本間社長ブログ
江戸川区のマンション管理計画認定制度|築年数で変わる独自基準を本間社長が解説【2026年度版】
目次

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著作者プロフィール
株式会社明誠 代表取締役
本間 幸紘
大規模修繕・外壁工事・ロープアクセス工事に関する情報を、現場経験をもとに分かりやすくお届けします。
結論:江戸川区で管理計画認定を取ると何が変わるか、手数料はいくらか
先に結論からお伝えします。江戸川区でマンション管理計画認定を取得する場合、区への認定申請手数料は無料です。ただし(公財)マンション管理センターが運営する「管理計画認定手続支援サービス」を使って事前確認を受ける必要があり、そのシステム利用料として1申請あたり10,000円がかかります(出典:江戸川区「マンション管理計画認定制度」、2025年4月1日更新)。
私はこれまで多くの理事長さまから「認定を取ると結局いくらかかるんですか」というご質問をいただいてきました。江戸川区の場合、区役所に払うお金は0円ですが、事前確認の依頼先に払うシステム利用料と審査料で数万円程度は見ておく必要があるというのが正直なお答えです。江戸川区は令和5年8月15日から認定制度の運用を開始しており(出典:江戸川区「マンションの管理の適正化の推進に関する法律の改正について」通信、2024年12月発行)、23区の中では比較的早い時期から動き出した区の一つです。加えて江戸川区には、建築時期に応じた独自の届出要件があり、この点は他区の記事を読んで安心していると見落としがちなポイントですので、後ほど詳しくお伝えします。
認定主体はどこか(江戸川区が認定行政庁)
マンション管理計画認定制度は令和4年4月に始まった国の制度で、実際に審査・認定を行う「認定行政庁」(用語補足:認定の申請を受け付け、審査し、認定書を交付する権限を持つ役所のこと)は自治体ごとに異なります。特別区・中核市・施行時特例市はその区市自身が認定行政庁となり、それ以外の市町村(東京都では島しょ部など)は都道府県が担う仕組みです。
江戸川区は特別区にあたるため、江戸川区長が認定行政庁です。窓口は都市開発部建築指導課耐震化促進係が担当しています(出典:江戸川区「マンション管理計画認定制度」)。なお新築予定のマンションについては、区ではなく(公財)マンション管理センターが「予備認定」の認定主体となる点は他区にはあまり見られない特徴です。認定の有効期間は5年間で、更新時は従前の認定の有効期間満了日の翌日から起算して5年間となります(出典:同ページ)。私は現場で「一度取れば一生モノ」と誤解されている理事さんに何度もお会いしてきましたが、5年ごとに更新が必要な制度だという点は、初回のご説明で必ずお伝えするようにしています。
認定17要件(総会・修繕計画・修繕積立金・長期修繕計画 等)
国が定める認定基準は、大きく5分野・合計17項目に整理されています(出典:国土交通省 認定基準)。
管理組合の運営に関する2項目では、管理者等と監事が定められていること、総会(区分所有者の集会)が年1回以上開催されていることが求められます。管理規約に関する3項目では、規約そのものが整備されていることに加え、緊急時の専有部分への立入りに関する規定、修繕履歴の保管・情報提供に関する規定が必要です。管理組合の経理に関する3項目では、管理費と修繕積立金を区分経理していること、修繕積立金を他の会計に充当していないこと、滞納額が全体の1割以内に収まっていることなどが確認されます。
もっとも項目数が多いのが長期修繕計画に関する7項目で、標準様式に準拠した長期修繕計画と修繕積立金額が総会で決議されていること、7年以内に作成または見直しがされていること、計画期間が30年以上かつ大規模修繕工事が2回以上含まれていること、一時金徴収を予定していないこと、修繕積立金の平均額が著しく低額でないこと、計画最終年度に借入金残高が残らないこと、その計画に基づく資金計画が適切であることが審査されます。最後にその他の2項目として、組合員名簿・居住者名簿の適切な管理と、都道府県等が定めるマンション管理適正化指針への適合性が確認されます(出典:国土交通省 認定基準)。江戸川区の場合、この最後の項目は東京都が定める適正化指針への適合という形で審査に組み込まれています。
独自基準の有無と実務への影響
ここが自治体ごとに差が出やすいポイントで、江戸川区は「独自基準あり」の区にあたります。渋谷区や世田谷区のように防災訓練やコミュニティ活動を独自要件として課す区がある一方、江戸川区の独自基準は建築時期に応じた行政への届出状況に着目したものです。区の資料によると、江戸川区では次の2点が独自基準として定められています。1つ目は昭和58年以前に建築されたマンションについて「マンションの管理状況届出書」を区に提出していること、2つ目は平成17年以降に建築されたマンションについて「管理組合等設立届」を区に提出していることです(出典:江戸川区「マンションの管理の適正化の推進に関する法律の改正について」通信、2024年12月発行)。
実務上のありがたい点として、江戸川区のページでは「区の独自基準に関して書類の提出は不要です。ただし、独自基準を満たしている確認が取れない場合は、別途書類の提出を求めることがあります」と案内されています(出典:江戸川区「マンション管理計画認定制度」)。つまり過去にきちんと届出を済ませているマンションであれば、認定申請の段階で追加の証明書類を用意する必要は基本的にありません。私が現場で見てきた限り、築40年を超えるような古いマンションほど、この管理状況届出書の存在自体を歴代の理事が把握していないケースが目立ちます。認定申請を検討し始めたタイミングで、まず区に「うちのマンションの届出状況はどうなっていますか」と一本電話を入れておくことを、私はいつも理事長さまにお勧めしています。
上乗せ基準の有無にかかわらず、修繕積立金の水準や長期修繕計画の中身が甘くて良いわけではありません。私が現場で一番悔しい思いをするのは、修繕積立金が「著しく低額」と判定されるほど乏しいまま大規模修繕の時期を迎えてしまった管理組合を見るときです。工事費そのものを圧縮できれば、同じ積立金額でも計画の実現性は上がります。実際に私たちが手がけた案件では、12階建て・外周100m程度の建物で、足場を組む従来工法だと概算180万円ほどかかる仮設費が、ロープアクセスドットコムで紹介している無足場工法(ロープアクセス工法。産業用ロープを使い、足場を組まずに外壁に近づく工法です)を使うと65万円程度に収まり、差額にして115万円ほど圧縮できたケースがありました(工事内容・建物条件により変動するため、あくまで目安としてご覧ください)。こうしたコスト最適化の積み重ねが、長期修繕計画の実現性、ひいては認定取得のしやすさにもつながっていきます。
手数料と申請ルート(事前確認あり・マンション管理センター経由)
手数料については冒頭でお伝えした通り、江戸川区への認定申請手数料は無料です。ただし新規申請では、区の窓口へ直接持ち込むのではなく、必ず(公財)マンション管理センターの「管理計画認定手続支援サービス」を経由して事前確認を受け、区に申請するという流れになります(出典:江戸川区「マンション管理計画認定制度」)。事前確認のシステム利用料は1申請あたり10,000円で、これとは別に事前確認を依頼する先(マンション管理業協会、マンション管理士会連合会、マンション管理センター、講習を受けたマンション管理士など複数のルートがあります)に支払う審査料が発生します。審査料の額は依頼先ごとに異なりますが、目安として1万円台からとお考えいただくとよいでしょう(出典:公益財団法人マンション管理センター「管理計画認定手続支援サービス」)。私はいつも理事長さまに「区の手数料は無料でも、事前確認の実務費用はかかります」とお伝えするようにしています。
なお、軽微な変更にとどまる変更認定については、事前確認を経ずに区の耐震化促進係へ直接申請できる扱いになっています。認定申請には、そもそも管理組合の集会(総会)で管理計画について決議していることが前提になりますので、この点は総会シーズンの議案として早めに組み込んでおくことをおすすめします。
認定の3つの経済効果(長寿命化促進税制/フラット35/共用部リフォーム融資)
管理計画認定を取得すると、主に3つの経済的なメリットにつながります。
1つ目は固定資産税の減額です。マンション長寿命化促進税制では、外壁塗装等工事・床防水工事・屋根防水工事の3工事すべてを実施し、築20年以上・総戸数10戸以上などの要件を満たした認定マンションについて、工事完了の翌年度分の固定資産税(家屋部分)が減額されます。東京23区では減額率が2分の1と定められており、工事完了日から3か月以内に申告する必要があります。対象となる工事の完了時期は令和5年4月1日から令和9年3月31日までとされています(出典:東京都主税局、国土交通省 マンション長寿命化促進税制)。
2つ目はフラット35の金利引下げです。認定マンションを購入する場合、借入金利が当初5年間で年0.25%引き下げられる制度が用意されています。3つ目は住宅金融支援機構の共用部分リフォーム融資で、認定マンションが計画に基づいて修繕工事を行う際、基準金利から年0.2%程度の引下げが受けられます(出典:住宅金融支援機構関連資料)。金利や税制の数字は年度や制度見直しによって変わり得るため、正直に申し上げると、実際に申請される時点で最新の数値を住宅金融支援機構(jhf.go.jp)や江戸川区の窓口で確認していただくのが確実です。
逆算スケジュール(総会決議→書類準備→認定申請→交付)
認定取得までの流れは、おおむね次のように逆算して考えるとスムーズです。まず理事会・総会で長期修繕計画と修繕積立金額の見直しを決議します。標準様式に沿った計画になっているか、7年以内の見直しか、30年以上・大規模修繕2回以上を含むかを、この段階で確認しておく必要があります。
次に管理規約や総会議事録、組合員名簿・居住者名簿などの必要書類を整えるのと並行して、自分たちのマンションが「管理状況届出書」または「管理組合等設立届」を過去に区へ提出済みかどうかを確認します。未提出のまま申請すると、認定申請後に区から連絡が来て追加提出を求められる流れになりますので、先に確認しておいた方が段取りは早く進みます。書類がそろったら、マンション管理センターなどの事前確認ルートに申し込み、事前確認適合証の交付を受けます。最後にその適合証を添えて江戸川区へ申請し、審査を経て認定書が交付されるという流れです。私の経験上、書類準備から適合証の取得までに数週間から1〜2か月程度を見込んでおくと、総会シーズンに慌てずに済みます。
まとめ+今週動くこと3点
江戸川区は区の手数料が無料な点は他区と共通していますが、築年数に応じた独自の届出要件があるという点で、渋谷区・世田谷区型(防災・コミュニティ上乗せ)とも、葛飾区型(独自基準なし)とも違う、江戸川区ならではの特徴を持つ自治体だと私は感じています。
今週動けることとして、まず1つ目は自分たちのマンションが「管理状況届出書」または「管理組合等設立届」を過去に区へ提出しているかどうかを、理事会で確認すること。2つ目は長期修繕計画が7年以内に見直されているか、標準様式に沿っているかを点検すること。3つ目は修繕積立金の水準が著しく低額になっていないか、次回の大規模修繕費用の見積りと照らして確認することです。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがありますので、ご相談だけでも遠慮なくお声がけください。
大規模修繕そのものの費用を圧縮したい場合は、ロープアクセスドットコムで公開している無足場工法の技術情報や、明誠の大規模修繕工事の料金の考え方のページもあわせてご覧ください。管理組合さま向けのご相談は管理組合さま向けサービスのご案内から、ロープアクセス工法のご紹介や実際の工事のイメージは明誠の施工事例でもご紹介しています。株式会社明誠はこれまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけており、ロープアクセス工法における高所作業では過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。
よくあるご質問
Q. 江戸川区への申請手数料は本当に無料ですか?
A. はい、区への認定申請手数料は無料です。ただしマンション管理センターなどの事前確認にかかるシステム利用料(1申請10,000円)や審査料は別途必要になります。
Q. 江戸川区には独自の上乗せ基準がありますか?
A. あります。渋谷区のような防災訓練やコミュニティ活動の要件ではなく、昭和58年以前建築のマンションは「管理状況届出書」、平成17年以降建築のマンションは「管理組合等設立届」を過去に区へ提出していることが独自基準として求められます。
Q. 届出書類を提出していない場合はどうなりますか?
A. 認定申請時に改めて書類を用意する必要は基本的にありませんが、区が届出状況を確認できない場合は、申請後に区から連絡が入り追加提出を求められることがあります。
Q. 区の窓口に直接申請できますか?
A. 新規申請は原則できず、マンション管理センターなどの事前確認を経て事前確認適合証を取得したうえで区へ申請する流れになります。軽微な変更申請のみ、区の耐震化促進係へ直接申請できる扱いです。
Q. 認定の有効期間はどれくらいですか?
A. 5年間です。更新時は従前の認定の有効期間満了日の翌日から起算して5年間となりますので、理事会の引き継ぎ事項として記録しておくことをおすすめします。
Q. 認定を取ると具体的にどんな経済的メリットがありますか?
A. 一定の要件を満たす大規模修繕を行った場合の固定資産税減額(東京23区は建物部分が2分の1)、フラット35購入時の金利引下げ、共用部分リフォーム融資の金利引下げの3つが主な効果です。数値は制度改定により変わることがあるため、申請時点の最新情報をご確認ください。
Q. 新築予定のマンションでも認定を受けられますか?
A. 新築予定マンションについては、区ではなく(公財)マンション管理センターが「予備認定」の認定主体となる制度が用意されています。詳細はマンション管理センターにご確認ください。
Q. 事前確認にはどのくらい費用がかかりますか?
A. システム利用料が1申請あたり10,000円で、これとは別に依頼先ごとの審査料がかかります。目安として1万円台からとお考えいただき、事前に見積りを取ることをおすすめします。
この記事の執筆者
本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。
最終更新:2026年9月25日
本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月25日時点で公表されている江戸川区、東京都、国土交通省の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・要件変更があり得ます。実際に申請される前に、必ず江戸川区都市開発部建築指導課耐震化促進係へ最新の内容をご確認ください。
出典・参考資料
- 江戸川区「マンション管理計画認定制度」(2025年4月1日更新)
- 江戸川区「マンションの管理の適正化の推進に関する法律の改正について」通信(2024年12月発行)
- 国土交通省「マンション管理計画認定制度 認定基準」
- 国土交通省「マンション管理計画認定制度」
- 国土交通省「マンション長寿命化促進税制(固定資産税の特例措置)」
- 東京都主税局「長寿命化に資する大規模修繕工事が行われたマンションに対する固定資産税の減額制度」
- 東京都マンションポータルサイト「マンション管理計画認定制度」
- 公益財団法人マンション管理センター「管理計画認定手続支援サービス」
- 住宅金融支援機構(jhf.go.jp)

