本間社長ブログ

東京23区の賃料は5年で11%上昇予想|賃貸マンションオーナーが家賃を取りにいくための計画修繕と外壁・防水の費用の考え方【2026年10月】

東京23区の賃料は5年で11%上昇予想|賃貸マンションオーナーが家賃を取りにいくための計画修繕と外壁・防水の費用の考え方【2026年10月】
本間 幸紘

著作者プロフィール

株式会社明誠 代表取締役

本間 幸紘

大規模修繕・外壁工事・ロープアクセス工事に関する情報を、現場経験をもとに分かりやすくお届けします。

この記事で分かること

「東京23区の家賃は、これから5年で11%上がるらしい。だったら、うちの賃貸マンションも何もしなくても家賃が上がるのでは?」——最近、東京23区に賃貸マンションをお持ちのオーナーさまから、こうしたお声を聞くようになりました。

この記事では、次の問いにお答えします。東京23区で賃料の上昇が予想されるなか、賃貸マンションのオーナーは、その上昇を自分の物件の家賃に反映させるために、建物に何をしておけばよいのか?

きっかけは、2026年10月4日に届いたGoogleアラート(「賃貸マンション」「マンションオーナー」)で取り上げられていた、MUFG不動産研究所のレポート「東京23区賃貸マンションの賃料予想」です。原典のレポート(2026年9月18日公表、VOL.315)では、東京23区の賃貸マンションについて賃料予想モデルを構築し、今後5年間で+11%の賃料上昇を予想しています(出典:MUFG不動産研究所 不動産マーケットリサーチレポート VOL.315)。

私は株式会社明誠の本間と申します。東京都東大和市を拠点に、マンション・ビル・ホテルの大規模修繕を20年以上やってきました。足場を組む工事も、足場を使わないロープアクセス工法(無足場工法)も、現場で両方を経験しています。

結論を先に書きます。東京23区の賃料が全体として上がる予想であっても、それがすべての物件に均等に及ぶとは限りません。レポート自身も「物件毎のミクロなエリア選択」や「バリューアップ上の工夫」がより求められると述べています。私は、建物の外観・防水・共用部の状態を計画的に保っている物件ほど、賃料上昇の恩恵を受けやすいと考えています。 そして、建築費が上がり続ける局面だからこそ、「いつ・どこを・いくらで直すか」を長期修繕計画で先に決めておくことが、オーナーの手残りを守る近道です。

なお、この記事は投資助言ではありません。賃料や物件価値の見通しは、立地や物件ごとの条件で大きく変わります。最終的な判断は、ご自身の状況に合わせて専門家と相談のうえで行ってください。


何が起きている?「東京23区の賃料5年で+11%」予想を整理する

レポートの要点は3つ

MUFG不動産研究所のレポートの要点を、オーナーの視点で3つに整理します(すべて出典は前掲のVOL.315です)。

項目 レポートの内容
賃料の見通し 東京23区の賃貸マンション(18㎡以上100㎡未満)で、今後5年間に+11%の賃料上昇を予想
前提となる経済変数 東京都の名目賃金は年率+2%程度、東京都区部の人口は年率+0.3%程度、東京都の建築費は年率+5%程度で推移すると想定
投資の示唆 金利上昇・キャップレート上昇の可能性を踏まえると、物件ごとのミクロなエリア選択やバリューアップ上の工夫が、これまで以上に求められる

また同レポートは、2025年度の国内の賃貸マンションへの不動産投資額が前年度比+16%の1.5兆円に上ったこと、私募ファンドの運用会社への調査で賃貸マンションが「最も投資したいアセットタイプ」になっていることも紹介しています。

「+11%」は、名目賃金の伸びに近い水準

ここで注目したいのは、予想された賃料の伸び(+11%)が、名目賃金の上昇想定(+10%)に近い水準だという点です。レポートは、平均的には賃貸マンションに住む家計の収入に占める家賃の割合が大きく変わらない、と説明しています。

つまり、「家賃が大きく跳ね上がる」というより、「物価や賃金と歩調を合わせて、じわじわ上がる」予想だと私は読みました。入居者の支払い能力が急に増えるわけではないので、同じエリアの中で「どの物件を選ぶか」という比較の目は、むしろ厳しくなると考えられます。

「+11%でも心許ない」という指摘

もう一つ大事なのが、レポートの後半です。賃料が11%上がっても、金利上昇に伴ってキャップレート(不動産の利回りの目安)が0.4ポイント上がれば、その分で物件価値の上昇は相殺される、という試算が示されています。筆者は、これを「不動産価値維持の観点においてやや心許ない水準」と述べています。

オーナーの立場に置き換えると、「家賃が上がるから安心」ではなく、「家賃を上げられる物件にしておかないと、物件価値は守れないかもしれない」というメッセージだと、私は受け止めています。


賃料上昇の恩恵を受けられる物件、受けにくい物件

入居者は「建物の状態」を見ている

国土交通省の「賃貸住宅管理業者向け計画修繕ガイドブック」では、民間賃貸住宅の入居者が住み替え先を選ぶ際に重視したこととして、「住宅の状況(いたみ・劣化等)」や「住宅の維持管理」を重視した人が7割前後にのぼる調査結果が紹介されています(出典:国土交通省 賃貸住宅管理業者向け計画修繕ガイドブック。原調査は一般財団法人住宅改良開発公社「賃貸住宅市場の動向と将来予測(展望)調査」2020年8月)。

内見に来た方は、部屋に入る前に建物の外観を見ます。外壁の汚れやひび割れ、鉄部のさび、共用廊下の床のはがれ。こうした「入口の印象」は、家賃の交渉にも影響すると、私は現場で何度も感じてきました。

計画修繕をした物件の方が、利回りが高いという試算

同じガイドブックには、国土交通省のシミュレーション調査として、計画修繕を実施した場合と実施しない場合の実質利回りの比較が載っています。鉄筋コンクリート造(RC造)では、計画修繕ありが2.78%、なしが2.53%。木造でも、計画修繕ありの方が利回りが高いという結果です(いずれも同ガイドブック掲載のグラフ。原典では経営期間を、計画修繕ありの場合60年、なしの場合47年と設定しています)。

また、計画修繕を実施したことのあるオーナーへのアンケートでは、約3割が「高い入居率を確保できた」「家賃水準を維持できた」と回答しています。

それでも、計画修繕をしているオーナーは約4割

一方で、同ガイドブックの「はじめに」では、国土交通省の令和4年度の家主アンケートで、計画的に修繕を実施しているオーナーは約4割にとどまり、約2割は計画修繕を実施していないと紹介されています。

背景として挙げられているのは、オーナーが計画修繕の必要性を理解していないこと、資金的な余裕がないこと、などです。言い換えると、東京23区のように賃料上昇が予想されるエリアでも、建物の手入れの差によって、「上げられる物件」と「上げにくい物件」に分かれていく可能性がある、ということです。


建築費は上がり続ける|修繕を先送りするほど高くつく理由

労務単価は14年連続の上昇

修繕工事の費用は、資材費と人件費でほぼ決まります。国土交通省が2026年2月に公表した、令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価は、全国全職種の単純平均で前年度比4.5%の引き上げとなり、平成25年度の改定から14年連続の上昇、全国全職種の加重平均値は25,834円と初めて25,000円を超えました(出典:国土交通省 報道発表資料(令和8年2月17日))。

公共工事の単価ですが、民間の修繕工事でも職人の手間賃は同じ労働市場で決まります。私の実感としても、職人さんの確保は年々難しくなっています。

建築費は「上昇継続、ただし上げ幅は緩やか」の見方

先のMUFG不動産研究所のレポートでも、ゼネコン・デベロッパーへの「建築費調査」で、建築費の中期的な見通しについて96%が上昇継続を見込むと回答したことが紹介されています。一方で「上昇幅は縮小」「変わらない」との回答がそれぞれ44%あり、上げ幅は直近より緩やかになるとの見方が目立つ、とされています。

ここから言えるのは、「待てば安くなる」とは考えにくいということです。もちろん、劣化が軽いうちに無理に工事をする必要はありません。ただ、「来年の方が安いかもしれない」という理由で先送りするのは、いまの環境では合理的とは言いにくいと私は考えます。

劣化を放置すると、工事の範囲が広がる

ガイドブックでは、劣化を放置して外壁が破損し、雨水が住戸内に入った場合、入居者に一時退去してもらう必要が生じ、宿泊費や家財の補償などの費用まで発生しうる、という例が挙げられています。

現場でも、外壁のひび割れやシーリング(外壁の継ぎ目を埋めるゴム状の材料)の切れ目から雨水が入り、内部の鉄筋がさびて、コンクリートが押し出される「爆裂」まで進んでいる建物を見かけます。そこまで進むと、塗り替えだけでは済まず、下地の補修費が大きく膨らみます。漏水が起きている場合の対応は、明誠の漏水調査・雨漏り対応でもご紹介しています。


東京23区の賃貸マンションで、何をいくらで直すか

国の事例集に見る、外壁改修の費用感

国土交通省のガイドブックには、実際の大規模修繕の事例が掲載されています。

事例 建物 工事内容 工事費
物件A 築34年・RC造4階建・8戸(延床約335㎡) 外壁全体改修(屋上除く) 約700万円
物件B 築41年・RC造5階建・20戸(延床約1,365㎡) 外壁全体改修 約1,800万円
物件C 築28年・木造2階建・12戸(延床約266㎡) 屋根・外壁全体の改修 約470万円

(出典:国土交通省 賃貸住宅管理業者向け計画修繕ガイドブック Case Study)

あくまで個別の事例で、地域や時期、仕様によって金額は大きく変わります。ただ、「数百万円から千万円台」という規模感をつかむ参考にはなります。

部位ごとの単価の目安

私どもが見積りの入口でお伝えしている、部位ごとの参考目安(当社の見積実績にもとづく目安)は次のとおりです。いずれも足場などの仮設費を除いた材料・施工費の目安で、実際の見積りは建物の状態や仕様で上下します。

工事項目 参考目安(1㎡あたり) 補足
外壁塗装 3,500〜4,500円程度 下地補修の量で変動
外壁の打診調査 250〜500円程度 タイル・モルタルの浮きの確認
屋上・バルコニー防水 5,000〜8,000円程度 工法(ウレタン・シートなど)で変動

また、大規模修繕では、仮設足場の費用が総工費の15〜25%程度を占めることが多いというのが、当社の見積実績から見た私の実感です。足場は工事が終われば何も残らない費用なので、ここをどう設計するかが、総額を左右します。明誠が大切にしている考え方は、明誠の大規模修繕の提供価値にまとめています。

東京23区ならではの事情

東京23区の賃貸マンションは、敷地いっぱいに建っていて隣地との距離が近い、前面道路が狭い、という条件が多くあります。足場を組むために道路使用許可や隣地の協力が必要になったり、足場の期間中は窓の前にシートが張られて、入居者の採光・通風・防犯面の不安につながったりします。

賃料を上げたい物件で、工事中に退去が出てしまっては本末転倒です。工事の内容だけでなく、「工事のやり方」も入居率に影響するという視点を持っていただきたいと思います。


足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3工法をどう選ぶか

3工法の比較

明誠は、通常足場工法・ロープアクセス工法(無足場工法)・ハイブリッド工法の3つから、建物ごとに比べて提案しています。

工法 向いている建物・工事 入居者への影響 費用面の特徴
通常足場工法 外壁全面の塗り替えや大量のタイル張り替えなど、作業量が多い工事 足場・シートの期間が長くなりやすい 仮設費がかかる一方、作業効率は高い
ロープアクセス工法(無足場工法) 部分補修、シーリング、打診調査、高所の点検・補修、隣地が近い建物 足場の圧迫感がなく、工事期間も短くなりやすい 仮設費を大きく抑えられる場合がある
ハイブリッド工法 面によって劣化の度合いが違う建物 足場の範囲を絞れる 足場は必要な面だけにして総額を調整

ロープアクセスについては「ロープ1本で吊られている」と思われがちですが、実際はメインロープとバックアップロープの2本に接続し、2点以上の吊元(ロープを固定する点)を確保して作業するのが業界の標準的な考え方です。技術の詳細は、姉妹サイトのロープアクセスドットコム(無足場工法の専門メディア)で詳しく解説しています。明誠の工法の説明は、ロープアクセス工法の技術と特長のページもご覧ください。

どの工法がよいかは、建物の診断で決まる

私がいつもお伝えしているのは、「足場ありき」でも「ロープありき」でもなく、建物の状態から決めるべきということです。

たとえば、外壁全面の塗り替えが必要で、タイルの浮きも多い建物なら、足場の方が効率的なことがあります。逆に、劣化が北面と西面に集中していて、ほかの面は部分補修で足りる建物なら、ハイブリッド工法で足場の範囲を絞る選択肢が出てきます。シーリングの打ち替えや打診調査が中心なら、ロープアクセスで工期と費用を抑えられる場合があります。

明誠は、日本で初めてロープアクセス工事のフランチャイズを展開しており、塗装・防水・タイル・電気・看板などの専門職が加盟しています。専門職が直接施工することで、品質と価格のバランスを取りやすい体制にしています。ロープアクセスの訓練や安全基準については、ロープアクセスドットコムの記事も参考になります。


想定ケースで考える|東京23区・築25年・RC造30戸の賃貸マンション

想定する建物

ここからは、話を具体的にするための想定ケースです。実在の物件ではありません。

  • 所在:東京23区内、駅徒歩8分
  • 構造・規模:RC造7階建・30戸(1K〜1LDK)
  • 築年数:25年。12年目に一度、足場を組んで外壁塗装と屋上防水を実施
  • 現状:北面のシーリングに切れ、西面の一部にひび割れ。屋上防水は表面の劣化が進行。共用廊下の床シートにはがれ

3つの進め方

進め方 内容 オーナーにとっての意味
A:先送り 退去が出るたびに室内だけ手を入れ、外装は様子見 目先の出費は抑えられるが、劣化が進むと補修範囲が広がる。外観の印象で家賃交渉が弱くなるおそれ
B:全面足場で一括 4面に足場を組み、外壁・防水・鉄部をまとめて工事 工事の抜けは少ないが、仮設費と工期がかさむ。足場期間中の入居者の不満にも配慮が必要
C:診断→部位ごとに工法を選ぶ 打診調査と目視で劣化の度合いを確認し、劣化の大きい面は足場、軽い面はロープアクセスで補修。屋上防水と共用廊下は同時期に 仮設費を抑えつつ、必要な工事を計画的に実施。長期修繕計画に次回の時期と費用を書き込める

どれが正解かは、建物の診断結果とオーナーの資金計画で変わります。私の経験では、Cのように「まず診断し、部位ごとに工法を選ぶ」進め方が、費用と入居者への影響のバランスを取りやすいと感じています。

家賃との関係をどう考えるか

仮に、このマンションの平均家賃が月9万円・30戸だとすると、満室時の家賃収入は年間3,240万円です。もしレポートの予想どおりにエリアの相場が上がり、更新や入れ替えのタイミングで1戸あたり月3,000円の家賃改定ができれば、年間108万円の増収になります(30戸×3,000円×12か月の単純計算)。

反対に、外観の印象が悪く、相場が上がっても家賃を据え置かざるを得なかった場合、その差はそのまま機会損失になります。これはあくまで単純化した計算ですが、修繕費を「コスト」だけでなく「家賃を守り、上げるための投資」として見るきっかけにしていただければと思います。オーナー向けの考え方は、収益不動産オーナー向けの大規模修繕のページでもご紹介しています。


築年数別|東京23区の賃貸マンションで点検したいポイント

築10〜15年:最初の外装改修の検討時期

国土交通省のガイドブックに掲載された修繕周期の事例(長期修繕計画作成ガイドラインの記載例を簡略化したもの)では、外壁塗装や屋根防水の修繕周期の目安は12〜15年程度とされています。この時期は、シーリングの硬化やひび割れ、屋上防水の表面の劣化が出始めるころです。初回の改修をどう行うかで、その後20年の修繕費の流れが変わります。まずは打診調査と目視調査で、劣化の範囲を把握することをおすすめします。

築20〜30年:2回目の外装と設備更新が重なる時期

2回目の外装改修に加えて、給排水管や電気設備、インターホンなど設備の更新時期が重なってきます。修繕費が一度に膨らみやすいため、どの工事を同時に行い、どれを数年ずらすかの調整が大切になります。複数の物件をお持ちのオーナーは、物件ごとの工事時期が重ならないよう、全体を見渡した計画をつくるとよいでしょう。

築30年超:建替えか長寿命化かを考える時期

築30年を超えると、建替えを検討される方も増えます。ただ、建築費が上昇を続けるなかで、建替えには大きな資金と長い空室期間が必要です。ガイドブックでも、建替えは費用面から容易ではなく、計画修繕による長寿命化が重要だと述べられています。構造や立地の条件が許すなら、外装と設備の改修で競争力を保つ選択肢も、比べてみる価値があります。


オーナーが今からできる5つのこと

1. 長期修繕計画を、物件ごとに作る

国土交通省のガイドブックは、物件ごとの長期修繕計画に基づいて修繕を実施する方法を推奨しています。計画期間は、分譲マンションの長期修繕計画作成ガイドラインを参考に、30年以上で大規模な修繕が2回以上含まれる計画を目安に、融資期間や経営期間も踏まえて設定することが望ましい、とされています。

2. 修繕資金を、家賃収入から積み立てる

同ガイドブックでは、計画期間35年間の修繕費合計が9,500万円であれば、420か月で割って月22万6,190円、18戸なら1戸あたり月1万2,566円を積み立てる、という計算例が示されています。家賃収入の口座とは別に積立用の口座を用意する、賃貸住宅修繕共済や融資を組み合わせる、といった選択肢も紹介されています。

3. 点検の記録を残す

ガイドブックは、修繕の「実施期間・工事内容・金額・施工業者名」の4点を最低限記録しておくよう勧めています。記録があれば、次の工事で無駄な項目を省きやすくなり、物件を売却する際にも説明材料になります。

4. 賃料改定のタイミングと工事時期を合わせる

外装の改修が終わった直後は、内見の印象が最もよい時期です。更新や募集が集中する時期と工事完了の時期をうまく合わせると、家賃改定の交渉材料にしやすくなります。

5. 工事中の入居者対応まで、見積りの段階で確認する

工事期間、作業時間、洗濯物やベランダの使用制限、窓の開閉の制限。こうした入居者への影響を、見積りの段階で業者に確認しておくと、工事中の退去リスクを下げられます。ビルやマンションのオーナー向けの対応は、ビルオーナー向けの大規模修繕サービスでもご紹介しています。


注意点|この記事の読み方について

注意点①:賃料予想は「東京23区全体」の話

レポートの予想は東京23区全体の賃料指数に関するもので、個別の物件や駅、間取りの家賃がその通りに動くことを示すものではありません。レポート自身も、物件ごとのミクロなエリア選択が求められると述べています。

注意点②:修繕すれば家賃が上がる、とは限らない

計画修繕は、家賃を上げやすくする条件の一つにすぎません。立地、間取り、設備、周辺の供給状況など、家賃を左右する要素は多くあります。工事の前に、賃貸管理会社や仲介会社に募集賃料の見通しを確認することをおすすめします。

注意点③:税務の扱いは専門家に

修繕費を一括で経費にできるか、資本的支出として減価償却するかは、工事の内容によって異なります。ガイドブックでも、税理士や税務署に確認するよう案内されています。

注意点④:単価は目安

この記事に載せた単価や事例の金額は、あくまで参考です。実際の金額は、建物の形状、劣化の程度、仕様、時期によって大きく変わります。


東京23区の賃貸マンションオーナーに伝えたい、私の考え

20年以上、現場で建物を見てきて感じるのは、建物は手をかけた分だけ、入居者にもきちんと伝わるということです。外壁がきれいで、共用廊下が明るく、雨漏りの心配がない建物には、長く住んでくださる方が集まります。長く住んでいただければ、空室期間も原状回復費も減ります。

賃料が上がる局面は、オーナーにとってチャンスです。ただ、そのチャンスをつかめるのは、建物の準備ができている物件だと私は考えています。足場を組むか、ロープで補修するか、両方を組み合わせるか。工法の選択肢を広く持って、建物にとって無理のない計画を一緒に考えていきたいと思っています。

これまでに手がけた工事の様子は、明誠の施工事例からご覧いただけます。


よくある質問(FAQ)

Q1. 東京23区の家賃は、本当に5年で11%上がるのですか?

A. MUFG不動産研究所のレポート(2026年9月18日)が、東京23区の賃貸マンション全体について、今後5年間で+11%の上昇を予想しています。あくまで予想であり、個別の物件の家賃が同じように動くとは限りません。

Q2. 賃料が上がるなら、修繕は急がなくてもよいのでは?

A. 相場が上がっても、建物の状態が悪いと家賃改定の交渉がしにくくなるおそれがあります。国土交通省のガイドブックでも、入居者の7割前後が建物の傷みや維持管理を重視して住み替え先を選んでいるとの調査が紹介されています。

Q3. 賃貸マンションの外壁改修には、どのくらいの費用がかかりますか?

A. 国土交通省のガイドブックの事例では、RC造4階建・8戸の外壁全体改修で約700万円、RC造5階建・20戸で約1,800万円でした。建物の規模や劣化の状態で大きく変わるため、現地調査のうえで見積りを取ることをおすすめします。

Q4. 修繕資金は、どのくらい積み立てればよいですか?

A. 長期修繕計画の修繕費の合計を、計画期間の月数で割った金額が目安です。国のガイドブックでは、35年で9,500万円なら月約22.6万円という計算例が示されています。

Q5. 入居者がいるままで外壁工事はできますか?

A. 多くの場合、入居中のまま工事を進めます。ロープアクセス工法(無足場工法)やハイブリッド工法を使うと、足場を組む範囲や期間を抑えられる場合があり、採光や防犯面での入居者の負担を減らせることがあります。

Q6. 工事費は、今後も上がり続けますか?

A. 国土交通省の公共工事設計労務単価は令和8年3月適用分で14年連続の上昇となりました。MUFG不動産研究所の調査でも、建築費は上昇継続との見方が大半です。将来の価格を断定はできませんが、先送りで安くなると期待するのは難しい環境です。

Q7. 見積りや調査をお願いすると、費用はかかりますか?

A. 明誠では、建物の現地調査と概算のお見積りを無料で承っています。足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3工法を比べたうえでご提案します。お問い合わせフォームからご相談ください。


この記事のポイントまとめ

  • MUFG不動産研究所は、東京23区の賃貸マンション賃料が今後5年で+11%上昇すると予想(2026年9月18日)
  • 同レポートは、キャップレート上昇の可能性を踏まえ、物件ごとのエリア選択やバリューアップの工夫が一段と求められると指摘
  • 国の調査では、計画修繕を実施しているオーナーは約4割、入居者の7割前後が建物の傷みや維持管理を重視
  • 公共工事設計労務単価は令和8年3月適用分で14年連続の上昇。先送りで修繕費が安くなるとは考えにくい
  • 外装・防水は、診断のうえで足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3工法を比べ、長期修繕計画に書き込む

出典・参考資料


▼ロープアクセス工法・無足場工法の詳細解説はこちら
ロープアクセスドットコム|無足場工法専門メディア


この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年10月7日

家賃が上がる局面で、その波に乗れるかどうかは、建物の準備で変わります。まずは、お持ちの物件の外壁・防水・共用部の状態を一度確認してみてください。現地調査と概算のお見積りは無料で承っています。お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。次回も、現場で本当に使える話だけをお届けします。


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ロープアクセス工法の詳細や実例については、姉妹サイト「ロープアクセスドットコム」の以下の記事もぜひご覧ください。

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