【令和8年度版】足立区の12条点検・外壁全面打診|旧耐震ストックと10年トリガーの数え方

足立区で分譲マンションやビルをお持ちの方から、私が繰り返し受けるご相談があります。

「区から定期報告の書類が届いたのですが、うちのマンションは外壁の全面打診までやる必要があるのでしょうか」

この記事で答える質問はひとつです。足立区にある自分の建物は、いつ外壁の全面打診が必要になるのか。そして、そのコストをどう抑えるのか。

私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。東京都東大和市を拠点に、足立区を含む東京・関東一円でマンション・ビル・ホテルの大規模修繕に20年以上たずさわってきました。足立区は竹ノ塚、綾瀬、西新井、北千住、江北といったエリアに、昭和40年代から50年代にかけて建てられた分譲マンションや団地型住宅がまとまって残るまちです。ここでは足立区の一次情報にあたりながら、実務のコスト感まで含めて整理します。


結論:足立区で12条点検の対象になる建物と、全面打診が必要になる年

先に結論から申し上げます。

A. 足立区内の一定規模以上の共同住宅・ビル・ホテル等は、建築基準法第12条第1項に基づき、特定行政庁(足立区長)への定期調査報告の対象です。共同住宅の場合、報告は3年ごとです。(出典:足立区「特定建築物定期調査報告」)

B. 外壁にタイル、石貼り(乾式工法を除く)、モルタル等が使われている建物は、下記いずれかの日が属する年度の「次の年度の4月1日」から起算して10年を超えて最初に迎える報告日までに、落下により歩行者などに危害を加えるおそれのある部分の全面打診等が求められます。

  • 検査済証の交付を受けた日
  • 外壁の全面改修が完了した日
  • 落下により歩行者などに危害を加えるおそれのある部分の全面的なテストハンマーによる打診等が完了した日

例えば、検査済証の交付が平成28年度であれば、起算開始日は平成29年4月1日。ここから10年を超える令和9年4月1日以降、最初の報告日までに全面打診等が必要になる、という数え方です。「築10年でいきなり」ではなく、年度末で切り上げた起算日から10年という点を、私は理事会でいつも図に描いてご説明しています。

C. ただし、定期調査の実施から3年以内に外壁改修または全面打診等が行われることが確実である場合、あるいは落下物防護ネットの設置など別途歩行者等の安全を確保する対策を講じている場合は、この限りではありません。

このCの猶予が、実務では大きな意味を持ちます。詳しくは後半で触れます。


建築基準法第12条第1項とは何か(定期調査報告のしくみ)

建築基準法第12条第1項は、多数の方が利用する建築物を「特定建築物」と位置づけ、所有者・管理者に対して劣化・損傷および維持保全の状況を有資格者に調査させ、その結果を特定行政庁へ定期的に報告することを求める規定です。足立区の場合、報告先は区長になります。

調査できるのは、一級建築士、二級建築士、または特定建築物調査員に限られます。管理会社の担当者や理事の方が目視で済ませる、というものではありません。

現場ではこの制度を「12条点検」と呼ぶことが多いのですが、正確にはもう少し細かく分かれています。

区分 根拠 対象 頻度(東京都・足立区の共同住宅の場合)
特定建築物定期調査 法第12条第1項 建築物本体(外壁・避難経路等) 3年ごと
防火設備定期検査 法第12条第3項 防火扉・防火シャッター等 毎年
建築設備定期検査 法第12条第3項 換気・排煙・非常用照明等 1年ごと
昇降機等定期検査 法第12条第3項 エレベーター・エスカレーター 1年ごと

外壁の全面打診が関わってくるのは、このうち一番上の特定建築物定期調査です。

新築直後については「初回免除」があります。特定建築物は、検査済証の交付を受けた日の属する年度の翌年度以降の2回目の報告時期から報告が必要です。報告の受付期間は該当年度の5月1日から10月31日までが基本で、理事会の年間スケジュールを組むときの起点になります(出典:東京都都市整備局「3.定期報告対象建築物・建築設備等及び報告時期一覧」)。


足立区で全面打診が必要になるトリガーを整理する

私が理事長さまにご説明するとき、いつも4つのトリガーとして並べています。

  1. 起算日から10年を超えた最初の報告日(区の公式説明そのもの)
  2. 外壁の全面改修が完了してから10年(前回の大規模修繕がリセットポイントになります)
  3. 目視や部分打診で異常が認められた場合(10年未満でも、危害のおそれのある部分の全面打診が求められます)
  4. 落下事故が発生した場合(定期報告とは別に、事故報告書の提出が必要です)

3番目を軽く見ないでいただきたいのです。築8年でもタイルの浮きが見つかれば全面打診に進むケースは、私自身、足立区内の物件でも経験しています。

もうひとつ、打診以外の選択肢が告示で認められている点も押さえておきましょう。平成20年国土交通省告示第282号は、おおむね6か月から3年以内に一度の手の届く範囲の打診等に加え、おおむね10年に一度の全面的な打診等を求めています。令和4年1月18日付の告示一部改正により、無人航空機(ドローン)による赤外線調査であってテストハンマーによる打診と同等以上の精度を有するものが調査方法として明確化されました(出典:国土交通省「定期報告制度における外壁のタイル等の調査について」)。同等以上の精度の判定にあたっては、一般財団法人日本建築防災協会が取りまとめたガイドラインを参照することとされています。


足立区固有の運用:窓口・提出先・様式

ここからが足立区の実務です。他区と微妙に違う部分があります。

提出先は区役所ではない(特定建築物と防火設備)

足立区の場合も、特定建築物定期調査報告と防火設備定期検査報告の提出先は、公益財団法人 東京都防災・建築まちづくりセンターです(新宿区西新宿七丁目7番30号、建築防災課 電話03-5989-1929)。「区役所の建築課に持ち込む」と思い込んでいる管理組合の方に、私は何度も窓口の違いをご案内してきました。

一方、建築設備定期検査報告は一般財団法人 日本建築設備・昇降機センター、昇降機定期検査報告は一般社団法人 東京都昇降機安全協議会が受付です。報告の種類によって宛先が3つに分かれる、と覚えておいてください。

延べ面積1万㎡超は東京都の所管

敷地内に延べ面積10,000平方メートルを超える建築物がある場合は、足立区ではなく東京都都市整備局市街地建築部建築企画課(建築安全担当)の所管になります。竹の塚周辺や江北の大型団地、大規模なビル・ホテルはここに該当することがあります。最初の問い合わせ先を間違えると、それだけで手続きが停滞します。

足立区の相談窓口

定期報告の運用や様式に関する問い合わせは、足立区建築室建築審査課設備係(電話03-3880-5278・直通、ファクス03-3880-5615)が窓口です(出典:足立区「特定建築物定期調査報告」)。同ページでは定期調査報告書、定期調査報告概要書、建築物除却・使用休止届などの様式一式もダウンロードできます。


足立区の建物ストック事情:旧耐震基準の145棟という数字

足立区は平成29年7月から10月にかけて分譲マンションの実態調査を行い、平成30年1月に報告書を公開しています。それによれば、足立区内の分譲マンションは1,043棟・58,777戸。築年帯別の内訳は、1981年(昭和56年)以前が145棟(全体の約14%)、1982年から1993年が351棟、1994年から2005年が391棟、2006年以降が156棟でした(出典:足立区「平成29年度足立区分譲マンション実態調査報告書」)。

このデータはやや古く、直近の再調査結果は本記事執筆時点で確認できていません。ただし報告書の中で私が特に注目しているのは、1981年(昭和56年)以前の旧耐震基準の建物では、約20%に著しい劣化がみられるという指摘です。1982年以降の物件では、この比率が下がっています。

足立区は竹の塚、綾瀬、西新井、江北といったエリアに、この旧耐震基準の年代に建てられた団地型・中規模のマンションがまとまって残っています。私が現場で見ている限り、この世代の建物は外壁がモルタル仕上げまたはタイル貼りであることが多く、全面打診の対象になりやすいストックです。前回の大規模修繕から10年以上が経過している物件も少なくありません。

先日、足立区内の築42年・6階建て・32戸のマンションで打診調査に入りました。前回の大規模修繕が16年前。理事長さまは「まだ大丈夫だろう」とおっしゃっていましたが、南面の開口部まわりと妻壁で、外壁面積の6%弱に浮きが確認されました。私が一番悔しい思いをするのは、こういう「もう少し早ければ選択肢が広かった」ケースです。


実務コスト感:打診調査の㎡単価と、足場費の重さ

理事会で真っ先に出るのがお金の話なので、目安のレンジを正直に書きます。

項目 費用の目安(参考値) 備考
外壁打診調査 250〜500円/㎡ 調査方法・階高・足場の有無で変動
仮設足場 800〜1,200円/㎡(架面積) 建物形状・道路条件で大きく変動
外壁塗装 3,500〜4,500円/㎡ 塗料グレードによる
防水(屋上・バルコニー) 5,000〜8,000円/㎡ 工法による
30戸規模マンションの大規模修繕総額 3,500〜5,000万円程度 うち仮設足場が15〜25%を占めることが多い

すべて目安・レンジであり、実際の見積は物件の規模や立地、劣化状況で大きく変動します。ここは正直に申し上げます。

注目していただきたいのは、仮設足場が総工費の15〜25%を占めるという点です。12条点検の全面打診のためだけに足場を架けるとなると、この費用が丸ごと調査費に乗ってきます。

具体例で比べます。10階建て・外周80m・工期3か月の物件で試算すると、足場を組む場合の仮設費が約168万円に対し、ロープアクセス工法なら約59万円。差額はおよそ109万円です(当社の標準的な試算例。物件条件により変動します)。打診調査だけのために168万円の足場を架けるか、59万円でロープアクセスにするか。修繕積立金が潤沢とは言えない管理組合にとって、この差は小さくありません。


ロープアクセス工法が足立区の12条打診で選ばれる3つの理由

私はロープアクセス工法(無足場工法。産業用ロープで作業員が壁面に直接アクセスする工法です)を、12条点検の全面打診と相性の良い手段としてご提案しています。技術的な背景や安全基準については、姉妹サイトのロープアクセスドットコムに詳しくまとめています。

理由は3つです。

理由1:仮設コストが下がる

足場を架けずに全面打診ができるため、調査費の大半を占めていた仮設費を圧縮できます。「調査だけで100万円超」という理事会の心理的ハードルが、ぐっと下がります。

理由2:居住者の生活影響が小さい

足場を組むと、バルコニーの使用制限、洗濯物、防犯(足場からの侵入懸念)、日照と、居住者の不満が一気に噴き出します。高齢化が進む団地型マンションが多い足立区では、この負担が特に重く出ます。ロープアクセスなら屋上からの吊り下げで作業しますので、足場の設置・解体の期間がなく、生活影響の期間そのものが短くなります。私はこれを「住みながら直せる工法」とお伝えしています。

理由3:住宅密集地・狭小道路の物件に対応できる

足立区は、竹の塚や北千住の駅周辺、旧日光街道沿いなど、道路が狭く隣地と近接した建物が少なくありません。足場の架設が物理的に難しい、あるいは道路占用許可の調整で工期が読めない、という物件です。こうした条件でロープアクセスが効いてきます。実際の施工手順や訓練体制はロープアクセスドットコムの技術解説を、明誠側の対応範囲は明誠のロープアクセス工法の技術詳細をご覧ください。

なお、株式会社明誠はこれまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセス工法での高所作業について、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業では過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。IRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の技能訓練を受けた作業員が施工にあたり、安全管理の考え方は明誠の安全管理への取り組みで公開しています。


12条点検を大規模修繕と一体化する、という考え方

ここからが本題です。私が足立区の管理組合さまに最もお伝えしたいのは、12条点検の全面打診と大規模修繕を別々に発注しないでくださいということです。

理由は3つあります。

1つ目。仮設費が一度で済みます。 打診調査で足場を架け、1年後の修繕工事でまた足場を架ける。これは同じ費用を二度払っているのと変わりません。ロープアクセスの場合も、調査と補修を同じ体制で連続して行えば、段取り替えのコストが消えます。

2つ目。調査結果がそのまま工事仕様になります。 打診で拾った浮きの位置と数量が、そのままタイル張替え・アンカーピンニング工法の数量に直結します。調査会社と施工会社が別だと、この受け渡しで情報が落ちます。私は打診と補修を一体で受けるとき、浮きの位置をすべて図面に落として理事会にお出ししています。

3つ目。「3年以内の改修が確実」という猶予を使えます。 冒頭で触れたCの条件です。維持保全計画書などで外壁改修または全面打診の時期が明確にされており、その計画に従って実施される見込みがある場合、今回の報告では全面打診を見送れます。この場合、調査結果表の特記事項欄に実施予定時期を記載し、計画書等の書類を添付する必要があります。

つまり、長期修繕計画に大規模修繕の実施年を明記しておけば、報告年度と修繕年度を無理に重ねる必要がなくなるということです。私はこれを、いつもワンセットでご提案するようにしています。

管理組合さま向けの進め方は管理組合向けの大規模修繕サポート、賃貸ビル・テナントビルのオーナーさま向けはビルオーナー向けの改修サービスにまとめています。


令和8年度、足立区で使えるマンション支援メニュー

12条点検そのものへの直接的な補助は足立区にはありませんが、その前段の管理体制づくりを支える制度がいくつかあります。

  • 分譲マンション管理アドバイザー派遣制度:マンション管理士を無料で派遣し、維持管理や総会運営、長期修繕計画の見直しなどを相談できます。令和6年4月の見直しにより、年度内一定時間まで(管理士1名派遣の場合)利用できる時間制になっています(出典:足立区「分譲マンション管理アドバイザー派遣制度」更新日2025年4月1日)。
  • マンション管理計画認定制度:区の申請手数料は無料(マンション管理センターのシステム利用料は別途)。令和8年度は区内5会場でミニセミナー・相談会の開催が予定されています(出典:足立区「マンション管理計画認定制度について」更新日2026年4月1日)。
  • マンション長寿命化促進税制:築20年以上・10戸以上で、管理計画認定または助言・指導内容実施等証明を受け、長寿命化に資する大規模修繕を行ったマンションについて、固定資産税の建物部分が一定期間減額される制度です(出典:足立区「マンション長寿命化促進税制の創設に伴う助言・指導内容実施等証明の交付について」)。対象となる工事完了時期や申告期限は年度により変わる可能性があるため、適用を検討される場合は足立区および都税事務所へ現行年度の要件を直接ご確認ください。

12条点検の報告をきちんと出し、管理計画認定などの制度にも対応していることは、将来の売却や資産価値の説明にもつながります。


よくあるご質問

Q. 足立区の共同住宅は、何年ごとに定期報告が必要ですか?

A. 足立区の報告時期の考え方は東京都と同様で、共同住宅の特定建築物定期調査報告は3年ごとです。報告の受付期間は該当年度の5月1日から10月31日までとなっています。新築後は「初回免除」があり、検査済証交付年度の翌年度以降の2回目の報告時期から報告が必要です。

Q. 築10年ちょうどですが、今年の報告で全面打診が要りますか?

A. 起算日は「検査済証の交付日などが属する年度の、次の年度の4月1日」です。そこから10年を超えて最初に迎える報告日までに全面打診等が求められます。ご自身の建物の起算日は、検査済証または前回の外壁全面改修の完了日からお確かめください。

Q. 打診調査の費用はどれくらいですか?

A. 打診調査そのものは250〜500円/㎡が目安ですが、費用の大半を左右するのは足場です。10階建て・外周80m・工期3か月の物件では、仮設足場が約168万円に対しロープアクセス工法は約59万円という試算例があります。物件条件で変動しますので、概算のお見積りは無料でお出しします。

Q. ドローンの赤外線調査で打診の代わりになりますか?

A. 平成20年国土交通省告示第282号の令和4年1月18日付の一部改正により、無人航空機による赤外線調査であってテストハンマーによる打診と同等以上の精度を有するものが調査方法として明確化されました。精度の判定は日本建築防災協会のガイドラインに基づきます。建物の立地や飛行制限、外壁の状態によって適否が分かれますので、事前の現地確認が要ります。

Q. 全面打診を先送りできるケースはありますか?

A. 定期調査の実施から3年以内に外壁改修または全面打診等が行われることが確実である場合、または落下物防護ネットの設置など歩行者の安全を確保する対策を講じている場合は、この限りではないとされています。前者の場合は、調査結果表の特記事項欄に予定時期を記載し、維持保全計画書等の添付が求められます。

Q. 報告書はどこに提出するのですか?

A. 足立区の場合、特定建築物定期調査報告と防火設備定期検査報告は公益財団法人 東京都防災・建築まちづくりセンターが受付です。建築設備は一般財団法人 日本建築設備・昇降機センター、昇降機は一般社団法人 東京都昇降機安全協議会となります。ただし敷地内に延べ面積1万平方メートル超の建築物がある場合は、東京都都市整備局の所管です。運用や様式についての問い合わせは足立区建築室建築審査課設備係(電話03-3880-5278)が窓口です。

Q. 古いマンションほど全面打診の対象になりやすいのですか?

A. 一概には言えませんが、足立区が実施した実態調査では、1981年(昭和56年)以前の旧耐震基準の建物で著しい劣化がみられる割合が高いという結果が出ています。外装材や前回の大規模修繕からの経過年数によって判断が変わりますので、まずは検査済証や過去の修繕履歴を確認することをおすすめします。

Q. マンション管理の相談は無料でできますか?

A. 足立区の分譲マンション管理アドバイザー派遣制度では、マンション管理士を無料で派遣し、長期修繕計画の見直しや総会運営などを相談できます。年度内の利用時間には上限がありますので、詳細は足立区へお問い合わせください。


まとめ:足立区のオーナーさま・理事長さまが今週動けること3点

この記事のポイント

  • 足立区の共同住宅の定期調査報告は3年ごと、受付は5月1日から10月31日
  • 全面打診の起算日は「検査済証などの日が属する年度の次の年度の4月1日」から10年
  • 提出先は区役所ではなく東京都防災・建築まちづくりセンター(1万㎡超は東京都)
  • 足立区は1981年以前の旧耐震基準ストックが145棟あり、約20%に著しい劣化がみられる
  • 打診だけに足場を架けると仮設費が丸ごと乗る。ロープアクセスで差額100万円超の例も

そのうえで、今週できることを3つ挙げます。

  1. 検査済証の日付を確認する。 管理室のファイルか、前回の大規模修繕の完了報告書に挟まっているはずです。ここから起算日が決まります。
  2. 前回の外壁全面改修の完了日を確認する。 これが起算日をリセットしている可能性があります。10年を超えていなければ、今回は部分打診で足ります。
  3. 長期修繕計画に外壁改修の実施年が明記されているか確認する。 明記されていれば、3年以内の改修が確実という扱いで報告年度の全面打診を調整できる場合があります。

足立区は、旧耐震基準の年代に建てられた建物ストックが厚いまちです。だからこそ、同じ年に同じような建物が一斉に報告年度を迎え、調査会社も施工会社も手が埋まります。動き出すのが早いほど、選べる選択肢が多くなります。

ご相談だけでも遠慮なくお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。概算のお見積りや現地確認のご依頼は明誠のお問い合わせフォームから、工法選定の考え方は明誠の理念と3工法の使い分けをご覧ください。

明誠のこれまでの施工事例は明誠の施工事例からご覧いただけます。ロープアクセス工法の一般的な安全基準や技術情報はロープアクセスドットコムで解説しています。


本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月25日時点で公表されている足立区および国土交通省・東京都の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請・報告される前に、必ず足立区建築室建築審査課設備係(電話03-3880-5278)および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。


この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市

マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年9月25日


出典・参考資料

江戸川区の12条点検(外壁打診調査)|対象建築物と打診タイミング2026年版

結論:江戸川区でこの条件に当てはまるビル・マンションは、12条点検で外壁全面打診が必要です

江戸川区内で、共同住宅・ホテルなど「不特定多数の人が利用する特定建築物」として指定された分譲マンション・賃貸マンション・ビルは、建築基準法第12条第1項に基づく「特定建築物定期調査報告」(12条点検)の対象です(出典:江戸川区 特定建築物等の定期報告)。

その中でも「外壁の全面打診調査」まで必要になるのは、次のどちらかに当てはまるときです。

  • 竣工(検査済証交付)または外壁の大規模修繕・改修工事の完了から、報告対象年度の初日までにおおむね10年が経過している場合
  • 過去に全面打診等を実施したことがなく、次回定期報告のタイミングを迎える場合

私はこの業界で20年近く、江戸川区を含む東京23区・多摩地域のマンション・ビルの外壁調査と大規模修繕を見てきました。正直に申し上げると、江戸川区は荒川と江戸川に挟まれた低地に、昭和50年代〜平成初期竣工の分譲マンション・団地型住宅がまとまって残るエリアで、外壁の劣化と12条点検の全面打診がセットで必要になる物件を、現場でいくつも担当してきました。この記事では、江戸川区で12条点検の対象になる建物の条件と、いつ打診調査が必要になるかを、実務の数字とあわせて整理します。

建築基準法第12条とは何か(1項報告と定期調査の違い、頻度、対象建築物)

建築基準法第12条は、一定規模以上の建築物や設備について、所有者・管理者に定期的な状況報告を義務づける制度です。実務では次の4系統に分かれています。

報告の種類 根拠 主な対象 頻度の目安
特定建築物定期調査報告(12条1項) 12条1項 共同住宅・ホテル・病院等 用途・規模により毎年または3年に1回
建築設備定期検査報告 12条3項 換気・排煙設備等 毎年
防火設備定期検査報告 12条3項 防火戸・防火シャッター等 毎年
昇降機等定期検査報告 12条3項 エレベーター等 毎年(遊戯施設等は半年ごと)

江戸川区の共同住宅(分譲・賃貸マンション)の多くは「特定建築物定期調査報告」の対象で、報告周期は用途・規模により「毎年」または「3年ごと」に分かれます(出典:江戸川区 特定建築物等の定期報告)。「12条点検(外壁打診調査)」というキーワードで検索される方の多くは、この特定建築物定期調査報告の中の外壁調査部分を指しています。

報告を怠ると、建築基準法101条により100万円以下の罰金の対象になり得ます(出典:東京都都市整備局 定期報告に関するQ&A)。管理組合の理事会でよく聞かれるのが「うちは今まで指摘されたことがないから大丈夫」という声ですが、これは報告義務そのものが免除される理由にはなりません。

全面打診が必要になるトリガー(竣工10年、外装改修10年、要調査判定、落下事故)

外壁全面打診調査が必要になるタイミングは、平成20年国土交通省告示第282号(令和4年1月18日改正)で定められています(出典:国土交通省 定期報告制度における外壁のタイル等の調査について)。

A. 竣工(検査済証交付)から10年経過
おおむね10年に一度、落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分の全面的な打診等を行うことが求められます。東京都のQ&Aでは、検査済証交付日(または改修完了日)が属する年度の翌年度開始から10年経過後、最初の報告日までに全面打診等が必要と具体的に示されています。たとえば検査済証交付が2012年7月10日なら、2023年4月1日以降に迎える直近の報告時までに実施が必要という計算です(出典:東京都都市整備局 定期報告に関するQ&A)。

B. 外壁の大規模修繕・改修工事から10年経過
過去に外壁改修工事を行った場合は、その工事完了時点を起点にして再度10年をカウントします。「一度打診をやったから、もう一生やらなくていい」という制度ではありません。

C. 落下事故・要是正判定
調査の結果「要是正」「既存不適格の疑い」等の判定が出た場合、次回報告を待たずに補修や再調査を求められることがあります。タイル・モルタルの浮きを放置して落下事故が起きれば、所有者・管理組合の管理責任が問われる可能性もあります。

D. 赤外線調査という選択肢
令和4年の告示改正で、無人航空機(ドローン)による赤外線調査が、打診に代わる調査方法として正式に位置づけられました。ただし打診と同等以上の精度が必要で、日本建築防災協会のガイドラインに沿った実施が条件です(出典:国土交通省 定期報告制度における外壁のタイル等の調査について)。建物の形状や周辺環境によって打診とドローン、どちらが適切かは変わるため、私は現地を見てから判断することをお勧めしています。

江戸川区固有の運用(窓口・報告時期・書式・オンライン化状況)

江戸川区の場合、報告先が調査の種類によって3つの機関に分かれているのが特徴です(出典:江戸川区 特定建築物等の定期報告、2026年3月27日更新)。

報告の種類 受付機関 オンライン対応
特定建築物・防火設備 公益財団法人東京都防災・建築まちづくりセンター 窓口対応が基本
建築設備 一般財団法人日本建築設備・昇降機センター 電子提出に対応
昇降機等 一般社団法人東京都昇降機安全協議会 電子提出に対応

外壁の全面打診調査を含む「特定建築物定期調査報告」そのものは、東京都防災・建築まちづくりセンターが窓口です。建築設備・昇降機等は電子提出のオンライン申請フォームが用意されていますが、特定建築物(外壁を含む本体の調査)は窓口持参が基本という点は、23区の多くで共通しています。

江戸川区は荒川・江戸川・中川に囲まれた低地帯で、区の広い範囲が海抜ゼロメートル地帯にあたります。私が現場で見てきた実感として、こうした地盤環境の物件は基礎の不同沈下やタイルの目地割れが出やすく、竣工から10年前後で外壁の劣化が進みやすい傾向があります。西葛西・葛西・小岩・平井などの駅周辺には、昭和50年代〜平成初期竣工の分譲マンション・団地型住宅がまとまって残っており、12条点検の全面打診が「そろそろ2回目」あるいは「1回目すら未実施」という物件が混在している地域です。

実務コスト感(打診面積㎡単価、足場費・ロープアクセスの差)

外壁全面打診調査の費用は、面積・階数・足場の有無で大きく変わります。あくまで目安ですが、私が現場で見積りを組む際の相場感は次のとおりです。

  • 打診調査(ロープアクセス工法):おおむね250〜500円/㎡程度
  • 打診調査に伴う仮設足場費:建物規模により大きく変動し、総工費の15〜25%を占めることも珍しくありません

わかりやすい比較として、10階建て・外周80m・工期3ヶ月程度の建物で足場を組んだ場合とロープアクセス工法を使った場合の差額イメージを挙げます。

工法 仮設費の目安 特徴
通常足場工法 約168万円 足場全周設置。日照・眺望に影響、組立解体に時間
ロープアクセス工法 約59万円 足場不要。約109万円の差額(▲約65%)

(数字はあくまで参考値・目安であり、建物の形状や現場条件によって変動します。実際の金額は必ず現地調査のうえお見積りいたします)

12条点検の打診調査だけを単発で依頼する場合と、大規模修繕の一部として打診+補修まで一体で発注する場合とでは、足場費の按分の仕方が変わってきます。この点は次のセクションで詳しく触れます。

ロープアクセス工法が12条打診で選ばれる理由(居ながら施工、コスト、工期)

江戸川区のような低地帯の住宅密集エリアは、隣棟間隔が狭い集合住宅や、河川沿いで足場材の搬入経路が限られる物件も少なくありません。こうした現場で私たちがよくご提案するのが、産業用ロープを使った無足場工法(ロープアクセス工法)です。

ロープアクセス工法が12条点検の打診調査で選ばれる理由は主に3つです。

  1. 居住者の生活影響が小さい:足場のように窓や共用廊下を長期間覆わないため、採光・眺望・防犯面での不満が出にくい
  2. コストを抑えやすい:前述のとおり、足場を全周組む場合に比べて仮設費を大きく圧縮できるケースが多い
  3. 着手までが早い:足場の設計・許可・組立に比べて準備期間が短く、点検だけを先行して実施しやすい

株式会社明誠は、通常の足場仮設工事、無足場工法であるロープアクセス工事、両者を部位ごとに使い分けるハイブリッド工法の3つから、建物にとって最適な工法をご提案できる、日本でも数少ない会社です。日本で初めてロープアクセス工事のフランチャイズ展開も行っており、塗装・防水・タイル・電気・看板工事など各分野の専門職が加盟することで、高品質と低価格の両立を実現しています。ロープアクセス工法での高所作業について、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業では、過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。国際産業ロープアクセス協会(IRATA)水準の技能訓練を受けた作業員が施工し、これまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕・調査に携わってきました。

ロープアクセス工法の技術的な詳細、訓練基準、事故防止の考え方については、姉妹サイトのロープアクセスドットコムに詳しくまとめています。同業の方や、より専門的な情報を知りたい方は、あわせてご覧ください。私自身、この工法の一般的な安全基準や事例についてはロープアクセスドットコムで継続的に発信しています。ハイブリッド工法の考え方も含め、私たちの建物づくりの理念は明誠の理念にまとめていますので、あわせてご覧ください。

明誠の工法選定の考え方については明誠のロープアクセス工法のご紹介、料金の考え方については大規模修繕の料金の考え方のページもあわせてご参照ください。

12条点検を大規模修繕と一体化するメリット

12条点検(外壁全面打診)と大規模修繕は、本来別々の制度・別々のタイミングで動くものですが、実務上はセットで考えることを私は強くお勧めしています。理由は次の3つです。

  • 足場費を二重に払わずに済む:打診調査だけで足場を組み、数年後の大規模修繕でまた足場を組む、という二度組みを避けられる
  • 調査結果がそのまま修繕計画の根拠になる:打診で見つかった浮き・ひび割れ・欠損箇所を、そのまま補修範囲の見積りに反映できる
  • 管理組合の合意形成が一度で済む:総会での説明・議決の回数を減らせる

私はいつも理事長さまに「打診調査の結果が出てから修繕の話をするのではなく、打診と修繕を同じ検討の土台に乗せてください」とお伝えしています。江戸川区のように昭和50年代〜平成初期竣工の建物が多いエリアでは、外壁の劣化と12条点検の全面打診の時期が重なっているケースが多く、一体化のメリットがより大きく出ます。ロープアクセス工法と足場工法をどう部位ごとに使い分けるかという工法比較の一般的な考え方は、ロープアクセスドットコムでも解説しています。

管理組合向けの進め方は明誠の管理組合向けサービスに、賃貸マンション・ビルオーナー向けの進め方は明誠のビルオーナー向けサービスにまとめています。私たちのこれまでの施工事例は明誠の施工事例からご覧いただけます。

よくあるご質問

Q. 江戸川区の分譲マンションは必ず12条点検の対象になりますか?

A. 共同住宅であっても、規模(階数・延べ面積)によっては対象外の場合があります。判断がつかない場合は、階数・延べ面積・各階の用途を整理のうえ、区または東京都防災・建築まちづくりセンターにご確認ください。

Q. 外壁全面打診調査の費用はいくらかかりますか?

A. 一般的な相場は250〜500円/㎡程度が目安ですが、建物の規模・形状・足場の有無で変動します。無料で概算お見積りを提示できますので、お気軽にお問い合わせください。

Q. 打診調査はドローンでもいいのですか?

A. 令和4年の告示改正により、打診と同等以上の精度を持つ赤外線調査であれば認められています。ただし建物の形状や周辺環境によって適否が分かれるため、現地確認のうえでの判断をお勧めします。

Q. 報告を忘れていた場合はどうなりますか?

A. 建築基準法101条により100万円以下の罰金の対象になり得ます。まずは早急に、東京都防災・建築まちづくりセンターまたは区の窓口にご相談ください。

Q. ロープアクセス工法だと足場より安全性が劣りませんか?

A. 国際産業ロープアクセス協会(IRATA)水準の訓練を受けた作業員が施工すれば、足場工法と同等以上の安全性を確保できます。明誠グループでは過去16年間、墜落による労働災害はゼロです。

Q. 12条点検と大規模修繕を同時に依頼できますか?

A. 可能です。むしろ足場費の二重負担を避けられるため、私はセットでの検討をお勧めしています。

この記事のポイントまとめ

  • 江戸川区の共同住宅は用途・規模により12条点検の対象になる
  • 竣工または外壁改修から10年経過が全面打診のトリガー
  • 令和4年改正でドローン赤外線調査も選択肢に追加された
  • 江戸川区は特定建築物・防火設備/建築設備/昇降機等で報告窓口が3系統に分かれる
  • ロープアクセス工法なら足場より仮設費を大きく圧縮できる

まとめ+今週動くこと3点

江戸川区で12条点検の対象になる分譲マンション・賃貸マンション・ビルは、竣工または外壁改修から10年が経過しているかどうかが最初の分かれ目です。報告そのものは東京都防災・建築まちづくりセンターが窓口ですが、打診調査の実施計画は早めに立てておくほど、大規模修繕との一体化がしやすくなります。

今週、理事会や経営会議で動いていただきたいことを3つに絞ります。

  1. 検査済証・過去の外壁改修工事の完了時期を確認し、10年経過の有無を整理する
  2. 次回の定期報告時期を管理会社・区・東京都防災・建築まちづくりセンターに確認する
  3. 打診調査を単独で依頼するか、大規模修繕と一体化するかを検討する

ご相談だけでも遠慮なくお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。詳しくはお問合せフォームからご連絡ください。


この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年9月25日

本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月25日時点で公表されている江戸川区・東京都・国土交通省の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・運用変更があり得ます。実際に手続きされる前に、必ず江戸川区・東京都防災建築まちづくりセンターおよび該当窓口へ最新の内容をご確認ください。

出典・参考資料

足立区の管理組合が無料で使える相談・支援10選|出張相談会は年8回、管理アドバイザー派遣は区も都も無料【令和8年度版】

2026年9月24日 更新

先日、足立区のあるマンションの理事長さまから、こんなお電話をいただきました。

「うちのマンション、旧耐震基準で築45年になる。管理会社は付いているが、大規模修繕の見積りを見せられても、それが妥当な金額なのか誰も判断できない。かといって、コンサルタントを雇うお金もない」

竹ノ塚に近いエリアの、5階建て・36戸の分譲マンションでした。私が現地で外壁を見たところ、タイルの浮きと目地のひび割れが目立ちはじめている段階で、まだ全面改修が必須というほどではありません。むしろ急ぐべきは、修繕積立金の見通しを立て直すことと、専門家の目で一度、管理組合の運営そのものを点検してもらうことでした。

このとき私が申し上げたのは、こうです。「その専門家への相談、足立区と東京都が無料で用意している窓口があります」。

足立区は、分譲マンションの管理組合向けに、区独自の出張相談会とアドバイザー派遣制度を持っています。さらに東京都が運営する分譲マンション総合相談窓口とマンションアドバイザー無料派遣も、区内のマンションであればそのまま使えます。今年、足立区に大きな新規助成が新設されたわけではありませんが、お金をかけずに専門家の判断を仰げる窓口は、数えると10あります。

申し遅れました。私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。東京都東大和市を拠点に、20年近くマンション・ビル・ホテルの大規模修繕に携わってきました。足場を組んで建物を囲う工事も、ロープ1本でぶら下がる無足場の工事も、どちらも自分の足で現場を踏んできた人間です。

今日は、足立区の管理組合と収益不動産オーナーさまが令和8年度に使える相談・派遣の窓口を10個、一次情報で整理します。


結論:足立区で使える無料の相談・支援は10ある

先に一覧でお示しします。すべて費用はかかりません(登記・相続の実費や証明書の発行手数料などは除きます)。

# 制度・窓口 誰が対応するか 費用 申込先
1 足立区 分譲マンション出張相談会 マンション管理士 無料/令和8年度は年8回開催 03-3880-5963(建築室住宅課)
2 足立区 分譲マンション管理アドバイザー派遣制度 マンション管理士 無料/年度内12時間まで(1名派遣) 03-3880-5963(同上)
3 東京都 マンションアドバイザー無料派遣 マンション管理士 無料/通常1回、管理不全兆候ありなら5回まで 03-5989-1453(東京都防災・建築まちづくりセンター)
4 東京都 分譲マンション総合相談窓口 マンション管理士 無料/対面・電話・Zoom対応 03-6427-4900(同センター)
5 足立区 不動産相談(予約制) 宅地建物取引士 無料/毎月第1・3水曜13:00〜16:00 03-3880-5359(区民の声相談課)
6 足立区 相続・登記相談(予約制) 司法書士・土地家屋調査士 無料/毎月第2水曜13:00〜16:00 03-3880-5359(同上)
7 足立区 すまいの建築相談(予約制) 建築士 無料/毎月第2水曜14:00〜16:00 03-3880-5963(建築室住宅課)
8 足立区 法律相談(予約制) 弁護士 無料/平日・第2土曜・第4日曜 03-3880-5359(区民の声相談課)
9 足立区 マンション管理状況届出制度 — 届出自体は無料(上記2・3の利用条件) 03-3880-5963(同上)
10 足立区 マンション管理計画認定制度 — 区の手数料は当面無料(変更認定含む) 03-3880-5963(同上)

1〜4が専門家に直接相談・派遣を頼める窓口、5〜8が区民相談室の予約制相談、9〜10が制度の入口です。順番に見ていきます。


足立区独自の相談・派遣窓口(1〜2)

1. 分譲マンション出張相談会:令和8年度は年8回、区内各地で開催

足立区は「分譲マンション出張相談会」と題して、マンション管理士による無料相談会を区内各地で開催しています。令和8年度の開催日は次の8回です(更新日2026年4月3日)。

回 開催日
第1回 5月21日(木)
第2回 6月19日(金)
第3回 7月25日(土)
第4回 9月12日(土)
第5回 10月21日(水)
第6回 12月19日(土)
第7回 2月20日(土)
第8回 3月11日(木)

各回、60分のセミナーと60分の相談会がセットで組まれており、相談会のみの参加も可能です。相談内容は建物の維持管理や管理組合運営、将来の建替え相談まで幅広く扱われますが、建築基準法やリフォーム工法そのものの相談は、後述する「すまいの建築相談」に振り分けられます。

申込みは電話(平日午前9時〜午後4時、03-3880-5963)またはオンライン申請システムから。9月12日開催分は本記事執筆時点ですでに終了していますので、次回は10月21日(水)です。理事会の議題として次の相談会をカレンダーに入れておくと、動き出しが早くなります。

(出典:足立区「分譲マンション出張相談会開催のお知らせ」/更新日2026年4月3日)

2. 分譲マンション管理アドバイザー派遣制度:年度内12時間まで無料

出張相談会が「話を聞きに行く」窓口だとすれば、こちらは「管理組合の集まりに来てもらう」窓口です。足立区が実施する分譲マンション管理アドバイザー派遣制度は、マンション管理士を管理組合の総会や理事会に無料で派遣する制度です。

項目 内容
対象 区内の分譲マンション管理組合
派遣専門家 マンション管理士(国家資格)
派遣時間 年度内12時間まで(管理士1名派遣の場合)/2名派遣の場合は6時間まで
費用 無料
申込方法 電話(平日9時〜16時)またはオンライン申請システムで仮予約後、管理士と日程調整のうえ申込書を提出
必要書類 申込書(管理組合印の押印が必要)、派遣終了後は議事録の写しまたは実施確認書
注意点 派遣希望日の2週間以上前に仮予約が必要。区分所有者2名以上の参加が必須

(出典:足立区「分譲マンション管理アドバイザー派遣制度」)

令和6年4月1日から、派遣の上限が「回数制」から「時間制」に変わっています。以前は「年○回まで」という数え方でしたが、今は「年12時間まで」という時間の総量で管理されています。1回2時間の総会説明を年に6回使い切ることもできますし、長期修繕計画の見直しにまとまった時間を充てることもできます。管理組合の使い方次第で融通が利く制度です。

なお、本ページの内容確認時点で最終更新の記載は2025年当時のものにとどまっていました。派遣時間の枠組み自体は継続していると考えられますが、申込みの前に電話で最新の運用を一度確認しておくと確実です。


東京都が運営する窓口(3〜4):区内のマンションでもそのまま使えます

足立区独自の制度に加えて、公益財団法人東京都防災・建築まちづくりセンターが運営する2つの窓口も、足立区内の分譲マンションであれば区を経由せず直接利用できます。

3. マンションアドバイザー無料派遣:旧耐震・6戸以上が対象

項目 内容
対象 昭和58年(1983年)12月31日以前に新築された、独立部分(住戸)が6以上ある分譲マンション
前提条件 マンション管理状況届出制度への届出が受理されていること
費用 無料(講座編を利用する場合、テキスト代が別途かかることあり)
利用回数 通常は1回まで無料。管理不全の兆候があるマンションは5回まで無料
申込方法 申込書に記入のうえFAX・メール・郵送で提出。1〜2週間程度でアドバイザーから日程調整の連絡
問合せ先 03-5989-1453(東京都防災・建築まちづくりセンター まちづくり推進課)

(出典:(公財)東京都防災・建築まちづくりセンター「マンションアドバイザー無料派遣」)

「昭和58年12月31日以前」という築年条件が、この制度の一番のポイントです。足立区内でも旧耐震基準(昭和56年5月31日以前の建築確認)の物件だけでなく、昭和56〜58年に建てられた新耐震基準ぎりぎりの物件まで対象に含まれます。築40年を超えるマンションの管理組合は、まずこの条件に当てはまるかどうかを確認する価値があります。

前の章で紹介した足立区独自のアドバイザー派遣(年12時間)と、こちらの東京都の無料派遣(通常1回)は、運営元も申込先も別です。足立区の制度で年間の時間を使い切ってしまった場合でも、条件を満たせばこちらを併用できる可能性があります。迷ったら両方に電話して、使える枠を確認するのが早道です。

4. 分譲マンション総合相談窓口:電話・メール・Zoomにも対応

項目 内容
対応者 マンション管理士
対象 都内に所在する分譲マンションに関する相談全般(管理組合運営、大規模修繕、建替え・改修、管理状況届出制度の説明など)
費用 無料
相談方法 電話・メール・FAX・対面(要予約)・Web会議(Zoom、1週間前までに要予約)
相談日時 月〜金曜日・第1土曜日・第3日曜日(祝日・年末年始除く)午前9時〜午後5時(水曜日は午後7時まで)
連絡先 電話 03-6427-4900/メール mansion-soudan@tokyo-machidukuri.jp/FAX 03-6427-4901
所在地 東京都新宿区西新宿7-7-30 小田急西新宿O-PLACE 2F

(出典:東京都「分譲マンション総合相談窓口」)

区役所の窓口が開いている平日日中に時間が取れない理事さまも多いと思います。この窓口はZoomでの相談を受け付けているため、平日夜(水曜は19時まで)や土曜午前中に、自宅から相談できるのが実務上の強みです。共働きで理事会役員をされている方には、こちらのほうが使い勝手が良いかもしれません。

外壁の劣化がどこまで進んでいるかを、専門家に相談する前段階でご自身でも把握したい場合は、明誠のロープアクセス工法による外壁調査の考え方もあわせてご覧ください。足場を組まずにどこまで確認できるかがわかります。工法の技術的な仕組みそのものを詳しく知りたい方は、姉妹サイトロープアクセスドットコムのほうに詳しい解説を載せています。


足立区 区民相談室の無料相談(5〜8)

分譲マンションに限らない一般的な相談ですが、管理組合の運営や大規模修繕の資金計画に絡む場面で使えるものを4つ挙げます。いずれも足立区役所の区民の声相談課が窓口です。

5. 不動産相談(予約制):宅地建物取引士が対応

借地・借家、更新・立退きなど不動産全般について、宅地建物取引士が相談に応じます。毎月第1・3水曜日午後1時〜4時(祝日・年末年始除く)、費用は無料です。1回の相談時間は35分以内で、予約は電話(03-3880-5359、平日8時30分〜17時15分)または区役所本庁舎北館2階の窓口で受け付けています。無断キャンセルは以後の利用制限の対象になる、と明記されている点は留意が必要です。

(出典:足立区「不動産相談(予約制)」/更新日2026年6月19日)

6. 相続・登記相談(予約制):司法書士・土地家屋調査士が対応

不動産の売買・相続、登記、土地の調査・測量に関する相談です。毎月第2水曜日午後1時〜4時に開催され、費用は無料。予約は1か月前から可能で、申込先は不動産相談と同じ03-3880-5359です。

管理組合そのものの相談ではありませんが、区分所有者の相続で連絡が取れなくなった住戸がある、といった管理組合特有の悩みの入口として使われることもあります。

(出典:足立区「住まいの相談」)

7. すまいの建築相談(予約制):建築士が対応

新築・改築・リフォームに関する建築士による相談です。毎月第2水曜日(祝日の場合は前日)午後2時〜4時に開催、費用は無料。申込みは電話03-3880-5963(建築室住宅課)で、予約制です。

分譲マンション出張相談会がマンション管理士による「管理組合運営」の相談であるのに対し、こちらは建築士による「建物そのもの」の技術的な相談という色分けになっています。外壁の劣化診断や大規模修繕の工法選定に近い話は、こちらのほうが専門的な回答を得やすい場面もあります。

(出典:足立区「住まいの相談」)

8. 法律相談(予約制):弁護士が対応

金銭問題、損害賠償、契約トラブルなどについて弁護士が相談に応じます。平日午前9時〜正午・午後1時〜4時に加えて、第2土曜日午前9時30分〜午後0時30分(窓口のみ)、第4日曜日午前9時〜正午・午後1時〜4時にも開催されており、オンライン相談も可能です。1回の相談時間は40分以内、費用は無料。予約・問合せは03-3880-5359です。

管理費の滞納や、管理規約の解釈をめぐる区分所有者間のトラブルなど、管理組合運営で法律問題に発展しそうな場面では、まずこの無料相談で見立てを聞いておくと、その後の対応方針が立てやすくなります。

(出典:足立区「法律相談(予約制)」/更新日2026年6月19日)


制度の「入口」になる2つの届出・認定(9〜10)

9. マンション管理状況届出制度:まずここから

東京都の条例(東京都マンションの管理の適正化に関する条例)に基づき、区内の一定規模以上の分譲マンションには、管理組合の運営状況などを区に届け出る義務があります。届出そのものに費用はかかりません。

ここまで紹介した「2. 分譲マンション管理アドバイザー派遣制度」や「3. 東京都 マンションアドバイザー無料派遣」は、いずれもこの管理状況届出が受理されていることが利用の前提条件です。まだ届出をしていない管理組合は、無料の専門家派遣を受ける前に、まずこの届出から着手する必要があります。

(出典:足立区「マンション管理状況届出制度(東京都条例)について」)

10. マンション管理計画認定制度:区の手数料は当面無料

長期修繕計画や管理規約の整備状況などが一定の基準を満たす管理組合は、区の「マンション管理計画認定制度」の認定を受けられます。認定基準には、長期修繕計画が国の「長期修繕計画標準様式」に準拠して作成されていること、計画期間が30年以上で大規模修繕工事が2回以上含まれることなどが定められています。

区の手数料は当面のあいだ無料(変更認定申請を含む)です。ただし、新規申請は公益財団法人マンション管理センターの「管理計画認定手続支援システム」を経由する必要があり、そちらのシステム利用料等は別途必要になります。区の窓口では新規申請そのものは受け付けていない点に注意してください。変更申請は郵送または区窓口での提出が可能です。標準審査期間は30日間とされています。

(出典:足立区「マンション管理計画認定制度について」/更新日2026年4月1日)

認定を受けると、住宅金融支援機構の融資金利引下げや、マンションが長期優良化に資すると認められた場合の税制優遇(マンション長寿命化促進税制)につながる道が開けます。この税制の適用には区が発行する証明(手数料300円/通)が必要になりますが、認定そのものの手数料が無料である点は、これから長期修繕計画を整える管理組合にとって着手のハードルを下げてくれます。


なぜ「無料の相談」を軽視してはいけないのか

正直に申し上げます。私はこれまで多くの管理組合の理事会にお邪魔してきましたが、一番もったいないと感じるのは、こうした無料の窓口を知らないまま、業者の言い値をそのまま信じてしまうケースです。

足立区・東京都のどちらの窓口も、対応するのは利害関係のない第三者のマンション管理士や建築士、弁護士です。工事を受注したい業者とは違う立場から、「その見積りは妥当か」「その進め方で管理規約上、問題はないか」を聞ける機会は、実はこれだけ用意されています。

株式会社明誠はこれまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセス工法での高所作業について、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業では過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。作業員はIRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の技能訓練を受けています。この安全体制の詳細はロープアクセスドットコムで公開しています。

大規模修繕の工法には、従来型の足場工法、ロープアクセスによる無足場工法、両者を部位ごとに使い分けるハイブリッド工法の3つがあります。低層で形状が複雑な建物や改修範囲が広い建物は足場工法が有利なこともあれば、高層で足場の架設が難しい建物、居住者への生活影響を最小限にしたい建物はロープアクセスが有利なこともあります。3工法を自社で提案できる会社は、国内でも多くありません。料金の考え方は明誠の大規模修繕の料金の考え方に、安全管理への取り組みは明誠の安全管理への取り組みにまとめています。

こうした無料相談で「専門家の目」を一度通してから、私たちのような施工会社に声をかけていただくのが、遠回りのようで実は一番確実な進め方だと考えています。


よくあるご質問

Q. 足立区の分譲マンション管理アドバイザー派遣制度は、管理状況届出をしていないと使えませんか?

A. 区のページには届出を明示的な要件とする記載はありませんが、東京都のマンションアドバイザー無料派遣(前提条件3)は管理状況届出の受理が明確な要件です。両制度を確実に利用するためにも、まず管理状況届を提出しておくことをおすすめします。

Q. 区のアドバイザー派遣(年12時間)と都のアドバイザー無料派遣(1回)は、両方使えますか?

A. 運営元(区と東京都防災・建築まちづくりセンター)が異なる別制度です。区の年12時間の枠を使い切った後でも、都の制度の対象条件(昭和58年12月31日以前築・6戸以上・管理状況届出受理済み)を満たしていれば、別途申し込める可能性があります。詳しくはそれぞれの窓口に直接ご確認ください。

Q. 出張相談会や区民相談室の予約は、どのくらい前から取ればいいですか?

A. 相談内容により異なります。相続・登記相談は1か月前から予約可能です。出張相談会は開催日の案内が出た時点で早めに埋まる傾向があるため、次回開催日(本記事執筆時点では10月21日)が決まり次第、理事会で日程調整のうえ早めの申込みをおすすめします。

Q. 大規模修繕の見積りが妥当かどうか、無料相談で判断してもらえますか?

A. マンション管理士や建築士による相談は、見積りの妥当性そのものを鑑定するサービスではなく、管理組合運営や進め方に関する助言が中心です。見積書の数量・単価の妥当性を具体的に確認したい場合は、施工会社によるセカンドオピニオンをあわせて利用されることをおすすめします。明誠でも既存の見積書を拝見してのご相談を承っています。お問合せフォームからご連絡ください。

Q. 大規模修繕の工期は、足場とロープアクセスでどれくらい違いますか?

A. ロープアクセス工法は足場の組立・解体の期間がまるごと不要になるため、足場工法のおよそ60%程度の工期が目安です。5階建て・36戸クラスのマンションであれば、足場工法で2か月前後のところ、ロープアクセスなら1〜1.5か月程度になることがあります。改修範囲が広い場合はこの差が縮まります。

Q. 足場を組まないと、住民への負担は本当に減るのですか?

A. 足場とメッシュシートで建物を囲うと、日照・通風が数か月にわたって制限され、防犯上の不安も生じます。ロープアクセスは作業する面だけを順に進めるため、影響が及ぶ期間と範囲を限定できます。

Q. 賃貸マンションのオーナーでも使える窓口はありますか?

A. 足立区の出張相談会・アドバイザー派遣・管理状況届出制度は、いずれも分譲マンションの管理組合が対象です。賃貸マンションのオーナーさまは、区民相談室の不動産相談・建築相談(区内在住・在勤・在学の方が対象)や、民間の第三者による診断をご検討ください。収益物件の維持管理については明誠のオーナー向けサービスをご覧ください。

Q. 管理会社を通さずに、明誠に直接相談してもいいのでしょうか?

A. もちろんです。セカンドオピニオンとしてお使いいただくケースが一番多いです。管理組合向けのご案内は明誠の管理組合向けサービスにまとめています。


まとめ:今週、足立区の管理組合が動けること3つ

長くなりましたので、動き出しの3手に絞ります。

1. マンション管理状況届出の提出状況を確認する

東京都条例に基づく届出で、これが受理されていないと、区・都のアドバイザー派遣が受けられない可能性があります。届出書類は区のページからダウンロードできます。

2. 次の出張相談会(10月21日・水)を理事会カレンダーに入れる

年8回開催のうち、直近の回です。電話03-3880-5963で予約状況を確認しつつ、「うちのマンションはアドバイザー派遣も使えるか」もあわせて聞いておくと、その後の動きが具体的になります。

3. 大規模修繕を控えているなら、区・都の無料相談と並行して施工会社にも相談する

無料相談は管理組合運営の助言が中心で、見積りの数量・単価まで踏み込むものではありません。区・都の相談と、施工会社によるセカンドオピニオンを並行して進めるのが、遠回りのようで一番早い進め方です。明誠のこれまでの明誠の施工事例もあわせてご覧いただければ、実際にどんな建物でどんな判断をしてきたかが伝わると思います。


足立区は、板橋区のように今年新設された大型の助成金こそありませんが、区独自の相談・派遣窓口に加えて、東京都の窓口までフルに使えるという点で、無料支援の選択肢自体は決して少なくありません。むしろ窓口が複数あるぶん、「どれをどの順番で使えばいいか」が分かりにくいというのが実情だと思います。

私は現場でこう思うことがあります。管理組合が損をするのは、悪い業者に当たったときよりも、無料で相談できる窓口があることを知らないまま、時間だけが過ぎたときのほうがずっと多い、と。壁の浮きも、防水の切れも、待っていて良くなることはありません。

総会の前段階の整理だけでも、私たちにお力になれることがあります。お気軽にお声がけください。


出典・参考資料


本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月24日時点で公表されている東京都足立区・東京都・国土交通省の公式情報をもとに執筆しています。令和8年度(2026年4月〜2027年3月)を現行年度として整理していますが、一部ページ(分譲マンション管理アドバイザー派遣制度など)は最終更新日の記載が2025年当時にとどまっており、令和8年度時点での内容変更の有無を公式には確認できませんでした。実際に申込みをされる前に、必ず足立区(03-3880-5963)または該当窓口へ最新の内容をご確認ください。


この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)

株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市

マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年9月24日

葛飾区の管理組合が無料で使える相談・派遣13選|耐震アドバイザー派遣は1棟4回まで無料、管理計画認定アドバイザーは令和9年2月28日まで受付【令和8年度版】

2026年9月24日 更新

先週、金町の分譲マンションの理事長さまから電話をいただきました。

「築42年の棟で、そろそろ大規模修繕の3回目を検討し始めている。ただ、うちは旧耐震基準の建物らしいと聞いたことがあるが、それが何を意味するのか、誰に聞けばいいのかも分からない」

伺うと、5階建て・48戸の建物で、昭和54年築。旧耐震基準(昭和56年5月31日以前)の建築物にぴったり該当していました。しかも長期修繕計画は一度も専門家の手が入らないまま、管理会社の提案書をそのまま踏襲してきたとのことでした。

私はこの手のご相談を受けるたびに、同じことを思います。葛飾区の管理組合には、実は無料で呼べる専門家や、費用の大半が助成で戻る制度がかなり揃っているのに、その情報が理事会まで届いていない、と。特に葛飾区は、旧耐震基準の建物を対象にした耐震アドバイザー派遣を1棟あたり4回まで無料で使える、23区の中でも手厚い制度を持っています。

申し遅れました。私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。東京都東大和市を拠点に、20年近くマンション・ビル・ホテルの外壁の仕事をしてきました。足場を組んで建物をすっぽり囲う工事も、ロープ1本でぶら下がる無足場の工事も、どちらの現場も自分の足で踏んできた人間です。

今日は、葛飾区の管理組合とビル・収益不動産オーナーさまが使える相談・派遣・助成を13個、令和8年度(2026年4月1日から2027年3月31日まで)の一次情報で整理します。


結論:葛飾区で使える支援は13ある

先に一覧でお示しします。費用ゼロのものと、費用の一部が助成で戻るものを分けて並べました。

# 制度・窓口 誰が対応するか 費用 申込先
1 マンション管理計画認定取得のためのアドバイザー派遣 マンション管理士等 無料(システム利用料1万円は管理組合負担) 住環境整備課企画管理係 03-5654-8352
2 分譲マンションアドバイザー制度利用助成 都センター認定アドバイザー 派遣料の一部助成(上限8,250〜25,300円・年度内1回) 住環境整備課企画管理係 03-5654-8352
3 マンション耐震アドバイザー派遣制度 建築士等の耐震アドバイザー 無料/1棟あたり4回まで 建築課建築安全係 03-5654-8552
4 分譲マンション維持管理セミナー・個別相談会 専門家講師+個別相談 無料 住環境整備課 03-5654-8352/8529
5 区の法律相談 弁護士 無料/30分程度・電話予約制 区民相談室 03-5654-8612〜8615
6 建築・リフォームなんでも相談 建築士 無料/第1・3金曜、予約不要 区民相談室 03-5654-8612〜8615
7 葛飾区消費生活センター 消費生活相談員 無料 03-5698-2311
8 東京都 分譲マンション総合相談窓口 都職員・専門相談員 無料 03-6427-4900
9 東京都 マンションアドバイザー無料派遣(管理状況届出制度) マンション管理士等 無料(届出済みが条件・管理不全兆候ありは最大5回) 東京都防災・建築まちづくりセンター 03-5989-1453
10 (公財)マンション管理センター 電話相談 専門相談員 無料 運営03-3222-1517/設備03-3222-1519
11 一般社団法人マンション管理業協会 相談窓口 専門相談員 無料 050-3733-8982
12 法テラス・サポートダイヤル 案内オペレーター 無料(個別法律相談は要件により有料の場合あり) 0570-078374
13 葛飾区マンション管理計画認定制度 住環境整備課(事前確認は外部機関) 区への申請手数料無料(事前確認料等は別途) 住環境整備課企画管理係 03-5654-8352

1〜12がお金のかからない、あるいは費用の大半が戻る相談・派遣・助成、13は区への申請自体は無料で事前確認費用のみ発生する認定制度です。順番に見ていきます。


葛飾区の目玉は「耐震アドバイザー派遣・1棟4回まで無料」

多くの区の耐震アドバイザー制度は1回きりか、せいぜい2回までです。葛飾区は同一マンションにつき最大4回まで無料で派遣を受けられる点が際立っています。

1. マンション耐震アドバイザー派遣制度

区が公表している内容をそのまま引用します。

項目 内容
対象建築物 昭和56年5月31日以前に建築された、3階以上・鉄骨造/鉄筋コンクリート造/鉄骨鉄筋コンクリート造の耐火・準耐火建築物(区内の共同住宅)
費用 無料
派遣回数 1つのマンションにつき4回まで
申込先 葛飾区役所建築課建築安全係 03-5654-8552

(出典:葛飾区「マンション耐震アドバイザー派遣制度(無料)」)

4回という回数の意味は小さくありません。1回目で現地を見てもらい、2回目で簡易診断の結果を踏まえた説明を受け、3回目で耐震改修の方向性を詰め、4回目で総会向けの資料の見せ方を相談する——そこまでの伴走を無料で受けられる計算です。私はいつも理事長さまに「1回で終わらせず、総会説明の直前にもう一度呼んでください」とお伝えしています。総会当日に区分所有者から想定外の質問が飛んでも、アドバイザーに聞いた内容ならその場で答えやすくなるからです。

対象は昭和56年5月31日以前の建物に限られますが、葛飾区は柴又・金町・新小岩・立石など昭和40年代後半から50年代に建てられた分譲マンションが多いエリアです。まずご自身の管理組合の建物がこの年代に該当するか、竣工年月日を登記簿や重要事項調査報告書で確認するところから始めてみてください。


マンション管理計画認定制度を取りに行くなら、アドバイザー派遣がほぼ無料で使える

令和4年に始まったマンション管理計画認定制度は、葛飾区でも申請が進んでいます。区は認定取得を後押しするアドバイザー派遣制度を用意しています。

2. マンション管理計画認定取得のためのアドバイザー派遣

項目 内容
対象 区内分譲マンションの管理組合、または管理組合から委託を受けた管理会社
費用 無料(ただし管理計画認定手続支援サービスのシステム利用料 税込10,000円は管理組合負担)
受付期間 令和8年5月1日〜令和9年2月28日
申込方法 申込書を郵送・持参、または申込みフォーム
申込先 住環境整備課企画管理係 03-5654-8352

(出典:葛飾区「マンション管理計画認定取得のためのアドバイザーを派遣します」/更新日令和8年5月1日)

アドバイザー派遣そのものは無料ですが、認定申請の前段階として必要になる事前確認(マンション管理士や日本マンション管理士会連合会、マンション管理センターなどによる適合証の発行)には別途費用がかかります。この事前確認料と、認定申請支援システムの利用料1万円が、実質的な自己負担額です。

3. 葛飾区マンション管理計画認定制度そのもの

項目 内容
区への認定申請手数料 無料
事前確認 必須(マンション管理士・管理会社・日管連・マンション管理センターいずれかの「事前確認適合証」が必要)
申請窓口 住環境整備課企画管理係(葛飾区立石5-13-1 区役所3階307番窓口)
電話 03-5654-8352

(出典:葛飾区「管理計画認定制度」)

認定を取得すると、住宅金融支援機構のフラット35の金利引き下げや、大規模修繕工事融資の金利優遇といった税制・融資面のメリットが受けられます。長期修繕計画の見直しと合わせて検討する管理組合が増えている制度です。

4. 分譲マンションアドバイザー制度利用助成 — 都の派遣費用を区が一部負担

(公財)東京都防災・建築まちづくりセンターのマンションアドバイザー制度を利用するとき、その派遣料の一部を葛飾区が助成してくれます。

項目 内容
対象 区内の分譲マンションの管理組合または区分所有者
助成額 B-1〜B-7コース:上限12,650円/B-8①②コース:上限25,300円/建替え・改修Aコース:上限8,250円
助成回数 同一マンションにつき年度内1回
申込先 住環境整備課企画管理係 03-5654-8352(事前に電話連絡のうえ申請)

(出典:葛飾区「分譲マンションアドバイザー制度利用助成」/掲載更新日令和5年4月10日)

このページの更新日は令和5年4月10日と少し古いため、助成額そのものに変更がないかは、申請前に必ず住環境整備課へ電話で確認してください。区がハブとして案内している分譲マンションの維持管理相談窓口ページでは「派遣料の半額を助成」という説明もあり、コースによって助成率の表現が異なります。いずれにせよ、都のアドバイザー派遣を単独で申し込むより、区の助成を併用したほうが自己負担は小さくなります。

私はこれを、大規模修繕の初動段階で必ずワンセットで提案するようにしています。管理状況届の提出、都のアドバイザー制度、区の助成——3つを組み合わせて初めて「実質無料に近い専門家派遣」が完成するからです。


区が主催する無料セミナー・個別相談会

5. 分譲マンションにお住まいの方のための維持管理セミナー

区が年に数回開催している、講師によるセミナーと個別相談会のセットです。

項目 内容
対象 区内分譲マンションの管理組合役員、区分所有者
費用 無料
直近の開催 令和8年6月13日(土曜)9時30分〜10時50分がセミナー、11時〜12時が個別相談会
申込先 住環境整備課 03-5654-8352または03-5654-8529

(出典:葛飾区「分譲マンションにお住まいの方のための維持管理セミナー」/更新日令和8年5月1日)

本記事の執筆時点(2026年9月24日)では直近の開催は令和8年6月13日で終了しており、次回の日程は未公表です。定員に達すると受付が締め切られる形式のため、興味のある管理組合は住環境整備課に電話をして、次回開催の案内を早めに受け取れるようにしておくことをお勧めします。


区民相談室──弁護士も建築士も無料で呼べる

6. 区の法律相談(弁護士)

項目 内容
頻度 月〜金曜(第1木曜は午前から、第2水曜は夜間まで拡充)
時間 通常13:00〜16:40、第1木曜8:40〜16:40、第2水曜13:00〜19:20
費用 無料
予約 電話のみ・相談日の2週間前から受付
電話 03-5654-8612〜8615(平日8:30〜17:00)

(出典:葛飾区「法律相談」/更新日令和8年7月2日)

管理費の滞納が続く区分所有者への対応、専有部分の使用差し止め、総会決議の有効性など、区分所有法が絡む相談は法律相談の得意分野です。メール相談は実施していないため、電話で予約してください。

7. 建築・リフォームなんでも相談(建築士)

項目 内容
頻度 第1・3金曜日
時間 13:00〜16:00
費用 無料
予約 不要(当日来室または電話可)
電話 03-5654-8612〜8615

(出典:葛飾区「区民相談のご案内」)

予約不要というのが使い勝手の良いところです。大規模修繕の見積書や、管理会社から提示された改修プランを持ち込んで、第三者の建築士に目を通してもらうという使い方ができます。

8. 葛飾区消費生活センター

項目 内容
費用 無料
受付時間 月〜金曜9:00〜17:00(休日・年末年始除く)
電話 03-5698-2311

(出典:葛飾区「消費生活相談はこちら」)

管理組合が結んだ工事契約や、訪問営業によるリフォーム契約のトラブルは消費生活センターの管轄です。クーリングオフの可否や、契約書の不備の指摘など、実務的なアドバイスが受けられます。


都・国レベルの相談窓口も併用できる

区の窓口だけでなく、東京都や業界団体が用意する無料窓口も併用できます。

9. 東京都 分譲マンション総合相談窓口

日常の維持管理から建替え・改修まで、幅広く相談できる都の窓口です。電話:03-6427-4900。

10. 東京都 マンションアドバイザー無料派遣(管理状況届出制度)

管理状況届を提出済みの要届出マンション(昭和58年12月31日以前に新築・6戸以上)であれば、アドバイザー派遣1回が無料。管理不全の兆候がある場合はさらに手厚く、最大5回まで無料派遣を受けられます。申込・問合せ先は(公財)東京都防災・建築まちづくりセンター 03-5989-1453です。

(出典:東京都マンションポータルサイト「管理状況の届出内容に応じたアドバイザー派遣費用の助成」)

11. (公財)マンション管理センターの電話相談

管理組合運営・管理規約の相談は03-3222-1517、建物・設備の維持管理相談は03-3222-1519。受付は平日9:30〜17:00です。

(出典:(公財)マンション管理センター「相談窓口について」)

12. 一般社団法人マンション管理業協会の相談窓口

管理会社との契約内容や委託業務の範囲に疑問があるときの相談先です。電話:050-3733-8982、受付10:00〜16:30(12:00〜13:00を除く)。

(出典:一般社団法人マンション管理業協会「お問い合わせ」)

13. 法テラス・サポートダイヤル

個別の法律相談窓口を案内してくれる全国共通の窓口です。電話:0570-078374(ナビダイヤル)、平日9:00〜21:00・土曜9:00〜17:00。資力要件を満たす場合は無料の民事法律扶助(弁護士費用の立替制度)につながることもあります。

(出典:法テラス「法テラス・サポートダイヤル」)


お金の話:葛飾区で大規模修繕を検討するときの目安

制度の話ばかりでは実感が湧かないと思いますので、費用の目安も出しておきます。すべて参考値のレンジです。実際の見積は建物の形状・劣化状況・立地によって大きく変動します。

工種 ㎡単価の目安
外壁塗装 3,500〜4,500円/㎡
外壁打診調査 250〜500円/㎡
屋上・バルコニー防水 5,000〜8,000円/㎡

30戸規模のマンションで大規模修繕を一巡させると、総額のレンジは3,500〜5,000万円程度。このうち仮設足場が15〜25%を占めます。足場だけで500万〜1,200万円という計算です。

私がロープアクセス工法(産業用ロープで作業員が懸垂し、足場を組まずに外壁作業を行う無足場工法)をご提案することが多い理由は、ここにあります。10階建て・外周80m・工期3か月というモデルケースでは、足場の仮設費が約168万円に対し、ロープアクセスなら約59万円。差額は約109万円です。

ただし、どんな建物でもロープアクセスが最適というわけではありません。低層で形状が複雑な建物、改修範囲が広い建物は、足場を組んだほうが総合コストで有利になることもあります。だからこそ明誠では、通常足場・ロープアクセス・両者を部位ごとに使い分けるハイブリッド工法の3つから選べる体制をとっています。3工法を自社で提案できる会社は、国内でも多くありません。料金の考え方は明誠の大規模修繕の料金の考え方にまとめています。

株式会社明誠はこれまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセス工法での高所作業について、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業では過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。作業員はIRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の技能訓練を受けています。この安全体制の詳細はロープアクセスドットコムで公開しています。ISO9001品質マネジメントシステムに基づく施工品質の考え方も、姉妹サイトのロープアクセスドットコムで技術的に解説しています。安全管理の考え方は明誠の安全管理への取り組み、会社の理念は明誠の理念もあわせてご覧ください。

葛飾区は柴又・金町・新小岩・立石・青戸と、地域によって建物のストック年齢に差があります。旧耐震基準の建物が集中するエリアもあれば、区画整理でまとまって建て替えられたエリアもある。同じ葛飾区でも、まず確認すべきことは建物によって違います。


相談に行くとき、何を持っていけばいいか

限られた相談時間を最大限に使うために、私がいつもお伝えしている3点セットがあります。

  1. 直近3期分の総会議事録 — 何が決まり、何が先送りされてきたかが一目で分かります
  2. 長期修繕計画書 — 更新が止まっていても構いません。むしろ止まっていること自体が相談材料です
  3. 管理規約(最新版) — 標準管理規約は令和7年に改正されています。自組合の規約がどの版に準拠しているかで、打てる手が変わります

余裕があれば、竣工年月日が分かる書類(登記簿・重要事項調査報告書など)と、気になっている箇所のスマホ写真を加えてください。旧耐震基準に該当するかどうかは、耐震アドバイザー派遣を申し込む際にまず聞かれる項目です。

法令面では、令和7年5月30日公布の「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律」(令和7年法律第47号)が令和7年11月28日に一部施行されています。建替えや大規模な改修を視野に入れている管理組合は、この改正を踏まえた助言を受けられるかどうかで、相談の価値が変わってきます。


よくあるご質問

Q. 耐震アドバイザー派遣は、旧耐震基準かどうかが分からなくても申し込めますか?

A. まず建築課建築安全係(03-5654-8552)に竣工年月日と構造(鉄骨造・鉄筋コンクリート造など)を伝えれば、対象になるかどうかを確認してもらえます。登記簿や重要事項調査報告書に竣工年月日の記載がありますので、事前に手元に用意しておくとスムーズです。

Q. マンション管理計画認定を取得すると、具体的にどんなメリットがありますか?

A. 住宅金融支援機構のフラット35の金利引き下げや、マンション共用部分リフォーム融資の金利優遇が代表的です。長期修繕計画の内容や修繕積立金の水準が一定の基準を満たしていることが前提になりますので、まずは事前確認から始めることをお勧めします。

Q. 分譲マンションアドバイザー制度利用助成の金額は、令和8年度も同じですか?

A. 区の該当ページの掲載更新日は令和5年4月10日で、令和8年度向けの改定情報は確認できていません。申請前に住環境整備課企画管理係(03-5654-8352)へ電話し、現行年度の助成額を直接ご確認ください。

Q. 賃貸マンションのオーナーでも使える制度はありますか?

A. 耐震アドバイザー派遣や管理計画認定関連の制度は分譲マンションの管理組合が主な対象です。賃貸マンションのオーナーさまは区民相談室の建築相談・法律相談(区内在住・在勤・在学の個人が対象)や、民間の第三者診断をご検討ください。収益物件の維持管理については明誠のオーナー向けサービスをご覧ください。

Q. 大規模修繕の工期は、足場とロープアクセスでどれくらい違いますか?

A. ロープアクセス工法は足場の組立・解体の期間がまるごと不要になるため、足場工法のおよそ60%の工期が目安です。10階建て・外周80mのマンションであれば、足場工法で3か月程度のところ、ロープアクセスなら1.5〜2か月程度になります。

Q. 管理会社を通さずに、明誠に直接相談してもいいのでしょうか?

A. もちろんです。セカンドオピニオンとしてお使いいただくケースが一番多いです。既存の見積書を拝見して、数量と単価の妥当性を一緒に確認するだけでも結構です。お問合せフォームからご連絡ください。管理組合向けのご案内は明誠の管理組合向けサービスにまとめています。

Q. 予算がなくなったら助成は使えなくなりますか?

A. アドバイザー派遣制度は年度予算の範囲内で運営されているため、年度末に近づくほど枠が埋まる可能性があります。特に管理計画認定取得のためのアドバイザー派遣は受付期間が令和9年2月28日までと定められていますので、検討している管理組合は早めに住環境整備課へお問い合わせください。


まとめ:今週、葛飾区の管理組合が動けること3つ

長くなりましたので、動き出しの3手に絞ります。

1. 建物の竣工年月日を確認し、旧耐震基準に該当するか調べる

昭和56年5月31日以前の建物であれば、耐震アドバイザー派遣を1棟あたり4回まで無料で使えます。登記簿や重要事項調査報告書があれば、すぐに確認できます。

2. 住環境整備課(03-5654-8352)に電話して、管理計画認定アドバイザー派遣の受付状況を聞く

受付期間は令和9年2月28日までですが、予算の状況によって早期に締め切られる可能性もあります。長期修繕計画の見直し時期と合わせて検討している管理組合は、早めの相談をお勧めします。

3. 次の理事会に、この記事の一覧表を持っていく

13ある制度のうち、自分たちの管理組合がどれに該当するかを整理するだけでも、専門家に相談するときの話が具体的になります。


葛飾区は、旧耐震基準の建物への支援という点で、23区の中でも特徴のある制度を持っています。耐震アドバイザー派遣が1棟4回まで無料というのは、決して小さな数字ではありません。

一方で、都の制度と区の助成を組み合わせる仕組みは少し分かりにくく、掲載情報の更新頻度にもばらつきがあります。だからこそ、電話一本で確認する手間を惜しまないことが大切だと、私は現場で感じています。

私はこう思うことがあります。管理組合が損をするのは、悪い業者に当たったときよりも、相談しないまま時間だけが過ぎたときのほうがずっと多い、と。壁の浮きも、防水の切れも、待っていて良くなることはありません。

明誠のこれまでの明誠の施工事例もあわせてご覧いただければ、実際にどんな建物でどんな判断をしてきたかが伝わると思います。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。


出典・参考資料


本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月24日時点で公表されている東京都葛飾区および国土交通省・東京都の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。特に分譲マンションアドバイザー制度利用助成のページは掲載更新日が令和5年4月10日と古いため、助成額に変更がないか申請前に必ず住環境整備課へご確認ください。実際に申請される前に、必ず東京都葛飾区および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。


この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)

株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市

マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年9月24日

三鷹市のマンション漏水・防災対策|武蔵野台地の地盤と神田川・野川流域の浸水リスク、大規模修繕の優先順位【2026年度版】

2026年9月24日 更新

三鷹市のマンションで理事会にお邪魔したとき、理事長さまから「うちは高台だから、水害とは無縁だと思っていました」と言われたことがあります。私はそこで一度立ち止まっていただくようにしています。三鷹市は武蔵野台地の上にあり、たしかに東京23区の低地部と比べれば地盤は良好です。ただし神田川・野川・仙川という3本の川が市内を流れており、川沿いの低地や崖線沿いの傾斜地には、今も指定されたリスクが残っています。

私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。東京都東大和市を拠点に、20年近くマンション・ビル・ホテルの大規模修繕に携わってきました。仮設足場を組む工事も、ロープ1本でぶら下がる無足場の工事も、どちらも現場でやってきた人間として、今日は三鷹市のハザードマップの中身と、大規模修繕で先に手を打つべき場所を整理します。


結論:三鷹市の分譲・賃貸マンションで優先すべきは「川沿い・崖線沿いの建物の排水設備点検」と「地下・低層階の電気室・給水ポンプの浸水対策」です

先に結論を申し上げます。三鷹市の大規模修繕で私が最初に確認するのは、次の2点です。

1つ目は神田川・野川・仙川沿いに建つ物件の屋上防水とバルコニー・敷地排水経路の健全性。三鷹市は地盤の良さで知られる武蔵野台地上の街ですが、市内を流れる3つの河川の沿岸には浸水想定区域が指定されています(出典:三鷹市「三鷹市浸水ハザードマップ」)。台地の上だから大丈夫、と考えて排水設備の点検を後回しにしている管理組合さまを、私は何度も見てきました。

2つ目は地下・1階に電気室や給水ポンプを設置している建物の設備配置の見直し。神田川・野川流域では、想定最大規模降雨時の浸水に加えて、下水道の排水能力を超える内水氾濫のリスクも公表されています(出典:同上)。地下や低層階の設備が水没すれば、規模の大小にかかわらずエレベーター・給水・照明のすべてが止まります。この2点を大規模修繕の計画段階で見直すことが、三鷹市のマンションにとって優先度の高い対策になると私は考えています。


三鷹市のハザードマップを1枚で読む

市と都が公表している資料を、マンション修繕の視点で1枚に整理しました。

災害種別 三鷹市の該当 想定・該当範囲
洪水(神田川・野川・仙川等、想定最大規模降雨) あり 河川沿いの低地に浸水想定区域を指定(浸水深は5段階の色分けで表示)
内水氾濫(下水道の排水能力超過) あり 水防法に基づく指定ではないが、短時間豪雨で市内各所に発生し得る参考情報として公表
高潮・津波 該当なし 内陸に位置するため対象外
土砂災害(特別)警戒区域 あり 市内21箇所を指定(警戒区域・特別警戒区域とも)。かつての「土砂災害危険箇所」9箇所は令和6年4月に廃止・区域指定に一本化(出典:三鷹市「土砂災害(特別)警戒区域」、東京都建設局「土砂災害(特別)警戒区域の区市町村別指定状況」)
液状化 相対的に低い傾向 武蔵野台地上のため都内平均より良好とされるが、液状化予測図(東京都、令和3年度改訂版)で地点ごとの相対評価を確認できる(出典:三鷹市「東京の液状化予測図」)

三鷹市浸水ハザードマップは令和6年10月改訂の第11版で、令和6年2月に東京都が公表した最新の洪水浸水想定区域図を反映しています(最終更新2025年3月5日)。対象河川は神田川・野川・仙川・入間川等で、これらは国分寺市から世田谷区方面へと連なる国分寺崖線に沿って流れる中小河川です(出典:三鷹市「三鷹市浸水ハザードマップ」)。

正直に申し上げます。「三鷹は台地だから安全」という理事長さまの感覚は、市全体で見れば間違ってはいません。ただし川沿いと崖線沿いという2つの例外があることは事実です。ハザードマップは「怖がるための資料」ではなく、「自分の建物がどちらの立地にあるかを確認するための資料」だと私は理事会でお伝えしています。

あわせて確認しておきたいのが「地震に関する地域危険度測定調査」です。東京都は概ね5年ごとに都内5,192町丁目を対象に、建物倒壊危険度・火災危険度・災害時活動困難度・総合危険度を測定しており、三鷹市分は第9回(令和4年9月公表)が最新です(出典:三鷹市「地震に関する地域危険度測定調査(第9回)」)。三鷹市は都内でも危険度が低いエリアが多い一方、木造住宅が密集し道路が狭いエリアでは相対的に危険度が高く算定される町丁目もあります。自分の建物が属する町丁目の危険度ランクは、三鷹市防災課(電話:0422-24-9102)または東京都都市整備局のホームページで確認できます。


地域特性と漏水事故の関係

三鷹市は一つの顔ではなく、エリアごとにリスクの出方が違います。

三鷹駅前・下連雀・上連雀など台地上の中心部:武蔵野台地の平坦な地盤に位置し、地盤そのものは比較的安定しています。ただしこのエリアでも、屋上防水の経年劣化やバルコニー排水ドレンの詰まりによる漏水事故は、立地に関係なく起こります。

神田川・仙川沿いの低地(下連雀・新川・中原など):浸水想定区域に含まれる可能性があるエリアで、大雨のたびに敷地の排水能力が追いつかなくなりやすく、地下駐車場や半地下部分への浸水リスクが相対的に高くなります。

野川沿い・大沢地区(国分寺崖線沿い):崖線特有の傾斜地形を含み、土砂災害警戒区域の指定対象になり得るエリアです。斜面に近い擁壁や外構の点検も、大規模修繕の視野に入れておく必要があります。

いずれのエリアでも共通するのは、「日常の漏水対策」と「非常時の浸水・土砂災害対策」がつながっているという点です。日頃の屋上防水・排水ドレンの点検を怠っている建物は、大雨のたびに小さな漏水が積み重なり、結果として大規模な補修が必要になります。

三鷹市はジブリ美術館や井の頭恩賜公園、太宰治ゆかりの地としても知られ、緑地率の高さが街の魅力になっています。この緑の豊かさは、裏を返せば落葉・倒木による排水経路の閉塞や、樹木の根による外構・擁壁への影響も無視できないということです。私は現地調査のとき、必ず敷地内の樹木と排水経路の位置関係も合わせて確認するようにしています。


大規模修繕で必ずチェックすべき漏水ポイント7つ

私が漏水対応の現地調査で必ず見る7カ所です。三鷹市のような台地と低地が混在するエリアでは、立地によって劣化の進み方に差が出ます。

  1. 屋上防水層:経年劣化・膨れ・亀裂の有無。トップコートの摩耗だけでも雨水侵入のリスクが上がります。
  2. シーリング(目地):外壁パネル間・サッシまわりのシーリング材の硬化・ひび割れ。
  3. バルコニー排水(ドレン):落ち葉やゴミによる詰まりは、ゲリラ豪雨時に排水能力を一気に落とします。三鷹市は緑地・公園が多い街並みが特徴で、落葉による詰まりは他エリアより起きやすいと私は現場で感じています。
  4. 屋上ドレン・オーバーフロー管:屋上に水がたまる「ドレン詰まり」は、集中豪雨時の漏水事故の最多原因の一つです。
  5. パラペット・笠木の立上り部:雨水の吹き込みが起きやすく、防水層の切れ目になりやすい箇所です。
  6. サッシまわりのシール:強風を伴う台風時、サッシ枠からの雨水侵入が急増します。
  7. 擁壁・外構(崖線沿いの物件のみ):国分寺崖線沿いに建つ物件では、擁壁のひび割れや排水不良が土砂災害・漏水の両方のリスクにつながります。

これらは足場を組んでも、ロープアクセスでも点検・補修できます。ただし三鷹市のように住宅密集地と緑地が入り組んだエリアでは、足場を組むための敷地確保や近隣調整に時間がかかることが少なくありません。技術的な詳細は姉妹サイトのロープアクセスドットコムでも解説しています。


漏水緊急対応でロープアクセスが強い理由

台風接近が予報された段階で「屋上の防水が心配」というご相談をいただくことがあります。仮設足場は組み立てだけで数日、規模によっては1〜2週間かかります。一方、ロープアクセス工法であれば、資材と作業員の手配ができ次第、当日〜翌日には屋上やバルコニーの応急補修に着手できます。

目安として、10階建て・外周80m・工期3ヶ月の大規模修繕を想定した場合、足場費用は約168万円、ロープアクセスなら約59万円というケースがあります(物件の規模・形状により変動するため、あくまで目安の一例です)。緊急の部分補修であれば、この差はさらに大きくなります。三鷹市のように住宅が密集し、足場を組むための道路使用許可や近隣同意に時間がかかりやすいエリアでは、ロープアクセスの機動力が特に向いていると私は考えています。

株式会社明誠は日本で数少ない、足場・ロープアクセス・ハイブリッド工法の3つから建物に最適な工法を提案できる会社です。ロープアクセスの高所作業について、明誠と全国のフランチャイズ加盟企業では過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。工法選びの考え方は明誠の施工事例からもご確認いただけます。詳しい技術情報はロープアクセスドットコムにまとまっています。


防災上の共用部(避難通路/エレベーター/受電設備/給水ポンプ/自家発電)の位置と修繕優先度

三鷹市のように河川沿いの浸水想定区域と崖線沿いの土砂災害警戒区域が混在するエリアでは、共用部の設備配置そのものが防災計画の一部になります。私が理事会にお伝えしている優先順位は次のとおりです。

優先度 設備 チェックポイント
高 受変電設備・自家発電設備 地下・1階設置かつ河川沿い立地の場合、浸水想定を踏まえた移設・かさ上げを検討
高 給水ポンプ室 停電・浸水時の給水停止リスク。予備電源との連携を確認
中 エレベーター機械室 冠水・停電時の停止に備え、階段避難の動線と表示を確保
中 擁壁・外構(崖線沿いの物件) 定期点検とひび割れ・排水不良の早期補修
中〜高 防水層・外壁(本記事の主題) 日常の漏水対策が非常時の被害拡大を防ぐ土台

2019年の台風19号では、都内近郊のマンションで地下の電気室が浸水し、長期間にわたり停電・断水・エレベーター停止が続いた事例が広く報じられました。三鷹市の場合、市全域が同じリスクを抱えているわけではありませんが、川沿い・崖線沿いに建つ物件は他人事ではない数字だと私は感じています。大規模修繕のタイミングは、防水・外壁の更新と同時に、こうした設備の位置を見直す数少ない機会でもあります。


三鷹市の防災補助・耐震助成

三鷹市は分譲マンションを対象にした耐震助成制度を設けています(出典:三鷹市「分譲マンション耐震助成制度のご案内」、最終更新2026年7月27日)。

助成内容 助成率 限度額
耐震アドバイザー派遣 100% 5万円/回(5回まで)
耐震診断 3分の2 200万円
補強設計 3分の2 200万円
耐震改修(延床面積1,000㎡未満) 23.0% 2,000万円
耐震改修(延床面積1,000㎡以上) 3分の1 2,000万円

対象は「複数の区分所有者が存する居住用マンション(店舗兼用は延床面積1/2以下)」「昭和56年5月31日以前に建築基準法に基づく確認または通知を受けて工事着手」「地上3階以上の耐火・準耐火建築物」「特定緊急輸送道路沿道建築物でないこと」の全条件を満たす必要があります。具体的な申請手続きや年度内の受付状況は、三鷹市の担当窓口への確認をおすすめします。予算に達し次第、申請受付が終了する可能性がある制度のため、検討される場合は早めの相談をおすすめします。

なお三鷹市には木造住宅を対象にした別枠の耐震診断・耐震改修助成制度もありますが、分譲マンション(共同住宅)はこちらの対象外です。ご自身の建物がどちらの制度に該当するかを見誤ると、申請そのものが受理されないケースもあるため、まずは分譲マンション向けの制度であることを窓口で確認したうえで進めることをおすすめします。


まとめ|今週動くこと3点

三鷹市のマンション管理組合・オーナーさまに、今週すぐできることを3つお伝えします。

  1. 三鷹市浸水ハザードマップ(第11版)で、自分の建物が河川沿いの浸水想定区域や崖線沿いの土砂災害警戒区域に含まれるかを確認する
  2. 屋上防水・ドレン・バルコニー排水の点検記録を、直近3年分だけでも見直す
  3. 受変電設備・給水ポンプの設置階を確認し、地下や1階にある場合は大規模修繕の議題に加える

理事会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。ご相談だけでも遠慮なくお問合せフォームからお声がけください。分譲マンションの管理組合さまは管理組合向けサービス、賃貸マンション・ビルのオーナーさまはビルオーナー向けサービスのページもご参照ください。


よくあるご質問

Q. 三鷹市は台地の上だから、水害の心配はないと聞きましたが本当ですか?

A. 市の大部分は武蔵野台地上にあり地盤は比較的良好ですが、神田川・野川・仙川沿いの低地には浸水想定区域が指定されています。建物の立地がどちらに該当するかをハザードマップで確認することをおすすめします。

Q. 崖線沿いにマンションがあるのですが、何を確認すればよいですか?

A. 土砂災害(特別)警戒区域に該当するかを三鷹市または東京都のマップで確認し、該当する場合は擁壁・外構の点検記録の有無を大規模修繕の議題に加えることをおすすめします。

Q. 屋上防水の工事はどのくらいの費用がかかりますか?

A. 防水工事は工法・面積により5,000〜8,000円/㎡が目安です。物件の規模や劣化状況により変動するため、無料で概算お見積りを提示できます。

Q. 台風が来る前に、緊急で屋上だけ直すことはできますか?

A. ロープアクセス工法であれば、足場を組まずに当日〜翌日に着手できるケースがあります。応急補修のご相談はお早めにお願いします。

Q. 分譲マンションでも耐震助成は使えますか?

A. 三鷹市の場合、3階建て以上・耐火または準耐火建築物・昭和56年5月31日以前に建築確認を取得しているなどの要件を満たせば対象になります。詳細は市の窓口でご確認ください。

Q. 液状化のリスクはどう考えればよいですか?

A. 三鷹市は武蔵野台地上にあるため都内平均より液状化の可能性は低い傾向にありますが、液状化予測図(令和3年度改訂版)で地点ごとの相対評価が公表されています。地盤調査の履歴がない古い建物は、大規模修繕の機会に基礎まわりの点検も合わせて検討することをおすすめします。

Q. 木造住宅向けの耐震助成と分譲マンション向けの助成は違うのですか?

A. 三鷹市では木造住宅(戸建て等)向けの耐震診断・改修助成制度と、分譲マンション向けの耐震助成制度が別枠で設けられています。共同住宅にお住まいの場合は、分譲マンション向けの制度が対象になりますので、申請前に窓口で対象制度をご確認ください。


出典・参考資料

本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月24日時点で公表されている三鷹市および東京都の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に耐震助成を申請される前に、必ず三鷹市の担当窓口へ最新の内容をご確認ください。

この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年9月24日

江戸川区のマンション漏水・防災対策|ゼロメートル地帯のハザードマップと大規模修繕の優先順位【2026年度版】

2026年9月24日 更新

小岩のマンションで理事会に呼ばれたとき、理事長さまから「うちは荒川にも江戸川にも近いから、正直、大雨のたびに落ち着かない」と言われたことがあります。私はその場で否定しませんでした。江戸川区は東京23区の中でも、水害のリスクを数字で見たときに一番正直に向き合わなければならない区の一つだからです。

私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。東京都東大和市を拠点に、20年近くマンション・ビル・ホテルの大規模修繕に携わってきました。仮設足場を組む工事も、ロープ1本でぶら下がる無足場の工事も、どちらも現場でやってきた人間として、今日は江戸川区のハザードマップの数字と、大規模修繕で先に手を打つべき場所を整理します。


結論:江戸川区の分譲・賃貸マンションで優先すべきは「屋上防水・排水設備」と「電気室・給水ポンプの浸水対策」です

先に結論を申し上げます。江戸川区の大規模修繕で私が最初に確認するのは、次の2点です。

1つ目は屋上防水とバルコニー排水経路の健全性。江戸川区は区面積の約7割が満潮位より低い「ゼロメートル地帯」です(出典:三井住友トラスト不動産「まちの防災情報 江戸川区」)。台風やゲリラ豪雨のたびに敷地の排水能力が追いつかなくなりやすく、屋上・バルコニーからの雨水侵入がそのまま漏水事故につながります。

2つ目は電気室・給水ポンプ・自家発電設備の設置位置。荒川と江戸川が氾濫した場合、区内には浸水深10m以上・浸水継続時間2週間以上になるエリアがあると想定されています(出典:同上、江戸川区水害ハザードマップ第2版)。地下や1階に電気室・ポンプ室がある建物では、水没した瞬間にエレベーター・給水・照明のすべてが止まります。この2点を大規模修繕の計画段階で見直すことが、江戸川区のマンションにとって最優先の対策になると私は考えています。


江戸川区のハザードマップを1枚で読む

区と国が公表している資料を、マンション修繕の視点で1枚に整理しました。

災害種別 江戸川区の該当 想定・該当範囲
洪水(荒川・江戸川、想定最大規模降雨) あり 浸水深10m以上・浸水継続2週間以上になるエリアを含む
内水氾濫(下水道の排水能力超過) あり 短時間豪雨で区内の低地に広く発生し得る
高潮 あり 台風・低気圧による海面上昇で河川へ海水が逆流
土砂災害警戒区域 指定なし 区内全域が平坦な沖積低地のため(出典:東京都建設局「土砂災害(特別)警戒区域の区市町村別指定状況」)
液状化 可能性あり 液状化予測図(令和6年3月改訂)で相対評価を確認できる(出典:江戸川区「液状化予測図」)
津波 限定的 東京湾内奥のため区独自のハザードマップは高潮想定に統合されている

過去の被害では、大正6年(1917年)の高潮で区内を含む一帯で240名が犠牲になり、昭和24年(1949年)のキティ台風では区の約6割が水没した記録が残っています(出典:三井住友トラスト不動産「まちの防災情報 江戸川区」)。荒川・江戸川が同時に氾濫した最悪のケースでは、江戸川区・江東区・墨田区・葛飾区・足立区の江東5区全体で最大約250万人が浸水被害に遭うと想定されており、江東5区広域避難計画の検討対象にもなっています(出典:内閣府「大規模・広域避難に関する定量的な算出方法~江東5区における具体的な検討~」)。

正直に申し上げます。この数字を最初に見たとき、私自身も「ここまでか」と思いました。ただし過去の水害と今の建物の防水性能・排水能力は別の話です。ハザードマップは「怖がるための資料」ではなく、「どこを優先して直すかを決めるための資料」だと私は理事会でお伝えしています。


地域特性と漏水事故の関係

江戸川区は一つの顔ではなく、エリアごとにリスクの出方が違います。

臨海部・タワーマンション(西葛西・南葛西・臨海町など):海風による塩害で、外壁のシーリング劣化と鉄部の腐食が早く進みます。共用部の給排水管や設備配管の腐食も、内陸部より数年早く表面化する傾向があると私は現場で感じています。

中央部・低地の中高層マンション(中央・松島・小岩など):ゼロメートル地帯特有の内水氾濫リスクが高く、地下・半地下の駐車場や電気室が浸水すると、建物全体が長期間使用不能になりかねません。

荒川・江戸川沿いの物件:洪水と高潮が重なる複合災害の想定区域に入りやすく、想定最大規模降雨時には浸水継続が2週間を超えるエリアもあります。避難のタイミングだけでなく、垂直避難(上層階への移動)を前提にした建物内の備えが必要になります。

いずれのエリアでも共通するのは、「日常の漏水対策」と「非常時の浸水対策」がつながっているという点です。日頃の屋上防水・排水ドレンの点検を怠っている建物は、台風時の内水氾濫でも被害が大きくなります。


大規模修繕で必ずチェックすべき漏水ポイント7つ

私が漏水対応の現地調査で必ず見る7カ所です。江戸川区のような低地・多湿エリアでは、特に排水系統の劣化が早く進みます。

  1. 屋上防水層:経年劣化・膨れ・亀裂の有無。トップコートの摩耗だけでも雨水侵入のリスクが上がります。
  2. シーリング(目地):外壁パネル間・サッシまわりのシーリング材の硬化・ひび割れ。
  3. バルコニー排水(ドレン):落ち葉やゴミによる詰まりは、ゲリラ豪雨時に排水能力を一気に落とします。
  4. 屋上ドレン・オーバーフロー管:屋上に水がたまる「ドレン詰まり」は、江戸川区のような多雨エリアで漏水事故の最多原因の一つです。
  5. パラペット・笠木の立上り部:雨水の吹き込みが起きやすく、防水層の切れ目になりやすい箇所です。
  6. サッシまわりのシール:強風を伴う台風時、サッシ枠からの雨水侵入が急増します。
  7. エキスパンションジョイント:建物の伸縮を吸収する部材の劣化は、地震後の漏水事故の引き金にもなります。

これらは足場を組んでも、ロープアクセスでも点検・補修できます。ただし江戸川区のように台風シーズンの緊急対応が読みにくいエリアでは、足場の設置に日数がかかる工法より、即日着手できる工法を選べるかどうかが被害の拡大を左右します。技術的な詳細は姉妹サイトのロープアクセスドットコムでも解説しています。


漏水緊急対応でロープアクセスが強い理由

台風接近が予報された段階で「屋上の防水が心配」というご相談をいただくことがあります。仮設足場は組み立てだけで数日、規模によっては1〜2週間かかります。一方、ロープアクセス工法であれば、資材と作業員の手配ができ次第、当日〜翌日には屋上やバルコニーの応急補修に着手できます。

目安として、10階建て・外周80m・工期3ヶ月の大規模修繕を想定した場合、足場費用は約168万円、ロープアクセスなら約59万円というケースがあります(物件の規模・形状により変動するため、あくまで目安の一例です)。緊急の部分補修であれば、この差はさらに大きくなります。台風シーズンにピンポイントで屋上・バルコニーの防水だけを直したいというご相談には、ロープアクセスの機動力が向いていると私は考えています。

株式会社明誠は日本で数少ない、足場・ロープアクセス・ハイブリッド工法の3つから建物に最適な工法を提案できる会社です。ロープアクセスの高所作業について、明誠と全国のフランチャイズ加盟企業では過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。工法選びの考え方は明誠の施工事例からもご確認いただけます。詳しい技術情報はロープアクセスドットコムにまとまっています。


防災上の共用部(避難通路/エレベーター/受電設備/給水ポンプ/自家発電)の位置と修繕優先度

江戸川区のような浸水継続2週間以上を想定すべきエリアでは、共用部の設備配置そのものが防災計画の一部になります。私が理事会にお伝えしている優先順位は次のとおりです。

優先度 設備 チェックポイント
高 受変電設備・自家発電設備 地下・1階設置の場合、浸水想定深を超える高さへの移設・かさ上げを検討
高 給水ポンプ室 停電・浸水時の給水停止リスク。予備電源との連携を確認
中 エレベーター機械室 冠水時の停止に備え、階段避難の動線と表示を確保
中 避難通路・共用廊下 浸水時に上層階へ垂直避難できる動線の明確化
中〜高 防水層・外壁(本記事の主題) 日常の漏水対策が非常時の被害拡大を防ぐ土台

2019年の台風19号では、都内近郊のタワーマンションで地下の電気室が浸水し、長期間にわたり停電・断水・エレベーター停止が続いた事例が広く報じられました。江戸川区は当時のその物件よりも浸水想定が大きいエリアを抱えており、他人事とは思えない数字だと私は感じています。大規模修繕のタイミングは、防水・外壁の更新と同時に、こうした設備の位置を見直す数少ない機会でもあります。


江戸川区の防災補助・耐震助成

江戸川区は住宅・建築物の耐震化助成制度の中で、分譲マンションも対象にしています(出典:江戸川区「分譲マンション」、最終更新2026年7月3日)。

助成内容 助成率 対象要件
耐震診断 3分の2 3階建て以上・耐火または準耐火建築物
耐震改修設計 3分の2 複数の区分所有者が自ら居住していること
耐震改修工事 2分の1(戸数に応じた上限額あり) 昭和56年5月31日以前に建築確認を取得

具体的な上限額は戸数によって変わるため、区の建築指導課耐震化促進係(電話:03-5662-6389)への確認が必要です。あわせて、令和8年度からは戸建て向けの老朽住宅除却工事助成の上限額が50万円から100万円に拡充されています(出典:江戸川区「住宅・建築物の耐震化助成制度」、最終更新2026年5月18日)。年度の予定予算額に達し次第、申請受付が終了する制度のため、検討される場合は早めの相談をおすすめします。


まとめ|今週動くこと3点

江戸川区のマンション管理組合・オーナーさまに、今週すぐできることを3つお伝えします。

  1. 区の水害ハザードマップ第2版で、自分の建物の浸水想定深と継続時間を確認する
  2. 屋上防水・ドレン・バルコニー排水の点検記録を、直近3年分だけでも見直す
  3. 受変電設備・給水ポンプの設置階を確認し、地下や1階にある場合は大規模修繕の議題に加える

理事会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。ご相談だけでも遠慮なくお問合せフォームからお声がけください。分譲マンションの管理組合さまは管理組合向けサービス、賃貸マンション・ビルのオーナーさまはビルオーナー向けサービスのページもご参照ください。


よくあるご質問

Q. 江戸川区は本当にそんなに浸水するのですか?

A. 荒川・江戸川の両方が想定最大規模降雨で氾濫した場合の想定であり、毎年起きる規模の話ではありません。ただし区の7割がゼロメートル地帯であることは事実で、想定を知ったうえで建物の防水・設備配置を見直すことに意味があります。

Q. うちのマンションは高台にないので、防水以外にできることはありますか?

A. 受変電設備・給水ポンプの設置階の確認、止水板の準備、避難動線の見直しが有効です。大規模修繕のタイミングで設備移設を検討する管理組合さまも増えています。

Q. 屋上防水の工事はどのくらいの費用がかかりますか?

A. 防水工事は工法・面積により5,000〜8,000円/㎡が目安です。物件の規模や劣化状況により変動するため、無料で概算お見積りを提示できます。

Q. 台風が来る前に、緊急で屋上だけ直すことはできますか?

A. ロープアクセス工法であれば、足場を組まずに当日〜翌日に着手できるケースがあります。応急補修のご相談はお早めにお願いします。

Q. 分譲マンションでも耐震助成は使えますか?

A. 江戸川区の場合、3階建て以上・耐火または準耐火建築物・昭和56年5月31日以前に建築確認を取得しているなどの要件を満たせば対象になります。詳細は区の窓口でご確認ください。

Q. 液状化のリスクはどう考えればよいですか?

A. 江戸川区は液状化予測図(令和6年3月改訂)で相対的な評価が公表されています。地盤調査の履歴がない古い建物は、大規模修繕の機会に基礎まわりの点検も合わせて検討することをおすすめします。


出典・参考資料

本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月24日時点で公表されている江戸川区および国土交通省・東京都の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に耐震助成を申請される前に、必ず江戸川区の建築指導課耐震化促進係へ最新の内容をご確認ください。

この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年9月24日

【令和8年度】葛飾区の12条点検・外壁全面打診|報告年次の判定と提出先、打診調査の㎡単価

葛飾区でマンションやビルを所有されている方から、この時期によくいただくご相談があります。「区から定期報告のお知らせは来ていないが、うちは対象なのか」「報告書は葛飾区役所に出せばいいのか」。

結論から申し上げると、葛飾区の建物であっても特定建築物の定期調査報告書の提出先は葛飾区役所ではありません。そして令和8年度に報告年次を迎えるかどうかは、建物の用途によって決まります。ここを取り違えたまま9月・10月を過ごし、報告期限の直前で慌てるケースを毎年見ています。

この記事では、令和8年度(2026年度)に葛飾区で定期報告の対象年を迎えるのはどの用途の建物か、外壁の全面打診が必要になる10年トリガーの数え方、そして立石・新小岩・金町といった葛飾区特有の街並みのなかで、打診調査を足場とロープアクセスのどちらで進めるべきかを、費用の目安まで含めて整理します。

私は本間幸紘と申します。東京都東大和市を拠点に、マンション・ビル・ホテルの大規模修繕を20年以上やってきました。葛飾区では立石、新小岩、金町、柴又、四つ木あたりの物件を数多く見てきました。制度の教科書的な解説ではなく、理事会やオーナーさまと実際に交わしている話をそのまま書きます。

更新日:2026年9月24日

結論:令和8年度に葛飾区で報告年を迎えるのは事務所・店舗系。共同住宅は令和9年度

先に結論を表でまとめます。

項目 内容
令和8年度の特定建築物定期調査の報告年次 用途コード30番台(事務所、物販店舗、飲食店、遊技場など)
報告期間 令和8年5月1日〜令和8年10月31日
共同住宅(用途コード40番台) 令和8年度は報告年次ではない(3年周期で、次は令和9年度)
特定行政庁 葛飾区(敷地内に延べ面積1万㎡を超える建築物がある場合は東京都)
特定建築物・防火設備の報告書の提出先 公益財団法人 東京都防災・建築まちづくりセンター 建築防災課(03-5989-1929)
葛飾区の相談窓口 都市整備部 建築課審査係(03-5654-8557/ファクス03-3697-1660)
外壁全面打診の周期 竣工または外壁改修からおおむね10年に一度

出典:葛飾区「建築物等の定期報告制度について」(更新日令和7年10月2日)、東京都都市整備局「3.定期報告対象建築物・建築設備等及び報告時期一覧」

この記事で答える質問

  • 令和8年度に葛飾区で12条報告が必要なのは、どんな用途の建物か
  • 報告書はどこに出すのか(葛飾区役所ではありません)
  • 外壁の全面打診が必要になるのはいつか。起算日はどう数えるか
  • 令和7年7月に施行された告示改正で、何が変わったのか
  • 立石・新小岩など葛飾区特有の街並みで、打診調査はどう進めるべきか
  • 打診調査は実際いくらかかるのか。足場とロープアクセスでいくら差が出るのか

建築基準法第12条とは:4種類の報告があり、提出先がそれぞれ違います

ここでつまずく方が非常に多いので、最初に整理します。

建築基準法第12条は、共同住宅、デパート、劇場、ホテルなど「大勢の人が利用するもので、火災が起こった場合に大惨事になる恐れのある建築物」(特定建築物)について、有資格者による定期的な調査・検査と、特定行政庁への報告を所有者・管理者に義務づけています。葛飾区は公式サイトでこの制度をそう説明しています。

報告は4種類に分かれ、葛飾区は公式サイトで提出先をそれぞれ明記しています。

種類 対象 提出先 電話 周期
特定建築物(調査) 敷地、一般構造、構造強度、防火・避難関係 東京都防災・建築まちづくりセンター 03-5989-1929 用途・規模により1〜3年
防火設備(検査) 防火戸、防火シャッター、耐火クロススクリーン等 東京都防災・建築まちづくりセンター 03-5989-1937 毎年
建築設備(検査) 機械換気設備、排煙設備、非常用照明、給排水設備 日本建築設備・昇降機センター 03-3591-2421 毎年
昇降機等(検査) エレベーター、エスカレーター等 東京都昇降機安全協議会 03-6304-2225 毎年

出典:葛飾区「建築物等の定期報告制度について」

外壁の打診調査が関わるのは、一番上の「特定建築物(調査)」だけです。ここを押さえてください。

エレベーターの保守業者から「12条の検査は終わっています」と言われても、それは昇降機等の定期検査であり、外壁の話は一切含まれていません。この混同のまま10年以上が過ぎていた葛飾区内の賃貸マンションを、私自身これまでに何件も見てきました。消防設備点検とも別の制度です。所管する法律も報告先も周期も別物ですので、混同しないようご注意ください。

葛飾区の窓口と、1万㎡が分かれ目になる所管の区分

葛飾区内の建物について、どこが所管するかは延べ面積で決まります。

建物の規模 所管
敷地内に延べ面積1万㎡を超える建築物がある場合 東京都 都市整備局 市街地建築部 建築企画課
上記以外(1万㎡以下) 葛飾区(特定行政庁)

出典:東京都都市整備局「3.定期報告対象建築物・建築設備等及び報告時期一覧」

葛飾区にある分譲マンション・賃貸マンション・中小ビルの大半は、1万㎡以下の枠に入ります。制度に関する相談窓口は葛飾区役所 都市整備部 建築課審査係(〒124-8555 葛飾区立石5-13-1 区役所3階305番窓口、電話03-5654-8557、ファクス03-3697-1660)です。区の建築関連の総合案内は建築関連総合窓口(区役所3階306番窓口、電話03-5875-6959)でも受け付けています。

ただし繰り返しますが、報告書そのものの提出先は葛飾区役所ではなく、新宿区西新宿の東京都防災・建築まちづくりセンター建築防災課(〒160-8353 新宿区西新宿7-7-30 小田急西新宿O-PLACE 2階、電話03-5989-1929)です。窓口・郵送・オンライン申請のいずれかで提出でき、部数は1部(控えが必要な場合は2部)となっています。

出典:葛飾区「建築物等の定期報告制度について」(更新日令和7年10月2日)

令和8年度に報告年次を迎えるのは、どの用途の建物か

東京都の特定建築物定期調査は、用途ごとに1〜3年の周期で報告年度が定められており、この報告年次のローテーションは葛飾区を含む都内共通の仕組みです。直近のサイクルでは次のように整理されています。

報告年度 主な対象用途
令和7年度 児童福祉施設、病院・診療所、学校、博物館・体育館など
令和8年度 事務所、物販店舗、飲食店、遊技場など(用途コード30番台)
令和9年度 共同住宅・寄宿舎(5階以上、延べ面積1,000㎡超)、高齢者・障がい者等就寝施設

出典:東京都都市整備局「3.定期報告対象建築物・建築設備等及び報告時期一覧」

つまり令和8年度に葛飾区で報告義務があるのは、店舗・事務所・飲食店・遊技場が入る建物が中心です。分譲マンション・賃貸マンションの多くは令和8年度は報告年次に当たらず、次の報告年次は令和9年度(令和9年5月1日〜10月31日)になります。ただし1階に店舗が入る複合用途のマンションは、用途構成によって判定が変わることがあるため、葛飾区建築課審査係に個別に確認することをおすすめします。

準備期間はおよそ7か月です。令和9年度の報告開始まで時間があるように見えますが、外壁の全面打診が必要な建物は調査会社の手配に時間がかかります。長期修繕計画の見直しと合わせて、いま理事会の議題に載せておくのがちょうどよいタイミングです。

外壁の全面打診が必要になるのは、いつからか

ここが本題です。

国土交通省は、外装仕上げ材等におけるタイル、石貼り等(乾式工法によるものを除く)、モルタル等の劣化および損傷の状況の調査について、平成20年国土交通省告示第282号で次のように定めています。

  • おおむね6か月から3年以内に一度:手の届く範囲の打診等
  • おおむね10年に一度:落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分の全面的な打診等

出典:国土交通省「定期報告制度における外壁のタイル等の調査について」

10年の起算日の数え方

実務での数え方はシンプルです。

状況 起算日
竣工後、一度も全面打診をしていない 竣工日(検査済証交付日が属する年度の翌年度4月1日を起算点とする実務運用が一般的)
前回、全面打診を実施した 前回の全面打診の実施日
外壁の全面改修工事(塗替え・タイル張替え等)を行った その改修工事の完了日

この起算日から10年を超えた後の、最初の報告時期に全面打診が必要になります。逆に言えば、大規模修繕で外壁を全面改修すれば、そこから10年のカウントがリセットされます。大規模修繕と12条点検のタイミングを合わせると、調査費用と足場費用の二重払いを避けられます。理事会で必ず検討してほしい論点です。

なお、令和4年1月18日付けで平成20年国土交通省告示第282号が一部改正され、無人航空機(ドローン)による赤外線調査であって、テストハンマーによる打診と同等以上の精度を有するものが調査方法として明確化されました。ただし現場感覚で言うと、ドローン赤外線は形状が単純で周囲に十分な離隔があり、日射条件が整った建物で威力を発揮します。葛飾区に多い、隣地との隙間が狭い中層マンションでは条件が合わないことも少なくありません。明誠ではドローンを使った外壁調査とロープアクセスによる直接打診を、建物ごとに使い分けています。

令和7年7月施行の告示改正で、調査項目と判定基準が変わりました

葛飾区は公式サイトの定期報告制度ページで、次の改正を案内しています。

  • 令和6年国土交通省告示第974号(令和6年6月28日公布、令和7年7月1日施行)
  • 令和7年国土交通省告示第53号(令和7年1月29日公布、令和7年7月1日施行)

これにより、定期調査・検査等の項目、事項、方法および結果の判定基準、ならびに調査結果表等の見直しが行われました。実務上の意味はひとつです。令和7年7月1日以降に実施する調査は、新しい判定基準と新しい様式で行う必要があるということ。前回報告時の書式をそのまま使い回すと差し戻されます。調査会社に見積を依頼するときは「令和7年7月施行の改正後の様式・判定基準に対応していますか」と一言確認してください。

出典:葛飾区「建築物等の定期報告制度について」、東京都都市整備局「2.定期調査・検査制度改正の内容」

葛飾区の街並みと、12条点検・大規模修繕への影響

葛飾区の建物事情も押さえておきます。

葛飾区は立石、新小岩、金町、柴又、四つ木、堀切といったエリアに、昭和期から平成初期にかけて建てられた中低層のマンション・ビルが密集して残る、いわゆる「下町」の性格が色濃いまちです。とりわけ京成立石駅の周辺は、狭あいな道路と老朽建築物が密集する市街地として長年知られており、区は立石駅北口地区第一種市街地再開発事業を進めています。区画整理後の東西街区では36階建ての複合施設(住宅・商業・区役所新庁舎機能)の新築工事が令和7年11月に着工しており、今後も駅周辺の建て替え・再整備が続きます。

出典:葛飾区「立石駅北口地区第一種市街地再開発事業」、東京都都市整備局「立石駅北口地区第一種市街地再開発事業」

一方で、再開発区域の外側に残る既存の分譲マンション・賃貸ビルは、建て替えではなく大規模修繕と12条点検で建物を維持していく選択が現実的です。私が葛飾区の物件を見て感じるのは、次の2つの傾向です。

  • 立石・四つ木・堀切:狭あいな道路に接する中低層の建物が多く、足場の設置スペースを確保しづらい現場が目立ちます。資材搬入路の調整だけで工程が数日ずれることもあります。
  • 金町・新小岩・柴又:金町駅前の再開発で生まれた比較的新しい高層マンションと、昔ながらの中規模マンションが混在し、建物ごとに求められる調査・修繕のフェーズが大きく異なります。

こうした「道路が狭い」「隣地との距離が近い」「敷地に余裕がない」という葛飾区特有の条件は、まさにロープアクセス工法が力を発揮する場面です。屋上から産業用ロープで降下して直接打診するため、足場の設置スペースや資材搬入路の確保に悩まされません。工法の技術的な背景については、同業者・加盟希望者向けの姉妹サイトロープアクセスドットコムで詳しく解説しています。

葛飾区で外壁全面打診を進めるときの3つの工法

全面打診には「手が届かない高所までアクセスする手段」が必要です。選択肢は実質3つです。

工法 概要 葛飾区での向き・不向き
仮設足場 建物全周に足場を組む 敷地に余裕がある建物、大規模修繕と同時実施の場合に有利
ロープアクセス(無足場工法) 屋上から産業用ロープで降下して直接打診 狭あい道路に接する物件、調査だけを先行したい場合に有利
ハイブリッド工法 部位ごとに足場とロープアクセスを使い分け 低層部は足場、高層部・狭隘部はロープ。総合コストを最適化できる

株式会社明誠は、この3工法をすべて自社の判断で提案できる、日本でも数少ない会社です。発注者側の視点での整理は明誠のロープアクセス工法のページを、明誠の理念と工法選定の考え方は明誠の理念のページをご覧ください。

費用の目安:打診調査の㎡単価と、足場との差額

金額の話をします。実際の見積は建物の規模・形状・立地で大きく変動するため、あくまで目安・レンジとしてお読みください。

打診調査そのものの単価

項目 単価の目安
外壁全面打診調査 250〜500円/㎡
外壁塗装(大規模修繕時) 3,500〜4,500円/㎡
屋上防水 5,000〜8,000円/㎡

足場とロープアクセスの差額(モデルケース)

葛飾区によくある「10階建て・外周80m・工期3か月」のマンションを想定した参考値です。

項目 仮設足場 ロープアクセス
仮設費用の目安 約168万円 約59万円
差額 — ▲約109万円
調査だけの工期 足場架設・解体を含めて数週間 数日〜1週間程度
居住者への影響 窓が塞がれる、洗濯物が干せない、防犯面の不安 該当面の作業時間帯のみ

30戸規模のマンションの大規模修繕は総額3,500〜5,000万円程度、そのうち仮設足場が15〜25%を占めます。調査のためだけに足場を組むかどうかは、この比率を見れば判断材料になります。料金の考え方は明誠の料金に対する考え方にまとめています。

ただし、足場が正解になるケースも確実にあります。 打診調査と同時に大規模修繕を実施するなら、足場を一度組んで全工程を終わらせたほうが総額は下がります。「調査だけ先に、修繕は2〜3年後に」という段階的な進め方をするときに、ロープアクセスの費用対効果が最も大きくなります。ここを取り違えないでください。工法ごとの単価の考え方や技術基準は、姉妹サイトロープアクセスドットコムでも公開しています。

安全と品質をどう担保するか

高所作業である以上、安全管理が品質の前提です。

株式会社明誠はこれまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセス工法での高所作業について、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業では過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。作業員はIRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の技能訓練を受けており、明誠は日本ロープ高所作業協会の事務局も担当しています。

また明誠は、日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部として、塗装・防水・タイル・電気・看板の各分野の専門職に加盟いただいています。打診で不具合が見つかった後、補修まで同じ体制で一貫して対応できるのはこのためです。安全管理の具体的な取り組みは明誠の安全管理の考え方を、訓練体制や技術基準の詳細はロープアクセスドットコムをご覧ください。

明誠のこれまでの施工事例は明誠の施工事例からご覧いただけます。

葛飾区で打診調査を依頼する前のチェックリスト

理事会やオーナーさまにお渡ししている確認項目です。

  1. 建物の用途コードは何番台か(令和8年度は30番台が報告年次)
  2. 検査済証の交付日はいつか
  3. 前回の全面打診の実施日、または外壁の全面改修工事の完了日はいつか
  4. 見積が令和7年7月施行の改正後の様式・判定基準に対応しているか
  5. 打診調査の見積は㎡単価で提示されているか(一式表記は比較できません)
  6. 仮設費用が足場前提かロープアクセス前提か、内訳で分かれているか
  7. 打診で不具合が出た場合の補修工事の単価まで提示されているか
  8. 大規模修繕の実施予定時期と、調査時期を揃えられないか検討したか
  9. 建物が狭あい道路に接しているか(足場架設に支障がないか)

特に5番と6番です。「外壁調査一式」としか書かれていない見積書は、他社と比較できません。㎡単価と数量で出してもらってください。

よくあるご質問

Q. 葛飾区の建物ですが、報告書は区役所に持って行けばいいですか?

A. いいえ。特定建築物と防火設備の報告書の提出先は、公益財団法人 東京都防災・建築まちづくりセンター(新宿区西新宿7-7-30 小田急西新宿O-PLACE 2階、03-5989-1929)です。葛飾区建築課審査係(03-5654-8557)は、制度の問い合わせ窓口という位置づけです。

Q. 令和8年度にうちのマンションは報告が必要ですか?

A. 共同住宅(用途コード40番台、5階以上・延べ面積1,000㎡超)は3年周期で、令和8年度は報告年次ではありません。次の報告年次は令和9年度(令和9年5月1日〜10月31日)です。ただし店舗や事務所が併設された複合用途の建物は判定が変わることがあるため、葛飾区建築課審査係へお問い合わせください。

Q. 外壁の全面打診の費用はいくらかかりますか?

A. 打診調査そのものは250〜500円/㎡が目安です。これに高所へのアクセス費用が加わります。10階建て・外周80mの建物で、仮設足場なら約168万円、ロープアクセスなら約59万円が参考値で、差額は約109万円です。物件の形状や立地で変動しますので、無料で概算のお見積りをお出しします。

Q. ロープアクセスだと打診の精度は落ちませんか?

A. 落ちません。ロープアクセスは作業員が壁面に直接張り付いてテストハンマーで打診するため、足場上の打診とまったく同じ直接打診です。むしろ足場の布板の位置に縛られないぶん、目地際や開口部まわりなど確認したい箇所へ自由に寄れます。

Q. 立石や四つ木のような狭あい道路の物件でも打診調査はできますか?

A. できます。むしろ道路が狭く足場の設置スペースが確保しにくい物件ほど、屋上から降下するロープアクセスが向いています。事前に建物の高さ・形状・屋上の設備配置を確認すれば、多くの現場で対応可能です。

Q. 工期はどれくらい短くなりますか?

A. 調査だけであれば、足場は架設と解体を含めて数週間かかるのに対し、ロープアクセスは数日〜1週間程度で完了します。修繕工事まで含めた場合も、ロープアクセス工法は足場工法のおおむね60%程度の工期が目安です。

Q. 報告を出さないとどうなりますか?

A. 建築基準法第12条に基づく報告は所有者・管理者の法的義務です。報告をしなかった場合や虚偽の報告をした場合には、同法に罰則の定めがあります。それ以上に、外壁タイルが落下して通行人に当たれば、所有者が工作物責任を問われます。葛飾区は商店街や住宅密集地に面した中低層のマンション・ビルが多いエリアです。リスクの所在を具体的に考えてみてください。

まとめ:葛飾区の12条点検で、今日決められること

  • 令和8年度の報告年次は用途コード30番台(事務所・店舗・飲食店等)、期限は令和8年10月31日
  • 共同住宅の次の報告年次は令和9年度。準備期間はおよそ7か月
  • 報告書の提出先は葛飾区役所ではなく東京都防災・建築まちづくりセンター
  • 外壁全面打診は竣工または外壁改修から10年。大規模修繕で起算日はリセットされる
  • 令和7年7月1日施行の告示改正に対応した新様式・新判定基準での調査が必要
  • 立石・四つ木など狭あい道路の多いエリアでは、足場スペースの制約がロープアクセス選定の判断材料になる
  • 調査単価は250〜500円/㎡。足場とロープアクセスの仮設費差は約109万円が参考値

葛飾区の物件で「うちは足場とロープアクセスのどちらが得か」を判断したい方は、建物の階数・外周長・竣工年・前回調査時期の4点をお知らせください。概算の比較表をお出しします。ご相談は明誠のお問い合わせフォームから承ります。管理組合の皆さま向けの進め方は管理組合向けサービスのページ、収益物件をお持ちのオーナーさま向けにはオーナー向けサービスのページもご用意しています。

本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月24日時点で公表されている葛飾区および国土交通省・東京都の公式情報をもとに執筆しています。葛飾区の「建築物等の定期報告制度について」のページは更新日が2026年10月2日(令和7年10月2日)ですが、令和8年度の運用について今後変更が生じる可能性があります。制度は年度途中でも改正があり得ます。実際に報告される前に、必ず葛飾区建築課審査係(03-5654-8557)および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。

参考にした一次情報

この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年9月24日

【令和8年度版】足立区の12条点検・外壁全面打診|対象建築物と報告時期の考え方

足立区で分譲マンションやビルをお持ちの方から、私が最近特によくいただくご相談があります。

「区から定期報告のお知らせが届いたのですが、うちのマンションは外壁の全面打診まで必要なのでしょうか」

この記事で答える質問はひとつです。足立区にある自分の建物は、いつ外壁の全面打診が必要になるのか。そして、その費用をどう抑えるのか。

私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。東京都東大和市を拠点に、足立区を含む東京・関東一円でマンション・ビル・ホテルの大規模修繕に20年以上たずさわってきました。足立区は北千住・綾瀬の再開発エリアから、竹ノ塚・西新井・梅島といった昔ながらの住宅密集地まで、建築年代の幅が広いまちです。ここでは足立区の一次情報にあたりながら、実務のコスト感まで含めて整理します。


結論:足立区で12条点検の対象になる建物と、全面打診が必要になるタイミング

先に結論から申し上げます。

A. 足立区内の一定規模以上の共同住宅・ビル・ホテル等は、建築基準法第12条第1項に基づき、特定行政庁への定期調査報告の対象です。共同住宅の場合、報告はおおむね3年ごとです。

B. 延べ面積が1万平方メートルを超える建築物は東京都、それ以外は足立区が特定行政庁として所管します。(出典:東京都都市整備局「3.定期報告対象建築物・建築設備等及び報告時期一覧」)

C. 外壁にタイル、石貼り(乾式工法を除く)、モルタル等が使われている建物は、竣工または外壁の全面改修からおおむね10年を超えて最初に迎える報告時期までに、落下により歩行者などに危害を加えるおそれのある部分の全面的な打診等が求められます。(出典:国土交通省「定期報告制度における外壁のタイル等の調査について」平成20年国土交通省告示第282号、令和4年1月18日改正)

私はこのA・B・Cの3点を、初回のご相談で順番にご説明するようにしています。


建築基準法第12条第1項とは何か(定期調査報告のしくみ)

建築基準法第12条第1項は、多数の方が利用する建築物を「特定建築物」と位置づけ、所有者・管理者に対して、劣化・損傷および維持保全の状況を有資格者に調査させ、その結果を特定行政庁へ定期的に報告することを求める規定です。調査できるのは、一級建築士、二級建築士、または特定建築物調査員に限られます。管理会社の担当者や理事の方が目視で済ませる、というものではありません。

現場では「12条点検」とひとくくりに呼ばれることが多いのですが、正確には近い制度がいくつか並走しています。

制度 対象 頻度の目安
特定建築物定期調査報告 建築物本体(外壁・避難施設等) 共同住宅はおおむね3年ごと
建築設備定期検査報告 換気・排煙・非常照明等 毎年
防火設備定期検査報告 防火戸・防火シャッター等 毎年
昇降機等定期検査報告 エレベーター等 毎年

このうち、外壁の全面打診が関わってくるのは「特定建築物定期調査報告」です。足立区の窓口でも、この4種類は別々の制度として案内されています(出典:足立区「定期報告制度」)。


全面打診が必要になる4つのトリガー

私が現場で管理組合さまにお伝えしているのは、全面打診の要否を分ける主なトリガーが4つあるということです。

  1. 竣工から10年を超えている。検査済証の交付日が属する年度の翌年度4月1日を起算点として、10年を超えて最初に迎える報告時期までに全面打診等が必要です。
  2. 前回の外壁全面改修から10年を超えている。大規模修繕で外壁を全面改修していれば、その完了日が新しい起算点になります。
  3. 前回の調査で「要是正」「要修繕」等の判定を受けている。部分的な浮きや劣化が指摘されている場合、次回報告までに手当てが前提になります。
  4. 落下事故または落下のおそれが現に生じている。タイルや外壁材の落下があった、あるいは近隣から通報があった場合は、報告時期を待たず対応を求められるケースがあります。

このうち1と2が、実務でもっとも多くご相談を受けるパターンです。逆に言えば、竣工10年未満で前回改修から日が浅い建物は、今回の報告では全面打診まで求められないことがほとんどです。なお、乾式工法によるタイル・石貼りは打診の対象から外れます。


足立区固有の運用:窓口・提出先・地域特性

足立区の場合、特定建築物定期調査報告と防火設備定期検査報告の受付窓口は、区役所ではなく公益財団法人東京都防災・建築まちづくりセンター建築防災課です(東京都新宿区西新宿7-7-30小田急西新宿O-PLACE2階、電話03-5989-1929)。延べ面積が1万平方メートルを超える建築物は、東京都都市整備局の所管になります(出典:足立区「特定建築物定期調査報告」更新日2025年4月1日)。

制度に関するご相談は、足立区都市建設部建築室 建築審査課(電話03-3880-5278、総合案内はお問い合わせコールあだち 03-3880-0039)へ。

私が現場で見ている足立区の建物特性は、大きく2つに分かれます。

  • 北千住・綾瀬の再開発エリア:ここ10〜15年で建った比較的築浅の共同住宅が多く、まだ全面打診の対象になっていない物件が中心です。今後数年で最初の報告時期を迎える物件がまとまって出てきます。
  • 竹ノ塚・西新井・梅島・千住といった昔ながらの住宅密集地:東武スカイツリーライン沿線を中心に、築30〜40年台の中規模マンションが多く残り、外壁改修や全面打診の要否判定が現実の論点になっている段階です。

竹ノ塚駅周辺は鉄道高架化に伴う再整備が進み、周辺の建物でも大規模修繕のタイミングを合わせて検討する動きが出てきています。私は足立区の物件を拝見するとき、まずこの2つのエリア特性のどちらに当たるかを確認します。

足立区には「マンション管理計画認定制度」もあります。認定基準は国基準と同一で、管理組合の運営・管理規約・経理・長期修繕計画の作成など複数項目にわたります。区窓口での新規申請はできず、公益財団法人マンション管理センターの認定手続支援システムを経由しますが、区の手数料は当面無料です(出典:足立区「マンション管理計画認定制度について」)。

この認定、または助言・指導実施証明を受けたうえで長寿命化に資する大規模修繕工事を行うと、工事翌年度の建物部分の固定資産税が2分の1に減額される「マンション長寿命化促進税制」(令和9年3月31日まで延長)の対象になり得ます(出典:足立区「マンション長寿命化促進税制(固定資産税の減額措置)について」、公益財団法人マンション管理センター「マンション長寿命化促進税制の期間が延長されました」)。全面打診への直接補助ではありませんが、長期修繕計画・認定制度・税制優遇をワンセットで考える価値はあります。


実務コスト感:打診調査の㎡単価と、足場費の重さ

理事会で真っ先に出るのがお金の話なので、目安のレンジを正直に書きます。

項目 費用の目安(参考値) 備考
外壁打診調査 250〜500円/㎡ 調査方法・階高・足場の有無で変動
仮設足場 800〜1,200円/㎡(架面積) 建物形状・道路条件で大きく変動
外壁塗装 3,500〜4,500円/㎡ 塗料グレードによる
防水(屋上・バルコニー) 5,000〜8,000円/㎡ 工法による
30戸規模マンションの大規模修繕総額 3,500〜5,000万円程度 うち仮設足場が15〜25%を占めることが多い

すべて目安・レンジであり、実際の見積は物件の規模や立地、劣化状況で変動します。ここは正直に申し上げます。仮設足場が総工費の15〜25%を占めるため、12条点検の全面打診のためだけに足場を架けると、この費用が丸ごと調査費に乗ってきます。

具体例で比べます。10階建て・外周80m・工期3か月の物件で試算すると、足場を組む場合の仮設費が約168万円に対し、ロープアクセス工法なら約59万円。差額はおよそ109万円です(当社の標準的な試算例。物件条件により変動します)。

打診調査だけのために168万円の足場を架けるか、59万円でロープアクセスにするか。修繕積立金が潤沢とは言えない管理組合にとって、この差は小さくありません。


ロープアクセス工法が足立区の12条打診で選ばれる3つの理由

私はロープアクセス工法(無足場工法。産業用ロープで作業員が壁面に直接アクセスする工法です)を、12条点検の全面打診と相性の良い手段としてご提案しています。技術的な背景や安全基準は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムにまとめています。理由は3つです。

理由1:仮設コストが下がる

足場を架けずに全面打診ができるため、調査費の大半を占めていた仮設費を圧縮できます。「調査だけで100万円超」という理事会の心理的ハードルが、ぐっと下がります。

理由2:居住者の生活影響が小さい

足場を組むと、バルコニーの使用制限、洗濯物、防犯(足場からの侵入懸念)、日照と、居住者の不満が一気に噴き出します。足立区は子育て世帯とご高齢の世帯が同じ棟に混在するマンションが多く、この負担が特に重く出ます。ロープアクセスなら屋上からの吊り下げで作業しますので、足場の設置・解体の期間がなく、生活影響の期間そのものが短くなります。私はこれを「住みながら直せる工法」とお伝えしています。

理由3:狭小地・道路条件の厳しい物件に対応できる

足立区は、竹ノ塚や西新井の商店街周辺、千住地域の旧市街地など、道路が狭く隣地と近接した建物が少なくありません。足場の架設が物理的に難しい、あるいは道路占用許可の調整で工期が読めない、という物件です。こうした条件でロープアクセスが効いてきます。実際の施工手順や訓練体制はロープアクセスドットコムの技術解説を、明誠側の対応範囲は明誠のロープアクセス工法の技術詳細をご覧ください。

なお、株式会社明誠はこれまでに約6,000棟の大規模修繕を手がけ、ロープアクセス工法での高所作業について、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業では過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。


12条点検を大規模修繕と一体化する、という考え方

ここからが本題です。私が足立区の管理組合さまに最もお伝えしたいのは、12条点検の全面打診と大規模修繕を別々に発注しないでください、ということです。理由は3つあります。

1つ目。仮設費が一度で済みます。 打診調査で足場を架け、1〜2年後の修繕工事でまた足場を架ける。これは同じ費用を二度払っているのと変わりません。ロープアクセスの場合も、調査と補修を同じ体制で連続して行えば、段取り替えのコストが消えます。

2つ目。調査結果がそのまま工事仕様になります。 打診で拾った浮きの位置と数量が、そのままタイル張替え・アンカーピンニング工法の数量に直結します。調査会社と施工会社が別だと、この受け渡しで情報が落ちます。私は打診と補修を一体で受けるとき、浮きの位置を図面に落として理事会にお出ししています。

3つ目。「3年以内の改修が確実」という猶予を使える場合があります。 定期調査の実施から3年以内に外壁改修または全面打診等が行われることが確実である場合、あるいは落下物防護ネットの設置など別途歩行者の安全を確保する対策を講じている場合は、今回の報告で全面打診を見送れる取り扱いがあります。長期修繕計画に大規模修繕の実施年を明記しておけば、報告年度と修繕年度を無理に重ねる必要がなくなるということです。私はこれを、いつもワンセットでご提案するようにしています。

管理組合さま向けの進め方は管理組合向けの大規模修繕サポート、賃貸ビル・テナントビルのオーナーさま向けはビルオーナー向けの改修サービスにまとめています。


まとめ:足立区のオーナーさま・理事長さまが今週動けること3点

この記事のポイント

  • 足立区の共同住宅の定期調査報告はおおむね3年ごと、提出先は区役所ではなく東京都防災・建築まちづくりセンター(1万㎡超は東京都)
  • 全面打診のトリガーは竣工・改修から10年、前回調査の判定、落下事故の有無の4パターン
  • 北千住・綾瀬は比較的築浅、竹ノ塚・西新井・梅島は築30〜40年台の物件が多く、地域でフェーズが異なる
  • マンション管理計画認定制度と組み合わせると、固定資産税減額(マンション長寿命化促進税制)につながる場合がある
  • 打診だけに足場を架けると仮設費が丸ごと乗る。ロープアクセスで差額100万円超の例もある

そのうえで、今週できることを3つ挙げます。

  1. 検査済証の日付を確認する。 管理室のファイルか、前回の大規模修繕の完了報告書に挟まっているはずです。ここから起算日が決まります。
  2. 前回の外壁全面改修の完了日を確認する。 これが起算日をリセットしている可能性があります。10年を超えていなければ、今回は部分打診で足ります。
  3. 長期修繕計画に外壁改修の実施年が明記されているか確認する。 明記されていれば、3年以内の改修が確実という扱いで報告年度の全面打診を調整できる場合があります。

足立区は建物ストックの厚いまちです。同じ年代の物件がまとまるエリアほど報告年度が重なりやすく、調査会社も施工会社も手が埋まります。動き出すのが早いほど、選べる選択肢が多くなります。

ご相談だけでも遠慮なくお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。概算のお見積りや現地確認のご依頼は明誠のお問い合わせフォームから、工法選定の考え方は明誠の理念と3工法の使い分けをご覧ください。

明誠のこれまでの施工事例は明誠の施工事例からご覧いただけます。ロープアクセス工法の一般的な安全基準や技術情報はロープアクセスドットコムで解説しています。


よくあるご質問

Q. 足立区の共同住宅は、何年ごとに定期報告が必要ですか?

A. 用途と規模によりますが、共同住宅の特定建築物定期調査報告はおおむね3年ごとです。正確な報告年度は建物の検査済証交付年度などによって決まりますので、東京都都市整備局または提出先の窓口でご確認ください。

Q. 竣工から10年ちょうどですが、今回の報告で全面打診が必要ですか?

A. 起算点は検査済証の交付日が属する年度の翌年度4月1日です。そこから10年を超えて最初に迎える報告時期までに全面打診等が求められます。ご自身の建物の起算日は、検査済証または前回の外壁全面改修の完了日からお確かめください。

Q. 打診調査の費用はどれくらいですか?

A. 打診調査そのものは250〜500円/㎡が目安ですが、費用の大半を左右するのは足場です。10階建て・外周80m・工期3か月の物件では、仮設足場が約168万円に対しロープアクセス工法は約59万円という試算例があります。物件条件で変動しますので、概算のお見積りは無料でお出しします。

Q. ドローンの赤外線調査で打診の代わりになりますか?

A. 平成20年国土交通省告示第282号の令和4年1月18日付の一部改正により、無人航空機による赤外線調査であってテストハンマーによる打診と同等以上の精度を有するものが調査方法として明確化されました。建物の立地や外壁の状態によって適否が分かれますので、事前の現地確認が必要です。

Q. 報告書はどこに提出するのですか?

A. 足立区の場合、特定建築物定期調査報告と防火設備定期検査報告は公益財団法人東京都防災・建築まちづくりセンターが受付です。ただし延べ面積1万平方メートル超の建築物は東京都都市整備局の所管になります。制度に関するご相談は足立区都市建設部建築室建築審査課で受け付けています。


本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月24日時点で公表されている足立区および国土交通省・東京都の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請・報告される前に、足立区都市建設部建築室建築審査課(電話03-3880-5278)または該当窓口へ最新の内容をご確認ください。


この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市

マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年9月24日


出典・参考資料

足立区の管理組合が無料で使える相談・派遣12選|管理計画認定は手数料無料、非木造の耐震助成は診断・改修とも5割【令和8年度版】

2026年9月23日 更新

先日、北千住駅から歩いて15分ほどの分譲マンションの修繕委員長さまから、こんなご相談をいただきました。

「築38年、5階建て・64戸のマンションで、2回目の大規模修繕をそろそろ動かしたい。ただ理事会の予算資料には『管理会社からの見積り一式』としか書かれておらず、その金額が高いのか安いのかを判断する材料が誰の手元にもない」

伺うと、長期修繕計画そのものは残っていたものの、直近の改定は6年前で止まっていました。理事は毎年入れ替わる輪番制。前の理事会が何を検討し、どこで判断を保留したのかは、議事録を遡ってようやく分かる状態でした。

私はこの手のご相談を受けるたびに思うことがあります。足立区の管理組合には、実はお金をかけずに呼べる第三者の専門家がいくつも用意されているのに、その存在自体があまり知られていない、と。しかも足立区の場合、マンション管理計画認定の区の手数料が当面のあいだ無料という、23区の中でも珍しい設計になっています。

申し遅れました。私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。東京都東大和市を拠点に、20年近くマンション・ビル・ホテルの外壁の仕事をしてきました。足場を組んで建物をすっぽり囲う工事も、ロープ1本でぶら下がる無足場の工事も、どちらの現場も自分の足で踏んできた人間です。

今日は、足立区の管理組合とビル・収益不動産オーナーさまが使える相談・派遣・助成を12個、令和8年度(2026年4月1日から2027年3月31日まで)の一次情報で整理します。


結論:足立区で使える支援は12ある

先に一覧でお示しします。費用ゼロのものと、費用の一部が助成で戻るものを分けて並べました。

# 制度・窓口 誰が対応するか 費用 申込先
1 足立区 分譲マンション出張相談会 マンション管理士 無料/個別相談+ミニセミナー(原則年度内1回) 住宅課住宅計画係 03-3880-5963
2 足立区 分譲マンション管理アドバイザー派遣制度 マンション管理士 無料/年度内12時間(1名派遣)または6時間(2名派遣) 住宅課住宅計画係 03-3880-5963
3 足立区 マンション管理計画認定制度 区+(公財)マンション管理センター 区の手数料無料(当面のあいだ)/システム利用料は別途 住宅課住宅計画係 03-3880-5963
4 足立区 非木造住宅・建築物耐震化助成(分譲マンション対象) 区登録の耐震診断士等 診断費用5割助成(上限500万円または戸数×10万円の低い方)、改修工事費用5割助成(上限3,000万円) 建築防災課 03-3880-5317
5 足立区 不動産相談(予約制) 宅地建物取引士 無料/1回35分・月2回(第1・3水曜) 区民の声相談課 03-3880-5359
6 足立区 すまいの建築相談 建築士 無料/月1回(第2水曜) 住宅課住宅計画係 03-3880-5963
7 足立区 法律相談(予約制) 弁護士 無料/1回40分以内、同一内容は原則1回 区民の声相談課 03-3880-5359
8 足立区 消費生活相談 消費生活相談員 無料(通話料等は自己負担) 03-3880-5380
9 東京都 マンションアドバイザー無料派遣(管理状況届出制度) マンション管理士等 無料(届出済みが条件) 東京都防災・建築まちづくりセンター
10 東京都 マンション管理士無料派遣(防災力向上・認知症対応) 講習修了のマンション管理士 無料/各2回まで 東京都マンション管理士会(令和9年2月26日まで)
11 (公財)マンション管理センター 電話相談 専門相談員 無料 03-3222-1517/設備は03-3222-1519
12 一般社団法人マンション管理業協会 相談窓口 専門相談員 無料 050-3733-8982

1〜3・5〜12がお金のかからない相談・派遣・認定手数料、4だけは費用の一部を自己負担する助成制度です。順番に見ていきます。


足立区の分譲マンション支援は「相談会」と「アドバイザー派遣」の二段構え

足立区の分譲マンション支援は、区が年に何度か開く出張相談会と、より腰を据えて相談したいときに呼べるアドバイザー派遣制度の二段構えになっています。

1. 分譲マンション出張相談会(原則年度内1回)

区が公表している内容をそのまま引用します。

項目 内容
対象 区内分譲マンション居住者(原則、年度内1回限り)
開催頻度 年8回(5月から翌年3月まで、月1〜2回程度)
内容 マンション管理士による個別相談。管理・修繕・トラブルなど分譲マンションのさまざまな問題に対応。60分のミニセミナーも併催
費用 無料
申込方法 電話(平日午前9時〜午後4時)または区のオンライン申請システムから事前申込。会場ごとに申込開始日が異なる
申込先 住宅課住宅計画係 03-3880-5963

(出典:足立区「分譲マンション出張相談会開催のお知らせ」/更新日2026年4月3日)

個別相談とミニセミナーが同じ日にセットで受けられるのが足立区の特徴です。相談だけでなく、他の管理組合がどんな課題に直面しているかをミニセミナーで俯瞰してから個別相談に入ると、限られた時間の使い方が変わってきます。私の経験では、質問を3つまでに絞って持っていく理事会ほど、この手の相談枠を使いこなしています。

2. 分譲マンション管理アドバイザー派遣制度 — 足立区の目玉

出張相談会よりも踏み込んだ相談をしたいとき、あるいは理事会に来てもらってじっくり議論したいときに使えるのがこちらです。

項目 内容
対象 区内分譲マンション管理組合
派遣時間 年度内12時間まで(マンション管理士1名派遣の場合)または6時間まで(2名派遣の場合)、1回1時間単位
費用 完全無料
手続の流れ ①オンライン申請システムで仮予約(希望日の2週間以上前)②本申込③アドバイザー派遣・相談実施
申込条件 管理組合理事長が申込者、区分所有者2名以上の参加が条件
申込先 住宅課住宅計画係 03-3880-5963(平日午前9時〜午後4時)

(出典:足立区「分譲マンション管理アドバイザー派遣制度」/更新日2025年4月1日)

この制度のポイントは、年度内12時間という枠の広さです。1回1時間単位で使えるので、「今月は長期修繕計画の見直し方針だけ」「来月は見積り査定の視点だけ」というように、論点ごとに小分けして呼ぶこともできます。私はいつも理事長さまに「1回で全部解決しようとせず、論点を分けて何度も呼んでください」とお伝えしています。無料の枠を使い切らずに終わる管理組合が、実は少なくありません。

外壁の劣化がどの程度進んでいるかを客観的に把握する方法については、明誠のロープアクセス工法による外壁調査の考え方をご覧いただくと、足場を組まずにどこまで見られるのかが分かります。技術的な仕組みそのものをもう少し深く知りたい方は、同業者向けに書いている姉妹サイトロープアクセスドットコムのほうが詳しいです。


足立区で使える弁護士・宅建士・建築士の無料相談

管理費の滞納、区分所有者間のトラブル、工事契約をめぐる紛争、賃貸トラブル。これらは管理士の守備範囲を超えることがあります。足立区にはこの領域の無料窓口も複数用意されています。

5. 不動産相談(予約制)

項目 内容
相談員 宅地建物取引士
相談内容 借地・借家の賃料、更新、立退き、借地権など
日時 毎月第1・3水曜日 午後1時〜4時(祝日・年末年始を除く)
相談時間 1回35分以内
費用 無料
対象 区内在住・在勤・在学の方
会場 足立区役所北館2階 区民の声相談課
予約先 03-3880-5359(平日8時30分〜17時15分)

(出典:足立区「不動産相談(予約制)」/更新日2026年6月19日)

区分所有のマンションだけでなく、賃貸マンションを所有するビルオーナーさまの立退き・更新トラブルにも対応できる窓口です。賃料改定を巡って入居者と揉めそうなときは、契約書を持参して相談に臨むと話が早く進みます。

6. すまいの建築相談

項目 内容
相談員 建築士
日時 毎月第2水曜日 午後2時〜4時
費用 無料
予約方法 事前予約制
申込先 住宅課住宅計画係 03-3880-5963

(出典:足立区「住まいの相談」)

新築・改築・リフォームが主な対象ですが、大規模修繕の進め方に建築的な疑問がある場合も相談材料になります。月1回・枠が限られるため、予約は早めが確実です。

7. 法律相談(予約制)

項目 内容
相談員 弁護士
相談時間 1回40分以内
回数 原則、同一内容の相談は1回限り(異なる内容なら再利用可)
費用 無料
相談形式 窓口・電話(平日・第4日曜日)・オンライン(午後2時30分開始のみ)
予約先 03-3880-5359(平日8時30分〜17時15分)

(出典:足立区「法律相談(予約制)」/更新日2026年6月19日)

40分という時間は、練馬区や他の自治体でよく見る30分よりやや長めです。私は「争点を1つに絞って行く」ことをいつもお勧めしています。「滞納が3年分たまっている区分所有者に、どの手続きから着手すべきか」まで絞れていれば、40分で具体的な道筋が見えます。

なお、収入・資産が一定基準以下の方であれば、法テラス(日本司法支援センター)の民事法律扶助による無料法律相談も選択肢になります。同一の問題につき1回30分・3回まで無料で、弁護士・司法書士に相談できます(出典:法テラス「無料法律相談のご利用の流れ」)。

8. 消費生活相談

工事契約のトラブル、訪問業者による強引な勧誘への対応は、消費生活相談の領域です。

  • 相談電話:03-3880-5380
  • 相談時間:月〜金 午前9時〜午後4時45分(祝日・年末年始を除く)
  • 費用:無料(通話料・オンライン通信料は自己負担)

(出典:足立区「消費生活相談」/更新日2025年2月1日)

「地震のあと点検に来たという業者に、その場で契約書を書かされた」という相談は、残念ながら現場で今も耳にします。この手の話は法律相談より先に、消費生活相談に入れたほうが早いことが多いです。


足立区マンション管理計画認定制度 — 区の手数料は当面のあいだ無料

3. マンション管理計画認定制度

足立区のマンション管理計画認定制度は、多くの自治体が数千円の手数料を設定している中で、区の手数料を当面のあいだ無料にしている点が際立っています(更新申請含む)。

項目 内容
区の手数料 当面のあいだ無料(変更認定申請含む)
別途費用 (公財)マンション管理センター「管理計画認定手続支援システム」の利用料等は別途発生
申請方法 区窓口での直接申請は不可。マンション管理センターのシステム経由でのみ申請可能
必要書類 電子化した管理規約、長期修繕計画書、事前確認適合証など
標準審査期間 30日間
認定有効期間 5年(更新は満了前に同システム経由で申請)

(出典:足立区「マンション管理計画認定制度について」/更新日2025年2月14日)

認定を取ると、住宅金融支援機構の共用部分リフォーム融資の金利引き下げや、長寿命化促進税制の適用要件など、修繕積立金の負担に効いてくる場面があります。国の制度概要は国土交通省「マンション管理計画認定制度」にまとまっています。区の手数料がかからない分、マンション管理センターのシステム利用料だけを見込んでおけば予算化しやすいはずです。


非木造建築物の耐震助成 — 分譲マンションも対象、診断・改修とも5割

4. 非木造住宅・建築物耐震化助成

足立区の分譲マンションで見落とされがちなのが、旧耐震基準(昭和56年5月31日以前)の非木造建築物を対象にした耐震診断・耐震改修の助成制度です。賃貸・分譲の区別を問わず、居住部分が延べ面積の過半を占める建物が対象になります。

項目 内容
対象建築物 昭和56年5月以前に建築された非木造建築物(分譲マンション含む)
耐震診断助成 費用の5割、上限500万円または住宅戸数×10万円のいずれか低い方
耐震改修工事助成 費用の5割、上限3,000万円
拡充期間 令和9年3月まで延長
注意点 契約前に事前申請が必要。契約後の申請は助成対象外
申込先 建築室建築防災課 03-3880-5317

(出典:足立区「非木造住宅・建築物の耐震化に助成を行っています」/更新日2026年4月2日)

練馬区などで見られる「アドバイザー派遣10回まで無料」のような専門家派遣そのものは、足立区の非木造制度には含まれていません。その代わり、診断・改修とも実費の半分を助成という、金額のインパクトが大きい設計になっています。旧耐震の分譲マンションで「診断すら踏み出せていない」管理組合ほど、この助成の対象になる可能性が高いはずです。

一番大事な注意点は、契約前の事前申請が必須ということです。「診断業者と契約してから申請しよう」と考えると、その時点で助成の対象から外れてしまいます。理事会で診断の実施を決めた段階で、契約前に建築防災課へ一報を入れることを強くお勧めします。


東京都・国の相談窓口を重ねて使う

足立区の枠を使い切っても、まだ残っています。ここからは東京都と国の制度です。

9. マンションアドバイザー無料派遣(管理状況届出制度が前提)

東京都は「管理状況届出制度による届出を行った管理組合に対し、その管理状況に応じて、マンション管理士などの専門家を派遣し、マンションの管理や建替え・改修について、講義や個別具体的な相談に対するアドバイスを行います」としています(出典:東京都マンションポータルサイト「マンションアドバイザー無料派遣のご案内」)。

肝は「届出を出していること」が条件という点です。足立区の分譲マンションも、「東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例」に基づく管理状況届出制度の対象になります。届出の具体的な手続については、住宅課(03-3880-5963)に確認するのが確実です。

  • 通常の届出済みマンション:1回まで無料
  • 管理不全の兆候があるマンション:5回まで無料
  • 申込先:(公財)東京都防災・建築まちづくりセンター

順番としては「届出 → 無料派遣」です。まだ届出をしていない管理組合は、まずここから動くとよいでしょう。

10. マンション管理士無料派遣(防災力向上・認知症対応)

こちらは届出の有無を問わない枠です。

項目 内容
対象 都内に所在するマンション管理組合
回数 防災力向上・認知症対応それぞれ2回まで(合計最大4回)
費用 無料
受付期間 令和8年6月23日(火)から令和9年2月26日(金)まで
募集枠 防災力向上・認知症対応あわせて160件程度
申込 東京都マンション管理士会のホームページから

(出典:東京都「本日からマンション管理士無料派遣事業の受付を開始(マンション管理組合向け)」/東京都マンションポータルサイト「分譲マンション向けマンション管理士無料派遣(防災力向上・認知症対応)」)

都内全域で160件程度という枠です。締切の令和9年2月26日まで残り約5か月。年内に理事会で決議しておくと安心です。賃貸マンションのオーナーさま向けには、賃貸マンション向け防災アドバイザー無料派遣という別枠も用意されています。

11. (公財)マンション管理センターの電話相談

全国の管理組合が使える、国のマンション管理適正化推進センター指定団体の窓口です。

  • 管理組合運営・管理規約などの相談:03-3222-1517
  • 建物・設備の維持管理の相談:03-3222-1519(電話で事前予約)
  • 相談時間:月〜金 9時30分〜17時00分

(出典:(公財)マンション管理センター「相談窓口について」)

12. 一般社団法人マンション管理業協会の相談窓口

管理会社の団体である日管協(マンション管理業協会)も、管理組合向けの相談窓口を設けています。

  • マンション管理に関する相談:050-3733-8982(10時〜16時30分、12時〜13時は昼休み)

(出典:一般社団法人マンション管理業協会「お問い合わせ」)

「区に相談するほどでもないが、誰かに確認したい」という程度の疑問なら、11番・12番のどちらかが一番手軽です。


お金の話:足立区で大規模修繕を検討するときの目安

支援制度の話ばかりでは実感が湧かないと思いますので、費用の目安も出しておきます。すべて参考値のレンジです。実際の見積は建物の形状・劣化状況・立地によって大きく変動します。

工種 ㎡単価の目安
外壁塗装 3,500〜4,500円/㎡
外壁打診調査 250〜500円/㎡
屋上・バルコニー防水 5,000〜8,000円/㎡

60戸規模のマンションで大規模修繕を一巡させると、総額のレンジは3,500〜5,000万円程度。このうち仮設足場が15〜25%を占めます。つまり足場だけで500万〜1,200万円という計算になります。

私がロープアクセス工法(産業用ロープで作業員が懸垂し、足場を組まずに外壁作業を行う無足場工法)をお勧めする理由は、ここにあります。10階建て・外周80m・工期3か月というモデルケースでは、足場の仮設費が約168万円に対し、ロープアクセスなら約59万円。差額は約109万円です。

もちろん、どんな建物でもロープアクセスが最適というわけではありません。低層で形状が複雑な建物、外壁の改修範囲が広い建物は、足場を組んだほうが総合コストで有利になります。だからこそ明誠では、通常足場・ロープアクセス・両者を併用するハイブリッド工法の3つから選べる体制をとっています。3工法を自社で提案できる会社は、国内でも多くありません。料金の考え方については明誠の大規模修繕の料金の考え方にまとめています。

株式会社明誠はこれまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセス工法での高所作業について、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業では過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。作業員はIRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の技能訓練を受けています。この安全体制の詳細はロープアクセスドットコムで公開しています。


相談に行くとき、何を持っていけばいいか

限られた時間を最大限に使うために、私がいつもお伝えしている3点セットがあります。

  1. 直近3期分の総会議事録 — 何が決まり、何が先送りされてきたかが一目で分かります
  2. 長期修繕計画書 — 更新が止まっていても構いません。むしろ止まっていること自体が相談材料です
  3. 管理規約(最新版) — 標準管理規約は令和7年に改正されています。自組合の規約がどの版に準拠しているかで、打てる手が変わります

余裕があれば、これに修繕積立金の残高が分かる直近の決算書と、気になっている箇所のスマホ写真を加えてください。写真は強力です。「北側外壁のタイルに浮きが出ている」と口で説明するより、1枚見せたほうが専門家の判断は10倍速くなります。

法令面では、令和7年5月30日公布の「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律」(令和7年法律第47号)が令和7年11月28日に一部施行されています。旧耐震のマンションで大規模な改修や建替えを視野に入れている管理組合は、この改正を踏まえた助言を受けられるかどうかで、相談の価値が変わってきます。


よくあるご質問

Q. 分譲マンション管理アドバイザー派遣制度は、何度でも呼べますか?

A. 年度内で1名派遣なら12時間まで、2名派遣なら6時間まで無料です。1回1時間単位で申し込めるため、論点ごとに小分けして複数回呼ぶことができます。オンライン申請システムでの仮予約は希望日の2週間以上前が必要です。

Q. マンション管理計画認定制度は、本当にお金がかかりませんか?

A. 区の手数料は当面のあいだ無料です(更新申請も含みます)。ただし(公財)マンション管理センターの管理計画認定手続支援システムの利用料は別途発生しますので、その点はご留意ください。

Q. 非木造建築物の耐震助成は、うちのマンションが対象か分かりません。

A. 対象は昭和56年5月31日以前に建築された非木造建築物で、居住部分が延べ面積の過半を占めるものです。賃貸・分譲の区別は問いません。確実な判断は建築室建築防災課(03-3880-5317)にご確認ください。契約前の事前申請が必須という点が最大の注意点です。

Q. 東京都のマンション管理士無料派遣は、いつまでに申し込めばいいですか?

A. 令和8年度の受付期間は令和8年6月23日から令和9年2月26日までで、防災力向上・認知症対応あわせて160件程度という募集枠が公表されています。年度末ぎりぎりではなく、年内の理事会で決議しておくほうが安心です。

Q. 法律相談と法テラス、どちらを使えばいいですか?

A. 足立区の法律相談(予約制)は区内在住・在勤・在学であれば所得に関わらず利用でき、1回40分以内です。法テラスは収入・資産の要件を満たす方が対象で、同一の問題につき3回まで無料です。まずは要件を問わない区の法律相談から検討されるのがよいと思います。

Q. 大規模修繕の工期はどれくらい違いますか?

A. ロープアクセス工法は足場の組立・解体の期間がまるごと不要になるため、足場工法のおよそ60%の工期が目安です。10階建て・外周80mのマンションであれば、足場工法で3か月程度のところ、ロープアクセスなら1.5〜2か月程度になります。ただし改修範囲が広い場合は差が縮まります。

Q. 管理会社を通さずに、明誠に直接相談してもいいのでしょうか?

A. もちろんです。セカンドオピニオンとしてお使いいただくケースが一番多いです。既存の見積書を拝見して、数量と単価の妥当性を一緒に確認するだけでも結構です。お問合せフォームからご連絡ください。


まとめ:今週、足立区の管理組合が動けること3つ

長くなりましたので、動き出しの3手に絞ります。

1. 住宅課(03-3880-5963)に電話して、分譲マンション管理アドバイザー派遣制度の仮予約を確認する

年度内12時間まで無料、1回1時間単位です。論点を分けて何度も呼べることを理事会で共有してください。

2. 旧耐震(昭和56年5月以前)の非木造建築物かどうかを確認し、該当すれば耐震診断助成を検討する

該当すれば診断費用の5割(上限500万円または戸数×10万円の低い方)が助成対象です。契約前の事前申請を忘れずに。

3. マンション管理計画認定制度の申請を理事会の議題に載せる

区の手数料は当面のあいだ無料です。住宅金融支援機構のリフォーム融資の金利引き下げなど、修繕積立金の負担軽減につながる場面があります。


足立区は、北千住・西新井・竹ノ塚のような駅前再開発で新しい住棟が増えているエリアから、昭和期に建てられた団地型マンションが数多く残るエリアまで、建物のタイプが幅広い区です。旧耐震の非木造建築物が今も一定数残る一方で、駅前の再開発でタワー型マンションに入れ替わったエリアもある。だからこそ、「よその管理組合がこうしたから」ではなく、自分の建物の状態と築年を自分で把握することが効いてきます。

そして、その第一歩にかかるお金は、足立区の場合ほとんどゼロにできます。区の相談会、アドバイザー派遣、管理計画認定、不動産相談、建築相談、法律相談、消費生活相談。これだけ呼んでも、支出は郵送代と電話代くらいのものです。

私は現場でこう思うことがあります。管理組合が損をするのは、悪い業者に当たったときよりも、相談しないまま時間だけが過ぎたときのほうがずっと多い、と。壁の浮きも、防水の切れも、待っていて良くなることはありません。

明誠のこれまでの明誠の施工事例もあわせてご覧いただければ、実際にどんな建物でどんな判断をしてきたかが伝わると思います。ご相談だけでも遠慮なくお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。


出典・参考資料


本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月23日時点で公表されている東京都足立区および国土交通省・東京都の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請される前に、必ず東京都足立区および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。


この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)

株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市

マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年9月23日

練馬区の管理組合が無料で使える相談・派遣12選|アドバイザー派遣料は区が全額助成、耐震アドバイザーは分譲マンションで10回まで無料【令和8年度版】

2026年9月23日 更新

先日、光が丘の分譲マンションの理事さまからこんなご相談をいただきました。

「築45年になる棟で、そろそろ3回目の大規模修繕を考えている。ただ理事は全員一年交代の輪番制で、誰も過去の経緯を知らない。管理会社の提案をそのまま通していいのか、正直自信がない」

伺うと、11階建て・120戸規模の団地型マンションで、長期修繕計画の更新は8年近く止まっていました。輪番制の理事会にありがちな話です。悪意はどこにもなく、ただ「専門家に相談する」という発想そのものが理事の頭になかった。

私はこの手のご相談を受けるたびに思うことがあります。練馬区の管理組合は、実は無料で呼べる第三者の専門家がかなり充実しているのに、その存在自体が知られていない、と。しかも練馬区の場合、単に「相談窓口がある」だけでなく、都のアドバイザー派遣にかかる費用そのものを区が肩代わりする助成まで用意されています。これは23区の中でも手厚い部類です。

申し遅れました。私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。東京都東大和市を拠点に、20年近くマンション・ビル・ホテルの外壁の仕事をしてきました。足場を組んで建物をすっぽり囲う工事も、ロープ1本でぶら下がる無足場の工事も、どちらの現場も自分の足で踏んできた人間です。

今日は、練馬区の管理組合とビル・収益不動産オーナーさまが使える相談・派遣・助成を12個、令和8年度(2026年4月1日から2027年3月31日まで)の一次情報で整理します。


結論:練馬区で使える支援は12ある

先に一覧でお示しします。費用ゼロのものと、費用の一部・全部が助成で戻るものを分けて並べました。

# 制度・窓口 誰が対応するか 費用 申込先
1 練馬区 分譲マンション管理運営無料相談 マンション管理士2名 無料/1枠50分・月2回開催 住宅課 03-5984-1289
2 練馬区 分譲マンションアドバイザー制度利用助成 都センター認定アドバイザー 派遣料全額助成(年度内1回) 住宅課 03-5984-1289
3 練馬区 耐震アドバイザー派遣・簡易診断助成 建築士等の耐震アドバイザー 無料(10/10助成)/派遣は同一建物10回まで 建築課 耐震化推進係
4 ねりまマンションセミナー「未来塾」 東京都マンション管理士会と協働 無料(年3回) 住宅課(次回は令和8年11月上旬)
5 練馬区 区民相談所・石神井庁舎の法律相談 弁護士 無料/1回30分・年3回まで 区民相談所 03-5984-4523
6 練馬区 法律相談オンライン(Zoom・水曜) 弁護士 無料 区ホームページの申込フォーム
7 練馬区消費生活センター 消費生活相談員 無料 03-5910-4860(石神井公園区民交流センター内)
8 東京都 マンションアドバイザー無料派遣(管理状況届出制度) マンション管理士等 無料(届出済みが条件) 東京都防災・建築まちづくりセンター
9 東京都 マンション管理士無料派遣(防災力向上・認知症対応) 講習修了のマンション管理士 無料/各2回まで 東京都マンション管理士会(令和9年2月26日まで)
10 (公財)マンション管理センター 電話相談 専門相談員 無料 03-3222-1517/設備は03-3222-1519
11 一般社団法人マンション管理業協会 相談窓口 専門相談員 無料 050-3733-8982
12 練馬区マンション管理計画認定制度 (公財)マンション管理センターが事前確認 手数料4,100円〜(長期修繕計画1本の場合) 住宅課 03-5984-1289

1〜11がお金のかからない相談・派遣・助成、12だけは少額の手数料が発生する認定制度です。順番に見ていきます。


練馬区のマンション管理士派遣は「区役所に呼ばれる」だけでなく「助成で呼べる」

練馬区の分譲マンション支援は、区が直接開く相談会と、都の制度を使うときの費用を区が肩代わりする助成の二段構えになっています。ここが練馬区の一番の特徴です。

1. 分譲マンション管理運営無料相談(事前予約制)

区が公表している内容をそのまま引用します。区内に所在する分譲マンションの管理組合役員および区分所有者が対象です。

項目 内容
対象 区内に所在する分譲マンションの管理組合役員および区分所有者
開催頻度 原則月2回(第1・第3木曜日の午後)
時間・回数 1枠50分、1日3枠(13時20分〜14時10分/14時15分〜15時05分/15時10分〜16時)
相談員 マンション管理士2名
費用 無料
会場 練馬区役所本庁舎13階会議室
申込方法 電子申請(Logoフォーム)または電話03-5984-1289(8時30分〜17時15分、土日祝除く)

(出典:練馬区「分譲マンション管理運営無料相談(事前予約制)」/更新日2026年4月30日)

同席は申請者を含めて3名までという制限があります。理事長お一人でふらっと申し込むよりも、修繕委員長や会計担当と3人で臨むほうが、限られた50分を有効に使えます。私の経験では、質問リストを事前に3つに絞って持っていく理事会ほど、この手の相談枠を使いこなしています。

2. 分譲マンションアドバイザー制度利用助成 — 練馬区の目玉

ここが練馬区独自の強みです。多くの区は「区が専門家を呼ぶ」か「都の制度を紹介するだけ」のどちらかですが、練馬区は都のアドバイザー派遣にかかる費用そのものを、区が全額肩代わりする助成を用意しています。

項目 内容
対象 練馬区の分譲マンション管理組合登録制度に登録した、区内の分譲マンション管理組合等
助成対象アドバイザー (公財)東京都防災・建築まちづくりセンターが派遣する認定アドバイザー
助成額 マンション管理アドバイザー制度:Aコース16,500円・Bコース25,300円の全額。マンション建替え・改修アドバイザー制度:Aコース16,500円・Aオプション8,800円の全額
助成回数 同一管理組合等につき、同一年度内にいずれか1回
手続の流れ ①管理組合登録 ②助成申請書の提出 ③区の審査・交付決定通知 ④アドバイザー派遣の申込・利用 ⑤完了報告と請求書提出後に助成金が入金

(出典:練馬区「分譲マンションアドバイザー制度利用助成」/更新日2026年7月3日)

この制度のポイントは、アドバイザーの種類を選べることです。「マンション管理アドバイザー制度」は管理運営や合意形成が専門のアドバイザー、「マンション建替え・改修アドバイザー制度」は建築士など技術系のアドバイザーが中心になります。つまり練馬区では、管理の相談も、建物の技術的な相談も、実質無料で専門家を呼べる設計です。

私はいつも理事長さまに「まず管理組合登録を先に済ませておいてください」とお伝えしています。登録そのものに費用はかからず、いざ大規模修繕の話が動き出したときに、登録の有無で使えるスピードが変わってくるからです。

3. 耐震アドバイザー派遣・簡易診断助成 — 昭和56年5月以前の分譲マンションなら10回まで無料

もう一つ、練馬区で見落とされがちな支援がこれです。旧耐震基準(昭和56年5月31日以前)の建築物を対象にした、耐震診断のアドバイザー派遣と簡易診断の助成制度です。

項目 内容
対象建築物 昭和56年5月以前に建築された建築物(緊急輸送道路沿道建築物、分譲マンション、災害時医療機関等を含む)
助成率 10分の10(申請者の自己負担なし)
アドバイザー派遣の回数 同一の建物に対して10回まで
助成金額の目安 アドバイザー派遣50,000円/回、簡易診断352,000〜745,000円(建物規模による)
対象者 分譲マンション管理組合の代表者または建築物所有者
内容 耐震診断の進め方だけでなく、区分所有者間の合意形成についてのアドバイスも対象に含まれる

(出典:練馬区「アドバイザー派遣および簡易診断の助成制度」/更新日2026年4月1日)

私がこの制度で驚くのは、アドバイザー派遣が10回までという枠の広さです。他区で見かける耐震アドバイザー制度は3回程度が多い印象ですが、練馬区は合意形成という一番時間のかかる部分まで面倒を見てくれる設計になっています。旧耐震のマンションで「建替えか、改修か」の議論が長引いている管理組合ほど、この枠を使い切る価値があります。

外壁の劣化がどの程度進んでいるかを客観的に把握する方法については、明誠のロープアクセス工法による外壁調査の考え方をご覧いただくと、足場を組まずにどこまで見られるのかが分かります。技術的な仕組みそのものをもう少し深く知りたい方は、同業者向けに書いている姉妹サイトロープアクセスドットコムのほうが詳しいです。


練馬区で使える弁護士の無料法律相談と消費生活センター

管理費の滞納、区分所有者間のトラブル、工事契約をめぐる紛争。これらは管理士や建築士の守備範囲を超えます。練馬区にも法律面の無料窓口が用意されています。

なお、練馬区の弁護士会法律相談センターは「弁護士会による相談(有料)」と区のページに明記されています。無料で使いたい場合は、次の区民相談のほうを選んでください。

5. 区民相談所・石神井庁舎の法律相談

項目 内容
相談時間 午後1時〜午後4時、一人30分以内
費用 無料(相談内容の秘密は厳守)
利用回数 1年間に3回まで
会場 練馬区区民相談所(月・水・金)、石神井庁舎区民相談室(火・木)、男女共同参画センターえーる(土曜)
予約方法 事前予約制・先着順。相談日の1週間前午前9時から電話または窓口で受付開始
連絡先 練馬区区民相談所 03-5984-4523

(出典:練馬区「法律相談」/更新日2026年1月20日)

30分は短く感じますが、年3回まで使えます。さらに水曜日はオンライン(Zoom)でも法律相談を実施しているため、平日の日中に区役所や石神井庁舎まで出向けない理事さまには、こちらのほうが現実的でしょう。私は「争点を1つに絞って行く」ことをいつもお勧めしています。「滞納が3年分たまっている区分所有者に、どの手続きから着手すべきか」まで絞れていれば、30分で具体的な道筋が見えます。

7. 練馬区消費生活センター

工事契約のトラブル、訪問業者による強引な勧誘への対応は、消費生活センターの領域です。

  • 所在地:練馬区石神井町2丁目14番1号 石神井公園区民交流センター内
  • 相談電話:03-5910-4860
  • 相談時間:月〜金 午前9時〜午後4時30分(祝休日・年末年始を除く)

(出典:練馬区「消費生活センター」/更新日2025年10月7日)

「地震のあと点検に来たという業者に、その場で契約書を書かされた」という相談は、残念ながら現場で今も耳にします。この手の話は法律相談より先に、消費生活センターに入れたほうが早いことが多いです。

なお、収入・資産が一定基準以下の方であれば、法テラス(日本司法支援センター)の民事法律扶助による無料法律相談も選択肢になります。同一の問題につき1回30分・3回まで無料で、弁護士・司法書士に相談できます(出典:法テラス「無料法律相談のご利用の流れ」)。練馬区内の相談窓口については練馬区「法テラス(日本司法支援センター)」のページで案内されています。


セミナー・相談会:ねりまマンションセミナー「未来塾」

練馬区は東京都マンション管理士会と協働で、区内の分譲マンション管理組合役員・区分所有者を対象にしたセミナー「未来塾」を開いています。

項目 内容
対象 区内の分譲マンション管理組合役員や区分所有者
開催頻度 年3回開催予定
内容 管理組合の運営や大規模修繕の進め方などの情報提供、参加者相互の交流会
運営協力 東京都マンション管理士会
次回予定 令和8年11月上旬(詳細は令和8年10月下旬ごろにホームページ等で案内)

(出典:練馬区「ねりまマンションセミナー“未来塾”」/更新日2026年6月18日)

私がこの手のセミナーで価値を感じるのは、講義そのものよりも交流会の時間です。「うちの棟は3回目の大規模修繕でこう乗り切った」という他の管理組合の生の声は、コンサルタントの説明より腹に落ちることがあります。次回の令和8年11月上旬に向けて、詳細発表を待たずに理事会の議題として一言触れておくと、参加のハードルが下がります。


東京都・国の相談窓口を重ねて使う

練馬区の枠を使い切っても、まだ残っています。ここからは東京都と国の制度です。

8. マンションアドバイザー無料派遣(管理状況届出制度が前提)

東京都は「管理状況届出制度による届出を行った管理組合に対し、その管理状況に応じて、マンション管理士などの専門家を派遣し、マンションの管理や建替え・改修について、講義や個別具体的な相談に対するアドバイスを行います」としています(出典:東京都マンションポータルサイト「マンションアドバイザー無料派遣のご案内」)。

肝は「届出を出していること」が条件という点です。練馬区は「東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例」に基づく管理状況届出制度実施要領を定めており、区内の分譲マンションもこの枠組みの対象になります。届出の具体的な手続については、住宅課(03-5984-1289)に確認するのが確実です。

  • 通常の届出済みマンション:1回まで無料
  • 管理不全の兆候があるマンション:5回まで無料
  • 申込先:(公財)東京都防災・建築まちづくりセンター

順番としては「届出 → 無料派遣」です。まだ届出をしていない管理組合は、まずここから動くとよいでしょう。

9. マンション管理士無料派遣(防災力向上・認知症対応)

こちらは届出の有無を問わない枠です。

項目 内容
対象 都内に所在するマンション管理組合
回数 防災力向上・認知症対応それぞれ2回まで(合計最大4回)
費用 無料
受付期間 令和8年6月23日(火)から令和9年2月26日(金)まで
募集枠 防災力向上・認知症対応あわせて160件程度
申込 東京都マンション管理士会のホームページから

(出典:東京都「本日からマンション管理士無料派遣事業の受付を開始(マンション管理組合向け)」/東京都マンションポータルサイト「分譲マンション向けマンション管理士無料派遣(防災力向上・認知症対応)」)

都内全域で160件程度という枠です。締切の令和9年2月26日まで残り約5か月。年内に理事会で決議しておくと安心です。賃貸マンションのオーナーさま向けには、賃貸マンション向け防災アドバイザー無料派遣という別枠も用意されています。

10. (公財)マンション管理センターの電話相談

全国の管理組合が使える、国のマンション管理適正化推進センター指定団体の窓口です。

  • 管理組合運営・管理規約などの相談:03-3222-1517
  • 建物・設備の維持管理の相談:03-3222-1519(電話で事前予約)
  • 相談時間:月〜金 9時30分〜17時00分

(出典:(公財)マンション管理センター「相談窓口について」)

11. 一般社団法人マンション管理業協会の相談窓口

管理会社の団体である日管協(マンション管理業協会)も、管理組合向けの相談窓口を設けています。

  • マンション管理に関する相談:050-3733-8982(10時〜16時30分、12時〜13時は昼休み)

(出典:一般社団法人マンション管理業協会「お問い合わせ」)

「区に相談するほどでもないが、誰かに確認したい」という程度の疑問なら、10番・11番のどちらかが一番手軽です。


練馬区マンション管理計画認定制度(唯一、少額の手数料がかかる制度)

12. マンション管理計画認定制度

練馬区は令和5年4月から、マンション管理計画認定制度を実施しています。

項目 内容
手数料 長期修繕計画が1つの場合4,100円、2つ以上の場合は2つ目以降1件あたり1,800円加算(更新時も同額)
事前確認 (公財)マンション管理センターの「管理計画認定手続支援システム」で事前確認適合証を取得
申請の流れ ①事前相談 ②総会での決議 ③事前確認適合証取得 ④認定申請 ⑤区への書類提出と手数料納付
注意点 オンライン申請をしただけでは申請完了にならず、区への書類提出と手数料納付が必要

(出典:練馬区「練馬区マンション管理計画認定制度」/更新日2026年4月15日)

認定を取ると、住宅金融支援機構の共用部分リフォーム融資の金利引き下げや、長寿命化促進税制の適用要件など、修繕積立金の負担に効いてくる場面があります。国の制度概要は国土交通省「マンション管理計画認定制度」にまとまっています。


お金の話:練馬区で大規模修繕を検討するときの目安

支援制度の話ばかりでは実感が湧かないと思いますので、費用の目安も出しておきます。すべて参考値のレンジです。実際の見積は建物の形状・劣化状況・立地によって大きく変動します。

工種 ㎡単価の目安
外壁塗装 3,500〜4,500円/㎡
外壁打診調査 250〜500円/㎡
屋上・バルコニー防水 5,000〜8,000円/㎡

30戸規模のマンションで大規模修繕を一巡させると、総額のレンジは3,500〜5,000万円程度。このうち仮設足場が15〜25%を占めます。つまり足場だけで500万〜1,200万円という計算になります。

私がロープアクセス工法(産業用ロープで作業員が懸垂し、足場を組まずに外壁作業を行う無足場工法)をお勧めする理由は、ここにあります。10階建て・外周80m・工期3か月というモデルケースでは、足場の仮設費が約168万円に対し、ロープアクセスなら約59万円。差額は約109万円です。

もちろん、どんな建物でもロープアクセスが最適というわけではありません。低層で形状が複雑な建物、外壁の改修範囲が広い建物は、足場を組んだほうが総合コストで有利になります。だからこそ明誠では、通常足場・ロープアクセス・両者を併用するハイブリッド工法の3つから選べる体制をとっています。3工法を自社で提案できる会社は、国内でも多くありません。料金の考え方については明誠の大規模修繕の料金の考え方にまとめています。

株式会社明誠はこれまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセス工法での高所作業について、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業では過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。作業員はIRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の技能訓練を受けています。この安全体制の詳細はロープアクセスドットコムで公開しています。


相談に行くとき、何を持っていけばいいか

50分や30分という枠を最大限に使うために、私がいつもお伝えしている3点セットがあります。

  1. 直近3期分の総会議事録 — 何が決まり、何が先送りされてきたかが一目で分かります
  2. 長期修繕計画書 — 更新が10年近く止まっていても構いません。むしろ止まっていること自体が相談材料です
  3. 管理規約(最新版) — 標準管理規約は令和7年に改正されています。自組合の規約がどの版に準拠しているかで、打てる手が変わります

余裕があれば、これに修繕積立金の残高が分かる直近の決算書と、気になっている箇所のスマホ写真を加えてください。写真は強力です。「北面3階のバルコニー下に白い筋が出ている」と口で説明するより、1枚見せたほうが専門家の判断は10倍速くなります。

法令面では、令和7年5月30日公布の「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律」(令和7年法律第47号)が令和7年11月28日に一部施行されています。旧耐震の団地型マンションで建替えや大規模な改修を視野に入れている管理組合は、この改正を踏まえた助言を受けられるかどうかで、相談の価値が変わってきます。


よくあるご質問

Q. 分譲マンション管理運営無料相談は、理事長でないと申し込めませんか?

A. 対象は「区内に所在する分譲マンションの管理組合役員および区分所有者」ですので、理事でない一区分所有者の立場でもお申し込みいただけます。同席は申請者を含めて3名までです。

Q. アドバイザー制度利用助成は、管理士と建築士のどちらを呼べますか?

A. 「マンション管理アドバイザー制度」(管理運営が中心)と「マンション建替え・改修アドバイザー制度」(建築士など技術系が中心)の2種類から選べます。ただし助成は同一年度内にいずれか1回です。管理組合登録が前提になりますので、まだの場合は早めに登録を済ませておくことをお勧めします。

Q. 耐震アドバイザー派遣・簡易診断助成は、うちのマンションが対象か分かりません。

A. 対象は昭和56年5月31日以前に建築された建築物です。築年数だけでなく建築確認日が基準になりますので、確実な判断は建築課の耐震化推進係にご確認ください。分譲マンション管理組合の代表者が申請できます。

Q. 東京都のマンション管理士無料派遣は、いつまでに申し込めばいいですか?

A. 令和8年度の受付期間は令和8年6月23日から令和9年2月26日までで、防災力向上・認知症対応あわせて160件程度という募集枠が公表されています。年度末ぎりぎりではなく、年内の理事会で決議しておくほうが安心です。

Q. 法律相談は、区民相談所と法テラスのどちらを使えばいいですか?

A. 区民相談所の法律相談は練馬区民であれば所得に関わらず年3回まで無料で使えます。法テラスは収入・資産の要件を満たす方が対象で、同一の問題につき3回まで無料です。まずは要件を問わない区民相談所から検討されるのがよいと思います。

Q. 大規模修繕の工期はどれくらい違いますか?

A. ロープアクセス工法は足場の組立・解体の期間がまるごと不要になるため、足場工法のおよそ60%の工期が目安です。10階建て・外周80mのマンションであれば、足場工法で3か月程度のところ、ロープアクセスなら1.5〜2か月程度になります。ただし改修範囲が広い場合は差が縮まります。

Q. 管理会社を通さずに、明誠に直接相談してもいいのでしょうか?

A. もちろんです。セカンドオピニオンとしてお使いいただくケースが一番多いです。既存の見積書を拝見して、数量と単価の妥当性を一緒に確認するだけでも結構です。お問合せフォームからご連絡ください。


まとめ:今週、練馬区の管理組合が動けること3つ

長くなりましたので、動き出しの3手に絞ります。

1. 住宅課(03-5984-1289)に電話して、分譲マンションアドバイザー制度利用助成の管理組合登録を確認する

登録さえ済ませておけば、都センターのアドバイザー派遣料(16,500〜25,300円)が全額助成の対象になります。登録自体に費用はかかりません。

2. 旧耐震(昭和56年5月以前)の建物かどうかを確認し、該当すれば耐震アドバイザー派遣を検討する

該当すれば10分の10助成で、アドバイザー派遣は同一建物10回まで無料です。合意形成のアドバイスまで含まれるのが練馬区の強みです。

3. 東京都のマンション管理士無料派遣(防災力向上・認知症対応)を理事会の議題に載せる

受付は令和9年2月26日まで。枠は都内全体で160件程度です。防災と認知症対応で各2回、計4回の専門家訪問が無料で受けられる計算になります。


練馬区は、光が丘や関町のような大規模団地型のマンションから、練馬駅・石神井公園駅周辺の中規模マンションまで、建物のタイプが幅広い区です。旧耐震の団地型が数多く残る一方で、駅前再開発で新しい住棟に入れ替わったエリアもある。だからこそ、「よその管理組合がこうしたから」ではなく、自分の建物の状態と築年を自分で把握することが効いてきます。

そして、その第一歩にかかるお金は、練馬区の場合ほとんどゼロにできます。区の相談、都のアドバイザー、耐震アドバイザー、弁護士、消費生活センター。これだけ呼んでも、支出は郵送代と電話代くらいのものです。

私は現場でこう思うことがあります。管理組合が損をするのは、悪い業者に当たったときよりも、相談しないまま時間だけが過ぎたときのほうがずっと多い、と。壁の浮きも、防水の切れも、待っていて良くなることはありません。

明誠のこれまでの明誠の施工事例もあわせてご覧いただければ、実際にどんな建物でどんな判断をしてきたかが伝わると思います。ご相談だけでも遠慮なくお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。


出典・参考資料


本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月23日時点で公表されている東京都練馬区および国土交通省・東京都の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請される前に、必ず東京都練馬区および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。


この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)

株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市

マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年9月23日

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