横浜市青葉区の12条点検|老人ホーム・マンションの報告対象と外壁全面打診の時期【2026年度版】

Q. 横浜市青葉区のマンションやビル、老人ホームは、12条点検(定期報告)の対象になるのか?外壁の全面打診はいつ必要か?

A. 横浜市青葉区の建物の定期報告は、青葉区役所ではなく横浜市建築局(建築指導課 建築安全担当)の所管です。横浜市は、共同住宅と事務所を「建築物」の定期報告の対象用途に指定していません。そのため、住戸だけの分譲マンション・賃貸マンションや、事務所だけのビルは対象外です(出典:横浜市「報告対象建築物・昇降機等」)。一方、青葉区に多い有料老人ホームなどの老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、グループホームは、規模によって対象になり、令和8年度がちょうど報告年度です。外壁の全面打診は、対象建築物であれば竣工・外壁全面改修・前回の全面打診から「おおむね10年」を超えたあとの最初の定期調査で必要です(出典:国土交通省「定期報告制度における外壁のタイル等の調査について」)。

(最終更新:2026年10月12日/執筆時点の現行年度:令和8年度)

結論:横浜市青葉区で12条点検の対象になる建物と、全面打診のタイミング

株式会社明誠は、東京都東大和市に拠点を置く大規模修繕の会社です。私は代表として20年以上、マンション・ビル・ホテルの修繕現場に立ってきました。神奈川県に広げた12条点検シリーズ、今回は横浜市青葉区を取り上げます。

横浜市青葉区は、平成6年(1994年)11月に港北区と緑区の一部を再編して生まれた区です。多摩丘陵から続く丘の街で、区の中心を鶴見川が流れています。面積は35.06㎢で市内18区のうち2番目に広く、人口は308,085人で市内2位です(令和6年10月1日時点)。区内には東急田園都市線などの駅が並び、通勤・通学先のうち東京都が占める割合は39.2%と市内1位。都内へ通う世帯が多い住宅地です(出典:横浜市青葉区「青葉区統計白書」)。

12条点検の目線で私が注目したのは、次の数字です。

  • 有料老人ホームの施設数45か所・定員2,892人は、いずれも市内18区で1位(令和7年1月1日時点)
  • 病院・一般診療所の数297か所は市内2位(令和3年10月1日時点)

(出典:青葉区統計白書)

つまり青葉区は、分譲マンションだけでなく、定期報告の対象になりやすい高齢者施設や医療施設が市内でも特に多い区です。横浜市青葉区で「建築物」の定期報告が必要になるかどうかは、次のように整理できます。

建物の種類 横浜市での定期報告(建築物)
住戸だけの分譲マンション・賃貸マンション 対象外(共同住宅は対象用途に指定されていない)
事務所だけのビル 対象外(事務所は対象用途に指定されていない)
有料老人ホームなどの老人ホーム(入居者の宿泊施設あり) 規模により対象(令和8年度に報告)
サービス付き高齢者向け住宅・グループホーム 規模により対象(令和8年度に報告)
病院・有床診療所 規模により対象(次は令和9年度)
2階以上にも店舗・飲食店が一定規模で入るビル 規模により対象(次は令和10年度)
エレベーター(昇降機) 原則すべて対象(毎年)

(出典:横浜市「報告対象建築物・昇降機等」、横浜市「報告の周期と時期」)

全面打診の要否は、次の一文で判断できます。

「竣工、または前回の全面打診・外壁全面改修から10年を超えていれば、次の定期調査で全面打診が必要」

定期報告の対象外のマンションでも、私はこの「10年」を一つの目安にして、外壁の状態を確認することをお勧めしています。

建築基準法第12条の基本(定期調査と定期検査の違い)

建築基準法第12条は、建物の所有者・管理者に「建物の安全を有資格者に定期的に調べさせ、その結果を特定行政庁に報告する」ことを求める制度です。特定行政庁とは、建築確認や違反建築の指導を担う行政機関のことで、横浜市青葉区を含む横浜市内では横浜市がこれにあたります。

12条には、建物本体を調べる「特定建築物定期調査」(1項)と、設備を調べる「建築設備・防火設備・昇降機等の定期検査」(3項)があります。外壁の打診は、1項の特定建築物定期調査のうち「建築物の外部」の項目に含まれます。

横浜市の案内では、報告の周期は次のとおりです(出典:横浜市「報告の周期と時期」(2026年5月26日更新))。

種類 報告の周期(横浜市)
建築物 定期調査報告 3年に1回(用途ごとに年度が決まっている)
建築設備 定期検査報告 毎年
防火設備 定期検査報告 毎年
昇降機等 定期検査報告 毎年(設置時の検査済証の交付月に報告)

報告の義務を負うのは所有者または管理者です。調査ができるのは、一級・二級建築士か特定建築物調査員などの有資格者に限られます。

外壁の全面打診のルールは、平成20年国土交通省告示第282号で定められています。タイル・石貼り(乾式工法を除く)・モルタルなどの外壁で、落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分は、おおむね10年ごとに全面的に打診等で調べることになりました。令和4年1月18日の告示改正では、無人航空機(ドローン)による赤外線調査も、全面打診以外の方法として認められています(出典:国土交通省)。横浜市も平成20年度から、全面打診調査が必要になったことを案内しています。

なお、令和7年7月1日施行の国の告示改正について、横浜市は「常時閉鎖式の防火扉は、引き続き特定建築物定期調査で調べ、防火設備定期検査では報告対象としない」という独自の扱いを示しています(出典:横浜市「お知らせ情報一覧」)。都内にも建物をお持ちのオーナーさまは、扱いの違いにご注意ください。

横浜市青葉区の12条点検:対象の線引き・報告年度・窓口

窓口は横浜市建築局 建築指導課 建築安全担当

項目 内容(公式ページ掲載)
担当(建築物・建築設備・防火設備) 横浜市建築局 建築指導部 建築指導課 建築安全担当
電話 045-671-4539
FAX 045-681-2434
担当(昇降機等) 同 建築指導課 設備担当(電話045-671-4538)
郵送・窓口の提出先 横浜市中区本町6丁目50番地の10 25階 建築指導課 定期報告受付窓口

青葉区役所ではなく、市の建築局が窓口です。

令和8年5月26日から「オンライン提出」が始まった

令和8年度の大きな変化は、定期報告書のインターネット提出が令和8年5月26日に始まったことです。建築物・建築設備・防火設備・昇降機・遊戯施設のすべてが対象で、市は「来庁・郵送が不要」と案内しています(出典:横浜市「お知らせ情報一覧」(2026年6月1日更新))。

市の中心部まで出向かなくても提出できるようになったのは、区の北西部にある青葉区のオーナーさまにとっては助かる変化です。ただし、調査そのものを有資格者が行う点は変わりません。市は「提出書類の不備(記入漏れ、概要書や測定結果表の添付漏れ等)で差し替えをお願いするケースが多い」とも注意を呼びかけています。

また、横浜市は電子申請のページで、自分の建物が報告対象かどうかを確認できる仕組みも用意しています(報告対象建築物・昇降機等のページから入れます)。

老人ホーム・サ高住は「令和8年度」が報告年度

横浜市は、建築物の用途ごとに報告年度と提出期間を決めています。

区分 主な用途 建築物の報告年度・期間
A 病院・診療所(患者の収容施設あり)、劇場など 令和9年度・12年度…の5〜8月
A ホテル・旅館、集会場、体育館など 令和9年度・12年度…の9〜12月
B 百貨店・物品販売店舗など 令和7年度・10年度…の5〜8月
B 飲食店・遊技場・複合用途建築物など 令和7年度・10年度…の9〜12月
C 入居者の宿泊施設がある児童福祉施設・老人ホームなど 令和8年度・11年度…の5〜8月
C サービス付き高齢者向け住宅・認知症高齢者グループホーム・障害者グループホーム 令和8年度・11年度…の9〜12月

(出典:横浜市「報告の周期と時期」)

C区分の対象規模は、「地階で100㎡超」「3階以上で100㎡超」「2階で300㎡以上」のいずれかです(建物全体で対象用途の床面積が200㎡以下かつ2階建て以下のものなどを除く)。

ここが青葉区で一番大事なポイントです。有料老人ホームの数が市内1位の青葉区では、老人ホームなどの提出期間(令和8年5〜8月)はすでに終わっています。提出が済んでいるか、まず確認してください。サービス付き高齢者向け住宅・グループホームは令和8年9月〜12月が提出期間で、本記事の公開時点で提出期間中です。

施設を運営する事業者さまと、建物を所有するオーナーさまが別の場合も多いはずです。横浜市は「所有者と管理者が異なる場合は、報告内容や市からの報告結果通知を両者で共有してほしい」と呼びかけています。借り上げ型の施設では、「どちらが調査を発注するのか」を契約書で確認しておくと安心です。

店舗併設マンション・駅前ビルの線引き

横浜市の対象表には、対象用途が避難階(通常は1階)だけにあるものは対象にならないという注記があります。たまプラーザ、あざみ野、青葉台、市が尾、藤が丘、江田といった駅の周りには、1階が店舗で上が住戸という建物が多くあります。店舗が1階だけなら、多くの場合は建築物の定期報告の対象外です。2階以上に飲食店や物販店、入院施設のあるクリニックが入る駅前ビルは、面積次第で対象になります。判断がつかない場合は、建築安全担当に確認してください。

横浜市青葉区ならではの事情:田園都市の「同世代マンション」が一斉に築40年へ

昭和50〜60年代に建った住宅のボリュームが大きい

神奈川県のウェブサイトに掲載された「田園都市・青葉に関する基礎情報」(東京大学未来ビジョン研究センター作成、平成30年住宅・土地統計調査などをもとにした資料)では、青葉区の住宅を建築時期別に見ると、昭和46〜55年(1971〜1980年)築が15,890戸、昭和56年〜平成2年(1981〜1990年)築が25,890戸で、後者が時期別で最も多いグループです。また、共同住宅(長屋を含む)が住宅の6割強を占めるとされています(出典:神奈川県掲載資料「田園都市・青葉に関する基礎情報(その2)」)。

1981〜1990年築の建物は、今年で築36〜45年です。新耐震基準の時代の建物ではありますが、外壁については「2回目、3回目の大規模修繕をどうするか」を考える時期に入っています。土地区画整理事業の完了地区数・面積がいずれも市内1位(出典:青葉区統計白書)という、計画的に開発された街だからこそ、同じ時期に建った同じような仕上げのマンションが、同じ時期に劣化のピークを迎えるのが青葉区の特徴だと私は見ています。

丘の街の外壁は「面ごと」に傷み方が違う

多摩丘陵の起伏の上に建つ青葉区のマンションは、斜面に沿って建っていたり、北側が切土の擁壁に近かったりします。私の現場感覚では、こうした建物は日当たりや風当たり、雨水の流れが面ごとに大きく違い、タイルの浮きも北面や谷側の面にまとまって出ることがあります(統計に基づく数字ではなく、現場での所感です)。坂の途中で建物の前面道路に高低差があると、足場の計画も難しくなります。

報告義務がなくても、落下事故の責任は残る

横浜市は、平成30年10月1日に市内で、道路に面したビルの屋上に取り付けられた金属製パネルが落下し、通行者が亡くなる事故が起きたことを公表し、すべての所有者・管理者に安全確認を求めています(出典:横浜市「お知らせ情報一覧」)。

建築基準法第8条は、建物の所有者・管理者・占有者に「常時適法な状態に維持するよう努める」ことを求めています(出典:横浜市「建物の維持管理について」)。外壁のタイルが落ちて通行人がけがをすれば、民法第717条(工作物責任)により所有者等が責任を問われる可能性があります。街路樹(歩道並木)の本数が市内1位という緑の多い青葉区では、歩道を歩く人と建物の距離が近い場所も少なくありません。分譲マンションは報告義務がないからこそ、管理組合が自主的に外壁を調べる意味があります。

全面打診が必要になる4つのきっかけ

理事長さまやオーナーさまには、次の4つを「全面打診のきっかけ」としてお伝えしています。

  1. 竣工から10年を超えた:最初の全面打診の起点です。
  2. 外壁の全面改修から10年を超えた:タイル張替えや全面補修をした年から数え直します。
  3. 前回の定期調査で「要是正」とされ、改善が済んでいない:次の報告で改善状況が問われます。
  4. タイルの浮き・剥落の兆候が見つかった:報告年度を待たず、手の届く範囲の打診で異常があれば全面打診で確かめます。

高齢者施設の場合、「入居者の安全」と「事業の継続」の両方がかかっています。前回の大規模修繕の年と、最後に全面打診をした年を、まず修繕履歴で確かめてみてください。

費用の目安:打診の㎡単価と、足場・ロープアクセスの差

費用の目安を示します。以下は参考値で、実際の見積は建物の形状・高さ・外壁の仕上げ・敷地条件で大きく変わります。

項目 目安
全面打診調査の㎡単価(調査のみ) 250〜500円/㎡
10階建て・外周80m・打診対象約2,000㎡の調査費 約50〜100万円
同条件で仮設足場を組む場合(工期3か月想定) 約168万円
同条件でロープアクセス工法の場合 約59万円
足場とロープアクセスの差額 約109万円

全体の費用を押し上げるのは、打診そのものより足場です。斜面に建つ建物や、前面道路に高低差がある建物では、足場の計画がさらに複雑になり、費用が上がりがちです。料金の考え方は明誠の大規模修繕の料金の考え方でも公開しています。

ロープアクセス工法が12条打診で選ばれる理由

ロープアクセス工法とは、屋上などの確実な吊元から、作業員がメインロープとバックアップロープの2本に接続して壁面に降り、足場を組まずに調査や補修を行う工法です。吊元は2点以上を確保し、二重の冗長化で安全を確保します。国際基準(IRATA)に沿った、業界標準のやり方です。技術の詳細は明誠のロープアクセス工法のページに、安全への取り組みは明誠の安全管理にまとめています。

12条打診でロープアクセスを選ぶ理由は、主に3つです。

  1. 費用:足場代を抑えられます。上の例では、足場工法より約100万円の差が出る可能性があります。
  2. 期間:足場の組立・解体がないため、足場工法の約60%の工期が目安です。
  3. 居ながら・営業しながら施工:窓の前に足場やメッシュシートがかからず、日当たりや防犯面の不安が少なく済みます。

3つ目は、高齢者施設では特に大きな意味があります。足場とシートで何か月も窓がふさがれると、居室が暗くなり、入居者さまの生活リズムにも影響します。ロープアクセスなら作業する面だけ、作業する時間だけ人が降りるので、施設の運営を止めずに調査できます。

斜面に建つ建物でも、屋上に吊元が取れれば、地面の高低差に関係なく壁面に沿って降りて調べられます。打診は、テストハンマーでタイルやモルタルを一枚ずつ叩き、音の違いを聞き分ける仕事です。ロープアクセスなら、見つけた浮きにその場でマーキングし、条件が合えば注入による部分補修まで続けて行えます。ドローンの赤外線調査で全体を把握し、気になる面だけロープアクセスで叩いて確かめる組み合わせも可能です(ドローンの飛行には周辺環境や法令上の制約があります)。

株式会社明誠は、これまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕に携わってきました。ロープアクセスでの高所作業では、明誠と全国のフランチャイズ加盟企業で、過去16年間、墜落による労働災害ゼロを続けています。作業は、IRATA水準の訓練を受けた作業員が担当します。

ロープアクセスの訓練体制や施工の実例は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムで詳しく紹介しています。足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3工法の比較もロープアクセスドットコムに掲載しています。フランチャイズ加盟をご検討の専門工事会社さまも、ロープアクセスドットコムからご覧ください。

12条点検を大規模修繕・長期修繕計画とつなげる

12条点検(または自主的な外壁調査)と大規模修繕を、別々の会社に別々のタイミングで発注している管理組合やオーナーさまは少なくありません。私はこれを、できるだけワンセットで考えるよう提案しています。

  • 足場代の二重払いを避ける:打診のために足場を組み、数年後の大規模修繕でまた組む、という重複をなくせます。
  • 調査結果が補修数量の根拠になる:浮き・欠損の位置と数量が分かれば、見積書の数量が透明になります。
  • 長期修繕計画の精度が上がる:外壁の劣化が数字で分かり、修繕積立金の見通しが立てやすくなります。
  • ハイブリッド工法の判断材料になる:低層部は足場、高層部や斜面側の面はロープアクセス、と面ごとに使い分けると総額が下がる建物もあります。

田園都市の同世代マンションが一斉に築40年前後を迎える青葉区では、施工会社の工程も混み合いやすくなります。調査結果を手元に持って早めに動くことが、良い条件で発注するための近道です。

分譲マンションの管理組合さまは管理組合様向けの大規模修繕サービスを、賃貸マンション・ビル・施設のオーナーさまはビルオーナー様向けの修繕サービスをご覧ください。

よくあるご質問

Q. 横浜市青葉区の分譲マンションは、12条の定期報告が必要ですか?

A. 住戸だけの共同住宅は、横浜市では建築物の定期報告の対象用途に指定されていません。ただし、エレベーターは原則として毎年の定期検査報告が必要です。2階以上に店舗などが一定規模で入る場合は対象になることがあります。

Q. 横浜市青葉区の12条点検の窓口はどこですか?

A. 青葉区役所ではなく、横浜市建築局 建築指導課 建築安全担当(電話045-671-4539)です。昇降機は同課の設備担当(電話045-671-4538)です。

Q. 有料老人ホームの報告はいつですか?

A. 横浜市の区分では、入居者の宿泊施設がある老人ホームなどは令和8年度・11年度…の5〜8月です。令和8年度分の提出期間は終わっているため、未提出の場合は早めに建築安全担当へご相談ください。

Q. サービス付き高齢者向け住宅・グループホームの報告はいつですか?

A. 令和8年度・11年度…の9〜12月です。令和8年度は報告年度にあたるため、対象の建物は令和8年12月までの提出が必要です。

Q. 定期報告はオンラインで出せますか?

A. はい。横浜市は令和8年5月26日から、横浜市定期報告オンラインシステムでのインターネット提出を受け付けています。窓口持参や郵送も可能です。

Q. 外壁の全面打診は何年ごとですか?

A. 定期報告の対象建築物では、竣工や外壁の全面改修から、おおむね10年を経過したあとの最初の定期調査で必要です。根拠は平成20年国土交通省告示第282号です。

Q. 斜面に建つマンションでも打診できますか?

A. 屋上に2点以上の吊元を確保できれば、ロープアクセス工法でメインロープとバックアップロープの2本に接続して降り、壁面を直接叩いて調べられます。現地を見て、足場との組み合わせも含めてご提案します。

まとめ+今週動くこと3点

横浜市青葉区の12条点検の窓口は、横浜市建築局の建築指導課 建築安全担当です。横浜市では、住戸だけのマンションや事務所だけのビルは建築物の定期報告の対象外ですが、老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅・グループホームは規模により対象で、令和8年度がその報告年度です。有料老人ホームの数が市内1位の青葉区では、この点の確認が特に大切です。

今週動くことを3つに絞ります。

  1. 令和8年度分の提出状況を確認する:老人ホーム(5〜8月期間)は提出済みか、サ高住・グループホーム(9〜12月期間)は12月までに出せるかを、運営事業者と一緒に確認する。オンライン提出も使えます。
  2. 最後の全面打診の年を調べる:修繕履歴や過去の調査報告書を見て、10年を超えていないかを確かめる。報告義務のない分譲マンションも、10年を目安に外壁の状態を数字で把握する。
  3. 次の大規模修繕とセットで考える:外壁調査と、2回目・3回目の大規模修繕、長期修繕計画の見直しを一体で検討することを、次の理事会・オーナー会議で共有する。

明誠の施工実績は明誠の施工事例で、私たちの考え方は明誠の理念でご覧いただけます。ご相談は大規模修繕・打診調査のお問い合わせフォームからどうぞ。横浜市青葉区を含む神奈川県全域で、現地調査にも対応しています。

出典・参考資料

本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月12日(令和8年度)時点で公表されている国土交通省・横浜市の公式情報をもとに執筆しています。横浜市の「報告の周期と時期」は2026年5月26日更新、「お知らせ情報一覧」は2026年6月1日更新の掲載を確認しました。「報告対象建築物・昇降機等」は2025年12月1日(令和7年度)更新、「建物の維持管理について」は前年度以前の更新のため、内容が変わっている可能性があります。青葉区の住宅の建築時期の数字は平成30年住宅・土地統計調査などをもとにした2023年の資料で、最新の統計とは異なる場合があります。制度は年度途中でも改正があり得ます。調査・報告の前に、横浜市建築局 建築指導課 建築安全担当(045-671-4539)へ最新の内容をご確認ください。費用の数字は参考値で、個別の見積を保証するものではありません。

この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年10月12日


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愛川町のマンション補助金|大規模修繕2026年度版

2026年10月12日 更新

「愛川町のマンションで、大規模修繕に使える補助金はありますか?」

先に結論をお伝えします。令和8年度(2026年度)の愛川町公式サイトで確認できた範囲では、外壁塗装や屋上防水といった共用部分の大規模修繕の工事費を、管理組合に補助する町の制度は見つかりませんでした。 町の住宅関連の補助は、木造住宅の耐震化、空き家バンク登録物件の改修、三世代同居のための住宅改修、一戸建て向けのスマートエネルギー設備、そして道路に面した危険なブロック塀の耐震化が中心です。

それでも、愛川町のマンション管理組合が押さえておきたい制度は3つあります。1つ目は、塀を「所有」する人だけでなく「管理する」人も対象にしている「愛川町危険ブロック塀等耐震化補助金」(撤去費の1/2・上限10万円、撤去と併せてフェンス等を設置する場合は上限20万円)。2つ目は、神奈川県がマンション管理士などの専門家を無料で派遣する「マンションアドバイザー派遣事業」(令和8年度は令和9年2月26日まで受付)。3つ目は、愛川町を含む県内の町村部では神奈川県が認定する「マンション管理計画認定制度」と、国の長寿命化促進税制の組み合わせです。

こんにちは、株式会社明誠の本間です。マンション・ビル・ホテルの大規模修繕に20年以上携わってきました。この記事では、愛川町のマンション管理組合の理事長さま・理事の皆さまに向けて、町と県の制度を「共用部に使えるか、使えないか」で仕分けし、補助金が少ない町で修繕積立金を守るための段取りと、工事費そのものを抑える工法の選び方までお伝えします。

早見表:愛川町のマンションで使える制度・使えない制度

令和8年度の愛川町公式ページと、神奈川県・国土交通省の公表資料をもとに整理しました。

制度 窓口 管理組合(共用部)で使えるか 内容
危険ブロック塀等耐震化補助金 愛川町 都市施設課 △ 条件が合えば検討の余地あり(対象は塀を「所有又は管理する者」) 撤去費の1/2・上限10万円。撤去と併せて安全な工作物等を設置する場合は1/2・上限20万円。町内施工業者・交付決定前の着工は不可
木造住宅耐震診断・耐震改修工事等の補助(令和8年度拡充) 愛川町 都市施設課 × マンションは対象外 平成12年5月31日以前の2階建て以下・在来工法の木造住宅が対象。改修工事は1/2・上限80万円
三世代同居定住支援 住宅改修補助金(2026年度) 愛川町 政策秘書課 × 共用部は対象外(住戸の改修は条件次第) 40歳未満の子・孫世代が転入して三世代同居し、町内の持家を改修する場合に1/2・上限40万円
空き家改修費等補助制度 愛川町 環境課 × マンション共用部は対象外 空き家バンク登録物件の改修・片付けに1/2・上限30万円
スマートエネルギー設備導入費補助金(令和8年度) 愛川町 環境課 × 対象外 一戸建て住宅への太陽光・蓄電池等の設置が対象
マンションアドバイザー派遣事業(令和8年度) 神奈川県 住宅計画課 ○ 相談に使える(工事費の補助ではない) 派遣料無料、1回3時間以内、1管理組合につき年度内最大2回。令和9年2月26日まで
マンション管理計画認定制度 神奈川県(町村部は県が認定) ○ 間接的に有利 長寿命化促進税制や融資の金利引下げの前提になる
マンション長寿命化促進税制 国(申告先は愛川町) ○ 間接的に有利 一定の大規模修繕を令和9年3月31日までに完了した場合、翌年度の固定資産税を減額

ポイントは、共用部の大規模修繕費に直接使える町の補助は見当たらない一方で、「塀の耐震化補助」「県の無料アドバイザー」「管理計画認定と税制」を組み合わせる余地があることです。そして、補助金が少ない町ほど、工事の範囲と工法の選び方が修繕積立金を守るうえで大きな意味を持ちます。

愛川町のマンションの特徴-県央の「町村部」

愛川町は神奈川県愛甲郡にある、県央の内陸部の町です。マンション管理の観点では、大きな特徴が2つあります。

1つ目は、愛川町は「町村部」なので、マンション管理計画の認定やアドバイザー派遣の窓口が神奈川県になることです。市と比べて町独自のマンション支援策が少ないぶん、県の制度を使いこなすことが大切になります。

2つ目は、郊外の町に多い中低層・小〜中規模のマンションでは、1戸あたりの負担が重くなりやすいことです。大規模修繕の費用には、仮設足場のように建物の規模にかかわらず一定額がかかる項目があります。戸数が少ないと、その固定費を少ない戸数で割ることになり、1戸あたりの修繕積立金の負担が大きくなります。

私の経験では、こうした小〜中規模のマンションで「築12年だから全面改修」と一律に決めてしまうと、まだ使える部分まで工事することになりがちです。劣化に合わせて工事範囲と時期を組み立てることが、補助金を探すのと同じくらい、修繕積立金を守るカギになります。

愛川町の制度①:危険ブロック塀等耐震化補助金-「管理する者」も対象

愛川町のブロック塀の耐震化補助事業は、地震などの災害時にブロック塀が倒れて被害が出るのを防ぐための制度です。町のページと愛川町危険ブロック塀等耐震化補助金交付要綱(PDF)をもとに整理します。

項目 内容
対象者 町内にある危険ブロック塀等を現に所有又は管理する者(要綱第3条)
対象の塀 道路に面し、道路面からの高さが1m以上の塀・門柱(コンクリートブロック、コンクリートパネル、石材等)で、町の「ブロック塀点検表」で危険ブロック塀等と判定されたもの
危険の判定 点検表の総合評点が55点未満、または「※」印の項目(鉄筋なし・基礎なし・増積みあり など)に該当するもの
対象工事 撤去(除却、または道路面から65cm以下まで取り除く)、または撤去に併せて生垣・フェンス等の安全な工作物等を設置する工事
補助額(撤去) 撤去にかかる費用(税抜)の1/2・上限10万円
補助額(撤去+設置) 撤去と設置にかかる費用(税抜)の1/2・上限20万円
施工業者 町内に事業所を置く施工業者(事業所の所在地が明記された見積書・領収書を発行できること)
申請時期 工事の前に申請。交付決定前に施工した工事は対象外
窓口 都市施設課 都市計画班(046-285-2111 内線3443)

マンションで使うときの3つの注意点

  1. 「管理する者」も対象と書かれている点は、管理組合にとって追い風です。 近隣の町には対象を「個人が所有する塀」に限る制度もありますが、愛川町の要綱は「所有又は管理する者」としています。ただし、管理組合(法人化していない団体を含む)がそのまま申請者になれるか、理事長名で申請するのか、総会決議の写しが必要かは、要綱からは読み取れませんでした。計画の前に都市施設課へ必ず確認してください。
  2. 補助額は「税抜」の工事費の1/2です。見積書は、補助の対象になる工事(塀の撤去・フェンス等の設置)と、それ以外の工事(外構の舗装や植栽など)を分けて作成してもらう必要があります。
  3. 町のページの更新日は2023年3月1日で、令和8年度の予算額や受付期間の記載はありません。年度の予算がなくなると受け付けが終わる可能性もありますので、令和8年度の受付状況を電話で確認してから動いてください。

マンションの敷地の塀は、建物の大規模修繕の陰で後回しにされがちです。けれども、通学路や生活道路に面した古いブロック塀は、地震のときに歩行者を巻き込む危険があります。大規模修繕の建物診断と同じタイミングで、町の点検表を使って塀の状態を確認しておくと、工事の段取りが一度で済みます。

愛川町の制度②:木造住宅の耐震補助-令和8年度に拡充、ただしマンションは対象外

愛川町の木造住宅の耐震診断・耐震改修工事等の補助は、令和8年度から、昭和56年6月1日から平成12年5月31日までに建てられた木造住宅(いわゆる新耐震グレーゾーン住宅)を対象に加え、補助の上限額も増額しました(2026年4月1日更新)。

区分 補助額
耐震診断 経費の50%・上限7万円
耐震改修設計 経費の50%・上限8万円
耐震改修工事 経費の50%・上限80万円
耐震改修監理 経費の50%・上限5万円

対象は、平成12年5月31日以前に建てられた2階建て以下・在来工法の木造住宅で、町内に住所がある方が自ら所有し居住する住宅です(耐震改修工事費補助金交付要綱(令和8年4月1日施行・PDF))。賃貸住宅は対象外で、工事は交付申請年度の2月末日までに完了する必要があります。鉄筋コンクリート造のマンションは対象外です。

旧耐震基準(1981年5月以前に建築確認)のマンションの場合は、まず県のアドバイザー派遣で、耐震性の向上についての考え方を相談してみてください。

愛川町の制度③:三世代同居の住宅改修補助-「外壁の塗装」も対象工事に

愛川町には、三世代同居定住支援の補助があります。そのうち「住宅改修補助金」は、2026年度のチラシ(PDF)によると、次の内容です。

項目 内容
対象者 子または孫世代の生計維持者もしくはその配偶者で40歳未満の人が愛川町に転入し、三世代以上で同居する世帯
対象住宅 親・子・孫等の直系親族のいずれかの名義で町内に所有する住宅
対象工事 増築・改築、屋根・雨樋・柱・外壁の修繕・塗装等の外装工事、内装工事、建具工事、電気・ガス等の設備工事、水回りの給排水工事など
対象外 敷地造成、門、塀その他の外構工事、家具・家電の購入、物置・車庫の設置など
補助額 改修費用の1/2・上限40万円(対象工事費の合計10万円以上)
申請 工事完了から1年以内に、政策秘書課へ申請。予算額に達した場合は早期終了あり

交付要綱(PDF)では「同居」を「1棟の建物」などに家族が生活している状態と定めており、対象をはっきり一戸建てに限る記述は見当たりませんでした。そのため、マンションの1住戸で三世代同居を始める区分所有者さまが、住戸内のリフォームに使える可能性はあります。ただし、管理組合が行う共用部の工事は、この補助の対象になりません。住戸での利用を考えている方は、政策秘書課(046-285-6924)に事前に確認してください。

その他の町の補助:空き家改修、スマートエネルギー設備

空き家改修費等補助制度は、空き家バンクに登録された空き家の改修や片付けに、経費の1/2・上限30万円を補助する制度です。ページの更新日は2025年7月9日(令和7年度の交付状況の記載)で、令和8年度の予算額は掲載されていません。

スマートエネルギー設備導入費補助金は、一戸建て住宅に太陽光発電システムや蓄電池などを設置した個人が対象です(2026年6月3日更新)。どちらも、マンションの共用部の工事には使えません。

本命の制度:神奈川県のマンションアドバイザー派遣-愛川町の管理組合は無料で使えます

町の補助が共用部に使えない以上、大規模修繕を前に管理組合が最初に使いたいのがこの制度です。神奈川県の令和8年度 マンションアドバイザー派遣事業のご案内(PDF)によると、内容は次のとおりです。

項目 内容
派遣対象 神奈川県内の分譲マンションの管理組合等(横浜市・川崎市・相模原市・横須賀市を除く)。愛川町は対象
アドバイザー マンション管理士等の資格を持ち、マンション管理の相談経験がある人
相談時間・回数 1回につきアドバイザー1〜2名、3時間以内。夜間・休日にも対応。1管理組合につき年度内最大2回
派遣料 無料
申込期間 令和8年6月26日〜令和9年2月26日(申込者が多数の場合は早期に終了)
事前相談窓口 NPO法人 かながわマンション管理組合ネットワーク(045-620-6300)

相談できる内容には、長期修繕計画や大規模修繕、修繕積立金などの財務、管理規約、耐震性の向上、管理計画認定制度が含まれています。

一方で、チラシには見積書の比較診断、工事の受注、業者の紹介、長期修繕計画の策定そのもの、管理計画認定の申請業務などは派遣業務の範囲外と明記されています。アドバイザーは「中立の立場で考え方を整理してくれる人」です。工事の見積りや工法の比較は施工会社から複数取り寄せ、アドバイザーの助言を判断の物差しにする、という使い方がよいでしょう。詳しくは神奈川県のマンションアドバイザーのページをご覧ください。

マンション管理計画認定制度-愛川町は「神奈川県」が認定します

マンション管理計画認定制度は、管理組合の管理計画が一定の基準を満たしていることを、自治体が認定する制度です。認定を受けると、後述のマンション長寿命化促進税制を使う前提になるほか、住宅金融支援機構の融資で金利引下げの対象になります。

神奈川県のマンション管理計画認定 申請の手引き(PDF)によると、愛川町を含む県内14町村(葉山町、寒川町、大磯町、二宮町、中井町、大井町、松田町、山北町、開成町、箱根町、真鶴町、湯河原町、愛川町、清川村)では、神奈川県が認定を行います。

主な認定基準は次のとおりです。

  • 管理者等と監事が置かれ、集会(総会)が年1回以上開かれていること
  • 管理費と修繕積立金を区分して経理し、修繕積立金を他の会計に充てていないこと
  • 修繕積立金の3か月以上の滞納額が全体の1割以内であること
  • 長期修繕計画が標準様式に準拠し、7年以内に作成・見直しされ、計画期間30年以上・残りの期間に大規模修繕工事を2回以上含むこと
  • 将来の一時金の徴収を予定しておらず、計画の最終年度に借入金の残高がないこと

窓口は県土整備局建築住宅部住宅計画課です。手引きは令和4年4月版のため、最新の様式や手数料は県に確認してください。県の住生活基本計画 第5章(マンション管理適正化推進計画)(PDF)では、25年以上の長期修繕計画に基づいて修繕積立金を設定している管理組合の割合を、2030(令和12)年度までに65%以上にする目標が掲げられています。

マンション長寿命化促進税制-認定の取得から逆算を

国のマンション長寿命化促進税制は、築20年以上・10戸以上のマンションで、管理計画の認定などを受けたうえで、長寿命化に資する大規模修繕工事(外壁塗装等、床防水、屋根防水)を行った場合に、各住戸の翌年度の固定資産税を減額する制度です。対象は令和9年3月31日までに完了した工事で、完了後3か月以内に申告が必要です。

愛川町の場合、認定を出すのは神奈川県、固定資産税の申告先は愛川町、と窓口が分かれます。工事の完了時期から逆算して、認定の取得を先に済ませておくことが大切です。ほかの減額措置との併用には制限があるため、詳しい要件は国土交通省のページと町の税務担当で確認してください。

愛川町のマンションの大規模修繕-足場か、ロープアクセスか、公平に比べます

町の補助が共用部に使えない以上、工事費そのものを適正に抑えることが、修繕積立金を守る最大の手段になります。

費用の目安

金額は物件によって大きく変わるため、あくまで参考値です。私たちが見積りの入口でお伝えしている目安は次のとおりです。

項目 目安
30戸規模マンションの大規模修繕 総工費 約3,500万〜5,000万円
うち仮設足場の割合 総工費の約15〜25%
外壁塗装 1㎡あたり約3,500〜4,500円
外壁の打診調査 1㎡あたり約250〜500円
防水工事 1㎡あたり約5,000〜8,000円

10階建て・外周80m・工期3か月の建物を例にとると、足場の費用が約168万円かかるところ、ロープアクセスでは約59万円、差額は約109万円という試算になります。戸数が20戸の建物なら、1戸あたり約5万円の差です。実際の見積りは、建物の形状・劣化状況・工事範囲によって変わります。料金の考え方は大規模修繕の料金の考え方(明誠)でもご紹介しています。

3つの工法を、公平に比べる

明誠は、次の3つの工法から建物に合う方法を提案しています。

工法 向いている建物・工事 強み 注意点
通常の足場仮設工法 外壁の全面補修、塗装・防水・タイル・サッシ交換を一括で行う大規模修繕 作業の安全性と品質を確保しやすく、全面的な工事に適する 設置・解体の費用と工期がかかる。足場期間中は防犯・採光・ベランダ使用に配慮が必要
ロープアクセス工法(無足場工法) 外壁の部分補修、シーリングの打替え、調査・点検、部分塗装 足場が不要なため、工期と費用を抑えやすい。居住者の生活への影響が少ない 作業内容によっては向かない。専門技能を持つ職人が必要
ハイブリッド工法 面ごと・部位ごとに足場とロープを使い分けたい建物 部位ごとに最適な方法を選べ、総額を最適化しやすい 計画と工程管理に専門性が必要

ロープアクセス工法では、作業者がメインロープとバックアップロープの2本に接続し、屋上などに2点以上の吊元(ロープを固定する支点)を確保して作業します。明誠の工法の詳細は明誠のロープアクセス工法の技術と実績で、業界全体の安全基準や施工例は姉妹サイトのロープアクセスドットコム(無足場工法の専門メディア)で詳しく紹介しています。安全管理の考え方は明誠の高所作業の安全管理にまとめています。

ここは正直に申し上げます。 私たちは3つの工法をすべて扱うので、足場が最適なら足場を、ロープが向くならロープを提案します。どれか1つに誘導するための記事ではありません。

戸数の少ないマンションで、ロープアクセスが役立つ場面

数十戸規模の中低層マンションでは、足場の費用が工事費全体に占める割合が大きくなりがちです。

たとえば、日当たりの強い南面・西面だけ塗膜の劣化やシーリングのひび割れが進んでいる場合、全面に足場を組まずに、劣化の進んだ面だけをロープアクセスで部分補修する方法があります。仮設費を抑えて早めに手当てできるうえ、小さな劣化のうちに止水しておけば、次の大規模修繕で下地補修の数量が膨らむのを防げます。補助金が少ない町では、この「劣化を育てない」発想が、長い目で見た修繕積立金の節約につながります。

明誠について、数字でお伝えします

株式会社明誠は、これまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセス工法での高所作業について、明誠と全国のフランチャイズ加盟企業では、過去16年間、墜落による労働災害ゼロを維持しています。IRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の技能訓練を受けた作業員が施工し、ISO9001の品質マネジメントシステムを運用しています。また、日本初のロープアクセス工事のフランチャイズ本部として、塗装・防水・タイル・電気・看板の各分野の専門職と連携しています。

愛川町のマンションで、理事会が確認したいこと

  • 長期修繕計画が7年以内に見直されているか、計画期間が30年以上あるか
  • 修繕積立金の3か月以上の滞納がどの程度あるか
  • 面ごと(南・西・北・東)に、塗膜・シーリング・鉄部の劣化に差があるか
  • 敷地の塀が道路に面しているか、高さが1m以上あるか、町の点検表で「危険」に当たらないか
  • 塀を撤去・改修する場合、町内施工業者に依頼できるか
  • 県のマンションアドバイザー派遣を、今年度すでに使ったか(年度内最大2回)
  • 長寿命化促進税制の期限(令和9年3月31日完了)に工事が間に合うか

現場で見てきたこと

戸数の少ないマンションの管理組合さまから、「1戸あたりの負担が重すぎて、修繕積立金を上げるか一時金を集めるしかない」という声をよく伺います。けれども実際に建物を見ると、全面足場が必要な工事と、部分補修で済む工事が混ざっていることが少なくありません。私は、建物診断の段階で面ごとの劣化を記録し、「今やるべき工事」と「次回に回せる工事」を分けた資料を理事会にお出しするようにしています。この仕分けだけで、総額が大きく変わることがあります。

管理組合向けのサービス内容はマンション管理組合さま向けの大規模修繕サービスにまとめています。明誠のこれまでの施工の様子は、明誠の施工事例からご覧いただけます。

制度を使うときの共通の落とし穴

失敗しやすい3つのパターン

  1. 交付決定の前に着工してしまう:危険ブロック塀等耐震化補助金は、交付決定前に施工した工事は対象外です。町内施工業者による工事であることも条件です
  2. 年度末の期限を見落とす:県のアドバイザー派遣は令和9年2月26日まで、長寿命化促進税制は令和9年3月31日までの工事完了が条件です。町の補助も予算に達すると受付が終わることがあります
  3. ページの更新日を確認しない:ブロック塀の補助のページは2023年3月更新、空き家改修のページは2025年7月更新です。令和8年度の予算や受付状況は、窓口で確認してから動きましょう

理事会で使える質問リスト

町や県の窓口へ問い合わせるとき、次の質問をそのまま使えます。

  • 管理組合が管理するマンションの塀は、危険ブロック塀等耐震化補助金の対象になりますか。申請者は理事長名でよいですか(都市施設課 046-285-2111 内線3443)
  • 令和8年度のブロック塀補助は、現在も受け付けていますか。予算の残りはありますか
  • 塀の点検表は、管理組合で記入して持参すればよいですか
  • 町内のマンションの管理計画認定は、どこへ相談すればよいですか(神奈川県 住宅計画課)
  • 県のマンションアドバイザー派遣は、現在受け付けていますか(かながわマンション管理組合ネットワーク)
  • 長寿命化促進税制の申告書類は、町のどの窓口に出せばよいですか

愛川町のマンションが大規模修繕に向けて動く5つのステップ

  1. 長期修繕計画と修繕積立金の残高を確認する:工事の時期と予算の上限を把握します。計画が古ければ、見直しから始めます
  2. 県のマンションアドバイザーに相談する:無料で、長期修繕計画や修繕積立金、管理計画認定の考え方を中立の立場から整理できます
  3. 建物診断(劣化調査)を面ごとに行う:面ごとの劣化の差を記録し、「今やる工事」と「次回に回せる工事」を分けます。敷地の塀も町の点検表で確認します。ロープアクセスでの外壁調査の方法も選択肢の一つです
  4. 工法を比べて見積りを取る:足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3つで比べ、仮設費を分けて記載してもらいます。塀の工事は補助対象とそれ以外を分けた見積書にします
  5. 総会で工事を決議し、認定と税制の段取りをする:管理計画認定の取得時期、長寿命化促進税制の期限、塀の補助の申請時期を、工事の工程表と1枚にまとめます

賃貸マンション・ビルのオーナーの方へ

愛川町の危険ブロック塀等耐震化補助金は、塀を所有又は管理する者が対象で、要綱上、個人に限るとの記述はありません。法人が所有する賃貸物件の塀が対象になるかは、都市施設課に確認してください。一方、木造住宅の耐震補助は賃貸住宅が対象外です。賃貸物件の修繕では、空室期間を短くし、入居者の生活への影響を抑えることが収益に直結します。足場を組まないロープアクセスは、こうした点でもメリットがあります。ビルオーナーさま向けのサービスはビルオーナーさま向け大規模修繕サービスをご覧ください。

よくあるご質問

Q. 愛川町で、マンションの大規模修繕工事費に使える補助金はありますか?

A. 令和8年度の愛川町公式ページで確認した範囲では、共用部分の外壁塗装や屋上防水などの工事費を管理組合に補助する制度は見つかりませんでした。県の無料アドバイザー派遣や、管理計画認定と長寿命化促進税制の組み合わせが現実的な手立てです。

Q. 危険ブロック塀等耐震化補助金はいくらもらえますか?

A. 撤去の場合は費用(税抜)の1/2・上限10万円、撤去に併せて生垣やフェンスなどの安全な工作物等を設置する場合は1/2・上限20万円です。道路に面した高さ1m以上の塀で、町の点検表で危険と判定されたものが対象です。町内施工業者による工事で、交付決定前の着工は対象外です。

Q. マンションの共有の塀でも、ブロック塀の補助は使えますか?

A. 町の要綱では対象者を塀を「現に所有又は管理する者」としており、管理組合が管理する塀も対象になる可能性があります。ただし、申請者の名義や必要書類は要綱からは読み取れないため、都市施設課(046-285-2111 内線3443)に事前に確認してください。

Q. 愛川町のマンションでも、県のマンションアドバイザー派遣は使えますか?

A. 使えます。横浜市・川崎市・相模原市・横須賀市を除く県内の分譲マンションの管理組合が対象で、派遣料は無料、1管理組合につき年度内最大2回までです。令和8年度の申込期間は令和9年2月26日までです。

Q. 愛川町のマンションの管理計画認定は、どこに申請しますか?

A. 愛川町を含む県内の町村部では、神奈川県が認定を行います。窓口は県土整備局建築住宅部住宅計画課です。マンション管理センターの「管理計画認定手続支援サービス」で事前確認を受けてから申請する方法もあります。

Q. 足場を組まない大規模修繕は、本当に可能ですか?

A. 外壁の部分補修、シーリングの打替え、調査・点検、部分塗装などでは、ロープアクセス工法で足場を組まずに施工できます。外壁全面の改修やサッシのカバー工法では足場が向く場合もあり、明誠では3つの工法から建物に合う方法をご提案しています。

Q. 相談や見積りに費用はかかりますか?

A. 明誠では、建物の状況確認と概算のお見積りを無料で承っています。補助金・税制の情報整理だけのご相談でもかまいません。大規模修繕の無料相談・お問い合わせからお声がけください。

この記事のポイントまとめ

  • 愛川町の令和8年度の補助で、共用部の外壁・防水などの大規模修繕工事費に使える制度は確認できず。耐震補助は木造住宅、スマートエネルギー補助は一戸建てが対象
  • 危険ブロック塀等耐震化補助金は、塀を「所有又は管理する者」が対象。撤去は1/2・上限10万円、撤去+フェンス等の設置は1/2・上限20万円。町内施工業者・交付決定前の着工不可
  • 三世代同居の住宅改修補助(1/2・上限40万円)は、住戸の改修に使える可能性があるが、共用部の工事は対象外
  • 県のマンションアドバイザー派遣は愛川町で使える。無料・年度内2回・令和9年2月26日まで
  • 管理計画認定は県、固定資産税の申告は町。長寿命化促進税制は令和9年3月31日完了が期限

出典・参考資料

本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月12日時点で公表されている愛川町および神奈川県、国土交通省の公式情報をもとに執筆しています。愛川町の木造住宅耐震補助・三世代同居補助は令和8年度(2026年4月更新)のページ、スマートエネルギー補助は2026年6月更新のページを確認しました。危険ブロック塀等耐震化補助金のページは2023年3月更新、空き家改修費等補助制度のページは2025年7月更新で、令和8年度の予算額・受付状況の記載がないため、必ず町に最新の状況をご確認ください。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。本記事は法的・税務上の助言ではありません。

愛川町は、大規模修繕の工事費に直接使える補助金が多い町ではありません。それでも、塀の耐震化補助、県の無料アドバイザーと管理計画認定、劣化に合わせた工事範囲の仕分け、そして工法の比較によって、修繕積立金を守る手立てはあります。総会資料の準備や工事範囲の整理だけでも、お力になれることがあります。ご相談だけでも遠慮なくお問い合わせフォームからお声がけください。


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この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年10月12日


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川崎市高津区のマンション漏水・防災対策|多摩川の排水樋管・平瀬川・急傾斜地から考える大規模修繕の優先順位【2026年度版】

2026年10月11日 更新

川崎市高津区のマンションで修繕のご相談を受けると、私は最初に「建物の北側と南側で、地面の高さがどれくらい違いますか」とお聞きします。高津区は、多摩川沿いの低地と、溝の口駅の周辺から広がる台地・丘陵の斜面地が隣り合う区です。同じ区内でも、心配すべき水の入り口がまるで違います。

2019年10月の令和元年東日本台風では、多摩川の水位が観測史上最高の10.81m(田園調布(上)水位観測所)を記録しました。高津区の宇奈根では、排水樋管の周辺で浸水が起き、説明会では久地の住民の方から「70年以上住んでいて初めて浸水した」という声が出ています(出典:川崎市上下水道局 宇奈根排水樋管周辺地域の住民説明会 議事録(令和元年11月27日))。

私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。拠点は東京都東大和市ですが、神奈川県内のマンションの大規模修繕も手がけています。20年以上、マンション・ビル・ホテルの外壁と向き合ってきました。仮設足場を組む工事も、メインロープとバックアップロープの2本に接続して壁面に降りる無足場の工事も、どちらも現場でやってきた人間です。

今日は、川崎市・神奈川県・国土交通省・気象庁の公式情報をもとに、高津区の分譲・賃貸マンション、そしてオーナーさまのビルが、大規模修繕で先に手を打つべき場所を整理します。


結論:高津区で優先すべきは「内水と洪水の想定確認」「斜面地の擁壁と排水」「屋上とバルコニーの排水」です

先に結論を申し上げます。高津区のマンションでは、次の3つから動くことをお勧めします。

  1. 高津区の洪水・内水ハザードマップで、建物の位置と想定浸水深を確認する:多摩川があふれなくても、下水道や水路があふれる「内水」で浸水することがあります
  2. 斜面地に近い建物は、擁壁・排水溝・敷地境界の水の流れを点検する:市の防災指針でも、高津区は土砂災害警戒区域に建物が多く立地していることが課題とされています
  3. 屋上ドレン・バルコニー排水・サッシまわりのシーリングを点検し、防水の改修時期を記録で確認する:強い雨でまず出るのは、排水が追いつかないことによる漏水です

順に見ていきます。

高津区のハザードマップを1枚で読む(洪水/内水/土砂/液状化)

川崎市の立地適正化計画「防災指針」は、高津区の水害について、垂直避難が難しい建物が多いこと、氾濫流の区域に木造建物が多く河岸浸食の区域にも建物があることを課題に挙げ、ハザードマップでリスクを周知して上階への水平避難を進める方針を示しています(出典:川崎市「立地適正化計画 防災指針」第6章)。

種類 高津区の状況 マンションで見るべき点
洪水 多摩川版・鶴見川版の地図面あり 想定浸水深と浸水が続く時間
内水 高津区版(令和8年5月版)あり。1時間153mmの雨を想定 水路・下水道があふれる低い場所、地下階
土砂災害 警戒区域・特別警戒区域の指定あり(2021年5月25日公示) 斜面に近い建物の擁壁・排水
液状化 市の液状化危険度分布で確認 防災指針は「危険度の高いエリアに建物が立地」と整理

洪水:多摩川版と鶴見川版、浸水深と浸水継続時間の両方を見ます

高津区の洪水ハザードマップには、多摩川と鶴見川それぞれの「浸水深」と「浸水継続時間」の地図面があります。浸水継続時間とは、浸水深が0.5mを超えてから下回るまでの時間です。掲載ページは2026年5月29日に更新され、新しい防災気象情報の運用に合わせて避難情報の記載が変わりましたが、洪水浸水想定区域と浸水継続時間そのものは変更されていません(出典:川崎市「洪水ハザードマップ」)。

マンションでは、浸水が長く続くほど、地下の機械室の排水や電気設備の復旧に時間がかかります。深さと時間の両方を確認してください。

内水:想定降雨は1時間153mm、排水先の水位が最高の状態を前提にしています

川崎市上下水道局の「高津区 内水ハザードマップ」は、関東地域で想定される最大規模の降雨(1時間153mm、総雨量160mm)を前提にしています。排水先の河川や海の水位を計画上の最高水位に置いているのも特徴です。浸水深は、10〜20cmが道路冠水相当、20〜50cmが床下浸水相当、50cm〜1.0mが大人の腰まで、1.0〜2.0mが1階の軒下まで、2.0m以上が1階の軒下以上、と色分けされています(出典:川崎市上下水道局「高津区 内水ハザードマップ(地図面)」)。

地図面には、多摩川、二ヶ領本川、二ヶ領用水、平瀬川、矢上川などの河川・水路や、ポンプ場、アンダーパスの記号が描かれています。1メッシュは25m×25mで、着色されていない区域でも、雨の降り方や排水施設の状況によっては浸水する可能性があると注記されています。ご自身の建物がどの色に入るか、近くに水路や低い道路がないかを、地図で確かめてください。高津区版は令和8年5月版で、掲載ページの更新日は2026年5月29日です(出典:川崎市上下水道局「内水ハザードマップで水害(内水氾濫)のリスクを知ろう」)。

令和元年東日本台風:排水樋管の周辺で何が起きたか

排水樋管は、堤防の内側の雨水を多摩川へ流すための施設です。川の水位が上がると、川側のゲートを閉めなければならず、雨水の出口がふさがれます。

高津区の宇奈根排水樋管には、ポンプがなく、自然に流れ出る方式(自然排水方式)でした。台風が接近した2019年10月12日には、15時ごろに多摩川が避難判断水位7.6mに到達し、翌13日22時30分には10.81mを記録しています。12日の19時22分には、高津区役所の危機管理担当へ道路冠水の連絡が入りました。住民説明会では、水路にふたのない区間がある点も話題になり、市は関係部署と連携してふたの設置を含む対策を検討すると説明しています(出典:上記の議事録)。

その後、市は排水樋管の対策を進めています。高津区内では、諏訪(諏訪2丁目)、二子(二子1丁目)、宇奈根の各排水樋管に、内水位計・外水位計・流速流向計・監視カメラを設置し、得られた情報をウェブサイトで公開しています(出典:川崎市上下水道局 報道発表資料(令和2年12月24日))。観測は進みましたが、対策が進んだことと、建物の浸水リスクがなくなったことは別の話です。建物側の備えが、被害の大きさを左右します。

土砂災害と液状化

高津区は、神奈川県による土砂災害警戒区域・特別警戒区域の基礎調査結果が2020年9月に公表され、幸・中原・宮前の各区とともに2021年5月25日に区域指定(公示)されました(出典:川崎市「土砂災害特別警戒区域内やその隣接地での開発行為等について」、令和7年8月6日更新)。防災指針は、高津区の課題として「土砂災害(特別)警戒区域に建物が多く立地している」ことを挙げ、急傾斜地崩壊防止工事などの対策を進める方針です。区域の具体的な範囲は、神奈川県の告示図書でご確認ください。

液状化については、防災指針が高津区の課題として「液状化の危険度が高いエリアに建物が立地している」と整理しており、方針はリスクの周知です。地盤の状況は、市の液状化危険度分布でご確認ください(出典:川崎市「液状化危険度分布について」)。

地域特性と漏水事故の関係:低地の水と、斜面地の水

ここからは私の現場経験です。ハザードマップは「水がどこに来るか」を示しますが、マンションの漏水は「水がどこから入るか」の問題です。

高津区には、多摩川沿いの低地に建つ中低層のマンションと、溝の口駅周辺の駅近の賃貸ビル、そして台地・丘陵の斜面に沿って建つマンションが混在しています。低地では、排水が間に合わないことによる地下・1階の浸水が心配です。斜面地では、擁壁の水抜き穴の詰まりや、敷地の高低差を伝って建物の外壁に当たる雨水が問題になります。どちらも、強い雨が短時間に降ると一気に表面化します。

雨そのものも増えています。気象庁の「日本の気候変動2025」によると、全国のアメダスで、1時間に50mm以上の雨の年間発生回数は、1976〜1985年の平均約226回から2015〜2024年の平均約334回へ、約1.5倍に増えました。80mm以上は約14回から約24回へ、約1.7倍です(出典:気象庁「日本の気候変動2025」、1,300地点換算)。屋上とバルコニーの排水に余力がある建物ほど、被害は小さくなります。

斜面地に面した外壁は、風を伴う雨が当たる面と、壁面を流れる雨水が集まる面が決まっています。「ひびは見当たらないのに室内が濡れる」というご相談の多くは、サッシ枠と外壁の取り合いや、シーリングの小さな切れが原因でした。これは私が現場で繰り返し見てきた実感で、公的な統計ではありません。

大規模修繕でチェックすべき漏水ポイント7つ

大規模修繕の前の劣化調査で、私がいつも見る7か所です。

部位 見るところ 高津区で特に気にする点
①屋上防水 膨れ・ひび割れ・端部の浮き 排水勾配と溜まり水。短時間の強い雨でオーバーフローしないか
②シーリング(目地の防水材) 肉やせ・切れ・剥離 風雨を受ける面。斜面側の壁面
③バルコニー排水 排水口の詰まり・床の勾配 豪雨時の溢れ。上階から下階への漏水
④ドレン(雨水の排水口) 落ち葉・砂の堆積、取付部の隙間 緑の多い斜面地周辺の落ち葉
⑤立上り(防水層の壁際) 端部の押さえ金物、防水層の切れ 金物の錆と防水層の浮き
⑥サッシまわり 枠まわりのシーリング、水切り 吹き込みの風雨を受ける面
⑦擁壁・敷地排水 水抜き穴の詰まり、ひび割れ、側溝の流れ 斜面地の建物。雨水が敷地内に集まって壁面に当たらないか

目安となる金額もお伝えします。防水の改修費は、工法や下地の状態で変わりますが、屋上・バルコニーで1㎡あたり5,000〜8,000円程度が一つの目安です(物件により大きく変動します。正式な金額は調査後の見積でご確認ください)。ドレンの清掃や部分補修は、被害が出る前なら比較的小さな費用で済みます。漏水が出て内装まで傷めてからでは、工事費に室内の復旧費が上乗せされます。

細かな劣化の見分け方は、明誠の漏水対応の専門ページにもまとめています。

漏水緊急対応でロープアクセスが強い理由

台風や豪雨のあと、「上の階から水が落ちてくる」「外壁のひびから雨が入る」という連絡をいただくことがあります。仮設足場を組む工事だと、手配から組み上げまで日数がかかります。高津区のように斜面地に建つ建物は、足場を組む地面そのものが傾斜していたり、道路が狭かったりして、足場の費用と工期が膨らみやすい傾向があります。

ロープアクセス工法は、足場を組まずに、メインロープとバックアップロープの2本に接続した作業員が壁面へ降り、2点以上の吊元を確保して作業します。原因の確認と応急処置に、足場の組立期間が要りません。ひび割れの確認、シーリングの打ち替え、仮止水といった作業を、短い日数で進められます。この工法の考え方と技術情報は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムに整理しています。

金額面でも差が出ます。一つの目安として、10階建て・外周80m・工期3か月のマンションの例では、足場費が約168万円かかる計算の物件で、ロープアクセスなら約59万円(差額約109万円)に収まる試算があります(あくまで一例です。実際は建物の形状や作業内容で変わります)。工期も、足場工法の約60%で終えられる場合があります。

安全面について。株式会社明誠はこれまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。明誠および全国のフランチャイズ加盟企業では、ロープアクセス工法での高所作業について、過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。IRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の技能訓練を受けた作業員が、二重の確保を前提に作業します。工法の詳細は明誠のロープアクセス工法のご紹介をご覧ください。足場とロープを部位ごとに組み合わせるハイブリッド工法もあり、低層部は足場、高層部はロープ、といった使い分けができます。工法比較の技術解説はロープアクセスドットコムの技術解説でも紹介しています。

防災上の共用部:位置と修繕優先度を決める

漏水の次に、電気と水の話です。国土交通省と経済産業省がまとめた「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン」(令和2年6月)は、令和元年東日本台風で川崎市内の高層マンションの電気設備が浸水した事例などを受けて作られたものです。ガイドラインでは、ハザードマップや過去の浸水実績から「どのくらいの深さ・時間の浸水に備えるか」を決め、そのうえで次のような対策を組み合わせるよう示しています(出典:国土交通省「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン」概要)。

  • 浸水リスクの低い場所への電気設備の設置(屋上や上階への移設など)
  • 建物の出入口、からぼり(地下の採光用の掘り込み)、換気口などの開口部の浸水対策(止水板・塀など)
  • 排水・貯留設備の逆流・溢水対策
  • 防水扉による防水区画の形成、電気設備の設置場所の嵩上げ

管理組合の優先順位に置き換えると、こうなります。

  1. 受変電設備(電気を建物に引き込む設備):エレベーターもポンプも、ここが水没すると動きません。地下にある場合は最優先で対策を検討します
  2. 給水ポンプ・受水槽:停電で止まると、高層階は断水します
  3. 非常用発電機と燃料:発電機自体が浸水しない位置にあるか、燃料の備蓄量は足りるかを確認します
  4. 出入口・からぼり・換気口・配管の貫通部:水が入る経路を切れ目なくふさぐ必要があります
  5. 地下駐車場・スロープ・ゴミ置場:内水の際に水が流れ込みやすい場所です

こうした設備まわりの防水(床・壁・貫通部の止水)や止水板の取付下地の補修は、大規模修繕の工事範囲に入れておけば、足場やロープの手配を共用でき、費用を抑えやすくなります。設備の移設そのものは大きな費用がかかるため、長期修繕計画の見直しとセットで検討するのが現実的です。ビルオーナーさまはビルオーナー向けの明誠のサービス、管理組合さまは管理組合向けの明誠のサービスをご覧ください。

自治体の防災補助・耐震助成(令和8年度)

高津区のマンションで使える可能性のある川崎市の制度です。年度で内容が変わりますので、令和8年度の公式情報を引いています。

川崎市マンション耐震改修等事業助成制度:昭和56年5月31日以前に建築確認を受けて着工された分譲マンションで、鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄骨造のものが対象です。地階を除く3階以上、専有住戸が6以上であることなどの条件があります。耐震診断・耐震設計は、費用(消費税を除く)と判定費用の合計の3分の2で、1住戸あたり5万円が上限です。耐震改修は、費用(消費税を除く)の3分の1で、1住戸あたり50万円が上限、費用は1㎡あたり51,700円が上限です。市のページでは「令和8年4月から補助額を拡充」とされています。受付期間はページに記載がなく、問合せ先は川崎市まちづくり局防災まちづくり推進課耐震化支援担当(電話044-200-3017)です(出典:川崎市「川崎市マンション耐震改修等事業助成制度」、2026年4月1日更新)。

制度の対象は昭和56年5月以前に着工した建物です。ご自身のマンションが対象か、まず建築確認の時期を確認してください。申請の前に着工すると対象外になる制度が多いため、事前に窓口へご相談ください。なお、電気設備の浸水対策や擁壁の補修そのものを対象とした川崎市のマンション向け補助は、本記事執筆時点の調査では確認できませんでした。

よくあるご質問

Q. 高津区のマンションは、どの水害の心配が大きいですか?

A. 立地で変わります。多摩川に近い低地は洪水と内水、斜面地に近い建物は土砂災害と敷地内の排水が気になります。洪水(多摩川・鶴見川)と内水のマップで、建物の位置と想定浸水深をご確認ください。

Q. 多摩川があふれなければ大丈夫ですか?

A. いいえ。令和元年東日本台風では、川の水位が上がって排水樋管のゲートを閉めざるを得ず、雨水の出口がふさがれた地区で浸水が起きました。内水ハザードマップもあわせてご覧ください。

Q. 地下に電気室があるマンションは、何から始めればよいですか?

A. まず想定浸水深と電気室の床の高さを比べてください。そのうえで、出入口・換気口・配管の貫通部に止水板や止水処理があるかを確認します。国土交通省・経済産業省のガイドラインが参考になります。

Q. 高津区に土砂災害警戒区域はありますか?

A. あります。2021年5月25日に神奈川県が指定しています。斜面地に近い建物は、擁壁の水抜き穴やひび割れ、敷地内排水も点検してください。具体的な範囲は県の告示図書で確認できます。

Q. 屋上防水の改修費はいくらくらいですか?

A. 工法や下地の状態で変わりますが、1㎡あたり5,000〜8,000円程度が目安です。物件ごとに大きく変動しますので、無料で概算をお出しできます。

Q. 斜面地で足場が組みにくい建物の外壁から漏水しています。足場なしで直せますか?

A. 直せる場合が多いです。ロープアクセス工法なら、屋上から壁面へ直接降りて、調査からシーリングの打ち替えまで進められます。低層部は足場、高層部はロープというハイブリッド工法も選べます。

Q. 施工事例は見られますか?

A. 明誠の施工事例からご覧いただけます。

まとめ:今週動くこと3点

最後に、今週中に理事会や管理会社へ出していただきたいことを3点にまとめます。

  1. 高津区の洪水(多摩川・鶴見川)と内水のハザードマップで、建物の位置と想定浸水深を調べ、管理組合内で共有する
  2. 斜面地に近い建物は、擁壁の水抜き穴・ひび割れ・敷地排水の写真を管理会社に依頼する。電気室・給水ポンプがある場合は、位置と床の高さを図面で確認する
  3. 屋上ドレン・バルコニー排水・サッシまわりのシーリングを目視で確認する

漏水も浸水も、起きてから直すより、起きる前に出口と入口を整えるほうが、はるかに安く済みます。ご相談だけでも遠慮なくお問い合わせフォームからお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。

本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月11日時点で公表されている川崎市、神奈川県、国土交通省、気象庁の公式情報をもとに執筆しています。制度や対策の計画は年度途中でも改正・見直しがあり得ます。実際に申請される前に、川崎市および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。

出典・参考資料

この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年10月11日


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ロープアクセス工法の詳細や実例については、姉妹サイト「ロープアクセスドットコム」の以下の記事もぜひご覧ください。

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川崎市中原区のマンション漏水・防災対策|多摩川の内水氾濫・排水樋管・地下電気室の教訓から考える大規模修繕の優先順位【2026年度版】

2026年10月11日 更新

川崎市中原区のマンションで修繕のご相談を受けると、私は最初に「電気室はどこにありますか」とお聞きします。2019年10月の令和元年東日本台風で、武蔵小杉駅周辺は内水氾濫に見舞われ、地上47階・地下3階の高層マンションでは地下3階が浸水しました。高圧受変電設備が故障し、停電でエレベーターと給水設備が長時間使えなくなっています(出典:国土交通省「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン」概要)。中原区で漏水と防災を考えるとき、この出来事を外すことはできません。

私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。拠点は東京都東大和市ですが、神奈川県内のマンションの大規模修繕も手がけています。20年以上、マンション・ビル・ホテルの外壁と向き合ってきました。仮設足場を組む工事も、メインロープとバックアップロープの2本に接続して壁面に降りる無足場の工事も、どちらも現場でやってきた人間です。

今日は、川崎市・国土交通省・気象庁の公式情報をもとに、中原区の分譲・賃貸マンション、そしてオーナーさまのビルが、大規模修繕で先に手を打つべき場所を整理します。


結論:中原区で優先すべきは「内水の想定確認」「地下・1階設備の浸水対策」「屋上とバルコニーの排水」です

先に結論を申し上げます。中原区のマンションでは、次の3つから動くことをお勧めします。

  1. 中原区の洪水・内水ハザードマップで、建物の位置と想定浸水深を確認する:多摩川があふれなくても、下水道や排水樋管まわりから水があふれる「内水」で浸水することがあります
  2. 受変電設備・給水ポンプ・非常用発電機の位置を図面で調べ、想定浸水深との高さの関係を書き出す:地下に電気室がある建物は、止水板・防水扉・貫通部の止水まで含めて点検します
  3. 屋上ドレン・バルコニー排水・サッシまわりのシーリングを点検し、防水の改修時期を記録で確認する:強い雨でまず出るのは、排水が追いつかないことによる漏水です

順に見ていきます。

中原区のハザードマップを1枚で読む(洪水/内水/高潮/土砂/液状化)

川崎市の立地適正化計画「防災指針」では、中原区の水害リスクとして、洪水(計画規模・想定最大規模)、高潮、内水、氾濫流、河岸浸食が整理されています。課題としては「垂直避難が困難な建物が多く立地」していることが挙げられ、方針として2階以上の建物への水平避難や、浸水被害の軽減を図る下水道施設の整備などが示されています(出典:川崎市「立地適正化計画 防災指針」第6章)。

種類 中原区の状況 マンションで見るべき点
洪水 多摩川版・鶴見川版の地図面あり 想定浸水深と浸水が続く時間
内水 中原区版あり(1時間153mmの雨を想定) 下水道・水路があふれる低い場所、地下階
高潮 市の高潮ハザードマップに幸区・中原区版あり 低地の建物の1階・地下
土砂災害 警戒区域・特別警戒区域の指定あり(令和3年5月25日公示) 斜面に近い建物の擁壁・排水
液状化 市の液状化危険度分布で確認 多摩川沿いの氾濫原・旧河道の地盤

洪水:多摩川と鶴見川、それぞれの地図面を確認します

中原区の洪水ハザードマップは、多摩川版と鶴見川版があり、それぞれに「浸水深」と「浸水継続時間」の地図面があります(出典:川崎市「洪水ハザードマップ」)。浸水継続時間とは、浸水深が0.5mを超えてから下回るまでの時間です。マンションでは、浸水が長く続くほど地下の機械室の排水や電気設備の復旧に時間がかかります。深さと時間の両方を見てください。

内水:想定降雨は1時間153mm、河川の水位が高い状態を前提にしています

川崎市上下水道局の「中原区 内水ハザードマップ」は、関東地域で想定される最大規模の降雨(1時間153mm、総雨量160mm)を前提にしています。最大クラスの浸水を想定するため、排水先の河川や海の水位を計画上の最高水位に設定しているのが特徴です(出典:川崎市上下水道局「中原区 内水ハザードマップ(地図面)」)。浸水深は、10〜20cmが道路冠水相当、20〜50cmが床下浸水相当、50cm〜1.0mが大人の腰まで、1.0〜2.0mが1階の軒下まで、2.0m以上が1階の軒下以上、と色分けされています。

中原区版の地図には、多摩川のほか、二ヶ領用水、渋川、江川、矢上川といった水路・河川と、丸子・等々力などのポンプ場、アンダーパスの位置も描かれています。ご自身の建物がどの色に入るか、近くにアンダーパスや低い道路がないかを、地図の着色範囲で確かめてください。内水ハザードマップの掲載ページは2026年5月29日に更新されています(出典:川崎市上下水道局「内水ハザードマップで水害(内水氾濫)のリスクを知ろう」)。

排水樋管まわりの浸水:令和元年東日本台風で何が起きたか

中原区の内水を語るうえで欠かせないのが「排水樋管」です。排水樋管は、堤防の内側の雨水を多摩川へ流すための施設で、川側の出口にゲートがあります。川崎市上下水道局の資料によると、令和元年東日本台風では、多摩川流域で過去最大の雨量が記録され、田園調布(上)水位観測所などで計画高水位を超える過去最高の水位となりました。雨水を多摩川へ自然に流す排水樋管の周辺では、川の水位の影響で、逆流した河川水と、流れにくくなった内水があふれて浸水被害が出ています(出典:川崎市上下水道局「排水樋管周辺地域における今後の浸水対策の取組について(山王排水樋管周辺地域)」)。中原区内では、山王排水樋管と宮内排水樋管がこの資料に登場します。

市はその後、次の対策を進めています(同資料より)。

  • 短期対策(令和2年7月までに完了):排水樋管ゲートの改良、観測機器の設置と操作手順の見直し、遠方制御化、排水ポンプ車の導入
  • 当面の対策(令和5年8月に完了):上丸子山王町2丁目地区の雨水を別の幹線へ流すバイパス管と、逆流防止弁の整備
  • 中期計画(2026〜2029):丸子地区は令和8年度から事業計画の立案に着手し、令和10年度の工事着手、令和18年度の供用開始を目指すとされています。完成すれば、多摩川の水位が高いときでも10年確率降雨(時間雨量58mm)に対応し、水位が低いときは時間92mmの雨でも床上浸水を防ぐ計画です(計画の見直しで変わる可能性があると明記されています)

つまり、対策は進んでいますが、本格的な施設の完成はまだ先です。それまでの間は、建物側の備えが被害の大きさを左右します。

高潮・土砂災害・液状化

高潮は、神奈川県の「想定し得る最大規模の高潮」を前提に、川崎市が高潮ハザードマップを作っており、川崎区版と幸区・中原区版があります(出典:川崎市「川崎市高潮ハザードマップについて」)。中原区は海に面していませんが、市の防災指針でも高潮が中原区の水害リスクに含まれていますので、建物の位置が着色範囲に入るかを地図面で確認しておくと安心です。

土砂災害は、中原区でも神奈川県により土砂災害警戒区域・特別警戒区域が指定されています。幸・中原・高津・宮前の4区は、2020年9月に基礎調査結果が公表され、2021年5月25日に区域指定(公示)されました(出典:川崎市「土砂災害特別警戒区域内やその隣接地での開発行為等について」、令和7年8月6日更新)。防災指針でも、中原区の課題として「土砂災害(特別)警戒区域に建物が立地」と書かれています。区のほとんどは低地ですが、斜面に近い敷地では、擁壁や敷地内の排水も点検の対象に加えてください。区域の具体的な範囲は、神奈川県の告示図書でご確認いただけます。

液状化については、防災指針で中原区の地震の課題として「危険度の高いエリアに建物が多く立地」と挙げられ、方針は液状化リスクの周知です(出典:同防災指針)。地盤の状況は、市の液状化危険度分布でご確認ください(出典:川崎市「液状化危険度分布について」)。

地域特性と漏水事故の関係:高層化した駅前と、昔からの低地の住宅地

ここからは私の現場経験です。ハザードマップは「水がどこに来るか」を示しますが、マンションの漏水は「水がどこから入るか」の問題です。

中原区には、武蔵小杉駅周辺の高層マンション群と、多摩川沿い・元住吉・新城あたりに広がる、築年数を重ねた中低層のマンションや賃貸ビルが混在しています。前者で怖いのは、地下の設備室への浸水です。後者で多いのは、屋上やバルコニーの排水不良、外壁のひび割れ、シーリングの切れから入る雨水です。どちらも、強い雨が短時間に降ると一気に表面化します。

雨そのものも増えています。気象庁の「日本の気候変動2025」によると、全国のアメダスで、1時間に50mm以上の雨の年間発生回数は、1976〜1985年の平均約226回から2015〜2024年の平均約334回へ、約1.5倍に増えました。80mm以上は約14回から約24回へ、約1.7倍です(出典:気象庁「日本の気候変動2025」、1,300地点換算)。排水樋管まわりの対策目標である時間58mmを超える雨は、もう珍しくありません。屋上とバルコニーの排水に余力がある建物ほど、被害は小さくなります。

高層マンションでは、風を伴う雨が外壁を下から上へ吹き上げることがあり、サッシの水切りやシーリングのわずかな切れから水が回ります。「外壁にひびは見当たらないのに室内が濡れる」というご相談の多くは、サッシ枠と外壁の取り合いが原因でした。これは私が現場で繰り返し見てきた実感で、公的な統計ではありません。

大規模修繕でチェックすべき漏水ポイント7つ

大規模修繕の前の劣化調査で、私がいつも見る7か所です。

部位 見るところ 中原区で特に気にする点
①屋上防水 膨れ・ひび割れ・端部の浮き 排水勾配と溜まり水。短時間の強い雨でオーバーフローしないか
②シーリング(目地の防水材) 肉やせ・切れ・剥離 高層部の吹き上げ雨を受ける面
③バルコニー排水 排水口の詰まり・床の勾配 豪雨時の溢れ。上階から下階への漏水
④ドレン(雨水の排水口) 落ち葉・砂の堆積、取付部の隙間 多摩川沿いの街路樹・公園からの落ち葉
⑤立上り(防水層の壁際) 端部の押さえ金物、防水層の切れ 金物の錆と防水層の浮き
⑥サッシまわり 枠まわりのシーリング、水切り 吹き込みの風雨を受ける面
⑦エキスパンションジョイント 伸縮目地のカバー、止水材 棟と棟、低層部と高層部のつなぎ目。地震後の動き

目安となる金額もお伝えします。防水の改修費は、工法や下地の状態で変わりますが、屋上・バルコニーで1㎡あたり5,000〜8,000円程度が一つの目安です(物件により大きく変動します。正式な金額は調査後の見積でご確認ください)。ドレンの清掃や部分補修は、被害が出る前なら比較的小さな費用で済みます。漏水が出て内装まで傷めてからでは、工事費に室内の復旧費が上乗せされます。

細かな劣化の見分け方は、明誠の漏水対応の専門ページにもまとめています。

漏水緊急対応でロープアクセスが強い理由

台風や豪雨のあと、「上の階から水が落ちてくる」「外壁のひびから雨が入る」という連絡をいただくことがあります。仮設足場を組む工事だと、手配から組み上げまで日数がかかります。武蔵小杉のような高層建物では、足場そのものが現実的でない高さもありますし、駅前の敷地は歩行者の動線と近く、足場を組める範囲も限られます。

ロープアクセス工法は、足場を組まずに、メインロープとバックアップロープの2本に接続した作業員が壁面へ降り、2点以上の吊元を確保して作業します。原因の確認と応急処置に、足場の組立期間が要りません。ひび割れの確認、シーリングの打ち替え、仮止水といった作業を、短い日数で進められます。この工法の考え方と技術情報は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムに整理しています。

金額面でも差が出ます。一つの目安として、10階建て・外周80m・工期3か月のマンションの例では、足場費が約168万円かかる計算の物件で、ロープアクセスなら約59万円(差額約109万円)に収まる試算があります(あくまで一例です。実際は建物の形状や作業内容で変わります)。工期も、足場工法の約60%で終えられる場合があります。

安全面について。株式会社明誠はこれまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。明誠および全国のフランチャイズ加盟企業では、ロープアクセス工法での高所作業について、過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。IRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の技能訓練を受けた作業員が、二重の確保を前提に作業します。工法の詳細は明誠のロープアクセス工法のご紹介をご覧ください。足場とロープを部位ごとに組み合わせるハイブリッド工法もあり、低層部は足場、高層部はロープ、といった使い分けができます。工法比較の技術解説はロープアクセスドットコムの技術解説でも紹介しています。

防災上の共用部:位置と修繕優先度を決める

漏水の次に、電気と水の話です。国土交通省と経済産業省がまとめた「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン」(令和2年6月)は、まさに武蔵小杉の被害を受けて作られたものです。ガイドラインでは、ハザードマップや過去の浸水実績から「どのくらいの深さ・時間の浸水に備えるか」を決め、そのうえで次のような対策を組み合わせるよう示しています(出典:国土交通省「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン」概要)。

  • 浸水リスクの低い場所への電気設備の設置(屋上や上階への移設など)
  • 建物の出入口、からぼり(地下の採光用の掘り込み)、換気口などの開口部の浸水対策(止水板・塀など)
  • 排水・貯留設備の逆流・溢水対策
  • 防水扉による防水区画の形成、電気設備の設置場所の嵩上げ

管理組合の優先順位に置き換えると、こうなります。

  1. 受変電設備(電気を建物に引き込む設備):エレベーターもポンプも、ここが水没すると動きません。地下にある場合は最優先で対策を検討します
  2. 給水ポンプ・受水槽:停電で止まると、高層階は断水します
  3. 非常用発電機と燃料:発電機自体が浸水しない位置にあるか、燃料の備蓄量は足りるかを確認します
  4. 出入口・からぼり・換気口・配管の貫通部:水が入る経路を切れ目なくふさぐ必要があります。地下の排水槽から配管経由で水が逆流した例もガイドラインに記されています
  5. 地下駐車場・スロープ・ゴミ置場:内水の際に水が流れ込みやすい場所です

こうした設備まわりの防水(床・壁・貫通部の止水)や止水板の取付下地の補修は、大規模修繕の工事範囲に入れておけば、足場やロープの手配を共用でき、費用を抑えやすくなります。設備の移設そのものは大きな費用がかかるため、長期修繕計画の見直しとセットで検討するのが現実的です。ビルオーナーさまはビルオーナー向けの明誠のサービス、管理組合さまは管理組合向けの明誠のサービスをご覧ください。

自治体の防災補助・耐震助成(令和8年度)

中原区のマンションで使える可能性のある川崎市の制度です。年度で内容が変わりますので、令和8年度の公式情報を引いています。

川崎市マンション耐震改修等事業助成制度:昭和56年5月31日以前に建築確認を受けて着工された分譲マンションで、鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄骨造のものが対象です。地階を除く3階以上、専有住戸が6以上であることなどの条件があります。耐震診断・耐震設計は、費用(消費税を除く)と判定費用の合計の3分の2で、1住戸あたり5万円が上限です。耐震改修は、費用(消費税を除く)の3分の1で、1住戸あたり50万円が上限、費用は1㎡あたり51,700円が上限です。市のページでは「令和8年4月から補助額を拡充」とされています。受付期間はページに記載がなく、問合せ先は川崎市まちづくり局防災まちづくり推進課耐震化支援担当(電話044-200-3017)です(出典:川崎市「川崎市マンション耐震改修等事業助成制度」、2026年4月1日更新)。

制度の対象は昭和56年5月以前に着工した建物です。ご自身のマンションが対象か、まず建築確認の時期を確認してください。申請の前に着工すると対象外になる制度が多いため、事前に窓口へご相談ください。なお、電気設備の浸水対策そのものを対象とした川崎市のマンション向け補助は、本記事執筆時点の調査では確認できませんでした。

よくあるご質問

Q. 中原区のマンションは、どの水害の心配が大きいですか?

A. 立地で変わります。多摩川に近い建物は洪水、排水樋管の周辺や低い土地は内水が気になります。防災指針では高潮も中原区の想定に含まれています。洪水(多摩川・鶴見川)と内水のマップで、建物の位置と想定浸水深をご確認ください。

Q. 多摩川があふれなければ大丈夫ですか?

A. いいえ。令和元年東日本台風では、多摩川の堤防からあふれなくても、排水樋管の周辺で逆流した河川水と内水があふれ、浸水被害が出ました。内水ハザードマップもあわせてご覧ください。

Q. 地下に電気室があるマンションは、何から始めればよいですか?

A. まず想定浸水深と電気室の床の高さを比べてください。そのうえで、出入口・換気口・配管の貫通部に止水板や止水処理があるかを確認します。国土交通省・経済産業省のガイドラインが参考になります。

Q. 中原区に土砂災害警戒区域はありますか?

A. あります。2021年5月25日に神奈川県が指定しています。区の大半は低地ですが、斜面に近い敷地では擁壁や敷地内排水も点検してください。

Q. 屋上防水の改修費はいくらくらいですか?

A. 工法や下地の状態で変わりますが、1㎡あたり5,000〜8,000円程度が目安です。物件ごとに大きく変動しますので、無料で概算をお出しできます。

Q. 高層マンションの外壁から漏水しています。足場なしで直せますか?

A. できます。ロープアクセス工法なら、屋上から壁面へ直接降りて、調査からシーリングの打ち替えまで進められます。低層部は足場、高層部はロープというハイブリッド工法も選べます。

Q. 施工事例は見られますか?

A. 明誠の施工事例からご覧いただけます。

まとめ:今週動くこと3点

最後に、今週中に理事会や管理会社へ出していただきたいことを3点にまとめます。

  1. 中原区の洪水(多摩川・鶴見川)と内水のハザードマップで、建物の位置と想定浸水深を調べ、管理組合内で共有する
  2. 受変電設備・給水ポンプ・非常用発電機の位置と床の高さを図面で確認し、止水板や防水扉の有無を書き出す
  3. 屋上ドレン・バルコニー排水・サッシまわりのシーリングを目視で確認する(管理会社に写真を依頼)

漏水も浸水も、起きてから直すより、起きる前に出口と入口を整えるほうが、はるかに安く済みます。ご相談だけでも遠慮なくお問い合わせフォームからお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。

本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月11日時点で公表されている川崎市、国土交通省、気象庁の公式情報をもとに執筆しています。制度や対策の計画は年度途中でも改正・見直しがあり得ます。実際に申請される前に、川崎市および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。

出典・参考資料

この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年10月11日


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横浜市戸塚区の管理組合が使える無料・低コストの相談窓口14選|区役所の法律相談(毎週金曜・無料)から市のアドバイザー派遣(初回無料)まで【令和8年度版】

2026年10月11日 更新

横浜市戸塚区のマンションの理事長さまから、こんなご相談をいただくことがあります。

「大規模修繕の時期が近いが、誰に何を聞けばいいのかわからない。専門家への相談料を、修繕積立金から出すのは気が引ける」

私は、こうしたお話を聞くたびに、相談先を知らないだけで遠回りをしている管理組合が多いと感じます。戸塚駅周辺、東戸塚駅周辺、そして住宅地のなかの中低層マンションと、戸塚区は築年数も規模も違う建物が並びます。そのぶん、管理組合が抱える疑問も一つではありません。

戸塚区役所では、弁護士による法律相談が、第2火曜日と毎週金曜日に開かれています。区のページには、費用は「無料」と書かれています。横浜市には、マンション管理士や建築士が管理組合へ訪問する「マンション・アドバイザー派遣」があり、令和8年度は初回が無料です(令和7年度以前に利用実績がない場合)。国の窓口である日管連の相談ダイヤルは、何度でも無料です。

申し遅れました。私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。東京都東大和市を拠点に、20年近くマンション・ビル・ホテルの外壁の仕事をしてきました。工事の話に入る前に、いま戸塚区の管理組合が使える「お金をかけずに(または少額で)聞ける相談先」を整理してお伝えします。


結論:戸塚区で使える窓口は14、費用が無料と明記されているのは6つ

先に一覧でお示しします。公式ページに「無料」と書かれているものと、費用の記載が見つからなかったものを分けています。

# 制度・窓口 誰が対応するか 費用 申込先
1 戸塚区役所 法律相談(第2火曜・毎週金曜) 弁護士 無料(区のページに明記) 区政推進課広報相談係 045-866-8321
2 戸塚区役所 行政書士相談(第3水曜の午前) 行政書士 無料(区のページに明記) 同上
3 戸塚区役所 公証相談(第3火曜) 公証人 要確認(一覧ページに費用の記載なし) 同上
4 戸塚区役所 行政相談(第1水曜) 行政相談委員 要確認(費用の記載なし) 同上
5 横浜市役所 市民相談室(法律・夜間法律・司法書士・宅建ほか) 弁護士・司法書士ほか 要確認(市の案内ページに料金の記載なし) 市民相談室 045-671-2306
6 マンション・アドバイザー派遣 マンション管理士・建築士ほか 初回無料(要件あり)、2回目以降は1回12,650円(税込) 横浜市住宅供給公社(支援事務局)
7 顧問導入支援(令和8年度開始) アドバイザー派遣の登録専門家 月額25,300円(市が半額負担)。有料 同上の支援事務局
8 横浜市マンション管理組合サポートセンター(各区交流会) 管理組合・マンション管理士等 要確認(費用の記載なし) 事務局 045-663-5459
9 神奈川県マンション管理組合交流会(令和8年11月) マンション管理の専門家 無料 神奈川県マンション管理士会 045-662-5471
10 管理計画認定制度 相談ダイヤル(日管連) マンション管理士 無料(何回でも) 03-5801-0858
11 マンション管理センター 電話相談 専門相談員 要確認(費用の記載なし) 03-3222-1517/1519
12 住まいるダイヤル(住宅専門の相談窓口) 国土交通大臣指定の相談窓口 要確認(相談料の記載なし) 市の案内ページから確認
13 横浜市消費生活総合センター 消費生活相談員 要確認(費用の記載なし) 045-845-6666
14 法テラス 無料法律相談 弁護士等 無料(収入・資産の基準あり) 0570-078374

「無料と明記」の6つは、戸塚区の法律相談(1)と行政書士相談(2)、アドバイザー派遣の初回(6)、県の交流会(9)、日管連のダイヤル(10)、法テラス(14)です。法テラスは基準を満たす方が対象で、アドバイザー派遣の初回無料にも要件があります。

正直にお伝えします。私が令和8年10月11日時点で公式ページを確認した範囲では、「費用がかかるかどうか」の記載がない窓口が6つありました。電話で申し込むときに「相談料はかかりますか」とひと言確認するだけで、あとから戸惑わずに済みます。

もう一つ、大事な点があります。神奈川県の「マンションアドバイザー派遣事業」は、横浜市の管理組合は対象外です。県のページに「横浜市・川崎市・相模原市・横須賀市を除く」と書かれています(出典:神奈川県「マンションアドバイザー派遣事業」、令和8年6月26日更新)。戸塚区の管理組合は、県ではなく市の制度を使う形になります。


戸塚区役所の特別相談:法律相談と行政書士相談は無料、公証・行政相談は費用の記載なし

戸塚区役所の特別相談は、次のとおりです(出典:横浜市戸塚区「特別相談」の案内ページ、令和8年4月28日更新)。会場は、いずれも戸塚区役所9階の特別相談室です。

相談 日程 時間・枠 予約
法律相談(弁護士) 第2火曜日と毎週金曜日(祝日・年末年始を除く) 13:00〜16:00、1件25分 事前予約制。相談は年度に1回まで
行政書士相談 毎月第3水曜日 9:00〜12:00、1件25分 事前予約(予約は9:50から)。当日先着の枠(9:00・9:25開始)は予約不要
公証相談(公証人) 毎月第3火曜日 13:00〜15:00、1件20分 前営業日の15時までに予約
行政相談(行政相談委員) 毎月第1水曜日 13:00〜16:00 前営業日の15時までに予約

予約先は、戸塚区総務部区政推進課の広報相談係(電話045-866-8321、平日8:45〜17:00)か、区役所9階の窓口です。法律相談は、前営業日の17時までに連絡すればキャンセルできます。当日キャンセルや無断キャンセルをすると、同じ年度のうちは予約を断られると書かれています。希望者が多く、状況によっては約1か月待つこともあるそうです(出典:横浜市戸塚区「法律相談」、令和8年3月27日更新)。

今月と来月の日程を、曜日で確認しておきます。

  • 法律相談:10月は13日(火・第2火曜)、16日(金)、23日(金)、30日(金)。11月は6日(金)、10日(火・第2火曜)、13日(金)、20日(金)、27日(金)
  • 行政書士相談:10月21日(水)、11月18日(水)
  • 公証相談:10月20日(火)、11月17日(火)
  • 行政相談:10月の第1水曜(7日)は過ぎました。次は11月4日(水)です

ここで、私が現場で感じていることをお伝えします。管理費の滞納、理事会の議事の進め方、規約の読み方といった「工事の前段階」の疑問は、この法律相談で整理できることが多いと見ています。ただし、相談は年度に1回、1件25分です。聞きたいことを3つに絞って臨むのがおすすめです。

また、区のページは、相続、離婚、借地・借家などの相談が受けられるとしていますが、管理組合としての利用が可能かどうかは、公式ページでは確認できませんでした。契約書の作成や鑑定などの実務、事件の解決や仕事の依頼は受けられません。予約の際に「マンションの管理組合の理事として相談したい」と伝えてください。

行政書士相談は、官公署への提出書類、遺言書、遺産分割協議書、各種契約書の作成などに関する相談が対象で、無料と書かれています。ただし、交渉で法的紛争の解決が避けられない案件は対象外です(出典:横浜市戸塚区「行政書士相談」、令和8年4月28日更新)。

戸塚区の相談ページには、司法書士・税務・不動産の相談は掲載されていません。これらは、次の市役所の市民相談室が窓口になります。


横浜市役所の市民相談室:登記・不動産・夜間の法律相談

市役所の市民相談室(電話045-671-2306)では、次の相談が開かれています(出典:横浜市「市民相談室」、令和8年10月9日更新)。

  • 司法書士相談:月〜水曜 13:00〜16:00、対面、25分以内。債務整理(140万円以下)、相続・不動産登記、成年後見など。年度内一人1回以内
  • 宅地建物相談:月曜 10:00〜12:00/13:00〜16:00、35分以内。不動産の売買・賃貸借契約など。令和8年8月から、電話か対面を選べます
  • 夜間法律相談:毎月第2・4水曜、電話かオンライン(選択制)。予約はその月の最初の開庁日から
  • 予約:日中の枠は、1週間前の同じ曜日の8時45分から、電話か窓口で受付。FAXとメールでの予約は行っていません

専門相談の対象は横浜市民で、在勤・在学の方は利用できません。戸塚区のマンションにお住まいの区分所有者であれば、利用の道が開かれています。ただし、ページに料金の記載はなく、無料かどうかは確認できませんでした。


市のマンション・アドバイザー派遣:初回無料(要件あり)

私が最も使いやすいと感じるのが、横浜市のこの制度です。マンション管理士や建築士などの登録専門家が、管理組合の会合に訪問して相談に応じます。管理運営・規約、修繕積立金、長期修繕計画や大規模修繕、管理計画認定制度、共用部の省エネ改修まで、相談できる範囲は広いです(出典:横浜市「マンション・アドバイザー派遣」、令和8年4月13日更新)。

項目 内容
対象 分譲マンションの管理組合(有志や個人名での申込みは不可)。マンション登録制度への登録が要件
時間 1回につき3時間以内
回数 原則通算6回まで(令和8年度以降)。6回に達した後は年度あたり1回
費用 初回無料(令和7年度以前に利用実績がない場合)。2回目以降は1回あたり税込12,650円(令和8年度)
申込先 横浜市住宅供給公社 街づくり事業課(マンション・アドバイザー派遣支援事務局)。Eメール mansion-adviser@yokohama-kousya.or.jp(件名に【マンション名】)、FAX 045-451-7789
対象外 居住者間や周辺住民との紛争解決・権利調整

ご注意いただきたいのは、同じページの別の箇所に、2回目以降の費用が「12,572円(令和7年度の金額)」と書かれている点です。令和8年度の金額は12,650円と読めますが、申込みの際に事務局で確認してください。

建築士の派遣については、市の独自制度としては、このアドバイザー派遣の枠組みの中で対応する形です。「建築士だけを無料で派遣する」制度は、私が確認した範囲では見つかりませんでした。

さらに令和8年度から、アドバイザー派遣を通算6回利用した管理組合を対象にした「顧問導入支援」が始まっています。6か月間、月額25,300円(通常50,600円の半額を市が負担)で、月1回(60分以内)の定期相談、メール相談(月3件まで)、理事会への参加(2回まで)、終了時の簡易レポートが付きます。予算に上限があり、先着順です。長期修繕計画の改定や工事仕様書の作成、入札支援は対象外です。無料ではありませんが、外部のコンサルタントを入れる前の選択肢として知っておく価値があります。

ここで、現場にいる私の立場から一つお伝えします。アドバイザー派遣は、施工会社の営業とは別の第三者の意見が聞ける点が最大の価値です。見積書が出てから慌てて呼ぶより、見積依頼の前に呼ぶほうが、仕様のぶれが小さくなります。戸塚区のように、築年数の異なる棟が混在する地域では、同じ区内でも「うちの棟はいつ何を直すか」が管理組合ごとに違います。第三者に一度整理してもらう価値は大きいと感じます。


管理組合のつながり:市のサポートセンターと県の交流会

横浜市マンション管理組合サポートセンター

NPO等のマンション関係団体と横浜市が協働し、マンション管理士等の専門家を交えた交流会やセミナーを開いています。対象は横浜市内の分譲マンションの管理組合の方です(出典:横浜市「マンション管理組合サポートセンター」、令和8年4月3日更新)。

  • 各区の交流会:毎月1回、全区で実施。月によってオンラインの区もあります。日程は、チラシの裏面か事務局のホームページで確認します
  • リモート交流会(Zoom):毎月第3日曜日の19:00〜20:30
  • 問合せ:サポートセンター事務局 045-663-5459

ページには戸塚区の日程や会場、参加費用の記載がありません。同じページに、4月5日の交流会が中止になったとの案内もありました。直前の変更もあり得ますので、参加前にお電話での確認をおすすめします。

神奈川県マンション管理組合交流会(令和8年度)

神奈川県内のマンション管理組合の役員を対象に、専門家の講義と意見交換を行う交流会です。費用は無料で、11月に4会場で開かれます(出典:神奈川県「マンション管理組合交流会」、令和8年9月3日更新)。

  • 11月7日(土)箱根町役場:マンションの適正管理
  • 11月14日(土)ユニコムプラザさがみはら:区分所有法、標準管理規約改正
  • 11月22日(日)茅ヶ崎市民文化会館:修繕(長期修繕計画を含む)
  • 11月28日(土)葉山マリーナ:区分所有法、標準管理規約改正

いずれも14:00〜16:00の予定で、会場ごとのGoogleフォームから申し込みます。修繕をテーマにした11月22日の茅ヶ崎会場は、戸塚区から電車で通える範囲です。問合せは神奈川県マンション管理士会事務局(045-662-5471、平日10〜17時)です。


管理計画認定制度:認定の相談は無料、申請には費用がかかる

認定を受けるかどうかの相談は、日管連の相談ダイヤルで無料です。03-5801-0858、月〜土曜(祝日を除く)の10:00〜17:00、何回でも相談でき、1回あたり30分程度までです(出典:日本マンション管理士会連合会「管理計画認定制度 相談ダイヤル」)。

一方、実際に認定を受けるには費用がかかります。横浜市のページには、次のように書かれています(出典:横浜市「管理計画認定制度」、令和7年12月8日更新)。

  • 市の申請手数料:3,900円に郵送料を加算。長期修繕計画が複数ある場合は、1計画につき1,700円を追加
  • 手続きシステムの利用料:10,000円
  • 事前確認(適合確認)の手数料:依頼する専門家によって異なり、金額はページに示されていません
  • 申請方法:マンション管理センターの手続きシステムから。問合せは建築局住宅部住宅再生課 045-671-2954

このページの更新は令和7年12月で、令和8年度の変更点の記載はありません。申請前に、住宅再生課へ最新の金額を確認してください。認定には5年の有効期間があり、認定を受けるとフラット35の金利引下げなどの優遇が受けられます(出典:国土交通省「マンション管理計画認定制度」)。


国の電話相談と、契約トラブル・法律扶助の窓口

マンション管理センターの電話相談

(公財)マンション管理センターの電話相談は、平日9:30〜17:00(祝日・年末年始を除く)、1回あたり15分前後が目安です。管理組合の運営・規約は03-3222-1517、建物・設備の維持管理は03-3222-1519です。ページに費用の記載はありません(出典:マンション管理センター「電話相談」)。

住まいるダイヤル

国土交通大臣が指定した住宅専門の相談窓口で、横浜市のマンション管理の相談窓口一覧にも載っています。電話番号と相談料は、市の一覧では確認できませんでした。お問い合わせの前に、住まいるダイヤルの公式ページで確認してください(出典:横浜市「マンション管理に関する相談窓口」、令和8年4月8日更新)。

横浜市消費生活総合センター

契約トラブルの相談は、横浜市消費生活総合センターの相談専用ダイヤル045-845-6666が窓口です。平日は9時から18時、土日は9時から16時45分に受け付けています(祝日・年末年始を除く)。訪問販売や工事契約のトラブルの相談先として、覚えておいてください。費用は、掲載ページでは確認できませんでした(出典:横浜市保土ケ谷区「消費生活」のページ、令和7年12月12日更新)。

法テラス

法テラスの無料法律相談は、収入と資産の基準を満たす方が対象です。たとえば家族が1人の場合、収入は月182,000円以下(東京23区などは200,200円以下)で、資産は180万円以下が基準です。サポートダイヤルは0570-078374(平日9〜21時、土曜9〜17時)です(出典:法テラス「無料法律相談のご利用の流れ」)。管理組合という法人格のない団体の場合に基準がどう適用されるかは、法テラスに直接確認が必要です。


相談の後に来る「工法の選び方」も、先に知っておいてください

無料の相談で整理した後、実際の工事の計画に進むとき、工法の選択が総額を大きく変えます。私どもは、通常の足場工法、ロープアクセス工法、両方を組み合わせるハイブリッド工法の3つから、建物に合う方法をご提案しています。

目安として、10階建て・外周80m・工期3か月のマンションで、仮設足場に約168万円かかる場面で、ロープアクセスなら約59万円という比較例があります(建物の形状や条件で大きく変わります。あくまで参考値です)。外壁の打診調査の単価は、一般に1㎡あたり250〜500円程度が目安です。

ロープアクセス工法は、メインロープとバックアップロープの2本に接続し、2点以上の吊元を確保して作業します。明誠と全国のフランチャイズ加盟企業では、過去16年間、墜落による労働災害はゼロです。株式会社明誠はこれまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。詳しい工法の仕組みは明誠のロープアクセス工法の技術詳細に、同業者向けの技術・訓練情報は姉妹サイトのロープアクセスドットコムにまとめています。

料金の考え方は大規模修繕の料金の考え方でお伝えしています。明誠のこれまでの実績は明誠の施工事例からご覧いただけます。管理組合さま向けの詳しいご案内は管理組合向けサービスのページに、私たちの考え方は明誠の理念に書いています。ロープアクセスの安全面や費用面を、もう少し具体的に知りたい方は、姉妹サイトのロープアクセスの解説記事もご覧ください。

駅前の高層棟や、足場を組みにくい立地のマンションがある戸塚区では、足場一択で考えず、ロープアクセスやハイブリッド工法も見積りの比較に入れておくと、判断の材料が増えます。


何を用意して相談に行けばいいか:3点セット

専門家に相談するとき、手元に次の3点があると、相談の時間がずっと有効になります。私はいつも理事長さまにこの3つをお願いしています。

  1. 総会議事録(直近2〜3期分):何を決めてきたかが分かります。
  2. 長期修繕計画:作成年、次回の大規模修繕の予定、修繕積立金の残高と見通しを確認します。
  3. 管理規約(使用細則を含む):議決の要件や、専有部分・共用部分の範囲を確認します。

加えて、築年数、戸数、階数、管理会社の有無が分かると、アドバイザーも法律相談の弁護士も、一般論ではなく自分たちのマンションの話として答えられます。戸塚区の法律相談は1件25分、年度に1回です。限られた時間を有効に使うために、質問は紙に書き出しておくことをおすすめします。


よくあるご質問

Q. 戸塚区の管理組合は、神奈川県のマンションアドバイザー派遣を使えますか?

A. 使えません。県の制度は横浜市・川崎市・相模原市・横須賀市が対象外です。戸塚区の管理組合は、横浜市のマンション・アドバイザー派遣(横浜市住宅供給公社の支援事務局)を使います。

Q. 市のアドバイザー派遣は、本当に無料ですか?

A. 初回は無料ですが、令和7年度以前に利用実績がない管理組合が対象です。マンション登録制度への登録も要件です。2回目以降は1回あたり税込12,650円(令和8年度)で、1回は3時間以内、通算6回までが原則です。

Q. 戸塚区役所の法律相談は、管理組合の理事でも使えますか?

A. 公式ページでは管理組合としての利用可否は確認できませんでした。予約の電話(045-866-8321)で「管理組合の理事として」と伝えて確認してください。費用は無料と書かれており、利用は年度に1回までです。

Q. 戸塚区役所の法律相談は、いつ受けられますか?

A. 第2火曜日と毎週金曜日(祝日・年末年始を除く)の13:00〜16:00で、1件25分です。事前予約制で、予約は電話か区役所9階の広報相談係の窓口です。希望者が多く、約1か月待つこともあります。

Q. 登記や不動産の相談は、どこでできますか?

A. 登記は、横浜市役所の市民相談室の司法書士相談(月〜水曜)が窓口です。不動産の売買などは、市民相談室の宅地建物相談(月曜)です。戸塚区役所の相談ページには、司法書士・不動産の相談は掲載されていません。

Q. 管理計画認定を受けると何が良くなりますか?

A. フラット35の金利引下げなどの優遇があり、市場での評価向上も期待されています。横浜市の申請手数料は3,900円(郵送料別)で、手続きシステムの利用料10,000円と事前確認の手数料が別にかかります。相談は日管連のダイヤル(03-5801-0858)が無料です。

Q. 無料相談のあと、工事の見積りだけ取ることはできますか?

A. できます。相談と見積りは別です。見積りの前に専門家の意見を聞くと、仕様のぶれが小さくなります。明誠も、お見積りのみのご相談を承っています。

Q. 窓口に電話する前に、何を用意すればよいですか?

A. 築年数、戸数、階数、管理会社の有無と、総会議事録・長期修繕計画・管理規約の3点を手元にご用意ください。聞きたいことを3つに絞ると、短い相談枠でも足ります。


まとめ:今週動くこと3点

私は、戸塚区の管理組合の皆さまに、今週のうちに次の3つを提案します。

  1. 3点セットをそろえる:総会議事録、長期修繕計画、管理規約を1つのフォルダにまとめます。
  2. 電話をかける:戸塚区役所(045-866-8321)で、10月16日(金)以降の法律相談の空きを聞いてみてください。同時に、市のアドバイザー派遣の支援事務局(横浜市住宅供給公社)で、マンション登録と初回無料の対象かを確認します。
  3. 理事会で議題にする:次回の理事会で、「見積りの前に第三者の意見を聞く」ことを1分だけでも話題にしてください。

相談先を知ることは、修繕積立金を守る最初の一歩です。工事のことで、ご相談だけでも遠慮なくお問合せフォームからお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。


出典・参考資料


本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月11日時点で公表されている横浜市および国土交通省・神奈川県の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請される前に、横浜市および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。なお、公証相談・行政相談・市民相談室・サポートセンター・住まいるダイヤル等の相談料、区の相談の管理組合としての利用可否、市独自の建築士単独派遣制度の有無は、公式ページで確認できませんでした。管理計画認定制度と消費生活総合センターの参照ページは令和7年12月の更新で、令和8年度の変更点は確認できていません。アドバイザー派遣の2回目以降の費用は、同一ページに令和8年度12,650円と令和7年度12,572円の記載があり、本記事では令和8年度の金額を採用しています。


この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)

株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市

マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。IRATA水準の技能訓練を受けた作業員、ISO9001品質マネジメントシステムのもとで施工しています。

最終更新:2026年10月11日


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横浜市青葉区の管理組合が使える無料・低コストの相談窓口17選|区役所の法律相談(火・水)から市のアドバイザー派遣(初回無料)まで【令和8年度版】

2026年10月11日 更新

横浜市青葉区のマンションの理事長さまから、こんなご相談をいただくことがあります。

「大規模修繕の時期が近いが、誰に何を聞けばいいのか分からない。専門家への相談料を、修繕積立金から出すのは気が引ける」

私は、こうしたお話を聞くたびに、相談先を知らないだけで遠回りをしている管理組合が多いと感じます。青葉区には、区役所の窓口と市の派遣制度、県と国の電話相談と、入口がいくつも用意されているからです。

青葉区役所では、毎週火曜日と水曜日に弁護士の法律相談が開かれています。区役所の相談窓口一覧では、特別相談は無料と案内されています。横浜市には、マンション管理士や建築士などが管理組合へ訪問する「マンション・アドバイザー派遣」があり、令和8年度は初回が無料です(令和7年度以前に利用実績がない場合)。国の窓口である日管連の相談ダイヤルも、何度でも無料です。

申し遅れました。私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。東京都東大和市を拠点に、20年近くマンション・ビル・ホテルの外壁の仕事をしてきました。工事の話に入る前に、いま青葉区の管理組合が使える「お金をかけずに(または少額で)聞ける相談先」を整理してお伝えします。


結論:青葉区で使える窓口は17、無料と明記されているのは10

先に一覧でお示しします。公式ページに「無料」と書かれているものと、費用の記載が見つからなかったものを分けています。

# 制度・窓口 誰が対応するか 費用 申込先
1 青葉区役所 法律相談(火・水曜) 弁護士 無料(区の相談窓口一覧に明記) 青葉区役所 045-978-2221
2 青葉区役所 司法書士相談(第1金曜) 認定司法書士 無料(同上) 同上
3 青葉区役所 行政書士相談(第2木曜) 行政書士 無料(同上) 同上
4 青葉区役所 税務相談(第4木曜) 税理士 無料(同上) 同上
5 青葉区役所 公証相談(第1木曜) 公証人 無料(同上) 同上
6 青葉区役所 行政相談(第3木曜) 行政相談委員 無料(同上) 同上(予約不要)
7 横浜市役所 市民相談室(法律・夜間法律・司法書士・宅建・人権) 弁護士・司法書士ほか 要確認(市の案内ページに料金の記載なし) 045-671-2306
8 マンション・アドバイザー派遣 マンション管理士・建築士ほか 初回無料(要件あり)、2回目以降は1回12,650円(税込)と読める 横浜市住宅供給公社(マンション・アドバイザー派遣支援事務局)
9 顧問導入支援(令和8年度開始) アドバイザー派遣の専門家 月額25,300円(市が半額負担)。有料 同上の支援事務局
10 横浜市マンション管理組合サポートセンター(各区交流会) 管理組合・マンション管理士等 要確認(費用の記載なし) 045-663-5459
11 神奈川県マンション管理組合交流会(令和8年11月) マンション管理の専門家 無料 神奈川県マンション管理士会 045-662-5471
12 管理計画認定制度 相談ダイヤル(日管連) マンション管理士 無料(何回でも) 03-5801-0858
13 神奈川県マンション管理士会(認定基準の相談窓口) マンション管理士 要確認(費用の記載なし) 045-662-5471
14 マンション管理センター 電話相談 専門相談員 要確認(費用の記載なし) 03-3222-1517/1519
15 住まいるダイヤル(住宅専門の相談窓口) 国土交通大臣指定の相談窓口 要確認(相談料の記載なし) 03-3556-5147
16 横浜市消費生活総合センター 消費生活相談員 要確認(費用の記載なし) 045-845-6666
17 法テラス 無料法律相談 弁護士等 無料(収入・資産の基準あり) 0570-078374

「無料と明記」の10は、区役所の特別相談6つ(1〜6)、アドバイザー派遣の初回(8)、県の交流会(11)、日管連のダイヤル(12)、法テラス(17)です。法テラスは基準を満たす方が対象で、アドバイザー派遣の初回無料にも要件があります。

正直にお伝えします。私が令和8年10月11日時点で公式ページを確認した範囲では、「費用がかかるかどうか」の記載がない窓口が6つありました。電話で申し込むときに「相談料はかかりますか」とひと言確認するだけで、あとから戸惑わずに済みます。

もう一つ、大事な点があります。神奈川県の「マンションアドバイザー派遣事業」は、横浜市の管理組合は対象外です。県のページに「横浜市・川崎市・相模原市・横須賀市を除く」と書かれています(出典:神奈川県「マンションアドバイザー派遣事業」、令和8年6月26日更新)。青葉区の管理組合は、県ではなく市の制度を使う形になります。


青葉区役所の特別相談:弁護士・司法書士・行政書士・税務が無料

青葉区役所の特別相談は、令和8年度の運用が公表されています。予約の受付は、青葉区役所1階の1番窓口(広報相談係)で、所在地は青葉区市ケ尾町31番地4、電話は045-978-2221です(出典:横浜市青葉区「区役所の相談窓口一覧」、令和8年10月8日更新)。

相談 日程 時間 予約
法律相談(弁護士) 火・水曜日 13:00〜16:00 予約制。2週間前の8:45から受付
司法書士相談 第1金曜日 13:00〜16:00 予約制。2週間前の8:45から受付
公証相談 第1木曜日 13:00〜15:00 予約制。2週間前の8:45から受付。相談日前日15時まで
行政書士相談 第2木曜日 13:00〜16:00 予約制。2週間前の8:45から受付
行政相談 第3木曜日 13:00〜16:00 予約不要(受付は15:30まで)
税務相談 第4木曜日(2・3月は休み) 13:00〜16:00 予約制。2週間前の8:45から受付

相談は対面と電話があり、1回25分です。法律・司法書士・税務の各相談は、年度内に1人1回までです。電話相談は区役所からかけ直す方式で、通話料はかかりません。休日・祝日と、12月28日から1月4日までは実施されません。

ここで、見落としやすい点を2つお伝えします。

  1. 予約は区内在住者に限られます。 青葉区外の方は、この枠を使えません。
  2. 法律相談の枠は埋まりやすいです。 令和8年10月8日16時時点で、10月13日・14日・20日・21日の法律相談は空きなしと表示されていました。

今月と来月の日程を、このカレンダーに当てはめてみます。

  • 法律相談:次に狙えるのは10月27日(火)・28日(水)です。ページの「2週間前の8:45から」に従うと、10月13日(火)の朝8:45から予約が始まる計算です。
  • 司法書士相談:11月6日(金)。10月分(2日)はすでに終わっています。
  • 公証相談:11月5日(木)。
  • 行政書士相談:11月12日(木)。10月分(8日)は終わっています。
  • 行政相談:10月15日(木)、11月19日(木)。予約不要です。
  • 税務相談:11月26日(木)。10月22日分は空きなしと表示されていました。

法律相談では、管理費の滞納、理事会の議事の進め方、規約の読み方といった「工事の前段階」の疑問を整理できることが多いと、私は見ています。ただし、区役所の特別相談は個人の暮らしの相談が基本です。管理組合の理事として使えるかどうかは、公式ページでは確認できませんでした。予約の電話で、「マンションの管理組合の理事として相談したい」と伝えて確認してください。

なお、青葉区役所の一覧には、不動産相談と人権相談がありません。ページでは、市役所の市民相談室と神奈川県民センターで実施されていると案内されています。消費生活の相談も区役所ではなく、後述の消費生活総合センターが窓口です。


横浜市役所の市民相談室:回数が多い法律相談と夜間枠

区役所の法律相談は、1人1年度1回までです。もっと回数が必要なときは、市役所の市民相談室を知っておくと選択肢が広がります。市の法律相談は、年度内におひとり2回までと記載されています(出典:横浜市「法律相談(市民相談室)」、令和8年10月8日更新)。

  • 日中の法律相談:月〜木曜は9:00〜12:00(電話か対面)と13:00〜16:00(対面)。金曜は9:00〜12:00(対面。オンライン予約も可)と13:00〜16:00。1回25分以内
  • 夜間法律相談:毎月第2・4水曜の18:00〜20:30、電話またはオンライン
  • 司法書士相談:月〜水曜 13:00〜16:00(対面)、年度内1人1回以内
  • 宅地建物相談:月曜、35分以内、電話または対面
  • 人権相談:水曜 13:00〜16:00、40分以内
  • 予約:電話045-671-2306。日中の枠は1週間前の同じ曜日の8時45分から受付

市の相談室のページ(横浜市「市民相談室」、令和8年10月9日更新)には、いずれも料金の記載がありません。無料かどうかは、予約のお電話で確認してください。夜間枠は、平日に動きにくい理事さまには使い勝手のよい選択肢です。ただし、オンライン予約には、市の電子申請システムへの利用者登録が必要と案内されています。


市のマンション・アドバイザー派遣:初回無料(要件あり)

私が最も使いやすいと感じるのが、横浜市のこの制度です。マンション管理士や建築士などの登録専門家が、管理組合の会合に訪問して相談に応じます(出典:横浜市「マンション・アドバイザー派遣」、令和8年4月13日更新)。

項目 内容
対象 分譲マンションの管理組合(有志や個人名での申込みは不可。マンション登録制度への登録が要件)
時間 1回につき3時間以内
回数 原則通算6回まで(令和8年度以降)。6回に達した後は年度あたり1回
費用 初回無料(令和7年度以前に利用実績がない場合)。2回目以降は1回あたり税込12,650円(令和8年度)
申込先 マンション・アドバイザー派遣支援事務局(横浜市住宅供給公社 街づくり事業課)、mansion-adviser@yokohama-kousya.or.jp
対象外 居住者間や周辺住民との紛争解決・権利調整

つまり、「建築士の派遣」を単独の無料制度として探すより、このアドバイザー派遣で建築士や管理士を希望する形で考えるのが近道です。建築士だけを無料で派遣する市独自の制度は、私が確認した範囲では見つかりませんでした。

ご注意いただきたい点が二つあります。

  1. 同じページの別の箇所に、2回目以降の費用が「12,572円(令和7年度の金額)」と書かれています。令和8年度の金額は12,650円と読めますが、申込みの際に事務局で確認してください。
  2. 事前相談の場所は南区吉野町と神奈川区栄町の2か所で、相談員は常駐していません。事務局から指定された日時・場所に行く形です。まずはメール(件名に【マンション名】を記入)か、住宅再生課(045-671-2954)に問い合わせるのが確実です。

顧問導入支援:無料ではないが、半額になる選択肢

令和8年度から、アドバイザー派遣を通算6回利用した管理組合を対象にした「顧問導入支援」が始まっています。6か月間、月額税込25,300円(通常は50,600円を市が半額負担)で、月1回の定期相談、メール相談(月3件まで)、理事会への参加(2回まで)、簡易レポートが付きます。6か月の合計は151,800円です。予算に上限があり、先着順と案内されています。

一方で、長期修繕計画の改定、積立金の試算、工事仕様書の作成、入札支援、工事監理は対象外です。「顧問」という名前から、すべてを任せられると思ってしまいがちですが、範囲はここまでと知っておいてください。

ここで、現場にいる私の立場から一つお伝えします。アドバイザー派遣は、施工会社の営業とは別の第三者の意見が聞ける点が最大の価値です。見積書が出てから慌てて呼ぶより、見積依頼の前に呼ぶほうが、仕様のぶれが小さくなります。私が現場でよく見る遠回りは、見積りを3社取ったあとで「そもそも何を比べればいいのか」に立ち返ってしまう流れです。


管理組合同士のつながり:市の交流会と県の交流会

横浜市マンション管理組合サポートセンターの交流会

市内の分譲マンションの管理組合が参加できる情報交換の場です。各区の地区センター等での交流会は毎月1回、全18区で実施されています。ほかに、Zoomでのリモート交流会が毎月第3日曜日の19:00〜20:30に開かれています(出典:横浜市「マンション管理組合サポートセンター」、令和8年4月3日更新)。

青葉区の開催日と会場、費用は、このページの本文に記載がありません。区ごとの日程はチラシで確認するよう案内されています。事務局の電話は045-663-5459です。

なお、市のセミナー情報のページ(横浜市「マンション管理セミナー・相談会等」、令和8年2月19日更新)には、令和8年度の予定は掲載されていませんでした。最新の日程は、建築局住宅再生課(045-671-2954)に確認するのが確実です。

神奈川県マンション管理組合交流会(令和8年度)

神奈川県内のマンション管理組合の役員が対象で、参加費は無料です。講義と交流会の二部構成で、11月に4会場で開かれます(出典:神奈川県「マンション管理組合交流会」、令和8年9月3日更新)。

日程(14:00〜16:00予定) 会場 テーマ
11月7日(土) 箱根町役場 マンションの適正管理
11月14日(土) ユニコムプラザさがみはら(相模原市南区) 区分所有法、標準管理規約の改正
11月22日(日) 茅ヶ崎市民文化会館 修繕(長期修繕計画を含む)
11月28日(土) 葉山マリーナ 区分所有法、標準管理規約の改正

会場は横浜市外です。青葉区からの移動時間を含めて、参加できるかをご判断ください。申込みは会場ごとのGoogleフォームで、問合せは神奈川県マンション管理士会事務局(045-662-5471、平日10〜17時)です。


管理計画認定制度:認定の相談は無料、申請には費用がかかる

認定を受けるかどうかの相談は、日管連の相談ダイヤルで無料です。03-5801-0858、月〜土曜(祝日を除く)の10:00〜17:00、何回でも相談でき、1回あたり30分程度までです(出典:日本マンション管理士会連合会「管理計画認定制度 相談ダイヤル」、令和8年7月28日更新)。

認定基準を満たすかどうかは、神奈川県マンション管理士会(045-662-5471、平日10〜17時)も窓口です。事前確認の手続きは、マンション管理センター(03-6261-1274)が案内しています(出典:横浜市「管理計画認定制度に関する相談窓口」、令和7年10月2日更新)。このページには相談料の記載がありません。

一方、実際に認定を受けるには費用がかかります。横浜市の場合は次のとおりです(出典:横浜市「管理計画認定制度」、令和7年12月8日更新)。

  • 手続きシステム利用料:10,000円
  • 申請手数料:3,900円+郵送料(長期修繕計画が複数ある場合は、1,700円×(計画数−1)を加算)
  • 適合確認(事前確認)の手数料:依頼する専門家によって異なります
  • 申請先:マンション管理センターの手続きシステム。市への直接申請は受け付けていません。市の問合せ先は、住宅再生課 045-671-2954

認定を受けると、フラット35の金利引下げ、マンション共用部分リフォーム融資の金利引下げ、長寿命化につながる大規模修繕工事を行った際の固定資産税の減額などの優遇があります(出典:国土交通省「マンション管理計画認定制度」)。国の制度は、令和9年4月1日から分譲事業者も申請できるようになる変更が予定されています。


国の電話相談と、契約トラブル・法律扶助の窓口

マンション管理センターの電話相談

(公財)マンション管理センターの電話相談は、平日9:30〜17:00(祝日・年末年始を除く)、1回あたり15分前後が目安です。管理組合の運営・規約は03-3222-1517、建物・設備の維持管理は03-3222-1519です。ページに費用の記載はありません(出典:マンション管理センター「電話相談」)。

住まいるダイヤル

国土交通大臣が指定する住宅専門の相談窓口で、電話は03-3556-5147、平日10:00〜17:00(土日祝・年末年始を除く)です。相談料の記載は確認できませんでした(出典:住宅リフォーム・紛争処理支援センター「住まいるダイヤル」)。市の案内ページでも、建物の管理や修繕の相談先の一つとして挙げられています。

横浜市消費生活総合センター

訪問販売や工事契約のトラブルは、消費生活総合センターの相談専用ダイヤル(045-845-6666)が窓口です。青葉区役所のページによると、受付は平日9〜18時、土日9〜16時45分です。費用の記載は確認できませんでした(出典:横浜市青葉区「区役所の相談窓口一覧」)。

法テラス

法テラスの無料法律相談は、収入と資産の基準を満たす方が対象です。たとえば家族が1人の場合、手取りの月収は、東京23区などで200,200円以下、それ以外の地域(横浜市を含む)で182,000円以下が目安で、資産は180万円以下です。サポートダイヤルは0570-078374(平日9〜21時、土曜9〜17時)です(出典:法テラス「無料法律相談のご利用の流れ」)。管理組合のような団体の場合に基準がどう適用されるかは、法テラスに直接確認が必要です。


相談の後に来る「工法の選び方」も、先に知っておいてください

無料の相談で論点を整理した後、実際の工事の計画に進むとき、工法の選択が総額を大きく変えます。私どもは、通常の足場工法、ロープアクセス工法、両方を組み合わせるハイブリッド工法の3つから、建物に合う方法をご提案しています。

目安として、10階建て・外周80m・工期3か月のマンションで、仮設足場に約168万円かかる場面で、ロープアクセスなら約59万円という比較例があります(建物の形状や条件で大きく変わります。あくまで参考値です)。外壁の打診調査は1㎡あたり250〜500円程度、外壁塗装は3,500〜4,500円/㎡程度が、一般的な目安です。

ロープアクセス工法は、メインロープとバックアップロープの2本に接続し、2点以上の吊元を確保して作業します。明誠と全国のフランチャイズ加盟企業では、過去16年間、墜落による労働災害はゼロです。株式会社明誠はこれまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。詳しい工法の仕組みは明誠のロープアクセス工法の技術詳細に、同業者向けの技術・訓練情報は姉妹サイトのロープアクセスドットコムにまとめています。

料金の考え方は大規模修繕の料金の考え方でお伝えしています。明誠のこれまでの実績は明誠の施工事例からご覧いただけます。管理組合さま向けの詳しいご案内は管理組合向けサービスのページに、私たちの考え方は明誠の理念に書いています。ロープアクセスの安全面や費用面を、もう少し具体的に知りたい方は、姉妹サイトのロープアクセスの解説記事もご覧ください。


何を用意して相談に行けばいいか:3点セット

専門家に相談するとき、手元に次の3点があると、相談の時間がずっと有効になります。区役所の法律相談も市の相談室も、1回25分です。短い枠を使い切るためにも、私はいつも理事長さまにこの3つをお願いしています。

  1. 総会議事録(直近2〜3期分):何を決めてきたかが分かります。
  2. 長期修繕計画:作成年、次回の大規模修繕の予定、修繕積立金の残高と見通しを確認します。
  3. 管理規約(使用細則を含む):議決の要件や、専有部分・共用部分の範囲を確認します。

加えて、築年数、戸数、階数、管理会社の有無が分かると、アドバイザーも法律相談の弁護士も、一般論ではなく自分たちのマンションの話として答えられます。


よくあるご質問

Q. 青葉区の管理組合は、神奈川県のマンションアドバイザー派遣を使えますか?

A. 使えません。県の制度は横浜市・川崎市・相模原市・横須賀市が対象外です。青葉区の管理組合は、横浜市のマンション・アドバイザー派遣(横浜市住宅供給公社の支援事務局)を使います。

Q. 青葉区役所の法律相談は、無料ですか?

A. 区役所の相談窓口一覧で、特別相談は無料と案内されています。火・水曜の13:00〜16:00、予約制で、年度内1人1回、25分です。予約は区内在住者に限られ、電話は045-978-2221です。

Q. 青葉区役所の法律相談は、管理組合の理事でも使えますか?

A. 公式ページでは管理組合としての利用可否は確認できませんでした。予約の電話で「管理組合の理事として」と伝えて確認してください。回数を使い切った場合は、市民相談室(年度内2回まで)も候補です。

Q. 市のアドバイザー派遣は、本当に無料ですか?

A. 初回は無料ですが、令和7年度以前に利用実績がない管理組合が対象です。マンション登録制度への登録も要件です。2回目以降は1回あたり税込12,650円(令和8年度)で、1回は3時間以内、通算6回までが原則です。

Q. 建築士に見てもらいたいときは、どの制度を使えばよいですか?

A. 市のアドバイザー派遣で、一級建築士などの派遣を希望する形が基本です。建築士だけを無料で派遣する市独自の制度は、私が確認した範囲では見つかりませんでした。

Q. 管理計画認定を受けると何が良くなりますか?

A. フラット35の金利引下げや、固定資産税の減額などの優遇があります。横浜市の手続きでは、システム利用料10,000円と申請手数料3,900円がかかり、事前確認の費用は別です。相談は日管連のダイヤル(03-5801-0858)が無料です。

Q. 無料相談のあと、工事の見積りだけ取ることはできますか?

A. できます。相談と見積りは別です。見積りの前に専門家の意見を聞くと、仕様のぶれが小さくなります。明誠も、お見積りのみのご相談を承っています。

Q. 窓口に電話する前に、何を用意すればよいですか?

A. 築年数、戸数、階数、管理会社の有無と、総会議事録・長期修繕計画・管理規約の3点を手元にご用意ください。聞きたいことを3つに絞ると、短い相談枠でも足ります。


まとめ:今週動くこと3点

私は、青葉区の管理組合の皆さまに、今週のうちに次の3つを提案します。

  1. 3点セットをそろえる:総会議事録、長期修繕計画、管理規約を1つのフォルダにまとめます。
  2. 電話とメールを1本ずつ:10月13日(火)の朝8:45に、青葉区役所(045-978-2221)で10月27日・28日の法律相談の空きを聞いてみてください。枠が埋まりやすいので、早めの電話が安心です。あわせて、市のアドバイザー派遣の事務局へメールで、マンション登録と初回無料の対象かを確認します。
  3. 理事会で議題にする:次回の理事会で、「見積りの前に第三者の意見を聞く」ことを1分だけでも話題にしてください。

相談先を知ることは、修繕積立金を守る最初の一歩です。工事のことで、ご相談だけでも遠慮なくお問合せフォームからお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。


出典・参考資料


本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月11日時点で公表されている横浜市青葉区・横浜市および国土交通省・神奈川県の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請される前に、横浜市青葉区および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。なお、市民相談室・住まいるダイヤル・マンション管理センター・消費生活総合センターの相談料、区役所の特別相談の管理組合としての利用可否、サポートセンター交流会の青葉区の日程・会場・費用は、公式ページで確認できませんでした。法テラスのページには更新日の表示がありません。アドバイザー派遣の2回目以降の費用は、同一ページに令和8年度12,650円と令和7年度12,572円の記載があり、本記事では令和8年度の金額を採用しています。予約開始日(10月13日)は「2週間前の8:45から受付」という記載からの計算で、実際の受付開始は区役所でご確認ください。


この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)

株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市

マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。IRATA水準の技能訓練を受けた作業員、ISO9001品質マネジメントシステムのもとで施工しています。

最終更新:2026年10月11日


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ロープアクセス工法の詳細や実例については、姉妹サイト「ロープアクセスドットコム」の以下の記事もぜひご覧ください。

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開成町のマンション補助金|大規模修繕2026年度版

2026年10月11日 更新

「開成町のマンションで、大規模修繕に使える補助金はありますか?」

先に結論をお伝えします。令和8年度(2026年度)の開成町公式サイトで確認できた範囲では、外壁塗装や屋上防水といった共用部分の大規模修繕の工事費を、管理組合に補助する町の制度は見つかりませんでした。 開成町の住まいの補助は、手厚さでは県内でも目を引くものがありますが、対象は「一戸建て」や「個人の木造住宅」に絞られています。

その代表が、国の交付金と町の補助を合算して交付する「ゼロカーボンシティ創成補助制度」です。太陽光発電・蓄電池・HEMSを同時に付けると100万円を超える例も示されていますが、既存住宅向けのメニューは要綱で「町内の築1年以上の一戸建ての住宅」に限られ、しかも令和8年度が最終年度です。

では、開成町のマンション管理組合は何を頼りにすればよいのか。答えは3つです。神奈川県の無料「マンションアドバイザー派遣」、県が認定する「マンション管理計画認定制度」と国の長寿命化促進税制、そして酒匂川流域の浸水想定を踏まえた「修繕の優先順位づけ」です。

こんにちは、株式会社明誠の本間です。マンション・ビル・ホテルの大規模修繕に20年以上携わってきました。この記事では、開成町の理事長さま・修繕委員の皆さまに向けて、町と県の制度を「共用部に使えるか、使えないか」で仕分けし、補助金に頼らず修繕積立金を守る進め方をお伝えします。

早見表:開成町のマンションで使える制度・使えない制度

令和8年度の開成町公式ページと、神奈川県・国土交通省の公表資料をもとに整理しました。

制度 窓口 管理組合(共用部)で使えるか 内容
ゼロカーボンシティ創成補助制度「既存住宅スマートハウス化補助金」(令和8年度) 開成町 環境課 × 対象外(町内の築1年以上の一戸建てに限る) 太陽光・蓄電池・HEMS・エネファーム等。国と町の合算で、令和8年度が最終年度
ゼロカーボンシティ創成補助制度「ゼロエネルギーハウス等導入補助金」(令和8年度) 開成町 環境課 × 想定外(自宅をZEH等で新築・リフォームする個人向け) ZEH・ZEH+・LCCM住宅が対象
木造住宅の耐震診断費・耐震改修工事等補助 開成町 都市計画課 × マンションは対象外(2階建て以下の在来軸組工法の木造住宅) 診断費は全額・上限10万円、改修は1/2・上限100万円
ブロック塀の撤去補助 - 町の公式サイトで確認できず 窓口(都市計画課)へ要確認
マンションアドバイザー派遣事業(令和8年度) 神奈川県 住宅計画課 ○ 相談に使える(工事費の補助ではない) 派遣料無料、1回3時間以内、年度内2回まで。令和9年2月26日まで
マンション管理計画認定制度 神奈川県(町村部は県が認定) ○ 間接的に有利 長寿命化促進税制や融資の金利引下げの前提になる
マンション長寿命化促進税制 国(申告先は開成町) ○ 間接的に有利 一定の大規模修繕を令和9年3月31日までに完了した場合、翌年度の固定資産税を減額

この表のポイントは、「町の補助は一戸建て向けで充実、マンション共用部は県と国の制度で組み立てる」という構図です。補助がない以上、工事の中身と順番、工法の選び方で総額を抑えることが、修繕積立金を守る本筋になります。

開成町のマンションならではの論点-「補助が手厚い町」で起きる誤解

開成町は神奈川県足柄上郡にある町で、小田急小田原線の開成駅を中心に住宅地が広がっています。マンション管理の視点では、ほかの町村と違う論点が1つあります。

それは、「開成町は補助が手厚いから、マンションでも何か使えるはず」という期待が先に立ちやすいことです。実際、町のゼロカーボン補助は町自身が「全国の市区町村で初めての取組」と紹介する制度で、広報やチラシでも大きく扱われています。

私も現場で、理事会の皆さまから「太陽光の補助で共用部の電気代を下げられないか」「省エネ改修と大規模修繕をまとめて補助してもらえないか」というご相談を受けることがあります。発想としてはとても良いのですが、開成町の場合、要綱を読むと共用部には届かないというのが正直なところです。

期待と制度のずれに気づかないまま長期修繕計画に補助を織り込んでしまうと、後で資金計画を組み直すことになります。だからこそ、最初に「使える・使えない」を仕分けることが大切です。

ゼロカーボンシティ創成補助制度-令和8年度が最終年度、ただし一戸建て限定

開成町のゼロカーボンシティ創成補助制度(2026年4月28日更新)は、2050年の二酸化炭素排出実質ゼロに向けた町の補助制度です。4つのメニューがあります。

  1. ゼロエネルギーハウス(ZEH)等導入補助金
  2. 既存住宅スマートハウス化補助金
  3. ソーラーカーポート導入補助金
  4. 電気自動車等導入補助金

町のページによると、国の交付金(地域脱炭素移行・再エネ推進交付金の重点対策加速化事業)と町の補助を合算して町から交付する仕組みで、令和4年度から令和8年度までの期間限定です。令和8年度の主な期限は次のとおりです。

項目 期限(令和8年度)
募集開始 令和8年7月1日
申請 令和9年2月15日まで(重点対策加速化事業以外は令和9年3月15日まで)
請求 令和9年2月末まで(重点対策加速化事業以外は令和9年3月末まで)

マンションが対象外になる理由

既存住宅スマートハウス化補助金交付要綱(令和8年度)(PDF)の第3条では、補助の対象とする住宅を「町内の築1年以上の一戸建ての住宅」と定めています。さらに第4条で、申請者は町に住民登録して1年以上居住し、対象住宅の所有権を持つ人とされています。

つまり、分譲マンションの共用部(屋上や共用廊下の照明など)に管理組合が太陽光や蓄電池を付ける場合は、この補助の対象になりません。 ゼロエネルギーハウス等導入補助金も、町の案内では自宅を新築・リフォームする方向けの制度として紹介されています。

参考:一戸建てでの補助額の例

制度の手厚さを知っておくと、ご自宅が一戸建ての理事さまには役立ちます。町の既存住宅スマートハウス化補助金のチラシ(PDF)と要綱の別表第3によると、重点対策加速化補助金で県の事業を活用して太陽光を付ける場合、4kWまで12万円/kW、4kW超の部分は7万円/kWです。チラシでは、5kWの太陽光に蓄電池(8kWh・設置費120万円)とHEMS(設置費9万円)を同時に付け、3機器同時加算5万円を含めた合計115万円という例が示されています。

マンションの共用部では使えないものの、ご自身が町内に一戸建てを持つ区分所有者の方には、令和8年度が最後の機会になる制度です。詳しくは町の環境課(0465-84-0314)に確認してください。

木造住宅の耐震補助-R8改定の耐震改修促進計画と、マンションの位置づけ

開成町の木造住宅の耐震診断費及び耐震改修工事等補助制度は、昭和56年5月以前に建てられた木造住宅が対象です。町のページ(2024年3月18日掲載)によると、令和6年4月から補助を拡充し、内容は次のとおりです。

区分 補助内容 主な条件
耐震診断費 診断費用(消費税相当額を除く)の全額・上限10万円 町内在住者が所有し居住、昭和56年5月以前の一戸建て・二世帯住宅・店舗兼用住宅、2階建て以下の在来軸組工法
耐震改修工事等 工事費用(消費税相当額を除く)の1/2・上限100万円 診断の総合評点1.0未満を1.0以上にする改修

鉄筋コンクリート造のマンションは、この補助の対象になりません。なお、補助のページの掲載日は2024年3月ですが、住宅のメニュー一覧では令和8年度も同じ制度が案内されています。令和8年度の予算枠や受付状況は、都市計画課(0465-84-0320)に確認してください。

開成町耐震改修促進計画(令和8年3月改定)

町は令和8年3月に開成町耐震改修促進計画を改定しました。計画期間は2026(令和8)年度から2035(令和17)年度で、住宅の耐震化は2030(令和12)年度に90%(中間目標)、2035年度におおむね解消を目標にしています。

昭和56年5月以前に着工した、いわゆる「旧耐震」のマンションにお住まいの管理組合さまは、町の補助の対象外であっても、耐震性をどう確認し、大規模修繕とどう組み合わせるかを理事会で話し合っておく価値があります。耐震診断の進め方は、後述の県のアドバイザー派遣で相談できる内容に含まれています。

酒匂川流域の町として-洪水ハザードマップを修繕計画に生かす

ここが、開成町のマンションならではの論点です。

開成町の洪水ハザードマップのページ(2025年3月29日更新)によると、町の洪水ハザードマップは神奈川県が公表する浸水想定区域図をもとに作られており、開成町に関係する河川として酒匂川・仙了川・要定川の浸水想定区域が更新されています。想定最大規模の降雨は、酒匂川で1日の総雨量530ミリとされています。また、このマップは大雨で水路などからあふれる「内水氾濫」は考慮していないと明記されています。

マンションにとって、浸水の想定は「避難」だけの話ではありません。大規模修繕の優先順位を決める材料にもなります。

浸水想定がある場合に、理事会で確認したい設備

確認する場所・設備 理由
受変電設備・分電盤・制御盤の設置階 地下や1階にあると、浸水で停電・長期の機能停止につながりやすい
給水ポンプ・受水槽 浸水すると断水の原因になる
エレベーターのピット・機械室 浸水後の復旧に時間と費用がかかる
1階共用部の床・出入口の段差、止水板の有無 浸水の入口になりやすい
外壁のひび割れ・シーリング(目地のゴム状の材料) 豪雨時の雨水の浸入(漏水)経路になる

私の経験では、浸水対策は設備更新のタイミングとまとめて計画すると、費用対効果が上がります。たとえば受変電設備の更新や給水方式の変更を検討する時期に、設置位置の見直しを一緒に議論しておくのです。

一方で、外壁のひび割れやシーリングの劣化は、浸水とは別に豪雨のたびに室内への漏水リスクを高めます。全面改修の周期を待たずに、劣化の進んだ面だけを先に手当てする判断も選択肢になります。漏水への対応の考え方は明誠の漏水調査・漏水対応でもご紹介しています。

なお、ご自身のマンションの所在地がどの程度浸水する想定かは、必ず町が配布・公開している洪水ハザードマップ(地域防災課 0465-84-0326)でご確認ください。

マンション管理組合の味方①:神奈川県のマンションアドバイザー派遣(無料・年2回まで)

町の補助が共用部に使えない以上、最初に使いたいのがこの制度です。神奈川県のマンションアドバイザー派遣事業(2026年6月26日更新)と令和8年度のチラシ(PDF)によると、内容は次のとおりです。

項目 内容
派遣対象 県内の分譲マンションの管理組合、または管理組合の承認を得た委員会(大規模修繕工事委員会など)。横浜市・川崎市・相模原市・横須賀市を除くため、開成町は対象
アドバイザー マンション管理士、建築士等の資格を持ち、マンション管理の相談経験がある人
相談時間・回数 1回につき1〜2名、3時間以内。夜間・休日にも対応。年度内2回まで(申込多数の場合は2回目ができないこともある)
派遣料 無料
申込期間 令和8年6月26日〜令和9年2月26日(申込多数の場合は早期終了)
事前相談窓口 NPO法人 かながわマンション管理組合ネットワーク(045-620-6300)

相談できる内容には、長期修繕計画や大規模修繕、修繕積立金などの財務、改修や耐震性の向上、管理計画認定制度が含まれます。一方で、見積書の比較診断、工事の受注や業者の紹介、長期修繕計画の策定そのもの、管理計画認定の申請業務は派遣の範囲外です。

私がおすすめしている使い方は、1回目で「長期修繕計画と積立金の考え方」を、2回目で「施工会社から取った提案の読み方」を相談する進め方です。アドバイザーは中立の立場で考え方を整理してくれる方なので、工法や見積りの比較は施工会社から複数取り寄せ、アドバイザーの助言を物差しにする、という役割分担がうまくいきます。

マンション管理組合の味方②:管理計画認定と長寿命化促進税制

マンション管理計画認定制度-開成町は「神奈川県」が認定

マンション管理計画認定制度は、管理組合の管理計画が一定の基準を満たしていることを自治体が認定する制度です。神奈川県のマンション管理計画認定 申請の手引き(PDF)では、開成町を含む県内14町村の認定は神奈川県が行うとされています。

主な認定基準は次のとおりです。

  • 管理者等と監事が置かれ、集会(総会)が年1回以上開かれていること
  • 管理費と修繕積立金を区分して経理していること
  • 修繕積立金の3か月以上の滞納額が全体の1割以内であること
  • 長期修繕計画が7年以内に作成・見直しされ、計画期間30年以上・残りの期間に大規模修繕工事を2回以上含むこと
  • 将来の一時金の徴収を予定しておらず、計画の最終年度に借入金の残高がないこと

窓口は県土整備局建築住宅部住宅計画課です。手引きは令和4年4月版のため、最新の様式や手数料は県に確認してください。認定を受けると、住宅金融支援機構の融資で金利引下げの対象になるなど、修繕資金の面でも有利になります。

マンション長寿命化促進税制-令和9年3月31日完了が期限

国のマンション長寿命化促進税制は、築20年以上・10戸以上のマンションで、管理計画の認定などを受けたうえで、外壁塗装等・床防水・屋根防水を含む長寿命化工事を行った場合に、各住戸の翌年度の固定資産税を減額する制度です。対象は令和9年3月31日までに完了した工事で、完了後3か月以内に申告が必要です。

開成町の場合、認定は神奈川県、固定資産税の申告は開成町と窓口が分かれます。工事の完了時期から逆算して、認定の取得を先に済ませておくことが大切です。詳しい要件と併用の制限は、国土交通省のページと町の税務課で確認してください。

開成町のマンション大規模修繕-費用の目安と工法の比べ方

ここからは、工事費そのものを適正に抑える話です。

費用の目安(あくまで参考値)

項目 目安
30戸規模マンションの大規模修繕 総工費 約3,500万〜5,000万円
うち仮設足場の割合 総工費の約15〜25%
外壁塗装 1㎡あたり約3,500〜4,500円
外壁の打診調査 1㎡あたり約250〜500円
防水工事 1㎡あたり約5,000〜8,000円

30戸で総工費4,000万円なら、1戸あたりの負担はおよそ133万円です。仮設足場が総工費の15〜25%を占めるとすると、1戸あたり約20万〜33万円が「足場代」という計算になります。10階建て・外周80m・工期3か月の建物を例にとると、足場の費用約168万円に対し、ロープアクセスでは約59万円、差額は約109万円という試算もあります。実際の見積りは、建物の形状・劣化状況・工事範囲によって変わります。料金の考え方は大規模修繕の料金の考え方(明誠)をご覧ください。

3つの工法の向き・不向き

明誠は、次の3つの工法から建物に合う方法を提案しています。

工法 向いている建物・工事 強み 注意点
通常の足場仮設工法 外壁の全面補修、塗装・防水・タイル・サッシ交換を一括で行う大規模修繕 全面的な工事で品質を確保しやすい 設置・解体の費用と工期がかかる。足場期間中は防犯・採光・ベランダ使用に配慮が必要
ロープアクセス工法(無足場工法) 外壁の部分補修、シーリングの打替え、打診調査、部分塗装 足場が不要で工期と費用を抑えやすい。居住者の生活への影響が少ない 作業内容によっては向かない。専門技能を持つ職人が必要
ハイブリッド工法 面ごと・部位ごとに足場とロープを使い分けたい建物 部位ごとに最適な方法を選び、総額を最適化しやすい 計画と工程管理に専門性が必要

ロープアクセス工法では、作業者がメインロープとバックアップロープの2本に接続し、屋上などに2点以上の吊元(ロープを固定する支点)を確保して作業します。明誠の工法は明誠のロープアクセス工法の技術と実績で、業界全体の安全基準や施工例は姉妹サイトのロープアクセスドットコム(無足場工法の専門メディア)で紹介しています。安全管理の考え方は明誠の高所作業の安全管理にまとめています。

正直に申し上げます。 私たちは3つの工法をすべて扱うので、足場が最適なら足場を、ロープが向くならロープを提案します。この記事も、どれか1つに誘導するためのものではありません。

豪雨の後の「部分点検」にロープアクセスが役立つ場面

酒匂川流域の町では、台風や大雨の後に「外壁から雨が入ったかもしれない」というご相談が出やすくなります。こうしたとき、足場を組まずに問題のある面だけを打診・目視で調べ、その場でシーリングを打ち替えることができるのが、ロープアクセスの強みです。

全面足場を待つと半年以上かかることもある補修が、数日の工程で済む場合があります。小さな漏水のうちに止めておけば、次の大規模修繕で下地補修の数量が膨らむのを防げます。外壁調査の進め方は、ロープアクセスドットコムの外壁調査の解説も参考になります。

明誠について、数字でお伝えします

株式会社明誠は、これまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセス工法での高所作業について、明誠と全国のフランチャイズ加盟企業では、過去16年間、墜落による労働災害ゼロを維持しています。IRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の技能訓練を受けた作業員が施工し、ISO9001の品質マネジメントシステムを運用しています。また、日本初のロープアクセス工事のフランチャイズ本部として、塗装・防水・タイル・電気・看板の各分野の専門職と連携しています。

現場で見てきたこと-「補助ありき」の計画が崩れたとき

以前、ある管理組合さまから、「省エネ補助を見込んで長期修繕計画を作ったら、補助が個人向けだと後から分かった」というご相談をいただいたことがあります。計画上は数百万円の補助を見込んでいたため、総会直前に資金計画を組み直すことになりました。

そのとき私がお出ししたのは、「補助が使える工事」ではなく「今やらないと劣化が進む工事」から並べ直した表です。外壁の劣化を面ごとに記録し、急ぐべき面は部分補修、全面改修は次の周期に回すと整理したことで、積立金の範囲で収まる計画になりました。

補助金は「あればありがたいもの」です。けれども、計画の土台は建物の劣化状況に置くのが、私が20年以上現場で学んだ一番の教訓です。管理組合向けのサービス内容はマンション管理組合さま向けの大規模修繕サービスに、これまでの施工の様子は明誠の施工事例にまとめています。

開成町の管理組合が理事会で確認したいチェックリスト

  • 長期修繕計画が7年以内に見直されているか、計画期間が30年以上あるか
  • 長期修繕計画に、使えない補助金を収入として見込んでいないか
  • 建物の所在地が、洪水ハザードマップで浸水想定区域に入っているか
  • 受変電設備・ポンプ・エレベーター機械室が、浸水しやすい位置にないか
  • 昭和56年5月以前の着工か(旧耐震か)、耐震診断の記録はあるか
  • 県のマンションアドバイザー派遣を、今年度すでに使ったか(年度内2回まで)
  • 長寿命化促進税制の期限(令和9年3月31日完了)に工事が間に合うか

開成町のマンションが大規模修繕に向けて動く5つのステップ

  1. 長期修繕計画と修繕積立金の残高を確認する:使えない補助を見込んでいないかも点検します
  2. 県のマンションアドバイザーに相談する:無料・年度内2回まで。長期修繕計画や管理計画認定の考え方を中立の立場で整理できます
  3. 建物診断を面ごとに行い、浸水想定と重ねる:外壁の劣化と、設備の設置位置・浸水想定を1枚の資料にまとめます
  4. 工法を比べて見積りを取る:足場・ロープアクセス・ハイブリッドで比べ、仮設費を分けて記載してもらいます
  5. 総会で工事を決議し、認定と税制の段取りをする:管理計画認定の取得、長寿命化促進税制の期限を工程表に書き込みます

賃貸マンション・ビルのオーナーの方へ

開成町のゼロカーボン補助(既存住宅スマートハウス化)は、申請者が所有し、現に居住する一戸建てが対象のため、賃貸マンションや賃貸ビルは対象になりません。賃貸物件の修繕では、空室期間を短くし、入居者の生活への影響を抑えることが収益に直結します。足場を組まないロープアクセスは、外観の印象や防犯面でもメリットがあります。ビルオーナーさま向けのサービスはビルオーナーさま向け大規模修繕サービスをご覧ください。

よくあるご質問

Q. 開成町で、マンションの大規模修繕工事費に使える補助金はありますか?

A. 令和8年度の町の公式サイトで確認できた範囲では、共用部分の大規模修繕工事費を管理組合に補助する町の制度は見つかりませんでした。町の住宅系の補助は、一戸建て向けのゼロカーボン補助と、木造住宅の耐震補助が中心です。

Q. 開成町のゼロカーボン補助で、マンションの屋上に太陽光を付けられますか?

A. 既存住宅スマートハウス化補助金の要綱では、対象住宅を「町内の築1年以上の一戸建ての住宅」としているため、マンションの共用部は対象になりません。令和8年度が制度の最終年度です。

Q. 旧耐震のマンションに、町の耐震補助は使えますか?

A. 町の耐震補助は、2階建て以下・在来軸組工法の木造住宅が対象のため、鉄筋コンクリート造のマンションは対象外です。耐震性の考え方は、県のマンションアドバイザー派遣で相談できます。

Q. 開成町のマンションでも、県のマンションアドバイザー派遣は使えますか?

A. 使えます。横浜市・川崎市・相模原市・横須賀市を除く県内の分譲マンションが対象で、派遣料は無料、年度内2回までです。令和8年度の申込期間は令和9年2月26日までです。

Q. 開成町のマンションの管理計画認定は、どこに申請しますか?

A. 開成町を含む県内の町村部では、神奈川県が認定します。窓口は県土整備局建築住宅部住宅計画課です。

Q. 洪水ハザードマップで浸水想定がある場合、修繕で何を優先すべきですか?

A. 受変電設備・給水ポンプ・エレベーター機械室など、浸水すると生活が止まる設備の位置を確認し、設備更新の時期に合わせて対策を検討するのがおすすめです。外壁のひび割れやシーリングの劣化は豪雨時の漏水につながるため、早めの部分補修も選択肢になります。

Q. 相談や見積りに費用はかかりますか?

A. 明誠では、建物の状況確認と概算のお見積りを無料で承っています。制度の情報整理だけのご相談でもかまいません。大規模修繕の無料相談・お問い合わせからお声がけください。

この記事のポイントまとめ

  • 開成町の令和8年度の補助で、共用部の大規模修繕工事費に使える町の制度は確認できず
  • ゼロカーボン補助(既存住宅スマートハウス化)は一戸建て限定で、令和8年度が最終年度
  • 木造耐震補助は診断費全額・上限10万円、改修1/2・上限100万円だが、マンションは対象外
  • 県のマンションアドバイザー派遣は無料・年度内2回・令和9年2月26日まで。開成町で使える
  • 管理計画認定は県、税の申告は町。長寿命化促進税制は令和9年3月31日完了が期限
  • 酒匂川・仙了川・要定川の浸水想定を、設備の位置と修繕の優先順位づけに生かす

出典・参考資料

本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月11日時点で公表されている開成町および神奈川県、国土交通省の公式情報をもとに執筆しています。開成町のゼロカーボン補助は令和8年度の要綱、県のアドバイザー派遣は令和8年度の案内ページを確認しました。木造住宅の耐震補助のページは2024年3月の掲載のため、令和8年度の予算枠・受付状況は町へご確認ください。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請される前に、開成町および神奈川県の該当窓口へ最新の内容をご確認ください。本記事は法的・税務上の助言ではありません。

開成町は、住まいの補助が手厚い町です。ただ、その多くは一戸建て向けで、マンションの共用部は県の制度と、工事の組み立て方で守っていくことになります。浸水想定の確認や工事範囲の整理だけでも、お力になれることがあります。ご相談だけでも遠慮なくお問い合わせフォームからお声がけください。


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この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年10月11日


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横浜市南区の12条点検|マンションは報告対象?外壁全面打診の時期と窓口【2026年度版】

Q. 横浜市南区のマンションやビルは、12条点検(定期報告)の対象になるのか?外壁の全面打診はいつ必要か?

A. 横浜市南区の建物の定期報告は、南区役所ではなく横浜市建築局(建築指導課 建築安全担当)の所管です。横浜市は、共同住宅(サービス付き高齢者向け住宅を除く)と事務所を定期報告の対象用途に指定していません。そのため、住戸だけの分譲マンション・賃貸マンションや、事務所だけのビルは「建築物」の定期報告の対象外です(出典:横浜市「定期報告に関するQ&A」)。一方、横浜市南区の駅前に多い、2階以上に店舗・飲食店・クリニックが入る複合ビルや、サービス付き高齢者向け住宅・グループホームは、規模によって対象になります。外壁の全面打診は、対象建築物であれば竣工・外壁全面改修・前回の全面打診から「おおむね10年」を超えたあとの最初の定期調査で必要です(出典:国土交通省「定期報告制度における外壁のタイル等の調査について」)。

(最終更新:2026年10月11日/執筆時点の現行年度:令和8年度)

結論:横浜市南区で12条点検の対象になる建物と、全面打診のタイミング

株式会社明誠は、東京都東大和市に拠点を置く大規模修繕の会社です。私は代表として20年以上、マンション・ビル・ホテルの修繕現場に立ってきました。神奈川県に広げた12条点検シリーズ、今回は横浜市南区を取り上げます。

横浜市南区は、横浜市のほぼ中央にあり、区の中心を流れる大岡川と、それをはさむ丘からなる区です。面積は12.63㎢で市内18区のうち2番目に小さい一方、人口は約20万人、人口密度は1㎢あたり約15,800人で市内18区の中で1位です。住宅のうち共同住宅が64.0%を占め、借家の割合も約42%あります(出典:横浜市南区「南区統計概要 令和7年度」)。つまり、小さな面積に、分譲マンション・賃貸マンション・店舗付きの建物がぎっしり並んでいる区です。

横浜市南区で「建築物」の定期報告が必要になるかどうかは、次のように整理できます。

建物の種類 横浜市での定期報告(建築物)
住戸だけの分譲マンション・賃貸マンション 対象外(共同住宅は対象用途に指定されていない)
事務所だけのビル 対象外(事務所は対象用途に指定されていない)
2階以上にも店舗・飲食店などが一定規模で入るマンション・ビル 規模により対象
サービス付き高齢者向け住宅・グループホーム 規模により対象
ホテル・旅館、病院・診療所(入院施設あり) 規模により対象
エレベーター(昇降機) 原則すべて対象(毎年)

(出典:横浜市「報告対象建築物・昇降機等」、横浜市「定期報告に関するQ&A」)

東京都内の感覚で考えると間違えやすいところです。東京都では一定規模以上の共同住宅が定期報告の対象ですが、横浜市では対象になりません。ただし「報告の義務がない=外壁を調べなくてよい」ではありません。この点は後ほど詳しくお話しします。

全面打診の要否は、次の一文で判断できます。

「竣工、または前回の全面打診・外壁全面改修から10年を超えていれば、次の定期調査で全面打診が必要」

定期報告の対象外の建物でも、私はこの「10年」を一つの目安にして、外壁の状態を確認することをお勧めしています。

建築基準法第12条の基本(定期調査と定期検査の違い)

建築基準法第12条は、建物の所有者・管理者に「建物の安全を有資格者に定期的に調べさせ、その結果を特定行政庁に報告する」ことを求める制度です。特定行政庁とは、建築確認や違反建築の指導を担う行政機関のことで、横浜市南区を含む横浜市内では横浜市がこれにあたります。

12条には、建物本体を調べる「特定建築物定期調査」(1項)と、設備を調べる「建築設備・防火設備・昇降機等の定期検査」(3項)があります。外壁の打診は、1項の特定建築物定期調査のうち「建築物の外部」の項目に含まれます。

横浜市の案内では、報告の種類と周期は次のとおりです(出典:横浜市「定期報告に関するQ&A」)。

種類 報告の周期(横浜市)
建築物 定期調査報告 3年に1回(用途ごとに年度が決まっている)
建築設備 定期検査報告 毎年
防火設備 定期検査報告 毎年
昇降機等 定期検査報告 毎年
遊戯施設 定期検査報告 毎年

報告の義務を負うのは所有者または管理者で、両者が異なる場合は管理者です。調査ができるのは、一級・二級建築士か特定建築物調査員などの有資格者に限られます。

外壁の全面打診のルールは、平成20年国土交通省告示第282号で定められています。タイル・石貼り(乾式工法を除く)・モルタルなどの外壁で、落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分は、おおむね10年ごとに全面的に打診等で調べることになりました。令和4年1月18日の告示改正では、無人航空機(ドローン)による赤外線調査も、全面打診以外の方法として認められています(出典:国土交通省)。横浜市のQ&Aでも、同じ内容が案内されています。

なお、令和7年7月1日施行の国の告示改正について、横浜市は「常時閉鎖式の防火扉は、引き続き特定建築物定期調査(3年に1回)で調べる」という独自の扱いを示しています。他の特定行政庁とは異なる場合があるため、東京都内に別の建物をお持ちのオーナーさまはご注意ください。

横浜市南区の12条点検:対象の線引き・報告年度・窓口

窓口は横浜市建築局 建築指導課 建築安全担当

項目 内容(公式ページ掲載)
担当(建築物・建築設備・防火設備) 横浜市建築局 建築指導部 建築指導課 建築安全担当
電話 045-671-4539
FAX 045-681-2434
担当(昇降機等) 同 建築指導課 設備担当(電話045-671-4538)
定期報告受付窓口 横浜市中区本町6丁目50番地の10 市庁舎25階

南区役所ではなく、市の建築局が窓口です。横浜市に報告する場合の手数料はかからず、郵送での提出もできます。提出書類の様式は、市の「定期報告オンラインシステム」からダウンロードする形です(出典:横浜市「定期報告に関するQ&A」)。横浜市は調査・検査資格者の紹介を行っていないため、調査会社は管理会社や設計事務所、業界団体の名簿などを参考に、管理組合・オーナー側で選びます。

店舗併設マンション・複合ビルの線引き

横浜市の対象表では、物販店舗・飲食店などの用途は、地階や3階以上、2階の床面積などが一定規模を超えると対象になります。そして重要なのが、対象用途が避難階(通常は1階)だけにあるものは対象にならないという注記です(出典:横浜市「報告対象建築物・昇降機等」)。

横浜市南区には、黄金町・南太田・井土ケ谷・弘明寺(京急線)、阪東橋・吉野町・蒔田・弘明寺(市営地下鉄)と駅が多く、駅の周りには「1階が店舗、上が住戸」という建物がたくさんあります。店舗が1階だけなら、多くの場合は建築物の定期報告の対象外です。一方、2階以上にクリニックや飲食店、物販店が入っている駅前の複合ビルは、面積次第で対象になります。用途ごとの規模は対象外でも、合算すると「複合用途建築物」として対象になるケースもあります。判断がつかない場合は、建築安全担当に確認してください。

報告年度と提出期間(令和8年度はC区分)

横浜市は、建築物の用途ごとに報告年度と提出期間を決めています(出典:横浜市「報告の周期と時期」(2026年5月26日更新))。

区分 主な用途 建築物の報告年度・期間
A 病院・診療所(患者の収容施設あり)、劇場など 令和9年度・12年度…の5〜8月
A ホテル・旅館、集会場、体育館など 令和9年度・12年度…の9〜12月
B 百貨店・物品販売店舗など 令和7年度・10年度…の5〜8月
B 飲食店・遊技場・複合用途建築物など 令和7年度・10年度…の9〜12月
C 宿泊施設のある児童福祉施設・老人ホームなど 令和8年度・11年度…の5〜8月
C サービス付き高齢者向け住宅・認知症高齢者グループホーム・障害者グループホーム 令和8年度・11年度…の9〜12月

令和8年度に報告年度を迎えているのはC区分です。サービス付き高齢者向け住宅やグループホームの提出期間は令和8年9月〜12月で、本記事の公開時点で提出期間中です。横浜市南区は、65歳以上の人口割合が26.5%、老年化指数(65歳以上人口÷15歳未満人口×100)が市内18区中2位と、高齢化が進んでいる区です(出典:南区統計概要 令和7年度)。高齢者向けの住まいを運営するオーナーさまは、まず提出状況をご確認ください。

店舗・飲食店が入る複合ビルの次の報告年度は令和10年度です。検査済証の交付を受けた年度は報告不要で、次の年度から報告が必要になります。

横浜市南区ならではの事情:報告義務のない建物ほど「自主点検」が大事

法律上の「維持保全の努力義務」はすべての建物にある

横浜市は、建物の維持管理について、建築基準法第8条の「建築物の所有者、管理者又は占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならない」という規定を紹介しています(出典:横浜市「建物の維持管理について」)。Q&Aでも、共同住宅や事務所のみの建物について「所有者・管理者が適切な維持管理を行ってください」と書かれています。

報告の義務がなくても、外壁のタイルが落ちて通行人がけがをすれば、建物の所有者・管理者が責任を問われる可能性があります。民法第717条(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)がその根拠です。人口密度が市内で最も高い横浜市南区では、建物と歩道の距離が近く、人通りの多い商店街や通学路に面した建物も少なくありません。外壁の落下は、そのまま人に当たるリスクにつながります。

賃貸オーナーは「売るとき」「貸すとき」も意識を

横浜市は、定期報告概要書の閲覧について、平成30年の宅地建物取引業法の改正で、重要事項説明の中で定期報告に係る書類の保存状況の説明が必須になったと案内しています(出典:横浜市「定期報告概要書の閲覧」)。借家の割合が約4割を占める横浜市南区では、収益物件として建物を売買する場面も多いはずです。対象建築物であれば、報告書をきちんと保存しておくことが、売却時の説明の手間を減らします。対象外の建物でも、外壁調査の報告書が手元にあれば、買主や入居者への説明材料になります。

築年数の古い建物が多い区こそ、まず「最後の全面打診」の確認を

南区統計概要の略年表によると、南区は昭和20年の横浜大空襲で区の約40%が被災し、戦後に街が再建されてきました。住宅戸数は令和5年に107,520戸と、平成30年から約11%増えています(出典:南区統計概要 令和7年度)。古くからのマンションと新しい建物が混在しているのが、横浜市南区の特徴です。

私の現場感覚では、築30年を超えるタイル貼りのマンションで、一度も全面打診をしていない建物は珍しくありません(統計に基づく数字ではなく、現場での所感です)。地上から見て問題がなくても、叩いてみると日当たりの弱い北面や、雨水がたまりやすい窓まわりで浮きがまとまって見つかることがあります。

全面打診が必要になる4つのきっかけ

理事長さまやオーナーさまには、次の4つを「全面打診のきっかけ」としてお伝えしています。

  1. 竣工から10年を超えた:最初の全面打診の起点です。
  2. 外壁の全面改修から10年を超えた:タイル張替えや全面補修をした年から数え直します。
  3. 前回の定期調査で「要是正」とされ、改善が済んでいない:次の報告で改善状況が問われます。
  4. タイルの浮き・剥落の兆候が見つかった:報告年度を待たず、手の届く範囲の打診で異常があれば全面打診で確かめます。

理事長さまから「見た目ではまったく分からなかった」と言われることは、私の現場では珍しくありません。まずは修繕履歴を出して、最後に全面打診をした年を確認してみてください。

費用の目安:打診の㎡単価と、足場・ロープアクセスの差

費用の目安を示します。以下は参考値で、実際の見積は建物の形状・高さ・外壁の仕上げ・敷地条件で大きく変わります。

項目 目安
全面打診調査の㎡単価(調査のみ) 250〜500円/㎡
10階建て・外周80m・打診対象約2,000㎡の調査費 約50〜100万円
同条件で仮設足場を組む場合(工期3か月想定) 約168万円
同条件でロープアクセス工法の場合 約59万円
足場とロープアクセスの差額 約109万円

全体の費用を押し上げるのは、打診そのものより足場です。横浜市南区のように建物が密集し、隣の建物との間が狭い場所では、足場を立てるスペースが取れなかったり、道路使用・占用の手続きが必要になったりします。丘の上の住宅地では、坂の途中に建つ建物で足場の計画が難しくなることもあります。料金の考え方は明誠の大規模修繕の料金の考え方でも公開しています。

ロープアクセス工法が12条打診で選ばれる理由

ロープアクセス工法とは、屋上などの確実な吊元から、作業員がメインロープとバックアップロープの2本に接続して壁面に降り、足場を組まずに調査や補修を行う工法です。吊元は2点以上を確保し、二重の冗長化で安全を確保します。国際基準(IRATA)に沿った、業界標準のやり方です。技術の詳細は明誠のロープアクセス工法のページに、安全への取り組みは明誠の安全管理にまとめています。

12条打診でロープアクセスを選ぶ理由は、主に3つです。

  1. 費用:足場代を抑えられます。上の例では、足場工法より約100万円の差が出る可能性があります。
  2. 期間:足場の組立・解体がないため、足場工法の約60%の工期が目安です。
  3. 居ながら・営業しながら施工:ベランダの前に足場やシートがかからず、日当たりや防犯面の不安が少なく済みます。1階に店舗が入る建物でも、店先を足場でふさがずに済みます。

隣の建物との間が狭い場所でも、屋上に吊元が取れれば、壁面に沿って降りて調べられるのがロープアクセスの強みです。打診は、テストハンマーでタイルやモルタルを一枚ずつ叩き、音の違いを聞き分ける仕事です。職人の耳と手の感覚が品質を左右します。ロープアクセスなら、見つけた浮きにその場でマーキングし、条件が合えば注入による部分補修まで続けて行えます。ドローンの赤外線調査で全体を把握し、気になる面だけロープアクセスで叩いて確かめる、という組み合わせも可能です(ドローンの飛行には周辺環境や法令上の制約があります)。

株式会社明誠は、これまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕に携わってきました。ロープアクセスでの高所作業では、明誠と全国のフランチャイズ加盟企業で、過去16年間、墜落による労働災害ゼロを続けています。作業は、IRATA水準の訓練を受けた作業員が担当します。

ロープアクセスの訓練体制や施工の実例は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムで詳しく紹介しています。足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3工法の比較や、狭小地での打診調査の進め方もロープアクセスドットコムに掲載しています。フランチャイズ加盟をご検討の専門工事会社さまも、ロープアクセスドットコムからご覧ください。

12条点検を大規模修繕・長期修繕計画とつなげる

12条点検(または自主的な外壁調査)と大規模修繕を、別々の会社に別々のタイミングで発注している管理組合は少なくありません。私はこれを、できるだけワンセットで考えるよう提案しています。

  • 足場代の二重払いを避ける:打診のために足場を組み、数年後の大規模修繕でまた組む、という重複をなくせます。
  • 調査結果が補修数量の根拠になる:浮き・欠損の位置と数量が分かれば、見積書の数量が透明になります。
  • 長期修繕計画の精度が上がる:外壁の劣化が数字で分かり、修繕積立金の見通しが立てやすくなります。
  • ハイブリッド工法の判断材料になる:低層部は足場、高層部や狭い面はロープアクセス、と面ごとに使い分けると総額が下がる建物もあります。

横浜市は、令和4年11月1日からマンション管理計画認定制度を始めています。認定の有効期間は5年で、認定を受けると住宅金融支援機構のマンション共用部分リフォーム融資の金利優遇などを受けられる場合があります(出典:横浜市 記者発表資料(令和4年11月30日))。この資料は令和4年の掲載のため、手数料や申請方法の最新の内容は横浜市の公式ページでご確認ください。

外壁の調査結果は、長期修繕計画を見直すときの確かな根拠になります。横浜市南区の分譲マンションは定期報告の義務がないからこそ、「自主的な外壁調査」と「長期修繕計画の見直し」を一本の線でつなぐと、管理組合として説明しやすい資料がそろいます。

分譲マンションの管理組合さまは管理組合様向けの大規模修繕サービスを、賃貸マンション・ビルのオーナーさまはビルオーナー様向けの修繕サービスをご覧ください。

よくあるご質問

Q. 横浜市南区の分譲マンションは、12条の定期報告が必要ですか?

A. 住戸だけの共同住宅は、横浜市では建築物の定期報告の対象用途に指定されていません。ただし、エレベーターは原則として毎年の定期検査報告が必要です。2階以上に店舗などが一定規模で入る場合は対象になることがあります。

Q. 横浜市南区の12条点検の窓口はどこですか?

A. 南区役所ではなく、横浜市建築局 建築指導課 建築安全担当(電話045-671-4539)です。昇降機は同課の設備担当(電話045-671-4538)です。

Q. 1階に店舗が入っているマンションは対象ですか?

A. 横浜市の対象表では、対象用途が避難階(通常は1階)のみにあるものは対象外と注記されています。2階以上の利用状況や面積によって変わるため、建築安全担当にご確認ください。

Q. サービス付き高齢者向け住宅の報告はいつですか?

A. 横浜市の案内では、令和8年度・11年度…の9〜12月です。令和8年度は報告年度にあたるため、対象の建物は令和8年12月までの提出が必要です。

Q. 外壁の全面打診は何年ごとですか?

A. 定期報告の対象建築物では、竣工や外壁の全面改修から、おおむね10年を経過したあとの最初の定期調査で必要です。根拠は平成20年国土交通省告示第282号です。

Q. 全面打診の費用はどのくらいですか?

A. 調査のみで250〜500円/㎡が目安です。打診対象2,000㎡なら約50〜100万円ですが、足場の有無で総額は大きく変わります。概算は無料でお出ししています。

Q. 隣の建物との間が狭くても打診できますか?

A. 屋上に2点以上の吊元を確保できれば、ロープアクセス工法でメインロープとバックアップロープの2本に接続して降り、壁面を直接叩いて調べられます。現地を見て、足場との組み合わせも含めてご提案します。

まとめ+今週動くこと3点

横浜市南区の12条点検の窓口は、横浜市建築局の建築指導課 建築安全担当です。横浜市では、住戸だけのマンションや事務所だけのビルは建築物の定期報告の対象外ですが、2階以上に店舗が入る複合ビルや、サービス付き高齢者向け住宅・グループホームは規模により対象になります。報告義務のない建物でも、所有者・管理者には維持保全の努力義務があり、外壁の落下事故の責任は残ります。

今週動くことを3つに絞ります。

  1. 対象かどうかを確認する:建物の各階の用途と面積を整理し、建築安全担当(045-671-4539)で定期報告の対象かどうかを確かめる。高齢者向け住宅は令和8年12月までの提出状況を確認する。
  2. 最後の全面打診の年を調べる:修繕履歴や過去の調査報告書を確認し、10年を超えていないかを見る。報告義務がなくても、10年を目安に外壁の状態を数字で把握する。
  3. 理事会・オーナー会議で話題に出す:外壁調査と次の大規模修繕・長期修繕計画の見直しを一体で考えることを、次の会議で1分だけでも共有する。

明誠の施工実績は明誠の施工事例で、私たちの考え方は明誠の理念でご覧いただけます。ご相談は大規模修繕・打診調査のお問い合わせフォームからどうぞ。横浜市南区を含む神奈川県全域で、現地調査にも対応しています。理事会前の情報整理だけでも、お力になれることがあります。

出典・参考資料

本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月11日(令和8年度)時点で公表されている国土交通省・横浜市の公式情報をもとに執筆しています。横浜市の「定期報告に関するQ&A」は2026年8月4日更新、「報告の周期と時期」は2026年5月26日更新、「定期報告概要書の閲覧」は2026年3月31日更新の掲載を確認しました。「報告対象建築物・昇降機等」「建物の維持管理について」は前年度以前の更新、管理計画認定制度の記者発表は令和4年の掲載のため、内容が変わっている可能性があります。制度は年度途中でも改正があり得ます。調査・報告・申請の前に、横浜市建築局 建築指導課 建築安全担当(045-671-4539)へ最新の内容をご確認ください。費用の数字は参考値で、個別の見積を保証するものではありません。

この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年10月11日


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ロープアクセス工法の詳細や実例については、姉妹サイト「ロープアクセスドットコム」の以下の記事もぜひご覧ください。

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横浜市港北区の12条点検|新横浜・日吉のホテルやビルは対象?外壁全面打診の判断【2026年度版】

Q. 横浜市港北区のマンションやビル、ホテルは、12条点検(定期報告)の対象になるのか?外壁の全面打診はいつ必要か?

A. 横浜市港北区の建物の定期報告は、港北区役所ではなく横浜市建築局(建築指導課 建築安全担当)の所管です。横浜市は、共同住宅(サービス付き高齢者向け住宅を除く)と事務所を定期報告の対象用途に指定していません。住戸だけの分譲マンション・賃貸マンションや、事務所だけのビルは「建築物」の定期報告の対象外です(出典:横浜市「定期報告に関するQ&A」)。一方、新横浜や日吉、綱島などの駅周辺に多いホテル、2階以上に店舗・飲食店・クリニックが入る複合ビル、サービス付き高齢者向け住宅は、規模によって対象になります。外壁の全面打診は、対象建築物であれば竣工・外壁全面改修・前回の全面打診から「おおむね10年」を超えたあとの最初の定期調査で必要です(出典:国土交通省「定期報告制度における外壁のタイル等の調査について」)。

(最終更新:2026年10月11日/執筆時点の現行年度:令和8年度)

結論:横浜市港北区で12条点検の対象になる建物と、全面打診のタイミング

株式会社明誠は、東京都東大和市に拠点を置く大規模修繕の会社です。私は代表として20年以上、マンション・ビル・ホテルの修繕現場に立ってきました。神奈川県に広げた12条点検シリーズ、今回は横浜市港北区を取り上げます。

横浜市港北区は、横浜市の北東部にあり、北から北東にかけて川崎市と接しています。面積は31.40㎢で、多摩丘陵の東端に位置し、丘陵から連なるなだらかな丘と、川沿いの平地でできた区です。区内には鶴見川と早淵川が流れています(出典:横浜市港北区「港北区の位置・地勢」)。人口は365,516人、世帯数は181,842世帯(令和8年9月1日現在の推計)です(出典:横浜市港北区「最新の人口・世帯数」)。面積と人口から私が単純計算すると、1㎢あたり約11,600人が暮らす区です。

港北区には、日吉(東急東横線・新横浜線・横浜市営地下鉄グリーンライン)、菊名(東急東横線・JR横浜線)、新横浜(JR横浜線・新幹線・横浜市営地下鉄ブルーライン・相模鉄道)、綱島・大倉山(東急東横線)といった主要駅があります(出典:横浜市港北区「港北区の基本データ」)。新幹線の停車駅である新横浜周辺にはホテルやオフィスビルが集まり、日吉や綱島、大倉山の駅前には、住居と店舗が混在する建物が多く見られます。

横浜市港北区で「建築物」の定期報告が必要になるかどうかは、次のように整理できます。

建物の種類 横浜市での定期報告(建築物)
住戸だけの分譲マンション・賃貸マンション 対象外(共同住宅は対象用途に指定されていない)
事務所だけのビル 対象外(事務所は対象用途に指定されていない)
ホテル・旅館 規模により対象(地階100㎡超、3階以上100㎡超、2階300㎡以上など)
飲食店・物販店舗が入るマンション・ビル 規模により対象(地階100㎡超、3階以上100㎡超、2階500㎡以上など)
サービス付き高齢者向け住宅・グループホーム 規模により対象
エレベーター(昇降機) 原則すべて対象(毎年)

(出典:横浜市「報告対象建築物・昇降機等」、横浜市「定期報告に関するQ&A」)

東京都内の感覚で考えると間違えやすいところです。東京都では一定規模以上の共同住宅が定期報告の対象ですが、横浜市では対象になりません。ただし「報告の義務がない=外壁を調べなくてよい」ではありません。この点は後ほど詳しくお話しします。

全面打診の要否は、次の一文で判断できます。

「竣工、または前回の全面打診・外壁全面改修から10年を超えていれば、次の定期調査で全面打診が必要」

定期報告の対象外の建物でも、私はこの「10年」を一つの目安にして、外壁の状態を確認することをお勧めしています。

建築基準法第12条の基本(定期調査と定期検査の違い)

建築基準法第12条は、建物の所有者・管理者に「建物の安全を有資格者に定期的に調べさせ、その結果を特定行政庁に報告する」ことを求める制度です。特定行政庁とは、建築確認や違反建築の指導を担う行政機関のことで、横浜市港北区を含む横浜市内では横浜市がこれにあたります。

12条には、建物本体を調べる「特定建築物定期調査」(1項)と、設備を調べる「建築設備・防火設備・昇降機等の定期検査」(3項)があります。外壁の打診は、1項の特定建築物定期調査のうち「建築物の外部」の項目に含まれます。

横浜市の案内では、報告の種類と周期は次のとおりです(出典:横浜市「定期報告に関するQ&A」)。

種類 報告の周期(横浜市)
建築物 定期調査報告 3年に1回(用途ごとに年度が決まっている)
建築設備 定期検査報告 毎年
防火設備 定期検査報告 毎年
昇降機等 定期検査報告 毎年
遊戯施設 定期検査報告 毎年

報告の義務を負うのは所有者または管理者で、両者が異なる場合は管理者です。調査ができるのは、一級・二級建築士か特定建築物調査員などの有資格者に限られます。

外壁の全面打診のルールは、平成20年国土交通省告示第282号で定められています。タイル・石貼り(乾式工法を除く)・モルタルなどの外壁で、落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分は、おおむね10年ごとに全面的に打診等で調べることになりました。令和4年1月18日の告示改正では、無人航空機(ドローン)による赤外線調査も、全面打診以外の方法として認められています(出典:国土交通省)。横浜市のQ&Aでも、同じ内容が案内されています。

横浜市港北区の12条点検:窓口・対象の線引き・報告年度

窓口は横浜市建築局 建築指導課 建築安全担当

項目 内容(公式ページ掲載)
担当(建築物・建築設備・防火設備) 横浜市建築局 建築指導部 建築指導課 建築安全担当
電話 045-671-4539
担当(昇降機等) 同 建築指導課 設備担当(電話045-671-4538)
コールセンター 045-664-2525

港北区役所ではなく、市の建築局が窓口です。横浜市に報告する場合の手数料はかかりません(出典:横浜市「定期報告に関するQ&A」)。調査会社は、管理会社や設計事務所、業界団体の名簿などを参考に、管理組合・オーナー側で選びます。

ホテル・店舗併設ビルの線引き

横浜市の対象表では、ホテル・旅館や病院・診療所(患者の収容施設あり)は、地階または3階以上の床面積が100㎡を超える場合や、2階の床面積が300㎡以上の場合に対象になります。飲食店や物販店舗は、地階・3階以上が100㎡超、2階が500㎡以上、または建物全体で3,000㎡以上などの条件があります。そして重要なのが、対象用途が避難階(通常は1階)だけにあるものは対象にならないという注記です(出典:横浜市「報告対象建築物・昇降機等」、最終更新2025年12月1日)。

新横浜のように新幹線の駅の周りでホテルが並ぶエリアは、ホテルとして明確に対象になります。日吉や綱島、大倉山の駅前に多い「1階が店舗、上が住戸」の建物は、店舗が1階だけなら多くの場合、建築物の定期報告の対象外です。一方、2階以上に飲食店やクリニック、物販店が入る駅前の複合ビルは、面積次第で対象になります。判断がつかない場合は、建築安全担当に確認してください。

報告年度と提出期間(令和8年度はC区分)

横浜市は、建築物の用途ごとに報告年度と提出期間を決めています(出典:横浜市「報告の周期と時期」(2026年5月26日更新))。

区分 主な用途 建築物の報告年度・期間
A 病院・診療所(患者の収容施設あり)など 令和9年度・12年度…の5〜8月
A ホテル・旅館、集会場、体育館など 令和9年度・12年度…の9〜12月
B 百貨店・物品販売店舗など 令和7年度・10年度…の5〜8月
B 飲食店・遊技場・複合用途建築物など 令和7年度・10年度…の9〜12月
C 宿泊施設のある児童福祉施設・老人ホームなど 令和8年度・11年度…の5〜8月
C サービス付き高齢者向け住宅・認知症高齢者グループホーム・障害者グループホーム 令和8年度・11年度…の9〜12月

令和8年度に報告年度を迎えているのはC区分です。サービス付き高齢者向け住宅やグループホームの提出期間は令和8年9月〜12月で、本記事の公開時点で提出期間中です。港北区は、65歳以上が72,416人で人口の20.1%を占めています(出典:港北区の基本データ、令和8年1月1日現在の推計)。高齢者向けの住まいを運営するオーナーさまは、まず提出状況をご確認ください。

港北区に多いホテルの次の報告年度は令和9年度(提出期間は9〜12月)です。つまり、新横浜のホテルオーナーさまにとっては、あと1年のうちに外壁の全面打診の要否を整理しておく時期にあたります。令和9年度の報告で全面打診が必要になると、直前に慌てて足場や調査会社を探すことになり、費用も工期も不利になりがちです。飲食店・複合用途建築物の次の報告年度は令和10年度です。検査済証の交付を受けた年度は報告不要で、次の年度から報告が必要になります。

横浜市港北区ならではの事情:報告義務のない建物ほど「自主点検」が大事

法律上の「維持保全の努力義務」はすべての建物にある

横浜市は、建物の維持管理について、建築基準法第8条の「建築物の所有者、管理者又は占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならない」という規定を紹介しています(出典:横浜市「建物の維持管理について」、最終更新2024年10月1日)。Q&Aでも、共同住宅や事務所のみの建物について、所有者・管理者による適切な維持管理が求められています。

報告の義務がなくても、外壁のタイルが落ちて通行人がけがをすれば、建物の所有者・管理者が責任を問われる可能性があります。民法第717条(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)がその根拠です。港北区は、日産スタジアムの利用者が2024年度に115万人を超えるなど、大きな催しの日に人が集まる区です(出典:港北区の基本データ)。新横浜駅から会場へ向かう道に面した建物は、普段より歩行者が増える日があります。外壁の落下リスクは、人通りが多い道に面しているほど高くなります。

賃貸オーナーは「売るとき」「貸すとき」も意識を

横浜市は、平成30年の宅地建物取引業法の改正で、重要事項説明の中で定期報告に係る書類の保存状況の説明が必須になったと案内しています(出典:横浜市「定期報告概要書の閲覧」、最終更新2026年3月31日)。港北区は東急東横線沿線で駅が多く、収益物件の売買や賃貸の動きがある区です。対象建築物であれば、報告書をきちんと保存しておくことが、売却時の説明の手間を減らします。対象外の建物でも、外壁調査の報告書が手元にあれば、買主や入居者への説明材料になります。

丘と川沿いの平地が混在する区では、面ごとの劣化に差が出る

港北区は、多摩丘陵の東端に位置し、なだらかな丘と川沿いの平地が混在しています。丘の上や坂の途中に建つマンションは、外周の敷地が斜めで、足場の計画が難しくなることがあります。私の現場感覚では、日当たりの弱い北面や、雨水がたまりやすい窓まわりは、タイルの浮きが集中しやすい場所です(統計に基づく数字ではなく、現場での所感です)。築30年を超えるタイル貼りのマンションで、一度も全面打診をしていない建物は珍しくありません。地上から見て問題がなくても、叩いてみて初めて浮きがまとまって見つかることがあります。

全面打診が必要になる4つのきっかけ

理事長さまやオーナーさまには、次の4つを「全面打診のきっかけ」としてお伝えしています。

  1. 竣工から10年を超えた:最初の全面打診の起点です。
  2. 外壁の全面改修から10年を超えた:タイル張替えや全面補修をした年から数え直します。
  3. 前回の定期調査で「要是正」とされ、改善が済んでいない:次の報告で改善状況が問われます。
  4. タイルの浮き・剥落の兆候が見つかった:報告年度を待たず、手の届く範囲の打診で異常があれば全面打診で確かめます。

理事長さまから「見た目ではまったく分からなかった」と言われることは、私の現場では珍しくありません。まずは修繕履歴を出して、最後に全面打診をした年を確認してみてください。

費用の目安:打診の㎡単価と、足場・ロープアクセスの差

費用の目安を示します。以下は参考値で、実際の見積は建物の形状・高さ・外壁の仕上げ・敷地条件で大きく変わります。

項目 目安
全面打診調査の㎡単価(調査のみ) 250〜500円/㎡
10階建て・外周80m・打診対象約2,000㎡の調査費 約50〜100万円
同条件で仮設足場を組む場合(工期3か月想定) 約168万円
同条件でロープアクセス工法の場合 約59万円
足場とロープアクセスの差額 約109万円

全体の費用を押し上げるのは、打診そのものより足場です。港北区の駅前のように人通りと交通量の多い場所では、足場を立てるための道路使用・占用の手続きや、歩行者の安全対策に手間と費用がかかります。ホテルでは、足場とシートが客室の景観や営業に影響します。料金の考え方は明誠の大規模修繕の料金の考え方でも公開しています。

ロープアクセス工法が12条打診で選ばれる理由

ロープアクセス工法とは、屋上などの確実な吊元から、作業員がメインロープとバックアップロープの2本に接続して壁面に降り、足場を組まずに調査や補修を行う工法です。吊元は2点以上を確保し、二重の冗長化で安全を確保します。国際基準(IRATA)に沿った、業界標準のやり方です。技術の詳細は明誠のロープアクセス工法のページに、安全への取り組みは明誠の安全管理にまとめています。

12条打診でロープアクセスを選ぶ理由は、主に3つです。

  1. 費用:足場代を抑えられます。上の例では、足場工法より約100万円の差が出る可能性があります。
  2. 期間:足場の組立・解体がないため、足場工法の約60%の工期が目安です。
  3. 居ながら・営業しながら施工:ベランダの前に足場やシートがかからず、日当たりや防犯面の不安が少なく済みます。ホテルでは客室の眺望や営業への影響を抑えやすく、1階に店舗が入る建物でも店先を足場でふさがずに済みます。

打診は、テストハンマーでタイルやモルタルを一枚ずつ叩き、音の違いを聞き分ける仕事です。職人の耳と手の感覚が品質を左右します。ロープアクセスなら、見つけた浮きにその場でマーキングし、条件が合えば注入による部分補修まで続けて行えます。ドローンの赤外線調査で全体を把握し、気になる面だけロープアクセスで叩いて確かめる、という組み合わせも可能です(ドローンの飛行には周辺環境や法令上の制約があります)。

株式会社明誠は、これまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕に携わってきました。ロープアクセスでの高所作業では、明誠と全国のフランチャイズ加盟企業で、過去16年間、墜落による労働災害ゼロを続けています。作業は、IRATA水準の訓練を受けた作業員が担当します。

ロープアクセスの訓練体制や施工の実例は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムで詳しく紹介しています。足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3工法の比較や、ホテルなど営業を止められない建物での打診調査の進め方もロープアクセスドットコムに掲載しています。フランチャイズ加盟をご検討の専門工事会社さまも、ロープアクセスドットコムからご覧ください。

12条点検を大規模修繕・長期修繕計画とつなげる

12条点検(または自主的な外壁調査)と大規模修繕を、別々の会社に別々のタイミングで発注している管理組合は少なくありません。私はこれを、できるだけワンセットで考えるよう提案しています。

  • 足場代の二重払いを避ける:打診のために足場を組み、数年後の大規模修繕でまた組む、という重複をなくせます。
  • 調査結果が補修数量の根拠になる:浮き・欠損の位置と数量が分かれば、見積書の数量が透明になります。
  • 長期修繕計画の精度が上がる:外壁の劣化が数字で分かり、修繕積立金の見通しが立てやすくなります。
  • ハイブリッド工法の判断材料になる:低層部は足場、高層部や狭い面はロープアクセス、と面ごとに使い分けると総額が下がる建物もあります。

横浜市は、令和4年11月1日からマンション管理計画認定制度を始めています。認定の有効期間は5年で、認定を受けると住宅金融支援機構のマンション共用部分リフォーム融資の金利優遇などを受けられる場合があります(出典:横浜市 記者発表資料(令和4年11月30日))。この資料は令和4年の掲載のため、手数料や申請方法の最新の内容は横浜市の公式ページでご確認ください。

外壁の調査結果は、長期修繕計画を見直すときの確かな根拠になります。港北区の分譲マンションは定期報告の義務がないからこそ、「自主的な外壁調査」と「長期修繕計画の見直し」を一本の線でつなぐと、管理組合として説明しやすい資料がそろいます。ホテルや複合ビルのオーナーさまは、令和9年度の報告に合わせて、調査と補修を計画的に進めると費用を平準化できます。

分譲マンションの管理組合さまは管理組合様向けの大規模修繕サービスを、賃貸マンション・ビルのオーナーさまはビルオーナー様向けの修繕サービスを、ホテルの運営者さまはホテル様向けの大規模修繕サービスをご覧ください。

よくあるご質問

Q. 横浜市港北区の分譲マンションは、12条の定期報告が必要ですか?

A. 住戸だけの共同住宅は、横浜市では建築物の定期報告の対象用途に指定されていません。ただし、エレベーターは原則として毎年の定期検査報告が必要です。2階以上に店舗などが一定規模で入る場合は対象になることがあります。

Q. 横浜市港北区の12条点検の窓口はどこですか?

A. 港北区役所ではなく、横浜市建築局 建築指導課 建築安全担当(電話045-671-4539)です。昇降機は同課の設備担当(電話045-671-4538)です。

Q. 新横浜のホテルの次の報告はいつですか?

A. 横浜市の案内では、ホテル・旅館の建築物の報告は令和9年度・12年度…の9〜12月です。地階または3階以上が100㎡超などの条件があるため、詳しくは建築安全担当にご確認ください。

Q. 1階に店舗が入っているマンションは対象ですか?

A. 横浜市の対象表では、対象用途が避難階(通常は1階)のみにあるものは対象外と注記されています。2階以上の利用状況や面積によって変わるため、建築安全担当にご確認ください。

Q. 外壁の全面打診は何年ごとですか?

A. 定期報告の対象建築物では、竣工や外壁の全面改修から、おおむね10年を経過したあとの最初の定期調査で必要です。根拠は平成20年国土交通省告示第282号です。

Q. 全面打診の費用はどのくらいですか?

A. 調査のみで250〜500円/㎡が目安です。打診対象2,000㎡なら約50〜100万円ですが、足場の有無で総額は大きく変わります。概算は無料でお出ししています。

Q. 営業中のホテルや店舗併設ビルでも打診できますか?

A. 屋上に2点以上の吊元を確保できれば、ロープアクセス工法でメインロープとバックアップロープの2本に接続して降り、足場なしで壁面を叩いて調べられます。営業時間や客室稼働に合わせた作業計画を、現地を見てご提案します。

まとめ+今週動くこと3点

横浜市港北区の12条点検の窓口は、横浜市建築局の建築指導課 建築安全担当です。横浜市では、住戸だけのマンションや事務所だけのビルは建築物の定期報告の対象外ですが、ホテルや、2階以上に店舗が入る複合ビル、サービス付き高齢者向け住宅・グループホームは規模により対象になります。報告義務のない建物でも、所有者・管理者には維持保全の努力義務があり、外壁の落下事故の責任は残ります。

今週動くことを3つに絞ります。

  1. 対象かどうかを確認する:建物の各階の用途と面積を整理し、建築安全担当(045-671-4539)で定期報告の対象かどうかを確かめる。高齢者向け住宅は令和8年12月までの提出状況を、ホテルは令和9年度の準備を確認する。
  2. 最後の全面打診の年を調べる:修繕履歴や過去の調査報告書を確認し、10年を超えていないかを見る。報告義務がなくても、10年を目安に外壁の状態を数字で把握する。
  3. 理事会・オーナー会議で話題に出す:外壁調査と次の大規模修繕・長期修繕計画の見直しを一体で考えることを、次の会議で1分だけでも共有する。

明誠の施工実績は明誠の施工事例で、私たちの考え方は明誠の理念でご覧いただけます。ご相談は大規模修繕・打診調査のお問い合わせフォームからどうぞ。横浜市港北区を含む神奈川県全域で、現地調査にも対応しています。理事会前の情報整理だけでも、お力になれることがあります。

出典・参考資料

本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月11日(令和8年度)時点で公表されている国土交通省・横浜市の公式情報をもとに執筆しています。横浜市の「定期報告に関するQ&A」は2026年8月4日更新、「報告の周期と時期」は2026年5月26日更新、「定期報告概要書の閲覧」は2026年3月31日更新、港北区の人口・世帯数は2026年9月7日更新の掲載を確認しました。「報告対象建築物・昇降機等」は2025年12月1日更新、「建物の維持管理について」は2024年10月1日更新、港北区の位置・地勢は2023年12月28日更新、管理計画認定制度の記者発表は令和4年の掲載のため、内容が変わっている可能性があります。制度は年度途中でも改正があり得ます。調査・報告・申請の前に、横浜市建築局 建築指導課 建築安全担当(045-671-4539)へ最新の内容をご確認ください。費用の数字は参考値で、個別の見積を保証するものではありません。

この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年10月11日


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二宮町のマンション補助金|大規模修繕2026年度版

2026年10月11日 更新

「二宮町のマンションで、大規模修繕に使える補助金はありますか?」

先に結論をお伝えします。令和8年度(2026年度)の二宮町公式サイトで確認できた範囲では、外壁塗装や屋上防水といった共用部分の大規模修繕の工事費を、管理組合に補助する町の制度は見つかりませんでした。 町の住宅関連の補助は「居住用木造建築物」の耐震診断・耐震改修、「空き家バンクに登録された一戸建て」のリフォーム、「個人が所有するブロック塀等」の撤去の3系統で、鉄筋コンクリート造のマンションの共用部はいずれも正面からは対象になりません。

それでも、二宮町のマンション管理組合が押さえておきたい制度は3つあります。1つ目は、通学路に面した塀なら撤去費の10分の9以内・上限20万円という、手厚い「ブロック塀等撤去工事補助金」(ただし対象は個人所有の塀)。2つ目は、神奈川県がマンション管理士などの専門家を無料で派遣する「マンションアドバイザー派遣事業」(令和8年度は令和9年2月26日まで受付)。3つ目は、二宮町を含む県内の町村部では神奈川県が認定する「マンション管理計画認定制度」と、国の長寿命化促進税制の組み合わせです。

こんにちは、株式会社明誠の本間です。マンション・ビル・ホテルの大規模修繕に20年以上携わってきました。この記事では、二宮町のマンション管理組合の理事長さま・理事の皆さまに向けて、町と県の制度を「共用部に使えるか、使えないか」で仕分けし、補助金がない町で修繕積立金を守るための段取りと、工事費そのものを抑える工法の選び方までお伝えします。

早見表:二宮町のマンションで使える制度・使えない制度

令和8年度の二宮町公式ページと、神奈川県・国土交通省の公表資料をもとに整理しました。

制度 窓口 管理組合(共用部)で使えるか 内容
ブロック塀等撤去工事補助金(令和8年度) 二宮町 都市整備課 △ 原則難しい(対象は「個人が所有する」道路沿いの塀) 撤去費の1/2以内・上限10万円。通学路に面する場合は9/10以内・上限20万円。予定13件
居住用木造建築物耐震改修工事補助事業(令和8年度) 二宮町 都市整備課 × マンションは対象外 町の耐震診断で評点1.0未満の木造住宅が対象。費用の1/2・上限50万円(町内登録事業者なら上限70万円)。予定3件
空き家リフォーム補助事業(令和8年度) 二宮町 都市整備課 × マンションは対象外 空き家バンクに登録された居住用の一戸建てが対象。1/2・上限50万円
マンションアドバイザー派遣事業(令和8年度) 神奈川県 住宅計画課 ○ 相談に使える(工事費の補助ではない) 派遣料無料、1回3時間以内、1管理組合につき年度内最大2回。令和9年2月26日まで
マンション管理計画認定制度 神奈川県(町村部は県が認定) ○ 間接的に有利 長寿命化促進税制や融資の金利引下げの前提になる
マンション長寿命化促進税制 国(申告先は二宮町) ○ 間接的に有利 一定の大規模修繕を令和9年3月31日までに完了した場合、翌年度の固定資産税を減額

ポイントは、共用部の大規模修繕費に直接使える町の補助は見当たらない一方で、「県の無料アドバイザー」「管理計画認定と税制」を組み合わせる余地があることです。そして、補助金が少ない町ほど、工事の範囲と工法の選び方が修繕積立金を守るうえで大きな意味を持ちます。

二宮町のマンションの特徴-相模湾に面した「町村部」

二宮町は神奈川県中郡にあり、相模湾に面した町です。JR東海道線の二宮駅を中心に住宅地が広がり、東京・横浜方面への通勤圏でもあります。マンション管理の観点では、大きな特徴が2つあります。

1つ目は、二宮町は「町村部」なので、マンション管理計画の認定やアドバイザー派遣の窓口が神奈川県になることです。市と比べて町独自のマンション支援策が少ないぶん、県の制度を使いこなすことが大切になります。

2つ目は、海に近い立地による劣化の進み方です。海沿いのマンションでは、潮風による鉄部(手すり・扉・配管など)のさびや、シーリング(外壁の継ぎ目を埋めるゴム状の材料)の劣化が、内陸より早く進む傾向があります。海側と山側の面で劣化の度合いがはっきり違うことも珍しくありません。

私の経験では、こうした建物で「築12年だから全面改修」と一律に決めてしまうと、まだ使える部分まで工事することになりがちです。劣化に合わせて工事範囲と時期を組み立てることが、補助金を探すのと同じくらい、修繕積立金を守るカギになります。

二宮町の制度①:ブロック塀等撤去工事補助金-通学路沿いは9/10・上限20万円

二宮町のブロック塀等撤去工事補助金は、地震や台風で劣化したブロック塀等が倒れ、道路をふさいで避難や救助の妨げになるのを防ぐための制度です。町のページ(2026年7月15日更新)と対象基準(PDF)をもとに整理します。

項目 内容
対象の塀 道路(国道、県道、町管理道路、私道)に面する、個人が所有するブロック塀等。私道は通学路に指定されている場合のみ
塀の種類 ブロック塀、鉄筋コンクリート組立塀(いわゆる万年塀)、石積み(大谷石など)、レンガ積み。木製やアルミフェンスは対象外
高さの条件 道路面から60cmを超える塀。擁壁の上の塀は、擁壁との合計が1mを超え、かつ塀が60cmを超えるもの
対象工事 撤去、または道路面からの高さを60cm以下にする工事。隣地に面した塀は対象外
補助額(一般) 撤去工事費の1/2以内・上限10万円
補助額(通学路) 通学路に面している場合は撤去工事費の9/10以内・上限20万円
補助予定件数 13件
受付期間 令和8年5月19日〜令和8年12月28日(土日祝・休日を除く)
施工業者 町内登録事業者による工事が対象
窓口 都市部 都市整備課 計画指導班(0463-71-5956)

通学路沿いで9/10・上限20万円という補助率は、近隣の町と比べても手厚い水準です。ただし、マンションでこの補助を使うには、次の点に注意が必要です。

マンションで使うときの3つの注意点

  1. 対象は「個人が所有する」塀です。 マンションの敷地を囲む塀は、一般に区分所有者全員の共有(共用部分)で、管理組合が管理しています。この場合に対象となるかは、町の資料からは読み取れませんでした。計画の前に都市整備課へ必ず確認してください。
  2. 「売買を目的としたもの」や開発行為に伴う工事は対象外です。賃貸マンションのオーナーさまが所有する塀の扱いも、あわせて確認が必要です。
  3. 工事の着工前に交付申請が必要で、受付は令和8年12月28日までです。町のページには完了実績報告書の提出期限について「令和8年3月末まで」との記載がありますが、受付期間(令和8年5月〜12月)と整合しないため、実際の期限は町に確認してください。総会決議が必要な管理組合では、次年度(令和9年度)の制度内容を確認したうえで、年度の早い時期に申請する計画が現実的です。

なお、前面道路の幅が4m未満の場合、町は「狭あい道路拡幅整備事業」への協力を呼びかけています。道路の中心線から2mまで敷地を後退する場合、測量や登記を町の負担で行い、塀などの物件は補償される仕組みです。窓口は都市整備課 道路班です。

二宮町の制度②③:耐震改修と空き家リフォームは「マンション対象外」

居住用木造建築物耐震改修工事補助事業

二宮町の居住用木造建築物耐震改修工事補助事業は、町が実施する耐震診断で上部構造評点が1.0未満と判定された木造住宅の耐震補強工事が対象です。補助額は工事費の1/2・上限50万円、町内登録事業者に依頼する場合は上限70万円で、令和8年度の補助予定件数は3件、受付は令和8年5月19日から12月28日までです(申請は着工の14日前まで)。鉄筋コンクリート造のマンションは対象外です。

旧耐震基準(1981年5月以前に建築確認)のマンションの場合は、まず県のアドバイザー派遣で、耐震性の向上についての考え方を相談してみてください。

空き家リフォーム補助事業

空き家リフォーム補助事業は、対象工事費の1/2・上限50万円と金額は大きいものの、交付要綱(PDF)で対象の空き家を「空き家バンク登録台帳に登録された居住用の一戸建て」と定めています。マンションの住戸や共用部は対象外です。

一般向けの住宅リフォーム補助:令和8年度は確認できず

近隣の寒川町や湯河原町には、マンションの専有部分にも使える住宅リフォーム補助があります。しかし、二宮町の公式サイトでは、令和8年度に一般の住宅リフォームを補助する制度を確認できませんでした。 町の住宅に関するページでも、補助は耐震・ブロック塀・空き家の3系統の案内です。見落としの可能性もありますので、各住戸のリフォームを検討している区分所有者の方は、町に問い合わせてみてください。

本命の制度:神奈川県のマンションアドバイザー派遣-二宮町の管理組合は無料で使えます

町の補助が共用部に使えない以上、大規模修繕を前に管理組合が最初に使いたいのがこの制度です。神奈川県の令和8年度 マンションアドバイザー派遣事業のご案内(PDF)によると、内容は次のとおりです。

項目 内容
派遣対象 神奈川県内の分譲マンションの管理組合等(横浜市・川崎市・相模原市・横須賀市を除く)。二宮町は対象
アドバイザー マンション管理士等の資格を持ち、マンション管理の相談経験がある人
相談時間・回数 1回につきアドバイザー1〜2名、3時間以内。夜間・休日にも対応。1管理組合につき年度内最大2回
派遣料 無料
申込期間 令和8年6月26日〜令和9年2月26日(申込者が多数の場合は早期に終了)
事前相談窓口 NPO法人 かながわマンション管理組合ネットワーク(045-620-6300)

相談できる内容には、長期修繕計画や大規模修繕、修繕積立金などの財務、管理規約、耐震性の向上、管理計画認定制度が含まれています。

一方で、チラシには見積書の比較診断、工事の受注、業者の紹介、長期修繕計画の策定そのもの、管理計画認定の申請業務などは派遣業務の範囲外と明記されています。アドバイザーは「中立の立場で考え方を整理してくれる人」です。工事の見積りや工法の比較は施工会社から複数取り寄せ、アドバイザーの助言を判断の物差しにする、という使い方がよいでしょう。詳しくは神奈川県のマンションアドバイザーのページをご覧ください。

マンション管理計画認定制度-二宮町は「神奈川県」が認定します

マンション管理計画認定制度は、管理組合の管理計画が一定の基準を満たしていることを、自治体が認定する制度です。認定を受けると、後述のマンション長寿命化促進税制を使う前提になるほか、住宅金融支援機構の融資で金利引下げの対象になります。

神奈川県のマンション管理計画認定 申請の手引き(PDF)によると、二宮町を含む県内14町村(葉山町、寒川町、大磯町、二宮町、中井町、大井町、松田町、山北町、開成町、箱根町、真鶴町、湯河原町、愛川町、清川村)では、神奈川県が認定を行います。

主な認定基準は次のとおりです。

  • 管理者等と監事が置かれ、集会(総会)が年1回以上開かれていること
  • 管理費と修繕積立金を区分して経理し、修繕積立金を他の会計に充てていないこと
  • 修繕積立金の3か月以上の滞納額が全体の1割以内であること
  • 長期修繕計画が標準様式に準拠し、7年以内に作成・見直しされ、計画期間30年以上・残りの期間に大規模修繕工事を2回以上含むこと
  • 将来の一時金の徴収を予定しておらず、計画の最終年度に借入金の残高がないこと

窓口は県土整備局建築住宅部住宅計画課です。手引きは令和4年4月版のため、最新の様式や手数料は県に確認してください。県の住生活基本計画 第5章(マンション管理適正化推進計画)(PDF)では、25年以上の長期修繕計画に基づいて修繕積立金を設定している管理組合の割合を、2030(令和12)年度までに65%以上にする目標が掲げられています。

マンション長寿命化促進税制-認定の取得から逆算を

国のマンション長寿命化促進税制は、築20年以上・10戸以上のマンションで、管理計画の認定などを受けたうえで、長寿命化に資する大規模修繕工事(外壁塗装等、床防水、屋根防水)を行った場合に、各住戸の翌年度の固定資産税を減額する制度です。対象は令和9年3月31日までに完了した工事で、完了後3か月以内に申告が必要です。

二宮町の場合、認定を出すのは神奈川県、固定資産税の申告先は二宮町、と窓口が分かれます。工事の完了時期から逆算して、認定の取得を先に済ませておくことが大切です。ほかの減額措置との併用には制限があるため、詳しい要件は国土交通省のページと町の税務担当で確認してください。

二宮町のマンションの大規模修繕-足場か、ロープアクセスか、公平に比べます

町の補助が共用部に使えない以上、工事費そのものを適正に抑えることが、修繕積立金を守る最大の手段になります。

費用の目安

金額は物件によって大きく変わるため、あくまで参考値です。私たちが見積りの入口でお伝えしている目安は次のとおりです。

項目 目安
30戸規模マンションの大規模修繕 総工費 約3,500万〜5,000万円
うち仮設足場の割合 総工費の約15〜25%
外壁塗装 1㎡あたり約3,500〜4,500円
外壁の打診調査 1㎡あたり約250〜500円
防水工事 1㎡あたり約5,000〜8,000円

10階建て・外周80m・工期3か月の建物を例にとると、足場の費用が約168万円かかるところ、ロープアクセスでは約59万円、差額は約109万円という試算になります。実際の見積りは、建物の形状・劣化状況・工事範囲によって変わります。料金の考え方は大規模修繕の料金の考え方(明誠)でもご紹介しています。

3つの工法を、公平に比べる

明誠は、次の3つの工法から建物に合う方法を提案しています。

工法 向いている建物・工事 強み 注意点
通常の足場仮設工法 外壁の全面補修、塗装・防水・タイル・サッシ交換を一括で行う大規模修繕 作業の安全性と品質を確保しやすく、全面的な工事に適する 設置・解体の費用と工期がかかる。足場期間中は防犯・採光・ベランダ使用に配慮が必要
ロープアクセス工法(無足場工法) 外壁の部分補修、シーリングの打替え、調査・点検、部分塗装 足場が不要なため、工期と費用を抑えやすい。居住者の生活への影響が少ない 作業内容によっては向かない。専門技能を持つ職人が必要
ハイブリッド工法 面ごと・部位ごとに足場とロープを使い分けたい建物 部位ごとに最適な方法を選べ、総額を最適化しやすい 計画と工程管理に専門性が必要

ロープアクセス工法では、作業者がメインロープとバックアップロープの2本に接続し、屋上などに2点以上の吊元(ロープを固定する支点)を確保して作業します。明誠の工法の詳細は明誠のロープアクセス工法の技術と実績で、業界全体の安全基準や施工例は姉妹サイトのロープアクセスドットコム(無足場工法の専門メディア)で詳しく紹介しています。安全管理の考え方は明誠の高所作業の安全管理にまとめています。

ここは正直に申し上げます。 私たちは3つの工法をすべて扱うので、足場が最適なら足場を、ロープが向くならロープを提案します。どれか1つに誘導するための記事ではありません。

海沿いのマンションで、ロープアクセスが役立つ場面

二宮町の海に近いマンションでは、海側の面だけ鉄部のさびやシーリングの劣化が早いことがよくあります。全面改修の周期を待たずに、劣化の進んだ面だけを部分補修したい場合、足場を組まないロープアクセスなら、仮設費を抑えて早めに手当てできます。

早めの部分補修には、もう1つの効果があります。小さな劣化のうちに止水しておくと、次の大規模修繕で下地補修の数量が膨らむのを防げるのです。補助金がない町では、この「劣化を育てない」発想が、長い目で見た修繕積立金の節約につながります。

明誠について、数字でお伝えします

株式会社明誠は、これまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセス工法での高所作業について、明誠と全国のフランチャイズ加盟企業では、過去16年間、墜落による労働災害ゼロを維持しています。IRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の技能訓練を受けた作業員が施工し、ISO9001の品質マネジメントシステムを運用しています。また、日本初のロープアクセス工事のフランチャイズ本部として、塗装・防水・タイル・電気・看板の各分野の専門職と連携しています。

二宮町のマンションで、理事会が確認したいこと

  • 長期修繕計画が7年以内に見直されているか、計画期間が30年以上あるか
  • 修繕積立金の3か月以上の滞納がどの程度あるか
  • 海側と山側の面で、鉄部・シーリング・外壁の劣化に差があるか
  • 敷地の塀が道路(とくに通学路)に面しているか、塀の所有者は誰か
  • 前面道路の幅が4m未満ではないか(狭あい道路拡幅整備事業の対象になり得るか)
  • 県のマンションアドバイザー派遣を、今年度すでに使ったか(年度内最大2回)
  • 長寿命化促進税制の期限(令和9年3月31日完了)に工事が間に合うか

現場で見てきたこと

補助金の少ない町の管理組合さまから、「うちは何も使える制度がないから、積立金を上げるしかない」という声をよく伺います。けれども実際に建物を見ると、全面足場が必要な工事と、部分補修で済む工事が混ざっていることが少なくありません。私は、建物診断の段階で面ごとの劣化を記録し、「今やるべき工事」と「次回に回せる工事」を分けた資料を理事会にお出しするようにしています。この仕分けだけで、総額が大きく変わることがあります。

管理組合向けのサービス内容はマンション管理組合さま向けの大規模修繕サービスにまとめています。明誠のこれまでの施工の様子は、明誠の施工事例からご覧いただけます。

制度を使うときの共通の落とし穴

失敗しやすい3つのパターン

  1. 着工してから申請しようとする:ブロック塀等撤去工事補助金は着工前の交付申請が必要で、町内登録事業者による工事が条件です
  2. 年度末の期限を見落とす:ブロック塀の補助の受付は令和8年12月28日まで、県のアドバイザー派遣は令和9年2月26日まで、長寿命化促進税制は令和9年3月31日までの工事完了が条件です
  3. 「個人所有」の条件を確認しない:マンションの塀は共有のことが多く、補助の対象になるかは事前の確認が欠かせません

理事会で使える質問リスト

町や県の窓口へ問い合わせるとき、次の質問をそのまま使えます。

  • マンションの区分所有者が共有する塀は、ブロック塀等撤去工事補助金の対象になりますか(都市整備課 0463-71-5956)
  • 敷地に面した道路は、通学路に指定されていますか
  • 令和8年度のブロック塀補助の完了実績報告書は、いつまでに提出すればよいですか
  • 町内のマンションの管理計画認定は、どこへ相談すればよいですか(神奈川県 住宅計画課)
  • 県のマンションアドバイザー派遣は、現在受け付けていますか(かながわマンション管理組合ネットワーク)
  • 長寿命化促進税制の申告書類は、町のどの窓口に出せばよいですか

二宮町のマンションが大規模修繕に向けて動く5つのステップ

  1. 長期修繕計画と修繕積立金の残高を確認する:工事の時期と予算の上限を把握します。計画が古ければ、見直しから始めます
  2. 県のマンションアドバイザーに相談する:無料で、長期修繕計画や修繕積立金、管理計画認定の考え方を中立の立場から整理できます
  3. 建物診断(劣化調査)を面ごとに行う:海側・山側の劣化の差を記録し、「今やる工事」と「次回に回せる工事」を分けます。ロープアクセスでの外壁調査の方法も選択肢の一つです
  4. 工法を比べて見積りを取る:足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3つで比べ、仮設費を分けて記載してもらいます
  5. 総会で工事を決議し、認定と税制の段取りをする:管理計画認定の取得時期、長寿命化促進税制の期限、塀の補助の申請時期を、工事の工程表と1枚にまとめます

賃貸マンション・ビルのオーナーの方へ

二宮町のブロック塀等撤去工事補助金は個人が所有する塀を対象とし、売買を目的としたものは対象外です。個人オーナーさまの賃貸物件の塀が対象になるかどうかは、町に確認してください。法人が所有する物件は、対象にならない可能性が高いと考えられます。賃貸物件の修繕では、空室期間を短くし、入居者の生活への影響を抑えることが収益に直結します。足場を組まないロープアクセスは、こうした点でもメリットがあります。ビルオーナーさま向けのサービスはビルオーナーさま向け大規模修繕サービスをご覧ください。

よくあるご質問

Q. 二宮町で、マンションの大規模修繕工事費に使える補助金はありますか?

A. 令和8年度の二宮町公式ページで確認した範囲では、共用部分の外壁塗装や屋上防水などの工事費を管理組合に補助する制度は見つかりませんでした。県の無料アドバイザー派遣や、管理計画認定と長寿命化促進税制の組み合わせが現実的な手立てです。

Q. ブロック塀等撤去工事補助金はいくらもらえますか?

A. 撤去工事費の1/2以内・上限10万円です。通学路に面している場合は9/10以内・上限20万円になります。道路に面した個人所有の塀で、高さ60cmを超えるものが対象です。町内登録事業者による工事で、着工前の申請が必要です。

Q. マンションの共有の塀でも、ブロック塀の補助は使えますか?

A. 町の資料では対象を「個人が所有するブロック塀等」としており、区分所有者の共有の塀が対象になるかは読み取れませんでした。申請を考える場合は、都市整備課(0463-71-5956)に事前に確認してください。

Q. 二宮町のマンションでも、県のマンションアドバイザー派遣は使えますか?

A. 使えます。横浜市・川崎市・相模原市・横須賀市を除く県内の分譲マンションの管理組合が対象で、派遣料は無料、1管理組合につき年度内最大2回までです。令和8年度の申込期間は令和9年2月26日までです。

Q. 二宮町のマンションの管理計画認定は、どこに申請しますか?

A. 二宮町を含む県内の町村部では、神奈川県が認定を行います。窓口は県土整備局建築住宅部住宅計画課です。マンション管理センターの「管理計画認定手続支援サービス」で事前確認を受けてから申請する方法もあります。

Q. 足場を組まない大規模修繕は、本当に可能ですか?

A. 外壁の部分補修、シーリングの打替え、調査・点検、部分塗装などでは、ロープアクセス工法で足場を組まずに施工できます。外壁全面の改修やサッシのカバー工法では足場が向く場合もあり、明誠では3つの工法から建物に合う方法をご提案しています。

Q. 相談や見積りに費用はかかりますか?

A. 明誠では、建物の状況確認と概算のお見積りを無料で承っています。補助金・税制の情報整理だけのご相談でもかまいません。大規模修繕の無料相談・お問い合わせからお声がけください。

この記事のポイントまとめ

  • 二宮町の令和8年度の補助で、共用部の外壁・防水などの大規模修繕工事費に使える制度は確認できず。耐震改修補助は木造住宅、空き家リフォーム補助は空き家バンク登録の一戸建てが対象
  • ブロック塀等撤去工事補助金は、道路に面した個人所有の塀が対象。1/2・上限10万円、通学路沿いは9/10・上限20万円。受付は令和8年12月28日まで、町内登録事業者の施工・着工前申請が条件
  • マンションの共有の塀が対象になるかは、都市整備課への事前確認が必要
  • 県のマンションアドバイザー派遣は二宮町で使える。無料・年度内2回・令和9年2月26日まで
  • 管理計画認定は県、固定資産税の申告は町。長寿命化促進税制は令和9年3月31日完了が期限

出典・参考資料

本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月11日時点で公表されている二宮町および神奈川県、国土交通省の公式情報をもとに執筆しています。二宮町の補助制度は令和8年度の受付期間が記載された町のページ(2026年7月更新)を確認しました。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます(補助は予定件数に達すると終了する場合があります)。実際に申請される前に、二宮町および神奈川県の該当窓口へ最新の内容をご確認ください。本記事は法的・税務上の助言ではありません。

二宮町は、大規模修繕の工事費に直接使える補助金が多い町ではありません。それでも、県の無料アドバイザーと管理計画認定、劣化に合わせた工事範囲の仕分け、そして工法の比較によって、修繕積立金を守る手立てはあります。総会資料の準備や工事範囲の整理だけでも、お力になれることがあります。ご相談だけでも遠慮なくお問い合わせフォームからお声がけください。


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この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年10月11日


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