横浜市青葉区のマンション漏水・防災対策|恩田川・早渕川の洪水想定と丘陵地のがけ地130区域、大規模修繕で先に手を打つ優先順位【2026年度版】

2026年10月9日 更新

横浜市青葉区のマンションで、豪雨の前に私が最初に確かめるのは、屋上のドレン(雨水の排水口)と、斜面側の擁壁の水抜き穴です。青葉区は、なだらかな丘陵地に住宅地が広がり、その谷あいを早渕川や恩田川といった川が流れています。同じ青葉区でも、建物が尾根筋にあるのか、谷あいの川沿いにあるのか、斜面のすぐ下にあるのかで、水の入り方もがけ崩れの心配も大きく違います。

私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。拠点は東京都東大和市ですが、神奈川県内のマンションの大規模修繕も手がけています。20年近く、マンション・ビル・ホテルの外壁と向き合ってきました。仮設足場を組む工事も、メインロープとバックアップロープの2本に接続して壁面に降りる無足場の工事も、どちらも現場でやってきた人間です。

今日は横浜市・国土交通省・気象庁の公式情報をもとに、青葉区の分譲・賃貸マンションが大規模修繕で先に手を打つべき場所を整理します。


結論:青葉区で優先すべきは「立地の確認」「屋上・排水まわりの防水」「斜面と擁壁まわりの点検」です

先に結論を申し上げます。青葉区のマンションでは、次の3つから動くことをお勧めします。

  1. 青葉区版の洪水・内水ハザードマップで、建物の位置と想定浸水深を確認する:令和8年6月に、内水ハザードマップが水防法に基づくものに更新されました
  2. 屋上ドレン・バルコニー排水・敷地の雨水桝を点検し、防水の改修時期を記録で確認する:丘陵地でも谷あいでも、豪雨で最初に出るのは「排水が追いつかない」ことによる漏水です
  3. 斜面側の擁壁・敷地排水・受変電設備や給水ポンプの位置を図面で調べる:青葉区は急傾斜地の警戒区域が130区域あり、敷地側の確認が欠かせません

順に見ていきます。

青葉区のハザードマップを1枚で読む(洪水/内水/高潮/土砂/液状化)

横浜市は区ごとに浸水ハザードマップを公開しています。横浜市の公式ページによると、青葉区の洪水ハザードマップと内水ハザードマップは令和8年6月に作成されています。内水については、雨水出水(内水)の浸水想定区域が水防法に基づき指定されたことに伴う更新で、浸水想定区域そのものに変更はないとされています。一方、高潮ハザードマップは、浸水想定区域図がないため作成予定はないと記載されています(出典:横浜市「浸水ハザードマップ」、2026年6月1日更新)。青葉区は、港北区や南区と違って、高潮の想定は確認できないということです。

洪水:早渕川・恩田川を含む鶴見川水系

国土交通省 京浜河川事務所のページでは、鶴見川水系の洪水浸水想定区域は「鶴見川流域の48時間(2日間)総雨量792mm」を前提としています。このページは複数の市区にまたがる流域全体の情報を載せていますので、青葉区に当てはまる部分だけを引きます。青葉区に関係するのは、早渕川(左岸・右岸とも青葉区元石川町から鶴見川合流点まで)と、恩田川(左岸が青葉区恩田町から鶴見川合流点まで)です(出典:国土交通省 京浜河川事務所「洪水浸水想定区域図(想定最大規模)」)。

ページに載っている他の河川(鶴見川本川、矢上川、鳥山川など)は、青葉区の行政界の中を流れるものとして確認できていませんので、本稿では青葉区の洪水として扱いません。ご自身の建物に何が及ぶかは、青葉区版のマップで町名ごとに確認してください。

内水:下水道や側溝が雨に追いつかない浸水

内水(ないすい)とは、「大雨で下水道管や水路がいっぱいになり、マンホールや雨水ますなどから水があふれること」です。横浜市の説明では、内水の浸水想定は平成30年度末の河川や下水道の整備状況を反映して作られており、雨の強さや降り方によって、実際の浸水区域や浸水深が想定と異なることがあるとされています(出典:横浜市「内水ハザードマップ」、2026年6月1日更新)。川から離れた台地の上のマンションでも、道路の低い場所や、敷地の出入口がへこんでいる建物は内水の対象になり得ます。

土砂災害:急傾斜地の警戒区域が130区域

横浜市の公式ページでは、青葉区の土砂災害警戒区域は130区域(急傾斜地の崩壊のみ)、うち土砂災害特別警戒区域が84区域と示されています。土石流と地すべりの区域はありません。区域数は令和8年2月17日時点の数値です(出典:横浜市「土砂災害防止法に基づく区域指定」、2026年3月12日更新)。丘陵地に開けた住宅地という青葉区の成り立ちが、この数字に表れています。

また、横浜市は区ごとに「がけ・土砂災害ハザードマップ」の地図面と情報面を公開していますが、地図上の警戒区域等は作成時点のもので、現在の指定と異なる場合があります。最新の指定は神奈川県の土砂災害情報ポータルで確認するよう案内されています(出典:横浜市「がけ地・土砂災害ハザードマップ」、2026年7月6日更新)。

液状化・津波

液状化は、横浜市が公表している液状化マップで、想定地震ごとに確認できます。この地図は2012年10月公表の地震被害想定調査をもとにしたもので、約50メートルのメッシュ単位の判定です(出典:横浜市「液状化マップ」)。津波については、本稿では青葉区の個別の想定を確認できていないため、横浜市の公式マップでご自身の建物をお調べください。

なお、青葉区の洪水・内水ハザードマップは、「青葉区民防災必携」の中にPDFで収録されています(出典:青葉区「ハザードマップ」、2026年9月24日更新)。避難行動や備蓄の情報も一緒に載っていますので、理事会で配布しておくと役に立ちます。

地域特性と漏水事故の関係:谷あいの川沿い、尾根筋の台地、斜面地で出る症状が違います

ここからは私の現場経験です。ハザードマップは「水がどこに来るか」を示しますが、マンションの漏水は「水がどこから入るか」の問題です。立地ごとに、出やすい症状の傾向が違います。

早渕川・恩田川沿いの谷あい:大雨のとき、道路や敷地に水が集まりやすく、1階の共用部、地下の機械室、駐車場の出入口まわりが傷みやすい立地です。河川の洪水は、水位が上がり切る前に避難の判断が必要で、建物の補修だけでは守り切れません。電気設備を高い階に上げる、止水板を用意するといった「水を入れない」対策が先に来ます。

尾根筋・台地の上:河川の氾濫の心配は小さくても、屋上やバルコニーに降った雨を、ドレンと排水管で流しきれるかが勝負です。ドレンに落ち葉や砂が詰まれば、屋上に水が溜まり、防水層の弱い箇所から室内へ入ります。街路樹や緑の多い敷地は、落ち葉の量が多くなりがちですので、点検の頻度を上げてください。

斜面地・がけ地沿い:擁壁(ようへき:土を支える壁)の水抜き穴の詰まりや、敷地内の排水不良が、地盤の水分を増やして擁壁を傷めます。建物本体の漏水よりも、まず敷地側の排水と擁壁の状態を確認します。雨のあとに擁壁から水がにじんでいる、ひびが広がっている、という変化は、早めに専門家に見せるべきサインです。

雨そのものも増えています。気象庁の「日本の気候変動2025」によると、全国のアメダスで、1時間に50mm以上の雨の年間発生回数は、1976〜1985年の平均約226回から2015〜2024年の平均約334回へ、約1.5倍に増えました。80mm以上は約14回から約24回へ、約1.7倍です(出典:気象庁「日本の気候変動2025」、1,300地点換算)。

私が以前、築30年を超えるマンションの豪雨後の点検に伺ったときのことです。屋上のドレンが、落ち葉と砂でほとんど塞がっていました。管理組合の方は「防水は10年前に直したばかりなのに」とおっしゃいました。防水層が新しくても、水の出口が詰まれば水は溜まります。私の経験上、これは立地を問わず、いちばん多い原因です。

大規模修繕でチェックすべき漏水ポイント7つ

大規模修繕の前の劣化調査で、私がいつも見る7か所です。

部位 見るところ 青葉区で特に気にする点
①屋上防水 膨れ・ひび割れ・端部の浮き 尾根筋の建物は排水勾配と溜まり水
②シーリング(目地の防水材) 肉やせ・切れ・剥離 台風の横なぐりの雨が当たる面
③バルコニー排水 排水口の詰まり・床の勾配 豪雨時の溢れ。上階から下階への漏水
④ドレン(雨水の排水口) 落ち葉・砂の堆積、取付部の隙間 緑の多い敷地は点検頻度を上げる
⑤立上り(防水層の壁際) 端部の押さえ金物、防水層の切れ 強風雨で水が回り込みやすい
⑥サッシまわり 枠まわりのシーリング、水切り 斜面地や高層階の風当たり
⑦擁壁・外構の排水 水抜き穴の詰まり、ひび、水のにじみ 斜面に接する敷地は雨後に必ず確認

目安となる金額もお伝えします。防水の改修費は、工法や下地の状態で変わりますが、屋上・バルコニーで1㎡あたり5,000〜8,000円程度が一つの目安です(物件により大きく変動します。正式な金額は調査後の見積でご確認ください)。ドレンの清掃や部分補修は、被害が出る前なら比較的小さな費用で済みます。逆に、漏水が出て内装まで傷めてからでは、工事費に室内の復旧費が上乗せされます。

細かな劣化の見分け方は、明誠の漏水対応の専門ページにもまとめています。

漏水緊急対応でロープアクセスが強い理由

台風や豪雨のあと、「上の階から水が落ちてくる」「外壁のひびから雨が入る」という連絡をいただくことがあります。そのとき、仮設足場を組む工事だと、手配から組み上げまで日数がかかります。雨が続く時期に、原因を特定できないまま日が過ぎるのは、管理組合にとって大きな不安です。

青葉区のように、丘陵地の斜面に近接して建つマンションでは、足場を組む場所そのものが限られることがあります。敷地が傾斜していたり、建物と擁壁の間が狭かったりすると、足場の基礎を安定させるための作業が増えます。ロープアクセス工法は、足場を組まずに、メインロープとバックアップロープの2本に接続した作業員が壁面へ降り、2点以上の吊元を確保して作業します。そのため、原因の確認と応急処置に、足場の組立期間が要りません。ひび割れの確認、シーリングの打ち替え、仮止水といった作業を、短い日数で進められます。この工法の考え方と詳しい技術情報は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムに整理しています。

金額面でも差が出ます。一つの目安として、10階建て・外周80m・工期3か月のマンションの例では、足場費が約168万円かかる計算の物件で、ロープアクセスなら約59万円(差額約109万円)に収まる試算があります(あくまで一例です。実際は建物の形状や作業内容で変わります)。工期も、足場工法の約60%で終えられる場合があります。

安全面について。株式会社明誠はこれまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。明誠および全国のフランチャイズ加盟企業では、ロープアクセス工法での高所作業について、過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。IRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の技能訓練を受けた作業員が、二重の確保を前提に作業します。工法の詳細は明誠のロープアクセス工法のご紹介をご覧ください。足場とロープを部位ごとに組み合わせる方法もあり、ロープアクセスドットコムの技術解説でも工法比較を載せています。

防災上の共用部:位置と修繕優先度を決める

漏水の次に、電気と水の話です。横浜市建築局の「浸水対策の手引き」では、まず「対策目標浸水深」(洪水・内水・高潮のうち最も深い想定浸水深)を決めることから始めるとされています。最も確実なのは、設備を対策目標浸水深より高い位置に置くことで、難しい場合は建物の周りに止水板などで「水防ライン」を作ります(出典:横浜市建築局「浸水対策の手引き」)。青葉区は高潮の想定がありませんので、洪水と内水のうち深い方で考えることになります。

この手引きの考え方を、管理組合の優先順位に置き換えるとこうなります。

  1. 受変電設備(電気を建物に引き込む設備):エレベーターもポンプも、ここが水没すると動きません。復旧に長い期間がかかるおそれがあり、位置の確認が最優先です
  2. 給水ポンプ・受水槽:停電で止まると、高層階は断水します
  3. 非常用発電機と燃料:法令上の運転時間は火災時の想定で、浸水時には短い可能性があると手引きは指摘しています。燃料の備蓄量を確認してください
  4. 避難通路・エレベーター:出入口、窓、換気口、配管の貫通部など、水が入る経路を切れ目なくふさぐ必要があります
  5. 地下階・斜面側の外構:地上に水防ラインを作っても、雨水貯留槽があふれたり、下水が逆流したりして地下から浸水することがあります。斜面側の外構は、排水溝の詰まりを定期的に確認してください

こうした設備の周りの防水(床・壁・貫通部)は、大規模修繕の工事範囲に入れておけば、足場やロープの手配を共用でき、費用を抑えやすくなります。ビルオーナーさまはビルオーナー向けの明誠のサービス、管理組合さまは管理組合向けの明誠のサービスをご覧ください。

青葉区で使える自治体の防災補助・耐震助成(令和8年度)

青葉区のマンションで使える可能性のある横浜市の制度です。年度で内容が変わりますので、令和8年度の公式情報を引いています。

横浜市マンション耐震改修促進事業:昭和56年5月末日以前に建築確認を得て着工された分譲マンション(地上3階建て以上、延べ面積1,000㎡以上など)で、市の本診断で耐震改修が必要と判定されたものなどが対象です。工事費の補助は、工事費の1/3、または上限額のいずれか低い額で、全体改修で延べ面積5,000㎡未満の場合、上限は一般のマンションで2,000万円、要安全確認計画記載建築物で4,000万円です。補助の受付は予算の状況によるため、見積書の徴収や総会決議の前に建築防災課(電話045-671-2928)へ事前相談するよう求められています。なお、1件100万円以上の事業では原則として横浜市内に本社のある事業者からの見積が必要で、令和8年度から市外事業者が認められる場合は限定されています(出典:横浜市「マンション耐震改修促進事業」、2026年7月31日更新)。

横浜市崖地減災対策工事助成金:斜面地に建つ建物や、擁壁・自然崖が敷地にある場合の制度です。地盤面からの高さが2m超、傾斜角度30度以上の崖地などが対象です。令和8年度は4月13日から交付申請の受付が始まり、申請期限は12月28日までの予定です。助成額は、対象工事費の1/2、工法別単価で算出した額、工法ごとの上限額のうち最も少ない額で、擁壁築造などは上限100万円、落石対策などは上限50万円です。申請前に建築防災課がけ防災担当への相談が必要で、交付決定前に工事契約や着手をすると制度は使えません(出典:横浜市「がけ地減災対策工事助成」、2026年9月4日更新)。

どちらも、申請の前に着工してしまうと対象外になります。市の窓口で手順を事前にご確認ください。

よくあるご質問

Q. 青葉区のマンションは、洪水の心配がありますか?

A. 早渕川・恩田川を含む鶴見川水系は、流域48時間総雨量792mmを前提に洪水浸水想定区域が指定されています。ただし立地で大きく違います。まず青葉区版の洪水・内水ハザードマップで、建物の町名と想定浸水深をご確認ください。

Q. 青葉区は高潮の心配はありますか?

A. 横浜市の公式ページでは、青葉区の高潮ハザードマップは浸水想定区域図がないため作成予定はないとされています。洪水と内水、土砂災害を中心に備えてください。

Q. 屋上防水の改修費はいくらくらいですか?

A. 工法や下地の状態で変わりますが、1㎡あたり5,000〜8,000円程度が目安です。物件ごとに大きく変動しますので、無料で概算をお出しできます。

Q. 台風のあとに漏水が出ました。足場がなくても調査できますか?

A. できます。ロープアクセス工法なら、足場を組まずに壁面へ降りて原因を確認し、シーリングの応急処置まで進められます。足場工法の約60%の工期で終えられる場合もあります。

Q. 敷地に擁壁があります。助成はありますか?

A. 横浜市に崖地減災対策工事助成金があり、令和8年度は12月28日までの申請予定です。高さ2m超・傾斜30度以上などの条件があり、対象のがけかどうかは市の窓口で確認が必要です。

Q. 耐震改修の補助を使いたいのですが、いつ相談すればよいですか?

A. 見積書の徴収や総会決議の前です。受付は予算の状況によるため、横浜市の建築防災課へ事前にご相談ください。

Q. 青葉区の施工事例は見られますか?

A. 明誠の施工事例からご覧いただけます。

まとめ:今週動くこと3点

最後に、今週中に理事会や管理会社へ出していただきたいことを3点にまとめます。

  1. 青葉区版の洪水・内水ハザードマップで、建物の想定浸水深を調べ、管理組合内で共有する(「青葉区民防災必携」のPDFが便利です)
  2. 屋上ドレン・バルコニー排水の詰まりを、次の台風が来る前に目視で確認する(管理会社に写真を依頼)
  3. 斜面側の擁壁と、受変電設備・給水ポンプ・非常用発電機の位置を図面で確認し、想定浸水深との高さの関係を書き出す

漏水は、起きてから直すより、起きる前に出口を整えるほうが、はるかに安く済みます。ご相談だけでも遠慮なくお問い合わせフォームからお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。

本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月9日時点で公表されている横浜市および国土交通省・気象庁の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請される前に、横浜市および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。

出典・参考資料

この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年10月9日


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横浜市西区の管理組合が使える無料・低コストの相談窓口13選|区の法律相談から市のアドバイザー派遣(初回無料)まで【令和8年度版】

2026年10月9日 更新

横浜市西区のマンションの理事長さまから、こんなご相談をいただくことがあります。

「大規模修繕の時期が近いが、誰に何を聞けばいいのかわからない。専門家への相談料を、修繕積立金から出すのは気が引ける」

私は、こうしたお話を聞くたびに、相談先を知らないだけで遠回りをしている管理組合が多いと感じます。みなとみらいや横浜駅西口の周辺に、築年数の進んだマンションと新しいマンションが混在する西区は、相談の入口がいくつもあるからです。

西区役所では、神奈川県弁護士会の弁護士による法律相談が開かれています。横浜市には、マンション管理士や建築士が管理組合へ訪問する「マンション・アドバイザー派遣」があり、令和8年度は初回が無料です(利用実績がない場合)。国の窓口である日管連の相談ダイヤルは、何度でも無料です。

申し遅れました。私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。東京都東大和市を拠点に、20年近くマンション・ビル・ホテルの外壁の仕事をしてきました。工事の話に入る前に、いま西区の管理組合が使える「お金をかけずに(または少額で)聞ける相談先」を整理してお伝えします。


結論:西区で使える窓口は13、費用が無料と明記されているのは7つ

先に一覧でお示しします。公式ページに「無料」と書かれているものと、費用の記載が見つからなかったものを分けています。

# 制度・窓口 誰が対応するか 費用 申込先
1 西区役所 法律相談(年度内2回まで) 神奈川県弁護士会の弁護士 要確認(西区ページに料金の記載なし) 西区役所 区政推進課 045-320-8321
2 西区役所 行政書士相談(第4木曜) 神奈川県行政書士会の行政書士 要確認(同上) 西区役所1階1番窓口
3 横浜市市民相談室 法律相談・夜間法律相談 弁護士 要確認(市の案内ページに料金の記載なし) 市民相談室 045-671-2306
4 市民相談室 司法書士相談(不動産登記ほか) 認定司法書士 要確認(同上) 同上
5 市民相談室 宅地建物相談 宅建業協会会員 要確認(同上) 同上
6 マンション・アドバイザー派遣 マンション管理士・建築士ほか 初回無料(要件あり)、2回目以降は1回12,650円(税込) 横浜市住宅供給公社 045-451-7740
7 横浜市マンション管理組合サポートセンター(各区交流会) 管理組合・専門家 無料 同センター(市の窓口一覧に記載)
8 防災認証関連の専門家派遣(住宅政策課) 専門家 無料(市の窓口一覧に記載) 建築局住宅政策課
9 神奈川県マンション管理組合交流会(令和8年11月) マンション管理の専門家 無料 神奈川県マンション管理士会 045-662-5471
10 管理計画認定制度 相談ダイヤル(日管連) マンション管理士 無料(何回でも) 03-5801-0858
11 マンション管理センター 電話相談 専門相談員 要確認(費用の記載なし) 03-3222-1517/1519
12 横浜市消費生活総合センター 消費生活相談員 要確認 045-845-6666
13 法テラス 無料法律相談 弁護士等 無料(収入・資産の基準あり) 0570-078374

正直にお伝えします。私が令和8年10月9日時点で公式ページを確認した範囲では、「費用がかかるかどうか」の記載がない窓口が6つありました。電話で申し込むときに「相談料はかかりますか」とひと言確認するだけで、あとから戸惑わずに済みます。

もう一つ、大事な点があります。神奈川県の「マンションアドバイザー派遣事業」は、横浜市の管理組合は対象外です。県のページに「横浜市・川崎市・相模原市・横須賀市は対象外で、それぞれ別の制度がある」と書かれています(出典:神奈川県「マンションアドバイザー派遣事業」)。西区の管理組合は、県ではなく市の制度を使う形になります。


西区役所の法律相談と行政書士相談

西区役所の「市民相談」には、次の相談があります(出典:横浜市西区「区民相談」、令和8年3月25日更新)。

相談 日程 方法
法律相談(弁護士) 毎月第1・2・3木曜、13:00〜15:30開始の25分枠6つ 電話か1階1番窓口で予約
行政書士相談 毎月第4木曜 13:00〜16:00 当日順番(書類の作成は行わない)
行政相談(国の行政全般) 奇数月の第4金曜 13:00〜16:00 当日順番

法律相談の予約は、西区在住の方の場合、相談希望日の1週間前の木曜8時45分から受け付けています。電話は045-320-8321(区政推進課広報相談係)です。年度内(4月1日〜翌年3月31日)に一人2回まで、前日17時以降のキャンセルは利用回数に数えられます。

今月でいえば、第3木曜の10月15日が最後の法律相談日です。11月は5日、12日、19日が相談日になります。

西区のページには料金の記載がありません。一方、同じページが案内している市役所の法律相談は「無料法律相談」と表記されています。区の相談も同様か、予約のお電話で確認されるのが確実です。なお、西区役所では電話による法律相談は行っていません。

管理費の滞納や、理事会の議事の進め方、規約の読み方といった「工事の前段階」の疑問は、この法律相談で整理できることが多いと私は見ています。ただし、市民相談は個人の相談が基本で、管理組合としての利用が可能かどうかは、公式ページでは確認できませんでした。予約の際に「マンションの管理組合の理事として相談したい」と伝えてください。


横浜市役所の市民相談室:登記・不動産・夜間の法律相談

市役所(中区本町6丁目50番地の10、3階)の市民相談室では、次の相談が開かれています(出典:横浜市「市民相談室」、令和8年10月9日更新)。

  • 司法書士相談:月〜水曜 13:00〜16:00、対面、25分以内。不動産登記、相続、成年後見など
  • 宅地建物相談:月曜 10:00〜12:00/13:00〜16:00、電話か対面、35分以内。不動産の売買・賃貸借など(令和8年8月から相談方法を選べるようになりました)
  • 夜間法律相談:毎月第2・4水曜、電話かオンライン(選択制)
  • 予約:電話045-671-2306。日中の枠は1週間前の同じ曜日の8時45分から受付

対象は横浜市民で、在勤・在学の方は利用できません。西区のマンションにお住まいの区分所有者であれば、利用の道が開かれています。ただし、ページに料金の記載はなく、無料かどうかは確認できませんでした。また、市民相談室では税理士による税務相談は行っていません。管理組合の税務は税理士か税務署が窓口になります。


市のマンション・アドバイザー派遣:初回無料(要件あり)

私が最も使いやすいと感じるのが、横浜市のこの制度です。マンション管理士や建築士などの登録専門家が、管理組合の会合に訪問して相談に応じます。管理運営・規約、修繕積立金、長期修繕計画や大規模修繕、管理計画認定制度、共用部の省エネ改修まで、相談できる範囲は広いです(出典:横浜市「マンション・アドバイザー派遣」、令和8年4月13日更新)。

項目 内容
対象 分譲マンションの管理組合(マンション登録制度への登録が要件)
時間 1回につき3時間以内
回数 原則通算6回まで(令和8年度以降)。6回に達した後は年度あたり1回
費用 初回無料(令和7年度以前に利用実績がない場合)。2回目以降は1回あたり税込12,650円(令和8年度)
申込先 横浜市住宅供給公社 街づくり事業課 045-451-7740/mansion-adviser@yokohama-kousya.or.jp
対象外 居住者間の紛争解決や権利調整

ご注意いただきたいのは、同じページの別の箇所に、2回目以降の費用が「12,572円(令和7年度の金額)」と書かれている点です。令和8年度の金額は12,650円と読めますが、申込みの際に事務局で確認してください。

建築士の派遣については、市の独自制度としては、このアドバイザー派遣の枠組みの中で対応する形です。「建築士だけを無料で派遣する」制度は、私が確認した範囲では見つかりませんでした。

さらに令和8年度から、アドバイザー派遣を通算6回利用した管理組合を対象にした「顧問導入支援」が始まっています。6か月間で月額25,300円(通常50,600円を市が半額負担)で、月1回の定期相談などが付きます。これは無料ではありませんが、外部のコンサルタントを入れる前の選択肢として知っておく価値があります。

ここで、現場にいる私の立場から一つお伝えします。アドバイザー派遣は、施工会社の営業とは別の第三者の意見が聞ける点が最大の価値です。見積書が出てから慌てて呼ぶより、見積依頼の前に呼ぶほうが、仕様のぶれが小さくなります。


管理組合のつながりと、防災の専門家派遣

横浜市マンション管理組合サポートセンター

市の窓口一覧には、ほかの管理組合と情報交換できる「横浜市マンション管理組合サポートセンター」が載っています。費用は無料と記載されています。各区交流会は原則毎月第1日曜の9:30〜11:30、リモート交流会は原則毎月第3日曜の18:00〜19:30で、各区交流会は申込不要です(出典:横浜市「マンション管理セミナー・相談会等」)。実際の会場や日程は、年度ごとに変わる可能性があります。事前に電話で確認してください。

防災認証に関する専門家派遣

建築局住宅政策課の窓口では、防災認証に関する専門家の派遣は無料と記載されています。詳細は市の窓口一覧からお問い合わせください(出典:横浜市「マンション管理に関する相談窓口」)。


管理計画認定制度:認定の相談は無料、申請には費用がかかる

認定を受けるかどうかの相談は、日管連の相談ダイヤルで無料です。03-5801-0858、月〜土の10:00〜17:00、何回でも相談でき、1回あたり約30分です(出典:日本マンション管理士会連合会「管理計画認定制度 相談ダイヤル」)。

一方、実際に認定を受けるには費用がかかります。横浜市の場合は次のとおりです(出典:横浜市「管理計画認定制度」)。

  • 市への申請手数料:新規・更新とも3,900円(長期修繕計画が複数ある場合は1計画につき1,700円加算)
  • 事前確認(マンション管理センター経由・計画1つの場合):合計20,000円
  • 申請先:建築局住宅部住宅再生課 045-671-2954

認定には5年の有効期間があります。認定を受けると、フラット35の金利引下げなどの優遇が受けられます(出典:国土交通省「マンション管理計画認定制度」)。


神奈川県・国の相談窓口

神奈川県マンション管理組合交流会(令和8年度)

神奈川県内のマンション管理組合の役員を対象に、専門家の助言を受けながら情報交換する交流会です。費用は無料で、11月に4会場で開かれます。

  • 11月7日(土)箱根町役場:マンションの適正管理
  • 11月14日(土)ユニコムプラザさがみはら:区分所有法、標準管理規約改正
  • 11月22日(日)茅ヶ崎市民文化会館:修繕(長期修繕計画を含む)
  • 11月28日(土)葉山マリーナ:区分所有法、標準管理規約改正

いずれも14:00〜16:00の予定で、会場ごとのGoogleフォームから申し込みます。西区から近い会場はありませんが、修繕をテーマにした11月22日の茅ヶ崎会場は、横浜からも通える範囲です。問合せは神奈川県マンション管理士会事務局(045-662-5471、平日10〜17時)です(出典:神奈川県「マンション管理組合交流会」、令和8年9月3日更新)。

マンション管理センターの電話相談

(公財)マンション管理センターの電話相談は、平日9:30〜17:00(祝日・年末年始を除く)、1回あたり15分が目安です。管理組合の運営・規約は03-3222-1517、建物・設備の維持管理は03-3222-1519です。ページに費用の記載はありません(出典:マンション管理センター「電話相談」)。

横浜市消費生活総合センター

契約トラブルの相談は、港南区のゆめおおおかオフィスタワー4階にある横浜市消費生活総合センター(相談専用ダイヤル045-845-6666)が窓口です。訪問販売や工事契約のトラブルの相談先として、覚えておいてください。受付時間と費用は、掲載ページでは確認できませんでした。

法テラス

法テラスの無料法律相談は、収入と資産の基準を満たす方が対象です。たとえば家族が1人の場合、手取りの月収182,000円以下(東京23区などは200,200円以下)で、資産は180万円以下が目安です。サポートダイヤルは0570-078374(平日9〜21時、土曜9〜17時)です(出典:法テラス「無料法律相談のご利用の流れ」)。管理組合という法人格のない団体の場合に基準がどう適用されるかは、法テラスに直接確認が必要です。


相談の前に、足場とロープアクセスの比較も知っておいてください

無料の相談で整理した後、実際の工事の計画に進むとき、工法の選択が総額を大きく変えます。私どもは、通常の足場工法、ロープアクセス工法、両方を組み合わせるハイブリッド工法の3つから、建物に合う方法をご提案しています。

目安として、10階建て・外周80m・工期3か月のマンションで、仮設足場に約168万円かかる場面で、ロープアクセスなら約59万円という比較例があります(建物の形状や条件で大きく変わります。あくまで参考値です)。外壁の打診調査の単価は、一般に1㎡あたり250〜500円程度が目安です。

ロープアクセス工法は、メインロープとバックアップロープの2本に接続し、2点以上の吊元を確保して作業します。明誠と全国のフランチャイズ加盟企業では、過去16年間、墜落による労働災害はゼロです。株式会社明誠はこれまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。詳しい工法の仕組みは明誠のロープアクセス工法の技術詳細に、同業者向けの技術・訓練情報は姉妹サイトのロープアクセスドットコムにまとめています。

料金の考え方は大規模修繕の料金の考え方でお伝えしています。明誠のこれまでの実績は明誠の施工事例からご覧いただけます。管理組合さま向けの詳しいご案内は管理組合向けサービスのページに、私たちの考え方は明誠の理念に書いています。ロープアクセスの安全面や費用面を、もう少し具体的に知りたい方は、姉妹サイトのロープアクセスの解説記事もご覧ください。


何を用意して相談に行けばいいか:3点セット

専門家に相談するとき、手元に次の3点があると、相談の時間がずっと有効になります。私はいつも理事長さまにこの3つをお願いしています。

  1. 総会議事録(直近2〜3期分):何を決めてきたかが分かります。
  2. 長期修繕計画:作成年、次回の大規模修繕の予定、修繕積立金の残高と見通しを確認します。
  3. 管理規約(使用細則を含む):議決の要件や、専有部分・共用部分の範囲を確認します。

加えて、築年数、戸数、階数、管理会社の有無が分かると、アドバイザーも法律相談の弁護士も、一般論ではなく自分たちのマンションの話として答えられます。


よくあるご質問

Q. 西区の管理組合は、神奈川県のマンションアドバイザー派遣を使えますか?

A. 使えません。県の制度は横浜市・川崎市・相模原市・横須賀市が対象外です。西区の管理組合は、横浜市のマンション・アドバイザー派遣(横浜市住宅供給公社 045-451-7740)を使います。

Q. 市のアドバイザー派遣は、本当に無料ですか?

A. 初回は無料ですが、令和7年度以前に利用実績がない管理組合が対象です。マンション登録制度への登録も要件です。2回目以降は1回あたり税込12,650円(令和8年度)で、1回は3時間以内、通算6回までが原則です。

Q. 西区役所の法律相談は、管理組合の理事でも使えますか?

A. 公式ページでは管理組合としての利用可否は確認できませんでした。予約の電話(045-320-8321)で「管理組合の理事として」と伝えて確認してください。年度内に一人2回までです。

Q. 登記や不動産の相談は、どこでできますか?

A. 横浜市役所3階の市民相談室で、司法書士相談(登記)と宅地建物相談が開かれています。予約は045-671-2306です。西区役所では、登記・不動産の相談は案内されていません。

Q. 管理計画認定を受けると何が良くなりますか?

A. フラット35の金利引下げなどの優遇があり、市場での評価向上も期待されています。横浜市への申請手数料は3,900円で、事前確認の費用は別にかかります。相談は日管連のダイヤル(03-5801-0858)が無料です。

Q. 無料相談のあと、工事の見積りだけ取ることはできますか?

A. できます。相談と見積りは別です。見積りの前に専門家の意見を聞くと、仕様のぶれが小さくなります。明誠も、お見積りのみのご相談を承っています。

Q. 窓口に電話する前に、何を用意すればよいですか?

A. 築年数、戸数、階数、管理会社の有無と、総会議事録・長期修繕計画・管理規約の3点を手元にご用意ください。聞きたいことを3つに絞ると、短い相談枠でも足ります。


まとめ:今週動くこと3点

私は、西区の管理組合の皆さまに、今週のうちに次の3つを提案します。

  1. 3点セットをそろえる:総会議事録、長期修繕計画、管理規約を1つのフォルダにまとめます。
  2. 電話を1本かける:市のアドバイザー派遣(045-451-7740)で、マンション登録と初回無料の対象かを確認します。同時に西区役所(045-320-8321)で10月15日の法律相談の空きを聞いてみてください。
  3. 理事会で議題にする:次回の理事会で、「見積りの前に第三者の意見を聞く」ことを1分だけでも話題にしてください。

相談先を知ることは、修繕積立金を守る最初の一歩です。工事のことで、ご相談だけでも遠慮なくお問合せフォームからお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。


出典・参考資料


本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月9日時点で公表されている横浜市および国土交通省・神奈川県の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請される前に、横浜市および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。なお、西区・市民相談室の相談料、市民相談の管理組合としての利用可否、市独自の建築士単独派遣制度の有無は、公式ページで確認できませんでした。アドバイザー派遣の2回目以降の費用は、同一ページに令和8年度12,650円と令和7年度12,572円の記載があり、本記事では令和8年度の金額を採用しています。


この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)

株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市

マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。IRATA水準の技能訓練を受けた作業員、ISO9001品質マネジメントシステムのもとで施工しています。

最終更新:2026年10月9日


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ロープアクセス工法の詳細や実例については、姉妹サイト「ロープアクセスドットコム」の以下の記事もぜひご覧ください。

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横浜市中区の管理組合が使える無料・低コストの相談窓口14選|区役所の弁護士・公証人相談から市のアドバイザー派遣(初回無料)まで【令和8年度版】

2026年10月9日 更新

横浜市中区のマンションの理事長さまから、こんなご相談をいただくことがあります。

「大規模修繕の時期が近いが、誰に何を聞けばいいのかわからない。専門家に相談するたびにお金がかかるなら、修繕積立金には手を付けにくい」

私は、こうしたお話を聞くたびに、相談先を知らないだけで遠回りをしている管理組合が多いと感じます。理由は単純で、無料で使える入口が、区役所、市役所、民間の支援団体、県、国と、あちこちに分かれているからです。

中区には、ほかの区にはない強みがあります。区役所の弁護士相談は「無料」と公式ページに明記されています。横浜市役所の庁舎が中区の本町にあり、市の住宅再生課も、市民相談室も、同じ庁舎に入っています。マンション管理組合サポートセンターの事務局も、中区の翁町にあります。窓口を歩いて回れる距離感は、理事会の負担を軽くしてくれます。

申し遅れました。私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。東京都東大和市を拠点に、20年近くマンション・ビル・ホテルの外壁の仕事をしてきました。工事の話に入る前に、いま中区の管理組合が使える「お金をかけずに(または少額で)聞ける相談先」を整理してお伝えします。


結論:中区で使える窓口は14、費用が無料と明記されているのは11

先に一覧でお示しします。公式ページに「無料」と書かれているものと、費用の記載が見つからなかったものを分けています。

# 制度・窓口 誰が対応するか 費用 申込先
1 中区役所 弁護士による相談(予約制) 弁護士 無料(年度内2回まで) 中区役所 区政推進課 045-224-8123
2 中区役所 公証人による相談(予約制) 公証人 無料 同上
3 中区役所 行政書士による相談(予約制) 行政書士 要確認(ページに費用の記載なし) 同上
4 横浜市役所 市民相談室(司法書士・宅建・夜間法律相談) 司法書士・宅建業の専門家・弁護士 要確認(ページに費用の記載なし) 市民相談室 045-671-2306
5 マンション・アドバイザー派遣 マンション管理士・建築士ほか 初回無料(要件あり)、2回目以降は1回12,650円(税込) 横浜市住宅供給公社 045-451-7740
6 管理組合活動活性化支援 マンション専門家 無料(市の窓口一覧に記載) 同上
7 規約や総会等がないマンションへの専門家派遣 専門家 無料(印刷費などの実費が出ることあり) 同上
8 マンション・団地再生コーディネート支援(築30年以上) 専門家 無料(個別業務は別契約) 同上
9 横浜市マンション管理組合サポートセンター(各区交流会) 管理組合・専門家 無料(市の窓口一覧に記載) 同センター 045-663-5459
10 よこはま防災力向上マンション認定制度の専門家派遣 専門家団体 無料(市の窓口一覧に記載) 建築局住宅政策課 045-671-4121
11 管理計画認定制度 相談ダイヤル(日管連) マンション管理士 無料(何回でも) 03-5801-0858
12 神奈川県マンション管理組合交流会(令和8年11月) 専門家による講義と意見交換 無料 神奈川県マンション管理士会 045-662-5471
13 マンション管理センター 電話相談 専門相談員 要確認(費用の記載なし) 03-3222-1517/1519
14 法テラス 無料法律相談 弁護士等 無料(収入・資産の基準あり) 0570-078374

このほかに、無料ではありませんが、長期修繕計画の作成費用を市が2分の1(上限20万円)補助する制度があります。後ほど別に整理します。

正直にお伝えします。私が令和8年10月9日時点で公式ページを確認した範囲では、「費用がかかるかどうか」の記載がない窓口が3つありました。電話で申し込むときに「相談料はかかりますか」とひと言確認するだけで、あとから戸惑わずに済みます。

もう一つ、大事な点があります。神奈川県の「マンションアドバイザー派遣事業」は、横浜市の管理組合は対象外です。県のページに「横浜市・川崎市・相模原市・横須賀市は対象外で、それぞれ別の制度がある」と書かれています(出典:神奈川県「マンションアドバイザー派遣事業」)。中区の管理組合は、県ではなく市の制度を使う形になります。


中区役所の「専門家による相談」:弁護士・公証人は無料

中区役所(横浜市中区日本大通35番地)では、次の専門家相談が開かれています(出典:横浜市中区「専門家(弁護士・公証人・行政書士)による相談」、令和8年4月28日更新)。

相談 日程 費用 対象の例
弁護士による相談 第1・第2・第3火曜日 13:00〜16:00(1回25分) 「秘密厳守・無料です」 法律にかかわる問題
公証人による相談 第2金曜日 13:00〜15:00(1回25分) 「秘密厳守・無料です」 相続、公正証書、遺言など
行政書士による相談 第4金曜日 13:00〜16:00(1回25分) ページに記載なし 遺言書の作成、各種許認可、会社・法人設立など

予約は電話で、相談日の当日に受け付けます。中区に住んでいる方・勤めている方は午前9時から、中区以外の市内在住・在勤の方は午前9時30分からです。電話は中区役所区政推進課の045-224-8123です。弁護士相談は年度内(4月1日〜翌年3月31日)に2回まで利用できます。

実施日の例を挙げます。弁護士相談は、10月が13日と20日、11月が10日と17日です。11月3日は祝日のため実施されません(ページに「5月5日、8月11日、11月3日、令和9年1月5日は実施なし」とあります)。12月は1日、8日、15日です。今日の10月9日は第2金曜日で、公証人相談の日にあたります。次回は11月13日です。

なお、ご注意いただきたい点が1つあります。区の別のFAQページには、法律相談の電話番号が045-224-8121と載っています。令和8年4月に更新された専門家相談のページは8123です。つながらないときは、区役所の代表電話(045-224-8181)から区政推進課につないでもらってください。

管理費の滞納、理事会の議事の進め方、規約の読み方といった「工事の前段階」の疑問は、弁護士相談で整理できることが多いと私は見ています。ただし、この相談が個人の相談を想定しているのか、管理組合の理事としての相談も受けられるのかは、公式ページでは確認できませんでした。予約の電話で「マンションの管理組合の理事として相談したい」とお伝えください。

公証人相談は、組合というより区分所有者ご本人の相続や遺言の相談向けです。ただし、管理組合の議事録や契約書の「公正証書」にまつわる疑問が出たときの入口として、覚えておく価値はあります。


横浜市役所の市民相談室:登記・不動産・夜間の法律相談

市役所(中区本町6丁目50番地の10、3階)の市民相談室では、次の相談が開かれています(出典:横浜市「市民相談室」、令和8年10月9日時点で確認)。

  • 司法書士相談:月〜水曜 13:00〜16:00、対面、25分以内。不動産登記、相続、成年後見など
  • 宅地建物相談:月曜 10:00〜12:00/13:00〜16:00、電話か対面、35分以内。不動産の売買・賃貸借など
  • 夜間法律相談:毎月第2・4水曜、電話かオンライン(選択制)
  • 予約:電話045-671-2306

対象は横浜市民で、在勤・在学の方は利用できません。ページに料金の記載はなく、無料かどうかは確認できませんでした。また、市民相談室では税理士による税務相談は行っていません。管理組合の税務は、税理士か税務署が窓口になります。


市のマンション・アドバイザー派遣:初回無料(要件あり)

私が最も使いやすいと感じるのが、横浜市のこの制度です。マンション管理士や建築士などの登録専門家が、管理組合の会合に訪問して相談に応じます(出典:横浜市「マンション・アドバイザー派遣」、令和8年4月13日更新)。

項目 内容
対象 分譲マンションの管理組合(有志や個人名の申込みは不可)。マンション登録制度への登録が要件
時間 1回につき3時間以内
回数 原則6回まで。6回に達した後は、翌年度以降は年度あたり1回
費用 初回無料(令和7年度以前に利用実績がない場合)。2回目以降は1回あたり税込12,650円(令和8年度)
申込先 横浜市住宅供給公社 街づくり事業課。事前相談書をメール(mansion-adviser@yokohama-kousya.or.jp、件名に【マンション名】)またはFAX(045-451-7789)で提出。電話は045-451-7740

ご注意いただきたいのは、同じページに、2回目以降の費用として「12,572円(令和7年度の金額)」という記載も残っている点です。令和8年度の金額は12,650円と読めます。申込みの際に事務局で確認してください。

また、市の窓口一覧には「顧問導入支援」も載っています。アドバイザー派遣のあとに、継続的な専門家相談を体験できる制度で、月額25,300円(6か月まで)と記載されています。無料ではありませんが、外部の管理コンサルタントを入れる前の試し運転として知っておく価値があります。

ここで、現場にいる私の立場から一つお伝えします。アドバイザー派遣の最大の価値は、施工会社の営業とは別の第三者の意見が聞けることです。見積書が出てから慌てて呼ぶより、見積依頼の前に呼ぶほうが、仕様のぶれが小さくなります。理事会の議題を整理する、という使い方でも十分に元が取れます。


管理組合の運営を無料で支える、市の3つの専門家派遣

アドバイザー派遣のほかにも、公社が窓口になっている無料の支援が3つあります。状況に合うものを選んでください。窓口は、いずれも横浜市住宅供給公社 街づくり事業課(045-451-7740)です。

管理組合活動活性化支援

マンションの専門家による、組合運営の相談です。市の窓口一覧では、費用は「無料」と記載されています(出典:横浜市「マンション管理に関する相談窓口一覧(PDF)」、令和8年3月30日)。このPDFには、対象の要件の詳細が書かれていません。申込みの前に、公社へ要件を確認してください。

規約や総会等がないマンションへの専門家派遣

管理規約がない、総会を開いていないなど、組織・規約・総会などに関する8項目のうち2つ以上に当てはまる管理組合が対象です。専門家の派遣費用は無料で、1回3時間以内です。ただし、配付物の印刷費や登記簿謄本の取得費など、一定の実費がかかることがあります(出典:横浜市「規約や総会等がないマンションへの専門家派遣」、令和8年4月3日更新)。

マンション・団地再生コーディネート支援

築30年以上の分譲マンション・団地が対象です。管理組合があり年1回以上総会を開いていること、管理規約があること、7年以内に見直された長期修繕計画があることが条件です。専門家が、大規模修繕のその先(長寿命化・建替えなど)の検討を支援します。費用は無料です。ただし、設計図面の作成のような個別の業務を頼むときは、別途契約になります。1回3時間まで、年5回、合計15回、通算4か年まで使えます(出典:横浜市「将来検討初動期の活動支援」、令和8年8月25日更新)。


長期修繕計画の作成費を、市が2分の1補助(上限20万円)

ここは無料ではありませんが、費用を抑えたい管理組合にとって大きな制度です。「長期修繕計画がない」「15年以上見直していない」管理組合を対象に、劣化の診断費用と計画の作成費用を、委託費用の2分の1(上限20万円、1,000円未満切り捨て)まで補助します(出典:横浜市「長期修繕計画がない、長年更新していないマンションへの補助金」、令和8年4月1日更新)。

項目 内容
対象の要件 年1回以上の総会、管理規約あり、長期修繕計画がない(または15年以上見直していない)、計画の作成・見直しと費用を規約に沿って決定、マンション登録制度に登録済み
補助対象 ①劣化調査・診断の費用、②長期修繕計画の作成費用(各1回)
補助率・上限 委託費用の2分の1、上限20万円
受付 受付期間の記載なし。令和8年度の予算に達し次第終了。事前に住宅再生課へ相談
期限 令和9年1月末までに事業を完了し、実績報告
注意 すでに契約済みの業務は対象外。併用住宅は住宅部分の費用のみ対象
窓口 建築局住宅再生課 045-671-2954(市庁舎24階)

併用住宅に関する記載は、住宅と商業施設・事務所が混在する建物の理事会にとって、見落としやすいポイントです。区分所有者の中に店舗やオフィスがある建物は、費用の按分を専門家と先に整理しておくと、申請がスムーズです。

さらに、省エネ改修を含む長期修繕計画を作る場合の補助もあります。こちらは管理計画認定を受けている(または総会で認定申請を承認している)ことが条件で、補助額は同じく「2分の1、上限20万円」です。屋根・外壁の断熱、窓の断熱改修、太陽光発電などが対象になります(出典:横浜市「省エネに関する長期修繕計画を作成しようとするマンションへの補助金」、令和8年4月1日更新)。

なお、予算の都合で受付が終わることがあります。「来年度でいいか」と先延ばしにすると、制度の内容そのものが変わる可能性もあります。使うつもりがあるなら、早めの電話をおすすめします。


管理組合同士のつながりと、防災の専門家派遣

横浜市マンション管理組合サポートセンター

市内の管理組合が情報交換し、専門家を交えて話し合う事業です。事務局は、中区翁町1-5-14(新見翁ビル3階)にあります。各区の交流会は、原則として毎月第1日曜の9:30〜11:30に地区センター等で開かれ、申込みは不要です。リモート交流会は、原則として毎月第3日曜の18:00〜19:30で、申込みが必要です(出典:横浜市「マンション管理セミナー・相談会等(PDF)」、令和8年2月17日)。

費用は、市の窓口一覧に「参加費無料」と書かれています。一方、サポートセンターの紹介ページには参加費の記載がありません(出典:横浜市「マンション管理組合サポートセンター」、令和8年4月3日更新)。中区の交流会の会場と日程は、公式ページでは確認できませんでした。事務局(045-663-5459、平日10時〜17時)か、チラシで確認してください。

よこはま防災力向上マンション認定制度の専門家派遣

建築局住宅政策課(045-671-4121)の防災認証に関する専門家派遣は、無料と記載されています(出典:前掲の窓口一覧PDF)。受付の流れは、市に直接お尋ねください。


管理計画認定制度:認定の相談は無料、申請には費用がかかる

認定を受けるかどうかの相談は、日管連の相談ダイヤルで無料です。03-5801-0858、月〜土の10:00〜17:00(祝日・年末年始を除く)、何回でも相談でき、1回あたり30分程度です(出典:日本マンション管理士会連合会「管理計画認定制度 相談ダイヤル」)。

一方、実際に認定を受けるには費用がかかります。横浜市のページには、次の記載があります(出典:横浜市「管理計画認定制度」、令和7年12月8日更新)。

  • 申請手数料(新規):3,900円+郵送料。長期修繕計画が複数ある場合は、1,700円×(計画の数−1)を加算
  • 手続きシステム利用料:10,000円
  • 事前確認(適合確認)の費用:依頼する専門家によって異なり、金額の記載なし
  • 申請の方法:市への直接申請は受け付けず、マンション管理センターの手続きシステムから申請

このページは令和7年12月の更新で、令和8年度の金額かどうかは明記されていません。更新の手数料の記載もありません。申請の前に、市の住宅再生課(045-671-2954)で最新の金額をご確認ください。認定には5年の有効期間があり、フラット35の金利引下げなどの優遇が受けられます(出典:国土交通省「マンション管理計画認定制度」)。


神奈川県・国の相談窓口

神奈川県マンション管理組合交流会(令和8年度)

神奈川県内のマンション管理組合の役員を対象に、講義と、参加者同士の意見・情報交換を行う交流会です。費用は無料で、11月に4会場で開かれます。

  • 11月7日(土)箱根町役場:マンションの適正管理
  • 11月14日(土)ユニコムプラザさがみはら(相模原市南区):区分所有法、標準管理規約の改正
  • 11月22日(日)茅ヶ崎市民文化会館:修繕(長期修繕計画を含む)
  • 11月28日(土)葉山マリーナ(三浦郡葉山町):区分所有法、標準管理規約の改正

いずれも14:00〜16:00の予定で、会場ごとのGoogleフォームから申し込みます。中区から近い会場はありませんが、修繕をテーマにした11月22日の茅ヶ崎会場は、JR「茅ヶ崎駅」から徒歩8分です。問合せは神奈川県マンション管理士会事務局(045-662-5471、平日10〜17時)です(出典:神奈川県「マンション管理組合交流会」、令和8年9月3日更新)。

マンション管理センターの電話相談

(公財)マンション管理センターの電話相談は、管理組合の運営・規約が03-3222-1517、建物・設備の維持管理が03-3222-1519です。市の窓口一覧にも、ページにも、費用の記載がありません(出典:マンション管理センター「電話相談」)。

法テラス

法テラスの無料法律相談は、収入と資産の基準を満たす方が対象です。サポートダイヤルは0570-078374です(出典:法テラス「無料法律相談のご利用の流れ」)。管理組合という法人格のない団体の場合に、基準がどう適用されるかは、法テラスに直接確認が必要です。


相談の前に、足場とロープアクセスの比較も知っておいてください

無料の相談で整理した後、実際の工事の計画に進むとき、工法の選択が総額を大きく変えます。私どもは、通常の足場工法、ロープアクセス工法、両方を組み合わせるハイブリッド工法の3つから、建物に合う方法をご提案しています。

目安として、10階建て・外周80m・工期3か月のマンションで、仮設足場に約168万円かかる場面で、ロープアクセスなら約59万円という比較例があります(建物の形状や条件で大きく変わります。あくまで参考値です)。外壁の打診調査の単価は、一般に1㎡あたり250〜500円程度が目安です。

ロープアクセス工法は、メインロープとバックアップロープの2本に接続し、2点以上の吊元を確保して作業します。明誠と全国のフランチャイズ加盟企業では、過去16年間、墜落による労働災害はゼロです。株式会社明誠はこれまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。詳しい工法の仕組みは明誠のロープアクセス工法の技術詳細に、同業者向けの技術・訓練情報は姉妹サイトのロープアクセスドットコムにまとめています。

料金の考え方は大規模修繕の料金の考え方でお伝えしています。明誠のこれまでの実績は明誠の施工事例からご覧いただけます。管理組合さま向けの詳しいご案内は管理組合向けサービスのページに、私たちの考え方は明誠の理念に書いています。ロープアクセスの安全面や費用面を、もう少し具体的に知りたい方は、姉妹サイトのロープアクセスの解説記事もご覧ください。


何を用意して相談に行けばいいか:3点セット

専門家に相談するとき、手元に次の3点があると、相談の時間がずっと有効になります。25分や3時間という限られた枠では、とくに差が出ます。私はいつも理事長さまにこの3つをお願いしています。

  1. 総会議事録(直近2〜3期分):何を決めてきたかが分かります。
  2. 長期修繕計画:作成年、次回の大規模修繕の予定、修繕積立金の残高と見通しを確認します。補助金の要件(15年以上未見直しかどうか)の確認にも使います。
  3. 管理規約(使用細則を含む):議決の要件や、専有部分・共用部分の範囲を確認します。

加えて、築年数、戸数、階数、管理会社の有無、店舗や事務所が入っているかどうかが分かると、アドバイザーも弁護士も、一般論ではなく自分たちのマンションの話として答えられます。


よくあるご質問

Q. 中区の管理組合は、神奈川県のマンションアドバイザー派遣を使えますか?

A. 使えません。県の制度は横浜市・川崎市・相模原市・横須賀市が対象外です。中区の管理組合は、横浜市のマンション・アドバイザー派遣(横浜市住宅供給公社 045-451-7740)を使います。

Q. 市のアドバイザー派遣は、本当に無料ですか?

A. 初回は無料ですが、令和7年度以前に利用実績がない管理組合が対象です。マンション登録制度への登録も要件です。2回目以降は1回あたり税込12,650円(令和8年度)で、1回は3時間以内、原則6回までです。

Q. 中区役所の弁護士相談は、管理組合の理事でも使えますか?

A. 公式ページでは、管理組合としての利用可否は確認できませんでした。予約の電話(045-224-8123)で「管理組合の理事として」と伝えて確認してください。費用は無料と明記されており、年度内に2回まで利用できます。

Q. 弁護士相談の予約は、いつ電話すればよいですか?

A. 相談日の当日の朝です。中区在住・在勤の方は午前9時から、それ以外の市内在住・在勤の方は午前9時30分からです。前日までの予約はできません。

Q. 長期修繕計画の補助金は、いつ申し込めますか?

A. ページに受付期間の記載はなく、令和8年度の予算に達し次第終了です。令和9年1月末までに事業を終える必要があるため、検討中なら早めに市の住宅再生課(045-671-2954)へ相談してください。

Q. 管理計画認定を受けると何が良くなりますか?

A. フラット35の金利引下げなどの優遇があり、省エネ改修を含む長期修繕計画の補助の要件にもなります。申請手数料は新規で3,900円+郵送料、別途システム利用料10,000円です。最新の金額は市の住宅再生課で確認してください。相談は日管連のダイヤル(03-5801-0858)が無料です。

Q. 無料相談のあと、工事の見積りだけ取ることはできますか?

A. できます。相談と見積りは別です。見積りの前に専門家の意見を聞くと、仕様のぶれが小さくなります。明誠も、お見積りのみのご相談を承っています。


まとめ:今週動くこと3点

私は、中区の管理組合の皆さまに、今週のうちに次の3つを提案します。

  1. 3点セットをそろえる:総会議事録、長期修繕計画、管理規約を1つのフォルダにまとめます。
  2. 電話を1本かける:市のアドバイザー派遣(045-451-7740)で、マンション登録と初回無料の対象かを確認します。長期修繕計画を15年以上見直していないなら、住宅再生課(045-671-2954)に補助金の空きも聞いてください。
  3. 火曜の朝を押さえる:10月13日(火)か20日(火)の午前9時、中区役所(045-224-8123)に電話して、弁護士相談の枠を確認します。

相談先を知ることは、修繕積立金を守る最初の一歩です。工事のことで、ご相談だけでも遠慮なくお問合せフォームからお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。


出典・参考資料


本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月9日時点で公表されている横浜市および国土交通省・神奈川県の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請される前に、横浜市および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。なお、中区役所の行政書士相談・市民相談室・マンション管理センター電話相談の費用、中区役所の弁護士相談が管理組合として利用できるか、管理計画認定の令和8年度の手数料、サポートセンター交流会の中区会場は、公式ページで確認できませんでした。中区役所の法律相談の電話番号は、専門家相談のページ(045-224-8123)と別のFAQ(045-224-8121)で異なっており、本記事では更新の新しい前者を採用しています。


この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)

株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市

マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。IRATA水準の技能訓練を受けた作業員、ISO9001品質マネジメントシステムのもとで施工しています。

最終更新:2026年10月9日


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葉山町のマンション補助金|大規模修繕2026年度版

2026年10月9日 更新

「葉山町のマンションで、大規模修繕に使える補助金はありますか?」

結論から申し上げます。令和8年度(2026年度)時点で葉山町の公式サイトに公開されている資料を確認した範囲では、外壁塗装や屋上防水など、共用部分の大規模修繕工事そのものを管理組合に補助する町の制度は見つかりませんでした。

ただし、葉山町のマンション管理組合が知っておきたい制度は3つあります。1つ目は、区分所有のマンションなら「専有部分1戸につき1回」使えると要綱に明記された、町の住宅リフォーム資金補助金(一律5万円)。2つ目は、神奈川県がマンション管理士などの専門家を無料で派遣する「マンションアドバイザー派遣事業」(令和8年度は令和9年2月26日まで受付)。3つ目は、補助金ではありませんが、風致地区で外壁や屋根の色を変えるときに必要な「町長の許可」です。

こんにちは、株式会社明誠の本間です。マンション・ビル・ホテルの大規模修繕に20年以上携わってきました。この記事では、葉山町のマンション管理組合の理事長さま・修繕委員の皆さまに向けて、葉山町と神奈川県の制度を「共用部に使えるか、使えないか」で仕分けし、葉山町ならではの注意点と、工事費そのものを抑える工法の選び方までお伝えします。

葉山町は、緑と海に囲まれた落ち着いた住宅地です。町内には条例で定められた風致地区があり、大規模修繕で外壁の色を変える計画を立てるときは、補助金よりも先に、この許可の確認が必要になる場合があります。 ここが、他の自治体の記事ではあまり触れない、葉山町の管理組合が押さえておきたい論点です。

早見表:葉山町のマンションで使える制度・使えない制度

まず全体像です。葉山町・神奈川県・国土交通省の公表資料をもとに整理しました(2026年10月9日時点)。

制度 実施主体 共用部の大規模修繕に使えるか ポイント
住宅リフォーム資金補助金 葉山町(産業振興課) △ 要確認(主に専有部分の工事向け) 一律5万円。区分所有住宅は専有部分1戸につき1回。町内業者・税抜20万円以上・着工前申請。別荘は対象外
マンションアドバイザー派遣事業 神奈川県(住宅計画課) ○ 相談に使える(工事費の補助ではない) 派遣料無料、1回3時間以内、1管理組合につき年度内最大2回。令和8年6月26日〜令和9年2月26日
マンション管理計画認定制度 神奈川県(町村部は県が認定) ○ 間接的に有利 長寿命化促進税制や融資の金利引下げの前提になる
マンション長寿命化促進税制 国(申告先は葉山町) ○ 間接的に有利 一定の大規模修繕を令和9年3月31日までに完了した場合、翌年度の固定資産税を減額
再生可能エネルギーシステム等設置補助金 葉山町(環境課) × 対象外 自ら居住する住宅が対象。太陽光は1kWあたり1.5万円(上限5万円)
ブロック塀等撤去補助金 葉山町(都市計画課) × 対象外 「自らが所有する戸建て住宅に付属するブロック塀等を所有する個人」が対象
住宅耐震補強工事の補助 葉山町(都市計画課) × 確認できず 町の案内では「木造住宅の耐震補強工事等」。マンション(非木造)向けは確認できず
風致地区条例の許可 葉山町 (補助ではなく手続き) 風致地区内で建築物の外壁・屋根の色を変えるときは町長の許可が必要

「共用部の工事費に直接使える町の補助金はない」というのが出発点です。そのうえで、専有部分の補助を大規模修繕の時期に合わせて案内する、県の無料アドバイザーで長期修繕計画を点検する、工法の比較で工事費そのものを適正化する、という3つの手立てが現実的です。

結論:葉山町の管理組合が押さえる3つのポイント

  1. 町の住宅リフォーム補助は「専有部分1戸につき1回・5万円」が基本線。 共用部の工事費を管理組合として申請できるかは要綱上はっきりしないため、産業振興課への確認が必要です。また、町のサイトに掲載されている要綱PDFには有効期限の記載があるため、令和8年度の受付状況を事前に確認してください(詳しくは後述)。
  2. 神奈川県のマンションアドバイザー派遣は、葉山町の管理組合が無料で使える。 隣の横須賀市は県の派遣対象外ですが、葉山町は対象です。長期修繕計画や修繕積立金の見直しの「最初の一歩」として有効です。
  3. 風致地区にあるマンションは、外壁・屋根の色を変える前に町長の許可が必要。 同じ色で塗り直すのか、色を変えるのかで手続きが変わります。総会で色を決める前に、敷地が風致地区に入っているかを確認しましょう。

葉山町の住宅リフォーム資金補助金-区分所有なら「専有部分1戸につき1回」

制度の概要

葉山町住宅リフォーム資金補助金交付要綱と、町の案内チラシに書かれている内容を整理します。

項目 内容(町の要綱・チラシの記載)
目的 地域経済の活性化と居住環境の向上
補助額 一律5万円
対象者 リフォームを行う住宅の所有者または居住者(町税・国民健康保険料等の滞納がないこと)
対象住宅 町内の居住用の住宅(チラシでは「別荘は除く」)
主な条件 町内業者が施工すること/工事費が20万円以上(消費税抜き)/申請した年度内に完了すること/着工前に申請すること
回数 住宅1棟につき1回。区分所有住宅は専有部分1戸につき1回
完了報告 工事完了から14日以内または年度末のいずれか早い日まで
担当 産業振興課

チラシでは、対象工事の例として「浴室・キッチン・トイレ等のリフォーム」「給湯・換気・給排水衛生設備工事を伴うリフォーム」「屋根の塗装、ふき替え」「外壁の張替え、塗装」「手すりの設置や段差解消などのバリアフリー改修」などが挙げられています。一方で、庭・車庫・倉庫などの改築や、外壁・フェンス・門扉などの外構工事は対象外です。

マンションで、どう使えるのか

注目したいのは、要綱の第5条第2項です。補助は「住宅1棟につき1回」が原則ですが、区分所有者が2人以上いる住宅(区分所有住宅)については「専有部分1戸につき1回」と書かれています。つまり、分譲マンションでは、住戸ごとに5万円の補助を受けられる余地があるということです。

一方で、外壁や屋上防水などの共用部分の工事について、管理組合が申請者になれるかどうかは、要綱からははっきり読み取れません。チラシにも「居住スペースが対象」とあります。私の経験上、こうした町の住宅リフォーム補助は、各住戸の区分所有者が、自分の専有部分の工事に使うのが基本線です。管理組合として共用部に使えるかは、計画の早い段階で産業振興課に確認してください。

「令和8年度も受付しているか」を最初に確認

ここは正直に申し上げます。町のサイトに掲載されている要綱PDFの附則には、「この要綱は、令和7年3月31日限り、その効力を失う」という有効期限の記載があり、最後の改正は令和6年4月1日施行のものです。延長の改正が掲載されていないだけなのか、制度が終了しているのかは、公開資料からは確認できませんでした。

そのため、令和8年度(2026年度)に受付をしているか、予算が残っているかは、産業振興課(町役場 代表 046-876-1111)へ問い合わせてから計画に組み込んでください。年度ごとに予算の範囲内で交付される制度なので、年度の後半は受付状況が変わることもあります。

管理組合として、どう活かすか

この補助は、各住戸の区分所有者が申請するものですが、大規模修繕のタイミングで「専有部分のリフォームを検討している方は、町の補助が使えるかもしれません」と案内することは、管理組合にできる大切な役割です。たとえば、大規模修繕の工事説明会の資料に、町の制度の概要と問い合わせ先を1枚添えるだけでも、住戸ごとのリフォームのきっかけになります。

ただし、次の条件には注意が必要です。

  • 町内業者が施工することが条件です。大規模修繕の施工会社が町外の会社の場合、専有部分の工事を同じ会社に頼むと補助の対象外になります。
  • 工事の着工前に申請が必要です。申請前に着工した工事は対象になりません。
  • 別荘は対象外です(チラシの記載)。葉山町のマンションには、週末や季節ごとに使う住戸もあると思います。こうした住戸の区分所有者には、対象外になる可能性を先にお伝えしておくと親切です。
  • 補助を受けてから10年以内に、住宅を居住用でない建物に用途変更したり、売却・譲渡したりした場合は、町への届出が必要で、補助金の返還を求められる場合があります(要綱第14条・第15条)。

町が案内している、ほかの住宅関係の制度

町のチラシには、リフォーム補助と同じ工事に重複して申請できない「町が実施するその他のリフォーム補助制度」として、介護保険の住宅改修、在宅高齢者住宅改修、重度障害者住宅設備改造費助成、再生可能エネルギーシステム等設置補助金、いけがき設置等助成、合併処理浄化槽設置整備補助、水洗化工事費助成、住宅耐震補強工事、ブロック塀撤去補助金が挙げられています。どれも基本的には個人の住宅・住戸が対象で、マンションの共用部の大規模修繕に使えるものではありません。

神奈川県のマンションアドバイザー派遣-葉山町の管理組合は無料で使えます

制度の概要

神奈川県の令和8年度 マンションアドバイザー派遣事業のご案内によると、内容は次のとおりです。

項目 内容
派遣料 無料
派遣されるのは マンション管理士等の資格を持ち、マンション管理の相談経験がある専門家
相談時間・回数 1回につきアドバイザー1〜2名、3時間以内。夜間・休日にも対応。1管理組合につき年度内最大2回
派遣対象 神奈川県内の分譲マンションの管理組合等(横浜市・川崎市・相模原市・横須賀市を除く)
申込期間 令和8年6月26日(金)〜令和9年2月26日(金)。申込者が多数の場合は早期に終了
事前相談窓口(事務局) NPO法人 かながわマンション管理組合ネットワーク(TEL 045-620-6300、平日10:00〜16:00)
発行 神奈川県 県土整備局 建築住宅部 住宅計画課(TEL 045-210-6557)

相談できる内容には、長期修繕計画や大規模修繕、修繕積立金などの財務、管理規約、耐震性の向上、管理計画認定制度が含まれています。詳しくは神奈川県のマンションアドバイザーのページをご覧ください。

隣の横須賀市は対象外、葉山町は対象

派遣対象から除かれているのは、横浜市・川崎市・相模原市・横須賀市の4市です。案内では、これらの市のマンションは各市の住宅担当に問い合わせるよう書かれています。葉山町は除外されていないので、葉山町の分譲マンションの管理組合は、この県の制度を使えます。 申込みは、まず事務局へ電話で事前相談をし、その後に派遣申請書をメールかファクスで提出する流れです。

使い方のコツと、範囲外のこと

チラシには、見積書の比較診断、工事の受注、業者の紹介、長期修繕計画の策定そのもの、管理計画認定の申請業務などは派遣業務の範囲外と明記されています。つまり、アドバイザーは「中立の立場で考え方を整理してくれる人」です。

私はいつも理事長さまに、大規模修繕の検討を始める前に、まず中立の専門家に計画の考え方を聞いておくことをおすすめしています。年度内2回まで使えるので、たとえば1回目で長期修繕計画と修繕積立金の点検、2回目で管理計画認定の準備、という使い方もできます。中立の立場で整理した論点を持って施工会社と話すと、見積りの比較がぐっとしやすくなります。

マンション管理計画認定制度-葉山町は「神奈川県」が認定します

マンション管理計画認定制度は、管理組合の管理計画が一定の基準を満たしていることを、自治体が認定する制度です。認定を受けると、後述のマンション長寿命化促進税制を使う前提になるほか、住宅金融支援機構の融資で金利引下げの対象になります。

神奈川県のマンション管理計画認定 申請の手引きによると、葉山町を含む県内14町村(葉山町、寒川町、大磯町、二宮町、中井町、大井町、松田町、山北町、開成町、箱根町、真鶴町、湯河原町、愛川町、清川村)では、神奈川県が認定を行います。

手引きに書かれている主な認定基準は次のとおりです。

  • 管理者等と監事が置かれ、集会(総会)が年1回以上開かれていること
  • 管理費と修繕積立金を区分して経理していること
  • 修繕積立金の3か月以上の滞納額が全体の1割以内であること
  • 長期修繕計画が7年以内に作成・見直しされ、計画期間30年以上・残りの期間に大規模修繕工事を2回以上含むこと
  • 将来の一時金の徴収を予定しておらず、計画期間の最終年度に借入金の残高がないこと

申請方法は、マンション管理センターの「管理計画認定手続支援サービス」で事前確認を受ける方法と、県の窓口(県土整備局 建築住宅部 住宅計画課)へ直接申請する方法の2つです。手引きは令和4年4月版のため、最新の様式や手数料は県に確認してください。

なお、県の住生活基本計画 第5章(マンション管理適正化推進計画)では、25年以上の長期修繕計画に基づいて修繕積立金を設定している管理組合の割合を、2030(令和12)年度までに65%以上にする目標が掲げられています。長期修繕計画の見直しは、県全体の課題でもあるということです。

マンション長寿命化促進税制-認定の取得から逆算を

国のマンション長寿命化促進税制は、築20年以上・10戸以上のマンションで、管理計画の認定などを受けたうえで、長寿命化に資する大規模修繕工事(外壁塗装等、床防水、屋根防水)を行った場合に、各住戸の翌年度の固定資産税を減額する制度です。対象は令和9年3月31日までに完了した工事で、完了後3か月以内に申告が必要です。

葉山町の場合、認定を出すのは神奈川県、固定資産税の申告先は葉山町と、窓口が分かれます。令和9年3月末までに工事を完了させたい場合は、工事の完了時期から逆算して、認定を先に取っておく必要があります。ほかの減額措置との併用の可否など細かな要件は、国土交通省のページと町の税務担当でご確認ください。

葉山町ならではの論点:風致地区で外壁の色を変えるときは「許可」が必要

葉山町の風致地区

風致地区は、都市計画法にもとづいて、自然の景観や緑を守るために定められる地区です。葉山町の風致地区の手引きによると、町内には大楠山風致地区(第4種、約98.72ha)と、一色風致地区(第1種 約58.2ha、第4種 約249.6ha)があります。

外壁・屋根の色を変えるなら、町長の許可

葉山町風致地区条例(平成26年葉山町条例第19号)の第2条は、風致地区内で町長の許可が必要な行為として、建物の新築・増築などと並んで「建築物等の色彩の変更」を挙げています。

同じ条の許可不要の行為の一覧を読むと、色彩の変更で許可が不要なのは「屋根、外壁、煙突、門、塀……以外のもの」とされています。言い換えると、風致地区内でマンションの外壁や屋根の色を変える場合は、許可の対象になるということです。許可の基準は「変更後の色彩が、周辺の風致と著しく不調和でないこと」(第8条)です。

罰則も定められています。許可を受けずに許可が必要な行為をした場合は30万円以下の罰金(第14条)、町長の是正命令に従わない場合は50万円以下の罰金(第13条)です。また、違反した工事の注文主や請負人も、色彩の変更などの是正を命じられる対象になります(第11条)。管理組合は「注文主」にあたるので、他人事ではありません。

足場と資材置き場は、許可不要の扱い

一方で、条例は「工事に必要な仮設の工作物」の新築等や、工事現場での工事期間内の資材の堆積を、許可不要の行為として挙げています。つまり、大規模修繕のための足場の設置そのものは、風致地区の許可の対象外です。手続きが必要になるのは、主に「色を変えるかどうか」です。

理事会で決めておきたいこと

  • 敷地が風致地区に入っているかを、都市計画課(町役場 代表 046-876-1111)で確認する
  • 外壁・屋根の色を現状と同じ色で塗り直すのか、色を変えるのかを、色の検討の早い段階で決める
  • 色を変える場合は、総会で色を決める前に都市計画課に相談し、許可申請の期間を工程に組み込む(手引きには標準的な処理期間として14日の記載があります)
  • 施工会社に、許可申請の書類作成を支援できるかを確認する

私の経験上、色の議論は総会で一番もめやすいテーマの1つです。「せっかくの大規模修繕だから、明るい色にしたい」という声が出るのは自然なことです。だからこそ、色の候補を出す前に、使える色の考え方を町に確認しておくと、総会の議論がぶれずに済みます。

なお、葉山町は景観法にもとづく景観計画も定めています。町の景観法施行条例施行規則では、届出書類の様式が木竹の伐採と屋外の物件の堆積について定められています。建物の色や形の扱いは、まちづくり条例などほかの手続きと関係する場合があるため、風致地区の確認と合わせて都市計画課に相談するのが確実です。

使えない制度を、先に見極めましょう

再生可能エネルギーシステム等設置補助金:自ら居住する住宅が対象

令和8年6月1日施行の葉山町再生可能エネルギーシステム等設置補助金交付要綱では、対象者は「町内に住所を有し、町内の自ら居住するための住宅」にシステムを設置する人です。補助額は、住宅用太陽光発電システムが1kWあたり1.5万円(上限5万円)、家庭用燃料電池(エネファーム)と定置用リチウムイオン蓄電システムが各5万円。着工前の申請が必要で、申請は年度の2月末日までです。管理組合が共用部に設置する設備は、この要綱の対象には読めません。

ブロック塀等撤去補助金:戸建て住宅の個人が対象

葉山町ブロック塀等撤去補助金交付要綱(令和4年4月1日改正)では、対象者は「自らが所有する戸建て住宅に付属するブロック塀等を所有する個人」です。補助額は撤去費用の2分の1または1mあたり5千円の少ない方、1敷地10万円が限度とされています。マンションの敷地のブロック塀は、要綱上は対象外と読めます。なお、この要綱は令和4年の改正版が最新の掲載で、令和8年度の受付状況は都市計画課へ確認してください。

住宅耐震補強工事の補助:マンション(非木造)向けは確認できず

町のリフォーム補助のチラシでは、都市計画課の制度として「住宅耐震補強工事(木造住宅の耐震補強工事等)」が案内されています。鉄筋コンクリート造のマンションを対象とした耐震診断・耐震改修の補助は、葉山町の公開資料では確認できませんでした。 旧耐震(1981年5月以前に建築確認)のマンションの場合は、まず県のアドバイザー派遣で耐震性の向上についての考え方を相談してみてください。

葉山町のマンションの大規模修繕-足場か、ロープアクセスか、公平に比べます

町の補助が共用部に使えない以上、工事費そのものを適正に抑えることが、修繕積立金を守る最大の手段になります。

費用の目安

金額は物件によって大きく変わるため、あくまで参考値です。私たちが見積りの入口でお伝えしている目安は次のとおりです。

項目 目安
30戸規模マンションの大規模修繕 総工費 約3,500万〜5,000万円
うち仮設足場の割合 総工費の約15〜25%
外壁塗装 1㎡あたり約3,500〜4,500円
外壁の打診調査 1㎡あたり約250〜500円
防水工事 1㎡あたり約5,000〜8,000円

当社の試算例では、10階建て・外周80m・工期3か月の建物で、足場の費用が約168万円かかるところ、ロープアクセスでは約59万円、差額は約109万円です。30戸のマンションなら、1戸あたり約3.6万円の差になる計算です。実際の見積りは、建物の形状・劣化状況・工事範囲によって変わります。料金の考え方は大規模修繕の料金の考え方(明誠)でもご紹介しています。

3つの工法を、公平に比べる

明誠は、次の3つの工法から建物に合う方法を提案しています。

工法 向いている建物・工事 強み 注意点
通常の足場仮設工法 外壁の全面補修、塗装・防水・タイル・サッシ交換を一括で行う大規模修繕 作業の安全性と品質を確保しやすく、全面的な工事に適する 設置・解体の費用と工期がかかる。足場期間中は防犯・採光・ベランダの使用に配慮が必要
ロープアクセス工法(無足場工法) 外壁の部分補修、シーリングの打替え、調査・点検、部分塗装 足場が不要なため、工期と費用を抑えやすい。居住者の生活への影響が少ない 作業内容によっては向かない。専門技能を持つ職人が必要
ハイブリッド工法 面ごと・部位ごとに足場とロープを使い分けたい建物 部位ごとに最適な方法を選べ、総額を最適化しやすい 計画と工程管理に専門性が必要

ロープアクセス工法では、作業者がメインロープとバックアップロープの2本に接続し、屋上などに2点以上の吊元(ロープを固定する支点)を確保して作業します。明誠の工法の詳細は明誠のロープアクセス工法の技術と実績で、業界全体の安全基準や施工例は姉妹サイトのロープアクセスドットコム(無足場工法の専門メディア)で詳しく紹介しています。安全管理の考え方は明誠の高所作業の安全管理にまとめています。

ここは正直に申し上げます。 私たちは3つの工法をすべて扱うので、足場が最適なら足場を、ロープが向くならロープを提案します。この記事は、どれか1つに誘導するためのものではありません。

緑の多い敷地で、ロープアクセスが役立つ場面

葉山町のマンションは、斜面や樹木の多い敷地に建つものが少なくありません。風致地区の条例でも、建物の所有者などに敷地の緑化に努めることが求められています(第10条)。こうした建物では、足場を組むために植栽の枝を払ったり、植え込みの上に足場の脚を立てたりする必要が出ることがあります。

足場を組まないロープアクセスなら、植栽への影響を小さく抑えながら、外壁の調査や部分補修を進めやすくなります。全面的な塗り替えは足場で行い、植栽や斜面に面した面だけロープで施工する、というハイブリッド工法も選択肢です。足場そのものは風致地区の許可が不要ですが、敷地の緑を守るという点で、工法の選び方には意味があります。

詳しい技術の解説は、ロープアクセスドットコムで、斜面地や狭い敷地での施工の考え方を紹介しています。

明誠について、数字でお伝えします

株式会社明誠は、これまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセス工法での高所作業について、明誠と全国のフランチャイズ加盟企業では、過去16年間、墜落による労働災害ゼロを維持しています。IRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の技能訓練を受けた作業員が施工し、ISO9001の品質マネジメントシステムを運用しています。また、日本初のロープアクセス工事のフランチャイズ本部として、塗装・防水・タイル・電気・看板の各分野の専門職と連携しています。

現場で見てきたこと

緑に囲まれたマンションの現場で、私がよく目にするのは、北側や植栽に面した外壁だけ、コケや藻の付着、シーリングの劣化が早く進んでいるケースです。日当たりがよい面は「まだきれい」に見えるので、理事会では「次回の大規模修繕まで様子を見よう」という結論になりがちです。ところが、劣化が進んだ面から雨水が入り込むと、内部の鉄筋のさびやタイルの浮きにつながります。

私はこうした建物には、まず面ごとの劣化状況を建物診断で数字にし、傷みの早い面だけ先に手を打つことをおすすめしています。全面の足場を組まずに、ロープアクセスで傷んだ面だけを補修すれば、次の大規模修繕までの時間を稼ぎながら、修繕積立金の取り崩しを小さく抑えられます。

管理組合向けのサービス内容はマンション管理組合さま向けの大規模修繕サービスにまとめています。明誠のこれまでの施工の様子は、明誠の施工事例からご覧いただけます。

制度を使うときの共通の落とし穴

失敗しやすい3つのパターン

  1. 着工後に申請しようとする。 町のリフォーム補助、再エネ補助、ブロック塀撤去補助は、いずれも着工前の申請が条件です。
  2. 色を決めてから風致地区の確認をする。 総会で決めた色が許可の基準に合わないと、総会のやり直しや工程の遅れにつながります。
  3. 年度末に工事が間に合わない。 町のリフォーム補助は「申請した年度内に完了すること」が条件です。大規模修繕と専有部分の工事を同じ時期に進めると、工程が年度をまたぐことがあります。

理事会で使える質問リスト

  • 当マンションの敷地は風致地区に入っているか。入っている場合、第1種か第4種か
  • 外壁・屋根の色を変える予定はあるか
  • 長期修繕計画は7年以内に見直されているか。計画期間は30年以上あるか
  • 修繕積立金の3か月以上の滞納はどの程度あるか
  • 管理計画認定を、長寿命化促進税制の期限(令和9年3月31日完了)に間に合う時期に取れるか
  • 県のマンションアドバイザー派遣を、今年度すでに使ったか(年度内最大2回)
  • 町内の住宅リフォーム補助について、区分所有者への案内を誰が作るか
  • 植栽や斜面に面した面で、足場の設置が難しい場所はあるか

葉山町のマンションが大規模修繕に向けて動く5つのステップ

  1. 建物診断で現状を数字にする。 面ごとの劣化の差を把握し、工事範囲と優先順位を決めます。
  2. 県のマンションアドバイザーに相談する。 無料で、長期修繕計画や修繕積立金、管理計画認定の考え方を中立の立場から整理できます。
  3. 風致地区と色の方針を確認する。 敷地が風致地区に入っているかを確認し、色を変える場合は許可の期間を工程に入れます。
  4. 3工法で見積りを比べる。 足場・ロープアクセス・ハイブリッドで、総額と工期、居住者や植栽への影響を比べます。
  5. 認定・税制・専有部分の補助をあわせて計画する。 管理計画認定の取得時期、長寿命化促進税制の期限、区分所有者向けの町のリフォーム補助の案内を、工事の工程表と1枚にまとめます。

賃貸マンション・ビルのオーナーの方へ

葉山町の住宅リフォーム資金補助金は、要綱上「住宅の所有者または居住者」が対象で、チラシでは「自宅・アパート・貸家等」の外装塗装なども例に挙がっています。賃貸物件のオーナーさまも、町内業者の施工や工事費20万円以上などの条件を満たせば対象になり得ます。ただし、令和8年度の受付状況の確認が前提です。風致地区の色彩の許可は、分譲・賃貸を問わず同じです。賃貸ビルのオーナーさま向けのご案内はビルオーナーさま向けの大規模修繕サービスをご覧ください。

よくあるご質問

Q. 葉山町で、マンションの大規模修繕工事費に使える補助金はありますか?

A. 2026年10月9日時点で町の公開資料を確認した範囲では、共用部分の大規模修繕工事そのものを管理組合に補助する町の制度は見つかりませんでした。専有部分のリフォームには、町の住宅リフォーム資金補助金(一律5万円)が使える可能性があります。

Q. 住宅リフォーム資金補助金は、マンションでも使えますか?

A. 要綱では、区分所有住宅について「専有部分1戸につき1回」と定められているため、住戸ごとに使える余地があります。ただし、町内業者の施工、税抜20万円以上、着工前の申請などが条件で、別荘は対象外です。令和8年度の受付状況は産業振興課へ確認してください。

Q. 県のマンションアドバイザー派遣は、葉山町でも使えますか?

A. はい。令和8年度の案内では、横浜市・川崎市・相模原市・横須賀市を除く県内の分譲マンションの管理組合が対象で、葉山町は対象に含まれます。派遣料は無料、1管理組合につき年度内最大2回、申込期間は令和9年2月26日までです。

Q. 大規模修繕で外壁の色を変えたいのですが、手続きは必要ですか?

A. 敷地が風致地区内にある場合、葉山町風致地区条例により、外壁や屋根の色彩の変更には町長の許可が必要です。許可を受けずに行うと罰則の対象になります。色を決める前に、都市計画課に風致地区かどうかを確認してください。

Q. 足場を組むことにも、風致地区の許可は必要ですか?

A. 条例では「工事に必要な仮設の工作物」の設置は許可不要の行為とされています。足場の設置そのものについての許可は不要ですが、外壁の色を変える場合は別に許可が必要です。

Q. 葉山町のマンションの管理計画認定は、どこに申請しますか?

A. 葉山町を含む県内14町村では、神奈川県が認定を行います。窓口は県土整備局 建築住宅部 住宅計画課です。最新の様式や手数料は県に確認してください。

Q. 足場を組まない大規模修繕は、本当に可能ですか?

A. 外壁の部分補修、シーリングの打替え、調査などは、ロープアクセス工法で足場を組まずに行えることがあります。全面的な工事では足場が適する場合も多く、部位ごとに使い分けるハイブリッド工法も選択肢です。

Q. 相談や見積りに費用はかかりますか?

A. 明誠では、建物の状況確認や概算のお見積りのご相談を承っています。風致地区での色の検討や、町の補助の使い方についても、お気軽にお問い合わせフォームからご相談ください。

この記事のポイントまとめ

  • 葉山町で共用部の大規模修繕工事そのものに使える町の補助金は、公開資料では確認できず
  • 町の住宅リフォーム補助は一律5万円、区分所有住宅は専有部分1戸につき1回。別荘は対象外
  • 要綱PDFに有効期限の記載があるため、令和8年度の受付状況は産業振興課へ確認
  • 県のマンションアドバイザー派遣は葉山町で使える。無料・年度内2回・令和9年2月26日まで
  • 風致地区内では外壁・屋根の色の変更に町長の許可が必要。足場の設置そのものは許可不要
  • 管理計画認定は県、固定資産税の申告は町。長寿命化促進税制は令和9年3月31日完了が期限

出典・参考資料

本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月9日時点で公表されている葉山町、神奈川県、国土交通省の公式情報をもとに執筆しています。葉山町の住宅リフォーム資金補助金の要綱PDFには「令和7年3月31日限り」の有効期限の記載があり、令和8年度の受付状況は公開資料で確認できなかったため、産業振興課への確認をお願いします。ブロック塀等撤去補助金の要綱は令和4年改正版が最新の掲載です。県の管理計画認定の手引きは令和4年4月版です。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。本記事は法的・税務上の助言ではありません。


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この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年10月9日


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湯河原町のマンション補助金|大規模修繕2026年度版

2026年10月9日 更新

「湯河原町のマンションで、大規模修繕に使える補助金はありますか?」

先に結論をお伝えします。令和8年度(2026年度)の湯河原町公式サイトを確認した範囲では、外壁塗装や屋上防水といった共用部分の大規模修繕の工事費そのものを、管理組合に補助する制度は見つかりませんでした。

ただし、使える制度がまったくないわけではありません。湯河原町の「住宅リフォーム等補助事業」は、マンションなど共同住宅の「専有部分」のリフォームを対象にしており、工事費の10%(上限10万円)、町外から移住する方は20%(上限20万円)が補助されます。申請受付は2028年(令和10年)3月31日までです。また、ブロック塀などの撤去(共同住宅を含む)にも補助があります。

こんにちは、株式会社明誠の本間です。マンション・ビル・ホテルの大規模修繕に20年以上携わってきました。この記事では、湯河原町のマンション管理組合の理事長さま・理事の皆さまに向けて、補助制度を「共用部に使えるか、使えないか」で仕分けし、リゾートマンションが多い湯河原町ならではの注意点、神奈川県が窓口になる管理計画認定、そして工事費そのものを抑える工法の選び方までお伝えします。

最初に、大事な注意点が2つあります。1つ目は、町の住宅リフォーム補助は「町内の業者を利用すること」が条件だということです。2つ目は、申請できるのは「その住宅に自ら住んでいる方」で、別荘として使っている住戸は対象になりにくいということです。どちらも、大規模修繕と組み合わせる計画を立てる前に押さえておきたいポイントです。

早見表:湯河原町のマンションで使える制度・使えない制度

まず全体像です。令和8年度の湯河原町公式サイトと、神奈川県・国土交通省の公表資料をもとに整理しました。

制度 主な対象 管理組合(共用部)で使えるか 補助・効果 窓口
住宅リフォーム補助 自ら住む住宅、マンションの専有部分 ×(各住戸の居住者が申請) 工事費の10%・上限10万円(移住予定者は20%・上限20万円) 地域政策課
組積造(ブロック塀など)撤去等補助 住宅(共同住宅を含む)に付随する道路等に面した塀 △(申請者は居住者または所有者。管理組合で申請できるかは要確認) 工事費の10%・上限5万円(通学路に面する場合は10万円) 地域政策課
住宅用スマートエネルギー設備設置費補助 自ら住む住宅の太陽光・蓄電池など ×(個人の自宅向け) 太陽光1kWあたり1万5千円・上限5万2千円 ほか 環境課
木造住宅耐震改修工事費等補助 在来工法の木造の自己用住宅 ×(マンションは対象外) 改修工事費の1/2・上限35万円 ほか まちづくり課
マンション管理計画認定 町村部の分譲マンション ○(管理組合の管理者等が申請) 長寿命化促進税制の前提、融資金利の引下げ等 神奈川県 住宅計画課
マンション長寿命化促進税制(国) 築20年以上・10戸以上で認定等を受けたマンション ○(工事後に各住戸の固定資産税を減額) 翌年度の固定資産税を減額 町の税務担当・国交省

ポイントは、共用部の大規模修繕費に直接使える町の補助は見当たらない一方で、「各住戸の専有部分リフォーム」と「県の管理計画認定」をうまく組み合わせる余地があることです。

湯河原町のマンションの特徴-半数以上がリゾートマンションの「町村部」

湯河原町は神奈川県の西端、相模湾に面した温泉の町で、静岡県熱海市と隣り合っています。マンション管理の面では、大きな特徴が2つあります。

1つ目は、リゾートマンションの比率が高いことです。神奈川県の「マンション管理適正化推進計画」(神奈川県住生活基本計画 第5章)によると、県が2020(令和2)年度に行った町村部のマンション実態調査では、町村部のマンション153件のうち87件が、別荘的な居住を目的としたリゾートマンションでした。同じ資料のグラフでは、湯河原町はリゾートマンション21件、それ以外11件で、箱根町に次いでリゾートマンションの多い町になっています。

2つ目は、長期修繕計画の整備が全国平均より遅れていることです。同じ計画では、町村部で「25年以上の長期修繕計画に基づき修繕積立金を設定している管理組合」の割合が47%と、全国平均(54%)を下回っていると書かれています。県は、この割合を2030(令和12)年度までに65%以上に引き上げる目標を掲げています。

リゾートマンションでは、区分所有者の多くが町外に住んでいて、総会への出席や合意形成に時間がかかることがよくあります。補助金を探す前に、まず長期修繕計画と修繕積立金の見直しから始めるべき建物が少なくない、というのが湯河原町の実情だと私は考えています。

本命の制度①:住宅リフォーム補助-専有部分の工事に使える

制度の概要

湯河原町の「住宅リフォーム等補助事業」は、住環境の向上や町内経済の活性化などを目的とした制度です。町の公式ページ(2026年5月22日更新)の内容を整理します。

項目 内容
対象 町内で自ら居住する住宅、またはマンション等の共同住宅の専有部分のリフォーム
申請できる方 リフォーム工事を行う住宅の居住者
対象工事費 20万円以上(消費税を除く)
補助額 工事費の10%(上限10万円)
移住予定者 工事費の20%(上限20万円)※申請時に町外に住民登録があり、工事完了日までに湯河原町へ住所を移す方
回数 対象物件につき1回限り
申請のタイミング 工事前の申請が必要
業者の条件 町内の業者を利用すること
受付期間 2028年(令和10年)3月31日まで

町のページには、この事業が「物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金」の一部を活用していることも書かれています。受付期間は長めですが、予算の状況は町に確認しておくと安心です。

管理組合として、どう活かすか

この補助は管理組合ではなく、各住戸の居住者が申請する制度です。ですから、共用部の外壁や屋上防水の費用には使えません。それでも、大規模修繕と同じ時期に各住戸の専有部分のリフォーム(浴室・キッチン・内装など)をまとめて案内することで、区分所有者の負担感を和らげる材料にはなります。

ここで注意したいのが、窓や玄関ドアの扱いです。国のマンション標準管理規約では、窓枠・窓ガラス・玄関扉などは共用部分とされるのが一般的です。各住戸で窓を断熱化したいという声があっても、規約上は共用部分なので、専有部分のリフォームとして補助の対象になるかどうかは、町の地域政策課に事前に確認してください。管理規約で住戸ごとの窓改修をどう扱っているかも、理事会で確認しておきましょう。

別荘利用の住戸は対象になりにくい

申請できるのは「その住宅に自ら居住する方」です。週末や季節ごとに使う別荘としての住戸は、自ら居住している住宅とは言いにくく、対象にならない可能性が高いと考えられます。一方、町外から湯河原町に住所を移して定住する方は、補助率が20%(上限20万円)に上がります。リゾートマンションで「これを機に定住する」という区分所有者がいる場合は、この上乗せを案内できます。

「町内業者の利用」という条件

この補助は、請負業者が町内の業者であることが条件です。明誠は東京都東大和市に本社がある会社ですので、明誠が施工する工事には、この補助は使えません。専有部分のリフォームは町内の業者に、共用部の大規模修繕は管理組合が選んだ業者に、というように切り分けて考えるのが現実的です。正直にお伝えしたほうが、理事会の判断に役立つと考えて書いています。

現場目線のひとこと:専有部分の工事は「足場がある期間」に

大規模修繕で足場を組む期間中は、バルコニー側の作業がしやすくなります。専有部分のリフォームのうち、エアコン配管の更新やバルコニー側の工事がある住戸は、足場の期間に合わせて工事日を調整すると、別途の作業費を抑えられることがあります。理事会から各住戸へ、早めに工事予定を共有しておくのがおすすめです。

本命の制度②:ブロック塀などの撤去等補助-共同住宅も対象

町の「組積造(ブロック塀など)撤去等補助」は、住宅(共同住宅を含む)に付随する、道路などに面した組積造の塀の撤去と、安全な工作物への設置の費用を補助する制度です。

項目 内容
対象 コンクリートブロック塀、鉄筋コンクリート組立塀、レンガ積塀、石積塀など
申請できる方 組積造撤去等工事を行う住宅の居住者または所有者
対象工事費 10万円以上(消費税を除く)
補助額 工事費の10%(上限5万円。通学路に面する場合は10万円)
申請のタイミング 工事前の申請が必要
業者の条件 町内の業者を利用すること

マンションの敷地を囲むブロック塀が古くなっている場合、大規模修繕と同じ時期に撤去・フェンス化を検討する価値があります。ただし、共用部分である塀について、管理組合として申請できるのか、区分所有者の代表として申請するのかは、ページからは読み取れませんでした。申請前に地域政策課へ確認してください。

使えない制度を、先に見極めましょう

木造住宅耐震改修工事費等補助:木造の自己用住宅が対象

町の耐震補助は、在来工法の木造住宅で、平成12年5月31日以前に着工した自己用住宅が対象です。令和7年度から対象が「昭和56年5月31日以前」から「平成12年5月31日以前」に広がりました。補助は、耐震診断が1/2・上限5万円、補強設計が1/2・上限10万円、改修工事が1/2・上限35万円です。年度内の申請受付は12月末までとされています。アパートや長屋形式の建物は除くとされており、鉄筋コンクリート造のマンションは対象外です。

住宅用スマートエネルギー設備設置費補助:個人の自宅向け

太陽光発電は1kWあたり1万5千円・上限5万2千円、HEMSは1/2・上限1万円、定置用蓄電池とV2Hは1/2・上限5万円です。設置前に環境課へ「補助金交付申請予定届出書」を出す必要があります。ただし対象は「自ら居住するための住宅に新たに設置する方」で、住民登録も要件です。マンション共用部の屋上に管理組合が太陽光を設置するケースは想定されていないと読めます。なお、このページの更新日は2025年6月25日で、令和8年度の予算の状況はページからは確認できませんでした。

マンション管理計画認定制度-湯河原町は「神奈川県」が認定します

マンション管理計画認定制度は、管理組合の管理計画が一定の基準を満たしていることを、自治体が認定する制度です。認定を受けると、マンション長寿命化促進税制を使う前提になるほか、住宅金融支援機構の「フラット35」や「マンション共用部分リフォーム融資」の金利引下げの対象になります。

湯河原町を含む県内の14町村(葉山町、寒川町、大磯町、二宮町、中井町、大井町、松田町、山北町、開成町、箱根町、真鶴町、湯河原町、愛川町、清川村)では、神奈川県が認定を行います。県は2022(令和4)年4月から町村部で運用を始めています。

県が作成した「マンション管理計画認定 申請の手引き」によると、主な認定基準は次のとおりです。

  • 管理者等と監事が置かれ、集会(総会)が年1回以上開かれていること
  • 管理規約に、緊急時の専有部分への立入り、修繕履歴などの記録の保存、情報提供への対応が定められていること
  • 管理費と修繕積立金を区分して経理し、修繕積立金を他の会計に充てていないこと
  • 修繕積立金の3か月以上の滞納額が全体の1割以内であること
  • 長期修繕計画が標準様式に準拠し、7年以内に作成・見直しされ、計画期間30年以上・残りの期間に大規模修繕工事を2回以上含むこと
  • 将来の一時金の徴収を予定しておらず、計画の最終年度に借入金の残高がないこと

申請方法は、マンション管理センターの「管理計画認定手続支援サービス」で事前確認を受ける方法と、県の窓口へ直接申請する方法の2つです。手引きでは、県の窓口は県土整備局建築住宅部住宅計画課(民間住宅グループ)で、申請前に事前相談を求めています。手引きは令和4年4月版のため、最新の様式や手数料は県に確認してください。

リゾートマンションこそ、認定の準備が「管理の点検」になる

リゾートマンションでは、区分所有者が遠方に住んでいて、総会の定足数を満たすのに苦労する、滞納の督促が届きにくい、長期修繕計画が古いまま、といった課題がよく見られます。認定基準は、こうした弱点をそのまま点検する項目になっています。すぐに認定を取らない場合でも、基準に沿って管理状況を見直すことが、次の大規模修繕の資金計画を確かなものにします。

また、県の計画では、政令市・中核市を除く区域の管理組合に、マンション管理士や建築士などの専門家をアドバイザーとして派遣すると定めています。湯河原町はこの対象区域に入ります。長期修繕計画の見直しを始めたい管理組合は、県住宅計画課に派遣の受付状況を問い合わせてみてください。

マンション長寿命化促進税制

国の「マンション長寿命化促進税制」は、築20年以上・10戸以上のマンションで、管理計画の認定などを受けたうえで、長寿命化に資する大規模修繕工事(外壁塗装等、床防水、屋根防水)を行った場合に、各住戸の翌年度の固定資産税を減額する制度です。対象となるのは令和9年3月31日までに完了した工事で、完了後3か月以内の申告が必要です。ほかの固定資産税の減額措置との併用には制限があるため、詳細な要件は国土交通省のページと町の税務担当で確認してください。

湯河原町の場合、認定を出すのは神奈川県、固定資産税の申告先は湯河原町、と窓口が分かれます。工事の完了時期から逆算して、認定の取得を先に済ませておくことが大切です。

景観条例にも注意-外壁の色を変えるとき

町の住宅リフォーム補助のページには、「外壁や屋根などをリフォームする場合、湯河原町景観条例の規制を受ける可能性がある」と書かれています。大規模修繕で外壁の色を大きく変える計画がある場合は、色の検討の段階で湯河原町の景観計画・景観条例を確認し、まちづくり課に相談してください。総会で色を決めた後に届出が必要とわかると、工程が遅れる原因になります。

湯河原町のマンションの大規模修繕-足場か、ロープアクセスか、公平に比べます

町の補助が共用部に使えない以上、工事費そのものを適正に抑えることが、修繕積立金を守る最大の手段になります。

費用の目安

金額は物件によって大きく変わるため、あくまで参考値です。私たちが見積りの入口でお伝えしている目安は次のとおりです。

項目 目安
30戸規模マンションの大規模修繕 総工費 約3,500万〜5,000万円
うち仮設足場の割合 総工費の約15〜25%
外壁塗装 1㎡あたり約3,500〜4,500円
外壁の打診調査 1㎡あたり約250〜500円
防水工事 1㎡あたり約5,000〜8,000円

10階建て・外周80m・工期3か月の建物を例にとると、足場の費用が約168万円かかるところ、ロープアクセスでは約59万円、差額は約109万円という試算になります。実際の見積りは、建物の形状・劣化状況・工事範囲によって変わります。料金の考え方は大規模修繕の料金の考え方(明誠)でもご紹介しています。

3つの工法を、公平に比べる

明誠は、次の3つの工法から建物に合う方法を提案しています。

工法 向いている建物・工事 強み 注意点
通常の足場仮設工法 外壁の全面補修、塗装・防水・タイル・サッシ交換を一括で行う大規模修繕 作業の安全性と品質を確保しやすく、全面的な工事に適する 設置・解体の費用と工期がかかる。足場期間中は防犯・採光・ベランダ使用に配慮が必要
ロープアクセス工法(無足場工法) 外壁の部分補修、シーリングの打替え、調査・点検、部分塗装 足場が不要なため、工期と費用を抑えやすい。居住者の生活への影響が少ない 作業内容によっては向かない。専門技能を持つ職人が必要
ハイブリッド工法 面ごと・部位ごとに足場とロープを使い分けたい建物 部位ごとに最適な方法を選べ、総額を最適化しやすい 計画と工程管理に専門性が必要

ロープアクセス工法では、作業者がメインロープとバックアップロープの2本に接続し、屋上などに2点以上の吊元(ロープを固定する支点)を確保して作業します。明誠の工法の詳細は明誠のロープアクセス工法の技術と実績で、業界全体の安全基準や施工例は姉妹サイトのロープアクセスドットコム(無足場工法の専門メディア)で詳しく紹介しています。安全管理の考え方は明誠の高所作業の安全管理にまとめています。

ここは正直に申し上げます。 私たちは3つの工法をすべて扱うので、足場が最適なら足場を、ロープが向くならロープを提案します。どれか1つに誘導するための記事ではありません。

斜面地のマンションで、ロープアクセスが役立つ場面

湯河原町のマンションは、海を望む斜面や山あいの敷地に建つものが少なくありません。こうした建物では、谷側の面に足場を組むための地盤や作業スペースが確保しにくい、資材の搬入路が狭いといった理由で、足場の費用がかさむことがあります。

このような場合、谷側や道路に面した面だけロープアクセスで施工し、平坦な面は足場で施工するというハイブリッド工法が選択肢になります。また、リゾートマンションでは、観光シーズンや週末の利用が多い時期に足場で建物を覆いたくないという声もよく伺います。足場を組まないロープアクセスなら、外観への影響や工期を抑えやすくなります。

明誠について、数字でお伝えします

株式会社明誠は、これまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセス工法での高所作業について、明誠と全国のフランチャイズ加盟企業では、過去16年間、墜落による労働災害ゼロを維持しています。IRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の技能訓練を受けた作業員が施工し、ISO9001の品質マネジメントシステムを運用しています。また、日本初のロープアクセス工事のフランチャイズ本部として、塗装・防水・タイル・電気・看板の各分野の専門職と連携しています。湯河原町には温泉旅館・ホテルも多くありますが、明誠はホテルの大規模修繕を全国でお受けしています。

湯河原町のマンションで、理事会が確認したいこと

  • 区分所有者のうち、定住している方と別荘として使っている方の割合
  • 長期修繕計画が7年以内に見直されているか、計画期間が30年以上あるか
  • 修繕積立金の3か月以上の滞納がどの程度あるか
  • 斜面側・谷側の面に足場を組む地盤と作業スペースがあるか、資材の搬入路の幅は十分か
  • 海に面した面と山側の面で、外壁やシーリング、鉄部の劣化に差があるか
  • 外壁の色を変える予定があるか(景観条例の確認が必要か)
  • 敷地のブロック塀が道路や通学路に面しているか

現場で見てきたこと

リゾートマンションの現場でよく出会うのが、「前回の大規模修繕から20年近く経っているのに、長期修繕計画が当初のまま」というケースです。区分所有者が集まりにくいため、理事会が「次の総会で」と先送りを重ねているうちに、外壁のひび割れやシーリングの劣化が進み、雨水が入り込んでしまう。私はこうした建物には、まず建物診断で劣化の実態を数字で示し、それを元に長期修繕計画を見直すことをおすすめしています。数字があると、遠方の区分所有者にも状況が伝わりやすく、合意形成が進みます。

管理組合向けのサービス内容はマンション管理組合さま向けの大規模修繕サービスにまとめています。明誠のこれまでの施工の様子は、明誠の施工事例からご覧いただけます。

制度を使うときの共通の落とし穴

失敗しやすい3つのパターン

  1. 着工してから申請しようとする:住宅リフォーム補助とブロック塀の撤去等補助は、どちらも工事前の申請が必要です(庭木の伐採等補助は作業後の申請ですが、共同住宅は対象外です)
  2. 町内業者の条件を見落とす:請負業者が町外の会社だと、補助の対象になりません。下請けへの全部委託も認められていません
  3. 共用部分と専有部分を混同する:窓や玄関ドアなど、規約上は共用部分になる部位を各住戸の補助で工事しようとして、対象外になることがあります

理事会で使える質問リスト

町や県の窓口へ問い合わせるとき、次の質問をそのまま使えます。

  • 住宅リフォーム補助は、マンションの窓(規約上の共用部分)の断熱改修にも使えますか(地域政策課 0465-63-2111 内線231)
  • 敷地のブロック塀の撤去等補助は、管理組合として申請できますか
  • 別荘として使っている住戸の所有者は、住宅リフォーム補助の対象になりますか
  • 外壁の色を変える場合、景観条例の届出は必要ですか(まちづくり課)
  • 町内のマンションの管理計画認定の申請は、どこへ相談すればよいですか(神奈川県 住宅計画課)
  • 県のマンション管理アドバイザー派遣は、現在受け付けていますか

湯河原町のマンションが大規模修繕に向けて動く5つのステップ

  1. 長期修繕計画と修繕積立金の残高を確認する:工事の時期と予算の上限を把握します。計画が古ければ、見直しから始めます
  2. 町と県の制度を確認する:専有部分のリフォーム補助、ブロック塀の撤去等補助、景観条例、管理計画認定の要件を問い合わせます
  3. 建物診断(劣化調査)を行う:海側・山側・谷側の劣化の差を含めて調べます。ロープアクセスでの外壁調査の方法も選択肢の一つです
  4. 工法を比べて見積りを取る:足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3つで比べ、斜面側の仮設費を分けて記載してもらいます
  5. 総会で決議し、各住戸へ専有部分の工事予定を案内する:遠方の区分所有者には、書面やオンラインでの議決権行使も含めて早めに案内します

賃貸マンション・ビルのオーナーの方へ

湯河原町の住宅リフォーム補助は、居住者が申請し、居住者と所有者が異なる場合は所有者の同意書を出す仕組みです。町のQ&Aでは、アパートなどの借家も、所有者の同意が確認できれば対象とされています。賃貸物件の入居者が専有部分を改修する場合に活用できる可能性があります。賃貸物件の修繕では、空室期間を短くし、入居者の生活への影響を抑えることが収益に直結します。足場を組まないロープアクセスは、こうした点でもメリットがあります。ビルオーナーさま向けのサービスはビルオーナーさま向け大規模修繕サービスをご覧ください。

よくあるご質問

Q. 湯河原町で、マンションの大規模修繕工事費に使える補助金はありますか?

A. 令和8年度の湯河原町公式サイトを確認した範囲では、共用部分の外壁塗装や屋上防水などの工事費を管理組合に補助する制度は見つかりませんでした。専有部分のリフォーム補助や、ブロック塀の撤去等補助は使える可能性があります。

Q. 住宅リフォーム補助はいくらもらえますか?

A. 工事費(消費税を除く)20万円以上の工事が対象で、工事費の10%、上限10万円です。申請時に町外に住民登録があり、工事完了日までに湯河原町へ住所を移す方は、工事費の20%、上限20万円になります。対象物件につき1回限りです。

Q. 別荘として使っている住戸でも申請できますか?

A. 申請できるのは「自ら居住する住宅」の居住者とされているため、別荘としての利用では対象にならない可能性が高いと考えられます。個別の状況は地域政策課に確認してください。

Q. 申請の締め切りはいつですか?

A. 町のページでは、住宅リフォーム等補助の申請受付期間は2028年(令和10年)3月31日までとされています。ただし工事前の申請が必要で、予算の状況によって変わる可能性もあるため、早めの相談をおすすめします。

Q. 湯河原町のマンションの管理計画認定は、どこに申請しますか?

A. 湯河原町を含む県内の町村部では、神奈川県が認定を行います。窓口は県土整備局建築住宅部住宅計画課です。マンション管理センターの「管理計画認定手続支援サービス」で事前確認を受けてから申請する方法もあります。

Q. 足場を組まない大規模修繕は、本当に可能ですか?

A. 外壁の部分補修、シーリングの打替え、調査・点検、部分塗装などでは、ロープアクセス工法で足場を組まずに施工できます。外壁全面の改修やサッシのカバー工法では足場が向く場合もあり、明誠では3つの工法から建物に合う方法をご提案しています。

Q. 相談や見積りに費用はかかりますか?

A. 明誠では、建物の状況確認と概算のお見積りを無料で承っています。補助金・税制の情報整理だけのご相談でもかまいません。大規模修繕の無料相談・お問い合わせからお声がけください。

この記事のポイントまとめ

  • 湯河原町の令和8年度の補助で、共用部の外壁・防水などの大規模修繕工事費に使える制度は確認できず
  • 住宅リフォーム補助はマンションの専有部分が対象。工事費の10%・上限10万円(移住予定者は20%・上限20万円)、工事前申請・町内業者の利用が条件、受付は2028年3月31日まで
  • ブロック塀などの撤去等補助は共同住宅も対象。工事費の10%・上限5万円(通学路に面する場合は10万円)
  • 湯河原町は町村部のため、管理計画認定は神奈川県が行う。県の資料では湯河原町のマンションの多くがリゾートマンション
  • 外壁の色を変える場合は景観条例を確認。斜面地ではハイブリッド工法が選択肢になる

出典・参考資料

本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月9日時点で公表されている湯河原町および神奈川県、国土交通省の公式情報をもとに執筆しています。更新日が前年度以前のページ(スマートエネルギー設備補助など)は、令和8年度の予算状況をページから確認できなかったことを本文に明記しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請される前に、湯河原町および神奈川県の該当窓口へ最新の内容をご確認ください。本記事は法的・税務上の助言ではありません。

湯河原町は、大規模修繕の工事費に直接使える補助金が多い町ではありません。それでも、長期修繕計画の見直しと県の管理計画認定、そして工法の比較によって、修繕積立金を守る手立てはあります。遠方に住む区分所有者への説明資料づくりも含め、総会の前段階の整理だけでもお力になれることがあります。ご相談だけでも遠慮なくお問い合わせフォームからお声がけください。


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この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年10月9日


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箱根町のマンション補助金|大規模修繕に使える制度【2026】

2026年10月9日 更新

「箱根町で、マンションの大規模修繕に使える補助金はあるのか?」

結論から申し上げます。令和8年度(2026年度)の箱根町公式サイトを確認した範囲では、マンション管理組合が共用部の大規模修繕工事費そのものに使える補助金は見つかりませんでした。 一方で、見落としたくない道が3つあります。1つめは、町村部のマンションの管理計画は、町ではなく神奈川県が認定すること。2つめは、その認定を受けると使える可能性のある国のマンション長寿命化促進税制(大規模修繕後の固定資産税の減額)。3つめは、条件が合えば検討できる町の再生可能エネルギー設備導入費補助金や緊急輸送道路沿道建築物の耐震化補助です。ただし税制には工事の完了日が2027年3月31日までという期限があり、箱根町の公式サイトでは、この税の減額の案内ページを私は確認できませんでした。

こんにちは、株式会社明誠の本間です。マンション・ビル・大手ホテルチェーンの大規模修繕に20年以上携わってきました。この記事では、箱根町のマンションの理事長さま・理事の皆さまに向けて、町と県と国の制度を「共用部に使えるか、使えないか」で仕分けし、そのうえで、補助が少ない町だからこそ大切になる「工事費そのものを適正に抑える考え方」までお伝えします。

なお、神奈川県の資料には、町村部のマンションは「その半数以上が、別荘的な居住を目的としたリゾートマンション」と書かれています。箱根町は、その町村部にあたります。区分所有者の多くが普段は町外にお住まいで、理事会の開催や合意形成に時間がかかる。そうした事情を前提に、制度と進め方をまとめました。

早見表:箱根町のマンション共用部で使える制度・使えない制度

制度 共用部の大規模修繕に使えるか 補足
工事費そのものへの補助(町) 公式ページでは確認できず 令和8年度の町の住宅補助制度は、家賃補助・若者世帯の住宅取得・空き家リフォームの3つ
管理計画認定制度(県が認定) 補助ではないが、税の減額と融資の入口になる 町村部のマンションは県が認定。窓口は住宅計画課民間住宅グループ
マンション長寿命化促進税制(国) 条件つき 管理計画認定などが前提。外壁塗装等・床防水・屋根防水の3つをすべて実施し、2027年3月31日までに完了
再生可能エネルギー設備導入費補助金(町) 共用部は不可と読める 集合住宅は居室部分で使う設備が対象。管理組合の申請可否は明記なし
緊急輸送道路沿道建築物耐震化補助(町) 条件に合えば検討可 昭和56年5月31日以前の着工など。区分所有の扱いは窓口で確認
ブロック塀等撤去改修補助(町) 条件に合えば検討可 管理組合が「管理者」にあたるかは窓口で確認
木造住宅耐震化補助(町) 使えない可能性が高い 対象は木造2階建て以下の一戸建て・併用住宅

箱根町はこんな町です-人口約1万人、リゾートマンションが多い県西の観光地

箱根町の公式サイトによると、2026年9月1日現在の人口は10,224人(男4,828人・女5,396人)、世帯数は6,150世帯です。観光の町として知られる一方、神奈川県の資料では、町村部のマンションの半数以上がリゾートマンションと整理されています。

この特徴は、大規模修繕の進め方に直結します。居住者が少なく、区分所有者の多くが遠方にいるマンションでは、総会の定足数が集まりにくい、修繕積立金の滞納や連絡不能の区分所有者への対応に手間がかかる、といった課題が出やすいからです。また、標高が高く寒暖差の大きい山間部や、温泉地では、一般に外壁やシーリング、金属部の傷み方が平地と違うと言われます。ただし、これは建物ごとに差が大きいので、診断で確かめることをおすすめします。

私がこれまで見てきた現場でも、「使っていない部屋が多いから、傷みも少ないだろう」と思われていた建物が、実は共用部の防水や外壁から先に傷んでいた、という話は珍しくありません。人が住んでいなくても、雨風と寒暖差は毎日、建物にあたっています。

町村部のマンションは、神奈川県が管理計画を認定します

ここが、箱根町のマンションで一番大切な点です。神奈川県の「マンション管理計画認定制度の手引き」によると、神奈川県の町村部にあるマンションは、県が認定します。箱根町は町村部に含まれます。市部のマンションは各市が窓口になるため、同じ神奈川県内でも窓口が違います。

窓口と申請の流れ

県の手引きに書かれている主な点は次のとおりです。

  • 窓口:神奈川県 県土整備局 建築住宅部 住宅計画課 民間住宅グループ(電話:045-210-6557)
  • 提出部数:正本1部、副本1部
  • 申請前に電話で相談することが求められています。書類がすべてそろっていなくても相談できるとされています
  • 認定基準は、マンション管理適正化法などに基づくもので、県独自の基準は設けていないとされています
  • 申請手数料:手引きには記載がありませんでした。窓口でご確認ください

認定基準のおもな中身

県の手引きから、理事会で最初に確認したい項目を抜き出します。

分野 主な基準
管理組合の運営 管理者等と監事が選任されていること。集会が年1回以上開かれていること
管理規約 専有部分への立入り、維持管理記録の作成・保存、情報提供への対応が定められていること
経理 管理費と修繕積立金が区分経理されていること。修繕積立金を他会計へ充当していないこと。3か月以上の滞納額が全体の1割以内であること
長期修繕計画 標準様式に準拠し、集会で決議されていること。作成・見直しが7年以内であること。計画期間が30年以上で、大規模修繕工事を2回以上含むこと。一時金の徴収を予定していないこと。最終年度に借入金残高がないこと
名簿 組合員名簿と居住者名簿が作成され、年1回以上更新されていること

リゾートマンションで引っかかりやすいのは、「集会が年1回以上開かれていること」と「名簿が年1回以上更新されていること」だと私は考えています。区分所有者の連絡先が古いままだと、名簿の更新に時間がかかります。認定を考えるなら、大規模修繕の準備と並行して、早めに名簿の整備から始めてください。

条件つきで検討できる制度①:大規模修繕後の固定資産税の減額(長寿命化促進税制)

国土交通省の資料によると、「マンション長寿命化促進税制」は、一定の要件を満たすマンションが長寿命化工事を行った場合に、翌年度分の建物の固定資産税を減額する制度です。

制度の中身

項目 内容
対象マンション 居住用専有部分があり、新築から20年以上が経過した、総戸数10戸以上のマンション
前提となる条件 管理計画認定マンションであること、またはマンション管理適正化法に基づく助言・指導を受けた管理組合のマンションであること
対象工事 外壁塗装等工事・床防水工事・屋根防水工事の3つすべて。同一の工事請負契約など、一体として扱われること
減額の内容 翌年度分の固定資産税額を、6分の1から2分の1以下の範囲で市町村等の条例で定める割合で減額(参酌基準は3分の1)
上限 工事が行われた棟の建物部分が対象で、1戸あたり100㎡相当分まで
期限 令和5年4月1日から令和9年3月31日までの間に工事が行われること。工事完了日から3か月以内に市町村等へ申告

(出典:国土交通省「マンション長寿命化促進税制について」)

箱根町での扱いは、窓口で確認が必要です

減額の割合は、国の枠の中で市町村の条例で決まります。私が箱根町の公式サイトを確認した範囲では、この制度の専用の案内ページは見つかりませんでした。したがって、箱根町での減額割合や申告の手順は、町の税務担当の窓口に直接ご確認ください。

期限は、思っているより近い

2026年10月9日現在、期限の2027年3月31日までは、約5か月半です。総会での決議、見積り比較、契約、着工、完了までの日程を考えると、これから新しく計画する工事を期限内に完了させるのは、かなり厳しい場合があります。すでに計画が進んでいるマンションは、完了日の見通しを工程表で確認してください。間に合わない場合は、延長などの動向を確認しつつ、先に管理計画の認定と長期修繕計画の見直しを進めておくのが現実的です。

併用できない制度もあります。国土交通省の資料では、既存住宅の耐震改修・居住安全改修・熱損失防止改修などの固定資産税の減額措置や、認定長期優良住宅の減額措置とは併用できないとされています。

条件つきで検討できる制度②:箱根町の再生可能エネルギー設備導入費補助金

箱根町の環境のページに掲載されている補助金は、「再生可能エネルギー設備導入費補助金」です。町の案内では、対象設備は次の5種類です。

  • 住宅用太陽光発電システム(合計出力10kW未満):補助額は上限5万円
  • 定置用リチウムイオン蓄電池:上限5万円
  • 家庭用燃料電池システム:上限5万円
  • V2H充放電設備(電気自動車を所有する方に限る):上限5万円
  • HEMS:上限1万円

補助額は、事業費(設備費+設置工事費)から国・県の補助金を引いた額と上限額を比べて決まります。受付期間はページに記載がなく、「予算の範囲内」で交付されます。申請書類は、設備の設置工事に着手する前に環境課へ提出します。

管理組合が共用部で使えるかは、読み取れません

ここが注意点です。町の案内では、集合住宅は対象になり得るものの、設備は居室部分で使用し、共用部分では使用しないことが条件とされています。つまり、エントランスや廊下の照明、共用部の電気をまかなうための太陽光発電などは、対象外と読めます。また、管理組合が申請者になれるかどうかは、ページに記載がありません。この補助金は、大規模修繕の費用を軽くするものではなく、区分所有者が自分の住戸で使う設備向けの制度と考えてください。

条件つきで検討できる制度③:緊急輸送道路沿道建築物の耐震化補助

箱根町には、「緊急輸送道路沿道建築物耐震化補助事業」があります。町の案内によると、対象の道路は国道1号(箱根新道・小田原箱根道路を除く)、国道138号、県道75号です。

区分 補助率 上限(1棟あたり)
耐震診断費 経費の3分の2以内 240万円
耐震設計費 経費の3分の2以内 240万円
耐震改修費 経費の2分の1以内 1,000万円

対象は、昭和56年5月31日以前に着工された建築物で、緊急輸送道路沿いにあり、一定の高さ以上のものなどです。耐震改修の場合は、耐震診断で倒壊の危険性があると判断されていることも条件です。補助金の交付は、年度予算の範囲内とされています。

私が確認した範囲では、町のページにマンションへの言及はなく、区分所有の建物での申請手続きや、高さの基準は読み取れませんでした。旧耐震のマンションで、国道1号・138号・県道75号に面している場合は、都市整備課(電話:0460-85-9566)に一度、問い合わせる価値があります。

条件つきで検討できる制度④:ブロック塀等の撤去・改修補助

敷地の道路側にブロック塀がある場合は、「ブロック塀等撤去改修補助事業」も選択肢です。町の案内では、対象は「町内にある道路等に面したブロック塀等の所有者または管理者」で、補助額は次のとおりです。

  • 撤去:工事費(税抜)と、延長1メートルあたり1万円を乗じた額のいずれか少ない方の2分の1(上限10万円)。通学路沿いは10分の9(上限20万円)
  • 改修(安全な工作物の設置):工事費(税抜)と、延長1メートルあたり2万円を乗じた額のいずれか少ない方の2分の1(上限20万円)。通学路沿いは10分の9(上限40万円)

交付決定の前に撤去や改修を始めると、対象から外れます。分譲マンションの管理組合が「管理者」にあたるかは、ページに記載がないため、都市整備課に確認してください。

使えない制度を、先に見極めましょう

木造住宅の耐震化補助:RC造のマンションは対象外と読めます

町の「木造住宅耐震化補助事業」の対象は、昭和56年5月31日以前に建築された木造2階建て以下の一戸建て住宅または併用住宅です。鉄筋コンクリート造のマンションは、この条件に当てはまりません。耐震診断(上限8万円)、耐震改修(上限100万円)などの金額が目につきますが、管理組合が使える制度ではありません。

町の住宅補助制度:マンション共用部の修繕は対象ではありません

町の「住宅補助制度」のページには、3つの制度が載っています。

  • 民間賃貸住宅家賃補助制度:新婚世帯または転入若者世帯向け。家賃の2分の1、月額上限2万円、24か月
  • 若者世帯住宅取得補助制度:40歳未満の夫婦などが町内に住宅を取得した場合。取得費用の10分の1、上限100万円
  • 空き家リフォーム事業補助制度:空き家バンクに登録された空き家を定住目的でリフォームする場合。費用の2分の1、上限50万円

いずれも、マンションの共用部の大規模修繕とは別の目的の制度です。

工事費そのものへの補助:令和8年度の公式ページでは確認できず

以上を見渡したうえで、私が箱根町の公式サイトで確認できた範囲では、「分譲マンションの共用部の大規模修繕工事費に補助する制度」は見つかりませんでした。年度の途中で新設されることもあり得ますので、実際に動き出す前に、窓口に「管理組合が使える補助制度はありますか」と一度お尋ねください。

補助が少ない町だからこそ:融資と工法の選び方で、総額を見直す

補助金が見当たらない場合、修繕積立金を守る手段は大きく2つです。資金の借り方を見直すことと、工事費そのものを適正に抑えることです。

修繕積立金が足りないときの選択肢:管理組合向けの融資

住宅金融支援機構の「マンションすまい・る融資(管理組合申込みの場合)」は、マンションの共用部分リフォーム工事が対象です。公式ページによると、公益財団法人マンション管理センターなどの保証を利用すれば担保は必要ありません。また、耐震・浸水対策・省エネの工事、「マンションすまい・る債」の残高があること、管理計画の認定を受けていることのそれぞれで、金利が年0.2%引き下げられる場合があります(出典:住宅金融支援機構「マンションすまい・る融資(管理組合申込みの場合)」)。融資限度額・返済期間・金利は、機構のページや窓口で最新のものをご確認ください。県の認定を受けることは、税の減額だけでなく、この融資の金利優遇にもつながります。

費用の目安

金額は物件によって大きく変わるため、あくまで参考値です。私たちが見積りの入口でお伝えしている目安は、次のとおりです。

項目 目安
30戸規模マンションの大規模修繕 総工費 約3,500万〜5,000万円
うち仮設足場の割合 総工費の約15〜25%
外壁塗装 1㎡あたり約3,500〜4,500円
外壁の打診調査 1㎡あたり約250〜500円
防水工事 1㎡あたり約5,000〜8,000円

たとえば、10階建て・外周80m・工期3か月の建物を例にとると、足場の費用が約168万円かかるところ、ロープアクセスでは約59万円、差額は約109万円という試算になります。もちろん、工事内容によってはロープアクセスが向かないこともあります。実際の見積りは、建物の形状・劣化状況・工事範囲によって変わります。料金の考え方は大規模修繕の料金の考え方(明誠)でもご紹介しています。

3つの工法を、公平に比べる

明誠は、次の3つから建物に合う工法を提案しています。

工法 向いている建物・工事 強み 注意点
通常の足場仮設工法 外壁の全面補修、塗装・防水・タイルを一括で行う大規模修繕 作業の安全性と品質を確保しやすく、全面的な工事に適する 足場の設置・解体の費用と工期がかかる。山間部では材料搬入の道が狭い場合がある
ロープアクセス工法(無足場工法) 外壁の部分補修、シーリングの打替え、調査・点検、部分塗装 足場が不要なため、工期と費用を抑えやすい。居住者・宿泊者への影響が少ない 作業内容によっては向かない。専門の技能を持つ職人が必要
ハイブリッド工法 面ごと・部位ごとに足場とロープを使い分ける建物 部位ごとに最適な方法を選べ、総額を最適化しやすい 計画と工程管理に専門性が必要

ロープアクセス工法は、作業者がメインロープとバックアップロープの2本に接続し、屋上などに2点以上の吊元(ロープを固定する支点)を確保して作業する方法です。明誠の工法の詳細は明誠のロープアクセス工法の技術と実績、業界全体の安全基準や事例は姉妹サイトのロープアクセスドットコム(無足場工法の専門メディア)で詳しく解説しています。

ここは利益相反になるので、正直に申し上げます。 私たちは3つの工法をすべて扱うので、足場が最適なら足場を、ロープが向くならロープを提案します。税の減額を使う外壁・床・屋根の全面改修なら、足場を中心に、屋上まわりや調査だけロープアクセスを使う、という組み合わせを提案することもあります。リゾートマンションのように普段の居住者が少ない建物は、足場の防犯や、工事中の宿泊・滞在への影響を考える必要があります。そのため、部分補修を早めにロープで行い、全面改修の時期を見極める、という考え方もあります。どれか1つに誘導するための記事ではありません。

明誠について、数字でお伝えします

株式会社明誠は、これまでに約6,000棟のマンション・ビル・大手ホテルチェーンの大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセス工法での高所作業について、明誠と全国のフランチャイズ加盟企業では、過去16年間、墜落による労働災害ゼロを維持しています。IRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の技能訓練を受けた作業員が施工し、ISO9001の品質マネジメントシステムを運用しています。また、日本初のロープアクセス工事のフランチャイズ本部として、塗装・防水・タイル・電気・看板の各分野の専門職と連携しています。

箱根町のマンションで、理事会が確認したいこと

  • 県の管理計画認定を受けているか、受ける準備ができているか(税の減額と融資の金利優遇に関わります)
  • 前回の大規模修繕で、外壁塗装・床防水・屋根防水を行ったか、書類は残っているか
  • 修繕積立金の残高と、長期修繕計画の見直し時期(30年以上の計画で、大規模修繕が2回以上含まれているか)
  • 区分所有者の名簿と連絡先が最新か。総会の出席・議決権行使書の回収が、現実にできる状態か
  • 外壁・シーリング・屋上防水・鉄部の状態(寒暖差や湿気、温泉地特有の腐食の影響が出ていないか)
  • 敷地への車両の搬入経路、足場材料の置場の余裕(山間部では道幅や勾配が制約になる場合があります)
  • 町の景観計画や届出が必要な工事にあたらないか(箱根町には景観計画・景観条例のページがあります)

現場で見てきたこと

現場で20年以上やってきて、私が一番悔しい思いをするのは、「使えたはずの制度を、期限や手順を知らずに逃した」という話を、工事が終わってから聞く場面です。補助金も税の減額も、工事の前や契約の前に動かなければ、後からは取り戻せないものがほとんどです。この税制も、屋根防水を外した仕様で契約してしまってから気づいた、というのでは手遅れになります。

特にリゾートマンションでは、総会を一度開き直すだけで数か月かかることがあります。管理組合向けのサービス内容はマンション管理組合さま向けの大規模修繕サービスにまとめています。明誠のこれまでの施工の様子は、明誠の施工事例からご覧いただけます。

制度を使うときの共通の落とし穴

失敗しやすい3つのパターン

  1. 3つの工事の一部を外してしまう:税の減額は、外壁塗装等・床防水・屋根防水のすべてを実施することが条件です。予算を理由に一部を次回送りにすると、対象から外れる可能性があります
  2. 工事の完了期限を、着工の時期で考えてしまう:期限は「完了」が2027年3月31日です。天候による遅れも見込んだ余裕のある工程にしなければなりません。山間部は冬に気温が下がり、塗装・防水に適さない日が増えることもあります
  3. 窓口を間違える:管理計画の認定は県、税の減額は町、耐震やブロック塀は町の都市整備課と、窓口が分かれます。最初に一覧にして、担当を決めておくと混乱しません

理事会で使える質問リスト

窓口へ問い合わせるとき、次の質問をそのまま使えます。

  • 県の管理計画認定について、申請手数料・必要書類・所要日数を教えてください(県 住宅計画課 民間住宅グループ:045-210-6557)
  • 大規模修繕後の固定資産税の減額は、箱根町では減額割合と申告の期限をどう定めていますか(町の税務担当)
  • 再生可能エネルギー設備導入費補助金は、管理組合が申請者になれますか。共用部は対象外と考えてよいですか(環境課)
  • 緊急輸送道路沿道建築物耐震化補助は、区分所有のマンションでも申請できますか。対象になる高さの基準を教えてください(都市整備課:0460-85-9566)
  • 管理組合が使える補助制度で、公式サイトに載っていないものはありますか

箱根町のマンションが大規模修繕に向けて動く5つのステップ

  1. 長期修繕計画と過去の修繕履歴を確認する:特に、前回の工事の内容と書類、修繕積立金の残高、区分所有者名簿の状態を確かめます
  2. 県と町の窓口へ質問リストで確認する:県の住宅計画課民間住宅グループ(045-210-6557)、町の都市整備課(0460-85-9566)、環境課、税務の担当へ、前章の質問を投げます
  3. 建物診断(劣化調査)を行う:工法を選ぶ前に、劣化の程度を調べます。ロープアクセスでの外壁調査の方法という選択肢もあります
  4. 3つの工法で相見積りを取る:足場・ロープ・ハイブリッドのそれぞれで、工事の範囲と見積りを比べます。税の減額を狙うなら、仕様書に外壁塗装等・床防水・屋根防水の3つが入っているかも比べてください
  5. 完了期限から逆算して工程を組む:総会の決議、契約、着工、完了までの日付を工程表に書き込みます。2027年3月31日に間に合わない場合は、延長の動向を見ながら、認定と計画づくりを先に進めます

賃貸マンション・ビル・大手ホテルチェーンのオーナーの方へ

収益不動産をお持ちのオーナーの方にとって、箱根町の制度は限られています。木造住宅の耐震補助は一戸建てが対象で、税の減額制度も管理計画認定を受けた分譲マンションが前提です。ワンオーナーの賃貸マンションが使えるかは、窓口に確認が必要です。

ここで私がお勧めするのは、補助金に頼らない収支計画です。外壁の塗装やシーリングの傷み、屋上防水の劣化を放置すると、雨漏りや入居者の退去、宿泊施設であれば客室の稼働停止につながります。足場を組まないロープアクセス工法で部分的に早めに手当てすれば、工事費を抑えながら営業を続けられる場合があります。オーナーさま向けの考え方はビルオーナーさま向けの大規模修繕でご紹介しています。大手ホテルチェーンや旅館の施設をお持ちの方は、大手ホテルチェーンさま向けの大規模修繕もご覧ください。

よくあるご質問

Q. 箱根町で、マンションの大規模修繕工事費に使える補助金はありますか?

私が箱根町の公式サイトで確認した範囲(2026年10月9日時点)では、分譲マンションの共用部の大規模修繕工事費そのものに補助する制度は見つかりませんでした。町の住宅補助制度は、家賃補助・若者世帯の住宅取得・空き家リフォームの3つです。年度途中の新設もあり得るため、窓口でご確認ください。

Q. 箱根町のマンションの管理計画認定は、どこに申請しますか?

神奈川県の手引きによると、町村部のマンションは県が認定します。箱根町は町村部に含まれ、窓口は神奈川県 県土整備局 建築住宅部 住宅計画課 民間住宅グループ(電話:045-210-6557)です。申請前に電話相談が求められています。

Q. 大規模修繕のあとに、固定資産税が安くなる制度はありますか?

国のマンション長寿命化促進税制があります。管理計画認定などの要件を満たし、外壁塗装等・床防水・屋根防水の3つをすべて実施して、2027年3月31日までに工事を完了すると、翌年度分の建物の固定資産税が減額されます。減額の割合は市町村の条例で決まるため、箱根町の窓口でご確認ください。

Q. 再生可能エネルギー設備導入費補助金を、管理組合は申請できますか?

町のページに、管理組合が申請者になれるかの記載はありません。集合住宅は対象になり得るものの、設備は居室部分で使い、共用部分では使わないことが条件です。共用部の設備は対象外と読めますので、環境課にご確認ください。

Q. 旧耐震のマンションで、耐震化の補助は使えますか?

町には、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化補助があります。対象は、昭和56年5月31日以前に着工され、国道1号・138号・県道75号に面するなどの建築物です。マンションへの言及はページになく、区分所有の扱いは読み取れません。都市整備課(電話:0460-85-9566)にご相談ください。木造住宅の耐震補助は、RC造のマンションは対象外と読めます。

Q. リゾートマンションでも、大規模修繕を進められますか?

進められます。ただし、居住者が少なく区分所有者が遠方にいるため、総会の成立や名簿の整備に時間がかかる傾向があります。書面や電磁的方法による議決権行使など、運営面の準備を早めに始めることをおすすめします。

Q. 足場を組まない大規模修繕は、可能ですか?

外壁の部分補修、シーリングの打替え、調査・点検、部分塗装などは、ロープアクセス工法で可能な場合があります。一方、全面改修では足場が適することもあります。明誠は、通常の足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3つから、建物に合う工法をご提案しています。

Q. 相談や見積りに費用はかかりますか?

ご相談や、お見積りのご依頼に費用はかかりません。お問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。

この記事のポイントまとめ

  • 箱根町の令和8年度の制度で、管理組合が共用部の大規模修繕工事費に使える補助金は、公式サイトでは確認できなかった
  • 町村部のマンションの管理計画は県が認定する。窓口は県の住宅計画課民間住宅グループ(045-210-6557)
  • 国の固定資産税の減額は、管理計画認定などが前提で、外壁塗装等・床防水・屋根防水をすべて実施し、2027年3月31日までに完了することが条件。箱根町の案内ページは確認できず、町の窓口に確認
  • 緊急輸送道路沿道建築物の耐震化補助とブロック塀の補助は、条件に合えば検討できる。区分所有の扱いは都市整備課(0460-85-9566)に確認
  • 木造住宅の耐震補助と町の住宅補助3制度は、マンション共用部の修繕には使えない可能性が高い
  • 神奈川県の町村部のマンションは、半数以上がリゾートマンション。名簿の整備と総会の成立を早めに準備する

出典・参考資料

本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月9日時点で公表されている箱根町、神奈川県、国土交通省、住宅金融支援機構の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請・申告される前に、箱根町および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。本記事は法的・税務上の助言ではありません。

箱根町は、工事費に補助金を出す町ではありません。それでも、県の管理計画認定という入口と、期限つきの税の減額、条件が合えば使える耐震やブロック塀の補助という、確かめる価値のある道があります。まずは使える制度と使えない制度を仕分けして、期限から逆算する。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。ご相談だけでも遠慮なくお問い合わせフォームからお声がけください。


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横浜市中区のマンション漏水・防災対策|大岡川・内水・高潮・がけ地と埋立地の4視点と大規模修繕の優先順位【2026年度版】

2026年10月8日 更新

横浜市中区のマンションで、大雨の前に私が最初に確かめるのは、屋上の排水口と、地下や1階にある設備の高さです。中区は、関内・桜木町・石川町のように川沿いに開けた低地、山手から本牧にかけての丘陵地、新山下や本牧埠頭のような埋立地が、ひとつの区に同居しています。同じ中区でも、建物が建っている場所によって、水の入り方も、地震での揺れ方も、まるで違います。

私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。拠点は東京都東大和市ですが、神奈川県内のマンションの大規模修繕も手がけています。20年近く、マンション・ビル・ホテルの外壁と向き合ってきました。仮設足場を組む工事も、メインロープとバックアップロープの2本に接続して壁面に降りる無足場の工事も、どちらも現場でやってきた人間です。

今日は横浜市と神奈川県の公式情報をもとに、横浜市中区の分譲・賃貸マンションが大規模修繕で先に手を打つべき場所を整理します。


結論:横浜市中区で優先すべきは「立地ごとのリスク確認」「屋上・排水まわりの防水」「地下・1階の設備」です

先に結論を申し上げます。横浜市中区のマンションでは、次の3つを最初に確認することをお勧めします。

  1. 中区版の浸水ハザードマップ(洪水・内水・高潮の3種類)で、建物の位置と想定浸水深を確認する:令和8年6月に、内水ハザードマップが水防法に基づくものに更新されました
  2. 屋上ドレン・バルコニー排水・敷地の雨水桝を点検し、防水の改修時期を記録で確認する:中区の低地でも丘陵地でも、豪雨時にまず出るのは「排水が追いつかない」ことによる漏水です
  3. 受変電設備・給水ポンプ・地下駐車場の位置と、出入口の止水対策を図面で調べる:停電が長引くと、エレベーターも給水ポンプも止まります

順に見ていきます。

横浜市中区のハザードマップを1枚で読む(洪水/内水/高潮/津波/土砂/液状化)

横浜市は区ごとに「浸水ハザードマップ(中区版)」を公開しており、洪水・内水・高潮の3種類のマップと情報面をPDFで入手できます。中区版のページの最終更新日は2026年6月9日です(出典:横浜市「浸水ハザードマップ(中区版)」)。洪水・内水・情報面のPDFは2026年5月29日付、高潮は2026年6月9日付のファイルです。

横浜市全体では、洪水・内水のハザードマップは18区すべてで作成されています。高潮ハザードマップは、浸水想定区域図がある10区(鶴見、神奈川、西、中、南、保土ケ谷、磯子、金沢、港北、港南)だけで作成されており、中区はこの10区に入っています(出典:横浜市「浸水ハザードマップ」、2026年6月1日更新)。同じページによれば、令和8年6月の更新は、雨水出水(内水)の浸水想定区域が水防法に基づいて指定されたことによるもので、洪水・内水・高潮の浸水想定区域そのものに変更はありません。

種別 中区での位置づけ 私の読み方
洪水(河川の氾濫) 中区版のマップあり。川ごとの想定雨量は県が公表 川沿いの低地の物件は、想定浸水深をまず確認
内水(雨水出水) 想定最大規模は時間153mm。令和8年6月に水防法に基づくマップへ更新 川から離れた物件こそ、一度見てください
高潮 横浜市内の高潮マップ作成10区に中区が含まれる 海沿い・運河沿いの地下施設、1階設備は要確認
津波 市の防災計画で、慶長型地震が最大クラスの津波被害をもたらすと想定 津波避難先は海抜5m以上の高台か3階以上が目安
土砂(急傾斜地) 市内13区に警戒区域があり、中区もその1つ 山手・本牧の丘陵地の物件は、がけ側の外壁と擁壁を確認
液状化 市の液状化マップで確認。埋立地は注意 埋立地の物件は、杭・外構・埋設配管まで視野に

洪水:県が示す大岡川の想定雨量

横浜市の洪水ハザードマップは、国土交通省の京浜河川事務所と神奈川県が公表する洪水浸水想定区域をもとにしています。想定は「想定最大規模」(約1000年に1度)と「計画規模」の2種類です。大岡川については、想定最大規模が24時間で332mm、計画規模が1時間で93mm(100年に1度)と公表されています(出典:横浜市「洪水浸水想定区域について」、2026年4月1日更新)。

なお、この文書は市内の複数の水系を対象にしており、中区に関係するのは区内を流れる川の想定だけです。区内の河川としては、大岡川、中村川・堀川が挙げられています(出典:野村不動産ソリューションズ「横浜市中区の街の特徴」。民間の情報ですので、実際の想定浸水深は中区版のマップでご確認ください)。同じ情報では、大岡川と中村川に挟まれた地域は大雨のときに浸水への注意が必要とされています。

また、同じページには「想定を超える大雨、下水道からのはん濫、小さな河川のはん濫は考慮されていません」「着色されていない区域でも浸水が発生する場合があります」との注意書きがあります。マップに色がついていないから安心、とは言えません。

内水:時間153mmの想定

内水(下水道や排水路があふれて起きる浸水)は、横浜市の想定最大規模が時間153mmです(出典:横浜市「浸水ハザードマップ」)。川の水位が低くても、街の排水が追いつかなければ、低い場所に水は集まります。関内や桜木町のように、川沿いに開けた平らな市街地では、この内水のマップも大事に見てください。

高潮:室戸台風級を想定

高潮ハザードマップは、日本の過去最大級の室戸台風規模の台風を想定し、複数の進路・速度・大きさのうち最も被害が大きくなるケースを採用しています。河川の洪水が同時に起きることと、堤防が壊れることも最悪のケースとして織り込まれています(同上)。運河や海に近い物件では、洪水とは別に高潮のマップを見る必要があります。

津波・土砂・液状化:中区は「3つの顔」を持つ区

横浜市の中区防災計画の資料によれば、中区は、桜木町・関内・石川町などが河川の流域に発達した地域、山手から本牧にかけて丘陵地が広がる地域、新山下や本牧埠頭などの海面埋立地、という3つの顔をもっています。そして「土砂災害警戒区域や急傾斜地崩壊危険区域が数多く指定されている」と記されています(出典:横浜市中区「中区防災計画(震災対策編関連資料)」、2022年3月30日付)。

急傾斜地の土砂災害警戒区域がある区は、横浜市内で13区あり、中区もその1つです(出典:横浜市「記者発表資料」、2025年9月5日付)。区内の警戒区域の数は、この資料からは読み取れませんでしたので、お持ちの物件が区域内かどうかは、横浜市の「わいわい防災マップ」でご確認ください。

液状化については、横浜市が2012年10月に公表した地震被害想定をもとにした「液状化マップ」があります(出典:横浜市「液状化マップ」)。このページ自体には中区の個別の記述がありませんので、新山下・本牧のような埋立地の物件は、マップの該当箇所を実際に開いて確認してください。

横浜市中区の地域特性と漏水事故の関係:川沿いの低地、山手のがけ、埋立地

地震が来たときの、中区の被害想定

同じ中区防災計画の資料には、平日18時を想定した被害想定が載っています。主な数字は次のとおりです。

項目 元禄型関東地震 東京湾北部地震 南海トラフ巨大地震
想定震度 6弱〜7 5強〜6強 5弱〜5強
建物全半壊 11,319棟 2,612棟 98棟
避難者 58,370人 26,998人 9,190人
断水世帯数 43,928世帯 29,960世帯 6,718世帯

(出典:前掲「中区防災計画」。平成24年度の被害想定調査に基づく数字で、現在の建物の耐震化状況を反映したものではありません)

元禄型関東地震では、都市ガスの供給停止が85,040件と想定されています。ここで見ていただきたいのは、「建物が壊れるかどうか」だけでなく、「断水と停電とガス停止が同時に来たとき、マンションの中で暮らし続けられるか」です。

立地別の弱点

私が中区のマンションを見るときの、立地別のチェックの視点は次のとおりです。

  • 川沿いの低地(関内・桜木町・石川町周辺):敷地内の雨水桝や排水管の逆流、地下駐車場やピットへの水の入り方
  • 丘陵地(山手・本牧の高台):斜面からの雨水、擁壁の水抜き穴の詰まり、がけ側の外壁のひび割れ、屋上排水の能力不足
  • 埋立地(新山下・本牧埠頭周辺):潮風による金属部分の傷み、塩害を受けるシーリングや塗膜、地盤沈下による外構・配管まわりの不具合

気象庁の「日本の気候変動2025」によれば、全国の1時間降水量50mm以上の年間発生回数は、1976〜1985年の約226回から2015〜2024年の約334回へ、約1.5倍に増えています(出典:気象庁「日本の気候変動2025」)。これは全国の統計で、中区だけの数字ではありません。ただ、防水や排水の設計が想定していた雨より、実際の雨が強くなる方向にあることは、私の現場の実感とも一致します。

大規模修繕でチェックすべき漏水ポイント7つ

漏水の原因として、私が現場で優先して見る7か所を、費用感とあわせて整理します。金額は目安で、建物の状態や規模で大きく変わります。

  1. 屋上防水:改修周期は一般に12〜15年が目安です。防水工事の㎡単価は工法により5,000〜8,000円/㎡程度が一つの参考値です
  2. シーリング(目地・サッシまわりの充填材):10年前後で硬化・断裂し、雨水の入口になります。海に近い埋立地では傷みが早まる傾向があります
  3. バルコニー排水:排水溝の勾配不良や砂詰まりは、豪雨時に下階への漏水を引き起こします
  4. 屋上ドレン(排水口):落ち葉や砂で詰まると、屋上に水がたまります。山手のように緑の多い場所では特に注意が必要です
  5. 防水の立上り:パラペット(屋上の外周の低い壁)や設備基礎との取り合いは、最も傷みが早い部位の一つです
  6. サッシまわり:枠と躯体の間のシーリング、窓下の水切りを確認します
  7. エキスパンションジョイント:棟と棟のつなぎ目は、動きがあるため劣化しやすく、見落としがちです

私の経験上、この7か所のうち3か所以上に傷みがある建物は、すでに内部への水の回り込みが始まっていることが多いです。調査の段階で赤外線やドローンを使った点検を併用すると、足場を組む前に状態を把握できます(詳しくは明誠の漏水対応のご紹介をご覧ください)。

費用の感覚もお伝えします。物件により大きく変動しますが、ドレン清掃や部分的なシーリング補修といった応急対応は数万〜数十万円規模、屋上防水の全面やり替えは面積に応じて数百万円規模になることが一般的です。30戸規模のマンションの大規模修繕工事は総額3,500〜5,000万円のレンジで、そのうち仮設足場が15〜25%を占めます。料金の考え方は明誠の大規模修繕の料金の考え方でも整理しています。

漏水緊急対応でロープアクセスが強い理由(坂と狭い道の街でも作業できます)

台風や豪雨の後、「最上階の天井から水が落ちている」「外壁のひびから雨が入る」という連絡をいただくことがあります。足場を組む工事では、手配と架設で1〜2週間かかるのが普通です。その間にも雨は降ります。

ロープアクセス工法(産業用ロープで壁面に降りて作業する無足場の工法)なら、原因箇所の特定と応急処置を、足場なしで短期間に行えるケースが多いです。作業員はメインロープとバックアップロープの2本に接続し、2点以上の吊元を確保して作業します。これは国際産業ロープアクセス協会(IRATA)の考え方でも標準とされている二重の安全確保です。

中区は、坂の多い山手の住宅地、歩道の狭い元町や関内の商店街沿い、運河や道路に近接した敷地など、足場の搬入や架設が難しい場所が少なくありません。そうした壁面でも、ロープアクセスなら屋上から作業できる場合があります。

仮設足場の費用も、目安として10階建て・外周80mのマンションで足場約168万円に対し、ロープアクセスでは約59万円(差額約109万円)という試算があります。工期も足場工法の約60%が目安です。条件によって差は出ますので、詳細は現地調査のうえでお見積りします。

株式会社明誠はこれまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセスでの高所作業については、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業で、過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。作業員はIRATA水準の技能訓練を受け、品質面ではISO9001のマネジメントシステムを運用し、日本ロープ高所作業協会の事務局も担当しています。明誠のこれまでの施工事例は明誠の施工事例からご覧いただけます。

工法の技術的な詳細は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムで、安全管理や訓練体制はロープアクセスの技術解説記事で詳しくご覧いただけます。発注者さま向けの工法のご紹介は、明誠のロープアクセス工法のページにまとめています。

防災上の共用部(避難通路/エレベーター/受電設備/給水ポンプ/自家発)の位置と修繕優先度

漏水対策は、防災対策と地続きです。国土交通省の「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン(事例集)」の考え方では、受変電設備や非常用発電設備は、想定浸水深より高い階や屋上など浸水リスクの少ない場所に置くのが望ましいとされています。出入口の止水板や土のう、排水管の逆流防止なども、水を建物に入れない「水防ライン」として整理されています(出典:国土交通省「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン(事例集)(原案)」)。

私は共用部を、次の順番で見るようお勧めしています。

優先度 共用部 見る点
高 受変電設備・電気室 地下や1階にないか。浸水すると停電とエレベーター停止につながります
高 地下駐車場・機械式駐車場 出入口の止水板の有無と保管場所、ピットの排水ポンプの作動
高 給水ポンプ・受水槽 浸水や地震で止まると断水します。耐震固定と設置階を確認します
中 非常用電源(自家発) 燃料の備蓄量と、燃料タンクの設置位置を確認します
中 エレベーター ピットへの浸水、停止時の防災キャビネット、復旧までの対応を整理します
中 避難通路・外階段・擁壁 屋外階段の防水と手すり、がけ側の擁壁のひび割れや水抜き穴の詰まりを確認します

横浜市の「よこはま防災力向上マンション認定制度」の浸水対策の手引きでは、対策の目標とする浸水深は、洪水・内水・高潮のうち最も深い想定を基準にし、敷地内には起伏があるため複数の地点で調べることとされています。備蓄は、支援物資が届くまでを想定して最低3日分、できれば1週間分が理想とされています(出典:横浜市建築局「浸水対策の手引き」、令和5年7月)。

中高層マンションは、発災後に避難所ではなく自宅で過ごす「在宅避難」が基本になります。自宅で過ごすには、電気と水が止まらないことが前提です。だから私は、設備の位置と燃料の量を、外壁と同じ重さで点検するようにしています。

横浜市中区で使える防災補助・耐震助成(令和8年度)

横浜市は、分譲マンションの耐震化やがけ地の対策を支える制度を用意しています。主なものは次のとおりです。

制度 主な対象 内容(令和8年度)
マンション耐震診断支援事業 昭和56年5月末日以前に建築確認を得て着工。区分所有者が過半数居住、または3階以上かつ延べ1,000㎡以上 本診断費用の2/3(義務付け対象は5/6)。面積に応じた限度額あり
マンション耐震改修促進事業 上記に加え、市の本診断で改修が必要と判定 設計費2/3、工事費1/3(一部は2/3)。全体改修の限度額は延べ5,000㎡未満で2,000万円など
がけ地減災対策工事助成 高さ2m超などの崖地(自然崖・擁壁) 対象工事費の1/2、工法別単価による額、限度額(100万円または50万円)のうち最も少ない額。交付申請期限は令和8年12月28日の予定

(出典:横浜市「マンション耐震診断支援事業のご案内」、2026年7月31日更新/横浜市「マンション耐震改修促進事業のご案内」、2026年7月31日更新/横浜市「がけ地減災対策工事助成」、2026年9月4日更新)

耐震改修の補助は、受付期間の記載がなく、予算の状況と書類がそろった順で受け付ける運用です。見積りの徴収や総会決議の前に、横浜市建築局建築防災課(045-671-2928)への事前相談が必要とされています。

がけ地減災対策工事助成は、マンション管理組合が申請できるかどうかが、市のページに明記されていません。検討される場合は、建築防災課(045-671-2948)にお問い合わせください。

まとめ+今週動くこと3点

横浜市中区の漏水・防災対策は、「立地ごとのリスク確認」「屋上・排水まわりの防水」「地下・1階の設備」の3点に集約されます。川沿いの低地、山手の丘陵地、埋立地という3つの顔がある区だからこそ、物件ごとに優先順位を分けて考えることが大切だと私は考えています。

今週、理事会や管理会社へ次の3点をお伝えください。

  1. 中区版の浸水ハザードマップ(洪水・内水・高潮)と土砂災害のマップで、建物の位置を確認する(住所からの検索は横浜市の「わいわい防災マップ」、国土交通省のハザードマップポータルサイトも併用できます)
  2. 屋上ドレン、バルコニー排水溝、敷地の雨水桝、地下ピットの排水ポンプ、止水板の保管場所を点検する(専門業者に依頼する場合も、まず状況の写真をお撮りください)
  3. 受変電設備・給水ポンプの設置階と、前回の防水工事の時期を図面と記録で確認する(12〜15年を超えていれば、調査のご相談を)

10月はまだ台風の影響が残る季節です。理事会で1分だけでも、この話題を出してみてください。

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よくあるご質問

Q. 横浜市中区のマンションは、どの川の洪水に注意すればよいですか?

A. 区内を流れる川としては大岡川、中村川・堀川が挙げられています。県は大岡川について、想定最大規模を24時間332mmと公表しています。建物ごとの想定浸水深は、中区版の洪水ハザードマップで確認してください。

Q. 川から離れた高台なら、浸水は心配ありませんか?

A. 洪水の心配は小さくなりますが、内水(時間153mmの想定)や屋上・バルコニーの排水不良による漏水は、高台でも起きます。山手・本牧の丘陵地では、がけ側の擁壁や外壁のひび割れも合わせて確認してください。

Q. 地下駐車場がある場合、何を準備すればよいですか?

A. 出入口の止水板の保管場所と設置手順、ピットの排水ポンプの作動確認、換気口の高さの3点から始めてください。想定浸水深は、洪水・内水・高潮の最も深い値を基準に考えます。

Q. 緊急の漏水は、足場なしで対応できますか?

A. ロープアクセス工法なら、原因箇所の特定と応急処置を足場なしで行えるケースが多いです。足場を組む場合は手配と架設で1〜2週間かかるのが普通です。現地の状況によりますので、まずご相談ください。

Q. 屋上防水のやり直しはいくらかかりますか?

A. 工法により5,000〜8,000円/㎡程度が一つの目安です。屋上の面積や既存防水の状態で大きく変わりますので、現地調査のうえで概算をお出しします。

Q. 大規模修繕の工期はどれくらいですか?

A. ロープアクセス工法は足場工法の約60%の工期が目安です。10階建て・外周80mのマンションで、足場3ヶ月に対し1.5〜2ヶ月が一つの目安です。

Q. 横浜市に、分譲マンションの耐震診断の補助はありますか?

A. あります。昭和56年5月末日以前に建築確認を得て着工したマンションなどが対象で、本診断費用の2/3(義務付け対象は5/6)が補助されます。事前に横浜市建築局建築防災課へご相談ください。

Q. 液状化が心配な埋立地のマンションは、何を見ればよいですか?

A. 横浜市の液状化マップで位置を確認し、外構の沈下、埋設配管まわりのひび、地下ピットの止水をまず点検してください。建物本体の判断は専門家の調査が必要です。


本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月8日時点で公表されている横浜市・神奈川県・国土交通省・気象庁の公式情報をもとに執筆しています。耐震診断・耐震改修・がけ地減災対策の各制度は令和8年度の掲載内容に基づきます。中区防災計画の資料(2022年3月付)と、液状化マップ(2021年5月更新)、浸水対策の手引き(令和5年7月)は掲載日が古いため、その旨を本文に明記しました。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請される前に、横浜市および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。

出典・参考資料

この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年10月8日


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横浜市南区のマンション漏水・防災対策|大岡川の低地・吉田新田の埋立地・急傾斜地の3視点と大規模修繕の優先順位【2026年度版】

2026年10月8日 更新

横浜市南区のマンションで、大雨の前に私が最初に確かめるのは、屋上の排水口と、1階や地下にある設備の高さです。南区は、大岡川に沿った平らな低地、江戸時代に造られた埋立地、そしてそれらを囲む坂とがけの多い丘陵地が、狭い区域にぎゅっと詰まっています。同じ南区でも、建物が建っている場所によって、水の入り方も、地震での揺れ方も、がけ崩れの心配も大きく変わります。

私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。拠点は東京都東大和市ですが、神奈川県内のマンションの大規模修繕も手がけています。20年近く、マンション・ビル・ホテルの外壁と向き合ってきました。仮設足場を組む工事も、メインロープとバックアップロープの2本に接続して壁面に降りる無足場の工事も、どちらも現場でやってきた人間です。

今日は横浜市と神奈川県の公式情報をもとに、南区の分譲・賃貸マンションが大規模修繕で先に手を打つべき場所を整理します。


結論:南区で優先すべきは「立地の見極め」「屋上・排水まわりの防水」「地下・1階の設備とがけ側の擁壁」です

先に結論を申し上げます。横浜市南区のマンションでは、次の3つを最初に確認することをお勧めします。

  1. 南区版の浸水ハザードマップ(洪水・内水・高潮の3種類)で、建物の位置と想定浸水深を確認する:令和8年6月に、内水ハザードマップが水防法に基づくものに更新されています
  2. 屋上ドレン・バルコニー排水・敷地の雨水桝を点検し、防水の改修時期を記録で確認する:低地でも高台でも、豪雨時にまず出るのは「排水が追いつかない」ことによる漏水です
  3. 受変電設備・給水ポンプ・地下駐車場の位置と、がけ側の擁壁・外壁の状態を図面と目視で調べる:停電が長引くと、エレベーターも給水ポンプも止まります

順に見ていきます。

横浜市南区のハザードマップを1枚で読む(洪水/内水/高潮/津波/土砂/液状化)

横浜市は区ごとに「浸水ハザードマップ(南区版)」を公開しており、洪水・内水・高潮の3種類のマップと情報面をPDFで入手できます。南区版のページの最終更新日は2026年6月1日で、各PDFのファイル名の日付は2026年5月29日です(出典:横浜市「浸水ハザードマップ(南区版)」)。

横浜市全体では、高潮ハザードマップは浸水想定区域図がある10区(鶴見、神奈川、西、中、南、港南、保土ケ谷、磯子、金沢、港北)で作成されており、南区はこの10区に入っています。同じページによれば、令和8年6月の更新は、雨水出水(内水)の浸水想定区域が水防法に基づいて指定されたことによるもので、洪水・内水・高潮の浸水想定区域そのものに変更はありません(出典:横浜市「浸水ハザードマップ」、2026年6月1日更新)。

種別 南区での位置づけ 私の読み方
洪水(河川の氾濫) 南区版のマップあり。大岡川は県が想定雨量を公表 川沿いの低地の物件は、想定浸水深をまず確認
内水(雨水出水) 令和8年6月に水防法に基づくマップへ更新 川から離れた物件こそ、一度見てください
高潮 横浜市内の高潮マップ作成10区に南区が含まれる 運河・川沿いの地下施設、1階設備は要確認
津波 区防災計画で、海抜5m以上の高台か3階以上が避難の目安 津波避難先を共用部の掲示で共有
土砂(急傾斜地) 市内13区に警戒区域があり、南区もその1つ 坂の多い高台の物件は、擁壁と外壁の状態を確認
液状化 市の液状化マップ(3つの想定地震)で区ごとに確認 埋立地の物件は、杭・外構・埋設配管まで視野に

洪水:県が示す大岡川の想定雨量

横浜市の洪水ハザードマップは、国土交通省の京浜河川事務所と神奈川県が公表する洪水浸水想定区域をもとにしています。想定は「想定最大規模」(約1000年に1度)と「計画規模」の2種類です。大岡川については、想定最大規模が24時間で332mm、計画規模が1時間で93mm(100年に1度)と公表されています(出典:横浜市「洪水浸水想定区域について」、2026年4月1日更新)。

横浜市南区のまちづくり資料には、大岡川が笹下川と日野川から流れ出て区の中央を通り、中村川と堀割川に分かれること、川沿いには沖積低地と江戸時代の埋立地が広がり、その周りを丘陵や台地が囲むことが書かれています。また、大岡川は大雨のたびにたびたび氾濫してきたことも記されています(出典:横浜市南区「南区まちづくり関連資料」、ファイル名の日付は2018年11月。人口などの統計は2015〜2016年時点です)。資料が古いため、地形の説明の参考にとどめ、想定浸水深は必ず南区版のマップでご確認ください。

また、横浜市の洪水ハザードマップには「想定を超える大雨、下水道からのはん濫、小さな河川のはん濫は考慮されていません」「着色されていない区域でも浸水が発生する場合があります」との注意書きがあります。マップに色がついていないから安心、とは言えません。

内水と高潮:川から離れた物件も、海に遠い物件も無関係ではありません

内水は、下水道や排水路があふれて起きる浸水です。川の水位が低くても、街の排水が追いつかなければ、低い場所に水は集まります。南区は人口密度が横浜市18区で最も高い(2016年7月1日時点で1平方キロあたり15,434人)とされる、建物が密集した区です(前掲の南区まちづくり関連資料)。路面が舗装で覆われた密集市街地では、雨水が一気に排水路へ流れ込みます。川沿いでなくても、内水のマップは必ず見てください。

高潮ハザードマップは、日本の過去最大級の室戸台風規模の台風を想定し、複数の進路・速度・大きさのうち最も被害が大きくなるケースを採用しています。河川の洪水が同時に起きることと、堤防が壊れることも最悪のケースとして織り込まれています(同上の横浜市ページ)。南区は海に面していませんが、川を伝って海水位の影響が及ぶことがありますので、河川や運河沿いの物件は高潮マップも見る必要があります。

津波・土砂・液状化:南区は「3つの顔」を持つ区

南区の地形を、私は次の3つに分けて考えています。

  • 大岡川沿いの低地(浸水の注意が必要な場所)
  • 江戸時代の埋立地(吉田新田など。揺れと液状化の注意が必要な場所)
  • 丘陵地・台地(がけ崩れと排水の注意が必要な場所)

南区まちづくり関連資料によれば、区内の最高地点は約91m(永田山王台)で、坂道や階段が多く、がけのある場所が目立ちます。県が指定する土砂災害警戒区域は、2015年3月時点で区域面積の約15%、161区域にのぼり、面積あたりの数は横浜市内で最も多いとされています。これは古い数字ですので、現在の指定状況は、横浜市の「わいわい防災マップ」と神奈川県の土砂災害情報で確認してください。急傾斜地の警戒区域がある区は市内13区で、南区もその1つです(出典:横浜市「記者発表資料」、2025年9月5日付)。この資料には区ごとの箇所数は載っていませんでした。

津波については、南区防災計画の「震災対策編」で、津波避難場所は「海抜5m以上の高台又は鉄筋コンクリート造等の頑丈な建物の3階以上を目安に」確保するとされています(出典:横浜市南区「南区防災計画『震災対策編』」、ページ更新日は2025年3月11日)。

液状化については、横浜市が2012年10月に公表した地震被害想定をもとにした「液状化マップ」があり、元禄型関東地震、東京湾北部地震、南海トラフ巨大地震の3つの想定ごとに区別のマップを見られます(出典:横浜市「液状化マップ」、2021年5月27日更新)。南区まちづくり関連資料には、元禄型関東地震の想定で、埋立地の吉田新田の一部は震度7に達しうると書かれています。このページ自体には南区の個別の記述がありませんので、埋立地に近い物件は、マップの該当箇所を実際に開いてご確認ください。

横浜市南区の地域特性と漏水事故の関係:低地・埋立地・丘陵地で傷み方が違います

地震が来たときの、南区の被害想定

横浜市の地震被害想定(平成24年10月の調査に基づく)では、南区の被害は次のとおり示されています。

項目 元禄型関東地震 東京湾北部地震 南海トラフ巨大地震
建物被害(揺れ・液状化・崖・津波の合計) 12,891棟 2,221棟 519棟
焼失棟数 11,795棟 680棟 0棟
避難者数 51,926人 12,994人 4,053人

(出典:横浜市防災計画「資料編」の地震被害想定。南区の現況棟数は47,200棟。平成24年度の被害想定に基づく数字で、現在の耐震化の状況は反映されていません。区別の断水・停電・ガス停止の数字はこの資料では確認できませんでした)

数字を見て気づくのは、元禄型関東地震では、建物の被害のほとんどが焼失(11,795棟)だということです。南区は、木造の住宅が密集し、道が狭い場所が多いため、火災が広がりやすいとされています(前掲の南区まちづくり関連資料)。鉄筋コンクリートのマンションは延焼に強い建物ですが、周囲が燃えれば、外壁の仕上げ材、サッシ、ベランダの可燃物、屋上の防水層も熱の影響を受けます。避難経路や、バルコニーの避難ハッチの周りに物を置いていないかも、大規模修繕の前に確認していただきたい点です。

立地別の弱点

私が南区のマンションを見るときの、立地別のチェックの視点は次のとおりです。

  • 大岡川・中村川・堀割川沿いの低地:敷地内の雨水桝や排水管の逆流、地下駐車場やピットへの水の入り方、1階の共用部の止水
  • 江戸時代の埋立地(吉田新田など):地盤沈下による外構・配管まわりの不具合、エキスパンションジョイント(棟と棟のつなぎ目)の動き、地震後の設備配管の破損
  • 丘陵地・台地(坂とがけの多い高台):斜面からの雨水、擁壁の水抜き穴の詰まり、がけ側の外壁のひび割れ、屋上排水の能力不足

気象庁の「日本の気候変動2025」によれば、全国の1時間降水量50mm以上の年間発生回数は、1976〜1985年の約226回から2015〜2024年の約334回へ、約1.5倍に増えています(出典:気象庁「日本の気候変動2025」)。これは全国の統計で、南区だけの数字ではありません。ただ、防水や排水の設計が想定していた雨より、実際の雨が強くなる方向にあることは、私の現場の実感とも一致します。

大規模修繕でチェックすべき漏水ポイント7つ

漏水の原因として、私が現場で優先して見る7か所を、費用感とあわせて整理します。金額は目安で、建物の状態や規模で大きく変わります。

  1. 屋上防水:改修周期は一般に12〜15年が目安です。防水工事の㎡単価は工法により5,000〜8,000円/㎡程度が一つの参考値です
  2. シーリング(目地・サッシまわりの充填材):10年前後で硬化・断裂し、雨水の入口になります
  3. バルコニー排水:排水溝の勾配不良や砂詰まりは、豪雨時に下階への漏水を引き起こします
  4. 屋上ドレン(排水口):落ち葉や砂で詰まると、屋上に水がたまります。木の多い高台の物件では特に注意が必要です
  5. 防水の立上り:パラペット(屋上の外周の低い壁)や設備基礎との取り合いは、最も傷みが早い部位の一つです
  6. サッシまわり:枠と躯体の間のシーリング、窓下の水切りを確認します
  7. エキスパンションジョイント:棟と棟のつなぎ目は、動きがあるため劣化しやすく、埋立地では特に見落としがちです

私の経験上、この7か所のうち3か所以上に傷みがある建物は、すでに内部への水の回り込みが始まっていることが多いです。調査の段階で赤外線やドローンを使った点検を併用すると、足場を組む前に状態を把握できます(詳しくは明誠の漏水対応のご紹介をご覧ください)。

費用の感覚もお伝えします。物件により大きく変動しますが、ドレン清掃や部分的なシーリング補修といった応急対応は数万〜数十万円規模、屋上防水の全面やり替えは面積に応じて数百万円規模になることが一般的です。30戸規模のマンションの大規模修繕工事は総額3,500〜5,000万円のレンジで、そのうち仮設足場が15〜25%を占めます。料金の考え方は明誠の大規模修繕の料金の考え方でも整理しています。

漏水緊急対応でロープアクセスが強い理由(坂と狭い道の密集地でも作業できます)

台風や豪雨の後、「最上階の天井から水が落ちている」「外壁のひびから雨が入る」という連絡をいただくことがあります。足場を組む工事では、手配と架設で1〜2週間かかるのが普通です。その間にも雨は降ります。

ロープアクセス工法(産業用ロープで壁面に降りて作業する無足場の工法)なら、原因箇所の特定と応急処置を、足場なしで短期間に行えるケースが多いです。作業員はメインロープとバックアップロープの2本に接続し、2点以上の吊元を確保して作業します。これは国際産業ロープアクセス協会(IRATA)の考え方でも標準とされている二重の安全確保です。

南区は、人口密度が高く、坂や階段、狭い道が多い区です。足場の資材を搬入するトラックが入れない、隣の建物との間隔が狭くて足場を立てにくい、といった現場が少なくありません。そうした壁面でも、ロープアクセスなら屋上から作業できる場合があります。

仮設足場の費用も、目安として10階建て・外周80mのマンションで足場約168万円に対し、ロープアクセスでは約59万円(差額約109万円)という試算があります。工期も足場工法の約60%が目安です。条件によって差は出ますので、詳細は現地調査のうえでお見積りします。

株式会社明誠はこれまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセスでの高所作業については、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業で、過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。作業員はIRATA水準の技能訓練を受け、品質面ではISO9001のマネジメントシステムを運用し、日本ロープ高所作業協会の事務局も担当しています。明誠のこれまでの施工事例は明誠の施工事例からご覧いただけます。

工法の技術的な詳細は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムで、安全管理や訓練体制はロープアクセスの技術解説記事で詳しくご覧いただけます。発注者さま向けの工法のご紹介は、明誠のロープアクセス工法のページにまとめています。

防災上の共用部(避難通路/エレベーター/受電設備/給水ポンプ/自家発)の位置と修繕優先度

漏水対策は、防災対策と地続きです。国土交通省の「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン(事例集)」の考え方では、受変電設備や非常用発電設備は、想定浸水深より高い階や屋上など浸水リスクの少ない場所に置くのが望ましいとされています。出入口の止水板や土のう、排水管の逆流防止なども、水を建物に入れない「水防ライン」として整理されています(出典:国土交通省「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン(事例集)(原案)」)。

私は共用部を、次の順番で見るようお勧めしています。

優先度 共用部 見る点
高 受変電設備・電気室 地下や1階にないか。浸水すると停電とエレベーター停止につながります
高 地下駐車場・機械式駐車場 出入口の止水板の有無と保管場所、ピットの排水ポンプの作動
高 給水ポンプ・受水槽 浸水や地震で止まると断水します。耐震固定と設置階を確認します
中 非常用電源(自家発) 燃料の備蓄量と、燃料タンクの設置位置を確認します
中 エレベーター ピットへの浸水、停止時の防災キャビネット、復旧までの対応を整理します
中 避難通路・外階段・擁壁 屋外階段の防水と手すり、がけ側の擁壁のひび割れや水抜き穴の詰まりを確認します

横浜市の「よこはま防災力向上マンション認定制度」の浸水対策の手引きでは、対策の目標とする浸水深は、洪水・内水・高潮のうち最も深い想定を基準にし、敷地内には起伏があるため複数の地点で調べることとされています。備蓄は、支援物資が届くまでを想定して最低3日分、できれば1週間分が理想とされています(出典:横浜市建築局「浸水対策の手引き」、令和5年7月)。

中高層マンションは、発災後に避難所ではなく自宅で過ごす「在宅避難」が基本になります。自宅で過ごすには、電気と水が止まらないことが前提です。だから私は、設備の位置と燃料の量を、外壁と同じ重さで点検するようにしています。

横浜市南区で使える防災補助・耐震助成(令和8年度)

横浜市は、分譲マンションの耐震化やがけ地の対策を支える制度を用意しています。主なものは次のとおりです。

制度 主な対象 内容(令和8年度)
マンション耐震診断支援事業 昭和56年5月末日以前に建築確認を得て着工。区分所有者が過半数居住、または3階以上かつ延べ1,000㎡以上 本診断費用の2/3(義務付け対象は5/6)。面積に応じた限度額あり
マンション耐震改修促進事業 上記に加え、市の本診断で改修が必要と判定 設計費2/3、工事費1/3(一部は2/3)。全体改修の限度額は延べ5,000㎡未満で2,000万円(安全計画が必要な建物は4,000万円)など
がけ地減災対策工事助成 高さ2m超などの崖地(自然崖・擁壁) 対象工事費の1/2、工法別単価による額、限度額(100万円または50万円)のうち最も少ない額。交付申請期限は令和8年12月28日の予定

(出典:横浜市「マンション耐震診断支援事業のご案内」、2026年7月31日更新/横浜市「マンション耐震改修促進事業のご案内」、2026年7月31日更新/横浜市「がけ地減災対策工事助成」、2026年9月4日更新)

耐震診断・耐震改修の補助は、受付期間の記載がなく、予算の状況と書類がそろった順で受け付ける運用です。見積りの徴収や総会決議の前に、横浜市建築局建築防災課(045-671-2928)への事前相談が必要とされています。また、100万円以上の工事では、見積りや入札を市内に本社のある事業者から取ることが原則とされ、令和8年度からは例外が限られています。業者選びの段階で必ず確認してください。

がけ地減災対策工事助成は、受付が令和8年4月13日に始まっており、交付決定の前に工事契約や着手をすると利用できません。マンション管理組合が申請できるかどうかは、市のページに明記されていません。検討される場合は、建築防災課(045-671-2948)にお問い合わせください。

まとめ+今週動くこと3点

横浜市南区の漏水・防災対策は、「立地の見極め」「屋上・排水まわりの防水」「地下・1階の設備とがけ側の擁壁」の3点に集約されます。低地、埋立地、丘陵地という3つの顔がある区だからこそ、物件ごとに優先順位を分けて考えることが大切だと私は考えています。

今週、理事会や管理会社へ次の3点をお伝えください。

  1. 南区版の浸水ハザードマップ(洪水・内水・高潮)と土砂災害のマップで、建物の位置を確認する(住所からの検索は横浜市の「わいわい防災マップ」、国土交通省のハザードマップポータルサイトも併用できます)
  2. 屋上ドレン、バルコニー排水溝、敷地の雨水桝、地下ピットの排水ポンプ、止水板の保管場所を点検する(専門業者に依頼する場合も、まず状況の写真をお撮りください)
  3. 受変電設備・給水ポンプの設置階と、前回の防水工事の時期を図面と記録で確認する(12〜15年を超えていれば、調査のご相談を)

10月はまだ台風の影響が残る季節です。理事会で1分だけでも、この話題を出してみてください。

ビルオーナーさま向けにはビルオーナー向けのサービス、管理組合さま向けには管理組合向けのサービスをご用意しています。個別のご相談はお問合せフォームから承ります。

よくあるご質問

Q. 横浜市南区のマンションは、どの川の洪水に注意すればよいですか?

A. 区の中央を流れる大岡川と、そこから分かれる中村川・堀割川が代表的です。県は大岡川について、想定最大規模を24時間332mmと公表しています。建物ごとの想定浸水深は、南区版の洪水ハザードマップで確認してください。

Q. 川から離れた高台なら、浸水は心配ありませんか?

A. 洪水の心配は小さくなりますが、内水や屋上・バルコニーの排水不良による漏水は、高台でも起きます。坂の多い高台では、がけ側の擁壁や外壁のひび割れも合わせて確認してください。

Q. 地下駐車場がある場合、何を準備すればよいですか?

A. 出入口の止水板の保管場所と設置手順、ピットの排水ポンプの作動確認、換気口の高さの3点から始めてください。想定浸水深は、洪水・内水・高潮の最も深い値を基準に考えます。

Q. 緊急の漏水は、足場なしで対応できますか?

A. ロープアクセス工法なら、原因箇所の特定と応急処置を足場なしで行えるケースが多いです。足場を組む場合は手配と架設で1〜2週間かかるのが普通です。現地の状況によりますので、まずご相談ください。

Q. 屋上防水のやり直しはいくらかかりますか?

A. 工法により5,000〜8,000円/㎡程度が一つの目安です。屋上の面積や既存防水の状態で大きく変わりますので、現地調査のうえで概算をお出しします。

Q. 大規模修繕の工期はどれくらいですか?

A. ロープアクセス工法は足場工法の約60%の工期が目安です。10階建て・外周80mのマンションで、足場3ヶ月に対し1.5〜2ヶ月が一つの目安です。

Q. 横浜市に、分譲マンションの耐震診断の補助はありますか?

A. あります。昭和56年5月末日以前に建築確認を得て着工したマンションなどが対象で、本診断費用の2/3(義務付け対象は5/6)が補助されます。事前に横浜市建築局建築防災課へご相談ください。

Q. 埋立地のマンションは、液状化で何を見ればよいですか?

A. 横浜市の液状化マップで位置を確認し、外構の沈下、埋設配管まわりのひび、エキスパンションジョイント、地下ピットの止水をまず点検してください。建物本体の判断は専門家の調査が必要です。


本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月8日時点で公表されている横浜市・神奈川県・国土交通省・気象庁の公式情報をもとに執筆しています。浸水ハザードマップ(令和8年6月)、耐震診断・耐震改修・がけ地減災対策の各制度は令和8年度の掲載内容に基づきます。南区まちづくり関連資料(2018年11月付、統計は2015〜2016年時点)、液状化マップ(2021年5月更新)、浸水対策の手引き(令和5年7月)は掲載日が古いため、その旨を本文に明記し、参考にとどめました。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請される前に、横浜市および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。

出典・参考資料

この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年10月8日


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ロープアクセス工法の詳細や実例については、姉妹サイト「ロープアクセスドットコム」の以下の記事もぜひご覧ください。

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横浜市西区のマンション漏水・防災対策|帷子川・内水・高潮・がけ地の4リスクと大規模修繕の優先順位【2026年度版】

2026年10月7日 更新

横浜市西区のマンションで、私が大雨の前に真っ先に確かめるのは、地下や1階の設備の高さと、屋上の排水口です。西区は、横浜駅とみなとみらいを抱える海沿いの低地と、野毛山・戸部・藤棚あたりの坂の多い高台が、狭い区域にぎゅっと同居している街です。同じ西区でも、低地のマンションは「下からの水」、高台のマンションは「がけ」と「上からの雨」と、気をつけるところが違います。

私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。拠点は東京都東大和市ですが、神奈川県内のマンションの大規模修繕も手がけています。20年近く、マンション・ビル・ホテルの外壁と向き合ってきました。仮設足場を組む工事も、メインロープとバックアップロープの2本に接続して壁面に降りる無足場の工事も、どちらも現場でやってきた人間です。

今日は横浜市と神奈川県の公式情報をもとに、横浜市西区の分譲・賃貸マンションが大規模修繕で先に手を打つべき場所を整理します。


結論:横浜市西区で優先すべきは「地下・1階の設備」「屋上排水と防水」「がけ側の外壁」です

先に結論を申し上げます。横浜市西区のマンションでは、次の3つを最初に確認することをお勧めします。

  1. 西区版の浸水ハザードマップ(洪水・内水・高潮の3種類)で、建物の位置と浸水深を確認する:令和8年6月に、内水ハザードマップが水防法に基づくものに更新されました
  2. 受変電設備・給水ポンプ・地下駐車場の位置と、出入口の止水対策を図面で調べる:横浜駅西口では、平成16年の台風で地下施設が天井まで浸水した記録があります
  3. がけに近い物件は、がけ側の外壁と擁壁、屋上防水の状態をセットで確認する:西区には土砂災害警戒区域が56区域あります

順に見ていきます。

横浜市西区のハザードマップを1枚で読む(洪水/内水/高潮/津波/土砂)

横浜市は区ごとに「浸水ハザードマップ(西区版)」を公開しており、洪水・内水・高潮の3種類のマップと情報面をPDFでダウンロードできます。ページの最終更新日は2026年6月9日です(出典:横浜市「浸水ハザードマップ(西区版)」)。

種別 西区の公表状況 私の読み方
洪水(帷子川) 計画規模は1時間約93mm、想定最大規模は24時間約390mmの雨を想定 帷子川や横浜駅周辺の低地の物件は浸水深を確認
内水(雨水出水) 想定最大規模は時間153mm。令和8年6月1日に水防法に基づくマップへ更新 川から離れた物件こそ一度見てください
高潮 神奈川県の東京湾沿岸の高潮浸水想定区域(令和6年2月見直し)をもとに作成 海に近いみなとみらい側の物件は必須
津波 西区には津波避難対象区域の図あり。市は慶長型地震の津波モデルで対策 臨海部の物件は避難先とあわせて確認
土砂災害 急傾斜地の警戒区域56、うち特別警戒区域42(令和8年2月17日現在) 高台・坂沿いの物件はがけの位置を確認

洪水(帷子川):避難情報も帷子川の水位で判断

西区の洪水ハザードマップは、帷子川(かたびらがわ)の氾濫を想定したものです。西区役所のページには「西区では帷子川の水位や気象状況等から判断して、避難情報を発令します」と書かれており、マップの前提は、計画規模が1時間で約93ミリ、想定最大規模が24時間で約390ミリの雨です(出典:横浜市西区「風水害時の避難場所について」、2026年9月16日更新)。

市の河川紹介によると、帷子川は横浜駅西口付近で石崎川、新田間川、派新田間川に分かれて横浜港に注いでいます(出典:横浜市「帷子川」)。つまり西区は、帷子川の「河口側」にあたります。上流で降った雨が集まってくる場所だということです。

内水:時間153mmの想定、不動産取引の重要事項説明の対象に

内水(ないすい)とは、大雨で下水道管や水路がいっぱいになり、マンホールや雨水ますから水があふれることです。横浜市の雨水出水浸水想定区域では、想定最大規模の雨として、千葉県香取市で観測された時間153mmを使っています(出典:横浜市「雨水出水浸水想定区域」、2026年7月22日更新)。

市は令和8年6月1日から、内水ハザードマップを水防法に基づくものに更新しました。浸水想定そのものに変更はありませんが、これにより内水ハザードマップも不動産取引の重要事項説明の対象になったと、市のページに明記されています。市は「地下室、地下駐車場などの道路より低い宅地は、浸水の程度に関わらず雨水が入り込む危険性があります」とも注意しています(出典:横浜市「内水ハザードマップ」、2026年6月1日更新)。賃貸マンションのオーナーさまにとっては、入居募集や売却のときに説明される情報です。

高潮・津波:海沿いの区ならではのリスク

神奈川県は、東京湾沿岸の高潮浸水想定区域を令和6年2月に見直して公表しています。設定条件は、我が国で過去最大規模の台風(室戸台風の中心気圧)で、河川の洪水が同時に起きることや堤防の決壊も見込んでいます(出典:神奈川県「東京湾沿岸における高潮浸水想定区域について」)。横浜市の高潮ハザードマップの対象10区に、西区も含まれています。

津波については、横浜市は「慶長型地震」による津波モデルで対策を進めており、西区の津波避難対象区域図を公開しています。なお、現時点で横浜市内に「津波災害警戒区域」が指定された地域はないとされています(出典:横浜市「津波避難対策について」、2026年6月24日更新)。

土砂災害:がけの多い高台

意外に思われるかもしれませんが、西区は土砂災害の警戒区域が少なくない区です。横浜市の集計では、令和8年2月17日現在、西区の急傾斜地の土砂災害警戒区域は56区域、そのうち特別警戒区域は42区域です(出典:横浜市「土砂災害防止法について」、2026年3月12日更新)。西区役所のページでは、境之谷の一部、西戸部町1丁目の一部、老松町の一部が即時避難指示の対象区域とされています(出典:同「風水害時の避難場所について」)。

横浜市西区の地域特性と漏水事故の関係:地下、低地、坂の上

平成16年の台風第22号で、横浜駅西口に何が起きたか

横浜市の地下浸水に関する啓発パンフレットによれば、平成16年10月9日に接近した台風第22号で、横浜駅西口周辺のホテルの地下駐車場や飲食店、百貨店などの地下施設が浸水し、一部の地下店舗では浸水が天井まで達しました。パンフレットには「約2分で1.5m程度の高さまで浸水」という記述もあります(出典:横浜市「地下浸水に関する啓発パンフレット」(平成26年発行))。

市の「横浜駅周辺地区 大規模雨水処理施設整備事業計画」では、このときの時間最大75.5mmの豪雨で、横浜駅西口の446戸が床上・床下浸水したとしています。ほかにも平成13・14・16・17年に浸水被害が記録されています(出典:横浜市「横浜駅周辺地区 大規模雨水処理施設整備事業計画」)。

市は平成29年1月25日に横浜駅周辺地区を「浸水被害対策区域」に指定し(出典:横浜市「浸水被害対策区域」)、同計画では、約140haの区域で30年確率降雨(時間81.6mm)に対応する下水道施設を、令和7〜16年度にかけて整備するとしています。雨水貯留施設23,900㎥、新しいポンプ場などが含まれます。

私が申し上げたいのは、「行政の大きな施設ができるまでには、まだ10年近くかかる」ということです。その間に建物側でできるのは、設備を守ること、地下への入口をふさぐ準備をすること、防水を周期どおりに更新することです。

低地のマンション、高台のマンション、それぞれの弱点

横浜駅・みなとみらい側の低地のマンション:地下駐車場、地下の電気室、ポンプ室が弱点です。2分で1.5mという水の速さを考えると、止水板(出入口に立てて水を止める板)を「どこに置いてあるか」「誰が立てるか」まで決めておく必要があります。

戸部・藤棚・野毛山側の坂の上のマンション:浸水の心配は小さくても、がけ側の外壁は日が当たらず湿気がこもり、ひび割れやタイルの浮きが進みやすい場所です。足場を組む場所がとれず、点検が後回しになっている建物もよく見かけます。

築30〜40年の中高層マンション:私が現場でよく見るのは、一度も屋上防水をやり直しておらず、最上階の天井に染みが出てから相談される流れです。そうなると、防水だけでなく下地や内装の補修まで必要になり、費用が膨らみます。

気象庁のデータ:強い雨は増えています

気象庁の「日本の気候変動2025」によれば、全国の1時間降水量50mm以上の年間発生回数は、1976〜1985年の約226回から2015〜2024年の約334回へ、約1.5倍に増えています(出典:気象庁「日本の気候変動2025」)。これは全国の統計で、西区に限った数字ではありません。ただ、防水や排水の設計が想定していた雨より、実際の雨のほうが強くなる方向にあることは、現場の実感とも一致します。

大規模修繕でチェックすべき漏水ポイント7つ

大規模修繕の現場で、漏水の原因として私が優先して見る7か所を、費用感とあわせて整理します。金額は目安で、建物の状態や規模で大きく変わります。

  1. 屋上防水:改修周期は一般に12〜15年が目安です。防水工事の㎡単価は工法により5,000〜8,000円/㎡程度が一つの参考値です
  2. シーリング(目地・サッシまわりの充填材):10年前後で硬化・断裂し、雨水の入口になります
  3. バルコニー排水:排水溝の勾配不良や砂詰まりは、豪雨時に下階への漏水を引き起こします
  4. 屋上ドレン(排水口):落ち葉や砂で詰まると、屋上に水がたまります。高台の緑の多い場所では特に注意が必要です
  5. 防水の立上り:パラペット(屋上の外周の低い壁)や設備基礎との取り合いは、最も傷みが早い部位の一つです
  6. サッシまわり:枠と躯体の間のシーリング、窓下の水切りを確認します
  7. エキスパンションジョイント:棟と棟のつなぎ目は、動きがあるため劣化しやすく、見落としがちです

海に近い西区の低地では、これに加えて「地下への入口の止水」と「敷地内の雨水桝・排水管の逆流」もワンセットで見るようにしています。私の経験上、上の7か所のうち3か所以上に傷みがある建物は、すでに内部への水の回り込みが始まっていることが多いです。調査の段階で赤外線やドローンを使った点検を併用すると、足場を組む前に状態を把握できます(詳しくは明誠の漏水対応のご紹介をご覧ください)。

費用の感覚もお伝えします。私の現場感覚の目安で、物件により大きく変動しますが、ドレン清掃や部分的なシーリング補修といった応急対応は数万〜数十万円規模、屋上防水の全面やり替えは面積に応じて数百万円規模になることが一般的です。30戸規模のマンションの大規模修繕工事は総額3,500〜5,000万円のレンジで、そのうち仮設足場が15〜25%を占めます。料金の考え方は明誠の大規模修繕の料金の考え方でも整理しています。

漏水緊急対応でロープアクセスが強い理由(坂の街、狭い敷地でも作業できます)

台風や豪雨の後、「最上階の天井から水が落ちている」「外壁のひびから雨が入る」という連絡をいただくことがあります。足場を組む工事では、手配と架設で1〜2週間かかるのが普通です。その間にも雨は降ります。

ロープアクセス工法(産業用ロープで壁面に降りて作業する無足場の工法)なら、原因箇所の特定と応急処置を、足場なしで短期間に行えるケースが多いです。作業員はメインロープとバックアップロープの2本に接続し、2点以上の吊元を確保して作業します。これは国際産業ロープアクセス協会(IRATA)の考え方でも標準とされている二重の安全確保です。

西区は、がけや擁壁に面した壁、隣のビルとの間が狭い壁、駅前の交通量の多い道路に面した壁が多い区です。足場を組みにくい壁面でも、ロープアクセスなら屋上から作業できる場合があります。

仮設足場の費用も、目安として10階建て・外周80mのマンションで足場約168万円に対し、ロープアクセスでは約59万円(差額約109万円)という試算があります。工期も足場工法の約60%が目安です。条件によって差は出ますので、詳細は現地調査のうえでお見積りします。

株式会社明誠はこれまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセスでの高所作業については、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業で、過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。作業員はIRATA水準の技能訓練を受け、品質面ではISO9001のマネジメントシステムを運用し、日本ロープ高所作業協会の事務局も担当しています。明誠のこれまでの施工事例は明誠の施工事例からご覧いただけます。

工法の技術的な詳細は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムで、安全管理や訓練体制はロープアクセスの技術解説記事で詳しくご覧いただけます。発注者さま向けの工法のご紹介は、明誠のロープアクセス工法のページにまとめています。

防災上の共用部(避難通路/エレベーター/受電設備/給水ポンプ/自家発)の位置と修繕優先度

漏水対策は、防災対策と地続きです。西区のように地下利用が多い街では、私は共用部を次の順番で見るようお勧めしています。

優先度 共用部 見る点
高 受変電設備・電気室 地下や1階にないか。浸水すると停電とエレベーター停止につながります
高 地下駐車場・機械式駐車場 出入口の止水板の有無と保管場所、ピットの排水ポンプの作動
高 給水ポンプ・受水槽 浸水や地震で止まると断水します。耐震固定と設置階を確認します
中 非常用電源(自家発) 燃料の備蓄量と、燃料タンクの設置位置を確認します
中 エレベーター ピットへの浸水、停止時の防災キャビネット、復旧までの対応を整理します
中 避難通路・外階段・擁壁 屋外階段の防水と手すり、がけ側の擁壁のひび割れや水抜き穴の詰まりを確認します

中高層マンションは、発災後に避難所ではなく自宅で過ごす「在宅避難」が基本になります。自宅で過ごすには、電気と水が止まらないことが前提です。だから私は、設備の位置と燃料の量を、外壁と同じ重さで点検するようにしています。

横浜市西区で使える防災補助・耐震助成(令和8年度)と税の減額制度

横浜市は、分譲マンションの耐震化や管理組合の運営を支える制度を用意しています。主なものは次のとおりです。

制度 主な対象 内容(令和8年度)
マンション耐震診断支援事業 昭和56年5月末日以前に建築確認・着工、住戸の半分以上に区分所有者が居住、または3階以上かつ延べ1,000㎡以上 本診断費用(面積に応じた限度額あり)の2/3。義務付け対象は5/6
マンション耐震改修促進事業 上記に加え、市の本診断で改修が必要と判定 設計費2/3、工事費1/3(地震災害時に通行を確保すべき道路沿いの一定の高さ以上は2/3)。全体改修の限度額は延べ5,000㎡未満で2,000万円など
崖地防災対策工事助成金 崖地の擁壁工事など 工事費の1/3、工法別単価による額、限度額400万円のうち少ない額。申請期限は令和8年12月28日まで(予定)
マンション・アドバイザー派遣 市のマンション登録制度に登録した管理組合 初回無料、2回目以降1回税込12,650円。原則6回まで

(出典:横浜市「マンション耐震診断支援事業のご案内」、2026年7月31日更新/横浜市「マンション耐震改修促進事業のご案内」、2026年7月31日更新/横浜市「崖地防災対策工事助成金制度」、2026年9月4日更新/横浜市「管理全般について相談ができる専門家の派遣」、2026年4月13日更新)

耐震診断・改修の補助は、予算の状況によって受付できない場合があり、見積徴収や総会決議の前に横浜市建築局建築防災課(045-671-2928)への事前相談が必要です。また、事業費が100万円以上の場合は、原則として市内に本社のある事業者から見積りを取る必要があります。崖地の助成も、市内に本社のある事業者との契約が条件です。申請前に必ず各窓口で条件をご確認ください。

大規模修繕で固定資産税が2分の1に(マンション長寿命化促進税制)

管理計画の認定などを受けたマンションで、長寿命化に資する大規模修繕工事を行った場合、横浜市では工事完了の翌年度分の建物の固定資産税が2分の1減額されます。主な要件は次のとおりです(出典:横浜市「大規模の修繕等が行われたマンションに係る固定資産税の減額制度」、2026年4月8日更新)。

  • 築20年以上、総戸数10戸以上のマンション
  • 令和5年4月1日から令和9年3月31日までに、外壁塗装等・床防水・屋根防水の工事をすべて完了すること(過去にも1回以上、これら全ての工事を行っていること)
  • 管理計画の認定を受けているか、管理適正化に向けた助言・指導を受けていること
  • 工事完了から3か月以内に、西区役所税務課家屋担当へ申告すること
  • 減額の範囲は1戸あたり100㎡(共用部分を含む)まで。都市計画税は対象外

工事の完了期限が令和9年3月31日ですので、今から大規模修繕を計画する管理組合は、工期と管理計画認定の申請時期を早めに整理することをお勧めします。管理計画認定の申請手数料は3,900円(郵送料別)と案内されています(出典:横浜市「管理計画認定制度とは」、2025年12月8日更新のため最新の金額は市でご確認ください)。

まとめ+今週動くこと3点

横浜市西区の漏水・防災対策は、「地下・1階の設備」「屋上排水と防水」「がけ側の外壁」の3点に集約されます。帷子川の河口側の低地と、がけの多い高台が同じ区にあるからこそ、物件ごとに優先順位を分けて考えることが大切だと私は考えています。

今週、理事会や管理会社へ次の3点をお伝えください。

  1. 西区版の浸水ハザードマップ(洪水・内水・高潮)と土砂災害ハザードマップで、建物の位置を確認する(住所からの検索は横浜市の「わいわい防災マップ」、国土交通省のハザードマップポータルサイトも併用できます)
  2. 屋上ドレン、バルコニー排水溝、敷地の雨水桝、地下ピットの排水ポンプ、止水板の保管場所を点検する(専門業者に依頼する場合も、まず状況の写真をお撮りください)
  3. 受変電設備・給水ポンプの設置階と、前回の防水工事の時期を図面と記録で確認する(12〜15年を超えていれば、調査のご相談を。がけ地の擁壁工事を検討中なら、崖地助成の申請期限12月28日もあわせて確認を)

10月はまだ台風の影響が残る季節です。理事会で1分だけでも、この話題を出してみてください。

ビルオーナーさま向けにはビルオーナー向けのサービス、管理組合さま向けには管理組合向けのサービス、横浜駅周辺のホテルさま向けにはホテル向けのサービスをご用意しています。個別のご相談はお問合せフォームから承ります。

よくあるご質問

Q. 横浜市西区のマンションは、どの川の洪水に注意すればよいですか?

A. 西区の洪水ハザードマップは帷子川の氾濫を想定しています。計画規模は1時間約93mm、想定最大規模は24時間約390mmの雨が前提です。西区は帷子川の河口側にあたるため、横浜駅周辺の低地の物件は浸水深をご確認ください。

Q. 川から離れた高台なら、浸水は心配ありませんか?

A. 内水(下水道からあふれる水)は川から離れた場所でも起こります。横浜市は時間153mmの雨を想定した内水ハザードマップを公表しており、令和8年6月から重要事項説明の対象にもなりました。一方で高台は、がけや擁壁の点検が重要です。

Q. 地下駐車場がある場合、何を準備すればよいですか?

A. 止水板の有無と保管場所、立てる担当者、排水ポンプの作動確認の3点です。平成16年の台風では横浜駅西口の地下が約2分で1.5m程度まで浸水した記録があり、事前の段取りが欠かせません。

Q. 緊急の漏水は、足場なしで対応できますか?

A. 原因箇所の特定と応急処置であれば、ロープアクセス工法で足場なしの短期対応が可能なケースが多いです。がけ側や隣地との距離が近い壁面でも作業できる場合があります。まず現地調査をお勧めします。

Q. 屋上防水のやり直しはいくらかかりますか?

A. 工法により5,000〜8,000円/㎡程度が目安ですが、既存防水の状態や面積で変動します。無料で概算お見積りを提示しますので、ご相談ください。

Q. 大規模修繕の工期はどれくらいですか?

A. ロープアクセス工法は、足場工法の約60%の工期が目安です。10階建て・外周80mの例では、足場3か月に対し1.5〜2か月です。

Q. 横浜市に、分譲マンションの耐震診断の補助はありますか?

A. 令和8年度も、昭和56年5月末日以前に建築確認を得て着工した分譲マンションを対象に、本診断費用(面積に応じた限度額あり)の3分の2を補助する制度があります。総会決議や見積徴収の前に、市の建築防災課への事前相談が必要です。

Q. 大規模修繕をすると固定資産税が安くなりますか?

A. 築20年以上・10戸以上で、管理計画の認定などを受け、令和9年3月31日までに外壁塗装等・床防水・屋根防水の工事を完了したマンションは、翌年度の固定資産税が2分の1(1戸100㎡まで)減額されます。申告は工事完了から3か月以内に西区役所税務課へ行います。


本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月7日時点で公表されている横浜市・神奈川県・気象庁の公式情報をもとに執筆しています。耐震・崖地・アドバイザー派遣の各制度は令和8年度の掲載内容に基づきます。台風第22号の浸水記録(平成16年)、地下浸水パンフレット(平成26年発行)、管理計画認定のページ(2025年12月8日更新)など、掲載日が古い資料はその旨を本文に明記しました。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請される前に、横浜市および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。

出典・参考資料

この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年10月7日


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ロープアクセス工法の詳細や実例については、姉妹サイト「ロープアクセスドットコム」の以下の記事もぜひご覧ください。

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南足柄市の賃貸物件補助金|オーナー向け2026年版

2026年9月1日 更新

この記事で答える質問:南足柄市で賃貸マンション・アパート・テナントビル・倉庫を持っているオーナーが、2026年度(令和8年度)に実際に使える補助金はどれで、締切はいつで、いくら残っているのか?

先に結論を申し上げます。南足柄市の賃貸物件オーナーにとって、2026年度に本当に効く制度は4本です。しかもそのうち2本は、令和8年12月28日(月)という同じ日に申込が締め切られます。さらに神奈川県の1本は、8月31日時点で予算の90%に到達しています。

私は株式会社明誠の本間と申します。マンション・ビル・ホテルの大規模修繕を20年近くやってきました。補助金の記事は世の中に山ほどありますが、そのほとんどは「持ち家に住んでいる人」向けに書かれています。賃貸経営をしている方が読むと、いざ申請段階で「戸建住宅に限る」「現に居住していること」という一行に弾かれる。今日はそこを、賃貸オーナーの目線だけで整理します。


1. 結論:南足柄市の賃貸オーナーが2026年に押さえる補助金は「4本」

まず全体像です。南足柄市内に収益物件をお持ちの方が現実的に使える制度を、金額と締切で並べます。

# 制度の正式名称 実施主体 金額 賃貸物件での使い勝手 締切
1 南足柄市危険ブロック塀等安全対策補助金 南足柄市 撤去費(税抜)の1/2以内・最大20万円 ○ ただし収益目的の解体は対象外 令和8年12月28日(月)
2 南足柄市木造住宅耐震改修工事補助 南足柄市 工事費等(税抜)の1/2以内・最大100万円 ◎ 借家・空室でも申請可 令和8年12月28日(月)
3 賃貸集合給湯省エネ2026事業 経済産業省(資源エネルギー庁) 1台5万円/7万円+加算3万円 ◎ 賃貸集合住宅オーナー専用制度 予算上限まで(遅くとも2026年12月31日)
4 令和8年度神奈川県自家消費型再生可能エネルギー導入費補助金 神奈川県 太陽光1kWあたり8万円/蓄電池1kWhあたり5万円 ○ 事業者限定・残枠約1割 予算上限まで(8/31時点で90%到達)

このほか、工場・倉庫・事業所をお持ちの方には、南足柄市の企業立地・拡大再投資に対する奨励措置(固定資産税・都市計画税の実質1/2軽減が5年間)という、金額でいえば最も大きい制度があります。これは第8章で扱います。

逆に、南足柄市地球温暖化対策推進事業補助金(ZEH・断熱リフォーム・太陽光・蓄電池)は、EV・V2Hを除いて戸建住宅が対象です。賃貸集合住宅のオーナーが「市に太陽光の補助があるらしい」と聞いて申請しようとすると、ここで止まります。第7章で詳しく書きます。


2. なぜ今、南足柄市のオーナーは「塀」から見るべきなのか

令和8年6月26日の夜に起きたこと

2026年6月26日22時29分頃、山梨県東部・富士五湖を震源とする地震が発生しました。規模はマグニチュード5.6、最大震度は6弱。神奈川県内でも相模原市緑区、中井町、松田町、山北町で震度5弱を観測し、南足柄市では震度4を記録しています。

震度4。数字だけ見れば、建物本体が壊れるレベルではありません。問題はその後です。

市が公式に点検を呼びかけている

南足柄市は自らのウェブサイトで、こう書いています。

令和8年6月26日夜に発生した地震により、ブロック塀や石積塀が一部倒壊するなどの被害が発生しました。

(出典:南足柄市「危険ブロック塀等安全対策補助金」/ページ最終更新 2026年7月2日)

そのうえで市は、ブロック塀等(ブロック塀、大谷石などの石積塀、組立式コンクリート塀)の点検を改めて呼びかけ、撤去を検討する場合は着工前に建築営繕課へ相談するよう案内しています。

南足柄市は市域の約7割が森林で、山あいから平地へ下る地形に古い集落と後発の宅地が混在しています。傾斜地の擁壁の上にブロック塀、その足元が市道、というかたちの敷地が少なくありません。震度4で一部が倒れたということは、震度5強〜6弱を食らったときに何が起きるかの予告だと私は受け止めています。

塀の倒壊は「オーナーの責任」になりうる

ここが賃貸オーナーにとって本題です。塀が道路側に倒れて通行人が負傷した場合、民法第717条の土地の工作物責任が問題になります。工作物の設置または保存に瑕疵があったとき、第一次的には占有者、占有者が必要な注意を尽くしていたときは所有者が損害を賠償する責任を負う、という条文です。所有者責任は、過失がなくても免れにくい構造になっています。

私は建物の外壁を見に行った現場で、建物そのものより先に塀のことを申し上げることが年に何度かあります。外壁のタイルが1枚浮いているより、道路際の塀が傾いている方が、事故が起きたときの金額も社会的なダメージも桁が違うからです。

そして、市が「一部倒壊した」と公表した年の12月28日に、その撤去補助の受付が閉まります。


3. 危険ブロック塀等安全対策補助金:最大20万円、ただしオーナーには落とし穴がある

対象になる塀

南足柄市の制度の要件は明快です。

  • 市内に存在する、道路に面する高さが1メートル以上あるブロック塀等
  • 点検表で点検し、危険であると判断されたもの
  • ブロック塀等=ブロック塀、石積塀、組立式コンクリート塀その他これらに類する塀

対象となる工事は次のいずれかです。

  • ブロック塀等の全てを解体すること
  • 一部を解体する場合は、道路面から40センチメートル以下の高さにすること

補助金額は、1件につき撤去に要する費用(消費税を除く)の2分の1以内の額で、最大20万円です(出典:南足柄市「危険ブロック塀等安全対策補助金」)。

★ここが落とし穴:収益目的の解体は対象外

市の要綱には、補助の対象にならないケースが明記されています。賃貸オーナーが必ず読むべきなのは2つ目です。

  • 他の助成又は補償を受けてブロック塀等の撤去を行う場合
  • 販売又は収益を目的として整地、宅地造成や解体工事をする際にブロック塀等を撤去する場合

つまり、「築古アパートを解体して更地にして売る」「宅地分譲する」という流れの中で塀を壊すと、この補助金は使えません。同じ塀を壊すのに、目的が「安全対策」なら20万円、「収益化」ならゼロ。ここを取り違えると、事前相談の段階で止まります。

逆に言えば、運用を継続する物件の塀を、安全対策として単独で撤去するなら、正面から対象になります。私がオーナーさまにお勧めするのは、外壁改修や屋上防水の見積を取るタイミングで、塀の撤去だけを別の工事として切り出しておくことです。見積書も分けます。市の要綱では、他の工事を含む見積書の場合は塀の撤去に係る部分が明確に分かるものとされていますから、どのみち内訳は必要になります。

申請の実務

  • 工事に着手する前に申請手続きが必要。着工してからでは出ません
  • 申請書提出の前に、建築営繕班(直通 0465-73-8058)へ事前相談の連絡が必要
  • 必要書類:交付申請書、案内図、塀の位置・延長・高さを記入した図面、現況写真(A4縦の台紙に貼付)、申請者自身が塀を直接確認して記入した点検表、撤去の見積書の写し、(申請者が所有者でない場合)所有者の同意書
  • 受付窓口:南足柄市役所2階 建築営繕課 建築営繕班
  • 申込締切:令和8年12月28日(月)。申込件数が予算に達した場合は受付終了の可能性あり

点検表は所有者本人が記入します。管理会社任せにできない部分なので、遠方にお住まいのオーナーさまは、現地に行く日を先に決めてしまうのが早いです。


4. 木造住宅耐震改修工事補助:上限100万円、しかも「借家」「空室」でも使える

制度の要点

南足柄市は平成12年5月31日以前の耐震基準で建てられた木造住宅を対象に、簡易耐震診断・耐震診断補助・耐震改修工事補助・除却工事補助の4本立てで支援しています(出典:南足柄市「木造住宅の耐震化事業」)。

このうち耐震改修工事補助の制度概要には、賃貸オーナーが目を留めるべき一文が2つ入っています。

  1. 居住していない住宅も補助対象です
  2. 借家など、所有者以外の居住者でも申請が可能です

(出典:南足柄市「耐震改修工事補助」)

制度の骨格は次のとおりです。

項目 内容
補助率・上限 耐震改修工事等に要する費用(消費税を除く)の2分の1以内・最大100万円
対象建築物 平成12年5月31日以前に建築された一戸建住宅、2世帯住宅、店舗・事務所併用住宅
構造の限定 2階建て以下の在来軸組工法による木造建築物(枠組壁工法・プレハブ工法は除く)
対象工事 耐震診断の結果、総合評点が1.0未満の住宅を、1.0以上となるよう設計して行う工事
技術者要件 建築士で、(一財)日本建築防災協会の木造耐震診断資格者講習または神奈川県木造住宅耐震実務講習会を修了した「耐震診断技術者」の設計、かつ工事中も同技術者による工事監理を受けること
補助対象経費 耐震改修工事、耐震診断、工事設計、工事積算、工事監理その他耐震改修に必要なもの
併用住宅の条件 住宅以外の床面積が延べ床面積の2分の1未満
締切 令和8年12月28日(月)(上限到達で早期終了の可能性あり)

なぜこれが賃貸オーナーにとって稀有なのか

耐震改修の補助制度は全国の自治体にありますが、その多くは「自ら居住する住宅」を条件にしています。オーナーが持っている木造アパートや、空室のまま置いてある戸建賃貸は、対象外になることが珍しくありません。

南足柄市の制度は、そこを外しています。居住していない住宅も対象、借家も申請可。しかも上限100万円は、県西部の同規模自治体の中では厚い方です。

対象は「一戸建住宅、2世帯住宅、店舗や事務所併用住宅」ですから、いわゆる木造アパート(共同住宅)そのものは形式的に読めば範囲外です。ただし、戸建賃貸、二世帯を分けて貸している物件、1階が店舗で2階が住居の併用建物を持っているオーナーさまは、ここに乗る可能性が十分あります。南足柄市の駅前(大雄山駅周辺)や旧道沿いには、この形の建物が今も残っています。判断に迷う建物こそ、建築営繕課への事前相談の価値があります。

反面:除却工事補助は賃貸には使いにくい

同じ耐震化事業の中に除却工事補助(1/2以内・最大20万円)がありますが、こちらの制度概要には次の条件が入っています。

  1. 現に居住している住宅で建替えを目的とした除却工事が補助対象です

(出典:南足柄市「除却工事補助」)

「現に居住し、建替えを目的とした建築物」が対象なので、空き家になった木造賃貸を更地にして売るという出口には、この補助は使えません。ここは正直に申し上げておきます。除却で20万円を狙うより、耐震改修で100万円を取って運用を続けるか、補助なしで解体して土地として売るか、二択で考えた方が話が早いです。

NOI・入居率への効き方を数字にする

耐震改修は「安全のため」で終わらせると経営判断になりません。数字にします。

家賃6万円・8戸の木造アパートを想定します。満室の年間賃料収入は576万円。

  • 耐震改修工事費が総額240万円かかったとして、補助が上限100万円出れば、実質負担は140万円
  • 入居率が92%から96%に4ポイント改善すると、年間賃料収入は約23万円増える(576万円×4%)
  • NOI(純収益=賃料収入から運営費を引いた実質的な手取り)が年23万円改善し、この地域のキャップレート(還元利回り)を仮に8%とすると、収益還元法での物件価値は約288万円押し上がる計算になります(23万円÷8%)

もちろん、これは机上の試算です。耐震改修だけで入居率が4ポイント上がると断言することはできません。ただ、140万円の実質負担に対して、賃料収入とは別に物件価値が動く可能性があるという枠組みで見るかどうかで、決裁の速度が変わります。

入居率を1ポイント動かす、という表現はどうも実感が湧きにくいので、もう少し噛み砕きます。家賃6万円・8戸なら、年間の満室収入は576万円。入居率1ポイントは、年間5万7,600円です。1室が1か月空くだけで、入居率はおよそ1ポイント落ちます。築古の木造アパートで「耐震性が不安だから」と申込みが1件流れたときの損失は、それだけでこの程度の規模になる。補助金100万円は、その空室を17か月分埋めるのと同じ効果があるということです。


5. 賃貸集合給湯省エネ2026事業:1台5〜7万円、賃貸オーナー専用の国の制度

制度の要点

これは南足柄市に限らず全国で使える国の制度ですが、賃貸集合住宅のオーナーだけを対象にした、数少ない制度なので必ず押さえてください。

正式名称は「既存賃貸集合住宅用小型省エネルギー型給湯器導入促進事業費補助金(賃貸集合給湯省エネ2026事業)」。令和7年度補正予算で35億円が計上されています。

項目 内容
補助対象事業 対象となる既存賃貸集合住宅の住戸で、従来型給湯器を小型の省エネ型給湯器(エコジョーズ/エコフィール)に交換する事業(リース利用を含む)
補助対象者 賃貸集合住宅のオーナー等で、給湯器の交換工事の発注者。賃貸住戸を2戸以上所有する区分所有者、管理委託を受けている管理会社も含む
対象建物 1棟に2戸以上の賃貸住戸を有し、建築から1年以上経過している(またはいずれかの住戸で居住実績がある)建物
基本額 追い焚き機能なし 5万円/台、あり 7万円/台(いずれか、1住戸1台まで)
加算額 3万円/台。追い焚きなし=共用廊下を横断するドレン排水ガイド敷設工事/追い焚きあり=浴室へのドレン水排水工事(三方弁工事、三本管(二重管含む)工事)
着工期間 2025年11月28日以降
交付申請 2026年3月31日〜予算上限に達するまで(遅くとも2026年12月31日)
交付申請の予約 予算上限に達するまで(遅くとも2026年11月16日)

(出典:賃貸集合給湯省エネ2026事業 事業概要、資源エネルギー庁)

オーナーは原則、自分で申請できない

ここが実務上いちばん引っかかる点です。交付申請は、あらかじめ賃貸集合給湯省エネ事業者として登録を受けた事業者(リフォーム工事なら施工業者・管理会社等、リース利用ならリース事業者)が行います。オーナーは共同事業者という位置づけです。

例外は、国内に所有または管理する既存賃貸集合住宅の住戸数が200戸以上である工事発注者。事務局に申請して認められれば、自ら手続きができます。

補助金の還元方法は、①契約代金に充当する、②現金で支払う、のいずれか。②の場合、登録事業者は補助金の交付から遅くとも2か月以内に還元を完了する必要があります。契約前に「うちは登録事業者か」「還元は充当か現金か」を確認しておかないと、後から揉めます。

もう一点、注意すべき除外規定があります。住宅であっても事業用に貸し出される住戸は対象外、オーナーや親族等が居住する住戸は含みません。1階を事務所として貸している複合物件では、住戸部分だけを切り分けて数える必要があります。

20戸一斉交換のキャッシュフロー試算

築25年、20戸のファミリー向け賃貸マンション(追い焚きあり)を想定します。

  • 給湯器20台を一斉交換:7万円×20台=140万円
  • 浴室へのドレン水排水工事(三方弁工事等)を実施した住戸が15戸:3万円×15台=45万円
  • 補助額合計:185万円

給湯器は、故障してから1台ずつ交換すると、そのたびに入居者対応と手配コストが乗ります。真冬に給湯器が止まると、退去の引き金にもなります。私は現場で、給湯器の故障から始まった不満が、外壁の汚れやポストの錆にまで飛び火して退去に至った例を何度も見ています。一斉交換は、補助金が付く年にまとめてやるのが一番安いというのが、私の実感です。

なお、交付申請には工事前・工事後の写真の提出が必要です。撮り忘れると補助が出ません。加算を受ける場合は、排水管や排水ユニット等を写した工事後写真、場合によっては浴槽のエプロン内の写真も要ります。ここは施工業者の段取り力が出るところです。


6. 神奈川県自家消費型再生可能エネルギー導入費補助金:1kWあたり8万円、ただし残りは約1割

制度の要点

法人または青色申告を行っている個人事業者が、県内の事業用施設に自家消費型の再エネ発電設備を入れるときの補助です。個人の住宅への導入は対象外と県が明記しています。

項目 内容
補助対象者 法人または青色申告を行っている個人事業者。リース・PPAモデル等の場合はリース等事業者が交付を受ける
太陽光の要件 発電出力10kW以上。FIT・FIPの認定を受けない設備に限る(自家消費が前提)
補助額(発電設備) 発電出力に1kWあたり8万円を乗じた額。かながわ脱炭素チャレンジ中小企業認証を受けた場合は1kWあたり2万円上乗せ
上限 中小企業等:補助対象経費/中小企業等でない場合:補助対象経費または3,000万円の低い方
蓄電システム 発電設備と併せて導入する場合のみ、蓄電容量に1kWhあたり5万円(上限500万円)。蓄電システムだけの設置は対象外
当初予算額 9億9,300万円
申請 電子申請システムのみ・先着順。持込不可
着手 交付決定後に着手。交付決定前に着工した場合は補助対象外
完了期限 令和9年3月31日(水)までに設置工事および支払いを完了
実績報告 完了日から2か月を経過した日、または令和9年4月15日(木)のいずれか早い日まで

(出典:神奈川県「令和8年度神奈川県自家消費型再生可能エネルギー導入費補助金」)

8月31日時点で予算の90%に到達

県のページの新着情報が、そのまま緊急度の指標になっています。

  • 令和8年8月12日:申請額が予算額の70%に到達
  • 令和8年8月21日:80%に到達
  • 令和8年8月31日:90%に到達

(同上)

9日で10ポイント、10日でさらに10ポイント。このペースが続けば、残りの1割は長くは持ちません。県も「電子申請システム上受け付けた場合であっても、予算額に達してからの申請は受理することはできません」「提出期限にかかわらず、補助枠を超える申請があった時点で受付を終了します」と明記しています。

賃貸マンションの共用部電力(エレベーター、給水ポンプ、共用廊下照明)を自家消費でまかなう構成なら、この補助は事業者向けとして射程に入ります。ただし10kW以上という要件があるので、小規模なアパートの屋根では届かないことがあります。県は無料の「太陽光発電設備の導入提案」(ヒアリングと現地調査のうえ、設置場所や導入費用を提案書として提供)も用意していますので、10kW載るかどうかから確認するのが順序です。

もうひとつ、県のページには神奈川県警からの注意喚起として、太陽光発電設備から銅線等が盗まれる事例が掲載されています。南足柄市は森林が市域の約7割を占め、人目の少ない敷地も少なくありません。設置後の防犯計画まで含めて考えてください。


7. 市の「地球温暖化対策推進事業補助金」は戸建て限定──いちばん誤解されやすい制度

南足柄市は令和4年6月に「ゼロカーボンシティ宣言」を行い、令和8年度も地球温暖化対策推進事業補助金を実施しています。ただし、賃貸集合住宅のオーナーが使える範囲は限定的です。

区分 内容 補助金額 賃貸オーナーの可否
1 新築戸建住宅のZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス) 1軒あたり上限10万円 × 戸建住宅
2 既存戸建住宅の断熱リフォーム 1軒あたり上限7万5000円 × 戸建住宅
3 既存戸建住宅への太陽光発電設備・蓄電システム 太陽光:上限10万円(1kWあたり2万円)/蓄電:上限5万円(1kWhあたり2万円) × 戸建住宅・個人の住宅
4 EV(電気自動車)の購入、充給電システム(V2H)の設置 EV:1台あたり上限10万円/V2H:1台あたり上限5万円 ○ 4のみ個人・法人の両方が対象

(出典:南足柄市「【受付中】ZEHや断熱リフォーム、EV、太陽光発電設備の導入補助」/ページ最終更新 2026年8月27日)

区分1〜3は「戸建住宅」「個人の住宅」と明記されています。戸建賃貸を所有していて断熱リフォームをするというケースは相談の余地がありますが、共同住宅の共用部に太陽光を載せる用途では、この市の補助ではなく第6章の県の補助を見る流れになります。

区分4のEV・V2Hだけが個人・法人の両方が対象です。管理用の車両をEVに替える、駐車場にV2Hを設置して入居者向けの付加価値にする、という使い方は法人オーナーでも射程に入ります。

そして、この制度には他とは違う独特の要件があります。

市の補助金の申請をするためには、国又は神奈川県が実施する補助事業に申請済又は令和9年2月26日(金)までに申請し交付決定を受けている必要があります。

つまり、市単独では使えません。国か県の制度に乗ることが前提の「上乗せ」型です。申請期間は令和8年6月1日(月)〜令和9年2月26日(金)午後4時まで、市役所2階環境課へ直接または郵送(必着)、申し込みは先着順。市は令和8年8月27日時点の受付状況を公表しています。


8. 工場・倉庫・事業所オーナー向け:企業立地・拡大再投資に対する奨励措置

金額の桁でいえば、南足柄市でいちばん大きいのはここです。

南足柄市は「企業の立地の促進等に関する条例」を平成20年4月1日から施行しています。そして令和6年4月1日に、拡大再投資に係る奨励措置の要件緩和・期間延長・回数制限撤廃が施行されました。

立地に係る奨励措置

項目 内容
対象地域 指定産業集積地域(市長が指定する地域)
適用要件 事業所を新設、移設、または用地を拡大して増設し、操業を開始する場合。資本投下額3億円以上(中小企業は5,000万円以上)
固定資産税・都市計画税 賦課される年度から5年間、実質1/2軽減(固定資産税は100分の0.7、都市計画税は100分の0.1の不均一課税)
雇用奨励金 市内に住所を有する者等を5人以上(中小企業は2人以上)新規雇用した場合、新規雇用従業員×20万円(障害者の場合は40万円)、上限1,400万円
転入奨励金 従業員を10人以上市内に転入勤務させた場合、市内に転入した従業員×10万円、上限1,400万円

拡大再投資に係る奨励措置(令和6年4月1日改正)

項目 改正前 改正後
対象企業 市内に立地後10年以上 市内に立地後3年以上
対象地域 工業系地域(指定産業集積地域を除く) 工業系地域(指定産業集積地域を含む)
固定資産税の軽減 4年度分 5年度分
都市計画税の軽減 4年度分 5年度分
回数 1回限り 制限を廃止

適用要件は、市内に立地後3年以上事業活動を行っている企業等が、敷地内に家屋を新設または増設し当該家屋にかかる償却資産を取得して操業を開始する場合。投下資本額は2億円以上(中小企業は3,000万円以上)です。

指定産業集積地域

地域の名称 指定地域 面積
東部工業団地 和田河原 字向河原の一部/塚原 字上河原の一部 約15.5ha
壗下竹松北地区 壗下字沢及び竹松字上河原地内 約11.8ha
怒田地区 怒田字天井、字別名、字中沢、字蛇ヶ尾、字入改戸及び字山神戸地内 約41.5ha

(出典:南足柄市「企業立地・拡大再投資に対する奨励措置」)

中小企業なら投下資本額3,000万円以上で拡大再投資の対象に入り、しかも回数制限がない。倉庫を1棟増築するたびに5年間の税軽減が乗る構図です。南足柄市は大井松田インターチェンジから県道78号を西に約4kmという立地で、物流用途の引き合いがある土地柄です。工場・倉庫をお持ちの方は、大規模修繕の計画と増築計画を同じテーブルに載せて検討する価値があります。

なお、これは税務・法務の判断を伴う話です。私は建設会社の人間であって税理士でも弁護士でもありませんので、適用可否は必ず市の商工観光課(0465-73-8030)と顧問税理士にご確認ください。


9. 税務:補助金は雑収入、そして「修繕費か資本的支出か」

補助金の話は、受け取った後の処理まで含めて初めて経営判断になります。ここは賃貸オーナー向け記事として外せません。

補助金は受給時に雑収入として計上する

国や自治体から受け取った補助金は、原則として受給時に雑収入(益金)として計上されます。100万円の補助が出たら、そのまま100万円が手元に残るわけではなく、課税所得が100万円増えます。実効税率が30%なら、手残りは70万円という感覚で計画を立てるのが安全です。

固定資産の取得に充てた補助金については、一定の要件のもとで圧縮記帳という処理を選べる場合があります。取得価額を圧縮して課税を将来に繰り延べる仕組みですが、適用要件は制度ごとに異なります。顧問税理士に、制度名を伝えたうえで確認してください。

修繕費か資本的支出か

税務処理で結果が大きく変わるのが、この線引きです。

区分 考え方 経費計上
修繕費 通常の維持管理、原状回復のための支出 その年に全額損金算入
資本的支出 使用可能期間を延長させる、または価値を増加させる支出 資産計上し、耐用年数にわたって減価償却

実務でよく問題になる例を挙げます。

  • 外壁塗装:既存と同等の塗料で塗り替えるなら修繕費に寄る。高耐久のフッ素系に変更して耐用年数を明確に延ばす場合は、資本的支出と判断されうる
  • 屋上防水:既存防水層の改修は修繕費に寄るが、断熱を新たに付加すると資本的支出の議論になる
  • 給湯器交換:従来型からエコジョーズへの交換は、同機能の更新か性能向上かで見解が分かれる
  • 耐震改修:耐震性能を評点1.0未満から1.0以上に引き上げる工事は、価値の増加として資本的支出になりやすい

「今期は利益が出過ぎているから修繕費で落としたい」「来期以降に平準化したいから資本的支出にしたい」というオーナーさまの意向は、工事の仕様を決める段階から設計に織り込むことができます。工事が終わってから税理士に相談しても、もう仕様は動かせません。私が見積の段階で税理士さんを交えた打ち合わせをお勧めするのは、この順番のためです。


10. 出口戦略:南足柄市で「売れる物件」にしておく

収益還元とキャップレート

賃貸物件の価格は、最終的にNOI÷キャップレートで見られます。NOIが年間100万円で、買主が想定するキャップレートが8%なら、収益還元価格は1,250万円。NOIが年間150万円になれば1,875万円です。NOIの50万円の差が、価格では625万円の差になる。これが賃貸経営の増幅装置です。

だから修繕投資は、「支出をいくら抑えたか」ではなく「NOIをいくら押し上げ、キャップレートをいくら押し下げたか」で評価すべきです。キャップレートは、買主が感じるリスクの裏返しです。すぐに追加投資が必要になりそうな物件ほど、キャップレートは高く(=価格は安く)見積もられます。

買主が必ず見る3点

私が売却を控えたオーナーさまからご相談を受けるとき、買主側のデューデリジェンスで必ず突かれるのは次の3点です。

  1. 外壁と屋上防水の直近の履歴。何年前に、何を、いくらでやったか。記録がないと「これから1,000万円かかる」と値引き交渉の材料にされます
  2. 給湯器などの設備の残存年数。20戸の給湯器が全部15年落ちなら、買主は数百万円のコストを織り込みます
  3. 塀・擁壁・外構の状態。ここが傾いていると、隣地との紛争リスクとして減額されます

面白いことに、この3点は今日ご紹介した補助金の対象範囲と、ほぼ重なります。補助金を使って直せる場所は、そのまま買主が値引きの材料にする場所なのです。売却を3年以内に考えている方ほど、補助金の締切カレンダーを見る意味があります。


11. 南足柄市という市場の輪郭

数字で市場を押さえておきます。

項目 数値 時点
人口 39,907人 令和5年4月
世帯数 16,582世帯 令和5年4月
1世帯当たり人員 2.41人 令和5年4月
面積 77.09平方キロメートル 平成27年
森林面積 市域の約7割 ─
事業所数 1,245事業所 令和3年経済センサス
従業員数 14,050人 令和3年経済センサス

(出典:南足柄市「南足柄ってこんなところ」)

読み取れることを3つ書きます。

1世帯2.41人という数字は、県内の平均的な都市部より高めです。単身向けワンルームより、ファミリー・2DK以上の需要が相対的に厚い市場だということです。追い焚き機能付きの給湯器が主流になるので、賃貸集合給湯省エネ2026事業では7万円/台(追い焚きあり)の単価が効いてきます。

事業所1,245・従業員14,050人。人口約4万人の市に1万4千人の就業者がいるということは、市内の雇用が住宅需要を支えている構造です。工業系地域の企業立地が動けば、賃貸需要も動きます。第8章の奨励措置が拡充された意味は、賃貸オーナーにとっても他人事ではありません。

森林が市域の約7割。平地部に住宅と事業所が集中し、そこから斜面地へ広がる地形です。擁壁の上の塀、法面沿いの外構が多い。だから第2章・第3章の話が、この市では特に重く効きます。

交通は、車なら東名高速道路「大井松田IC」から県道78号線を西に直進約4km、電車なら「小田原駅」から伊豆箱根鉄道大雄山線で「大雄山駅」下車です。


12. 工事の進め方:足場・ロープアクセス・ハイブリッドの選択がNOIに効く

ここからは自社サービスの話になりますので、見出しで区切っておきます。

足場費は「補助金より大きい」ことがある

補助金の話をさんざんしてきて恐縮ですが、正直に申し上げます。中規模の賃貸マンションでは、仮設足場の費用が補助金の総額を上回ることが珍しくありません。

外壁の部分補修とシーリングの打ち替えだけをやりたいのに、建物を一周する足場を架けると、それだけで100万円単位の費用が乗ります。しかも足場があると、居住者は洗濯物が干せず、窓を開けられず、防犯上の不安を訴えます。工事期間中の不満は、そのまま更新時の退去につながる。ここが賃貸オーナーにとっての本当のコストです。

ロープアクセス工法という選択肢

弊社は、産業用ロープを使って建物の外壁に直接アクセスするロープアクセス工法(無足場工法)を扱っています。足場を架けずに、屋上から降下して外壁の調査・補修・塗装・シーリング打ち替えを行う工法です。ロープアクセス工法の技術情報や安全基準、施工事例については、姉妹サイトのロープアクセスドットコムに詳しくまとめています。

賃貸オーナーにとっての効き方は3つです。

  • 足場費が不要または大幅圧縮され、その分を補助対象工事そのものに回せる
  • 工期が短いため、募集停止期間や入居者ストレスが短く済む
  • 部分補修に踏み切れる。足場が必要だと「どうせなら全面」となりがちですが、ロープアクセスなら傷んだ面だけを直せる

もちろん万能ではありません。バルコニーが深い建物、ルーバーや庇が張り出した外観、屋上に支点が取れない構造では、ロープアクセスは向きません。大面積の全面塗装をまとめて仕上げるなら、足場を架けた方が結果的に安く早い場合もあります。「ロープアクセスの方が必ず安い」とは申し上げません。

3工法から選べるという意味

弊社は、通常の仮設足場による工事、ロープアクセスによる無足場工法、そして両者を部位ごとに使い分けるハイブリッド工法の3つから、建物ごとに最適な組み合わせを提案しています。日本で初めてロープアクセス工事のフランチャイズ展開を行っており、塗装・防水・タイル・電気・看板など各分野の専門職が加盟しているため、専門工事を束ねた形でご提案できます。

詳しくはロープアクセス工法のご紹介と大規模修繕工事のご紹介をご覧ください。


13. 申請スケジュール逆算カレンダー(2026年9月時点)

今日から動くとして、どの順で何をするか。

時期 やること
2026年9月中 神奈川県の自家消費型再エネ補助は残枠約1割。10kW以上載るかを最優先で確認(県の無料「導入提案」を活用)。同時に、物件の塀を自分の目で見て写真を撮る
2026年9〜10月 建築営繕課(0465-73-8058)へ事前相談。ブロック塀・耐震改修の両方について、対象になるかを口頭で確認。撤去業者・耐震診断技術者の手配
2026年10〜11月 見積取得(塀の撤去は他工事と分けて内訳を明示)。給湯器交換は登録事業者を選定し、11月16日までに交付申請の予約を検討
2026年11〜12月 市への交付申請。12月28日(月)が塀・耐震改修の申込締切。予算到達で早期終了の可能性があるので、月内は避けたい
2027年2月26日(金)16時 市の地球温暖化対策推進事業補助金(EV・V2H等)の申請期限。国・県の制度への申請済であることが前提
2027年3月31日(水) 県の自家消費型再エネ補助:設置工事および支払いの完了期限

どの制度も共通して、着工前の申請が原則です。「工事が終わってから申請する」は通用しません。これだけは覚えて帰ってください。


よくある質問(FAQ)

Q1. 南足柄市で賃貸アパートを持っています。市の太陽光の補助金は使えますか?
A. 使えません。南足柄市地球温暖化対策推進事業補助金の太陽光・蓄電池の区分は「既存戸建住宅」「個人の住宅」が対象です。賃貸集合住宅の共用部に太陽光を載せるなら、事業者向けの神奈川県自家消費型再生可能エネルギー導入費補助金(1kWあたり8万円、10kW以上)を検討してください。ただし8月31日時点で予算の90%に到達しています。

Q2. 空室の戸建賃貸でも耐震改修の補助は受けられますか?
A. 南足柄市の耐震改修工事補助は、制度概要に「居住していない住宅も補助対象です」「借家など、所有者以外の居住者でも申請が可能です」と明記されています。平成12年5月31日以前建築、2階建て以下の在来軸組工法、耐震診断で総合評点1.0未満、という要件を満たすかを建築営繕課にご確認ください(出典:南足柄市)。

Q3. アパートを解体して売却する予定です。ブロック塀の撤去補助は使えますか?
A. 使えない可能性が高いです。南足柄市の危険ブロック塀等安全対策補助金は、「販売又は収益を目的として整地、宅地造成や解体工事をする際にブロック塀等を撤去する場合」を対象外と明記しています。運用を継続する物件の安全対策としての撤去であれば対象になり得ます。事前に建築営繕課(0465-73-8058)へご相談ください。

Q4. 給湯器の補助金は、自分で申請すればいいのですか?
A. 原則できません。賃貸集合給湯省エネ2026事業の交付申請は、登録を受けた事業者(施工業者・管理会社等、またはリース事業者)が行います。例外として、国内に所有または管理する既存賃貸集合住宅の住戸数が200戸以上の事業者は、事務局に申請して認められれば自ら手続きが可能です。

Q5. 補助金を受け取ったら、税金はどうなりますか?
A. 原則として、受給した年度に雑収入(益金)として計上され、課税所得が増えます。固定資産の取得に充てた補助金は、要件を満たせば圧縮記帳により課税の繰り延べができる場合があります。制度ごとに扱いが異なるため、顧問税理士にご確認ください。私は税理士ではありませんので、ここは一般的な考え方のご紹介にとどめます。

Q6. 締切に間に合わなかったら、来年度もありますか?
A. 制度は年度ごとに見直されるため、翌年度も同じ内容で継続するとは限りません。金額や要件が変わることも、事業自体が終了することもあります。特に先着順・予算到達で終了の制度(県の自家消費型再エネ、市の地球温暖化対策推進事業)は、締切日を待たずに閉まります。最新情報は必ず各実施主体の公式ページでご確認ください。


この記事のポイントまとめ

  • 南足柄市の賃貸オーナーが狙う本命は、塀の撤去20万円と木造耐震改修100万円
  • ブロック塀・耐震改修の申込締切はどちらも令和8年12月28日(月)
  • 塀の撤去は「収益目的の解体に伴う撤去」だと補助対象外になる
  • 木造耐震改修は借家・空室でも申請できる、賃貸オーナーには稀有な制度
  • 賃貸集合給湯省エネ2026事業は1台5〜7万円+加算3万円、20戸で185万円規模
  • 県の自家消費型再エネ補助は1kWあたり8万円だが、8月31日時点で予算の90%到達
  • 市の太陽光・断熱補助は戸建住宅限定。集合住宅オーナーはEV・V2Hのみ対象
  • 工場・倉庫は企業立地・拡大再投資の奨励措置で固定資産税が5年間実質1/2
  • 補助金は雑収入として課税、修繕費か資本的支出かは工事仕様の段階で設計する
  • どの制度も着工前の申請が原則。工事後の申請は通らない

最後に

南足柄市は、私が現場に伺うと、まず空気が違う土地です。森が近く、水がきれいで、そこに暮らす方々が長く住み続けている。だからこそ、建物も塀も、静かに年を取っていきます。

令和8年6月26日の地震で、市内の塀が一部倒れました。幸い大きな人身事故の報は聞いていませんが、あれは偶然が味方しただけかもしれません。震度4であの結果なら、次に何が来るかは考えたくもない。私が今回、補助金の記事なのに塀の話から始めたのは、そういう理由です。

補助金は、あくまできっかけです。20万円のために塀を直すのではなく、直さなければいけない塀があるから、ちょうど補助が使える年に動く。その順番でいいと思っています。

お持ちの物件で、まだこの補助金の検討を始めていないオーナーさまは、一度お問合せフォームからお声がけください。1棟の現地調査と、補助金を織り込んだ利回り改善シミュレーションだけでも承ります。塀を1枚見に行くだけでも構いません。

12月28日までに動けるかどうかが分かれ目です。次回も、現場で本当に使える話だけをお届けします。


執筆者:本間 幸紘(株式会社明誠 代表取締役)
専門領域:マンション大規模修繕/ロープアクセス工法/建物長寿命化計画
実務経験:建設・改修業界 20年以上
所属:一般社団法人 全国建設業支援協会(JCSA)

株式会社明誠について:東京都小平市を拠点に、東京・関東一円でロープアクセス工法と従来足場工法の両方を提案できる改修会社。日本初のロープアクセス工事フランチャイズを展開し、塗装・防水・タイル・電気・看板など各分野の専門職が加盟しています。

最終更新:2026年9月1日

※本記事の制度内容は2026年9月1日時点で公表されている情報に基づいています。補助金制度は予算到達や年度替わりで変更・終了する場合があります。申請前に必ず各実施主体の公式ページおよび窓口でご確認ください。また、税務上の取扱いについては顧問税理士にご相談ください。


出典・参考資料

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