
練馬区でマンションやビルを所有されている方から、秋になると決まって同じ質問をいただきます。「うちの建物は今年報告が必要なのか」「報告書は練馬区役所に持って行けばいいのか」。
どちらも答えは、多くの方が思っているものと違います。練馬区の建物でも、特定建築物定期調査報告書の提出先は練馬区役所ではありません。そして報告の前に、練馬区へ「整理番号の付番依頼」という手続きを済ませておく必要があります。これを知らずに報告期限の直前に動き出し、間に合わなくなるケースを毎年見ています。
この記事では、令和8年度(2026年度)に練馬区で定期報告の対象年を迎えるのはどの用途の建物か、外壁の全面打診が必要になる10年トリガーをどう数えるか、そして練馬区の住宅地という立地条件のなかで、打診調査を足場とロープアクセスのどちらで進めるべきかを、費用の目安まで含めて整理します。
私は本間幸紘と申します。東京都東大和市を拠点に、マンション・ビル・ホテルの大規模修繕を20年以上やってきました。練馬区でも光が丘、石神井、大泉学園、豊玉あたりの物件を数多く見ています。制度の教科書的な解説ではなく、理事会やオーナーさまと実際に交わしている話をそのまま書きます。
更新日:2026年9月23日
結論:令和8年度に練馬区で報告年を迎えるのは「用途コード30番台」。期限は10月31日
先に結論を表でまとめます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 令和8年度の特定建築物定期調査の報告年次 | 用途コード30番台(事務所、物販店舗、飲食店、遊技場など) |
| 報告期間 | 令和8年5月1日〜令和8年10月31日 |
| 共同住宅(用途コード40番台) | 令和8年度は報告年次ではない(3年周期で令和6年度・令和9年度・令和12年度) |
| 特定行政庁 | 練馬区(敷地内に延べ面積1万㎡を超える建築物がある場合は東京都) |
| 特定建築物の報告書の提出先 | 公益財団法人 東京都防災・建築まちづくりセンター 建築防災課(03-5989-1929) |
| 練馬区の担当窓口 | 建築・開発担当部 建築審査課 設備係(03-5984-1937/ファクス03-5984-1225) |
| 報告前に必要な手続き | 整理番号の付番依頼(新規登録用紙をファクスまたはLoGoフォームで提出) |
| 外壁全面打診の周期 | 竣工または外壁改修からおおむね10年に一度 |
| 押印 | 廃止済み(練馬区の押印見直しの取組みによる) |
出典:練馬区「定期調査・検査報告制度」(更新日2026年2月26日)、東京都都市整備局「3.定期報告対象建築物・建築設備等及び報告時期一覧」
この記事を書いている時点で、令和8年10月31日の報告期限まで残り約40日です。用途コード30番台の建物をお持ちで調査会社がまだ決まっていない方は、9月中が実質的な判断のリミットになります。
この記事で答える質問
- 令和8年度に練馬区で12条報告が必要なのは、どんな建物か
- 報告書はどこに出すのか(練馬区役所ではありません)
- 報告の前に必要な「整理番号の付番依頼」とは何か
- 外壁の全面打診が必要になるのはどういうときか。起算日はいつか
- 令和7年7月に施行された告示改正で、何が変わったのか
- 打診調査は実際いくらかかるのか。足場とロープアクセスでいくら差が出るのか
建築基準法第12条とは:4種類の報告があり、提出先がそれぞれ違います
ここでつまずく方が非常に多いので、最初に整理します。
建築基準法第12条は、ホテル、デパート、病院、飲食店、共同住宅など不特定多数の人が利用する建築物(特定建築物)について、有資格者による定期的な調査・検査と、特定行政庁への報告を所有者・管理者に義務づけています。練馬区は区の公式サイトで、この制度の目的を「火災などの災害が起こったときに大きな被害が出る恐れがある」危険を避けるためと説明しています。
報告は4種類に分かれ、練馬区は公式サイトで受付機関をそれぞれ明記しています。
| 種類 | 対象 | 報告受付機関 | 電話 |
|---|---|---|---|
| 特定建築物(調査) | 敷地、一般構造、構造強度、防火・避難関係 | 東京都防災・建築まちづくりセンター | 03-5989-1929 |
| 防火設備(検査) | 防火戸、防火シャッター、耐火クロススクリーン等 | 東京都防災・建築まちづくりセンター | 03-5989-1937 |
| 建築設備(検査) | 機械換気設備、排煙設備、非常用の照明装置、給排水設備 | 日本建築設備・昇降機センター | 03-3591-2421 |
| 昇降機等・遊戯施設(検査) | エレベーター、エスカレーター、小荷物専用昇降機等 | 東京都昇降機安全協議会 | 03-6304-2225 |
外壁の打診調査が関わるのは、一番上の「特定建築物(調査)」だけです。ここを押さえてください。
エレベーターの保守業者から「12条の検査は終わっています」と言われても、それは昇降機等の定期検査であり、外壁の話は一切含まれていません。この混同のまま10年以上が過ぎていた練馬区内の賃貸マンションを、私自身これまでに何件も見てきました。
消防設備点検とはまったく別の制度です
練馬区は定期調査報告のページに、わざわざ注意書きを置いています。
建築基準法に基づく「定期調査・検査報告制度」は、消防法に基づく消防用設備等点検とは異なる制度ですのでご留意ください。
消防設備点検の報告書を毎年出しているから12条も大丈夫、という理解は誤りです。所管する法律も、報告先も、周期も別物です。
共同住宅の住戸内は調査対象から外れます
練馬区の「定期調査・検査報告 対象建築物時期一覧」には、共同住宅(高齢者、障害者等の就寝の用に供するものを除く)の住戸内は、定期調査・検査の報告対象から除かれると明記されています。区分所有者の専有部に立ち入る必要はありません。理事会でこの点を先に共有しておくと、居住者への説明がぐっと楽になります。
練馬区の特定行政庁と窓口:1万㎡が分かれ目です
練馬区内の建物について、どこが所管するかは延べ面積で決まります。
| 建物の規模 | 所管 | 連絡先 |
|---|---|---|
| 敷地内に延べ面積1万㎡を超える建築物がある場合 | 東京都 市街地建築部 建築企画課(建築安全担当) | 03-5388-3344(直通) |
| 上記以外(1万㎡以下) | 練馬区 建築・開発担当部 建築審査課 設備係 | 03-5984-1937(直通) |
練馬区にある分譲マンション・賃貸マンション・中小ビルの大半は、1万㎡以下の枠に入ります。つまり実務上の窓口は練馬区建築審査課設備係(ファクス03-5984-1225)です。練馬区役所の所在地は〒176-8501 練馬区豊玉北6丁目12番1号です。
ただし繰り返しますが、報告書そのものの提出先は練馬区役所ではなく、新宿区西新宿の東京都防災・建築まちづくりセンター(〒160-8353 新宿区西新宿7-7-30 小田急西新宿O-PLACE 2階)です。同センターの受付時間は月〜金(祝祭日を除く)9:00〜11:30/13:00〜16:00です。
報告の前にやること:練馬区への「整理番号の付番依頼」
ここが練馬区の実務で最もつまずきやすいポイントです。
練馬区は、区が管轄する特定建築物および防火設備の定期報告について、あらかじめ新規登録用紙を提出して整理番号を付番してもらう必要があると定めています。整理番号がないと報告書が受け付けられません。
手続きは2通りあります。
- ファクス:練馬区の「特定建築物の新規登録用紙」(PDF/Excel)をダウンロードし、建築審査課設備係(03-5984-1225)へ送信
- LoGoフォーム:https://logoform.jp/form/G2rU/1333680 からオンライン申請
LoGoフォームを使う場合、練馬区は2点の注意を挙げています。練馬区の敷地内に延べ面積1万㎡以下の特定建築物がある場合に限ること、そして確認済証の交付がない建築物は事前に相談することです。また区は「申請いただいた後、事務手続き上しばらくお時間を頂戴する場合があります」と明記しています。
報告期限が10月31日である以上、整理番号の取得は9月中に着手しておくのが現実的です。用紙の様式は練馬区「定期調査・検査報告 対象建築物時期一覧」からダウンロードできます。
なお、押印は廃止されています。古い記入例を見て実印を探し回る必要はありません。
新築直後は「初回免除」があります
新築・改築した建物には初回免除の制度があります。東京都都市整備局の説明では、特定建築物は「検査済証の交付を受けた日の属する年度の翌年度以降の2回目の報告時期から」報告が必要になります。
3年周期の共同住宅を例にすると、令和5年度中に検査済証が交付された建物は、令和6年度の報告が免除され、令和9年度(令和9年5月1日〜10月31日)から報告が必要になります。検査済証の取得時期によって最初の報告までの期間に幅が出るため、練馬区の「特定建築物の定期報告の初回報告時期早見表」で必ず確認してください。
一方、建築設備と昇降機等は取扱いが異なり、検査済証交付日の翌日から起算して2年を経過する日までに初回報告が必要です。同じ「12条」でもルールが違う点に注意してください。
外壁の全面打診が必要になるのは、いつからか
ここが本題です。
国土交通省は、外装仕上げ材等におけるタイル、石貼り等(乾式工法によるものを除く)、モルタル等の劣化および損傷の状況の調査について、平成20年国土交通省告示第282号で次のように定めています。
- おおむね6か月から3年以内に一度:手の届く範囲の打診等
- おおむね10年に一度:落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分の全面的な打診等
出典:国土交通省「定期報告制度における外壁のタイル等の調査について」
10年の起算日の数え方
実務での数え方はシンプルです。
| 状況 | 起算日 |
|---|---|
| 竣工後、一度も全面打診をしていない | 竣工日 |
| 前回、全面打診を実施した | 前回の全面打診の実施日 |
| 外壁の全面改修工事(塗替え・タイル張替え等)を行った | その改修工事の完了日 |
この起算日から10年を超えた後の、最初の報告時期に全面打診が必要になります。逆に言えば、大規模修繕で外壁を全面改修すれば、そこから10年のカウントがリセットされます。大規模修繕と12条点検のタイミングを合わせると、調査費用と足場費用の二重払いを避けられます。ここは理事会で必ず検討してほしい論点です。
打診以外の方法も認められています
令和4年1月18日付けで平成20年国土交通省告示第282号が一部改正され、無人航空機(ドローン)による赤外線調査であって、テストハンマーによる打診と同等以上の精度を有するものが調査方法として明確化されました。精度の判定にあたっては、一般財団法人日本建築防災協会が取りまとめた「定期報告制度における赤外線調査(無人航空機による赤外線調査を含む)による外壁調査ガイドライン」を参照することとされています。
ただし現場感覚で言うと、ドローン赤外線は形状が単純で、周囲に十分な離隔があり、日射条件が整った建物で威力を発揮します。練馬区に多い、隣地との隙間が狭い中層マンションや、敷地内に樹木の多い物件では、条件が合わないことが少なくありません。明誠ではドローンを使った外壁調査とロープアクセスによる直接打診を、建物ごとに使い分けています。
令和7年7月施行の告示改正で、調査項目と判定基準が変わりました
練馬区は公式サイトのお知らせ欄で、次の2つの告示改正を案内しています。
- 令和6年国土交通省告示第974号(令和6年6月28日公布、令和7年7月1日施行)
- 令和7年国土交通省告示第53号(令和7年1月29日公布、令和7年7月1日施行)
これにより、定期調査・検査等の項目、事項、方法および結果の判定基準、ならびに調査結果表等の見直しが行われました。改正内容の詳細は東京都都市整備局「2.定期調査・検査制度改正の内容」に掲載されています。
実務上の意味はひとつです。令和7年7月1日以降に実施する調査は、新しい判定基準と新しい様式で行う必要があるということ。前回報告時の書式をそのまま使い回すと差し戻されます。調査会社に見積を依頼するときは「令和7年7月施行の改正後の様式・判定基準に対応していますか」と一言確認してください。
練馬区のマンションストックと、令和8年度に始まった管理適正化推進計画
練馬区の建物事情も押さえておきます。
練馬区が令和6年度に実施した分譲マンション実態調査によると、区内の分譲マンションは1,549棟。建築時期別に見ると、昭和55年(1980年)以前に建築された高経年マンションが約13.4%、昭和56年(1981年)〜平成2年(1990年)建築の約23.7%を加えると、建築後30年以上を経過した分譲マンションが約37.1%を占めます。
さらに区の推計では、高経年マンションは令和15年に659棟(27,140戸)、令和25年に1,062棟(42,770戸)へと大きく増えていく見込みです。
出典:練馬区「練馬区分譲マンション実態調査(令和6年度)」(報告書は令和7年3月公表)
そして練馬区は、この調査結果を踏まえて練馬区マンション管理適正化推進計画(令和8年度〜令和17年度)を令和8年3月に策定しました。つまり令和8年度は、練馬区のマンション管理施策が新しい10年計画に入った初年度にあたります。区が管理状況を把握しにいく方向性が強まる局面で、12条報告の未提出を放置しておく理由はひとつもありません。
出典:練馬区「練馬区マンション管理適正化推進計画を策定しました」
なお、共同住宅(用途コード40番台)の次の報告年次は令和9年度です。1,549棟の分譲マンションの多くは、令和8年度ではなく令和9年度が本番になります。令和9年5月の報告開始まで、準備にかけられる時間はおよそ7か月。長期修繕計画の見直しや大規模修繕の検討とセットで動くなら、いま理事会の議題に載せるのがちょうどよいタイミングです。
練馬区で外壁全面打診を進めるときの3つの工法
全面打診には「手が届かない高所までアクセスする手段」が必要です。選択肢は実質3つです。
| 工法 | 概要 | 練馬区での向き・不向き |
|---|---|---|
| 仮設足場 | 建物全周に足場を組む | 形状が複雑な建物、同時に大規模修繕を行う場合に有利。敷地に余裕が必要 |
| ロープアクセス(無足場工法) | 屋上から産業用ロープで降下して直接打診 | 隣地との隙間が狭い、敷地内に樹木が多い、調査だけを先行したい場合に有利 |
| ハイブリッド工法 | 部位ごとに足場とロープアクセスを使い分け | 低層部は足場、高層部・狭隘部はロープ。総合コストを最適化できる |
練馬区は住宅地としての性格が強く、敷地内に樹木や植栽を抱えた物件、隣地境界まで余裕のない中層マンションが多いエリアです。足場を組む場合、植栽の養生や剪定、隣地への越境調整が工程に乗ってきます。ここが見積に効いてきます。
株式会社明誠は、この3工法をすべて自社の判断で提案できる、日本でも数少ない会社です。工法の技術的な背景については、同業者・加盟希望者向けの姉妹サイトロープアクセスドットコムでも詳しく解説しています。発注者側の視点での整理は明誠のロープアクセス工法のページをご覧ください。
費用の目安:打診調査の㎡単価と、足場との差額
金額の話をします。実際の見積は建物の規模・形状・立地で大きく変動するため、あくまで目安・レンジとしてお読みください。
打診調査そのものの単価
| 項目 | 単価の目安 |
|---|---|
| 外壁全面打診調査 | 250〜500円/㎡ |
| 外壁塗装(大規模修繕時) | 3,500〜4,500円/㎡ |
| 屋上防水 | 5,000〜8,000円/㎡ |
足場とロープアクセスの差額(モデルケース)
練馬区によくある「10階建て・外周80m・工期3か月」のマンションを想定した参考値です。
| 項目 | 仮設足場 | ロープアクセス |
|---|---|---|
| 仮設費用の目安 | 約168万円 | 約59万円 |
| 差額 | — | ▲約109万円 |
| 調査だけの工期 | 足場架設・解体を含めて数週間 | 数日〜1週間程度 |
| 居住者への影響 | 窓が塞がれる、洗濯物が干せない、防犯面の不安 | 該当面の作業時間帯のみ |
30戸規模のマンションの大規模修繕は総額3,500〜5,000万円程度、そのうち仮設足場が15〜25%を占めます。調査のためだけに足場を組むかどうかは、この比率を見れば判断材料になります。料金の考え方は明誠の料金に対する考え方にまとめています。
ただし、足場が正解になるケースも確実にあります。 打診調査と同時に大規模修繕を実施するなら、足場を一度組んで全工程を終わらせたほうが総額は下がります。「調査だけ先に、修繕は2〜3年後に」という段階的な進め方をするときに、ロープアクセスの費用対効果が最も大きくなります。ここを取り違えないでください。
安全と品質をどう担保するか
高所作業である以上、安全管理が品質の前提です。
株式会社明誠はこれまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセス工法での高所作業について、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業では過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。作業員はIRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の技能訓練を受けており、明誠は日本ロープ高所作業協会の事務局も担当しています。
また明誠は、日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部として、塗装・防水・タイル・電気・看板の各分野の専門職に加盟いただいています。打診で不具合が見つかった後、補修まで同じ体制で一貫して対応できるのはこのためです。安全管理の具体的な取り組みは明誠の安全管理の考え方を、訓練体制や技術基準の詳細はロープアクセスドットコムをご覧ください。
明誠のこれまでの施工事例は https://rita-construction.com/category/%e6%96%bd%e5%b7%a5%e4%ba%8b%e4%be%8b/ からご覧いただけます。
練馬区で打診調査を依頼する前のチェックリスト
理事会やオーナーさまにお渡ししている確認項目です。
- 建物の用途コードは何番台か(令和8年度は30番台が報告年次)
- 検査済証の交付日はいつか(初回免除の判定に必要)
- 前回の全面打診の実施日、または外壁の全面改修工事の完了日はいつか
- 練馬区の整理番号は取得済みか(未取得ならLoGoフォームで先に申請)
- 見積が令和7年7月施行の改正後の様式・判定基準に対応しているか
- 打診調査の見積は㎡単価で提示されているか(一式表記は比較できません)
- 仮設費用が足場前提かロープアクセス前提か、内訳で分かれているか
- 打診で不具合が出た場合の補修工事の単価まで提示されているか
- 大規模修繕の実施予定時期と、調査時期を揃えられないか検討したか
特に6番と7番です。「外壁調査一式」としか書かれていない見積書は、他社と比較できません。㎡単価と数量で出してもらってください。
よくあるご質問
Q. 練馬区の建物ですが、報告書は区役所に持って行けばいいですか?
A. いいえ。特定建築物と防火設備の報告書の提出先は、公益財団法人 東京都防災・建築まちづくりセンター(新宿区西新宿7-7-30 小田急西新宿O-PLACE 2階、03-5989-1929)です。練馬区建築審査課設備係(03-5984-1937)は、整理番号の付番依頼や制度の問い合わせ窓口という位置づけです。
Q. 令和8年度にうちのマンションは報告が必要ですか?
A. 共同住宅(用途コード40番台)は3年周期で、令和8年度は報告年次ではありません。次の報告年次は令和9年度(令和9年5月1日〜10月31日)です。ただし店舗や事務所が併設された複合用途の建物は判定が変わることがあるため、東京都の「報告対象建築物の判断のフローチャート」で確認するか、練馬区建築審査課設備係へお問い合わせください。
Q. 外壁の全面打診の費用はいくらかかりますか?
A. 打診調査そのものは250〜500円/㎡が目安です。これに高所へのアクセス費用が加わります。10階建て・外周80mの建物で、仮設足場なら約168万円、ロープアクセスなら約59万円が参考値で、差額は約109万円です。物件の形状や立地で変動しますので、無料で概算のお見積りをお出しします。
Q. ロープアクセスだと打診の精度は落ちませんか?
A. 落ちません。ロープアクセスは作業員が壁面に直接張り付いてテストハンマーで打診するため、足場上の打診とまったく同じ直接打診です。むしろ足場の布板の位置に縛られないぶん、目地際や開口部まわりなど確認したい箇所へ自由に寄れます。
Q. 工期はどれくらい短くなりますか?
A. 調査だけであれば、足場は架設と解体を含めて数週間かかるのに対し、ロープアクセスは数日〜1週間程度で完了します。修繕工事まで含めた場合も、ロープアクセス工法は足場工法のおおむね60%程度の工期が目安です。
Q. 報告を出さないとどうなりますか?
A. 建築基準法第12条に基づく報告は所有者・管理者の法的義務です。報告をしなかった場合や虚偽の報告をした場合には、同法に罰則の定めがあります。それ以上に、外壁タイルが落下して通行人に当たれば、所有者が工作物責任を問われます。練馬区は通学路や商店街に面した中低層のマンション・ビルが多いエリアです。リスクの所在を具体的に考えてみてください。
Q. 整理番号の付番依頼にはどれくらい時間がかかりますか?
A. 練馬区は「申請いただいた後、事務手続き上しばらくお時間を頂戴する場合があります」と案内しています。具体的な日数は公表されていないため、報告期限から逆算して余裕をもって申請することをおすすめします。10月31日期限であれば、9月中の着手が現実的です。
Q. 調査で不具合が見つかったら、すぐ補修しないといけませんか?
A. 落下のおそれがある部分は、応急措置を含めて速やかな対応が必要です。一方、直ちに危険がない劣化は、次回の大規模修繕にまとめたほうが総額を抑えられる場合があります。どこまでが「早急な対応が必要」で、どこからが「次の修繕でよい」かの線引きを、調査報告と同時に示してくれる会社を選んでください。
まとめ:練馬区の12条点検で、今日決められること
- 令和8年度の報告年次は用途コード30番台、期限は令和8年10月31日
- 共同住宅の次の報告年次は令和9年度。準備期間はおよそ7か月
- 報告書の提出先は練馬区役所ではなく東京都防災・建築まちづくりセンター
- 報告の前に、練馬区へ整理番号の付番依頼(LoGoフォームまたはファクス)
- 外壁全面打診は竣工または外壁改修から10年。大規模修繕で起算日はリセットされる
- 令和7年7月1日施行の告示改正に対応した新様式・新判定基準での調査が必要
- 調査単価は250〜500円/㎡。足場とロープアクセスの仮設費差は約109万円が参考値
練馬区の物件で「うちは足場とロープアクセスのどちらが得か」を判断したい方は、建物の階数・外周長・竣工年・前回調査時期の4点をお知らせください。概算の比較表をお出しします。ご相談は明誠のお問い合わせフォームから承ります。管理組合の皆さま向けの進め方は管理組合向けサービスのページ、収益物件をお持ちのオーナーさま向けにはオーナー向けサービスのページもご用意しています。
本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月23日時点で公表されている練馬区および国土交通省・東京都の公式情報をもとに執筆しています。なお、練馬区の「定期調査・検査報告制度」「定期調査・検査報告 対象建築物時期一覧」の各ページは更新日が2026年2月26日であり、令和8年度の運用について変更が生じている可能性があります。制度は年度途中でも改正があり得ます。実際に報告される前に、必ず練馬区建築審査課設備係(03-5984-1937)および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。
参考にした一次情報
- 練馬区「定期調査・検査報告制度」(更新日2026年2月26日)
- 練馬区「定期調査・検査報告 対象建築物時期一覧」(更新日2026年2月26日)
- 練馬区「定期調査・検査報告概要書の閲覧」
- 練馬区「練馬区分譲マンション実態調査(令和6年度)」
- 練馬区「練馬区マンション管理適正化推進計画を策定しました」
- 東京都都市整備局「2.定期調査・検査制度改正の内容」
- 東京都都市整備局「3.定期報告対象建築物・建築設備等及び報告時期一覧」
- 国土交通省「定期報告制度における外壁のタイル等の調査について」
- 公益財団法人 東京都防災・建築まちづくりセンター「特定建築物定期調査報告」
この記事の執筆者
本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。
最終更新:2026年9月23日


