高崎市の賃貸オーナー向け補助金2026|テナントが入った貸店舗の外壁・屋根は1/2・上限100万円「リニューアル補助」、令和9年度へ冬から準備を
高崎市で賃貸マンションや店舗付きの収益ビル、貸店舗をお持ちのオーナーさまから、「外壁塗装や屋上防水に市の補助は使えないのか」というご相談をよくいただきます。結論からお伝えすると、令和8年度の高崎市には、一棟の賃貸住宅の外壁・防水を広く対象にした市の補助金は、市の公式資料からは確認できませんでした。外壁・屋根も対象になる「住環境改善助成事業」は、自分が住んでいる住宅だけが対象です。
一方で、高崎市には貸店舗の所有者が自分で申請者になれる制度があります。商工振興課のまちなか商店リニューアル助成事業補助金です。令和8年度の案内では、店舗等を所有している人も「対象業種のテナントが入居していて、外装工事のみ対象」という条件で申請者に含まれ、屋根の修復(張替え・防水など)や外壁の塗り直しの費用(税抜き)の1/2、1店舗あたり上限100万円が補助されます。ただし令和8年度の受付は4月1日から4月14日までで、すでに終わっています。
もうひとつ、建築住宅課の空き家事務所・店舗改修助成金(1/2・上限500万円)は、5年以上使われていない一戸建ての空き家を、事務所や店舗を開く人に貸す所有者も申請できます。この記事では、高崎市の公式資料で確認できた制度を賃貸経営の目線で仕分けし、令和9年度に向けた準備の段取り、補助が届かない部分で手残り(NOI)を守る工法の選び方、税務、売却を見据えた出口戦略まで、大規模修繕に20年以上携わってきた立場から整理します。
高崎市の収益物件オーナー向け 制度の早見表【令和8年度】
高崎市の商工振興課・建築住宅課・資産税課と国の公開情報から、オーナーが申請者になれるかどうかを軸に並べました。
| 制度(担当課) | 内容 | 賃貸オーナーから見た評価 |
|---|---|---|
| まちなか商店リニューアル助成事業補助金(商工振興課) | 店舗等の改装・備品購入費(税抜き)の1/2、1店舗上限100万円。令和8年度の申請期間は4月1日〜4月14日 | ◎ 対象業種のテナントが入居している店舗の所有者は、外装工事に限って申請できる。令和8年度分は受付終了のため令和9年度に向けて準備 |
| 空き家事務所・店舗改修助成金(建築住宅課) | 改修費(税込み)の1/2、上限500万円。令和9年2月末までに完了報告 | ○ 5年以上使われていない一戸建て(元住宅)を、事務所・店舗を新たに開く人に貸す所有者(個人に限る)が対象。集合住宅・長屋は対象外 |
| 空き家地域サロン改修助成金(建築住宅課) | 改修費(税込み)の2/3、上限500万円 | △ 非営利の地域サロンを開く団体に一戸建ての空き家を貸す所有者が対象。収益より地域貢献型の活用 |
| 住環境改善助成事業(建築住宅課) | 外壁・屋根の塗装などの工事費の30%、上限20万円。本申請は11月30日まで | × 自分が所有し住んでいる住宅が条件。集合住宅は自分の専有部分のみ。所得要件(前年合計所得400万円以下)もある |
| 長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションの減額(資産税課) | 要件を満たす大規模修繕後、翌年度の建物の固定資産税を1住戸100㎡まで1/3減額 | △ 分譲マンションの1室を投資用に持つ区分所有オーナー向け。一棟の賃貸マンションには原則関係しない |
| 賃貸集合給湯省エネ2026事業(国) | 賃貸集合住宅の給湯器を省エネ型に交換する工事を補助 | ○ 賃貸オーナー向けの国の制度。申請は登録事業者が行い、予約期限は11月16日 |
管理組合向けの記事では「管理計画認定」と「長寿命化促進税制」が中心になりますが、一棟所有のオーナーにとって高崎市で一番の材料は、テナントの入った店舗の外装に使えるリニューアル補助です。1階に店舗が入った賃貸マンションや、駅周辺の小さな商業ビルをお持ちなら、まずここから確認してください。
貸店舗の外壁・屋根に使える「まちなか商店リニューアル補助金」
高崎市が公表している高崎市まちなか商店リニューアル助成事業補助金の概要(令和8年度)によると、この制度は商業の活性化を目的に、商売を営む人や営もうとする人が行う「店舗等の改装」や「専ら店舗等で使用する備品の購入」の費用の1/2を補助するものです。申請者として認められているのは次の5つの立場です。
- 店舗等を自ら営業している人
- 店舗等を借りて営業している人
- 店舗等を所有している人(対象業種のテナントが入居していて、外装工事のみ対象)
- チェーン店・フランチャイズ店を営業している人(市内に本店がある場合に限る)
- フランチャイズ店を営業している人(自己資金で改装を実施する場合に限る)
個人は高崎市に住民登録があること、法人は高崎市に法人の設立・異動届出書を提出していることが前提です。市外在住の個人オーナーは、この条件を満たせるかを最初に確認する必要があります。
オーナーが使える「外装工事」の中身
市の別表には、対象工事の例として次の項目が挙がっています。このうち所有者の立場で関係するのは、建物の外側にかかわる工事です。
| 別表の対象工事(抜粋) | オーナー目線での使いどころ |
|---|---|
| 屋根の修復(張替え・防水など) | 平屋の貸店舗や、店舗部分の庇・下屋の防水改修 |
| 外壁の塗り直し | 1階店舗まわりの外壁塗装、色あせたファサードの塗り替え |
| 窓ガラス・サッシの交換、扉の交換 | 店舗正面のガラス・入口扉の更新(外装として扱えるかは事前確認) |
| 看板・オーニング(日よけ)の修復や設置 | 袖看板の撤去・更新、日よけの設置 |
注意したいのは、対象が接客スペースに限られる点です。店舗併用住宅の一体的な工事や、事務所スペースを含む店舗全体の一体的な工事の場合は、床面積の割合などで審査するとされています。上階が賃貸住宅になっている建物で外壁全体を塗り直す場合、補助の対象になるのは店舗部分にかかわる範囲に限られると考えておくのが安全です。
見落としやすい5つの条件
- 対象業種:小売業、飲食サービス業、理美容業、宿泊業(民泊事業を除く)を営む市内の来客型の店舗。事務所・クリニックのテナントは原則対象外のため、業種が外れる場合は商工振興課に確認します。
- 施工業者は市内業者:高崎市に住民登録がある個人事業主か、高崎市に法人の設立・異動届出書を提出している法人を利用することが条件です。
- 交付決定前の着工は対象外:契約・着工は交付決定の後にします。
- 建築確認を要する工事は対象外:用途変更や増築を伴う工事は外れます。
- 他の補助制度と重ねられない:他の補助制度の交付を受けた場合は対象になりません。
申請は1年度に1店舗1回限りで、過去に助成を受けた店舗でも3回目までは利用できます。テナント区画が2つある建物なら、店舗ごとに考えることになります。
令和8年度の受付は終了。令和9年度に向けた準備カレンダー
令和8年度のリニューアル補助は、4月1日から4月14日までのわずか2週間が申請期間でした。この期間に、市内業者の見積書(数量・単価が分かるもの)、平面図、工事予定箇所すべてのカラー写真、テナントとの賃貸借契約書の写しなどをそろえて出す必要があります。4月に入ってから動き始めても、まず間に合いません。
令和9年度も同じ形で実施されるかは、市の予算と議会の議決しだいで、現時点では分かりません。そのうえで、同じ時期に受付が行われると仮定して逆算すると、準備の流れは次のようになります。
| 時期の目安 | オーナーがやること |
|---|---|
| 令和8年11月〜12月 | 店舗まわりの外壁・屋根・防水の劣化調査。補助を使う範囲と使わない範囲を分けて考える |
| 令和9年1月〜2月 | テナントと工事内容・時期を相談し、営業への影響を確認。市内業者から明細付きの見積書を取る |
| 令和9年3月 | 市の令和9年度予算と募集案内を確認。写真・図面・契約書の写しをそろえる |
| 募集開始後すぐ | 申請。交付決定を受けてから契約・着工 |
| 工事完了後 | 完了から30日以内、または年度の定める期限までに実績報告(令和8年度は令和9年2月末まで) |
この準備は、補助が付かなかった場合でも無駄になりません。劣化調査と見積もりの比較は、工事そのものの判断材料になるからです。
空き家を事務所・店舗に貸すなら上限500万円の改修助成
高崎市は「空き家緊急総合対策事業」として、空き家の管理・解体・活用に関する複数の助成制度を用意しています。このうち賃貸経営に直結するのが、令和8年度 制度8 空き家事務所・店舗改修助成金です。
- 対象の空き家:高崎市内にある、住居として使われていた一戸建て。5年以上、居住その他の使用がないことが確認できるもの。長屋・集合住宅は対象外。
- 申請者:事務所・店舗を新たに開く人(個人・法人)、またはその人に空き家を賃貸する所有者(個人に限る。所有者が亡くなっている場合は法定相続人)。
- 助成額:助成対象経費(税込み)の1/2、上限500万円。
- 工事:高崎市内の業者が請け負い、交付決定後に着工するもの。令和9年2月末までに完了報告を出せること。
相続した実家が5年以上空いている、というケースでは有力な選択肢です。ただし、親族に貸す場合は所有者は対象外で、レンタルスペースや時間貸し、短期間の貸店舗も対象になりません。改修した建物を別の人に貸したり売却したりすると助成金の返還を求められるため、長く借りてくれる事業者と組むことが前提です。外構工事や給排水など外回りの工事も対象外とされています。
同じ事業の制度4 空き家地域サロン改修助成金は、1年以上使われていない一戸建てを非営利の地域サロンに貸す場合に、改修費の2/3・上限500万円を助成するものです。収益を上げる目的には向きませんが、賃料収入を得ながら地域に役立つ使い方として検討する価値はあります。
住環境改善助成(30%・上限20万円)は「自宅」専用
高崎市でよく知られている令和8年度 高崎市住環境改善助成事業は、外壁や屋根の塗装も対象になる使いやすい制度です。ただし対象者は「高崎市内に住宅を所有し、そこに居住(住民登録)している本人か同一世帯の人」で、対象の住宅も「自己居住用の住宅」と明記されています。マンションなどの集合住宅は個人の専有部分、店舗併用住宅は個人住宅部分のみが対象です。
そのため、一棟の賃貸マンション・アパートの外壁や共用部には使えません。前年の合計所得金額が400万円を超える世帯員がいないことという所得要件もあります。令和8年度は事前申請が7月1日から8月31日までで終わっており、本申請は11月30日まで、実績報告は令和9年2月26日までです。オーナーさまがご自宅を高崎市内にお持ちなら自宅の改修に、という位置づけで覚えておけば十分です。
区分所有の投資用マンションは「1/3減額」を管理組合の計画で確認
高崎市内の分譲マンションを1室単位で投資用に持っている区分所有オーナーには、固定資産税の減額が関係することがあります。高崎市の長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションに対する減額のページでは、要件を満たす大規模修繕工事が完了した場合、翌年度の固定資産税を1住戸あたり100㎡までを限度に3分の1減額するとされています。
この減額は、管理組合が外壁塗装等工事・床防水工事・屋根防水工事を行うことが前提で、オーナー個人で決められるものではありません。区分所有オーナーは、管理組合の総会資料で工事の時期と内容を確認し、減額の申告期限を管理会社に問い合わせておくことが現実的な対応です。減額分は小さく見えても、1室あたりの利回りにはそのまま効きます。
国の制度:給湯器の更新は「賃貸集合給湯省エネ2026」を確認
市の制度で外壁・防水を広くカバーできない分、国の制度も確認しておきます。国土交通省の「住宅省エネ2026キャンペーン」の交付申請受付に関する報道発表によると、賃貸オーナー向けの賃貸集合給湯省エネ2026事業は令和8年3月31日から受付が始まっており、申請予約の期限は11月16日、申請受付の期限は12月31日です。予算上限に達した時点で締め切られ、申請は登録した住宅事業者が行います。
築15〜20年前後の物件では、給湯器の一斉更新と外壁・防水の時期が重なりがちです。給湯器の故障は即日対応が必要な入居者トラブルになりやすいため、残り1か月を切った予約期限に間に合うかどうか、設備業者に早めに確認しておくと安心です。
補助が届かない外壁・防水は「仮設費」で差がつく
賃貸住宅の外壁塗装や屋上防水、シーリングの打ち替えは、高崎市の補助ではほとんどカバーされません。だからこそ、工事費の組み立てそのものを見直すことが、オーナーにとって一番確実な対策になります。
見積書でまず確認したいのが、足場などの仮設工事費です。一般的な30戸規模のマンションの大規模修繕では、総工費3,500万〜5,000万円のうち仮設足場が15〜25%を占めることもあります。外壁塗装の単価は1㎡あたり3,500〜4,500円、屋上防水は5,000〜8,000円が一つの目安です(いずれも参考値で、建物の状態や仕様によって大きく変わります)。
株式会社明誠では、建物の形状や劣化の範囲に応じて、通常の足場工法、足場を組まないロープアクセス工法、両者を組み合わせたハイブリッド工法の3つから最適な方法をご提案しています。ロープアクセス工法は、作業員がメインロープとバックアップロープの2本に接続し、2点以上の吊元を確保して作業する方法です。たとえば10階建て・外周80m・工期3か月の条件では、足場168万円に対してロープアクセスの仮設関連費は59万円程度に収まる試算例もあります。工法の詳しい仕組みは姉妹サイトのロープアクセスドットコムでも解説しています。
足場を減らすことは、入居者にとっても「窓の前がふさがらない」「防犯面の不安が少ない」「洗濯物を干せない期間が短い」という利点になります。1階の店舗テナントにとっては、看板や入口が長期間隠れないことが何より大きいはずです。費用の考え方は明誠の大規模修繕が適正価格でできる理由にまとめています。
リニューアル補助を使う場合の発注の分け方
リニューアル補助は施工業者が高崎市内の業者に限られます。1階店舗まわりの外装を補助の対象として市内業者に発注し、上階の外壁や屋上防水は工法を比較したうえで別に発注する、という分け方も考えられます。一方で、工事を分けると工程の調整が増え、仮設を二重に組むことになれば補助の効果が打ち消されます。「補助を使って分ける案」と「補助を使わず一括で工法を最適化する案」の両方を、手残りで比べてから決めることをおすすめします。
高崎駅周辺の店舗付き賃貸マンションで手残りを試算する
補助を使うかどうかも含めて、修繕は「費用」ではなく「投資」として数字で判断することが大切です。以下は考え方を示すための仮定の試算です。
試算:築28年・RC造5階建て(1階店舗2区画+2〜5階 1K・1LDK 16戸)
| 項目 | 修繕を先送りした場合 | 外装・防水を計画的に実施した場合 |
|---|---|---|
| 住戸の平均賃料(月額・仮定) | 5.0万円 | 5.2万円 |
| 住戸の平均入居率(仮定) | 84% | 93% |
| 店舗賃料(2区画合計・月額・仮定) | 24万円(1区画空室) | 44万円(2区画稼働) |
| 年間賃料収入 | 約1,094万円 | 約1,457万円 |
| 年間運営費(仮定・同額) | 420万円 | 420万円 |
| NOI(純営業収益) | 約674万円 | 約1,037万円 |
この仮定では、住戸の入居率9ポイント・賃料2,000円の差と、店舗1区画が埋まるかどうかで、NOIが年間約360万円変わります。入居率1%の改善が年間どれだけのキャッシュフロー差になるかを、ご自身の物件の数字で計算してみてください。築年数なりの劣化は、賃料の下落圧力として静かに効いてきます。とくに店舗は、外観の印象が出店判断を左右します。
工事費の側では、たとえば店舗まわりの外装(外壁の塗り直し・庇の防水・看板の更新)が1区画あたり税抜き120万円なら、リニューアル補助が採択されると1区画60万円、2区画で最大120万円が戻る計算です。キャップレート(還元利回り)を仮に7%とすると、NOIが年間360万円違えば、収益還元法での物件価格には約5,100万円の差が出ます。修繕費は、手残りと売却価格の両方に効く投資です。
店舗・クリニック・宿泊施設は「営業を止めない」工程を最初に決める
高崎駅の東西や中心商店街には、1階に飲食店や美容室、上階に事務所や住戸が入った建物が多くあります。足場を全面に組むと、店舗の看板や入口が数か月覆われ、売上が落ちたテナントから賃料減額の相談を受けることがあります。リニューアル補助の申請者がテナント自身の場合も、オーナーとして工事時期をそろえる調整役になると、関係が良くなります。
クリニックや介護施設、サービス付き高齢者向け住宅をお持ちのオーナーさまは、騒音・臭気が患者さんや入居者に与える影響、避難経路の確保、停電・断水を伴う工程をどう組むかといったBCP(事業継続計画)の視点が欠かせません。医療報酬・介護報酬は施設が通常どおり運営されてこそ得られるものなので、受け入れを止めない工程設計が最優先です。高崎市内のビジネスホテルや旅館も同じで、客室を閉めずに外壁を直す方法を選ぶことが、そのまま売上を守ることになります。施設系の建物はビル・施設オーナーさま向けの大規模修繕、ホテルはホテルの大規模修繕のページもご覧ください。
税務:修繕費と資本的支出、補助金の受け取り方
修繕の税務上の扱いは、手残りを大きく左右します。修繕費か資本的支出か、税務処理で結果が大きく変わります。
| 区分 | 典型例 | 税務上の扱い(一般論) |
|---|---|---|
| 修繕費 | 原状回復のための外壁の塗り替え、防水層の補修、ひび割れの補修 | 支出した年の必要経費(損金)に算入できる |
| 資本的支出 | 建物の価値を高める・耐用年数を延ばす改修(空き家を店舗に変える改修、性能を大きく上げる改修など) | 資産として計上し、減価償却で複数年にわたって経費化する |
空き家を事務所・店舗に変える改修は資本的支出になりやすく、店舗の外壁の塗り直しは修繕費になりやすい、というように、制度ごとに税務の性格が違います。見積書の段階で工事項目を分けておくと、税理士さんとの相談がスムーズです。
また、補助金は受給時に雑収入(法人は益金)として課税される点に注意が必要です。固定資産の取得に充てた補助金には圧縮記帳を使える場合があります。空き家の改修後は固定資産税・都市計画税が増える可能性があると市の案内にも書かれています。個別の判断は顧問税理士にご確認ください(本記事は税務上の助言ではなく、一般的な考え方の紹介です)。
出口戦略:修繕履歴と「埋まった店舗」が売却価格を決める
売却や相続を考えているオーナーさまにとって、修繕は出口価格を守る投資です。買い手や金融機関は、外観の状態に加えて、修繕履歴と次の修繕時期を見ています。
- 修繕履歴を書面で残す:工事内容・数量・保証書・写真をまとめておくと、買い手の調査で評価されます。補助の実績報告で撮った施工前後の写真も、そのまま履歴になります。
- 次の修繕時期を示す:直近で外壁・防水を済ませた物件は、買い手の追加投資が少なく、価格交渉で不利になりにくくなります。
- 店舗区画を埋めてから売る:店舗付き物件は、空き区画があると収益還元価格が大きく下がります。外装を整えてテナントを付けてから売る方が有利です。
- 空き家助成の返還条件に注意:空き家事務所・店舗改修助成金を使った建物を売却すると返還を求められる場合があります。売却予定がある物件では使い方を慎重に判断します。
出口を見据えた修繕投資は、利回りの改善だけでなく物件価値そのものを底上げします。投資目線での修繕の考え方は収益物件オーナーさま向けの修繕投資のページでも解説しています。
高崎市で外装工事を進める6つの手順
- テナントの業種を確認:小売・飲食・理美容・宿泊(民泊を除く)の来客型店舗が入っているかで、リニューアル補助の可能性が決まります。
- 申請者要件を確認:個人は高崎市に住民登録、法人は高崎市に法人の設立・異動届出書の提出が必要です。商工振興課(027-321-1256)に相談します。
- 劣化調査と工法比較:外壁・屋根・防水の状態を調べ、足場・ロープアクセス・ハイブリッドの概算を比べます。
- 補助を使う案・使わない案を比較:市内業者の要件、工程、仮設費を含めて手残りで比べます。
- 入居者・テナントへの告知:工期、騒音、ベランダの使用制限、店舗の営業への影響を早めに伝えます。
- 交付決定後に着工し、記録を残す:実績報告の写真・領収書は、修繕履歴としても保管します。
よくあるご質問
Q1. 高崎市で一棟アパートの外壁塗装に使える市の補助金はありますか?
令和8年度の高崎市の公式資料では、一棟の賃貸住宅の外壁・防水を広く対象にした補助金は確認できませんでした。住環境改善助成事業は外壁・屋根も対象ですが、自分が所有し住んでいる住宅に限られます。
Q2. 貸店舗のオーナーでもまちなか商店リニューアル補助金を申請できますか?
はい。令和8年度の案内では、店舗等を所有している人も、対象業種のテナントが入居していることを条件に、外装工事に限って申請者になれます。補助は費用(税抜き)の1/2、1店舗上限100万円です。
Q3. リニューアル補助の令和8年度の受付はまだ間に合いますか?
令和8年度の申請期間は4月1日から4月14日までで、すでに終わっています。令和9年度の実施は市の予算しだいのため、3月ごろに市の案内を確認し、それまでに見積書や写真をそろえておくことをおすすめします。
Q4. 1階にクリニックが入っているビルでもリニューアル補助は使えますか?
市の案内で対象業種とされているのは、小売業・飲食サービス業・理美容業・宿泊業(民泊を除く)の来客型店舗です。それ以外の業種は、商工振興課に個別に確認してください。
Q5. 相続した実家を店舗として貸したいのですが、使える助成はありますか?
5年以上使われていない一戸建ての空き家を、事務所・店舗を新たに開く人に貸す場合、所有者(個人)が空き家事務所・店舗改修助成金(1/2・上限500万円)を申請できます。親族に貸す場合や短期の貸店舗は対象外です。
Q6. 外壁塗装と防水の費用はどれくらいですか?
外壁塗装は1㎡あたり3,500〜4,500円、屋上防水は5,000〜8,000円が目安です。実際の金額は建物の規模や劣化の状態で大きく変わるため、現地調査のうえで工法別の概算をお出しします。
Q7. ロープアクセス工法は安全ですか?
作業員はメインロープとバックアップロープの2本に接続し、2点以上の吊元を確保して作業します。明誠と全国のフランチャイズ加盟企業では、ロープアクセス工法での高所作業について過去16年間、墜落による労働災害ゼロを維持しています。
Q8. 高崎市の物件も明誠に相談できますか?
はい。株式会社明誠は群馬県を含む関東一円で施工しています。補助を使う範囲の切り分けも含めて、現地調査と工法別の概算比較から承ります。
まとめ:高崎市のオーナーが押さえたい3つのポイント
- 一棟賃貸の外壁・防水を広く支える市の補助は確認できず、住環境改善助成は自己居住の住宅が前提です。
- テナントの入った貸店舗なら、まちなか商店リニューアル補助金で外装工事の1/2・1店舗上限100万円を所有者が申請できる可能性があります。令和8年度分は終わったため、令和9年度に向けて冬のうちに準備を始めます。
- 補助が届かない部分は、仮設費を抑える工法選び、修繕費と資本的支出の仕分け、修繕履歴の保管でNOIと売却価格を守ります。
高崎市で収益物件をお持ちのオーナーさまへ
市の補助だけで外壁や防水の費用をまかなうのは難しいのが実情です。それでも、店舗部分は補助の準備を早めに始め、本体工事は工法で仮設費を抑え、税務を整えることで、物件の収益力と出口での評価は変わります。
株式会社明誠はこれまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部として、塗装・防水・タイル・電気・看板の各分野の専門職と連携しています。まずは1棟の現地調査と工法別の概算比較、修繕後の入居率とキャッシュフローの試算だけでもお気軽にご相談ください。大規模修繕のお問い合わせフォームから承ります。これまでの工事の様子は明誠の施工事例でご覧いただけます。
▼ロープアクセス工法・無足場工法の詳細解説はこちら
ロープアクセスドットコム|無足場工法専門メディア
本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月17日時点で公表されている高崎市・国土交通省の公式情報をもとに、令和8年度の制度として執筆しています。まちなか商店リニューアル助成事業補助金は令和8年度の概要資料、空き家事務所・店舗改修助成金と空き家地域サロン改修助成金は令和8年度の空き家緊急総合対策事業の案内、住環境改善助成事業は令和8年度のチラシを参照しました。令和9年度の募集の有無・時期・金額は未発表です。補助制度は予算の範囲内で実施され、年度途中で受付が終わることがあります。最新の内容は高崎市の担当課でご確認ください。
この記事の執筆者
本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。株式会社明誠は約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。
最終更新:2026年10月17日
関連記事(姉妹サイト)
ロープアクセス工法の詳細や実例については、姉妹サイト「ロープアクセスドットコム」の以下の記事もぜひご覧ください。
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『大規模修繕工事 職人だから言える本当の話 —— 見積書では見えない業界の裏側と、修繕積立金を守る発注術』(Kindle版)を出版しています。20年以上の現場経験から、管理組合・オーナーが修繕積立金を守るための発注術と、業界の内幕を書き下ろしました。
出典(高崎市・国土交通省 公式ウェブサイト)
- 高崎市まちなか商店リニューアル助成事業補助金の概要(令和8年度)- 高崎市商工振興課
- 令和8年度 高崎市空き家緊急総合対策事業 制度8 空き家事務所・店舗改修助成金 – 高崎市建築住宅課
- 令和8年度 高崎市空き家緊急総合対策事業 制度4 空き家地域サロン改修助成金 – 高崎市建築住宅課
- 令和8年度 高崎市住環境改善助成事業(チラシ)- 高崎市建築住宅課
- 長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションに対する減額 – 高崎市
- 「住宅省エネ2026キャンペーン」の交付申請の受付を令和8年3月31日から順次開始します – 国土交通省
高崎市のマンション大規模修繕で使える補助金・税制2026|管理組合が今動くべき理由
築20年、30年を越えた高崎市のマンションで、理事長さまから私がいちばん多くいただくご相談があります。「大規模修繕に、高崎市の補助金は使えないのか」という一言です。上越・北陸新幹線が分岐する交通の要衝であり、だるまと白衣大観音の街として知られる高崎市。群馬県で最も人口が多く、令和3年に中核市へ移行したこの街には、高度成長期からバブル期にかけて建った分譲マンションが数多く根を張っています。群馬県がまとめた資料でも、県全域のマンションは308棟22,937戸、うち市部は268棟15,234戸にのぼり、高崎市はその中心的な存在です(出典:群馬県「マンション管理適正化推進計画」)。二度目・三度目の修繕期を迎えた建物の理事会で、冒頭の問いは必ずと言っていいほど出てきます。
正直に申し上げます。この問いには、期待とは少し違う「本当の答え」があります。私は大規模修繕の現場で20年近く、足場を組み、ロープをかけ、外壁に直接触れてきました。その経験から言えるのは、補助金の有無だけを見て一喜一憂するのは、いちばんもったいない、ということです。高崎市には、共用部の大規模修繕そのものへの直接の現金補助は、現時点では見当たりません。しかしその代わりに、固定資産税の減額、有利な融資、そして金利優遇の入口となる認定制度という「使える追い風」が、確かに用意されています。しかも高崎市は、他市と比べて条件が明確で、管理組合にとって判断しやすい街でもあります。ここからが本題です。
この記事では、高崎市のマンション管理組合が実際に手を伸ばせる公的支援を、正直に、そして戸あたりの財布感覚で整理します。読み終えるころには、次の理事会で何を議題に載せればいいかが、はっきり見えているはずです。
【結論】高崎市に「大規模修繕への直接補助金」はあるのか
先に結論からお伝えします。2026年(令和8年)8月時点で、高崎市が「分譲マンションの共用部大規模修繕工事費そのものに現金を直接補助する制度」は、確認できませんでした。これは高崎市が特別に冷たいわけではなく、全国の多くの中核市・一般市に共通する状況です。マンションの共用部(外壁・屋上・廊下・給排水など、住民みんなの持ち物である部分)への直接補助は、東京都心の一部区市など、財政に余裕のある自治体に限られているのが実情です。
高崎市には「住環境改善助成事業」というリフォーム助成がありますが、これはマンションの場合、個人専有部分(各戸の室内)のみが対象で、外壁や屋上といった共用部の大規模修繕には使えません(出典:高崎市「住環境改善助成事業について」)。この点は後半で改めて整理します。
ではあきらめるしかないのか。そんなことはありません。私が理事長さまにいつもお伝えしているのは、「共用部への直接補助はなくても、王道の三本柱を押さえれば、実質的な負担はしっかり下げられます」ということです。その三本柱とは、次の三つです。
- 高崎市マンション管理計画認定制度(間接的だが金利・市場評価・減税の入口になる土台)
- マンション長寿命化促進税制(固定資産税の減額。高崎市は3分の1減額と明記)
- 住宅金融支援機構のマンション共用部分リフォーム融資・マンションすまい・る債
三本柱の位置づけを、先に一枚の表で整理しておきます。「補助金」という言葉のイメージとは少し違いますが、いずれも管理組合の負担を実質的に軽くする制度です。
| 制度 | 位置づけ | 管理組合の使いどころ | 主な窓口 |
|---|---|---|---|
| 高崎市マンション管理計画認定制度 | 金利・市場評価・減税の入口 | 総会決議のうえ認定を取得。税制・融資の前提になる(申請手数料は無料) | 高崎市建築住宅課(027-321-1324) |
| マンション長寿命化促進税制 | 固定資産税の3分の1減額 | 外壁・床防水・屋根防水の三点セット工事で翌年度の建物固定資産税を軽減 | 高崎市資産税課(027-321-1220) |
| すまい・る債/共用部分リフォーム融資 | 資金調達コスト減 | 積立を補う借入。認定・すまい・る債と重ねると金利・保証料が優遇 | 住宅金融支援機構 |
以下、一つずつ、専門外の理事長さまにも分かる言葉で解説していきます。まずは、すべての優遇の「入場券」になる認定制度の話から始めましょう。
高崎市マンション管理計画認定制度|すべての優遇の入口
まず押さえていただきたいのが、この「管理計画認定制度」です。これは補助金そのものではありませんが、後述する税制優遇や金利優遇の前提になる、いわば土台の制度です。高崎市は「高崎市マンション管理適正化推進計画」の運用開始にあわせ、令和7年4月からこの認定制度の受付を始めました(出典:高崎市「マンション管理計画認定制度について」)。比較的新しい制度ですが、すでに市内で認定実績が出ています。
そもそも管理計画認定制度とは
管理計画認定制度とは、マンションの管理計画(管理組合の運営、管理規約、修繕積立金の会計、長期修繕計画の内容など)が国の定めた一定の基準を満たすとき、自治体から「適切な管理計画を持つマンション」として認定を受けられる制度です。マンションの管理の適正化の推進に関する法律(マンション管理適正化法)にもとづく、正式な公的お墨付きだとお考えください。令和4年4月に全国で創設され、高崎市では令和7年4月から運用が始まっています。
高崎市は、この認定事務を市みずから行っています。認定の基準については、高崎市独自の上乗せはなく、国がマンション管理適正化指針に定める全国共通の基準がそのまま使われます(出典:前掲・高崎市「マンション管理計画認定制度について」)。この「市独自の追加ハードルがない」というのは、申請する管理組合にとってはむしろ分かりやすくて助かる点です。
高崎市の申請の流れ|総会決議から認定まで
高崎市の認定申請は、おおまかに次の順で進みます。専門用語が続きますが、要は「総会で決めて、専門家のチェックを受けてから、市に出す」という流れです。
- 認定申請することを管理組合の総会(臨時総会を含む)で決議する
- 公益財団法人マンション管理センターの「管理計画認定手続支援サービス」などを通じて事前確認を受ける
- 基準を満たせば「事前確認適合証」が発行される
- その適合証を添えて、支援サービスから高崎市に認定申請する
- 審査後、高崎市から認定通知書が郵送で届く
- 同意したマンションは、マンション管理センターの閲覧サイトで公表される
私が現場でお伝えしているのは、この「総会決議」を軽く見ないでほしい、ということです。認定は理事長さまお一人の判断では取れません。区分所有者の合意という土台があってはじめて動き出す制度です。逆に言えば、認定を目指す過程そのものが、修繕積立金や長期修繕計画を住民全員で見直す良いきっかけになります。相談窓口は高崎市建設部建築住宅課の住宅管理担当(高崎市役所9階、電話027-321-1324)です。制度の細部は運用が変わることもあるため、最新の扱いは現場の担当課に直接聞くのが、いちばん確実です。
申請手数料は「無料」|高崎市の分かりやすさ
ここは高崎市の実務的なメリットとして、はっきりお伝えできる点です。高崎市への認定申請手数料は無料です(出典:前掲・高崎市「マンション管理計画認定制度について」)。ただし、マンション管理センターの支援サービスの利用料や、事前確認にかかる審査料は別途必要になります。つまり「市に払うお金はかからないが、専門家のチェックにかかる実費は見ておく」という整理です。認定を受けた内容を後から変更する場合も、市への変更認定申請の手数料は無料とされています。制度を使ううえでの市役所側のコスト障壁が低いのは、管理組合にとって動きやすい環境だと言えます。
認定を受ける3つのメリット
高崎市は、認定取得の効果として次の点を挙げています(出典:前掲・高崎市「マンション管理計画認定制度について」)。
- 市場評価:適正な管理水準で管理されているマンションとして、市場において評価される
- 意識の維持向上:区分所有者の管理への意識が高く保たれ、管理水準の維持向上が図られる
- 金利優遇:住宅金融支援機構の「フラット35」および「マンション共用部分リフォーム融資」の金利優遇措置等が適用される
- 減税:一定の要件を満たすことで、マンション長寿命化促進税制により固定資産税が減税される
私が理事長さまに強くお伝えしているのは、この中の「市場評価」を軽く見ないでほしい、ということです。認定マンションは閲覧サイトで名前が公表され、買い手や借り手が管理状況を確認しやすくなります。現に高崎市でも、令和7年9月にセレストタワー高崎、令和7年11月にグリーンミユキ高崎が認定を受け、市のホームページで公表されています。適正に管理されている建物は、資産としての値持ちが違ってきます。修繕はコストであると同時に、資産価値を守る投資でもあるのです。そして金利優遇と減税は、次にお話しする融資・税制と直結します。
有効期間5年という落とし穴
一つ、正直に注意点をお伝えします。高崎市の認定の有効期間は、認定を受けた日から5年間です。更新するには、有効期間の満了日までに更新の申請が必要で、更新を行わない場合は認定の効力を失います。うっかり更新を忘れると、金利優遇や市場での「認定マンション」という看板が、静かに消えてしまうことになりかねません。私はこれを、認定を取ったその日に「5年後の更新」を長期修繕計画のカレンダーに書き込んでおくよう、必ずお伝えしています。制度は取ることより、続けることのほうが難しいのです。
マンション長寿命化促進税制|高崎市は固定資産税を3分の1減額
三本柱の二つめが、この「マンション長寿命化促進税制」です。これは、老朽化したマンションの適切な大規模修繕を後押しするために国がつくった、固定資産税の特例措置です。前橋市など、減額割合を明示していない自治体もあるなかで、高崎市はこの減額割合を明確に公表しています。ここが管理組合にとって判断しやすいポイントです。
制度の中身|翌年度の固定資産税を3分の1減額
高崎市の説明によれば、新築された日から20年以上が経過したマンションで、令和5年4月1日から令和9年3月31日までの間に長寿命化に資する大規模修繕工事が完了し、一定の条件を満たすものについては、工事が完了した日の翌年の1月1日を賦課期日とする年度の固定資産税を、1住戸あたり100平方メートルまでを限度に3分の1減額する、とされています(出典:高崎市「長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションに対する減額」)。減額は建物部分が対象で、1回限りの適用です。国が定める参酌基準(3分の1)どおりの設定であり、横浜市などの2分の1と比べると控えめですが、高崎市は割合をはっきり示している点で、資金計画に織り込みやすい制度です。
「外壁・床防水・屋根防水」の3工事がそろって初めて対象
ここが誤解の多いところです。高崎市が示す要件は、次のとおりです。
- 建築後20年以上経過していること
- 10戸以上のマンションであること
- 過去に長寿命化工事(外壁塗装工事、床防水工事および屋根防水工事)を行っていること
- 管理計画認定マンション、または助言・指導に係る管理組合のマンションであること
- 令和5年4月1日から令和9年3月31日までの間に工事が完了したものであること
このうち3番目の「長寿命化工事」とは、外壁塗装等工事・床防水工事・屋根防水工事の三つを指し、原則としてこれらすべてを行っていることが要件です。「外壁だけ塗り替えた」「屋上防水だけやり直した」という部分工事では、この税制の対象にはなりません。私が大規模修繕のご提案でいつも三点セットを意識するのは、建物を長持ちさせるうえで理にかなっているからでもありますが、この税制の要件とも自然に合致するからです。
また4番目の要件が示すとおり、この税制と前段の認定制度は地続きです。管理計画の認定を受けているか、あるいは長期修繕計画の助言・指導を受けて計画を整えていることが前提になります。認定を取る過程で修繕積立金や長期修繕計画を整えておくことが、そのまま税制のハードルを越える準備にもなるのです(※認定マンションの場合、令和3年9月1日以降に修繕積立金の額を管理計画の認定基準まで引き上げていることが求められます)。
申告は「工事完了後3ヶ月以内」|期限に注意
もう一つ、実務で見落としがちな点をお伝えします。この減額を受けるには、工事完了後3ヶ月以内に、必要書類を添えて高崎市資産税課へ申告する必要があります。必要書類は、区分所有者ごとに記入する減額申告書、総戸数を確認できる書類(設計図書など)、大規模の修繕等証明書、過去工事証明書、そして認定マンションの場合は認定通知書の写しと修繕積立金引上証明書などです。管理組合で各区分所有者の申告書を取りまとめて提出する運用も認められています。窓口は高崎市役所本庁舎2階の資産税課土地家屋担当(電話027-321-1220、027-321-1221)です。「工事が終わってから考えよう」では3ヶ月はあっという間に過ぎます。工事の計画段階から、申告のスケジュールと必要書類を段取りしておくことが肝心です。なお、耐震改修・バリアフリー改修・省エネ改修による固定資産税の減額措置とは併用できない点にもご注意ください。
住宅金融支援機構の融資・すまい・る債|資金計画の柱
三本柱の三つめは、公的な融資と積立の仕組みです。補助金ではありませんが、大規模修繕の資金繰りを支える、管理組合にとって非常に現実的な選択肢です。
マンション共用部分リフォーム融資(すまい・る融資)
住宅金融支援機構は、管理組合が共用部分の大規模修繕を行う際に使える「マンション共用部分リフォーム融資(愛称・マンションすまい・る融資)」を用意しています。修繕積立金だけでは工事費が足りないとき、管理組合として借り入れができる公的融資です(出典:住宅金融支援機構「マンションすまい・る融資」)。高崎市の認定を受けていれば、この融資の借入金利が引き下げられます。金利は毎月見直されるため断定は避けますが、民間金融機関からの借入と比べても、条件を吟味する価値のある選択肢です。マンション管理センターの債務保証を利用すれば、理事長個人の連帯保証が不要になる点も、役員のなり手不足に悩む管理組合には安心材料です。
マンションすまい・る債との相乗効果
もう一つが「マンションすまい・る債」です。これは、大規模修繕に向けた修繕積立金を計画的に積み立てることを支援する、管理組合向けの利付10年債券で、1口50万円から購入できます(出典:住宅金融支援機構「マンションすまい・る債」)。ただ積み立てるだけでなく、公社債として利息を受け取りながら積立ができるのが特徴です。2026年度募集分では、管理計画の認定を受けた管理組合に対して、債券利率の上乗せなど、より有利な条件が用意されると案内されています。
見逃せないのが、すまい・る債と融資の組み合わせです。すまい・る債で積み立てている管理組合が共用部分リフォーム融資を利用する場合、融資金利が引き下げられ、保証料も割り引かれる、という特典が用意されています。さらに高崎市の管理計画認定を取れば、金利面の優遇が重なります。「認定 × すまい・る債 × 融資」という三点を組み合わせると、資金調達コストを段階的に下げていけるわけです。私はこの組み合わせを、資金が不安な管理組合にはワンセットでご説明するようにしています(参考:明誠の適正価格への取り組み)。
高崎市の住宅補助|使える制度・使えない制度を正直に仕分け
ここで、高崎市の住宅系の補助について、「共用部の大規模修繕に使えるのか」という観点で正直に仕分けしておきます。期待して問い合わせて、対象外だった――というのは、理事長さまの貴重な時間を奪ってしまうからです。
住環境改善助成事業は「専有部のみ」
高崎市の代表的なリフォーム助成が「住環境改善助成事業」です。市内の工事業者を利用して住宅を改修・修繕する場合に、助成対象工事経費の30%・限度額20万円までを助成する制度で、令和8年度は今年度から対象を拡充し、20万円未満の工事やエアコン設置工事も対象になりました(出典:前掲・高崎市「住環境改善助成事業について」)。ただし、助成対象住宅は「市内にあり現在居住している住宅(マンションなどの集合住宅は個人専有部分)」と明記されており、マンションの共用部大規模修繕には使えません。加えて、本人と世帯員に前年の合計所得金額が400万円を超える人がいないことなどの所得要件があり、あくまで居住者個人の専有部リフォーム向けの制度です。共用部の財源として当てにするのは難しい、と正直に申し上げておきます。窓口は建築住宅課の建築担当・設備担当(電話027-321-1266)です。
空き家対策・耐震改修は目的が違う
高崎市には空き家緊急総合対策(空き家の管理・解体・活用への助成、令和8年度は4月15日から受付)や、耐震改修に伴う固定資産税の減額などもあります。ただし、空き家対策はその名のとおり空き家を対象とする制度であり、居住中の分譲マンション共用部には使えません。耐震改修の減額も、長寿命化促進税制とは併用できません。いずれも「制度としては存在するが、共用部の大規模修繕とは目的が異なる」という整理になります。使える制度と使えない制度を早い段階で見極めておくことが、遠回りを避ける近道です。
2026年注目|改正区分所有法で「合意形成」が変わる
補助金や税制と並んで、いま管理組合が押さえておくべきなのが、2026年4月に施行される改正区分所有法です。約20年ぶりの大きな改正で、高経年マンションの増加に対応し、修繕や建替えの意思決定を円滑にすることが狙いです。
最大の変更点は、大規模修繕などの決議のルールが緩和されることです。これまでは、総会に出席しなかった人も含めた「全区分所有者」を母数として賛成の数を数えていました。無関心な所有者や連絡の取れない所有者が増えると、それだけで必要な修繕が決められない、という問題が起きていたのです。改正後は、区分所有権の処分を伴わない大規模修繕などについて、集会に出席した人(意思表示をした人)を基準に多数決で決められる仕組みへと変わります(出典:LIFULL HOME’S PRESS「2026年4月改正区分所有法」)。所在不明の所有者を、裁判所の関与などを経て母数から除外できる仕組みも整えられます。
高崎市のように高経年マンションが着実に増えていく街では、この改正は追い風です。「出席者が少なくて決議が流れる」というこれまでの悩みが、制度面から後押しされる形で軽くなります。次の大規模修繕を見据えて、今のうちから総会の出席率を上げる工夫や、書面・オンラインでの議決権行使の仕組みを整えておくと、改正の効果を最大限に活かせます。
群馬県・高崎市の推進計画とJCSAという後ろ盾
高崎市の取り組みは、市単独のものではありません。群馬県は令和4年4月に「群馬県マンション管理適正化推進計画」を策定し、県全域でマンション管理の適正化を進めています(出典:前掲・群馬県「マンション管理適正化推進計画」)。高崎市はこれと歩調を合わせ、独自に「高崎市マンション管理適正化推進計画」を運用し、令和7年4月から認定制度の受付を開始しました。県と市が両輪で、管理組合を支える体制を整えているわけです。
私ども明誠は、こうした公的な枠組みと、現場の施工力の「つなぎ役」でありたいと考えています。明誠が運営に関わる一般社団法人 全国建設業支援協会(JCSA)では、建設業向けの経営支援やビジネスマッチング、専門職どうしのネットワークづくりを進めています。塗装・防水・タイル・電気・看板など各分野の専門職が連携することで、高品質でありながら価格を抑えた修繕を実現しています(参考:明誠のサービス・加盟のご案内)。制度を使う側の管理組合と、施工する側の専門職。その両方を知る立場から、高崎市の管理組合にとって本当に得になる進め方をご提案できます。
【戸あたり試算】高崎市の管理組合が手にできる支援の考え方
数字を、理事長さまの財布感覚に引き寄せて整理します。あくまで考え方の整理であり、実際の金額は建物の規模・工事内容・その年の制度で変わります。
たとえば総戸数50戸のマンションで、1回の大規模修繕に約1億円かかると仮定します。共用部への直接補助金はありませんから、この1億円に対する「現金給付」はゼロが前提です。しかし、次のような形で実質負担は動きます。まず、外壁塗装・床防水・屋根防水の三点セットで工事を組み、認定と修繕積立金の要件を満たせば、長寿命化促進税制で翌年度の建物固定資産税が3分の1減額されます。1戸あたりの減額は年数千円〜数万円規模になり得ますが、50戸分が積み上がると、管理組合全体では無視できない金額です。高崎市は減額割合を3分の1と明示しているので、あらかじめ資金計画に織り込める点が強みです。
さらに、積立が足りない分をマンションすまい・る融資でまかなう場合、認定とすまい・る債の組み合わせで金利が下がれば、返済総額が抑えられます。1億円規模の借入では、わずかな金利差でも総返済額は数十万円単位で変わってきます。「補助金がないから何もできない」ではなく、「税と金利で、じわじわ効かせる」。これが高崎市のような自治体での王道です。
補助金以上に効くのが「工法選び」です
最後に、補助金や税制よりもさらに大きく総額を動かす要素をお伝えします。それは工法の選び方です。大規模修繕の費用のうち、決して小さくない割合を占めるのが「仮設足場」です。建物をぐるりと足場で覆うには、その架設・解体・運搬に相応の費用と工期がかかります。
私どもは、この足場に関して三つの選択肢をご提案できます。一つめは従来の「足場仮設工法」。二つめが、産業用ロープで施工する「ロープアクセス工法(無足場工法)」です。ロープアクセスは、足場を組まないぶん仮設コストを抑えられ、工期の短縮にもつながり、何より住民の皆さまの生活への影響(視線・防犯・ベランダの使用制限)を小さくできます。三つめが、建物の部位ごとに足場とロープアクセスを使い分ける「ハイブリッド工法」です。高崎市のマンションは形状も立地もさまざまです。全面足場が最適な建物もあれば、一部をロープアクセスに切り替えるだけで総額が下がる建物もあります。内陸で夏は全国有数の猛暑となり、冬は空っ風が吹く高崎の気候は、外壁や防水の傷みを早めます。だからこそ、工事のタイミングと工法の見極めが、建物の寿命を大きく左右します。
正直に申し上げます。私が現場で20年やってきて一番悔しいのは、「一択の工法しか提案されず、払わなくてよかった仮設費を払っていた」管理組合に、後から出会うときです。補助金で数十万円を取りに行くのと同じか、それ以上のコスト差が、工法選びで生まれることは珍しくありません。私はロープアクセスと足場仮設の両方を持ち、建物にとって本当に最適な組み合わせを、必ずワンセットでご提案するようにしています(参考:ロープアクセス工法のご紹介、大規模修繕工事のご紹介)。
よくあるご質問(高崎市の管理組合向け)
Q1. 高崎市に、大規模修繕そのものへの補助金はありますか。
現時点では、共用部の大規模修繕工事費への直接の現金補助は確認できません。代わりに、管理計画認定制度・長寿命化促進税制(固定資産税3分の1減額)・住宅金融支援機構の融資という三本柱を活用するのが王道です。
Q2. 管理計画認定を取るのにお金はかかりますか。
高崎市への認定申請手数料は無料です。ただし、マンション管理センターの支援サービス利用料や事前確認の審査料は別途かかります。市に払う費用がかからないのは、高崎市の分かりやすい点です。
Q3. 長寿命化促進税制の減額はどのくらいですか。
高崎市は、翌年度の建物固定資産税を1住戸100平方メートルまでを限度に3分の1減額すると明記しています。ただし1回限りで、外壁・床防水・屋根防水の三点セット工事や築20年以上・10戸以上などの要件を満たす必要があります。
Q4. 申告のタイミングはいつですか。
工事完了後3ヶ月以内に、資産税課(027-321-1220)へ申告します。書類の準備に時間がかかるため、工事の計画段階から段取りしておくことをおすすめします。
Q5. 住環境改善助成事業は使えますか。
マンションの場合は個人専有部分(各戸の室内)のみが対象で、共用部の大規模修繕には使えません。所得要件もあり、居住者個人の専有部リフォーム向けの制度です。
Q6. 何から始めればよいですか。
まずは次の理事会で「管理計画認定を目指すかどうか」を議題に載せてください。認定は総会決議が必要で、税制・融資の入口にもなります。工事の順番と工法は、認定・税制の要件を見据えて設計するのが得策です。
高崎市の管理組合が「今」動くべき理由
制度の話を、最後に一本の道すじにまとめます。高崎市には共用部大規模修繕への直接補助金はありません。しかし、①管理計画認定制度で市場評価と金利優遇の入口を押さえ(しかも市への申請手数料は無料)、②長寿命化促進税制で固定資産税の3分の1減額を狙い、③すまい・る債と共用部分リフォーム融資で資金調達コストを下げる。この三本柱は、いずれも「認定を取り、修繕積立金と長期修繕計画を整える」という一点から枝分かれしています。そして2026年4月の改正区分所有法で、合意形成そのものも進めやすくなります。だからこそ、動き出すなら早いほうがいい、と私は考えています。
まずは次の理事会で、「管理計画認定を目指すかどうか」を議題に載せてみてください。認定は総会決議が必要ですから、話を始めるだけでも時間がかかります。そして工事の順番と工法は、認定や税制の要件を見据えて設計する必要があります。高崎市の制度の最新の運用は、建築住宅課(電話027-321-1324)や資産税課(電話027-321-1220)で確認しながら進めるのが確実です。
大規模修繕は、建物の寿命と住民の暮らし、そして資産価値を左右する大きな判断です。制度の使い方から工法の組み合わせまで、ご相談だけでも遠慮なくお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります(お問合せフォーム)。次回も、現場で本当に使える話だけをお届けします。
出典・参考資料
- 高崎市「マンション管理計画認定制度について」
- 高崎市「長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションに対する減額」
- 高崎市「家屋に対する課税の特例・減額」
- 高崎市「住環境改善助成事業について」
- 群馬県「マンション管理適正化推進計画を策定しました」
- 国土交通省「マンション長寿命化促進税制(固定資産税の特例措置)」
- 住宅金融支援機構「マンションすまい・る融資(管理組合申込みの場合)」
- 住宅金融支援機構「マンションすまい・る債」
- LIFULL HOME’S PRESS「2026年4月改正区分所有法」
本記事は2026年8月時点の公開情報にもとづいています。補助金・税制・融資の各制度は、予算の状況や年度更新により内容・期間・上限額・減額割合が変わることがあります。申請にあたっては、必ず高崎市および各制度の公式ページで最新情報をご確認のうえ、所管窓口にお問い合わせください。
▼ロープアクセス工法・無足場工法の詳細解説はこちら
ロープアクセスドットコム|無足場工法専門メディア

