本間社長ブログ

2026.09.13

港区の管理組合が無料で使える相談・専門家派遣9つ|管理アドバイザー「合計10回」を使い切っていますか

港区の管理組合が無料で使える相談・専門家派遣9つ|管理アドバイザー「合計10回」を使い切っていますか
本間 幸紘

著作者プロフィール

株式会社明誠 代表取締役

本間 幸紘

大規模修繕・外壁工事・ロープアクセス工事に関する情報を、現場経験をもとに分かりやすくお届けします。

港区の管理組合が無料で使える相談・専門家派遣9つ|管理アドバイザー「合計10回」を使い切っていますか

2026年9月13日 更新

「1回だけ来てもらって、それで終わりました」

高輪のマンションで、理事長さまからこう言われたことがあります。港区の管理アドバイザー派遣を使って、長期修繕計画(12年から30年先までの修繕工事と費用をまとめた計画書)の見直しについて専門家に一度だけ話を聞いた。それで「制度は使った」ことになっていました。

私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。東京都東大和市を拠点に、20年近くマンションやビルの外壁と向き合ってきました。足場を組む工事も、ロープ1本でぶら下がる無足場の工事も、両方やってきた人間です。

そのとき私がお伝えしたのは、「港区の派遣は、年度に関係なく合計10回まで無料ですよ」ということでした。

理事長さまは驚いていました。10回。1回ごとに論点を変えて、劣化診断の話、業者選定の話、修繕積立金の話、規約の話と積み上げていける枠が、まだ9回分残っていたのです。

私が現場で一番悔しい思いをするのは、こういう場面です。工事の見積書を前にして「もっと早く誰かに相談できていれば」とおっしゃる管理組合に、私は何度も出会ってきました。港区は23区のなかでも支援メニューが多い区で、しかも派遣回数の上限が桁違いに大きい。使い切らない理由がありません。

今日は、港区のマンション管理組合とビルオーナーが、お金をかけずに使える相談・派遣の制度を9つ、令和8年度(2026年4月1日から2027年3月31日まで)の一次情報で整理します。


結論:港区で無料で使える相談・派遣は9つある

先に一覧でお見せします。

# 制度・窓口 誰が対応するか 費用 申込先
1 管理アドバイザー派遣 区が選定した専門家 無料(年度にかかわらず合計10回) 住宅課住宅支援係 03-3578-2229
2 マンション総合窓口 区職員(マンション総合調整担当) 無料(予約不要・随時) 本庁舎6階 03-3578-2459
3 マンション管理組合運営相談 マンション管理士 無料(月2回・要予約) 住宅課住宅支援係 03-3578-2229
4 マンション管理の法律相談 弁護士 無料(月2回・要予約) 住宅課住宅支援係 03-3578-2229
5 すまいの建築相談 建築士 無料(月1回・要予約) 住宅課住宅支援係 03-3578-2229
6 マンション建替え相談 建築士 無料(月1回・要予約) 住宅課住宅支援係 03-3578-2229
7 東京都 マンション管理士無料派遣 マンション管理士 無料(各テーマ2回) 東京都マンション管理士会
8 東京都 マンションアドバイザー無料派遣 マンション管理士等 無料(届出組合1回/管理不全の兆候5回) 東京都防災・建築まちづくりセンター
9 港区マンション交流会 管理組合同士+専門家 無料(会員登録制) 住宅課住宅支援係 03-3578-2224

これに加えて、劣化診断そのものに対する費用助成(上限50万円)も港区にはあります。こちらは無料ではなく助成なので本稿の主題から外れますが、後半で触れます。

ここからが本題です。


1. 管理アドバイザー派遣:港区最大の武器は「合計10回」という上限

港区の分譲マンション等管理支援事業のなかで、私が一番もったいないと感じているのがこの制度です。

費用と回数

港区の公式ページには、こう書かれています。

項目 内容
派遣の費用 無料(すべて区で負担)
派遣の回数 年度にかかわらず合計10回までが限度
派遣場所 申請者が用意

(出典:港区「分譲マンション等管理支援事業」/更新日 2026年5月8日)

「年度にかかわらず合計10回」。ここが港区の特徴です。年度内2回、といった年度単位の枠ではなく、通算で10回という設計になっています。つまり令和8年度に3回使って、令和9年度に4回、令和10年度に3回、という配分もできる。

私はこれを、論点ごとに1回ずつ割り当てる使い方でお勧めしています。

相談できる内容

港区が示しているアドバイザー業務内容は次のとおりです。

  • 管理組合の設立および運営に関する相談
  • 管理規約、使用規則等の作成および見直しに関する相談
  • 管理費、修繕積立金等の財務に関する相談
  • 管理費、修繕積立金等の滞納に関する相談
  • 区分所有者等のマナーおよびルールに関する相談
  • 管理委託契約の契約等に関する相談
  • 修繕計画の作成および修繕積立金の設定に関する相談
  • 建築物、設備等の劣化診断および修繕工事に関する相談

大規模修繕に関わる項目が、この中に3つ入っています。「修繕計画の作成および修繕積立金の設定」「建築物、設備等の劣化診断および修繕工事」「管理委託契約の契約等」です。

私が理事会に呼ばれてお話しするとき、いつも先にお伝えしているのは「工法を決める前に、この3つを別々の回で相談してください」ということです。劣化の実態を知らずに工法を選ぶと、足場を組む前提で予算を組んでしまって、あとから選択肢が減ります。

できないこと(ここを誤解しないでください)

港区は制約も明記しています。

  • マンション管理に関する業務を、アドバイザーが作業するものではない
  • 管理組合や区分所有者等の紛争の解決や権利調整は行わない
  • 管理規約や長期修繕計画書等の作成は派遣内容に含まない

つまり「アドバイザーに長期修繕計画を作ってもらう」ことはできません。判断の材料をもらう制度であって、成果物を作ってもらう制度ではない。ここを取り違えると、派遣を受けても手応えがないまま1回分を消費してしまいます。

申込のスケジュール

ここが実務上、一番大事なところです。

項目 内容
希望日の記入 申請日から2週間以降の日付を記入
土日 対応可能
電子申請 可能
申請の締切 2月末日
派遣日の締切 第2希望を含めて3月21日

土曜・日曜の派遣に対応しているのは、理事会が平日夜か週末に開かれる管理組合にとって大きい点です。理事会当日にアドバイザーを呼ぶ、という段取りが組めます。

申請から2週間以降でないと希望日にできないので、「次の理事会で呼びたい」という思いつきでは間に合いません。理事会の年間スケジュールを決めた段階で、派遣の申請日も一緒に決めてしまうのが現実的な進め方です。

申請書類は港区の申請ページからダウンロードできます。


2. マンション総合窓口:令和8年6月に本庁舎6階へ

港区は令和8年6月9日更新のページで、マンションに関する相談を分野や所管部署を問わず最初に受け付ける窓口として「マンション総合窓口」を案内しています(出典:港区「マンション総合窓口」)。

項目 内容
場所 港区役所 本庁舎6階(看板が目印)
電話 03-3578-2459(マンション総合調整担当)
費用 無料
予約 電話相談も受付

私がこの窓口を評価しているのは、「どこに相談すればいいか分からない」段階で使えるからです。

大規模修繕の相談は住宅課、耐震は別の担当、エレベーターの安全装置はまた別。管理組合の役員は1年から2年で交代することが多く、前任者の引き継ぎメモに窓口名が書かれていないことも珍しくありません。総合窓口があれば、まずそこに電話して振り分けてもらえます。

順番としては、総合窓口で全体像を聞く → 専門相談を予約する → 管理アドバイザー派遣を申し込むという流れが無駄がありません。


3〜6. 区民相談室の専門相談:月2回のマンション管理士と弁護士

港区は区役所3階の区民相談室で、住まいに関する専門相談を分野ごとに開いています。令和8年4月1日更新の「すまいの相談一覧」から、マンションに関わる4つを抜き出します。

相談名 開催日 時間 相談員 予約締切
マンション管理組合運営相談 第2・第4火曜日 13時〜16時(1人1時間・先着3人) マンション管理士 前週の金曜正午
マンション管理の法律相談 第2・第4火曜日 13時〜16時(1人1時間・先着3人) 弁護士 前週の金曜正午
すまいの建築相談 第4火曜日 13時〜16時(1人1時間・先着3人) 建築士 前週の金曜正午
マンション建替え相談 第3火曜日 13時30分〜16時30分(1人1時間・先着3人) 建築士 前週の月曜正午

予約はすべて住宅課住宅支援係(03-3578-2229)への電話です。受付時間は平日午前8時30分から午後5時(土日祝・年末年始を除く)。

1人1時間、という枠の使い方

1人1時間という枠は、23区の管理相談としては長めです。港区の場合、第2・第4火曜日にはマンション管理士と弁護士が同じ時間帯に入っています。管理費滞納のように「運営の実務」と「法的手続き」の両面がある論点なら、両方を別の回で予約して突き合わせる、という使い方ができます。

私が現場で見てきた限り、管理費・修繕積立金の滞納は大規模修繕の資金計画を最も揺らす要因です。滞納額が積立金総額の数パーセントでも、工事の入札直前に「予定していた予算が組めない」という話になる。弁護士相談で督促の手順を確認しておくことは、工事の準備そのものだと私は考えています。

対面か電話か(リモートはなし)

相談方法は電話または対面です。港区のページには「リモート相談は行っておりません」と明記されています。申込時にどちらかを申し出る形です。電話相談を選んだ場合、相談時間になると相談員から電話がかかってきます。

対面を選んだ場合は当日、港区役所(港区芝公園一丁目5番25号)3階の区民相談室へ直接向かいます。

注意点:すまいの相談は「港区在住の人のみ」

ここは正直に申し上げます。港区のすまいの相談一覧には、はっきりこう書かれています。

港区在住の人のみとなります。在勤の人、区内に不動産を所有しているが在住していない人のご相談は受付けておりません。

港区に収益不動産をお持ちで、ご自身は別の区や県にお住まいのオーナーさまは、この専門相談の対象外です。

では手がないのか、というとそうではありません。管理アドバイザー派遣は「区内の分譲マンションの管理組合」が対象であり、居住地要件ではなく建物の所在地で判断されます。管理組合として申請する形なら、理事長さまのお住まいがどこであっても使えます。また、後述する東京都の制度は都内のマンション管理組合が対象で、こちらも区民要件はありません。

オーナーさま個人としての相談は、港区の一般の法律相談という選択肢もあります。こちらは対象が「区内在住・在勤・在学者」で、在勤の方まで広がります。

項目 内容
対象 区内在住・在勤・在学者
日時 月・金曜日 13時〜16時/水曜日 13時〜16時および17時〜19時
相談方法 対面・電話・オンライン(Microsoft Teams)
相談時間 25分
回数制限 1人につき1年度内(4月1日〜翌年3月31日)に3回まで
予約 みなとコール 03-5472-3710/港区相談予約システム

(出典:港区「相談窓口」/更新日 2026年4月8日)

水曜日に17時から19時の夜間枠があり、オンライン相談にも対応しています。平日日中に区役所へ行けない方にとっては、こちらのほうが現実的かもしれません。


7. 東京都のマンション管理士無料派遣:令和9年2月26日まで受付

区の制度と重ねて使えるのが、東京都の制度です。こちらは防災力向上と認知症対応という2つのテーマに絞られています。

令和8年度の募集内容は次のとおりです(出典:東京都マンションポータルサイト「分譲マンション向けマンション管理士無料派遣(防災力向上・認知症対応)」)。

項目 内容
対象 都内に所在するマンション管理組合
回数 1管理組合につき、防災力向上と認知症対応それぞれ2回まで
利用料 無料
受付期間 令和8年6月23日(火)〜令和9年2月26日(金)
募集数 防災力向上・認知症対応あわせて160件(達し次第締切)
申込先 東京都マンション管理士会(https://www.kanrisi.org/)
問い合わせ 東京都住宅政策本部 マンション課 03-5320-5004

ここで見落としやすい点が1つあります。派遣回数は通算でカウントされます。過去(令和5年度から令和7年度)に本事業で派遣を受けている管理組合は、その回数も各テーマ2回の上限に含まれます。「前の理事会が使ったかどうか」を確認してから申し込むほうが確実です。

受付は令和9年2月26日までですが、募集数160件に達した時点で新規の申込みは締め切られます。年度後半になるほど枠は減ると考えたほうがよいでしょう。

防災の相談が、なぜ大規模修繕の話につながるか

アドバイスの例として、東京都は「発災時の緊急対応を定める管理規約の整備方法」「災害時にも活用できる居住者等名簿の作成」などを挙げています。

一見、修繕工事とは別の話に見えます。私の経験上、これは同じ話です。

台風の翌朝、外壁のタイルが1枚落ちていた。誰がどう判断して、誰に連絡して、どこまでを緊急工事として発注するのか。この段取りが決まっていない管理組合では、落下の報告が理事長さまに届くまでに数日かかることがあります。その数日のあいだに、下に人が通っています。

居住者名簿と緊急連絡の流れを整えることは、外壁の安全管理とつながっています。私はこれを、修繕の話と切り離さずに考えていただきたいと思っています。


8. 東京都のマンションアドバイザー無料派遣:管理状況届出とセットの制度

もう1つ、東京都の制度があります。こちらは条件付きです。

(公財)東京都防災・建築まちづくりセンターが運営する「マンションアドバイザー無料派遣」は、東京都の管理状況届出制度の届出・更新を行った管理組合限定で、有料のアドバイザー派遣を無料で使える仕組みです。

区分 無料回数
届出が受理、または更新を届け出た要届出マンション 1回まで無料
うち、管理不全の兆候があるマンション 5回まで無料

1コースあたり2時間程度です。

届出の対象になるマンション

東京都の条例(東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例/平成31年3月制定、令和2年4月から届出制度開始)では、昭和58年12月31日以前に新築された、居住用の独立部分が6以上ある分譲マンションに管理状況の届出義務があります。前回の届出から5年以内ごとに更新が必要です。

つまり築40年を超えるマンションであれば、届出義務があり、届出をすればこの無料派遣の対象になります。

大規模修繕に直結するコース

無料で使えるコースのうち、修繕の検討段階で効くのは次の2つです。

コース 内容
B-5① 修繕工事検討段階での相談(建物・設備等の劣化状況の調査・診断、修繕工事の検討組織、修繕工事の方式等)
B-5② 修繕工事準備段階での相談(修繕工事の内容、業者選定の仕方、合意形成等)

B-5①に「修繕工事の方式」が入っています。ここで足場を組む方式と無足場の方式を比較する、という論点を持ち込めます。

私は自社の工事を売り込むためにこれを言っているのではありません。第三者の専門家から工法の選択肢を聞いておいていただくほうが、あとの合意形成が楽になるからです。理事会で「なぜこの工法なのか」を説明するとき、区や都の派遣で聞いた話が根拠になります。

申込は申込書に記入のうえ、FAX・メール・郵送でセンターへ。申し込みから1週間から2週間程度でアドバイザーから日程調整の連絡が入ります。問い合わせは東京都防災・建築まちづくりセンター まちづくり推進課(03-5989-1453)です。

なお、無料派遣を利用した相談内容は、東京都・マンション所在の特別区および市町村で共有される旨がセンターのページに明記されています。行政目的以外には利用しないとされていますが、把握しておいたほうがよい点です。


9. 港区マンション交流会:管理組合同士で情報を持ち寄る

制度というより「場」ですが、私はこれも支援メニューの1つだと思っています。

港区マンション交流会は、区内の分譲マンションの管理組合の理事会役員や区分所有者を対象にした会です。管理運営や維持管理の問題について情報を共有し、どう対処したかを持ち寄ることで、理事会役員の負担を軽くする趣旨とされています。

会員のメリットとして港区が挙げているのは次の4点です。

  1. マンションに関する問題を他の会員と情報共有できる
  2. マンション管理士等の専門家のアドバイスを受けられる
  3. 上記を通じて適正で円滑な運営管理の知識が身につく
  4. セミナーの開催日程や内容等の案内をメールや郵送で受け取れる

活動回数は年2回程度とされています。申込はオンライン申請、またはFAX・郵送・持参。問い合わせは住宅課住宅支援係(03-3578-2224)です。

情報の鮮度について1点お断りします。 港区の「港区マンション交流会の会員登録」ページは、本稿執筆時点(2026年9月13日)で更新日が2025年6月30日、つまり令和7年度の内容です。令和8年度の開催回数や日程が同じかどうかは、このページからは確認できません。会員登録や次回開催の予定は、住宅課へ直接お問い合わせいただくのが確実です。

私が交流会をお勧めする理由

工事の見積書を比較するとき、一番効くのは「同じ規模のマンションが、いくらでどこまでやったか」という実例です。これはインターネットで探しても出てきません。同規模・同年代のマンションの理事長さま同士が話せる場は、それだけの価値があります。

私が伺った現場でも、交流会で聞いた他組合の進め方を参考に、修繕委員会の立ち上げ方を決めた管理組合がありました。


番外:無料ではないが強力な「劣化診断費用助成」

無料ではないので9つの外に置きましたが、港区には劣化診断の費用助成があります。

項目 内容
助成額 劣化診断に要した費用の2分の1
上限額 50万円
助成回数 年度内1回限り
対象建物 区内のマンション(分譲または賃貸)/延べ面積の2分の1以上が居住用/関係法令に適合/建築後5年以上経過
対象者 区内の分譲マンション管理組合、区内の賃貸マンション経営者(個人・法人)
完了報告の締切 2月末日

(出典:港区「分譲マンション等管理支援事業」/更新日 2026年5月8日)

賃貸マンションの経営者も対象である点に注目してください。分譲の管理組合限定ではありません。港区に賃貸物件をお持ちの法人・個人オーナーさまが使える制度です。

ただし条件が厳しめです。

  • 申請が予算額に達した場合は受付終了
  • すでに診断の契約をしたもの、すでに診断を実施したものは申請できない
  • 同一項目の診断は、助成を受けてから10年経過するまで対象外
  • アスベスト関連の経費は対象外
  • 調査・診断後に要するもの(大規模修繕の見積り、長期修繕計画の作成等)は含まない

港区が示している参考スケジュールでは、11月15日に申請した場合、助成金の支払いは翌年4月末日まで。申請から入金まで半年近くかかる設計です。完了報告の最終締切が2月末日なので、年明けの申請では間に合わない可能性が高い。

管理組合の場合は、総会で劣化診断の実施が決議され、費用の予算案が承認されていることが申請の条件です。つまり総会の議決が先。秋の総会で決議して、11月から12月に申請、というのが現実的な線です。

予算額に達した時点で受付が終了する制度なので、令和8年度の予算残額については住宅課住宅支援係へ事前に確認されることをお勧めします。本稿では残額を確認できていません。


都・国の相談窓口:区の外にもタダの窓口はある

港区の窓口が対象外だった場合、あるいは区の枠を使い切った場合の行き先です。

(公財)マンション管理センター

国土交通大臣の指定を受けた「マンション管理適正化推進センター」です。指定を受けている唯一の団体とされています。

相談内容 電話
管理組合運営、管理規約等 03-3222-1517
建物・設備の維持管理 03-3222-1519

受付は月曜から金曜(祝日・年末年始を除く)の9時30分から17時。1件あたり15分前後でのアドバイスを心がけている、とされています。メールでの相談フォームもあります(出典:(公財)マンション管理センター「相談窓口について」)。

公平・中立の立場でのアドバイスが原則で、特定の弁護士や企業の紹介はしない、個別事案の適法性の判断はしない、回答は口頭のみ、という前提です。「うちのマンションの見積書は高いか安いか」を判定してもらう窓口ではありません。標準管理規約や法令に照らして一般的な考え方を確認する窓口です。

なお同センターは令和7年の法改正に対応した『マンション管理基本法令集』を令和8年6月25日に発行しています。規約の見直しを検討中の管理組合には参考になるはずです。

東京都の分譲マンション総合相談窓口

(公財)東京都防災・建築まちづくりセンターが、分譲マンションの管理・建替え・改修に関する相談に専門のマンション管理士が総合的に応じる窓口を置いています。港区自身が関連リンクとして案内している窓口です。

港区立消費者センター・法テラス

管理会社との契約や訪問販売型のリフォーム勧誘など、消費者トラブルの色が濃い話はこちらです。

窓口 電話 受付
港区立消費者センター(相談専用) 03-3456-6827 月〜土 9時30分〜16時(土は電話のみ)
東京都消費生活総合センター 03-3235-1155 月〜土 9時〜17時
法テラス(日本司法支援センター) 0570-078374 月〜金 9時〜21時、土 9時〜17時

(出典:港区「消費者の相談窓口」/更新日 2024年10月25日、港区「相談窓口」/更新日 2026年4月8日)

消費者の相談窓口ページの更新日は2024年10月です。令和8年度の受付時間が同じかどうかは、このページからは確認できません。電話番号と受付時間は、お問い合わせの前に港区のページで再確認いただくのが確実です。

高齢の区分所有者が強引な訪問販売でリフォーム契約をしてしまった、という相談を私も現場で聞いたことがあります。東京都消費生活総合センターには「高齢者被害110番」(03-3235-3366/月〜土 9時〜17時)という専用窓口もあります。

国土交通省のマンション政策情報

制度の全体像は国土交通省のマンション政策のページにまとまっています。法改正の動きを追うときはこちらが起点です。

令和7年5月30日公布の「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律」(令和7年法律第47号)が令和7年11月28日に一部施行されています。標準管理規約も令和7年に改正されました。港区も「令和7年マンション標準管理規約の改正について」というページを設けています。規約の見直しを相談内容にする場合、この改正が反映されているかが論点になります。


何を用意していけばいいか:3点セット+1

相談窓口へ行くとき、手ぶらで行くと一般論しか返ってきません。私がいつも理事長さまにお伝えしているのは、次の3点を持っていくことです。

3点セット

# 書類 なぜ必要か
1 総会議事録(直近2〜3年分) 何が決議済みで何が未決議かが分かる。相談員は「総会で何が決まっているか」を最初に確認する
2 長期修繕計画書 次の大規模修繕の時期と想定費用の前提が分かる。積立金不足の議論はここが出発点
3 管理規約(+使用細則) 工事の決議要件、専有と共用の区分、理事会の権限が書かれている

港区の管理アドバイザー派遣では、相談内容に応じて管理規約・使用規則・管理委託契約書・会計関係資料・総会や理事会の議事録・長期修繕計画書・修繕工事の履歴資料を借りることがある、とされています。求められる資料はおおむねこの範囲です。

+1:修繕積立金の残高と滞納額

3点セットに加えて、修繕積立金の現在残高と滞納額を数字で言えるようにしておいてください。この2つの数字があるかないかで、相談の解像度が変わります。

「積立金は足りていますか」と聞かれて「たぶん足りないと思います」と答える理事長さまを、私は何度も見てきました。残高が分からないと、工法の選択肢も絞れません。

写真があればもっといい

外壁のひび割れ、タイルの浮き、鉄部のさび、屋上の防水層の膨れ。スマートフォンで撮った写真で構いません。建築相談で建築士と話すとき、写真1枚が説明の10分を短縮します。

撮影の日付が分かるようにしておくと、劣化の進行を後から追えます。


港区の物件で、私が工法の話を急がない理由

ここで工法の話に少し触れます。

港区は高層・超高層の物件が多い区です。芝浦港南地区の湾岸エリアには足場を組むことが難しい建物もあります。敷地に余裕がなく、隣地との距離が取れない物件もあります。

こういう建物で、足場を組む前提だけで予算を組むと、見積金額が想定を大きく超えることがあります。仮設足場の費用は工事全体の2割から3割を占めることも珍しくありません。そこで選択肢として出てくるのが、ロープアクセス工法(無足場工法)です。産業用ロープで作業員が壁面に取り付き、足場を組まずに塗装や補修を行う方法です。

私は「ロープアクセスがいつでも安い」とは申し上げません。全面的にタイルを貼り替えるような工事では、足場のほうが適している場面もあります。私が提案しているのは、部位ごとに足場と無足場を使い分けるハイブリッド工法という選び方です。この考え方は明誠の考え方にまとめています。

無足場工法の技術的な中身や適した建物の条件は、ロープアクセス工法の専門サイト(rope-access-method.com)に整理してあります。作業手順や安全管理の考え方も同じサイトにまとめました。無料相談に行かれる前にこちらに目を通しておかれると、アドバイザーへの質問の質が上がると思います。

ただ、この判断は劣化の実態が分かってからの話です。だから私は、区や都の無料派遣で劣化診断と工法の考え方を先に聞いていただくことをお勧めしています。工法を決めてから診断する順番では、選択肢が残りません。

管理組合向け・オーナー向けのサービスの全体像は大規模修繕のサービスご案内にまとめてあります。


まとめ:今週動くこと3点

長くなりました。港区の管理組合とオーナーさまが、今週できることを3つに絞ります。

① マンション総合窓口(03-3578-2459)に電話して、過去の利用履歴を確認する

管理アドバイザー派遣は通算10回。東京都の管理士派遣も令和5年度からの通算でカウントされます。前の理事会が何回使ったかを確認しないと、残り枠が分かりません。まずここからです。

② 3点セットをそろえる

総会議事録(直近2〜3年分)、長期修繕計画書、管理規約。この3つをファイル1冊にまとめておく。理事が交代しても引き継げます。修繕積立金の残高と滞納額をメモに書き添えておくと、相談の質が変わります。

③ 理事会の年間予定と、派遣の申請日を一緒に決める

港区の管理アドバイザー派遣は、申請日から2週間以降の日付でないと希望日にできません。申請締切は2月末日、派遣日の締切は3月21日。土日の派遣に対応しているので、理事会の日に合わせて呼べます。年間予定を立てる段階で申請日を決めてしまうのが確実です。

東京都のマンション管理士無料派遣は令和9年2月26日まで受付ですが、160件に達した時点で締切です。防災か認知症対応のテーマで使う予定があるなら、年度後半を待たないほうがいいでしょう。


無料の相談窓口は、使わなければゼロですが、使えば専門家の時間そのものです。港区の管理アドバイザー派遣は合計10回。1回1時間の専門相談が月2回。これを使い切っている管理組合と、1回で終わっている管理組合の差は、5年後の修繕積立金残高に出ます。

大規模修繕の工法や見積の読み方について、総会の前段階の整理だけでもお力になれることがあります。お問合せフォームからご相談だけでも遠慮なくお声がけください。どの制度をどの順番で使うかの整理からご一緒できます。


出典・参考資料


本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月13日時点で公表されている港区および国土交通省・東京都の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請される前に、必ず港区および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。


株式会社明誠|東京都東大和市
大規模修繕・足場工法・ロープアクセス工法(無足場工法)・ハイブリッド工法
ロープアクセス工法の専門情報:https://rope-access-method.com/

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