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かすみがうら市のマンション補助金|大規模修繕2026年度版

かすみがうら市のマンション補助金|大規模修繕2026年度版
本間 幸紘

著作者プロフィール

株式会社明誠 代表取締役

本間 幸紘

大規模修繕・外壁工事・ロープアクセス工事に関する情報を、現場経験をもとに分かりやすくお届けします。

2026年10月31日 更新

「かすみがうら市のマンションで、大規模修繕に使える補助金はありますか?」

先に結論をお伝えします。2026年10月31日時点でかすみがうら市の公式サイトを確認した範囲では、外壁塗装や屋上防水といったマンション共用部の大規模修繕工事そのものに、管理組合が使える市の補助金は見つかりませんでした。 ただし、かすみがうら市は「町村」ではなく「市」です。この違いが、管理組合の手続きの窓口を変えます。

かすみがうら市の理事長さま・修繕委員の皆さま、そして市内に賃貸マンションやアパートをお持ちのオーナーさまに、最初に押さえていただきたいのは次の5点です。

  1. かすみがうら市の分譲マンションの「管理計画認定」は、茨城県ではなく、かすみがうら市が窓口です。県と市が共同でつくった計画の概要版に「市の区域にあっては当該市、町村の区域にあっては県が所管」と明記されています。担当は市の都市整備課です
  2. 市の耐震改修の固定資産税減額は、市のページ(2026年7月24日更新)で令和13年3月31日までの工事が対象と書かれています。昭和57年1月1日以前に建築された住宅で、工事費50万円超が条件です
  3. 市の木造住宅耐震診断士の派遣は、2階以下の木造住宅で所有者が自ら住んでいる方が対象で、鉄筋コンクリート造のマンションには使えません。令和8年度の申込は8月31日で締め切りとなっています
  4. 明日11月1日から、市の「宅地化促進奨励金」(1事業あたり上限1,000万円)の申請受付が始まります。マンションの修繕ではなく、市街地の土地を戸建て用の宅地にする開発が対象です
  5. 国の住宅省エネ2026キャンペーンは、国土交通省の発表によると予約が11月16日まで。今日から数えて16日です

こんにちは、株式会社明誠の本間です。マンション・ビル・ホテルの大規模修繕に20年以上携わってきました。この記事では、かすみがうら市・茨城県・国の制度を「共用部に使えるか、使えないか」で仕分けし、補助金に頼りすぎずに修繕積立金を守る進め方をお伝えします。確認できなかった項目は、できなかったと正直に書きます。

早見表:かすみがうら市のマンションで使える制度・使えない制度

2026年10月31日時点で確認できたかすみがうら市・茨城県の公式ページと、国の公表資料をもとに整理しました。「読み取れる」「確認できない」は、公式ページの記載に基づく私の判断です。最終的には各窓口でご確認ください。

制度 窓口 管理組合(共用部)で使えるか 内容・確認できた状況
外壁・屋上の大規模修繕そのものへの補助 — × 見当たらない 共用部の塗装・防水に使える市の制度は確認できず
マンション管理計画認定(市の区域) かすみがうら市 都市整備課 ○ 管理組合が申請 市が認定。認定基準は国の基準どおり(独自基準なし)。市の手数料は公式サイトで確認できず
耐震改修の固定資産税減額 市 税務課 ○ 要件に合えば 昭和57年1月1日以前に建築された住宅。工事費50万円超。翌年度分の税額の2分の1(1戸あたり120㎡まで)。令和13年3月31日までの工事
省エネ改修の固定資産税減額 市 税務課 △ 住戸単位 窓の断熱改修を含む工事(60万円超)。翌年度分の3分の1。賃貸住宅は除く。令和13年3月31日まで
バリアフリー改修の固定資産税減額 市 税務課 △ 住戸単位 自己負担50万円超。翌年度分の3分の1。賃貸住宅は除く。令和13年3月31日まで
マンション長寿命化促進税制 市 税務課(固定資産税) ○ 要件に合えば 管理計画認定などを受けたマンションで長寿命化工事を行った場合の減額。市のページには記載なし。期限は令和9年3月31日
木造住宅耐震診断士派遣事業 市 都市整備課 × 対象外 2階以下の木造住宅で自己居住が条件。令和8年度は8月31日締切
排水設備 接続支援事業費助成金 市 上下水道課 △ 要確認 浄化槽・くみ取りから下水道等へ接続する世帯向け。上限4万円または35万円。確認できたのは令和7年度版のみ
宅地化促進奨励金 市 都市整備課 × 修繕には使えない 非宅地を戸建て用の宅地にする開発が対象。上限1,000万円/1事業。申請は令和8年11月1日〜令和9年3月31日
住宅省エネ2026キャンペーン 国(登録事業者が申請) △ 工事内容による 予約は11月16日まで。予算上限に達すると前倒しで終了

表の通り、市独自の「マンション共用部向け補助」はありません。一方で、管理計画認定(市)と、固定資産税の減額(市)という「認定と税」の入り口は、管理組合にもはっきり開いています。しかも、どちらも同じ市役所の中で完結するのが、かすみがうら市の管理組合にとっての利点です。

かすみがうら市のマンション事情-神立駅の周辺に暮らしが集まる市

市の概況

かすみがうら市は、茨城県の南部に位置し、南東部が霞ヶ浦に接する市です。市の立地適正化計画(防災指針編、令和8年3月)では、JR常磐線の神立駅を中心とした利便性の高い区域へ都市機能を誘導し、その周辺に居住を誘導する方針が示されています(出典:かすみがうら市立地適正化計画 第8章 防災指針編)。同じ資料では、市の総人口は40,087人、そのうち居住誘導区域内が13,597人として分析されています。

庁舎は、千代田庁舎(上土田)、霞ヶ浦庁舎(大和田)、市民窓口センター(中央庁舎、下稲吉)の3か所に分かれています。マンションに関わる窓口は、管理計画認定と耐震の事業が都市整備課(霞ヶ浦庁舎)、固定資産税の減額が税務課(市民窓口センター)です。代表電話は0299-59-2111または029-897-1111です。

分譲マンションの数は、市の資料では確認できません

正直に書きます。かすみがうら市内の分譲マンションの棟数・戸数を示す市の公式資料は、今回の調査では見つけられませんでした。県全体の状況としては、茨城県マンション管理適正化推進計画の概要版に、県内のマンションは約3.5万戸で住宅全体の3.1%(全国は10.6%)、築40年以上の旧耐震基準のマンションの割合は5.5%(全国は12.4%)と書かれています(出典:茨城県マンション管理適正化推進計画【概要版】、2018年住宅・土地統計調査にもとづく数値)。

つまり茨城県は、マンションが少なく、しかも比較的新しいマンションが多い県です。裏返すと、かすみがうら市のマンションの多くは、これから2回目・3回目の大規模修繕を迎える段階にあると考えられます。ご自身のマンションの築年数と、長期修繕計画の作成年を、まず手元で確認していただくのが確実です。

霞ヶ浦に近い市の外壁は、面ごとの傷み方に注意

一般論として、大きな湖の近くにある建物は、湿気がこもりやすい北面や、日が当たりにくい面で、苔・カビ・塗膜のふくれが出やすい傾向があります。また、冬場の北西風が強い地域では、風の当たる面のシーリング(外壁の継ぎ目のゴム状の材料)が早く傷むこともあります。

これは建物ごとに大きく違うため、面ごとの劣化診断を先に行い、傷みの大きい面から優先順位を付けるのが、かすみがうら市のような環境では特に有効だと私は考えています。

かすみがうら市の制度を一つずつ読む:共用部に届くのか、届かないのか

マンション管理計画認定:窓口は市の都市整備課

かすみがうら市のページ「マンション管理適正化推進計画」(2026年4月3日更新)には、市が茨城県と共同して令和6年3月に「茨城県マンション管理適正化推進計画」を策定したと書かれています(出典:かすみがうら市「マンション管理適正化推進計画」)。

この計画の概要版には、次の2点がはっきり書かれています(出典:茨城県マンション管理適正化推進計画【概要版】)。

  • 計画は県と市が共同して作成(水戸市・土浦市・つくばみらい市は単独で作成)
  • 所管区域は「市の区域にあっては当該市、町村の区域にあっては県」
  • 管理計画の認定は「各所管行政庁(県又は市)」が行い、認定基準は国が定める基準のとおり(独自基準なし)
  • 認定申請の前に、公益財団法人マンション管理センターの「管理計画認定手続支援サービス」を利用する

茨城県のページでも、県が認定する対象は茨城町・大洗町・阿見町などの12町村の区域のマンションに限られ、「市区域のマンションについては、各市にお問い合わせください」と案内されています(出典:茨城県「マンション管理計画認定制度」、2026年4月1日更新)。

ここで一つ、正直にお伝えすることがあります。かすみがうら市の公式サイトでは、市に支払う認定申請手数料の金額や、申請書の様式を見つけることができませんでした。 参考までに、県が町村の区域で受け付ける場合の手数料は、1棟(長期修繕計画1つ)で4,000円です。ただし、これは県の金額で、かすみがうら市の金額ではありません。認定の準備を始める管理組合さまは、都市整備課(029-897-1111)に、手数料・申請書の様式・受付の流れを確認してください。

認定を受けると、県のページにもある通り、マンション長寿命化促進税制(固定資産税の特例)や、住宅金融支援機構のマンション共用部分リフォーム融資の金利引下げなどのメリットがあります。市の補助がないかすみがうら市では、「認定を取って、税と融資で支援を受ける」という道筋が、管理組合にとって現実的な選択肢になります。

相談先として、一般社団法人日本マンション管理士会連合会の「マンション管理計画認定制度相談ダイヤル」(03-5801-0858、10時〜17時、土日・年末年始を除く)も、県のページで案内されています。

耐震改修の固定資産税減額:期限は令和13年3月31日まで

かすみがうら市の「固定資産税」のページ(2026年7月24日更新)には、地方税法にもとづく住宅の減額措置が4種類載っています(出典:かすみがうら市「固定資産税」)。このうち、耐震改修の減額は次の通りです。

  • 対象:昭和57年1月1日以前に建築された住宅
  • 工事:令和13年3月31日までに、工事費50万円超(工事前の耐震診断費は含まない)の住宅耐震改修を行った場合
  • 減額:翌年度分に限り、固定資産税額の2分の1(1戸あたり床面積120㎡まで)。要安全確認沿道建築物に該当するものは2年度分
  • 手続き:増改築等工事証明書と工事の明細書・領収書を添えて、改修後3か月以内に税務課へ申告

昨日書いた阿見町の記事では、町のページが「令和8年3月31日まで」の記載のままで、それ以降の扱いを確認できませんでした。かすみがうら市のページは令和13年3月31日までと更新されており、期限の点では安心して計画を立てられます。 国土交通省の資料でも、耐震改修に係る固定資産税の減額措置の適用期限は令和13年(2031年)3月31日とされています(出典:国土交通省「耐震改修に係る固定資産税の減額措置」(PDF))。

なお、市のページには「共同住宅」という言葉は出てきません。マンションの場合、減額は住戸ごとの家屋の税額にかかるもので、区分所有者さま一人ひとりの申告になるのか、管理組合でまとめて手続きできるのかは、市のページからは読み取れませんでした。旧耐震のマンションで耐震改修を検討している管理組合さまは、着手前に税務課へ申告の方法を確認しておくと安心です。

省エネ改修・バリアフリー改修の減額:賃貸住宅は除かれている

同じページには、省エネ改修とバリアフリー改修の減額も載っています。

区分 主な要件 減額
省エネ改修 平成26年4月1日以前に建築、改修後の床面積50〜280㎡、窓の断熱改修を含む工事で60万円超 翌年度分の3分の1(1戸120㎡まで)
バリアフリー改修 新築から10年以上、65歳以上の方などが居住、自己負担50万円超 翌年度分の3分の1(1戸100㎡まで)

どちらも令和13年3月31日までの工事が対象で、改修後3か月以内に税務課へ申告します。注意したいのは、市のページでどちらも「賃貸住宅を除く」と明記されていることです。分譲マンションで、区分所有者さまが自ら住む住戸の窓を交換する場合には使える可能性がありますが、賃貸に出している住戸や、賃貸マンション1棟には使えません。また、4種類の減額のうち重ねて使えるのは、省エネ改修とバリアフリー改修の組み合わせだけと書かれています。

大規模修繕で窓まわりのシーリングを打ち替える時期は、住戸の窓交換を一緒に検討しやすいタイミングです。区分所有者さまへの案内資料に、この減額の存在を一行添えておくだけでも、修繕への理解が進むことがあります。

木造住宅耐震診断士の派遣:マンションは対象外、令和8年度は締切済み

かすみがうら市の「木造住宅耐震診断士派遣事業について」のページ(2026年7月1日更新)によると、対象は建築確認を受けて建築された2階以下の住宅で、延床面積30㎡以上、ツーバイフォーやプレハブなどの工法を除くものです。派遣を受けられるのは、その住宅を所有し、自己用として住んでいる方です(出典:かすみがうら市「木造住宅耐震診断士派遣事業について」)。

  • 診断予定数:若干名(予算の範囲内で先着順)
  • 申込期間:令和8年7月1日〜令和8年8月31日(予定数に達し次第終了)
  • 内容:標準的な耐震診断と結果の説明まで。補強設計や補強工事の助成ではないと明記

鉄筋コンクリート造のマンションは対象外です。所有者が自ら住むことが条件のため、賃貸用の木造アパートも対象外と読めます。令和8年度の申込はすでに締め切られています。

排水設備の接続支援助成:確認できたのは令和7年度版

浄化槽やくみ取り便所から、下水道・農業集落排水へ切り替える世帯向けに、かすみがうら市は「排水設備接続支援事業費助成金」を案内していました。ただし、今回確認できたのは令和7年度版の案内です(出典:令和7年度かすみがうら市排水設備接続支援事業費助成金の御案内(PDF))。

  • 助成限度額:35万円(18歳未満または65歳以上の方と同居し、世帯の課税対象所得の合計が348万円以下)または4万円。いずれも実工事費と比べて少ない額
  • 対象:令和7年4月から令和8年3月までの工事。工事開始前の申請が必要
  • 建物の所有者または土地所有者などの同意を得た方も対象
  • 霞ヶ浦をはじめとする公共用水域の水質保全が目的で、県の補助の拡充にともなう制度

令和8年度も同じ内容で続いているかどうかは、今回確認できませんでした。浄化槽のまま残っている古いアパート・賃貸マンションをお持ちのオーナーさまは、大規模修繕の計画と合わせて上下水道課に、令和8年度の制度の有無と残りの予算を確認する価値があります。

宅地化促進奨励金:11月1日から受付。土地をお持ちのオーナーさま向け

令和8年度に新しく始まる市の制度です。市のチラシによると、非宅地を戸建て住宅用の宅地にする開発行為が対象で、交付額は1区画あたり100万円、1事業あたり上限1,000万円です(出典:かすみがうら市 宅地化促進奨励金 チラシ(PDF))。

  • 主な要件:住宅用地が5区画以上、1区画の敷地面積が居住誘導区域で200㎡以上・区域指定エリアで300㎡以上など
  • 対象エリア:居住誘導区域と、神立駅から半径2km以内の区域指定エリア(角来地区、鹿野山地区、新生1地区)
  • 申請受付:令和8年11月1日〜令和9年3月31日。令和8年11月1日以後に開発許可申請を行った事業に限る
  • 令和9年度末(令和10年3月31日)までに事業を完了する必要がある

マンションの修繕には使えない制度ですが、市内に農地や未利用地をお持ちの不動産オーナーさまにとっては、土地活用の判断材料になります。問い合わせ先は都市整備課です。

国の制度:期限のあるものから確認する

住宅省エネ2026キャンペーン:予約は11月16日まで

国土交通省の発表によると、住宅省エネ2026キャンペーンの新築・リフォームの申請予約の期限は11月16日、申請受付の期限は12月31日です。予約をすると、一定期間、補助金の予算を確保できます。申請額が予算上限に達した場合は、期限前でも受付が終了します。手続きは住宅の所有者ではなく、登録された住宅事業者が行います(出典:国土交通省「住宅省エネ2026キャンペーンの最新状況」)。

マンションの場合、共用部の大規模修繕そのものよりも、住戸の窓や給湯器の交換で使われることが多い制度です。先ほどの市の省エネ改修の固定資産税減額と同じく、窓まわりの工事と相性の良い制度です。

マンション長寿命化促進税制:期限は令和9年3月31日

管理計画認定を受けたマンションなどで、長寿命化工事(外壁塗装等・床防水・屋根防水)を行った場合、工事完了の翌年度の建物部分の固定資産税が減額される制度です。国土交通省の資料では、築20年以上・総戸数10戸以上で、過去に長寿命化工事を行っていることなどが要件として挙げられており、対象は令和9年3月31日までに工事が完了したものです(出典:国土交通省「マンション長寿命化促進税制」)。減額割合は市町村の条例で定められ、工事完了後3か月以内に市町村へ申告します。

かすみがうら市の固定資産税のページには、この税制の記載はありませんでした。減額割合と申告の方法は、税務課へ直接ご確認ください。 かすみがうら市では、認定(都市整備課)も税(税務課)も市が窓口になります。理事会で担当を一人決めて、両方の課に同じ日に確認すると話が早く進みます。

費用の目安:かすみがうら市のマンション大規模修繕にいくらかかるか

補助の話だけでは、総会で判断ができません。一般的な費用の目安をお伝えします。いずれも物件の規模・劣化状況・仕様によって大きく変わる参考値で、実際の金額は現地調査のうえでの見積りになります。

項目 一般的な目安
30戸規模のマンションの大規模修繕 総額 3,500万〜5,000万円程度
うち仮設足場の割合 総額の15〜25%程度
外壁塗装 1㎡あたり3,500〜4,500円程度
外壁打診調査 1㎡あたり250〜500円程度
防水工事 1㎡あたり5,000〜8,000円程度

たとえば、10階建て・外周80m・工期3か月の建物で試算すると、足場の費用が約168万円かかるところ、ロープアクセスで行えば約59万円、差額は約109万円という例があります。これは条件を置いた試算で、すべての建物にそのまま当てはまるものではありません。

マンション長寿命化促進税制や管理計画認定を活用する場合でも、工事費そのものを適正にすることが、修繕積立金を守る一番の土台です。オーナーさま・管理組合さま別のご案内は、明誠の大規模修繕サービス一覧もご覧ください。

補助が少ない市で、修繕積立金を守る5つの工夫

工夫1:診断を先に行い、「やる工事」と「やらない工事」を分ける

先ほど触れた通り、建物は面ごとに傷み方が違います。北面だけ苔とふくれが目立つ、西面だけシーリングが早く切れている、といった具合です。先に外壁の打診調査や劣化診断で数値化しておけば、「今回は北面と屋上だけ」という判断ができます。建物の高い位置の調査には、ドローンを使った外壁調査も選択肢になります。

工夫2:足場を掛けるか、掛けないかを、建物の形から決める

私は、次の3つの工法から、建物にとってベストな組み合わせを提案しています。

工法 向いている建物・工事 注意点
通常の足場仮設 全面に補修が必要な建物、敷地に余裕がある建物 足場の費用がかかり、工期が長くなりやすい
ロープアクセス(無足場工法) 外壁の部分補修、シーリングの打ち替え、点検、漏水の調査・対応 全面の塗り替えには向かないことがある。作業員の技能と安全管理が必須
ハイブリッド(足場+ロープアクセス) 面ごとに劣化の程度が違う建物 設計に経験が必要

ロープアクセスは、屋上などの2点以上の吊元を確保し、メインロープとバックアップロープの2本に接続して作業する工法です。国際的な技能基準であるIRATA(国際産業ロープアクセス協会)の考え方に沿った二重の安全確保が、業界の標準になっています。技術的な詳細は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムに詳しくまとめています。当社の考え方は、明誠のロープアクセス工法の技術詳細もご覧ください。

ただし、ロープアクセスは万能ではありません。全面的な塗り替えなどでは、足場のほうが安全で経済的な場合もあります。 だからこそ、3つの工法を比べて提案できる会社を選ぶことが大切だと考えています。

工夫3:積立金を「1戸あたり」で考える

総会で大きな金額を見せられると、判断が止まります。たとえば仮に、30戸のマンションで工事費が4,500万円なら、1戸あたり150万円です。これは架空の例ですが、見積りの比較は総額ではなく、戸あたり金額と工事項目ごとの単価で行うと、見積書の見え方が変わります。

工夫4:同じ前提で、複数社の見積りを比べる

見積書は、会社ごとに書式や項目の立て方が違います。足場や諸経費の載せ方で、同じ工事でも総額が違って見えます。診断結果・工事範囲・仕様をそろえたうえで、3社程度で比べるのが基本です。

工夫5:「認定」と「税」をセットで段取りする

かすみがうら市の場合、管理計画認定は都市整備課、長寿命化促進税制や耐震改修の固定資産税減額は税務課です。長寿命化促進税制は、管理計画認定を受けたマンションであることなどが要件になるため、大規模修繕の発注より先に、認定の準備を始めるのが安全な順序です。長寿命化促進税制の期限(令和9年3月31日の工事完了)から逆算すると、来年度に工事を予定している管理組合さまは、この冬のうちに認定の相談を始めることをお勧めします。

明誠について:信頼の根拠

株式会社明誠は、これまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセス工法での高所作業について、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業では、過去16年間、墜落による労働災害ゼロを維持しています。IRATA水準の技能訓練を受けた作業員、ISO9001の品質マネジメントシステム、日本ロープ高所作業協会の事務局という体制で、安全と品質を管理しています。

また、明誠は日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部として、塗装・防水・タイル・電気・看板など各分野の専門職と連携しています。かすみがうら市のような茨城県南部の街でも、建物の状態に合わせた職種の組み合わせで、品質と費用のバランスを取ることができます。同業者の方向けの技術情報や訓練の情報は、姉妹サイトのロープアクセスドットコム(無足場工法の専門メディア)でも発信しています。

これまでの工事の様子は、明誠の施工事例からご覧いただけます。

賃貸マンション・アパートのオーナーさまへ

市内で賃貸物件をお持ちのオーナーさまにとって、かすみがうら市の制度は次のように整理できます。

  • 耐震改修の固定資産税減額は、市のページでは「賃貸住宅を除く」とは書かれていない(昭和57年1月1日以前の住宅、令和13年3月31日まで)。賃貸物件での適用は税務課に要確認
  • 省エネ改修・バリアフリー改修の減額は賃貸住宅を除くと明記
  • 木造住宅耐震診断士の派遣は自己居住が条件で、賃貸物件は対象外と読める
  • 排水設備の接続支援助成は、建物の所有者の同意を得た世帯が対象。令和8年度の内容は上下水道課に要確認
  • 宅地化促進奨励金は、市内の非宅地を戸建て用の宅地にする開発が対象(11月1日から受付)

賃貸マンションでは、外壁や共用部の印象が入居の判断に直結します。補助が少ない市だからこそ、工事の範囲と工法を見極めて、家賃収入に見合った修繕を計画することが大切だと私は考えています。収益物件の修繕については、収益不動産オーナーさま向けのご案内もご覧ください。

かすみがうら市の管理組合さまが、今日から1か月でやること

  1. 今日〜11月上旬:築年数(昭和57年1月1日以前か)、長期修繕計画の作成年と期間、直近の総会で管理規約や修繕積立金を見直したかを確認する
  2. 11月上旬:管理計画認定を取るかどうかを理事会で議題にし、市の都市整備課(029-897-1111)に、手数料・様式・受付の流れを確認する
  3. 同じ日に:市の税務課に、長寿命化促進税制の減額割合と申告方法、耐震改修の減額をマンションで受ける場合の手続きを確認する
  4. 11月16日まで:住宅省エネ2026の予約が必要な住戸の工事(窓・給湯機器など)があるか、登録事業者に相談する
  5. 12月以降:劣化診断の発注、長期修繕計画の見直し、認定の取得を前提にした総会議案の準備を進める

防災の視点:霞ヶ浦・恋瀬川と内水のリスクを修繕計画に重ねる

かすみがうら市の立地適正化計画(防災指針編、令和8年3月)には、市の災害リスクが整理されています(出典:かすみがうら市立地適正化計画 第8章 防災指針編)。

市の資料によると、北部には恋瀬川と天の川、南部には一の瀬川と菱木川が流れ、南東部は霞ヶ浦に接しています。洪水の浸水想定区域(想定最大規模)の対象として挙げられている河川・湖は次の通りです。

区分 市の資料に記載の対象河川・湖
浸水想定区域(想定最大規模) 霞ヶ浦、恋瀬川、天の川、雪入川、天王川、一の瀬川、菱木川、境川
浸水継続時間・家屋倒壊等氾濫想定区域 霞ヶ浦、恋瀬川
内水浸水想定区域 市内広域に分布

同じ資料では、居住誘導区域内には河川の浸水想定による被害リスクの該当はない一方で、内水浸水(下水道や排水設備が雨水を処理しきれずにあふれる浸水)については、居住誘導区域の21.4%で0.5m未満、1.0%で0.5〜3.0m未満の想定があると分析されています。市は「北部を除いて平坦な地域が多いため、広範囲に内水氾濫が発生しやすい地形」とも書いています。また、茨城県南部の地震では、市の広い範囲で震度6弱、河川流域沿いや霞ヶ浦付近では震度6強が予想されています。

駅に近く、川の洪水の心配が少ない場所のマンションでも、内水と地震への備えは修繕計画に入れる価値があります。大規模修繕の計画では、次の3点を確認することをお勧めします。

  • 1階の住戸・共用部(電気室、受水槽、ポンプ室)の位置:内水浸水の想定がある場所では、修繕に合わせて止水板や設備のかさ上げを検討する
  • 屋上・バルコニーの排水能力:ドレン(排水口)の清掃と防水の更新を優先する
  • 外壁のひび割れとタイルの浮き:震度6弱以上の揺れを想定し、打診調査で浮きを早めに把握しておく

漏水や雨水の侵入が心配な場合は、明誠の漏水対応もご覧ください。

よくあるご質問

Q. かすみがうら市に、マンション共用部の大規模修繕に使える補助金はありますか?

A. 2026年10月31日時点で市の公式サイトを確認した範囲では、外壁塗装や屋上防水といった共用部の大規模修繕そのものに使える市の補助金は見つかりませんでした。管理計画認定(市)を取得し、長寿命化促進税制(固定資産税の減額)や住宅金融支援機構の融資の金利引下げを活用するのが現実的です。

Q. かすみがうら市のマンションの管理計画認定は、どこに申請しますか?

A. 茨城県ではなく、かすみがうら市(都市整備課)です。県と市が共同でつくった計画で「市の区域は当該市が所管」とされています。申請の前に、マンション管理センターの事前確認サービスを利用します。

Q. 管理計画認定の手数料はいくらですか?

A. かすみがうら市の公式サイトでは、市の手数料の金額を確認できませんでした。参考までに、茨城県が町村の区域で受け付ける場合は1棟4,000円ですが、これは県の金額です。都市整備課へ直接ご確認ください。

Q. 古いマンションで耐震改修をすると、固定資産税は安くなりますか?

A. 市のページでは、昭和57年1月1日以前に建築された住宅で、令和13年3月31日までに工事費50万円超の耐震改修を行うと、翌年度分の固定資産税が2分の1(1戸120㎡まで)減額されると書かれています。マンションでの申告方法は、着手前に税務課へご確認ください。

Q. 窓を交換すると、固定資産税の減額は受けられますか?

A. 窓の断熱改修を含む60万円超の工事などの要件を満たせば、翌年度分の3分の1が減額されます。ただし市のページで賃貸住宅は除くとされており、自ら住む住戸が対象です。

Q. 市の耐震診断の制度は、マンションで使えますか?

A. 使えません。対象は2階以下の木造住宅で、所有者が自ら住んでいることが条件です。令和8年度の申込は8月31日で締め切られています。

Q. 国の住宅省エネ2026は、いつまで使えますか?

A. 国土交通省の発表では、申請予約の期限は11月16日、申請受付の期限は12月31日です。予算上限に達すると前倒しで締め切られます。手続きは登録された住宅事業者が行いますので、早めにご相談ください。

Q. 足場を掛けない工法で、大規模修繕はできますか?

A. 建物の形や劣化の状態によっては可能です。ロープアクセス工法は、2点以上の吊元を確保し、メインロープとバックアップロープの2本に接続して作業します。部分補修やシーリング打ち替えに向き、全面の塗り替えでは足場のほうが適する場合もあります。3工法を比べたうえでのご提案が可能です。

この記事のポイントまとめ

  • かすみがうら市には、外壁・防水そのものに使える市の補助は見当たらない
  • 市のマンションの管理計画認定は、県ではなく市(都市整備課)が窓口。市の手数料は要確認
  • 耐震改修の固定資産税減額は令和13年3月31日までの工事が対象。省エネ・バリアフリー改修の減額は賃貸住宅を除く
  • 市の木造耐震診断はマンション対象外で、令和8年度は締切済み。宅地化促進奨励金は11月1日から受付
  • 国の住宅省エネ2026の予約は11月16日まで、長寿命化促進税制は令和9年3月31日まで
  • 診断を先に行い、工法を比べ、「認定」と「税」をセットで段取りする

出典・参考資料

本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月31日時点で公表されているかすみがうら市・茨城県・国土交通省ほかの公式情報をもとに執筆しています。かすみがうら市の管理計画認定の手数料と申請様式、長寿命化促進税制の減額割合は市の公式サイトで確認できませんでした。排水設備接続支援助成は令和7年度版の案内のみ確認しています。費用の目安は一般的な参考値で、個別の見積りとは異なります。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請される前に、必ずかすみがうら市・茨城県および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。本記事は法的・税務上の助言ではありません。

かすみがうら市は、霞ヶ浦に接し、神立駅の周辺に暮らしを集めていく方針を持つ市です。市の補助は戸建て・個人向けが中心ですが、管理計画認定も固定資産税の減額も市役所が窓口で、耐震改修の減額は令和13年3月31日まで期限が確認できる点は、マンションに暮らす方にとって見逃せない材料です。使える制度と使えない制度を最初に仕分け、期限のある制度は今月中に確認し、診断を先に行って工法を比べることが、修繕積立金を守る一番の近道だと私は考えています。長期修繕計画の見直しや、管理計画認定の準備の進め方のご相談だけでも、お力になれることがあります。どうぞ明誠へのお問い合わせフォームからお声がけください。

関連する茨城県南部の記事として、阿見町のマンション補助金、土浦市のマンション補助金、石岡市のマンション補助金、牛久市の大規模修繕と補助金も、あわせてご覧ください。市と町では、管理計画認定の窓口が違うことが分かります。管理組合の方は管理組合さま向けのご案内、資産価値の維持については建物の資産価値を守る修繕も参考にしてください。


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この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年10月31日


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