
2026年9月22日 更新
板橋区の理事長さまから、春先にこんなご相談をいただきました。
「長期修繕計画が15年前のまま止まっている。作り直したいが、見積を取ったら60万円と言われた。修繕積立金からそこまで出していいものか、理事会で結論が出ない」
築32年・7階建て・44戸の分譲マンションでした。私が外周をひと回りして打診棒(タイルを軽く叩き、音で浮きを判別する道具)を当てたところ、南面のタイルに浮きが出はじめている。ただ、まだ全面改修が必要な段階ではありませんでした。むしろ急ぐべきは、計画と資金の組み立て直しのほうです。
このとき私が申し上げたのは、ひとつだけです。「その60万円、板橋区が一部を持ってくれる制度が令和8年度から始まっています」。
板橋区は令和8年度、分譲マンション向けの助成を4本まとめて新設しました。長期修繕計画の作成費、都のアドバイザー制度の利用料、建替え・改修アドバイザーの利用料、そしてマンション防災。いずれも「板橋区 令和8年度新規事業」として区のホームページにまとまっています。しかも、4本とも申請締切が令和8年12月28日で、予算の上限に達し次第終了です。
申し遅れました。私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。東京都東大和市を拠点に、20年近くマンション・ビル・ホテルの外壁の仕事をしてきました。足場を組んで建物をすっぽり囲う工事も、ロープ1本でぶら下がる無足場の工事も、どちらの現場も自分の足で踏んできた人間です。
今日は、板橋区の管理組合と収益不動産オーナーさまが令和8年度に使える相談・派遣・助成を13個、一次情報で整理します。
結論:板橋区で使える支援は13ある
先に一覧でお示しします。費用がゼロのものと、費用の一部または全額が戻るものを分けました。
| # | 制度・窓口 | 誰が対応するか | 費用 | 申込先 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 板橋区マンション管理士会 無料相談会 | マンション管理士 | 無料/毎月第2日曜 13:00〜16:30 | 080-5503-2422(予約担当:坂本) |
| 2 | 東京都マンション管理士会 板橋支部 無料相談会 | マンション管理士 | 無料/毎月第1日曜 13:00〜16:00(受付15:30まで) | 090-6932-1416(事務局:森田) |
| 3 | 東京都 分譲マンション専門相談 | 弁護士(月3回)/一級建築士(月1回) | 無料/1件20分程度・完全予約制 | 板橋区住宅政策課 03-3579-2730 |
| 4 | 東京都 分譲マンション総合相談窓口 | マンション管理士 | 無料/Zoom相談あり | 東京都防災・建築まちづくりセンター 03-6427-4900 |
| 5 | 東京都 マンションアドバイザー無料派遣 | マンション管理士等 | 無料(管理状況届の受理が条件) | 同センター 03-5989-1453 |
| 6 | 板橋区 マンション管理アドバイザー制度への助成 | — | 利用料を全額助成(テキスト代除く) | 住宅政策課 03-3579-2730 |
| 7 | 板橋区 マンション建替え・改修アドバイザー制度への助成 | — | 利用料を全額助成(テキスト代除く) | 住宅政策課 03-3579-2730 |
| 8 | 板橋区 長期修繕計画作成費の助成 | — | 上限20万円(税抜経費) | 住宅政策課 03-3579-2730 |
| 9 | 板橋区 マンション防災の助成(防災備蓄資器材) | — | 上限50万円/年度内1回 | 住宅政策課 03-3579-2730 |
| 10 | 板橋区 マンション防災の助成(非常用電源等) | — | 上限100万円/年度内1回 | 住宅政策課 03-3579-2730 |
| 11 | 板橋区 区民相談室 法律相談 | 弁護士 | 無料/30分以内・年度内3回 | 区民相談室 03-3579-2288 |
| 12 | 板橋区 区民相談室 建築相談 | 建築士 | 無料/木曜・45分以内 | 区民相談室 03-3579-2288 |
| 13 | 板橋区 区民相談室 不動産取引相談・登記相談 | 宅地建物取引士/司法書士 | 無料/45分以内・40分以内 | 区民相談室 03-3579-2288 |
1〜5と11〜13がお金のかからない相談・派遣、6〜10が令和8年度から始まった助成です。順番に見ていきます。
令和8年度から始まった板橋区の4つの新規助成
ここが板橋区の今年の目玉です。区は「令和8年度新規事業」というページを立て、4つの助成をまとめて公表しています(更新日2026年6月11日)。
| 助成 | 上限・内容 | 申請締切 |
|---|---|---|
| マンション管理アドバイザー制度(都制度)への助成 | Aコース・Cコースの利用料(テキスト代除く)。Aコース年度内3回、Cコース年度内2回 | 令和8年12月28日(必着) |
| マンション建替え・改修アドバイザー制度(都制度)への助成 | Aコース・Bコースの利用料(テキスト代除く)。Aコース年度内3回、Bコース年度内1回 | 令和8年12月28日 |
| 長期修繕計画作成費の助成 | 作成に要する経費(消費税等を除く)、上限20万円 | 令和8年12月28日(必着) |
| マンション防災の助成 | 防災備蓄資器材 上限50万円/非常用電源等 上限100万円/地域開放 1回につき上限5万円 | 令和8年12月28日(月曜日) |
(出典:板橋区「令和8年度新規事業」)
4本に共通する注意点を、先に3つ挙げます。ここを外すと、使えるはずの助成が使えなくなります。
ひとつ目。4本とも「予算の上限に達し次第終了」と明記されています。 締切は令和8年12月28日ですが、その日まで枠が残っている保証はありません。本記事執筆時点(2026年9月22日)で予算残額は公表されていませんので、検討中であれば住宅政策課(03-3579-2730)に残枠の状況を確認するのが確実です。
ふたつ目。申請は「事前」です。 管理アドバイザー助成と建替え・改修アドバイザー助成は「必ず公益財団法人東京都防災・建築まちづくりセンターに利用を申し込む前」に申請が必要で、区は「申込後の申請はできません」と明記しています。長期修繕計画作成費の助成も「作成(または見直し)を開始する前」。防災助成は「事前相談」から始まります。先に動いてから申請する、は通りません。
みっつ目。令和8年度に限った経過措置があります。 4本のうち3本には、令和8年4月1日から令和8年11月30日までに料金を振り込んだ、あるいは契約した案件でも対象になる経過措置が設けられています。制度開始前に動き出してしまった管理組合の救済措置です。心当たりがあれば、諦める前に一本電話をかける価値があります。
長期修繕計画作成費の助成:上限20万円、ただし要件は10項目
大規模修繕を考えている管理組合にとって、いちばん出番が多いのはこれだと思います。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 助成額 | 計画作成に要する経費(消費税及び地方消費税相当額を除く)、上限20万円 |
| 主な要件 | 区の条例に基づくマンション管理状況届を提出済/おおむね築5年以上/管理規約が制定されている/長期修繕計画が未作成、または既存計画を申請日以前に7年以上見直していない/作成と経費について総会で決議済/過去に本制度の助成を受けていない |
| 対象となる計画 | マンション管理計画の認定基準を満たす計画。国土交通省の長期修繕計画標準様式・作成ガイドラインに沿って作成 |
| 申請締切 | 令和8年12月28日まで(必着) |
| 提出先 | 郵送(〒173-8501 板橋区板橋二丁目66番1号 住宅政策課マンション政策係)または板橋区役所本庁舎北館5階14番窓口 |
(出典:板橋区「長期修繕計画作成費の助成」/更新日2026年6月11日)
見落とされやすいのが「既存の長期修繕計画がある場合、申請日以前に7年以上見直していない」という条件です。国のガイドラインは5年程度ごとの見直しを推奨していますから、真面目に5年ごとに更新してきた管理組合は対象外になります。逆に言えば、「うちの計画、もう10年以上いじっていない」という管理組合こそ、この助成の想定読者です。
申請に必要な書類も具体的です。申請書(第1号様式)、検査済証や登記簿謄本など工事完了日または新築年月日が確認できるもの、管理規約の写し、作成決議に係る集会の議事録の写し、見積書の写し、既存計画がある場合はその写しと決議議事録の写し、現在の理事長が確認できるもの。見積書と総会議事録が必要という点は、スケジュールに直結します。総会が年1回の管理組合なら、逆算して動く必要があります。
顧問契約しているマンション管理士が計画を作成する場合、作成に係る経費のみが対象で、顧問料は対象外です。ここも実務上よく問題になります。
マンション防災の助成:非常用電源等は上限100万円
もうひとつ金額の大きいのが防災助成です。
| 区分 | 上限額 | 回数 |
|---|---|---|
| (1)防災備蓄資器材購入費用 | 50万円 | 年度内1回 |
| (2)非常用電源等購入費用 | 100万円 | 年度内1回 |
| (3)災害・救命用具を地域開放したときの費用 | 1回につき5万円 | 備蓄品の使用後の補填は同一年度2回まで |
(出典:板橋区「マンション防災の助成」/更新日2026年8月28日)
対象物品が細かく列挙されているのが、この助成の特徴です。スタンドパイプ、階段避難車、救急用はしご、AED(リースを除く)、トランシーバー、簡易トイレ、エレベーター用防災キャビネット。非常用電源側では発電機、蓄電池、折り畳み式ソーラーパネル、投光器。浸水対策として止水板・止水パネル・排水ポンプ・逆流防止弁なども入っています(工事を伴わないものに限る、という条件付きです)。
ただし、対象は「板橋区管理計画認定マンションの管理組合」に限られます。しかも「管理計画の認定の更新(認定の5年ごと)の見込みがあること」まで求められます。つまり、認定を取っていない管理組合は、まず認定のほうから着手する必要がある。ハードルは正直に言って高めです。
防災備蓄資器材を申請する場合は、合同防災訓練計画書(第2号様式)と、地縁団体等との連携・位置関係が分かる書類も必要で、交付決定後に実際の訓練実施が求められます。「買って終わり」ではなく「地域と一緒に使うこと」が条件、と理解しておくのが正確です。実績報告は原則として令和9年3月31日までです。
すべての入口は「マンション管理状況届」
ここまで読んで、お気づきの方もいると思います。板橋区の助成も、東京都の無料派遣も、前提条件がほぼ共通しています。
平成30年7月1日に施行された「東京都板橋区良質なマンションの管理等の推進に関する条例」により、区内のすべてのマンションの管理者等には、管理状況を区へ届け出ることが義務づけられています。区はこの届出について「必要に応じてアドバイザー派遣制度やマンション管理セミナー等の適切な支援等を実施していくことも大きな目的の一つ」と説明しています。
(出典:板橋区「【板橋区】分譲マンションの管理状況届出制度について」/更新日2026年6月10日)
届出書類は区のページからPDFまたはExcelでダウンロードでき、郵送またはメール(mansion@city.itabashi.tokyo.jp)で提出できます。窓口へ出向く必要はありません。
東京都側も同じ構造です。東京都防災・建築まちづくりセンターは、管理状況届出制度の届出が受理された管理組合に対して、マンションアドバイザー(管理アドバイザーA・Bコース、建替え・改修アドバイザーAコース)を1回まで無料、管理不全の兆候があるマンションについては5回まで無料で派遣しています。各コース1回あたり2時間程度です。
(出典:(公財)東京都防災・建築まちづくりセンター「マンションアドバイザー無料派遣」)
講座編(Aコース)には「長期修繕計画作成ガイドライン活用の手引きの解説」「計画修繕工事の進め方」、相談編(Bコース)には「修繕工事検討段階での相談」「修繕工事準備段階での相談」があります。B-5①は建物・設備の劣化状況の調査・診断や修繕工事の方式、B-5②は工事内容・業者選定の仕方・合意形成。大規模修繕の入口として、ほぼそのまま使える内容です。
届出1枚で、これだけの支援の扉が開く。 板橋区でいちばんもったいないのは、この届出が未提出のまま眠っている管理組合だと、私は思っています。
なお、外壁の劣化がどこまで進んでいるかを客観的に把握する方法については、明誠のロープアクセス工法による外壁調査の考え方をご覧いただくと、足場を組まずにどこまで見られるのかが分かります。技術的な仕組みそのものを深く知りたい方は、同業者向けに書いている姉妹サイトロープアクセスドットコムのほうが詳しいです。
板橋区で毎月2回開かれる管理士会の無料相談会
助成の話が続きましたので、完全に無料の窓口に戻ります。
板橋区の特徴は、区が後援する無料相談会が月2回あることです。しかも会場が同じ板橋区立グリーンホール(板橋区栄町36-1)。
| 主催 | 開催日時 | 予約先 |
|---|---|---|
| 板橋区マンション管理士会 | 毎月第2日曜 13:00〜16:30 | 080-5503-2422(予約担当:坂本) |
| (一社)東京都マンション管理士会 板橋支部 | 毎月第1日曜 13:00〜16:00(受付は15:30終了) | 090-6932-1416(事務局担当:森田) |
(出典:板橋区「マンション管理士会による無料相談会」/更新日2026年6月10日)
どちらも予約優先です。板橋区マンション管理士会は「予約なしで来場の場合、当日の状況によりお断りすることがある」と明記しています。東京都マンション管理士会板橋支部は事前予約なしでも受付しますが、重複した場合は予約者が優先されます。
日曜開催という点は、地味ですが大きい。理事の多くが現役で働いている管理組合にとって、平日日中の窓口は実質的に使えません。月2回、日曜午後に専門家と話せる場が区内にあるというのは、23区の中でも使い勝手のよい部類です。
会場手配ができない場合は中止になることがあるため、訪問前に一度お電話を。
東京都の無料相談・無料派遣を重ねて使う
区の制度と都の制度は、併用を前提に組み立てるのが効率的です。
東京都分譲マンション専門相談(弁護士・一級建築士)
東京都が、特に弁護士または一級建築士に相談することが必要と考えられる相談に対応します。無料・完全予約制です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 相談日 | 弁護士:月3回/一級建築士:月1回(都が指定した日) |
| 相談時間 | 1件20分程度 |
| 場所 | 都庁第二本庁舎 13階 南 |
| 申込 | 板橋区を通じて申し込む。住宅政策課 03-3579-2730 |
| 制度の問い合わせ | 東京都住宅政策本部 民間住宅部 マンション課 03-5320-5004 |
(出典:板橋区「東京都による分譲マンションの相談窓口」/更新日2026年6月10日)
一級建築士に無料で20分。これは建物側の相談ができる数少ない公的窓口です。相談日は月によって異なるため、板橋区住宅政策課への確認が必要になります。
東京都分譲マンション総合相談窓口
分譲マンションの管理や建替え、改修に関する相談に、マンション管理士が総合的に答える窓口です。相談は無料。
- 相談日:月曜〜金曜、第1土曜・第3日曜(祝日、年末年始を除く)
- 相談時間:9:00〜17:00(毎週水曜は延長あり)
- 方法:電話、メール、ファクス、対面に加え、Zoomによるweb相談(1週間前までに要予約)
- 問い合わせ:(公財)東京都防災・建築まちづくりセンター 03-6427-4900
相談内容の例として、区のページは「大規模修繕工事の検討や準備に関する相談」「改修や建替えに向けた合意形成のアドバイス」を挙げています。Zoom対応があるので、理事会の場に画面をつないで、その場で聞くという使い方もできます。
板橋区の区民相談室で使える11種目——建築相談が効く
多くの区で見落とされているのが、住宅部門ではなく広聴部門が持っている相談室です。板橋区の区民相談室は11種目を用意しており、マンション管理に関係するものが複数あります。
| 種目 | 担当 | 日時 | 時間 |
|---|---|---|---|
| 法律相談 | 弁護士 | 月〜金 13:00〜16:00(水曜夜間17:00〜19:00、水曜は赤塚支所でも実施) | 30分以内 |
| 建築相談 | 建築士 | 木曜 13:00〜16:00 | 45分以内 |
| 不動産取引相談 | 宅地建物取引士 | 火曜 13:00〜16:00 | 45分以内 |
| 登記相談 | 司法書士 | 木曜 13:00〜16:00 | 40分以内 |
(出典:板橋区「区民相談室」/更新日2026年9月7日)
- 場所:板橋区板橋二丁目65番6号 板橋区情報処理センター4階
- 予約電話:03-3579-2288(受付9:00〜17:00、水曜は19:00まで)
- 予約開始:相談希望日の1週間前(同じ曜日)の9時から、先着順
- 法律相談は年度内(4月1日〜翌3月31日)に3回まで。無断欠席も1回として数えられます
- 法律相談はZoomでのオンライン相談も可能(平日14:15〜14:45の1枠)
注意点をふたつ。対象は「区内在住・在勤・在学の個人」で、法人は対象外です。また法律相談について区は「法人等の営業上の相談はお受けしておりません」と明記しています。収益不動産を法人名義で所有されている方は、この窓口ではなく東京都分譲マンション専門相談や、次に述べる民間のセカンドオピニオンをお使いいただくことになります。
そのうえで、木曜の建築相談(建築士・45分以内)は覚えておく価値があります。「新築・増改築前後の手続き、設計・施工・請負契約など」が相談範囲ですので、大規模修繕の請負契約書を持ち込んで第三者の目を通す、という使い方が考えられます。45分は決して短くありません。
お金の話:板橋区で大規模修繕を検討するときの目安
制度の話ばかりでは実感が湧かないと思いますので、費用の目安も出しておきます。すべて参考値のレンジです。実際の見積は建物の形状・劣化状況・立地によって大きく変動します。
| 工種 | ㎡単価の目安 |
|---|---|
| 外壁塗装 | 3,500〜4,500円/㎡ |
| 外壁打診調査 | 250〜500円/㎡ |
| 屋上・バルコニー防水 | 5,000〜8,000円/㎡ |
30戸規模のマンションで大規模修繕を一巡させると、総額のレンジは3,500〜5,000万円程度。このうち仮設足場が15〜25%を占めます。足場だけで500万〜1,200万円という計算です。
私がロープアクセス工法(産業用ロープで作業員が懸垂し、足場を組まずに外壁作業を行う無足場工法)をご提案することが多い理由は、ここにあります。10階建て・外周80m・工期3か月というモデルケースでは、足場の仮設費が約168万円に対し、ロープアクセスなら約59万円。差額は約109万円です。
ただし、どんな建物でもロープアクセスが最適というわけではありません。低層で形状が複雑な建物、外壁の改修範囲が広い建物は、足場を組んだほうが総合コストで有利になります。だからこそ明誠では、通常足場・ロープアクセス・両者を部位ごとに使い分けるハイブリッド工法の3つから選べる体制をとっています。3工法を自社で提案できる会社は、国内でも多くありません。料金の考え方は明誠の大規模修繕の料金の考え方にまとめています。
株式会社明誠はこれまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセス工法での高所作業について、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業では過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。作業員はIRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の技能訓練を受けています。この安全体制の詳細はロープアクセスドットコムで公開しています。安全管理の考え方は明誠の安全管理への取り組みもあわせてご覧ください。
板橋区は、高島平・志村・常盤台・大山・成増と、地域ごとに建物のストック年齢が大きく異なる区です。高島平のように昭和40年代後半から50年代の大規模団地・マンションが集中する一角もあれば、板橋・大山周辺のように再開発が進んだ一角もある。同じ板橋区でも、打つべき手はまったく違います。
相談に行くとき、何を持っていけばいいか
20分や30分、45分という枠を最大限に使うために、私がいつもお伝えしている3点セットがあります。
- 直近3期分の総会議事録 — 何が決まり、何が先送りされてきたかが一目で分かります
- 長期修繕計画書 — 更新が10年以上止まっていても構いません。むしろ止まっていること自体が相談材料であり、板橋区の助成の対象要件(7年以上見直していない)にも直結します
- 管理規約(最新版) — 標準管理規約は令和7年に改正されています。自組合の規約がどの版に準拠しているかで、打てる手が変わります
余裕があれば、修繕積立金の残高が分かる直近の決算書と、気になっている箇所のスマホ写真を加えてください。写真は強力です。「南面3階のバルコニー下に白い筋が出ている」と口で説明するより、1枚見せたほうが専門家の判断は速くなります。
法令面では、令和7年5月30日公布の「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律」(令和7年法律第47号)が令和7年11月28日に一部施行されています。建替えや大規模な改修を視野に入れている管理組合は、この改正を踏まえた助言を受けられるかどうかで、相談の価値が変わってきます。
よくあるご質問
Q. 板橋区の4つの新規助成は、管理状況届を出していないと使えませんか?
A. 管理アドバイザー助成と長期修繕計画作成費の助成は、いずれも「区の条例に基づくマンション管理状況届が提出済み」が要件として明記されています。建替え・改修アドバイザー助成はさらに管理計画認定の取得(Aコースは検討中も可)、防災助成は板橋区管理計画認定マンションであることが条件です。まず届出、というのが順序になります。
Q. 長期修繕計画の作成費用はどれくらいかかりますか?
A. 建物規模や委託先によりますが、30〜50戸規模の分譲マンションで数十万円程度が一つの目安です。板橋区の助成は税抜経費の上限20万円ですので、たとえば60万円(税抜)の計画作成なら20万円が助成の上限額に当たります。劣化診断を伴う場合は別途費用がかかります。明誠では概算のお見積りを無料でお出ししていますので、金額感の確認だけでもお声がけください。
Q. 助成の申請は工事や計画作成を始めた後でもできますか?
A. 原則としてできません。区は「必ず利用を申し込む前に申請してください。申込後の申請はできません」(アドバイザー助成)、「作成を開始する前に申請」(長期修繕計画助成)と明記しています。ただし令和8年度に限り、令和8年4月1日から令和8年11月30日までに料金を振り込んだ、または契約した場合の経過措置が用意されています。該当しそうであれば住宅政策課(03-3579-2730)にご相談ください。
Q. 予算がなくなったらどうなりますか?
A. 4本とも「予算の上限に達し次第終了」と区が明記しています。申請締切の令和8年12月28日まで枠が残っている保証はありません。本記事執筆時点(2026年9月22日)で予算残額は公表されていませんので、検討中の管理組合は早めに残枠の状況をご確認ください。
Q. 大規模修繕の工期は、足場とロープアクセスでどれくらい違いますか?
A. ロープアクセス工法は足場の組立・解体の期間がまるごと不要になるため、足場工法のおよそ60%の工期が目安です。10階建て・外周80mのマンションであれば、足場工法で3か月程度のところ、ロープアクセスなら1.5〜2か月程度になります。ただし改修範囲が広い場合は差が縮まります。
Q. 足場を組まないと、住民への負担は本当に減るのですか?
A. 足場とメッシュシートで建物を囲うと、日照と通風が数か月にわたって制限され、防犯上の不安も出ます。ロープアクセスは作業する面だけを順に進めるため、影響が及ぶ期間と範囲が限定されます。板橋区のように店舗併設や賃貸併用の物件が多い地域では、営業への影響という観点でも差が出ます。
Q. 管理会社を通さずに、明誠に直接相談してもいいのでしょうか?
A. もちろんです。セカンドオピニオンとしてお使いいただくケースが一番多いです。既存の見積書を拝見して、数量と単価の妥当性を一緒に確認するだけでも結構です。お問合せフォームからご連絡ください。管理組合向けのご案内は明誠の管理組合向けサービスにまとめています。
Q. 賃貸マンションのオーナーでも使える制度はありますか?
A. 板橋区の4つの助成と区の管理状況届出制度は、いずれも分譲マンションの管理組合が対象です。賃貸マンションのオーナーさまは区民相談室の建築相談・不動産取引相談(区内在住・在勤・在学の個人が対象)や、民間の第三者による診断をご検討ください。収益物件の維持管理については明誠のオーナー向けサービスをご覧ください。
まとめ:今週、板橋区の管理組合が動けること3つ
長くなりましたので、動き出しの3手に絞ります。
1. マンション管理状況届の提出状況を確認する
平成30年施行の区条例により、区内の全マンションに届出義務があります。届出が受理されれば、東京都のマンションアドバイザー派遣が無料になり、板橋区の助成の入口にも立てます。届出書類は区のページからダウンロードでき、メール(mansion@city.itabashi.tokyo.jp)でも提出できます。
2. 住宅政策課(03-3579-2730)に電話して、助成の残枠を聞く
4本とも締切は令和8年12月28日ですが、予算上限に達し次第終了です。特に長期修繕計画作成費の助成は総会決議と見積書が必要ですので、年内の理事会・総会スケジュールから逆算する必要があります。
3. 次の日曜の無料相談会を理事会カレンダーに入れる
第1日曜は東京都マンション管理士会板橋支部、第2日曜は板橋区マンション管理士会。どちらも板橋区立グリーンホールで、どちらも無料です。予約は電話一本。ここで「うちのマンションは助成の要件を満たすか」を整理しておくと、区役所への電話が具体的になります。
板橋区の令和8年度は、正直に申し上げて、分譲マンション支援としてかなり手厚い年です。長期修繕計画に20万円、防災に最大100万円、都のアドバイザー利用料は全額。これだけの制度が同時に走る年度は、そう多くありません。
一方で、どれも事前申請が絶対条件で、予算枠があるという共通の制約を持っています。制度は、知っていて、かつ順番を守った管理組合にしか届きません。
私は現場でこう思うことがあります。管理組合が損をするのは、悪い業者に当たったときよりも、相談しないまま時間だけが過ぎたときのほうがずっと多い、と。壁の浮きも、防水の切れも、待っていて良くなることはありません。
明誠のこれまでの明誠の施工事例もあわせてご覧いただければ、実際にどんな建物でどんな判断をしてきたかが伝わると思います。板橋区の物件で、区や都の制度を使いながら進めた案件もあります。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。
出典・参考資料
- 板橋区「令和8年度新規事業」(更新日2026年6月11日)
- 板橋区「マンション管理アドバイザー制度(都制度)への助成」(更新日2026年6月11日)
- 板橋区「マンション建替え・改修アドバイザー制度(都制度)への助成」(更新日2026年6月11日)
- 板橋区「マンション防災の助成」(更新日2026年8月28日)
- 板橋区「長期修繕計画作成費の助成」(更新日2026年6月11日)
- 板橋区「マンション管理士会による無料相談会」(更新日2026年6月10日)
- 板橋区「東京都による分譲マンションの相談窓口」(更新日2026年6月10日)
- 板橋区「【板橋区】分譲マンションの管理状況届出制度について」(更新日2026年6月10日)
- 板橋区「マンション管理計画認定制度」(認定マンション一覧は令和8年9月15日更新)
- 板橋区「区民相談室」(更新日2026年9月7日)
- (公財)東京都防災・建築まちづくりセンター「マンションアドバイザー無料派遣」
- 国土交通省「マンションの管理計画認定の基準」(PDF)
- 国土交通省「長期修繕計画標準様式・作成ガイドライン・同コメント」(PDF)
本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月22日時点で公表されている東京都板橋区および国土交通省・東京都の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。特に本記事で紹介した板橋区の4つの助成は「予算の上限に達し次第終了」とされています。実際に申請される前に、必ず東京都板橋区および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。
この記事の執筆者
本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。
最終更新:2026年9月22日


