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建設資材価格、セメント・鋼材・塗料はどこまで上がったか|日銀・国交省の最新指数で整理。首都圏のマンション・ビル・ホテルが大規模修繕の資金計画で確かめたい7項目【2026年11月】

建設資材価格、セメント・鋼材・塗料はどこまで上がったか|日銀・国交省の最新指数で整理。首都圏のマンション・ビル・ホテルが大規模修繕の資金計画で確かめたい7項目【2026年11月】
本間 幸紘

著作者プロフィール

株式会社明誠 代表取締役

本間 幸紘

大規模修繕・外壁工事・ロープアクセス工事に関する情報を、現場経験をもとに分かりやすくお届けします。

この記事で分かること

「3年前の見積りと今の見積りを並べると、同じ内容なのに2割以上高い。これは業者がふっかけているのでしょうか」ーー東京都や神奈川県、埼玉県の管理組合の理事長さま、ビルオーナーさまから、ここ1年で特に増えたご質問です。

2026年11月、日本銀行が公表する企業物価指数(CGPI)、国土交通省が公表する建設工事費デフレーターの最新値を読むと、建設資材の価格水準はここ3〜4年で明確に一段上がり、現在もその高止まりが続いている様子が数字で確認できます(出典:日本銀行 企業物価指数)。

この記事が答える質問は、次の1つです。「首都圏のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕で、資材高騰はどこまで進み、資金計画としてどう備えればよいか」。

結論から申し上げます。

  1. 日本銀行「企業物価指数」の建材関連項目は、2020年平均を100として2024〜2025年に120〜140前後まで上昇し、一部品目は依然として高止まりしています。
  2. 国土交通省「建設工事費デフレーター」でも、RC造集合住宅は2015年度=100に対して2024年度は約125前後です。大規模修繕工事費は平均すれば2〜3割の上振れが続いています。
  3. 管理組合・オーナーができる対策は、長期修繕計画を最新単価で引き直し、修繕範囲を優先順位で整理し、工法比較で仮設費を抑えるーーこの3段構えです。

この記事では、日本銀行・国土交通省・経済産業省の一次情報をもとに、建設資材の価格推移、大規模修繕への影響、首都圏の管理組合・オーナーが資金計画で確かめたい7項目をお伝えします。

最終更新:2026年11月2日


結論:資材高騰は「終わっていない」。前提を更新してから計画する

まず、読者の方からいただきそうな問いに、短くお答えします。

よくある問い 答え(要点) 根拠
資材価格は落ち着いたのか 2023年以降、上昇ペースは鈍化したものの水準は高止まり。品目により引き続き上昇しているものもあります 日本銀行「企業物価指数」
塗料・シーリング材はどこまで上がった 原油・樹脂・顔料の価格を反映し、2020年比で20〜30%前後の上昇が続いています 経済産業省「化学工業統計」等
セメント・鉄筋・鋼材は セメントは2022〜2024年に数次にわたる価格改定。鉄筋・形鋼も2021年以降は高水準で推移 セメント協会・日本鉄鋼連盟の公表資料
大規模修繕の総額はどう変わるか 同じ仕様・同じ戸数でも2〜3年前比で15〜25%程度の上振れを見込む案件が多数 当社実務・業界統計
修繕積立金は上げるべきか 長期修繕計画を最新単価で引き直し、不足額を段階的に確保する。令和6年6月改定のガイドラインで月額目安も引き上げ 国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」

私はいつも理事長さまに、「“見積りが高い”ではなく、”前提が変わった”と考えてください」とお伝えしています。前提を更新してから、工事範囲と工法の比較に入る順番が、結果として費用を抑えます。


建設資材価格の実像:日本銀行・国土交通省の指数で見る

日本銀行「企業物価指数」の建材関連項目

日本銀行は毎月、企業間取引の価格水準を示す企業物価指数(CGPI)を公表しています(出典:日本銀行 企業物価指数)。基準年は2020年=100。建材に関連する類別の最新値(2025年にかけての大まかな水準)は、品目によって幅がありますが、おおむね次の傾向です。

類別(イメージ) 2020年 高止まりしている水準の目安
金属製品(鉄筋・型枠金物など) 100.0 130〜140前後
石油・石炭製品(塗料原料・アスファルトなど) 100.0 130〜150前後
化学製品(シーリング材・樹脂系防水材など) 100.0 115〜125前後
窯業・土石製品(セメント・タイル下地材など) 100.0 115〜130前後

※各品目の最新値は、日本銀行が毎月更新する公表値をご確認ください。本記事は水準感を示すための目安です。

国土交通省「建設工事費デフレーター」

国土交通省は、建設工事の種類別に工事費の変動を示す建設工事費デフレーターを公表しています(基準2015年度=100、出典:国土交通省 建設工事費デフレーター)。RC造集合住宅の2024年度は約125前後で、10年前と比べて約25%の上昇です。

修繕工事は新築ほどの重量物が少ない分、鋼材の影響が相対的に小さい一方、塗料・シーリング材・防水材・足場資材の比率が高いため、原油・樹脂価格の変動を受けやすいという特徴があります。

なぜ上がったのか:3つの要因

資材高騰の主因は、次の3つが絡み合った複合要因です。

  1. 原材料コストの上昇ーー原油、天然ガス、鉄鉱石、銅、顔料など、建材原料は国際商品市場の影響を強く受けます。2021〜2022年の国際商品高騰の影響がいまだに残っています。
  2. 為替円安の影響ーー輸入依存度の高い原料・中間品は、円安局面で価格上昇幅が拡大します。
  3. 物流・人件費の上昇ーー国内輸送費、倉庫費、職人人工(にんく)がじわじわと上がり、最終価格に転嫁されています。

いずれも国内の管理組合・オーナー側で短期にコントロールできない構造要因です。だからこそ、支出側の設計(工事範囲・工法)で対応するしかありません。


大規模修繕への具体的な影響

ケース:築18年・60戸マンション(首都圏・RC造)の比較

当社で実際に手掛けた首都圏のマンション案件の、仕様をできるだけ同じにそろえた概算比較です(記事用に数字を丸めています)。

項目 2022年着工時の目安 2025年着工時の目安 上昇率
仮設(通常足場) 約1,200万円 約1,400万円 +約17%
外壁塗装・タイル補修 約2,800万円 約3,350万円 +約20%
シーリング打ち替え 約650万円 約800万円 +約23%
屋上防水(ウレタン通気緩衝) 約700万円 約830万円 +約19%
鉄部塗装・雑工事 約450万円 約520万円 +約16%
諸経費・一般管理費 約800万円 約960万円 +約20%
合計(概算) 約6,600万円 約7,860万円 +約19%

※建物の状態・仕様・立地により変動します。あくまで水準感を示す概算です。

上がり幅のうち、仮設費と塗料・シーリング材・防水材の価格上昇が大きな比重を占めます。仮設費を圧縮できるかが、総額の抑制に直結する構造が見てとれます。

修繕積立金ガイドライン改定(令和6年6月)

国土交通省は令和6年6月、「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」を改定し、新築時点での月額目安を実態に即した水準へ見直しました(出典:国土交通省 マンションの修繕積立金に関するガイドライン)。既存マンションでも、工事費想定を最新単価で引き直し、不足が見込まれるなら段階的な値上げや長期修繕計画の見直しを早めに議論することが重要です。


首都圏のマンション・ビル・ホテルが資金計画で確かめたい7項目

1. 長期修繕計画を最新単価で引き直す

既存の長期修繕計画の工事費想定が2022年以前の単価で組まれているなら、現時点の単価で引き直します。管理会社・建築士に依頼し、次回・次々回の大規模修繕総額を更新します。

2. 修繕積立金の月額を再試算する

更新後の総額をもとに、現在の積立額・金利・一時金の見通しから、不足額を計算します。不足が見込まれる場合、段階的値上げ案を早めに準備しましょう。急な大幅値上げは合意形成が難しくなります。

3. 修繕範囲を優先順位で整理する

すべての部位を今回同時に直す必要はありません。劣化度・漏水リスク・資産価値への影響で優先順位をつけ、今回の工事範囲と次回に送る範囲を分けます。建築士による劣化診断が前提です。

4. 仮設工法を部位ごとに比較する

高層マンションや足場架設が難しい物件では、ロープアクセス工法の活用で仮設費を大幅に圧縮できる場合があります。ロープアクセスはメインロープとバックアップロープの2本に接続し、2点以上の吊元を確保するIRATA基準(国際産業ロープアクセス協会)に沿った二重冗長化が標準です。「ロープ1本で降りる」といった表現は誤りで、メインが損傷してもバックアップが作業員を保持します。当社のロープアクセス事業ページもご覧ください。

5. ハイブリッド工法で部位別最適化を図る

外壁の上部はロープアクセス、低層部や複雑形状部は通常足場、というようにハイブリッドで組み合わせると、総額のバランスが取りやすくなります。当社で3工法から建物特性に応じて提案しています。

6. 相見積りは「同じ仕様書」で3社以上

資材高騰期こそ、単価・数量・工法の内訳を比較できる見積書を揃えることが重要です。総額だけで比較すると、仕様差を見落とします。

7. 補助金・認定制度・税制優遇を確認する

東京都の「東京都マンション管理計画認定制度」、国土交通省「マンション長寿命化促進税制」、各区市の改修補助金など、使える制度は積極的に活用します(出典:国土交通省 マンション長寿命化促進税制)。本間社長ブログ内の管理計画認定制度の自治体別解説(首都圏各区・各市)もご参照ください。


よくあるご質問(FAQ)

Q1. 資材価格はこれから下がりますか

短期的に大幅下落する材料は見当たりません。為替・国際商品市況の影響を受けるため変動はありますが、人件費・物流費は構造的に上昇基調です。「下がるのを待つ」より、「前提を更新して計画する」方が安全です。

Q2. 工事を先送りすれば費用は抑えられますか

劣化が進行すれば補修範囲は広がり、結果として費用は増えます。特にシーリング劣化からの漏水、外壁タイル剥落は、人身事故リスクと二次被害を生みます。先送りは積立金対策にはなりません。

Q3. 中古マンションを購入した個人オーナーの立場で、何を見るべきですか

長期修繕計画と修繕積立金の残高です。計画が2022年以前の単価で組まれたままなら、実態と乖離している可能性があります。管理組合の総会議事録で、計画見直し・積立金改定の議論があるかを確認します。

Q4. 当社に相談する場合、どこから始めますか

建物の現況写真と長期修繕計画の該当ページをお問い合わせフォームからお送りください。最新単価での概算と、工法比較の初期提案を無料でお答えします。


この記事のポイントまとめ

  • 日本銀行「企業物価指数」で、建材関連品目は2020年比で15〜40%高止まり
  • 国土交通省「建設工事費デフレーター」RC造集合住宅は2015年度比で約25%上昇
  • 首都圏の中規模マンション大規模修繕で、2022年比で15〜25%の上振れ事例が多数
  • 国交省は令和6年6月に修繕積立金ガイドラインを改定、月額目安を引き上げ
  • 対策は「長期修繕計画の単価更新」「修繕範囲の優先順位整理」「仮設工法の比較」
  • ロープアクセス工法はメインロープ+バックアップロープの2本、2点以上の吊元を確保する国際標準
  • 相見積りは同じ仕様書で3社以上、単価・数量・工法の内訳で比較

出典・参考資料

※本記事は、日本銀行・国土交通省・経済産業省ほかの公表資料に基づく一般的な解説です。価格・費用は一般的な目安・参考値であり、実際は建物の状況・発注時期・地域により異なります。個別の判断は、建築士・施工業者と相談の上で行ってください。


▼ロープアクセス工法・無足場工法の詳細解説はこちら
ロープアクセスドットコム|無足場工法専門メディア

資材高騰のニュースが続くなかで、「このまま積立金は保つのか」「工事を先送りすべきか」と悩まれるお気持ちは、私もよく分かります。ただ、短期にコントロールできる要因は少なく、できることは前提を更新し、範囲と工法を最適化することです。長期修繕計画の見直し・工法比較の初期相談だけでも、お問い合わせフォームからお声がけください。現場で20年見てきた者として、できる限り分かりやすくお答えします。


この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年11月2日


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ロープアクセス工法の詳細や実例については、姉妹サイト「ロープアクセスドットコム」の以下の記事もぜひご覧ください。

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