横須賀市の12条点検|毎年報告・調査は1か月以内のルールと外壁打診の時期【2026年度版】

Q. 横須賀市のマンションやビル、ホテルは、12条点検(定期報告)の対象になるのか?外壁の全面打診はいつ必要か?

A. 横須賀市内の建物の定期報告は、横須賀市都市部建築指導課の所管です。横須賀市が公表している一覧では、共同住宅は「高齢者・障害者等の就寝の用に供するもの(グループホーム、老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅等)」に限って対象とされており、一般の分譲マンション・賃貸マンションは建築物の定期報告の対象外です(出典:横須賀市「定期報告が必要となる建築物、建築設備、昇降機等と報告の周期」)。一方、ホテル・旅館、病院、一定規模の店舗・飲食店が入る建物は対象になり、横須賀市では建築物の報告周期が「毎年」です。外壁の全面打診は、竣工・外壁改修・前回の全面打診から「おおむね10年」を超えたあとの定期調査で必要になります(出典:国土交通省「定期報告制度における外壁のタイル等の調査について」)。

(最終更新:2026年10月15日/執筆時点の現行年度:令和8年度)

結論:横須賀市で12条点検の対象になる建物と、全面打診のタイミング

株式会社明誠は、東京都東大和市に拠点を置く大規模修繕の会社です。私は代表として20年以上、マンション・ビル・ホテルの修繕現場に立ってきました。神奈川県の12条点検シリーズは、横浜市・川崎市・相模原市の各区に続き、今回は三浦半島の中心都市、横須賀市を取り上げます。

横須賀市の推計人口は、令和8年9月1日現在で361,116人、164,244世帯。面積は100.80㎢です(出典:横須賀市「横須賀市推計人口」(2026年9月18日更新))。三浦半島の大部分を占め、東は東京湾、西は相模湾に面しています。

横須賀市は、建築基準法上の「特定行政庁」として、定期報告を自ら受け付けている市です。特定行政庁とは、建築確認や違反建築の指導を担う行政機関のことです。隣の逗子市・三浦市・葉山町は神奈川県の所管(窓口は県の横須賀土木事務所)なので、同じ三浦半島でも、横須賀市と周辺の市町では提出先とルールが違う点に注意してください(出典:神奈川県「定期報告書の提出について」)。

12条点検の目線で横須賀市を見ると、他市と違う点が3つあります。

  • 建築物(特定建築物定期調査)の報告周期が「毎年」。多くの自治体は3年ごとです。
  • 報告の月は「検査済証の交付を受けた月」と同じ月で、調査は「報告の前1か月以内」に行うと市の規則で定めています。
  • 対象用途が避難階(通常は1階)のみにある場合や、対象用途の床面積が200㎡以下の場合は対象外と明記されています。

横須賀市で「建築物」の定期報告が必要になるかどうかは、次のように整理できます。

建物の種類 横須賀市での定期報告(建築物)
住戸だけの分譲マンション・賃貸マンション・アパート 対象外
1階だけに店舗が入るマンション(2階以上は住戸) 対象外(対象用途が避難階のみ)
2階の店舗・飲食店の床面積が500㎡以上、または3階以上に店舗等がある建物 対象
店舗・飲食店などの床面積の合計が3,000㎡以上の建物 対象
ホテル・旅館(3階以上にある、2階部分が300㎡以上、または地階にある) 対象
病院・有床診療所・老人ホーム・サ高住・グループホーム(同上) 対象
エレベーター(昇降機) 原則すべて対象(毎年)

(出典:横須賀市「定期報告が必要となる建築物、建築設備、昇降機等と報告の周期」(令和7年7月版))

全面打診の要否は、次の一文で判断できます。

「竣工、または前回の全面打診・外壁全面改修から10年を超えていれば、次の定期調査で全面打診が必要」

横須賀市は毎年報告なので、「10年を超えた年の報告」がそのまま全面打診の年になります。準備の猶予が、3年周期の自治体より短いということです。

建築基準法第12条の基本(定期調査と定期検査の違い)

建築基準法第12条は、多くの人が利用する建物の所有者・管理者に「建物の安全を有資格者に定期的に調べさせ、その結果を特定行政庁に報告する」ことを求める制度です。横須賀市の案内も、公共性の高い建築物、不特定多数の人が利用する建築物、高齢者等が利用する建築物とその設備・昇降機等について、所有者(管理者)が有資格者に調査・検査させ、結果を報告しなければならない制度と説明しています(出典:横須賀市「建築物等の定期報告制度について」(2025年8月25日更新))。

12条には、建物本体を調べる「特定建築物定期調査」(1項)と、設備を調べる「建築設備・防火設備・昇降機等の定期検査」(3項)があります。外壁の打診は、1項の特定建築物定期調査のうち「建築物の外部」の項目に含まれます。

横須賀市の報告の周期は、次のとおりです。

種類 報告の周期(横須賀市)
建築物(特定建築物定期調査) 毎年
建築設備 定期検査(機械換気・中央管理方式の空調・排煙機を設けた排煙設備・非常用照明) 毎年(定期報告対象の建築物に設置されたもの)
防火設備 定期検査(随時閉鎖式・常時閉鎖式) 毎年
昇降機・遊戯施設 定期検査 毎年

(出典:横須賀市「定期報告が必要となる建築物、建築設備、昇降機等と報告の周期」)

調査ができるのは、一級・二級建築士か特定建築物調査員などの有資格者に限られます。

外壁の全面打診のルールは、平成20年国土交通省告示第282号で定められています。タイル・石貼り(乾式工法を除く)・モルタルなどの外壁で、落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分は、竣工・外壁改修・前回の全面打診から10年を超えたときに、全面的に打診等で調べることになりました。令和4年1月18日の告示改正では、無人航空機(ドローン)による赤外線調査も、全面打診以外の方法として認められています(出典:国土交通省)。制度の全体像は国土交通省「建築基準法に基づく定期報告制度について」でも確認できます。

さらに、令和6年国土交通省告示第974号と令和7年国土交通省告示第53号により、令和7年7月1日から、定期調査・検査の項目や判定基準、調査結果表が見直されました。横須賀市は、見直し後の対象と周期を、変更点を赤字で示した表で公表しています。たとえば防火設備では、各階の主要な防火扉(避難経路にあるもの、吹抜けに面するもの、日常の通行が多く開閉の頻度が高いもの)に限って、常時閉鎖式の防火設備も対象として整理されています。調査会社に依頼するときは、見直し後の様式と、横須賀市の扱いを理解しているかを確認してください。

横須賀市の12条点検:対象の線引き・報告時期・窓口

窓口は横須賀市都市部建築指導課

項目 内容(公式ページ掲載)
担当 横須賀市 都市部 建築指導課
住所 横須賀市小川町11番地 分館4階(郵便物は「〒238-8550 建築指導課」で届く)
電話 046-822-9530

(出典:横須賀市「建築物等の定期報告制度について」)

横須賀市のページには、関連リンクとして(一財)神奈川県建築安全協会も掲載されています。協会経由での提出の可否や手数料、報告済証の扱いは、提出前に協会または建築指導課に確認してください。

報告の月は「検査済証の月」、調査は「報告前1か月以内」

ここが、横須賀市の12条点検で一番大事なポイントです。横須賀市の「建築基準法等施行取扱規則」第20条は、建築物の定期報告について次のように定めています(出典:横須賀市「建築基準法等施行取扱規則」(令和7年4月1日施行))。

ルール 内容
報告の時期 毎年、検査済証の交付を受けた日の属する月と同じ月
現に存する建築物 市長が定める月(最初に報告した年の翌年以降は、最初に報告した月と同じ月)
調査の時期 報告の前1か月以内に行ったものでなければならない

建築設備等(第21条)も同じく、検査済証の月に毎年報告し、検査は報告前1か月以内と定めています。

つまり横須賀市では、「何月に報告する建物か」が建物ごとに決まっていて、その直前1か月に調査を行う仕組みです。「受付期間が年に一度まとめてある」自治体とは考え方が違います。管理会社や前任のオーナーから引き継いだ建物は、まず過去の報告書の控えを見て、自分の建物の報告月を確かめてください。

全面打診は「報告前1か月」に全部やる必要があるのか

毎年報告で、しかも調査は報告前1か月以内。そう聞くと「全面打診も、毎回その1か月に詰め込まないといけないのか」と心配されるオーナーさまがいます。

平成20年国土交通省告示第282号は、全面打診が必要になる場合を「竣工・外壁改修・前回の全面打診等から10年を超え、かつ、3年以内に全面打診等を実施していない場合」と定めています。また、3年以内に外壁改修等が行われることが確実な場合や、別途、歩行者等の安全を確保する対策を講じている場合は除くとされています(出典:平成20年国土交通省告示第282号(抜粋資料)、国土交通省「定期報告制度における外壁のタイル等の調査について」)。言い換えれば、報告の直前でなくても、3年以内に実施した全面打診の結果があれば、それを踏まえて報告できるという考え方です。

ただし、毎年の定期調査そのもの(目視や手の届く範囲の打診など)は、報告前1か月以内に行う必要があります。全面打診をいつ実施し、その結果をどの年の報告に使うかは、建物の報告月と合わせて、事前に建築指導課と調査会社で確認しておくのが確実です。私は、全面打診は大規模修繕の足場がある時期や、ロープアクセスで計画的に実施できる時期に前倒しで行い、毎年の定期調査とは切り分けて段取りすることをお勧めしています。

「1階だけの店舗」は対象外、2階・3階に入ると対象に

横須賀市の一覧には「該当する用途部分の床面積が200㎡以下のもの又は該当する用途部分が避難階のみにあるものは対象外」と書かれています。避難階とは、直接地上へ出られる出入口がある階のことで、多くの建物では1階です。

このため、1階だけにコンビニや飲食店が入るマンションは、横須賀市では建築物の定期報告の対象外になります。一方で、次のような建物は対象になり得ます。

  • 2階の物販店・飲食店の床面積の合計が500㎡以上
  • 3階以上に物販店・飲食店・遊技場などが入る雑居ビル
  • 店舗・飲食店などの床面積の合計が3,000㎡以上の商業ビル
  • 3階以上や地階に客室がある、または2階部分が300㎡以上のホテル・旅館

横須賀中央駅などの駅周辺では、上階に飲食店が入るテナントビルや、上階に客室を持つホテルも見られます。「店舗が入っているから対象」「マンションだから対象外」と思い込まず、どの階に、どの用途が、何㎡あるかを一度整理してください。判断がつかない場合は、階ごとの用途と面積をまとめて、建築指導課に相談するのが確実です。

横須賀市ならではの事情:海風と斜面地

潮風を受ける外壁は、劣化の出方が違う

横須賀市は、東京湾と相模湾の両方に面した、海に近い市です。海沿いの建物の外壁は、潮風に含まれる塩分の影響を受けやすく、内陸の建物とは劣化の出方が違うことがあります。私が海沿いの現場で見てきた例では、鉄部のさびが早く進む、タイル目地やシーリングの傷みが早い、さびた鉄筋が膨らんでコンクリートを押し出す「爆裂」が出る、といった症状が目立ちます。

外壁のタイルやモルタルは、下地との間に浮きが生じると、ある日突然落ちることがあります。海に面した面や、風を強く受ける面は、10年を待たずに一度、手の届く範囲を叩いて状態を確かめておくと安心です。

斜面に建つ建物は、面ごとに「足場の高さ」が違う

横須賀市は平地が少なく、谷戸と呼ばれる谷あいや、丘の斜面に住宅地が広がる地形です。横須賀市の建築基準条例には「斜面地建築物」の階数の限度についての規定があり、取扱規則でも斜面地建築物の扱いを定めています(出典:横須賀市「建築基準法等施行取扱規則」第23条・第24条)。それだけ、斜面に建つ建物が多い市だということです。

斜面に建つマンションやホテルは、坂の上側から見ると3階建てでも、下側から見ると5階建てというように、面によって地面からの高さが変わります。坂の下側の面ほど足場が高くなり、隣地との境に擁壁があると、足場を組む場所自体が取りにくくなります。全面打診を計画するときは、面ごとに「どこから人が近づけるか」「その真下を誰が歩くか」を最初に確かめてください。私が現場で調査範囲を決めるときも、歩道や通学路、出入口の上を優先して叩きます。

毎年報告だからこそ、「外壁の記録」を積み上げる

毎年報告は、オーナーさまにとって手間に感じられるかもしれません。ただ、見方を変えれば、毎年の定期調査の記録がそのまま「外壁の健康診断の履歴」になります。浮きやひび割れの位置を毎年同じ図面に記録しておけば、劣化がどの面で、どの速さで進んでいるかが分かります。その記録は、次の大規模修繕の補修数量や、長期修繕計画の見直しの根拠になります。

なお、住戸だけのマンションは定期報告の対象外ですが、外壁の責任がなくなるわけではありません。建築基準法第8条は、建物の所有者・管理者・占有者に「常時適法な状態に維持するよう努める」ことを求めています。外壁のタイルが落ちて通行人がけがをすれば、民法第717条(工作物責任)により所有者等が責任を問われる可能性があります。報告義務のない分譲マンションも、管理組合が自主的に外壁を調べる意味があります。

全面打診が必要になる4つのきっかけ

理事長さまやオーナーさまには、次の4つを「全面打診のきっかけ」としてお伝えしています。

  1. 竣工から10年を超えた:最初の全面打診の起点です。
  2. 外壁の全面改修から10年を超えた:タイル張替えや全面補修をした年から数え直します。
  3. 前回の定期調査で「要是正」とされ、改善が済んでいない:毎年報告の横須賀市では、翌年の報告ですぐに改善状況が問われます。
  4. タイルの浮き・剥落の兆候が見つかった:手の届く範囲の打診で異常があれば、全面打診で確かめます。

横須賀市の対象建築物では、10年を超えた年の報告がそのまま全面打診の年です。前回の大規模修繕の年と、最後に全面打診をした年を、まず修繕履歴で確かめてみてください。たとえば平成28年(2016年)に外壁改修をした建物なら、令和8年(2026年)以降の報告で全面打診が求められる時期に入っています。

費用の目安:打診の㎡単価と、足場・ロープアクセスの差

費用の目安を示します。以下は参考値で、実際の見積は建物の形状・高さ・外壁の仕上げ・敷地条件で大きく変わります。

項目 目安
全面打診調査の㎡単価(調査のみ) 250〜500円/㎡
10階建て・外周80m・打診対象約2,000㎡の調査費 約50〜100万円
同条件で仮設足場を組む場合(工期3か月想定) 約168万円
同条件でロープアクセス工法の場合 約59万円
足場とロープアクセスの差額 約109万円

全体の費用を押し上げるのは、打診そのものより足場です。斜面で足場が高くなる建物や、道路が狭く足場の資材を置きにくい敷地、ホテルや店舗の前に足場を組むと営業に影響が出る建物では、足場の計画がさらに難しくなります。料金の考え方は明誠の大規模修繕の料金の考え方でも公開しています。

ロープアクセス工法が12条打診で選ばれる理由

ロープアクセス工法とは、屋上などの確実な吊元から、作業員がメインロープとバックアップロープの2本に接続して壁面に降り、足場を組まずに調査や補修を行う工法です。吊元は2点以上を確保し、二重の冗長化で安全を確保します。国際基準(IRATA)に沿った、業界標準のやり方です。技術の詳細は明誠のロープアクセス工法のページに、安全への取り組みは明誠の安全管理にまとめています。

12条打診でロープアクセスを選ぶ理由は、主に3つです。

  1. 費用:足場代を抑えられます。上の例では、足場工法より約100万円の差が出る可能性があります。
  2. 期間:足場の組立・解体がないため、足場工法の約60%の工期が目安です。報告月が決まっている横須賀市では、短い期間で調査を終えられることが大きな利点です。
  3. 営業しながら・住みながら施工:窓や店舗の前に足場やメッシュシートがかからず、ホテルの眺望や客室の日当たり、店舗の看板が隠れる心配が少なく済みます。

斜面に建つ横須賀市の建物では、ロープアクセスの強みがさらに生きます。屋上に吊元が取れれば、坂の下側の高い面まで、壁面に沿って降りて調べられます。擁壁があって足場の置き場がない面も、作業員が降りる広さがあれば調査できます。

打診は、テストハンマーでタイルやモルタルを一枚ずつ叩き、音の違いを聞き分ける仕事です。ロープアクセスなら、見つけた浮きにその場でマーキングし、条件が合えば注入による部分補修まで続けて行えます。海風で傷んだシーリングや鉄部の状態も、同じ降下で一緒に確かめられます。ドローンの赤外線調査で全体を把握し、気になる面だけロープアクセスで叩いて確かめる組み合わせも可能です。ただし、住宅が密集した地域や海沿いの風の強い場所でドローンを飛ばすには、航空法上の許可・承認や周辺への配慮が必要なため、事前の確認が欠かせません。

株式会社明誠は、これまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕に携わってきました。ロープアクセスでの高所作業では、明誠と全国のフランチャイズ加盟企業で、過去16年間、墜落による労働災害ゼロを続けています。作業は、IRATA水準の訓練を受けた作業員が担当します。

ロープアクセスの訓練体制や施工の実例は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムで詳しく紹介しています。足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3工法の比較もロープアクセスドットコムに掲載しています。塗装・防水・タイル・電気・看板などの専門工事会社さまで、フランチャイズ加盟をご検討の方もロープアクセスドットコムからご覧ください。

12条点検を大規模修繕・長期修繕計画とつなげる

12条点検(または自主的な外壁調査)と大規模修繕を、別々の会社に別々のタイミングで発注している管理組合やオーナーさまは少なくありません。私はこれを、できるだけワンセットで考えるよう提案しています。

  • 足場代の二重払いを避ける:打診のために足場を組み、数年後の大規模修繕でまた組む、という重複をなくせます。
  • 調査結果が補修数量の根拠になる:浮き・欠損の位置と数量が分かれば、見積書の数量が透明になります。
  • 長期修繕計画の精度が上がる:外壁の劣化が数字で分かり、修繕積立金の見通しが立てやすくなります。
  • ハイブリッド工法の判断材料になる:店舗のある低層部や地面に近い面は足場、高層部や斜面の下側の高い面はロープアクセス、と面ごとに使い分けると総額が下がる建物もあります。

横須賀市のように毎年報告がある市では、全面打診の年を大規模修繕の年に合わせられれば、足場を一度で済ませられます。全面打診の結果は、直近3年以内のものであれば報告に生かせる考え方なので、大規模修繕の計画と報告月を並べて、段取りを組んでみてください。

分譲マンションの管理組合さまは管理組合様向けの大規模修繕サービスを、賃貸マンション・テナントビル・ホテルのオーナーさまはビルオーナー様向けの修繕サービスをご覧ください。

よくあるご質問

Q. 横須賀市の分譲マンションは、12条の定期報告が必要ですか?

A. 高齢者・障害者等の就寝の用に供するもの(グループホーム、老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅等)にあたらないマンションは、横須賀市では建築物の定期報告の対象外です。ただし、エレベーターは原則として毎年の定期検査報告が必要です。

Q. 1階にコンビニが入るマンションは対象ですか?

A. 横須賀市は「該当する用途部分が避難階のみにあるもの」を対象外としています。1階(避難階)だけに店舗がある場合は、原則として建築物の定期報告の対象外です。2階や3階以上に店舗・飲食店が入る場合は、面積や階によって対象になります。

Q. 横須賀市の12条点検の報告は何年ごとですか?

A. 横須賀市は、建築物・建築設備・防火設備・昇降機等のいずれも報告周期を「毎年」としています。3年ごとの自治体とは異なるので注意してください。

Q. 報告はいつ出せばよいですか?

A. 横須賀市の規則では、毎年、検査済証の交付を受けた月と同じ月に報告します。既存の建物は市長が定める月(最初に報告した月)です。調査は報告前1か月以内に行う必要があります。

Q. 横須賀市の12条点検の窓口はどこですか?

A. 横須賀市都市部建築指導課(横須賀市小川町11番地 分館4階、電話046-822-9530)です。逗子市・三浦市・葉山町の建物は神奈川県の所管で、窓口が異なります。

Q. 外壁の全面打診は何年ごとですか?

A. 定期報告の対象建築物では、竣工や外壁改修、前回の全面打診から10年を超えたときに必要です。根拠は平成20年国土交通省告示第282号です。直近3年以内に全面打診を実施していれば、その結果を踏まえて報告する考え方が示されています。

Q. 斜面に建つホテルでも、足場なしで外壁を調べられますか?

A. 屋上に2点以上の吊元を確保できれば、ロープアクセス工法でメインロープとバックアップロープの2本に接続して降り、坂の下側の高い面まで足場なしで叩いて調べられます。営業を続けながらの調査にも対応します。現地を見て、足場との組み合わせも含めてご提案します。

まとめ+今週動くこと3点

横須賀市の12条点検の窓口は、横須賀市都市部建築指導課です。住戸だけのマンションや、1階だけに店舗があるマンションは、建築物の定期報告の対象外です。一方、ホテル・旅館や、2階・3階以上に店舗・飲食店が入る建物は対象になり、報告は毎年。報告月は検査済証の月で、調査は報告前1か月以内に行います。10年を超えた年の報告がそのまま全面打診の年になるため、準備は早めが肝心です。

今週動くことを3つに絞ります。

  1. 自分の建物の報告月を確かめる:過去の定期報告書の控えを見て、毎年何月に報告しているかを確認する。対象かどうか分からない建物は、階ごとの用途と床面積をまとめて建築指導課に相談する。
  2. 最後の全面打診の年を調べる:修繕履歴や過去の調査報告書を見て、10年を超える年がいつかを確かめる。報告義務のない分譲マンションも、10年を目安に外壁の状態を数字で把握する。海に面した面は特に早めに。
  3. 次の大規模修繕とセットで考える:全面打診の年と大規模修繕の年を並べ、足場を一度で済ませられないか、ロープアクセスで前倒しできないかを、次の理事会・オーナー会議で共有する。

明誠の施工実績は明誠の施工事例で、私たちの考え方は明誠の理念でご覧いただけます。ご相談は大規模修繕・打診調査のお問い合わせフォームからどうぞ。横須賀市を含む神奈川県全域で、現地調査にも対応しています。報告月の前に一度建物を見ておくだけでも、次の一手はずっと選びやすくなります。

出典・参考資料

本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月15日(令和8年度)時点で公表されている国土交通省・横須賀市・神奈川県の公式情報をもとに執筆しています。横須賀市の「建築物等の定期報告制度について」は2025年8月25日(令和7年度)の更新で、令和7年7月1日施行の制度見直しを反映した対象・周期表(令和7年7月版)が掲載されています。令和8年度に入ってからの改定は確認できませんでしたが、令和7年度掲載の情報であるため、報告前に必ず市へ現行の内容をご確認ください。取扱規則は令和7年4月1日施行の版を参照しました。人口は令和8年9月1日現在の推計値(令和7年国勢調査速報値ベース)です。制度は年度途中でも改正があり得ます。調査・報告の前に、横須賀市都市部建築指導課(046-822-9530)へ最新の内容をご確認ください。費用の数字は参考値で、個別の見積を保証するものではありません。

この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年10月15日


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相模原市中央区の12条点検|外壁打診と令和9年度の報告準備【2026年度版】

Q. 相模原市中央区のマンションやビルは、12条点検(定期報告)の対象になるのか?外壁の全面打診はいつ必要か?

A. 相模原市中央区の建物の定期報告は、相模原市(特定行政庁)の所管で、窓口は市役所第1別館4階の建築審査課です。相模原市の対象一覧では、共同住宅は「サービス付き高齢者向け住宅・認知症高齢者グループホーム・障害者グループホームに限る」とされており、住戸だけの一般的な分譲マンション・賃貸マンションは、建築物の定期報告の対象外です(出典:相模原市「定期報告が必要な建築物、建築設備等及び報告周期一覧」)。一方、飲食店・物販店・ホテル・病院などが一定規模で入る建物は対象で、3年周期の建物の次回報告は令和9年度(指定月10月)です。外壁の全面打診は、対象建築物であれば竣工・外壁全面改修・前回の全面打診から「おおむね10年」を超えたあとの最初の定期調査で必要になります(出典:国土交通省「定期報告制度における外壁のタイル等の調査について」)。

(最終更新:2026年10月15日/執筆時点の現行年度:令和8年度)

結論:相模原市中央区で12条点検の対象になる建物と、全面打診のタイミング

株式会社明誠は、東京都東大和市に拠点を置く大規模修繕の会社です。私は代表として20年以上、マンション・ビル・ホテルの修繕現場に立ってきました。神奈川県の12条点検シリーズは、横浜市・川崎市の各区に続き、今回から相模原市に入ります。最初は相模原市中央区です。

相模原市中央区は、相模原市の3つの区のうち中心部にあたる区で、市役所本庁もこの区にあります。区は小山・清新・横山・中央・星が丘・光が丘・大野北・田名・上溝の9地区で構成されています。市の紹介によると、中央地区は相模原駅の南東に広がり、市役所・税務署・裁判所などの官公庁、西門地区などの商業地、JAXA相模原キャンパスや博物館があるキャンプ淵野辺跡地などが集まる地域です。戦前からの土地区画整理で道路網が整い、相模原駅や矢部駅に近いことから、マンションなどの集合住宅が多い地域とも紹介されています(出典:相模原市「中央地区」)。

12条点検の目線で見ると、相模原市中央区には次の特徴があります。

  • 駅周辺や商業地に、1階・2階に店舗が入る「店舗併設マンション」や、飲食店が入る雑居ビルがある
  • 区画整理の時期に建った中高層の集合住宅が多く、築年数が進んだ建物が少なくない
  • 市の中心部で、歩道や駅前広場に面して建つ建物が多い

相模原市中央区で「建築物」の定期報告が必要かどうかは、次のように整理できます。

建物の種類 相模原市での定期報告(建築物)
住戸だけの分譲マンション・賃貸マンション・アパート 対象外
サ高住・認知症高齢者グループホーム・障害者グループホーム 規模により対象
事務所だけのビル 対象外(事務所は対象用途に含まれていない)
飲食店・物販店などが一定規模で入る建物(店舗併設マンションを含む) 規模により対象
ホテル・旅館、病院・有床診療所、老人ホームなど 規模により対象
エレベーター(昇降機) 原則対象(1年ごと)

(出典:相模原市「定期報告が必要な建築物、建築設備等及び報告周期一覧」)

全面打診の要否は、次の一文で判断できます。

「竣工、または前回の全面打診・外壁全面改修から10年を超えていれば、次の定期調査で全面打診が必要」

定期報告の対象外のマンションでも、私はこの「10年」を一つの目安にして、外壁の状態を確かめることをお勧めしています。

建築基準法第12条の基本(定期調査と定期検査の違い)

建築基準法第12条は、多くの人が利用する建物の所有者・管理者に「建物の安全を有資格者に定期的に調べさせ、その結果を特定行政庁に報告する」ことを求める制度です。特定行政庁とは、建築確認や違反建築の指導を担う行政機関のことです。相模原市は政令指定都市で、相模原市中央区を含む市内全域では相模原市がこれにあたります。

12条には、建物本体を調べる「特定建築物定期調査」(1項)と、設備を調べる「建築設備・防火設備・昇降機等の定期検査」(3項)があります。外壁の打診は、1項の特定建築物定期調査のうち「建築物の外部」の項目に含まれます。

相模原市の公式ページは、報告義務を負うのは建物の所有者(所有者と管理者が異なる場合は、維持管理の権限を委任された管理者)だと説明しています。調査・検査ができるのは、一級・二級建築士か、特定建築物調査員などの有資格者です(出典:相模原市「定期報告制度について」(令和8年3月16日更新))。

外壁の全面打診のルールは、平成20年国土交通省告示第282号で定められています。タイル・石貼り(乾式工法を除く)・モルタルなどの外壁で、落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分は、おおむね10年ごとに全面的に打診等で調べることになりました。令和4年1月18日の告示改正では、無人航空機(ドローン)による赤外線調査も、全面打診以外の方法として認められています(出典:国土交通省)。

相模原市中央区の12条点検:報告周期・指定月・窓口

窓口は市役所第1別館の建築審査課、提出先は神奈川県建築安全協会

項目 内容(公式ページ掲載)
担当 相模原市 都市建設局 まちづくり推進部 建築審査課 防災・監察班
住所 〒252-5277 相模原市中央区中央2-11-15 市役所第1別館4階
電話 042-769-8254(防災・監察班)
報告書の提出先 (一財)神奈川県建築安全協会(横浜市中区元浜町3-21-2 ヘリオス関内ビル)
提出先の電話 建築物・建築設備:045-212-4511/昇降機・遊戯施設:045-212-4519

(出典:相模原市「定期報告制度について」、相模原市「令和7年7月1日 定期報告告示について」)

相模原市は、定期報告書の提出・受付業務を(一財)神奈川県建築安全協会に委託しています。制度の相談は市の建築審査課、書類の提出は横浜・関内の協会、と覚えておくと迷いません。相模原市中央区の建物にとって、市の窓口が同じ区内(相模原駅から南東の市役所エリア)にあるのは相談しやすい点です。報告書の様式は、神奈川県建築安全協会のホームページからダウンロードできます。

3年周期の建物は「令和9年度10月」が次の報告

相模原市は、用途と規模ごとに報告周期と「指定月」を決めています。一覧から主なものを抜き出すと次のとおりです。

区分(主なもの) 報告周期 指定月
飲食店・物販店・ホテル・病院・共同住宅(サ高住等)などで、3階以上や地階に100㎡を超える部分がある建物など 3年 10月
ホテル・旅館・病院などのうち、避難階以外の階に対象用途があり、床面積の合計が300㎡を超えるもの 1年 12月
用途・規模によっては(一覧の該当区分) 1年 9月

(出典:相模原市「定期報告が必要な建築物、建築設備等及び報告周期一覧」。正確な区分は一覧の原文で確認してください)

3年周期の建物について、相模原市は「平成30年度を初回とし、3年ごとの提出(平成30年度、令和3年度、令和6年度…)」と明記しています。前回は令和6年度でしたので、次回は令和9年度(指定月10月)です。本記事の公開日(令和8年10月)から見ると、ちょうど1年前にあたります。

市の一覧の Q&A によると、特定建築物の報告時期は「指定月」のとおりで、提出の2か月前ごろに市から通知が届きます。通知が届いてから調査会社を探すと、全面打診が必要な建物では準備が間に合わないことがあります。

相模原市独自の注意点:「調査は報告時期前1か月以内」

相模原市の公式ページには、「調査・検査は、報告の時期前1カ月以内に行う必要があります」と書かれています。他の自治体では「3か月以内」としている例もあるため、相模原市のこのルールは期間が短いのが特徴です。

全面打診が必要な年に、この1か月の中で外壁を叩き終えるには、事前の段取りが欠かせません。足場を組む場合、足場の組立・解体だけで日数を取られます。全面打診の結果をどの時点のものとして扱えるかは建物ごとに判断が分かれるため、全面打診の実施時期と報告の関係は、計画の段階で建築審査課に確認しておくことをお勧めします。

令和7年7月の告示改正への相模原市の対応

令和7年7月1日施行の国の告示改正を受け、相模原市は次の変更を案内しています(出典:相模原市「令和7年7月1日 定期報告告示について」)。

  • 常時閉鎖式防火扉は、防火設備の検査項目とし、対象を「各階の主要な」ものに限定。報告周期は1年。
  • ただし、報告周期3年の特定建築物で、防火設備の点検対象が常時閉鎖式防火扉だけの場合に限り、報告周期は3年。
  • 特定建築物定期調査と建築設備定期検査で重複していた調査項目は、建築設備等定期検査で実施。

調査会社を選ぶときは、相模原市のこの扱いを理解しているかを確認してください。

店舗併設マンションは「対象かどうか」を一度確かめる

相模原市の一覧では、共同住宅(一般のマンション)は対象用途に入っていません。ただし、1階・2階などに飲食店や物販店が入る建物は、その店舗部分の規模によって特定建築物になり得ます。たとえば飲食店は、「3階以上の階に100㎡を超える部分がある」「2階の床面積の合計が500㎡以上」「床面積の合計が3,000㎡以上」「地階に100㎡を超える部分がある」のいずれかに当たると対象です(避難階以外の階に対象用途があるものに限る)。一方、床面積100㎡超〜200㎡以下で階数が2以下のものは対象外とされています。

1階だけの小さな店舗なら対象外になることが多いのですが、2階に大きな飲食店が入る駅前の建物や、地下に店舗がある建物は対象になる可能性があります。対象になれば、外壁も調査の範囲に入り、竣工から10年を超えていれば全面打診が必要になります。「うちはマンションだから関係ない」と思い込まず、テナントの用途・階・面積を一度確認し、判断がつかなければ建築審査課に相談するのが確実です。

相模原市中央区ならではの事情:区画整理の街の集合住宅と、駅前の外壁

「落ちたら誰に当たるか」で調べる面を決める

相模原駅・矢部駅の周辺や、西門地区などの商業地には、歩道に面して建つ建物が多くあります。告示第282号の全面打診が対象とするのは、「落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分」です。私が現場で外壁の調査範囲を決めるときも、「その真下を誰が歩いているか」を最初に見ます。歩道に面した面、店舗や共用エントランスの出入口の上、駐輪場の上は、優先して叩くべき面です。

以前、駅前の店舗併設マンションで外壁の打診をしたとき、1階店舗の庇(ひさし)のすぐ上の段のタイルが、まとまって浮いていたことがあります。庇の上は雨水がたまりやすく、そこから下地に水が回っていました。地上からの目視では、庇に隠れてまったく見えない場所です。人が出入りする真上だけに、私は今でも、庇や看板の上は真っ先に確認するようにしています。

同じ時期に建った建物は、同じ時期に劣化する

相模原市中央区は、区画整理で道路が整い、集合住宅が多い地域です。同じ時期にまとまって建った建物は、外壁のタイルやシーリング(目地のゴム状の防水材)も同じ時期に寿命を迎えます。大規模修繕の周期(おおむね12〜15年)と全面打診の周期(おおむね10年)は少しずれているため、修繕履歴を確認すると「前回の大規模修繕から10年を超えたのに、外壁はまだ叩いていない」という建物が出てきます。

報告義務がなくても、落下事故の責任は残る

住戸だけのマンションは定期報告の対象外ですが、それで外壁の責任がなくなるわけではありません。建築基準法第8条は、建物の所有者・管理者・占有者に「常時適法な状態に維持するよう努める」ことを求めています。外壁のタイルが落ちて通行人がけがをすれば、民法第717条(工作物責任)により所有者等が責任を問われる可能性があります。報告義務のない分譲マンションも、管理組合が自主的に外壁を調べる意味は大きいと私は考えています。

全面打診が必要になる4つのきっかけ

理事長さまやオーナーさまには、次の4つを「全面打診のきっかけ」としてお伝えしています。

  1. 竣工から10年を超えた:最初の全面打診の起点です。
  2. 外壁の全面改修から10年を超えた:タイル張替えや全面補修をした年から数え直します。
  3. 前回の定期調査で「要是正」とされ、改善が済んでいない:次の報告で改善状況が問われます。
  4. タイルの浮き・剥落の兆候が見つかった:報告年を待たず、手の届く範囲の打診で異常があれば全面打診で確かめます。

相模原市の3年周期の建物の次の報告は令和9年度です。前回の全面打診が平成29年度以前なら、令和9年度の調査では全面打診が必要になる可能性が高いと考えてください。まずは修繕履歴で、前回の大規模修繕の年と、最後に全面打診をした年を確かめてみてください。

費用の目安:打診の㎡単価と、足場・ロープアクセスの差

費用の目安を示します。以下は参考値で、実際の見積は建物の形状・高さ・外壁の仕上げ・敷地条件で大きく変わります。

項目 目安
全面打診調査の㎡単価(調査のみ) 250〜500円/㎡
10階建て・外周80m・打診対象約2,000㎡の調査費 約50〜100万円
同条件で仮設足場を組む場合(工期3か月想定) 約168万円
同条件でロープアクセス工法の場合 約59万円
足場とロープアクセスの差額 約109万円

全体の費用を押し上げるのは、打診そのものより足場です。しかも相模原市では「調査は報告時期前1か月以内」というルールがあるため、足場を組んで叩いて外すまでの段取りをこの期間に合わせる必要があります。料金の考え方は明誠の大規模修繕の料金の考え方でも公開しています。

ロープアクセス工法が12条打診で選ばれる理由

ロープアクセス工法とは、屋上などの確実な吊元から、作業員がメインロープとバックアップロープの2本に接続して壁面に降り、足場を組まずに調査や補修を行う工法です。吊元は2点以上を確保し、二重の冗長化で安全を確保します。国際基準(IRATA)に沿った、業界標準のやり方です。技術の詳細は明誠のロープアクセス工法のページに、安全への取り組みは明誠の安全管理にまとめています。

12条打診でロープアクセスを選ぶ理由は、主に3つです。

  1. 費用:足場代を抑えられます。上の例では、足場工法より約100万円の差が出る可能性があります。
  2. 期間:足場の組立・解体がないため、足場工法の約60%の工期が目安です。相模原市の「報告前1か月以内」という短い期間にも合わせやすくなります。
  3. 居ながら・営業しながら施工:窓や店舗の前に足場やメッシュシートがかからず、日当たりや防犯面の不安、店舗の看板が隠れる心配が少なく済みます。

打診は、テストハンマーでタイルやモルタルを一枚ずつ叩き、音の違いを聞き分ける仕事です。ロープアクセスなら、見つけた浮きにその場でマーキングし、条件が合えば注入による部分補修まで続けて行えます。ドローンの赤外線調査で全体を把握し、気になる面だけロープアクセスで叩いて確かめる組み合わせも可能です。ただし、市街地でドローンを飛ばすには航空法上の許可・承認や周辺への配慮が必要なため、事前の確認が欠かせません。

株式会社明誠は、これまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕に携わってきました。ロープアクセスでの高所作業では、明誠と全国のフランチャイズ加盟企業で、過去16年間、墜落による労働災害ゼロを続けています。作業は、IRATA水準の訓練を受けた作業員が担当します。

ロープアクセスの訓練体制や施工の実例は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムで詳しく紹介しています。足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3工法の比較もロープアクセスドットコムに掲載しています。塗装・防水・タイル・電気・看板などの専門工事会社さまで、フランチャイズ加盟をご検討の方もロープアクセスドットコムからご覧ください。

12条点検を大規模修繕・長期修繕計画とつなげる

12条点検(または自主的な外壁調査)と大規模修繕を、別々の会社に別々のタイミングで発注している管理組合やオーナーさまは少なくありません。私はこれを、できるだけワンセットで考えるよう提案しています。

  • 足場代の二重払いを避ける:打診のために足場を組み、数年後の大規模修繕でまた組む、という重複をなくせます。
  • 調査結果が補修数量の根拠になる:浮き・欠損の位置と数量が分かれば、見積書の数量が透明になります。
  • 長期修繕計画の精度が上がる:外壁の劣化が数字で分かり、修繕積立金の見通しが立てやすくなります。
  • ハイブリッド工法の判断材料になる:店舗のある低層部は足場、上層部はロープアクセス、と面ごとに使い分けると総額が下がる建物もあります。

令和9年度の報告を控える建物なら、令和8年度のうちに外壁の状態を把握し、その結果を大規模修繕の計画に組み込むのが理想です。報告年に慌てて足場を組む必要がなくなります。

分譲マンションの管理組合さまは管理組合様向けの大規模修繕サービスを、賃貸マンション・テナントビルのオーナーさまはビルオーナー様向けの修繕サービスを、ホテル運営者さまはホテル様向けの修繕サービスをご覧ください。

よくあるご質問

Q. 相模原市中央区の分譲マンションは、12条の定期報告が必要ですか?

A. 相模原市の一覧では、共同住宅はサービス付き高齢者向け住宅・認知症高齢者グループホーム・障害者グループホームに限って対象とされています。住戸だけのマンションは建築物の定期報告の対象外ですが、エレベーターは原則として1年ごとの定期検査報告が必要です。

Q. 1階や2階に店舗が入るマンションは対象になりますか?

A. 店舗の用途・階・面積によっては特定建築物として対象になります。たとえば飲食店は、3階以上や地階に100㎡を超える部分がある場合、2階に500㎡以上ある場合などが対象です。判断に迷う場合は、相模原市建築審査課(042-769-8254)に相談してください。

Q. 次の定期報告はいつですか?

A. 3年周期の特定建築物は、平成30年度・令和3年度・令和6年度に続き、次回は令和9年度です。指定月は10月で、提出の2か月前ごろに市から通知が届きます。ホテル・病院などのうち1年周期のものは、毎年の指定月(12月など)に報告します。

Q. 報告書はどこに出しますか?

A. 相模原市は提出・受付業務を(一財)神奈川県建築安全協会(横浜市中区元浜町)に委託しています。様式も同協会のホームページからダウンロードできます。制度の相談は市の建築審査課です。

Q. 調査はいつ行えばよいですか?

A. 相模原市は「調査・検査は、報告の時期前1カ月以内に行う必要があります」と案内しています。全面打診が必要な年は、実施時期と報告の関係を、計画段階で建築審査課に確認しておくと安心です。

Q. 外壁の全面打診は何年ごとですか?

A. 定期報告の対象建築物では、竣工や外壁の全面改修、前回の全面打診から、おおむね10年を経過したあとの最初の定期調査で必要です。根拠は平成20年国土交通省告示第282号です。

Q. 足場を組まずに外壁の全面打診はできますか?

A. 屋上に2点以上の吊元を確保できれば、ロープアクセス工法でメインロープとバックアップロープの2本に接続して降り、足場なしで外壁を叩いて調べられます。現地を見て、足場との組み合わせも含めてご提案します。

まとめ+今週動くこと3点

相模原市中央区の12条点検は、相模原市建築審査課が所管し、報告書は神奈川県建築安全協会に提出します。住戸だけのマンションや事務所だけのビルは建築物の定期報告の対象外ですが、飲食店・物販店・ホテル・病院などが一定規模で入る建物は対象です。3年周期の建物の次回報告は令和9年度(指定月10月)で、調査は報告時期前1か月以内に行う必要があります。

今週動くことを3つに絞ります。

  1. 自分の建物が対象かを確かめる:テナントの用途・階・床面積を確認し、判断がつかなければ建築審査課に相談する。
  2. 最後の全面打診の年を調べる:修繕履歴や過去の調査報告書を見て、令和9年度の時点で10年を超えないかを確かめる。報告義務のない分譲マンションも、10年を目安に外壁の状態を数字で把握する。
  3. 令和9年度10月から逆算して段取りを組む:「報告前1か月以内」のルールを踏まえ、工法(足場・ロープアクセス・ハイブリッド)と大規模修繕との一体化を、次の理事会・オーナー会議で共有する。

明誠の施工実績は明誠の施工事例で、私たちの考え方は明誠の理念でご覧いただけます。ご相談は大規模修繕・打診調査のお問い合わせフォームからどうぞ。相模原市中央区を含む神奈川県全域で、現地調査にも対応しています。報告の通知が届く前に一度建物を見ておくだけでも、次の一手はずっと選びやすくなります。

出典・参考資料

本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月15日(令和8年度)時点で公表されている国土交通省・相模原市の公式情報をもとに執筆しています。相模原市「定期報告制度について」は令和8年3月16日(令和7年度末)更新の掲載を確認しました。対象・周期一覧のPDFは令和7年版(ファイル名2025)で、令和8年度に別版が出ていないかは市にご確認ください。中央地区の紹介ページは令和3年更新のため、現在とは異なる可能性があります。制度は年度途中でも改正があり得ます。調査・報告の前に、相模原市建築審査課 防災・監察班(042-769-8254)へ最新の内容をご確認ください。費用の数字は参考値で、個別の見積を保証するものではありません。

この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年10月15日


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鎌倉市のマンション漏水・防災対策|台風25号の冠水と崖崩れ、谷戸の内水から考える大規模修繕の優先順位【2026年度版】

2026年10月14日 更新

2026年9月の台風第25号は、鎌倉市にも冠水と崖崩れ、倒木をもたらしました。被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。復旧の途中にある管理組合さまも多いと思います。そのうえで、この記事は「次の大雨の前に、マンションで何を整えるか」を、現場の目線でお伝えするために書いています。

私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。拠点は東京都東大和市ですが、神奈川県内のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕も手がけています。20年以上、外壁と防水の現場に立ってきました。仮設足場を組む工事も、メインロープとバックアップロープの2本に接続して壁面に降りる無足場の工事も、どちらも自分の手でやってきた人間です。

鎌倉市のマンションでご相談を受けると、私はまず「建物の背後や横に、山や擁壁はありますか」とお聞きします。三方を山に囲まれ、南が相模湾に開いたこの街では、水の心配は川のあふれだけではありません。山から流れ落ちる雨水、狭い谷に集まる雨水、海からの高潮と津波。この3つが重なる場所に建物が立っています。

今日は、鎌倉市・神奈川県・気象庁・国土交通省の公式情報をもとに、鎌倉市の分譲・賃貸マンション、そしてオーナーさまのビルやホテルが、大規模修繕で先に手を打つべき場所を整理します。


結論:鎌倉市で優先すべきは「山側の水」「谷戸の内水」「屋上とバルコニーの排水」です

先に結論を申し上げます。鎌倉市のマンションでは、次の3つから動くことをお勧めします。

  1. 建物が土砂災害警戒区域に入っていないか、隣接していないかを確認し、擁壁・水抜き穴・敷地排水を点検する:台風25号では、市内で崖崩れが20件報告されています
  2. 市の洪水ハザードマップと、県・市の内水の資料で、建物の位置を確認する:川から離れた建物でも、道路や谷筋に水が集まることがあります
  3. 屋上ドレン・バルコニー排水・サッシまわりのシーリングを点検し、防水の改修時期を記録で確認する:まとまった雨で最初に出る被害は、排水が追いつかないことによる漏水です

順に見ていきます。

2026年9月の台風25号が、鎌倉市に突きつけたもの

鎌倉市の発表を伝えたタウンニュースによると、市は9月19日に災害警戒本部を設置しました。9月21日朝には防潮扉4か所を閉鎖し、警戒レベル3を発令して市立小学校16校を避難所に開設しています。昼過ぎには災害対策本部へ格上げし、警戒レベル4の避難指示を出しました。累積雨量は、鎌倉消防署で312.5mm、大船消防署で288.5mmと報じられています(出典:タウンニュース「台風25号 崖崩れなど被害相次ぐ」)。

9月25日正午の集計では、崖崩れが七里ガ浜などで20件、浸水が小町で12件、倒木が御成町などで7件、護岸の流出が山ノ内で1件でした。若宮大路とJR横須賀線の高架下が冠水し、車両が水没して一時通行できなくなっています。人的被害は確認されていません。NHKも「鎌倉で交差点が冠水 ホテルは浸水」と報じました(出典:NHK「台風25号 鎌倉で交差点が冠水 ホテルは浸水」)。

気象庁は、9月20日22時57分に線状降水帯の半日前予測、9月21日12時58分に直前予測を発表しています(出典:気象庁 横浜地方気象台「令和8年 台風第25号に関する神奈川県気象速報」)。この速報に鎌倉の観測値は載っていませんので、市内の雨量は市の消防署の数字で見るのが現実的です。神奈川県の被害状況(第7報)でも、鎌倉市は避難指示の対象に入っています(出典:神奈川県「令和8年台風25号による県内被害状況(第7報)」)。

私がこの数字から読み取るのは、「人が避難するほどの雨」が、建物の足元ではすでに「排水が追いつかない雨」になっているということです。その最初の症状が、屋上やバルコニーからの漏水です。

鎌倉市のハザードマップを1枚で読む

鎌倉市の防災情報は、市のハザードマップと「鎌倉市防災情報マップ(かまくらわが街マップ)」で確認できます。住所や目標物から場所を探し、洪水・内水・土砂災害・津波などの種別を選んで表示する仕組みです(出典:鎌倉市「防災情報マップのご案内」)。災害ごとに前提が違いますので、分けて整理します。

種別 鎌倉市での前提・位置づけ
洪水 県が想定し得る最大規模の降雨で河川が氾濫した場合を想定。市の洪水マップの対象は滑川、神戸川、柏尾川
内水 下水道の排水能力を超えた雨による浸水。県の雨水出水浸水想定区域の一覧に鎌倉市が掲載
土砂災害 大船・玉縄、腰越・深沢、鎌倉の3地域ごとに市が土砂災害ハザードマップを作成
津波 県の津波浸水予測図(平成27年3月)。由比ヶ浜地区の最大津波高さは7.7m、到達は最短8分
高潮 県が公表した、想定し得る最大規模の高潮による浸水想定区域に鎌倉市が掲載

洪水:想定は24時間で309mmと632mm

市の洪水ハザードマップは、県が「想定し得る最大規模等の降雨」で河川が氾濫した場合を想定して作られています。想定する24時間雨量は、滑川と神戸川が309mm、境川水系の柏尾川が632mmです。公表は令和5年3月で、ページは2025年4月10日に更新されています(出典:鎌倉市「鎌倉市洪水ハザードマップ」)。

県の洪水浸水想定区域図のページには、鎌倉市に関係する河川として、柏尾川(平成30年1月26日指定)と滑川(令和2年4月28日指定)が掲載されています。このページには、支川の氾濫や内水、高潮は考慮されておらず、指定区域の外でも浸水が起きることがあるとの注意書きもあります(出典:神奈川県「河川の氾濫による洪水浸水想定区域図」)。

内水:計画降雨は1時間57.1mm、想定最大は153.0mm

川があふれなくても、下水道が飲み込めない雨で街は浸水します。鎌倉市の雨水管理総合計画では、現行の下水道計画降雨は1時間57.1mm、気候変動を踏まえた計画降雨は1時間59.7mmです。想定最大規模降雨は1時間153.0mmとされています。

過去には、平成16年の台風22号、平成26年の台風18号で浸水が起き、令和7年9月の台風でも鎌倉駅周辺で浸水被害が出ました。浸水リスクが最も高い「重点対策地区」には、御谷川排水区と佐助川排水区が位置づけられ、砂押川左岸排水区と梅田川排水区がそれに続きます(出典:鎌倉市「雨水管理総合計画」)。県の雨水出水浸水想定区域の一覧にも鎌倉市が載っています(出典:神奈川県「雨水出水浸水想定区域」)。ご自身の建物がどの排水区に入るかは、市の下水道担当に聞くと確認できます。

土砂災害:区域に入ることは、危険の直接の証明ではありません

市の土砂災害ハザードマップは、令和4年1月に改定されています。市のページには「区域に指定されることが直接、がけ崩れ等の危険性を示しているということではありません」とあります。一方で、県が急傾斜地の基礎調査を進めており、結果は調査が終わった箇所から順次公表されます。区域は増える可能性がありますので、古い地図を見て安心せず、県の土砂災害情報ポータルも併せて確認してください(出典:鎌倉市「鎌倉市土砂災害ハザードマップ」、神奈川県「土砂災害ハザードマップ」)。

津波・高潮:海に近い低地は電気設備の位置が分かれ目です

県の津波浸水予測図(平成27年3月)では、鎌倉海岸(由比ヶ浜地区)の最大津波高さは7.7m、到達時間は最短8分です。想定は「元禄関東地震タイプと国府津-松田断層帯地震の連動地震」です(出典:神奈川県「津波浸水予測図」)。

材木座については、市の津波避難計画(平成28年3月)が、一丁目から六丁目までを避難困難区域に含め、三丁目・五丁目は海抜が3m前後と低いと整理しています(出典:鎌倉市「津波避難計画 地域別実施計画 由比ガ浜・材木座エリア」)。高潮については、県が公表した「想定し得る最大規模の高潮による浸水想定区域」に鎌倉市が掲載されています(公表2026年1月14日、出典:神奈川県「高潮ハザードマップ」)。

地域特性と漏水事故の関係:山際・谷戸・海沿いで起きること

鎌倉は、地形が建物の傷み方を変える街です。私の経験上、同じ築年数でも立地で痛む場所が違います。

山際の建物:背後に擁壁や急傾斜地がある建物は、雨水が斜面を伝って敷地に集まります。擁壁の水抜き穴が詰まると、水圧が逃げ場を失います。国土交通省の事例では、令和6年8月30日の台風10号で、二階堂の紅葉ヶ谷地区で連続雨量135mm(大町橋雨量観測所)のなかがけ崩れが起き、県が整備した急傾斜地崩壊防止施設が落石(幅約1.8m、高さ約0.8m)を受け止めて、人家への被害を防いだと紹介されています(出典:国土交通省「急傾斜地崩壊防止施設の効果事例(鎌倉市二階堂)」)。

谷戸(丘陵の間の細い谷)の建物:谷戸は雨水が集まって流れ下る道筋です。道路が川のようになり、地下駐車場や1階の出入口、エレベーターのピットに水が入りやすくなります。若宮大路や横須賀線高架下の冠水は、まさにその典型だと私は見ています。

海沿いの建物と観光地のホテル:潮風にさらされる外壁は、シーリングや塗膜の劣化が早まります。海が近い建物ほど、金物の傷みも点検の頻度を上げたほうが安全です。ホテルの場合は、浸水すると営業停止に直結しますので、受変電設備と厨房設備の位置を最優先で確認してください。

なお、歴史的な景観を守る地域では、工事内容によって市への事前相談や手続きが必要になることがあります。足場の設置やお色直しをお考えのときは、計画の早い段階で市の窓口へご確認ください。

大規模修繕でチェックすべき漏水ポイント7つ

台風のあとは、次の7か所を順に見ます。目安の単価も添えますが、実際の見積は物件の状態で大きく変わりますので、参考値としてご覧ください。

  1. 屋上防水:ふくれ、ひび割れ、端部の浮き。改修費は1㎡あたり5,000〜8,000円程度が目安です
  2. シーリング:外壁の目地、サッシまわりの硬化・痩せ・切れ。打ち替えの時期を記録で確認します
  3. バルコニー排水:排水溝の詰まり、床の勾配、笠木まわり。ここの水が下階の天井に出ます
  4. ドレン(屋上・バルコニーの排水口):落ち葉や土砂の詰まり、ストレーナー(ごみ除け)の破損。山が近い鎌倉では、落ち葉による詰まりが多い印象です
  5. 立上り(防水層が壁と接する部分):端部の押さえ金物の浮き、シールの切れ
  6. サッシまわり:枠と外壁の取り合い、水切り、室内側の結露と雨漏りの見分け
  7. エキスパンションジョイント(建物の動きを逃がす継ぎ目):カバーの外れ、止水材の劣化。揺れと雨の両方に弱い場所です

「どこから入った水か分からない」というご相談は、実はとても多いです。そのときは、散水試験や赤外線調査で入口を絞ってから工事範囲を決めます。外壁の塗装を含めた改修の費用感は、1㎡あたり3,500〜4,500円が目安になります。進め方は明誠の漏水対応のご案内にまとめています。

漏水緊急対応でロープアクセスが強い理由

台風のあとの現場では、道路が土砂や倒木でふさがれていたり、斜面側に足場の資材を置く場所がなかったりします。鎌倉の細い道では、資材を積んだ車が入れないこともあります。足場は、手配から組み上げまで通常でも数日から1週間以上かかります。その間にも雨は降ります。

ロープアクセス工法は、屋上の2点以上の吊元を確保し、メインロープとバックアップロープの2本に接続して壁面に降りる無足場の工法です。足場を待たずに、調査、応急のシーリング、ドレン清掃、仮防水まで進められます。10階建て・外周80m・工期3か月の建物を例にすると、足場工法の168万円に対し、ロープアクセスでは59万円と、約109万円の差が出る試算もあります(物件により変動する参考値です)。仕組みの詳細はロープアクセス工法のご紹介と明誠の安全管理をご覧ください。

株式会社明誠は、これまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセス工法では、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業で過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。技術や訓練の詳しい情報は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムで公開しています。山側は無足場、道路に面した平らな側は足場というハイブリッド工法もご提案できます。明誠のこれまでの工事は、明誠の施工事例からご覧いただけます。

防災上の共用部:位置を知り、直す順番を決める

国土交通省と経済産業省の「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン」は、まず建物のリスクを把握し、そのうえで電気設備を浸水しにくい場所に置く、出入口や換気口などの開口部をふさぐ、排水設備の逆流を防ぐ、といった対策を組み合わせるよう示しています(出典:国土交通省「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン」概要)。

管理組合の優先順位に置き換えると、次の順になります。

  1. 受変電設備(電気を建物に引き込む設備):エレベーターもポンプもここが止まると動きません。地下・半地下にあるなら最優先です
  2. 給水ポンプ・受水槽:停電で止まると高層階が断水します
  3. エレベーター:ピット(昇降路の底)への浸水は長期停止につながります。坂や階段の多い街では、高齢の居住者の生活に直結します
  4. 非常用発電機と燃料:発電機自体が浸水しない位置か、燃料の備蓄は足りるかを確認します
  5. 避難通路と山側の出入口:山側の通路は、土砂災害のときに使えない可能性があります。海側の低地では、津波避難ビルへの経路も確認してください

設備まわりの防水や止水板の下地補修は、大規模修繕の工事範囲に入れると、足場やロープの手配を共用できて費用を抑えやすくなります。ビルオーナーさまはビルオーナー向けの明誠のサービス、管理組合さまは管理組合向けの明誠のサービスをご覧ください。

鎌倉市で使える防災補助・耐震助成(令和8年度の確認ポイント)

マンション耐震診断補助:鎌倉市のページによると、診断費用の2分の1が補助され、上限は150万円です。延べ面積が1,000㎡未満のマンションは、1㎡あたり1,500円が限度(1,000円未満は切り捨て)になります。別の市のページには、対象を昭和56年5月31日以前に建築確認を受けた市内のマンションとし、耐震改修アドバイザーの派遣を受けて診断を実施する場合に補助されると書かれています(更新2026年7月14日)。

条件として、住戸の過半に区分所有者が居住していること、管理組合の集会で診断の実施が決議されていること、診断結果が耐震判定委員会から適正と評価されることなどが挙がっています。耐震診断に着手する前に、補助金の交付申請が必要です。

注意していただきたいのは、補助制度のページ(更新2021年11月17日)に、受付期間や対象年度が書かれていない点です。令和8年度の受付状況と予算は、市の都市調整部建築指導課へ最新の内容をご確認ください。なお、耐震改修工事そのものへの補助は、市のページではマンションを対象として明記されていません(出典:鎌倉市「マンション耐震診断補助金交付制度について」、鎌倉市「マンションの耐震改修工事をしたいと考えているのですが?」)。

台風25号の被害を受けた方向けには、証明書類の発行、市税の減免、国民健康保険料や介護保険料の減免などの案内が、市の「台風第25号の被害に対する各種支援及び手続き」(2026年10月1日更新)にまとまっています(出典:鎌倉市「台風第25号の被害に対する各種支援及び手続き」)。被害箇所は、直す前に写真で記録しておいてください。

よくあるご質問

Q. 鎌倉市のマンションは、どの災害を優先して備えるべきですか?

A. 立地で変わります。山際の建物は土砂災害と敷地排水を、谷戸や駅周辺の低い場所は内水を、海沿いは津波・高潮と電気設備の位置を優先してください。屋上・バルコニーの排水は、すべての建物に共通する最初の点検項目です。

Q. 自分のマンションが土砂災害警戒区域に入っているか、どう調べますか?

A. 市の「鎌倉市防災情報マップ(かまくらわが街マップ)」で住所から確認できます。県が基礎調査を進めており区域は変わりますので、神奈川県の土砂災害情報ポータルも併せてご覧ください。

Q. 台風のあと、屋上で何を見ればよいですか?

A. まずドレンの詰まりを見ます。落ち葉や砂を取り除き、水が引くかを確認してください。防水層のふくれやひび割れ、立上りの端部の浮きも写真に残すと、業者への相談が早くなります。

Q. 屋上防水の改修費はいくらくらいですか?

A. 工法や下地の状態で変わりますが、1㎡あたり5,000〜8,000円程度が目安です。物件ごとに大きく変動しますので、無料で概算をお出しできます。

Q. 道が狭く、足場が組みにくい建物の外壁から漏水しています。足場なしで直せますか?

A. 直せる場合が多いです。ロープアクセス工法なら、屋上から壁面へ直接降りて、調査からシーリングの打ち替えまで進められます。山側はロープ、平らな側は足場というハイブリッド工法も選べます。

Q. 耐震診断の補助は、すぐ申し込めますか?

A. 総会での決議と、診断に着手する前の交付申請が条件です。市のページに令和8年度の受付期間が書かれていないため、市の建築指導課で最新の内容をご確認ください。

Q. 施工事例は見られますか?

A. 明誠の施工事例からご覧いただけます。

まとめ:今週動くこと3点

最後に、今週中に理事会や管理会社へ出していただきたいことを3点にまとめます。

  1. 市の土砂災害ハザードマップと「かまくらわが街マップ」で、建物が警戒区域に入っていないか・隣接していないかを確認し、管理組合内で共有する
  2. 擁壁の水抜き穴・ひび割れ・敷地排水と、屋上ドレン・バルコニー排水の詰まりを、写真付きで管理会社に依頼する。電気室・給水ポンプ・エレベーターピットの位置と床の高さを図面で確認する
  3. 市の洪水ハザードマップと内水の資料で建物の位置を確かめ、サッシまわりと外壁シーリングの打ち替え時期を記録で確認する

台風25号の記憶が新しい今が、理事会でこの話を出すいちばんよい時期です。私はいつも理事長さまにお伝えしています。漏水も土砂も、起きてから直すより、起きる前に水の入口と出口を整えるほうが、はるかに安く済みます。ご相談だけでも遠慮なくお問い合わせフォームからお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。

本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月14日時点で公表されている鎌倉市、神奈川県、気象庁、国土交通省の公式情報をもとに執筆しています。被害数値は報道ベースの集計を含みます。ハザードマップの区域指定や補助制度は年度途中でも改正・更新があり得ます。実際に申請される前に、鎌倉市の該当窓口へ最新の内容をご確認ください。

出典・参考資料

この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年10月14日


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藤沢市のマンション漏水・防災対策|境川・引地川の洪水と内水、津波11.5m想定から考える大規模修繕の優先順位【2026年度版】

2026年10月14日 更新

2026年9月の台風第25号は、関東の広い範囲に大雨をもたらしました。被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。藤沢市でも、あの数日間の雨を思い出して、屋上や外壁の様子が気になっている管理組合さまが多いのではないでしょうか。この記事は、次の大雨の前にマンションで何を整えるかを、現場の目線でお伝えするために書いています。

私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。拠点は東京都東大和市ですが、神奈川県内のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕も手がけています。20年以上、外壁と防水の現場に立ってきました。仮設足場を組む工事も、メインロープとバックアップロープの2本に接続して壁面に降りる無足場の工事も、どちらも自分の手でやってきた人間です。

藤沢市でご相談を受けると、私はまず「建物は川の近くですか、海の近くですか、それとも丘の際ですか」とお聞きします。藤沢市は、境川と引地川という大きな川が市内を流れ、南は相模湾に面し、北には丘陵もあります。川、海、斜面の3つの水の心配が、1つの市の中に同居している街です。

今日は、藤沢市・神奈川県・気象庁・国土交通省の公式情報をもとに、藤沢市内の分譲・賃貸マンション、そしてオーナーさまのビルやホテルが、大規模修繕で先に手を打つべき場所を整理します。


結論:藤沢市で優先すべきは「川と内水」「海側の電気設備」「屋上・バルコニーの排水」です

先に結論を申し上げます。藤沢市のマンションでは、次の3つから動くことをお勧めします。

  1. 市の洪水・内水・津波・高潮の各ハザードマップで、建物の位置を1つずつ確認する:災害ごとに前提が違い、洪水の図に色がなくても内水や高潮で浸水する場所があります
  2. 受変電設備・給水ポンプ・エレベーターピットの位置と床の高さを、図面で確認する:海沿いと川沿いでは、ここが止まると建物全体の機能が止まります
  3. 屋上ドレン・バルコニー排水・サッシまわりのシーリングを点検し、防水の改修時期を記録で確認する:まとまった雨で最初に出る被害は、排水が追いつかないことによる漏水です

順に見ていきます。

2026年9月の台風25号と、藤沢市の雨の記録

気象庁 横浜地方気象台の「令和8年 台風第25号に関する神奈川県気象速報」によると、神奈川県には9月20日22時57分に線状降水帯の半日前予測、9月21日12時58分に直前予測が発表されています。県内の最大は、三浦市三浦の48時間降水量365.5mm(観測史上1位)でした(出典:気象庁 横浜地方気象台「令和8年 台風第25号に関する神奈川県気象速報」)。

藤沢市の観測地点は辻堂です。同じ速報によると、日降水量は9月20日が112.0mm、9月21日が137.5mm、24時間降水量は9月21日に219.0mm、48時間降水量は9月22日に249.5mmでした。1時間の最大は9月21日の40.5mmです。

この数字を、市のハザードマップの前提と並べてみます。市の内水ハザードマップが想定する最大規模の降雨は、1時間153mm、総雨量249mmです。今回の辻堂の48時間249.5mmは、総雨量だけを見ると想定と近い水準ですが、1時間雨量は40.5mmで、想定153mmの4分の1ほどでした。つまり、あの雨は「短時間に集中して降った最大級の雨」ではなく、「長く降り続けた雨」だったと読めます。長雨はまず、屋上・バルコニーの排水能力と、防水層、シーリングの弱点を試します。

国土交通省は、令和8年台風第25号、第26号及び前線による大雨の被害状況を、第1報(9月20日10時)から第17報(10月5日9時)まで公表しています(出典:国土交通省「令和8年台風第25号、第26号及び前線による大雨による被害状況等について」)。藤沢市内の具体的な被害は、市の公表資料でご確認ください。私がここで申し上げたいのは、被害の有無にかかわらず、あの雨のあとに建物を点検しておく価値は高いということです。

藤沢市は、過去にもたびたび避難情報を出してきました。市の「近年の災害における避難情報の発令状況」によると、2021年7月3日の大雨では避難指示が約53,060世帯・118,808人に、2024年8月30日から9月2日の台風第10号では避難指示が約52,160世帯・115,350人に、2025年9月5日の台風第15号でも約53,170世帯に発令されています(出典:藤沢市「近年の災害における避難情報の発令状況について」)。大雨への備えは、一度きりの話ではなく、毎年の前提と考えるのが現実的です。

藤沢市のハザードマップを1枚で読む

藤沢市は、災害の種類ごとにハザードマップを作っています。種類によって前提が違いますので、分けて整理します。

種別 藤沢市での前提・位置づけ
洪水 境川、柏尾川、引地川など市内12河川の浸水想定区域を掲載(令和5年度作成、令和8年3月更新)
内水 想定最大規模の1時間153mm、総雨量249mm。令和7年2月作成
土砂災害 土砂災害(特別)警戒区域。最新は県の土砂災害情報ポータルで確認
津波 相模トラフ沿いの海溝型地震(西側モデル)。最大津波高さ11.5m(湘南港海岸)
高潮 県の高潮浸水想定区域図(令和3年8月公表)をもとに市が作成(令和5年度作成、令和8年3月更新)

洪水:境川・柏尾川・引地川など12河川、想定は24時間で354〜632mm

市の「土砂災害・洪水ハザードマップ」には、洪水浸水想定区域の対象として、境川、柏尾川、引地川、蓼川、目久尻川、小出川、小糸川、不動川、打戻川、滝川、白旗川、一色川の計12河川が載っています。想定する24時間総雨量は河川ごとに異なり、境川・柏尾川・滝川・白旗川が632mm、引地川・蓼川・小糸川・不動川・一色川が412mm、目久尻川が398mm、小出川・打戻川が354mmです。ページには「令和8年3月更新」とあります(出典:藤沢市「土砂災害・洪水ハザードマップ(令和5年度作成)」)。

注意書きも大事です。想定を超える大雨、下水道からの氾濫、小さな河川の氾濫は考慮されておらず、色が付いていない区域でも浸水する場合があります。

境川は二級河川で、相模原市緑区の城山湖付近から相模湾に注ぎ、流域には町田市、相模原市、大和市、横浜市、藤沢市、鎌倉市が含まれます。幹川流路延長は約52km、流域面積は約211km²です。2014年6月1日には特定都市河川および特定都市河川流域に指定され、浸水被害を防ぐ対策が総合的に進められています(出典:藤沢市「境川」)。引地川についても、市が治水のページを設けています(出典:藤沢市「引地川」)。

神奈川県の洪水浸水想定区域図のページでも、河川ごとの想定区域が公表されています(出典:神奈川県「河川の氾濫による洪水浸水想定区域図」)。お持ちの建物がどの川の区域に入るかは、市のマップで住所から確かめられます。

内水:想定は1時間153mm。浸水深30cm以上を表示

川があふれなくても、下水道が飲み込めない雨で街は浸水します。藤沢市の内水氾濫ハザードマップは、「想定し得る最大規模の降雨」として1時間153mm、総雨量249mm、降雨継続時間560分を前提にしています。地形、下水道や水路などの排水施設、放流先河川の状況をコンピュータで再現して解析したもので、令和7年2月の作成です。浸水深は30cm以上を表示し、目安は0.3〜0.5mで床下浸水、0.5〜1.0mで床上浸水とされています。

注意すべき点もあります。このマップは外水氾濫(洪水)を考慮せず、過去の浸水実績も反映していません。マップ上で浸水が想定されていない場所でも浸水する可能性があると、市は明記しています(出典:藤沢市「内水氾濫ハザードマップ」解説資料)。水防法に基づく雨水出水浸水想定区域も、同じ1時間153mmを前提に公表されています(出典:藤沢市「水防法に基づく雨水出水浸水想定区域を公表します」)。

土砂災害:市内に約3,300棟が警戒区域内

市の防災指針(都市計画審議会に示された「たたき台」の資料)では、土砂災害(特別)警戒区域に約3,300棟が立地しているとされています。急傾斜地崩壊危険区域は19区域のうち12区域が整備済みで、未整備の区域には約260棟が立地します(出典:藤沢市都市計画審議会 資料「防災指針(たたき台)」)。たたき台の段階の資料ですので、数値は確定版でご確認ください。区域は見直されますので、最新は神奈川県の土砂災害情報ポータルで見るようにしてください。

津波:最大11.5m、第1波は6分

藤沢市の想定津波の概要によると、想定地震は相模トラフ沿いの海溝型地震(西側モデル)、規模はマグニチュード8.7、神奈川県全域で震度7です。第1波の到達は6分、最大津波高さは湘南港海岸で11.5m(到達12分)、片瀬漁港海岸で7.9m(11分)、藤沢海岸(茅ヶ崎市境〜片瀬漁港海岸西側)で8.8m(最短8分)とされています。津波は40分後ごろまで繰り返し押し寄せ、最大浸水面積は4.7km²です。なお、発生確率は「30年以内はほぼ0%、発生間隔は2000〜3000年以上」と市は説明しています(出典:藤沢市「藤沢市における想定津波の概要」)。

津波浸水想定図は平成27年3月に作成され、津波災害警戒区域は2021年3月22日に指定されています(出典:藤沢市「津波浸水想定図(平成27年3月作成)」)。到達まで数分という想定では、避難は「垂直避難(建物の上の階へ逃げること)」が主役になります。

高潮:室戸台風級を想定

市の高潮ハザードマップは、中心気圧910hPa(室戸台風を根拠)、暴風半径75km(伊勢湾台風を根拠)などの台風を想定しています。県の高潮浸水想定区域図(令和3年8月公表)をもとにしたマップで、内水や想定最大規模の洪水は考慮していません。ページは令和8年3月に更新されています(出典:藤沢市「高潮ハザードマップ(令和5年度作成)」)。

地域特性と漏水事故の関係:川沿い・海沿い・丘の際で起きること

藤沢市は、立地で建物の傷み方が変わります。私の経験上、同じ築年数でも、どこに建つかで痛む場所が違います。

川沿いの低地の建物:市の防災指針(たたき台)によると、洪水浸水想定区域には全市民の約2割(約9万人)が暮らしています。想定最大規模の浸水深0.5〜3.0m未満の区域では、建築物の約3割(約5,500棟)が垂直避難の難しい1階建てです。マンションは、上の階に逃げられる点では有利ですが、1階の出入口、地下駐車場、電気室、エレベーターのピットに水が入ると、生活が止まります。

海沿いの建物と、ホテル・観光施設:潮風と砂にさらされる外壁は、シーリングや塗膜の劣化が早まります。金物のさびも早く、点検の頻度を上げたほうが安全です。津波の想定では、基準水位2.0m以上の区域の建築物の約7割(約5,000棟)が木造とされています。鉄筋コンクリートのマンションは、上階が避難の受け皿になる側ですので、非常用の備蓄と、上階への階段の通行確保が大切になります。ホテルの場合は、浸水すると営業停止に直結しますので、受変電設備と厨房設備の位置を最優先で確認してください。

丘陵や斜面の際の建物:背後に擁壁(土を支える壁)や急傾斜地がある建物は、雨水が斜面を伝って敷地に集まります。擁壁の水抜き穴が詰まると、水圧が逃げ場を失います。敷地の排水溝、集水ます、擁壁のひび割れを、雨のあとに目で確認する習慣が役に立ちます。

大規模修繕でチェックすべき漏水ポイント7つ

台風や長雨のあとは、次の7か所を順に見ます。目安の単価も添えますが、実際の見積は物件の状態で大きく変わりますので、参考値としてご覧ください。

  1. 屋上防水:ふくれ、ひび割れ、端部の浮き。改修費は1㎡あたり5,000〜8,000円程度が目安です
  2. シーリング:外壁の目地、サッシまわりの硬化・痩せ・切れ。打ち替えの時期を記録で確認します
  3. バルコニー排水:排水溝の詰まり、床の勾配、笠木まわり。ここの水が下階の天井に出ます
  4. ドレン(屋上・バルコニーの排水口):砂や落ち葉の詰まり、ストレーナー(ごみ除け)の破損。海風で砂が運ばれる地域では、砂の堆積も見逃せません
  5. 立上り(防水層が壁と接する部分):端部の押さえ金物の浮き、シールの切れ
  6. サッシまわり:枠と外壁の取り合い、水切り、室内側の結露と雨漏りの見分け
  7. エキスパンションジョイント(建物の動きを逃がす継ぎ目):カバーの外れ、止水材の劣化。揺れと雨の両方に弱い場所です

「どこから入った水か分からない」というご相談は、実はとても多いです。そのときは、散水試験や赤外線調査で入口を絞ってから工事範囲を決めます。外壁の塗装を含めた改修の費用感は、1㎡あたり3,500〜4,500円が目安です。進め方は明誠の漏水対応のご案内にまとめています。

漏水緊急対応でロープアクセスが強い理由

台風のあとの現場では、道路が冠水していたり、足場の資材を置く場所がなかったりします。足場は、手配から組み上げまで通常でも数日から1週間以上かかります。その間にも雨は降ります。

ロープアクセス工法は、屋上の2点以上の吊元を確保し、メインロープとバックアップロープの2本に接続して壁面に降りる無足場の工法です。足場を待たずに、調査、応急のシーリング、ドレン清掃、仮防水まで進められます。10階建て・外周80m・工期3か月の建物を例にすると、足場工法の168万円に対し、ロープアクセスでは59万円と、約109万円の差が出る試算もあります(物件により変動する参考値です)。仕組みの詳細はロープアクセス工法のご紹介と明誠の安全管理をご覧ください。

株式会社明誠は、これまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセス工法では、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業で過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。技術や訓練の詳しい情報は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムで公開しています。海に面した側は無足場、道路に面した平らな側は足場というハイブリッド工法もご提案できます。明誠のこれまでの工事は、明誠の施工事例からご覧いただけます。

防災上の共用部:位置を知り、直す順番を決める

国土交通省と経済産業省の「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン」は、まず建物のリスクを把握し、そのうえで電気設備を浸水しにくい場所に置く、出入口や換気口などの開口部をふさぐ、排水設備の逆流を防ぐ、といった対策を組み合わせるよう示しています(出典:国土交通省「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン」概要)。

管理組合の優先順位に置き換えると、次の順になります。

  1. 受変電設備(電気を建物に引き込む設備):エレベーターもポンプもここが止まると動きません。地下・半地下にあるなら最優先です
  2. 給水ポンプ・受水槽:停電で止まると高層階が断水します
  3. エレベーター:ピット(昇降路の底)への浸水は長期停止につながります
  4. 非常用発電機と燃料:発電機自体が浸水しない位置か、燃料の備蓄は足りるかを確認します
  5. 避難通路と上階への経路:津波の想定では、到達が数分です。屋上や上階への避難経路が施錠されていないか、日頃から確認してください

設備まわりの防水や止水板の下地補修は、大規模修繕の工事範囲に入れると、足場やロープの手配を共用できて費用を抑えやすくなります。ビルオーナーさまはビルオーナー向けの明誠のサービス、管理組合さまは管理組合向けの明誠のサービスをご覧ください。

藤沢市で使える耐震の補助(令和8年度の確認ポイント)

藤沢市には、分譲マンションの耐震診断と耐震改修を支援する制度があります。いずれの市のページも2026年4月17日に更新されています。

分譲マンション耐震診断補助金:予備診断は費用の2分の1で、上限は1棟15万円です。本診断は、費用の2分の1、1棟150万円、面積に応じた額(1,000㎡まで1㎡あたり4,580円、1,000〜2,000㎡は2,350円、2,000㎡超は1,570円)の3つのうち、最も低い額が目安となる仕組みです。対象は、昭和56年5月31日以前に建築確認を得た鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄骨造で地階を除く階数が2以上のマンションなどで、区分所有者の2分の1以上が自己または1親等の親族で居住していること、原則6戸以上で1住戸が40㎡以上であることなどが条件です。受付は、事前相談と事前登録を終えた管理組合に限られます(出典:藤沢市「分譲マンション耐震診断補助金交付制度について」)。

分譲マンション耐震改修工事等補助金:耐震改修設計は費用の2分の1(1住戸あたり上限5万円)、耐震改修工事は費用の2分の1(1住戸あたり上限30万円。延べ面積5,000㎡未満は1,000万円、5,000〜10,000㎡未満は1,500万円、10,000㎡以上は2,000万円が建物上限)です。津波避難ビルは別の上限が設けられています(出典:藤沢市「分譲マンション耐震改修工事等補助金交付制度について」)。

注意していただきたいのは、どちらのページにも令和8年度の受付期間や年度の明記がない点です。事前相談は電話による完全予約制で、窓口は住まい暮らし政策課 耐震・マンション担当(0466-50-3541)です。実際に申請される前に、最新の内容をご確認ください。なお、市の耐震改修促進計画は令和8年(2026年)4月版が公開されています(出典:藤沢市耐震改修促進計画(2026年4月))。

よくあるご質問

Q. 藤沢市のマンションは、どの災害を優先して備えるべきですか?

A. 立地で変わります。境川・引地川などの川沿いは洪水と内水、海沿いは津波・高潮と電気設備の位置、丘の際は土砂災害と敷地排水を優先してください。屋上・バルコニーの排水は、すべての建物に共通する最初の点検項目です。

Q. 洪水ハザードマップで色が付いていなければ、浸水しませんか?

A. 市は、想定を超える大雨や下水道からの氾濫、小さな河川の氾濫は考慮しておらず、色が付いていない区域でも浸水する場合があるとしています。内水・高潮のマップも併せて確認してください。

Q. 台風や長雨のあと、屋上で何を見ればよいですか?

A. まずドレンの詰まりを見ます。砂や落ち葉を取り除き、水が引くかを確認してください。防水層のふくれやひび割れ、立上りの端部の浮きも写真に残すと、業者への相談が早くなります。

Q. 屋上防水の改修費はいくらくらいですか?

A. 工法や下地の状態で変わりますが、1㎡あたり5,000〜8,000円程度が目安です。物件ごとに大きく変動しますので、無料で概算をお出しできます。

Q. 海に近く、足場が組みにくい建物の外壁から漏水しています。足場なしで直せますか?

A. 直せる場合が多いです。ロープアクセス工法なら、屋上から壁面へ直接降りて、調査からシーリングの打ち替えまで進められます。海側はロープ、道路側は足場というハイブリッド工法も選べます。

Q. 耐震診断の補助は、すぐ申し込めますか?

A. 事前相談と事前登録を終えた管理組合が対象です。受付は電話の完全予約制ですので、住まい暮らし政策課の耐震・マンション担当で最新の内容をご確認ください。

Q. 施工事例は見られますか?

A. 明誠の施工事例からご覧いただけます。

まとめ:今週動くこと3点

最後に、今週中に理事会や管理会社へ出していただきたいことを3点にまとめます。

  1. 市の洪水・内水・津波・高潮の4種類のハザードマップで、建物の位置を確認し、管理組合内で共有する
  2. 屋上ドレン・バルコニー排水の詰まりを写真付きで管理会社に依頼する。電気室・給水ポンプ・エレベーターピットの位置と床の高さを図面で確認する
  3. サッシまわりと外壁シーリング、屋上防水の打ち替え時期を記録で確認し、長雨のあとに傷みが出ていないかを点検する

台風25号の記憶が新しい今が、理事会でこの話を出すいちばんよい時期です。私はいつも理事長さまにお伝えしています。漏水も浸水も、起きてから直すより、起きる前に水の入口と出口を整えるほうが、はるかに安く済みます。ご相談だけでも遠慮なくお問い合わせフォームからお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。

本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月14日時点で公表されている藤沢市、神奈川県、気象庁、国土交通省の公式情報をもとに執筆しています。市の防災指針は審議会に示された「たたき台」の資料を含みます。ハザードマップの区域指定や補助制度は年度途中でも改正・更新があり得ます。実際に申請される前に、藤沢市の該当窓口へ最新の内容をご確認ください。

出典・参考資料

この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年10月14日


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横須賀市の管理組合が使える無料相談窓口13選|マンション相談会・法律相談・耐震診断の事前相談から国の電話相談まで【令和8年度版】

2026年10月14日 更新

横須賀市のマンションの理事長さまから、こんなご相談をいただくことがあります。

「大規模修繕の時期が近づいてきたが、誰に何を聞けばいいのか分からない。専門家への相談料を修繕積立金から出すのは気が引ける」

横須賀市の管理組合には、費用をかけずに動ける入口があります。市が会場を用意し、よこすかマンション管理組合ネットワークが運営する「マンション相談会」です。毎月1回、土曜日の午後に、予約制で開かれています。令和8年度の日程は、市のページに全12回分が載っています(出典:横須賀市「マンション関連施策」、2026年6月2日更新)。

申し遅れました。私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。東京都東大和市を拠点に、20年近くマンション・ビル・ホテルの外壁の仕事をしてきました。この記事では、令和8年10月14日時点で横須賀市の管理組合が使える窓口を、費用の根拠とあわせて整理します。


結論:横須賀市で使える窓口は13、無料と読めるのは7

先に一覧でお示しします。公式ページに「無料」と書かれているものと、費用の記載が見つからなかったものを分けています。

# 制度・窓口 誰が対応するか 費用 申込先
1 マンション相談会(定期・予約制) 専門家(運営:よこすかマンション管理組合ネットワーク) 無料(同ネットワークのサイトに「無料相談会」と記載。市のページに費用の記載なし) 同ネットワーク 046-824-8133
2 出張相談会 同上 要確認(費用の記載なし) 同上
3 まちづくりアドバイザー(マンション再生)の派遣 専門家 要確認(費用の記載なし) 同上
4 マンション耐震診断の事前相談 建築安全係 要確認(相談料の記載なし) 都市部建築指導課 046-822-9530
5 法律相談(弁護士) 弁護士 無料 市民相談室 046-822-8114
6 宅地建物相談 宅地建物取引の専門家 無料 同上
7 登記相談 司法書士・土地家屋調査士 無料 同上
8 横須賀7士業合同無料相談会(11月7日) 7つの士業 無料(名称に明記) カレンダー上は予約不要
9 住宅相談(地元の建築組合) 建築組合 要確認(費用の記載なし) 予約不要(毎週金曜)
10 消費生活センター 消費生活相談員 要確認(相談料の記載なし) 046-821-1314
11 管理計画認定制度 相談ダイヤル(日管連) マンション管理士 無料(何回でも、1回30分程度まで) 03-5801-0858
12 マンション管理センター 電話相談 専門相談員 要確認(費用の記載なし) 03-3222-1517/1519
13 法テラス 無料法律相談 弁護士等 無料(収入・資産の基準あり) 0570-078374

「無料と読める」の7は、1・5・6・7・8・11・13です。1は費用が市のページではなく運営団体のサイトに書かれているため、予約の電話で念のためご確認ください。

正直にお伝えします。公式ページで費用の記載を確認できなかった窓口が6つありました。電話で申し込むときに「相談料はかかりますか」とひと言確認するだけで、あとから戸惑わずに済みます。

もう一つ、大事な点があります。神奈川県の「マンションアドバイザー派遣事業」は無料ですが、横須賀市のマンションは対象外です。県の案内には、横浜市・川崎市・相模原市・横須賀市は除くと書かれています。代わりに案内されているのが、横須賀市の出張相談会です(出典:神奈川県「マンションアドバイザー派遣事業」、2026年6月26日更新)。


市のマンション相談会:毎月1回、予約制

私が横須賀市の管理組合に最初にお勧めするのは、この相談会です。市の「マンション関連施策」ページには、次のように整理されています。

項目 定期相談会 出張相談会
対象 管理組合役員、区分所有者、居住者等 管理組合
時間・場所 13時30分〜16時30分、ヴェルクよこすか(勤労福祉会館) 相談者の希望する場所で随時
予約 必須 よこすかマンション管理組合ネットワークへ申込み
費用 市のページに記載なし(同ネットワークのサイトでは「無料相談会」) 市のページに記載なし

令和8年度の日程

日程は、すべて土曜日です。市のページに載っている、これから先の日付は次のとおりです。

回 日付
10月 10月24日(土)
11月 11月28日(土)
12月 12月26日(土)
1月 令和9年1月23日(土)
2月 令和9年2月27日(土)
3月 令和9年3月27日(土)

申込み・問合せは、よこすかマンション管理組合ネットワーク(電話 046-824-8133)です。ここで見落としやすい点があります。電話の受付は10時〜16時で、水曜・土曜・日曜・祝祭日は除かれています。今日は水曜日なので、つながるのは明日10月15日(木)からです(出典:同市ページ)。

予約の締切日は、ページに書かれていません。10月24日の回は10日後ですから、早めに電話するのが安全です。

同ネットワークのサイトには、相談の範囲として管理組合の運営、管理規約、修繕積立金、長期修繕計画、大規模修繕工事、耐震などが挙げられています(出典:よこすかマンション管理組合ネットワーク)。

使いどきは、見積依頼の前

ここで、現場にいる私の立場から一つお伝えします。相談会の価値は、施工会社の営業とは別の第三者の意見が聞けることです。見積書が出てから慌てて相談するより、見積依頼の前に相談するほうが、仕様のぶれが小さくなります。私が現場でよく見てきた遠回りは、見積りを取ったあとで「そもそも今回の工事範囲は適切なのか」と迷い、総会の日程がずれ込むケースです。

大規模修繕の費用感の目安も、先に頭に入れておくと相談の質が上がります。あくまで目安ですが、30戸規模のマンションで総工費は3,500万円〜5,000万円、そのうち仮設足場が15〜25%という幅が一般的です。外壁塗装は1㎡あたり3,500円〜4,500円、打診調査は1㎡あたり250円〜500円が参考値です。実際の金額は建物の状態や仕様で大きく変わります。


出張相談会とアドバイザー派遣:費用は電話で確認を

市のページには、2つの派遣・出張型の支援が載っています。

  • 出張相談会:管理組合の希望する場所へ、随時うかがう形式です。申込先は、よこすかマンション管理組合ネットワークです。
  • まちづくりアドバイザー(マンション再生)の派遣:マンション再生を検討している管理組合向けに、専門家の派遣や、勉強会・研修会の開催支援を行います。まず同ネットワークに相談する形です。

どちらも、市のページには回数の目安や費用の記載がありませんでした。無料かどうかは、申込みの電話で確認してください。なお、このページには、マンション専用の補助制度の記載はありませんでした。

もう一つ、同ページにある新任役員向けの研修会は、令和8年7月11日に開催済みです。次の開催は、来年度のお知らせを待つことになります。神奈川県主催の交流会とセミナーも令和7年度分で、市のページの時点で終了済みです。令和8年度の県のセミナーは、今回は確認できませんでした。


旧耐震マンションの耐震診断:補助の前に、まず事前相談

昭和56年(1981年)5月31日以前に建築確認を得て着工したマンションなら、耐震診断への補助があります。市の「住宅の耐震診断補強工事補助事業」のページ(2026年4月1日更新)には、次のように書かれています(出典:横須賀市「住宅の耐震診断補強工事補助事業」)。

項目 内容
予備診断 診断費用(税抜)の3分の2、1棟あたり上限12万円
耐震診断 診断費用(税抜)の2分の1、1住戸あたり上限3万円
主な条件 鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄骨造、住戸の過半が居住用、管理組合の総会で実施が決議されていること
申込締切 ページ全体では12月28日(月)。定員に達した場合は、締切前に受付終了
問合せ 都市部建築指導課 建築安全係 046-822-9530

ページには、診断を行う前年度中に市へ事前相談するよう書かれています。検討段階でも相談できます。また、予備診断で倒壊の危険があると判断された場合のみ、耐震診断に進めます。

ご注意いただきたい点があります。ページのマンションの項目には「令和8年度」という明記がなく、締切もマンションだけの期間としては書かれていません。補助要綱の附則に並ぶ最新の施行日は令和4年8月1日です(出典:横須賀市マンション耐震診断等補助金交付要綱)。令和8年度の受付状況は、建築安全係に電話で確認してください。この補助は費用の一部を負担してもらう制度で、無料の窓口ではありません。

外壁の打診調査とは目的が違いますが、「建物をプロに診てもらう習慣」をつける入口になります。


市民相談室の無料相談:法律・宅地建物・登記

管理費の滞納、規約の読み方、理事会の議事の進め方。工事の前段階で出てくるこうした疑問は、専門家の相談で整理できることが多いと、私は見ています。横須賀市では、市役所の市民相談室(小川町11番地 本館1階31番窓口)で、いくつかの相談が無料で開かれています。予約・相談の電話は046-822-8114です。

相談 日程 時間 費用
法律相談(弁護士) 毎週月・水・金曜日 13:00〜16:00(1人25分以内) 無料
宅地建物相談 毎月第4火曜日(9月は29日) 13:00〜16:00(25分の枠) 無料
登記相談(司法書士・土地家屋調査士) 毎月第2火曜日 13:00〜16:00(25分の枠) 無料

出典は、法律相談(2026年10月6日更新)、宅地建物相談(2026年6月5日更新)、登記相談(2026年7月30日更新)です。

これからの日付と、予約のタイミング

予約は、相談日の2週間前の同じ曜日の朝9時から、電話で始まります。ここが、見落としやすい点です。

  • 法律相談:今日10月14日(水)の朝9時から、10月28日(水)の枠が予約できます。10月30日(金)の枠は、10月16日(金)から受け付けます。
  • 宅地建物相談:10月27日(火)と11月24日(火)。10月27日の予約は、すでに10月13日から始まっています。
  • 登記相談:11月10日(火)と12月8日(火)。

当日は、朝8時30分〜9時の間に確認の電話が入ります。予定の時刻から10分遅れると、キャンセル扱いになります(出典:各ページ)。

管理組合として使えるかは、書かれていません

2つの点にご注意ください。

  • 対象は「原則として横須賀市に在住または在勤の方」で、相談は「原則として本人」です。 管理組合の理事長が、組合の案件として相談できるかは、ページに書かれていません。予約の電話で確認してください。
  • 相談のあとの手続きは、扱いません。 登記相談では、申請書類の作成や点検は行わないと書かれています。

11月7日の合同相談会

市の相談日カレンダー(2026年10月2日更新)には、11月7日(土)に「横須賀7士業合同無料相談会(予約不要)」が載っています。会場や時間はカレンダー上では確認できませんでした。市の相談日カレンダーで詳細を確認してください(出典:横須賀市「相談日カレンダー(市民相談室)」)。


住宅相談・消費生活センター:工事の契約トラブルに備える

地元の建築組合による住宅相談

毎週金曜日の13時〜16時(閉庁日を除く)、市役所本庁舎1階の市民ホール横で、住宅の増改築やリフォームの相談を受けています。予約は不要で、先着順です。費用の記載はありません。ページの更新日は2025年3月31日と古く、令和8年度の内容を確認できていません(出典:横須賀市「住宅相談」)。

対象は個人の住宅の増改築やリフォームが中心です。マンションの共用部の大規模修繕で使えるかは、問合せが必要です。

消費生活センター

訪問販売や、工事の契約を巡るトラブルの相談先が、消費生活センターです。市の案内では、増改築工事の契約トラブルは046-821-1314が窓口とされています。相談料や受付時間は、このページでは確認できませんでした(出典:横須賀市「住宅に関して相談できるところを教えてほしい」)。電話で最新の受付時間を確認してください。同ページには、神奈川県建築士事務所協会横須賀支部(046-823-0386、建築関係・欠陥住宅)も載っていますが、費用の記載はありません。


県・国の相談窓口:日管連・マンション管理センター・法テラス

市の窓口で足りないときの、二の矢として知っておくと役に立ちます。

窓口 内容 受付 費用
管理計画認定制度 相談ダイヤル(日管連) 03-5801-0858 制度の質問にマンション管理士が回答 月〜土 10:00〜17:00(祝日・年末年始を除く) 無料。何回でも、1回30分程度まで
マンション管理センター 電話相談 03-3222-1517(管理組合運営・管理規約等)/03-3222-1519(建物・設備の維持管理) 管理組合からの相談 月〜金 9:30〜17:00(祝日・年末年始を除く) ページに記載なし
法テラス・サポートダイヤル 0570-078374 無料法律相談の予約案内 平日 9:00〜21:00、土曜 9:00〜17:00 無料(収入・資産の基準あり)

日管連のダイヤルは、令和8年7月28日の更新です(出典:日本マンション管理士会連合会「管理計画認定制度 相談ダイヤル」)。マンション管理センターの電話相談は、管理組合からの相談を受け付けており、賃貸マンションの相談は対象外です(出典:(公財)マンション管理センター「電話相談」)。法テラスの無料法律相談は、同じ問題について3回まで、1回30分です。収入と資産の基準があり、原則として事前予約が必要です(出典:法テラス「無料法律相談のご利用の流れ」)。管理組合という団体として使えるかどうかは、窓口での確認が必要です。

管理計画認定制度と横須賀市

横須賀市は、令和6年3月にマンション管理適正化法に基づく「横須賀市マンション管理適正化推進計画」を策定しています。国土交通省の管理計画認定制度は、この計画を持つ自治体が認定する仕組みで、認定を受けると優遇を受けられる場合があります(出典:国土交通省「マンション管理計画認定制度」)。神奈川県の認定は町村部のマンションが対象で、市部のマンションは各市に問い合わせるよう案内されています(出典:神奈川県「マンション管理計画認定制度」、2026年4月10日更新)。横須賀市の申請窓口と手数料は、今回の調査では確認できませんでした。市の都市部建築指導課(046-822-9530)に確認してください。


何を用意していけばいいか:3点セット

どの窓口でも、手ぶらで行くと「それは資料を見ないと分かりません」と言われがちです。私は理事長さまに、次の3点を揃えておくようお伝えしています。

  1. 総会議事録(直近2年分):修繕積立金の状況や、大規模修繕についての決議の経過が分かります。
  2. 長期修繕計画:次回の大規模修繕の時期と、見込まれる総額が分かります。
  3. 管理規約:管理費の滞納、専有部分のルール、理事会の権限を調べるときに必要です。

さらに余裕があれば、前回の大規模修繕の見積書や竣工図、直近の劣化診断の報告書があると、相談が一段と具体的になります。旧耐震のマンションなら、耐震診断の事前相談の際に設計図書があると話が進みます。


横須賀市の管理組合が、無料相談のあとに考えたい工事の選び方

相談で論点が整理できたら、次に工事の進め方を考える段階に入ります。明誠は、通常の足場工法、無足場のロープアクセス工法、両方を組み合わせるハイブリッド工法の3つから、建物に合った進め方をご提案しています。

横須賀市は海に面した地域が多く、潮風を受ける外壁は、劣化の出方が内陸と異なることがあります。また、傾斜地に建つ建物では、足場の搬入や設置に手間がかかる例を、私は現場で見てきました。どの工法が合うかは、建物ごとに現地を見て判断します。

足場工法とロープアクセス工法の費用差は、規模によって変わります。10階建て・外周80m・工期3か月の例では、足場費が168万円、ロープアクセスが59万円と、109万円の差が出た試算があります。あくまで目安で、実際の見積りは物件ごとに異なります。

ロープアクセス工法は、メインロープとバックアップロープの2本に接続して作業し、2点以上の吊元を確保する国際基準(IRATA)の考え方を採り入れた工法です。明誠はこれまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけ、ロープアクセスでの高所作業について、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業では過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。

明誠のこれまでの施工事例もご覧いただけます。


よくあるご質問

Q. 横須賀市の管理組合が無料で使える専門家の相談はありますか?

A. はい。市のマンション相談会が毎月1回(土曜日)開かれており、予約制です。運営団体のサイトには「無料相談会」と書かれています。市民相談室の法律相談・宅地建物相談・登記相談も無料です。

Q. 神奈川県のマンションアドバイザー派遣は横須賀市でも使えますか?

A. 使えません。県の事業は、横浜市・川崎市・相模原市・横須賀市が対象外です。横須賀市の管理組合は、市の出張相談会などを使います。

Q. マンション相談会の予約はどこにすればいいですか?

A. よこすかマンション管理組合ネットワーク(046-824-8133)です。受付は10時〜16時で、水・土・日・祝祭日は除かれます。次回は10月24日(土)、その次は11月28日(土)です。

Q. 市民相談室の法律相談は、管理組合として使えますか?

A. 公式ページには書かれていません。対象は原則として市内に在住・在勤の人で、相談は原則として本人が行います。予約の電話で、管理組合の理事として相談できるかを確認してください。

Q. 旧耐震のマンションの耐震診断に補助はありますか?

A. あります。予備診断は費用の3分の2(1棟あたり上限12万円)、耐震診断は費用の2分の1(1住戸あたり上限3万円)です。昭和56年5月31日以前に着工したマンションが対象で、管理組合の総会での決議が必要です。令和8年度の受付状況は、建築安全係で確認してください。

Q. 無料相談のあとに、工事を頼む義務はありますか?

A. ありません。市の相談は、特定の施工会社を紹介するものではありません。工事の発注先は、管理組合の総会で決めるものです。

Q. 大規模修繕の費用は、いくらくらいを見ておけばいいですか?

A. 30戸規模で総工費は3,500万円〜5,000万円、うち仮設足場が15〜25%という幅が一般的です。外壁塗装は1㎡あたり3,500円〜4,500円が参考値です。建物の状態で大きく変わるため、相談のうえで概算見積りをお取りください。

Q. 明誠に概算見積りを頼むと費用はかかりますか?

A. 概算お見積りは無料でご提示しています。お気軽にお問合せフォームからご連絡ください。


まとめ+今週動くこと3点

横須賀市の管理組合が使える相談先は、市、国、民間団体と、13の入口があります。そのうち7は、公式ページで無料と読めます。まず押さえておきたいのは、毎月1回の市のマンション相談会です。費用をかけずに、第三者の意見を聞けます。

今週動くことを、3点に絞ります。

  1. 明日10月15日(木)に、よこすかマンション管理組合ネットワーク(046-824-8133)へ電話し、10月24日(土)のマンション相談会を予約する。 受付は10時〜16時で、今日(水曜日)は電話がつながりません。「理事会で相談したい議題」を1つだけ決めて伝えてください。
  2. 法律相談を使うなら、今日の朝9時から10月28日(水)の枠が予約できる。 市民相談室(046-822-8114)に電話し、管理組合の理事として相談できるかもあわせて確認してください。
  3. 総会議事録・長期修繕計画・管理規約の3点を、理事会の共有フォルダに集める。 相談の質は、この3点で決まります。

私は、工事の話に入る前の「聞く力」が、修繕積立金を守ると考えています。相談だけでも遠慮なくお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。


出典・参考資料


この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)

株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市

マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。IRATA水準の技能訓練を受けた作業員、ISO9001品質マネジメントシステム、日本ロープ高所作業協会の事務局を担当。

最終更新:2026年10月14日


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本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月14日時点で公表されている横須賀市および国土交通省・神奈川県の公式情報をもとに執筆しています。一部のページ(住宅相談、市民生活相談)は更新日が令和7年度以前のため、本文中にその旨を記載しました。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際にお申し込みの前に、横須賀市および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。

相模原市中央区の管理組合が使える無料相談窓口13選|マンション相談窓口・修繕相談会・耐震巡回相談から法律相談まで【令和8年度版】

2026年10月14日 更新

相模原市中央区のマンションの理事長さまから、こんなご相談をいただくことがあります。

「大規模修繕の時期が近づいてきたが、誰に何を聞けばいいのか分からない。専門家への相談料を修繕積立金から出すのは気が引ける」

中央区の管理組合には、費用をかけずに動ける入口が2つあります。1つは、市が毎月開いているマンション管理士による「マンション相談窓口」です。もう1つは、一級建築士等が修繕工事の進め方や長期修繕計画の相談に乗る「マンションの維持管理・修繕等相談会」です。どちらも無料で、電話予約制です(出典:相模原市「マンション相談について」、令和8年4月1日更新)。

申し遅れました。私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。東京都東大和市を拠点に、20年近くマンション・ビル・ホテルの外壁の仕事をしてきました。この記事では、令和8年10月14日時点で相模原市中央区の管理組合が使える窓口を、費用の根拠とあわせて整理します。


結論:中央区で使える窓口は13、無料と読めるのは7

先に一覧でお示しします。公式ページに「無料」と書かれているものと、費用の記載が見つからなかったものを分けています。

# 制度・窓口 誰が対応するか 費用 申込先
1 マンション相談窓口 マンション管理士等 無料(令和8年度ページに明記) 住宅課 042-769-9817
2 マンションの維持管理・修繕等相談会 一級建築士等 無料(同上) 住宅課 042-769-9817
3 分譲マンションアドバイザー派遣 マンション管理士等 初回のみ無料(2回目以降は一部負担。ページは令和5年4月更新) 住宅課 042-769-9817
4 旧耐震マンションの耐震巡回相談 専門家 無料(令和8年度の受付中) 建築政策課 042-769-8252
5 マンション管理セミナー(第1回・10月24日) 専門家 無料(参加費) 市コールセンター 042-754-1111
6 中央区役所 法律相談(弁護士) 弁護士 要確認(費用の記載なし) 市民相談室 042-769-8230
7 中央区役所 司法書士相談 司法書士 要確認(同上) 同上
8 中央区役所 不動産相談 宅地建物取引士 要確認(同上) 同上
9 相模原市消費生活総合センター 消費生活相談員 要確認(相談料の記載なし) 042-775-1770
10 神奈川県弁護士会 相模原法律相談センター 弁護士 要確認(費用の記載なし) 042-776-5200
11 管理計画認定制度 相談ダイヤル(日管連) マンション管理士 無料(何回でも、1回30分程度まで) 03-5801-0858
12 マンション管理センター 電話相談 専門相談員 要確認(費用の記載なし) 03-3222-1517/1519
13 法テラス 無料法律相談 弁護士等 無料(収入・資産の基準あり) 0570-078374

「無料と読める」の7は、1・2・4・5・11・13と、初回に限り無料の3です。3はページの更新日が古いため、申込みの前に最新の内容を確認してください。

正直にお伝えします。公式ページで費用の記載を確認できなかった窓口が6つありました。電話で申し込むときに「相談料はかかりますか」とひと言確認するだけで、あとから戸惑わずに済みます。

もう一つ、大事な点があります。神奈川県の「マンションアドバイザー派遣事業」は無料ですが、相模原市のマンションは対象外です。県の案内には、横浜市・川崎市・相模原市・横須賀市は除かれ、相模原市は市独自の「分譲マンションアドバイザー派遣制度」を使うと書かれています(出典:神奈川県「マンションアドバイザー派遣事業」、令和8年度)。


マンション相談窓口と修繕等相談会:専門家に無料で相談できる

私が中央区の管理組合に最初にお勧めするのは、市の2つの相談です。相模原市「マンション相談について」のページ(令和8年4月1日更新)には、次のように整理されています。

項目 マンション相談窓口 維持管理・修繕等相談会
対象 市内の分譲マンションの居住者・管理組合役員 市内のマンション管理組合の人
内容 管理組合の運営、維持管理、大規模修繕など。マンション管理士等が面談で対応 修繕工事の進め方、長期修繕計画の作成・見直し。一級建築士等が対応
日時 原則、毎月第1月曜日 13:30〜16:30 原則、毎月第3土曜日 14:30〜16:40
場所 中央区役所市民相談室(市役所本館1階) ユニコムプラザさがみはら
予約 電話 042-769-9817(住宅課直通)。開催日前週の水曜日が締切 同電話。開催日直前の火曜日が締切
費用 無料 無料

ページには、予約のない月は開催されないこと、回答は口頭のみで書面は出ないこと、当事者間の仲裁や特定の弁護士・企業の紹介、法的な解釈・判断へのコメントは行わないことも書かれています。

次に使える日付

令和8年度の具体的な日付は、ページには「原則」の曜日しか載っていません。原則から数えると、次のようになります。公式の案内PDFか住宅課で日付を確認してから予約してください。

相談 直近の候補日 予約の締切(原則)
マンション相談窓口 11月2日(月)、12月7日(月) 10月28日(水)、12月2日(水)
維持管理・修繕等相談会 11月21日(土)(10月17日は締切済み) 11月17日(火)

なお、令和7年度のページ(令和7年4月1日更新)には、相談窓口は1月と4月、相談会は8月と12月に開催しないと書かれていました。令和8年度のページには同じ記載がないため、これも住宅課に確認が必要です。

使いどきは、見積依頼の前

ここで、現場にいる私の立場から一つお伝えします。相談会の価値は、施工会社の営業とは別の第三者の意見が聞けることです。見積書が出てから慌てて相談するより、見積依頼の前に相談するほうが、仕様のぶれが小さくなります。私が現場でよく見てきた遠回りは、見積りを取ったあとで「そもそも今回の工事範囲は適切なのか」と迷い、総会の日程がずれ込むケースです。

大規模修繕の費用感の目安も、先に頭に入れておくと相談の質が上がります。あくまで目安ですが、30戸規模のマンションで総工費は3,500万円〜5,000万円、そのうち仮設足場が15〜25%という幅が一般的です。外壁塗装は1㎡あたり3,500円〜4,500円、打診調査は1㎡あたり250円〜500円が参考値です。実際の金額は建物の状態や仕様で大きく変わります。


アドバイザー派遣:初回は無料、2回目以降は一部負担

専門家が管理組合の集会室などへ来てくれる制度が、市の「分譲マンションアドバイザー派遣制度」です。市のページには、次のように書かれています(出典:相模原市「分譲マンションアドバイザー派遣制度について」)。

  • 派遣は通算6回まで。1回目は無料、2〜3回目は費用の3分の1、4〜6回目は2分の1を管理組合が負担する
  • 費用の単価は1時間あたり1万円で、1回あたり3時間まで
  • 申込みは住宅課(042-769-9817)の電話または窓口で、申込み順に受け付け、予算がなくなり次第終了する
  • 回答は口頭のみで、修繕計画や見積書の作成は行わない

ご注意いただきたい点があります。このページの更新日は令和5年4月14日で、令和8年度の掲載ではありません。回数や負担の割合は、変わっている可能性があります。申込みの前に、住宅課で令和8年度の内容を確認してください。

神奈川県の派遣事業は相模原市が対象外であることは、先ほどお伝えしたとおりです。県の事業は無料で年度内2回までですが、相模原市の管理組合は使えません(出典:同県ページ)。


旧耐震マンションの耐震巡回相談:建築政策課で無料

建築士などの専門家に建物を見てもらえる機会は、あまり多くありません。相模原市には、昭和56年(1981年)5月31日以前に建築確認を受けたマンション向けの無料相談があります。

市の「建築相談(耐震)について」のページ(令和8年5月23日更新)によると、「旧耐震基準の既存マンション耐震巡回相談(無料)」の対象は、地階を除き3階建て以上の分譲マンションです。申込みは管理組合などが行い、設計図書を用意します。受付期間は令和8年4月16日から12月28日までで、予定件数に達すると締め切られます(出典:相模原市「建築相談(耐震)について」)。窓口は建築政策課の耐震推進班(中央区中央2丁目11番15号、市役所第1別館4階)で、電話は042-769-8252です。

耐震診断そのものへの補助もあります。診断費用の6分の5以内、1戸あたり5万円が上限で、市の予算の範囲内です。ただし、このページの更新日は平成31年(令和元年)5月1日と古いため、現在の補助率と上限額は建築政策課で確認が必要です(出典:相模原市「旧耐震基準の分譲マンションの地震対策を支援します」)。

外壁の打診調査とは目的が違いますが、「建物をプロに診てもらう習慣」をつける入口になります。


弁護士・司法書士などの相談:中央区役所市民相談室

管理費の滞納、規約の読み方、理事会の議事の進め方。工事の前段階で出てくるこうした疑問は、専門家の相談で整理できることが多いと、私は見ています。

中央区役所市民相談室の各相談

会場は、中央区役所市民相談室(中央区中央2丁目11番15号、市役所本館1階)です。電話は042-769-8230です(出典:相模原市「中央区役所市民相談室」、令和8年7月27日更新)。各ページには、次の内容が書かれていました。

相談 日程(中央区) 時間 予約
法律相談(弁護士) 第1木曜日は事前予約、火曜日は当日予約 13:30〜16:00(1人20分以内) 事前予約は相談日の2週間前から電話、当日予約は当日8:30から電話
司法書士相談 第4水曜日 13:30〜16:00(1人30分以内) 当日8:30から電話(先着順)
不動産相談(宅地建物取引士) 第2金曜日・第4月曜日 13:30〜16:00(1人30分以内) 当日8:30から電話(先着順)

これを10月・11月に当てはめると、司法書士相談は10月28日(水)と11月25日(水)、不動産相談は10月26日(月)と11月13日(金)、弁護士の事前予約相談は11月5日(木)が候補になります。11月5日の予約は、2週間前の10月22日から受け付けると読めます。11月の第4月曜日は23日で、祝日にあたるため要確認です(出典:法律相談(令和7年5月13日更新)、司法書士相談(令和8年6月12日更新)、不動産相談(令和8年7月27日更新))。

管理組合として使えるかは、書かれていません

見落としやすい点を2つお伝えします。

  • 対象は個人の暮らしの相談が基本です。 3つの相談はいずれも、相模原市に在住・在勤・在学の人が対象と書かれています。法律相談は「個人に係る日常生活上の法律全般」で、書類の作成・審査や相手との交渉は行っていません。同一案件での相談は1回限りです。
  • 費用の記載がありません。 どのページにも相談料の記載を確認できませんでした。予約の電話で、費用と、管理組合の理事として相談できるかをあわせて確認してください。

法律相談のページは令和7年5月13日の更新で、令和8年度のものではありません。日程が変わっていないか、予約のときに確かめてください。

消費生活総合センターと弁護士会の窓口

訪問販売や、工事の契約を巡るトラブルの相談先が、相模原市消費生活総合センターです。消費生活相談の電話は042-775-1770、所在地は緑区橋本6丁目2番1号のシティ・プラザはしもとで、中央区内の窓口ではありません。ページの更新日は令和3年4月7日と古く、受付時間や相談料の記載はありませんでした(出典:相模原市「消費生活総合センター」)。電話で、最新の受付時間を確認してください。

神奈川県弁護士会の相模原法律相談センター(電話042-776-5200)は、市の相談窓口の案内に載っています。予約は平日の9時30分〜17時に受け付け、火曜日と木曜日は20時までと書かれていますが、相談料と相談時間は記載を確認できませんでした(出典:相模原市精神保健福祉センター「あなたの相談窓口」、令和7年8月)。


セミナー・相談会:10月24日のマンション管理セミナー

市は、管理組合の学びの場として「マンション管理セミナー」を開いています。令和8年度の第1回は、次のとおりです(出典:相模原市「マンション管理セミナー」、令和8年10月1日更新)。

項目 内容
日時 令和8年10月24日(土)13:30〜16:00
会場 ソレイユさがみ セミナールーム2(緑区橋本6丁目2番1号、イオン橋本店6階 シティ・プラザはしもと内)
内容 管理組合の運営や大規模修繕などの課題について、専門家が話す形式
参加費 無料
定員 50名(先着順)
申込み 電話のみ。令和8年10月7日(水)〜10月20日(火)、市コールセンター 042-754-1111(8時〜21時、土日祝も受付)

会場は中央区ではなく、緑区の橋本です。駐車場はなく、公共交通機関での来場が案内されています。マンション管理組合などの個別相談には応じていない点にも、ご注意ください。申込みの締切まで、あと6日です。


県・国の相談窓口:日管連・マンション管理センター・法テラス

市の窓口で足りないときの、二の矢として知っておくと役に立ちます。

窓口 内容 受付 費用
管理計画認定制度 相談ダイヤル(日管連) 03-5801-0858 制度の質問にマンション管理士が回答 月〜土 10:00〜17:00(祝日・年末年始を除く) 無料。何回でも、1回30分程度まで
マンション管理センター 電話相談 03-3222-1517(管理組合運営・管理規約等)/03-3222-1519(建物・設備の維持管理) 管理組合からの相談 月〜金 9:30〜17:00(祝日・年末年始を除く) ページに記載なし
法テラス・サポートダイヤル 0570-078374 無料法律相談の予約案内 平日 9:00〜21:00、土曜 9:00〜17:00 無料(収入・資産の基準あり)

日管連のダイヤルは、令和8年7月28日の更新です。無料相談は何回でも使えます(出典:日本マンション管理士会連合会「管理計画認定制度 相談ダイヤル」)。マンション管理センターの電話相談は、管理組合からの相談を受け付けており、賃貸マンションの相談は対象外です(出典:(公財)マンション管理センター「電話相談」)。

法テラスの無料法律相談は、同じ問題について3回まで、1回30分です。収入と資産の基準があり、原則として事前予約が必要です(出典:法テラス「無料法律相談のご利用の流れ」)。管理組合という団体として使えるかどうかは、窓口での確認が必要です。

管理計画認定制度と相模原市

相模原市は、令和5年3月に「マンション管理適正化推進計画」を策定しています。国土交通省の管理計画認定制度は、この計画を持つ市が認定する仕組みで、認定を受けると、フラット35の金利引下げなどの優遇を受けられる場合があります(出典:国土交通省「マンション管理計画認定制度」、相模原市「マンションに関する計画や施策等について」、令和7年12月26日更新)。まず状況を知りたい場合は、日管連のダイヤルが入口になります。


何を用意していけばいいか:3点セット

どの窓口でも、手ぶらで行くと「それは資料を見ないと分かりません」と言われがちです。私は理事長さまに、次の3点を揃えておくようお伝えしています。

  1. 総会議事録(直近2年分):修繕積立金の状況や、大規模修繕についての決議の経過が分かります。
  2. 長期修繕計画:次回の大規模修繕の時期と、見込まれる総額が分かります。
  3. 管理規約:管理費の滞納、専有部分のルール、理事会の権限を調べるときに必要です。

さらに余裕があれば、前回の大規模修繕の見積書や竣工図、直近の劣化診断の報告書があると、建築士の相談が一段と具体的になります。旧耐震のマンションなら、設計図書が耐震巡回相談の申込みに必要です。


中央区の管理組合が、無料相談のあとに考えたい工事の選び方

相談で論点が整理できたら、次に工事の進め方を考える段階に入ります。明誠は、通常の足場工法、無足場のロープアクセス工法、両方を組み合わせるハイブリッド工法の3つから、建物に合った進め方をご提案しています。

足場工法とロープアクセス工法の費用差は、規模によって変わります。10階建て・外周80m・工期3か月の例では、足場費が168万円、ロープアクセスが59万円と、109万円の差が出た試算があります。あくまで目安で、実際の見積りは物件ごとに異なります。

ロープアクセス工法は、メインロープとバックアップロープの2本に接続して作業し、2点以上の吊元を確保する国際基準(IRATA)の考え方を採り入れた工法です。明誠はこれまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけ、ロープアクセスでの高所作業について、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業では過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。

明誠のこれまでの施工事例もご覧いただけます。


よくあるご質問

Q. 中央区の管理組合が無料で使える専門家の相談はありますか?

A. はい。市の「マンション相談窓口」(マンション管理士等、原則毎月第1月曜日)と「維持管理・修繕等相談会」(一級建築士等、原則毎月第3土曜日)が無料です。どちらも電話予約制で、予約先は住宅課(042-769-9817)です。

Q. 神奈川県のマンションアドバイザー派遣は中央区でも使えますか?

A. 使えません。県の事業は、横浜市・川崎市・相模原市・横須賀市が対象外です。相模原市の管理組合は、市独自のアドバイザー派遣制度を使います。

Q. 市のアドバイザー派遣は無料ですか?

A. 市のページでは、1回目は無料、2〜3回目は費用の3分の1、4〜6回目は2分の1を管理組合が負担すると書かれています。ただし更新日が令和5年4月のため、令和8年度の内容は住宅課で確認してください。

Q. 建築士に無料で建物を診てもらえますか?

A. 昭和56年5月31日以前に建築確認を受けた、地階を除き3階建て以上の分譲マンションなら、市の耐震巡回相談が無料です。令和8年12月28日までの受付ですが、予定件数に達すると締め切られます。

Q. 中央区役所の法律相談は管理組合として使えますか?

A. 公式ページには書かれていません。相談の対象は市内に在住・在勤・在学の人で、内容は個人の日常生活上の法律全般とされています。予約の電話で、管理組合の理事として相談できるかを確認してください。

Q. 無料相談のあとに、工事を頼む義務はありますか?

A. 市の相談は、特定の施工会社を紹介するものではありません。相談窓口のページにも、特定の弁護士や企業の紹介は行わないと書かれています。工事の発注先は、管理組合の総会で決めるものです。

Q. 大規模修繕の費用は、いくらくらいを見ておけばいいですか?

A. 30戸規模で総工費は3,500万円〜5,000万円、うち仮設足場が15〜25%という幅が一般的です。外壁塗装は1㎡あたり3,500円〜4,500円が参考値です。建物の状態で大きく変わるため、相談のうえで概算見積りをお取りください。

Q. 明誠に概算見積りを頼むと費用はかかりますか?

A. 概算お見積りは無料でご提示しています。お気軽にお問合せフォームからご連絡ください。


まとめ+今週動くこと3点

中央区の管理組合が使える相談先は、市、県弁護士会、国と、13の入口があります。そのうち7は、公式ページで無料と読めます。まず押さえておきたいのは、市のマンション相談窓口と、一級建築士等が対応する維持管理・修繕等相談会です。どちらも費用をかけずに、第三者の意見を聞けます。

今週動くことを、3点に絞ります。

  1. 10月20日(火)までに、マンション管理セミナー(10月24日)を市コールセンター(042-754-1111)に電話で申し込む。 定員は50名の先着順です。
  2. 住宅課(042-769-9817)に電話し、11月2日(月)のマンション相談窓口か、11月21日(土)の修繕等相談会を予約する。 「理事会で相談したい議題」を1つだけ決めて伝えてください。窓口の予約は10月28日(水)が締切です。
  3. 総会議事録・長期修繕計画・管理規約の3点を、理事会の共有フォルダに集める。 相談の質は、この3点で決まります。

私は、工事の話に入る前の「聞く力」が、修繕積立金を守ると考えています。相談だけでも遠慮なくお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。


出典・参考資料


この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)

株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市

マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。IRATA水準の技能訓練を受けた作業員、ISO9001品質マネジメントシステム、日本ロープ高所作業協会の事務局を担当。

最終更新:2026年10月14日


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ロープアクセス工法の詳細や実例については、姉妹サイト「ロープアクセスドットコム」の以下の記事もぜひご覧ください。

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本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月14日時点で公表されている相模原市および国土交通省・神奈川県の公式情報をもとに執筆しています。一部のページ(市のアドバイザー派遣、法律相談、消費生活総合センター、耐震診断の補助)は更新日が令和7年度以前のため、本文中にその旨を記載しました。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際にお申し込みの前に、相模原市および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。

川崎市高津区の12条点検|溝口駅周辺ビルの外壁打診と報告時期【2026年度版】

Q. 川崎市高津区のマンションやビルは、12条点検(定期報告)の対象になるのか?外壁の全面打診はいつ必要か?

A. 川崎市高津区の建物の定期報告は、高津区役所ではなく川崎市まちづくり局 指導部 建築指導課 建築安全担当の所管です。川崎市は、サービス付き高齢者向け住宅やグループホームにあたらないマンション・アパート・寮を「定期報告の対象外」と案内しています(出典:川崎市「定期報告関連のよくある質問」)。ただし、1階・2階に物販店や飲食店が一定規模で入る建物は対象になり得て、その場合は店舗の利用客に被害を及ぼしかねないマンション部分の外壁も調査範囲になります。外壁の全面打診は、対象建築物であれば竣工・外壁全面改修・前回の全面打診から「おおむね10年」を超えたあとの最初の定期調査で必要です(出典:国土交通省「定期報告制度における外壁のタイル等の調査について」)。

(最終更新:2026年10月14日/執筆時点の現行年度:令和8年度)

結論:川崎市高津区で12条点検の対象になる建物と、全面打診のタイミング

株式会社明誠は、東京都東大和市に拠点を置く大規模修繕の会社です。私は代表として20年以上、マンション・ビル・ホテルの修繕現場に立ってきました。神奈川県の12条点検シリーズは、川崎市川崎区・中原区に続き、今回は川崎市高津区を取り上げます。

川崎市高津区は、細長い川崎市のほぼ中央に位置する区です。面積は17.10㎢で、市全体の約12%にあたります。区の中心である溝口は、江戸時代から大山街道の宿場町として栄えました。いまは駅前に大きな商業ビルが建ち、ペデストリアンデッキ「キラリデッキ」も整備されています。区内には小さな工場が多く、研究開発拠点の「かながわサイエンスパーク」もあります(出典:川崎市高津区「高津区ってどんなまち?」、川崎市「高津区 概要・概況・特性」)。人口は令和4年3月末の住民基本台帳で230,476人です(出典:川崎市「町丁別世帯数・人口(令和4年3月末日現在)」)。

12条点検の目線で見ると、高津区には次の特徴があります。

  • 溝口駅の周辺に、1階・2階が店舗で上が住戸という「店舗併設マンション」や、飲食店の入る雑居ビルが集まる
  • 大山街道沿いなど、古くからの商店街に面して建つ中低層のビルがある
  • 多摩川沿いの低地と、丘陵の斜面地が隣り合い、敷地の高低差が大きい建物がある

このうち1つ目が、高津区で12条点検を考えるうえで一番大事なポイントです。川崎市高津区で「建築物」の定期報告が必要になるかどうかは、次のように整理できます。

建物の種類 川崎市での定期報告(建築物)
住戸だけの分譲マンション・賃貸マンション・アパート・寮 対象外
事務所だけのビル 対象外(事務所は対象用途に指定されていない)
1階が物販店・飲食店で上がマンションの建物 店舗の規模により対象。対象になれば、店舗利用客に影響し得るマンション部分の外壁も調査範囲
2階以上に飲食店・物販店が一定規模で入る雑居ビル 規模により対象
ホテル・旅館 規模により対象
病院・有床診療所・老人ホーム・サ高住・グループホーム 規模により対象
エレベーター(昇降機) 原則すべて対象(毎年)

(出典:川崎市「定期報告が必要な建築物・建築設備及び定期報告の受付期間」、川崎市「定期報告関連のよくある質問」)

全面打診の要否は、次の一文で判断できます。

「竣工、または前回の全面打診・外壁全面改修から10年を超えていれば、次の定期調査で全面打診が必要」

定期報告の対象外のマンションでも、私はこの「10年」を一つの目安にして、外壁の状態を確認することをお勧めしています。

建築基準法第12条の基本(定期調査と定期検査の違い)

建築基準法第12条は、多くの人が利用する建物の所有者・管理者に「建物の安全を有資格者に定期的に調べさせ、その結果を特定行政庁に報告する」ことを求める制度です。特定行政庁とは、建築確認や違反建築の指導を担う行政機関のことです。川崎市高津区を含む川崎市内では、川崎市がこれにあたります。

12条には、建物本体を調べる「特定建築物定期調査」(1項)と、設備を調べる「建築設備・防火設備・昇降機等の定期検査」(3項)があります。外壁の打診は、1項の特定建築物定期調査のうち「建築物の外部」の項目に含まれます。

川崎市の案内では、報告の周期は次のとおりです(出典:川崎市「定期報告が必要な建築物・建築設備及び定期報告の受付期間」(2026年6月29日更新))。

種類 報告の周期(川崎市)
建築物(特定建築物定期調査) 3年ごと(令和7年、令和10年、令和13年…)
建築設備 定期検査 毎年
防火設備 定期検査 毎年(常時閉鎖式防火扉は3年ごと)
昇降機・遊戯施設 定期検査 毎年(前回の定期報告から1年以内)

報告の義務を負うのは所有者または管理者です。調査ができるのは、一級・二級建築士か特定建築物調査員などの有資格者に限られます。川崎市は「調査・検査は、定期報告書の提出日から遡って3か月以内に行うこと」とも定めています。

外壁の全面打診のルールは、平成20年国土交通省告示第282号で定められています。タイル・石貼り(乾式工法を除く)・モルタルなどの外壁で、落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分は、おおむね10年ごとに全面的に打診等で調べることになりました。令和4年1月18日の告示改正では、無人航空機(ドローン)による赤外線調査も、全面打診以外の方法として認められています(出典:国土交通省)。

また、令和7年7月1日施行の国の告示改正(令和6年国土交通省告示第974号ほか)について、川崎市は独自の扱いを示しています。常時閉鎖式防火扉だけが設置されている建物は、その検査を特定建築物定期調査に付加して報告するというものです。随時閉鎖式の防火設備もある建物は、防火設備定期検査で報告します(出典:川崎市「定期報告告示改正に係る川崎市の対応について」)。調査会社に依頼するときは、川崎市の扱いを理解しているかを確認してください。

川崎市高津区の12条点検:対象の線引き・報告時期・窓口

窓口は川崎市まちづくり局 指導部 建築指導課 建築安全担当

項目 内容(公式ページ掲載)
担当 川崎市まちづくり局 指導部 建築指導課 建築安全担当
住所 〒210-8577 川崎市川崎区宮本町1番地
電話 044-200-2757
FAX 044-200-3089
メール 50kesido@city.kawasaki.jp

高津区役所(下作延2丁目)には建築の定期報告の窓口はありません。相談や提出先は、川崎区にある市の建築指導課です。高津区のオーナーさまから「区役所に聞いたら市役所だと言われた」というお話を伺うことがありますが、最初から建築安全担当に連絡すれば二度手間になりません。

提出は「郵送」が基本、神奈川県建築安全協会経由も可能

川崎市は定期報告書を郵送で受け付けています。郵送の場合は報告書・概要書を各1部、連絡先と、切手を貼った返信用封筒を同封します。市に直接出す場合、手数料はかかりません。

一方、(一財)神奈川県建築安全協会を経由して提出することもできます。この場合は2部を持参し、報告手数料が必要です。協会経由の場合に限り、建物に掲示できる「定期調査報告済証」が発行されます(出典:川崎市「定期報告関連のよくある質問」)。溝口駅周辺のように飲食店のテナント入れ替わりが多いビルでは、「点検済みの建物」と示せることが、新しいテナントへの安心材料になります。

建築物の受付は令和7年の次が令和10年、ただし設備は毎年

川崎市は、建築物の用途ごとに受付期間を決めています。

用途 建築物(3年ごと) 建築設備・防火設備(毎年)
劇場・集会場、ホテル・旅館、病院・老人ホーム・サ高住・グループホーム、体育館・図書館など 令和7年・令和10年…の6月〜9月 毎年6月〜9月
百貨店・物販店、展示場・バー・遊技場・公衆浴場・飲食店など 令和7年・令和10年…の10月〜翌1月 毎年10月〜翌1月

(出典:川崎市「定期報告が必要な建築物・建築設備及び定期報告の受付期間」)

令和8年度は、建築物(特定建築物定期調査)の報告年ではありません。次の報告は令和10年です。全面打診が必要な建物にとって、令和8年度・9年度は時間をかけて準備できる2年間と言えます。

ただし、建築設備・防火設備は毎年の報告です。物販店・飲食店などが入る建物では、令和8年10月〜令和9年1月が建築設備・防火設備の受付期間で、本記事の公開時点で受付期間中です。溝口駅周辺のテナントビルのオーナーさまは、設備の報告が済む予定かを管理会社に確認してください。

なお、新しく検査済証を受けた建物は、初回の報告が免除されます。川崎市は「令和6年4月に検査済証を受けた建物は、特定建築物定期調査が令和10年、その他の検査が令和8年の報告」という例を示しています。

店舗併設マンションは「外壁」に注意

高津区で私が最も伝えたいのが、この線引きです。川崎市の「よくある質問」は、1階が物販店、2階以上がマンションの複合用途建築物について、次のように整理しています(出典:川崎市「定期報告関連のよくある質問」)。

部分 調査の対象か
物販店の利用客に影響しないマンションの専有部 対象外
劣化すれば物販店の利用客に被害を及ぼしかねないマンション部分の外壁 対象
店舗部分とつながる共用階段(竪穴区画) 対象
店舗部分とつながらない共用階段 対象外

判断の物差しは「定期報告対象用途の利用客に影響を与え得る箇所かどうか」です。

物販店・飲食店の場合、対象になる規模は「地階で100㎡超」「3階以上で100㎡超」「2階で500㎡以上」「床面積3,000㎡以上」のいずれか、または「床面積500㎡超」です(建物全体で対象用途の床面積が200㎡以下のものなどを除く)。細かな適用除外の条件もあるため、最終的な判断は市の案内で確かめてください。1階だけの小さな店舗なら対象外になることも多いのですが、スーパーやドラッグストアなど面積の大きい店舗が入る駅前のマンションは、対象になる可能性があります。

対象になれば、マンション部分を含めた外壁が、全面打診の対象になり得ます。「うちはマンションだから関係ない」と思い込まず、1階・2階のテナントの用途と面積を一度確認してください。判断がつかない場合は、川崎市が案内している「定期報告対象確認」を使い、階ごとの用途と面積を建築安全担当に伝えて相談するのが確実です。なお、駐車場はいかなる場合も対象外です。

川崎市高津区ならではの事情:駅前の雑居ビルと、斜面地の外壁

駅前と大山街道沿いは「落ちたら誰に当たるか」で考える

溝口駅の周辺は、JR南武線と東急田園都市線・大井町線が乗り入れ、人通りの多い場所です。駅から延びる大山街道沿いには、古くからの商店街に面して中低層のビルが並びます。歩道に近い外壁のタイルやモルタルが落ちれば、通行人に当たる可能性が高い場所です。

告示第282号の全面打診が対象とするのは、「落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分」です。私が現場で外壁の調査範囲を決めるときも、「その真下を誰が歩いているか」を最初に見ます。歩道に面した面、店舗の出入口の上、駐輪場の上は、優先して叩くべき面です。

以前、駅前の飲食テナントが入るビルで、看板の取付け部まわりのタイルを叩いたことがあります。見た目はきれいでも、看板を何度も付け替えたビスの穴から水が入り、周りの数十枚が浮いていました。テナントの入れ替わりが多いビルほど、看板やダクトの穴の周りは注意して見る必要があります。

斜面地の建物は、地面からの高さが面ごとに違う

高津区は、多摩川沿いの低地と、丘陵の斜面地が隣り合う区です。斜面に建つマンションは、坂の上側から見ると3階建てでも、下側から見ると5階建てというように、面によって地面からの高さが変わります。

こうした建物では、坂の下側の面ほど足場が高くなり、隣地との境に擁壁があると足場を組む場所自体が取りにくくなります。全面打診を計画するときは、面ごとに「どこから人が近づけるか」を最初に確かめてください。また、高津区では神奈川県による土砂災害警戒区域・特別警戒区域が指定されています(出典:川崎市「土砂災害特別警戒区域内やその隣接地での開発行為等について」)。区域内やその近くの建物では、外壁と一緒に擁壁や敷地内の排水も見ておくと安心です。

報告義務がなくても、落下事故の責任は残る

住戸だけのマンションは定期報告の対象外ですが、それで外壁の責任がなくなるわけではありません。建築基準法第8条は、建物の所有者・管理者・占有者に「常時適法な状態に維持するよう努める」ことを求めています。外壁のタイルが落ちて通行人がけがをすれば、民法第717条(工作物責任)により所有者等が責任を問われる可能性があります。人通りの多い溝口駅周辺だからこそ、報告義務のない分譲マンションも、管理組合が自主的に外壁を調べる意味があります。

全面打診が必要になる4つのきっかけ

理事長さまやオーナーさまには、次の4つを「全面打診のきっかけ」としてお伝えしています。

  1. 竣工から10年を超えた:最初の全面打診の起点です。
  2. 外壁の全面改修から10年を超えた:タイル張替えや全面補修をした年から数え直します。
  3. 前回の定期調査で「要是正」とされ、改善が済んでいない:次の報告で改善状況が問われます。
  4. タイルの浮き・剥落の兆候が見つかった:報告年を待たず、手の届く範囲の打診で異常があれば全面打診で確かめます。

川崎市の建築物の次の報告は令和10年です。前回の全面打診が平成30年(2018年)以前なら、令和10年の調査では全面打診が必要になる可能性が高いと考えてください。前回の大規模修繕の年と、最後に全面打診をした年を、まず修繕履歴で確かめてみてください。

費用の目安:打診の㎡単価と、足場・ロープアクセスの差

費用の目安を示します。以下は参考値で、実際の見積は建物の形状・高さ・外壁の仕上げ・敷地条件で大きく変わります。

項目 目安
全面打診調査の㎡単価(調査のみ) 250〜500円/㎡
10階建て・外周80m・打診対象約2,000㎡の調査費 約50〜100万円
同条件で仮設足場を組む場合(工期3か月想定) 約168万円
同条件でロープアクセス工法の場合 約59万円
足場とロープアクセスの差額 約109万円

全体の費用を押し上げるのは、打診そのものより足場です。溝口駅周辺のように隣の建物との間が狭い敷地や、店舗の前に足場を組むと営業に影響が出る建物、斜面で足場が高くなる建物では、足場の計画がさらに難しくなります。料金の考え方は明誠の大規模修繕の料金の考え方でも公開しています。

ロープアクセス工法が12条打診で選ばれる理由

ロープアクセス工法とは、屋上などの確実な吊元から、作業員がメインロープとバックアップロープの2本に接続して壁面に降り、足場を組まずに調査や補修を行う工法です。吊元は2点以上を確保し、二重の冗長化で安全を確保します。国際基準(IRATA)に沿った、業界標準のやり方です。技術の詳細は明誠のロープアクセス工法のページに、安全への取り組みは明誠の安全管理にまとめています。

12条打診でロープアクセスを選ぶ理由は、主に3つです。

  1. 費用:足場代を抑えられます。上の例では、足場工法より約100万円の差が出る可能性があります。
  2. 期間:足場の組立・解体がないため、足場工法の約60%の工期が目安です。
  3. 居ながら・営業しながら施工:窓や店舗の前に足場やメッシュシートがかからず、日当たりや防犯面の不安、店舗の看板が隠れる心配が少なく済みます。

3つ目は、駅前に店舗併設のビルが多い高津区では特に大きな意味があります。足場で店先がふさがれると、テナントの売上に直結します。ロープアクセスなら作業する面だけ、作業する時間だけ人が降りるので、営業を止めずに調査できます。斜面地の建物でも、屋上に吊元が取れれば、坂の下側の高い面まで壁面に沿って降りて調べられます。

打診は、テストハンマーでタイルやモルタルを一枚ずつ叩き、音の違いを聞き分ける仕事です。ロープアクセスなら、見つけた浮きにその場でマーキングし、条件が合えば注入による部分補修まで続けて行えます。ドローンの赤外線調査で全体を把握し、気になる面だけロープアクセスで叩いて確かめる組み合わせも可能です。ただし、人や建物が密集した地域でドローンを飛ばすには航空法上の許可・承認や周辺への配慮が必要なため、事前の確認が欠かせません。

株式会社明誠は、これまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕に携わってきました。ロープアクセスでの高所作業では、明誠と全国のフランチャイズ加盟企業で、過去16年間、墜落による労働災害ゼロを続けています。作業は、IRATA水準の訓練を受けた作業員が担当します。

ロープアクセスの訓練体制や施工の実例は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムで詳しく紹介しています。足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3工法の比較もロープアクセスドットコムに掲載しています。塗装・防水・タイル・電気・看板などの専門工事会社さまで、フランチャイズ加盟をご検討の方もロープアクセスドットコムからご覧ください。

12条点検を大規模修繕・長期修繕計画とつなげる

12条点検(または自主的な外壁調査)と大規模修繕を、別々の会社に別々のタイミングで発注している管理組合やオーナーさまは少なくありません。私はこれを、できるだけワンセットで考えるよう提案しています。

  • 足場代の二重払いを避ける:打診のために足場を組み、数年後の大規模修繕でまた組む、という重複をなくせます。
  • 調査結果が補修数量の根拠になる:浮き・欠損の位置と数量が分かれば、見積書の数量が透明になります。
  • 長期修繕計画の精度が上がる:外壁の劣化が数字で分かり、修繕積立金の見通しが立てやすくなります。
  • ハイブリッド工法の判断材料になる:店舗のある低層部は足場、高層部や斜面の下側の高い面はロープアクセス、と面ごとに使い分けると総額が下がる建物もあります。

川崎市の建築物の次の報告年は令和10年です。令和8〜9年度のうちに外壁調査を済ませ、その結果を大規模修繕の計画に組み込めば、報告年に慌てて足場を組む必要がなくなります。

分譲マンションの管理組合さまは管理組合様向けの大規模修繕サービスを、賃貸マンション・テナントビルのオーナーさまはビルオーナー様向けの修繕サービスをご覧ください。

よくあるご質問

Q. 川崎市高津区の分譲マンションは、12条の定期報告が必要ですか?

A. サービス付き高齢者向け住宅やグループホームにあたらないマンションは、川崎市では建築物の定期報告の対象外です。ただし、エレベーターは原則として毎年の定期検査報告が必要です。1階などに物販店・飲食店が一定規模で入る場合は、対象になることがあります。

Q. 1階が店舗のマンションは、どこまで調査が必要ですか?

A. 川崎市は「定期報告対象用途の利用客に影響を与え得る箇所かどうか」で判断するよう案内しています。店舗の利用客に被害を及ぼしかねないマンション部分の外壁や、店舗とつながる共用階段は対象、店舗利用客に影響しない専有部は対象外です。

Q. 川崎市高津区の12条点検の窓口はどこですか?

A. 高津区役所ではなく、川崎市まちづくり局 指導部 建築指導課 建築安全担当(電話044-200-2757、川崎区宮本町1番地)です。

Q. 次の建築物の定期報告はいつですか?

A. 川崎市の建築物の定期報告は令和7年の次が令和10年です。ホテル・病院・老人ホームなどは6月〜9月、物販店・飲食店などは10月〜翌1月が受付期間です。建築設備・防火設備は毎年報告します。

Q. 定期報告書はどうやって出しますか?

A. 川崎市への郵送(手数料なし)が基本です。報告書・概要書各1部、連絡先、切手を貼った返信用封筒を同封します。(一財)神奈川県建築安全協会経由の場合は2部と報告手数料が必要で、報告済証が発行されます。

Q. 外壁の全面打診は何年ごとですか?

A. 定期報告の対象建築物では、竣工や外壁の全面改修から、おおむね10年を経過したあとの最初の定期調査で必要です。根拠は平成20年国土交通省告示第282号です。

Q. 斜面に建つマンションでも、足場なしで外壁を調べられますか?

A. 屋上に2点以上の吊元を確保できれば、ロープアクセス工法でメインロープとバックアップロープの2本に接続して降り、坂の下側の高い面まで足場なしで叩いて調べられます。現地を見て、足場との組み合わせも含めてご提案します。

まとめ+今週動くこと3点

川崎市高津区の12条点検の窓口は、川崎市まちづくり局の建築指導課 建築安全担当です。川崎市では、住戸だけのマンションや事務所だけのビルは建築物の定期報告の対象外です。一方で、物販店・飲食店などが一定規模で入る建物は対象になり、その場合はマンション部分の外壁も調査範囲になり得ます。建築物の次の報告年は令和10年。令和8〜9年度は、全面打診と大規模修繕を落ち着いて準備できる時期です。

今週動くことを3つに絞ります。

  1. 自分の建物が対象かを確かめる:1階・2階のテナントの用途と床面積を確認し、判断がつかなければ建築安全担当に相談する。テナントビルは、令和8年10月〜令和9年1月の建築設備・防火設備の報告予定も管理会社に確認する。
  2. 最後の全面打診の年を調べる:修繕履歴や過去の調査報告書を見て、令和10年の時点で10年を超えないかを確かめる。報告義務のない分譲マンションも、10年を目安に外壁の状態を数字で把握する。
  3. 次の大規模修繕とセットで考える:外壁調査と、大規模修繕、長期修繕計画の見直しを一体で検討することを、次の理事会・オーナー会議で共有する。

明誠の施工実績は明誠の施工事例で、私たちの考え方は明誠の理念でご覧いただけます。ご相談は大規模修繕・打診調査のお問い合わせフォームからどうぞ。川崎市高津区を含む神奈川県全域で、現地調査にも対応しています。報告年の前に一度建物を見ておくだけでも、次の一手はずっと選びやすくなります。

出典・参考資料

本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月14日(令和8年度)時点で公表されている国土交通省・川崎市の公式情報をもとに執筆しています。川崎市の「定期報告が必要な建築物・建築設備及び定期報告の受付期間」は2026年6月29日(令和8年度)更新の掲載を確認しました。「定期報告告示改正に係る川崎市の対応について」「定期報告関連のよくある質問」は令和7年度以前の更新、高津区の紹介ページは2015年更新、人口は令和4年3月末の数値のため、現在とは異なる可能性があります。制度は年度途中でも改正があり得ます。調査・報告の前に、川崎市まちづくり局 建築指導課 建築安全担当(044-200-2757)へ最新の内容をご確認ください。費用の数字は参考値で、個別の見積を保証するものではありません。

この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年10月14日


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川崎市宮前区の12条点検|鷺沼・宮前平の丘陵地マンションと外壁打診の時期【2026年度版】

Q. 川崎市宮前区のマンションやビルは、12条点検(定期報告)の対象になるのか?外壁の全面打診はいつ必要か?

A. 川崎市宮前区の建物の定期報告は、宮前区役所ではなく川崎市まちづくり局 指導部 建築指導課 建築安全担当の所管です。川崎市は、サービス付き高齢者向け住宅やグループホームにあたらないマンション・アパートを「定期報告の対象外」と案内しています(出典:川崎市「定期報告関連のよくある質問」)。ただし、1階・2階に物販店や飲食店が一定規模で入る建物は対象になり得て、その場合は店舗の利用客に被害を及ぼしかねないマンション部分の外壁も調査範囲になります。外壁の全面打診は、対象建築物であれば竣工・外壁全面改修・前回の全面打診から「おおむね10年」を超えたあとの最初の定期調査で必要です(出典:国土交通省「定期報告制度における外壁のタイル等の調査について」)。

(最終更新:2026年10月14日/執筆時点の現行年度:令和8年度)

結論:川崎市宮前区で12条点検の対象になる建物と、全面打診のタイミング

株式会社明誠は、東京都東大和市に拠点を置く大規模修繕の会社です。私は代表として20年以上、マンション・ビル・ホテルの修繕現場に立ってきました。神奈川県の12条点検シリーズは、川崎市川崎区・中原区・高津区に続き、今回は川崎市宮前区を取り上げます。

川崎市宮前区は、市の西北部に位置し、多摩丘陵に抱かれた区です。面積は18.60㎢。昭和57年(1982年)7月に高津区から分区して誕生しました。昭和41年(1966年)の東急田園都市線の開通と、昭和43年(1968年)の東名川崎インターチェンジの開設を機に、急激に人口が増え、都市化が進んだ区です(出典:川崎市宮前区「宮前区の概要」、川崎市「宮前区 概要・概況・特性」)。人口は、川崎市の資料で令和3年(2021年)10月1日現在234,528人、103,608世帯です。平瀬川、矢上川、有馬川の3つの川に挟まれ、丘陵や坂、谷戸が多く、起伏に富んでいます(出典:川崎市「宮前区の概要(資料)」)。

12条点検の目線で見ると、宮前区には次の特徴があります。

  • 鷺沼、宮前平、宮崎台など田園都市線の駅の周辺に、1階が店舗・上階が住戸という「店舗併設マンション」や、小規模なテナントビルが集まる
  • 昭和40年代から続く住宅開発で建った、築年数の進んだ集合住宅が多い
  • 丘陵地の斜面に建つ建物が多く、面ごとに地面からの高さが違う

このうち1つ目が、宮前区で12条点検を考えるうえで一番大事なポイントです。川崎市宮前区で「建築物」の定期報告が必要になるかどうかは、次のように整理できます。

建物の種類 川崎市での定期報告(建築物)
住戸だけの分譲マンション・賃貸マンション・アパート 対象外
事務所だけのビル 対象外(事務所は対象用途に指定されていない)
1階が物販店・飲食店で上がマンションの建物 店舗の規模により対象。対象になれば、店舗利用客に影響し得るマンション部分の外壁も調査範囲
2階以上に飲食店・物販店が一定規模で入る雑居ビル 規模により対象
ホテル・旅館 規模により対象
病院・有床診療所・老人ホーム・サ高住・グループホーム 規模により対象
エレベーター(昇降機) 原則すべて対象(毎年)

(出典:川崎市「定期報告が必要な建築物・建築設備及び定期報告の受付期間」、川崎市「定期報告関連のよくある質問」)

全面打診の要否は、次の一文で判断できます。

「竣工、または前回の全面打診・外壁全面改修から10年を超えていれば、次の定期調査で全面打診が必要」

定期報告の対象外のマンションでも、私はこの「10年」を一つの目安にして、外壁の状態を確認することをお勧めしています。

建築基準法第12条の基本(定期調査と定期検査の違い)

建築基準法第12条は、多くの人が利用する建物の所有者・管理者に「建物の安全を有資格者に定期的に調べさせ、その結果を特定行政庁に報告する」ことを求める制度です。特定行政庁とは、建築確認や違反建築の指導を担う行政機関のことです。川崎市宮前区を含む川崎市内では、川崎市がこれにあたります。

12条には、建物本体を調べる「特定建築物定期調査」(1項)と、設備を調べる「建築設備・防火設備・昇降機等の定期検査」(3項)があります。外壁の打診は、1項の特定建築物定期調査のうち「建築物の外部」の項目に含まれます。

川崎市の案内では、報告の周期は次のとおりです(出典:川崎市「定期報告が必要な建築物・建築設備及び定期報告の受付期間」(2026年6月29日更新))。

種類 報告の周期(川崎市)
建築物(特定建築物定期調査) 3年ごと(令和7年、令和10年、令和13年…)
建築設備 定期検査 同ページの表では3年ごと(令和7年、令和10年…)。本文には「毎年」との記載もあり、表記が揺れているため、提出前に市へ確認
防火設備 定期検査 毎年(常時閉鎖式防火扉は3年ごと)
昇降機・遊戯施設 定期検査 毎年(前回の定期報告から1年以内)

報告の義務を負うのは所有者または管理者です。調査ができるのは、一級・二級建築士か特定建築物調査員などの有資格者に限られます。川崎市は「調査・検査は、定期報告書の提出日から遡って3か月以内に行うこと」とも定めています。

外壁の全面打診のルールは、平成20年国土交通省告示第282号で定められています。タイル・石貼り(乾式工法を除く)・モルタルなどの外壁で、落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分は、おおむね10年ごとに全面的に打診等で調べることになりました。令和4年1月18日の告示改正では、無人航空機(ドローン)による赤外線調査も、全面打診以外の方法として認められています(出典:国土交通省)。制度の全体像は国土交通省「建築基準法に基づく定期報告制度について」でも確認できます。

また、令和7年7月1日施行の国の告示改正について、川崎市は独自の扱いを示しています。常時閉鎖式防火扉だけが設置されている建物は、その検査を特定建築物定期調査に付加して報告するというものです。常時閉鎖式防火扉と随時閉鎖式の防火設備の両方がある建物は、防火設備定期検査で報告します(出典:川崎市「定期報告告示改正に係る川崎市の対応について」(2025年9月11日更新))。調査会社に依頼するときは、川崎市の扱いを理解しているかを確認してください。

川崎市宮前区の12条点検:対象の線引き・報告時期・窓口

窓口は川崎市まちづくり局 指導部 建築指導課 建築安全担当

項目 内容(公式ページ掲載)
担当 川崎市まちづくり局 指導部 建築指導課 建築安全担当
住所 〒210-8577 川崎市川崎区宮本町1番地
電話 044-200-2757

宮前区役所(宮前平)には、建築の定期報告の窓口はありません。相談や提出先は、川崎区にある市の建築指導課です。最初から建築安全担当に連絡すれば、二度手間になりません。

提出は「郵送」が基本、神奈川県建築安全協会経由も可能

川崎市は、定期報告書を建築指導課へ直接提出するか、郵送で受け付けています。市に提出する場合、報告書・概要書は各1部で、手数料はかかりません。郵送の場合は連絡先と、切手を貼った返信用封筒を同封します。

一方、(一財)神奈川県建築安全協会を経由して提出することもできます。この場合は正本・副本の2部を持参し、報告手数料が必要です。協会経由の場合に限り、建物に掲示できる「定期調査報告済証」が発行されます(出典:川崎市「定期報告関連のよくある質問」)。テナントの入れ替わりがあるビルでは、「点検済みの建物」と示せることが、新しいテナントへの安心材料になります。

建築物の受付は令和7年の次が令和10年、ただし防火設備・昇降機は毎年

川崎市は、建築物の用途ごとに受付期間を決めています。

用途 受付期間
劇場・集会場、ホテル・旅館、病院・老人ホーム・サ高住・グループホーム、体育館・図書館など 6月〜9月
百貨店・物販店、展示場・飲食店・遊技場・公衆浴場など 10月〜翌1月

(出典:川崎市「定期報告が必要な建築物・建築設備及び定期報告の受付期間」)

令和8年度は、建築物(特定建築物定期調査)の報告年ではありません。次の報告は令和10年です。全面打診が必要な建物にとって、令和8年度・9年度は時間をかけて準備できる2年間と言えます。

ただし、防火設備と昇降機は毎年の報告です。物販店・飲食店などが入る建物では、令和8年10月〜令和9年1月が受付期間で、本記事の公開時点で受付期間中です。駅前のテナントビルのオーナーさまは、防火設備や昇降機の報告が済む予定かを管理会社に確認してください。

なお、新しく検査済証を受けた建物は、初回の報告が免除されます。

店舗併設マンションは「外壁」に注意

宮前区で私が最も伝えたいのが、この線引きです。川崎市の「よくある質問」は、1階が物販店、2階以上がマンションの複合用途建築物について、次のように整理しています(出典:川崎市「定期報告関連のよくある質問」)。

部分 調査の対象か
物販店の利用客に影響しないマンションの専有部 対象外
劣化すれば物販店の利用客に被害を及ぼしかねないマンション部分の外壁 対象
店舗部分とつながる共用階段(竪穴区画) 対象
店舗部分とつながらない共用階段 対象外

判断の物差しは「定期報告対象用途の利用客に影響を与え得る箇所かどうか」です。

物販店・飲食店の場合、対象になる規模は「地階で100㎡超」「3階以上で100㎡超」「2階で500㎡以上」「床面積3,000㎡以上」のいずれか、または「床面積500㎡超」です。いずれも、対象用途の床面積の合計で見ます。細かな条件もあるため、最終的な判断は市の案内で確かめてください。1階だけの小さな店舗なら対象外になることも多いのですが、スーパーやドラッグストアなど面積の大きい店舗が入る駅前のマンションは、対象になる可能性があります。

対象になれば、マンション部分を含めた外壁が、全面打診の対象になり得ます。「うちはマンションだから関係ない」と思い込まず、1階・2階のテナントの用途と面積を一度確認してください。判断がつかない場合は、川崎市が案内している「定期報告対象確認」を使い、階ごとの用途と面積を建築安全担当に伝えて相談するのが確実です。

川崎市宮前区ならではの事情:丘陵地の外壁と、駅前再開発

丘陵地の建物は、面ごとに「足場の高さ」が違う

宮前区は多摩丘陵の一角にあり、坂と谷戸の多い区です。斜面に建つマンションは、坂の上側から見ると3階建てでも、下側から見ると5階建てというように、面によって地面からの高さが変わります。

こうした建物では、坂の下側の面ほど足場が高くなり、費用がかさみます。隣地との境に擁壁があると、足場を組む場所自体が取りにくくなることもあります。全面打診を計画するときは、面ごとに「どこから人が近づけるか」「その真下を誰が歩くか」を最初に確かめてください。私が現場で調査範囲を決めるときも、歩道や通学路に面した面、出入口の上を優先して叩きます。

また、川崎市の公表では、宮前区の土砂災害警戒区域(イエローゾーン)は160区域、特別警戒区域(レッドゾーン)は94区域です(令和7年6月末時点、出典:川崎市「土砂災害警戒区域・土砂災害特別警戒区域について」)。区域内やその近くの建物では、外壁と一緒に擁壁や敷地内の排水も見ておくと安心です。区域の位置は、神奈川県の土砂災害情報ポータルで確認できます。

築年数の進んだ集合住宅が多い区だからこそ

宮前区は、昭和41年の田園都市線開通以降に住宅開発が進みました。川崎市の資料でも、区制がスタートした昭和57年の人口は約15万人で、その後に大きく増えています。つまり、築30年〜50年を迎える分譲マンションが多い区です。

築年数が進んだマンションでは、過去の大規模修繕で一度は外壁を補修していても、前回から10年以上たっているケースが増えます。住戸だけのマンションは定期報告の対象外ですが、外壁の責任がなくなるわけではありません。建築基準法第8条は、建物の所有者・管理者・占有者に「常時適法な状態に維持するよう努める」ことを求めています。外壁のタイルが落ちて通行人がけがをすれば、民法第717条(工作物責任)により所有者等が責任を問われる可能性があります。報告義務のない分譲マンションも、管理組合が自主的に外壁を調べる意味があります。

鷺沼駅前の再開発と、周辺ビルへの影響

鷺沼駅前地区では、市街地再開発事業が進んでいます。川崎市の公表では、駅前街区は地上32階・地下2階(高さ約133m)、北街区は地上19階・地下2階(約89m)の計画で、令和7年度にインフラ工事に着手し、駅前街区の工事完了は令和13年度、北街区は令和17年度の予定です(出典:川崎市「鷺沼駅前地区」(2026年6月4日更新))。

駅前の景色が変わる時期は、周辺の中低層ビルやマンションにとっても、外壁や共用部を見直す好機になります。大きな工事が始まると、周辺の道路や歩行者の動線が変わり、建物の外壁が「誰の頭上にあるか」も変わります。また、再開発に合わせて新しいテナントが入るとき、外壁の安全性が確かめられた建物は、選ばれやすくなります。

全面打診が必要になる4つのきっかけ

理事長さまやオーナーさまには、次の4つを「全面打診のきっかけ」としてお伝えしています。

  1. 竣工から10年を超えた:最初の全面打診の起点です。
  2. 外壁の全面改修から10年を超えた:タイル張替えや全面補修をした年から数え直します。
  3. 前回の定期調査で「要是正」とされ、改善が済んでいない:次の報告で改善状況が問われます。
  4. タイルの浮き・剥落の兆候が見つかった:報告年を待たず、手の届く範囲の打診で異常があれば全面打診で確かめます。

川崎市の建築物の次の報告は令和10年です。前回の全面打診が平成30年(2018年)以前なら、令和10年の調査では全面打診が必要になる可能性が高いと考えてください。前回の大規模修繕の年と、最後に全面打診をした年を、まず修繕履歴で確かめてみてください。

費用の目安:打診の㎡単価と、足場・ロープアクセスの差

費用の目安を示します。以下は参考値で、実際の見積は建物の形状・高さ・外壁の仕上げ・敷地条件で大きく変わります。

項目 目安
全面打診調査の㎡単価(調査のみ) 250〜500円/㎡
10階建て・外周80m・打診対象約2,000㎡の調査費 約50〜100万円
同条件で仮設足場を組む場合(工期3か月想定) 約168万円
同条件でロープアクセス工法の場合 約59万円
足場とロープアクセスの差額 約109万円

全体の費用を押し上げるのは、打診そのものより足場です。斜面で足場が高くなる建物や、道路が狭く足場の資材を置きにくい敷地、店舗の前に足場を組むと営業に影響が出る建物では、足場の計画がさらに難しくなります。料金の考え方は明誠の大規模修繕の料金の考え方でも公開しています。

ロープアクセス工法が12条打診で選ばれる理由

ロープアクセス工法とは、屋上などの確実な吊元から、作業員がメインロープとバックアップロープの2本に接続して壁面に降り、足場を組まずに調査や補修を行う工法です。吊元は2点以上を確保し、二重の冗長化で安全を確保します。国際基準(IRATA)に沿った、業界標準のやり方です。技術の詳細は明誠のロープアクセス工法のページに、安全への取り組みは明誠の安全管理にまとめています。

12条打診でロープアクセスを選ぶ理由は、主に3つです。

  1. 費用:足場代を抑えられます。上の例では、足場工法より約100万円の差が出る可能性があります。
  2. 期間:足場の組立・解体がないため、足場工法の約60%の工期が目安です。
  3. 居ながら・営業しながら施工:窓や店舗の前に足場やメッシュシートがかからず、日当たりや防犯面の不安、店舗の看板が隠れる心配が少なく済みます。

斜面に建つ宮前区の建物では、ロープアクセスの強みがさらに生きます。屋上に吊元が取れれば、坂の下側の高い面まで、壁面に沿って降りて調べられます。擁壁があって足場の置き場がない面も、作業員が降りる広さがあれば調査できます。

打診は、テストハンマーでタイルやモルタルを一枚ずつ叩き、音の違いを聞き分ける仕事です。ロープアクセスなら、見つけた浮きにその場でマーキングし、条件が合えば注入による部分補修まで続けて行えます。ドローンの赤外線調査で全体を把握し、気になる面だけロープアクセスで叩いて確かめる組み合わせも可能です。ただし、住宅が密集した地域でドローンを飛ばすには航空法上の許可・承認や周辺への配慮が必要なため、事前の確認が欠かせません。

株式会社明誠は、これまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕に携わってきました。ロープアクセスでの高所作業では、明誠と全国のフランチャイズ加盟企業で、過去16年間、墜落による労働災害ゼロを続けています。作業は、IRATA水準の訓練を受けた作業員が担当します。

ロープアクセスの訓練体制や施工の実例は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムで詳しく紹介しています。足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3工法の比較もロープアクセスドットコムに掲載しています。塗装・防水・タイル・電気・看板などの専門工事会社さまで、フランチャイズ加盟をご検討の方もロープアクセスドットコムからご覧ください。

12条点検を大規模修繕・長期修繕計画とつなげる

12条点検(または自主的な外壁調査)と大規模修繕を、別々の会社に別々のタイミングで発注している管理組合やオーナーさまは少なくありません。私はこれを、できるだけワンセットで考えるよう提案しています。

  • 足場代の二重払いを避ける:打診のために足場を組み、数年後の大規模修繕でまた組む、という重複をなくせます。
  • 調査結果が補修数量の根拠になる:浮き・欠損の位置と数量が分かれば、見積書の数量が透明になります。
  • 長期修繕計画の精度が上がる:外壁の劣化が数字で分かり、修繕積立金の見通しが立てやすくなります。
  • ハイブリッド工法の判断材料になる:店舗のある低層部や、地面から近い面は足場、高層部や斜面の下側の高い面はロープアクセス、と面ごとに使い分けると総額が下がる建物もあります。

川崎市の建築物の次の報告年は令和10年です。令和8〜9年度のうちに外壁調査を済ませ、その結果を大規模修繕の計画に組み込めば、報告年に慌てて足場を組む必要がなくなります。

分譲マンションの管理組合さまは管理組合様向けの大規模修繕サービスを、賃貸マンション・テナントビルのオーナーさまはビルオーナー様向けの修繕サービスをご覧ください。

よくあるご質問

Q. 川崎市宮前区の分譲マンションは、12条の定期報告が必要ですか?

A. サービス付き高齢者向け住宅やグループホームにあたらないマンションは、川崎市では建築物の定期報告の対象外です。ただし、エレベーターは原則として毎年の定期検査報告が必要です。1階などに物販店・飲食店が一定規模で入る場合は、対象になることがあります。

Q. 1階が店舗のマンションは、どこまで調査が必要ですか?

A. 川崎市は「定期報告対象用途の利用客に影響を与え得る箇所かどうか」で判断するよう案内しています。店舗の利用客に被害を及ぼしかねないマンション部分の外壁や、店舗とつながる共用階段は対象、店舗利用客に影響しない専有部は対象外です。

Q. 川崎市宮前区の12条点検の窓口はどこですか?

A. 宮前区役所ではなく、川崎市まちづくり局 指導部 建築指導課 建築安全担当(電話044-200-2757、川崎区宮本町1番地)です。

Q. 次の建築物の定期報告はいつですか?

A. 川崎市の建築物の定期報告は令和7年の次が令和10年です。ホテル・病院・老人ホームなどは6月〜9月、物販店・飲食店などは10月〜翌1月が受付期間です。防火設備と昇降機は毎年報告します。

Q. 定期報告書はどうやって出しますか?

A. 川崎市への直接提出または郵送(手数料なし)が基本です。報告書・概要書各1部を出し、郵送では連絡先と、切手を貼った返信用封筒を同封します。(一財)神奈川県建築安全協会経由の場合は2部と報告手数料が必要で、報告済証が発行されます。

Q. 外壁の全面打診は何年ごとですか?

A. 定期報告の対象建築物では、竣工や外壁の全面改修から、おおむね10年を経過したあとの最初の定期調査で必要です。根拠は平成20年国土交通省告示第282号です。

Q. 斜面に建つマンションでも、足場なしで外壁を調べられますか?

A. 屋上に2点以上の吊元を確保できれば、ロープアクセス工法でメインロープとバックアップロープの2本に接続して降り、坂の下側の高い面まで足場なしで叩いて調べられます。現地を見て、足場との組み合わせも含めてご提案します。

まとめ+今週動くこと3点

川崎市宮前区の12条点検の窓口は、川崎市まちづくり局の建築指導課 建築安全担当です。川崎市では、住戸だけのマンションや事務所だけのビルは建築物の定期報告の対象外です。一方で、物販店・飲食店などが一定規模で入る建物は対象になり、その場合はマンション部分の外壁も調査範囲になり得ます。建築物の次の報告年は令和10年。令和8〜9年度は、全面打診と大規模修繕を落ち着いて準備できる時期です。

今週動くことを3つに絞ります。

  1. 自分の建物が対象かを確かめる:1階・2階のテナントの用途と床面積を確認し、判断がつかなければ建築安全担当に相談する。テナントビルは、令和8年10月〜令和9年1月の防火設備・昇降機の報告予定も管理会社に確認する。
  2. 最後の全面打診の年を調べる:修繕履歴や過去の調査報告書を見て、令和10年の時点で10年を超えないかを確かめる。報告義務のない分譲マンションも、10年を目安に外壁の状態を数字で把握する。
  3. 次の大規模修繕とセットで考える:外壁調査と、大規模修繕、長期修繕計画の見直しを一体で検討することを、次の理事会・オーナー会議で共有する。

明誠の施工実績は明誠の施工事例で、私たちの考え方は明誠の理念でご覧いただけます。ご相談は大規模修繕・打診調査のお問い合わせフォームからどうぞ。川崎市宮前区を含む神奈川県全域で、現地調査にも対応しています。報告年の前に一度建物を見ておくだけでも、次の一手はずっと選びやすくなります。

出典・参考資料

本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月14日(令和8年度)時点で公表されている国土交通省・川崎市の公式情報をもとに執筆しています。川崎市の「定期報告が必要な建築物・建築設備及び定期報告の受付期間」は2026年6月29日(令和8年度)更新の掲載を確認しました。同ページは建築設備の周期について、表では3年ごと、本文では毎年と読める記載があるため、報告前に市へご確認ください。「定期報告告示改正に係る川崎市の対応について」は2025年9月、「よくある質問」は2024年10月の更新で、いずれも令和7年度以前の掲載です。宮前区の人口は令和3年10月1日現在の数値で、現在とは異なります。制度は年度途中でも改正があり得ます。調査・報告の前に、川崎市まちづくり局 建築指導課 建築安全担当(044-200-2757)へ最新の内容をご確認ください。費用の数字は参考値で、個別の見積を保証するものではありません。

この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年10月14日


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横須賀市のマンション漏水・防災対策|谷戸のがけ・内水153mm・相模湾側の津波から考える大規模修繕の優先順位【2026年度版】

2026年10月13日 更新

横須賀市のマンションで修繕のご相談を受けると、私は最初に「海からの距離」と「建物の裏のがけ」の2つをお聞きします。横須賀市は三浦半島の大部分を占め、東は東京湾、西は相模湾に面しています。そのうえ平地が少なく、谷戸(やと:丘陵に入り込んだ細い谷あいの土地)に住宅やマンションが建ち並んでいます。海の塩と風、がけと谷筋を流れる雨水。横須賀の建物は、この両方を同時に受けています。

私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。拠点は東京都東大和市ですが、神奈川県内のマンションの大規模修繕も手がけています。20年以上、マンション・ビル・ホテルの外壁と向き合ってきました。仮設足場を組む工事も、メインロープとバックアップロープの2本に接続して壁面に降りる無足場の工事も、どちらも現場でやってきた人間です。

今日は、横須賀市・神奈川県・国土交通省・気象庁の公式情報をもとに、横須賀市の分譲・賃貸マンション、そしてオーナーさまのビルが、大規模修繕で先に手を打つべき場所を整理します。


結論:横須賀市で優先すべきは「がけと谷筋の水」「内水と高潮の想定確認」「塩害を受ける外壁の防水」です

先に結論を申し上げます。横須賀市のマンションでは、次の3つから動くことをお勧めします。

  1. 建物が土砂災害(特別)警戒区域に入っていないか、隣接していないかを確認し、擁壁・水抜き穴・敷地排水を点検する:谷戸の地形では、がけと建物の距離が近い物件が少なくありません
  2. 2026年9月に更新された内水ハザードマップと、高潮ハザードマップで建物の位置と想定浸水深を確認する:谷筋の低い場所と、海沿いの埋立地では水の来方が違います
  3. 海風を受ける面のシーリング・鉄部・バルコニー排水を点検し、防水の改修時期を記録で確認する:塩分は劣化を早め、劣化した目地から雨が入ります

順に見ていきます。

横須賀市のハザードマップを1枚で読む(土砂/内水/洪水/高潮/津波)

横須賀市は、災害の種類ごとにハザードマップを分けて公表しています。まず全体像を表にまとめます(出典:横須賀市「防災関係の地図(ハザードマップなど)」)。

種類 横須賀市の状況 マンションで見るべき点
土砂災害 市内8地区ごとにマップあり。県指定の警戒区域・特別警戒区域を表示 擁壁・水抜き穴・がけ側の外壁と排水
内水 1時間153mmの雨を想定。2026年9月11日にページ更新 谷筋の低い道路沿い、半地下の部屋・設備室
洪水 鷹取川、平作川、竹川・松越川の想定最大規模 川沿いの建物の浸水深
高潮 東京湾北側・東京湾東側・相模灘西側の3図 海沿いの埋立地、1階・地下の設備
津波 神奈川県の津波浸水想定(平成27年3月)を基に令和4年度改訂 浸水深と避難先の階数

土砂災害:谷戸の地形と、市内8地区のマップ

横須賀市の土砂災害ハザードマップは、神奈川県が指定した土砂災害警戒区域・特別警戒区域と、風水害時避難所の位置を、追浜・田浦、逸見・本庁、衣笠、大津・浦賀、久里浜、北下浦、西地区1・2の8枚に分けて示しています。マップは縮尺11,000分の1で見えにくい場合があるため、自宅が区域に入っているかは、市の地図サービス「よこすかわが街ガイド」で縮尺2,500分の1で確認するよう案内されています(出典:横須賀市「土砂災害ハザードマップ・防災マップ」)。

市は「よう壁やがけ地の安全性は、土地所有者が専門的知見などを参考に判断する必要があります」と明記しています(出典:横須賀市「がけ崩れ防止工事への助成」)。つまり、マンションの敷地内のがけや擁壁は、管理組合やオーナーさまが自ら気にかける必要がある、ということです。宅地建物取引の重要事項説明に使う正式な区域は、神奈川県の告示図書で確認します。

内水:想定は1時間153mm、2026年9月にページ更新

横須賀市上下水道局の内水ハザードマップは、国が示した関東地域で観測された最大の雨量をもとに、おおむね1000年に1度の降雨(1時間あたり153mm)を想定しています。マップ版は「追浜・田浦・逸見・本庁・衣笠」「本庁・衣笠・大津・浦賀」「浦賀・久里浜・北下浦」「西地区」の4枚です。令和6年1月1日からは水防法施行規則に基づくマップとなり、不動産取引の重要事項説明の対象にもなっています(出典:横須賀市上下水道局「横須賀市内水ハザードマップについて」2026年9月11日更新)。

市は、浸水が約50cmを超えると歩いての避難が難しくなると注意を呼びかけています。また、想定区域以外でも浸水したり、浸水深が異なったりする場合があるとしています。谷戸の奥に降った雨は、谷筋の道路を通って一気に低い場所へ集まります。建物の位置だけでなく、前面道路がどちらに下っているかも地図で確かめてください。

洪水:鷹取川・平作川・竹川・松越川

横須賀市の洪水ハザードマップは、神奈川県の想定最大規模の浸水想定区域図をもとに、鷹取川、平作川、竹川・松越川が氾濫した場合の浸水想定区域を示しています。市は、想定を超える降雨や高潮、支川や下水道の氾濫は考慮していないため、掲載のない区域でも浸水する場合があると注記しています(出典:横須賀市「洪水ハザードマップ」)。平作川は衣笠・久里浜方面を流れる市内でも大きな川です。流域のマンションは、表面・裏面の2枚のPDFで建物の位置を確認してください。

高潮:東京湾側と相模湾側で3つの図

高潮ハザードマップは、神奈川県の高潮浸水想定区域図をもとに、想定し得る最大規模の高潮による浸水を「東京湾北側地域」「東京湾東側地域」「相模灘西側地域」の3図で示しています。海岸堤防は、東京湾側は令和4年11月末時点、相模湾側は令和2年3月末時点の整備状況をもとに、一定の条件で壊れるものとして扱っています。詳しい浸水深は、県の「e-かなマップ」で縮尺500分の1で見られます(出典:横須賀市「高潮ハザードマップ」)。

津波:相模湾側は到達が早い

神奈川県は平成27年3月に津波浸水予測図を見直し、5つの地震で浸水域と浸水深が最大になるよう重ね合わせた「津波浸水想定図」を公表しました。横須賀市はこれをもとに、令和4年度に津波ハザードマップを改訂しています(出典:横須賀市「津波ハザードマップ」)。

県の予測図(元禄関東地震タイプ)では、市の西側、相模湾に面した横須賀海岸(長井地区)で最大津波高さ6.2m・到達時間7分、佐島漁港海岸(芦名地区)で9.1m・8分、長井漁港海岸(本港地区)で8.7m・8分とされています(出典:神奈川県「津波浸水予測図 元禄関東地震タイプ(14/24)」平成27年3月)。到達まで10分を切る地区があるということは、「建物の上の階へ逃げる」判断が現実的な選択肢になる、ということです。東京湾側の地区の数値は、お住まいの地区のハザードマップでご確認ください。

横須賀市の地域特性と漏水事故の関係:谷戸のがけ、海の塩、坂の多い敷地

ここからは私の現場経験です。ハザードマップは「水がどこに来るか」を示しますが、マンションの漏水は「水がどこから入るか」の問題です。

横須賀市には、横須賀中央や汐入など本庁地区の海沿いに建つマンション、追浜・田浦の谷戸に沿って建つ中低層のマンション、そして丘を造成した団地型のマンションが混在しています。谷戸に建つ物件では、建物の背面にがけや擁壁が迫り、擁壁の水抜き穴が土や落ち葉で詰まって、背面にたまった水が擁壁を押したり、敷地の高低差を伝って1階の外壁や基礎に回り込んだりします。私の経験上、「がけ側の部屋だけ、雨のたびに壁紙が浮く」というご相談の多くは、建物そのものより敷地の水の流れに原因がありました。

海沿いの物件では、塩害が劣化を早めます。塩分を含んだ風を受け続けた手すりや鉄骨階段の根元、サッシの金物まわりは、内陸の建物より早く錆が進みます。錆びた金物は膨らんでシーリングや防水層を押し広げ、そこから雨が入ります。これは私が現場で繰り返し見てきた実感で、公的な統計ではありません。

雨そのものも増えています。気象庁の「日本の気候変動2025」によると、全国のアメダスで、1時間に50mm以上の雨の年間発生回数は、1976〜1985年の平均約226回から2015〜2024年の平均約334回へ、約1.5倍に増えました(出典:気象庁「日本の気候変動2025」、1,300地点換算)。屋上とバルコニー、そして敷地の排水に余力がある建物ほど、被害は小さくなります。

大規模修繕でチェックすべき漏水ポイント7つ

大規模修繕の前の劣化調査で、私がいつも見る7か所です。横須賀市の建物では、ここに「擁壁と敷地排水」「海風を受ける金物」を必ず加えます。

部位 見るところ 横須賀市で特に気にする点
①屋上防水 膨れ・ひび割れ・端部の浮き 排水勾配と溜まり水。強風を伴う雨での端部のめくれ
②シーリング(目地の防水材) 肉やせ・切れ・剥離 海風を正面から受ける面の早い劣化
③バルコニー排水 排水口の詰まり・床の勾配 豪雨時の溢れ。上階から下階への漏水
④ドレン(雨水の排水口) 落ち葉・砂の堆積、取付部の隙間 谷戸の斜面林に近い建物の落ち葉
⑤立上り(防水層の壁際) 端部の押さえ金物、防水層の切れ 塩分による金物の錆と防水層の浮き
⑥サッシまわり 枠まわりのシーリング、水切り 吹き込みの風雨を受ける海側の面
⑦エキスパンションジョイント(建物の継ぎ目) カバーの外れ、止水材の劣化 段差のある敷地に建つ棟同士の継ぎ目。地震後のずれ

これに加えて、がけに近い建物では擁壁の水抜き穴の詰まり・ひび割れ・はらみ(ふくらみ)、側溝や集水桝の流れを見てください。擁壁の構造的な判断は専門の調査が必要ですが、水抜き穴の清掃や敷地排水の不具合は、修繕の範囲で手を打てることが多いです。

目安となる金額もお伝えします。防水の改修費は、工法や下地の状態で変わりますが、屋上・バルコニーで1㎡あたり5,000〜8,000円程度が一つの目安です。外壁の打診調査は1㎡あたり250〜500円程度が目安です(いずれも物件により大きく変動します。正式な金額は調査後の見積でご確認ください)。ドレンの清掃や部分補修は、被害が出る前なら比較的小さな費用で済みます。漏水が出て内装まで傷めてからでは、工事費に室内の復旧費が上乗せされます。

劣化の見分け方は、明誠の漏水対応の専門ページにもまとめています。

漏水緊急対応でロープアクセスが強い理由

台風や豪雨のあと、「上の階から水が落ちてくる」「外壁のひびから雨が入る」という連絡をいただくことがあります。仮設足場を組む工事だと、手配から組み上げまで日数がかかります。横須賀市のように坂が多く、前面道路が狭い谷戸の物件や、がけの上に建つ物件では、足場の資材を運び込むだけでも手間がかかり、費用と工期が膨らみやすい傾向があります。

ロープアクセス工法は、足場を組まずに、メインロープとバックアップロープの2本に接続した作業員が壁面へ降り、2点以上の吊元を確保して作業します。足元の地形に左右されないので、がけ側の壁にも屋上から直接アプローチできます。原因の確認と応急処置に、足場の組立期間が要りません。ひび割れの確認、シーリングの打ち替え、仮止水といった作業を、短い日数で進められます。この工法の考え方と技術情報は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムに整理しています。

金額面でも差が出ます。一つの目安として、10階建て・外周80m・工期3か月のマンションの例では、足場費が約168万円かかる計算の物件で、ロープアクセスなら約59万円(差額約109万円)に収まる試算があります(あくまで一例です。実際は建物の形状や作業内容で変わります)。工期も、足場工法の約60%で終えられる場合があります。

安全面について。株式会社明誠はこれまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。明誠および全国のフランチャイズ加盟企業では、ロープアクセス工法での高所作業について、過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。IRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の技能訓練を受けた作業員が、二重の確保を前提に作業します。工法の詳細は明誠のロープアクセス工法のご紹介をご覧ください。平らな側は足場、がけ側はロープ、といった部位ごとの使い分け(ハイブリッド工法)もできます。工法比較の技術解説はロープアクセスドットコムの技術解説でも紹介しています。

防災上の共用部:位置と修繕優先度を決める

漏水の次に、電気と水の話です。国土交通省と経済産業省がまとめた「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン」(令和2年6月)は、ハザードマップや過去の浸水実績から「どのくらいの深さ・時間の浸水に備えるか」を決め、そのうえで電気設備を浸水リスクの低い場所に置く、出入口・からぼり(地下の採光用の掘り込み)・換気口などの開口部をふさぐ、排水設備の逆流を防ぐ、といった対策を組み合わせるよう示しています(出典:国土交通省「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン」概要)。

横須賀市の斜面に建つマンションでは、「1階」が山側では地下、谷側では地上、という建物がよくあります。海沿いの物件では、高潮や津波の想定浸水深より低い位置に電気室や受水槽がないかが問題になります。管理組合の優先順位に置き換えると、こうなります。

  1. 受変電設備(電気を建物に引き込む設備):エレベーターもポンプも、ここが水をかぶると動きません。地下や半地下にある場合は最優先で確認します
  2. 給水ポンプ・受水槽:停電で止まると、高層階は断水します
  3. エレベーター:ピット(昇降路の底)への浸水は長期停止につながります。坂の多い横須賀では、高齢の居住者の生活に直結します
  4. 非常用発電機と燃料:発電機自体が浸水しない位置にあるか、燃料の備蓄量は足りるかを確認します
  5. 避難通路と上階への動線:津波の到達が早い地区では、外へ逃げるより上の階へ上がる判断が必要になる場面があります。階段室の扉や手すりが錆で傷んでいないかも確認します

設備まわりの防水(床・壁・貫通部の止水)や止水板の取付下地の補修は、大規模修繕の工事範囲に入れておけば、足場やロープの手配を共用でき、費用を抑えやすくなります。設備の移設そのものは大きな費用がかかるため、長期修繕計画の見直しとセットで検討するのが現実的です。ビルオーナーさまはビルオーナー向けの明誠のサービス、管理組合さまは管理組合向けの明誠のサービスをご覧ください。

横須賀市で使える防災補助・耐震助成(令和8年度)

横須賀市のマンションで関係する可能性のある制度です。年度で内容が変わりますので、令和8年度の公式情報を引いています。

横須賀市マンション耐震診断補助:昭和56年5月末日以前に建築確認を得て着工した、鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄骨造の分譲マンションが対象です。住戸数の過半を区分所有者の居住の用に供すること、住宅部分の床面積が過半であること、予備診断または耐震診断の実施が管理組合の総会で決議されていることなどが条件です。

区分 補助率 上限
予備診断 診断費用(税抜)の2/3 1棟につき12万円
耐震診断 診断費用(税抜)の1/2 1住戸あたり3万円

予備診断で倒壊の危険があると判断された場合のみ、耐震診断に進めます。市は「診断を行う前年度中に、市に事前相談を」と案内していますので、令和9年度に診断したい管理組合は、令和8年度中の相談が必要です。問合せ先は横須賀市都市部建築指導課(電話046-822-9530)です(出典:横須賀市「住宅の耐震診断補強工事補助事業」2026年4月1日更新)。

がけ崩れ防止工事への助成:高さ2m以上・角度30度以上で、上または下に住居があるがけについて、設計費の1/2(上限5万円)、地質調査費の1/2(上限30万円)、工事費の1/2(上限500万円)を補助する制度です。ただし条件に「個人で防災工事を申請すること」とあり、工事施行者は市内業者に限られます。管理組合や法人が対象になるかは、着工前に市の都市部宅地審査防災課(電話046-822-8340)へ必ずご相談ください(出典:横須賀市「がけ崩れ防止工事への助成」2026年4月3日更新)。神奈川県の急傾斜地崩壊危険区域に指定され、採択基準を満たす場合は、県が工事を行う制度もあります。

なお、電気設備の浸水対策や外壁の防水そのものを対象とした横須賀市のマンション向け補助は、本記事執筆時点の調査では確認できませんでした。

よくあるご質問

Q. 横須賀市のマンションは、どの災害の心配が大きいですか?

A. 立地で大きく変わります。谷戸やがけに近い建物は土砂災害と敷地の排水、谷筋の低い場所は内水、海沿いは高潮と津波を優先して確認してください。市は災害の種類ごとにマップを分けていますので、複数のマップを見比べることが大切です。

Q. 自分のマンションが土砂災害警戒区域に入っているか、どう調べますか?

A. 横須賀市の「よこすかわが街ガイド」で縮尺2,500分の1で確認できます。重要事項説明などの正式な確認は、神奈川県の告示図書をご覧ください。

Q. 海沿いのマンションは、内陸より修繕の周期を短くすべきですか?

A. 一律には言えませんが、海風を受ける面の鉄部やシーリングは、私の経験上、内陸より劣化が早い傾向があります。前回修繕から10年前後で、海側の面だけでも点検されることをお勧めします。

Q. 擁壁の水抜き穴から水が出ていないのですが、問題ですか?

A. 雨のあとも水が出ない場合、詰まっている可能性があります。背面に水がたまると擁壁に負担がかかります。清掃と目視点検をお勧めします。構造的な判断は専門の調査が必要です。

Q. 屋上防水の改修費はいくらくらいですか?

A. 工法や下地の状態で変わりますが、1㎡あたり5,000〜8,000円程度が目安です。物件ごとに大きく変動しますので、無料で概算をお出しできます。

Q. 坂の上で足場が組みにくい建物の外壁から漏水しています。足場なしで直せますか?

A. 直せる場合が多いです。ロープアクセス工法なら、屋上から壁面へ直接降りて、調査からシーリングの打ち替えまで進められます。平らな側は足場、がけ側はロープというハイブリッド工法も選べます。

Q. 施工事例は見られますか?

A. 明誠の施工事例からご覧いただけます。

まとめ:今週動くこと3点

最後に、今週中に理事会や管理会社へ出していただきたいことを3点にまとめます。

  1. 「よこすかわが街ガイド」と内水・高潮・津波のハザードマップで、建物の位置と想定浸水深を確認し、管理組合内で共有する
  2. 擁壁の水抜き穴・ひび割れ・敷地排水と、海側の鉄部・シーリングの写真を管理会社に依頼する。電気室・給水ポンプ・エレベーターピットの位置と床の高さを図面で確認する
  3. 旧耐震の分譲マンションは、令和9年度の耐震診断補助を見据え、令和8年度中に市の建築指導課へ事前相談する

台風の季節が終わりかけた今が、次の雨のシーズンまでに手を打てる、いちばんよい時期です。漏水も土砂も、起きてから直すより、起きる前に水の入口と出口を整えるほうが、はるかに安く済みます。ご相談だけでも遠慮なくお問い合わせフォームからお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。

本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月13日時点で公表されている横須賀市、神奈川県、国土交通省、気象庁の公式情報をもとに執筆しています。ハザードマップや補助制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請される前に、必ず横須賀市および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。

出典・参考資料

この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年10月13日


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横須賀市のマンション漏水・防災対策|台風25号の連続雨量451.5mm・急傾斜地・内水153mmから考える大規模修繕の優先順位【2026年度版】

2026年10月13日 更新

2026年9月の台風第25号で、横須賀市では土砂崩れなどにより人命が失われました。亡くなられた方々に心よりお悔やみを申し上げ、被災された皆さまにお見舞い申し上げます。復旧のさなかにある方も多いと思います。そのうえで、この記事は「次の雨の前に、マンションで何を整えるか」を、現場の目線でお伝えするために書いています。

私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。拠点は東京都東大和市ですが、神奈川県内のマンションの大規模修繕も手がけています。20年以上、マンション・ビル・ホテルの外壁と向き合ってきました。仮設足場を組む工事も、メインロープとバックアップロープの2本に接続して壁面に降りる無足場の工事も、どちらも現場でやってきた人間です。

横須賀市のマンションでご相談を受けると、私はまず「建物の裏や横に、がけや擁壁はありますか」とお聞きします。丘陵が海の近くまで迫るこの街では、水の心配は川のあふれだけではありません。斜面を流れ落ちる雨水、下水があふれる内水、屋上や外壁から入り込む雨。この3つが重なる場所に建物が立っています。

今日は、横須賀市・気象庁・国土交通省の公式情報をもとに、横須賀市の分譲・賃貸マンション、そしてオーナーさまのビルが、大規模修繕で先に手を打つべき場所を整理します。


結論:横須賀市で優先すべきは「斜面の水」「内水の確認」「屋上とバルコニーの排水」です

先に結論を申し上げます。横須賀市のマンションでは、次の3つから動くことをお勧めします。

  1. 建物が土砂災害警戒区域に入っていないか、隣接していないかを確認し、擁壁・水抜き穴・敷地排水を点検する:9月の台風25号では、市内で土砂災害だけで87件の被害が報告されました
  2. 横須賀市の内水ハザードマップで、建物の位置と想定浸水深を確認する:市のマップは1時間153mmの雨を前提にしています。川から離れた建物でも、道路や地下に水が集まることがあります
  3. 屋上ドレン・バルコニー排水・サッシまわりのシーリングを点検し、防水の改修時期を記録で確認する:まとまった雨で最初に出る被害は、排水が追いつかないことによる漏水です

順に見ていきます。

2026年9月の台風25号が、横須賀市に突きつけたもの

市の最終報(9月22日12時30分時点)によると、20日の降り始めからの連続雨量は野比出張所で451.5mmに達しました。9月21日の朝8時に高齢者等避難を市内全域に発令し、10時05分には避難指示が出て、順次拡大して13時に市内全域となりました。避難指示の最大対象は164,244世帯、361,116人です(出典:横須賀市「台風第25号の対応について【9月22日12時30分時点(最終報)】」)。

同じ資料では、被害件数は土砂災害87件、住家27件、道路・橋梁77件など、合計234件(9月22日6時時点)。最大2,640軒の停電も起きています。人的被害は、9月22日時点で死亡1人、行方不明2人と報告されました。その後の報道では、横須賀・三浦両市で計5人が亡くなったと伝えられています(出典:神奈川新聞 カナロコ 2026年10月5日)。被害の数字は、今後の確認で変わる可能性があります。

市は広報で、降り始めからの総雨量が450mmを超える地点が出たこと、これが昭和49年の七夕豪雨を超える雨量であることも伝えています(出典:横須賀市「令和8年 台風第25号への対応」)。気象庁横浜地方気象台の神奈川県気象速報でも、隣の三浦市三浦で6時間に188.0mmの雨が観測されたと記録されています(出典:気象庁「令和8年 台風第25号に関する神奈川県気象速報」。三浦市の観測値であり、横須賀市の値ではありません)。

正直に申し上げます。この規模の雨を受けて、これまでの「うちは大丈夫」は通用しなくなりました。私は今回の被害を、遠い誰かの話として書くつもりはありません。

横須賀市のハザードマップを1枚で読む

横須賀市は、防災関係の地図を種類ごとに公開しています。土砂災害、津波、洪水、内水、高潮、震度の各マップがあり、液状化は市の独立したマップではなく、神奈川県の「e-かなマップ」で確認する形です(出典:横須賀市「防災関係の地図(ハザードマップなど)」)。

種類 横須賀市の状況 マンションで見るべき点
土砂災害 県指定の警戒区域・特別警戒区域を市が地図化(8地区分) 擁壁・水抜き穴・斜面側の外壁と排水
内水 1時間153mmを想定。4面に分けて公開 道路が低い場所、地下・半地下、駐車場
洪水 鷹取川・平作川・竹川・松越川が対象。想定最大規模 川沿いの建物の浸水深
高潮 想定し得る最大規模。東京湾北側・東側と相模灘西側の3地域 海に近い低地の建物、電気設備の位置
津波 県の9つの地震のうち5つを重ねて最大浸水を表示 避難場所と、1階共用部の浸水
液状化 市のマップ無し。県のe-かなマップで確認 埋立地・谷戸の埋め土の地盤

土砂災害:まず自分の建物が区域に入るかを調べる

市の土砂災害ハザードマップは、神奈川県が指定した土砂災害警戒区域・特別警戒区域と風水害時避難所を示しています。市内8地区のマップは縮尺1万1千分の1のため、警戒区域が粗く見えることがあり、自宅が入るかどうかは「よこすかわが街ガイド」(縮尺2,500分の1)での確認が案内されています(出典:横須賀市「土砂災害ハザードマップ・防災マップ」)。

神奈川県の告示図書では、令和8年3月17日現在の横須賀市の指定は、土石流が118区域、急傾斜地の崩壊が1,128区域、地滑りが39区域と表示されています。ただし、この表示は一部の項目で数字の整合が取れていない箇所があり、区域は解除や新規指定で変わります。区域の正確な位置と数は、最新の告示図書で個別にご確認ください(出典:神奈川県「土砂災害警戒区域等告示図書(横須賀市)」)。

内水:想定降雨は1時間153mm

市の内水ハザードマップは、関東地域で想定される最大規模の降雨、1時間あたり153mmを前提にしています。追浜・田浦・逸見・本町・衣笠、大津・浦賀、久里浜・北下浦、西地区の4面で公開されています。浸水が約50cmを超えると、歩いての避難が難しくなると案内されています(出典:横須賀市「横須賀市内水ハザードマップについて」)。

洪水・高潮・津波

洪水ハザードマップの対象は、鷹取川、平作川、竹川・松越川の3系統です。県の浸水想定と、水防法の想定最大規模に基づいています(出典:横須賀市「洪水ハザードマップ」)。高潮は「想定し得る最大規模」で、東京湾北側・東京湾東側・相模灘西側の3地域に分かれています(出典:横須賀市「高潮ハザードマップ」)。津波は、県が評価した9つの地震のうち5つを組み合わせて最大浸水を示しています(出典:横須賀市「津波ハザードマップ」)。

地域特性と漏水事故の関係:斜面地・谷戸・海沿いで起きること

ここからは、私の現場経験です。地形別に、横須賀市のようなエリアで漏水が出やすい場所を整理します。

斜面地・谷戸(丘陵地)の建物:山側の外壁は地面に近く、雨水が壁際にたまりやすい構造です。山側の「1階」が地下扱いになる建物もあり、地中からの湿気やしみ出しが、地下の電気室やポンプ室にまで届きます。擁壁の水抜き穴が詰まると、背面に水がたまり、擁壁にも建物の基礎まわりにも負担がかかります。

海に近い低地の建物:潮風を受ける外壁では、シーリング(目地を埋めるゴム状の材料)や金属部の劣化が早く進む傾向があります。高潮や津波の想定区域では、1階の共用部や地下の設備が浸水しやすく、電気設備の置き場所が復旧の速さを決めます。

築年数の経った中低層マンション:屋上のコンクリート押さえの防水は、継ぎ目のひび割れから水が入ります。台風のあとに屋上へ上がると、ドレン(雨水を落とす排水口)の周りに落ち葉と砂がたまり、水が引かない光景を、私は何度も見てきました。排水が詰まった状態で強い雨が来ると、行き場を失った水が立上りの隙間やサッシまわりから室内に入ります。

大規模修繕でチェックすべき漏水ポイント7つ

台風25号のような雨のあとは、次の7か所を順に見ます。目安の単価も添えますが、実際の見積は物件の状態で大きく変わりますので、参考値としてご覧ください。

  1. 屋上防水:ふくれ、ひび割れ、端部の浮き。改修費は1㎡あたり5,000〜8,000円程度が目安です
  2. シーリング:外壁の目地、サッシ周りの硬化・痩せ・切れ。打ち替えの時期を記録で確認します
  3. バルコニー排水:排水溝の詰まり、床の勾配、笠木まわり。ここの水が下階の天井に出ます
  4. ドレン(屋上・バルコニーの排水口):落ち葉・土砂の詰まり、ストレーナー(ごみ除け)の破損。台風前後の清掃で防げる被害が多い場所です
  5. 立上り(防水層が壁と接する部分):端部の押さえ金物の浮き、シールの切れ
  6. サッシまわり:枠と外壁の取り合い、水切り、室内側の結露と雨漏りの見分け
  7. エキスパンションジョイント(建物の動きを逃がす継ぎ目):カバーの外れ、止水材の劣化。揺れと雨の両方に弱い場所です

「どこから入った水か分からない」というご相談は、私の経験上、実は多いです。そのときは、散水試験や赤外線調査で入口を絞ってから工事範囲を決めます。詳しい漏水診断の進め方は、明誠の漏水対応のご案内にまとめています。

漏水緊急対応でロープアクセスが強い理由

台風のあとの現場では、道路が土砂でふさがれていたり、斜面側に足場の資材を置く場所がなかったりします。足場は、手配から組み上げまで通常でも数日から1週間以上かかります。その間にも雨は降ります。

ロープアクセス工法は、屋上の2点以上の吊元を確保し、メインロープとバックアップロープの2本に接続して壁面に降りる無足場の工法です。足場を待たずに、調査、応急のシーリング、ドレン清掃、仮防水まで進められます。10階建て・外周80m・工期3か月の建物を例にすると、足場工法の168万円に対し、ロープアクセスでは59万円と、約109万円の差が出る試算もあります(物件により変動する参考値です)。仕組みの詳細はロープアクセス工法のご紹介をご覧ください。

株式会社明誠は、これまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセス工法では、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業で過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。技術や訓練の詳しい情報は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムで公開しています。斜面側は無足場、平らな側は足場というハイブリッド工法もご提案できます。

防災上の共用部:位置を知り、直す順番を決める

国土交通省と経済産業省の「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン」は、まず建物のリスクを把握し、そのうえで電気設備を浸水しにくい場所に置く、出入口や換気口などの開口部をふさぐ、排水設備の逆流を防ぐ、といった対策を組み合わせるよう示しています(出典:国土交通省「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン」概要)。

管理組合の優先順位に置き換えると、次の順になります。

  1. 受変電設備(電気を建物に引き込む設備):エレベーターもポンプもここが止まると動きません。地下・半地下にあるなら最優先です
  2. 給水ポンプ・受水槽:停電で止まると高層階が断水します。台風25号でも最大2,640軒が停電しました
  3. エレベーター:ピット(昇降路の底)への浸水は長期停止につながります。坂の多い街では、高齢の居住者の生活に直結します
  4. 非常用発電機と燃料:発電機自体が浸水しない位置か、燃料の備蓄は足りるかを確認します
  5. 避難通路と斜面側の出入口:がけ側の通路は、土砂災害のときに使えない可能性があります

設備まわりの防水や止水板の下地補修は、大規模修繕の工事範囲に入れると、足場やロープの手配を共用できて費用を抑えやすくなります。ビルオーナーさまはビルオーナー向けの明誠のサービス、管理組合さまは管理組合向けの明誠のサービスをご覧ください。

横須賀市で使える防災補助・耐震助成(令和8年度)

マンション耐震診断等補助:横須賀市のページ(2026年4月1日更新)によると、対象は昭和56年5月末日以前に建築確認を得て着工した、鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄骨造のマンションで、住戸の過半が居住用であること、診断の実施を管理組合の総会で決議していることなどが条件です。

区分 補助率 上限
予備診断 診断費用(税抜)の3分の2 1棟あたり12万円
耐震診断 診断費用(税抜)の2分の1 1住戸あたり3万円

予備診断で倒壊の危険があると判断された場合にのみ、耐震診断へ進めます。ページ冒頭の案内には申込締切(12月28日)と、定員に達し次第終了する旨が書かれていますが、マンションの受付開始日は記載がなく、令和8年度から自己負担額などが変わるとも案内されています。申請前に、市の都市部建築指導課へ最新の条件をご確認ください(出典:横須賀市「住宅の耐震診断補強工事補助事業」、横須賀市マンション耐震診断等補助金交付要綱)。

がけ崩れ対策の助成:市は、高さ2m以上かつ角度30度以上のがけの上下に住居がある場合の既成宅地の防災工事や、立木の伐採などへの助成を案内しています。ただし、該当ページの更新日は2023年6月で、要綱は見直し中とも書かれています。令和8年度の条件は、市の危機管理課で最新のものをご確認ください(出典:横須賀市「防災工事などへの助成」)。なお、屋上防水や共用部の電気設備の浸水対策そのものを対象とする市のマンション向け補助は、本記事執筆時点の調査では確認できませんでした。

被災された方は、罹災証明書の手続き、災害ごみの無料収集、水道料金の減免などの支援が案内されています。10月13日からの罹災証明書の申請窓口は、市役所本館5階の危機管理課です(出典:横須賀市「令和8年 台風第25号の被害に遭われた方へ」)。被害箇所は、直す前に写真で記録しておいてください。

よくあるご質問

Q. 横須賀市のマンションは、どの災害を優先して備えるべきですか?

A. 立地で変わります。斜面や擁壁に近い建物は土砂災害と敷地排水を、低地や海に近い建物は内水・高潮・津波と電気設備の位置を優先してください。屋上・バルコニーの排水は、すべての建物に共通する最初の点検項目です。

Q. 自分のマンションが土砂災害警戒区域に入っているか、どう調べますか?

A. 市の「よこすかわが街ガイド」で、縮尺2,500分の1の地図上に指定済みの区域を重ねて確認できます。区域は解除や新規指定で変わりますので、神奈川県の告示図書も併せてご覧ください。

Q. 台風のあと、屋上で何を見ればよいですか?

A. まずドレンの詰まりを見ます。落ち葉や砂を取り除き、水が引くかを確認してください。防水層のふくれやひび割れ、立上りの端部の浮きも写真に残すと、業者への相談が早くなります。

Q. 屋上防水の改修費はいくらくらいですか?

A. 工法や下地の状態で変わりますが、1㎡あたり5,000〜8,000円程度が目安です。物件ごとに大きく変動しますので、無料で概算をお出しできます。

Q. 斜面地で足場が組みにくい建物の外壁から漏水しています。足場なしで直せますか?

A. 直せる場合が多いです。ロープアクセス工法なら、屋上から壁面へ直接降りて、調査からシーリングの打ち替えまで進められます。斜面側はロープ、平らな側は足場というハイブリッド工法も選べます。

Q. 耐震診断の補助は、すぐ申し込めますか?

A. 総会での決議が条件です。令和8年度の条件は変わっていますので、市の都市部建築指導課で最新の内容をご確認ください。

Q. 施工事例は見られますか?

A. 明誠の施工事例からご覧いただけます。

まとめ:今週動くこと3点

最後に、今週中に理事会や管理会社へ出していただきたいことを3点にまとめます。

  1. 市の土砂災害ハザードマップと「よこすかわが街ガイド」で、建物が警戒区域に入っていないか・隣接していないかを確認し、管理組合内で共有する
  2. 擁壁の水抜き穴・ひび割れ・敷地排水と、屋上ドレン・バルコニー排水の詰まりを写真付きで管理会社に依頼する。電気室・給水ポンプ・エレベーターピットの位置と床の高さを図面で確認する
  3. 市の内水ハザードマップ(1時間153mm想定)で建物の位置を確かめ、サッシまわりと外壁シーリングの打ち替え時期を記録で確認する

台風25号の記憶が新しい今が、理事会でこの話を出すいちばんよい時期です。私はいつも理事長さまにお伝えしています。漏水も土砂も、起きてから直すより、起きる前に水の入口と出口を整えるほうが、はるかに安く済みます。ご相談だけでも遠慮なくお問い合わせフォームからお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。

本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月13日時点で公表されている横須賀市、神奈川県、気象庁、国土交通省の公式情報をもとに執筆しています。被害数値、土砂災害警戒区域の指定、助成制度は年度途中でも改正・更新があり得ます。実際に申請される前に、横須賀市の該当窓口へ最新の内容をご確認ください。

出典・参考資料

この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年10月13日


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