つくば市の賃貸マンション補助金2026|市の補助は「自己居住限定」の壁、使えるのは耐震改修減税と工法選び
つくば市で賃貸マンション・賃貸アパート・収益ビルをお持ちのオーナーさまへ。この記事は、令和8年度(2026年度)につくば市で賃貸オーナーさまが実際に使える制度と、使えない制度の境界線を、誇張せず正直に整理したものです。
結論から申し上げます。つくば市の住宅系の補助金は、私が確認できた範囲ではほぼすべてが「市内に住み、その住宅を自ら所有している個人」向けです。木造住宅の耐震改修補助も、安心住宅リフォーム支援補助金も、蓄電池・エコキュートの補助金も、賃貸に出している物件のオーナーさまは対象になりません。しかも耐震改修補助とブロック塀撤去補助は、令和8年度の募集がすでに終了しています。一方で、オーナーさまの手元に残る現実的な選択肢もあります。旧耐震の共同住宅を耐震改修した場合の固定資産税の減額は、市の案内で共同住宅も対象とされています。そして、つくば市は建築確認から12条点検(定期報告)まで市長が特定行政庁として窓口を一本で持つため、手続きの見通しは立てやすい市です。私がこれまで関東一円の賃貸マンション・ビルの大規模修繕に携わってきた現場感覚も交えながら、補助金に頼りすぎず、NOI(実質賃料収入)と出口価格を守るための考え方を順に整理します。
つくば市で賃貸オーナーが押さえるべき制度【令和8年度・一覧】
まず全体像を表で押さえます。詳細は後述の各見出しで解説します。
| 制度名 | 対象 | 賃貸オーナーの使いやすさ | 令和8年度の状況 |
|---|---|---|---|
| 木造住宅耐震改修費補助制度 | 昭和56年5月31日以前建築の2階建て以下・戸建て木造 | ×(共同住宅は対象外・居住要件あり) | 令和8年5/13〜8/31、先着2件、募集終了 |
| 危険ブロック塀等撤去費補助制度 | 通学路・避難路に危険を及ぼす塀の所有者 | △(所有者要件のみ。ただし枠が極小) | 令和8年5/13〜8/31、先着7件、募集終了 |
| つくば市安心住宅リフォーム支援補助金 | 市内の自己所有・自己居住の住宅 | ×(賃貸住宅は対象外) | 第1期5/8〜7/31、第2期8/3〜11/30 |
| 蓄電池・エコキュート補助金 | 市内在住の個人(機器の所有者かつ使用者) | ×(事業者・賃貸オーナーは対象外) | 令和8年10/7〜令和9年3/1、補正予算成立が前提 |
| 住宅耐震改修に伴う固定資産税の減額 | 旧耐震の住宅(共同住宅・併用住宅を含む) | ○(共同住宅も対象と案内) | 令和13年3月31日までの完了工事が対象 |
| マンション長寿命化促進税制 | 築20年以上・10戸以上の分譲マンション | 要確認(市の案内ページが見当たらない) | 国の措置は令和9年3月31日完了工事まで |
| 建築基準法12条点検(定期報告) | 福祉用途を含む一定規模の共同住宅など | 該当すれば報告義務 | 3年ごと、7/1〜12/28 |
つくば市は「特定行政庁(つくば市長)」— 窓口が一本で済む
これまで当ブログで取り上げてきた埼玉県の入間市・飯能市・八潮市・三郷市・吉川市は、市が扱える範囲が小規模建築物までの「限定特定行政庁」でした。RC造の賃貸マンションのような大規模建築物は、県の建築安全センターへ回る構造です。
つくば市はこれと立場が違います。市の建築基準法に基づく許可のページには「特定行政庁(つくば市長)が建築計画や周辺状況等を勘案して」という記載があり、市長が特定行政庁であることが確認できます(出典:建築基準法に基づく許可|つくば市)。建築確認・中間検査・完了検査は都市計画部建築指導課の審査係が担い、定期報告や耐震化の促進も同じ課の指導係が所管しています(出典:建築指導課|つくば市)。
なお、水戸市の回では「中核市」という立場を強調しましたが、つくば市については、私が公式ページで確認できたのは「市長が特定行政庁である」という点までです。市の区分については断定せず、実務上の意味=相談窓口が市役所内の建築指導課で完結するという点だけをお伝えします。賃貸マンションのオーナーさまにとって、耐震・定期報告・改修計画の相談先が一本化されている点は、県境をまたいで管轄が分かれる自治体よりも手続きの見通しが立てやすいと私は感じています。
木造住宅耐震改修費補助は「戸建て・自己居住」限定 — 令和8年度は先着2件で終了
つくば市には木造住宅の耐震改修費を補助する制度があります。補助率は工事費の5分の4、上限115万円と手厚い内容です。ただし、市の案内ページ(2026年5月1日更新)を確認すると、対象は次のとおり限定されています(出典:木造住宅耐震改修費補助制度|つくば市)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象住宅 | 昭和56年5月31日以前に建築された2階建て以下の戸建て木造住宅(延べ面積30㎡以上) |
| 共同住宅 | 対象外と明記 |
| 対象者 | 住民台帳に記録され、耐震改修後も居住する意思がある所有者。市税の滞納がないこと |
| 補助率・上限 | 工事費の5分の4、上限115万円 |
| 令和8年度の受付 | 令和8年5月13日〜8月31日、先着2件。募集は終了 |
RC造・SRC造の賃貸マンションや、賃貸に出している木造アパートのオーナーさまは、この制度を直接使うことはできません。さらに対象者の要件に「耐震改修後も居住する意思がある」ことが含まれるため、居住していないオーナーさまは要件面でも外れます。私がこれまで取り上げてきた埼玉県・茨城県の各市でも、木造住宅の耐震補助はほぼ例外なく戸建て限定で、この構図は全国的に共通しています。
危険ブロック塀等撤去費補助 — 制度はあるが、令和8年度は先着7件で終了
賃貸ビル・賃貸マンションの外構にブロック塀をお持ちのオーナーさまには、危険ブロック塀等の撤去費補助制度が関係します(出典:危険ブロック塀等撤去費補助制度|つくば市)。
- 対象者:危険ブロック塀等の所有者(申請日現在で市税の滞納がないこと)。個人限定・法人可という書き分けは、私が確認した範囲では明記が見当たらず、法人名義の物件は事前確認が必要です。
- 対象塀:倒壊の危険があり、通学路や避難路を通行する人に危険を及ぼすおそれがある、市内の組積造または補強コンクリートブロック造の塀で、道路面からの高さが80センチメートルを超えるもの。
- 補助率・上限:3分の2、上限10万円(撤去部分1メートルあたり最大1万4,000円が算定の目安)。
- 令和8年度の受付:令和8年5月13日〜8月31日、先着7件(または予算内)。募集は終了。
水戸市が補助率3分の2・上限20万円で個人・法人とも対象と明記していたことと比べると、つくば市は上限額が半分で、枠も先着7件と小さい制度です。危険なブロック塀の安全対策は、補助金の有無にかかわらず所有者の責任として先送りできない課題です。「来年度の募集を待つ」のではなく、まず現況の点検を行い、必要なら自己資金で対応する前提で計画を立てておくのが現実的だと私は考えます。
「自己居住限定」の壁 — 安心住宅リフォーム補助と蓄電池補助も賃貸オーナーは対象外
補助金ポータルでよく目にする「つくば市の住宅リフォーム補助」も、賃貸オーナーさまにとっては注意が必要です。
つくば市安心住宅リフォーム支援補助金は、補助対象経費の10%(上限10万円)を補助する制度ですが、対象者は「市内に対象の住宅を所有し、そこに居住している者」で、賃貸住宅は対象外です。令和8年度は第1期が5月8日〜7月31日、第2期が8月3日〜11月30日と案内されています(出典:令和8年度 つくば市安心住宅リフォーム支援補助金のご案内(PDF))。
令和8年度の蓄電池・自然冷媒ヒートポンプ式給湯機(エコキュート)補助金は、1台あたり5万円、263台分の予算という内容です。対象は市内在住の個人で、機器の所有者かつ使用者であることが条件のため、事業者・賃貸オーナーは対象外です。受付は令和8年10月7日〜令和9年3月1日で、市のページでは「令和8年9月補正予算の成立を前提としてお知らせしている」と明記されています。また、機器を申請前に設置すると補助対象外になる点も重要です(出典:令和8年度蓄電池・自然冷媒ヒートポンプ式給湯機補助金|つくば市)。
つくば市の補助金一覧ページを確認すると、賃貸共同住宅の所有者が対象になる制度として掲載されているのは、令和5年度の宅配ボックス設置事業補助金(補助対象経費の2分の1、上限5万円/棟)のみでした。この制度は令和5年度事業として掲載されているものなので、現行の令和8年度に同じ制度が継続しているかどうかは、必ず市の環境部門へ直接確認してください(出典:住宅・省エネ機器・宅配ボックスに関する補助金等のご案内|つくば市)。
固定資産税の減額 — 使えるのは「耐震改修」ルート、長寿命化税制の案内は見当たらない
補助金が薄いつくば市で、賃貸オーナーさまが現実的に検討できるのが固定資産税の減額措置です。
住宅耐震改修に伴う固定資産税の減額は、市の案内で「共同住宅、併用住宅(居住部分の割合が2分の1以上)であること」が要件として示されており、共同住宅も対象に含まれます。内容は次のとおりです(出典:住宅耐震改修工事をした既存住宅への固定資産税の減額措置|つくば市)。
- 減額割合:120平方メートル相当分について2分の1
- 減額期間:工事完了の翌年度から1年間(耐震診断で倒壊の危険がある建築物などとして一定の要件に該当する場合は2年間)
- 申告期限:耐震改修工事の完了後3か月以内
- 対象工事:令和13年3月31日までに完了した工事
このページの最終更新は2024年4月1日で、令和8年度の更新ではありません。制度自体が令和13年3月31日までの期間で案内されているため引用しましたが、申告の直前には必ず資産税課に最新の要件をご確認ください。
一方、マンション長寿命化促進税制(大規模修繕工事を行った分譲マンションの固定資産税減額)については、つくば市の資産税課のページ群で、制度案内そのものを見つけることができませんでした。確認できたのは新築住宅・長期優良住宅・耐震改修に関する減額のページで、「固定資産税のあらまし」のページ(2023年3月更新)にも減額措置の案内はありません。国土交通省の案内では、築20年以上・10戸以上などの要件を満たす分譲マンションが、令和9年3月31日までに完了する大規模修繕工事を行った場合に、翌年度の固定資産税が減額される仕組みですが、減額割合は市町村が条例で定めるとされています(出典:マンション長寿命化促進税制(固定資産税の特例措置)|国土交通省)。三郷市・吉川市と同じく、つくば市についても「割合がいくらか」を私の側で断定することはできません。工事完了前に、資産税課へ「対象となるかどうか、割合はいくらか、申告様式はどれか」を必ず確認してください。この制度は分譲マンションの区分所有者が個別に申告するもので、1棟を丸ごと所有する賃貸マンションオーナーさまが直接使えるとは限らない点にも注意が必要です。
マンション管理計画認定制度 — つくば市の案内ページは見当たらず、県ページ経由の確認が必要
分譲マンションの管理状態を認定するマンション管理計画認定制度について、茨城県のページ(2026年4月1日更新)では、県が運用するのは県内の町村区域のマンションで、市区域のマンションについては各市に問い合わせるよう案内されています(出典:マンション管理計画認定制度|茨城県)。県の手数料は新規・更新が1棟あたり4,000円と案内されています(追加棟は2,000円)が、これはあくまで県の窓口の話です。
つくば市について、私が公式サイト内で管理計画認定制度の専用ページを見つけることはできませんでした。住宅政策課のページには、老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等に関する法律(令和7年法律第47号)を所管する旨の記載がある一方で、認定制度の申請窓口や手数料の記載は確認できていません(出典:住宅政策課|つくば市)。したがって、「つくば市で今すぐ認定申請できる」とは断定できません。分譲マンションの管理組合が認定を検討する場合は、住宅政策課(029-883-1111)へ、認定の主体が市なのか県なのか、手数料はいくらかを直接確認するのが第一歩です。
認定を取得している物件は、住宅金融支援機構のフラット35での金利優遇など融資条件が有利になる実利があり、売却時のデューデリジェンスでも管理状態の客観的な裏付けになります。オーナーさまにとっては出口戦略の材料になる一方、区分所有ではなく1棟所有の賃貸マンションには、認定制度そのものが当てはまらない点は押さえておいてください。
建築基準法12条点検(定期報告)— 一般の賃貸マンションより「福祉用途」が要注意
12条点検については、つくば市の定期報告のページ(2025年7月1日更新)に、共同住宅の対象範囲が示されています(出典:定期報告(建築基準法関連)|つくば市)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 報告対象の共同住宅 | 地階または3階以上の階にあるもの、2階が300㎡以上のもののうち、高齢者・障害者の就寝施設(サービス付き高齢者向け住宅、グループホームなど) |
| 報告周期 | 3年ごと |
| 報告期間 | 対象年度の7月1日〜12月28日 |
| 提出先 | つくば市都市計画部建築指導課(研究学園一丁目1番地1、電話029-883-1111) |
ここで大切なのは、一般の賃貸マンションがそのまま対象になるとは書かれていないという点です。市のページが示しているのは、サ高住やグループホームのような、高齢者・障害者の就寝施設に使われる共同住宅です。したがって、一般の賃貸マンションのオーナーさまは、まず「自分の建物が定期報告の対象に当たるのか」を建物の規模・用途・階数から建築指導課に確認することが第一歩です。手数料については、ページに記載がなかったため、ここでは触れません。
一方、医療法人や介護事業者が運営する施設、サ高住を併設した賃貸物件をお持ちのオーナーさまは、定期報告の対象になり得ます。報告を怠れば、法令違反であるだけでなく、外壁や設備の劣化を見逃すことにもなりかねません。私の現場感覚では、報告のための調査を「単なる義務」ではなく、大規模修繕の時期と範囲を決めるための無料に近い診断材料として使い切るオーナーさまほど、修繕費の総額を抑えられています。
つくば市の賃貸マンション市場と入居率の実感
つくば市はつくばエクスプレスで都心と結ばれ、研究学園都市として大学・研究機関が集積するエリアです。学生・研究者・企業の研究職・単身赴任層など、賃貸需要の顔ぶれが一般的な郊外都市とは少し異なります。私が見る限り、こうした需要層は「築年数」よりも「共用部の管理状態」や「外観の清潔感」を内見時の判断材料にしやすい傾向があります。
築年数なりの劣化は、賃料の下落圧力として静かに効いてきます。外壁のタイルの浮きや欠損、シーリングの割れ、屋上防水の劣化、エントランスの色あせは、写真映えと内見の第一印象を直撃します。入居率1%の改善が、年間どれだけのキャッシュフロー差になるかを試算してみてください。たとえば20戸・平均賃料6万円の物件なら、1戸分の空室は年間72万円の賃料収入に相当します。入居率が5%(1戸)動くだけで、大規模修繕の費用の一部を数年で取り戻せる規模の差になり得ます。なお、これは私の試算の一例であり、実際の賃料水準や空室期間は物件ごとに異なります。
補助金が薄いからこそ、工事費そのものの最適化が効く
つくば市の補助金の現状を整理すると、賃貸オーナーさまが現金補助でキャッシュアウトを圧縮できる余地は限られていることがわかります。そうなると、費用の圧縮は「工事の中身と工法の選び方」で行うのが現実的です。
大規模修繕の総工費の中で、仮設足場の費用は一般に15〜25%程度を占めると言われます。たとえば10階建て・外周80m・工期3か月の物件を例にすると、足場工法で168万円かかる仮設工事が、ロープアクセス工法なら59万円程度(差額で約109万円の圧縮)に収まる試算を、私たちは提案の場でお示ししています。これはあくまで目安であり、建物の形状・立地・工事範囲によって大きく変動します。30戸規模のマンションの大規模修繕で総工費が3,500〜5,000万円というレンジを一つの目安に、複数の工法で見積もりを並べて比較することをお勧めします。
私たち株式会社明誠は、これまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセス工法での高所作業については、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業で、過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。また、IRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の技能訓練を受けた作業員、ISO9001品質マネジメントシステム、日本ロープ高所作業協会の事務局といった裏付けのもとで施工しています。安全管理の考え方は明誠の安全管理のページで、料金の考え方は大規模修繕の料金の考え方のページで詳しくご紹介しています。
損金算入とキャッシュフロー:オーナーが押さえるべき税務の基本
補助金や税制優遇の話をする際、私が必ずお伝えしているのが税務上の注意点です。大規模修繕工事の費用は、内容によって「修繕費」として一括で損金算入できるものと、「資本的支出」として減価償却が必要なものに分かれます。修繕費か資本的支出かで、その年の税負担が大きく変わります。また、補助金や給付を受けた場合、それは受給した年度の雑収入として課税対象になる点にも注意が必要です。固定資産税の減額は、納税額そのものが減るためキャッシュアウトを直接減らしますが、補助金は「もらって終わり」ではありません。確定申告の場面まで見据えた資金計画が必要です。税務処理の具体的な判断は税理士にご確認いただくべき領域ですが、修繕計画の段階からこの視点を持っておくことで、後から慌てずに済みます。
出口戦略への影響:耐震改修と管理状態の見える化が物件価値に効く理由
出口を見据えた修繕投資は、利回り改善より物件価値そのものを底上げします。旧耐震の共同住宅で耐震改修を行い、固定資産税の減額も受けた物件は、売却時に「耐震性の課題に手を打っている物件」として買い手に説明しやすくなります。分譲の区分所有に限れば、管理計画認定を取得している物件は、管理状態の客観的な裏付けとして評価されやすい傾向があります。
つくば市の場合、補助金が期待しにくい分、修繕の履歴と調査データをきちんと残すことが、売却時の交渉力に直結します。外壁調査の報告書、打診調査の結果、防水の保証書、12条点検の報告控えを一冊にまとめておくだけでも、買い手側のデューデリジェンスで「管理が行き届いている物件」という印象を作れます。
医療法人・介護事業者オーナーさまへ:BCP・防災の視点も
つくば市内でクリニック・サービス付き高齢者向け住宅・グループホームなどを運営されている医療法人・介護事業者のオーナーさまには、前述の12条点検の対象になり得る点が特に重要です。こうした施設は入居者・利用者の生命に直結するため、外壁の劣化やブロック塀の倒壊リスクを放置することは、介護報酬・医療報酬の算定要件以前に、事業継続計画(BCP)上のリスクそのものです。
大規模修繕を計画する際は、施設の稼働を止めずに工事を進められるかどうかが事業者にとって死活問題になります。足場を組まないロープアクセス工法であれば、施設の出入口や駐車場を塞がずに外壁調査・部分補修を進められるケースが多く、稼働を止められないという制約に対応しやすい工法だと私は考えています。ロープアクセス工法の詳しい技術情報は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムにまとめています。
足場・ロープアクセス・ハイブリッド工法の選び方
私たち株式会社明誠は、通常の足場仮設工事・無足場工法であるロープアクセス・両者を組み合わせたハイブリッド工法の3つから、建物にとって最適な工法をご提案できる、日本でも数少ない会社です。工法ごとの安全基準や比較の詳細は、ロープアクセスドットコムでも解説しています。足場が必要な部位と、ロープアクセスで足りる部位を切り分ければ、仮設コストの圧縮と工期短縮の両方が期待できます。入居者さま・テナントさまの生活動線を塞ぎにくいことも大きなメリットです。
また、私たちはロープアクセス工法として日本で初めてとなるフランチャイズ展開も行っており、塗装・防水・タイル・電気・看板工事など各分野の専門職が加盟することで、高品質かつ低価格な工事を実現しています。つくば市を含む茨城県内の物件でも、3工法の使い分けとフランチャイズネットワークによるコスト最適化をご提案できます。これまでの明誠の施工事例もあわせてご覧ください。オーナーさま向けのご案内はこちらの収益物件オーナー向けページにもまとめています。
よくある質問(FAQ)
Q1. つくば市の木造住宅耐震改修補助金は、賃貸アパートにも使えますか?
A. 使えません。対象は「昭和56年5月31日以前に建築された2階建て以下の戸建て木造住宅」で、共同住宅は対象外と明記されています。さらに、耐震改修後も居住する意思がある所有者が対象です。令和8年度の募集も終了しています。(出典:つくば市)
Q2. ブロック塀の撤去補助金は、法人名義の賃貸ビルでも申請できますか?
A. 対象者は「危険ブロック塀等の所有者」で、個人限定・法人可の書き分けは私が確認した範囲では明記が見当たりません。法人名義の場合は建築指導課へ事前確認をお願いします。なお、令和8年度は先着7件の枠が終了しています。
Q3. つくば市のマンション長寿命化促進税制の減額割合は何分の1ですか?
A. 私が確認した範囲では、つくば市の公式ページに制度案内が見当たらず、割合を断定できません。国の措置は令和9年3月31日までに完了する工事が対象で、減額割合は市町村が条例で定めるとされています。工事完了前に資産税課へ確認してください。
Q4. 旧耐震の賃貸マンションを耐震改修すると、固定資産税は下がりますか?
A. つくば市の案内では、共同住宅も対象に含まれ、120㎡相当分について2分の1を減額(原則1年間)とされています。工事完了後3か月以内の申告が必要です。ページの更新日が2024年4月1日のため、申告前に最新の要件を確認してください。
Q5. つくば市で12条点検の報告が必要なのはどんな建物ですか?
A. 市のページでは、共同住宅のうち、地階または3階以上の階にあるもの、2階が300㎡以上のもので、高齢者・障害者の就寝施設(サ高住、グループホームなど)が対象と示されています。周期は3年ごとです。一般の賃貸マンションが該当するかは建築指導課へ確認してください。
Q6. 蓄電池補助金は、賃貸マンションの共用部に設置しても使えますか?
A. 使えません。つくば市の令和8年度制度は、市内在住の個人で機器の所有者かつ使用者である場合に限られ、事業者・賃貸オーナーは対象外です。
Q7. 大規模修繕の費用は、修繕費と資本的支出のどちらで処理すればいいですか?
A. 工事内容によって判断が分かれ、税負担に大きく影響します。具体的な区分は税理士にご確認ください。修繕計画の段階からこの視点を持っておくことをお勧めします。
この記事のポイントまとめ
- つくば市は市長が特定行政庁で、建築確認から定期報告まで建築指導課が窓口
- 木造耐震改修補助・安心住宅リフォーム補助・蓄電池補助はいずれも自己居住の個人向けで、賃貸オーナーは対象外
- 耐震改修補助(先着2件)とブロック塀撤去補助(先着7件)は令和8年度の募集が終了
- 旧耐震の共同住宅は、耐震改修後の固定資産税減額(120㎡相当分の2分の1)が使える可能性がある
- マンション長寿命化促進税制と管理計画認定は、つくば市の公式案内が見当たらず、窓口確認が必須
- 補助金が薄いからこそ、足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3工法比較で工事費を最適化する
つくば市の賃貸オーナーさまへ
私から最後に一言申し上げます。つくば市でお持ちの物件について、補助金が使えるかどうかを調べるより先に、旧耐震かどうか、外壁や防水の劣化がどこまで進んでいるかを把握することが、投資判断の出発点です。まだ具体的な検討を始めていないオーナーさまは、ぜひ一度お問い合わせください。1棟の現地調査と、足場工法・ロープアクセス工法・ハイブリッド工法の3案を並べたコスト比較シミュレーション、利回り改善のキャッシュフロー試算だけでも、ご相談を承ります。固定資産税減額の申告期限は工事完了後3か月と短く、早めに動き出すほど選べる選択肢は広がります。数字の話も、次の一歩も、一緒に整理させてください。
▼ロープアクセス工法・無足場工法の詳細解説はこちら
ロープアクセスドットコム|無足場工法専門メディア
本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月29日時点で公表されているつくば市および国土交通省・茨城県の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請・申告される前に、必ずつくば市および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。
この記事の執筆者
本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。
最終更新:2026年9月29日
本間社長の著書のご案内
『大規模修繕工事 職人だから言える本当の話 —— 見積書では見えない業界の裏側と、修繕積立金を守る発注術』(Kindle版)を出版しています。20年以上の現場経験から、管理組合・オーナーが修繕積立金を守るための発注術と、業界の内幕を書き下ろしました。
出典(つくば市・茨城県・国土交通省 公式ウェブサイト)
- 木造住宅耐震改修費補助制度 – つくば市
- 危険ブロック塀等撤去費補助制度 – つくば市
- 定期報告(建築基準法関連)- つくば市
- 建築基準法に基づく許可 – つくば市
- 建築指導課 – つくば市
- 住宅政策課 – つくば市
- 住宅耐震改修工事をした既存住宅への固定資産税の減額措置 – つくば市
- 令和8年度 つくば市安心住宅リフォーム支援補助金のご案内(PDF)
- 令和8年度蓄電池・自然冷媒ヒートポンプ式給湯機補助金 – つくば市
- 住宅・省エネ機器・宅配ボックスに関する補助金等のご案内 – つくば市
- マンション管理計画認定制度 – 茨城県
- マンション長寿命化促進税制(固定資産税の特例措置)- 国土交通省
つくば市の分譲マンション、大規模修繕で使える補助金・税制はどこまで?管理組合が動く順番を整理します【2026年度版】
理事長さまから最初にいただく質問は、いつも同じです。「つくば市には、大規模修繕に使える補助金はあるんですか」。
正直に申し上げます。つくば市が大規模修繕の工事費そのものに現金を直接補助する制度は、2026年7月時点で私が調べた限り見当たりません。ここでがっかりして話が終わってしまう管理組合を、私は現場で何度も見てきました。
ですが、それはもったいない話です。現金の直接補助が薄い街でも、国の税制と住宅金融支援機構の融資、そして工法の選び方を組み合わせれば、負担は確実に変わります。研究学園都市として新しいタワーマンションから築30年前後の分譲マンションまで幅広く抱えるつくば市だからこそ、使える武器を正しい順番で並べることが大切です。
この記事では、私が管理組合の理事会でお話ししている内容そのままに、つくば市のマンション管理組合が「どの制度を、どの順番で使えばいいのか」を整理します。数字と期限には、すべて公的な一次情報のリンクを添えました。
まず結論:つくば市の管理組合が押さえるべき「1本の道」
制度は数が多く、バラバラに眺めると混乱します。私はいつも、次の1本の道として理事長さまにお伝えしています。
①管理計画の認定 → ②修繕積立金の適正化 → ③国の長寿命化促進税制で固定資産税の減額 → ④住宅金融支援機構の融資で金利引下げ → ⑤工法の選び方で工事費そのものを最適化。
この5ステップは、途中でつながっています。認定を取ると税制と融資の入口が開き、工法の選択でコストを削れば積立金の負担も軽くなる。単発の補助金を探すより、この道を一度通す方が、管理組合の財布には効きます。
以下、ひとつずつ、つくば市の実情に沿って見ていきます。
つくば市というまちと、マンションの修繕期の重なり
つくば市は、茨城県南部の研究学園都市です。人口は約25万人。つくばエクスプレス(TX)の開業以降、つくば駅・研究学園駅を中心に新築の大規模分譲マンションが増え、一方で1980年代から1990年代にかけて建てられた分譲マンションも数多く残っています。
私の実感では、TX沿線には築15〜25年、旧市街には築30年を超える物件が混在しています。築12年前後で1回目、築24年前後で2回目の大規模修繕(一定周期でまとめて行う共用部の修繕工事)を迎えるのが一般的ですから、つくば市は今、まさに「修繕期の山」が重なっている街だと言えます。
修繕期が重なると、資材と職人の取り合いになり、見積もりも高止まりしがちです。だからこそ、制度と工法の両輪で早めに動いた管理組合が有利になります。ここからが本題です。
①【土台】国のマンション長寿命化促進税制
つくば市の管理組合にとって、いちばんの土台になるのが国の制度です。名前は「マンション長寿命化促進税制」(正式には大規模の修繕等が行われたマンションに係る固定資産税の減額措置)といいます。
一定の要件を満たす大規模修繕を行うと、工事の翌年度分の建物にかかる固定資産税が減額される制度です(出典:国土交通省 マンション税制)。修繕積立金の確保と、長寿命化工事に向けた管理組合の合意形成を後押しすることが目的とされています。
適用のおもな要件
私が理事会でお見せしている要件を、かみくだいて並べます。
- 築20年以上、総戸数10戸以上の分譲マンションであること
- 過去に外壁塗装等・床防水・屋根防水の3つの長寿命化工事をそれぞれ1回以上行っていること
- そのうえで、2回目以降の長寿命化工事を令和5年4月1日から令和9年3月31日までの間に完了すること
- 修繕積立金が、令和3年9月1日以降に一定の基準まで引き上げられていること(管理計画の認定、または助言・指導が前提)
- 工事完了から3か月以内に市へ申告すること
減額の対象は、1戸あたり床面積100平方メートル相当分までで、適用は1度限りです。都市計画税は対象外である点も、あわせて理事会で共有しておくと誤解が防げます。
減額の割合は「市の条例」で決まる
ここは正直にお伝えしなければなりません。減額割合は、法律で6分の1から2分の1の範囲と定められており、具体的な割合は各市町村の条例で決まります。つくば市の割合が何分の1になるかは、公表資料だけでは断定できませんでした。
ですから私は、「減額割合はつくば市の資産税課に必ず確認してください」とお伝えしています(つくば市 資産税課/代表 029-883-1111)。制度そのものは国の枠組みですが、財布に入る金額は市の運用次第です。ここを曖昧にしたまま総会に諮ると、後で数字が食い違い、理事の信用に関わります。
なお、令和7年4月1日以降は管理組合の管理者等が申告できるようになり、手続きの実務も少し軽くなりました。国はこの税制について、令和8年度の税制改正で延長する方針を示していますが、期限は年度で動く可能性があるため、最新の適用期間もあわせて確認しておくと安心です。証明書の様式は国交省のページからダウンロードできます。
②【入口】マンション管理計画認定制度は、つくば市で申請できるのか
長寿命化促進税制の「積立金引上げ」の前提として登場するのが、マンション管理計画認定制度です。これは、管理組合の運営・規約・経理・長期修繕計画などが一定の基準を満たしていることを自治体が認定する仕組みで、令和4年に施行されたマンション管理適正化法にもとづきます。
認定を受けると、次のようなメリットがあります。
- 長寿命化促進税制の入口(積立金の引上げ要件を満たしやすくなる)
- 住宅金融支援機構の共用部分リフォーム融資で金利が引下げになる
- マンションすまい・る債の利率が上乗せになる
- フラット35の金利優遇(区分所有者が住戸を売買する際の後押しにもなる)
- 市場での評価・資産価値の面でのプラス
つくば市での運用状況は「要確認」
茨城県は、令和6年4月からマンション管理計画認定制度を運用していますが、県が担うのは町村区域にあるマンションで、市区域のマンションは各市の窓口が担当する仕組みです(出典:茨城県 マンション管理計画認定制度)。
つくば市は市区域ですから、認定の窓口は原則としてつくば市になります。ただ、私が2026年7月時点でつくば市の公式サイトを確認した範囲では、つくば市が独自にマンション管理適正化推進計画を策定し、認定の受付を開始しているかどうかを明記したページを見つけられませんでした。
ですので、ここも正直に申し上げます。つくば市で今すぐ認定申請ができるかは、都市計画部 建築指導課(029-883-1111)に確認するのが確実です。同じ茨城県内でも、水戸市はすでに認定実績があり、ひたちなか市も制度を案内しています。つくば市も準備・運用が進んでいる可能性は十分にありますので、「まだ無い」と決めつけず、まず一本電話を入れてみてください。
私はいつも、「認定はゴールではなく入口です」とお伝えしています。認定が取れれば税制と融資の扉が開く。取れない・まだ制度が動いていないなら、後述する助言・指導のルートや機構融資で代替を考える。どちらに転んでも道は残ります。
③【資金】住宅金融支援機構の共用部分リフォーム融資
つくば市に直接の工事費補助が無くても、資金の面で管理組合を支えてくれるのが、住宅金融支援機構の「マンション共用部分リフォーム融資(マンションすまい・る融資)」です。
管理組合が申込人となって共用部の修繕工事の資金を借りられる制度で、返済期間は最長35年まで設定できます。管理計画の認定を受けているなど一定の要件に合致すると、融資金利が0.2%引下げになります(出典:住宅金融支援機構 マンションすまい・る融資)。金利は毎月見直され、2026年度分の案内も公表されています。
あわせて、公益財団法人マンション管理センターによる債務保証の仕組みもあります(出典:マンション管理センター 共用部分リフォーム融資と債務保証)。積立金だけでは一時金が必要になりそうなとき、私はこの融資を「積立金不足の応急処置ではなく、計画的な平準化の道具」としてご案内しています。
さらに、日ごろから積立金を「マンションすまい・る債」で積み立てておくと、認定マンションは利率が上乗せされ、いざ融資を受けるときの条件も整いやすくなります。認定・積立て・融資は、それぞれ別々に見えて、実は連動しているのです。
④【誤解の多い】耐震の補助は、分譲マンションに使えるのか
「耐震の補助があると聞いた」というご相談も多いのですが、ここは注意が必要です。
つくば市には「木造住宅耐震改修費補助制度」があります。令和8年度は令和8年5月13日から8月31日までの受付で、先着2件。昭和56年5月31日以前に建てられた2階建て以下の戸建て木造住宅が対象で、耐震改修工事費用の5分の4(上限115万円)が補助されます(出典:つくば市 木造住宅耐震改修費補助制度)。木造住宅耐震診断士の派遣事業もあります。
ただし、正直に申し上げます。これらは木造の戸建て住宅が対象で、鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)の分譲マンション共用部は対象外です。分譲マンションの耐震にそのまま使える補助ではありません。
では旧耐震のマンションは打つ手が無いのかというと、そうではありません。私が武器としてご案内しているのが、耐震改修促進法の仕組みです。所管行政庁から「要耐震改修認定」を受けたマンションは、共用部分の耐震改修に必要な集会の決議要件が、区分所有者および議決権の各4分の3から各過半数に緩和されます。合意形成のハードルが下がるのは、旧耐震の管理組合にとって大きな意味があります。耐震は「補助が無いから諦める」ではなく、「決議を通しやすくする制度を使う」と発想を変えるのが現実的です。
⑤【正直に】省エネ系の補助は、分譲の共用部には使いにくい
つくば市には、温室効果ガス削減のための補助金がいくつかあります。令和8年度の主なものを挙げると、蓄電池5万円、自然冷媒ヒートポンプ式給湯機(エコキュート)5万円、V2Hシステム10万円、低炭素住宅への奨励金10万円などです(出典:つくば市 住宅・省エネ機器に関する補助金等の御案内)。なお、太陽光発電の単独設置は補助対象外です。
魅力的に見えますが、これらは基本的に個人が自ら居住する住宅(多くは戸建て)向けの制度です。分譲マンションの共用部の大規模修繕にそのまま充てられるものではありません。「使えそうで使いにくい」制度の代表格ですので、期待しすぎないよう理事会で正直に共有しておくことをおすすめします。
一方で、賃貸の共同住宅を所有するオーナーさま向けには、宅配ボックス設置事業補助金(補助対象経費の2分の1、共同住宅1棟につき上限10万円、1人2棟分まで)があります。これは分譲の管理組合ではなく、収益不動産のオーナーさま向けの話ですが、区分所有で複数戸を賃貸に回している方には役立つ場合があります。自分がどの立場で制度を見るのか、そこを間違えないことが大切です。
茨城県には「無料アドバイザー派遣」があるのか
埼玉県などでは、県が分譲マンションに管理士を無料派遣する制度がありますが、茨城県で同様の県による無料アドバイザー派遣は、私が確認した範囲では見当たりませんでした。
その代わりに使えるのが、国交省が案内する「マンション管理計画認定制度 相談ダイヤル」です。一般社団法人日本マンション管理士会連合会が窓口となっており、電話は03-5801-0858(月曜〜土曜10:00〜17:00、祝日・年末年始を除く)。長寿命化税制と認定制度の両方について相談できます(出典:国土交通省 マンション税制)。地元の茨城県マンション管理士会に相談窓口がある場合もありますので、あわせて探してみてください。
制度の早見表(つくば市の管理組合向け・2026年度)
理事会でそのまま配れるよう、要点を表にしました。金額・期限は必ず一次情報とリンク先で最終確認をお願いします。
| 制度 | 対象 | 主なポイント | 窓口 |
|---|---|---|---|
| マンション長寿命化促進税制 | 築20年以上・10戸以上の分譲 | 翌年度の固定資産税を減額(割合は市条例=要確認)、R9.3.31完了・3か月以内申告 | つくば市 資産税課/日本マンション管理士会連合会 03-5801-0858 |
| マンション管理計画認定制度 | 分譲マンション | 税制・融資の入口。つくば市での受付可否は要確認 | つくば市 都市計画部 建築指導課 029-883-1111 |
| 共用部分リフォーム融資 | 管理組合 | 最長35年、認定等で金利0.2%引下げ、すまい・る債で利率上乗せ | 住宅金融支援機構 |
| 木造住宅耐震改修費補助 | 木造戸建(S56.5.31以前) | 5分の4・上限115万円、先着2件(分譲マンション共用部は対象外) | つくば市 建築指導課 029-883-1111 |
| 省エネ機器補助 | 個人住宅 | 蓄電池5万・V2H10万等(分譲共用部には使いにくい) | つくば市 環境政策課 029-883-1111 |
工事費そのものを下げる:3つの工法から選ぶという発想
制度で負担を軽くするのと同じくらい、いや、それ以上に効くのが工事費そのものの最適化です。ここに私たちの本業があります。
大規模修繕というと、建物全体に足場を組む工事を思い浮かべる方がほとんどです。ですが、足場の架設・解体には相応の費用と工期がかかり、住民の方の生活にも影響します。私はここで、いつも3つの工法をワンセットで提案するようにしています。
- 通常の足場仮設工法:全面に足場を組む従来の方法。複雑な形状や中低層に向きます。
- ロープアクセス工法(無足場工法):産業用ロープで職人が壁面に降りて施工する方法。足場を組まないため、足場費を抑えられ、工期も短縮しやすく、居住者の生活への影響や防犯面のリスクも小さくなります。高層や足場を架けにくい建物に強い工法です。
- ハイブリッド工法:足場とロープアクセスを部位ごとに使い分け、建物全体で総合コストを最適化する方法です。
つくば市には、TX沿線の高層マンションから旧市街の中層まで幅広い建物があります。だからこそ、「足場ありき」で見積もるのではなく、建物の形状と劣化状況に合わせて工法を選べるかどうかが、コストの分かれ目になります。私たちは、足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3つから、その建物にとってベストな組み合わせをご提案できます(ロープアクセス工法のご紹介/大規模修繕工事のご紹介)。
高品質でありながら低価格を実現できるのは、塗装・防水・タイル・電気・看板といった各分野の専門職がフランチャイズで加盟し、中間マージンを抑えた体制を持っているからです(高品質・低価格の理由)。制度で削り、工法で削る。この両輪がそろって初めて、積立金の負担は目に見えて変わります。
モデルケースで考える
言葉だけでは体感しにくいので、私が理事会でよくお見せする2つのモデルで、財布感覚に落とし込みます。あくまで一般的な想定で、実際の金額は建物ごとに変わります。
ケースA:研究学園エリア・築28年・11階建て・48戸・新耐震
2回目の大規模修繕を控えた新耐震のマンション。全面足場で見積もると9,000万円だったところ、高層部をロープアクセス中心に切り替えるハイブリッド工法で、総額7,800万円まで下げられた想定です。差額は1,200万円、率にして約13%。1戸あたりに換算すると25万円前後の負担軽減です。
そのうえで管理計画の認定と長寿命化促進税制を組み合わせれば、翌年度の固定資産税も軽くなります。工法と制度の合わせ技で、積立金の取り崩しを抑えられる。これが1本の道の効き目です。
ケースB:旧市街・築44年・5階建て・18戸・旧耐震
小規模で積立金も潤沢ではない旧耐震のマンション。ここでは耐震改修促進法の要耐震改修認定で決議のハードルを下げつつ、外壁・防水はロープアクセス中心で足場費を圧縮し、不足分は住宅金融支援機構の融資で平準化する、という組み立てになります。
「戸数が少ないから何もできない」と諦めていた管理組合が、決議・工法・融資の3点で動き出せた例を、私は何度も見てきました。
修繕積立金が足りないとき、打てる手は4つ
つくば市に限らず、私が理事会でいちばん多く相談を受けるのが、修繕積立金の不足です。「次の大規模修繕の見積もりに、積立金が届かない」。この状況で使える打ち手を、私は次の4つに整理してお伝えしています。
まず1つ目は、工法の見直しでそもそもの工事費を下げること。全面足場を前提にしていた見積もりを、ロープアクセスやハイブリッドで組み直すだけで、足場費が丸ごと軽くなる場合があります。積立金を増やす前に、出ていくお金を減らせないかを最初に考えるのが私の順番です。
2つ目は、住宅金融支援機構の融資で平準化すること。一時金で住民に負担を求める前に、長期の融資で月々に均す方が、合意は得やすくなります。
3つ目は、修繕積立金そのものの段階的な引上げです。これは長寿命化促進税制の要件にも直結しますから、税制のメリットとセットで住民に説明すると、値上げの納得感が変わります。
4つ目は、工事範囲の優先順位づけです。すべてを一度にやるのではなく、劣化の進んだ防水・外壁から先に手を入れ、残りは次期に回す。診断にもとづいて「今やるべき面」と「待てる面」を見極めることが、限られた積立金を活かす鍵になります。
私はこの4つを、必ずワンセットで提案するようにしています。ひとつだけで解決しようとすると無理が出るからです。
総会で合意を得るための3つのコツ
制度も工法も、最後は総会で議決されなければ動きません。ここでつまずく管理組合が本当に多い。私が理事長さまにお伝えしている合意形成のコツは、3つあります。
1つ目は、数字を「戸あたり」で語ること。「総額1,200万円の削減」より、「1戸あたり25万円の負担減」の方が、区分所有者の財布に響きます。総額は理事の言葉、戸あたりは住民の言葉です。
2つ目は、デメリットも先に開示すること。ロープアクセスは万能ではありません。バルコニー内部の細かい作業や、大量の資材を上げ下ろしする工事では、足場の方が向く場面もあります。「ただし、こういう場合は足場を使います」と先に言っておくと、かえって信頼されます。
3つ目は、確認が必要な項目を正直に残すこと。「減額割合は市に確認中です」と正直に書いた資料の方が、断定した資料より通ります。断定は、後で数字が違ったときに理事の信用を失います。私はこれを、20年の現場でいちばん痛感してきました。
動き出しの逆算カレンダー
制度は年度で動きます。つくば市の管理組合が2026年度内に動くなら、私はこんな逆算をおすすめしています。
- 夏(今):長期修繕計画と積立金の現状確認、市への問い合わせ(認定・税制)
- 秋:工事履歴の証明書整理、複数工法での相見積もり取得
- 冬:資金計画の確定、機構融資・すまい・る債の検討
- 年度末〜翌年度総会:工事と申告のスケジュールを逆算して議決
長寿命化促進税制の工事完了期限は令和9年3月31日です。2回目の長寿命化工事でこの税制を狙うなら、逆算するとあまり時間はありません。動き出しは、早いほど選択肢が広がります。
使う順番【8ステップ】
最後に、明日から動くための順番をまとめます。理事会で1分、この話題を出してみてください。
- 長期修繕計画と修繕積立金の現状を確認する
- つくば市 建築指導課に、管理計画認定の受付可否を問い合わせる(029-883-1111)
- 認定または助言・指導のルートで、積立金引上げの要件整理に着手する
- 過去の外壁・床防水・屋根防水の工事履歴を証明書としてそろえる
- つくば市 資産税課に、長寿命化促進税制の減額割合と申告手順を確認する
- 住宅金融支援機構の融資・すまい・る債で資金計画を組む
- 複数工法(足場・ロープアクセス・ハイブリッド)で相見積もりを取る
- 総会に諮り、工事と申告のスケジュールを逆算して決める
このうち②と⑤の「市への確認」を早めに済ませるほど、総会で数字がぶれません。制度は年度で動きますから、動き出しは早いほど有利です。
よくあるご質問
Q. つくば市には大規模修繕の工事費補助はありますか。
A. 2026年7月時点で私が確認した限り、工事費そのものへの市の直接補助は見当たりません。国の税制・機構融資・工法の最適化で負担を軽くするのが現実的な道です。
Q. 管理計画の認定は必ず必要ですか。
A. 必須ではありませんが、認定があると税制と融資の条件が有利になります。つくば市での受付可否は建築指導課にご確認ください。
Q. 長寿命化促進税制は、いくら安くなりますか。
A. 1戸100平方メートル相当分までの固定資産税が減額されます。割合は市の条例で6分の1〜2分の1の範囲。つくば市の割合は資産税課へご確認ください。
Q. ロープアクセスは足場より本当に安いのですか。
A. 建物の形状によります。高層で足場を架けにくい建物ほど効果が出やすく、部位で使い分けるハイブリッドが最も無駄が出にくい、というのが私の経験上の実感です。
Q. 認定制度がまだ動いていない場合、長寿命化税制は使えないのですか。
A. 認定がなくても、市から助言・指導を受けた管理組合の管理者等に係るマンションのルートで適用される場合があります。詳しくは資産税課と国交省の案内をご確認ください。
Q. 過去の工事の記録が残っていないのですが、大丈夫でしょうか。
A. 長寿命化促進税制は、過去に外壁・床防水・屋根防水を行った履歴が要件になります。記録が曖昧なら、まず管理会社や過去の施工会社に工事内容の確認を始めるところからです。私たちも履歴の整理からお手伝いします。
Q. 賃貸に出している区分所有者がいると、合意は難しくなりますか。
A. 賃貸オーナーは「工事後に家賃や資産価値がどう変わるか」に関心があります。ここでも戸あたりの数字と、資産価値維持の観点をあわせて示すと、合意に近づきます。
JCSAという、もうひとつの後ろ盾
私たちは、一般社団法人全国建設業支援協会(JCSA)の運営にも関わっています。建設業向けの経営支援やセミナー、交流会を通じて、業界のネットワークと情報を積み上げてきました。管理組合さまにとっては、「この会社は業界の中でどう見られているのか」を測るひとつの目安にしていただければと思います。管理組合向けの大規模修繕のご提案内容は、管理組合さま向けサービスのご案内にまとめています。
おわりに
つくば市は、現金の直接補助という点では派手さのない街かもしれません。ですが、国の税制と機構の融資、そして工法の選び方を正しい順番でつなげば、管理組合の負担は確かに変わります。
私はこれを、現場で20年見てきたうえでの、嘘偽りのない感想としてお伝えしています。制度は年度で動きますし、市での運用状況も確認が必要な部分があります。だからこそ、ご相談だけでも遠慮なくお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります(お問合せフォーム)。
次回も、現場で本当に使える話だけをお届けします。
出典・参考資料
- 国土交通省「住宅:マンション税制(マンション長寿命化促進税制)」
- 茨城県「マンション管理計画認定制度」
- つくば市「木造住宅耐震改修費補助制度」
- つくば市「住宅・省エネ機器・宅配ボックスに関する補助金等の御案内」
- 住宅金融支援機構「マンションすまい・る融資(管理組合申込みの場合)」
- 公益財団法人マンション管理センター「共用部分リフォーム融資と債務保証」
▼ロープアクセス工法・無足場工法の詳細解説はこちら
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