本間社長ブログ
ホテル改装の前に石綿調査|2006年以前開業は全国18,977施設・約98.2万室、1室1万〜57万円の上乗せ試算から考える、ホテルオーナーとマンション管理組合の備え【2026年9月】
目次
- この記事で分かること
- 結論:古い建物の改装は「調査から逆算して」予算と工期を組むのが安全です
- 1. ニュースの要点:2006年以前開業のホテル・旅館は全国18,977施設
- 2. 石綿規制の「2本線」:1975年と2006年を知っておく
- 3. 法律上の義務:改装でも「請負100万円以上」で報告が必要
- 4. 費用への影響:民間試算は1室あたり約1万円〜約57万円
- 5. 工期への影響:調査・除去の時間は「あとから」ではなく「最初に」見込む
- 6. ホテルだけの話ではありません:マンション・ビルのオーナーと管理組合にも同じ理屈が当てはまる
- 6-2. 稼働しながら改装するホテル・旅館ならではの注意点
- 7. 工法選びが、石綿対応の負担を変えることがある
- 8. オーナーが今日からできる5つの備え
- よくある質問(FAQ)
- この記事のポイントまとめ
- 出典・参考資料

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著作者プロフィール
株式会社明誠 代表取締役
本間 幸紘
大規模修繕・外壁工事・ロープアクセス工事に関する情報を、現場経験をもとに分かりやすくお届けします。
この記事で分かること
「客室を全面改装したい。でも、古いホテルは壁や天井にアスベスト(石綿)が入っていないか心配だ」——ホテルや旅館、賃貸マンションのオーナーさまから、私がここ数年でとても多くいただくようになったご相談です。
この記事では、次の問いにお答えします。築年数の古いホテルやビルを改装・大規模修繕するとき、石綿の事前調査は何が義務で、費用と工期にどれくらい影響し、オーナーは何から準備すればよいのか?
きっかけは、2026年9月28日に届いたGoogleアラートで見つけた、ホテル・旅館の投資情報を扱う「ホテルバンク」の記事でした。改装工事は請負代金100万円以上(税込)で石綿の事前調査結果の報告が必要になること、2006年9月以前に開業したホテル・旅館が全国に18,977施設・約98.2万室あることなどを、費用の試算とあわせて整理した内容です(出典:ホテルバンク「改装の前に石綿調査」)。
私は株式会社明誠の本間と申します。東京都東大和市を拠点に、マンション・ビル・ホテルの大規模修繕を20年以上やってきました。ホテル案件は全国どこでも施工の対象としており、石綿の有無が工事計画を左右する場面を、現場で何度も見てきました。今日は、公的な一次情報と民間の試算を分けてお伝えしながら、現場の感覚もあわせてお話しします。
なお、この記事は特定の工事の要否や費用を保証するものではありません。石綿の有無は建物ごとに異なり、調査してみなければ分かりません。数字はあくまで一般的な目安と、民間事業者による試算の紹介です。個別の判断は、有資格の調査者、設計者、自治体の窓口などの専門家とご確認ください。
結論:古い建物の改装は「調査から逆算して」予算と工期を組むのが安全です
先に結論をお伝えします。私は、築年数の古いホテルやビルを改装する場合、次の3点を最初に押さえておくことが大切だと考えています。
- 改装工事でも、請負代金100万円以上(税込)なら石綿の事前調査結果の報告が必要になる(解体工事だけの話ではありません)
- 石綿が見つかるかどうかで、費用も工期も大きく変わる(民間試算では1室あたり約1万円から約57万円の幅)
- 調査と除去の時間を最初から工程に入れ、工法の選択肢も比べておく(足場・ロープアクセス・ハイブリッドで、仮設の考え方が変わります)
以下、順番に根拠を見ていきます。
1. ニュースの要点:2006年以前開業のホテル・旅館は全国18,977施設
まず、ホテルバンクが整理した数字を確認します。以下は、同記事の記述をもとにした整理です。開業年が分かる施設を対象にした民間の集計であり、国の統計ではない点にご注意ください。
| 項目 | 数字 | 備考 |
|---|---|---|
| 調査対象(開業年が判明) | 51,901施設・約213.6万室 | 2026年9月1日時点 |
| 2006年以前に開業 | 18,977施設・約98.2万室 | 客室シェア46.0% |
| 1975年以前に開業 | 4,220施設・約18.1万室 | 客室シェア8.5% |
(出典:ホテルバンク)
記事によると、都道府県別では温泉地の比率が高く、2006年以前開業のシェアは長野県65.4%、群馬県62.6%、静岡県55.6%、東京都40.5%、大阪府31.8%とされています。私の実感でも、温泉地や観光地には築30〜50年を超える旅館・ホテルが多く、東京の都心でも、バブル期前後に建った中規模ホテルが現役で稼働しています。
つまり、客室ベースでおよそ2室に1室弱が「石綿を使った建材が流通していた時代の建物」にあたる、という見方ができます。もちろん、すべてに石綿が使われているわけではありません。ただ、「調べてみなければ分からない建物」が非常に多い、という点は押さえておく必要があります。
2. 石綿規制の「2本線」:1975年と2006年を知っておく
石綿の規制には、実務上、二つの区切りの年があります。ホテルバンクの記事も、この二つを軸に整理しています。
- 1975年:吹付け作業が原則禁止された年。吹付け材は飛散しやすく、対応の難度も高いとされる「レベル1」に近いものが中心です。
- 2006年9月:石綿を0.1重量%を超えて含む製品の製造・使用等が全面的に禁止された時期です。
この二つの間、つまり1975年〜2006年に着工した建物は、吹付け材以外にも、天井板、壁材、床材、断熱材、配管の保温材、屋根材、外壁材などに石綿含有建材が使われている可能性があります。ホテルでいえば、客室の天井、バスルーム周り、機械室、厨房、宴会場の壁・天井、駐車場の天井などが典型的な確認箇所です。
私の現場経験でも、「外壁の改修だけのつもりだったのに、屋上や設備室の建材に石綿含有の疑いが出て、工程が組み直しになった」という場面は珍しくありません。改装の内容と関係なく、調査は建物全体の使われ方から考える必要があります。
石綿の対策全般については、国土交通省の「アスベスト対策Q&A」に、調査の必要性、調査の内容、補助金制度などが整理されています(出典:国土交通省「アスベスト対策Q&A」)。
3. 法律上の義務:改装でも「請負100万円以上」で報告が必要
ここが、オーナーさまがもっとも誤解しやすいところです。「解体しなければ関係ない」と思っていると、思わぬ落とし穴があります。
環境省の案内によれば、石綿事前調査結果の報告が必要になるのは、次のいずれかに該当する工事です。
| 工事の種類 | 報告が必要になる規模 |
|---|---|
| 建築物の解体工事 | 床面積の合計80㎡以上 |
| 建築物の改造・補修工事(改装・改修) | 請負代金の合計100万円以上(税込) |
| 工作物の解体・改造・補修工事 | 請負代金の合計100万円以上(税込) |
(出典:環境省「石綿事前調査結果の報告について」)
同ページでは、複数の契約に分割している場合は一つの契約とみなして扱うとされています。「小さく分ければ100万円を超えない」という発想は通りません。
報告は電子システム(石綿事前調査結果報告システム)で行い(書面での報告も認められています)、都道府県や大気汚染防止法上の政令市が窓口になります。環境省の発表資料では、このシステムから1回の操作で都道府県等と労働基準監督署の両方に報告できる旨が示されています(出典:環境省 報道発表資料「石綿の事前調査結果の報告制度がスタートします」)。報告制度の開始は、令和4年(2022年)4月1日以降に着手する工事からです。
さらに、事前調査を行う人にも要件があります。建築物については、令和5年(2023年)10月1日以降に着手する解体・改修工事から、一般建築物石綿含有建材調査者など特定の資格を持つ人による調査が必要になっています。自治体の案内でも、工事の規模や金額を問わず、原則としてすべての解体・改修工事が対象と説明されています(出典:大田区「建築物および工作物は有資格者による石綿事前調査が必要です」)。
資格の制度については、国土交通省が建築物石綿含有建材調査者の講習登録規程を整備しており(出典:国土交通省「建築物石綿含有建材調査者制度等について」)、厚生労働省も建築物石綿含有建材調査者講習・工作物石綿事前調査者講習の情報をまとめています(出典:厚生労働省「建築物石綿含有建材調査者講習及び工作物石綿事前調査者講習」)。
私が発注者の立場のオーナーさまに強くお伝えしたいのは、次の一点です。法令上の報告義務は元請の施工業者等にありますが、調査や除去の費用と工期の影響を通常受けるのは発注者であるオーナーさまです。 見積りの段階で、調査の費用と時間がどう含まれているかを確認しておくことが、後々のトラブルを防ぎます。
なお、報告の期限や違反した場合の扱いなど、細かな運用は自治体や工事の内容によって異なることがあります。実際に工事を計画するときは、所管の都道府県・政令市の窓口と、施工会社に最新の情報をご確認ください。
4. 費用への影響:民間試算は1室あたり約1万円〜約57万円
では、石綿が関わると費用はどれくらい変わるのでしょうか。ここは民間試算の紹介になりますので、前提を丁寧に見ていきます。
ホテルバンクの記事は、次のようなモデルで試算しています。
- 客室100室、延床3,500㎡、築40年の温泉旅館(1975〜2006年に着工した区間)
- 改装本体の工事費は2.0億円
- 除去単価は国土交通省「アスベスト対策Q&A」の実績値を、建設工事費デフレーターで現在価格に補正
- 調査費は50万〜150万円と設定
- 除去対象面積は、レベル3が延床の30%(1,050㎡)、レベル2が10%(350㎡)
この前提で、1室あたりの上乗せ額は次のシナリオで示されています。
| シナリオ | 内容 | 1室あたり上乗せ(試算) | 100室換算(当方計算) |
|---|---|---|---|
| A | 石綿が検出されない(調査費のみ) | 約1.0万円 | 約100万円 |
| B | レベル3のみ検出 | 約30.9万円 | 約3,090万円 |
| C | レベル2も検出 | 約57.0万円 | 約5,700万円 |
(出典:ホテルバンク。100室換算は当社が単純に100倍した参考値です)
改装本体が2.0億円のモデルで、シナリオCの5,700万円は本体費の3割近くに相当します。これは「見つかった場合の上限側のイメージ」であり、すべての建物でこうなるという意味ではありません。逆に、シナリオAのように何も見つからなければ、上乗せは調査費程度にとどまります。
回収年数への影響も、同記事は試算しています。改装前の客室単価(ADR)が約18,961円、稼働率70%、GOP率20%という前提で、石綿費用を含まない単純回収年数が7.88年のところ、シナリオAで7.92年、Bの中位で9.10年、Cの中位で10.13年、Cの上限で11.38年とされています。石綿の有無で、投資回収の見通しが最大で約3.5年ずれる可能性がある、ということです。
ここで、国土交通省の「アスベスト対策Q&A」にある除去費用の目安も確認しておきましょう。同Q&Aでは、処理面積によって単価の範囲が次のように示されています(施工条件により大きく変動します)。
| 処理面積 | 単価の範囲 |
|---|---|
| 300㎡以下 | 1㎡あたり2.0〜8.5万円 |
| 300〜1,000㎡ | 1㎡あたり1.5〜4.5万円 |
| 1,000㎡以上 | 1㎡あたり1.0〜3.0万円 |
(出典:国土交通省「アスベスト対策Q&A」)
この単価は古い実績にもとづく参考値です。現在の価格は、人件費・廃棄物処理費・養生費の上昇などで変わっている可能性があります。実際の見積りでは、現地の調査結果をもとにした数字であるかどうかを確認してください。
また、補助制度についても注意が必要です。同Q&Aには、吹付けアスベスト等の除去・囲い込み・封じ込めに対する補助(補助率2/3以内、ただし地方公共団体の補助額を超えない範囲)の記載がありますが、調査費補助については平成29年度末までと記載されており(ページ自体が古い内容です)、現在の制度は自治体ごとに異なります。「補助が使える」と思い込まず、お住まい・所在地の自治体の最新の案内を、工事の契約前に確認してください。
5. 工期への影響:調査・除去の時間は「あとから」ではなく「最初に」見込む
費用と同じくらい重要なのが、工期です。ホテルは、改装のために休業する日数がそのまま売上の機会損失になります。
石綿が関わる工事の流れを、一般的な例で整理します。
- 書面調査・現地調査:設計図書や改修履歴を確認し、有資格者が現地で建材を確認する
- 分析(必要な場合):疑わしい建材を採取し、分析機関で含有の有無を確認する
- 結果の報告・発注者への説明:対象工事であれば、電子システムで報告する
- 除去・囲い込み・封じ込めの計画:飛散防止の養生、作業員の保護、廃棄物の処理計画を立てる
- 本体工事:石綿の対応が終わった箇所から、順次、改装工事を進める
このうち、1〜3の期間は建物の規模や調査箇所の数によって変わります。分析の結果が出るまでに時間がかかることもあります。私の経験では、「調査を後回しにして着工直前に結果が出て、工程がまるごと組み直しになる」ことが、いちばん費用と信頼を損なうパターンです。
対策はシンプルです。改装の構想段階で、調査を先に済ませておくことです。調査の結果が出てから、改装の範囲・工期・予算を決める。この順番なら、石綿が見つかった場合でも、対応を織り込んだ計画に落とし込めます。
6. ホテルだけの話ではありません:マンション・ビルのオーナーと管理組合にも同じ理屈が当てはまる
ここまでホテルを中心にお話ししましたが、石綿の事前調査の仕組みは、ホテルに限った話ではありません。分譲マンションの大規模修繕、賃貸マンションやオフィスビルの改修でも、対象の工事に該当すれば、同じ考え方が当てはまります。
たとえば、外壁の改修で足場を組む工事のなかにも、次のような場面で石綿含有の可能性が問題になることがあります。
- 古い外壁の吹付け塗材や仕上塗材を、ケレンや高圧洗浄で除去・剥離する場合
- 屋根材や庇、ベランダの天井板などを撤去・交換する場合
- 屋上の防水層の下地や、機械室・設備室の壁・天井を改修する場合
- 共用部の内装(廊下・エントランス)をリニューアルする場合
大規模修繕の見積りを比べるときは、「石綿の事前調査は見積りに含まれているか」「含有が分かった場合の追加費用の扱いはどうなるか」を、あらかじめ確認しておくと安心です。曖昧なまま契約してしまうと、着工後に「想定外の追加費用」として請求される可能性があります。
管理組合さまの場合は、理事会や総会で工事費の追加を承認する手続きが必要になることもあり、工期や総会日程に影響が出ることがあります。だからこそ、最初の見積りの段階で、調査費・除去費の扱いを決めておくことが大切です。
6-2. 稼働しながら改装するホテル・旅館ならではの注意点
ホテルや旅館は、全館休業して一気に改装するケースばかりではありません。宿泊を続けながら、フロアごとや棟ごとに区切って進める段階改装も多く見られます。この場合、石綿の調査結果は「どの順番で、どの部屋を止めるか」という運営計画そのものに影響します。
たとえば、調査の結果、ある階の天井材だけ対応が必要になったとします。すると、その階の客室を一定期間販売できなくなり、隣接する客室への騒音や工事車両の動線、宿泊者への説明など、運営面の調整が増えます。私の経験では、施工会社と支配人・総務のご担当者が、工事前に「止める部屋」「使える動線」「宿泊者への案内文」を一緒に決めておくと、現場の混乱がずいぶん減ります。
また、宴会場・大浴場・厨房といった売上に直結する設備は、改修の優先順位が高い一方で、古い建材が残っていることも少なくありません。だからこそ、「どこを先に直すか」の判断材料として、調査結果を早めに手元に置いておく価値があります。
7. 工法選びが、石綿対応の負担を変えることがある
ここからは、私たち明誠の専門である工法の話です。ただし、先にお断りしておきます。どの工法が有利かは、建物の形状・改修内容・石綿の有無や場所によって変わります。自社に有利な結論を先に決めるつもりはありません。
明誠は、次の3つの工法から、建物にとって適した方法をご提案しています。
| 工法 | 特徴 | 石綿対応で考えるポイント |
|---|---|---|
| 通常の足場工法 | 仮設足場を全面に組む | 養生シートや足場の囲いで飛散防止の作業環境をつくりやすい。足場の設置・解体費用と工期がかかる |
| ロープアクセス工法(無足場) | 産業用ロープで作業する | 足場が不要なぶん仮設費と工期を抑えられる場合がある。ただし、隔離養生や負圧除じんなどが必要な石綿除去作業は、ロープアクセス単独では原則として難しく、足場や隔離設備を前提にした計画になる |
| ハイブリッド工法 | 足場とロープを部位ごとに使い分ける | 石綿対応が必要な部位は足場、それ以外はロープ、といった組み合わせで、総合コストを見直せる場合がある |
たとえば、外壁の一部だけに調査結果を踏まえた特別な対応が必要な場合、建物全体に足場を組むのか、必要な部位に限って仮設を設けるのかで、費用と工期が変わる可能性があります。石綿を取り扱う作業そのものは、法令にもとづく方法・保護具・飛散防止措置が必要で、有資格者や専門の除去業者が担う領域です。ロープアクセスであっても、その作業ルールを守ることが大前提です。
ロープアクセス工法の技術や安全の考え方については、姉妹サイトのロープアクセスドットコムに、一般的な情報をまとめています。ロープアクセス工法の適否を検討されるときの参考にご覧ください。
明誠では、ホテルの大規模修繕や、収益不動産・ビルの修繕、マンション管理組合さま向けの修繕のご相談を承っています。3工法の違いはこちらの解説ページでも整理しています。
8. オーナーが今日からできる5つの備え
最後に、実務で役立つ準備を5つにまとめます。
- 建築年と改修履歴を整理する:竣工年、増改築の年、過去の修繕の内容を、書類で確認します。1975年前後、2006年前後の着工かどうかが、最初の手がかりになります。
- 設計図書・仕上表を探す:使われている建材の名前が分かれば、調査の範囲を絞り込めます。紛失している場合は、管理会社や設計者に問い合わせます。
- 改装の構想段階で、有資格者による事前調査を依頼する:見積りを取る前に調査結果を持っておくと、比較の精度が上がります。
- 見積りの前提条件をそろえて比較する:調査費、分析費、除去費、廃棄物処理費、追加が出た場合の単価や協議の方法を、各社に同じ条件で出してもらいます。
- 工程に余裕を持たせ、資金の予備枠を確保する:調査と除去の期間、想定外の費用を見込んで、工期と予算にバッファを置きます。
「費用が高い会社」「安い会社」を見分けるより前に、「調査結果を踏まえた数字か」「不明点が見積りに明記されているか」を確認することが、私は結果的にいちばん失敗が少ないと感じています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 改装工事でも、石綿の事前調査結果の報告は必要ですか?
A. 建築物の改造・補修工事では、請負代金の合計が100万円以上(税込)の場合に報告が必要です。解体工事は床面積の合計80㎡以上が対象です。複数の契約に分割しても、一つの契約として扱われます(出典:環境省「石綿事前調査結果の報告について」)。
Q2. 2006年以降に建てた建物は、調査しなくてよいのですか?
A. 石綿の全面禁止は2006年9月とされていますが、事前調査そのものは、工事の規模や金額を問わず原則として実施が求められています。設計図書や建材の情報から調査する方法があります。個別の建物の扱いは、有資格の調査者や自治体の窓口にご確認ください(出典:大田区)。
Q3. 石綿が見つかった場合、費用はどれくらい増えますか?
A. 建物によって大きく異なります。ホテルバンクの民間試算(客室100室・延床3,500㎡・築40年の旅館モデル)では、1室あたり約1.0万円〜約57.0万円の上乗せ幅が示されています。あくまで試算の前提に基づく参考値です(出典:ホテルバンク)。
Q4. 石綿の除去に使える補助金はありますか?
A. 国土交通省の「アスベスト対策Q&A」には、吹付けアスベスト等の除去・囲い込み・封じ込めに対する補助(補助率2/3以内、ただし地方公共団体の補助額を超えない範囲)の記載があります。ただし、実際に使える制度と条件は自治体によって異なります。契約前に、所在地の自治体の窓口で最新の情報をご確認ください(出典:国土交通省)。
Q5. 石綿調査は、どんな人が行うのですか?
A. 建築物については、令和5年10月1日以降に着手する工事から、一般建築物石綿含有建材調査者など特定の資格を持つ人による調査が必要とされています(出典:大田区、厚生労働省)。
Q6. ロープアクセス(無足場工法)でも、石綿がある建物を改修できますか?
A. 石綿の状況と作業内容によって異なります。飛散防止が求められる作業では、足場や養生の方法を含めた計画が必要になることがあります。建物ごとに、足場・ロープアクセス・ハイブリッドを比較して判断するのが基本です。工法の一般的な情報はロープアクセスドットコムをご参照ください。
Q7. 何から相談すればよいか分かりません。
A. まずは、竣工年と過去の修繕履歴が分かる資料をご用意ください。調査の段取りや、工法の選び方だけのご相談でも構いません。お問合せフォームからお声がけいただければ、状況の整理からお手伝いします。
この記事のポイントまとめ
- 改装(改造・補修)工事は請負代金の合計100万円以上(税込)で、石綿事前調査結果の報告が必要
- 民間集計では、2006年以前開業のホテル・旅館は18,977施設・約98.2万室(客室シェア46.0%)
- 民間試算では、石綿による上乗せは1室あたり約1.0万円〜約57.0万円、回収年数は最大で約3.5年延びる例も
- 調査は改装の構想段階で先に済ませ、調査結果を踏まえて工期・予算・工法を決める
- 見積りでは、調査費・除去費・追加費用の扱いを条件そろえて比較する
- 補助制度や運用は自治体ごとに異なるため、最新の公式情報と専門家に確認を
出典・参考資料
- ホテルバンク「改装の前に石綿調査 — 1975年・2006年の2本線と、1室1万〜57万円の上乗せ試算」(民間事業者による試算)
- 環境省「石綿事前調査結果の報告について」
- 環境省 報道発表資料「4月1日から石綿の事前調査結果の報告制度がスタートします」
- 国土交通省「アスベスト対策Q&A」
- 国土交通省「建築物石綿含有建材調査者制度等について」
- 厚生労働省「建築物石綿含有建材調査者講習及び工作物石綿事前調査者講習」
- 大田区「建築物および工作物は有資格者による石綿事前調査が必要です」
▼ロープアクセス工法・無足場工法の詳細解説はこちら
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この記事の執筆者
本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。
最終更新:2026年9月30日
石綿の話は、どうしても「怖い」「面倒」という印象が先に立ちます。けれど、調査を早めに済ませ、数字と工期を先に把握しておけば、多くの場合は落ち着いて判断できます。改装や大規模修繕を考え始めたら、まず一枚、建物の竣工年と修繕履歴を書き出してみてください。次回も、現場で本当に使える話だけをお届けします。
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