本間社長ブログ
横浜市港北区のマンション漏水・防災対策|鶴見川・早渕川の洪水想定と内水・がけ地、大規模修繕で先に手を打つ優先順位【2026年度版】
目次

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著作者プロフィール
株式会社明誠 代表取締役
本間 幸紘
大規模修繕・外壁工事・ロープアクセス工事に関する情報を、現場経験をもとに分かりやすくお届けします。
2026年10月9日 更新
横浜市港北区のマンションで、台風の前に私が最初に確かめるのは、屋上の排水口と、地下や1階にある電気設備の高さです。港北区は区の中央を鶴見川が流れ、その両側に低地が広がり、日吉や大倉山のように台地や斜面地も混ざっています。同じ港北区でも、建物が立っている場所によって、水の入り方も、がけ崩れの心配も、まるで違います。
私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。拠点は東京都東大和市ですが、神奈川県内のマンションの大規模修繕も手がけています。20年近く、マンション・ビル・ホテルの外壁と向き合ってきました。仮設足場を組む工事も、メインロープとバックアップロープの2本に接続して壁面に降りる無足場の工事も、どちらも現場でやってきた人間です。
今日は横浜市・国土交通省・気象庁の公式情報をもとに、港北区の分譲・賃貸マンションが大規模修繕で先に手を打つべき場所を整理します。
結論:港北区で優先すべきは「立地の確認」「屋上・排水まわりの防水」「電気設備の浸水対策」です
先に結論を申し上げます。港北区のマンションでは、次の3つから動くことをお勧めします。
- 港北区版の浸水ハザードマップ(洪水・内水・高潮)で、建物の位置と想定浸水深を確認する:令和8年6月に、内水ハザードマップが水防法に基づくものに更新されました
- 屋上ドレン・バルコニー排水・敷地の雨水桝を点検し、防水の改修時期を記録で確認する:低地でも台地でも、豪雨で最初に出るのは「排水が追いつかない」ことによる漏水です
- 受変電設備・給水ポンプ・地下駐車場の位置と、出入口の止水対策を図面で調べる:停電が長引くと、エレベーターも給水ポンプも止まります
順に見ていきます。
港北区のハザードマップを1枚で読む(洪水/内水/高潮/土砂/液状化)
横浜市は区ごとに浸水ハザードマップを公開しています。横浜市の公式ページによると、港北区の洪水・内水・高潮の各ハザードマップは令和8年6月に作成されており、内水については「雨水出水(内水)浸水想定区域が水防法に基づき指定されたことに伴う更新」で、浸水想定区域そのものに変更はないとされています(出典:横浜市「浸水ハザードマップ」、2026年6月1日更新)。
洪水:鶴見川・矢上川・早渕川・鳥山川
国土交通省 京浜河川事務所のページでは、鶴見川の洪水浸水想定区域は「流域の48時間(2日間)総雨量792mm」を前提としています。港北区に関係する河川としては、鶴見川のほか、矢上川(日吉まで)、早渕川(高田東・新吉田町まで)、鳥山川(鳥山町・岸根町まで)が、国が管理する洪水予報河川・水位周知河川の対象区間に含まれています(出典:国土交通省 京浜河川事務所「洪水浸水想定区域図(想定最大規模)」)。
なお、このページは複数の市区にまたがる流域全体の情報を載せています。港北区の建物に当てはまるのは、上に挙げた区間だけです。ご自身の建物に何が及ぶかは、港北区版のマップで町名ごとに確認してください。
港北区の区報には、「区の約40%が洪水浸水想定区域に含まれる」と書かれています(出典:港北区区報 2024年5月号)。区の約4割という数字は、浸水想定の中にあるマンションが決して少なくないことを意味します。ご自身の建物がどちらに入るかを、まず確かめてください。
内水:下水道や側溝が雨に追いつかない浸水
内水(ないすい)とは、河川があふれる前に、下水道や側溝の排水能力を雨が超えて起きる浸水です。横浜市の内水ハザードマップは、河川整備や下水道整備の状況をもとに作られており、実際の浸水は雨の降り方で変わるとされています(出典:横浜市「内水ハザードマップ」)。川から離れた台地の上のマンションでも、道路の低い場所や、敷地の出入口がへこんでいる建物は内水の対象になります。
土砂災害:急傾斜地の警戒区域が217区域
横浜市の公式ページでは、港北区の土砂災害警戒区域は217区域(急傾斜地の崩壊のみ)、うち土砂災害特別警戒区域が211区域と示されています(出典:横浜市「土砂災害防止法に基づく区域指定」、2026年3月12日更新)。平らな低地のイメージが強い区ですが、斜面地に建つマンションも少なくありません。
液状化・高潮・津波
液状化は、横浜市が公表している液状化マップで、想定地震ごとに確認できます。この地図は2012年10月公表の地震被害想定調査をもとにしたもので、約50メートルのメッシュ単位の判定です(出典:横浜市「液状化マップ」)。港北区の高潮ハザードマップも令和8年6月に作られていますので、洪水・内水・高潮の3枚は並べて確認してください。津波については、本稿では港北区の個別の想定を確認できていないため、横浜市の津波ハザードマップでご自身の建物をお調べください。
地域特性と漏水事故の関係:低地、台地、斜面地で出る症状が違います
ここからは私の現場経験です。ハザードマップは「水がどこに来るか」を示しますが、マンションの漏水は「水がどこから入るか」の問題です。立地ごとに、出やすい症状の傾向が違います。
鶴見川沿いの低地:大雨のとき、道路や敷地に水が滞留しやすく、1階の共用部、地下の機械室、駐車場の出入口まわりが傷みやすい立地です。河川の洪水は、水位が上がり切る前に避難の判断が必要で、建物の補修だけでは守り切れません。電気設備を高い階に上げる、止水板を用意するといった「水を入れない」対策が先に来ます。
台地の上:河川の氾濫の心配は小さくても、屋上やバルコニーに降った雨を、ドレンと排水管で流しきれるかが勝負です。ドレンに落ち葉や砂が詰まれば、屋上に水が溜まり、防水層の弱い箇所から室内へ入ります。
斜面地・がけ地沿い:擁壁(ようへき:土を支える壁)の水抜き穴の詰まりや、敷地内の排水不良が、地盤の水分を増やして擁壁を傷めます。建物本体の漏水よりも、まず敷地側の排水と擁壁の状態を確認します。
港北区の過去の水害についても触れておきます。京浜河川事務所の資料には、昭和56年の台風24号で港北区鳥山町(鳥山川合流点)などに浸水被害が出たこと、平成16年の台風22号で鳥山の水位が計画高水位を超える3.44mを記録したことが載っています。また、平成16年の台風22号では、鶴見川多目的遊水地に約125万m³が流入しました(出典:国土交通省 京浜河川事務所「鶴見川の主な洪水」)。これだけの水を、遊水地が受け止めてきた川だということです。
雨そのものも増えています。気象庁の「日本の気候変動2025」によると、全国のアメダスで、1時間に50mm以上の雨の年間発生回数は、1976〜1985年の平均約226回から2015〜2024年の平均約334回へ、約1.5倍に増えました。80mm以上は約14回から約24回へ、約1.7倍です(出典:気象庁「日本の気候変動2025」、1,300地点換算)。
私が以前、築30年を超えるマンションの豪雨後の点検に伺ったときのことです。屋上のドレンが、落ち葉と砂でほとんど塞がっていました。管理組合の方は「防水は10年前に直したばかりなのに」とおっしゃいました。防水層が新しくても、水の出口が詰まれば水は溜まります。私の経験上、これは立地を問わず、いちばん多い原因です。
大規模修繕でチェックすべき漏水ポイント7つ
大規模修繕の前の劣化調査で、私がいつも見る7か所です。
| 部位 | 見るところ | 港北区で特に気にする点 |
|---|---|---|
| ①屋上防水 | 膨れ・ひび割れ・端部の浮き | 台地の建物は排水勾配と溜まり水 |
| ②シーリング(目地の防水材) | 肉やせ・切れ・剥離 | 台風の横なぐりの雨が当たる面 |
| ③バルコニー排水 | 排水口の詰まり・床の勾配 | 豪雨時の溢れ。上階から下階への漏水 |
| ④ドレン(雨水の排水口) | 落ち葉・砂の堆積、取付部の隙間 | 高さのある木が近い敷地は頻度を上げる |
| ⑤立上り(防水層の壁際) | 端部の押さえ金物、防水層の切れ | 強風雨で水が回り込みやすい |
| ⑥サッシまわり | 枠まわりのシーリング、水切り | 斜面地や高層階の風当たり |
| ⑦エキスパンションジョイント | 伸縮目地のカバー、止水材 | 地震後の動きで傷みやすい |
目安となる金額もお伝えします。防水の改修費は、工法や下地の状態で変わりますが、屋上・バルコニーで1㎡あたり5,000〜8,000円程度が一つの目安です(物件により大きく変動します。正式な金額は調査後の見積でご確認ください)。ドレンの清掃や部分補修は、被害が出る前なら比較的小さな費用で済みます。逆に、漏水が出て内装まで傷めてからでは、工事費に室内の復旧費が上乗せされます。
細かな劣化の見分け方は、明誠の漏水対応の専門ページにもまとめています。
漏水緊急対応でロープアクセスが強い理由
台風や豪雨のあと、「上の階から水が落ちてくる」「外壁のひびから雨が入る」という連絡をいただくことがあります。そのとき、仮設足場を組む工事だと、手配から組み上げまで日数がかかります。雨が続く時期に、原因を特定できないまま日が過ぎるのは、管理組合にとって大きな不安です。
ロープアクセス工法は、足場を組まずに、メインロープとバックアップロープの2本に接続した作業員が壁面へ降り、2点以上の吊元を確保して作業します。そのため、原因の確認と応急処置に、足場の組立期間が要りません。ひび割れの確認、シーリングの打ち替え、仮止水といった作業を、短い日数で進められます。この工法の考え方と詳しい技術情報は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムに整理しています。
金額面でも差が出ます。一つの目安として、10階建て・外周80m・工期3か月のマンションの例では、足場費が約168万円かかる計算の物件で、ロープアクセスなら約59万円(差額約109万円)に収まる試算があります(あくまで一例です。実際は建物の形状や作業内容で変わります)。工期も、足場工法の約60%で終えられる場合があります。
安全面について。株式会社明誠はこれまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。明誠および全国のフランチャイズ加盟企業では、ロープアクセス工法での高所作業について、過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。IRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の技能訓練を受けた作業員が、二重の確保を前提に作業します。工法の詳細は明誠のロープアクセス工法のご紹介をご覧ください。足場とロープを部位ごとに組み合わせる方法もあり、ロープアクセスドットコムの技術解説でも工法比較を載せています。
防災上の共用部:位置と修繕優先度を決める
漏水の次に、電気と水の話です。横浜市建築局の「浸水対策の手引き」では、まず「対策目標浸水深」(洪水・内水・高潮のうち最も深い想定浸水深)を決めることから始めるとされています。最も確実なのは、設備を対策目標浸水深より高い位置に置くことで、難しい場合は建物の周りに止水板などで「水防ライン」を作ります(出典:横浜市建築局「浸水対策の手引き」)。
この手引きの考え方を、管理組合の優先順位に置き換えるとこうなります。
- 受変電設備(電気を建物に引き込む設備):エレベーターもポンプも、ここが水没すると動きません。復旧に長い期間がかかるおそれがあり、位置の確認が最優先です
- 給水ポンプ・受水槽:停電で止まると、高層階は断水します
- 非常用発電機と燃料:法令上の運転時間は火災時の想定で、浸水時には短い可能性があると手引きは指摘しています。燃料の備蓄量を確認してください
- 避難通路・エレベーター:出入口、窓、換気口、配管の貫通部など、水が入る経路を切れ目なくふさぐ必要があります
- 地下階:地上に水防ラインを作っても、雨水貯留槽があふれたり、下水が逆流したりして地下から浸水することがあります
こうした設備の周りの防水(床・壁・貫通部)は、大規模修繕の工事範囲に入れておけば、足場やロープの手配を共用でき、費用を抑えやすくなります。ビルオーナーさまはビルオーナー向けの明誠のサービス、管理組合さまは管理組合向けの明誠のサービスをご覧ください。
自治体の防災補助・耐震助成(令和8年度)
港北区のマンションで使える可能性のある横浜市の制度です。年度で内容が変わりますので、令和8年度の公式情報を引いています。
横浜市マンション耐震改修促進事業:昭和56年5月末日以前に建築確認を得て着工された分譲マンションで、市の本診断で耐震改修が必要と判定されたものなどが対象です。工事費の補助は、工事費の1/3、または上限額のいずれか低い額で(一部の場合は2/3)、全体改修で延べ面積5,000㎡未満・要安全確認計画記載建築物以外の例では上限2,000万円です。令和8年度の受付期間は公式ページに記載がなく、予算の状況で受付できないこともあるため、見積書の徴収や総会決議の前に建築防災課(電話045-671-2928)へ事前相談するよう求められています(出典:横浜市「マンション耐震改修促進事業」、2026年7月31日更新)。
横浜市崖地減災対策工事助成金:斜面地に建つ建物や、擁壁・自然崖が敷地にある場合の制度です。令和8年度は4月13日から交付申請の受付が始まり、申請期限は12月28日までの予定です。助成額は対象工事費の1/2、または工法別単価で算出した額、あるいは限度額のうち最も少ない額で、擁壁築造などは上限100万円、落石対策などは上限50万円です(出典:横浜市「がけ地減災対策工事助成」、2026年9月4日更新)。
どちらも、申請の前に着工してしまうと対象外になることが一般的です。市の窓口で手順を事前にご確認ください。
よくあるご質問
Q. 港北区のマンションは、洪水の心配がありますか?
A. 区報では区の約40%が洪水浸水想定区域に含まれるとされています。ただし、立地で大きく違います。まず港北区版の浸水ハザードマップで、建物の町名と想定浸水深をご確認ください。
Q. 屋上防水の改修費はいくらくらいですか?
A. 工法や下地の状態で変わりますが、1㎡あたり5,000〜8,000円程度が目安です。物件ごとに大きく変動しますので、無料で概算をお出しできます。
Q. 台風のあとに漏水が出ました。足場がなくても調査できますか?
A. できます。ロープアクセス工法なら、足場を組まずに壁面へ降りて原因を確認し、シーリングの応急処置まで進められます。足場工法の約60%の工期で終えられる場合もあります。
Q. 電気設備の浸水対策は、大規模修繕と一緒にできますか?
A. 設備周りの防水や止水板の設置は、大規模修繕と同時に計画すると、仮設費を共用でき、効率的です。設備の移設は専門の電気工事業者と調整します。
Q. 耐震改修の補助を使いたいのですが、いつ相談すればよいですか?
A. 見積書の徴収や総会決議の前です。令和8年度の受付状況は公式ページに記載がなく、予算の状況で受付できないこともあるため、横浜市の建築防災課へ事前にご相談ください。
Q. がけ地の擁壁が心配です。助成はありますか?
A. 横浜市に崖地減災対策工事助成金があり、令和8年度は12月28日までの申請予定です。対象のがけかどうかは、市の窓口で確認が必要です。
Q. 港北区の施工事例は見られますか?
A. 明誠の施工事例からご覧いただけます。
まとめ:今週動くこと3点
最後に、今週中に理事会や管理会社へ出していただきたいことを3点にまとめます。
- 港北区版の浸水ハザードマップで、建物の想定浸水深を調べ、管理組合内で共有する(洪水・内水・高潮の3枚)
- 屋上ドレン・バルコニー排水の詰まりを、台風が来る前に目視で確認する(管理会社に写真を依頼)
- 受変電設備・給水ポンプ・非常用発電機の位置を図面で確認し、想定浸水深との高さの関係を書き出す
漏水は、起きてから直すより、起きる前に出口を整えるほうが、はるかに安く済みます。ご相談だけでも遠慮なくお問い合わせフォームからお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。
本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月9日時点で公表されている横浜市および国土交通省・気象庁の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請される前に、横浜市および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。
出典・参考資料
- 横浜市「浸水ハザードマップ」(2026年6月1日更新)
- 横浜市「内水ハザードマップ」
- 港北区「区報 2024年5月号」
- 横浜市「土砂災害防止法に基づく区域指定」
- 横浜市「液状化マップ」
- 横浜市建築局「浸水対策の手引き」
- 横浜市「マンション耐震改修促進事業」
- 横浜市「がけ地減災対策工事助成」
- 国土交通省 京浜河川事務所「洪水浸水想定区域図(想定最大規模)」
- 国土交通省 京浜河川事務所「鶴見川の主な洪水」
- 気象庁「日本の気候変動2025」
この記事の執筆者
本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。
最終更新:2026年10月9日
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