写真1枚が説明の10分を短縮します。撮影日が分かるようにしておくと、劣化の進行を後から追えます。


新宿区の物件で、私が工法の話を急がない理由

ここで工法の話に少し触れます。

新宿区は、西新宿の超高層から、四谷・神楽坂の敷地に余裕のない中層まで、建物の性格が大きく分かれる区です。隣地との距離が取れない物件、前面道路が狭く資材の搬入に制約がある物件、繁華街に面していて足場の養生が近隣営業に影響する物件。いずれも新宿区では珍しくありません。

こういう建物で足場を組む前提だけで予算を組むと、見積金額が想定を大きく超えることがあります。仮設足場の費用は工事全体の2割から3割を占めることも珍しくありません。そこで選択肢として出てくるのが、ロープアクセス工法(無足場工法)です。産業用ロープで作業員が壁面に取り付き、足場を組まずに塗装や補修を行う方法です。

私は「ロープアクセスがいつでも安い」とは申し上げません。全面的にタイルを貼り替えるような工事では、足場のほうが適している場面もあります。私が提案しているのは、部位ごとに足場と無足場を使い分けるハイブリッド工法という選び方です。この考え方は明誠の考え方にまとめています。

無足場工法の技術的な中身や、適した建物の条件は、ロープアクセス工法の専門サイト(rope-access-method.com)に整理してあります。作業手順や安全管理の考え方も同じサイトにまとめました。相談員を理事会に呼ぶ前にこちらへ目を通しておかれると、2時間の中身が濃くなると思います。

ただ、この判断は劣化の実態が分かってからの話です。だから私は、区や都の無料派遣で劣化診断と工法の考え方を先に聞いていただくことをお勧めしています。工法を決めてから診断する順番では、選択肢が残りません。

管理組合向け・オーナー向けのサービスの全体像は大規模修繕のサービスご案内にまとめてあります。


まとめ:今週動くこと3点

長くなりました。新宿区の管理組合とオーナーさまが、今週できることを3つに絞ります。

① 住宅課居住支援係(03-5273-3567)に電話して、令和8年度の派遣残数を確認する

マンション管理相談員派遣は1年度につき3回まで。令和8年度の枠は令和9年3月31日で切り替わり、残りはリセットされます。前の理事会が令和8年度に何回使ったかを確認しないと、残り枠が分かりません。まずここからです。

② 3点セットをそろえる

総会議事録(直近2〜3年分)、長期修繕計画書、管理規約。この3つをファイル1冊にまとめておく。理事が交代しても引き継げます。修繕積立金の残高と滞納額をメモに書き添えておくと、相談の質が変わります。

③ 理事会の年間予定と、派遣の申請日を一緒に決める

派遣は希望日の2週間前までに申請が必要です。申請書は令和8年9月1日に一部改正されているので、最新版を区のページから取ってください。年度内に3回使い切るなら、9月・12月・2月あたりに割り当てるのが現実的です。

長期修繕計画作成費等補助を使う予定があるなら、契約前に区へ申請して交付決定を受ける。この順番だけは外さないでください。完了実績報告の締切は令和9年3月31日です。


無料の相談窓口は、使わなければゼロですが、使えば専門家の時間そのものです。新宿区の管理相談員派遣は1回2時間が年度3回、管理相談は毎月2回の80分枠、なんでも相談は毎月2回、建築相談会は年度2回。これを組み合わせている管理組合と、1回も使っていない管理組合の差は、5年後の修繕積立金残高に出ます。

大規模修繕の工法や見積の読み方について、総会の前段階の整理だけでもお力になれることがあります。お問合せフォームからご相談だけでも遠慮なくお声がけください。どの制度をどの順番で使うかの整理からご一緒できます。


出典・参考資料


本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月13日時点で公表されている新宿区および国土交通省・東京都の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請される前に、必ず新宿区および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。


株式会社明誠|東京都東大和市
大規模修繕・足場工法・ロープアクセス工法(無足場工法)・ハイブリッド工法
ロープアクセス工法の専門情報:https://rope-access-method.com/

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