府中市のマンション補助金2026年度版|管理組合が使える管理計画認定・耐震助成・長寿命化税制を本間が解説

府中市のマンション補助金2026年度版|管理組合が使える管理計画認定・耐震助成・長寿命化税制を本間が解説

「府中でマンションを所有しているが、大規模修繕にあわせて市から何か支援を受けられないだろうか」。理事会でそんな声が出はじめたら、この記事はまさに「うちの話」です。

私は大規模修繕の現場に20年近く立ってきました。マンション・ビル・ホテルの外壁や屋上防水を、足場を組む従来工法と、ロープでぶら下がって施工する無足場の工法(ロープアクセス工法)の両方で手がけています。その中で、府中市の管理組合の理事長さまから一番多くいただくご相談が、「補助金や税制で、修繕積立金の負担を少しでも軽くできないか」というものです。

最初に、正直に申し上げます。府中市には、共用部の大規模修繕そのものに工事費の何割かを直接出してくれる「ど真ん中の補助金」は、現時点では用意されていません。さらに府中市の場合、分譲マンション向けの耐震助成は「診断」と「補強設計」までが中心で、改修工事そのものへの助成は緊急輸送道路の沿道建築物が主な対象になっています。ここも誤解されやすいところです。ですが、使い方を間違えなければ、管理組合の負担を確実に軽くできる制度がいくつもあります。

この記事では、2026年(令和8年度)時点で府中市の分譲マンション管理組合が実際に使える制度を、現場目線で整理してお伝えします。数字や期限はすべて府中市・東京都・国の公式情報にあたって確認していますが、制度は年度途中で予算が尽きることもあります。最後の判断は、必ず担当窓口でご確認ください。


まず押さえる結論:府中市の管理組合向けは「4本柱+α」

細かい話に入る前に、全体像をお伝えします。府中市のマンション管理組合が活用を検討できる支援は、大きく次の4本柱で整理すると分かりやすいです。最初に表でお見せします。

制度 何に効くか 共用部の修繕に直接使えるか 担当窓口
① 府中市マンション管理計画認定制度 管理体制の「お墨付き」・税制や融資の入口 間接的(前提条件になる) 府中市 住宅課 支援係
② 府中市 分譲マンション耐震助成制度 旧耐震マンションの診断・補強設計 一部(診断・設計まで) 府中市 住宅課 住宅安全係
③ マンション長寿命化促進税制(国) 大規模修繕後の固定資産税を減額 間接的(税の軽減) 府中市 資産税課
④ 東京都マンション改良工事助成 共用部リフォーム融資の利子を補給 使える(利子の軽減) 東京都 マンション課

私はいつも理事長さまに、「補助金は1つを探すのではなく、この4つを組み合わせて考えてください」とお伝えしています。1つだけを見て「うちは対象外だった」とあきらめてしまう管理組合を、私は何度も見てきました。実際には、ある制度では対象外でも、別の制度や税制では恩恵を受けられることがほとんどです。とくに府中市は、耐震の改修助成が沿道中心になるぶん、②の改修部分に頼れない組合ほど、①③④を上手に重ねることが効いてきます。

なお、府中市は令和2年6月の「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」改正を受けて「府中市マンション管理適正化推進計画」を策定し、その土台のうえで後述の管理計画認定制度を運用しています(出典:府中市「マンションの管理計画認定制度」)。つまり、行政として「分譲マンションの管理をきちんと支えていこう」という姿勢が、府中市にもすでにできあがっているということです。ここからが本題です。1本ずつ見ていきましょう。


柱1:府中市マンション管理計画認定制度

どんな制度か

マンション管理計画認定制度とは、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」(適正化法)に基づき、管理組合の運営や長期修繕計画が一定の基準を満たしているマンションを、市が「適切な管理計画を持つマンション」として認定する制度です。府中市では、改正法の施行と同時に、令和4年4月からこの制度を実施しています(出典:府中市「マンションの管理計画認定制度」)。

平たく言えば、「うちの組合はきちんと回っていますよ」という第三者のお墨付きを、行政から正式にもらえる仕組みです。認定の対象は市内の既存マンションで、申請するのはマンション管理組合の管理者等(一般的には理事長)です。申請にあたっては、まず集会(総会)で「管理計画認定申請をすること」を決議する必要があります。

認定の17基準と有効期間

認定の基準は17項目あります。府中市は独自基準を設けておらず、国がマンション管理適正化指針に定める基準と同一の内容です。中身を大づかみにすると、次のような柱で構成されています。

  • 管理組合の運営:管理者等が定められ、監事が選任され、集会(総会)が年1回以上開かれていること
  • 管理規約:規約が作成され、緊急時の専有部立ち入りや修繕履歴の管理などが定められていること
  • 管理組合の経理:管理費と修繕積立金が明確に区分経理され、修繕積立金の滞納に対して適切な対応がとられていること
  • 長期修繕計画:標準様式に準拠して作成・見直しがされ、計画期間が30年以上で、その間に大規模修繕工事が2回以上含まれること

私が特に注目していただきたいのは、長期修繕計画の項目です。「計画期間30年以上・大規模修繕2回以上」「修繕積立金が著しく低額でないこと」という基準は、裏を返せば、認定を取ろうとする過程で、自分たちの修繕計画と積立金が将来本当に足りるのかを点検できるということです。認定の有効期間は、認定を受けた日から5年間で、満了日までに更新申請を行わなければ失効します。

取得のメリットと申請の流れ

府中市が公表している認定取得のメリットは、主に次のとおりです(出典:府中市「マンションの管理計画認定制度」)。

  1. 区分所有者の管理への意識が高く保たれ、管理水準を維持向上しやすくなること
  2. 適正に管理されたマンションとして、市場において評価されること
  3. 適正に管理されたマンションが存在することで、立地している地域価値の維持向上につながること
  4. 住宅金融支援機構の「フラット35」および「マンション共用部分リフォーム融資」の金利引き下げ、「マンションすまい・る債」の利率上乗せが適用されること
  5. 一定の要件を満たすものが長寿命化に資する大規模修繕工事を行った場合、後述のマンション長寿命化促進税制の対象となること

申請の流れは二段構えです。まず市へ認定申請をする前に、公益財団法人マンション管理センターの「管理計画認定手続支援サービス」(事前確認)を利用し、マンション管理士が認定基準への適合状況を確認した「事前確認適合証」の発行を受けます。そのうえで、同サービスのオンライン電子システムを通じて市へ認定申請を行う、という流れです。事前確認にはマンション管理センターへの利用料10,000円などがかかりますが、市への認定申請手数料は無料です。

正直に申し上げると、認定そのものが工事費を直接安くしてくれるわけではありません。けれども、「金利が下がる」「税が下がる」「市場評価が上がる」という三方向のメリットの入口が、この認定です。私はいつも、「まず認定の土俵に乗りませんか」と理事長さまにお伝えしています。窓口は府中市都市整備部 住宅課 支援係(府中駅北第2庁舎5階、電話042-335-4458、e-mail jutaku01@city.fuchu.tokyo.jp)です。


柱2:府中市 分譲マンション耐震助成制度

旧耐震マンションが対象

2つ目の柱は、旧耐震基準のマンションを対象とした耐震助成です。府中市では、府中市耐震改修促進計画に基づき、市内の分譲マンションの安全性確保・向上を目的として、管理組合へ耐震化費用を支援しています。令和3年度から、市内の旧耐震基準(昭和56年5月31日以前に建築されたもの)の分譲マンションを対象に、耐震アドバイザー派遣助成および耐震診断助成を開始し、令和4年度からは補強設計助成も始まりました(出典:府中市「分譲マンションの耐震助成制度」)。

対象となるのは、2以上の区分所有者が存し、人の居住の用に供する専有部分がある分譲マンションの管理組合です。さらに、耐震診断や補強設計の実施について、管理組合の集会(総会)の議案として取りまとめ、区分所有法で定める承認に必要な区分所有者の数以上の決議を得ていることが条件になります。

助成の中身

府中市の分譲マンション耐震助成の内容は、次のとおりです。

メニュー 助成率 上限額 備考
耐震アドバイザー派遣 派遣費用の10/10 5万円(5万円超は5万円) 1管理組合につき5回まで
耐震診断 診断費用の2/3 200万円 旧耐震が対象
補強設計 補強設計費用の2/3 200万円 旧耐震が対象

ここで現場の人間としてお伝えしたい注意点が2つあります。1つは、助成金の交付申請を行う前に、必ず事前協議を行うことです。もう1つは、交付申請の前に事業者と契約を結んでしまうと助成金が交付されなくなることです。これは耐震に限らず補助金全般に共通する「順番の落とし穴」で、よかれと思って先に業者と契約してしまい、後から助成が受けられなくなった、という相談を私は何度も受けてきました。「決議 → 事前協議 → 交付申請 → 契約・着手」の順番を、ぜひ理事会で共有してください。

改修工事は「沿道」の制度が中心

ここが府中市のクセです。分譲マンションの耐震助成は、いまお話しした診断・補強設計までが中心で、改修工事そのものへの助成は、別建ての「特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震助成制度」が主な受け皿になっています。沿道の建築物の場合、分譲マンションは管理組合または区分所有者の代表者が対象となり、耐震改修は費用相当額の10分の9という手厚い助成が用意されています(出典:府中市「特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震助成制度」)。

つまり、ご自身のマンションが緊急輸送道路の沿道にあるかどうかで、改修工事への助成の有無が大きく変わります。「うちは沿道だろうか」という最初の確認だけでも、住宅課住宅安全係(同じく府中駅北第2庁舎5階)に相談する価値が十分にあります。沿道でない旧耐震マンションでも、診断・補強設計までは前述の分譲マンション耐震助成が使えますので、まずは現状把握から入りましょう。


柱3:マンション長寿命化促進税制(国の制度)

大規模修繕後の固定資産税が下がる

3つ目の柱は、国の税制優遇です。マンション長寿命化促進税制は、一定の要件を満たすマンションが長寿命化に資する大規模修繕工事(2回目以降)を行った場合に、その建物部分にかかる固定資産税が翌年度分について減額される制度です。府中市でも資産税課が窓口となって運用しています(出典:府中市「長寿命化に資する大規模修繕工事が行われたマンションに係る固定資産税の減額について」、国土交通省「マンション長寿命化促進税制」)。

適用の要件

主な要件は、国の制度として次のとおり整理されています。

  • 建物の要件:新築から20年以上が経過し、総戸数が10戸以上で、居住用の専有部分を有すること
  • 工事の要件:過去に1度以上、長寿命化工事(外壁塗装等工事・床防水工事・屋根防水工事)を行っており、令和5年4月1日から令和9年3月31日までの間に、2回目以降の長寿命化工事(管理計画に定めたもの)を完了していること
  • 修繕積立金の要件:令和3年9月1日以降に、長期修繕計画の計画期間全体での修繕積立金の平均額を、管理計画の認定基準未満から認定基準以上に引き上げていること

減額対象は、工事完了の翌年1月1日を賦課期日とする課税年度分です。たとえば工事完了が令和8年中であれば、令和9年度の固定資産税が減額されます。

ここで気づいていただきたいのは、この税制の要件に「管理計画の認定基準」「修繕積立金の引き上げ」が組み込まれていることです。つまり、柱1の管理計画認定と柱3の税制は、地続きの関係にあります。私はいつも「認定を取る過程で積立金と修繕計画を整え、その流れで2回目の大規模修繕に進めば、税の軽減まで一本の線でつながります」とお伝えしています。期限は令和9年3月31日までの工事完了が条件です。2回目の大規模修繕が視野に入っている府中市の管理組合は、逆算してスケジュールを組む価値があります。なお、適用には申告が必要ですので、工事の前後で必ず資産税課にご確認ください。


柱4:東京都マンション改良工事助成(利子補給)

都の制度で利子負担を軽くする

4つ目の柱は、府中市を含む都内全域で使える東京都の制度です。東京都マンション改良工事助成制度は、分譲マンションの適正な維持管理を促進するため、共用部分の外壁塗装や屋上防水、バリアフリー化などを計画的に改良・修繕する管理組合に対し、独立行政法人住宅金融支援機構と連携して利子補給(利子の助成)を行うものです(出典:東京都マンションポータルサイト「分譲マンションの修繕への助成(マンション改良工事助成制度)」)。

工事費そのものを直接もらえるわけではありませんが、機構の共用部分リフォーム融資を使って大規模修繕を行う場合に、その利子の一部を都が肩代わりしてくれるイメージです。借入を伴う大規模修繕では、利子の軽減は決して小さくありません。

2026年度の受付は先着順

2026年度(令和8年度)の第1期申込期間は、令和8年5月13日(水曜日)から令和8年9月30日(水曜日)までとされています(出典:東京都「分譲マンション管理組合向け マンション改良工事助成の募集開始」)。注意したいのは、申込戸数が募集戸数に達した場合、または申込額が予算額に達した場合は受付を締め切る、先着順だという点です。受付は窓口または郵送で収受した順となります。

大規模修繕は、計画から合意形成、工事発注まで時間がかかります。「利子補給を使いたい」と決めたら、募集期間と予算枠を早めに押さえることが大切です。年度ごとに受付期間や条件は見直されますので、申込前に必ず東京都マンションポータルサイトで最新要項をご確認ください。


+α:見落としやすいが効く制度たち

4本柱に加えて、府中市には管理組合が活用できる「+α」の制度があります。

マンションアドバイザー制度利用助成事業

府中市は、公益財団法人東京都防災・建築まちづくりセンターが実施する「マンション管理アドバイザー制度」および「マンション建替え・改修アドバイザー制度」を利用した管理組合等に対し、アドバイザー派遣料の全額を助成しています(一部コースを除く)。令和6年4月からは「マンション建替え・改修アドバイザー制度」(Aコース)も助成対象に加わりました(出典:府中市「マンションアドバイザー制度利用助成事業」)。

たとえば「計画修繕工事の進め方」や「長期修繕計画標準様式の解説」といった講座編(1回16,500円)、「修繕計画の作成や修繕積立金等の設定」「修繕工事検討段階での相談(劣化診断・工事方式・業者選定・合意形成など)」といった相談編(1回25,300円)の派遣料が、全額助成の対象になります。同一マンションで同一年度内に合計3回まで助成が受けられます。専門家の知見を実質無料で借りられるわけですから、大規模修繕の検討初期にこそ使ってほしい制度です。ここでも「派遣の申込み・支払いの前に、市へ交付申請を行う」という順番が必須です。窓口は住宅課支援係です。

エコハウス設備設置費助成金(専有部中心の注意つき)

府中市は、地球温暖化対策として「エコハウス設備設置費助成金」を設けており、令和8年度は4月6日受付開始とされています。太陽光発電は1kWあたり2万円(上限10万円)、蓄電池は1kWhあたり2万円(上限10万円、太陽光発電との併用が条件)などが対象です(出典:府中市「エコハウス設備設置費助成金交付事業」)。

ただし、これは基本的に個人住宅(専有部・個人向け)を念頭にした制度です。マンションの共用部での活用可否や、東京都・国の再エネ補助との併用は条件が細かいため、検討する場合は環境政策課(電話042-335-4196)に必ずご確認ください。「使えたらラッキー」くらいの位置づけで、まずは4本柱を固めることをおすすめします。

管理状況の把握から始める

府中市はマンション管理適正化推進計画を策定し、分譲マンションの管理を支える体制を整えています。どの制度を使うにしても、出発点は「自分たちのマンションの管理状況と修繕計画を正しく把握すること」です。アドバイザー制度や認定制度は、その把握を後押しする仕組みでもあります。


実務ステップ:理事会で何から動くか

制度の話を、最後に「動き方」へ落とし込みます。私が府中市の理事長さまにおすすめしている順番は、次のとおりです。

  1. 現状把握:管理規約・長期修繕計画・修繕積立金の水準を点検する。必要ならアドバイザー制度利用助成(柱+α)を使って専門家に見てもらう。
  2. 管理計画認定の検討(柱1):認定基準とのギャップを洗い出す。積立金や修繕計画の見直しは、認定だけでなく長寿命化税制(柱3)の前提にもなる。
  3. 耐震の確認(柱2):旧耐震マンションなら診断・補強設計の助成を、沿道なら改修助成の対象かを住宅課に確認する。いずれも交付申請前の事前協議が必須。
  4. 資金計画と都の利子補給(柱4):大規模修繕で借入を使うなら、東京都改良工事助成の募集期間(先着順)を逆算してスケジュールに組み込む。
  5. 工事と税制(柱3):2回目以降の長寿命化工事を令和9年3月31日までに完了できるなら、固定資産税の減額申告まで見据える。

このうち、どの工程でも共通する鉄則が「契約・着手の前に申請する」ことです。順番を間違えると、せっかくの助成や税制が使えなくなります。


工法選びでもコストは変わる:足場・ロープアクセス・ハイブリッド

補助金や税制で負担を軽くするのと同じくらい、私が大切だと考えているのが「工法の選び方」です。大規模修繕の費用のうち、仮設足場の費用は決して小さくありません。建物の形状や立地によっては、足場をかけずに施工できるロープアクセス工法(無足場工法)を使うことで、足場費を抑え、工期を短縮し、居住者の生活への影響を小さくできる場合があります。

私たちは、次の3つの工法を建物ごとに最適に提案できる、日本でも数少ない体制を持っています(私たちの考え方もあわせてご覧ください)。

  • 通常足場工法:中低層や複雑な形状の建物に向く、従来型の確実な工法。
  • ロープアクセス工法(無足場):高層や足場の架設が難しい物件、コストを最重視する物件に向く。足場費を抑え、工期短縮と生活影響の最小化につながる。
  • ハイブリッド工法:足場とロープアクセスを部位ごとに使い分け、大規模・複雑な物件で総合コストを最適化する。

「補助金で数十万円を取りに行く」のと並行して、「工法の見直しで仮設費そのものを抑える」。この両輪で考えると、管理組合の実質負担は大きく変わります。府中市の管理組合さまには、ぜひこの視点も持っていただきたいと思います。


モデルケースで考える(築35年・60戸・旧耐震)

イメージを持っていただくために、府中市内によくある仮のケースで考えてみます。築35年・60戸・旧耐震基準で、2回目の大規模修繕を検討している分譲マンション、という想定です(あくまで制度の組み合わせを説明するための例で、金額は概算のイメージです)。

このマンションであれば、まずアドバイザー制度利用助成(+α)で専門家に長期修繕計画と積立金を点検してもらい、その過程で管理計画認定(柱1)を取得します。旧耐震ですから、耐震診断・補強設計の助成(柱2、各2/3・上限200万円)の対象になり得ます。大規模修繕の資金に借入を使うなら、東京都改良工事助成(柱4)で利子補給を受け、先着順の募集期間に合わせてスケジュールを組みます。そして、過去に1度長寿命化工事を行っており、積立金を認定基準以上に引き上げていれば、2回目の工事完了(令和9年3月31日まで)で長寿命化促進税制(柱3)による固定資産税の減額まで届きます。

1つずつは小さく見えても、診断・設計の助成、利子の軽減、固定資産税の減額、そして工法見直しによる仮設費の圧縮を重ねれば、管理組合全体の負担は確実に変わってきます。これが「4本柱+αを組み合わせる」ということの意味です。


よくある質問(FAQ)

Q1. 府中市には、大規模修繕の工事費そのものに使える補助金はありますか?
A. 現時点では、共用部の大規模修繕に工事費の何割かを直接出す市の補助金は用意されていません。ただし、旧耐震マンションの診断・補強設計助成(柱2)、固定資産税の減額(柱3)、東京都の利子補給(柱4)など、負担を間接的に軽くする制度はあります。まずはこの組み合わせで考えるのが現実的です。

Q2. 管理計画認定は、工事費が安くなるわけではないのに取る意味がありますか?
A. 認定そのものは工事費を下げませんが、フラット35や共用部リフォーム融資の金利引き下げ、長寿命化促進税制の前提、市場評価の向上という3方向のメリットの入口になります。積立金と修繕計画を点検する良い機会にもなります。

Q3. 耐震助成を受けたいのですが、先に業者と契約してよいですか?
A. いいえ。交付申請の前に契約してしまうと、助成金が交付されなくなります。「総会決議 → 事前協議 → 交付申請 → 契約・着手」の順番を必ず守ってください。アドバイザー制度利用助成も同様に、申込み・支払いの前に市へ交付申請が必要です。

Q4. 東京都の改良工事助成は、いつ申し込めばよいですか?
A. 2026年度第1期は令和8年5月13日〜9月30日が募集期間とされていますが、予算枠に達し次第締め切る先着順です。借入を伴う大規模修繕を考えているなら、早めに募集期間を押さえ、申込前に最新要項を確認してください。

Q5. ロープアクセス工法は、どんなマンションに向いていますか?
A. 高層で足場の架設が難しい建物や、コストと工期、居住者の生活影響を重視する物件に向いています。一方で形状によっては足場やハイブリッドが適することもあります。建物を見せていただければ、3工法から最適な組み合わせをご提案します。


まとめ:府中市の管理組合がいま動くべきこと

府中市には「大規模修繕に直接使える補助金」はありませんが、①管理計画認定、②分譲マンション耐震助成(診断・補強設計)、③長寿命化促進税制、④東京都改良工事助成という4本柱に、アドバイザー制度利用助成などの+αを重ねれば、管理組合の負担は確実に軽くできます。共通する鉄則は「契約・着手の前に申請する」こと、そして「1つの制度であきらめず、組み合わせて考える」ことです。

そして、補助金・税制と並んで、工法の選び方も負担を左右します。私たちは足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3工法から、府中市の建物ごとに最適な大規模修繕をご提案できます。管理組合さま向けのサービスもご用意しています。「うちのマンションでどの制度が使えるか」「どの工法が向いているか」を一緒に整理したい管理組合さまは、ぜひ一度ご相談ください。資産価値を守りながら、住民の皆さまの負担を抑える道筋を、現場目線でお示しします。

※本記事の制度内容・金額・期限は2026年6月時点で府中市・東京都・国の公式情報を確認したものです。制度は年度途中で予算が尽きる場合や、要件・期間が変更される場合があります。申請にあたっては必ず各担当窓口で最新情報をご確認ください。

出典・参考(公的一次情報)

▼ロープアクセス工法・無足場工法の詳細解説はこちら
ロープアクセスドットコム|無足場工法専門メディア

三鷹市のマンション補助金2026年度版|管理組合が使える耐震診断助成・管理計画認定・長寿命化税制を本間が解説

「うちのマンション、そろそろ大規模修繕の時期だけれど、三鷹市から何か支援は受けられないのだろうか」。理事会でそんな声が出はじめたら、この記事はまさに「うちの話」です。

私は大規模修繕の現場に20年近く立ってきました。マンション・ビル・ホテルの外壁や屋上防水を、足場を組む工法と、ロープでぶら下がって施工する無足場の工法(ロープアクセス工法)の両方で手がけています。その中で、三鷹市の管理組合の理事長さまから一番多くいただく相談が、「補助金や税制で、修繕積立金の負担を少しでも軽くできないか」というものです。

最初に、正直に申し上げます。三鷹市には、共用部の大規模修繕そのものに工事費の何割かを直接出してくれる「ど真ん中の補助金」は、現時点では用意されていません。これは三鷹市に限った話ではなく、多摩地域の多くの市が同じ事情です。ですが、使い方を間違えなければ管理組合の負担を確実に軽くできる制度が、いくつもあります。しかも三鷹市は、令和6年度から分譲マンション向けの耐震助成を新たに立ち上げるなど、ここ数年で支援の体制を着実に整えてきた自治体です。

この記事では、2026年(令和8年度)時点で三鷹市の分譲マンション管理組合が実際に使える制度を、現場目線で整理してお伝えします。数字や期限はすべて三鷹市・東京都・国の公式情報にあたって確認していますが、制度は年度途中で予算が尽きることもあります。最後の判断は、必ず担当窓口でご確認ください。


まず押さえる結論:三鷹市の管理組合向けは「4本柱+α」

細かい話に入る前に、全体像をお伝えします。三鷹市のマンション管理組合が活用を検討できる支援は、大きく次の4本柱で整理すると分かりやすいです。最初に表でお見せします。

制度 何に効くか 共用部の修繕に直接使えるか 担当窓口
① 三鷹市マンション管理計画認定制度 管理体制の「お墨付き」・税制や融資の入口 間接的(前提条件になる) 三鷹市 住宅政策課
② 三鷹市 分譲マンション耐震助成制度 旧耐震マンションの診断・設計・改修 使える(旧耐震が条件) 三鷹市 住宅政策課
③ マンション長寿命化促進税制(国) 大規模修繕後の固定資産税を減額 間接的(税の軽減) 三鷹市 資産税課
④ 東京都マンション改良工事助成 共用部リフォーム融資の利子を補給 使える(利子の軽減) 東京都 マンション課

私はいつも理事長さまに、「補助金は1つを探すのではなく、この4つを組み合わせて考えてください」とお伝えしています。1つだけを見て「うちは対象外だった」とあきらめてしまう管理組合を、私は何度も見てきました。実際には、ある制度では対象外でも、別の制度や税制では恩恵を受けられることがほとんどです。ここからが本題です。1本ずつ見ていきましょう。

なお、三鷹市は2020年6月の「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」改正を受けて、市内のマンションの適正な維持・管理を進める体制を整えてきました。その一環として、令和6年4月から後述の管理計画認定制度を開始し、管理状況の届出を促す仕組みやアドバイザー派遣の助成も用意しています(出典:三鷹市「分譲マンションの維持管理」)。つまり、行政として「分譲マンションの管理をきちんと支えていこう」という土台が、三鷹市にはすでにできあがっているということです。


柱1:三鷹市マンション管理計画認定制度

どんな制度か

マンション管理計画認定制度とは、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」(適正化法)に基づき、管理組合の運営や長期修繕計画が一定の基準を満たしているマンションを、市が「適正に管理されています」と認定する制度です。三鷹市では、適正化法の改正に伴い、令和6年4月からこの認定制度が始まりました(出典:三鷹市「マンション管理計画認定制度」)。

平たく言えば、「うちの組合はきちんと回っていますよ」という第三者のお墨付きを、行政から正式にもらえる仕組みです。認定の対象は市内の既存マンションで、申請するのはマンション管理組合の管理者等(一般的には理事長)です。

認定の基準と有効期間

認定の基準は、国土交通省がマンション管理適正化指針に定める基準と同一の内容で、三鷹市の独自基準はありません。中身を大づかみにすると、次のような柱で構成されています。

  • 管理組合の運営:管理者等が定められ、監事が選任され、集会(総会)が年1回以上開かれていること
  • 管理規約:規約が作成され、緊急時の専有部立ち入りや修繕履歴の管理などが定められていること
  • 管理組合の経理:管理費と修繕積立金が明確に区分経理され、修繕積立金の3か月以上の滞納が全体の1割以内であること
  • 長期修繕計画:標準様式に準拠し、7年以内に作成・見直しがされ、計画期間が30年以上で、その間に大規模修繕工事が2回以上含まれること

私が特に注目していただきたいのは、長期修繕計画の項目です。「計画期間30年以上・大規模修繕2回以上」「修繕積立金が著しく低額でないこと」という基準は、裏を返せば、認定を取ろうとする過程で、自分たちの修繕計画と積立金が将来本当に足りるのかを点検できるということです。認定の有効期間は、認定を受けた日から5年間で、更新も可能です。

申請の手順と手数料

三鷹市への直接申請や書面申請はできず、まず公益財団法人マンション管理センターが運営する「管理計画認定手続支援サービス」(インターネット上のオンラインシステム)で事前確認を受け、「事前確認適合証」の交付を受けてから市へ申請する流れです。市への認定申請手数料は無料です(ただし、マンション管理センターのシステム利用料・事前確認の審査料は別途かかります)。

取得のメリット

三鷹市が挙げている認定のメリットは、主に次のとおりです。

  1. 管理組合による管理の適正化に向けた自主的な取り組みが推進されること
  2. 適正に管理されたマンションとして、不動産市場で適正に評価されること
  3. 住宅金融支援機構の「フラット35」「マンション共用部分リフォーム融資」の金利引き下げ、「マンションすまい・る債」の利率上乗せの優遇を受けられること
  4. 後述する長寿命化促進税制(固定資産税の減額)の前提条件になること

正直に申し上げると、認定そのものが工事費を直接安くしてくれるわけではありません。けれども、「金利が下がる」「税が下がる」「市場評価が上がる」という三方向のメリットの入口が、この認定です。私はいつも、「まず認定の土俵に乗りませんか」と理事長さまにお伝えしています。窓口は三鷹市 都市再生部 住宅政策課(電話0422-29-9704)です。


柱2:三鷹市 分譲マンション耐震助成制度

令和6年度に新設された制度

ここが、三鷹市が「直接お金を出してくれる」数少ない制度であり、しかも比較的新しい支援です。三鷹市は令和6年度から、市内の分譲マンションの管理組合が実施する耐震化について、耐震アドバイザー派遣・耐震診断・補強設計・耐震改修に要する費用の一部を助成する制度を創設しました(出典:三鷹市「分譲マンション耐震助成制度のご案内」)。

対象は、旧耐震基準(昭和56年5月31日以前に着工)の分譲マンションが基本です。築40年を超えるような旧耐震マンションをお持ちの組合にとっては、この制度を知っているかどうかで、負担が数百万円単位で変わってきます。

耐震アドバイザー派遣

まず使っていただきたいのが、耐震アドバイザー派遣です。これは、耐震化を進めるうえでの相談や助言を、専門家から現地で直接受けられる仕組みで、1つの管理組合につき5回まで利用できます。

私の経験上、耐震の話がこじれるマンションは、技術ではなく「住民同士の合意」でつまずきます。専門家を第三者として入れられるこの仕組みは、理事会だけで抱え込まないための、とても有効な一手です。

耐震診断・補強設計・改修工事の助成

診断・設計・改修には、それぞれ助成があります。三鷹市が公表している内容を表に整理します。

区分 助成率 上限額の目安
耐震診断 費用または助成対象限度額の低い方の 2/3 200万円
補強設計 費用または助成対象限度額の低い方の 2/3 200万円
耐震改修工事(延べ1,000㎡未満) 費用または助成対象限度額の低い方の 23.0% 建物規模により算定
耐震改修工事(延べ1,000㎡以上) 費用または助成対象限度額の低い方の 1/3 建物規模により算定

具体的な金額は建物の構造や図面の有無で変わるため、専門家への見積もり依頼が前提になります。そして、この制度を使ううえで一つ重要な注意があります。助成金の交付申請を行う前に、必ず市と事前協議を行う必要があるという点です。「工事を決めてから申請」では間に合いません。窓口は三鷹市 都市再生部 住宅政策課(電話0422-29-9704)です。

耐震改修は大規模修繕と「時期を合わせる」

ここで一つ、私が現場でいつも申し上げていることがあります。耐震改修は、外壁や防水の大規模修繕と「時期を合わせる」ほど、トータルでお得になります。足場を一度架ければ、その足場で耐震補強も外壁補修も一緒に進められるからです。バラバラに発注すると、仮設費を二重三重に払うことになりかねません。診断・設計の段階から、大規模修繕の周期とカレンダーを突き合わせておくことを、私は強くお勧めしています。


柱3:マンション長寿命化促進税制で固定資産税を減らす

制度の概要

3本目は、国の制度である「マンション長寿命化促進税制」です。これは、一定の要件を満たすマンションが長寿命化に資する大規模修繕工事を行った場合に、その建物(工事を行った棟)の固定資産税を、工事完了の翌年度分について2分の1減額するものです。1戸あたり床面積100㎡(共用部分を含む)までが対象になります。なお、都市計画税は減額の対象外です(出典:国土交通省「マンション長寿命化促進税制」)。

この特例の適用期間は、令和5年4月1日から令和9年3月31日までです。三鷹市の制度案内ページには当初の期限(令和7年3月31日まで)が記載されている箇所がありますが、国の制度はその後2年延長されています。いずれにせよ、いま大規模修繕を計画している管理組合にとっては、この期間内に工事を完了させられるかどうかが、一つの分かれ目になります。最新の期限は市民部資産税課でご確認ください。

主な要件

主な要件は、次のとおりです。

  • 「管理計画認定マンション」であること(または市の助言・指導を受けた一定の管理組合のマンション)
  • 新築された日から20年以上が経過していること
  • 総戸数が10戸以上であること
  • 過去に1回以上、長寿命化工事(外壁塗装等工事・床防水工事・屋根防水工事のすべて)を行っていること
  • 令和3年9月1日以降に、修繕積立金の額を管理計画の認定基準まで引き上げているなど、適切な積立てがなされていること

お気づきでしょうか。1つ目の要件に「管理計画認定マンションであること」が入っています。柱1の認定制度が、ここで効いてくるわけです。私はこれを、必ずワンセットで提案するようにしています。認定を取り、長寿命化工事を行い、固定資産税の減額まで取りに行く。この導線を最初から描いておくと、組合のお金の使い方がずいぶん変わってきます。

申告の注意点

注意点もお伝えします。減額を受けるには、原則として工事完了後一定期間内に、管理組合の代表者が市の資産税課へ必要書類を添えて申告する必要があります。せっかく要件を満たしていても、申告を忘れると減額は受けられません。三鷹市での具体的な手続きや提出書類は、工事の前に市民部資産税課へ確認しておくのが安全です。


柱4:東京都マンション改良工事助成(利子補給)で借入負担を軽くする

どんな制度か

4本目は、東京都の制度です。三鷹市は東京都の区域なので、三鷹市内の分譲マンションも対象になります。これは、共用部分の外壁塗装や屋上防水、バリアフリー化などを計画的に行う管理組合が、住宅金融支援機構の「マンション共用部分リフォーム融資」を利用する際に、東京都が利子の一部を補給(利子補給)する制度です(出典:東京都マンションポータルサイト「分譲マンションの修繕への助成(マンション改良工事助成制度)」)。

具体的には、機構の金利が1%(金利が1%未満の場合は当該金利分)低くなるように、東京都が最大20年間にわたって利子補給します。利子補給の対象額は、戸当たり200万円(耐震改修工事を伴う場合は600万円)×住宅戸数などのうち、いちばん低い額が限度です。なお、太陽光発電設備の設置工事も融資の対象になります。

借入をして大規模修繕を行う組合にとって、20年にわたる金利1%分の軽減は、決して小さくありません。積立金が足りず一部を借入でまかなう組合ほど、効いてくる制度です。

2026年度の受付期間と「先着順」の注意

ここで、いちばん大事な注意点をお伝えします。この助成は予算枠があり、先着順です。2026年度(令和8年度)の受付は、第1期が2026年5月13日〜9月30日、第2期が2026年10月1日〜2027年2月19日とされています。各期には募集戸数の枠があり、申込戸数や申込額が枠に達した時点で受付は締め切られます。

しかも、機構の融資承認通知が出たあと、リフォーム融資の契約締結までに助成申込みをして交付決定を受ける必要があります。順番を間違えると対象外になりかねません。「総会で工事を決めてから動こう」では間に合わないこともあるので、私はいつも、資金計画と並行して早めに東京都 住宅政策本部のマンション担当(電話03-5320-4944/マンション課)へ相談しておくことをお勧めしています。受付期間や枠は年度ごとに見直されるため、申込み前に必ず最新の募集要項をご確認ください。


三鷹市ならではの「無料で使える」支援も取りこぼさない

マンションアドバイザー制度の利用助成

三鷹市には、東京都が用意する「マンションアドバイザー制度(管理アドバイザー・建替え/改修アドバイザー)」を利用したときに、その派遣料を市が助成する仕組みがあります(出典:三鷹市「マンションアドバイザー制度利用助成のご案内」)。

管理規約の見直しや長期修繕計画、大規模修繕の進め方などについて、専門家の派遣を受けられる制度で、三鷹市の助成では、管理アドバイザー(Aコース)が年度内2回まで、建替え・改修アドバイザー(Bコース)が1回までといった形で利用できます。助成額はアドバイザー派遣料が基本で、Bコースについては派遣料の3分の2が対象です。派遣が完了した日から30日以内の申請が必要なので、利用したら早めに手続きしてください。

私は、三鷹市の耐震アドバイザー派遣と、このマンションアドバイザー派遣を、目的に応じて使い分けることをお勧めしています。耐震の話は耐震アドバイザー、管理全般や修繕計画の話はマンションアドバイザー、というイメージです。どちらも、理事会だけで抱え込まないための仕組みです。窓口は三鷹市 住宅政策課(電話0422-29-9704)です。

マンション管理状況の届出も「入口」になる

三鷹市は、分譲マンションの管理状況を市に届け出る仕組みも整えています(出典:三鷹市「マンション管理状況届出制度」)。届出そのものはお金が出る制度ではありませんが、市がマンションの状況を把握し、必要な情報提供や支援につなげるための入口です。アドバイザー派遣や各種支援とあわせて、まずは自分たちのマンションの状況を市に伝えておくことが、後々の相談をスムーズにします。

省エネ・再エネ設備の助成は「専有部中心」に注意

省エネについても触れておきます。三鷹市には令和8年度(2026年度)の「新エネルギー・省エネルギー設備設置助成金」があり、太陽光発電設備なら1kWあたり2万円・上限10万円などの助成が用意されています(出典:三鷹市「【令和8年度】新エネルギー・省エネルギー設備設置助成金」)。

ただし、この助成は基本的に「自ら設備の設置工事を発注して設置した方」を対象としており、戸建てや個人の住宅を想定した設計になっています。マンションの共用部に太陽光発電や蓄電池を入れる場合は、対象や条件が変わることがあるため、検討の前に必ず環境政策課(電話0422-29-9612)へ確認してください。共用部に再エネ設備を入れるなら、東京都(クール・ネット東京)の集合住宅向け補助も有力な選択肢になります。大規模修繕で屋上防水をやり直すタイミングは、再エネ設備の設置を検討する好機でもあります。


補助金を「実際に取りに行く」ための実務ステップと工法選び

まずやるべき段取り

制度を並べただけでは、お金は1円も戻ってきません。私が理事長さまにお伝えしている段取りは、シンプルです。

  1. 自分のマンションの「築年数」「総戸数」「旧耐震か新耐震か」「管理計画認定の有無」を整理する
  2. 長期修繕計画と修繕積立金が、認定基準に照らして足りているかを点検する
  3. 大規模修繕の時期と、長寿命化税制の期限(令和9年3月)・東京都助成の受付期間を、カレンダーで突き合わせる
  4. 市の住宅政策課・資産税課、東京都マンション課に、工事の「前」に相談する
  5. 施工会社に、補助金・税制の要件を満たす工事内容で見積もりを依頼する

ポイントは、すべて「工事の前」に動くことです。補助金も税制も、後から「実は対象でした」と言っても遡れないものがほとんどです。とくに三鷹市の耐震助成は、交付申請の前に市との事前協議が必須です。

見落とされがちな「工事の前」の落とし穴

ここで、私が現場で何度も悔しい思いをしてきた話をします。制度の存在は知っていたのに、順番を間違えて使えなかった、というケースが本当に多いのです。

たとえば、東京都の利子補給は、住宅金融支援機構の融資承認通知が出たあと、融資契約を結ぶ前に助成申込みをして交付決定を受ける必要があります。先に融資契約を結んでしまうと、もう間に合いません。長寿命化税制も同じで、工事を始める前に管理計画認定を取っておかないと、要件を満たせないことがあります。「総会で工事業者を決めて、契約して、さあ補助金を」という順番だと、制度の入口を通り過ぎてしまうわけです。

私はいつも理事長さまに、「工事の中身を決めるより前に、まず使える制度の締切と順番をカレンダーに書き込んでください」とお伝えしています。とくに東京都の利子補給は先着順で、予算枠に達すると年度の途中でも締め切られます。年度の前半に動けるかどうかが、実は大きな分かれ目になります。

もう一つ、修繕積立金の話もしておきます。管理計画認定の基準には「修繕積立金が著しく低額でないこと」という項目があります。積立金が不足していると、認定が取れず、結果として長寿命化税制の入口にも立てません。逆に言えば、補助金や税制を取りに行く過程は、自分たちの積立てを健全化する良いきっかけにもなります。私は、これを単なる手続きではなく「組合の体質改善」だと捉えていただきたいと思っています。

工法でコストそのものを下げる

そして、ここが私のいちばんお伝えしたいことです。補助金で取り戻せる金額にも限りがあります。本当に効くのは、工事費そのものを下げることです。

大規模修繕の費用のうち、仮設足場が占める割合は決して小さくありません。私の経験上、足場の仮設・解体だけで、工事全体の2〜3割に達することも珍しくありません。そこで明誠では、建物の形状や傷み具合に応じて、足場を架ける大規模修繕工事に加え、足場を架けないロープアクセス工法、そして両方を部位ごとに使い分けるハイブリッド工法という、3つの工法から最適なものをご提案しています。

たとえば、外壁の傷みが一部に集中しているマンションなら、全面に足場を架けず、傷んだ箇所だけロープアクセスで直すことで、仮設費を大きく圧縮できます。耐震改修のように建物全体に足場が要る工事は足場で、外壁・防水の補修はロープアクセスで、と組み合わせるのがハイブリッドの考え方です。居住者の方々にとっても、足場が少ないほど日当たりや防犯の不安、洗濯物が干せないといった生活への影響が小さくなります。

モデルケースで考える

仮に、築35年・60戸・延べ面積4,000㎡の旧耐震マンションが、耐震改修と大規模修繕を同時に行うとします。このとき、三鷹市の耐震アドバイザー派遣で合意形成を進め、耐震診断(2/3・上限200万円)・補強設計(2/3・上限200万円)・改修工事(延べ1,000㎡以上なので1/3)の助成を取り、管理計画認定を受けたうえで長寿命化税制の固定資産税減額を狙い、東京都の利子補給で借入金利を1%下げる——という具合に、4本柱をすべて重ねられる可能性があります。そのうえで工法を最適化して仮設費を抑えれば、組合の実質負担はさらに軽くなります。これは一例ですが、制度は「重ねて使う」ものだということが伝わればと思います。管理組合向けの工事の考え方は、管理組合のお客さま向けページでも紹介しています。


よくある質問(FAQ)

Q. 三鷹市には、大規模修繕の工事費そのものへの補助はありますか。
A. 現時点では、共用部の大規模修繕工事費に直接補助する三鷹市独自の制度は確認できません。耐震化(旧耐震が条件)の助成、国の長寿命化促進税制、東京都の利子補給を組み合わせて負担を下げるのが現実的です。

Q. 新耐震のマンションは、耐震助成の対象外ですか。
A. 三鷹市の分譲マンション耐震助成は旧耐震基準(昭和56年5月31日以前着工)が基本対象です。新耐震のマンションは対象外ですが、管理計画認定・長寿命化税制・東京都の利子補給は利用を検討できます。

Q. 管理計画認定を取らないと、長寿命化税制は使えませんか。
A. 原則として「管理計画認定マンションであること」が要件です(市の助言・指導を受けた一定の組合のケースもあります)。まずは認定の取得を検討するのが近道です。

Q. 三鷹市の耐震助成を使うとき、いちばん気をつけることは何ですか。
A. 交付申請を行う前に、市との事前協議が必須である点です。工事や契約を先に進めてしまうと対象外になりかねません。診断の段階から住宅政策課にご相談ください。

Q. 制度の金額や期限は、この記事のままで確定ですか。
A. いいえ。補助金・税制は年度ごとに見直され、予算枠に達すると締め切られます。最終的な金額・期限・要件は、必ず各窓口の最新情報でご確認ください。


まとめ:制度は「重ねて」「工事の前に」動く

三鷹市のマンション管理組合が使える支援は、①管理計画認定制度、②分譲マンション耐震助成制度、③国の長寿命化促進税制、④東京都の改良工事助成(利子補給)の4本柱が中心です。どれも単独では小さく見えるかもしれませんが、重ねて使えば、組合の負担はしっかり軽くなります。そして、いずれも「工事の前」に動くことが鉄則です。三鷹市は令和6年度に分譲マンション向けの耐震助成を立ち上げるなど、支援の体制を着実に整えてきた市でもあります。

改めて、優先順位もお伝えしておきます。まず取り組んでいただきたいのは、お金のかからない耐震アドバイザー派遣(旧耐震の場合)と、東京都のマンションアドバイザー派遣です。専門家を入れて現状を整理し、長期修繕計画と修繕積立金を点検する。その流れの中で管理計画認定を取りに行けば、長寿命化税制という固定資産税の減額まで一本の線でつながります。そのうえで、借入が必要なら東京都の利子補給を年度の早いうちに申し込む。この順番で動けば、制度を取りこぼすリスクをかなり減らせます。逆に、工事業者との契約を先に進めてしまうと、入口が閉じてしまう制度がいくつもあります。だからこそ私は、「まず段取り、それから工事」と繰り返しお伝えしているのです。

最後に、私の本音をお伝えします。補助金や税制は、あくまで負担を軽くする道具にすぎません。いちばん大事なのは、その建物にとって本当に必要な工事を、適切なコストで、住んでいる方々の暮らしを止めずにやり切ることです。私たちは足場とロープアクセス、その両方を提案できるからこそ、「この建物にはこの工法が最適です」と正直に申し上げられます。

三鷹市で大規模修繕や耐震改修をお考えの管理組合さまは、補助金が使えるかどうかの整理だけでも、お問合せフォームからお気軽にご相談ください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。次回も、現場で本当に使える話だけをお届けします。


出典・参考資料

本記事は2026年6月時点で公開されている三鷹市・東京都・国の公式情報をもとに、株式会社明誠の本間が監修しています。制度の内容・金額・期限・要件は年度ごとに変更され、予算枠に達すると受付が締め切られる場合があります。実際のご検討にあたっては、各窓口の最新情報を必ずご確認ください。

▼ロープアクセス工法・無足場工法の詳細解説はこちら
ロープアクセスドットコム|無足場工法専門メディア

立川市のマンション補助金2026年度版|管理組合が使える管理計画認定・耐震化助成・長寿命化税制を本間が解説

立川市のマンション補助金2026年度版|管理組合が使える管理計画認定・耐震化助成・長寿命化税制を本間が解説

「立川でマンションを持っているけれど、大規模修繕にあたって市から何か支援は受けられないのか」。理事会でそんな話題が出はじめたら、この記事はまさに「うちの話」です。

私は大規模修繕の現場に20年近く立ってきました。マンション・ビル・ホテルの外壁や屋上防水を、足場を組む工法と、ロープでぶら下がって施工する無足場の工法(ロープアクセス工法)の両方で手がけています。その中で、立川市の管理組合の理事長さまから一番多くいただく相談が、「補助金や税制で、修繕積立金の負担を少しでも軽くできないか」というものです。

最初に、正直に申し上げます。立川市には、共用部の大規模修繕そのものに工事費の何割かを直接出してくれる「ど真ん中の補助金」は、現時点では用意されていません。さらに立川市の場合、分譲マンションへの耐震化助成は、後でくわしくお話しするとおり「緊急輸送道路の沿道にある建物」が主な対象になっており、ここも誤解されやすいところです。ですが、使い方を間違えなければ管理組合の負担を確実に軽くできる制度が、いくつもあります。

この記事では、2026年(令和8年度)時点で立川市の分譲マンション管理組合が実際に使える制度を、現場目線で整理してお伝えします。数字や期限はすべて立川市・東京都・国の公式情報にあたって確認していますが、制度は年度途中で予算が尽きることもあります。最後の判断は、必ず担当窓口でご確認ください。


まず押さえる結論:立川市の管理組合向けは「4本柱+α」

細かい話に入る前に、全体像をお伝えします。立川市のマンション管理組合が活用を検討できる支援は、大きく次の4本柱で整理すると分かりやすいです。最初に表でお見せします。

制度 何に効くか 共用部の修繕に直接使えるか 担当窓口
① 立川市マンション管理計画認定制度 管理体制の「お墨付き」・税制や融資の入口 間接的(前提条件になる) 立川市 住宅課
② 立川市 耐震化助成(緊急輸送道路沿道建築物) 沿道の旧耐震マンションの診断・設計・改修 使える(沿道・旧耐震が条件) 立川市 住宅課
③ マンション長寿命化促進税制(国) 大規模修繕後の固定資産税を減額 間接的(税の軽減) 立川市 資産税課
④ 東京都マンション改良工事助成 共用部リフォーム融資の利子を補給 使える(利子の軽減) 東京都 マンション課

私はいつも理事長さまに、「補助金は1つを探すのではなく、この4つを組み合わせて考えてください」とお伝えしています。1つだけを見て「うちは対象外だった」とあきらめてしまう管理組合を、私は何度も見てきました。実際には、ある制度では対象外でも、別の制度や税制では恩恵を受けられることがほとんどです。とくに立川市は、耐震化助成の対象が沿道に限られるぶん、②に頼れない組合ほど①③④を上手に重ねることが効いてきます。ここからが本題です。1本ずつ見ていきましょう。

なお、立川市は2020年6月の「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」改正を受けて、令和5年(2023年)11月に「立川市マンション管理適正化推進計画」を策定し、その一環として後述の管理計画認定制度を始めています(出典:立川市「マンション管理計画認定制度」)。つまり、行政として「分譲マンションの管理をきちんと支えていこう」という土台が、立川市にもすでにできあがっているということです。立川市は分譲マンションの実態調査報告書も公表しており、市内のマンションの実情を把握したうえで施策を進めています。


柱1:立川市マンション管理計画認定制度

どんな制度か

マンション管理計画認定制度とは、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」(適正化法)に基づき、管理組合の運営や長期修繕計画が一定の基準を満たしているマンションを、市が「適正に管理されています」と認定する制度です。立川市では、立川市マンション管理適正化推進計画の策定に合わせ、令和5年11月からこの認定制度が始まりました(出典:立川市「マンション管理計画認定制度」)。

平たく言えば、「うちの組合はきちんと回っていますよ」という第三者のお墨付きを、行政から正式にもらえる仕組みです。申請するのはマンション管理組合の管理者(一般的には理事長)で、申請には総会での決議が必要になります。

認定の17基準と有効期間

認定の基準は17項目あります。立川市は独自基準を設けておらず、国がマンション管理適正化指針に定める基準と同一の内容です。中身を大づかみにすると、次のような柱で構成されています。

  • 管理組合の運営:管理者等が定められ、監事が選任され、集会(総会)が年1回以上開かれていること
  • 管理規約:規約が作成され、緊急時の専有部立ち入りや修繕履歴の管理などが定められていること
  • 管理組合の経理:管理費と修繕積立金が明確に区分経理され、修繕積立金の3か月以上の滞納が全体の1割以内であること
  • 長期修繕計画:標準様式に準拠し、7年以内に作成・見直しがされ、計画期間が30年以上で、その間に大規模修繕工事が2回以上含まれること

私が特に注目していただきたいのは、長期修繕計画の項目です。「計画期間30年以上・大規模修繕2回以上」「修繕積立金が著しく低額でないこと」という基準は、裏を返せば、認定を取ろうとする過程で、自分たちの修繕計画と積立金が将来本当に足りるのかを点検できるということです。認定の有効期間は5年間で、更新も可能です。

取得のメリットと申請の流れ

認定を受けるメリットは、主に次のとおりです。

  1. 区分所有者の管理への意識が高く保たれ、管理水準を維持向上しやすくなること
  2. 適正に管理されたマンションとして、不動産市場で評価されること
  3. 住宅金融支援機構の「フラット35」および「マンション共用部分リフォーム融資」等で金利優遇を受けられること

さらに、後述する長寿命化促進税制(固定資産税の減額)の前提条件にもなります。申請の流れは、まず市へ申請する前に、公益財団法人マンション管理センターの「管理計画認定手続き支援サービス(事前確認)」を利用し、マンション管理士が認定基準への適合状況を確認した「事前確認適合証」の発行を受けます。そのうえで市へ認定申請をする、という二段構えです(出典:立川市「マンション管理計画認定制度」)。

正直に申し上げると、認定そのものが工事費を直接安くしてくれるわけではありません。けれども、「金利が下がる」「税が下がる」「市場評価が上がる」という三方向のメリットの入口が、この認定です。私はいつも、「まず認定の土俵に乗りませんか」と理事長さまにお伝えしています。立川市は管理組合向けに、マンション管理士による維持・管理相談の窓口も用意しています。日常の維持管理から建替え・改修の相談まで対応してくれるので、認定を目指す前の現状整理に活用する価値があります(運営:公益財団法人東京都防災・建築まちづくりセンター、電話03-6427-4900。申込は立川市住宅課経由)。


柱2:立川市の耐震化助成(緊急輸送道路沿道建築物)

立川市の分譲マンション耐震助成は「沿道」が主役

ここが、立川市ならではの注意点です。立川市で分譲マンションが直接の耐震化助成を受けられるのは、主に「緊急輸送道路沿道建築物の耐震化助成制度」です。緊急輸送道路とは、地震災害時に救急・救援活動や物資輸送の大動脈となる道路で、その沿道で一定の高さを超える建物が倒れると道路を塞いでしまうため、行政が優先的に耐震化を支援しています。

対象になるのは、昭和56年(1981年)の耐震基準改正前、つまり旧耐震基準で建てられた建物で、緊急輸送道路に接し、道路幅員の概ね2分の1以上の高さがある建築物です。分譲マンションの場合、申請できるのはその建物の管理組合または区分所有者の代表者です(出典:立川市「緊急輸送道路沿道建築物の耐震化助成制度」)。

助成の手厚さ

この沿道建築物向けの助成は、補助率がかなり手厚いのが特徴です。耐震診断は助成対象費用の100分の80(延べ面積3,000平方メートル未満の場合は100分の100、つまり実質自己負担なし)、補強設計は最大で6分の6、耐震改修工事は最大で9分の10まで助成される設計になっています。診断・設計・改修だけでなく、建替えや除却に要する費用も助成の対象に含まれます。

旧耐震の沿道マンションをお持ちの組合にとっては、この制度を知っているかどうかで、負担が数百万円単位で変わってきます。自分のマンションが緊急輸送道路の沿道に当たるかどうかは、立川市の住宅課(住宅対策係、直通042-528-4384)で確認できます。

沿道でない旧耐震マンションはどうするか

問題は、緊急輸送道路の沿道に当たらない旧耐震マンションです。立川市では、沿道以外の分譲マンション(非木造の共同住宅)に対する独自の耐震診断・改修助成は、沿道建築物向けほど手厚くは整っていないのが実情です。木造住宅向けには別の助成制度がありますが、鉄筋コンクリート造の分譲マンションは対象が異なります。

では沿道でない組合は何もできないのかというと、そうではありません。むしろ、ここで効いてくるのが柱1の管理計画認定と、柱3の長寿命化促進税制、柱4の東京都の利子補給です。耐震という入口でつまずいても、「適正な管理」と「計画的な大規模修繕」という別の入口から、税と金利のメリットを取りに行けるのです。私はいつも、沿道でない組合さまには「②に頼れないぶん、①③④を一本の線でつなぎましょう」とお伝えしています。


柱3:マンション長寿命化促進税制で固定資産税を減らす

制度の概要

3本目は、国の制度である「マンション長寿命化促進税制」です。これは、一定の要件を満たすマンションが長寿命化に資する大規模修繕工事を行った場合に、その建物(工事を行った棟)の固定資産税を、工事完了の翌年度分について2分の1減額するものです。1戸あたり床面積100平方メートル(共用部分を含む)までが対象になります(出典:国土交通省「マンション長寿命化促進税制」)。

適用期間は令和5年4月1日から令和9年3月31日までです。つまり、いま大規模修繕を計画している管理組合にとっては、この期間内に工事を完了させられるかどうかが、一つの分かれ目になります。

主な要件

主な要件は、次のとおりです。

  • 「管理計画認定マンション」であること(または市の助言・指導を受けた一定の管理組合のマンション)
  • 新築された日から20年以上が経過していること
  • 総戸数が10戸以上であること
  • 過去に1回以上、長寿命化工事(外壁塗装等工事・床防水工事・屋根防水工事のすべて)を行っていること
  • 修繕積立金が一定の基準額以上に引き上げられているなど、適切な積立てがなされていること

お気づきでしょうか。1つ目の要件に「管理計画認定マンションであること」が入っています。柱1の認定制度が、ここで効いてくるわけです。私はこれを、必ずワンセットで提案するようにしています。認定を取り、長寿命化工事を行い、固定資産税の減額まで取りに行く。この導線を最初から描いておくと、組合のお金の使い方がずいぶん変わってきます。とりわけ、耐震の沿道助成が使えない立川市の組合にとっては、この税制が「直接効くメリット」の中心になります。

申告の注意点

注意点もお伝えします。減額を受けるには、原則として工事完了後3か月以内に、管理組合の理事長など代表者が市の資産税課へ申告する必要があります。せっかく要件を満たしていても、申告を忘れると減額は受けられません。なお令和7年度以降、自治体によっては申告書の提出がなくても、管理組合の管理者等から必要書類の提出があり要件に該当すれば減額を受けられる運用に変わってきています。立川市での具体的な手続きは、工事の前に資産税課へ確認しておくのが安全です。


柱4:東京都マンション改良工事助成(利子補給)で借入負担を軽くする

どんな制度か

4本目は、東京都の制度です。立川市は東京都の区域なので、立川市内の分譲マンションも対象になります。これは、共用部分の外壁塗装や屋上防水、バリアフリー化などを計画的に行う管理組合が、住宅金融支援機構の「マンション共用部分リフォーム融資」を利用する際に、東京都が利子の一部を補給(利子補給)する制度です(出典:東京都マンションポータルサイト「分譲マンションの修繕への助成(マンション改良工事助成制度)」)。

具体的には、機構の金利が1%(金利が1%未満の場合は当該金利分)低くなるように、東京都が最長20年間にわたって利子補給します。借入をして大規模修繕を行う組合にとって、20年にわたる金利1%分の軽減は、決して小さくありません。積立金が足りず一部を借入でまかなう組合ほど、効いてくる制度です。なお、太陽光発電設備の設置工事も融資の対象になります。

2026年度の受付期間と「先着順」の注意

ここで、いちばん大事な注意点をお伝えします。この助成は予算枠があり、先着順です。2026年度(令和8年度)の受付は、第1期が2026年5月13日(水)〜9月30日(火)、第2期が2026年10月1日(木)〜2027年2月19日(金)です。受付は窓口または郵送で収受した順で、申込戸数が募集戸数に達するか、申込額が予算額に達した時点で締め切られます(出典:東京都マンションポータルサイト)。

しかも、機構の融資承認通知が出たあと、リフォーム融資の契約締結までに助成申込みをして交付決定を受ける必要があります。順番を間違えると対象外になりかねません。「総会で工事を決めてから動こう」では間に合わないこともあるので、私はいつも、資金計画と並行して早めに東京都マンション課(電話03-5320-7532)へ相談しておくことをお勧めしています。

機構融資と組み合わせる発想を

立川市は、機構の融資を使う際の債務保証料について独自の上乗せ助成までは設けていません。それでも、東京都の利子補給と機構の融資はそのまま使えます。「市の直接補助がないから打つ手なし」ではなく、「都と国の制度を組み合わせて実質負担を下げる」と発想を切り替えることが、立川市の組合では特に重要です。区市町村ごとの上乗せ制度は毎年変わるので、最新の状況を確認する価値はあります。


省エネ・再エネとアドバイザーも使い倒す

立川市独自の太陽光・蓄電池補助の現状

省エネについても触れておきます。立川市は現在、住宅用の太陽光発電・蓄電池に対する市独自の補助は実施していません(出典:立川市「耐震(住まい)」関連ページ)。

ただし、立川市民は東京都や国の補助制度を利用できます。マンションの共用部に太陽光発電や蓄電池を設置する場合は、東京都(クール・ネット東京)の集合住宅向けの補助制度が窓口になります。共用部の屋根を使うため管理組合の合意が必要になりますが、大規模修繕で屋上防水をやり直すタイミングは、再エネ設備の設置を検討する好機でもあります。屋上は防水と太陽光の取り合いになりやすいので、設置を考えるなら防水改修と設計段階で一緒に検討するのが鉄則です。

東京都のマンションアドバイザー派遣

もう一つ、お金がかからない強力な制度が、東京都のマンション管理アドバイザー制度です。管理規約の見直しや長期修繕計画、大規模修繕の進め方などについて、専門家の派遣を受けられます。管理状況の届出を行ったマンションには、派遣費用の助成(一定回数の無料派遣を含む)も用意されています(出典:東京都マンションポータルサイト「マンション管理」)。

私は、立川市の維持・管理相談(マンション管理士による相談)と、東京都のマンションアドバイザー派遣を、目的に応じて使い分けることをお勧めしています。身近な日常の相談は市の窓口、管理全般や修繕計画の専門的な検討は都の派遣、というイメージです。どちらも、理事会だけで抱え込まないための仕組みです。


補助金を「実際に取りに行く」ための実務ステップと工法選び

まずやるべき段取り

制度を並べただけでは、お金は1円も戻ってきません。私が理事長さまにお伝えしている段取りは、シンプルです。

  1. 自分のマンションの「築年数」「総戸数」「旧耐震か新耐震か」「緊急輸送道路の沿道か」「管理計画認定の有無」を整理する
  2. 長期修繕計画と修繕積立金が、認定基準に照らして足りているかを点検する
  3. 大規模修繕の時期と、長寿命化税制の期限(令和9年3月)・東京都助成の受付期間を、カレンダーで突き合わせる
  4. 市の住宅課・資産税課、東京都マンション課に、工事の「前」に相談する
  5. 施工会社に、補助金・税制の要件を満たす工事内容で見積もりを依頼する

ポイントは、すべて「工事の前」に動くことです。補助金も税制も、後から「実は対象でした」と言っても遡れないものがほとんどです。

見落とされがちな「工事の前」の落とし穴

ここで、私が現場で何度も悔しい思いをしてきた話をします。制度の存在は知っていたのに、順番を間違えて使えなかった、というケースが本当に多いのです。

たとえば、東京都の利子補給は、住宅金融支援機構の融資承認通知が出たあと、融資契約を結ぶ前に助成申込みをして交付決定を受ける必要があります。先に融資契約を結んでしまうと、もう間に合いません。長寿命化税制も同じで、工事を始める前に管理計画認定を取っておかないと、要件を満たせないことがあります。「総会で工事業者を決めて、契約して、さあ補助金を」という順番だと、制度の入口を通り過ぎてしまうわけです。

私はいつも理事長さまに、「工事の中身を決めるより前に、まず使える制度の締切と順番をカレンダーに書き込んでください」とお伝えしています。とくに東京都の利子補給は先着順で、予算枠に達すると年度の途中でも締め切られます。年度の前半に動けるかどうかが、実は大きな分かれ目になります。

もう一つ、修繕積立金の話もしておきます。管理計画認定の基準には「修繕積立金が著しく低額でないこと」という項目があります。積立金が不足していると、認定が取れず、結果として長寿命化税制の入口にも立てません。逆に言えば、補助金や税制を取りに行く過程は、自分たちの積立てを健全化する良いきっかけにもなります。私は、これを単なる手続きではなく「組合の体質改善」だと捉えていただきたいと思っています。

工法でコストそのものを下げる

そして、ここが私のいちばんお伝えしたいことです。補助金で取り戻せる金額にも限りがあります。とくに立川市のように共用部修繕への直接補助が乏しい地域では、本当に効くのは、工事費そのものを下げることです。

大規模修繕の費用のうち、仮設足場が占める割合は決して小さくありません。私の経験上、足場の仮設・解体だけで、工事全体の2〜3割に達することも珍しくありません。そこで明誠では、建物の形状や傷み具合に応じて、足場を架ける大規模修繕工事に加え、足場を架けないロープアクセス工法、そして両方を部位ごとに使い分けるハイブリッド工法という、3つの工法から最適なものをご提案しています。

たとえば、外壁の傷みが一部に集中しているマンションなら、全面に足場を架けず、傷んだ箇所だけロープアクセスで直すことで、仮設費を大きく圧縮できます。建物全体に足場が要る工事は足場で、外壁・防水の部分補修はロープアクセスで、と組み合わせるのがハイブリッドの考え方です。居住者の方々にとっても、足場が少ないほど日当たりや防犯の不安、洗濯物が干せないといった生活への影響が小さくなります。立川は駅周辺に大規模なマンションが集まる一方で、住宅地に中規模のマンションも数多くあります。建物の規模や形状はさまざまなので、画一的に足場ありきで考えるのではなく、その建物に合った工法を選ぶことが、コストにも住み心地にも効いてきます。

モデルケースで考える

仮に、築35年・60戸・延べ面積4,000平方メートルの旧耐震マンションが、大規模修繕を行うとします。緊急輸送道路の沿道であれば、まず沿道建築物の耐震化助成(診断は実質自己負担なしになる場合あり)で耐震診断・改修を進めます。沿道でなければ、管理計画認定を受けたうえで長寿命化工事を行い、固定資産税の減額を狙い、東京都の利子補給で借入金利を1%下げる——という具合に、使える柱を重ねていきます。そのうえで工法を最適化して仮設費を抑えれば、組合の実質負担はさらに軽くなります。これは一例ですが、制度は「重ねて使う」ものだということが伝わればと思います。管理組合向けの工事の考え方は、管理組合のお客さま向けページでも紹介しています。


よくある質問(FAQ)

Q. 立川市には、大規模修繕の工事費そのものへの補助はありますか。
A. 現時点では、共用部の大規模修繕工事費に直接補助する立川市独自の制度は確認できません。緊急輸送道路沿道の旧耐震マンションであれば耐震化助成、それ以外は国の長寿命化促進税制、東京都の利子補給を組み合わせて負担を下げるのが現実的です。

Q. うちは緊急輸送道路の沿道ではありません。耐震の助成は受けられませんか。
A. 立川市の分譲マンション向け耐震化助成は、主に緊急輸送道路沿道の建物が対象です。沿道でない場合は直接の耐震助成は限定的ですが、管理計画認定・長寿命化税制・東京都の利子補給は利用を検討できます。まずは沿道に当たるかどうかを住宅課(042-528-4384)で確認してください。

Q. 管理計画認定を取らないと、長寿命化税制は使えませんか。
A. 原則として「管理計画認定マンションであること」が要件です(市の助言・指導を受けた一定の組合のケースもあります)。立川市は令和5年11月に認定制度を始めています。まずは認定の取得を検討するのが近道です。

Q. 立川市に太陽光・蓄電池の補助はありますか。
A. 立川市独自の住宅用太陽光・蓄電池補助は現在ありません。共用部への設置は、東京都(クール・ネット東京)や国の補助を利用できます。屋上防水の改修時に合わせて検討するのが効率的です。

Q. 制度の金額や期限は、この記事のままで確定ですか。
A. いいえ。補助金・税制は年度ごとに見直され、予算枠に達すると締め切られます。最終的な金額・期限・要件は、必ず各窓口の最新情報でご確認ください。


まとめ:制度は「重ねて」「工事の前に」動く

立川市のマンション管理組合が使える支援は、①管理計画認定制度、②緊急輸送道路沿道建築物の耐震化助成、③国の長寿命化促進税制、④東京都の改良工事助成(利子補給)の4本柱が中心です。立川市の特徴は、②の耐震化助成が「沿道」に限られる点です。だからこそ、沿道に当たらない組合は①③④を一本の線でつなぐことが、いっそう大切になります。どれも単独では小さく見えるかもしれませんが、重ねて使えば、組合の負担はしっかり軽くなります。そして、いずれも「工事の前」に動くことが鉄則です。

改めて、優先順位もお伝えしておきます。まず取り組んでいただきたいのは、お金のかからない立川市の維持・管理相談と、東京都のマンションアドバイザー無料派遣です。専門家を入れて現状を整理し、長期修繕計画と修繕積立金を点検する。その流れの中で管理計画認定を取りに行けば、長寿命化税制という固定資産税の減額まで一本の線でつながります。そのうえで、借入が必要なら東京都の利子補給を年度の早いうちに申し込む。この順番で動けば、制度を取りこぼすリスクをかなり減らせます。逆に、工事業者との契約を先に進めてしまうと、入口が閉じてしまう制度がいくつもあります。だからこそ私は、「まず段取り、それから工事」と繰り返しお伝えしているのです。

最後に、私の本音をお伝えします。補助金や税制は、あくまで負担を軽くする道具にすぎません。いちばん大事なのは、その建物にとって本当に必要な工事を、適切なコストで、住んでいる方々の暮らしを止めずにやり切ることです。私たちは足場とロープアクセス、その両方を提案できるからこそ、「この建物にはこの工法が最適です」と正直に申し上げられます。

立川市で大規模修繕や耐震改修をお考えの管理組合さまは、補助金が使えるかどうかの整理だけでも、お問合せフォームからお気軽にご相談ください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。次回も、現場で本当に使える話だけをお届けします。


出典・参考資料

本記事は2026年6月時点で公開されている立川市・東京都・国の公式情報をもとに、株式会社明誠の本間が監修しています。制度の内容・金額・期限・要件は年度ごとに変更され、予算枠に達すると受付が締め切られる場合があります。実際のご検討にあたっては、各窓口の最新情報を必ずご確認ください。

▼ロープアクセス工法・無足場工法の詳細解説はこちら
ロープアクセスドットコム|無足場工法専門メディア

町田市のマンション補助金2026年度版|管理組合が使える耐震診断助成・管理計画認定・長寿命化税制を本間が解説

「うちのマンション、そろそろ大規模修繕の時期だけれど、町田市から何か支援は受けられないのだろうか」。理事会でそんな声が出はじめたら、この記事はまさに「うちの話」です。

私は大規模修繕の現場に20年近く立ってきました。マンション・ビル・ホテルの外壁や屋上防水を、足場を組む工法と、ロープでぶら下がって施工する無足場の工法(ロープアクセス工法)の両方で手がけています。その中で、町田市の管理組合の理事長さまから一番多くいただく相談が、「補助金や税制で、修繕積立金の負担を少しでも軽くできないか」というものです。

最初に、正直に申し上げます。町田市には、共用部の大規模修繕そのものに工事費の何割かを直接出してくれる「ど真ん中の補助金」は、現時点では用意されていません。これは町田市に限った話ではなく、多摩地域の多くの市が同じ事情です。ですが、使い方を間違えなければ管理組合の負担を確実に軽くできる制度が、いくつもあります。

この記事では、2026年(令和8年度)時点で町田市の分譲マンション管理組合が実際に使える制度を、現場目線で整理してお伝えします。数字や期限はすべて町田市・東京都・国の公式情報にあたって確認していますが、制度は年度途中で予算が尽きることもあります。最後の判断は、必ず担当窓口でご確認ください。


まず押さえる結論:町田市の管理組合向けは「4本柱+α」

細かい話に入る前に、全体像をお伝えします。町田市のマンション管理組合が活用を検討できる支援は、大きく次の4本柱で整理すると分かりやすいです。最初に表でお見せします。

制度 何に効くか 共用部の修繕に直接使えるか 担当窓口
① 町田市マンション管理計画認定制度 管理体制の「お墨付き」・税制や融資の入口 間接的(前提条件になる) 町田市 住宅課
② 町田市 分譲マンション耐震化促進助成 旧耐震マンションの診断・設計・改修 使える(旧耐震が条件) 町田市 住宅課
③ マンション長寿命化促進税制(国) 大規模修繕後の固定資産税を減額 間接的(税の軽減) 町田市 資産税課
④ 東京都マンション改良工事助成 共用部リフォーム融資の利子を補給 使える(利子の軽減) 東京都 マンション課

私はいつも理事長さまに、「補助金は1つを探すのではなく、この4つを組み合わせて考えてください」とお伝えしています。1つだけを見て「うちは対象外だった」とあきらめてしまう管理組合を、私は何度も見てきました。実際には、ある制度では対象外でも、別の制度や税制では恩恵を受けられることがほとんどです。ここからが本題です。1本ずつ見ていきましょう。

なお、町田市は2020年6月の「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」改正を受けて、市内のマンションの適正な維持・管理を進めるための「町田市マンション管理適正化推進計画」を策定し、その一環として2023年1月から後述の管理計画認定制度を始めています(出典:町田市「分譲マンション管理」)。つまり、行政として「分譲マンションの管理をきちんと支えていこう」という土台が、町田市にはすでにできあがっているということです。


柱1:町田市マンション管理計画認定制度

どんな制度か

マンション管理計画認定制度とは、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」(適正化法)に基づき、管理組合の運営や長期修繕計画が一定の基準を満たしているマンションを、市が「適正に管理されています」と認定する制度です。町田市では、町田市マンション管理適正化推進計画の策定に合わせ、2023年1月からこの認定制度が始まりました(出典:町田市「マンション管理計画認定制度」)。

平たく言えば、「うちの組合はきちんと回っていますよ」という第三者のお墨付きを、行政から正式にもらえる仕組みです。申請するのはマンション管理組合の管理者(一般的には理事長)で、申請には総会での決議が必要になります。

認定の17基準と有効期間

認定の基準は17項目あります。町田市は独自基準を設けておらず、国がマンション管理適正化指針に定める基準と同一の内容です。中身を大づかみにすると、次のような柱で構成されています。

  • 管理組合の運営:管理者等が定められ、監事が選任され、集会(総会)が年1回以上開かれていること
  • 管理規約:規約が作成され、緊急時の専有部立ち入りや修繕履歴の管理などが定められていること
  • 管理組合の経理:管理費と修繕積立金が明確に区分経理され、修繕積立金の3か月以上の滞納が全体の1割以内であること
  • 長期修繕計画:標準様式に準拠し、7年以内に作成・見直しがされ、計画期間が30年以上で、その間に大規模修繕工事が2回以上含まれること

私が特に注目していただきたいのは、長期修繕計画の項目です。「計画期間30年以上・大規模修繕2回以上」「修繕積立金が著しく低額でないこと」という基準は、裏を返せば、認定を取ろうとする過程で、自分たちの修繕計画と積立金が将来本当に足りるのかを点検できるということです。認定の有効期間は5年間で、更新も可能です。

取得のメリットと手数料

町田市が挙げている認定のメリットは、主に次の3つです。

  1. 区分所有者の管理への意識が高く保たれ、管理水準を維持向上しやすくなること
  2. 適正に管理されたマンションとして、不動産市場で評価されること
  3. 住宅金融支援機構の「フラット35」および「マンション共用部分リフォーム融資」等で金利優遇を受けられること

さらに、後述する長寿命化促進税制(固定資産税の減額)の前提条件にもなります。申請手数料は、長期修繕計画が1件の場合で基本手数料4,100円(計画が複数ある団地型などは1件増えるごとに1,800円加算)と、決して高いものではありません。事前確認は公益財団法人マンション管理センター等に依頼し、適合証が発行されたうえで市へ申請する流れです。

正直に申し上げると、認定そのものが工事費を直接安くしてくれるわけではありません。けれども、「金利が下がる」「税が下がる」「市場評価が上がる」という三方向のメリットの入口が、この認定です。私はいつも、「まず認定の土俵に乗りませんか」と理事長さまにお伝えしています。


柱2:町田市 分譲マンション耐震化促進助成制度

対象になるマンション

ここが、町田市が「直接お金を出してくれる」数少ない制度です。対象は、旧耐震基準(昭和56年5月31日以前に着工)の分譲マンションを管理している管理組合です。具体的には、2以上の区分所有者がいる建物で、人が居住する専有部分があり、耐火建築物または準耐火建築物で、地階を除く階数が原則3階以上、市内に所在することが条件です(出典:町田市「分譲マンションの耐震化促進助成制度」)。

築40年を超えるような旧耐震マンションをお持ちの組合にとっては、この制度を知っているかどうかで、負担が数百万円単位で変わってきます。

耐震アドバイザー派遣(実質自己負担なし)

まず使っていただきたいのが、耐震アドバイザー派遣です。これは、耐震診断・設計・改修を進めるうえでの情報提供や、区分所有者間の合意形成を円滑にするために、建築士やマンション管理士などの専門家を呼べる制度です。派遣1回あたり5万円を限度に全額が助成されるため、実質的に自己負担なしで利用できます。管理組合1つにつき合計10回まで使えます。

私の経験上、耐震の話がこじれるマンションは、技術ではなく「住民同士の合意」でつまずきます。専門家を第三者として入れられるこの仕組みは、理事会だけで抱え込まないための、とても有効な一手です。

耐震診断・耐震設計の助成

診断と設計には、それぞれ助成があります。いずれも、助成基準で算出した額と実際の支出額を比べて、少ない方の3分の2が上限です。

区分 助成率の上限 助成基準の単価(延べ面積あたり)
耐震診断 2/3 1,000㎡以内3,670円/1,000超〜2,000㎡1,570円/2,000㎡超1,050円
耐震設計 2/3 一律2,000円

いずれも分譲マンション1棟につき1回まで受けられます。たとえば延べ面積3,000㎡のマンションなら、診断の助成基準額は計算上、1,000㎡分・次の1,000㎡分・残り1,000㎡分を単価ごとに積み上げた金額になります。実際の見積額がこれを上回れば基準額の2/3が、下回れば実支出額の2/3が上限です。具体的な金額は建物の構造や図面の有無で変わるため、専門家への見積もり依頼が前提になります。

耐震改修工事の助成

実際に補強する段階の助成です。助成額は、助成基準額と実支出額の少ない方の3分の1が上限です。単価は延べ面積あたりで、1,000㎡以上のマンションは50,200円(特殊な工法の場合は83,800円)、1,000㎡未満は34,100円です。こちらも1棟1回までです。

ここで一つ、私が現場でいつも申し上げていることがあります。耐震改修は、外壁や防水の大規模修繕と「時期を合わせる」ほど、トータルでお得になります。足場を一度架ければ、その足場で耐震補強も外壁補修も一緒に進められるからです。バラバラに発注すると、仮設費を二重三重に払うことになりかねません。窓口は町田市の都市づくり部 住宅課(電話042-724-4269)です。活用を検討される場合は、事前に管理組合から相談してほしいと市も案内しています。


柱3:マンション長寿命化促進税制で固定資産税を減らす

制度の概要

3本目は、国の制度である「マンション長寿命化促進税制」です。これは、一定の要件を満たすマンションが長寿命化に資する大規模修繕工事を行った場合に、その建物(工事を行った棟)の固定資産税を、工事完了の翌年度分について2分の1減額するものです。1戸あたり床面積100㎡(共用部分を含む)までが対象になります(出典:国土交通省「マンション長寿命化促進税制」)。

適用期間は令和5年4月1日から令和9年3月31日までです。つまり、いま大規模修繕を計画している管理組合にとっては、この期間内に工事を完了させられるかどうかが、一つの分かれ目になります。

主な要件

主な要件は、次のとおりです。

  • 「管理計画認定マンション」であること(または市の助言・指導を受けた一定の管理組合のマンション)
  • 新築された日から20年以上が経過していること
  • 総戸数が10戸以上であること
  • 過去に1回以上、長寿命化工事(外壁塗装等工事・床防水工事・屋根防水工事のすべて)を行っていること
  • 修繕積立金が一定の基準額以上に引き上げられているなど、適切な積立てがなされていること

お気づきでしょうか。1つ目の要件に「管理計画認定マンションであること」が入っています。柱1の認定制度が、ここで効いてくるわけです。私はこれを、必ずワンセットで提案するようにしています。認定を取り、長寿命化工事を行い、固定資産税の減額まで取りに行く。この導線を最初から描いておくと、組合のお金の使い方がずいぶん変わってきます。

申告の注意点

注意点もお伝えします。減額を受けるには、原則として工事完了後3か月以内に、管理組合の理事長など代表者が市の資産税課へ申告する必要があります。せっかく要件を満たしていても、申告を忘れると減額は受けられません。なお令和7年度以降、自治体によっては申告書の提出がなくても、管理組合の管理者等から必要書類の提出があり要件に該当すれば減額を受けられる運用に変わってきています。町田市での具体的な手続きは、工事の前に資産税課へ確認しておくのが安全です。


柱4:東京都マンション改良工事助成(利子補給)で借入負担を軽くする

どんな制度か

4本目は、東京都の制度です。町田市は東京都の区域なので、町田市内の分譲マンションも対象になります。これは、共用部分の外壁塗装や屋上防水、バリアフリー化などを計画的に行う管理組合が、住宅金融支援機構の「マンション共用部分リフォーム融資」を利用する際に、東京都が利子の一部を補給(利子補給)する制度です(出典:東京都マンションポータルサイト「分譲マンションの修繕への助成(マンション改良工事助成制度)」)。

具体的には、機構の金利が1%(金利が1%未満の場合は当該金利分)低くなるように、東京都が最大20年間にわたって利子補給します。利子補給の対象額は、戸当たり200万円(耐震改修工事を伴う場合は600万円)×住宅戸数などのうち、いちばん低い額が限度です。なお、太陽光発電設備の設置工事も融資の対象になります。

借入をして大規模修繕を行う組合にとって、20年にわたる金利1%分の軽減は、決して小さくありません。都の試算例では、たとえば利子補給対象額5,000万円・20年返済のケースで、総利子補給額が約535万円とされています(同出典)。積立金が足りず一部を借入でまかなう組合ほど、効いてくる制度です。

2026年度の受付期間と「先着順」の注意

ここで、いちばん大事な注意点をお伝えします。この助成は予算枠があり、先着順です。2026年度(令和8年度)の受付は、第1期が2026年5月13日〜9月30日、第2期が2026年10月1日〜2027年2月19日です。各期の募集戸数は2,500戸ずつですが、申込戸数や申込額が枠に達した時点で受付は締め切られます。

しかも、機構の融資承認通知が出たあと、リフォーム融資の契約締結までに助成申込みをして交付決定を受ける必要があります。順番を間違えると対象外になりかねません。「総会で工事を決めてから動こう」では間に合わないこともあるので、私はいつも、資金計画と並行して早めに東京都マンション課(電話03-5320-7532)へ相談しておくことをお勧めしています。

区市の保証料助成も忘れずに

なお、機構の融資を使う際の債務保証料について、千代田区・中央区・港区などでは独自の保証料助成を設けています。町田市では現時点でこの保証料助成は確認できませんが、東京都の利子補給と機構の融資はそのまま使えます。お住まいの自治体ごとに上乗せ制度があるかどうかは、毎年変わるので確認する価値があります。


省エネ・再エネと専門家派遣も使い倒す

町田市独自の太陽光・蓄電池補助の現状

省エネについても触れておきます。残念ながら、町田市が独自に行っていた住宅用太陽光発電などの設置補助は2016年で終了しており、現在、市独自の太陽光・蓄電池補助はありません(出典:町田市「地球温暖化対策に関する補助金制度のご案内」)。

ただし、町田市民は東京都や国の補助制度を利用できます。マンションの共用部に太陽光発電や蓄電池を設置する場合は、東京都(クール・ネット東京)の集合住宅向けの補助制度が窓口になります。共用部の屋根を使うため管理組合の合意が必要になりますが、大規模修繕で屋上防水をやり直すタイミングは、再エネ設備の設置を検討する好機でもあります。

東京都のマンションアドバイザー無料派遣

もう一つ、お金がかからない強力な制度が、東京都のマンション管理アドバイザー制度です。管理規約の見直しや長期修繕計画、大規模修繕の進め方などについて、専門家の派遣を受けられます。管理状況の届出を行ったマンションには、派遣費用の助成(一定回数の無料派遣を含む)も用意されています(出典:東京都マンションポータルサイト「マンション管理」)。

私は、町田市の耐震アドバイザー派遣と、東京都のマンションアドバイザー派遣を、目的に応じて使い分けることをお勧めしています。耐震の話は市の派遣、管理全般や修繕計画の話は都の派遣、というイメージです。どちらも、理事会だけで抱え込まないための仕組みです。


補助金を「実際に取りに行く」ための実務ステップと工法選び

まずやるべき段取り

制度を並べただけでは、お金は1円も戻ってきません。私が理事長さまにお伝えしている段取りは、シンプルです。

  1. 自分のマンションの「築年数」「総戸数」「旧耐震か新耐震か」「管理計画認定の有無」を整理する
  2. 長期修繕計画と修繕積立金が、認定基準に照らして足りているかを点検する
  3. 大規模修繕の時期と、長寿命化税制の期限(令和9年3月)・東京都助成の受付期間を、カレンダーで突き合わせる
  4. 市の住宅課・資産税課、東京都マンション課に、工事の「前」に相談する
  5. 施工会社に、補助金・税制の要件を満たす工事内容で見積もりを依頼する

ポイントは、すべて「工事の前」に動くことです。補助金も税制も、後から「実は対象でした」と言っても遡れないものがほとんどです。

見落とされがちな「工事の前」の落とし穴

ここで、私が現場で何度も悔しい思いをしてきた話をします。制度の存在は知っていたのに、順番を間違えて使えなかった、というケースが本当に多いのです。

たとえば、東京都の利子補給は、住宅金融支援機構の融資承認通知が出たあと、融資契約を結ぶ前に助成申込みをして交付決定を受ける必要があります。先に融資契約を結んでしまうと、もう間に合いません。長寿命化税制も同じで、工事を始める前に管理計画認定を取っておかないと、要件を満たせないことがあります。「総会で工事業者を決めて、契約して、さあ補助金を」という順番だと、制度の入口を通り過ぎてしまうわけです。

私はいつも理事長さまに、「工事の中身を決めるより前に、まず使える制度の締切と順番をカレンダーに書き込んでください」とお伝えしています。とくに東京都の利子補給は先着順で、予算枠に達すると年度の途中でも締め切られます。年度の前半に動けるかどうかが、実は大きな分かれ目になります。

もう一つ、修繕積立金の話もしておきます。管理計画認定の基準には「修繕積立金が著しく低額でないこと」という項目があります。積立金が不足していると、認定が取れず、結果として長寿命化税制の入口にも立てません。逆に言えば、補助金や税制を取りに行く過程は、自分たちの積立てを健全化する良いきっかけにもなります。私は、これを単なる手続きではなく「組合の体質改善」だと捉えていただきたいと思っています。

工法でコストそのものを下げる

そして、ここが私のいちばんお伝えしたいことです。補助金で取り戻せる金額にも限りがあります。本当に効くのは、工事費そのものを下げることです。

大規模修繕の費用のうち、仮設足場が占める割合は決して小さくありません。私の経験上、足場の仮設・解体だけで、工事全体の2〜3割に達することも珍しくありません。そこで明誠では、建物の形状や傷み具合に応じて、足場を架ける大規模修繕工事に加え、足場を架けないロープアクセス工法、そして両方を部位ごとに使い分けるハイブリッド工法という、3つの工法から最適なものをご提案しています。

たとえば、外壁の傷みが一部に集中しているマンションなら、全面に足場を架けず、傷んだ箇所だけロープアクセスで直すことで、仮設費を大きく圧縮できます。耐震改修のように建物全体に足場が要る工事は足場で、外壁・防水の補修はロープアクセスで、と組み合わせるのがハイブリッドの考え方です。居住者の方々にとっても、足場が少ないほど日当たりや防犯の不安、洗濯物が干せないといった生活への影響が小さくなります。

モデルケースで考える

仮に、築35年・60戸・延べ面積4,000㎡の旧耐震マンションが、耐震改修と大規模修繕を同時に行うとします。このとき、町田市の耐震アドバイザー派遣(実質無料)で合意形成を進め、耐震診断・設計・改修の助成を取り、管理計画認定を受けたうえで長寿命化税制の固定資産税減額を狙い、東京都の利子補給で借入金利を1%下げる——という具合に、4本柱をすべて重ねられる可能性があります。そのうえで工法を最適化して仮設費を抑えれば、組合の実質負担はさらに軽くなります。これは一例ですが、制度は「重ねて使う」ものだということが伝わればと思います。管理組合向けの工事の考え方は、管理組合のお客さま向けページでも紹介しています。


よくある質問(FAQ)

Q. 町田市には、大規模修繕の工事費そのものへの補助はありますか。
A. 現時点では、共用部の大規模修繕工事費に直接補助する町田市独自の制度は確認できません。耐震化(旧耐震が条件)の助成、国の長寿命化促進税制、東京都の利子補給を組み合わせて負担を下げるのが現実的です。

Q. 新耐震のマンションは、耐震化助成の対象外ですか。
A. 町田市の耐震化促進助成は旧耐震基準(昭和56年5月31日以前着工)が対象です。新耐震のマンションは対象外ですが、管理計画認定・長寿命化税制・東京都の利子補給は利用を検討できます。

Q. 管理計画認定を取らないと、長寿命化税制は使えませんか。
A. 原則として「管理計画認定マンションであること」が要件です(市の助言・指導を受けた一定の組合のケースもあります)。まずは認定の取得を検討するのが近道です。

Q. 耐震改修と外壁・防水の大規模修繕は、別々に発注した方がよいですか。
A. 私の経験上、時期を合わせた方がトータルでお得になることが多いです。足場を一度架ければ、その足場で耐震補強も外壁・防水補修も一緒に進められ、仮設費の二重払いを避けられます。傷みが一部に集中している建物なら、足場を全面に架けずロープアクセスやハイブリッドで仮設費を抑える選択肢もあります。

Q. 制度の金額や期限は、この記事のままで確定ですか。
A. いいえ。補助金・税制は年度ごとに見直され、予算枠に達すると締め切られます。最終的な金額・期限・要件は、必ず各窓口の最新情報でご確認ください。


まとめ:制度は「重ねて」「工事の前に」動く

町田市のマンション管理組合が使える支援は、①管理計画認定制度、②分譲マンション耐震化促進助成、③国の長寿命化促進税制、④東京都の改良工事助成(利子補給)の4本柱が中心です。どれも単独では小さく見えるかもしれませんが、重ねて使えば、組合の負担はしっかり軽くなります。そして、いずれも「工事の前」に動くことが鉄則です。

改めて、優先順位もお伝えしておきます。まず取り組んでいただきたいのは、お金のかからない耐震アドバイザー派遣(旧耐震の場合)と、東京都のマンションアドバイザー無料派遣です。専門家を入れて現状を整理し、長期修繕計画と修繕積立金を点検する。その流れの中で管理計画認定を取りに行けば、長寿命化税制という固定資産税の減額まで一本の線でつながります。そのうえで、借入が必要なら東京都の利子補給を年度の早いうちに申し込む。この順番で動けば、制度を取りこぼすリスクをかなり減らせます。逆に、工事業者との契約を先に進めてしまうと、入口が閉じてしまう制度がいくつもあります。だからこそ私は、「まず段取り、それから工事」と繰り返しお伝えしているのです。

最後に、私の本音をお伝えします。補助金や税制は、あくまで負担を軽くする道具にすぎません。いちばん大事なのは、その建物にとって本当に必要な工事を、適切なコストで、住んでいる方々の暮らしを止めずにやり切ることです。私たちは足場とロープアクセス、その両方を提案できるからこそ、「この建物にはこの工法が最適です」と正直に申し上げられます。

町田市で大規模修繕や耐震改修をお考えの管理組合さまは、補助金が使えるかどうかの整理だけでも、お問合せフォームからお気軽にご相談ください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。次回も、現場で本当に使える話だけをお届けします。


出典・参考資料

本記事は2026年6月時点で公開されている町田市・東京都・国の公式情報をもとに、株式会社明誠の本間が監修しています。制度の内容・金額・期限・要件は年度ごとに変更され、予算枠に達すると受付が締め切られる場合があります。実際のご検討にあたっては、各窓口の最新情報を必ずご確認ください。

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八王子市のマンション補助金2026年度版|管理組合が使える管理計画認定・止水板・共用部LED・長寿命化税制を本間が解説

八王子市のマンション管理組合が使える補助金・助成金まとめ【2026年度版】管理計画認定・止水板・共用部LED・長寿命化税制を本間社長が解説

「修繕積立金が、計画どおりには貯まっていない」「次の大規模修繕で本当に足りるのか」――八王子市内のマンションで理事長や修繕委員を引き受けられた方から、私がいちばん多くいただくのが、このお金にまつわるご相談です。築20年を超えると、外壁の浮きや屋上防水の傷みが目に見えて増えてきます。それでも、補助金や税の優遇、そして工事のやり方を上手に組み合わせれば、組合の負担はずいぶん変わってきます。

私は大規模修繕の現場で20年近く、足場を架けたり、ロープ一本でぶら下がったりしながら、たくさんのマンションを見てきました。その経験から正直に申し上げると、八王子市は「分譲マンションの管理組合」に向けた制度が、多摩地域のなかでもしっかり整っている街です。令和4年(2022年)4月にはマンション管理計画認定制度がスタートし、市独自の補助メニューも用意されています。

この記事では、2026年(令和8年度)時点で八王子市のマンション管理組合が活用を検討できる補助金・助成金・税の優遇を、現場目線で整理してお伝えします。数字や期限はすべて八王子市・東京都・国の公式情報にあたって確認していますが、制度は年度途中で予算が尽きることもあります。最後の判断は必ず担当窓口でご確認ください。


まず押さえたい結論:八王子市の「管理組合向け」は4本柱

細かい話に入る前に、全体像をお伝えします。八王子市でマンション管理組合が活用を検討できる柱は、大きく次の4つです。

  1. 八王子市マンション管理計画認定制度(令和4年4月開始。組合の管理体制に市の「お墨付き」を与える制度。認定がほかの補助・優遇の入口になる)
  2. 八王子市居住環境整備補助金(市独自。分譲マンションの止水板設置、共用部LED化、省エネ・長寿命化改修などが対象)
  3. 東京都の助成・アドバイザー制度(マンション改良工事助成、マンション管理・改修アドバイザー派遣)
  4. 国の制度(マンション長寿命化促進税制による固定資産税の減額、管理計画認定によるフラット35等の金利優遇)

ここで一つ、正直にお伝えしておきます。八王子市にも、近隣の多くの自治体と同じく「共用部の大規模修繕工事そのものに、工事費の何割かを直接補助する制度」は、現時点では用意されていません。ですから八王子市では、「認定制度で信用力と金利優遇を取りに行く」「市の補助メニューで取れる部分(止水板・LED・省エネ)を確実に取る」「都のアドバイザーと助成で資金計画を固める」「税の減額で実質負担を下げる」という組み立てが現実的になります。ここからが本題です。


八王子市のマンション事情――多摩の住まいの「これから」

制度の話に入る前に、八王子市というまちのマンション事情を少しだけ共有させてください。なぜなら、補助金や工法の選び方は、そのまちの建物の特徴と無関係ではないからです。

八王子市は、多摩地域でも有数の人口を抱えるまちで、JR中央線・横浜線・八高線、京王線・京王高尾線が走り、駅周辺にはファミリータイプの分譲マンションがコンスタントに供給されてきました。あるデータベースには、八王子市の登録分譲マンションが1,000棟を超える規模で記録されています。高尾エリアには総戸数400戸を超える大規模マンションもあり、一方で丘陵地・斜面地に建つ中規模物件も多いのが、このまちの特徴です。

ここで効いてくるのが「築年数」です。1980年代から1990年代にかけて供給されたマンションは、すでに築30年から40年に差しかかっています。こうした物件は、2回目・3回目の大規模修繕を迎える時期に入っており、まさに今回ご紹介する管理計画認定や長寿命化促進税制の主役になりうる建物群です。さらに、斜面地や狭小敷地に建つマンションは、足場を全面に架けるのが難しかったり、架設費がかさんだりしがちで、後半でお話しする無足場のロープアクセス工法が威力を発揮しやすい立地でもあります。

つまり八王子市は、「制度を使う条件がそろった築年数のマンションが多く」「工法の工夫でコストを下げやすい地形の物件も多い」まちだということです。これを前提に、4本柱を一つずつ見ていきましょう。


第1の柱:八王子市マンション管理計画認定制度――すべての入口になる「お墨付き」

制度の中身

八王子市は、マンションの管理の適正化を促進し、将来的な管理不全を予防するため、マンション管理計画認定制度を令和4年(2022年)4月から運用しています。根拠はマンション管理適正化推進法(マンションの管理の適正化の推進に関する法律)第5条の3です。管理規約や管理組合の経理、長期修繕計画などが一定の基準を満たすと、市の認定を受けられます。

認定基準は全部で17項目。管理者(理事長)が定められているか、監事が選任されているか、集会(総会)が年1回以上開催されているか、長期修繕計画が30年以上かつ残存期間中に大規模修繕工事が2回以上含まれているか、修繕積立金が計画に沿って積み立てられているか――といった、管理組合として当たり前にやっておきたいことが並んでいます。逆に言えば、ふだんからきちんと運営している組合ほど、認定は取りやすいということです。

申請の大まかな流れは、(1)公益財団法人マンション管理センター等に事前確認を依頼し、(2)事前確認適合証を受領、(3)管理計画認定手続支援システム(電子システム)を通じて市に申請、(4)認定通知を受領、という4ステップです。市への申請手数料はかかりません(事前確認の段階でシステム利用料・審査料が必要です)。認定の有効期間は5年間で、更新もできます。八王子市では、すでに第6号まで認定マンションが生まれています。

なぜ認定を「最初に」取るべきか

認定そのものは補助金ではありません。それでも私が「まず認定から」とおすすめするのは、認定がほかの優遇の入口になるからです。具体的には次のとおりです。

第一に、住宅金融支援機構の「フラット35」および「マンション共用部分リフォーム融資」の金利が引き下げられます。共用部分リフォーム融資は、大規模修繕の資金を借りる際に管理組合が使える代表的な融資で、ここで金利が下がる効果は決して小さくありません。

第二に、後ほど触れる八王子市の共用部分LED化改修補助は、管理計画認定を受けていることが条件になっています。つまり、認定がないとこの補助は使えません。

第三に、市場評価の向上が期待できます。中古マンションを検討する買い手にとって「市が管理状態を認定している」という事実は安心材料です。資産価値の維持を考えるオーナー・組合にとって、これは長い目で効いてきます。

築20年以上のマンションでは、後述する国の長寿命化促進税制の要件にも「管理計画の認定基準」が深く関わってきます。認定は、補助・融資・税のすべてに通じる「土台」だとお考えください。


第2の柱:八王子市居住環境整備補助金――管理組合が直接取りにいける市の補助

八王子市には、住宅の改修工事の費用の一部を補助する居住環境整備補助金という制度があります。もともとは木造戸建て住宅の耐震やバリアフリーが中心ですが、分譲マンションの管理組合が対象になるメニューもきちんと用意されています。ここが八王子市の強みです。

2026年度の受付期間と「予算切れ」への注意

2026年度(令和8年度)の受付は、令和8年(2026年)4月20日(月)から12月末日までとされています。ただし大切な注意があります。この制度は市の予算額に達し次第、期限前でも受付を終了します。例年、期限を待たずに予算上限に達するメニューが多いのが実情です。修繕委員会で「やる」と決めたら、年度のできるだけ早い時期に、事前に住宅政策課へ相談しておくことを強くおすすめします。

管理組合に関係する主なメニュー

管理組合として活用を検討できるのは、次のあたりです。補助率と上限額を整理します(いずれも2026年度の内容で、対象工事費の下限などの条件があります)。

分譲マンション止水板設置工事は、地下階や機械室などの浸水を防ぐための止水板を設置する工事が対象で、設置費の50%以内、上限50万円(対象工事費50万円以上が条件、100万円以上の工事で上限50万円)です。対象は「東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例」第15条に基づく管理状況の届出をしている分譲マンションで、対象者は管理組合です。近年の集中豪雨を考えれば、地下に電気室や駐車場を持つマンションには、検討する価値が十分にあります。

分譲マンション共用部分LED化改修工事は、廊下・階段など建物内共用部分の照明をLED化する工事が対象で、設置費の50%以内、上限50万円(対象工事費10万円以上、100万円以上の工事で上限50万円)です。こちらは条例第15条の届出に加えて、前述の管理計画認定(適正化法第5条の4に基づく認定)を受けていることが条件です。電気代の継続的な削減にもつながりますから、認定とセットで狙いたいメニューです。

このほか、住宅全般を対象とする省エネルギー化改修工事(対象工事費の20%以内、上限15万円。工事費10万円以上)、長寿命化改修工事(対象工事費の20%以内、上限5万円。工事費10万円以上)もあります。これらは制度上、住宅の所有者等を対象とするメニューですので、専有部分の改修なのか共用部分なのか、組合として申請できるのかは、必ず事前に住宅政策課(電話042-620-7260)で確認してください。

金額だけ見れば数十万円規模で、大規模修繕の総額からすれば小さく見えるかもしれません。それでも、「取れる補助は確実に取る」という姿勢が、長い目で見た組合の財政を守ります。止水板やLEDは大規模修繕とは別のタイミングでも実施できますから、年度の補助枠と相談しながら計画的に進めるのが賢い使い方です。


第3の柱:東京都の助成・アドバイザー制度――資金計画と進め方を固める

八王子市は東京都内ですから、東京都の制度も併せて使えます。市の制度と都の制度は趣旨が違うので、両にらみで考えてください。

マンション改良工事助成制度(マンション共用部分リフォーム融資の利子助成)

東京都には、分譲マンションの共用部分の修繕に対する改良工事助成制度があります。これは工事費を直接配るものではなく、管理組合が住宅金融支援機構の「マンション共用部分リフォーム融資」を受け、かつマンション管理センターの債務保証を受けた場合に、借入れにかかる利子の一部を東京都が助成する仕組みです。対象は都内に所在する耐火構造の分譲マンションの管理組合とされています。2026年度の申込みは、第1期が2026年5月13日(水)から9月30日(水)まで、第2期が2026年10月1日(木)から2027年2月19日(金)までと案内されています。大規模修繕を借入れで進める組合にとって、金利負担を軽くできる現実的な制度です。

ここで効いてくるのが、第1の柱の管理計画認定です。フラット35や共用部分リフォーム融資の金利引下げと、都の利子助成を重ねれば、借入れコストを二重に圧縮できる可能性があります。資金計画は「いくら借りるか」だけでなく「どれだけ安く借りるか」が肝心です。

マンションアドバイザー派遣制度

「そもそも、うちの修繕積立金で足りるのか」「長期修繕計画を見直したいが、進め方がわからない」――そんな段階のお悩みには、東京都(公益財団法人 東京都防災・建築まちづくりセンター)のマンション管理アドバイザー制度が役立ちます。長期修繕計画や修繕積立金の見直し案を専門家が作成してくれるコースなどがあり、建替え・改修を検討する組合向けの建替え・改修アドバイザー制度も用意されています。第三者の専門家に入ってもらうと、総会での合意形成がぐっとスムーズになります。費用の一部を助成する自治体もありますので、八王子市・東京都の窓口で最新の取り扱いをご確認ください。


第4の柱:国の制度――長寿命化促進税制で固定資産税を1/2に

マンション長寿命化促進税制の中身

国の制度で、いま管理組合が最も注目すべきはマンション長寿命化促進税制です。一定の要件を満たすマンションが、令和5年(2023年)4月1日から令和9年(2027年)3月31日までの間に、長寿命化に資する大規模の修繕等を行った場合、工事完了の翌年度分の固定資産税(建物部分)が2分の1に減額されます。当初は令和7年3月末までの制度でしたが、税制改正により令和9年3月末まで2年間延長されています。

主な要件(ここが現場で詰まりやすい)

主な要件は次のとおりです。

  • 居住用の専有部分があること
  • 新築された日から20年以上が経過していること
  • 総戸数が10戸以上であること
  • 過去に1回以上、長寿命化工事(外壁塗装等工事・床防水工事・屋根防水工事のすべて)を行っていること
  • 令和5年4月1日から令和9年3月31日の間に、2回目以降の長寿命化工事(管理計画に定めたもの)を完了していること
  • 令和3年9月1日以降に、長期修繕計画の計画期間全体での修繕積立金の平均額を、管理計画の認定基準未満から認定基準以上に引き上げていること

ここで気づいていただきたいのは、この税制の要件が、第1の柱の「管理計画認定」と密接につながっていることです。修繕積立金の水準や長期修繕計画のつくり方は、まさに認定基準で問われる中身そのもの。つまり、ふだんから管理計画認定を意識して組合運営をしていれば、この税制の入口にも自然と立てるわけです。築20年以上で、これから2回目以降の大規模修繕を迎えるマンションは、ぜひ早めに要件を確認してください。

なお、この減額を受けるには工事完了後の申告手続きが必要です。要件の判定は専門的になりますので、施工会社・管理会社・税理士、そして八王子市の固定資産税の窓口と連携して進めるのが安全です。


補助金で「入口」を整えたら、次は工事費そのものを下げる

ここまで、八王子市・東京都・国の制度を見てきました。お気づきのとおり、管理組合が直接もらえる現金の補助は、止水板やLEDなど限られた範囲です。大規模修繕の本体(外壁・防水・タイル)の費用は、基本的に組合の自己資金と借入れでまかなうことになります。

だからこそ、工事費そのものをどう抑えるかが、補助金活用と同じくらい――いえ、それ以上に効いてきます。ここが、私たち明誠がいちばんお役に立てる部分です。

足場費は工事費の2〜3割。ここに無足場という選択肢がある

大規模修繕の見積りを開けてみると、多くの方が驚かれるのが仮設足場の費用です。建物の形状や規模にもよりますが、足場の架設・解体・運搬は、工事費全体の2〜3割を占めることも珍しくありません。しかも足場は、完成すれば残るものではなく、工事が終われば撤去してしまう「一時的な道具」です。

私たち明誠は、この足場に頼りきらないロープアクセス工法(無足場工法)を得意としています。産業用のロープで職人が壁面に直接アクセスし、外壁の補修や塗装、防水、シーリングの打ち替えなどを行う工法です。八王子市内には、高尾エリアの高層マンションや、斜面地・複雑な形状の物件も少なくありません。建物の条件によっては、足場をすべて架けるよりも、ロープアクセスを使ったほうが足場費を大きく圧縮でき、工期も短縮できます。

「足場ゼロか、足場100か」ではない――ハイブリッドという発想

ただし、私はいつも正直に申し上げています。すべての工事をロープアクセスでやるのが最善とは限りません。バルコニー内部の大規模な改修や、住民の方が日常的に使う部分の作業は、足場があったほうが安全で効率的なこともあります。

そこで明誠が提案しているのが、足場とロープアクセスを部位ごとに使い分けるハイブリッド工法です。たとえば、足場が必要な面には足場を架け、足場をかけにくい高層部や狭小部にはロープアクセスを使う。こうして建物全体での総コストを最適化します。「通常足場」「ロープアクセス(無足場)」「ハイブリッド」――この3つの工法から、建物にとってベストな組み合わせをご提案できるのが、私たち明誠の強みです。これだけの選択肢を一社で持っている会社は、全国でもそう多くありません。

居住者の生活への影響を最小化できる

ロープアクセスやハイブリッド工法には、コスト・工期以外にも大きな利点があります。それは居住者・利用者の生活への影響を最小限に抑えられることです。足場を全面に架けると、どうしても窓が開けにくくなったり、防犯面の不安が出たり、日当たりが悪くなったりします。足場の架設範囲を絞れる工法なら、こうしたストレスを和らげられます。管理組合として住民の合意を得るうえでも、これは見逃せないポイントです。


モデルケースで考える――八王子市の「お金の組み立て方」

言葉だけでは分かりにくいので、よくあるパターンを一つのモデルケースとして組み立ててみます。あくまで考え方を示すための例で、実際の金額は建物や工事内容で変わります。

たとえば、八王子市内に建つ築28年・総戸数90戸・10階建ての分譲マンションを思い浮かべてください。これから2回目の大規模修繕を控え、外壁・屋上防水・シーリングの打ち替えが主な工事になります。修繕積立金は計画よりやや不足ぎみで、一部を借入れでまかなう想定です。地下には機械式駐車場と電気室があり、敷地は道路から少し下がった半地下のような構造――八王子では珍しくない立地です。

この組合がまず取り組むべきは、管理計画認定です。総会が毎年開かれ、長期修繕計画も30年で組まれているなら、認定の17項目はかなり満たせるはずです。認定を取れば、共用部分リフォーム融資やフラット35の金利が下がり、借入れの総支払額が軽くなります。さらに、この認定は次の補助と税制の前提条件にもなります。

次に、八王子市居住環境整備補助金です。この物件は半地下構造で浸水リスクがあるため、止水板設置工事(補助率50%・上限50万円)が現実的な候補になります。共用部の照明がまだ蛍光灯なら、認定取得を前提に共用部分LED化改修(補助率50%・上限50万円)も狙えます。この二つだけで、条件が合えば最大100万円規模の補助になりえます。電気代の削減効果も毎月積み上がります。

そして、大規模修繕の本体工事が長寿命化工事(外壁・床防水・屋根防水のすべて)に該当し、過去に1回以上同様の工事を行っていて、修繕積立金を認定基準以上に引き上げていれば、国の長寿命化促進税制で翌年度の固定資産税(建物分)が2分の1に減額されます。90戸規模なら、減額の総額は各戸の負担軽減として無視できない金額になります。

最後に、工法です。この物件は半地下の立地で、隣地との距離も近く、全面足場の架設費がふくらみやすい条件です。ここで、足場をかけにくい面や高層部にロープアクセス(無足場)を組み合わせるハイブリッド工法を採れば、足場費を圧縮できる可能性があります。足場費が工事費の2〜3割を占めることを思えば、ここでの削減は補助金以上のインパクトを持つこともあります。

「認定で金利を下げ、市の補助で取れる現金を取り、税制で固定資産税を半分にし、工法で工事費そのものを下げる」――この4つを重ねることで、組合の実質負担は一つずつ着実に軽くなっていきます。一つひとつは小さく見えても、積み上げれば数百万円単位の差になりうるのです。


八王子市の管理組合からよくいただくご質問

最後に、八王子市の理事長・修繕委員の方から実際によくいただく質問に、現場目線でお答えしておきます。

Q. 管理計画認定は、手間とお金をかけてまで取る意味がありますか。
正直に申し上げると、認定取得には事前確認のためのシステム利用料・審査料がかかり、書類の準備にも一定の手間がかかります。それでも、認定はフラット35や共用部分リフォーム融資の金利引下げ、市の共用部LED化補助の条件、さらに国の長寿命化促進税制の入口――と、複数の優遇に直結します。これから大規模修繕で数千万円規模の借入れを検討する組合なら、金利優遇だけでも認定の手間を十分に回収できる可能性があります。まずは管理会社やマンション管理士に「うちは17項目のうちどこが足りないか」を診てもらうところから始めるのがおすすめです。

Q. 止水板やLEDの補助は、いつ申請すればいいですか。
八王子市の居住環境整備補助金は、2026年度は4月20日受付開始で、予算上限に達し次第終了します。例年、年度の早い時期に枠が埋まるメニューもあります。総会で工事の方針が固まったら、できるだけ早く住宅政策課(電話042-620-7260)に相談し、申請のタイミングと必要書類を押さえてください。「工事を発注してから補助を申請しようとしたら、もう受付が終わっていた」という事態は、ぜひ避けたいところです。

Q. 補助金が使える工事と、大規模修繕は別々にやるべきですか。
ケースバイケースです。共用部LED化や止水板は、大規模修繕とは独立して実施できますので、補助の予算枠が空いているタイミングで先に進めるのも一つの手です。一方で、足場を架ける大規模修繕のタイミングに合わせたほうが効率的な工事もあります。ここは、工法の選択(足場かロープアクセスか)とあわせて、全体の段取りを設計する話になります。私たち明誠は、補助金のスケジュールと工事の段取りをセットで考えたご提案ができます。

Q. うちは斜面地に建っていて、足場が高くつくと言われました。
それはまさに、ロープアクセスやハイブリッド工法の出番です。斜面地・狭小敷地のマンションは、足場の架設費が平地より大きくふくらむことがあります。建物の状態を拝見したうえで、「どの面はロープで、どの面は足場で」という最適な組み合わせをご提案します。一度、現地を見せていただければ、具体的な削減イメージをお伝えできます。


まとめ:八王子市のマンションは「認定→補助→融資→税」の順で組み立てる

最後に、今日の内容を整理します。八王子市のマンション管理組合が取るべき道筋は、次の順番で考えると分かりやすいはずです。

まず、マンション管理計画認定を取って、組合運営の土台と信用力を固める。これがフラット35・共用部分リフォーム融資の金利優遇、市の共用部LED化補助、国の長寿命化促進税制――すべての入口になります。

次に、八王子市居住環境整備補助金で、止水板・共用部LEDなど取れる補助を確実に取る。2026年度は予算切れに注意し、年度の早い時期に住宅政策課へ相談する。

そして、東京都のマンション改良工事助成とアドバイザー制度で、資金計画と進め方を専門家とともに固める。借入れの金利を市・都・機構の優遇で二重三重に圧縮する。

最後に、大規模修繕の本体工事では、足場費を含めた工事費そのものを下げる。通常足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3工法から、建物にとって最適な方法を選び、コストと工期、住民への影響を最小化する。

補助金は「もらえたらラッキー」ではなく、計画的に取りにいくものです。そして、補助金で削れる金額には限りがある以上、工事費そのものをどう設計するかが、組合の財政を本当に左右します。私たち明誠は、補助金・税制を踏まえた資金計画から、無足場を含む最適な工法のご提案まで、八王子市のマンション管理組合に伴走します。

「うちのマンションだと、どの制度が使えて、工事費はどこまで下げられるのか」――そんな具体的なご相談は、いつでもお気軽にお寄せください。現場を20年見てきた立場から、正直にお答えします。

※本記事の補助金・税制の内容は2026年6月時点で確認した八王子市・東京都・国の公表情報に基づきます。金額・要件・受付期間は変更される場合があり、予算上限に達し次第終了する制度もあります。申請の前に、必ず八王子市まちなみ整備部住宅政策課(電話042-620-7260)および各制度の窓口で最新情報をご確認ください。

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新座市のマンション管理組合が使える補助金・助成金まとめ【2026年度版】耐震診断・管理計画認定・長寿命化税制を本間社長が解説

「修繕積立金が思うように貯まっていない」「次の大規模修繕で本当に足りるのか不安だ」――新座市内のマンションで理事長を引き受けられた方から、私がいちばん多くいただくのが、このお金にまつわるご相談です。築20年を超えてくると、外壁の浮きや屋上防水の傷みが目に見えて増えてきます。それでも、補助金や税の優遇を上手に組み合わせれば、組合の負担はかなり違ってきます。

私は大規模修繕の現場で20年近く、足場を架けたりロープでぶら下がったりしながら、たくさんのマンションを見てきました。その経験から正直に申し上げると、新座市は「分譲マンションの管理組合」に向けた制度が、近隣市に比べてもしっかり整っている街です。令和6年12月にはマンション管理計画認定制度も始まりました。

この記事では、2026年(令和8年度)時点で新座市のマンション管理組合が使える補助金・助成金・税の優遇を、現場目線で整理してお伝えします。数字や期限はすべて新座市や国の公式情報にあたって確認していますが、制度は年度途中で予算が尽きることもあります。最後の判断は必ず担当窓口でご確認ください。


まず押さえたい結論:新座市の「管理組合向け」は4本柱

細かい話に入る前に、全体像をお伝えします。新座市でマンション管理組合が活用を検討できる柱は、大きく次の4つです。

  1. 新座市マンション管理計画認定制度(令和6年12月開始。組合の管理体制を「お墨付き」にする制度)
  2. 分譲マンション耐震診断・耐震改修助成(旧耐震マンションの命綱。診断は上限150万円、改修は上限500万円)
  3. マンション管理適正化等相談事業(マンション管理士などの専門家を無料で呼べる派遣相談)
  4. 国の制度+省エネ補助(マンション長寿命化促進税制による固定資産税の減額、太陽光・蓄電池の補助)

ここで一つ、正直にお伝えしておきます。新座市には「共用部の大規模修繕工事そのものに、工事費の何割かを直接補助する制度」は、現時点で明文化されていません。これは新座市に限った話ではなく、近隣の和光市・志木市・朝霞市なども同じ事情です。ですから新座市では、「認定制度で信用力と金利優遇を取りに行く」「耐震という切り口で診断・改修の助成を取る」「税の減額で実質負担を下げる」という組み立てが現実的になります。ここからが本題です。


柱1:新座市マンション管理計画認定制度

どんな制度か

マンション管理計画認定制度とは、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」(適正化法)に基づき、管理組合の運営や長期修繕計画が一定の基準を満たしているマンションを、市が「適正に管理されている」と認定する制度です。新座市は、新座市マンション管理適正化推進計画(計画期間:令和6年12月〜令和17年3月)を策定したことに伴い、令和6年12月からこの認定制度を始めました(出典:新座市マンション管理計画認定制度)。

平たく言えば、「うちの組合はきちんと回っていますよ」という第三者のお墨付きを、行政から正式にもらえる仕組みです。

認定を取ると何が嬉しいのか

新座市が挙げている認定取得のメリットは、主に次のとおりです。

  • 管理組合による適正な管理の自主的な取組みが促されること
  • 適正に管理されたマンションとして、不動産市場で評価されることが期待されること
  • 住宅金融支援機構の融資制度などを使う際に、金利の引き下げなどの優遇が受けられること(フラット35、マンションすまい・る債、マンションすまい・る融資など)
  • 一定の要件を満たし、令和5年4月1日から令和9年3月31日までの間に長寿命化工事を完了させた場合、工事完了日の翌年度分の固定資産税(家屋分)が減額されること

私はこの「金利優遇」と「固定資産税の減額」が、特に組合の財布に効いてくると考えています。大規模修繕で借入をする組合は珍しくありませんし、戸数の多いマンションほど固定資産税の減額が積み上がるからです。後ほどの柱4で、税の話はもう少し詳しく触れます。

申請の流れと費用

認定申請は、原則として公益財団法人マンション管理センターの電子システム(管理計画認定手続支援サービス)を使って進めます。流れはこうです。

  1. まず管理組合の集会(総会)で、認定申請をすることを決議する
  2. マンション管理センターに、管理状況が認定基準に適合しているかの「事前確認」を依頼する(手数料が必要)
  3. 適合が確認できると、センターから「事前確認適合証」が発行される
  4. その適合証を添えて、新座市に認定申請する(市への申請手数料は無料)
  5. 市が基準への適合を確認すると、「認定通知書」が発行される

ここで気をつけたいのは、費用の出どころです。新座市への申請そのものは無料ですが、マンション管理センターの事前確認に係る審査料とシステム利用料は別途かかります。「市は無料」という言葉だけを見て、まったくお金がかからないと誤解されないようにしてください。

認定の有効期間は、認定を受けた日から5年間です。期間満了までに更新申請をしないと失効しますので、理事が交代しても引き継がれるよう、管理規約や引継ぎ書類に残しておくことをおすすめします。

なお、認定基準は国が示した基準に準じた内容です。長期修繕計画が概ね30年以上で、かつ修繕積立金の額が明確に定められていること、総会が年1回以上開催されていることなどが含まれます。私の経験上、ここでつまずく組合の多くは「長期修繕計画が古いまま放置されている」ケースです。逆に言えば、認定を目指す過程で長期修繕計画を見直すこと自体が、組合にとって大きな財産になります。お問い合わせは新座市建築審査課住宅係(電話048-477-4519)です。


柱2:分譲マンション耐震診断・耐震改修助成

新座市が、管理組合に対してまとまった金額の助成を出しているのが、この耐震関連です。対象は昭和56年5月31日以前に着工した建築物、いわゆる旧耐震基準のマンションです(出典:新座市 耐震助成制度)。

耐震診断助成

設計事務所などに耐震診断(第三者機関の判定が必要)を依頼する管理組合に、費用の一部を助成する制度です。

  • 対象:分譲マンションで、耐震診断の実施が決議されているもの
  • 助成額:耐震診断費用の3分の2、または戸数×5万円のうち、少ない額で上限150万円まで

たとえば30戸のマンションなら「戸数×5万円=150万円」と「診断費用の3分の2」を比べて、少ないほうが助成額になります。診断費用が200万円なら3分の2は約133万円ですから、この場合は133万円が上限となる、という読み方です。

耐震改修助成

診断の結果、地震に対して安全な構造でないと判定され、耐震改修工事の実施を決議したマンションが対象です。

  • 助成額:耐震改修工事費の3分の1、または全戸数×30万円のうち、少ない額で上限500万円まで

これは近隣市と比べても手厚い水準です。私は現場で旧耐震のマンションを数多く見てきましたが、耐震改修は「やるかやらないか」で住民の安心感がまったく変わります。とはいえ費用が大きいだけに、診断→合意形成→改修という長い道のりになります。だからこそ、診断の段階から助成を取りに行くことが大事だと、私はいつも理事長さまにお伝えしています。

絶対に守ってほしい1点

耐震診断も耐震改修も、市の交付決定通知書が出る前に事業者と契約してしまうと、助成の対象外になります。これは新座市が太字で繰り返し注意している点です。「いい業者が見つかったから先に契約を」という気持ちはよく分かりますが、順番を間違えると数十万〜数百万円の助成がまるごと飛びます。手続きの流れは建築審査課の窓口で必ず確認してから動いてください。


柱3:マンション管理適正化等相談事業(専門家の無料派遣)

新座市は、マンション管理計画認定の取得を目指す管理組合などを対象に、マンション管理士などの専門家から助言・提案を受けられる派遣型の相談事業を行っています(出典:マンション管理について相談ができます)。

相談できる内容は幅広く、管理組合がある場合は「マンション管理計画認定に関すること」、管理組合がまだない・うまく機能していない場合は、組合の設立・運営、管理規約の作成、管理委託契約、そして大規模修繕工事や長期修繕計画の作成・見直し、建替えや敷地売却の合意形成まで含まれます。

費用は無料です。ただし、会場として使う施設の費用と、相談のために用意する資料の費用は利用者負担になります。利用は毎年度2回まで(管理組合がないマンションは追加が認められる場合あり)です。

私はこの制度を、認定や大規模修繕の「前さばき」として非常に有効だと考えています。いきなり工事会社に相談すると、どうしても工事ありきの話になりがちです。その前に中立的なマンション管理士に長期修繕計画を見てもらい、積立金の不足がどのくらいあるのかを把握しておく。その上で私たちのような施工会社に相見積もりを取れば、組合として判断の軸がぶれません。お問い合わせは建築審査課住宅係(電話048-477-4519)です。


柱4:国の制度と省エネ補助を「上乗せ」で使う

新座市の制度に、国の税優遇と環境系の補助を重ねると、実質負担はさらに下げられます。

マンション長寿命化促進税制(固定資産税の減額)

これは国の制度ですが、認定制度とセットで効いてくるので外せません。一定の要件を満たすマンションが、長寿命化に資する大規模修繕工事を行うと、工事完了日の翌年度分の建物(家屋)の固定資産税が減額されます。主な要件は、築20年以上・総戸数10戸以上であること、過去に1回以上、外壁塗装や床防水・屋上防水などの長寿命化工事を実施していること、修繕積立金を一定水準確保していること(管理計画認定を受けているか、市の助言・指導を受けていること)などです。対象期間は令和5年4月1日から令和9年3月31日までです。

減額の割合は、各市区町村の条例で「6分の1から2分の1の範囲」で定めることとされています。新座市での具体的な減額割合は条例によりますので、ここでは断定を避けます。詳しくは国土交通省のマンション長寿命化促進税制のページと、新座市の課税担当窓口でご確認ください。1戸あたり100平方メートル相当分まで・1回限りといった細かな条件もあります。

私が「認定を取りましょう」と申し上げるのは、この税制と認定制度がつながっているからです。認定を取り、過去の修繕履歴を整え、積立金を確保しておく――この積み重ねが、いざ大規模修繕をしたときの税の減額という形で返ってきます。

令和8年度 太陽光発電設備等設置費補助金

新座市は、太陽光発電設備や蓄電池を設置する個人・事業者に補助金を出しています(出典:令和8年度新座市太陽光発電設備等設置費補助金)。2026年度の主な内容は次のとおりです。

  • 太陽光発電設備:補助率90,000円/kW。個人は上限5kW(埼玉県の「省エネ・再エネ活用設備あんしん事業者認定制度」の認定事業者が施工する場合は上限10kW)
  • 蓄電池(太陽光と同時設置・既設接続など):税抜の設備費+工事費の31分の18(上限90,000円/kWh)、個人は5kWhまで
  • 申請期間:個人は令和8年5月1日から令和8年12月10日まで(先着順、予算上限に達し次第終了)
  • 契約前に申請が必要

ここは正直にお伝えしなければなりません。第一に、この補助は「市内に住所を有する個人、または市内の事業者が、当該建物に設置する」ことが基本要件です。マンションの共用部に管理組合として申請できるかは、要件の読み方が難しく、必ず環境課ゼロカーボン推進室(電話048-423-0792)に事前確認してください。第二に、令和8年6月8日時点で、個人向けの蓄電池の予算はすでに上限に達し、6月9日以降は受付終了となっています。太陽光発電設備にはまだ残額がありますが、これも先着順です。環境系の補助は「年度のどのタイミングで動くか」で結果が変わる、という典型例です。


モデルケースで考える――30戸・築28年のマンション

制度を並べただけでは、自分の組合にどれだけ効くのかが見えにくいものです。そこで、新座市内によくある「総戸数30戸・築28年・旧耐震基準(昭和56年5月以前着工)」のマンションを例に、どの制度がどう積み上がるかを、私なりに試算してみます。あくまで考え方の一例であり、実際の金額は診断結果や工事内容で変わります。

まず耐震診断です。30戸×5万円=150万円が一つの上限、診断費用の3分の2がもう一つの上限で、少ないほうが助成額です。仮に診断費用が180万円なら、3分の2は120万円。150万円より少ないので、この場合の助成は120万円となり、組合の実質負担は60万円ほどに圧縮されます。

次に診断の結果、耐震性が不足していて耐震改修に進んだとします。改修工事費が3,000万円なら、3分の1は1,000万円。全戸数×30万円=900万円と比べて少ないほうが助成額ですから、この場合は900万円が助成、ただし上限500万円が効いて500万円が交付額になります。3,000万円の工事に対して500万円ですから、戸あたりで見ると約16万7,000円の負担軽減です。

さらに、その後の大規模修繕で外壁塗装・屋上防水・床防水といった長寿命化工事を行い、管理計画認定を取得して積立金要件を満たしていれば、マンション長寿命化促進税制で翌年度の建物の固定資産税が減額されます。1戸あたり数千円から1万円台の減額でも、30戸分が積み上がれば組合員全体では決して小さくありません。

このように、新座市では「診断で取る・改修で取る・税で取る」を順番に重ねていくのが、もっとも現実的なお金の作り方です。一つひとつは派手ではありませんが、合わせれば数百万円単位で効いてきます。


申請のロードマップ――いつ、何から動くか

補助金や認定は、思い立ってすぐ取れるものではありません。総会決議が必要なものが多く、年単位の段取りになります。私が理事会でいつもお見せする、おおまかな流れをご紹介します。

第1段階(着手〜3か月):現状把握 まずは長期修繕計画と修繕積立金の残高を確認します。ここで柱3の「マンション管理適正化等相談事業」を使い、マンション管理士に無料で長期修繕計画を点検してもらうのが効率的です。新座市建築審査課(048-477-4519)が窓口です。

第2段階(3〜6か月):方針決定と総会決議 耐震診断を受けるのか、認定を目指すのか、組合としての方針を固めます。耐震診断助成も認定申請も、総会での決議が出発点になります。理事会だけで先走らず、必ず総会の議案に載せてください。

第3段階(6〜12か月):申請と交付決定 市に交付申請を出し、交付決定通知書を受け取ってから、初めて事業者と契約します。この順番が命です。認定の場合は、先にマンション管理センターの事前確認を受けて「事前確認適合証」を取り、それを添えて市に申請します。

第4段階(工事〜完了報告):施工と精算 工事を行い、完了報告書を期限内に提出して助成金を受け取ります。太陽光補助のように完了報告に期限(令和9年2月10日まで等)があるものは、年度末ぎりぎりの着工だと間に合わないリスクがあります。

私の経験上、いちばん時間がかかるのは第2段階の合意形成です。だからこそ、工事の1年前から動き出すくらいの気持ちでちょうどいいと、私はいつも理事長さまにお伝えしています。


近隣市との比較――新座市の位置づけ

新座市の制度が手厚いのか、近隣と比べてみます。志木市、朝霞市、和光市はいずれも新座市と隣接し、私たちもよく現場に伺うエリアです。

制度 新座市 志木市 朝霞市 和光市
マンション管理計画認定制度 令和6年12月運用 運用あり 令和6年運用 令和7年10月運用
分譲マンション耐震診断助成 上限150万円 共同住宅区分あり 区分あり 区分あり
分譲マンション耐震改修助成 上限500万円 区分あり 区分あり 上限2,000万円規模
共用部の大規模修繕への直接補助 なし なし なし なし

こうして並べると、新座市は耐震診断・改修ともに管理組合向けの上限額が明確に定められており、制度として使いやすい部類だと分かります。一方で、共用部の大規模修繕への直接補助がない点は、どの市にも共通する事情です。「隣の市にはあるのに」と思われがちですが、実際には埼玉県南部のどの自治体も、補助の軸は耐震・認定・省エネに置いているのが実情です。(※各市の金額・要件は年度や要綱で変わります。必ず各市の最新情報をご確認ください。)


よくあるご質問(FAQ)

Q1.管理計画認定を取ると、市から補助金がもらえるのですか? いいえ、認定そのものに対する現金の補助はありません。認定のメリットは、住宅金融支援機構の融資の金利優遇や、長寿命化工事をしたときの固定資産税の減額といった「間接的な得」です。直接の補助金と混同しないようご注意ください。

Q2.旧耐震ではない(昭和56年6月以降着工の)マンションは、耐震助成を使えませんか? 新座市の分譲マンション耐震診断・改修助成は、昭和56年5月31日以前に着工した建築物が対象です。それ以降のマンションは対象外ですが、長期修繕計画の見直しや認定制度、相談事業は新耐震のマンションでも活用できます。

Q3.太陽光や蓄電池の補助は、管理組合でも申請できますか? 補助の基本要件は「市内に住所を有する個人、または市内の事業者が当該建物に設置すること」です。共用部に管理組合として申請できるかは要件の判断が難しいため、必ず環境課ゼロカーボン推進室(048-423-0792)に事前確認してください。なお令和8年度は、6月の時点で蓄電池の予算がすでに終了しています。

Q4.交付決定の前に、見積りや現地調査だけしてもらうのは大丈夫ですか? 見積りや現地調査の段階であれば問題ありません。NGなのは「契約」を交付決定前に結ぶことです。順番さえ守れば、事前に複数社から相見積もりを取るのはむしろ推奨されます。

Q5.修繕積立金が足りていなくても、認定は取れますか? 認定基準には積立金の額に関する項目があります。不足している場合は、まず長期修繕計画の見直しと積立金の改定が必要になります。これも相談事業でマンション管理士に整理してもらうのが近道です。


新座市の「落とし穴」を3つだけ

最後に、私が現場で見てきた中で、組合がつまずきやすい点を3つに絞ってお伝えします。

1つ目は、「直接の大規模修繕補助はない」という前提を理解すること。 先ほども触れたとおり、新座市には共用部の大規模修繕そのものに工事費を補助する制度はありません。ですから「足場を架けて外壁を塗る費用の何割かが市から出る」と期待していると、肩透かしになります。新座市で取りに行くのは、耐震・認定・税・省エネという「周辺」の支援です。

2つ目は、契約のタイミング。 耐震助成も太陽光補助も、「交付決定の前に契約したら対象外」です。良い業者ほど早く押さえたくなりますが、行政の決定を待つ。この順番だけは崩さないでください。

3つ目は、木造向けの手厚い制度をマンションに当てはめないこと。 新座市の耐震助成は木造一戸建て向けにリフォーム加算やバリアフリー加算など細かな上乗せがありますが、これらは分譲マンションには適用されません。ネットの情報を見て「うちも使えるはず」と早合点しないよう、マンション向けの要綱だけを見て判断してください。


私たちにできること――診断から提案まで

ここまで制度の話を続けてきましたが、補助金は「申請して終わり」ではありません。診断の結果をどう読み、限られた積立金の中でどこから手をつけるか。ここが、組合にとって一番難しいところです。

私たち明誠は、マンション・ビル・ホテルの大規模修繕を、足場を架ける従来工法・ロープアクセス(無足場)工法・その両方を組み合わせたハイブリッド工法の3つから、建物にとって最適なやり方でご提案できる、日本でも数少ない会社です。たとえば「全面足場は費用がかさむが、傷んでいるのは一部の面だけ」というマンションでは、傷んだ面だけをロープアクセスで直すことで、足場費を大きく抑えられることがあります。私はこの選択肢を、必ずワンセットで提案するようにしています(ロープアクセス工法のご紹介、大規模修繕工事のご紹介)。

補助金の取りこぼしを防ぐためにも、まずは長期修繕計画と積立金の現状を整理するところから始めるのがおすすめです。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。新座市の制度の使い方も含めて、ご相談だけでも遠慮なくお声がけください(お問合せフォーム)。

次回も、現場で本当に使える話だけをお届けします。


出典・参考資料

※本記事は2026年6月時点で公表されている情報をもとに作成しています。補助金・助成金は予算の上限到達や年度更新により、内容が変わったり受付が終了したりすることがあります。申請の前に、必ず新座市の各担当窓口で最新の要綱・残額・期限をご確認ください。

▼ロープアクセス工法・無足場工法の詳細解説はこちら
ロープアクセスドットコム|無足場工法専門メディア

志木市のマンション補助金2026年度版|管理組合が使える耐震診断・管理計画認定・長寿命化税制を本間が徹底解説

志木市のマンション管理組合が使える補助金・税制ガイド【2026年度版】

「そろそろうちのマンションも大規模修繕の時期だが、志木市から何か支援は受けられないのだろうか」。理事会でそんな声が出はじめたら、この記事はまさに「うちの話」です。

私は大規模修繕の現場に20年近く立ってきました。マンション・ビル・ホテルの外壁や防水を、足場を組む工法と、ロープでぶら下がって施工する無足場の工法(ロープアクセス工法)の両方で手がけています。その中で、志木市の管理組合の理事長さまから一番多くいただく相談が、「補助金や税制で、修繕積立金の負担を少しでも軽くできないか」というものです。

先に正直に申し上げます。志木市には、共用部の大規模修繕そのものに直接お金を出してくれる「ど真ん中の補助金」は、現時点では用意されていません。ですが、使い方を間違えなければ管理組合の負担を確実に軽くできる制度が、いくつもあります。この記事では、志木市の分譲マンション管理組合が2026年度(令和8年度)に実際に使える制度を、現場目線で整理してお伝えします。読み終えるころには、「自分のマンションでどの制度から動けばよいか」がはっきりしているはずです。


志木市のマンション事情──「他人事ではない」数字

最初に、志木市がいま置かれている状況を数字で押さえておきます。

志木市が策定した「志木市マンション管理適正化推進計画」によると、市内のマンション総戸数は約9,500戸。そのうち、竣工後40年を超える高経年マンションの戸数は全体の3分の1を超える約3,500戸にのぼります。さらに5年後には、その数が概ね半数の約4,900戸まで増える見込みで、これは全国平均を上回るペースです(出典:志木市マンション管理適正化推進計画)。

つまり、建物の老朽化と、それに伴う大規模修繕・資金繰りの悩みは、もう一部の特別なマンションだけの話ではありません。志木市内の多くの管理組合が、これから数年のうちに「2回目・3回目の大規模修繕」と「修繕積立金の見直し」という大きな課題に直面します。だからこそ、使える制度を早めに知っておくことが、理事会の大きな武器になります。


まず押さえる「制度の全体像」

志木市の管理組合が関わる制度は、大きく5つに分けて考えると整理しやすいです。最初に全体像を表でお見せします。それぞれの中身は、このあと順番に解説します。

制度 何に効くか 共用部の修繕に直接使えるか 担当窓口
① マンション管理計画認定制度 管理体制の「お墨付き」・税制や融資の入口 間接的(前提条件になる) 建築開発課
② 建築物耐震診断・設計・改修補助金 旧耐震マンションの診断・耐震改修 使える(旧耐震が条件) 建築開発課
③ マンション長寿命化促進税制 大規模修繕後の固定資産税の減額 間接的(税負担を軽くする) 課税課
④ 住宅用省エネルギー機器設置費補助金 エネファーム設置費の一部補助 限定的(設備に限る) 環境推進課
⑤ 安全住宅リフォーム補助 耐震・バリアフリー改修(自己居住用) 使えない(専有・戸建中心) 建築課

ポイントは、志木市の制度は「①管理体制を整える」→「②耐震という命に関わる工事を支える」→「③きちんと修繕したマンションの税負担を軽くする」という流れで設計されている、ということです。バラバラの制度に見えて、実は一本の線でつながっています。順番に見ていきましょう。


① マンション管理計画認定制度──すべての入口になる「お墨付き」

最初に取り上げるのは、補助金そのものではありませんが、ほかの制度の土台になる非常に重要な制度です。

どんな制度か

マンション管理計画認定制度とは、管理組合が作成した管理計画が一定の基準を満たす場合に、「適切に管理されているマンション」として市が認定する制度です。志木市でも「志木市マンション管理計画認定制度」として運用されています(出典:志木市マンション管理計画認定制度)。

認定基準は、国土交通省がマンション管理適正化指針に定める基準と同一の内容です。管理組合の運営状況、管理規約、経理、長期修繕計画の内容などが、国の定める水準を満たしているかどうかをチェックします。

認定を受けるメリット

認定を取ると、次のような効果が期待できます。

第一に、資産価値の向上です。適正に管理されたマンションとして市場で評価されるため、売買のときに有利に働きます。第二に、金融面の優遇です。住宅金融支援機構の「フラット35維持保全型」や「マンション共用部分リフォーム融資」で金利の引下げが適用され、「マンションすまい・る債」を購入する場合には利率が上乗せされます。第三に、後ほど詳しく説明する長寿命化促進税制(固定資産税の減額)の前提条件になります。ここが実務上は一番大きいポイントです。

申請の流れと費用

申請は、(1)事前準備・合意 →(2)事前確認依頼 →(3)事前確認適合証の受領 →(4)認定申請 →(5)審査・認定通知 →(6)公表・更新、というステップで進みます。申請できるのは、原則として管理組合の管理者等です。

注意したいのは費用です。市への申請手数料は無料ですが、事前確認の段階で(公財)マンション管理センターの「管理計画認定手続支援サービス」を利用するため、システム利用料などが別途かかります。また、申請には同センターが発行する事前確認適合証が必須で、これがないと申請を受け付けてもらえません。認定の有効期間は通知書の発行日から5年間で、満了の1か月前から更新できます。

理事会としては、「総会で認定取得の方針を決める → 長期修繕計画と積立金を見直す → 事前確認を受ける → 認定申請」という順番を、1年〜1年半の余裕をもって進めるのが現実的です。


② 建築物耐震診断・耐震設計・耐震改修補助金──旧耐震マンションの「本丸」

志木市の制度のなかで、共用部の工事に直接お金が出る数少ない制度が、この耐震関連の補助金です。とくに昭和56年(1981年)以前に建てられたマンションをお持ちの管理組合は、ここは必ず押さえてください(出典:建築物耐震診断、耐震設計及び改修補助金)。

対象になるマンション

対象は、昭和56年5月31日以前に建築確認を受けて着工した住宅で、適法に維持管理されているものです。いわゆる「旧耐震」のマンションが対象になります。

ここで朗報があります。志木市は「志木市建築物耐震改修促進計画」の改定にあわせ、補助の実施期間を当初の令和8年3月末から、令和13年(2031年)3月末まで延長しました。住宅の耐震化率を95%にする目標を継続するためで、旧耐震マンションの管理組合にとっては、検討する時間的な余裕が生まれたことになります。

補助の中身(共同住宅=分譲マンションの場合)

分譲マンションの場合、補助は「診断」「設計」「改修」の3段階に分かれています。

耐震診断は、1棟ごとの戸数に応じて100万円から700万円を限度に、診断費用の3分の2以内かつ補助対象者1戸当たり5万円が補助されます。耐震設計(分譲マンションのみが対象)も同様に、戸数に応じて100万円から700万円を限度に、設計費用の3分の2以内かつ1戸当たり5万円です。

そして耐震改修は、耐震診断の結果、評点が1.0未満(耐震性がない)と診断され、改修後に1.0以上となる工事に対して、改修費用の3分の1以内かつ1戸当たり30万円(申請戸数に応じた限度額あり)が補助されます。

さらに見逃せないのが市内業者加算です。共同住宅の工事を、建設業許可を受けている市内業者(市内に本店を有する法人)が行う場合、補助金が10%または20%加算されます。地元の施工体制を組むことで、補助額そのものが上乗せされる仕組みです。

必ず守るべき手続きの順番

ここは何度でも強調します。耐震診断・設計・改修の契約(着手)は、補助金の交付決定後でないと補助の対象になりません。 先に業者と契約してしまうと、後から申請しても一円も出ません。志木市も「必ず事前にご相談ください」と明記しています。理事会で「まず建築開発課(Tel:048-456-5372)に相談する」を最初の一歩にしてください。


③ マンション長寿命化促進税制──きちんと修繕したご褒美の「固定資産税減額」

3つ目は、国の制度を志木市が運用している「長寿命化促進税制」です。大規模修繕を計画的に行ったマンションの固定資産税を軽くする仕組みで、区分所有者一人ひとりの負担に直接効いてきます(出典:長寿命化に資する大規模修繕工事が行われたマンションに対する固定資産税の減額措置)。

減額の内容

一定の要件を満たすマンションが、令和5年4月1日から令和9年3月31日までの間に長寿命化に資する大規模修繕工事を施し、申告すると、工事完了の翌年度分の建物居住用部分について、固定資産税額の3分の1が減額されます(1戸当たり100平方メートルが限度)。

5つの要件

減額を受けるには、次の5つをすべて満たす必要があります。

一つ、新築後20年以上が経過していること。二つ、総戸数が10戸以上であること。三つ、過去に「外壁塗装等工事・床防水工事・屋根防水工事」のすべてを含む長寿命化工事を行っていること。四つ、居住用専有部分を有すること。五つ、長寿命化工事の実施に必要な積立金の確保等をしていること。

この5番目が、①の管理計画認定制度とつながります。具体的には、「管理計画認定マンション」であって、令和3年9月1日以降に修繕積立金の平均額を認定基準未満から認定基準以上に引き上げているか、あるいは長期修繕計画について市から助言・指導を受けて計画を見直し、一定の基準に適合させていること、のいずれかが必要です。つまり、①の認定を取り、積立金を適正水準に引き上げておくことが、③の税制優遇の入口になるのです。

手続きの注意点

工事完了後3か月以内に、必要書類を課税課資産税グループ(Tel:048-473-1135)へ提出します。建築士やマンション管理士が発行する証明書類が必要です。なお、管理組合等の代表者が区分所有者の分をまとめて申告することも認められています。耐震改修・バリアフリー改修・省エネ改修等の減額とは同年度に併用できず、適用は1戸につき1回限りです。

「修繕は積立金を取り崩すだけ」と思われがちですが、計画的にやれば翌年度の固定資産税が軽くなる。これは区分所有者への説得材料としても有効です。


④ 住宅用省エネルギー機器設置費補助金──エネファーム設置の一部を補助

4つ目は、環境分野の補助金です。志木市は地球温暖化防止の一環として、燃料電池コージェネレーションシステム(エネファーム)を設置・増設する費用の一部を補助しています(出典:住宅用省エネルギー機器設置費の補助金について)。

令和8年度(2026年度)の内容は、エネファーム1件につき50,000円。申請受付期間は令和8年4月1日から令和9年2月5日までで、先着順です。予算に達すると早期に締め切られる可能性があるため、検討するなら早めに動くのが鉄則です。

管理組合にとって押さえておきたいのは、申請書類のなかに「共同住宅(分譲住宅)の場合、管理者等及び発電システム設置の決議が確認できる書類の写し」という項目があることです。つまり、共用部にエネファームを設置するケースも、総会の決議があれば申請の俎上に乗ります。なお、この補助金も設置前の申請が必須で、市税等の未納がないことが条件です。

ただし正直に申し上げると、エネファームは大規模修繕の中心テーマである外壁・防水とは別の話です。補助額も限定的なので、「使えるなら使う」くらいの位置づけで捉えるのがよいでしょう。


⑤ 安全住宅リフォーム補助──「共用部には使えない」を正直に

5つ目は、誤解されやすいので、あえて「使えない理由」を含めて説明します。

志木市には「安全住宅リフォーム補助」という制度があり、住宅の耐震化やバリアフリー化に伴う改修工事費の一部を補助しています。内容は、対象工事ごとに上限10万円、工事に要した額の30%以内で、耐震補強関連工事とバリアフリー工事をそれぞれ1回ずつ利用できます(出典:志木市のリフォーム補助金一覧(ハピすむ))。

ただし、この制度は基本的に自己居住用の住宅(戸建てや専有部分)を想定したものです。マンションの共用部の大規模修繕には使えません。「リフォーム補助があるなら共用部の外壁にも使えるのでは」と期待される理事長さまは多いのですが、ここは線引きがはっきりしています。管理組合としては、共用部は②の耐震補助や③の税制で考え、この制度は各区分所有者が専有部のバリアフリー化などで使うもの、と整理しておくと混乱しません。


モデルケースで見る「いくら戻るのか」

数字だけ並べてもイメージしにくいので、志木市の制度(②の耐震補助)を使った場合に、実際どのくらい補助されるのかを、仮のモデルマンションで試算してみます。あくまで考え方を示すための概算で、実際の金額は戸数・工事内容・限度額によって変わります。

ケースA:50戸の旧耐震マンションで耐震診断を行う場合。 診断費用が仮に300万円だったとします。補助は「診断費用の3分の2以内」かつ「1戸当たり5万円」が基準です。診断費の3分の2は200万円、1戸5万円×50戸は250万円。このうち少ない200万円が、戸数に応じた限度額(100万〜700万円)の範囲内で補助されるイメージです。管理組合の実質負担は、300万円から200万円を差し引いた約100万円まで圧縮できる計算になります。建物の現状を「数字」で把握する第一歩としては、十分に踏み出しやすい金額ではないでしょうか。

ケースB:同じ50戸のマンションで耐震改修を行う場合。 改修費用が仮に6,000万円だったとします。補助は「改修費用の3分の1以内」かつ「1戸当たり30万円」。改修費の3分の1は2,000万円、1戸30万円×50戸は1,500万円。このうち少ない1,500万円が補助の目安になります(申請戸数に応じた限度額があります)。さらに、建設業許可を持つ市内業者が施工すれば、補助金が10%または20%加算されます。地元の施工体制を組むことで、補助の「率」だけでなく「額」も上積みできるわけです。

志木市の耐震補助は、診断で1戸当たり5万円、改修で費用の3分の1という水準で、旧耐震マンションの管理組合にとっては動き出す価値が十分にあります。まずは正確な見積りと、建築開発課への事前相談から始めてください。


よくある質問──理事会で実際に出る疑問

最後に、説明会や理事会で実際によく出る質問に、現場目線でお答えします。

Q1:うちは新耐震(昭和56年6月以降)なのですが、耐震補助は使えますか。
②の耐震診断・改修補助は、昭和56年5月31日以前に着工した旧耐震の建物が対象です。新耐震のマンションは対象外ですが、その分、①管理計画認定制度や③長寿命化促進税制の活用に軸足を置くとよいでしょう。新耐震であっても、築年数が経てば防水や外壁の修繕は必ず必要になります。

Q2:管理計画認定を取るのに、結局いくらかかりますか。
志木市への申請手数料は無料です。ただし、事前確認のために(公財)マンション管理センターの支援サービスを利用するため、システム利用料などが別途かかります。金額は申請の手引きで確認できますので、まずは建築開発課に相談し、手引きを入手するところから始めるのが確実です。

Q3:長寿命化促進税制の「過去の長寿命化工事」とは、どこまでやっていれば認められますか。
外壁塗装等工事・床防水工事・屋根防水工事の「すべて」を過去に行っていることが要件です。一部だけでは認められません。だからこそ、これから大規模修繕を計画するなら、最初からこの3つをそろえる前提で長期修繕計画を組んでおくと、将来の税制優遇につなげやすくなります。

Q4:補助金の申請は、管理会社に任せておけば大丈夫ですか。
管理会社が手続きをサポートしてくれるケースは多いですが、最終的に総会決議や交付決定前の契約管理といった「期限とタイミング」の判断は管理組合の責任です。とくに「交付決定前に契約しない」という鉄則は、理事会としても必ず把握しておいてください。任せきりにせず、節目で進捗を確認することをおすすめします。

Q5:複数の制度は同時に使えますか。
①②④は目的が異なるため、要件を満たせば併用を検討できます。一方、③の長寿命化促進税制は、耐震改修・バリアフリー改修・省エネ改修等による固定資産税の減額とは同年度に併用できず、適用は1戸につき1回限りです。どの年度にどの制度を当てるか、修繕のスケジュールとあわせて設計することが大切です。


申請の「順番」──理事会が動くロードマップ

ここまでの制度を、実際に動く順番で並べ直すと、理事会の動き方が見えてきます。

まず最初にやるべきは、①管理計画認定制度の検討と長期修繕計画・修繕積立金の見直しです。これがすべての土台になります。認定を取り、積立金を適正水準に引き上げておけば、③の固定資産税減額の要件にもつながります。

次に、旧耐震(昭和56年5月以前着工)のマンションなら、②の耐震診断から着手します。診断費用の3分の2が補助されるので、まずは建物の現状を「数字」で把握しましょう。診断の結果、耐震改修が必要となれば、設計・改修と段階を踏んで補助を受けられます。いずれも交付決定前の契約は対象外なので、契約のタイミングだけは絶対に間違えないでください。

そして、大規模修繕を実施する際は、外壁塗装・床防水・屋根防水を計画的にそろえることで、③の長寿命化促進税制の対象に乗せられないかを検討します。④のエネファームのような設備系は、タイミングが合えば併せて活用します。

この順番を意識するだけで、「バラバラの制度を場当たり的に使う」状態から、「制度を連動させて負担を最小化する」状態に変わります。


ここでつまずく──現場で見てきた3つの落とし穴

最後に、私が現場で実際に見てきた「もったいない失敗」を3つ共有します。

落とし穴1:先に契約してしまう。 これが一番多い失敗です。耐震補助も省エネ補助も、すべて「交付決定後に契約・着工」が原則です。良い業者が見つかって急いで契約した結果、補助が一切受けられなかった、というケースを何度も見てきました。動く前に、まず窓口へ相談してください。

落とし穴2:修繕積立金の不足を放置する。 長寿命化促進税制も管理計画認定も、突き詰めると「計画的に積立金を確保できているか」が問われます。積立金が不足していると、認定も税制優遇も遠のき、そもそも大規模修繕の選択肢が狭まります。早めの値上げ議論は、痛みを伴いますが、結局は資産価値を守る近道です。

落とし穴3:工法を1つしか比較しない。 大規模修繕というと「足場をぐるりと組むもの」と思い込んでいる管理組合が大半です。しかし、足場の架設・解体費は工事費全体のなかで決して小さくありません。ここを見直すだけで、コストも工期も、住民の生活への影響も大きく変わります。


補助金の先にある「工法の選択」──負担を本当に軽くする方法

補助金や税制は、確かに管理組合の負担を軽くします。しかし、工事費そのものを下げる最大のレバーは、実は「工法の選び方」にあります。

私たちは、大規模修繕を3つの工法から建物に最適な形で提案しています。1つ目は、従来型の足場仮設工法。複雑な形状や全面的な改修には今も有効です。2つ目は、産業用ロープを使ってビルの外壁にぶら下がって施工するロープアクセス工法(無足場工法)。足場を組まないため、足場架設費を抑えられ、工期も短く、何より足場による圧迫感や防犯面の不安といった居住者の生活への影響を最小化できます。3つ目は、両者を部位ごとに使い分けるハイブリッド工法です。たとえば「低層部は足場、高層部や狭小部はロープアクセス」と組み合わせ、総合的なコストと工期を最適化します。

この3つを建物特性に応じて選べる会社は、日本でも多くありません。志木市のように高経年マンションが急増していく地域では、「補助金で何割か軽くする」だけでなく、「そもそもの工事費と住民負担を工法で下げる」という発想が、これからの管理組合にとって重要になります。診断やお見積りは、もちろん複数社で比較していただいて構いません。大切なのは、足場ありきで考えず、選択肢を広げて検討することです。


まとめ──「相談を最初の一歩に」

志木市には、共用部の大規模修繕そのものへの直接補助はないものの、①管理計画認定制度、②耐震診断・設計・改修補助金、③長寿命化促進税制、④省エネ機器補助という、連動させれば確実に負担を軽くできる制度がそろっています。鍵になるのは、これらを「正しい順番で、契約前に」動かすことです。

まずは管理計画と修繕積立金の現状を点検し、旧耐震であれば耐震診断から。そして大規模修繕を計画する段階で、長寿命化促進税制と工法の選択をセットで検討する。この流れを理事会で共有するだけで、数年先の負担は大きく変わります。

制度の最新の金額や要件は年度ごとに変わり、予算が上限に達すると締め切られるものもあります。検討を始める際は、必ず各担当窓口(建築開発課 048-456-5372、課税課 048-473-1135、環境推進課 048-473-1492)に最新情報をご確認ください。そして、工事の進め方や工法の選び方でお悩みがあれば、私たちにもお気軽にご相談ください。志木市のマンションが、これからも長く価値を保ち続けられるよう、現場目線で力になります。


本記事は2026年6月時点で公表されている志木市および国土交通省の情報をもとに作成しています。補助金・税制の金額や要件、受付期間は変更される場合がありますので、申請前に必ず各担当窓口の最新情報をご確認ください。

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朝霞市のマンション管理組合が使える補助金・税制ガイド【2026年度版】

「うちのマンション、そろそろ大規模修繕の時期だけれど、朝霞市から何か支援はあるのだろうか」。理事会でそんな声が出はじめたら、この記事はまさに「うちの話」です。

私は大規模修繕の現場に20年近く立ってきました。マンション・ビル・ホテルの外壁や防水を、足場を組む工法と、ロープでぶら下がって施工する無足場の工法(ロープアクセス工法)の両方で手がけています。その中で、朝霞市の管理組合の理事長さまから一番多くいただく相談が、「補助金や税制で、修繕積立金の負担を少しでも軽くできないか」というものです。

正直に申し上げます。朝霞市には、共用部の大規模修繕そのものに直接お金を出してくれる「ど真ん中の補助金」は、現時点では用意されていません。ですが、使い方を間違えなければ管理組合の負担を確実に軽くできる制度が、いくつもあります。この記事では、朝霞市の分譲マンション管理組合が2026年度(令和8年度)に実際に使える制度を、現場目線で整理してお伝えします。

朝霞市には約250棟の分譲マンションが立地し、その数は毎年増え続けています。築30年以上のマンションは全体の約3割を占めており、建物の老朽化と居住者の高齢化が同時に進んでいます(出典:朝霞市「分譲マンション管理状況アンケート調査」)。つまり、大規模修繕と資金繰りの悩みは、もう一部の特別なマンションだけの話ではありません。


まず押さえる「制度の全体像」

朝霞市の管理組合が関わる制度は、大きく5つに分けて考えると整理しやすいです。最初に全体像を表でお見せします。それぞれの中身は、このあと順番に解説します。

制度 何に効くか 共用部の修繕に直接使えるか 担当窓口
① マンション管理計画認定制度 管理体制の「お墨付き」・税制や融資の入口 間接的(前提条件になる) 開発建築課
② 建築物耐震診断・改修等補助金 旧耐震マンションの診断・耐震改修 使える(旧耐震が条件) 開発建築課
③ マンション長寿命化促進税制 大規模修繕後の固定資産税を減額 間接的(税の軽減) 課税課
④ 創エネ・省エネ設備設置費補助金 共用部の太陽光・雨水貯留槽・V2H 一部使える 環境推進課
⑤ 個人住宅リフォーム資金補助金 専有部のリフォーム 使えない(専有部のみ) 産業振興課

私はいつも理事長さまに、「補助金は1つを探すのではなく、この5つを組み合わせて考えてください」とお伝えしています。1つだけを見て「うちは対象外だった」とあきらめてしまう管理組合を、私は何度も見てきました。実際には、ある制度では対象外でも、別の制度や税制では恩恵を受けられることがほとんどです。1つずつ見ていきましょう。

少し私の現場の話をさせてください。以前、ある築35年・48戸のマンションで、理事会の皆さまが「補助金は調べたけれど、うちの共用部の塗装には1円も出ないと言われた」と肩を落としておられました。たしかに塗装そのものへの直接補助はありませんでした。ですが、長期修繕計画を整えて管理計画認定を取り、外壁塗装・床防水・屋根防水をワンセットで施工する計画に組み直したところ、長寿命化促進税制による固定資産税の減額が使える形になりました。「ダメだ」と思っていた制度が、見方を変えると効いてくる。これが補助金・税制の難しさであり、面白さでもあります。


① マンション管理計画認定制度 ― すべての入口になる「お墨付き」

最初にご紹介するのが、朝霞市マンション管理計画認定制度です。これは補助金そのものではありませんが、私はこの制度を「他の制度を有利に使うための入口」と位置づけています。

認定制度とは何か

マンション管理計画認定制度とは、管理組合がつくった管理計画が一定の基準を満たしているかを、自治体が審査して「認定」する仕組みです。マンション管理適正化法の改正を受け、朝霞市は令和6年2月に「朝霞市マンション管理適正化推進計画」を策定し、認定制度の運用を開始しました(出典:朝霞市マンション管理計画認定制度)。

ありがたいのは、朝霞市には市独自の上乗せ基準がない、という点です。つまり国が定めた基準を満たせば認定が受けられます。基準を大まかに言うと、管理者(理事長など)や監事が選任されていること、年1回以上の総会が開かれていること、管理規約が整っていること、管理費と修繕積立金が会計上きちんと分けられていること、そして長期修繕計画(30年以上の修繕の見通しを立てた計画書)が7年以内に見直され、総会で決議されていること、などです。

認定を受けるメリット

認定を受けると、朝霞市は次の効果を挙げています。資産価値の向上、住宅金融支援機構による金利等の優遇、区分所有者の意識醸成です。私の経験上、特に効いてくるのは2つあります。1つは、後述する長寿命化促進税制の「修繕積立金が確保されている」という条件を、この認定でクリアできること。もう1つは、フラット35などの融資で金利が下がることです。

手続きと費用

手続きは、(1)管理組合が総会で認定申請を決議し、(2)公益財団法人マンション管理センターの事前審査を受けて「事前確認適合証」の交付を受け、(3)市に認定を申請する、という3段階です。

費用について注意点があります。市への申請手数料は無料ですが、「管理計画認定手続支援サービス」のシステム利用料と事前確認審査料が別途かかります。また、認定の有効期間は5年で、更新しなければ認定は無効になります。詳細は開発建築課住宅政策係(電話048-423-3854)にご確認ください。

長期修繕計画の修繕積立金には、認定の前提として「平均額が著しく低額でないこと」という条件があります。国の目安をもとにした下限値の一部を、参考までに表にまとめます。自分のマンションの積立金が足りているかどうか、ざっくり当たりをつけるのにお使いください。

階数・延床面積 月額の専有面積あたり下限の目安
20階未満/延床5,000平方メートル未満 235円/平方メートル・月
20階未満/5,000〜10,000平方メートル未満 170円/平方メートル・月
20階未満/10,000〜20,000平方メートル未満 200円/平方メートル・月
20階未満/20,000平方メートル以上 190円/平方メートル・月
20階以上 240円/平方メートル・月

たとえば専有70平方メートルの住戸なら、20階未満・延床5,000平方メートル未満のケースで月額1万6,450円(70×235円)が一つの目安です。これを大きく下回っているなら、認定の前に積立金の見直しが必要になる可能性が高い、と私は理事会で必ずお伝えしています。


② 建築物耐震診断・改修等補助金 ― 旧耐震マンションの命綱

次が、共用部に「直接」使える数少ない補助金、建築物耐震診断・改修等補助金です。ただし大前提があります。対象は、原則として昭和56年5月31日以前に着工された建物、いわゆる旧耐震(新しい耐震基準より前に建てられた建物)のマンションです(出典:朝霞市 建築物耐震診断・改修等補助金)。マンションの場合、申請するのは管理組合です。

耐震診断の補助

まず耐震診断です。診断とは、建物がどれくらいの地震に耐えられるかを建築士が調べる作業のことです。共同住宅の場合、診断にかかった費用の50パーセント以内で、最大「戸数×2万円」かつ100万円までが補助されます。たとえば40戸のマンションなら、戸数換算で80万円が上限の目安になります。診断は、原則として市内の建築士事務所の建築士が行い、木造以外の建物では市が認めた耐震判定委員会の判定が必要です。

補助額のイメージがつかみやすいよう、戸数ごとの診断補助の上限を表にしておきます(あくまで「戸数×2万円」と「100万円」のいずれか小さい額が上限という計算上の目安です)。

総戸数 戸数×2万円 実際の診断補助上限の目安
20戸 40万円 40万円
40戸 80万円 80万円
50戸 100万円 100万円
80戸 160万円 100万円(上限が効く)

50戸を超えると100万円の上限が先に効いてくる、という点が実務上のポイントです。

耐震改修の補助

診断の結果、耐震性が足りないと判定された場合の耐震改修にも補助があります。共同住宅では、改修にかかった費用の20パーセント以内で、最大「戸数×30万円」かつ1,000万円までです。40戸なら戸数換算で1,200万円ですが、上限の1,000万円が効いてきます。木造以外の建物では、構造耐震指標(Is値という耐震性の指標)が0.6以上になる改修計画が条件です。施工は原則として市内の建設業者が行い、中間検査も必須となっています。

最大の落とし穴 ―「申請前に着工したらゼロ」

ここが本題です。私が現場で一番悔しい思いをするのが、この制度で「申請より先に工事を始めてしまった」ケースです。耐震診断も耐震改修も、実施する前に申請書を提出する必要があります。さらに、補助金を申請した年度の1月31日までに完了報告を出さなければなりません。総会の決議や業者選定に時間がかかる管理組合では、このスケジュール管理がとても重要です。「見積もりを取って、いざ着工」の前に、必ず開発建築課(電話048-423-3854)へ一報を入れてください。


③ マンション長寿命化促進税制 ― 大規模修繕で固定資産税が3分の1に

3つ目は、補助金ではなく税制です。マンション長寿命化促進税制といい、一定の条件を満たす大規模修繕を行うと、翌年度の建物の固定資産税が減額される国の制度です。

対象になる条件

朝霞市の案内によると、令和5年4月1日から令和9年3月31日までの間に、長寿命化に資する大規模修繕工事を行った場合、工事完了年の翌年度分の固定資産税が3分の1減額されます(出典:朝霞市 家屋に対する課税)。条件として、新築から20年以上が経過していること、居住用の専有部分があること、そして対象工事として外壁塗装等工事・床防水工事・屋根防水工事のすべてを行っていることが必要です。

国の制度としては、総戸数10戸以上であること、過去に1回以上の長寿命化工事を行っていること、修繕積立金が一定額確保されていること(ここで①の管理計画認定が効いてきます)も要件になっています(出典:国土交通省 マンション長寿命化促進税制)。

朝霞市での減額幅と申告

減額割合は市町村の条例で6分の1から2分の1の範囲で定められますが、朝霞市は3分の1としています。注意したいのは、工事完了から3か月以内に申告が必要な点です。1戸あたり100平方メートル相当分まで、1回限りの減額です。詳しくは課税課(電話048-463-2875)へお問い合わせください。

私はこの税制を、外壁塗装と防水をワンセットで提案する大規模修繕と必ずセットで考えるようにしています。工事の中身を「外壁・床防水・屋根防水すべて」に整えることで、税の軽減という形でお金が戻ってくるからです。


④ 創エネ・省エネ設備設置費補助金 ― 共用部に使える貴重な制度

4つ目は、令和8年度(2026年度)の朝霞市創エネ・省エネ設備設置費補助制度です。多くの省エネ補助は「自分で住んでいる人」向けで共用部は対象外ですが、この制度には管理組合が共用部に使える枠があります。これは管理組合にとって貴重です(出典:令和8年度 朝霞市 創エネ・省エネ設備設置費補助制度 応募要領)。

共用部(管理組合)が対象になるもの・ならないもの

応募要領を読むと、設備ごとに対象者が細かく分かれています。共用部に設置する管理組合が対象になるのは、次の3つです。

  • 住宅用太陽光発電システム(共用部に設置し、発電した電力を共用部で使う管理組合):1kWあたり35,000円、管理組合は上限500,000円
  • 雨水貯留槽(共用部に設置する管理組合):費用の2分の1、管理組合は上限100,000円
  • V2H(電気自動車から住宅へ給電する設備。共用部に設置する管理組合):100,000円

一方、家庭用燃料電池(エネファーム、補助5万円)、定置用リチウムイオン蓄電池(10万円)、HEMS(1万円)は、「自ら居住する集合住宅の専有部分に設置する個人」が対象で、共用部・管理組合は対象外です。ここを混同しないようにしてください。

金額・締切と申請の注意

受付期間は令和8年4月1日から令和9年2月26日まで、予算は620万円で、予算額に達し次第終了する先着順です。実績報告書の提出期限は令和9年3月12日です。管理組合が申請する場合、市税滞納の要件は除外されますが、管理者等が確認できる書類と、総会で設備設置を議決した議事録の写し(議事録署名人の署名入り)が必要です。そして耐震補助と同じく、交付決定の前に工事に着手すると補助金は出ません。問い合わせは環境推進課(電話048-463-1512)です。


⑤ 個人住宅リフォーム資金補助金 ―「共用部」には使えません

5つ目は、よく問い合わせをいただく個人住宅リフォーム資金補助金です。結論から申し上げると、管理組合の共用部の大規模修繕には使えません。正直にお伝えしておきます。

この制度は、自己の居住に供する自己所有の住宅のリフォームが対象で、対象工事費の5パーセント・上限5万円を補助するものです。集合住宅の場合は専有部分のみが対象で、共用部は対象外と明記されています。さらに、市・県・国の同様の補助金との併用ができません(出典:朝霞市 個人住宅リフォーム資金補助金)。

ですから、区分所有者さまが個人で室内をリフォームする場面では使えますが、管理組合の修繕では出番がない、と整理しておくのが正確です。窓口は産業振興課(電話048-463-1903)です。


国の制度との合わせ技 ― 「住宅省エネ2026」も視野に

ここまでは朝霞市の制度を中心に見てきましたが、私は理事長さまに「市の制度だけで考えないでください」とお伝えしています。国にも、マンションの省エネ改修や窓の断熱改修を後押しする「住宅省エネ2026キャンペーン」や「先進的窓リノベ2026事業」といった大型の支援があります。共用部の窓や玄関ドアの断熱改修、給湯設備の更新などは、これら国の事業の対象になることがあります。

ただし注意したいのは、朝霞市の個人住宅リフォーム資金補助金が「市・県・国の同様の補助金と併用できない」と定めているように、制度には併用の可否があるという点です。どれと、どれを、どの順番で使うのが一番得か。これは管理組合ごとに条件が違うため、私はいつも「総額で一番手元に残る組み合わせ」を一緒に試算するようにしています。補助金は足し算ではなく、組み合わせの最適化だとお考えください。


修繕積立金が足りないと、すべての入口が狭くなる

最後にもう一点、現場で痛感していることをお伝えします。ここまで紹介した制度の多くは、突き詰めると「長期修繕計画が整っているか」「修繕積立金が確保されているか」に行き着きます。管理計画認定の基準にも、長寿命化促進税制の要件にも、積立金の確保が顔を出します。

私の経験上、築20年を過ぎたあたりから、修繕積立金の不足に気づく管理組合が一気に増えます。新築時の積立金が低く設定されたまま据え置かれ、いざ2回目の大規模修繕という段階で「お金が足りない」と分かるのです。ここで安易に一時金を集めようとすると、区分所有者の合意形成が難航し、工事そのものが先送りになります。先送りは建物の劣化を進め、結果として将来の工事費を膨らませます。

だからこそ私は、補助金や税制の話と必ずセットで、長期修繕計画と積立金の見直しをお勧めしています。資産価値を守るというのは、こうした地味な土台づくりの積み重ねにほかなりません。制度を使う前に、まず足元を整える。遠回りに見えて、これが一番の近道です。


朝霞市の管理組合が動くべき「順番」

ここまで5つの制度を見てきました。読み終えた理事長さまが、次に何をすればよいのか。私がいつもお伝えしている順番でまとめます。

  1. まず長期修繕計画を最新の状態に整える。これが認定制度・税制すべての土台になります。
  2. ①の管理計画認定を検討する。認定が、③の税制と融資優遇の前提になります。
  3. 旧耐震(昭和56年5月以前着工)のマンションなら、②の耐震診断・改修補助を、必ず着工前に申請する。
  4. 大規模修繕では、外壁塗装・床防水・屋根防水をワンセットで計画し、③の長寿命化税制の減額(朝霞市は3分の1)を狙う。完了後3か月以内の申告を忘れない。
  5. 共用部に太陽光や雨水貯留槽を入れる計画があれば、④の補助を先着順のうちに押さえる。

戸あたりの財布感覚で言えば、たとえば40戸のマンションで耐震改修補助の上限1,000万円が出れば、1戸あたり25万円の負担軽減です。決して小さくありません。


近隣の和光市・新座市・志木市とどう違うのか

「隣の市では大規模修繕に補助が出ると聞いたが、朝霞市はどうなのか」。これも理事長さまからよくいただく質問です。私が現場で見てきた範囲でお答えすると、埼玉県南部の各市は、おおむね似た制度の組み合わせを採っています。

具体的には、マンション管理計画認定制度、旧耐震を対象とした耐震診断・改修補助、国のマンション長寿命化促進税制、そして省エネ設備の補助、というセットはどの市にも共通しています。一方で、共用部の外壁塗装や防水そのものに直接お金を出す「大規模修繕補助」は、和光市にも新座市にも、そして朝霞市にも明文化されていません。これは埼玉県南部に限らず、全国的にも珍しい部類の制度です。

ですから、「隣の市はうらやましい」と思う必要はあまりありません。違いが出るのは、耐震改修補助の上限額や、省エネ補助で共用部がどこまで対象になるか、といった細部です。朝霞市の場合、省エネ補助で太陽光・雨水貯留槽・V2Hの3つが共用部(管理組合)でも対象になる点は、むしろ使い勝手の良い部類だと私は感じています。大切なのは、隣の芝生を見ることではなく、自分のマンションがどの制度に当てはまるかを、一つずつ確認することです。


よくある質問(朝霞市の管理組合から)

最後に、現場でよくいただく質問を3つにしぼってお答えします。

Q. 大規模修繕の外壁塗装そのものに、朝霞市から補助は出ますか。
A. 残念ながら、塗装・防水そのものへの直接補助は朝霞市にはありません。ただし旧耐震のマンションなら耐震改修補助が、また工事の中身を整えれば長寿命化促進税制による固定資産税の減額が使えます。「補助金ゼロ」と「実質負担を軽くする方法ゼロ」は違う、とお考えください。

Q. 管理組合に滞納している区分所有者がいると、補助は受けられませんか。
A. 制度によります。省エネ設備の補助では、管理組合が申請する場合は「市税を滞納していない者」という要件から管理組合が除外されています。一方で、管理計画認定では、修繕積立金の3か月以上の滞納額が全体の1割以内であること、という基準があります。滞納の扱いは制度ごとに違うので、個別に確認が必要です。

Q. どこに相談すればよいか分かりません。
A. 制度ごとに窓口が分かれています。認定制度と耐震補助は開発建築課(048-423-3854)、税制は課税課(048-463-2875)、省エネ補助は環境推進課(048-463-1512)、専有部のリフォーム補助は産業振興課(048-463-1903)です。朝霞市には分譲マンション管理の無料相談窓口(事前予約制)もありますので、まずはそちらで全体像を整理するのも一つの手です。


補足:足場かロープアクセスかで、修繕費は変わります(自社のご案内)

最後に、私の本業に関わる話を一つだけ。利益相反にならないよう、ここからは自社のサービス紹介だと明記したうえでお伝えします。

補助金や税制で負担を軽くする努力と同じくらい大切なのが、工事費そのものを適正にすることです。大規模修繕の費用は、実は足場の仮設費が大きな割合を占めます。建物の形状や高さによっては、足場を全面に組むのではなく、ロープアクセス工法(産業用ロープで施工する無足場の工法)を使うことで、足場費と工期を抑えられる場合があります。詳しくはロープアクセス工法のご紹介をご覧ください。

私たちは、足場・ロープアクセス・その両方を組み合わせるハイブリッド工法の3つから、建物にとって一番無駄のない方法をご提案しています。これは私が現場で20年見てきた、嘘偽りのない実感です。大規模修繕の全体像については大規模修繕工事のご紹介にまとめています。

朝霞市の補助金・税制は、申請の順番とタイミングを間違えなければ、管理組合の負担を確実に軽くしてくれます。ご相談だけでも遠慮なくお声がけください。総会の前段階の整理や、長期修繕計画の見直しだけでも、お力になれることがあります。お問い合わせはこちらのフォームからどうぞ。


出典・参考資料

本記事は2026年6月時点の公開情報に基づきます。補助金・税制は予算状況や年度によって変わります。申請の前に、必ず各担当窓口で最新の要件をご確認ください。

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和光市のマンション補助金2026年度版|管理組合が大規模修繕の前に押さえたい耐震・管理計画認定・長寿命化税制を本間が徹底解説

築20年を超えたマンションの理事会で、必ずと言っていいほど出てくるのが「次の大規模修繕、いくらかかるのか」という話です。そして、そのすぐ後に続くのが「和光市から、何か補助はもらえないのか」というご質問です。私はマンションの大規模修繕の現場に20年近く立ち会ってきましたが、この入り口の情報を正しく持っているかどうかで、管理組合の負担は数十万円、場合によっては百万円単位で変わります。

この記事では、埼玉県和光市で分譲マンションの管理組合が2026年度(令和8年度)に使える可能性のある制度を、和光市の公式情報をもとに整理します。結論を先にお伝えすると、和光市で管理組合が押さえるべき柱は「マンション管理計画認定制度」「住宅・建築物耐震改修補助金」「マンション長寿命化促進税制(固定資産税の減額)」、そして省エネ系の補助金の4つです。和光市は令和7年10月にできたばかりの制度もあり、近隣市と比べて耐震改修の補助上限が大きいという特徴もあります。ここからが本題です。


まず結論:和光市で管理組合が確認すべき4つの柱

細かい話に入る前に、全体像を一枚の表にまとめます。ご自身のマンションがどれに当てはまりそうか、ここで当たりをつけてください。

制度名 ざっくり何がもらえる/得するか 主な対象 和光市の窓口
マンション管理計画認定制度 認定でフラット35等の金利優遇、資産価値の裏付け。市への申請手数料は無料 分譲マンションの管理組合 都市整備部 建築課
住宅・建築物耐震改修補助金 耐震診断:上限100万円/耐震改修:上限2,000万円 旧耐震(昭和56年5月31日以前着工)の分譲マンション 建築課 審査住宅担当 048-424-9134
マンション長寿命化促進税制 翌年度の建物の固定資産税をおおむね6分の1〜2分の1減額 築20年以上・10戸以上などの要件を満たすマンション 課税課 資産税担当(国の制度)
ゼロカーボン推進事業補助金ほか省エネ系 省エネ家電の買い換え費用などを補助 主に居住者個人(専有部) 環境課 048-424-9118

ここで一つ、正直に申し上げておきます。和光市にも「マンションの共用部の大規模修繕そのものに、まとまった金額を直接出す」という補助制度は、現時点で明文化されていません。これは和光市に限った話ではなく、多くの市で共通しています。だからこそ、「耐震」「管理計画認定」「税制」という、少し角度の違う3つの入り口から制度を取りに行く発想が要になります。一つずつご説明します。


制度1:マンション管理計画認定制度(令和7年10月運用開始)

最初にご紹介したいのが、和光市が令和7年(2025年)10月1日から運用を始めた「マンション管理計画認定制度」です。これは比較的新しい制度で、和光市でも始まってまだ日が浅いものですから、理事会でまだ話題に上っていない組合さんも多いはずです。

そもそもどんな制度か

マンション管理計画認定制度は、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」に基づく仕組みです。管理組合が作成・運用している管理計画(管理規約、長期修繕計画、修繕積立金の積立状況、総会の開催状況など)が一定の基準を満たしていることを、和光市が審査して「認定」するものです。和光市の認定基準は、国が定めたマンション管理適正化指針の基準と同一の内容とされています。つまり、和光市だけの特殊なハードルが上乗せされているわけではなく、全国共通のモノサシで自分たちの管理状態を確かめられる制度だとお考えください。

対象は和光市内に所在する分譲マンションで、認定基準を満たしたものです。賃貸マンションは対象外です。なお、販売前で管理組合がまだ組織されていない新築マンションについては、公益財団法人マンション管理センターが認定主体となる「予備認定制度」が別にあります。

何が得になるのか

「認定を取ると、お金がもらえるのですか」とよく聞かれますが、この制度は補助金が直接振り込まれるタイプではありません。得られるのは、主に次のようなメリットです。

第一に、住宅金融支援機構の「フラット35」の金利引下げや、マンション共用部分リフォーム融資の金利優遇の対象になり得ること。第二に、認定を受けたという事実が、適切に管理された資産であることの「お墨付き」になり、区分所有者が住戸を売却する際の訴求材料になること。第三に、後ほど説明するマンション長寿命化促進税制(固定資産税の減額)を受ける際、修繕積立金が確保されていることの裏付けとして、この認定が一つの根拠になり得ることです。

つまり、認定そのものは現金給付ではないものの、「融資条件」「資産価値」「税制優遇の入り口」という三方向で効いてくる、いわば土台づくりの制度です。これから大規模修繕や長期的な資産維持を考える組合にとって、最初に整えておく価値があります。

申請の流れと費用

申請者は、原則として管理組合の管理者等(理事長など)です。手続きは、公益財団法人マンション管理センターの「管理計画認定手続支援システム」を使い、まず事前確認を受け、その後に和光市へ認定申請を行う、という二段構えになっています。

費用面で押さえておきたいのは、和光市への申請手数料は無料である一方、マンション管理センターの事前確認に係る審査料と、システムの利用料は別途かかるという点です。「無料」という言葉だけが独り歩きすると、後で「センターの審査料は聞いていない」となりがちなので、理事会では最初から「市は無料、センターの実費は別」と共有しておくのが安全です。認定の有効期間は認定通知書の発行日から5年で、更新も申請と同じ手続きになります。

判断に迷ったときのために、国の制度として「マンション管理計画認定制度 相談ダイヤル」が用意されています。一般社団法人日本マンション管理士会連合会が、月曜から土曜の10時〜17時に無料で相談を受け付けています(電話 03-5801-0858)。和光市の制度の具体的な申請の手引きは市の公式ホームページからダウンロードできますので、まずは長期修繕計画と修繕積立金の現状が認定基準に届いているかを確認するところから始めるとよいでしょう。


制度2:和光市住宅・建築物耐震改修補助金(近隣より上限が大きい)

次が、旧耐震のマンションにとって金額的なインパクトが最も大きい「和光市住宅・建築物耐震改修補助金」です。和光市の建築課(審査住宅担当 048-424-9134)が窓口で、分譲マンション向けのメニューがきちんと用意されています。私が実務で見ている範囲でも、和光市はこの耐震改修補助の上限額が近隣市より大きく設定されているのが特徴です。

対象になるマンション

対象建築物は、建築確認を取得して昭和56年(1981年)5月31日以前に着工された分譲マンションです。いわゆる「旧耐震基準」の建物ですね。加えて、分譲マンションの場合は次の条件が付きます。申請者は分譲マンション等の管理組合であること、全戸数の半分以上に区分所有者が居住していること、管理組合で耐震診断・改修の決議がなされていること、そして市税の滞納がないことです。

「全戸数の半分以上に区分所有者が居住していること」という要件は、賃貸に出ている住戸が多いマンションでは引っかかる可能性があります。ご自身のマンションの居住実態を、申請前に一度確認しておいてください。

耐震診断の補助額

まず入り口となる耐震診断について。建築士事務所の登録をしている建築士の診断を受け、耐震判定委員会等の判定を受けることで、費用の一部が補助されます。補助額は、「耐震診断費用の3分の2」「戸数に2万円を乗じた額」「100万円」の3つのうち、最も少ない額です。

たとえば30戸のマンションであれば「戸数×2万円=60万円」が一つの目安になり、診断費用の3分の2と100万円のどちらより小さいかで決まります。診断は改修の要否を判断する出発点ですから、まずここから入るのが王道です。なお、診断にあたっては建築士事務所登録のある建築士に依頼し、さらに耐震判定委員会等の第三者判定を受けることが補助の条件になっています。「とりあえず付き合いのある工務店に簡単に見てもらった」というレベルでは補助の対象にならないことがあるため、診断の段階から要件に沿った進め方をすることが、後の改修補助までスムーズにつなげるコツです。

耐震改修の補助額(上限2,000万円)

そして本丸の耐震改修です。建築士の診断の結果「倒壊の恐れがある」と判定された分譲マンションについて、補強設計・工事監理を建築士が行い、建設業の許可を持つ業者が施工することを条件に補助されます。補助額は、「耐震改修費用の5分の1」「戸数に30万円を乗じた額」「2,000万円」の3つのうち、最も少ない額です。

ここで注目していただきたいのが、上限が2,000万円と設定されている点です。近隣の市では耐震改修の補助上限が一棟あたり200万円〜450万円程度というところが多いなかで、和光市の2,000万円という枠は明らかに大きい。もっとも、実際の交付額は「費用の5分の1」または「戸数×30万円」で頭打ちになることがほとんどですから、2,000万円がそのまま満額もらえるわけではありません。それでも、大規模なマンションで耐震改修費がかさむケースでは、この大きな上限が効いてくる場面は十分にあります。和光市は耐震化に本腰を入れている自治体だと、現場感覚としても受け止めています。

申請のタイミングという最大の落とし穴

耐震補助で最も多い失敗が、契約のタイミングです。和光市は要綱で「交付決定通知書の交付を受けてから、建築士事務所・建設業者と契約してください」「交付決定通知書の交付前に契約してしまうと補助金が受けられません」と明確に注意喚起しています。良かれと思って先に工事契約を結んでしまうと、対象工事であっても補助はゼロになります。

また、和光市の耐震改修補助は当該年度の予算の範囲内で行われ、毎年5月〜12月までに申請するよう求められています。年度後半に駆け込むと予算が尽きている恐れがあるため、検討段階で早めに建築課へ相談しておくのが鉄則です。なお、自己負担分だけを支払い、補助金相当額を市から直接業者に払ってもらう「受領委任払」も選べるので、組合のキャッシュフロー負担を軽くしたい場合は窓口で相談してみてください。


制度3:マンション長寿命化促進税制(固定資産税の減額)

3つ目は、和光市独自ではなく国の制度ですが、効き目が大きいので必ず押さえてください。「マンション長寿命化促進税制」です。一定の要件を満たす大規模修繕(長寿命化工事)を行うと、工事が完了した年の翌年度の建物部分の固定資産税が、おおむね6分の1〜2分の1の範囲で減額されます(実際の減額割合は市区町村の条例で定められます)。1戸あたり床面積100平方メートル相当までが対象です。

主な要件

おおまかな要件は次のとおりです。築20年以上が経過していること、総戸数が10戸以上であること、過去に1回以上の長寿命化工事(屋根防水・床防水・外壁塗装等を含む大規模修繕)を行っていること、そして修繕積立金が一定の基準まで確保されていること。この「積立金の確保」を満たす経路として、先ほどのマンション管理計画認定を受けているか、あるいは市から助言・指導を受けて積立計画を引き上げているか、といった条件が関わってきます。制度1の管理計画認定が、ここで税制とつながってくるわけです。

工事の完了期限についても確認が必要です。この税制は、令和5年(2023年)4月1日から令和9年(2027年)3月31日までに対象工事が完了したものが対象とされています。期限が近づいていますので、これから大規模修繕を計画する組合は、スケジュールと完了見込みを早めに固めておく必要があります。申告は工事完了後おおむね3か月以内に行う点も忘れないでください。

手続きの窓口

固定資産税は和光市の課税課(資産税担当)が所管します。減額を受けるには、長寿命化工事を行ったことや積立金要件を満たすことの証明書類を添えて市へ申告します。減額割合の具体値は和光市の条例で定まるため、断定はせず、必ず課税課と国土交通省の最新情報の両方で確認してください。なお、自己負担額が50万円以上となる耐震改修については、別途、固定資産税が一定期間2分の1に減額される仕組みもあります(こちらは建築課で証明を受けます)。長寿命化の税制と耐震改修の税制は別物ですので、混同しないよう整理しておきましょう。


制度4:省エネ系の補助金(共用部に使えるかは要確認)

4つ目は省エネ・脱炭素系です。ここは管理組合の期待と実際の制度設計にズレが出やすいので、正直にお伝えします。

和光市は「和光市ゼロカーボン推進事業補助金」を令和8年度も実施しますが、令和8年度の対象設備は、現時点の市の公表内容ではエアコンと冷蔵庫の「買い換え」が中心です。補助額は対象経費の5割または3万円のいずれか少ない額で、1世帯につき1回まで。しかも「自らが居住する住宅に設置していること」「市内の店舗で購入した製品であること」が条件で、受付は令和8年7月1日から令和9年1月31日まで、設備設置後の事後申請、先着順で予算上限に達すると終了します(環境課 048-424-9118)。

おわかりのとおり、これは各戸の専有部・居住者個人向けの制度であって、マンションの共用部の大規模修繕や共用設備の更新に直接使えるものではありません。「省エネ補助で外壁や屋上防水の費用が出る」という期待は、残念ながら和光市のこの制度では当てはまりません。共用部のEV充電設備や太陽光・蓄電池といった脱炭素設備への補助については、年度ごとに枠や対象が変わりますので、検討している設備があれば、その都度、和光市環境課と埼玉県の制度(県の住宅用太陽光・蓄電池の補助や共同購入事業など)の両方を最新で確認するのが確実です。曖昧な情報で「使えるはず」と進めると、後で対象外と判明したときに組合の資金計画が崩れます。ここは慎重にいきましょう。


和光市のマンション事情と、なぜ「今」確認すべきか

和光市は東京都板橋区・練馬区に接し、東京メトロ有楽町線・副都心線と東武東上線が乗り入れる和光市駅を中心に、都心へのアクセスの良さから分譲マンションが数多く建っています。1980年代から1990年代にかけて供給されたマンションも一定数あり、ちょうど今、旧耐震基準の建物が耐震の節目を迎え、新耐震の建物も2回目・3回目の大規模修繕の時期に差しかかっています。

つまり和光市のマンションストックは、「耐震を考えるべき世代」と「修繕積立金の不足が表面化しやすい世代」が同時に存在している状況です。だからこそ、令和7年10月に始まった管理計画認定、近隣より手厚い耐震改修補助、令和9年3月で完了期限を迎える長寿命化促進税制という3つが、今まさに重なって効いてくるタイミングなのです。制度には期限と予算枠があり、いずれも「来年でいい」と先送りすると取りこぼします。今期の理事会で現状確認だけでも始めておく価値は十分にあります。

修繕積立金の確保が、すべての制度の前提になる

ここで強調しておきたいのが、修繕積立金の状況が、管理計画認定にも長寿命化促進税制にも共通する「前提条件」になっているという点です。国は近年、修繕積立金が長期修繕計画に対して不足しているマンションが多いことを問題視しており、認定基準でも積立金の額や計画の妥当性が問われます。

逆に言えば、積立金と長期修繕計画をきちんと整えることが、融資の優遇・税制の減額・資産価値の維持という複数のメリットへの「共通の鍵」になります。値上げの議論は総会で必ずもめるテーマですが、補助や税制という具体的なメリットと結びつけて説明すれば、区分所有者の理解も得やすくなります。「積立金を上げるための値上げ」ではなく、「認定と税制優遇を取りに行くための準備」として位置づけると、前向きな議論になりやすいものです。


制度を「取りに行く」順番

ここまで4つの柱をご説明しましたが、実務では順番が大切です。私がおすすめする進め方は次のとおりです。

最初に、長期修繕計画と修繕積立金の現状を点検し、マンション管理計画認定の基準に届いているかを確認します(制度1)。これは費用の優遇や税制の土台になります。次に、旧耐震のマンションであれば、耐震診断の補助を使って建物の現状を把握します(制度2の入り口)。診断の結果、改修が必要となれば、交付決定の前に契約しないことを厳守しながら耐震改修補助を申請します。そして大規模修繕の実施に合わせて、長寿命化促進税制による固定資産税の減額を狙います(制度3)。省エネ系(制度4)は、各戸や共用設備の更新計画があるときに、年度ごとの最新情報で個別に判断します。

この順番で進めると、「認定で土台を作る→診断で現状を知る→改修で安全性を上げる→税制で負担を取り戻す」という流れが自然につながります。バラバラに申請するのではなく、一本の線でとらえるのが、補助を最大化するコツです。


補助だけでなく「工事のやり方」でも費用は変わる

最後に、補助制度とは別の角度から、もう一つ重要な視点をお伝えします。それは「どの工法で大規模修繕を行うか」で、総費用そのものが変わるということです。

一般的なマンションの大規模修繕では、建物全体に仮設足場を組むのが当たり前とされてきました。しかし足場の架設・解体には相応の費用と工期がかかり、居住者にとっては窓の外に足場が立つことによる防犯やプライバシー、生活の不便も生じます。これに対し、産業用ロープを使って職人が直接アクセスする「ロープアクセス工法(無足場工法)」を部分的に取り入れると、足場費を抑え、工期を短縮し、居住者の生活への影響を小さくできる場合があります。さらに、足場が適している部位とロープアクセスが適している部位を建物ごとに使い分ける「ハイブリッド工法」という選択肢もあります。

どの工法が最適かは、建物の高さ・形状、劣化の状況、そして予算によって変わります。補助金で「いくら取り戻すか」と同じくらい、工法選びで「そもそもの工事費をいくらに抑えるか」が、管理組合の負担を左右します。和光市のように耐震改修の補助枠が大きい自治体であればなおさら、補助と工法の両面から検討する価値があります。私たちは、足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3つの工法から、その建物にとって最適な方法をご提案できる体制を持っています。補助金の使い方と合わせて、工法の選択肢も一度フラットに比較してみてください。


よくあるご質問(和光市の管理組合から多い相談)

最後に、和光市の管理組合の皆さまから実際によくいただく質問を、いくつか整理しておきます。

Q. 新耐震(昭和56年6月以降)のマンションは、耐震改修補助は使えませんか。
和光市の住宅・建築物耐震改修補助金は、昭和56年5月31日以前に着工された建物が対象です。新耐震のマンションは原則として対象外になります。ただし、新耐震であっても大規模修繕に合わせて長寿命化促進税制(固定資産税の減額)を狙うことはできますし、管理計画認定も築年数を問わず申請できます。「旧耐震でないから補助はない」と諦めず、税制と認定の側から検討してください。

Q. 認定を取らないと、長寿命化の税制は受けられないのですか。
管理計画認定は、長寿命化促進税制の積立金要件を満たす経路の一つではありますが、認定が唯一の道とは限りません。市の助言・指導を受けて積立金を適正な水準に引き上げる経路もあります。どの経路が自分たちのマンションに合うかは、和光市の担当課に確認するのが確実です。いずれにせよ、積立金の確保が鍵になる点は共通しています。

Q. 補助金の申請は、管理会社に任せておけば大丈夫ですか。
管理会社が手続きに慣れている場合は心強いですが、申請者はあくまで管理組合です。とくに耐震改修補助は「交付決定前に契約しない」という鉄則があり、ここを管理会社・施工会社・組合の三者で取り違えると補助がゼロになります。誰がいつ何を申請し、いつ契約してよいのか、スケジュールを一枚にまとめて共有しておくことを強くおすすめします。

Q. 工事費の総額を抑える方法はありますか。
補助金で取り戻すことと並行して、工事そのものの設計・工法を見直すのが効果的です。とくに足場費は総額に占める割合が大きいため、ロープアクセス(無足場工法)やハイブリッド工法を部分的に取り入れられないか、相見積もりの段階で比較しておくと、補助とは別の形で負担を圧縮できる可能性があります。


まとめ:まずは現状確認の一歩から

和光市で分譲マンションの管理組合が押さえるべき制度を、もう一度整理します。

ひとつ、令和7年10月に始まったマンション管理計画認定制度で管理の土台を整えること。ふたつ、旧耐震のマンションなら、近隣より上限の大きい和光市の耐震改修補助(診断上限100万円・改修上限2,000万円)を、交付決定前に契約しないことを守って活用すること。みっつ、大規模修繕に合わせてマンション長寿命化促進税制で固定資産税の減額を取りに行くこと。よっつ、省エネ系は専有部・居住者向けが中心で共用部には直接使いにくいことを理解し、年度ごとに最新情報を確認すること。

いずれの制度も、申請のタイミングと要件の確認が成否を分けます。まずはご自身のマンションの築年数、戸数、居住実態、長期修繕計画と修繕積立金の状況を一枚の紙に書き出すところから始めてみてください。そのうえで、和光市の建築課・課税課・環境課という3つの窓口に、それぞれ早めに相談しておくこと。これが、補助を取りこぼさないための一番確実な第一歩です。大規模修繕は、管理組合にとって十数年に一度の大きな意思決定です。正しい情報と段取りで、賢く、無理なく進めていきましょう。

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春日部市のマンション補助金2026年度版|管理組合が大規模修繕前に確認したい耐震・管理計画認定・長寿命化税制を本間が徹底解説

築年数が20年を超えたあたりから、理事会で必ず出てくるのが「次の大規模修繕、いくらかかるのか」という話です。そして、そのすぐ後に出てくるのが「春日部市から、何か補助はもらえないのか」というご質問です。私はマンションの大規模修繕の現場に20年近く立ち会ってきましたが、ここで正しい情報を持っているかどうかで、組合の負担は数十万円から、場合によっては百万円単位で変わります。

この記事では、埼玉県春日部市で分譲マンションの管理組合が2026年度(令和8年度)に使える可能性のある制度を、市の公式情報をもとに整理します。結論を先にお伝えすると、春日部市で管理組合が押さえるべき柱は「マンション管理計画認定制度」「既存建築物耐震改修等補助制度」「マンション長寿命化促進税制(固定資産税の減額)」、そして省エネ系の「太陽光・蓄電池補助金」の4つです。ここからが本題です。


まず結論:春日部市で管理組合が確認すべき4つの柱

細かい話に入る前に、全体像を一枚の表にまとめます。ご自身のマンションがどれに当てはまりそうか、ここで当たりをつけてください。

制度名 ざっくり何がもらえる/得するか 主な対象 春日部市の窓口
マンション管理計画認定制度 認定によりフラット35等の金利優遇、資産価値の裏付け。市への申請手数料は無料 分譲マンションの管理組合 住宅政策課 048-796-8159
既存建築物耐震改修等補助制度 耐震診断:上限100万円/耐震改修:上限200万円 旧耐震(昭和56年5月31日以前)の分譲マンション 建築課 建築安全担当 048-796-8046
マンション長寿命化促進税制 翌年度の建物の固定資産税をおおむね2分の1減額 築20年以上・10戸以上などの要件を満たすマンション 資産税課(国の制度)
個人住宅 太陽光・蓄電池補助金 太陽光・蓄電池の設置費を補助(個人住宅向け) 主に専有部・戸建て 環境政策課

ここで一つ、正直に申し上げておきます。春日部市には「マンションの共用部の大規模修繕そのものに、まとまった金額を直接出す」という補助制度は、現時点で明文化されていません。これは春日部市に限った話ではなく、多くの市で同じです。だからこそ、「耐震」「管理計画認定」「税制」という、少し角度の違う3つの入り口から制度を取りに行く発想が要になります。順番にご説明します。


制度1:マンション管理計画認定制度(春日部市住宅政策課)

最初にご紹介したいのが「マンション管理計画認定制度」です。これは2022年(令和4年)に全国で始まった比較的新しい仕組みで、春日部市でも住宅政策課が窓口となって運用しています。

仕組みを素人の言葉で言い換えると、「このマンションは、管理組合がきちんと機能していて、修繕積立金や長期修繕計画も基準を満たしていますよ」と、市がお墨付きを与える制度です。総会で管理規約が定められ、長期修繕計画が概ね30年以上で見直しされ、修繕積立金が計画的に積み立てられている——こうした国の基準に適合していると認められたマンションが、市から「認定」を受けられます。

私がこの制度を最初にお勧めする理由は、お金が直接出るからではありません。認定を取ると、住宅金融支援機構の「フラット35」や「マンション共用部分リフォーム融資」の金利が引き下げられるなど、資金面の追い風が生まれます(出典:春日部市「マンション管理計画認定制度について」)。大規模修繕で借入を検討している組合にとって、金利が下がる効果は決して小さくありません。さらに、認定マンションであることは、いざ区分所有者が部屋を売るときの「資産価値の裏付け」にもなります。

申請の前に「事前確認適合証」が要る

ここで一点、見落としやすい段取りがあります。春日部市に認定を申請する前に、(公財)マンション管理センターの「管理計画認定手続き支援サービス(事前確認)」を利用し、マンション管理士が認定基準への適合を事前に確認した証である「事前確認適合証」の発行を受けることが必要です(出典:春日部市「マンション管理計画認定制度について」)。

費用については、春日部市への申請手数料は無料です。ただし、(公財)マンション管理センターの支援サービスの利用料および事前確認の審査料は別途かかります。つまり「市の手数料はゼロだが、事前確認の費用は組合が負担する」という構造です。ここを総会の予算説明で曖昧にすると、後で「聞いていなかった」という話になりがちなので、私はいつも理事長さまに、市とマンション管理センターの費用を分けて説明するようお伝えしています。

認定には総会での決議など、組合としての意思決定が前提になります。理事会だけで進められる話ではありませんから、通常総会の議案に乗せるスケジュールから逆算して動くのが現実的です。お問い合わせは住宅政策課(電話048-796-8159)です。


制度2:既存建築物耐震改修等補助制度(春日部市建築課)

4つの柱の中で、実際の工事に対して最もまとまった金額が出る可能性があるのが、この「既存建築物耐震改修等補助制度」です。春日部市は災害に強いまちづくりを進めるためにこの制度を設けており、令和8年(2026年)に、より使いやすくするための要綱改正を行っています(出典:春日部市「既存建築物耐震改修等補助制度」)。

対象になる建物と対象者

対象になるのは、昭和56年5月31日以前に建築確認を受けて工事に着手した、いわゆる「旧耐震基準」の建物です。分譲マンションの場合は、階数が3以上かつ延べ面積が1,000平方メートル以上の耐火建築物または準耐火建築物が対象となります(出典:春日部市「既存建築物耐震改修等補助制度」)。

申請できるのは、区分所有者または、区分所有者の団体(管理組合)の集会で決定された代表者です。ここでも、組合としての決議が前提になる点は押さえておいてください。

旧耐震というと「うちは新しいから関係ない」と思われがちですが、昭和56年は西暦1981年です。築44年前後の建物が該当します。春日部市内にも、この年代の分譲マンションは残っています。まず「自分のマンションが旧耐震かどうか」を、登記や確認済証で確認するところから始めてください。

耐震診断の補助額(上限100万円)

旧耐震だった場合、最初のステップは耐震診断です。分譲マンションの耐震診断に対する補助は、診断に要した費用の3分の2に相当する額、または「5万円×戸数」のいずれか低い額で、補助限度額は1棟につき100万円までです(出典:春日部市「既存建築物耐震改修等補助制度」)。

たとえば30戸のマンションなら「5万円×30戸=150万円」と「費用の3分の2」を比べて低い方になり、さらに上限100万円が天井になります。戸あたりに直せば、診断費用のかなりの部分を市が見てくれる計算です。なお、分譲マンションの耐震診断は、実施後に耐震判定委員会などの公的機関の判定を受けて適正と認められたものであることが要件です。診断は誰がやっても同じではない、という点にご注意ください。

耐震改修工事の補助額(上限200万円)

診断の結果、補強が必要となった場合の耐震改修工事については、分譲マンションは耐震補強に要する費用の23パーセントに相当する額、補助限度額は1棟につき200万円までです(出典:春日部市「既存建築物耐震改修等補助制度」)。

改修工事には要件があります。構造耐震指標(Is値。建物の地震に対する強さを示す数値)が0.6未満のものを、改修後に0.6以上にすること。建設業法上の許可を受け、原則として市内に営業所を有する建設業者が施工すること。そして1級建築士が耐震補強設計と工事監理を行うこと——この3つが揃って初めて補助対象になります(出典:春日部市「既存建築物耐震改修等補助制度」)。

段取りで失敗しないために

この制度で一番多い失敗は、段取りの順番を間違えることです。補助は事前相談が前提で、事業(工事)は年度末の3月15日までに完了する必要があります。先に契約・着工してしまうと対象外になる、というのは耐震補助の世界では珍しくありません。

私の経験上、耐震診断と大規模修繕は「ワンセット」で考えるのが得策です。診断のために足場やゴンドラを段取りするくらいなら、外壁・防水の調査や大規模修繕の検討と同じタイミングで動いた方が、トータルの手間も費用も圧縮できます。お問い合わせは建築課 建築安全担当(電話048-796-8046)、申請にあたっては必ず事前相談をしてください。


制度3:マンション長寿命化促進税制(固定資産税の減額)

3つ目は補助金ではなく「税制」です。これは春日部市独自ではなく国の制度ですが、大規模修繕を控えた管理組合には見逃せません。正式名称は「マンション長寿命化促進税制」といいます。

仕組みを一言でいうと、一定の要件を満たすマンションが大規模修繕(長寿命化工事)を行うと、工事完了の翌年度分の建物部分の固定資産税が減額される、というものです。減額されるのは1戸あたり床面積100平方メートル相当分までで、減額割合はおおむね2分の1です(市町村の条例により6分の1から2分の1の範囲で定められます)(出典:国土交通省「マンション長寿命化促進税制」)。

主な要件

主な要件は次のとおりです。築20年以上が経過していること。総戸数が10戸以上であること。居住部分が専有部分の床面積の2分の1以上であること。過去に外壁塗装、床防水、屋根防水の3種類の長寿命化工事を1回以上完了していること。そして、2回目以降の長寿命化工事を令和5年(2023年)4月1日から令和9年(2027年)3月31日までの間に完了させること。加えて、修繕積立金が一定水準確保されていることが求められます(出典:国土交通省「マンション長寿命化促進税制」)。

ここで注意点を正直に申し上げます。春日部市の公式ページには、この税制の工事完了期限について「令和7年3月31日まで」と記載されている箇所があります。これは制度が当初設定していた期限で、その後、国の制度として完了期限は令和9年3月31日まで延長されています。年度をまたぐ制度は、こうした延長や条例改正で数字が動きます。実際に申告する前に、必ず春日部市資産税課と国土交通省の最新情報の両方をご確認ください。

申告は、工事完了後3か月以内に行う必要があります。期限が短いので、工事が終わってから慌てるのではなく、修繕委員会の段階で「税制の申告まで含めたスケジュール」を引いておくのが安全です。これは管理組合がまとめて手続きできます。

戸あたりの財布感覚で考える

「固定資産税が2分の1」と言われても、ピンと来ないという理事長さまは多いです。そこで、ざっくりした戸あたりの感覚でお話しします。仮に1戸あたりの建物部分の固定資産税が年間6万円だとすると、減額の対象となるのはそのうち床面積100平方メートル相当分まで。多くの分譲マンションの専有面積はこの範囲に収まりますから、おおむね2分の1が軽減されると、その年は1戸あたり約3万円が戻る計算になります。50戸のマンションなら、棟全体で年間150万円規模の負担軽減です。

もちろんこれは単年度限りの措置で、毎年続くわけではありません。けれども、大規模修繕という大きな出費の翌年に、組合員それぞれの固定資産税が軽くなるという事実は、総会で工事の合意形成を図るうえで、決して小さくない後押しになります。私は理事会でこの話をするとき、必ず「戸あたりいくら戻るのか」という財布感覚の数字に直してお伝えするようにしています。制度は、自分の家計に結びついて初めて「自分事」になるからです。


制度4:個人住宅 太陽光発電・蓄電池設置補助金(環境政策課)

4つ目は、省エネ・再エネ系の補助です。春日部市は令和8年度(2026年度)も、個人住宅における太陽光発電設備・蓄電池の設置に対する補助金を実施する予定で、環境省の交付金を財源としています(出典:春日部市「令和8年度春日部市個人住宅における太陽光発電設備・蓄電池設置補助金について」)。

補助額の目安(令和7年度実績ベース)は、太陽光発電が1キロワットあたり4万円・上限16万円(重点区域では1キロワットあたり5万円・上限25万円)、蓄電池が1キロワットアワーあたり4万円・上限20万円です。受付は令和8年5月11日から令和8年12月28日までを予定し、予算上限に達し次第終了します。対象は令和8年4月1日以降に契約する設備で、蓄電池のみの設置は対象外(太陽光発電との同時導入が条件)とされています(出典:春日部市環境政策課ページ)。

ただし、ここも正直に申し上げます。この補助金は「個人住宅」向けの制度設計です。マンションの共用部に太陽光や蓄電池を導入する場合に、そのまま適用できるかどうかは、設置形態や申請者の要件によって変わります。共用部での活用を検討する場合は、必ず事前に環境政策課に適用可否を確認してください。専有部(各戸のバルコニー等)への設置であれば、各区分所有者が個人として申請できる可能性があります。


正直に申し上げます——春日部市の「落とし穴」

ここまで4つの柱をご紹介してきましたが、期待だけを膨らませて終わるのは誠実ではありません。現場で20年やってきて、私が一番悔しい思いをするのは、「もらえると思っていた補助が、実は対象外だった」と後から分かるケースです。春日部市で特に気をつけたい点を3つ挙げます。

第一に、共用部の大規模修繕そのものへの直接補助は明文化されていません。外壁塗装や防水といった一般的な大規模修繕工事は、それ自体を対象にした市の補助金が用意されているわけではない、という前提で資金計画を立ててください。あくまで「耐震」という切り口、「税制」という切り口で取りにいく発想が必要です。

第二に、春日部市の「住宅リフォーム助成制度」(工事費の10パーセント・上限10万円)は、令和8年度(2026年度)は予算額に達したため受付を終了しています(出典:春日部市「住宅リフォーム助成制度」)。この制度はそもそも既存住宅向けで、上限額も管理組合の大規模修繕の規模に対しては小さく、共用部の修繕に使えるかは限定的です。マンションの大規模修繕の財源として当てにするには、性格が異なります。

第三に、補助金・税制はいずれも「予算枠到達で締切」「年度ごとに条件変更」「事前相談・事前申請が前提」という共通の落とし穴があります。良い制度ほど早く埋まります。「来年でいいや」と先延ばしにした結果、予算切れで使えなかった、という話を私は何度も見てきました。


すべての制度の「土台」は、長期修繕計画と修繕積立金

ここまで4つの制度を見てきて、お気づきの方もいるかもしれません。実は、これらの制度の多くが、共通して「長期修繕計画が適切に作られているか」「修繕積立金が計画的に確保されているか」を問うています。

マンション管理計画認定制度は、まさにこの2点が認定基準の中心です。長寿命化促進税制も、要件のひとつに修繕積立金の確保が入っています。つまり、計画と積立金という土台が崩れていると、どの制度の入り口にも立てない、ということです。

私が現場で見てきた中で、惜しいと感じるのは、建物自体はしっかりしているのに、長期修繕計画が10年以上見直されていなかったり、積立金が当初の安いままで実態に追いついていなかったりするケースです。国は「長期修繕計画作成ガイドライン」で、計画期間を30年以上、しかも大規模修繕を2回含む期間で設定することを目安として示しています。お手元の計画がこの水準を満たしているか、一度ご確認ください。

逆に言えば、計画と積立金を整えるだけで、認定制度・税制の両方への道が同時に開けます。補助金の金額ばかりに目が行きがちですが、私はいつも「まず足元の計画と積立金を点検しましょう」とお伝えしています。これは費用のかからない、けれども最も効果の大きい第一歩です。修繕積立金が不足している場合の引き上げや、長期修繕計画の見直しは、専門家を交えて総会の議案にしていくのが現実的な進め方になります。


制度を組み合わせる順番(現場目線の段取り)

では、これらをどう使うのが賢いのか。私が管理組合の理事会でお話しするときの「順番」を共有します。

最初にやるべきは、自分のマンションの「築年数」と「旧耐震かどうか」の確認です。昭和56年5月31日以前の建物なら、耐震診断補助(上限100万円)が最初の入り口になります。新耐震なら耐震補助の対象外ですが、その分、長寿命化税制と管理計画認定に力点を移します。

次に、長期修繕計画と修繕積立金の状態を点検します。これは管理計画認定の前提であると同時に、長寿命化税制の「積立金が確保されていること」という要件にも直結します。つまり、計画と積立金を整えておくことが、複数の制度の入場券になるのです。

そして、大規模修繕の検討時期が近いなら、その工事を長寿命化税制の対象になるよう設計します。過去に外壁塗装・床防水・屋根防水を一度行っていて、今回が2回目以降の長寿命化工事に当たるなら、令和9年3月31日までの完了を狙って逆算する。この「完了期限から逆算する」段取りが肝心です。

私はこれを、必ずワンセットで提案するようにしています。耐震診断、管理計画認定、長寿命化税制、そして大規模修繕の工事計画——これらをバラバラに動かすと、足場やゴンドラを何度も架けることになり、かえって割高になります。一度の調査・一度の工事計画の中に、制度の要件を織り込んでしまうのが、組合の負担を最小にする道です。


大規模修繕の「工法」で、足場代そのものを圧縮する

ここまでは制度の話でしたが、もう一つ、組合の負担を直接下げる方法があります。それは「工法の選択」です。

大規模修繕の費用の中で、意外に大きいのが仮設足場の費用です。建物をぐるりと足場で囲むと、それだけで全体の1割前後を占めることも珍しくありません。私たちは、建物の形状や高さ、住民の生活への影響を見ながら、通常の足場仮設による工法、ロープアクセス工法(産業用ロープを使い、足場を架けずに高所作業を行う無足場工法)、そして両者を部位ごとに使い分けるハイブリッド工法の3つから、その建物にとって最適な組み合わせをご提案しています。

たとえば、足場が架けにくい形状の建物や、足場の設置で居住者の生活・採光・防犯が大きく損なわれる物件では、ロープアクセス工法によって足場費を抑えつつ工期を短縮できる場合があります。一方で、全面的な打診調査や大面積の塗り替えが必要な部位は、足場の方が効率的なこともあります。だからこそ「全部ロープ」でも「全部足場」でもなく、部位ごとの最適化が効くのです。詳しくはロープアクセス工法のご紹介と大規模修繕工事のご紹介をご覧ください。

補助金や税制で取り戻せる金額には上限があります。けれども、工法の選択は工事費そのものを設計段階から下げられます。制度の活用と工法の最適化、この両輪で考えるのが、私の20年の現場経験からの結論です。


よくあるご質問(春日部市のマンション補助金)

Q. 新耐震のマンションですが、使える制度はありますか。
A. 耐震改修等補助は旧耐震(昭和56年5月31日以前)が対象のため対象外ですが、マンション管理計画認定制度と長寿命化促進税制は新耐震でも要件を満たせば活用できます。まずは長期修繕計画と修繕積立金の点検から始めてください。

Q. 補助金は管理組合が申請するのですか、個人ですか。
A. 耐震補助や管理計画認定は、区分所有者の団体(管理組合)の集会で決定された代表者が申請します。一方、太陽光・蓄電池補助は個人住宅向けの設計です。制度ごとに申請主体が違う点にご注意ください。

Q. 工事を先に契約してしまいましたが、後から申請できますか。
A. 耐震補助は事前相談・事前申請が前提で、先に着工すると対象外になる可能性が高いです。長寿命化税制も完了後3か月以内の申告が必要です。いずれも「動く前に確認」が鉄則です。

Q. 春日部市に、大規模修繕そのものへの補助はありますか。
A. 共用部の大規模修繕工事に直接まとまった補助を出す制度は、現時点で明文化されていません。耐震・税制・管理計画認定という別の切り口で活用するのが現実的です。


まとめ:春日部市の管理組合が、今日からできること

春日部市で管理組合が押さえるべき柱は、マンション管理計画認定制度、既存建築物耐震改修等補助制度(耐震診断・上限100万円/改修・上限200万円)、マンション長寿命化促進税制(固定資産税のおおむね2分の1減額)、そして省エネ系の太陽光・蓄電池補助の4つです。共用部の大規模修繕そのものへの直接補助はないという前提に立ちつつ、これらを組み合わせ、さらに足場代を圧縮する工法選択を重ねることで、組合の負担は確実に変わります。

補助金も税制も、予算と期限という壁があります。令和9年3月31日までの長寿命化税制をはじめ、動ける時期が決まっている制度ほど、理事会で1分だけでも話題に出してみてください。総会の前段階の整理だけでも、私たちにお力になれることがあります。耐震診断や工法の比較、長期修繕計画の見直しなど、ご相談だけでも遠慮なくお問合せフォームからお声がけください。

これは私が現場で20年見てきた、嘘偽りのない感想です。次回も、現場で本当に使える話だけをお届けします。


出典・参考資料

▼ロープアクセス工法・無足場工法の詳細解説はこちら
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