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雨漏りでプロバスケの試合が開始直前に中止|静岡・このはなアリーナは7月にも雨漏り、応急工事の直前だった。首都圏のマンション・ビル・ホテルが「防水の先送り」で失うものと、今確かめたい7項目【2026年10月】

雨漏りでプロバスケの試合が開始直前に中止|静岡・このはなアリーナは7月にも雨漏り、応急工事の直前だった。首都圏のマンション・ビル・ホテルが「防水の先送り」で失うものと、今確かめたい7項目【2026年10月】
本間 幸紘

著作者プロフィール

株式会社明誠 代表取締役

本間 幸紘

大規模修繕・外壁工事・ロープアクセス工事に関する情報を、現場経験をもとに分かりやすくお届けします。

この記事で分かること

「うちの建物の屋上防水は、次の大雨まで持ちこたえられるだろうか?」——この記事は、この問いに答えるために書きました。

2026年10月25日、静岡市駿河区の「このはなアリーナ」で、プロバスケットボールBリーグの公式戦が、雨漏りのために開始直前で中止になりました。報道によると、この施設では7月にも雨漏りが確認されており、応急工事は10月末までに行われる予定だったといいます(詳しくは次の章で出典とともに紹介します)。

体育館の話だと思われるかもしれません。けれども、東京・神奈川・埼玉・千葉など首都圏のマンション、ビル、ホテルでも、構図はまったく同じです。「雨漏りは前から分かっていた」「直す予定もあった」「でも、間に合わなかった」——この順番で起きるトラブルを、私は現場で何度も見てきました。

結論から申し上げます。屋上防水は、劣化のサインが出た時点で「次の大規模修繕まで待つか、今部分的に手を打つか」を判断し直すことが大切です。雨漏りは一度室内に出ると、内装や設備、テナントの営業、ホテルの客室稼働にまで被害が広がり、防水工事そのものより大きな損失になることがあります。この記事では、更新時期の目安、先送りで増える費用、雨漏りの調べ方と直し方を、順を追って整理します。

最終更新:2026年10月30日


2026年10月、雨漏りでプロスポーツの試合が中止に

まず、報じられた事実関係を整理します。

時期 出来事 出典
2026年7月 このはなアリーナで雨漏りが確認される(指定管理者が把握) テレビ静岡NEWS、Daiichi-TV(静岡第一テレビ)
2026年10月末まで 応急工事を行う予定だった。2027年度には防水工事が計画されていた テレビ静岡NEWS
2026年10月25日 正午ごろ メインフロア内で雨漏りが確認される 静岡朝日テレビ
2026年10月25日 試合開始前 ベルテックス静岡 対 愛媛オレンジバイキングス戦が中止 バスケットボールキング、静岡朝日テレビ
その後 静岡県が営業補償を含めた対応を検討していると報道 テレビ静岡NEWS

試合当日に何が起きたか

静岡朝日テレビによると、静岡県公園緑地課の説明として、10月25日正午ごろに「このはなアリーナ」のメインフロア内で雨漏りが確認され、安全性を考慮して試合開始前に中止になったと報じています。雨漏りの原因や今後の利用については、調査のうえ判断するとのことです(出典:LOOK 静岡朝日テレビ「まさかの『雨漏り』でバスケ・Bリーグ公式戦が開始直前に中止 原因調査中」)。

クラブ側は、施設の雨漏りによってコートコンディションに問題が生じ、選手の安全に関わるリスクが懸念されたため、リーグと試合開始直前まで協議したうえで中止を判断したと説明しています。さらに、施設管理者に原因の究明と再発防止策の徹底を求めるとしています(出典:バスケットボールキング「このはなアリーナでの静岡vs愛媛が中止に…施設の雨漏り発生、コートコンディションの改善見込めず」)。

「7月にも雨漏り」「応急工事は今週の予定だった」

テレビ静岡NEWSは見出しで「応急工事前に再び」と伝え、施設では2026年7月にも雨漏りが確認されていたこと、10月末までに応急工事をする予定だったこと、そして2027年度には防水工事が計画されていたことを報じています(出典:テレビ静岡NEWS(Yahoo!ニュース配信)「応急工事前に再び…このはなアリーナでコートに雨漏り」、同「このはなアリーナの雨漏りでバスケットボール・ベルテックス静岡の試合中止 静岡県が営業補償を検討」)。Daiichi-TV(静岡第一テレビ)も、県が7月までに同じ不備を把握していたと見出しで報じています(出典:Daiichi-TV(Yahoo!ニュース配信))。

原因については「調査のうえ判断する」と報じられており、本記事では報道の範囲を超えた推測はしません。施設の管理体制を批判することも目的ではありません。私がこのニュースで注目したのは、「分かっていた」「予定もあった」のに、本格的な防水工事までの間に雨が来てしまったという時間差の問題です。これは、首都圏の多くの管理組合・オーナーさまが抱えている状況と重なります。


なぜ「分かっていたのに」雨漏りは止まらないのか

雨漏りの相談を受けると、多くの場合、次のような経緯をたどっています。

  1. 小さなサインが出る:天井のシミ、最上階の壁紙の浮き、屋上の防水層のふくれやひび割れ
  2. 応急処置で一度止まる:シーリング材を充填したり、ふくれを部分補修したりする
  3. 本格工事は「次の大規模修繕で」となる:予算と合意形成の都合で数年先に送られる
  4. 大雨や台風で再発する:応急処置の周辺から、あるいは別の場所から水が入る
  5. 被害が室内・設備に広がる:内装、電気設備、テナントの商品、客室の稼働に影響が出る

この流れで一番の問題は、3番目の「次の大規模修繕まで」の期間に、雨漏りのリスクを誰も数字で見積もっていないことです。工事費は見積書に載りますが、「雨漏りが再発したら何が起きるか」は見積書に載りません。

雨漏りが厄介なのは、水の入口と出口が離れていることが多い点です。屋上の防水層の小さな破れから入った水が、コンクリートのひび割れや配管の貫通部を伝って、数メートル離れた部屋の天井から出てくることもあります。応急処置で「出口」の近くを塞いでも、「入口」が残っていれば、別の場所からまた出てきます。


屋上防水の更新時期の目安

国土交通省の「長期修繕計画作成ガイドライン」(令和6年6月改訂)では、屋上防水を「保護防水」と「露出防水」に分け、それぞれ補修・修繕と撤去・新設の修繕周期を設定して長期修繕計画に盛り込む考え方が示されています(出典:国土交通省「長期修繕計画標準様式・長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント」(PDF))。同ガイドラインは、修繕周期は「おおよその目安であり、立地条件等により異なることがある」としています。

同ガイドラインの修繕周期の記載例(屋上防水は保護・露出とも、補修・修繕12〜15年、撤去・新設24〜30年)を踏まえ、実務上の目安を防水の種類ごとに整理すると次のとおりです。

防水の種類 主な部位 修繕(部分補修・トップコート等)の目安 撤去・新設の目安 劣化のサイン
保護防水(アスファルト防水の上をコンクリートで押さえたもの) マンションの陸屋根、ルーフバルコニー おおむね12〜15年 おおむね24〜30年 押えコンクリートのひび割れ、目地材の劣化、伸縮目地の飛び出し
露出防水(アスファルト・シート・ウレタン塗膜など) 屋上、塔屋、庇 おおむね12〜15年 おおむね24〜30年 ふくれ、破れ、シートの継ぎ目のはがれ、表面の色あせ・粉化
バルコニー・開放廊下の床防水 バルコニー、共用廊下 大規模修繕と同じ周期が多い 状態により判断 床シートのはがれ、排水口まわりの水たまり
庇・笠木・パラペット天端 屋上の立ち上がり部分 大規模修繕と同じ周期が多い 状態により判断 シーリングの切れ、金物の浮き

※上記は一般的な目安で、使用材料・施工品質・日射や風当たりの条件によって大きく変わります。実際の更新時期は、調査・診断の結果で判断してください。

ここで注意していただきたいのは、「周期が来ていないから大丈夫」とは言えないことです。施工時の不具合や、屋上に設置した設備(空調の室外機、太陽光パネル、アンテナ)の固定部まわりから、周期よりずっと早く傷むことがあります。逆に、状態が良ければ周期を延ばせることもあります。周期はあくまで「調査をするタイミング」の目安として使うのがよいと私は考えています。


先送りすると、何にお金がかかるのか

防水工事を先送りしたとき、増える可能性がある費用を整理します。

項目 内容 費用の性質
防水工事そのもの 下地まで傷むと、部分補修では済まず撤去・新設になりやすい 工事範囲が広がるほど増える
室内の復旧 天井ボード、クロス、床材、断熱材の交換 1室ごとに発生
設備の被害 照明、分電盤、エレベーター機械室、受変電設備などへの浸水 停電や設備停止につながると高額になりやすい
営業への影響 テナントの休業、ホテル客室の販売停止、イベント中止 賃料・売上の減少として現れる
調査費 原因を特定するための散水試験・赤外線調査など 再発のたびに発生しうる
信用の低下 入居者・宿泊客・テナントからの評価、口コミ 金額にしにくいが長く響く

このはなアリーナの件でも、県が営業補償を含めた対応を検討していると報じられています。雨漏りは「建物の問題」であると同時に、「営業の問題」でもあるということです。

賃貸マンション・ビルのオーナーさまは特に注意

民法第606条は、賃貸人(オーナー)が賃貸物の使用・収益に必要な修繕をする義務を負うと定めています(賃借人の責めに帰すべき事由で修繕が必要になった場合を除きます)。また民法第611条は、賃借物の一部が使用・収益できなくなった場合に、それが賃借人の責めに帰すことができない事由によるものであるときは、賃料はその使用・収益できなくなった部分の割合に応じて減額されると定めています(出典:e-Gov法令検索「民法」)。

具体的にどこまで減額されるかは個別の事情によって変わるため、ここでは断定しません。ただ、雨漏りで部屋の一部が使えなくなれば、賃料収入そのものに影響する可能性があることは、収益不動産のオーナーさまに知っておいていただきたい点です。

ホテルは「1室1泊」の損失が積み上がる

ホテルの場合、雨漏りが出た客室はその日から販売できなくなります。最上階の客室や宴会場、レストランは屋上の真下にあることが多く、被害が出たときの影響が大きくなりがちです。繁忙期に複数の客室が止まれば、防水工事の費用を上回る売上の損失になることもあります。


費用の目安:防水と仮設の考え方

費用は、建物の規模、防水の種類、下地の状態で大きく変わります。明誠の社内参考値として、目安を示します。

工事 目安 備考
屋上などの防水工事 1㎡あたり5,000〜8,000円程度 工法・下地補修の量・既存防水の撤去の有無で変動
外壁の打診調査 1㎡あたり250〜500円程度 外壁からの雨水浸入を疑う場合に実施
外壁塗装 1㎡あたり3,500〜4,500円程度 外壁のひび割れ・目地からの浸水対策として

屋上防水の工事自体は、多くの場合、屋上で作業ができるため大がかりな足場を必要としません。ところが、雨漏りの原因が外壁のひび割れ、窓まわりのシーリング、笠木やパラペット(屋上の立ち上がり)の外側にあると、高所の外壁に近づく手段が必要になります。

ここで仮設の選び方が費用を大きく左右します。明誠の社内試算では、10階建て・外周80m・工期3か月の建物で、仮設足場が約168万円に対し、ロープアクセスなら約59万円(約109万円の差)という参考例があります。いずれも物件により大きく変動する目安で、実際の金額は現地調査と見積りでご確認ください。

30戸程度のマンションの大規模修繕では、総工費が3,500万〜5,000万円程度になる例が多く、そのうち仮設足場が15〜25%程度を占めることがあります(明誠の社内参考値)。雨漏りの原因調査や部分補修のたびに足場を組んでいると、それだけで修繕積立金が目減りしていきます。


雨漏りの原因を特定する調べ方

雨漏りを止めるには、まず「水がどこから入っているか」を特定することが出発点です。代表的な調査方法を比べます。

調査方法 内容 向いているケース 注意点
目視・打診 防水層、シーリング、外壁を目で見て、たたいて音で確かめる すべての調査の基本 隠れた浸水経路は分かりにくい
散水試験 疑わしい場所に順番に水をかけ、室内に水が出るかを確かめる 入口の候補が複数あるとき 時間がかかる。高所の外壁では近づく手段が必要
赤外線調査 温度差から、水を含んだ部分や浮きを推定する 屋上や外壁の広い範囲を短時間で見たいとき 日射・天候の条件で精度が変わる
ドローン調査 高所や屋根の状態を上空から撮影・確認する 近づきにくい屋根・外壁の状況把握 飛行の許可・周辺環境の確認が必要

高所の外壁で散水試験や近接調査を行うとき、ロープアクセスは有力な選択肢です。ロープアクセス工法は、作業員がメインロープとバックアップロープの2本に接続し、2点以上の吊元を確保する二重の安全対策を基本とする方法で、足場を組まずに、疑わしい場所へ短期間で近づけます。技術や安全基準の詳細は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムで解説しています。

明誠の工法についてはロープアクセス工法の特徴と施工の流れ、雨漏りの調査と補修については明誠の雨漏り・漏水対応、上空からの点検はドローンによる建物点検のページもご覧ください。


首都圏の管理組合・オーナーが今確かめたい7項目

このはなアリーナの件を自分ごととして受け止めるために、次の7項目を確認してみてください。

No. 確かめること 確認先
1 屋上防水を最後に更新(撤去・新設、またはトップコート塗り替え)したのはいつか 修繕履歴、竣工図書、管理会社
2 防水の種類は何か(保護防水か露出防水か、アスファルト・シート・ウレタンのどれか) 竣工図書、前回の工事記録
3 防水メーカー・施工会社の保証は残っているか。残り何年か 保証書、工事完了報告書
4 過去3年に雨漏りや天井のシミの報告はあったか。どう処置したか 管理日誌、居住者・テナントからの連絡記録
5 屋上の排水口(ドレン)に落ち葉や土がたまっていないか 屋上の目視点検
6 屋上に後から設置した設備(室外機、太陽光パネル、アンテナ)の固定部まわりに傷みはないか 屋上の目視点検、設備業者
7 次の大規模修繕はいつか。それまでの期間、雨漏りが出たときの対応手順と費用は決まっているか 長期修繕計画、理事会・オーナー会議

特に5番の排水口は見落とされがちです。排水口が詰まると、屋上に水がたまり、防水層の立ち上がり部分を越えて水が入ることがあります。台風シーズンの前後に、排水口の清掃だけでも行っておくと、リスクを下げられます。

そして7番。このはなアリーナの件で起きたのは、まさに「本格工事までの期間」の雨漏りでした。次の大規模修繕までの数年間を「何もしない期間」にせず、「雨漏りが出たらすぐに部分補修できる体制を整えておく期間」にすることが、私の一番の提案です。


雨漏りが出たときの初動

「天井にシミが出た」「雨の日に水が落ちてきた」と連絡を受けたときの初動を整理します。

  1. 安全の確保:水が電気設備(照明、コンセント、分電盤)にかかっていないかを確認し、必要に応じて電源を切ります。床がぬれていれば、転倒防止の注意喚起をします。
  2. 被害の拡大防止:バケツやシートで水を受け、家具や商品、客室の備品を移動します。
  3. 記録:日時、天候(雨の強さ、風向き)、水が出た場所、量を写真とともに残します。風向きの記録は、原因の特定にとても役立ちます。
  4. 管理会社・施工会社への連絡:応急処置の手配と、原因調査の日程を決めます。
  5. 関係者への説明:区分所有者、入居者、テナント、宿泊予約者への説明方法を決めます。
  6. 保険の確認:建物の火災保険などで、雨漏りによる被害が補償の対象になるかを保険会社に確認します。経年劣化による雨漏りは対象外とされることが多いため、契約内容の確認が欠かせません。

応急処置で水が止まっても、それで終わりにしないことが大切です。応急処置は「次の雨までの時間稼ぎ」であり、原因を特定して恒久的な補修を行うまでが一連の対応です。


大規模修繕まで待つか、今手を打つか

「次の大規模修繕まで待つべきか、それとも今、部分的に防水工事をすべきか」というご相談は、とても多いものです。判断の一例を示します。

状況 考え方の一例
大規模修繕が1〜2年以内、雨漏りは未発生 大規模修繕に防水工事を組み込み、それまでは排水口清掃と定期点検で様子を見る
大規模修繕が1〜2年以内、雨漏りが発生 原因箇所の部分補修を先行し、全面的な防水工事は大規模修繕で行う
大規模修繕が3年以上先、劣化が目立つ 屋上防水だけを先に更新する「部分先行」を検討する
雨漏りの原因が外壁側にある ロープアクセスで外壁の該当部分だけを補修し、足場は大規模修繕まで組まない
高層部だけ劣化が目立つ 高層部はロープアクセス、低層部は足場など、部位ごとに工法を変える(ハイブリッド工法)

明誠は、通常の足場工法、ロープアクセス工法(無足場工法)、その両方を部位ごとに使い分けるハイブリッド工法の3つから、建物ごとに最適な組み合わせをご提案しています。管理組合の皆さまは管理組合向けの大規模修繕、ビルオーナーさまはビルオーナー向けの大規模修繕、ホテルの方はホテル向けの大規模修繕のページもあわせてご覧ください。


明誠が雨漏り対応で大切にしていること

明誠はこれまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセス工法での高所作業では、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業で過去16年間、墜落による労働災害ゼロを続けています。作業員はIRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の技能訓練を受けており、品質管理はISO9001の考え方に沿って行っています。会社の概要は株式会社明誠の企業情報のページでご紹介しています。

雨漏り対応で私たちが大切にしているのは、「出口」ではなく「入口」を探すことです。天井のシミの真上だけを補修しても、水の入口が別の場所にあれば、雨漏りはまた起きます。屋上、外壁、窓まわり、設備の貫通部と、水の通り道を一つずつ確かめていきます。

もう一つは、調査から補修までを一つの流れで行うことです。防水・塗装・タイル・電気・看板など各分野の専門職がフランチャイズに加盟しているため、原因が防水層でも外壁でも、設備の固定部でも、同じ現場の中で対応しやすい体制です。ロープアクセスの技術情報やフランチャイズの取り組みについては、ロープアクセスドットコムでも発信しています。

これまでの実績は明誠の施工事例からご覧いただけます。


現場で見てきた「雨漏りの前ぶれ」

ここからは、20年以上の現場経験から、典型的なご相談パターンをお伝えします(特定の建物の事例ではありません)。

一番多いのは、「最上階の住戸やテナントから、天井のシミの報告が一度あったが、その後は止まったので様子を見ていた」というケースです。雨漏りは、毎回の雨で起きるとは限りません。風向きと雨の強さがそろったときだけ水が入ることがあり、「止まった」と思っていても、次の台風で一気に出てくることがあります。

次に多いのが、「屋上に太陽光パネルや空調の室外機を後から載せた」ケースです。架台を固定するために防水層に穴を開けたり、重い機器の振動で防水層が傷んだりして、その周辺から水が入ることがあります。設備を設置した業者と防水の施工会社が別々で、どちらの責任範囲か分かりにくくなっていることもあります。

そしてもう一つ。「防水の保証期間が切れた直後」も要注意のタイミングです。保証期間中は施工会社が点検に来ていたのに、切れた途端に誰も屋上に上がらなくなる、ということが少なくありません。保証が切れたら、管理組合やオーナーさまの側で点検の予定を組むことをおすすめします。


よくあるご質問

Q. 屋上防水は何年ごとにやり直せばよいですか?

A. 国土交通省の長期修繕計画作成ガイドラインの記載例では、屋上防水(保護・露出)は補修・修繕が12〜15年、撤去・新設が24〜30年とされています。ただし同ガイドラインも、周期は立地条件などで異なるおおよその目安としています。実際の時期は調査・診断の結果で判断してください。

Q. 雨漏りが一度止まりました。それでも調査は必要ですか?

A. はい、調査をおすすめします。雨漏りは風向きや雨の強さによって出たり止まったりするため、止まったように見えても水の入口が残っていることがあります。原因を特定しておけば、次の大雨や台風の前に部分補修ができます。

Q. 次の大規模修繕まで防水工事を待っても大丈夫ですか?

A. 雨漏りが出ていない、劣化も軽い場合は、大規模修繕で防水工事を行う計画は合理的です。ただし、すでに雨漏りが出ている場合や、ふくれ・破れが目立つ場合は、原因箇所だけでも先に補修することを検討してください。待っている間の被害が、工事費を上回ることがあります。

Q. 賃貸マンションで雨漏りが起きたら、家賃に影響しますか?

A. 民法第611条では、賃借物の一部が使用・収益できなくなった場合、賃借人の責めに帰すことができない事由によるものであるときは、その割合に応じて賃料が減額されると定められています。具体的な扱いは個別の事情によるため、早めに専門家にご相談ください。オーナーさまには民法第606条により修繕の義務があります。

Q. 防水工事の費用はどのくらいですか?

A. 明誠の社内参考値では、屋上などの防水工事は1㎡あたり5,000〜8,000円程度が目安です。工法、下地補修の量、既存防水の撤去の有無で大きく変わります。外壁側の補修で高所作業が必要な場合は、仮設の方法(足場かロープアクセスか)でも総額が変わります。

Q. 雨漏りの原因が外壁だった場合、足場を組まないと直せませんか?

A. いいえ、足場以外の方法もあります。ロープアクセスなら、足場を組まずに高所の外壁へ近づき、散水試験やシーリングの打ち替え、ひび割れの補修を行える場合があります。10階建て・外周80mの例では、仮設足場約168万円に対しロープアクセス約59万円という社内試算があります。

Q. 明誠に雨漏りの調査だけを頼むことはできますか?

A. はい、可能です。目視・打診、散水試験、赤外線、ドローン、ロープアクセスによる近接調査を組み合わせ、原因の特定から補修、次の大規模修繕の計画まで含めてご提案しています。お問い合わせフォームからご相談ください。


この記事のポイントまとめ

  • 2026年10月25日、静岡市のこのはなアリーナで雨漏りが起き、Bリーグの試合が開始直前に中止された
  • 報道では、7月にも雨漏りがあり、応急工事は10月末まで、本格的な防水工事は2027年度に予定されていた
  • 「分かっていた」「予定もあった」のに、本格工事までの期間に雨が来るのが雨漏りトラブルの典型
  • 屋上防水の周期は目安であり、設備の固定部や排水口の詰まりで早く傷むことがある
  • 雨漏りは内装・設備・賃料・客室稼働にまで影響し、防水工事費を上回る損失になりうる
  • 賃貸では民法606条の修繕義務、611条の賃料減額の規定がオーナーに関わる
  • 外壁側が原因なら、ロープアクセスで足場を組まずに調査・補修できる場合がある

出典・参考資料

※報道に関する記述は、各報道機関が公表した範囲に基づいています。原因は調査中と報じられており、本記事は特定の施設や管理者を評価するものではありません。修繕周期・費用は一般的な目安・参考値であり、実際は建物の状況により異なります。法令の適用は個別の事情によりますので、専門家にご確認ください。


▼ロープアクセス工法・無足場工法の詳細解説はこちら
ロープアクセスドットコム|無足場工法専門メディア

雨漏りは、建物が出している「助けて」のサインです。そして多くの場合、そのサインは本格的な被害の前に一度出ています。このはなアリーナの件は、サインに気づき、手を打つ予定も立てていたのに、間に合わなかった例として、私たちに多くのことを教えてくれます。次の大規模修繕までの期間を、ただ待つ時間にしないでください。屋上に一度上がって、排水口と防水層の状態を確かめるところから始めてみてください。調査や部分補修のご相談だけでも、お問い合わせフォームからお気軽にお声がけください。次回も、現場で本当に使える話だけをお届けします。


この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年10月30日


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