本間社長ブログ

2026.09.27

2026年4月開始『国内管理人』制度、大規模修繕の決議を止めかねない盲点|海外居住オーナーがいるマンションで管理組合が今すぐ点検すべき5つのこと【2026年9月】

2026年4月開始『国内管理人』制度、大規模修繕の決議を止めかねない盲点|海外居住オーナーがいるマンションで管理組合が今すぐ点検すべき5つのこと【2026年9月】
本間 幸紘

著作者プロフィール

株式会社明誠 代表取締役

本間 幸紘

大規模修繕・外壁工事・ロープアクセス工事に関する情報を、現場経験をもとに分かりやすくお届けします。

この記事で答える質問:2026年4月に始まった「国内管理人」制度とは何か。区分所有者が海外に住んでいる場合、大規模修繕の決議にどんな影響が出るのか。管理組合は何を、いつまでに準備すべきか。結論から言うと、国内管理人は「選べば安心」という制度ではなく、委任の設計を誤ると、かえって大規模修繕の合意形成を遅らせるリスクを持っています。私は現場で20年近く、マンション・ビル・ホテルの大規模修繕に関わってきましたが、法改正のたびに感じるのは「制度は変わっても、現場の合意形成の難しさは変わらない」ということです。今回は2026年9月時点の情報として、制度の中身と実務対応を整理します。

1. 2026年4月に始まった「国内管理人」制度とは何か

まず制度の基本を押さえておきます。令和7年法律第47号「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」のうち、区分所有法および被災区分所有法の改正部分は2026年4月1日に施行されました(出典:法務省民事局「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律について」)。

このうち新設されたのが改正区分所有法第6条の2「国内管理人」です。日本国内に住所または居所を持たない区分所有者が、国内在住者を「国内管理人」として選任できるようになりました。ここで私が理事長さまに必ずお伝えしているのは、「これは海外に住む外国人オーナーだけの話ではない」という点です。海外赴任や海外移住で日本を離れている日本人オーナーも、住所が国内になければ同じ対象になります。マンション標準管理規約についても、単棟型で第31条の3、団地型で第33条の3、複合用途型で第35条の3として、対応する規定が新設されています(出典:国土交通省「マンション標準管理規約の改正」)。

1-1. 制度導入の背景——なぜ今なのか

背景にあるのは、区分所有者の所在確認が難しいマンションが増えている現実です。国土交通省が管理組合向けに行っている実態調査では、区分所有者と連絡が取れない、あるいは連絡先が把握できていない住戸が一定数存在することが継続的に指摘されてきました(出典:国土交通省「マンション管理の状況」関連資料)。連絡が取れない区分所有者がいると、総会の招集通知が届かない、決議の定足数が集まらない、修繕積立金の督促ができないといった支障が、実際の管理組合運営で起きています。私が担当してきた物件でも、投資用に区分所有権を持つオーナーさまが海外転勤になり、総会資料の返送が半年以上止まっていたケースがありました。管理会社の担当者が国際郵便で書類を送っても届いたかどうか確認できず、結局その一戸の議決権は「棄権扱い」で総会を進めるしかなかった、という現場を私は実際に見ています。

数字でも裏付けが取れます。国土交通省の「令和5年度マンション総合調査」によると、区分所有者名簿ではすぐに所有者が判明しない、あるいは判明していても連絡がつかない住戸が一定割合ある管理組合は、全体の3.3%にのぼります(マンション総戸数の0%超~20%の範囲に該当する管理組合の割合。出典:国土交通省「令和5年度マンション総合調査の結果について」)。同調査では、昭和59年以前に完成した古いマンションほど、この「所在不明・連絡先不通」の住戸を抱える割合が大きくなる傾向も示されています。築年数が古く、まさに大規模修繕の必要性が高い物件ほど、国内管理人の論点が重くのしかかるという構図です。

1-2. 国内管理人に任せられる5つの権限

改正区分所有法第6条の2で認められている国内管理人の権限は、次の5つに整理できます(出典:法務省民事局)。

権限の区分 具体的な内容
保存行為 専有部分の維持・修繕など、財産を守るための行為
利用・改良行為 専有部分の性質を変えない範囲での利用・改良
招集通知の受領 総会(集会)の招集通知を区分所有者に代わって受け取る
議決権の行使 総会での議決権を区分所有者に代わって行使する
債務の弁済 管理費・修繕積立金など、区分所有者が負う債務の支払い

区分所有者と国内管理人の関係は民法上の委任契約にあたるため、国内管理人は善管注意義務(自分の財産と同じ程度ではなく、専門家として通常期待される注意を払う義務)を負います。逆に言えば、この5つの権限に含まれない事項――たとえば建替え決議のような重大な意思決定を、契約で明確にしないまま国内管理人の独断に委ねることは想定されていません。

なお「住所」と「居所」は法律上区別される概念で、住所は生活の本拠、居所はそれ以外に一定期間継続して住んでいる場所を指します。海外に生活の本拠を移していなくても、長期出張や単身赴任などで実質的に国内に不在の状態が続く場合は、管理組合としてはやはり連絡体制の確認が必要になると私は考えています。制度の対象になるかどうかを形式的な住民票の有無だけで判断せず、実際に連絡が取れるかどうかを基準に考えることをお勧めします。

2. なぜ「決議が進まなくなる」と言われるのか

2-1. おさらい:決議要件そのものも緩和された

今回の法改正では、国内管理人制度と同時に、共用部分の変更に関する決議要件も見直されています。改正前は、大規模修繕などの管理行為は区分所有者・議決権の各過半数、共用部分の形状・効用の著しい変更をともなう工事は4分の3以上の特別多数決議が必要でした。改正後は、共用部分の変更について集会出席者の多数決で決議できる仕組みが導入され、耐震性不足・火災安全性不足・外壁等の剥落による危害・給排水管の腐食による衛生上の支障・バリアフリー化の必要性といった客観的な事由がある場合は、必要な多数決割合が4分の3から3分の2に引き下げられています(出典:国土交通省住宅局・法務省民事局「マンションの管理・再生の円滑化等のための改正法」説明資料)。

数字で整理すると、次のようになります。

項目 改正前 改正後
大規模修繕等の管理行為 区分所有者・議決権の各過半数 出席者の多数決(定足数は原則過半数、規約で別段の定め可)
共用部分の著しい変更(通常) 区分所有者・議決権の各4分の3以上 同左(変更なし)
耐震性不足など客観的事由がある変更 区分所有者・議決権の各4分の3以上 区分所有者・議決権の各3分の2以上

この決議要件の緩和そのものについては、私も本ブログで施行直後の2026年5月に一度詳しく取り上げています。今回はその続きとして、あまり語られていない「国内管理人」という別の新制度に焦点を当てます。

2-2. それでも起きかねない「名ばかり国内管理人」問題

決議要件が緩和されても、そもそも集会が成立しなければ話は始まりません。定足数(集会を開くために必要な出席者数)を満たすには、議決権を行使できる区分所有者――委任状や国内管理人による代理行使を含む――が一定数集まる必要があります。ここで問題になるのが、「国内管理人は選任されているが、実質的に機能していない」状態です。

業界メディアでも、国内管理人制度が悪用されたり、形だけの選任にとどまったりすることで、かえって修繕の合意形成が滞りかねないという懸念が報じられています(出典:日本経済新聞「マンション新制度『国内管理人』悪用で修繕に危機?」、詳細は同紙の有料会員記事のため、ここでは論点の紹介にとどめます)。私はこの指摘は現場感覚として的を射ていると感じます。制度ができたからといって、区分所有者と国内管理人の間の連絡体制や責任の所在が自動的に整うわけではないからです。

2-3. 決議の母数から除外する制度もある——ただし裁判所手続きが必要

公平のために触れておくと、今回の改正では、所在が分からない区分所有者(所在等不明区分所有者)について、利害関係人の申立てにより裁判所が「議決権を有しない」と決定できる制度もあわせて創設されています(出典:TMI総合法律事務所「改正区分所有法~区分所有建物の管理の円滑化~」)。この決定を得られれば、その区分所有者を決議の母数(分母)から外して集会を進めることができます。

ただし私が見る限り、この制度は「困ったときの最後の手段」に近いと考えた方がよいと思います。裁判所への申立てという手続きが必要で、当然ながら時間も費用もかかります。総会の日程に間に合わせるために毎回この手続きを使うのは現実的ではありません。だからこそ、平時から国内管理人を通じて連絡を維持しておく方が、管理組合にとっても区分所有者本人にとっても、はるかに負担が少ない選択だと私は考えています。

3. 管理会社にも起きている変化——委託費と「名ばかり国内管理人」のダブルパンチ

もう一つ、理事会でお伝えするようにしている論点があります。今回同時に施行された改正マンション管理適正化法についても、管理業界の一部では、管理会社側の事務負担が増えることで管理委託費の値上げにつながるのではないか、また採算の合いにくい小規模マンションから管理会社が撤退する動きが強まるのではないか、という懸念が指摘されています(出典:ダイヤモンド・オンライン「26年4月『マンション管理会社大撤退』に拍車!?」)。私自身は法律の専門家ではありませんので断定はできませんが、現場で管理会社の担当者さまとお話ししていても、業務量の増加を懸念する声は実際に聞こえてきます。

国内管理人まわりの事務――届出の受理、名簿の更新、選任状況の管理――も、実務上は管理会社が窓口を担うケースが多くなると私は見ています。管理組合としては、「制度が変わったので委託費を見直したい」という相談が管理会社から来る可能性を、あらかじめ心づもりしておいた方がよいでしょう。委託費の交渉自体は悪いことではありませんが、何にいくらかかっているのかを理事会側でも把握した上で臨むことをお勧めします。

4. 現場で見えてきた3つの落とし穴

管理組合の実務や専門家の解説を横断的に見ていくと、国内管理人の委任設計でつまずきやすいポイントは、大きく3つに整理できます(参考:国内管理人制度の実務解説)。専門家の解説の中には、善意で無償に近い形で国内管理人を引き受けた結果、実際には週1回の見回りや除雪対応まで求められ、「割に合わない業務量だった」と振り返っている例も紹介されています。国内管理人は、書類を受け取るだけの軽い役割ではないという点を、区分所有者にも、管理組合にも、まず理解してもらう必要があると私は感じています。

4-1. 落とし穴①:委任範囲の設計ミス

委任の範囲には大きく2つの型があります。

型 内容 メリット リスク
包括的委任型 5つの権限をまとめて広く委任 海外居住者の負担が少ない 想定外の行為の結果を区分所有者本人が負う可能性
限定委任型 権限を細かく限定して委任 無権代理のリスクを抑えられる 漏水など緊急事態への対応が遅れやすい

どちらか一方が絶対に正しいという話ではなく、区分所有者の状況(連絡の取りやすさ、専有部分の使用状況など)に応じて選ぶべき問題です。ここを曖昧にしたまま「とりあえず選任」してしまうと、いざという時に「誰が何をしていいのか分からない」事態になります。

4-2. 落とし穴②:議決権行使の指示があいまい

議決権行使を国内管理人に委任する場合、「区分所有者の事前の指示どおりに投票する(指示型)」のか、「その場の状況で国内管理人の裁量に委ねる(裁量型)」のかを、あらかじめ整理しておく必要があります。大規模修繕の実施の可否や工事範囲、資金計画といった重要議案では、指示があいまいなまま裁量に任せてしまうと、後になって「そんなつもりではなかった」という紛争の火種になりかねません。

4-3. 落とし穴③:報酬の過小設定

私が実務者の解説で「なるほど」と思ったのは、報酬設定の落とし穴です。国内管理人の役割を、単純な書類受け取り程度の軽い仕事だと見て報酬を低く設定すると、実際に漏水や近隣トラブルが起きたときの現地対応・専門業者との調整といった負担に見合わなくなります。負担と報酬が釣り合わなければ、国内管理人としての責任感も薄れやすく、結果として「選任されているだけの国内管理人」が生まれる土壌になります。管理組合の立場から見れば、これは区分所有者個人の契約の話に見えて、実は総会の定足数や決議の実効性に跳ね返ってくる、他人事ではない論点です。

5. 義務化する?しない?管理組合の3つの選択肢

マンション標準管理規約のコメント欄では、海外居住の区分所有者に国内管理人の選任を義務付けることも「考えられる」対応として示されています(出典:国土交通省「マンション標準管理規約の改正」)。義務化するかどうかは、各管理組合の判断に委ねられています。実務的な選択肢を整理すると、次のようになります。

選択肢 向いている管理組合 注意点
規約で選任を義務化 海外居住オーナーが複数いる、または今後増える見込みがある 届出書式・監視体制の整備が前提
選任を推奨(義務化しない) 海外居住オーナーが少数、まだ問題が顕在化していない 他マンションの運用実績を見ながら判断
現状維持し様子見 海外居住オーナーがいない、または連絡に支障がない 名簿の定期更新だけは継続する

いずれの選択肢を取るにしても、まず自分のマンションに「国内に住所を持たない区分所有者が何人いるか」を正確に把握することが出発点になります。これができていない管理組合が、私の実感としては、まだ少なくありません。

規約で義務化する場合も、いきなり全戸に一律で求めるのではなく、まずは対象となりそうな区分所有者にアンケートを取り、国内管理人を選任できそうかどうかを確認するところから始めるのが現実的です。義務化してみたものの、実際には誰も国内管理人を選任していない、という状態になってしまっては本末転倒だからです。専門家の解説の中には、まだ問題が顕在化していない管理組合については、他のマンションでの運用実績を見てから判断してもよいという意見もあります(参考:マンションみらい価値研究所「国内管理人は義務にするべきか?」)。私自身も、この考え方には一定の合理性があると感じています。

6. 管理組合・オーナーが今すぐやるべき5つの実務対応

①区分所有者名簿の総点検:まず住所が国内にない区分所有者を洗い出し、現時点で連絡が取れているかどうかを確認します。理事会だけで把握しきれない場合は、管理会社に名簿の更新状況を照会するところから始めるとよいでしょう。

②規約改正の要否を理事会で議題化:マンション標準管理規約の第31条の3(単棟型)を参考に、国内管理人の選任を義務化するかどうかを議題に上げます。義務化しない場合でも、「選任を推奨する」旨を細則に盛り込むだけで、区分所有者への周知効果は変わってきます。

③国内管理人の届出書式を整備:選任時・変更時・終了時に、誰が、どの書式で、理事長宛てに届け出るのかというフローを、管理規約または細則の形で明文化しておきます。書式がないままだと、実際に選任があっても管理組合側で把握できない事態になりかねません。

④委任契約のひな形をチェック:区分所有者と国内管理人の間の契約書について、業務範囲(包括的委任型か限定委任型か)、緊急時対応の範囲、議決権行使の指示方法(指示型か裁量型か)、報酬体系を、あらかじめ明確に区分しておくよう案内します。管理組合が契約書のひな形を用意しておけば、区分所有者ごとにバラバラな契約になるのを防げます。

⑤大規模修繕の計画段階から議決権の見通しを立てる:大規模修繕の実施を検討し始めた段階で、国内管理人経由の議決権行使も織り込みながら、定足数が確保できそうかを事前にシミュレーションしておきます。合意形成に時間がかかりそうだと分かれば、その分、修繕の実施時期や工法選定の判断も早めに動かせます。

これらは弁護士やマンション管理士といった専門家に相談しながら進めるべき事項が多く含まれます。制度に「絶対の正解」はなく、管理組合ごとの事情に合わせた設計が必要になる、という点は強調しておきたいところです。

7. 現場から——私が理事会で必ずお伝えしていること

私はこの手の法改正の話を理事会でお伝えするとき、必ず「制度の話」と「工事の話」を分けて説明するようにしています。国内管理人制度がどれだけ整備されても、大規模修繕そのものを前に進めるのは、最終的には「工事の中身と価格に納得できるかどうか」だからです。実際、私がこれまで携わってきた現場では、決議の合意形成に時間がかかった案件ほど、工期や足場の設置期間が延び、結果として仮設コストが膨らむ傾向がありました。ある築28年・80戸規模のマンションでは、区分所有者の1割近くが遠方または海外在住で、総会の合意形成だけで当初予定より4か月遅れたことがあります。その分、足場の設置期間も延び、追加の仮設費用が発生しました。

だからこそ私は、決議に時間がかかりそうな管理組合さまには、足場工事・ロープアクセス工法・その両方を組み合わせたハイブリッド工法という3つの選択肢を、早い段階からお示しするようにしています。ロープアクセス工法は無足場工法とも呼ばれ、部分的な調査や応急的な補修であれば、大掛かりな足場を組まずに着手できる場合があります。合意形成に時間がかかっている間に劣化が進んでしまうような箇所を先行して手当てできるのは、大きな利点だと私は考えています。ロープアクセス工法の技術的な背景や安全基準については、姉妹サイトのロープアクセスドットコムに詳しくまとめておりますので、あわせてご覧いただければと思います。

私たち株式会社明誠は、東京・関東一円でマンション・ビル・ホテルの大規模修繕工事を、足場仮設・ロープアクセス工法・ハイブリッド工法の3つから、建物にとって最適な形で提案できる、日本でも数少ない会社です。管理組合さま向けのご相談窓口として管理組合・オーナーさま向けサービスのページもご用意していますので、決議の見通しが立たない段階からでも、まずは現状のヒアリングだけでもお声がけいただければと思います。

正直に申し上げると、私たち施工会社にできることは、制度そのものを変えることではありません。ただ、決議がどれだけ時間がかかっても、実際に工事に着手できる段階になったときに、無駄なく・安全に・できるだけ費用を抑えて工事を終えられるよう備えておくことはできます。国内管理人まわりの整理が終わっていない管理組合さまであっても、大規模修繕の相談自体は並行して進めていただいて構いません。むしろ、決議に時間がかかりそうだと分かった時点でご相談いただく方が、工法選定や資材の手配に余裕を持たせられるというのが、私の20年近くの経験から言えることです。

よくある質問(FAQ)

Q1. 国内管理人の選任は義務ですか?
A. 区分所有法上、選任するかどうかは区分所有者の任意です。ただし管理組合が規約で選任を義務付けることは可能とされています(出典:国土交通省「マンション標準管理規約の改正」)。

Q2. 国内管理人になれるのは誰ですか?
A. 法律上、資格の限定はありません。ただし委任契約に基づき善管注意義務を負うため、親族や不動産管理会社など、責任を継続的に果たせる相手を選ぶことが実務上は推奨されています。

Q3. 国内管理人がいないと、総会そのものが開けなくなりますか?
A. 国内管理人がいなくても総会自体は開催できますが、連絡が取れない区分所有者の議決権が事実上棄権扱いになりやすく、定足数の確保が難しくなる場合があります。

Q4. 決議要件の緩和と国内管理人制度は同じ改正ですか?
A. どちらも令和7年法律第47号による区分所有法改正の一部で、2026年4月1日に同時に施行されました。ただし決議要件の緩和(多数決割合の見直し)と国内管理人制度(第6条の2)は別々の条文で、それぞれ独立した論点です。

Q5. 海外に住む日本人オーナーも対象になりますか?
A. はい。制度の対象は「国内に住所又は居所を有しない区分所有者」であり、国籍を問いません。海外赴任・海外移住中の日本人オーナーも対象に含まれます。

Q6. 国内管理人を選任しなかった場合、罰則はありますか?
A. 区分所有法上、選任自体は任意のため、選任しないこと自体への罰則はありません。ただし規約で選任を義務化した場合は、規約違反としての扱いが管理組合内部の問題として生じ得ます。

Q7. すでにある管理規約は、いつまでに見直す必要がありますか?
A. 法律で明確な期限が定められているわけではありませんが、標準管理規約の改正内容を踏まえ、次期通常総会までに議題として取り上げることを、私は管理組合さまにお勧めしています。

なお、本稿の内容は2026年9月27日時点で公表されている情報に基づいています。制度の運用や解釈は今後変更される可能性がありますので、規約改正や委任契約の具体的な内容については、弁護士やマンション管理士など専門家に最終確認いただくことをお勧めします。

この記事のポイントまとめ

  • 2026年4月1日、改正区分所有法第6条の2で「国内管理人」制度が始まった
  • 対象は国内に住所のない区分所有者で、外国人に限らず海外在住の日本人も含む
  • 委任範囲・議決権行使の指示・報酬設計を曖昧にすると機能不全のリスクがある
  • 決議要件そのものも同時に緩和されたが、集会の定足数確保が新たな課題になり得る
  • 管理組合はまず区分所有者名簿の点検から着手するのが実務上の第一歩

執筆者:本間 幸紘(株式会社明誠 代表取締役)
専門領域:マンション大規模修繕/ロープアクセス工法/建物長寿命化計画
実務経験:建設・改修業界 20年以上
所属:一般社団法人 全国建設業支援協会(JCSA)

株式会社明誠について:東京都小平市を拠点に、東京・関東一円でロープアクセス工法と従来の足場仮設工法の両方を提案できる改修会社です。日本で初めてロープアクセス工事のフランチャイズ展開を行っています。

最終更新:2026年9月27日

出典・参考資料


▼ロープアクセス工法・無足場工法の詳細解説はこちら
ロープアクセスドットコム|無足場工法専門メディア

私は現場で見聞きしたことしかお伝えしません。制度は今後も変わっていくと思いますので、最新の情報は専門家や公式資料でご確認いただき、個別のご事情については、ご相談だけでも遠慮なくお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。

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