本間社長ブログ

草加市のマンション漏水・防災対策|「3日以上水が引かない」街の大規模修繕2026年度版

本間 幸紘

著作者プロフィール

株式会社明誠 代表取締役

本間 幸紘

大規模修繕・外壁工事・ロープアクセス工事に関する情報を、現場経験をもとに分かりやすくお届けします。

草加市でマンションやビルを持つオーナー・管理組合さまが、大規模修繕で優先すべき漏水・防災対策は、結論から言うと次の3つです。

  1. 屋上防水とドレン(排水口)を先に直す:ゲリラ豪雨で最初に傷むのはここです。
  2. 受変電設備・給水ポンプ・エレベーターピットを「3日間水に浸かる前提」で守る:草加市は浸水が長引く街です。
  3. 足場を組む時間のない緊急漏水に備え、ロープアクセスで動ける業者を決めておく。

私は東京都東大和市の株式会社明誠で、20年以上、マンション・ビル・ホテルの大規模修繕を現場で担当してきました。草加市は市自身が「水のたまりやすい地形」と説明している街です。この記事では、草加市が公開している一次情報を一つずつ確認しながら、建物を守る側の目線でお話しします。

草加市のハザードマップを1枚で読む

草加市の公式ハザードマップ「そうか災害地図」は、約1000年に1度の確率を想定した想定最大規模降雨の浸水想定区域を掲載しています。市のページは2026年3月13日に更新されています(出典:草加市ハザードマップ(そうか災害地図))。

市の説明で、オーナーさまに一番知っていただきたいのは次の2文です。

  • 「草加市は水のたまりやすい地形です。市内を流れる川だけでなく、利根川や荒川など、草加市から離れた大きな川があふれても、浸水するおそれがあります。」
  • 「浸水してしまうと3日以上水が引かない地域があります。」

つまり草加市では、浸水の深さよりも「浸かっている時間の長さ」が建物設備のダメージを左右します。市は「草加市内は建物の2階以上まで浸水する可能性は低い」として垂直避難(建物の上の階へ逃げること)を勧めています(出典:同上)。マンションで言えば、2階以上の住戸は安全を確保しやすい一方、1階の共用部と地下・ピットの設備が長時間水に浸かることを前提に計画を立てる必要があります。

項目 草加市での状況(公式資料ベース)
洪水(外水) 想定最大規模降雨のハザードマップあり(令和3年1月作成)
内水(雨水出水) 雨水出水浸水想定区域図あり(令和7年9月作成・指定)
浸水継続時間 50cm以上の浸水が3日以上続く地域が多いと想定
土砂災害 土砂災害警戒区域・急傾斜地崩壊危険区域等の指定なし

土砂災害の指定がないことは、草加市の不動産取引業者向けQ&Aに明記されています(出典:草加市 不動産取引業者の方へ 水害ハザードマップ等のよくある質問)。

草加市のハザードマップに載っている河川

草加市の浸水想定区域図は、次の11河川が氾濫した場合の区域を重ね合わせたものです(出典:草加市ハザードマップ、前掲)。

利根川、江戸川、荒川、中川、綾瀬川、元荒川、芝川、新芝川、毛長川、辰井川、伝右川

あわせて、市の不動産取引業者向けQ&Aでは、洪水ハザードマップの対象を「中川・綾瀬川・元荒川・毛長川・辰井川・伝右川・古綾瀬川」と「利根川・江戸川・荒川・芝川・新芝川」の2つのグループに分けて案内しています(出典:前掲Q&A)。

ここで注意したいのは、利根川・江戸川・荒川などは草加市の外を流れる川だという点です。市はこれらが「離れた場所であふれても草加市に水が来る」ことを想定に入れているのであって、市内を流れているわけではありません。ご自身の物件がどの川の想定区域に入るかは、市のPDF「河川毎の浸水想定区域」か、国土交通省の重ねるハザードマップで住所ごとにご確認ください。

内水(雨水出水)の想定は「1時間153mm」

草加市は水防法第14条の2にもとづき、雨水出水浸水想定区域(想定最大規模降雨による内水浸水想定区域)を指定しました。前提となる雨は時間最大雨量153mm(総雨量405mm)で、令和5年6月の大雨時に観測された47mm/hを153mm/hに引き伸ばして設定しています(出典:草加市 雨水出水浸水想定区域の指定について)。

内水とは、川があふれなくても、下水道や側溝が雨を流しきれずに街に水があふれる現象です。市のページには、この区域図が宅地建物取引の重要事項説明の対象になることも書かれています。賃貸・売買を考えているオーナーさまにとっては、資産価値に直接関わる情報です。特定の場所の想定は、市の河川課窓口で確認できます。

地域特性と漏水事故の関係

草加市の地形図を見ると、市の西側(川口市方面)は草加市より地盤が高いと説明されています(出典:草加市ハザードマップ、前掲)。低い土地に水が集まりやすく、いったん溜まると抜けにくい。この特性は、マンションの漏水と設備トラブルに次のような形で現れます。

  • 1階・地下の共用部:浸水深が浅くても、水が長く残れば、受電設備、給水ポンプ、エレベーターピットの機器が使えなくなります。復旧には部品交換が必要になることが多く、費用も時間もかかります。
  • 敷地内の排水:内水が出るような雨では、道路側の水位が上がって敷地の排水桝やドレンから逆流することがあります。排水経路の詰まりが重なると、室内への漏水につながります。
  • 上階の住戸:浸水とは別に、強い雨と風で屋上・外壁・サッシまわりから水が入る「吹き込み漏水」が起きます。これは地形に関係なく、建物の防水性能で決まります。

私が現場で一番多く見る漏水は、川の氾濫ではなく、ゲリラ豪雨のときに屋上ドレンが落ち葉や砂で詰まり、防水の立上りを越えて水が回るパターンです。築20年を超える建物では、防水層の端部のめくれやシーリングの切れが重なって、最上階の天井にシミが出ます。私の経験では、これは立地よりも「ドレンを最後に掃除したのはいつか」で決まります。

全国的にも水害は続いています。国土交通省の確報値では、令和5年の水害被害額は約7,100億円でした(出典:国土交通省 令和5年水害被害額)。気象庁も大雨の長期的な増加傾向を公表しています(出典:気象庁 大雨の長期変化)。草加市の内水想定の起点が令和5年6月の実際の大雨であることを考えると、豪雨を例外扱いしない計画が必要です。

大規模修繕でチェックすべき漏水ポイント7つ

草加市のように「浸水が長引く」「内水が出る」地域で、私が診断時に必ず確認する7点です。

  1. 屋上防水:防水層のふくれ・割れ・端部の浮きを確認します。防水改修の目安は5,000〜8,000円/㎡程度で、下地の状態と工法で大きく変わります。
  2. シーリング(目地を埋めるゴム状の材料):外壁目地やサッシまわりの硬化・肉やせは、吹き込み漏水の主な原因です。
  3. バルコニー・開放廊下の排水:床の勾配不良と排水口の詰まりを見ます。水が引かない床は階下漏水の入口です。
  4. ドレン(排水口):落ち葉・砂の堆積、ストレーナー(ゴミよけ)の欠損、たて樋の詰まりを確認します。
  5. 立上り:パラペット(屋上の外周の低い壁)や設備架台の立上り防水の端部は、最も劣化が早い場所です。
  6. サッシまわり・笠木:サッシ枠と躯体の取り合い、笠木(壁の頂部の金属カバー)の継ぎ目を見ます。
  7. 1階出入口・ピットの止水:エントランスや機械室の出入口に止水板を付けられるか、ピットに排水ポンプがあるかを確認します。草加市では特に重要な項目です。

費用の考え方も押さえておきましょう。30戸規模のマンションの大規模修繕は、総工費で3,500〜5,000万円程度が一つのレンジで、このうち仮設足場が15〜25%を占めることがあります(物件によって大きく変わります。あくまで目安です)。足場費を抑える選択肢が、明誠のロープアクセス工法です。10階建て・外周80m・工期3カ月の試算では、足場約168万円に対してロープアクセスは約59万円と、約100万円規模の差が出る例もあります。ただし建物形状で結果は変わるため、診断のうえでご提案します。料金の考え方は料金のご案内にまとめています。

漏水緊急対応でロープアクセスが強い理由

雨漏りは天気予報を待ってくれません。足場を組むには、近隣へのお知らせ、道路使用の手続き、資材の手配で、一般に数週間かかります。その間、最上階の住戸は天井の下にバケツを置いて待つことになります。

ロープアクセス工法は、作業者がメインロープとバックアップロープの2本に接続し、2点以上の吊元を確保して作業する工法です。足場がないぶん、調査から応急処置までを短期間で進められるのが強みです。外壁のひび、シーリングの切れ、笠木まわりの応急止水を、居住者の生活を止めずに行えます。

草加市の物件には、もう一つ利点があります。浸水が長引いて地上からの作業が難しいときでも、屋上から吊元を取れば、外壁側から建物に近づけることです。水が引いた後の外壁点検も、足場を待たずに始められます。

明誠は、これまで約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセス工法では、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業で、過去16年間、墜落による労働災害ゼロを維持しています。作業員はIRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の訓練を受け、品質面はISO9001の体制で運営しています。漏水調査の進め方は、明誠の漏水対応ページで詳しくご案内しています。

技術面の詳しい内容は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムにも掲載しています。2本のロープによる安全確保の仕組みや教育体制は、ロープアクセスドットコムの解説記事もあわせてご覧ください。

防災上の共用部と修繕優先度

漏水対策と並んで、共用部の防災機能を点検します。優先度は「止まると生活が止まるもの」から決めるのが基本です。草加市では「3日間水が引かない」想定を加えて判断します。

共用部 浸水・地震での弱点 修繕優先度の目安
受変電設備・分電盤 長時間の浸水で停電、復旧に時間 高:嵩上げ・上層階への移設を検討
給水ポンプ・受水槽 浸水で揚水できず断水 高:基礎の嵩上げ、止水板
エレベーターピット 冠水で長期停止。上階の高齢者が孤立 高:ピット止水・排水ポンプ
自家発電機・非常用照明 低層設置だと浸水で使えない 中〜高:設置階の見直し
備蓄倉庫 1階設置だと備蓄品が水没 中:2階以上への移設
屋上・外壁 吹き込み漏水が居住空間へ 高:防水とシーリングの更新

市は「3日分以上の食料、水、非常用トイレ等の備蓄」を呼びかけています(出典:草加市 まるごとまちごとハザードマップ)。マンションでは、上階に住む方が「自宅で避難」を続けられるよう、電気・水・エレベーターが止まった状態で3日間過ごせるかを理事会で一度話し合っておくことをおすすめします。市は防災行政無線のスピーカー塔45カ所に想定浸水深を表示しています(令和4年2月時点、同出典)。物件近くの表示板も確認してみてください。

ビルオーナーさまはビルオーナー向けのサービス、管理組合さまは管理組合向けのサービスをご覧ください。明誠のこれまでの施工事例も公開しています。

草加市の耐震診断・耐震改修補助(令和8年度)

草加市は分譲マンションを対象にした耐震診断・耐震改修の補助制度を設けています。市のページは2026年4月1日に更新され、令和8年度版のパンフレットが掲載されています。

制度 対象マンション 補助額(令和8年度・市公表)
マンション耐震診断 昭和56年5月31日以前に建築確認を受けて着工した分譲マンション 診断費用の1/2以内、または住戸数×5万円の少ない方。上限100万円
マンション簡易診断 同上 診断費用の1/2以内。上限10万円
マンション耐震改修 上記のうち延べ床面積1,000㎡以上・地上3階以上の耐火/準耐火建築物で、Is値(耐震性を示す指標)0.6未満と判定されたもの 改修費用の23%。上限200万円

(出典:草加市 既存住宅耐震診断の補助、草加市 既存住宅耐震改修の補助)

申請者は管理組合等、または管理組合等が区分所有者の代表として選んだ方です。契約済み・工事完了後は申請できないこと、実績報告はその年度の3月1日までに行う必要があることにご注意ください。耐震改修を行った場合は、固定資産税の減額などの税制優遇を受けられる場合もあります。申請前に、草加市の建築安全課 建築指導係(048-922-1958)へ令和8年度の受付状況をご確認ください。

耐震改修と外壁・防水の大規模修繕を同じ時期に計画すると、仮設や工程を共有できる場合があります。どちらを先に進めるかも含めて、早めにご相談ください。

よくあるご質問

Q. 草加市のハザードマップはどこで見られますか?

A. 市のホームページ「草加市ハザードマップ(そうか災害地図)」でPDFを公開しています。防災アプリ「防災草加」や、国土交通省の「重ねるハザードマップ」でも浸水想定区域を確認できます。

Q. 草加市で浸水が3日以上続くと、マンションでは何が困りますか?

A. 1階や地下の受電設備・給水ポンプ・エレベーターが止まり、上の階でも停電・断水・昇降不能になるおそれがあります。設備の嵩上げや止水板の設置を修繕計画に入れておくと安心です。

Q. 内水と洪水は何が違いますか?

A. 洪水(外水)は川の水があふれる現象、内水は下水道や側溝が雨を流しきれずに街に水があふれる現象です。草加市は令和7年9月に、時間最大153mmの雨を前提とした内水の想定区域を指定しました。

Q. 屋上防水の改修費用の目安は?

A. 5,000〜8,000円/㎡程度が一つの目安です。下地補修の量や既存防水の種類で変わるため、現地調査のうえでお見積りします。

Q. ロープアクセスで漏水の緊急対応はできますか?

A. 足場が不要なため、調査と応急止水を短期間で進められます。本格改修は、建物によって足場や部分足場との併用(ハイブリッド工法)をご提案します。

Q. 管理組合として最初に何をすべきですか?

A. 物件所在地の浸水想定と浸水継続時間を確認し、結果を書面で保存してください。そのうえで、屋上ドレンと防水層、受電設備・ポンプの設置階を点検します。

まとめ+今週動くこと3点

草加市は水がたまりやすく、浸水が長引く街です。屋上防水とドレン、1階・地下の設備の浸水対策、そして緊急時に動ける業者の確保。この3つを順に手当てするのが、費用対効果の高い進め方です。私は理事長さまやオーナーさまに、「雨が降る前にドレンを見てください」とお伝えしています。

今週動いていただきたいのは、次の3点です。

  1. 草加市ハザードマップと重ねるハザードマップで、物件所在地の浸水深と浸水継続時間を確認し、画面を保存する。
  2. 屋上ドレンの詰まりと、受電設備・給水ポンプ・エレベーターピットの位置を、管理会社と一緒に点検する。
  3. 過去の漏水箇所を一覧にして、次回の大規模修繕の診断に渡す。

漏水の原因調査や概算のお見積りは、お問い合わせフォームから無料で承ります。理事会にかける前の整理だけでも、お力になれることがあります。

出典・参考資料


この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年10月27日


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本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月27日時点で公表されている草加市および国土交通省・気象庁の公式情報をもとに執筆しています。補助制度は令和8年度の内容で、年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請される前に、草加市の担当窓口へ最新の内容をご確認ください。

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