本間社長ブログ

葉山町のマンション補助金|大規模修繕2026年度版

葉山町のマンション補助金|大規模修繕2026年度版
本間 幸紘

著作者プロフィール

株式会社明誠 代表取締役

本間 幸紘

大規模修繕・外壁工事・ロープアクセス工事に関する情報を、現場経験をもとに分かりやすくお届けします。

2026年10月9日 更新

「葉山町のマンションで、大規模修繕に使える補助金はありますか?」

結論から申し上げます。令和8年度(2026年度)時点で葉山町の公式サイトに公開されている資料を確認した範囲では、外壁塗装や屋上防水など、共用部分の大規模修繕工事そのものを管理組合に補助する町の制度は見つかりませんでした。

ただし、葉山町のマンション管理組合が知っておきたい制度は3つあります。1つ目は、区分所有のマンションなら「専有部分1戸につき1回」使えると要綱に明記された、町の住宅リフォーム資金補助金(一律5万円)。2つ目は、神奈川県がマンション管理士などの専門家を無料で派遣する「マンションアドバイザー派遣事業」(令和8年度は令和9年2月26日まで受付)。3つ目は、補助金ではありませんが、風致地区で外壁や屋根の色を変えるときに必要な「町長の許可」です。

こんにちは、株式会社明誠の本間です。マンション・ビル・ホテルの大規模修繕に20年以上携わってきました。この記事では、葉山町のマンション管理組合の理事長さま・修繕委員の皆さまに向けて、葉山町と神奈川県の制度を「共用部に使えるか、使えないか」で仕分けし、葉山町ならではの注意点と、工事費そのものを抑える工法の選び方までお伝えします。

葉山町は、緑と海に囲まれた落ち着いた住宅地です。町内には条例で定められた風致地区があり、大規模修繕で外壁の色を変える計画を立てるときは、補助金よりも先に、この許可の確認が必要になる場合があります。 ここが、他の自治体の記事ではあまり触れない、葉山町の管理組合が押さえておきたい論点です。

早見表:葉山町のマンションで使える制度・使えない制度

まず全体像です。葉山町・神奈川県・国土交通省の公表資料をもとに整理しました(2026年10月9日時点)。

制度 実施主体 共用部の大規模修繕に使えるか ポイント
住宅リフォーム資金補助金 葉山町(産業振興課) △ 要確認(主に専有部分の工事向け) 一律5万円。区分所有住宅は専有部分1戸につき1回。町内業者・税抜20万円以上・着工前申請。別荘は対象外
マンションアドバイザー派遣事業 神奈川県(住宅計画課) ○ 相談に使える(工事費の補助ではない) 派遣料無料、1回3時間以内、1管理組合につき年度内最大2回。令和8年6月26日〜令和9年2月26日
マンション管理計画認定制度 神奈川県(町村部は県が認定) ○ 間接的に有利 長寿命化促進税制や融資の金利引下げの前提になる
マンション長寿命化促進税制 国(申告先は葉山町) ○ 間接的に有利 一定の大規模修繕を令和9年3月31日までに完了した場合、翌年度の固定資産税を減額
再生可能エネルギーシステム等設置補助金 葉山町(環境課) × 対象外 自ら居住する住宅が対象。太陽光は1kWあたり1.5万円(上限5万円)
ブロック塀等撤去補助金 葉山町(都市計画課) × 対象外 「自らが所有する戸建て住宅に付属するブロック塀等を所有する個人」が対象
住宅耐震補強工事の補助 葉山町(都市計画課) × 確認できず 町の案内では「木造住宅の耐震補強工事等」。マンション(非木造)向けは確認できず
風致地区条例の許可 葉山町 (補助ではなく手続き) 風致地区内で建築物の外壁・屋根の色を変えるときは町長の許可が必要

「共用部の工事費に直接使える町の補助金はない」というのが出発点です。そのうえで、専有部分の補助を大規模修繕の時期に合わせて案内する、県の無料アドバイザーで長期修繕計画を点検する、工法の比較で工事費そのものを適正化する、という3つの手立てが現実的です。

結論:葉山町の管理組合が押さえる3つのポイント

  1. 町の住宅リフォーム補助は「専有部分1戸につき1回・5万円」が基本線。 共用部の工事費を管理組合として申請できるかは要綱上はっきりしないため、産業振興課への確認が必要です。また、町のサイトに掲載されている要綱PDFには有効期限の記載があるため、令和8年度の受付状況を事前に確認してください(詳しくは後述)。
  2. 神奈川県のマンションアドバイザー派遣は、葉山町の管理組合が無料で使える。 隣の横須賀市は県の派遣対象外ですが、葉山町は対象です。長期修繕計画や修繕積立金の見直しの「最初の一歩」として有効です。
  3. 風致地区にあるマンションは、外壁・屋根の色を変える前に町長の許可が必要。 同じ色で塗り直すのか、色を変えるのかで手続きが変わります。総会で色を決める前に、敷地が風致地区に入っているかを確認しましょう。

葉山町の住宅リフォーム資金補助金-区分所有なら「専有部分1戸につき1回」

制度の概要

葉山町住宅リフォーム資金補助金交付要綱と、町の案内チラシに書かれている内容を整理します。

項目 内容(町の要綱・チラシの記載)
目的 地域経済の活性化と居住環境の向上
補助額 一律5万円
対象者 リフォームを行う住宅の所有者または居住者(町税・国民健康保険料等の滞納がないこと)
対象住宅 町内の居住用の住宅(チラシでは「別荘は除く」)
主な条件 町内業者が施工すること/工事費が20万円以上(消費税抜き)/申請した年度内に完了すること/着工前に申請すること
回数 住宅1棟につき1回。区分所有住宅は専有部分1戸につき1回
完了報告 工事完了から14日以内または年度末のいずれか早い日まで
担当 産業振興課

チラシでは、対象工事の例として「浴室・キッチン・トイレ等のリフォーム」「給湯・換気・給排水衛生設備工事を伴うリフォーム」「屋根の塗装、ふき替え」「外壁の張替え、塗装」「手すりの設置や段差解消などのバリアフリー改修」などが挙げられています。一方で、庭・車庫・倉庫などの改築や、外壁・フェンス・門扉などの外構工事は対象外です。

マンションで、どう使えるのか

注目したいのは、要綱の第5条第2項です。補助は「住宅1棟につき1回」が原則ですが、区分所有者が2人以上いる住宅(区分所有住宅)については「専有部分1戸につき1回」と書かれています。つまり、分譲マンションでは、住戸ごとに5万円の補助を受けられる余地があるということです。

一方で、外壁や屋上防水などの共用部分の工事について、管理組合が申請者になれるかどうかは、要綱からははっきり読み取れません。チラシにも「居住スペースが対象」とあります。私の経験上、こうした町の住宅リフォーム補助は、各住戸の区分所有者が、自分の専有部分の工事に使うのが基本線です。管理組合として共用部に使えるかは、計画の早い段階で産業振興課に確認してください。

「令和8年度も受付しているか」を最初に確認

ここは正直に申し上げます。町のサイトに掲載されている要綱PDFの附則には、「この要綱は、令和7年3月31日限り、その効力を失う」という有効期限の記載があり、最後の改正は令和6年4月1日施行のものです。延長の改正が掲載されていないだけなのか、制度が終了しているのかは、公開資料からは確認できませんでした。

そのため、令和8年度(2026年度)に受付をしているか、予算が残っているかは、産業振興課(町役場 代表 046-876-1111)へ問い合わせてから計画に組み込んでください。年度ごとに予算の範囲内で交付される制度なので、年度の後半は受付状況が変わることもあります。

管理組合として、どう活かすか

この補助は、各住戸の区分所有者が申請するものですが、大規模修繕のタイミングで「専有部分のリフォームを検討している方は、町の補助が使えるかもしれません」と案内することは、管理組合にできる大切な役割です。たとえば、大規模修繕の工事説明会の資料に、町の制度の概要と問い合わせ先を1枚添えるだけでも、住戸ごとのリフォームのきっかけになります。

ただし、次の条件には注意が必要です。

  • 町内業者が施工することが条件です。大規模修繕の施工会社が町外の会社の場合、専有部分の工事を同じ会社に頼むと補助の対象外になります。
  • 工事の着工前に申請が必要です。申請前に着工した工事は対象になりません。
  • 別荘は対象外です(チラシの記載)。葉山町のマンションには、週末や季節ごとに使う住戸もあると思います。こうした住戸の区分所有者には、対象外になる可能性を先にお伝えしておくと親切です。
  • 補助を受けてから10年以内に、住宅を居住用でない建物に用途変更したり、売却・譲渡したりした場合は、町への届出が必要で、補助金の返還を求められる場合があります(要綱第14条・第15条)。

町が案内している、ほかの住宅関係の制度

町のチラシには、リフォーム補助と同じ工事に重複して申請できない「町が実施するその他のリフォーム補助制度」として、介護保険の住宅改修、在宅高齢者住宅改修、重度障害者住宅設備改造費助成、再生可能エネルギーシステム等設置補助金、いけがき設置等助成、合併処理浄化槽設置整備補助、水洗化工事費助成、住宅耐震補強工事、ブロック塀撤去補助金が挙げられています。どれも基本的には個人の住宅・住戸が対象で、マンションの共用部の大規模修繕に使えるものではありません。

神奈川県のマンションアドバイザー派遣-葉山町の管理組合は無料で使えます

制度の概要

神奈川県の令和8年度 マンションアドバイザー派遣事業のご案内によると、内容は次のとおりです。

項目 内容
派遣料 無料
派遣されるのは マンション管理士等の資格を持ち、マンション管理の相談経験がある専門家
相談時間・回数 1回につきアドバイザー1〜2名、3時間以内。夜間・休日にも対応。1管理組合につき年度内最大2回
派遣対象 神奈川県内の分譲マンションの管理組合等(横浜市・川崎市・相模原市・横須賀市を除く)
申込期間 令和8年6月26日(金)〜令和9年2月26日(金)。申込者が多数の場合は早期に終了
事前相談窓口(事務局) NPO法人 かながわマンション管理組合ネットワーク(TEL 045-620-6300、平日10:00〜16:00)
発行 神奈川県 県土整備局 建築住宅部 住宅計画課(TEL 045-210-6557)

相談できる内容には、長期修繕計画や大規模修繕、修繕積立金などの財務、管理規約、耐震性の向上、管理計画認定制度が含まれています。詳しくは神奈川県のマンションアドバイザーのページをご覧ください。

隣の横須賀市は対象外、葉山町は対象

派遣対象から除かれているのは、横浜市・川崎市・相模原市・横須賀市の4市です。案内では、これらの市のマンションは各市の住宅担当に問い合わせるよう書かれています。葉山町は除外されていないので、葉山町の分譲マンションの管理組合は、この県の制度を使えます。 申込みは、まず事務局へ電話で事前相談をし、その後に派遣申請書をメールかファクスで提出する流れです。

使い方のコツと、範囲外のこと

チラシには、見積書の比較診断、工事の受注、業者の紹介、長期修繕計画の策定そのもの、管理計画認定の申請業務などは派遣業務の範囲外と明記されています。つまり、アドバイザーは「中立の立場で考え方を整理してくれる人」です。

私はいつも理事長さまに、大規模修繕の検討を始める前に、まず中立の専門家に計画の考え方を聞いておくことをおすすめしています。年度内2回まで使えるので、たとえば1回目で長期修繕計画と修繕積立金の点検、2回目で管理計画認定の準備、という使い方もできます。中立の立場で整理した論点を持って施工会社と話すと、見積りの比較がぐっとしやすくなります。

マンション管理計画認定制度-葉山町は「神奈川県」が認定します

マンション管理計画認定制度は、管理組合の管理計画が一定の基準を満たしていることを、自治体が認定する制度です。認定を受けると、後述のマンション長寿命化促進税制を使う前提になるほか、住宅金融支援機構の融資で金利引下げの対象になります。

神奈川県のマンション管理計画認定 申請の手引きによると、葉山町を含む県内14町村(葉山町、寒川町、大磯町、二宮町、中井町、大井町、松田町、山北町、開成町、箱根町、真鶴町、湯河原町、愛川町、清川村)では、神奈川県が認定を行います。

手引きに書かれている主な認定基準は次のとおりです。

  • 管理者等と監事が置かれ、集会(総会)が年1回以上開かれていること
  • 管理費と修繕積立金を区分して経理していること
  • 修繕積立金の3か月以上の滞納額が全体の1割以内であること
  • 長期修繕計画が7年以内に作成・見直しされ、計画期間30年以上・残りの期間に大規模修繕工事を2回以上含むこと
  • 将来の一時金の徴収を予定しておらず、計画期間の最終年度に借入金の残高がないこと

申請方法は、マンション管理センターの「管理計画認定手続支援サービス」で事前確認を受ける方法と、県の窓口(県土整備局 建築住宅部 住宅計画課)へ直接申請する方法の2つです。手引きは令和4年4月版のため、最新の様式や手数料は県に確認してください。

なお、県の住生活基本計画 第5章(マンション管理適正化推進計画)では、25年以上の長期修繕計画に基づいて修繕積立金を設定している管理組合の割合を、2030(令和12)年度までに65%以上にする目標が掲げられています。長期修繕計画の見直しは、県全体の課題でもあるということです。

マンション長寿命化促進税制-認定の取得から逆算を

国のマンション長寿命化促進税制は、築20年以上・10戸以上のマンションで、管理計画の認定などを受けたうえで、長寿命化に資する大規模修繕工事(外壁塗装等、床防水、屋根防水)を行った場合に、各住戸の翌年度の固定資産税を減額する制度です。対象は令和9年3月31日までに完了した工事で、完了後3か月以内に申告が必要です。

葉山町の場合、認定を出すのは神奈川県、固定資産税の申告先は葉山町と、窓口が分かれます。令和9年3月末までに工事を完了させたい場合は、工事の完了時期から逆算して、認定を先に取っておく必要があります。ほかの減額措置との併用の可否など細かな要件は、国土交通省のページと町の税務担当でご確認ください。

葉山町ならではの論点:風致地区で外壁の色を変えるときは「許可」が必要

葉山町の風致地区

風致地区は、都市計画法にもとづいて、自然の景観や緑を守るために定められる地区です。葉山町の風致地区の手引きによると、町内には大楠山風致地区(第4種、約98.72ha)と、一色風致地区(第1種 約58.2ha、第4種 約249.6ha)があります。

外壁・屋根の色を変えるなら、町長の許可

葉山町風致地区条例(平成26年葉山町条例第19号)の第2条は、風致地区内で町長の許可が必要な行為として、建物の新築・増築などと並んで「建築物等の色彩の変更」を挙げています。

同じ条の許可不要の行為の一覧を読むと、色彩の変更で許可が不要なのは「屋根、外壁、煙突、門、塀……以外のもの」とされています。言い換えると、風致地区内でマンションの外壁や屋根の色を変える場合は、許可の対象になるということです。許可の基準は「変更後の色彩が、周辺の風致と著しく不調和でないこと」(第8条)です。

罰則も定められています。許可を受けずに許可が必要な行為をした場合は30万円以下の罰金(第14条)、町長の是正命令に従わない場合は50万円以下の罰金(第13条)です。また、違反した工事の注文主や請負人も、色彩の変更などの是正を命じられる対象になります(第11条)。管理組合は「注文主」にあたるので、他人事ではありません。

足場と資材置き場は、許可不要の扱い

一方で、条例は「工事に必要な仮設の工作物」の新築等や、工事現場での工事期間内の資材の堆積を、許可不要の行為として挙げています。つまり、大規模修繕のための足場の設置そのものは、風致地区の許可の対象外です。手続きが必要になるのは、主に「色を変えるかどうか」です。

理事会で決めておきたいこと

  • 敷地が風致地区に入っているかを、都市計画課(町役場 代表 046-876-1111)で確認する
  • 外壁・屋根の色を現状と同じ色で塗り直すのか、色を変えるのかを、色の検討の早い段階で決める
  • 色を変える場合は、総会で色を決める前に都市計画課に相談し、許可申請の期間を工程に組み込む(手引きには標準的な処理期間として14日の記載があります)
  • 施工会社に、許可申請の書類作成を支援できるかを確認する

私の経験上、色の議論は総会で一番もめやすいテーマの1つです。「せっかくの大規模修繕だから、明るい色にしたい」という声が出るのは自然なことです。だからこそ、色の候補を出す前に、使える色の考え方を町に確認しておくと、総会の議論がぶれずに済みます。

なお、葉山町は景観法にもとづく景観計画も定めています。町の景観法施行条例施行規則では、届出書類の様式が木竹の伐採と屋外の物件の堆積について定められています。建物の色や形の扱いは、まちづくり条例などほかの手続きと関係する場合があるため、風致地区の確認と合わせて都市計画課に相談するのが確実です。

使えない制度を、先に見極めましょう

再生可能エネルギーシステム等設置補助金:自ら居住する住宅が対象

令和8年6月1日施行の葉山町再生可能エネルギーシステム等設置補助金交付要綱では、対象者は「町内に住所を有し、町内の自ら居住するための住宅」にシステムを設置する人です。補助額は、住宅用太陽光発電システムが1kWあたり1.5万円(上限5万円)、家庭用燃料電池(エネファーム)と定置用リチウムイオン蓄電システムが各5万円。着工前の申請が必要で、申請は年度の2月末日までです。管理組合が共用部に設置する設備は、この要綱の対象には読めません。

ブロック塀等撤去補助金:戸建て住宅の個人が対象

葉山町ブロック塀等撤去補助金交付要綱(令和4年4月1日改正)では、対象者は「自らが所有する戸建て住宅に付属するブロック塀等を所有する個人」です。補助額は撤去費用の2分の1または1mあたり5千円の少ない方、1敷地10万円が限度とされています。マンションの敷地のブロック塀は、要綱上は対象外と読めます。なお、この要綱は令和4年の改正版が最新の掲載で、令和8年度の受付状況は都市計画課へ確認してください。

住宅耐震補強工事の補助:マンション(非木造)向けは確認できず

町のリフォーム補助のチラシでは、都市計画課の制度として「住宅耐震補強工事(木造住宅の耐震補強工事等)」が案内されています。鉄筋コンクリート造のマンションを対象とした耐震診断・耐震改修の補助は、葉山町の公開資料では確認できませんでした。 旧耐震(1981年5月以前に建築確認)のマンションの場合は、まず県のアドバイザー派遣で耐震性の向上についての考え方を相談してみてください。

葉山町のマンションの大規模修繕-足場か、ロープアクセスか、公平に比べます

町の補助が共用部に使えない以上、工事費そのものを適正に抑えることが、修繕積立金を守る最大の手段になります。

費用の目安

金額は物件によって大きく変わるため、あくまで参考値です。私たちが見積りの入口でお伝えしている目安は次のとおりです。

項目 目安
30戸規模マンションの大規模修繕 総工費 約3,500万〜5,000万円
うち仮設足場の割合 総工費の約15〜25%
外壁塗装 1㎡あたり約3,500〜4,500円
外壁の打診調査 1㎡あたり約250〜500円
防水工事 1㎡あたり約5,000〜8,000円

当社の試算例では、10階建て・外周80m・工期3か月の建物で、足場の費用が約168万円かかるところ、ロープアクセスでは約59万円、差額は約109万円です。30戸のマンションなら、1戸あたり約3.6万円の差になる計算です。実際の見積りは、建物の形状・劣化状況・工事範囲によって変わります。料金の考え方は大規模修繕の料金の考え方(明誠)でもご紹介しています。

3つの工法を、公平に比べる

明誠は、次の3つの工法から建物に合う方法を提案しています。

工法 向いている建物・工事 強み 注意点
通常の足場仮設工法 外壁の全面補修、塗装・防水・タイル・サッシ交換を一括で行う大規模修繕 作業の安全性と品質を確保しやすく、全面的な工事に適する 設置・解体の費用と工期がかかる。足場期間中は防犯・採光・ベランダの使用に配慮が必要
ロープアクセス工法(無足場工法) 外壁の部分補修、シーリングの打替え、調査・点検、部分塗装 足場が不要なため、工期と費用を抑えやすい。居住者の生活への影響が少ない 作業内容によっては向かない。専門技能を持つ職人が必要
ハイブリッド工法 面ごと・部位ごとに足場とロープを使い分けたい建物 部位ごとに最適な方法を選べ、総額を最適化しやすい 計画と工程管理に専門性が必要

ロープアクセス工法では、作業者がメインロープとバックアップロープの2本に接続し、屋上などに2点以上の吊元(ロープを固定する支点)を確保して作業します。明誠の工法の詳細は明誠のロープアクセス工法の技術と実績で、業界全体の安全基準や施工例は姉妹サイトのロープアクセスドットコム(無足場工法の専門メディア)で詳しく紹介しています。安全管理の考え方は明誠の高所作業の安全管理にまとめています。

ここは正直に申し上げます。 私たちは3つの工法をすべて扱うので、足場が最適なら足場を、ロープが向くならロープを提案します。この記事は、どれか1つに誘導するためのものではありません。

緑の多い敷地で、ロープアクセスが役立つ場面

葉山町のマンションは、斜面や樹木の多い敷地に建つものが少なくありません。風致地区の条例でも、建物の所有者などに敷地の緑化に努めることが求められています(第10条)。こうした建物では、足場を組むために植栽の枝を払ったり、植え込みの上に足場の脚を立てたりする必要が出ることがあります。

足場を組まないロープアクセスなら、植栽への影響を小さく抑えながら、外壁の調査や部分補修を進めやすくなります。全面的な塗り替えは足場で行い、植栽や斜面に面した面だけロープで施工する、というハイブリッド工法も選択肢です。足場そのものは風致地区の許可が不要ですが、敷地の緑を守るという点で、工法の選び方には意味があります。

詳しい技術の解説は、ロープアクセスドットコムで、斜面地や狭い敷地での施工の考え方を紹介しています。

明誠について、数字でお伝えします

株式会社明誠は、これまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセス工法での高所作業について、明誠と全国のフランチャイズ加盟企業では、過去16年間、墜落による労働災害ゼロを維持しています。IRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の技能訓練を受けた作業員が施工し、ISO9001の品質マネジメントシステムを運用しています。また、日本初のロープアクセス工事のフランチャイズ本部として、塗装・防水・タイル・電気・看板の各分野の専門職と連携しています。

現場で見てきたこと

緑に囲まれたマンションの現場で、私がよく目にするのは、北側や植栽に面した外壁だけ、コケや藻の付着、シーリングの劣化が早く進んでいるケースです。日当たりがよい面は「まだきれい」に見えるので、理事会では「次回の大規模修繕まで様子を見よう」という結論になりがちです。ところが、劣化が進んだ面から雨水が入り込むと、内部の鉄筋のさびやタイルの浮きにつながります。

私はこうした建物には、まず面ごとの劣化状況を建物診断で数字にし、傷みの早い面だけ先に手を打つことをおすすめしています。全面の足場を組まずに、ロープアクセスで傷んだ面だけを補修すれば、次の大規模修繕までの時間を稼ぎながら、修繕積立金の取り崩しを小さく抑えられます。

管理組合向けのサービス内容はマンション管理組合さま向けの大規模修繕サービスにまとめています。明誠のこれまでの施工の様子は、明誠の施工事例からご覧いただけます。

制度を使うときの共通の落とし穴

失敗しやすい3つのパターン

  1. 着工後に申請しようとする。 町のリフォーム補助、再エネ補助、ブロック塀撤去補助は、いずれも着工前の申請が条件です。
  2. 色を決めてから風致地区の確認をする。 総会で決めた色が許可の基準に合わないと、総会のやり直しや工程の遅れにつながります。
  3. 年度末に工事が間に合わない。 町のリフォーム補助は「申請した年度内に完了すること」が条件です。大規模修繕と専有部分の工事を同じ時期に進めると、工程が年度をまたぐことがあります。

理事会で使える質問リスト

  • 当マンションの敷地は風致地区に入っているか。入っている場合、第1種か第4種か
  • 外壁・屋根の色を変える予定はあるか
  • 長期修繕計画は7年以内に見直されているか。計画期間は30年以上あるか
  • 修繕積立金の3か月以上の滞納はどの程度あるか
  • 管理計画認定を、長寿命化促進税制の期限(令和9年3月31日完了)に間に合う時期に取れるか
  • 県のマンションアドバイザー派遣を、今年度すでに使ったか(年度内最大2回)
  • 町内の住宅リフォーム補助について、区分所有者への案内を誰が作るか
  • 植栽や斜面に面した面で、足場の設置が難しい場所はあるか

葉山町のマンションが大規模修繕に向けて動く5つのステップ

  1. 建物診断で現状を数字にする。 面ごとの劣化の差を把握し、工事範囲と優先順位を決めます。
  2. 県のマンションアドバイザーに相談する。 無料で、長期修繕計画や修繕積立金、管理計画認定の考え方を中立の立場から整理できます。
  3. 風致地区と色の方針を確認する。 敷地が風致地区に入っているかを確認し、色を変える場合は許可の期間を工程に入れます。
  4. 3工法で見積りを比べる。 足場・ロープアクセス・ハイブリッドで、総額と工期、居住者や植栽への影響を比べます。
  5. 認定・税制・専有部分の補助をあわせて計画する。 管理計画認定の取得時期、長寿命化促進税制の期限、区分所有者向けの町のリフォーム補助の案内を、工事の工程表と1枚にまとめます。

賃貸マンション・ビルのオーナーの方へ

葉山町の住宅リフォーム資金補助金は、要綱上「住宅の所有者または居住者」が対象で、チラシでは「自宅・アパート・貸家等」の外装塗装なども例に挙がっています。賃貸物件のオーナーさまも、町内業者の施工や工事費20万円以上などの条件を満たせば対象になり得ます。ただし、令和8年度の受付状況の確認が前提です。風致地区の色彩の許可は、分譲・賃貸を問わず同じです。賃貸ビルのオーナーさま向けのご案内はビルオーナーさま向けの大規模修繕サービスをご覧ください。

よくあるご質問

Q. 葉山町で、マンションの大規模修繕工事費に使える補助金はありますか?

A. 2026年10月9日時点で町の公開資料を確認した範囲では、共用部分の大規模修繕工事そのものを管理組合に補助する町の制度は見つかりませんでした。専有部分のリフォームには、町の住宅リフォーム資金補助金(一律5万円)が使える可能性があります。

Q. 住宅リフォーム資金補助金は、マンションでも使えますか?

A. 要綱では、区分所有住宅について「専有部分1戸につき1回」と定められているため、住戸ごとに使える余地があります。ただし、町内業者の施工、税抜20万円以上、着工前の申請などが条件で、別荘は対象外です。令和8年度の受付状況は産業振興課へ確認してください。

Q. 県のマンションアドバイザー派遣は、葉山町でも使えますか?

A. はい。令和8年度の案内では、横浜市・川崎市・相模原市・横須賀市を除く県内の分譲マンションの管理組合が対象で、葉山町は対象に含まれます。派遣料は無料、1管理組合につき年度内最大2回、申込期間は令和9年2月26日までです。

Q. 大規模修繕で外壁の色を変えたいのですが、手続きは必要ですか?

A. 敷地が風致地区内にある場合、葉山町風致地区条例により、外壁や屋根の色彩の変更には町長の許可が必要です。許可を受けずに行うと罰則の対象になります。色を決める前に、都市計画課に風致地区かどうかを確認してください。

Q. 足場を組むことにも、風致地区の許可は必要ですか?

A. 条例では「工事に必要な仮設の工作物」の設置は許可不要の行為とされています。足場の設置そのものについての許可は不要ですが、外壁の色を変える場合は別に許可が必要です。

Q. 葉山町のマンションの管理計画認定は、どこに申請しますか?

A. 葉山町を含む県内14町村では、神奈川県が認定を行います。窓口は県土整備局 建築住宅部 住宅計画課です。最新の様式や手数料は県に確認してください。

Q. 足場を組まない大規模修繕は、本当に可能ですか?

A. 外壁の部分補修、シーリングの打替え、調査などは、ロープアクセス工法で足場を組まずに行えることがあります。全面的な工事では足場が適する場合も多く、部位ごとに使い分けるハイブリッド工法も選択肢です。

Q. 相談や見積りに費用はかかりますか?

A. 明誠では、建物の状況確認や概算のお見積りのご相談を承っています。風致地区での色の検討や、町の補助の使い方についても、お気軽にお問い合わせフォームからご相談ください。

この記事のポイントまとめ

  • 葉山町で共用部の大規模修繕工事そのものに使える町の補助金は、公開資料では確認できず
  • 町の住宅リフォーム補助は一律5万円、区分所有住宅は専有部分1戸につき1回。別荘は対象外
  • 要綱PDFに有効期限の記載があるため、令和8年度の受付状況は産業振興課へ確認
  • 県のマンションアドバイザー派遣は葉山町で使える。無料・年度内2回・令和9年2月26日まで
  • 風致地区内では外壁・屋根の色の変更に町長の許可が必要。足場の設置そのものは許可不要
  • 管理計画認定は県、固定資産税の申告は町。長寿命化促進税制は令和9年3月31日完了が期限

出典・参考資料

本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月9日時点で公表されている葉山町、神奈川県、国土交通省の公式情報をもとに執筆しています。葉山町の住宅リフォーム資金補助金の要綱PDFには「令和7年3月31日限り」の有効期限の記載があり、令和8年度の受付状況は公開資料で確認できなかったため、産業振興課への確認をお願いします。ブロック塀等撤去補助金の要綱は令和4年改正版が最新の掲載です。県の管理計画認定の手引きは令和4年4月版です。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。本記事は法的・税務上の助言ではありません。


▼ロープアクセス工法・無足場工法の詳細解説はこちら
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この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年10月9日


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