本間社長ブログ

2026.09.25

調布市のマンション漏水・防災対策|多摩川・野川の浸水想定と深大寺エリアの土砂災害リスク、大規模修繕の優先順位【2026年度版】

調布市のマンション漏水・防災対策|多摩川・野川の浸水想定と深大寺エリアの土砂災害リスク、大規模修繕の優先順位【2026年度版】
本間 幸紘

著作者プロフィール

株式会社明誠 代表取締役

本間 幸紘

大規模修繕・外壁工事・ロープアクセス工事に関する情報を、現場経験をもとに分かりやすくお届けします。

2026年9月25日 更新

仙川沿いの分譲マンションで大規模修繕のご相談をいただいたとき、理事長さまから「うちは多摩川から離れているから水害は関係ないですよね」と聞かれたことがあります。私はその場で「地区によります」とお答えしました。調布市は多摩川沿いの低地と、深大寺・佐須町のような谷戸地形、国領・布田のような台地部が混在する自治体で、同じ市内でもマンションが建つ場所によってリスクの出方がまったく違うからです。

私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。東京都東大和市を拠点に、20年近くマンション・ビル・ホテルの大規模修繕に携わってきました。仮設足場を組む工事も、ロープ1本でぶら下がる無足場の工事も、どちらも現場でやってきた人間として、今日は調布市のハザードマップの数字と、大規模修繕で先に手を打つべき場所を整理します。


結論:調布市の分譲・賃貸マンションで優先すべきは「地区特性に応じた水害・土砂災害対策」と「屋上防水・排水経路の健全性」です

先に結論を申し上げます。調布市の大規模修繕で私が最初に確認するのは、次の2点です。

1つ目は建物が多摩川沿いの浸水想定区域にあるか、深大寺・佐須町周辺の土砂災害警戒区域にあるかの立地確認です。調布市洪水・内水ハザードマップ(令和5年3月改訂)は、国土交通省が公表する多摩川・浅川・大栗川と、東京都が公表する野川・仙川・入間川・谷沢川・丸子川を対象としており(出典:調布市「調布市洪水・内水ハザードマップ」、最終更新2026年9月15日)、河川からの距離だけでなく内水氾濫(下水道の排水能力を超えた雨水があふれること)のリスクも地図に加わっています。

2つ目は屋上防水とバルコニー排水経路の健全性。調布市は台地・沖積低地・谷底低地が入り混じる地盤構成のため(出典:東京都都市整備局「地震に関する地域危険度一覧表(調布市)」)、地区によって降雨時の排水の効きやすさが変わります。この2点を大規模修繕の計画段階で見直すことが、調布市のマンションにとって最優先の対策になると私は考えています。


調布市のハザードマップを1枚で読む

市と国・都が公表している資料を、マンション修繕の視点で1枚に整理しました。

災害種別 調布市の該当 想定・該当範囲
洪水(多摩川・浅川・大栗川、想定最大規模降雨) あり 多摩川沿いの低地に浸水想定区域。国交省公表(出典:国土交通省関東地方整備局 京浜河川事務所「多摩川・浅川・大栗川の洪水浸水想定区域図(想定最大規模)」)
洪水(野川・仙川・入間川・谷沢川・丸子川) あり 東京都公表の中小河川。市中央部・南部の低地に浸水想定区域
内水氾濫(下水道等の排水能力超過) あり 令和5年3月改訂でハザードマップに追加。短時間豪雨で市内各所に発生し得る
土砂災害警戒区域 あり 飛田給・下石原、野水、深大寺・佐須町・柴崎、若葉町・東つつじケ丘・入間町の一部の5地区が対象(出典:調布市「調布市土砂災害ハザードマップ」)
液状化 可能性あり 国土地理院「重ねるハザードマップ」の液状化予測情報で地区ごとの相対評価を確認できる(出典:国土地理院「重ねるハザードマップ」)
津波・高潮 指定なし 内陸部のため区独自の想定なし

過去の実例では、令和元年東日本台風(台風19号)で市内の多くの家屋が床上・床下浸水の被害に見舞われたと市が公式に記録しています(出典:調布市「令和元年東日本台風(台風第19号)調布市の記録」)。多摩川本流だけでなく、野川・仙川といった中小河川沿いの内水氾濫も被害の一因になったとみられています。

正直に申し上げます。この一覧を最初に整理したとき、私自身「同じ調布市でもこれほど地区差があるのか」と感じました。ただしハザードマップは「怖がるための資料」ではなく、「自分のマンションがどの地区に建っていて、何を優先すべきかを決めるための資料」だと私は理事会でお伝えしています。


地域特性と漏水事故の関係

調布市は一つの顔ではなく、エリアごとにリスクの出方が違います。

多摩川沿いの低地(多摩川・染地・国領の一部など):洪水浸水想定区域に含まれる地区があり、地下・半地下の駐車場や電気室が浸水すると、建物全体が長期間使用不能になりかねません。台風シーズンの雨量が多い年は、屋上防水と外構排水の点検を前倒しする価値があります。

深大寺・佐須町・若葉町周辺の谷戸地形:土砂災害警戒区域の指定を受けている地区で、崖線や擁壁の近くに建つマンションでは、大雨後の擁壁ひび割れ・排水不良が漏水事故の引き金になります。地域危険度調査では国領町5丁目や若葉町1丁目など一部の町丁目がランク3(相対的に高い区分)に分類されており(出典:東京都都市整備局「地震に関する地域危険度一覧表(調布市)」)、地盤特性を踏まえた点検が有効です。

国領・布田・仙川沿いの中高層マンション:台地上に位置し地盤は比較的安定していますが、仙川・野川沿いの低地に近い棟では内水氾濫の想定区域に入ることがあり、バルコニー排水とドレンの詰まりが被害を広げやすい点は他エリアと共通しています。

いずれのエリアでも共通するのは、「日常の漏水対策」と「非常時の浸水・土砂災害対策」がつながっているという点です。日頃の屋上防水・排水ドレンの点検を怠っている建物は、台風時の内水氾濫でも被害が大きくなります。


大規模修繕で必ず確認したい漏水ポイント7つ

私が漏水対応の現地調査で毎回見る7カ所です。調布市のように地区ごとの地盤・地形差が大きいエリアでは、特に排水系統と外周部の劣化状況を丁寧に見る必要があります。

  1. 屋上防水層:経年劣化・膨れ・亀裂の有無。トップコートの摩耗だけでも雨水侵入のリスクが上がります。
  2. シーリング(目地):外壁パネル間・サッシまわりのシーリング材の硬化・ひび割れ。
  3. バルコニー排水(ドレン):落ち葉やゴミによる詰まりは、ゲリラ豪雨時に排水能力を一気に落とします。
  4. 屋上ドレン・オーバーフロー管:屋上に水がたまる「ドレン詰まり」は漏水事故の最多原因の一つです。
  5. パラペット・笠木の立上り部:雨水の吹き込みが起きやすく、防水層の切れ目になりやすい箇所です。
  6. サッシまわりのシール:強風を伴う台風時、サッシ枠からの雨水侵入が急増します。
  7. エキスパンションジョイント:建物の伸縮を吸収する部材の劣化は、地震後の漏水事故の引き金にもなります。

これらは足場を組んでも、ロープアクセスでも点検・補修できます。ただし深大寺・佐須町のように土砂災害警戒区域と隣接するエリアでは、大雨直後に擁壁や崖線に近い外壁・防水層を即座に点検できるかどうかが被害の拡大を左右します。技術的な詳細は姉妹サイトのロープアクセスドットコムでも解説しています。


漏水緊急対応でロープアクセスが強い理由

台風接近が予報された段階で「屋上の防水が心配」というご相談をいただくことがあります。仮設足場は組み立てだけで数日、規模によっては1〜2週間かかります。一方、ロープアクセス工法であれば、資材と作業員の手配ができ次第、当日〜翌日には屋上やバルコニーの応急補修に着手できます。

目安として、10階建て・外周80m・工期3ヶ月の大規模修繕を想定した場合、足場費用は約168万円、ロープアクセスなら約59万円というケースがあります(物件の規模・形状により変動するため、あくまで目安の一例です)。屋上防水の本体工事は工法・面積によって5,000〜8,000円/㎡が目安ですが、緊急の部分補修であれば足場とロープアクセスの費用差はさらに大きくなります。

株式会社明誠は日本で数少ない、足場・ロープアクセス・ハイブリッド工法の3つから建物に最適な工法を提案できる会社です。これまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけており、ロープアクセスの高所作業について、明誠と全国のフランチャイズ加盟企業では過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。工法選びの実例は明誠の施工事例からもご確認いただけます。詳しい技術情報はロープアクセスドットコムにまとまっています。


防災上の共用部(避難通路/エレベーター/受電設備/給水ポンプ/自家発電)の位置と修繕優先度

調布市のように地区によって水害・土砂災害の想定が異なるエリアでは、共用部の設備配置そのものが防災計画の一部になります。私が理事会にお伝えしている優先順位は次のとおりです。

優先度 設備 チェックポイント
高 受変電設備・自家発電設備 多摩川・野川・仙川沿いの浸水想定区域内の場合、地下・1階設置なら移設・かさ上げを検討
高 給水ポンプ室 停電・浸水時の給水停止リスク。予備電源との連携を確認
中〜高 外構・擁壁(深大寺・佐須町エリアなど) 土砂災害警戒区域に近い場合、擁壁のひび割れ・排水不良を定期点検
中 エレベーター機械室 冠水時の停止に備え、階段避難の動線と表示を確保
中 避難通路・共用廊下 浸水時に上層階へ垂直避難できる動線の明確化
中〜高 防水層・外壁(本記事の主題) 日常の漏水対策が非常時の被害拡大を防ぐ土台

令和元年東日本台風では都内の多摩川流域で地下設備の浸水による停電・断水が各地で報告されており、調布市も市の公式記録で家屋の床上・床下浸水を確認しています(出典:調布市「令和元年東日本台風(台風第19号)調布市の記録」)。大規模修繕のタイミングは、防水・外壁の更新と同時に、こうした設備の位置を見直す数少ない機会でもあります。


調布市の防災補助・耐震助成

調布市は分譲マンションを対象にした耐震化促進事業を実施しています(出典:調布市「分譲マンション耐震化促進事業」、最終更新2026年4月16日)。

助成内容 助成率・上限額 対象要件
耐震診断 実支出額(上限100万円) 昭和56年5月31日以前に建築確認、階数3以上(地階を除く)、RC・S・SRC造
補強設計 実支出額(上限200万円) 同上
耐震改修・建替え・除却(延べ面積1,000㎡以上) 1/3(上限2,000万円) 同上
耐震改修・建替え・除却(延べ面積1,000㎡未満) 23%(上限2,000万円) 同上
工事監理 実支出額(上限200万円) 同上

制度の詳細な適用可否や令和8年度の予算枠については、調布市の担当窓口(都市整備部建築指導課)への確認をおすすめします。予算枠に達し次第、申請受付が終了する制度のため、検討される場合は早めのご相談が有効です。


まとめ|今週動くこと3点

調布市のマンション管理組合・オーナーさまに、今週すぐできることを3つお伝えします。

  1. 市の洪水・内水ハザードマップと土砂災害ハザードマップで、自分の建物がどの地区・どの想定区域に該当するかを確認する
  2. 屋上防水・ドレン・バルコニー排水の点検記録を、直近3年分だけでも見直す
  3. 深大寺・佐須町など土砂災害警戒区域に近い立地の場合、擁壁・外構の排水状況を大規模修繕の議題に加える

理事会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。ご相談だけでも遠慮なくお問合せフォームからお声がけください。分譲マンションの管理組合さまは管理組合向けサービス、賃貸マンション・ビルのオーナーさまはビルオーナー向けサービスのページもご参照ください。


よくあるご質問

Q. 調布市は本当に水害のリスクがあるのですか?

A. 多摩川・浅川・大栗川と、野川・仙川などの中小河川で洪水浸水想定区域が公表されており、令和元年東日本台風では市内で床上・床下浸水の被害が実際に発生しています。ただし地区差が大きいため、まずは自分の建物の立地確認が優先です。

Q. うちのマンションは台地の上にあるので、水害対策は不要ですか?

A. 台地部でも仙川・野川沿いに近い棟は内水氾濫の想定区域に入ることがあります。地区の想定区域図を確認したうえで、バルコニー排水・ドレンの点検は立地によらず有効です。

Q. 深大寺・佐須町周辺は具体的にどんなリスクがありますか?

A. 土砂災害警戒区域に指定されている地区があり、崖線や擁壁の近くに建つマンションでは大雨後の擁壁ひび割れ・排水不良に注意が必要です。市の土砂災害ハザードマップで詳細な範囲を確認できます。

Q. 屋上防水の工事はどのくらいの費用がかかりますか?

A. 防水工事は工法・面積により5,000〜8,000円/㎡が目安です。物件の規模や劣化状況により変動するため、無料で概算お見積りを提示できます。

Q. 台風が来る前に、緊急で屋上だけ直すことはできますか?

A. ロープアクセス工法であれば、足場を組まずに当日〜翌日に着手できるケースがあります。応急補修のご相談はお早めにお願いします。

Q. 分譲マンションでも耐震助成は使えますか?

A. 調布市の場合、昭和56年5月31日以前に建築確認を取得し、階数3以上・RC造等の要件を満たせば分譲マンション耐震化促進事業の対象になり得ます。詳細は市の建築指導課でご確認ください。

Q. 液状化のリスクはどう考えればよいですか?

A. 国土地理院の重ねるハザードマップで地区ごとの液状化予測情報を確認できます。地盤調査の履歴がない古い建物は、大規模修繕の機会に基礎まわりの点検も合わせて検討することをおすすめします。


出典・参考資料

本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月25日時点で公表されている調布市および国土交通省・東京都の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に耐震化助成を申請される前に、必ず調布市の建築指導課へ最新の内容をご確認ください。

この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年9月25日

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