本間社長ブログ
越谷市のマンション漏水・防災対策|利根川の洪水想定と内水の浸水実績から考える大規模修繕の優先順位【2026年度版】
目次

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著作者プロフィール
株式会社明誠 代表取締役
本間 幸紘
大規模修繕・外壁工事・ロープアクセス工事に関する情報を、現場経験をもとに分かりやすくお届けします。
2026年10月21日 更新
越谷市で分譲マンションやビルをお持ちの方に、まずお伝えしたい数字があります。越谷市が公表している内水(まちに降った雨が排水しきれずあふれる浸水)の実績では、令和5年の台風2号で総雨量322.0mm、1時間最大53.0mmを記録しています。平成27年の台風18号も、総雨量402.0mm、1時間最大53.0mmでした(出典:越谷市 越谷の浸水実績)。
私は株式会社明誠の本間幸紘です。拠点は東京都東大和市で、埼玉県内のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕も手がけています。20年以上、外壁と防水の現場に立ってきました。仮設足場を組む工事も、メインロープとバックアップロープの2本に接続して壁面に降りる無足場の工事も、自分の手でやってきた人間です。
今年の令和8年6月3日の台風第6号では、県の第1報に越谷市の住家被害の記載はありませんでした。越谷の観測値は累計128.0mm、1時間最大26.5mmです(出典:埼玉県 令和8年6月3日の台風第6号による被害状況について(第1報))。気象庁の表では、1時間20mm以上30mm未満が「強い雨」にあたります(出典:気象庁 雨の強さと降り方)。今年は被害の報告がなかった。それは「建物が雨に強い」という意味ではありません。次に53mmクラスの雨が来たとき、屋上のドレンや外壁のシーリングが耐えられるか。そこを点検するのが、私たちの仕事です。
今日は、越谷市・埼玉県・気象庁・国土交通省の公式情報をもとに、越谷市の分譲・賃貸マンション、そしてオーナーさまのビルやホテルが、大規模修繕で先に手を打つべき漏水・防災の場所を整理します。
なお、この記事では、越谷市の公式ページに掲載されていると確認できた内容だけを書きます。県や国の広域資料に出てくる河川や地域を、越谷市のものとして並べることはしません。
結論:越谷市で優先すべきは「雨の通り道の点検」「低層階・地下の浸水対策」「電気設備の位置の確認」です
先に結論を申し上げます。越谷市のマンションでは、次の3つから動くことをお勧めします。
- 屋上ドレン・バルコニー排水・サッシまわりのシーリングを点検し、防水の改修時期を記録で確認する:1時間50mmを超える雨は、市の実績でもすでに起きています。排水が詰まれば、雨は室内に入ります
- 受電設備・給水ポンプ・エレベーター制御盤の設置階を確認する:地下や1階にある場合、浸水すると復旧に時間がかかります
- 長期修繕計画に、防水・シーリングの周期と、防災設備の更新を書き込む:築30年を超える棟が多い市です。後回しにすると、一度に費用が膨らみます
越谷市のマンションは、築年数が進んでいます。市のマンション管理適正化推進計画によると、市内の分譲マンションは令和5年1月1日時点で281団地、332棟、23,383戸。築40年以上が5,171戸(約22.1%)で、10年後には約1.8倍の9,285戸になる見込みです(出典:越谷市マンション管理適正化推進計画【概要版】)。
越谷市のハザードマップを1枚で読む
越谷市のハザードマップは、洪水・内水・地震の3種類が公式に公開されています。まず、どの災害に、どの地図が対応するのかを整理します。
| 災害の種類 | 越谷市の公式マップ | 私が押さえているポイント |
|---|---|---|
| 洪水(外水) | 洪水ハザードマップ(2021年4月版) | 利根川の氾濫を想定。想定し得る最大規模(おおむね1000年に一度)の雨 |
| 内水 | 内水ハザードマップ | 平成27年9月関東・東北豪雨(総雨量402.0mm、時間最大53.0mm)を対象 |
| 地震・液状化 | 地震ハザードマップ | 茨城県南部地震(M7.3)を想定。液状化の可能性がある地域が多いと市が説明 |
| 土砂災害・津波 | 今回確認したページに記載なし | 海のない市で、私が確認した範囲では該当の記載を見つけていません |
洪水:市のマップは「利根川の氾濫」が前提です
越谷市の洪水ハザードマップは、利根川が氾濫した場合を想定したものです。前提は「想定し得る最大規模」で、市は「おおむね1000年に一度の確率で起こる大雨」と説明しています。利根川の浸水想定区域図では、72時間の総雨量を491mmとしています(出典:越谷市 越谷市洪水ハザードマップ、2026年3月9日更新)。
市のページには、洪水浸水想定区域図の対象河川として、利根川、江戸川、中川、綾瀬川、荒川、元荒川、新方川、大落古利根川が並んでいます。ただし、これは市のページが「区域図」として掲載している河川の一覧です。ご自身の建物がどの河川の影響を受けるかは、市のマップと、国土交通省・国土地理院の重ねるハザードマップで、住所を入れて確認してください。
浸水の深さの数値は、市のページ本文には書かれていません。各PDFの地図を開いて、自分の建物の場所の色を見ていただく形になります。
内水:「浸水回数」の濃淡であって、深さではありません
内水ハザードマップは、市の総合防災ガイドブック(令和3年8月発行)に掲載されています。注意点が2つあります。地図の色の濃淡は浸水の「回数」で、深さではないこと。そして、堤防の決壊や河川のあふれによる洪水は考慮されていないことです(出典:越谷市 越谷市内水ハザードマップ、2023年2月1日更新)。
市の浸水実績ページには、平成3年から令和5年までの11件が載っています。台風が9件、局地的な大雨が2件です。1時間最大雨量を見ると、平成20年8月末豪雨が51.5mm、平成21年台風18号が61.5mm、令和5年台風2号が53.0mm。短時間に降る雨が、何度も市を襲っています。令和2年度から令和4年度は、浸水実績がないと記載されています(出典:同ページ、2023年6月30日更新)。
地震・液状化:市は「液状化の可能性がある地域が多い」としています
市の地震ハザードマップは、埼玉県の調査をもとに、越谷市への影響が最も大きい茨城県南部地震(M7.3)を想定しています。液状化については、市は「液状化が発生する可能性のある地域が多いと考えられる」としています(出典:越谷市 越谷市地震ハザードマップ、2021年8月31日更新)。具体的な震度や全壊率は、地図の画像やPDFで確認する形です。
地域特性と漏水事故の関係
ここからは、私が現場で見てきたことを、越谷市の情報に重ねてお話しします。
短時間の強い雨:屋上ドレンと防水の端部が先に負けます
市の実績で1時間50mmを超える雨が3回出ています。ここまで降ると、屋上のドレン(排水口)が落ち葉やゴミで半分塞がっているだけで、あっという間に水が溜まります。溜まった水は、防水層の端部や立上りの隙間から、天井裏に入っていきます。
私が以前、築30年ほどの中層マンションで見た現場では、最上階の天井の染みが、台風のたびに広がっていました。原因は、防水層ではなくドレンのストレーナー(ゴミ除けの金具)の詰まりでした。清掃だけで止まった漏水もあります。ですから、大規模修繕の前でも、台風シーズン前の清掃と点検をお勧めします。
築年数の進んだ棟:シーリングの切れが入口になります
築40年以上が約22%ある市です。外壁の目地やサッシまわりのシーリング(防水用の充填材)は、一般的に10年前後で硬化し、切れが出てきます。切れた隙間から、横殴りの雨が入ります。
低層階・地下の設備:浸水すると復旧に時間がかかります
内水による浸水は、地下の受電設備や1階の機械室に影響が出やすいものです。国土交通省・経済産業省は、建築物の電気設備の浸水対策ガイドラインを公表しています(出典:国土交通省・経済産業省 建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン(概要))。受電設備の位置や止水板の有無は、管理組合の理事会で一度確認しておく価値があります。
大規模修繕で押さえるべき漏水ポイント7つ
私が点検に入るとき、いつも見ている順番です。
- 屋上防水:膨れ、破れ、端部の剥がれ。防水層の改修時期を、施工記録で確認します
- シーリング:サッシまわり、パネル目地、手すりの根元。指で押して弾力が残っているかを見ます
- バルコニー排水:ドレンと排水管の詰まり。居住者さまの置物や落ち葉が原因になることが多いです
- ドレン(屋上・庇):ストレーナーの状態と、オーバーフロー管(あふれた水を逃がす管)の有無
- 立上り:防水層の端部、笠木(手すりの上のカバー)との取り合い。ここが一番水を拾います
- サッシまわり:枠と外壁の取り合いのシーリング、水切りの勾配
- エキスパンションジョイント:建物同士の継ぎ目。動きが大きく、劣化も早い場所です
費用の目安をお伝えします。物件の規模や下地の状態で大きく変わりますが、防水工事は1㎡あたり5,000〜8,000円程度が一つの参考値です。30戸程度のマンションで、大規模修繕の総工費は3,500〜5,000万円が一つの目安で、うち仮設足場が15〜25%を占める例があります。たとえば、10階建て・外周80m・工期3ヶ月の想定で、足場の費用が約168万円、ロープアクセスなら約59万円という比較例もあります。これは条件を置いた試算で、実際の見積は建物により大きく変わります。詳しい考え方は、明誠の料金の考え方にまとめています。
漏水緊急対応でロープアクセスが強い理由
台風の後に「最上階の天井から水が落ちている」とご連絡をいただくことがあります。足場を組むには、手配と申請で数日から数週間かかります。その間にも雨はまた降ります。
ロープアクセスは、産業用ロープで壁面に降りる工法です。メインロープとバックアップロープの2本に接続し、2点以上の吊元を確保して作業します。足場を組む時間がないため、原因箇所の特定と応急処置を、早い段階で始められます。シーリングの打ち替え、ひび割れの補修、ドレンまわりの応急防水といった作業が中心です。
明誠はこれまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセス工法では、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業で、過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。IRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の技能訓練を受けた作業員が現場に入ります。工法の技術的な詳細は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムでも解説しています。あわせて、ロープアクセスドットコムの関連記事もご覧ください。
建物が大きく、全体の修繕が必要な場合は、足場とロープアクセスを部位ごとに使い分けるハイブリッド工法も選べます。大切なのは、工法ありきではなく、3つの中から建物にとって最適なものを比べて決めることです。詳しくは、ロープアクセス工法のご紹介と漏水対応のご案内をご覧ください。明誠のこれまでの施工事例もご覧いただけます。
防災上の共用部の位置と修繕優先度
防災の観点で、共用部を優先度の高い順に並べます。
| 優先度 | 設備 | 確認すること |
|---|---|---|
| 高 | 受電設備(キュービクル) | 設置階。地下・1階なら止水板、かさ上げの検討 |
| 高 | 給水ポンプ・加圧設備 | 設置階と、停電時に水が出るか |
| 高 | エレベーター制御盤・機械室 | 浸水時の停止と復旧手順 |
| 中 | 避難通路・階段 | 排水の詰まり、雨水の流入経路 |
| 中 | 自家発電設備 | 燃料の備蓄量と、定期の試運転 |
| 中 | 屋上防水・外壁シーリング | 築年数と改修周期の記録 |
私の経験上、理事会で議論になるのは、見た目に分かりやすい外壁や共用廊下です。しかし、台風や地震のあとに生活を止めるのは、電気と水とエレベーターです。防水・シーリングの修繕と並べて、設備の位置を確認しておくと、優先順位が整理しやすくなります。
越谷市で使えるマンションの耐震の制度
越谷市は、分譲マンションの耐震診断費用の一部を助成しています。令和8年度の内容は次のとおりです(出典:越谷市 分譲マンション耐震診断費用の一部を助成します、2026年4月6日更新)。
- 対象:昭和56年5月31日以前の耐震基準で建築された、地階を除く3階以上かつ延べ面積1,000㎡以上の分譲マンション。居住用部分が延べ面積の5分の4以上、区分所有者の3分の2以上が居住、診断の実施が集会等で決議されていることなどが条件です
- 補助率・上限:予備診断は税抜費用の3分の2(上限10万円)。本診断は税抜費用の3分の2と「住戸数×5万円」のいずれか少ない額(上限100万円。予備診断の補助を受けた場合は90万円)
- 受付:令和8年4月6日から。予算がなくなり次第終了
- 窓口:都市整備部 建築住宅課(電話048-963-9235)
予算に限りがあります。該当しそうな場合は、早めに窓口でご確認ください。条件や金額は年度で変わることがありますので、最新の内容は市のページでお確かめください。なお、市は令和6年3月にマンション管理適正化推進計画を策定しています。計画の詳細は、市の公式ページをご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 越谷市に内水ハザードマップはありますか?
A. あります。総合防災ガイドブック(令和3年8月発行)に掲載されており、平成27年9月関東・東北豪雨(総雨量402.0mm、時間最大53.0mm)を対象にしています。色の濃淡は浸水の回数で、深さではありません。
Q2. 洪水ハザードマップは、どの河川を想定していますか?
A. 市の洪水ハザードマップは、利根川の氾濫を想定したものです。想定し得る最大規模で、おおむね1000年に一度の大雨が前提です。区域図には複数の河川が掲載されていますので、建物ごとの影響は市のマップでご確認ください。
Q3. 令和8年の台風6号で、越谷市はどうなりましたか?
A. 県の第1報(令和8年6月3日17時発表)に、越谷市の住家被害の記載はありません。越谷の観測値は累計128.0mm、1時間最大26.5mmでした。
Q4. 屋上防水の改修時期は、何年ごとですか?
A. 工法や材料で異なりますが、10〜15年程度が一つの目安です。施工記録と現地の状態を見て判断します。膨れや端部の剥がれが出ていれば、時期にかかわらず点検をお勧めします。
Q5. 漏水の緊急対応は、足場なしでできますか?
A. 原因箇所が外壁やドレンまわりであれば、ロープアクセスで足場なしの応急処置が可能な場合が多いです。ただし、屋上の全面的な防水改修などは、足場や別の方法が適する場合もあります。現地で確認してお伝えします。
Q6. 大規模修繕の費用は、どれくらいを見ておけばよいですか?
A. 30戸程度のマンションで、総工費3,500〜5,000万円が一つの目安です。防水は1㎡あたり5,000〜8,000円程度が参考値です。物件により大きく変わりますので、概算のお見積りは無料でお出しします。
Q7. 分譲マンションの耐震診断に、市の助成はありますか?
A. 令和8年度は、昭和56年5月31日以前の耐震基準の分譲マンションを対象に、予備診断の上限10万円、本診断の上限100万円の助成があります。予算がなくなり次第終了です。
まとめと今週動くこと3点
越谷市は、利根川の洪水想定と、内水の浸水実績という、性格の異なる2つのリスクを抱える市です。どちらも、建物の弱い部分から水が入ります。大規模修繕のときだけでなく、台風シーズンの前後に、点検の機会を持つことが大切です。
今週、理事会やオーナーさまで動いていただきたいのは、次の3点です。
- 屋上ドレン・バルコニー排水の清掃状況を確認する(今週中に、管理会社へ点検記録を問い合わせる)
- 受電設備・給水ポンプ・エレベーター制御盤の設置階を、図面で確認する
- 築年数と、前回の防水・シーリング改修の時期を一覧にする(昭和56年5月31日以前の建築なら、市の耐震診断助成の対象かどうかも確認する)
漏水のご相談、屋上や外壁の簡易点検、足場・ロープアクセス・ハイブリッドの比較見積は、お問い合わせフォームから承ります。管理組合さま向けの内容は管理組合向けのご案内、ビルオーナーさま向けはビルオーナー向けのご案内をご覧ください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。
出典・参考資料
- 越谷市「越谷市洪水ハザードマップ」(2026年3月9日更新)
- 越谷市「越谷市内水ハザードマップ」(2023年2月1日更新)
- 越谷市「越谷の浸水実績」(2023年6月30日更新)
- 越谷市「越谷市地震ハザードマップ」(2021年8月31日更新)
- 越谷市「分譲マンション耐震診断費用の一部を助成します」(2026年4月6日更新)
- 越谷市「越谷市マンション管理適正化推進計画【概要版】」(令和6年3月)
- 埼玉県「令和8年6月3日の台風第6号による被害状況について(第1報)」
- 気象庁「雨の強さと降り方」
- 国土交通省・経済産業省「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン(概要)」
- 国土交通省・国土地理院「ハザードマップポータルサイト」
この記事の執筆者
本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。
最終更新:2026年10月21日
関連記事(姉妹サイト)
ロープアクセス工法の詳細や実例については、姉妹サイト「ロープアクセスドットコム」の以下の記事もぜひご覧ください。
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