本間社長ブログ
足利市の賃貸オーナー向け補助金2026|旧耐震は固定資産税1/2減額、7月豪雨の減免申請は12月21日まで
目次
- 足利市の賃貸オーナー向け 制度マップ【令和8年度】
- 最優先:令和8年7月の豪雨で被災した物件は、12月21日までに減免申請を
- 耐震改修の固定資産税減額:賃貸物件でも確認したい「1/2減額」
- 通学路沿道ブロック塀等安全対策補助金:所有者・管理者が申請できる現金補助
- 自己居住が条件の制度:賃貸物件では使えないもの
- 持ち家支援が手厚い足利市で、賃貸物件が選ばれ続けるために
- 外壁・防水の工事費を何で抑えるか:仮設計画が手残りを決める
- 足利市の物件で、足場・ロープアクセス・ハイブリッドをどう選ぶか
- 試算:足利市の旧耐震RC賃貸マンション12戸で考える
- 損金算入:修繕費と資本的支出の線引き、補助金と減免の扱い
- 出口戦略:足利市で物件を売るときに効いてくる記録
- 医療法人・介護事業者のオーナーさまへ:足利市の施設で優先したいこと
- 足利市のオーナーさま向け:着手までの5ステップ
- よくあるご質問
- この記事のポイントまとめ
- 足利市の賃貸オーナーさまへ

-
著作者プロフィール
株式会社明誠 代表取締役
本間 幸紘
大規模修繕・外壁工事・ロープアクセス工事に関する情報を、現場経験をもとに分かりやすくお届けします。
足利市で賃貸マンション・アパート・収益ビルをお持ちのオーナーさまへ。この記事では、令和8年度(2026年度)に足利市が公表している建物まわりの補助金と固定資産税の減額・減免制度を、「賃貸物件のオーナーが使える可能性があるもの」と「自己居住が条件で賃貸物件には使えないもの」に分けて整理しました。根拠は足利市公式ホームページの各制度ページと、栃木県が取りまとめている足利市の支援制度一覧で、確認日は2026年10月10日です。
先に結論をお伝えします。足利市の住まいの補助金は、木造住宅の耐震改修も、家庭向けゼロカーボン推進補助金も、空き家バンクのリフォーム補助も、「自分で住む人」または「空き家を買って住む人」が前提です。賃貸経営中の建物で、オーナーさまが申請者になれる現金補助は、通学路に面した危険ブロック塀の撤去補助(1/2・上限20万円)くらいに限られます。
その代わり、税の側に見るべき制度が2つあります。
1つ目は、令和8年7月短時間集中豪雨災害による固定資産税・都市計画税の減免です。足利市税務課の案内(2026年10月7日掲載)では、罹災証明書で半壊以上と判定された住家や、半壊と同等以上の被害が確認された非住家などについて、令和8年度第2期〜第4期分の税額が減免される場合があり、申請期限は令和8年12月21日(必着)です。
2つ目は、耐震改修による固定資産税の減額(翌年度分1/2)です。足利市の耐震改修減額のページには、同じ税務課の省エネ改修減額にある「賃貸住宅でない家屋であること」という要件が書かれていません。旧耐震の賃貸物件をお持ちのオーナーさまにとって、確認する価値のあるポイントです。
この記事では、これらを入居率・NOI(実質賃料収入)・損金算入・出口戦略の視点で読み解き、補助が届かない外壁・防水の工事費をどう抑えるかまで、20年以上大規模修繕の現場に立ってきた私の経験からお話しします。
足利市の賃貸オーナー向け 制度マップ【令和8年度】
まず全体像です。「賃貸オーナーから見た使い道」の欄は、足利市の公式ページの記載をもとに私が整理した目安です。実際に使えるかどうかは、必ず担当課にご確認ください。
| 制度 | 内容 | 賃貸オーナーから見た使い道 | 担当 |
|---|---|---|---|
| 令和8年7月短時間集中豪雨災害の固定資産税・都市計画税減免 | 半壊以上の住家、半壊同等以上の非住家などが対象。令和8年度第2期〜第4期分 | 被災した物件があれば最優先で確認。期限は令和8年12月21日必着 | 税務課 資産税担当 0284-20-2129 |
| 耐震改修に関する固定資産税の減額 | 120㎡までの部分について翌年度分の固定資産税を1/2減額 | ページに賃貸除外の記載なし。旧耐震の賃貸物件で要確認 | 税務課 |
| 通学路沿道ブロック塀等安全対策補助金 | 撤去費の1/2・上限20万円 | 所有者・管理者が申請可。令和7年度分は受付終了、令和8年度分の案内は要確認 | 建築・住宅政策課 建築指導担当 0284-20-2170 |
| 省エネ改修に関する固定資産税の減額 | 翌年度分を1/3減額 | 「賃貸住宅でない家屋」が要件。賃貸は対象外 | 税務課 |
| バリアフリー改修に関する固定資産税の減額 | 一定の改修で減額 | 申請者が居住している家屋が要件。賃貸は対象外 | 税務課 |
| 木造住宅耐震改修等補助金 | 改修費の4/5以内・上限100万円 | 「所有し、居住する個人」が対象。賃貸は対象外 | 建築指導担当 0284-20-2170 |
| 家庭向けゼロカーボン推進補助金 | 太陽光・蓄電池・V2H各3万円、省エネ給湯器1万円 | 「自ら居住する住宅」が対象。賃貸は対象外 | 環境保全課 0284-20-2151 |
| 子育て世帯等空き家バンクリフォーム費補助金 | 工事費の2/3・上限100万円 | 空き家を購入して住む人向け。賃貸中の建物は対象外 | 住宅政策・空き家対策担当 0284-20-2266 |
表のとおり、足利市で賃貸オーナーさまが自分で申請者になれる現金補助は、ほぼブロック塀に限られます。一方で、税の減額・減免は、補助金と違って予算枠による先着順ではなく、要件を満たして期限内に申告すれば受けられるという性格があります。補助金の争奪戦より先に、税で取れるものを取りこぼさない。足利市の賃貸オーナーさまには、この順番で考えることをおすすめします。
最優先:令和8年7月の豪雨で被災した物件は、12月21日までに減免申請を
2026年10月7日、足利市は「令和8年7月短時間集中豪雨災害に対する令和8年度固定資産税・都市計画税の減免について」を公表しました。賃貸オーナーさまにとって、今いちばん期限が迫っている制度です。
公式ページに書かれている要点は次のとおりです。
- 対象となる災害:令和8年7月短時間集中豪雨災害(発災日 令和8年7月17日)
- 対象となる期間:発災日以降に納期限が来る令和8年度第2期〜第4期分の税額。納付済みの税額分も対象
- 対象となる家屋:罹災証明書で半壊以上の判定を受けた住家(既に減免を受けている方を除く)、および半壊と同等以上の被害を受けたことが確認された非住家
- 対象となる償却資産:申請に基づく調査で、減免条件に当てはまると確認されたもの
- 必要書類:減免申請(調査)書、罹災証明書または被災証明書等、被災状況がわかる写真等(償却資産は被災物件一覧も)
- 申請方法:税務課資産税担当へ提出(郵送・メール可)。状況により現地調査あり
- 申請期限:令和8年12月21日(月曜日)必着
オーナーさまに意識していただきたいのは、「入居者が住んでいた部屋が被害を受けた」場合も、固定資産税を納めているのはオーナーさまご自身だという点です。入居者さまの生活再建の手続きとは別に、建物の所有者として減免を申請する必要があります。賃貸住宅が「住家」として扱われるか、店舗や倉庫が「非住家」になるかといった区分は、物件ごとに税務課へ確認してください。
もう一つ、実務上の注意があります。罹災証明書の判定は、写真と記録がものを言います。浸水の高さ、壁や床の被害、設備の故障などを、修理の前に撮っておくことが大切です。すでに修理を終えてしまった物件でも、工事前の写真や見積書、管理会社の報告書が残っていれば、相談の材料になります。
減免を受けるかどうかに関わらず、浸水や雨漏りを経験した建物は、次の豪雨の前に外壁・屋上・排水まわりを点検しておくことをおすすめします。漏水は入居者さまの退去理由になりやすく、空室期間の長期化という形で、減免額よりはるかに大きな損失につながるからです。漏水の原因調査については明誠の雨漏り・漏水対応のページでもご紹介しています。
耐震改修の固定資産税減額:賃貸物件でも確認したい「1/2減額」
足利市税務課の「耐震改修に関する固定資産税の減額について」(2026年4月1日掲載、5月20日更新)で示されている要件は、次の5つです。
- 昭和57年1月1日以前から所在する家屋であること
- 現行の耐震基準に適合する耐震改修であること
- 耐震改修工事費が50万円(税込)を超えていること
- 店舗等併用家屋の場合、床面積の2分の1以上が居住用であること
- 改修工事を令和13年3月31日までに行っていること
軽減内容は、床面積120㎡までの部分を限度として、翌年度分の固定資産税の2分の1を減額です(都市計画税は対象外)。工事完了前に「通行障害既存耐震不適格建築物」だった場合は、2年度分が2分の1に減額されます。申告は工事完了日から3か月以内で、工事請負契約書の写し、費用がわかる書類、増改築等工事証明書などの証明書類が必要です。
ここで注目していただきたいのは、同じ税務課の省エネ改修減額のページには「賃貸住宅でない家屋であること」と明記されているのに、耐震改修減額のページにはその記載がないことです。バリアフリー改修減額も「減税申請者が居住している家屋」「賃貸住宅ではない家屋」を要件にしていますが、耐震改修の要件は「居住用であること」(店舗併用の場合)にとどまります。
つまり、旧耐震の賃貸アパート・賃貸マンションでも、耐震改修で減額を受けられる可能性があるということです。ただし、共同住宅の場合に「120㎡まで」をどの単位で数えるのか、賃貸住宅でも適用されるのかは、最終的には税務課の判断です。工事を発注する前に、物件の図面と工事計画を持って税務課に確認することを強くおすすめします。
なお、耐震改修減額は、省エネ改修減額やバリアフリー改修減額とは併用できません。どちらを使うかで減額割合(1/2か1/3か)が変わるため、工事の組み立て方にも影響します。
旧耐震の賃貸物件で、耐震改修を検討する価値
足利市の木造住宅耐震改修等補助金(4/5以内・上限100万円)は「所有し、居住する個人」が対象で、賃貸物件には使えません。それでも、旧耐震の賃貸物件で耐震化を検討する価値は小さくありません。
- 入居募集:耐震性を気にする入居者さまは確実に増えています。「新耐震相当に改修済み」は、築年数のハンデを補う数少ない説明材料です
- 融資・売却:旧耐震の物件は、金融機関の評価や買主の融資で不利になりがちです。耐震改修の記録は出口の選択肢を広げます
- 税:上記の固定資産税減額が受けられれば、翌年度の固定資産税が半分になります
通学路沿道ブロック塀等安全対策補助金:所有者・管理者が申請できる現金補助
足利市の「通学路に面する危険ブロック塀等の撤去補助」は、2018年の大阪府北部地震でブロック塀の倒壊により児童が亡くなった事故を受けた制度です。賃貸オーナーさまの目線で要点を整理します。
- 対象の塀:各小中学校の学校長が指定した通学路に面し、補強コンクリートブロック造または組積造で、高さ80cmを超え、地震の際に倒壊の危険性があるもの
- 対象の工事:通学路に面するブロック塀等の全部または一部を撤去する工事。工事に未着手・未契約であること
- 申請できる人:ブロック塀等の所有者、所有者の2親等以内の親族、または管理者のうち、工事の契約者
- 対象外:ブロック塀等が築造されている土地の販売を目的とする場合、公共事業の補償対象となっている場合、国税・県税・市税の滞納がある場合など
- 補助金額:撤去工事費と「ブロック塀等の見付面積×13,000円」のいずれか低い額の1/2(上限20万円)
申請者の要件に「居住していること」はなく、除外されているのは「販売目的」であって「賃貸目的」ではありません。管理者も申請者になれるため、管理会社経由で手続きを進めることも考えられます。駐車場や駐輪場の外周、敷地境界の道路側にブロック塀が残っている賃貸アパートなら、検討の対象になります。
計算の例を挙げます。通学路に面した長さ15m・高さ1.2mのブロック塀を撤去する見積が30万円だったとします。見付面積は15m×1.2m=18㎡で、18㎡×13,000円=23.4万円。見積額30万円との低いほうは23.4万円ですから、その1/2の11.7万円が補助の目安になります(仮定の数字です)。
注意点は、足利市のページでは2026年10月10日時点で「令和7年度申込受付は、終了しました」と表示されており、令和8年度分の受付状況は掲載されていないことです(ページ更新日は2026年2月24日)。令和8年度の実施の有無と受付時期は、建築指導担当(0284-20-2170)に直接確認してください。仮に令和8年度分の受付がない、または終了している場合は、令和9年度の受付開始に向けて、冬のうちに見積と事前協議書の準備を進めておくのが現実的です。
もう一つ大切なのは、塀の安全は補助の有無に関係なく、所有者の管理責任だということです。地震で塀が倒れて通行人や入居者さまがけがをすれば、民法上の工作物責任を問われる可能性があります。20万円の補助より、事故が起きたときの賠償と信用の損失のほうが、はるかに大きな金額になります。
自己居住が条件の制度:賃貸物件では使えないもの
足利市には住まいの補助が数多くありますが、賃貸物件では使えないものが大半です。誤解したまま工事を進めないよう、整理しておきます。
木造住宅耐震改修等補助金・耐震診断士派遣
昭和56年5月31日以前に建築された木造2階建て以下の一戸建て住宅を所有し、居住する個人が対象です。補助額は改修費(または耐震建替えの改修費相当分)の4/5以内・上限100万円、耐震診断は市が無料で診断士を派遣します。賃貸アパートや貸家は対象外です。
家庭向けゼロカーボン推進補助金
令和8年度は2026年5月7日から受付が始まり、予算は300件程度、予算に達した時点で締め切りとされています。補助額は省エネ給湯器1万円、住宅用太陽光発電システム3万円、家庭用蓄電池3万円、V2H3万円です。ただし、交付対象者は「市内の自ら居住する住宅に補助金交付対象機器を設置した方」で、市に住民登録していることも条件です。賃貸物件の共用部や貸室への設置は対象外です。
省エネ改修・バリアフリー改修の固定資産税減額
省エネ改修減額(翌年度分1/3減額)は、要件に「賃貸住宅でない家屋であること」が明記されています。バリアフリー改修減額も、減税申請者が居住している家屋で、賃貸住宅ではないことが要件です。窓の断熱改修などを賃貸物件で行っても、この減額は受けられません。
空き家バンク関連のリフォーム補助
子育て世帯等空き家バンクリフォーム費補助金(工事費の2/3・上限100万円)は、子育て世帯や若者夫婦世帯が栃木県空き家バンクを利用して空き家を購入し、10年以上住むことを誓約するなどの要件がある、空き家を購入して自ら住む人のための制度です。ただし、売却を考えているオーナーさまにとっては、買主がこうした補助を使える物件かどうかが、売れ行きに影響する可能性があります。
持ち家支援が手厚い足利市で、賃貸物件が選ばれ続けるために
ここまで見てきたとおり、足利市の住まいの補助は、持ち家の取得・改修・移住を後押しする方向に厚くなっています。賃貸オーナーさまから見れば、入居者さまが「借りる」から「買う」へ移りやすい環境ともいえます。
一方で、足利市には新婚世帯向けの結婚新生活支援事業補助金があり、市の案内では住宅の賃借費用も補助の対象に含まれています。対象となる世帯の要件は市のページで確認が必要ですが、入居募集の際に管理会社と共有しておけば、新婚世帯への訴求材料になります。
持ち家との競争の中で賃貸物件が選ばれ続けるには、「築年数のわりに手入れが行き届いている」という印象が欠かせません。外壁のひび割れや色あせ、鉄部のさび、共用廊下の防水のはがれは、内見の第一印象を確実に下げます。入居率が1%下がると、10戸の物件なら年間の稼働が0.1戸分減る計算です。家賃6万円なら年間約7.2万円の減収で、これが毎年積み重なります。
外壁・防水の工事費を何で抑えるか:仮設計画が手残りを決める
足利市には、賃貸物件の外壁塗装や屋上防水に使える市の現金補助は、今回の調査では見当たりませんでした。そうなると、手残りを左右するのは工事の設計そのものです。
大規模修繕の総工費のうち、足場などの仮設費は15〜25%程度を占めるといわれます。30戸規模のマンションの大規模修繕なら、総額3,500万〜5,000万円のうち、数百万円から1,000万円超が仮設費になる計算です(いずれも目安で、物件により大きく変わります)。
参考までに、外壁工事の単価の目安は次のとおりです。
| 工事 | 単価の目安 |
|---|---|
| 外壁塗装 | 3,500〜4,500円/㎡ |
| 外壁タイルの打診調査 | 250〜500円/㎡ |
| 防水工事 | 5,000〜8,000円/㎡ |
※明誠の施工経験にもとづく参考値です。建物の状態・仕様・規模により変動します。
明誠では、通常足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3つの工法から、建物に合った方法をご提案しています。たとえば10階建て・外周80m・工期3か月の外壁工事を想定した当社の試算では、足場の仮設費が約168万円になるのに対し、ロープアクセスでは約59万円と、約109万円の差が出るケースがあります(物件条件により変動します)。工法の考え方は明誠のロープアクセス工法と大規模修繕の料金の考え方のページで詳しくご紹介しています。
ロープアクセスは、産業用ロープで作業員が建物の外壁を移動しながら施工する工法です。安全面では、メインロープとバックアップロープの2本に接続し、吊元も2点以上確保する二重の冗長化が業界標準で、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業では、過去16年間、ロープアクセスでの墜落による労働災害ゼロを維持しています。工法の技術的な詳細は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムでも解説しています。
足利市の物件で、足場・ロープアクセス・ハイブリッドをどう選ぶか
足利市の賃貸物件は、中低層の鉄骨造・RC造のアパートやマンションが中心です。工法選びの目安は次のとおりです。
| 物件のタイプ | 向いている工法 | 理由 |
|---|---|---|
| 2〜3階建ての木造・鉄骨アパート | 通常足場 | 足場の規模が小さく、全面塗装なら足場が効率的 |
| 4〜6階建てのRCマンション | ハイブリッド | 共用廊下側は足場、バルコニー側や妻側はロープアクセスなど、面ごとに使い分け |
| 7階建て以上、または部分補修中心 | ロープアクセス | 足場の仮設費と工期を大きく抑えられる |
| 敷地が狭い、道路・隣地に足場が組みにくい | ロープアクセス | 足場の設置スペースや道路占用の制約を受けにくい |
賃貸経営の目線で見逃せないのが、工期中の入居者さまへの影響です。足場とメッシュシートで建物が覆われると、窓が開けにくい・洗濯物が干せない・防犯面が不安といった声が出やすく、工期中の退去や、内見の印象悪化につながることがあります。ロープアクセスは作業する面だけに人が入るため、生活への影響が限られ、空室の募集を止めずに工事を進めやすいという利点があります。
ただし、すべての物件にロープアクセスが向くわけではありません。外壁全面の塗り替えで、建物が低層・単純な形状なら、通常足場のほうが合理的な場合もあります。大切なのは、劣化調査をして、本当に必要な工事範囲を確定させてから工法を選ぶことです。足場とロープアクセスを組み合わせる考え方や施工の実例は、ロープアクセスドットコムの工法解説記事でも紹介しています。
試算:足利市の旧耐震RC賃貸マンション12戸で考える
仮定の物件で、制度と物件価値の関係を整理してみます(すべて仮定の数字です)。
- 1980年築・RC造4階建て・12戸(1戸あたり50㎡)、家賃は月6万円
- 満室時の年間賃料収入:6万円×12戸×12か月=864万円
- 現状の入居率85%:実質の賃料収入は約734万円
この物件で、外壁と防水の修繕に加えて耐震改修を行い、入居率が90%まで回復したとします。
- 入居率90%の賃料収入:約778万円
- 年間の増収:約44万円
NOIを還元利回り(キャップレート)で割った値が収益還元価格の目安です。仮にキャップレート8%で見ると、年間44万円の増収は、物件価値にして約550万円の差になります(運営費が変わらないと仮定した単純化した計算です)。
これに、耐震改修減額が適用されれば、翌年度の固定資産税(家屋)の一部が1/2になります。減額の金額そのものは大きくないかもしれませんが、「現行耐震基準に適合する改修をした」という証明書類が残ることは、売却時の説明材料として大きな意味を持ちます。
損金算入:修繕費と資本的支出の線引き、補助金と減免の扱い
オーナーさまにとって、工事費の税務処理は手残りに直結します。一般的な考え方を整理します(個別の判断は税理士にご確認ください)。
- 修繕費(その年の経費):建物の原状を回復するための工事。外壁の塗り替え、ひび割れの補修、防水の部分補修など
- 資本的支出(減価償却):建物の価値を高めたり耐用年数を延ばしたりする工事。耐震補強、グレードアップを伴う改修など
- 1つの工事の中に両方が含まれることも多いため、見積書の段階で工事項目を分けて記載してもらうと、後の判断がしやすくなります
補助金を受けた場合は、受給時に雑収入として課税対象になるのが原則です(圧縮記帳の適用可否も含めて税理士にご確認ください)。ブロック塀の撤去補助のような少額の補助でも、帳簿への計上を忘れないようにしましょう。
一方、固定資産税の減額・減免は「収入」ではなく、支払う税金が減るという形で効いてきます。経費に計上する固定資産税の額が減るため、結果として課税所得は増えますが、手残りのキャッシュは確実に増えます。
出口戦略:足利市で物件を売るときに効いてくる記録
足利市で賃貸物件を売却するとき、買主や金融機関が確認するのは、利回りだけではありません。
- 修繕履歴:いつ、どこを、どの工法で直したか。外壁・屋上防水・鉄部・給排水の記録があると、買主の「見えない修繕リスク」が下がり、価格交渉で不利になりにくくなります
- 耐震の記録:旧耐震の物件で、耐震診断や耐震改修の証明書があるかどうかは、融資の可否や価格に直結します
- 被災と復旧の記録:令和8年7月の豪雨で被害を受けた物件なら、罹災証明書、修理の内容、その後の点検記録をまとめておくことで、「被災したが、きちんと直した物件」として説明できます。記録がないと、買主は最悪の想定で価格を見積もります
出口を見据えた修繕投資は、利回りの改善より、物件価値そのものを底上げします。工事のたびに、写真・図面・工事報告書を1冊にまとめておくことをおすすめします。
医療法人・介護事業者のオーナーさまへ:足利市の施設で優先したいこと
クリニックやサービス付き高齢者向け住宅、介護施設を足利市でお持ちの法人さまは、次の点を優先して点検してください。
- 豪雨への備え(BCP):浸水や雨漏りで診療・介護サービスが止まると、医療報酬・介護報酬の減収に直結します。屋上防水、外壁の目地、排水口の詰まりは、雨のシーズン前に点検を
- 被災時の減免の確認:令和8年7月の豪雨で施設に被害があった場合、非住家や償却資産として減免の対象になる可能性があります。期限の12月21日までに税務課へ相談を
- 工事中の運営継続:ロープアクセスやハイブリッド工法なら、足場で施設全体を覆わずに工事を進められるため、利用者さまの生活や診療への影響を抑えやすくなります
施設の大規模修繕については、ビルオーナーさま向けのサービスのページもご覧ください。
足利市のオーナーさま向け:着手までの5ステップ
- 豪雨の被害を確認する:被害があった物件は、罹災証明書の取得と減免申請(令和8年12月21日必着)を最優先に
- 築年を確認する:昭和57年1月1日以前の物件なら、耐震改修の固定資産税減額が使えるかを税務課へ確認
- ブロック塀を確認する:通学路に面した高さ80cm超の塀があれば、建築指導担当に令和8年度・令和9年度の受付予定を確認
- 劣化調査をする:外壁・屋上・鉄部・排水の状態を把握し、必要な工事範囲を確定
- 工法別に比較する:足場・ロープアクセス・ハイブリッドで見積を取り、工期・入居者さまへの影響・総額を比較
明誠は、これまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕に携わってきました。ISO9001の品質マネジメントシステムのもと、IRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の技能訓練を受けた作業員が施工します。施工事例や収益物件オーナーさま向けの考え方は、収益物件オーナーさま向けのページでご覧いただけます。
よくあるご質問
Q1. 足利市で、賃貸アパートのオーナーが申請できる補助金はありますか?
今回の調査で確認できたのは、通学路に面した危険ブロック塀の撤去補助(撤去費の1/2・上限20万円)です。木造耐震改修、ゼロカーボン推進補助金、空き家バンクのリフォーム補助は、いずれも自己居住や購入が前提で、賃貸中の物件は対象外です。
Q2. 7月の豪雨で賃貸物件が浸水しました。固定資産税は安くなりますか?
足利市は令和8年7月短時間集中豪雨災害について、罹災証明書で半壊以上と判定された住家などの令和8年度第2期〜第4期分の固定資産税・都市計画税を減免する場合があるとしています。納付済みの分も対象で、申請期限は令和8年12月21日必着です。税務課資産税担当(0284-20-2129)にご相談ください。
Q3. 賃貸マンションでも、耐震改修で固定資産税は減額されますか?
足利市の耐震改修減額のページには、省エネ改修減額にある「賃貸住宅でない家屋」という要件が書かれていません。昭和57年1月1日以前からある家屋で、50万円超の耐震改修をした場合、120㎡までの部分について翌年度分が1/2減額されます。賃貸物件への適用や共同住宅での計算方法は、工事前に税務課へご確認ください。
Q4. ブロック塀の撤去補助は、いまから申請できますか?
2026年10月10日時点で、足利市のページには「令和7年度申込受付は、終了しました」と表示されており、令和8年度分の受付状況は掲載されていません。建築指導担当(0284-20-2170)に直接確認してください。補助は工事に未着手・未契約であることが条件なので、先に契約しないよう注意が必要です。
Q5. 賃貸物件の窓を断熱改修したら、固定資産税は減りますか?
足利市の省エネ改修減額は「賃貸住宅でない家屋であること」が要件のため、賃貸物件では対象外です。ただし、断熱性の向上は入居者さまの光熱費や快適性に直結するため、空室対策としての効果は期待できます。
Q6. 補助金をもらったら、税金はかかりますか?
補助金は原則として受け取った年の雑収入として課税対象になります。圧縮記帳の可否も含め、工事前に税理士へご相談ください。固定資産税の減額・減免は収入ではなく、支払う税金が減る扱いです。
Q7. 補助がなくても、外壁や防水の修繕費を抑える方法はありますか?
仮設費の見直しが有効です。足場が総工費の15〜25%程度を占めるといわれる中、ロープアクセスやハイブリッド工法で足場の範囲を絞ることで、仮設費と工期を抑えられる場合があります。まずは劣化調査で、本当に必要な工事範囲を確定させることが大切です。
Q8. 足利市の物件でも、明誠に工事を頼めますか?
はい。明誠は栃木県を含む関東一円で施工しています。現地調査と、工法別の概算比較のご相談から承ります。
この記事のポイントまとめ
- 足利市の住まいの補助(木造耐震・ゼロカーボン・空き家バンクリフォーム)は自己居住・購入が前提で、賃貸物件は対象外
- 賃貸オーナーが申請できる現金補助は、通学路沿道のブロック塀撤去(1/2・上限20万円)。令和8年度の受付状況は要確認
- 令和8年7月短時間集中豪雨災害の固定資産税減免は、令和8年12月21日必着。被災物件は最優先で
- 耐震改修の固定資産税減額(翌年度1/2)は、賃貸除外の記載なし。省エネ・バリアフリーは賃貸対象外
- 外壁・防水に使える市の補助は見当たらない。仮設計画(足場・ロープアクセス・ハイブリッド)で総額を抑える
- 補助の有無より、劣化や被災を放置したときの入居率・物件価値への影響で判断する
足利市の賃貸オーナーさまへ
足利市は、持ち家と移住を後押しする補助がそろっている一方で、賃貸オーナーさまが直接使える補助は多くありません。だからこそ、期限のある減免を取りこぼさないこと、税の減額を工事計画に組み込むこと、そして補助の届かない部分を工事の設計で取り返すことが大切になります。
特に、7月の豪雨で被害を受けた物件をお持ちの方は、12月21日の期限を忘れずに。被害の記録は、減免の申請だけでなく、修繕計画と将来の売却のためにも役立ちます。
お持ちの物件で、まだ修繕計画の検討を始めていないオーナーさまは、ぜひ一度ご相談ください。1棟の現地調査と、工法別の概算比較、キャッシュフロー試算だけでも承ります。明誠へのお問い合わせはこちらのフォームからお受けしています。
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本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月10日時点で公表されている足利市および栃木県の公式情報をもとに執筆しています。補助制度は予算の範囲内で先着順となるものが多く、年度途中でも受付終了や改正があり得ます。実際に申請・申告される前に、必ず足利市の各担当課へ最新の内容をご確認ください。
この記事の執筆者
本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。
最終更新:2026年10月10日
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