本間社長ブログ

省エネ改修の補助金|国交省が第2回募集を開始、非住宅は補助率1/3・上限5,000万円。ビル・ホテルのオーナーが11月27日までに確認したい6点【2026年10月】

省エネ改修の補助金|国交省が第2回募集を開始、非住宅は補助率1/3・上限5,000万円。ビル・ホテルのオーナーが11月27日までに確認したい6点【2026年10月】
本間 幸紘

著作者プロフィール

株式会社明誠 代表取締役

本間 幸紘

大規模修繕・外壁工事・ロープアクセス工事に関する情報を、現場経験をもとに分かりやすくお届けします。

この記事で分かること

「ビルの外壁や窓を直す時期が近いのだが、省エネ改修で国の補助金が使えると聞いた。うちの建物は対象になるのか」——。収益ビルやホテルを所有されているオーナーさまから、こうしたご相談をいただく機会が増えてきました。

その背景にあたるニュースが、10月16日に出ました。国土交通省が、令和8年度「既存建築物省エネ化推進事業(LCCO₂評価実施型)」の第2回提案募集を開始したのです。同じ日には、6月から7月にかけて行われた第1回募集の採択結果も公表されています(出典:国土交通省 報道発表資料(令和8年10月16日))。

この記事が答える質問は、次の1つです。

Q. 既存の非住宅ビルやホテルの省エネ改修に使える国の補助金は、いつまでに、何を満たせば応募できるのか。外壁や窓の改修を考えているオーナーは、応募前に何を確認すべきか。

結論を先にお伝えします。

  • 応募期間は令和8年10月16日(金)から11月27日(金)までです。 締切日の消印が有効とされており、応募前に事業登録フォームでの登録が必要です。
  • 補助率は補助対象工事の1/3、上限は1件あたり5,000万円(設備部分は2,500万円)です。 バリアフリー改修を併せて行う場合は、その分を加算できる仕組みがあります。
  • 対象は非住宅の建築物です。 公表資料では非住宅が対象とされており、分譲マンションなど共同住宅は対象とならない可能性が高いため、個別に事務局への確認が必要です。
  • 躯体(壁・天井など)や外皮(外壁・屋根・窓など)の省エネ改修を伴うことが要件です。 設備の入れ替えだけでは応募できません。
  • 補助の対象になるのは、採択日以降に契約した工事に限られます。 応募前や採択前に工事契約を結ぶと、対象から外れるおそれがあります。

この記事では、発表された内容を整理したうえで、私が現場で外壁や高所作業に携わってきた立場から、「外皮を触る改修で、足場やロープアクセスなどの仮設計画をどう考えるか」という実務の視点を加えてお伝えします。なお、制度の詳細は募集要領で変わることがありますので、最終的な判断は、公式資料でご確認ください。

国交省が10月16日に発表した内容|第1回の採択結果と第2回の募集開始

まず、発表の中身を整理します。報道発表資料では、2つのことが同じ日に示されました。

1つ目は、令和8年度第1回の採択結果です。公募期間は令和8年6月19日から7月31日まで、応募は17件、採択は15件でした(出典:国土交通省 報道発表資料)。

2つ目は、第2回の提案募集の開始です。今年度2回目の支援対象を選定するもので、応募期間は10月16日から11月27日までです。採択事業は、応募提案を審査したうえで、令和9年1月頃に公表する予定とされています(出典:国土交通省 報道発表資料)。

項目 第1回 第2回
公募期間 令和8年6月19日〜7月31日 令和8年10月16日〜11月27日
結果・公表 応募17件、採択15件(10月16日公表) 採択は令和9年1月頃に公表予定
事業名 令和8年度既存建築物省エネ化推進事業(LCCO₂評価実施型) 同左(第2回提案募集)
出典 国交省 報道発表 国交省 報道発表

ここで押さえておきたいのは、今回は「次の公募を待つ」のではなく、「いま公募中」だということです。第2回の応募期間は、公表日から数えて約6週間です。応募前の登録、建物の省エネ性能の見込みの算定、提案申請書の作成まで考えると、時間に余裕があるとは言えません。

補助率1/3・上限5,000万円は、いくらの工事で頭打ちになるのか

次に、気になる金額です。事業概要では、補助率は補助対象工事の1/3、補助限度額は1件あたり5,000万円(設備部分は2,500万円)とされています。バリアフリー改修工事を併せて行う場合は、その費用に対する補助を上限額に加算できる仕組みです(出典:国土交通省 事業概要(別紙))。

補助率が1/3で上限が5,000万円ですから、単純に計算すると、補助対象工事費が1億5,000万円を超えたあたりで上限に達します。次の表は、補助対象工事費を仮にいくつか置いた場合の目安です。実際の金額は、何が補助対象経費になるかで変わりますので、あくまで考え方の例としてご覧ください。

補助対象工事費(仮定) 1/3の金額 上限5,000万円の適用 補助額の目安
3,000万円 1,000万円 上限未満 約1,000万円
6,000万円 2,000万円 上限未満 約2,000万円
1億円 約3,333万円 上限未満 約3,333万円
1億5,000万円 5,000万円 ちょうど上限 5,000万円
2億円 約6,667万円 上限で頭打ち 5,000万円

注意したいのは、設備部分の上限が2,500万円とされている点です。たとえば空調や換気設備の更新が工事費の大半を占める計画では、5,000万円まで届かない場合があります。外皮の改修と設備の更新をどう組み合わせるかで、受け取れる額は変わってきます。

もう1つ、「省エネ改修とバリアフリー改修の事業費の合計が500万円以上であること」という要件もあります(出典:既存建築物省エネ化推進事業 評価事務局)。小規模な部分改修では、そもそも応募の入口に届かない可能性があります。

そして、補助金は工事費の全額ではありません。補助率が1/3ということは、残りの2/3は自己負担です。補助金が出るからといって、工事の必要性や費用対効果の検討を省いてよいわけではない、というのが私の基本的な考え方です。

対象になる建物・ならない建物|分譲マンションの管理組合は要確認

「うちの建物は対象か」という点は、最初に確認すべきところです。事業概要では、対象は非住宅の建築物とされています。事業の評価事務局のページでも、対象は「既存のオフィスビル等の建築物の改修」で、住宅を対象とする記述は見当たりません(出典:評価事務局 事業概要)。

建物の種類 対象になる可能性 補足
賃貸オフィスビル・テナントビル 高い 非住宅として評価を受けるため、典型的な対象
ホテル・旅館などの宿泊施設 個別確認が必要 非住宅として評価を受けるかどうかで判断される。事務局への確認を推奨
分譲マンション・賃貸マンション(共同住宅) 低い可能性 公表資料は非住宅を対象としており、共同住宅は対象外となる可能性が高い。事務局へ個別確認を
住宅部分と非住宅部分が混在する複合ビル 非住宅部分で応募できる場合あり 第1回のQ&Aでは、非住宅部分のみでの応募が可能と示されている
工場・実験施設・倉庫など生産用設備を持つ建築物 対象外 事業概要で対象外と明記

第1回募集のQ&A(令和8年6月19日公開)では、建築物省エネ法の分類に従い、省エネ改修後に非住宅として省エネ性能評価を受けるものが対象とされています。また、増築部分は対象外で、既存部分のみで申請することも示されています(出典:提案募集Q&A(令和8年6月19日公開))。

ここは正直に申し上げますが、分譲マンションの管理組合の皆さまにとって、この制度は対象とならない可能性が高いと考えています(個別の可否は事務局にご確認ください)。修繕積立金で大規模修繕を計画している理事長さまには、別の制度(自治体の助成や、住宅向けの省エネ関連の補助など)のほうが関係してきます。この記事はその点をはっきりさせたうえで、収益ビル、テナントビル、ホテルなどを所有する法人・個人オーナーさまに向けて書いています。

ホテルについては、Q&Aに明確な記載がなく、「非住宅として評価を受けるか」で判断されると読み取れる状況です。旅館業法上の施設であっても、個別の建物の用途や評価の方法によって扱いが変わる可能性があります。応募を考える段階で、評価事務局に早めに問い合わせることをおすすめします。

「躯体(外皮)の改修を伴う」とは何か|設備の入れ替えだけでは応募できない

この事業の特徴は、躯体(壁・天井など)の省エネ改修を伴うことが要件になっている点です。高機能換気設備を設置する場合も、躯体または外皮の改修を伴うことが条件です(出典:国土交通省 報道発表資料)。

つまり、空調機や照明をLEDに替えるだけの計画では、この枠組みには乗りません。建物の「殻」にあたる外壁・屋根・窓まわりに手を入れることが前提です。

第1回のQ&Aでは、外皮改修として次のようなものが想定されています。

  • 屋根・外壁などの断熱(断熱材の追加や、断熱性能を高める改修)
  • 開口部の改修(複層ガラス、二重サッシなど)
  • 日射調整フィルム(フィルム単独の補助率は材工とも1/6とされています)
  • 要件を満たす遮熱塗料(屋上緑化や遮熱シートは対象外とされています)

一方、太陽光発電設備は対象外とされています(出典:提案募集Q&A)。

省エネ効果の要件は、改修前と比較して20%以上の省エネ効果が見込まれることです。ただし、外皮改修の面積割合が20%を超える場合は、15%以上とされています。ここは見落としやすい点で、外皮を広く改修するほど、求められる省エネ率のハードルが下がる仕組みになっています。

条件 求められる省エネ効果
外皮改修面積割合が20%以下 改修前と比べて20%以上
外皮改修面積割合が20%超 改修前と比べて15%以上

採択の考え方としても、第1回の発表では、省エネルギー効果の高さと、躯体(外皮)改修の割合の高さなど、総合的な効果を重視したと示されています。外壁や窓を広く改修する計画は、この方針と相性がよいと言えます。ただし、それは採択を約束するものではありません。

延べ面積2,000㎡以上は「ライフサイクルカーボン評価」が必要

この事業の名称にある「LCCO₂評価実施型」とは何でしょうか。LCCO₂(ライフサイクルCO₂、ライフサイクルカーボン)とは、建物の建設、運用、改修、解体といった一生の間に出るCO₂の量を、通して評価する考え方です。電気やガスを使う運用段階だけでなく、材料をつくる段階の排出も含めて見ます。

この事業では、延べ面積2,000㎡以上の大規模建築物を改修する場合、ライフサイクルカーボン評価を実施し、その結果を国に報告することが求められます(出典:国土交通省 報道発表資料)。評価の方法は、募集要領に付属する「CO₂等排出量の算定・評価方法」で示されています。

オーナーさまの目線で言えば、これは「申請の手間が増える」ことを意味します。評価の計算は、設計者や専門のコンサルタントの協力が必要になる場面もあるでしょう。

一方で、前向きに捉えることもできます。材料や工法によってCO₂の排出量が変わるという考え方は、これからの建築で当たり前になっていきます。評価の経験が、投資家や金融機関、入居テナントへの説明材料になる可能性もあります。ただし、これは一般的な見方であり、金利や融資条件への影響を保証するものではありません。

11月27日までのスケジュールと、契約を先に結んではいけない落とし穴

応募までの流れを整理します。事業概要や評価事務局のページから読み取れる主な点は、次のとおりです。

  1. 事業登録フォームでの登録(応募前に必要)
  2. 提案申請書の作成(様式はExcel、記入例はPDFで公開)
  3. 応募(令和8年11月27日締切、消印有効)
  4. 審査・採択(令和9年1月頃に公表予定)
  5. 採択後に工事契約(原則、採択後から採択年度の年度末までに契約)
  6. 工事・報告(事業期間は募集要領でご確認ください)

(出典:評価事務局 事業概要、国土交通省 事業概要(別紙))

そして、最も注意していただきたいのが、契約のタイミングです。第1回のQ&Aでは、補助対象となるのは採択日以降に契約する省エネ改修工事等に限られると示されています。採択年度中に事業着手(工事契約等の締結)をすることも要件です。

時期 やってよいこと 気をつけること
今〜11月27日 現地調査、省エネ性能の見込み算定、設計者・施工会社との検討、事業登録、申請書作成 工事の契約は結ばない
令和9年1月頃(採択公表) 採択の確認 不採択の場合の代替計画を持っておく
採択後〜年度末 工事契約の締結 契約日が採択日以降であることを確認

「どうせやる工事だから、先に契約してしまおう」と考えるのは危険です。応募前に契約や着工をしてしまうと、補助の対象から外れる可能性があります。見積りの取得や仕様の検討は進めてよいのですが、契約書への押印は、採択の結果を待つのが基本になります。

また、第2回のQ&Aは、第1回から修正・追加されている可能性があります。この記事で引用したのは第1回のQ&A(6月19日公開)ですので、最新のQ&Aは評価事務局のページでご確認ください。

締切から逆算すると、動き出しの目安は次のようになります。11月27日の締切に対して、申請書の作成に2週間、省エネ性能の算定と設計の検討に2〜3週間はかかると見ておくのが、あくまで私の経験上の目安です。そうなると、現地調査と概算見積りは、遅くとも10月中に着手しておきたいところです。私たちが現場に伺って劣化状況を確認し、外壁・窓まわりの改修範囲と仮設の選択肢を整理する作業は、応募書類の土台になります。「応募するかどうかは、調べてから決める」という順番でも構いませんので、早めに動くことをおすすめします。

第1回は応募17件・採択15件|この数字をどう読むか

第1回の結果は、応募17件に対して採択15件でした。数字だけを見ると、採択された割合は高く見えます(15÷17で約88%)。

ただ、私はこの数字をそのまま「通りやすい」とは受け取りません。理由は2つあります。

1つ目は、応募件数そのものが多くないことです。応募前の事業登録や、省エネ性能の算定、LCCO₂評価といった手間のかかる準備をクリアできた提案だけが、応募に至っている可能性があります。

2つ目は、採択の考え方が公表されていることです。省エネ効果の高さと、外皮改修の割合の高さが重視されます。要件を満たしているだけでは足りず、効果の中身で評価される以上、準備の質が結果を左右します。

なお、第1回の採択事業の一覧は、国交省の別紙(採択事業一覧)に掲載されています。どのような用途・規模の建物が採択されたかは、応募を検討する際の参考になります(出典:国土交通省 報道発表資料(採択結果))。

外壁・窓を触る改修と、足場・ロープアクセスの考え方

ここからは、私の本業である現場の視点です。外皮の省エネ改修は、外壁や窓といった高所を触る工事になります。ということは、仮設計画(足場やロープアクセスなど)が、費用・工期・営業への影響を大きく左右するということです。

まず、費用の中で仮設がどれくらいの比重を占めるかの参考です。経済調査会の「マンション修繕費指数」2026年版では、1戸あたり平均修繕費156.0万円のうち、仮設は38.7万円(構成比24.8%)でした(出典:一般財団法人 経済調査会(2026年9月29日))。これはマンションの大規模修繕の統計であり、ビルやホテルの省エネ改修にそのまま当てはまるわけではありませんが、仮設が費用の無視できない割合を占めることは、現場の感覚としても一致します。

大切な注意点があります。第1回のQ&Aには、足場・仮設費用やロープアクセスについての記載が見当たりません。関連する記載として、「省エネ改修工事の遂行に必要となる工事のみが対象となる」という趣旨のQ&Aがあるだけです。つまり、仮設費が補助対象経費に含まれるのか、どこまで認められるのかは、事務局に個別に確認する必要があるというのが、いまの正確な状況です。

私が現場で見てきた範囲でお話しすると、外皮改修の仮設計画は、次の3つの考え方に整理できます。

工法 向いているケース 営業・利用への影響 注意点
通常の足場仮設 全面にわたる外壁・窓の改修、大面積の断熱工事 足場が建物を覆うため、眺望・採光・出入りに影響が出やすい 費用と工期が大きくなりやすい。仮設費の扱いは事務局に要確認
ロープアクセス(無足場) 部分的な窓まわり・外壁の改修、足場を組みにくい立地 足場が不要で、営業や入居への影響を抑えやすい 建物の形状や改修範囲によっては適さない場合がある
ハイブリッド(足場+ロープアクセス) 面は足場、足場が届きにくい箇所はロープで対応 範囲ごとに最適化できる 全体の工程管理に経験が必要

私たち明誠は、この3つの工法のどれか1つに偏らず、建物にとって最適なものを比較して提案しています。補助金の要件(外皮改修の面積や省エネ効果)と、仮設の選択は、実は連動して考えるべきテーマです。たとえば外皮改修面積の割合を高めて要件を満たしやすくしたい場合、広い面を一度に施工できる足場が有利な場面があります。一方で、営業を止められないホテルでは、ロープアクセスで窓まわりを順に施工する選択肢も出てきます。

ロープアクセス工法の一般的な安全基準や事例については、姉妹サイトのロープアクセスドットコムでも解説しています。工法の詳細はロープアクセス工法のご紹介もご覧ください。

営業しながら改修するホテル・テナントビルで、私が気をつけていること

補助金の話から少し離れますが、ビルやホテルの外皮改修では、営業を続けながら工事を行うケースがほとんどです。ここは、現場で20年以上やってきて、補助金より先に考えるべきだと感じているところです。

具体的には、次のような点を事前に確認します。

  • テナントや宿泊客の動線:工事エリアと出入口、非常口の位置関係
  • 騒音・振動・臭気:作業時間帯の調整、窓を開けられない時間帯の周知
  • 窓まわりの作業日程:客室や専有部の窓を触るときの立入りの調整
  • 雨天・強風時の対応:外部作業は天候で止まるため、予備日を見込んだ工程

窓の改修は、お客さまやテナントの生活空間・仕事空間に直接関わります。ここが想定どおり進まないと、工期が延び、結果として工事費も営業損失も膨らみます。省エネ性能の数字が良くても、運営への影響が大きすぎる計画は、オーナーさまの利益を損ないます。

だからこそ、補助金の応募準備と並行して、施工会社に現地を見てもらい、営業への影響まで含めた工程案を出してもらうことをおすすめします。外壁や窓まわりの劣化状況の調査には、ドローンを使う方法もあります(ドローン調査のご紹介)。雨漏りや漏水が気になる場合は漏水対策のご紹介もご参照ください。

応募前に確認したい6つのチェックポイント

ここまでの内容を、応募前のチェックリストにまとめます。

番号 確認事項 確認先・方法
1 建物は非住宅として評価を受けるか(ホテルなどは個別確認) 評価事務局への問い合わせ
2 躯体・外皮の改修を含む計画か(断熱、窓、外壁など) 設計者・施工会社と調査
3 20%(外皮改修面積割合が20%超なら15%)以上の省エネ効果が見込めるか 設計者による省エネ計算
4 延べ面積2,000㎡以上か(該当すればLCCO₂評価が必要) 建物の登記・確認済証
5 事業費(省エネ+バリアフリー)が500万円以上か 見積りの取得
6 工事契約を採択日より前に結んでいないか。仮設費の扱いは確認したか 契約スケジュールの管理、事務局への問い合わせ

この6点のうち、特に1番(用途の確認)と6番(契約タイミングと仮設費の扱い)は、応募後に気づいても取り返しがつきません。

問い合わせ先は、評価事務局(既存建築物省エネ化推進事業(LCCO₂評価実施型)評価事務局)のメール、または国土交通省住宅局のお問い合わせ窓口です。連絡先は、公式の報道発表資料に記載されています(出典:国土交通省 報道発表資料)。

補助金に頼りすぎない判断も大切です|向かないケース

ここまで制度の良い面を中心にお話ししましたが、ご自身の建物に本当に合うかどうかは、冷静に見る必要があります。私が「この制度は向かないかもしれない」と考えるのは、次のようなケースです。

  • 応募までに調査・設計・算定が間に合わない場合:無理に急ぐと、省エネ効果の計算が甘くなり、採択後に計画が立ち行かなくなるおそれがあります。
  • 補助対象外の工事の比重が大きい場合:補助率は1/3で、対象外の費用は全額自己負担になります。
  • 工事を急ぐ必要がある場合:雨漏りなど、放置すると被害が広がる不具合があるなら、採択を待たずに必要な補修を先に行う判断もあります。
  • 採択されなかった場合の資金計画がない場合:不採択でも工事を進めるのか、延期するのかを、あらかじめ決めておく必要があります。

補助金は、あくまで「いずれやる改修を、より良い内容で、より負担を抑えて実現するための手段」です。補助金ありきで工事の内容を決めてしまうと、本来の建物の資産価値を高めるという目的を見失いかねません。

また、法令の面では、2025年4月1日から建築物省エネ法が改正され、全ての新築住宅・非住宅に省エネ基準への適合が義務付けられました。一方、既存建築物の修繕や模様替え(リフォーム・改修)は、この適合義務の対象外とされています(出典:神奈川県「令和7年(2025年)4月からの建築物省エネ法・建築基準法に関するお知らせ」)。既存ビルの省エネ改修は義務ではないぶん、補助金のような後押しが用意されている、と整理できます。

収益不動産の運用という観点では、収益不動産オーナーさま向けのご案内や、建物の価値を守る修繕の考え方もあわせてご覧ください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 第2回の応募期間はいつからいつまでですか?

A. 令和8年10月16日(金)から11月27日(金)までです。締切日の消印が有効とされています(出典:評価事務局 事業概要)。

Q2. 補助率と上限額はいくらですか?

A. 補助率は補助対象工事の1/3、補助限度額は1件あたり5,000万円(設備部分は2,500万円)です。バリアフリー改修を併せて行う場合は、その分を加算できる仕組みがあります(出典:国土交通省 事業概要(別紙))。

Q3. 分譲マンションの大規模修繕にも使えますか?

A. 対象は非住宅の建築物とされており、共同住宅は住宅に分類されるため、対象とならない可能性が高いと考えられます。個別のケースは評価事務局に確認してください。

Q4. 空調やLEDの更新だけでも応募できますか?

A. できません。躯体(壁・天井など)の省エネ改修を伴うことが要件で、高機能換気設備を設置する場合も、躯体または外皮の改修を伴う必要があります。

Q5. 応募の前に工事契約をしてしまったらどうなりますか?

A. 第1回のQ&Aでは、補助対象となるのは採択日以降に契約する工事等に限られるとされています。応募前や採択前の契約は、対象外となるおそれがありますので、事前に事務局へ確認してください。

Q6. 足場の費用は補助対象になりますか?

A. 第1回のQ&Aには、足場・仮設費用についての明確な記載が見当たりません。「省エネ改修工事の遂行に必要となる工事のみが対象」とされていますので、個別に事務局への確認が必要です。

Q7. 延べ面積2,000㎡未満の建物でも応募できますか?

A. 応募自体は可能とされています。延べ面積2,000㎡以上の大規模建築物では、ライフサイクルカーボン評価の実施と国への報告が求められる、という区分です。

この記事のポイントまとめ

  • 国土交通省が令和8年10月16日、省エネ改修の第2回提案募集を開始した(締切は11月27日)。
  • 補助率は1/3、上限は1件5,000万円(設備部分は2,500万円)。対象は非住宅の建築物。
  • 設備更新だけでは応募できず、躯体・外皮の改修を伴うことが要件。
  • 補助対象は採択日以降に契約する工事に限られるため、契約のタイミングに注意する。
  • 仮設費の扱いはQ&Aに記載が見当たらないため、事務局に個別確認する。

出典・参考資料


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建物の「殻」を整えて、省エネと快適さと資産価値を同時に高めていく。補助金は、そのきっかけのひとつに過ぎません。だからこそ私は、制度の締切に追われて判断を急ぐのではなく、建物の状態を正しく調べ、営業への影響まで含めた工程を描いてから、補助金を使えるかどうかを考える順番を大切にしたいと思っています。ビルやホテルの外壁・窓まわりの改修について、現地調査と概算のお見積りは無料で承っていますので、お問い合わせフォームから、ご相談だけでもお気軽にどうぞ。ビル・テナントビルのオーナーさま向けの提案はこちら、ホテルの改修はこちらでもご紹介しています。次回も、現場で本当に使える話だけをお届けします。


この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年10月18日


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