大和市のマンション漏水・防災対策|境川・引地川の洪水と1時間153mmの内水想定から考える大規模修繕の優先順位【2026年度版】

2026年10月16日 更新

大和市で分譲マンションやビルをお持ちの方に、最初にお伝えしたい数字が2つあります。大和市の雨水出水(内水)の浸水想定は、1時間153mmの雨を前提にしています。これは、市内で浸水被害が出た2013年4月6日の1時間64mmの2倍以上です(出典:大和市 雨水出水浸水想定区域について)。一方、大和市の下水道全体計画の雨水の計画降雨は、5年確率で1時間48mmです(出典:大和市の下水道計画)。大和市のマンションは、この差の分だけ「排水が追いつかない雨」を前提に建物を見ておく必要があります。

私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。拠点は東京都東大和市ですが、神奈川県内のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕も手がけています。名前が似ていますが、東京都の東大和市と、神奈川県の大和市は別の市です。今日は神奈川県大和市のお話です。

私は20年以上、外壁と防水の現場に立ってきました。仮設足場を組む工事も、メインロープとバックアップロープの2本に接続して壁面に降りる無足場の工事も、どちらも自分の手でやってきました。

この記事では、大和市・国土交通省・気象庁・国土地理院の公式情報をもとに、大和市の分譲・賃貸マンション、オーナーさまのビルやホテルが、大規模修繕で先に手を打つべき漏水・防災の場所を整理します。なお、河川については大和市の公式ページに名前の出ている境川と引地川だけを書きます。広域の資料に出てくる他市の川を、大和市の川として並べることはしません。


結論:大和市で優先すべきは「屋上とバルコニーの排水」「境川・引地川沿いと低い土地の設備階」「半地下・地下の出入口」です

先に結論を申し上げます。大和市のマンションでは、次の3つから動くことをお勧めします。

  1. 屋上ドレン・バルコニー排水・サッシまわりのシーリングを点検し、防水の改修時期を記録で確認する:計画を超える雨で最初に出る被害は、排水が追いつかないことによる漏水です
  2. 受変電設備・給水ポンプ・非常用発電機の置き場所を、洪水と内水の浸水想定と照らして確認する:境川・引地川沿いや、周りより低い土地で、地下や1階にある設備は最初に止まります
  3. 地下駐車場・半地下の住戸・エレベーターピットの入口に、水が入る経路がないか確認する:内水の浸水は、川から離れた場所でも起こります

大和市は内陸の市です。市の公式ページでは、水防法に基づく水害ハザードマップの作成状況を「洪水:作成済み」「内水:作成済み」「高潮:区域外」「津波:区域外」としています(出典:大和市防災マップ(ハザードマップ))。つまり、大和市で見るべき水の話は、川の洪水と、街に降った雨の内水の2つです。


大和市のハザードマップを1枚で読む

大和市は、広域避難場所、避難生活施設、洪水・雨水出水浸水想定区域、土砂災害(特別)警戒区域などを載せた「大和市防災マップ」を、令和8年3月に更新しています。紙の地図面は「洪水」と「内水はん濫」の2枚に分かれており、Web版の大和市防災マップでは、住所から拡大して確認できます。

市の公式ページから、種類ごとに整理しました。

種類 大和市での扱い 読むときの注意
洪水 境川・引地川の浸水想定区域を防災マップ(令和8年3月更新)に掲載 両河川とも、平成26年6月1日に特定都市河川に指定
内水(雨水出水) 1時間153mmの想定最大規模降雨で区域を指定・公表 洪水(川の破堤・越水)による氾濫は含まない
土砂災害 土砂災害(特別)警戒区域を防災マップに記載 建物ごとに区域に入るかを地図で確認
高潮・津波 区域外 県の浸水想定区域図に大和市は含まれない

出典は、大和市防災マップ(ハザードマップ)、大和市 雨水出水浸水想定区域について、大和市 特定都市河川浸水被害対策法についてです。

市のページには「過去の浸水履歴は、電話または危機管理課窓口にてお伝えが可能」とあります。建物の場所で過去に浸水があったかどうかは、管理組合として一度問い合わせておく価値があります。

洪水と内水は、地図を分けて見てください

洪水は川があふれる話、内水は市街地に降った雨が下水道管や水路で流しきれずにたまる話です。大和市は、この2つを別々の地図面にしています。

市の内水の想定図には、注意書きがあります。この図は、洪水(川の破堤や越水)による氾濫を考えていません。また、落ち葉や土砂による排水施設の詰まりや、局地的な「くぼ地」での浸水も対象外です。色が付いていない場所も、シミュレーション上の水深が0.1m未満というだけで、雨の降り方や地形によっては深くなることがあります。

つまり、「地図で色が付いていないから大丈夫」とは言い切れない、ということです。私が建物を見るときは、地図と同じくらい、敷地の高低差と排水の流れを見ます。

境川と引地川は「特定都市河川」です

大和市の公式ページによれば、平成26年6月1日に、二級河川の境川と引地川が、特定都市河川浸水被害対策法に基づく特定都市河川に指定されています。市街化が進み、川の改修だけでは浸水被害を防ぎにくい流域が対象になる制度です。

この指定に伴い、特定都市河川流域で、宅地など以外の土地で1,000㎡以上の「雨水浸透阻害行為」(土地を舗装するなど、雨がしみ込みにくくする行為)を行う場合は、許可が必要です。敷地の大きいマンションやビルで、外構の舗装や駐車場の造り替えを大規模修繕と合わせて考えている場合は、該当しないかを事前に市へ確認してください。


大和市の地域特性と漏水事故の関係

大和市は台地の上に市街地が広がる市で、市の東側を境川、中央部を引地川が流れています。市の下水道計画でも、雨水の流れる先を「引地川水系」と「境川水系」に分けています(出典:大和市の下水道計画)。場所によって、水の出方が変わります。

境川・引地川沿いの低い土地:洪水の浸水想定に入る場所では、地下ピット、1階の電気室、エレベーターピットが水に浸かることが主な被害になります。漏水というより、設備の水没です。

駅周辺の市街地:舗装された面が多く、降った雨が一気に側溝と下水道に集まります。市の下水道は、大和駅周辺と南林間地区が、汚水と雨水を一緒に流す合流式で整備されています。大雨のときに、半地下の出入口や駐車場のスロープに水がたまりやすい建物があります。

台地の上の平らな住宅地:川から離れていても、周りよりわずかに低い場所や、道路より敷地が低い建物では、内水の水が敷地に流れ込みます。

現場の話を一つ。以前、ある築30年を超える中規模マンションで、大雨のたびに地下の機械室に水が入るというご相談を受けました。外壁のひび割れを疑っておられましたが、調べると、前面道路からの雨水が駐車場のスロープを流れ下り、スロープ下の排水溝があふれて機械室の扉の下から入っていました。外壁を全部直しても止まらなかったはずです。正直に申し上げます。水の入り口を見誤ると、費用だけがかさみます。


大規模修繕でチェックすべき漏水ポイント7つ

私の経験上、漏水の原因は7か所でほぼ説明がつきます。大規模修繕の見積りを見るときの、確認表としてお使いください。

  1. 屋上防水:ふくれ、ひび割れ、端部の浮きを確認します。防水改修の費用は、工法によりますが5,000〜8,000円/㎡が一つの目安です(物件により大きく変わります)
  2. シーリング:外壁目地とサッシ周囲の硬化・ひび割れ・肉やせを確認します
  3. バルコニー排水:排水溝に落ち葉や砂がたまっていないか、床の勾配が保たれているかを見ます
  4. ドレン(排水口):屋上とバルコニーのドレンが詰まると、水があふれて壁を伝います。市の内水想定も、詰まりによる浸水は対象外です。雨の前の清掃が最も安く効きます
  5. 立上り:防水層の端部の立上りが低いと、計画を超えた雨で水が越えます
  6. サッシまわり:枠と躯体の取り合い、水切りの不具合を見ます
  7. エキスパンションジョイント:建物の動きを逃がす継ぎ目で、劣化すると雨水が内部に入ります

7か所のうち、お金をかけずにできるのは、ドレンの清掃と目視の点検です。私はいつも理事長さまに、雨の降る前の週に屋上へ上がって見ていただくようお伝えしています。それだけでも、建物の状態はかなり分かります。

外壁全体の点検費用の目安として、打診調査は250〜500円/㎡程度、外壁塗装は3,500〜4,500円/㎡程度が一つのレンジです。いずれも足場の有無や建物の形で大きく変わりますので、参考値としてご覧ください。


漏水の緊急対応でロープアクセスが強い理由

漏水が起きたとき、足場を組むところから始めると、手配だけで数週間かかることがあります。その間にも雨は降ります。

ロープアクセス工法は、メインロープとバックアップロープの2本に接続し、2点以上の吊元を確保して壁面に降りる工法です。足場を組む時間がいらないため、調査と応急処置を短い日数で始められます。居住者の方のバルコニーに足場の部材が入ることもなく、生活への影響も小さくなります。

費用面でも差が出ます。10階建て・外周80m・工期3か月の建物を例にすると、足場工法の仮設費が約168万円、ロープアクセスでは約59万円という試算があります。工期も、足場工法の約60%が目安です。あくまで条件を置いた目安で、実際の見積りは建物によって変わります。

安全面についてもお伝えします。株式会社明誠は、これまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセスでの高所作業では、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業で、過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。作業員はIRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の技能訓練を受けており、品質管理はISO9001で行っています。

工法の詳しい技術情報は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムにまとめています。同業の方や、フランチャイズへの加盟にご関心のある方は、ロープアクセスドットコムの技術・訓練情報もご覧ください。明誠の工法は明誠のロープアクセス工法のご紹介とロープアクセスの安全管理の取り組みで、漏水の調査と補修はマンション漏水対応のご案内で説明しています。


防災上の共用部の位置と修繕優先度

漏水のほかに、浸水や地震で止まると困る共用部を、優先度の高い順に並べます。

共用部 確認すること 優先度
受変電設備 設置階が洪水・内水の想定浸水深より上か 高
給水ポンプ ポンプ室が地下・1階にないか 高
非常用発電機 設置階と、燃料の保管場所 高
地下駐車場・スロープ 入口に止水板や排水溝があるか、排水ポンプが動くか 高
エレベーター ピットの浸水対策、停止時の運用 中
避難通路・階段 荷物の放置、手すり・床の劣化 中

電気設備の浸水対策は、国土交通省・経済産業省が建築物における電気設備の浸水対策ガイドラインを公表しています。設備を上の階に移す、止水板を設ける、といった考え方が整理されています。

大雨のときの危険度は、気象庁のキキクル(危険度分布)で確認できます。建物の住所を国土地理院の重ねるハザードマップや、市のWeb版防災マップに入れて、洪水・内水・土砂を重ねて見ておくことをお勧めします。


大和市の分譲マンション耐震診断費補助(令和8年度)

防災の話では、地震への備えも外せません。大和市には、旧耐震基準の分譲マンションの管理組合向けに「マンション耐震診断費補助金制度」があります。市のページは2026年4月1日に更新されています(出典:大和市 マンション耐震診断費補助金制度)。

対象となる建物(すべてに該当するもの)

  • 昭和56年5月31日以前に建築確認を得て、新築工事に着手したもの
  • 区分所有者がいる建物で、住戸数の過半数が区分所有者の居住用であるもの
  • 延べ面積の2分の1を超える部分が共同住宅
  • 平面図・構造図などの建築図面があるもの

補助の内容

区分 補助内容 受付期間
予備診断 予備診断にかかった費用(1棟あたり上限20万円) 当該年度4月頃〜12月末頃
本診断(緊急輸送路を塞ぐおそれのあるもの) 本診断費用の3分の2(1棟あたり上限200万円。1,000㎡未満は1㎡あたり2,000円) 当該年度4月頃〜12月末頃
本診断(その他) 本診断費用の2分の1(1棟あたり上限150万円。1,000㎡未満は1㎡あたり1,500円) 当該年度4月頃〜12月末頃

申請者は管理組合です。予備診断・本診断とも、行う前に市への事前相談が必要で、診断の実施には管理規約や細則に基づく議決が要ります。本診断の申請には、総会の決議書の写しが必要です。受付は12月末頃までとされていますので、令和8年度中の申請を考える管理組合さまは、総会や理事会の日程から逆算して、早めに市の建築指導課(電話046-260-5422)へご相談ください。予算や受付状況は年度途中で変わることがあります。


よくあるご質問

Q. 大和市のハザードマップはどこで見られますか?

A. 市の大和市防災マップ(ハザードマップ)のページに、令和8年3月更新の洪水と内水はん濫の地図面があります。Web版では住所から拡大して確認できます。

Q. 大和市の内水の想定は、どのくらいの雨ですか?

A. 1時間153mmです。市内で浸水被害が出た2013年4月6日の1時間64mmの2倍以上にあたります。

Q. 川から離れた建物でも、浸水の心配はありますか?

A. あります。内水は、下水道管や水路で流しきれない雨が、マンホールや雨水ますからあふれる浸水です。川から離れていても、周りより低い土地や半地下の出入口では起こります。

Q. 屋上防水の改修費用はいくらくらいですか?

A. 工法により、5,000〜8,000円/㎡が一つの目安です。建物の状態で大きく変わります。無料で概算のお見積りを出せますので、お気軽にご相談ください。

Q. 漏水が起きたら、まず何をすればよいですか?

A. 水が入っている場所を写真で記録し、ドレンの詰まりを確認してください。そのうえで原因の調査を依頼します。外壁か、屋上か、地面からの水かを見極めることが、費用を抑える近道です。

Q. ロープアクセスなら、足場より工期は短くなりますか?

A. 足場工法の約60%の工期が目安です。10階建て・外周80mなら、足場3か月に対して1.5〜2か月程度です。建物により変わります。

Q. 大和市のマンション耐震診断の補助は、令和8年度も使えますか?

A. 市のページは2026年4月1日に更新されており、受付期間は当該年度の4月頃から12月末頃までとされています。診断の前に事前相談が必要ですので、早めに市の建築指導課へお問い合わせください。


まとめと今週動くこと3点

大和市では、境川・引地川の洪水と、1時間153mmの雨を前提にした内水を、建物の場所に合わせて見分けることが出発点です。そのうえで、漏水の7か所と、電気設備・地下の出入口を点検します。

今週、動いていただきたいことを3つに絞ります。

  1. 市のWeb版防災マップで、建物の住所が洪水と内水のどちらの想定に入るかを確認し、理事会で共有する:印刷して1枚配るだけで十分です
  2. 受変電設備・給水ポンプ・非常用発電機の設置階を、竣工図で確認する:浸水想定より下にあれば、止水板などの対策の検討を始めてください
  3. 屋上ドレン、バルコニー排水、駐車場スロープの排水溝を、雨の前に清掃する:費用をほとんどかけずにできる、最も効果の高い備えです

総会の前の整理だけでも、お力になれることがあります。管理組合さまは管理組合向けの大規模修繕のご案内、ビルオーナーさまはビルオーナー向けの大規模修繕のご案内をご覧のうえ、お問合せフォームからお気軽にご相談ください。費用の考え方は大規模修繕の料金の考え方に、これまでの実績は明誠の施工事例にあります。

本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月16日時点で公表されている大和市および国土交通省・気象庁・国土地理院の公式情報をもとに執筆しています。補助制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請される前に、必ず大和市の担当窓口へ最新の内容をご確認ください。

次回も、現場で本当に使える話だけをお届けします。

出典・参考資料

この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年10月16日


関連記事(姉妹サイト)

ロープアクセス工法の詳細や実例については、姉妹サイト「ロープアクセスドットコム」の以下の記事もぜひご覧ください。

▶ ロープアクセスドットコムの関連記事を見る


本間社長の著書のご案内

『大規模修繕工事 職人だから言える本当の話 —— 見積書では見えない業界の裏側と、修繕積立金を守る発注術』(Kindle版)を出版しています。20年以上の現場経験から、管理組合・オーナーが修繕積立金を守るための発注術と、業界の内幕を書き下ろしました。

▶ Amazonで見る(Kindle版)

厚木市のマンション漏水・防災対策|洪水・内水・土砂・液状化のハザードマップから考える大規模修繕の優先順位【2026年度版】

2026年10月16日 更新

厚木市で分譲マンションやビルをお持ちの方に、まず確認していただきたい数字があります。市の内水(浸水)ハザードマップは、市内全域に1時間65mmの雨が降った場合を想定しています。一方、市の雨水排水施設の整備水準は1時間51mmです(出典:厚木市 内水ハザードマップ解説)。この差の分は、排水が追いつかない前提で建物を見ておく必要があります。

私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。拠点は東京都東大和市ですが、神奈川県内のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕も手がけています。20年以上、外壁と防水の現場に立ってきました。仮設足場を組む工事も、メインロープとバックアップロープの2本に接続して壁面に降りる無足場の工事も、どちらも自分の手でやってきた人間です。

今日は、厚木市・気象庁・国土交通省の公式情報をもとに、厚木市の分譲・賃貸マンション、そしてオーナーさまのビルやホテルが、大規模修繕で先に手を打つべき漏水・防災の場所を整理します。

なお、この記事では厚木市の公式ページに載っている河川と区域だけを書きます。広域の資料に出てくる他市の川を、厚木市のものとして並べることはしません。


結論:厚木市で優先すべきは「屋上とバルコニーの排水」「河川沿い・低地の設備階」「斜面地の擁壁まわり」です

先に結論を申し上げます。厚木市のマンションでは、次の3つから動くことをお勧めします。

  1. 屋上ドレン・バルコニー排水・サッシまわりのシーリングを点検し、防水の改修時期を記録で確認する:想定を超える雨で最初に出る被害は、排水が追いつかないことによる漏水です
  2. 受変電設備・給水ポンプ・非常用発電機の置き場所を、洪水・内水の浸水想定と照らして確認する:相模川・中津川などの河川沿いで、地下や1階にある設備は最初に止まります
  3. 荻野地域など土砂災害警戒区域に近い建物は、擁壁・排水溝・外構の排水を点検する:斜面から水が入る建物は、外壁の防水だけを直しても止まりません

厚木市は内陸の市ですので、市の公開しているハザードマップは洪水・内水・土砂災害・オールハザード(地震・液状化を含む)の4種です(出典:厚木市 ハザードマップ)。津波・高潮のマップは掲載されていません。


厚木市のハザードマップを1枚で読む

市のページと防災都市づくり計画の概要版から、種類ごとの該当を整理しました。

種類 厚木市での扱い 読むときの注意
洪水 相模川、中津川、小鮎川、荻野川が対象。玉川、恩曽川には家屋倒壊等氾濫想定区域あり 想定最大規模で最大5.0m以上の浸水深の箇所あり
内水 1時間65mmの雨が前提 平成25年4月6日に市内で観測された時間最大雨量
土砂災害 市内に広く分布。荻野地域の住宅地の広い範囲が土石流の警戒区域 区域の指定は令和3年5月時点のものを表示
地震・液状化 都心南部直下地震で震度5強〜6強。市域中央部から南部で液状化の危険 厚木市地震被害想定調査(平成31年3月)に基づく
津波・高潮 市のマップ一覧に掲載なし 内陸のため

出典は、厚木市 防災都市づくり計画 概要版、厚木市 洪水浸水ハザードマップ、厚木市 オールハザードマップです。

ここで一つ、注意点をお伝えします。神奈川県は2025年10月31日に、県の洪水浸水想定区域図のうち「家屋倒壊等氾濫想定区域(氾濫流)」に誤りがあったと公表しました。厚木市は、県の修正を受けてマップを更新する予定としています。浸水の深さを見る分には使えますが、家屋倒壊の区域は修正後の版で確認してください。

洪水と内水は、見る場所が違います

洪水は川があふれる話、内水は市街地に降った雨が排水しきれずにたまる話です。川から離れた建物でも、内水は起こります。

市の洪水浸水想定では、想定最大規模で浸水継続時間が1〜3日、中津川沿いと相模川沿いの一部では最長で3日以上となる箇所があります。受変電設備が水に浸かった場合、復旧までに数日かかる前提で考えたほうがよい、ということです。

実際の避難の実績

令和元年(2019年)10月12日の台風第19号では、市は相模川沿いと、中津川・小鮎川・荻野川・玉川沿いに警戒レベル4の避難指示を出しました。47か所の指定緊急避難場所に2,424世帯、5,709人が避難しています(出典:厚木市 水害被害の資料)。この資料には、市内の浸水棟数の実績は載っていませんので、被害の件数は私の方では書きません。


地域特性と漏水事故の関係

厚木市は、相模川と中津川の低地、本厚木駅周辺の市街地、そして西側の丘陵・山地に分かれます。場所によって、漏水の出方が変わります。

河川沿いの低地:浸水すると、地下ピット、1階の電気室、エレベーターのピットが水に浸かります。漏水というより、設備の水没が主な被害です。

本厚木駅周辺の市街地:舗装面が多く、雨水が一気に側溝へ流れます。内水の想定と合わせて、駐車場や半地下の出入口に水がたまりやすい建物があります。市の液状化の想定でも、市域中央部から南部の国道129号沿道の一部などが挙げられています。

荻野地域などの斜面地:土石流の警戒区域に住宅地の広い範囲が入っています。擁壁のひび割れ、水抜き穴の詰まり、外構の排水溝の勾配不良が、建物側の漏水の原因になります。

現場の話を一つ。私が以前に見たある築30年超の中規模マンションでは、雨のたびに1階の廊下天井から水が落ちていました。調べると、原因は外壁ではなく、隣の斜面から流れ込んだ水が外構の排水溝からあふれて、立上りの下端から入っていたものでした。外壁のシーリングを全部打ち替えても止まらなかったと思います。正直に申し上げます。水の入り口を見誤ると、費用だけがかさみます。私が現場で一番悔しい思いをするのは、こういうときです。


大規模修繕でチェックすべき漏水ポイント7つ

私の経験上、漏水の原因は7か所でほぼ説明がつきます。大規模修繕の見積りを見るときの、確認表としてお使いください。

  1. 屋上防水:ふくれ、ひび割れ、端部の浮きを確認します。防水改修の費用は、工法によりますが5,000〜8,000円/㎡が一つの目安です(物件により大きく変わります)
  2. シーリング:外壁目地とサッシ周囲の硬化・ひび割れ・肉やせを確認します
  3. バルコニー排水:排水溝に落ち葉や砂がたまっていないか、床の勾配が保たれているかを見ます
  4. ドレン(排水口):屋上とバルコニーのドレンが詰まると、水があふれて壁を伝います。雨の前の清掃が最も安く効きます
  5. 立上り:防水層の端部の立上りが低いと、想定を超えた雨で水が越えます
  6. サッシまわり:枠と躯体の取り合い、水切りの不具合を見ます
  7. エキスパンションジョイント:建物の動きを逃がす継ぎ目で、劣化すると雨水が内部に入ります

7か所のうち、お金をかけずにできるのは、ドレンの清掃と、目視の点検です。私はいつも理事長さまに、雨の降る前の週に屋上へ上がって見ていただくようお伝えしています。それだけでも、状況はかなり分かります。


漏水緊急対応でロープアクセスが強い理由

漏水が起きたとき、足場を組むところから始めると、手配だけで数週間かかります。その間に雨は何度も降ります。

ロープアクセス工法は、メインロープとバックアップロープの2本に接続し、2点以上の吊元を確保して壁面に降りる工法です。足場を組む時間がないため、調査と応急処置を短い日数で始められます。居住者の方のバルコニーに足場の部材が通ることもなく、生活への影響も小さくなります。

費用面でも差が出ます。10階建て・外周80m・工期3か月の建物を例にすると、足場工法の仮設費が約168万円、ロープアクセスでは約59万円という試算があります。あくまで条件を置いた目安で、実際の見積りは建物により変わります。

安全面について。株式会社明誠は、これまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセスでの高所作業では、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業で、過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。作業員はIRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の技能訓練を受けており、品質管理はISO9001で行っています。

詳しい技術情報は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムに、工法の考え方と訓練の内容をまとめています。同業の方や、フランチャイズにご関心のある方はこちらの姉妹サイトもご覧ください。明誠の工法は、ロープアクセス工法のご紹介と、安全管理の取り組みで説明しています。漏水の調査と補修は漏水対応のご案内をご覧ください。


防災上の共用部の位置と修繕優先度

漏水以外に、浸水や地震で止まると困る共用部を、優先度の高い順に並べます。

共用部 確認すること 優先度
受変電設備 設置階が洪水・内水の想定浸水深より上か 高
給水ポンプ ポンプ室が地下・1階にないか 高
非常用発電機 設置階と、燃料の保管場所 高
エレベーター ピットの浸水対策、停止時の運用 中
避難通路・階段 荷物の放置、手すり・床の劣化 中

電気設備の浸水対策は、国土交通省・経済産業省が建築物における電気設備の浸水対策ガイドラインを公表しています。設備を上階に移す、止水板を設ける、といった考え方が整理されています。

大雨のときの危険度は、気象庁のキキクル(危険度分布)で確認できます。建物の住所を、国土地理院の重ねるハザードマップに入れて、洪水・内水・土砂・液状化を重ねて見ておくことをお勧めします。


厚木市の防災・耐震の制度

厚木市のマンション施策は、令和4年度から令和8年度までの5年間の計画に沿っています。令和2年度の実態調査では、市内のマンションは308棟、13,924戸で、築30年以上が57.5%(177棟)、旧耐震基準は36.4%(112棟)です(出典:厚木市 マンション関連施策の概要)。

制度としては、次のものがあります。

  • マンション耐震アドバイザー派遣:建築士を派遣し、耐震化を検討するきっかけをつくります
  • 分譲マンションへの予備診断補助:昭和56年5月31日以前に着工したマンションの管理組合が対象で、補助額は予備診断費用の2分の1、上限15万円です。予算の範囲内で行われます(出典:厚木市 分譲マンションへの予備診断補助)
  • 管理計画認定制度:国が定める基準を満たすマンションを、市が認定します

予備診断補助のページの最終更新は2021年7月で、令和8年度の受付状況や予算残額は、このページからは確認できませんでした。申請を考える場合は、市の建築指導課に直接お問い合わせください。


よくあるご質問

Q. 厚木市のマンションで、ハザードマップはどこで見られますか?

A. 厚木市のハザードマップのページに、洪水・内水・土砂災害・オールハザードの4種が掲載されています。

Q. 内水とは何ですか?

A. 市街地に降った雨が、排水施設で処理しきれずにたまる浸水です。川から離れた場所でも起こります。厚木市の内水マップは、1時間65mmの雨を想定しています。

Q. 屋上防水の改修費用はいくらくらいですか?

A. 工法により、5,000〜8,000円/㎡が一つの目安です。建物の状態で大きく変わります。無料で概算お見積りを出せますので、お気軽にお問い合わせください。

Q. 漏水が起きたら、まず何をすればよいですか?

A. 水が入っている場所を写真で記録し、ドレンの詰まりを確認してください。そのうえで、原因の調査を依頼します。外壁か、屋上か、斜面からの水かを見極めることが、費用を抑える近道です。

Q. ロープアクセスなら、足場より工期は短くなりますか?

A. 足場工法の約60%の工期が目安です。10階建て・外周80mなら、足場3か月に対し1.5〜2か月程度です。建物により変わります。

Q. 受変電設備を移すのは、大規模修繕と一緒にできますか?

A. 設備の移設は電気工事の範囲で、規模も大きくなります。まず、浸水想定と設置階を確認し、止水板などの現実的な対策から検討するのが一般的です。

Q. 耐震診断の補助は、令和8年度も使えますか?

A. 厚木市のページからは令和8年度の受付状況が確認できませんでした。市の建築指導課にご確認ください。


まとめと今週動くこと3点

厚木市では、洪水と内水、土砂、液状化を、建物の場所に合わせて見分けることが出発点です。そのうえで、漏水の7か所と、電気設備の置き場所を点検します。

今週、動いていただきたいことを3つに絞ります。

  1. 市の公式ページで、建物の住所が洪水・内水・土砂のどの想定に入るかを確認し、理事会で共有する:コピーを1枚配るだけで十分です
  2. 受変電設備・給水ポンプ・非常用発電機の設置階を、竣工図で確認する:浸水想定より下にあれば、対策の検討を始めてください
  3. 屋上ドレンとバルコニー排水を、雨の前に清掃する:費用をほとんどかけずにできる、最も効果の高い備えです

総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。管理組合さまは管理組合向けのご案内、ビルオーナーさまはビルオーナー向けのご案内をご覧のうえ、お問合せフォームからお気軽にご相談ください。費用の考え方は明誠の料金の考え方に、これまでの実績は明誠の施工事例にあります。

本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月16日時点で公表されている厚木市および国土交通省・気象庁の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請される前に、必ず厚木市および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。

次回も、現場で本当に使える話だけをお届けします。

出典・参考資料

この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年10月16日


関連記事(姉妹サイト)

ロープアクセス工法の詳細や実例については、姉妹サイト「ロープアクセスドットコム」の以下の記事もぜひご覧ください。

▶ ロープアクセスドットコムの関連記事を見る


本間社長の著書のご案内

『大規模修繕工事 職人だから言える本当の話 —— 見積書では見えない業界の裏側と、修繕積立金を守る発注術』(Kindle版)を出版しています。20年以上の現場経験から、管理組合・オーナーが修繕積立金を守るための発注術と、業界の内幕を書き下ろしました。

▶ Amazonで見る(Kindle版)

藤沢市の管理組合が使える無料相談・支援制度12選|マンション管理士の市民相談・県アドバイザー派遣・耐震アドバイザーから国の電話相談まで【令和8年度版】

2026年10月16日 更新

藤沢市のマンションの理事長さまから、こんなご相談をいただくことがあります。

「大規模修繕の時期が近づいてきたが、誰に何を聞けばいいのか分からない。専門家への相談料を修繕積立金から出すのは気が引ける」

藤沢市の管理組合には、費用をかけずに動ける入口があります。市役所の市民相談に、マンション管理士が対応する「分譲マンション管理相談」があり、市の案内では費用は無料、毎月第4金曜日の13時から16時に開かれています(出典:藤沢市「不動産・空家相談・分譲マンション管理相談」、2025年11月8日更新)。

申し遅れました。私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。東京都東大和市を拠点に、20年近くマンション・ビル・ホテルの外壁の仕事をしてきました。この記事では、令和8年10月16日時点で藤沢市の管理組合が使える窓口を、費用の根拠とあわせて整理します。

最初に、正直にお伝えしておきたいことがあります。藤沢市には市独自の「マンション管理アドバイザー派遣」という手厚い制度がありますが、市のページには「令和8年度の申請受付は終了しました」と書かれていました。ですから令和8年度は、別の入口を組み合わせる必要があります。


結論:藤沢市で使える窓口は12、いま無料で動けるのは8

公式ページに「無料」と書かれているものを中心に、一覧にしました。補助金は「無料」ではないため、別に分けています。

# 制度・窓口 対応する人 費用 申込先
1 市民相談「分譲マンション管理相談」 マンション管理士(30分) 無料 市民相談情報課 0466-50-3568
2 市民相談「法律相談」 弁護士(30分) 無料 同上
3 市民相談「不動産・空家相談」 宅地建物取引士(30分) 無料 同上
4 市民相談の登記・税務・暮らしの法務相談 司法書士・税理士・行政書士(30分) 無料(2023年7月版の案内に記載) 同上
5 藤沢市マンション管理アドバイザー派遣 マンション管理士(1回3時間以内、年度内5回まで) 無料。ただし令和8年度は申請受付終了 住まい暮らし政策課 0466-50-3541
6 神奈川県マンションアドバイザー派遣 マンション管理士・建築士等 無料(年度内2回まで) かながわマンション管理組合ネットワーク 045-620-6300
7 藤沢市マンション耐震アドバイザー派遣 専門家(1回2時間以内) 無料 住まい暮らし政策課 0466-50-3541
8 藤沢市消費生活センター 消費生活相談員 ページに費用の記載なし 0466-50-3573
9 管理計画認定制度 相談ダイヤル(日管連) マンション管理士 無料(1回30分程度) 03-5801-0858
10 マンション管理センター 電話相談 専門相談員 ページに費用の記載なし 03-3222-1517/1519
11 法テラス 無料法律相談 弁護士等 無料(収入・資産の基準あり) 0570-078374
12 管理組合セミナー・県の交流会 専門家 令和7年度の市のセミナーは無料 現在、予定の掲載なし

いま実際に動ける「無料」は、1・2・3・4・6・7・9・11の8つです。5は無料ですが令和8年度は受付が終わっています。12は令和7年度分がすべて終了しています。8と10は費用の記載を確認できなかったので、電話で「相談料はかかりますか」とひと言確認してください。

このほか、費用の一部を補助してもらう制度が3つあります(耐震診断の補助、管理計画認定の支援補助金、長期修繕計画の作成支援補助金)。これは無料ではありませんので、後半で別にまとめます。


市民相談の「分譲マンション管理相談」:マンション管理士に30分

私が藤沢市の管理組合に最初にお勧めするのは、この相談です。市の案内を整理すると、次のとおりです。

項目 内容
対応する人 マンション管理士
日程 毎月第4金曜日 13時〜16時(30分×6コマ)
会場 本庁舎4階 市民相談室(市民相談情報課)
費用 無料
対象 市内在住の方
予約 予約制。市民相談室へ電話(0466-50-3568)か窓口で申込み
注意 電話では相談を受けられない。電話は予約と空き状況の確認用。当日5分前までに来所

予約の問合せフォームは使えず、電話か窓口に限られます。空きがあれば当日の相談も可能と案内されていますので、直前でも電話で聞いてみる価値があります(出典:前掲、藤沢市「不動産・空家相談・分譲マンション管理相談」)。

これからの日付

「第4金曜」のルールどおりなら、次回は10月23日(金)、その次は11月27日(金)です。今日10月16日(金)の1週間後にあたります。ただし、相談日が祝日などに当たる場合は日程が変わると案内されています。月ごとの正確な日程は、市の「相談スケジュール」ページにある「10月の市民相談のお知らせ」「11月の市民相談のお知らせ」のPDFで決まります(出典:藤沢市「相談スケジュール」、2026年10月1日更新)。私はPDFの中身までは確認できていませんので、電話で日付を聞き直してください。

管理組合として使えるかは、書かれていません

対象は「市内在住の方」です。管理組合の理事長が、組合の案件として相談できるかどうかは、ページに書かれていません。また予約がいつから取れるかも、記載がありません。予約の電話で、この2点をお聞きください。

使いどきは、見積依頼の前

現場にいる私の立場から一つお伝えします。この相談の価値は、施工会社の営業とは別の第三者の意見が聞けることです。見積書が出てから慌てて相談するより、見積依頼の前に相談するほうが、仕様のぶれが小さくなります。私が現場でよく見てきた遠回りは、見積りを取ったあとで「そもそも今回の工事範囲は適切なのか」と迷い、総会の日程がずれ込むケースです。

大規模修繕の費用感の目安も、先に頭に入れておくと相談の質が上がります。あくまで目安ですが、30戸規模のマンションで総工費は3,500万円〜5,000万円、そのうち仮設足場が15〜25%という幅が一般的です。外壁塗装は1㎡あたり3,500円〜4,500円、打診調査は1㎡あたり250円〜500円が参考値です。実際の金額は建物の状態や仕様で大きく変わります。


市民相談:法律・不動産・登記・税務

管理費の滞納、規約の読み方、理事会の議事の進め方、組合名義の不動産の扱い。工事の前段階で出てくるこうした疑問は、専門家の相談で整理できることが多いと、私は見ています。

相談 対応する人 日程 会場・費用
法律相談 弁護士 毎週火曜・木曜。午前9時〜11時30分(30分×5コマ)、午後1時〜3時30分(30分×5コマ)。祝日・年末年始は休み 本庁舎4階 市民相談室。無料。藤沢市在住の方
不動産・空家相談 宅地建物取引士 第1金曜日と第4月曜日 13時〜16時(30分×6コマ) 同上。無料。予約制

出典:藤沢市「法律相談」(2026年1月27日更新)、前掲「不動産・空家相談・分譲マンション管理相談」。

法律相談の使い方

法律相談は予約のときに専任の相談員が内容を聞き取り、日時を決める方式です。同じ内容での複数回の相談や、同日の複数回予約はできません。次に取れそうな日は、ルールどおりなら10月20日(火)、22日(木)です。予約の電話は、法律・不動産・マンション管理のいずれも同じ0466-50-3568です。

不動産・空家相談の日付

ルールどおりなら、次回は10月26日(月)、11月6日(金)です。11月の第4月曜は23日(月)で、祝日(勤労感謝の日)に当たりますので、日程が変わる可能性があります。賃貸に出している専有部分が多い、空き住戸が増えているといった悩みは、この枠が入口になります。

登記・税務・暮らしの法務相談

藤沢市の市民相談には、司法書士の登記相談、税理士の税務相談、行政書士の暮らしの法務相談もあります。市が公開している空き家の相談窓口の案内(2023年7月版)には、これらが無料の市民相談として並んでいます(出典:藤沢市「空き家の相談窓口一覧」、2023年7月)。資料が古いため、日程と対象は電話でご確認ください。

建築士の相談は、市民相談にはありません

工事そのものについて建築士に相談したい場合、市民相談のページには建築士の枠が見当たりません。後述の県のアドバイザー派遣や、耐震アドバイザーが代わりの入口になります。


藤沢市マンション管理アドバイザー派遣:制度は手厚いが、令和8年度は受付終了

藤沢市には、市が費用を負担してマンション管理士を派遣する制度があります。実施要綱(令和8年4月1日施行)の内容は、次のとおりです(出典:藤沢市マンション管理アドバイザー派遣事業実施要綱)。

項目 内容
対象 市内のマンションの管理組合、管理組合のない市内マンションの区分所有者(2人以上の連名)
回数・時間 1年度に最大5回、1回あたり3時間以内、原則として市内
費用 アドバイザーの派遣費用は市が負担。会場費などは申請者が負担
助言できること 管理規約、管理委託契約、長期修繕計画や大規模修繕、修繕積立金、管理計画認定の事前準備、建替えの事前検討など
申請先 住まい暮らし政策課 0466-50-3541

ところが、市の「マンション管理に関する支援制度」のページ(2026年9月2日更新)には、「令和8年度の申請受付は終了しました」と書かれています(出典:藤沢市「マンション管理に関する支援制度」)。

ですから、令和8年度に市の派遣を使うことは、今のところできません。令和9年度の受付がいつ始まるかは、ページに書かれていません。住まい暮らし政策課に電話して、来年度の案内の時期を聞いておくと、総会のスケジュールが組みやすくなります。

なお、藤沢市は2024年5月30日に、一般社団法人神奈川県マンション管理士会と、マンションの管理適正化に向けた協定を結んでいます(出典:藤沢市「マンション管理士会との協定締結について」)。専門家の派遣は、市が力を入れている分野だと、私は受け止めています。


神奈川県のマンションアドバイザー派遣:藤沢市は対象、年2回まで無料

市の派遣が受付終了のいま、現実的な入口は県の事業です。

項目 内容
対象 神奈川県内の分譲マンションの管理組合。横浜市・川崎市・相模原市・横須賀市を除く
内容 マンション管理士や建築士などのアドバイザーを派遣して助言。1回につき1〜2名、3時間以内。夜間・休日にも対応
費用 無料
回数 年度内2回まで(申込者が多い場合は2回目を申請できないことがある)
令和8年度の受付期間 令和8年6月26日〜令和9年2月26日(申込者が多い場合は早期に終了)
申込先 NPO法人かながわマンション管理組合ネットワーク 電話 045-620-6300(10時〜16時、土日祝休み)、メール info@jinkan-net.com

藤沢市は、除外される4市に入っていません。申請の前に、まず事務局へ事前相談を行い、申請書はメールまたはFAXで送る流れです(出典:神奈川県「マンションアドバイザー派遣事業」、2026年6月26日更新)。

市民相談との使い分け

  • 市民相談の分譲マンション管理相談:市役所に出向く形。30分、1コマで区切られる。
  • 県のアドバイザー派遣:管理組合の場所に専門家が来る形。理事会や総会の場に、複数の役員が同席できる。

大規模修繕の方針を固める段階では、後者のほうが、役員みんなが同じ話を聞ける点で役に立つと、私は考えています。受付は今日の16時までですので、電話でしたら今日中に空き状況を聞けます。


旧耐震マンション:耐震アドバイザーは無料、診断は補助

昭和56年(1981年)5月31日以前に建築確認を受けたマンションなら、市の耐震支援が使えます。

藤沢市マンション耐震アドバイザー派遣(無料)

項目 内容
対象 昭和56年5月31日以前に建築確認を得て着工したマンション。令和6年度から、2人以上の区分所有者がいるマンションはすべて補助対象
回数・時間 1管理組合につき2回または2人まで。1回2時間以内、市内で実施
費用 無料(ページに、その他の費用の記載はない)
申込先 住まい暮らし政策課 耐震・マンション担当 0466-50-3541

出典:藤沢市「マンション耐震アドバイザー派遣事業について」(2026年4月17日更新)。

分譲マンション耐震診断補助金(無料ではありません)

項目 内容
補助額(予備診断) 費用の2分の1、1棟あたり15万円まで
補助額(本診断) 費用の2分の1などの範囲で、1棟あたり150万円まで。面積に応じた限度額あり(1,000㎡まで1㎡あたり4,580円、1,000〜2,000㎡は2,350円、2,000㎡超は1,570円)
主な条件 昭和56年5月31日以前の建築確認、地上2階建以上の鉄筋コンクリート造などの建物、住宅部分が延べ面積の3分の2以上、おおむね6戸以上など
手続き 相談と事前登録を済ませた管理組合のみ申請できる

出典:藤沢市「分譲マンション耐震診断補助金交付制度について」(2026年4月17日更新)。本診断の限度額が、2分の1の上限とどう組み合わさるかは、ページの書き方からは読み取り切れませんでした。令和8年度の受付期間と受付状況も、ページに記載がありません。住まい暮らし政策課にご確認ください。


管理計画認定と、市の補助金2つ

管理計画認定制度は、国の基準を満たすマンションの管理計画を、市が認定する仕組みです。藤沢市のページ(2026年10月5日更新)には、次のように書かれています(出典:藤沢市「マンション管理計画認定制度」)。

  • 藤沢市への申請手数料は不要
  • 申請には、(公財)マンション管理センターの「管理計画認定手続支援サービス」を使う案内。このサービスには、システム利用料がかかる
  • 長寿命化促進税制(固定資産税の減額)を検討する場合は、住まい暮らし政策課への事前相談が案内されている

国のページでは、認定を受けるメリットとして、フラット35の金利引下げ、マンションすまい・る債の利率上乗せ、長寿命化促進税制による固定資産税の減額などが示されています。令和9年4月1日には、分譲事業者が分譲時に管理計画を作成して引き継ぐ仕組みの拡充が予定されています(出典:国土交通省「マンション管理計画認定制度」)。

市の補助金(無料ではなく、費用の一部の補助)

補助金 内容
マンション管理計画認定支援補助金 認定申請にかかる経費の2分の1、上限5万5千円
マンション長期修繕計画作成等支援補助金 長期修繕計画の作成や見直しの費用の2分の1、上限20万円。建物調査の費用も対象にできる

出典:前掲、藤沢市「マンション管理に関する支援制度」。注意点が1つあります。補助金を使うなら、委託契約や事業着手は交付決定を受けてから行ってください。決定前に進めると補助の対象外になります。令和8年度の受付状況は、ページに記載がありませんでしたので、申請前に電話で確認してください。


市と国の相談窓口:消費生活センター・セミナー・電話相談

藤沢市消費生活センター

電話0466-50-3573(直通)。契約トラブルなどの消費生活相談と、トラブルを防ぐ講座を行っています。ただし受付時間と、管理組合としての相談の可否は、ページに記載がありません(出典:藤沢市「市民相談情報課」、2024年7月2日更新)。

管理組合セミナーと交流会

藤沢市の「管理組合・区分所有者の皆さまへ(お知らせ)」のページ(2026年10月7日更新)を確認すると、令和7年度は、次のものが開かれていました(出典:藤沢市「管理組合・区分所有者の皆さまへ」)。

  • 市の分譲マンション管理組合セミナー:2026年2月14日(土)14時〜16時、市役所本庁舎5階、無料、定員50名(先着)
  • 県の「マンション管理・再生セミナー」:2026年1月25日(厚木)、2月8日(小田原)
  • 県の「マンション管理組合交流会」:2026年1月10日(相模原)、1月17日(茅ヶ崎)

いずれも終了しており、今後の開催予定は掲載されていません。令和7年度の市のセミナーは、年明けの1月下旬から申込みが始まり、2月に開かれました。次回の案内が出たら、定員50名の先着ですので、早めの申込みが安心です。同じページには、2025年10月17日にマンション標準管理規約が改正されたことも載っています。

日管連の電話相談とマンション管理センター

窓口 内容 受付 費用
管理計画認定制度 相談ダイヤル(日管連)03-5801-0858 認定制度や改正法の質問に、マンション管理士が回答 月〜土 10:00〜17:00(祝日・年末年始を除く) 無料。回数の制限はなく、1回30分程度まで
マンション管理センター 電話相談 03-3222-1517(管理組合運営・管理規約等)/03-3222-1519(建物・設備の維持管理) 管理組合からの相談。賃貸マンションは対象外 月〜金 9:30〜17:00(祝日・年末年始を除く) ページに記載なし

出典:日本マンション管理士会連合会「管理計画認定制度 相談ダイヤル」、(公財)マンション管理センター「電話相談」。

法テラス

法テラス・サポートダイヤル(0570-078374)は、平日9時〜21時、土曜9時〜17時です。無料法律相談は、同一の問題について3回まで、1回30分です。収入と資産の基準があり、たとえば1人世帯で「その他の地域」の場合、手取りの平均月収が18万2,000円以下、現金・預貯金が180万円以下といった基準が示されています(出典:法テラス「無料法律相談のご利用の流れ」)。管理組合という団体として使えるかどうかは、窓口での確認が必要です。


何を用意していけばいいか:3点セット

どの窓口でも、手ぶらで行くと「それは資料を見ないと分かりません」と言われがちです。私は理事長さまに、次の3点を揃えておくようお伝えしています。

  1. 総会議事録(直近2年分):修繕積立金の状況や、大規模修繕についての決議の経過が分かります。
  2. 長期修繕計画:次回の大規模修繕の時期と、見込まれる総額が分かります。
  3. 管理規約:管理費の滞納、専有部分のルール、理事会の権限を調べるときに使います。

さらに余裕があれば、前回の大規模修繕の見積書や竣工図、直近の劣化診断の報告書があると、相談が一段と具体的になります。旧耐震のマンションなら、建築図面があると耐震アドバイザーの話が進みます。30分のコマで聞ける量は限られますので、聞きたいことを3つ以内に絞っておくと、短い時間でも中身が濃くなります。


藤沢市の管理組合が、無料相談のあとに考えたい工事の選び方

相談で論点が整理できたら、次に工事の進め方を考える段階に入ります。明誠は、通常の足場工法、無足場のロープアクセス工法、両方を組み合わせるハイブリッド工法の3つから、建物に合った進め方をご提案しています。

藤沢市は、江の島や片瀬、辻堂のように海に近い地域があります。潮風を受ける外壁は、内陸とは劣化の出方が異なることがあると、私は現場で感じてきました。駅周辺の密集した敷地では、足場の搬入や設置に手間がかかる例もあります。どの工法が合うかは、建物ごとに現地を見て判断します。

足場工法とロープアクセス工法の費用差は、規模によって変わります。10階建て・外周80m・工期3か月の例では、足場費が168万円、ロープアクセスが59万円と、109万円の差が出た試算があります。あくまで目安で、実際の見積りは物件ごとに異なります。

ロープアクセス工法は、メインロープとバックアップロープの2本に接続して作業し、2点以上の吊元を確保する、国際基準(IRATA)の考え方を採り入れた工法です。明誠はこれまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけ、ロープアクセスでの高所作業について、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業では過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。

明誠のこれまでの施工事例もご覧いただけます。


よくあるご質問

Q. 藤沢市の管理組合が無料で使える専門家の相談はありますか?

A. あります。市民相談に、マンション管理士が対応する「分譲マンション管理相談」があり、毎月第4金曜日に市役所で開かれています。費用は無料で、予約制です(0466-50-3568)。弁護士の法律相談(毎週火曜・木曜)も無料です。

Q. 藤沢市のマンション管理アドバイザー派遣は、今から申し込めますか?

A. 市のページには「令和8年度の申請受付は終了しました」と書かれています。令和9年度の受付時期は記載がありません。令和8年度のうちに専門家に来てもらいたい場合は、神奈川県の派遣事業(無料、年2回まで、令和9年2月26日まで受付)が候補になります。

Q. 神奈川県のアドバイザー派遣は、藤沢市でも使えますか?

A. 使えます。県の事業は、横浜市・川崎市・相模原市・横須賀市が対象外で、藤沢市は含まれます。事前相談は、かながわマンション管理組合ネットワーク(045-620-6300、10時〜16時、土日祝休み)で受け付けています。申込者が多いと早く終わることがあります。

Q. 市民相談は、管理組合として使えますか?

A. 公式ページには書かれていません。対象は「市内在住の方」と案内されています。予約の電話で、管理組合の理事として相談できるかを確認してください。

Q. 旧耐震のマンションの耐震診断に補助はありますか?

A. あります。予備診断は費用の2分の1で1棟15万円まで、本診断は1棟150万円までの範囲で補助されます。ただし相談と事前登録をした管理組合が対象です。令和8年度の受付状況は、住まい暮らし政策課(0466-50-3541)でご確認ください。

Q. 管理計画認定は、藤沢市にお金を払って申請するのですか?

A. 藤沢市への申請手数料は不要と案内されています。ただし、マンション管理センターの手続支援サービスを使う場合は、システム利用料がかかります。

Q. 無料相談のあとに、工事を頼む義務はありますか?

A. ありません。市や県の相談は、特定の施工会社を紹介するものではありません。工事の発注先は、管理組合の総会で決めるものです。

Q. 大規模修繕の費用は、いくらくらいを見ておけばいいですか?

A. 30戸規模で総工費は3,500万円〜5,000万円、うち仮設足場が15〜25%という幅が一般的です。外壁塗装は1㎡あたり3,500円〜4,500円が参考値です。建物の状態で大きく変わるため、相談のうえで概算見積りをお取りください。

Q. 明誠に概算見積りを頼むと費用はかかりますか?

A. 概算お見積りは無料でご提示しています。お気軽にお問合せフォームからご連絡ください。


まとめ+今週動くこと3点

藤沢市の管理組合が使える入口は、市、県、国と、12あります。いま無料で動けるのは8つです。まず押さえたいのは、毎月第4金曜のマンション管理相談と、県のアドバイザー派遣です。市の派遣が令和8年度は受付終了という点だけは、頭に入れておいてください。

動くことを、3点に絞ります。

  1. 今日の16時までに、県のアドバイザー派遣(045-620-6300)へ電話して空き状況を聞く。 令和9年2月26日までの受付ですが、申込者が多いと早く終わります。土日祝は休みですので、今日が金曜の最後の機会です。
  2. 来週、市民相談(0466-50-3568)へ電話し、10月23日(金)か11月27日(金)のマンション管理相談の空きを聞く。 あわせて、管理組合の理事として相談できるかも確認してください。法律相談は火曜・木曜です。
  3. 総会議事録・長期修繕計画・管理規約の3点を、理事会の共有フォルダに集める。 相談の質は、この3点で決まります。旧耐震のマンションなら、建築図面も加えてください。

私は、工事の話に入る前の「聞く力」が、修繕積立金を守ると考えています。相談だけでも遠慮なくお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。


出典・参考資料


この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)

株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市

マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。IRATA水準の技能訓練を受けた作業員、ISO9001品質マネジメントシステム、日本ロープ高所作業協会の事務局を担当。

最終更新:2026年10月16日


関連記事(姉妹サイト)

ロープアクセス工法の詳細や実例については、姉妹サイト「ロープアクセスドットコム」の以下の記事もぜひご覧ください。

▶ ロープアクセスドットコムの関連記事を見る


本間社長の著書のご案内

『大規模修繕工事 職人だから言える本当の話 —— 見積書では見えない業界の裏側と、修繕積立金を守る発注術』(Kindle版)を出版しています。20年以上の現場経験から、管理組合・オーナーが修繕積立金を守るための発注術と、業界の内幕を書き下ろしました。

▶ Amazonで見る(Kindle版)

本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月16日時点で公表されている藤沢市および国土交通省・神奈川県の公式情報をもとに執筆しています。藤沢市の耐震診断補助金・各種補助金は令和8年度の受付状況がページに記載されておらず、市民相談の日程PDFの中身も確認できていないため、本文中にその旨を記載しました。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請される前に、藤沢市および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。

茅ヶ崎市の管理組合が使える無料相談・支援窓口15選|マンション管理相談・県アドバイザー派遣・11月22日の交流会から国の電話相談まで【令和8年度版】

2026年10月16日 更新

茅ヶ崎市のマンションの理事長さまから、こんなご相談をいただくことがあります。

「大規模修繕の時期が近づいてきたが、誰に何を聞けばいいのか分からない。専門家への相談料を、修繕積立金から出すのは気が引ける」

茅ヶ崎市の管理組合には、費用をかけずに動ける入口があります。市役所の「市民相談」に、分譲マンションの管理を専門にした相談枠があるのです。市の「市民相談のご案内」には、毎月第2金曜日の13時から16時、1回45分、マンション管理の専門家が対応すると書かれています。ページの冒頭には「相談はすべて無料」の趣旨も明記されています(出典:茅ヶ崎市「市民相談のご案内」、令和8年4月8日更新)。

申し遅れました。私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。東京都東大和市を拠点に、20年近くマンション・ビル・ホテルの外壁の仕事をしてきました。この記事では、令和8年10月16日時点で茅ヶ崎市の管理組合が使える窓口を、費用の根拠とあわせて整理します。調べていて、市のページのなかに更新日が古いものが混じっていることが分かりました。その点も、正直に区別して書いています。


結論:茅ヶ崎市で使える窓口は15、無料と読めるのは11

先に一覧でお示しします。公式ページに「無料」と読み取れるもの、費用の記載が見つからなかったもの、補助であって無料ではないものを分けています。

# 制度・窓口 誰が対応するか 費用 申込先
1 市民相談「分譲マンション管理相談」 マンション管理の専門家(45分) 無料(市民相談は全般に無料と明記) 市民相談課 0467-81-7129
2 市民相談「法律相談」 弁護士(30分) 無料(同上) 同上
3 市民相談「不動産相談」 不動産鑑定士/宅建業者(45分) 無料(同上) 同上
4 市民相談「司法書士相談」 司法書士(30分) 無料(同上) 同上
5 市民相談「税務相談」 税理士(30分) 無料(同上) 同上
6 茅ヶ崎市「住まいの相談窓口」 神奈川県マンション管理士会など13団体と連携 要確認(現行ページに費用の記載なし) 都市政策課 0467-81-7181
7 神奈川県 マンションアドバイザー派遣 マンション管理士・建築士等(1回3時間まで) 無料(年度内2回まで) かながわマンション管理組合ネットワーク 045-620-6300
8 神奈川県マンション管理組合交流会(茅ヶ崎会場) 神奈川県マンション管理士会 無料(11月22日、定員25名) 同会事務局 045-662-5471
9 神奈川県 マンション管理・再生セミナー 弁護士・一級建築士ほか 無料(10月17日・11月1日、後日配信あり) 同ネットワーク 045-620-6300
10 建築なんでも相談(無料耐震相談) 耐震診断士 無料(マンションが対象かは記載なし) 建築指導課 0467-81-7185
11 分譲マンション耐震診断事業補助金 診断費用の2分の1を補助 補助(無料ではない) 建築指導課 0467-81-7185
12 管理計画認定制度 マンション管理センターの事前確認ほか 要確認(市のページに手数料の記載なし) 都市政策課 0467-81-7181
13 管理計画認定制度 相談ダイヤル(日管連) マンション管理士 無料(何回でも、1回30分程度まで) 03-5801-0858
14 マンション管理センター 電話相談 専門相談員 要確認(費用の記載なし) 03-3222-1517/1519
15 法テラス 無料法律相談 弁護士等 無料(収入・資産の基準あり) 0570-078374

「無料と読める」の11は、1〜5、7、8、9、10、13、15です。1〜5は、市の「市民相談のご案内」の冒頭で、すべての相談が無料と案内されています。

正直にお伝えします。費用の記載を確認できなかった窓口が3つ、補助であって無料ではないものが1つありました。また、10番の建築なんでも相談は、公式ページにマンションが対象とは書かれていません。電話で申し込むときに「管理組合の理事として使えますか」「相談料はかかりますか」とひと言確認するだけで、あとから戸惑わずに済みます。

もう一つ、押さえておきたい点があります。神奈川県の「マンションアドバイザー派遣事業」は、横浜市・川崎市・相模原市・横須賀市を除く県内の分譲マンションが対象です。茅ヶ崎市はこの除外に入っていません。令和8年度の受付は、令和9年2月26日までです(出典:神奈川県「マンションアドバイザー派遣事業」、2026年6月26日更新)。


市民相談の「分譲マンション管理相談」:毎月第2金曜、45分

私が茅ヶ崎市の管理組合に最初にお勧めするのは、この相談です。市の案内を整理すると、次のとおりです。

項目 内容
相談の内容 分譲マンションの管理
対応する人 マンション管理の専門家(「分譲マンション管理相談員」)
1回の時間 45分
日程 毎月第2金曜日 13時〜16時
予約 予約制。市は電話(0467-81-7129)での空き確認を勧めています
対象 市内に在住・在勤・在学の方(市民相談全般の条件)
費用 市民相談は全般に無料と案内されています

これからの日付と、予約のタイミング

「第2金曜」のルールどおりなら、次回は11月13日(金)、その次は12月11日(金)です。今日10月16日(金)は第3金曜日にあたり、10月の枠(10月9日)はすでに過ぎています。予約の方法について、市のページには「予約制の相談で、前日の午後3時までに予約がない場合は中止になる」という趣旨の注意書きがあります。ただ、何日前から受け付けるかは書かれていません。11月13日の枠は、早めに電話で空きを聞いておくと安心です。

なお、月ごとの実際の日程は変更される場合があります。電話で予約するときに、日付を必ず聞き直してください。

管理組合として使えるかは、書かれていません

2つの点にご注意ください。

  • 対象は「市内に在住・在勤・在学の方」です。 管理組合の理事長が、組合の案件として相談できるかは、ページに書かれていません。区分所有者の一人として相談する形になる可能性もあります。予約の電話で確認してください。
  • 45分という長さは、使い方次第で大きな差が出ます。 後述の「3点セット」を持ち込むと、45分が濃くなります。

使いどきは、見積依頼の前

現場にいる私の立場から一つお伝えします。この相談の価値は、施工会社の営業とは別の第三者の意見が聞けることです。見積書が出てから慌てて相談するより、見積依頼の前に相談するほうが、仕様のぶれが小さくなります。私が現場でよく見てきた遠回りは、見積りを取ったあとで「そもそも今回の工事範囲は適切なのか」と迷い、総会の日程がずれ込むケースです。

大規模修繕の費用感の目安も、先に頭に入れておくと相談の質が上がります。あくまで目安ですが、30戸規模のマンションで総工費は3,500万円〜5,000万円、そのうち仮設足場が15〜25%という幅が一般的です。外壁塗装は1㎡あたり3,500円〜4,500円、打診調査は1㎡あたり250円〜500円が参考値です。実際の金額は建物の状態や仕様で大きく変わります。


茅ヶ崎市の市民相談:法律・不動産・司法書士・税務

管理費の滞納、規約の読み方、理事会の議事の進め方、管理組合名義の不動産の扱い。工事の前段階で出てくるこうした疑問は、専門家の相談で整理できることが多いと、私は見ています。茅ヶ崎市の市民相談の主な枠を整理します(出典:前掲「市民相談のご案内」、令和8年4月8日更新)。

相談 対応する人 1回 日程(会場は市役所)
法律相談 弁護士 30分 第1・第3の月・火・木曜 10時〜15時30分
不動産相談 不動産鑑定士(第1金曜)/宅建業者(第3金曜) 45分 13時〜16時
司法書士相談 司法書士 30分 第2火曜 13時〜16時
税務相談 税理士 30分 第1・第3水曜、第4木曜 13時〜16時(4・6・8月は第1・第3水曜のみ)

すべて予約制で、窓口は市民相談課(本庁舎2階、0467-81-7129)です。

法律相談は、来週月曜にも枠がある計算です

ルールどおりなら、10月は19日(月)、20日(火)が第3の月・火曜にあたります。11月は2日(月)、3日(火)、5日(木)が第1の月・火・木曜です。法律相談は「同じ件は1人1回まで」「電話での相談も可能」と案内されています。相談が中止にならないよう、前日15時までの予約を忘れないでください。

不動産相談と、司法書士・税務

賃貸に出している専有部分が多い、空き住戸が増えているといった悩みは、不動産相談が入口になります。第1金曜が不動産鑑定士なので11月6日(金)、第3金曜が宅建業者なので11月20日(金)です。司法書士相談の次回は11月10日(火)、税務相談は10月21日(水)、11月4日(水)の枠があります。

建築士の相談は、このページにはありません

工事そのものについて建築士に相談したい場合、市民相談のページには建築士の枠が載っていません。後述の県のアドバイザー派遣や、建築指導課の「建築なんでも相談」が代わりの入口になります。


神奈川県のマンションアドバイザー派遣:年2回まで無料

市の窓口より一歩踏み込んで、専門家に管理組合まで来てもらえるのが、県の事業です。

項目 内容
内容 マンション管理士や建築士などの専門家を、管理組合に派遣して助言
相談例 管理規約の改正、長期修繕計画の見直し、修繕積立金の値上げ、耐震改修、管理計画認定制度 など
費用 無料
回数・時間 年度内2回まで。1回あたり1〜2名のアドバイザーで、3時間まで(申込者が多い場合は、2回目の派遣ができないことがある)
令和8年度の受付期間 令和8年6月26日〜令和9年2月26日(申込者が多い場合は早期に終了することがある)
申込先 NPO法人かながわマンション管理組合ネットワーク 電話 045-620-6300(10時〜16時、土日祝休み)、メール info@jinkan-net.com

流れは、まず電話で事前相談をして、そのあと申込書をメールまたはFAXで送る形です(出典:前掲、神奈川県のページ)。

「やってもらえないこと」も書かれています

県のページには、対象外の内容も明記されています。建物の精密な計測、修繕計画や設計図書の作成、業者の見積りの比較、業者の紹介、住民同士のトラブルの解決、管理計画認定の申請書類の代行は、派遣の範囲に入りません。

見積りの比較はしてもらえない、という点は、大規模修繕を控える理事会にとって大事なところです。アドバイザーには、見積書の読み方ではなく、進め方や論点の整理を相談する使い方が向いています。見積りの中身については、私どものような施工会社に、複数社の見積書を見比べながらご質問いただくのも一案です。

市の相談との使い分け

使い分けの目安は、次のとおりです。

  • 市民相談の分譲マンション管理相談:理事長さまが市役所に出向く形。45分、市の窓口。
  • 県のアドバイザー派遣:管理組合の場所に専門家が来る形。理事会や総会の場で、複数の役員が同席できる。年度内2回まで、1回3時間まで。

大規模修繕の方針を固める段階では、後者のほうが、役員みんなが同じ話を聞ける点で役に立つと、私は考えています。


11月22日(日)に、茅ヶ崎市民文化会館で県の交流会

今回の調査で、時期の合う催しが2つ見つかりました。

神奈川県マンション管理組合交流会(茅ヶ崎会場)

神奈川県マンション管理士会の案内によると、令和8年度の交流会は県内4会場で開かれ、茅ヶ崎市では次のとおりです(出典:神奈川県マンション管理士会「令和8年度 神奈川県マンション管理組合交流会のご案内」、案内ページは2026年8月26日更新)。

項目 内容
日時 令和8年11月22日(日)14時〜16時
会場 茅ヶ崎市民文化会館 3階 第1会議室(茅ヶ崎1-11-1)
参加費 無料
定員 25名(定員に達し次第、受付終了)
対象 県内のマンション管理組合の理事・役員
申込 案内の会場ごとのQRコードから
問合せ 神奈川県マンション管理士会事務局 045-662-5471(土日祝を除く10時〜17時)

ほかの会場は、箱根町(11月7日)、相模原市(11月14日)、葉山町(11月28日)です。定員が25名と少ないので、気になる方は早めの申込みをお勧めします。

神奈川県 マンション管理・再生セミナー

こちらは、管理組合の役員と区分所有者が対象で、受講料は無料です。令和8年度は全2回で、会場開催のあとに後日配信もあります(出典:神奈川県「マンション管理・再生セミナー」、2026年10月1日更新)。

回 日時・会場 内容 後日配信
第1回 令和8年10月17日(土)13時30分〜16時30分、逗子文化プラザ市民交流センター 区分所有法改正に伴う総会運営、不適切コンサルタント問題 10月26日〜令和9年2月12日
第2回 令和8年11月1日(日)13時30分〜16時30分、おだわら市民交流センターUMECO 区分所有法改正に伴う管理規約の見直し実務、長寿命化の基礎知識 11月10日〜令和9年2月12日

申込はGoogleフォームです。第1回は明日ですので、間に合わない場合は、後日配信で見る形になります。問合せは、かながわマンション管理組合ネットワーク(045-620-6300)です。


住まいの相談窓口と、更新日の古いページについて

茅ヶ崎市は、令和7年11月28日に、「住まいの相談窓口」に関する協定を新たに2団体と結んだと発表しました。窓口の担当は、都市政策課の住宅政策担当(本庁舎3階、0467-81-7181)で、開庁日の8時30分から17時までです。連携する団体のなかに、一般社団法人神奈川県マンション管理士会が入っています(出典:茅ヶ崎市「住まいの相談窓口」、令和7年11月28日更新)。

ここで、正直にお伝えしておきたいことがあります。

  • 市の「マンションに係る相談」のページには、「市の相談窓口は最初の30分ほど無料で、継続して相談する場合は有料」という趣旨の記載があります。ただし、このページの更新日は令和5年9月15日です。令和8年度の現行の扱いとは確認できないため、「無料」とは書きません(出典:茅ヶ崎市「マンションに係る相談」)。現行の「住まいの相談窓口」のページには、費用の記載がありません。
  • 同じ都市政策課の「住まい(住宅政策)」のページには、専用の連絡先として0467-81-7181が載っています(出典:茅ヶ崎市「住まい(住宅政策)」)。

結論としては、「住まいの相談窓口」は、管理士会などにつないでもらう入口として使えそうですが、費用は申込み前に電話で確かめてください。「最初の30分は無料か」「2回目以降の費用はいくらか」の2点を聞けば足ります。


耐震の窓口:建築なんでも相談と、診断補助

昭和56年(1981年)5月31日以前の旧耐震基準で建てられた分譲マンションは、まず建物の状態を知ることが出発点になります。

建築なんでも相談(無料耐震相談)

建築指導課が開く無料の相談です。相談員は、神奈川県建築士事務所協会茅ヶ崎・寒川支部から派遣される耐震診断士です。令和8年度の日程のうち、これから先の予定は、11月11日(水)9時〜12時、分庁舎5階 E会議室です。電話は建築安全担当(0467-81-7185)です(出典:茅ヶ崎市「建築なんでも相談 無料耐震相談のご案内」、令和8年4月20日更新)。

ご注意いただきたい点が1つあります。ページには、相談時に「間取り図(建築確認の副本)」が必要と書かれていますが、マンションが対象かどうかは書かれていません。分譲マンションの共用部について相談できるかは、電話で確認してください。

分譲マンション耐震診断事業補助金

旧耐震の分譲マンションの管理組合が耐震診断を受ける場合の補助金は、次のとおりです。

項目 内容
対象 昭和56年5月31日以前の旧耐震基準で建てられた分譲マンション(地上3階以上、RC造・SRC造・鉄骨造など)で、管理組合の決議があること
補助額 診断費用の2分の1。ただし、「3万円×自己居住の戸数」を上限とする
窓口 建築指導課 建築安全担当 0467-81-7185

(出典:茅ヶ崎市「分譲マンション耐震診断事業補助金のご案内」)

このページの更新日は令和5年3月31日と古く、令和8年度という明記もありません。 受付期間や予算の状況は、ページから確認できませんでした。令和8年度の扱いは、必ず建築指導課に電話で確認してください。また、これは費用の一部を負担してもらう制度で、無料の窓口ではありません。


管理計画認定制度:茅ヶ崎市のページで分かること、分からないこと

管理計画認定制度は、管理組合の管理計画が国の基準に合っているかを、自治体が認定する仕組みです。茅ヶ崎市のページ(令和8年9月18日更新)で、確認できたのは次の点です(出典:茅ヶ崎市「マンション管理計画認定制度」)。

項目 内容
事前確認・申請 公益財団法人マンション管理センターの「管理計画認定手続支援サービス」で行う
事前確認 審査の講習を受けたマンション管理士が、国の基準に合うかを確認。合えば「事前確認適合証」が発行される
認定通知 市が確認したうえで、認定通知書を渡す
手数料 市のページに記載なし
市独自の基準 ページに記載なし(「国の定める認定基準」とのみ記載)
問合せ先 都市政策課 住宅政策担当 0467-81-7181

手数料が書かれていないため、金額は申し上げられません。参考として、神奈川県の町村部向けの案内では、県への認定申請は無料で、マンション管理センターの支援サービスを使う場合は1申請あたり10,000円のシステム利用料がかかり、事前確認審査料が別にかかることもある、と書かれています(出典:神奈川県「マンション管理計画認定制度」、2026年4月10日更新)。ただし、これは県の窓口の話で、茅ヶ崎市の手数料とは限りません。市とマンション管理センターの両方に、確認することをお勧めします。国の制度の全体像は、国土交通省のページにまとまっています(出典:国土交通省「マンション管理計画認定制度」)。

制度について聞きたいだけなら、次の日管連のダイヤルが手軽です。


国の窓口:日管連・マンション管理センター・法テラス

市と県の窓口で足りないときの、二の矢として知っておくと役に立ちます。

窓口 内容 受付 費用
管理計画認定制度 相談ダイヤル(日管連) 03-5801-0858 制度の質問にマンション管理士が回答 月〜土 10:00〜17:00(祝日・年末年始を除く) 無料。何回でも、1回30分程度まで
マンション管理センター 電話相談 03-3222-1517(管理組合運営・管理規約等)/03-3222-1519(建物・設備の維持管理) 管理組合からの相談 月〜金 9:30〜17:00(祝日・年末年始を除く) ページに記載なし
法テラス・サポートダイヤル 0570-078374 無料法律相談の予約案内 平日 9:00〜21:00、土曜 9:00〜17:00 無料(収入・資産の基準あり)

日管連のダイヤルは、利用者に制限がなく、何回でも使えます(出典:日本マンション管理士会連合会「管理計画認定制度 相談ダイヤル」、2026年7月28日更新)。マンション管理センターの電話相談は、管理組合からの相談を受け付けており、賃貸マンションの相談は対象外です(出典:(公財)マンション管理センター「電話相談」)。法テラスの無料法律相談は、同じ問題について3回まで、1回30分です。収入と資産の基準があり、原則として事前予約が必要です(出典:法テラス「無料法律相談のご利用の流れ」)。管理組合という団体として使えるかどうかは、窓口での確認が必要です。


何を用意していけばいいか:3点セット

どの窓口でも、手ぶらで行くと「それは資料を見ないと分かりません」と言われがちです。私は理事長さまに、次の3点を揃えておくようお伝えしています。

  1. 総会議事録(直近2年分):修繕積立金の状況や、大規模修繕についての決議の経過が分かります。
  2. 長期修繕計画:次回の大規模修繕の時期と、見込まれる総額が分かります。
  3. 管理規約:管理費の滞納、専有部分のルール、理事会の権限を調べるときに必要です。

さらに余裕があれば、前回の大規模修繕の見積書や竣工図、直近の劣化診断の報告書があると、相談が一段と具体的になります。旧耐震のマンションなら、耐震関連の相談で、建築確認の副本や図面があると話が進みます。


茅ヶ崎市の管理組合が、無料相談のあとに考えたい工事の選び方

相談で論点が整理できたら、次に工事の進め方を考える段階に入ります。明誠は、通常の足場工法、無足場のロープアクセス工法、両方を組み合わせるハイブリッド工法の3つから、建物に合った進め方をご提案しています。

茅ヶ崎市は相模湾に面した市で、海に近い立地の建物は、潮風を受ける外壁の劣化の出方が内陸と異なることがあります。また、敷地が道路に接していて足場の置き場所が限られる建物では、足場の搬入や設置に手間がかかる例を、私は現場で見てきました。どの工法が合うかは、建物ごとに現地を見て判断します。

足場工法とロープアクセス工法の費用差は、規模によって変わります。10階建て・外周80m・工期3か月の例では、足場費が168万円、ロープアクセスが59万円と、109万円の差が出た試算があります。あくまで目安で、実際の見積りは物件ごとに異なります。

ロープアクセス工法は、メインロープとバックアップロープの2本に接続して作業し、2点以上の吊元を確保する国際基準(IRATA)の考え方を採り入れた工法です。明誠はこれまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけ、ロープアクセスでの高所作業について、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業では過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。

明誠のこれまでの施工事例もご覧いただけます。


よくあるご質問

Q. 茅ヶ崎市の管理組合が無料で使える専門家の相談はありますか?

A. はい。市民相談に「分譲マンション管理相談」があり、毎月第2金曜日の13時〜16時、1回45分で、市役所で開かれています。市民相談は全般に無料と案内されています。予約制で、市民相談課(0467-81-7129)が窓口です。

Q. 神奈川県のマンションアドバイザー派遣は茅ヶ崎市でも使えますか?

A. 使えます。県の事業は横浜市・川崎市・相模原市・横須賀市が対象外で、茅ヶ崎市は対象です。無料で、年度内2回まで、1回3時間までです。令和8年度の受付は令和9年2月26日までですが、申込者が多いと早く終わることがあります。

Q. 分譲マンション管理相談の次回はいつですか?

A. 第2金曜日のルールどおりなら、11月13日(金)、その次は12月11日(金)です。実際の日程は変更される場合があるため、予約の電話(0467-81-7129)で、必ず確認してください。

Q. 市民相談は、管理組合として使えますか?

A. 公式ページには書かれていません。対象は市内に在住・在勤・在学の方です。予約の電話で、管理組合の理事として相談できるかを確認してください。

Q. 11月22日の交流会は、誰でも参加できますか?

A. 対象は、県内のマンション管理組合の理事・役員です。参加費は無料、定員は25名で、申込みは案内のQRコードからです。問合せは神奈川県マンション管理士会事務局(045-662-5471)です。

Q. 旧耐震のマンションの耐震診断に補助はありますか?

A. あります。診断費用の2分の1で、「3万円×自己居住の戸数」が上限です。ただし、市のページは更新日が令和5年3月31日で、令和8年度という明記がありません。受付状況は、建築指導課(0467-81-7185)で確認してください。

Q. 管理計画認定の手数料は、いくらですか?

A. 茅ヶ崎市のページには記載がありませんでした。事前確認と申請は、マンション管理センターの支援サービスで行う形です。金額は、市とマンション管理センターの両方にご確認ください。

Q. 無料相談のあとに、工事を頼む義務はありますか?

A. ありません。市や県の相談は、特定の施工会社を紹介するものではありません。工事の発注先は、管理組合の総会で決めるものです。

Q. 大規模修繕の費用は、いくらくらいを見ておけばいいですか?

A. 30戸規模で総工費は3,500万円〜5,000万円、うち仮設足場が15〜25%という幅が一般的です。外壁塗装は1㎡あたり3,500円〜4,500円が参考値です。建物の状態で大きく変わるため、相談のうえで概算見積りをお取りください。

Q. 明誠に概算見積りを頼むと費用はかかりますか?

A. 概算お見積りは無料でご提示しています。お気軽にお問合せフォームからご連絡ください。


まとめ+今週動くこと3点

茅ヶ崎市の管理組合が使える相談先は、市、県、国と、15の入口があります。そのうち11は、公式ページで無料と読めます。まず押さえておきたいのは、毎月第2金曜のマンション管理相談と、県のアドバイザー派遣、そして11月22日の交流会です。費用をかけずに、第三者の意見を聞けます。

今週動くことを、3点に絞ります。

  1. 市民相談課(0467-81-7129)に電話して、11月13日(金)の分譲マンション管理相談の空きを聞く。 あわせて、管理組合の理事として相談できるかも確認してください。受付は平日の8時30分〜17時です。今日は金曜日なので、本日中に電話できます。
  2. 11月22日(日)の交流会を、理事会で共有して申し込む。 定員は25名です。申込みは案内のQRコードからで、問合せは神奈川県マンション管理士会事務局(045-662-5471)です。
  3. 県のアドバイザー派遣(045-620-6300)に電話で空き状況を聞き、総会議事録・長期修繕計画・管理規約の3点を理事会の共有フォルダに集める。 令和9年2月26日までの受付ですが、申込者が多いと早く終わります。派遣の前に資料が揃っていると、3時間が濃くなります。

私は、工事の話に入る前の「聞く力」が、修繕積立金を守ると考えています。相談だけでも遠慮なくお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。


出典・参考資料


この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)

株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市

マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。IRATA水準の技能訓練を受けた作業員、ISO9001品質マネジメントシステム、日本ロープ高所作業協会の事務局を担当。

最終更新:2026年10月16日


関連記事(姉妹サイト)

ロープアクセス工法の詳細や実例については、姉妹サイト「ロープアクセスドットコム」の以下の記事もぜひご覧ください。

▶ ロープアクセスドットコムの関連記事を見る


本間社長の著書のご案内

『大規模修繕工事 職人だから言える本当の話 —— 見積書では見えない業界の裏側と、修繕積立金を守る発注術』(Kindle版)を出版しています。20年以上の現場経験から、管理組合・オーナーが修繕積立金を守るための発注術と、業界の内幕を書き下ろしました。

▶ Amazonで見る(Kindle版)

本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月16日時点で公表されている茅ヶ崎市および国土交通省・神奈川県の公式情報をもとに執筆しています。茅ヶ崎市の「マンションに係る相談」(令和5年9月15日更新)と「分譲マンション耐震診断事業補助金」(令和5年3月31日更新)のページは更新日が古く、令和8年度の現行の扱いが確認できていないため、本文中にその旨を記載しました。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際にお申し込みの前に、茅ヶ崎市および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。

鎌倉市の12条点検|毎年7〜9月の報告期間と外壁打診の時期【2026年度版】

Q. 鎌倉市のマンションやビル、ホテルは、12条点検(定期報告)の対象になるのか?外壁の全面打診はいつ必要か?

A. 鎌倉市内の建物の定期報告は、鎌倉市建築指導課が所管し、報告書は一般財団法人神奈川県建築安全協会が提出窓口です。鎌倉市の一覧では、病院・有床診療所、旅館・ホテル、サービス付き高齢者向け住宅などの就寝用途の施設や、一定規模の店舗・飲食店が入る建物が対象で、一般の分譲マンション・賃貸マンションは対象用途として掲載されていません。対象建築物の報告は原則として毎年、令和7年7月1日以降の調査分は毎年7月1日から9月30日までに行います(出典:鎌倉市「定期報告制度について(令和7年7月1日以降に調査を行うもの)」)。外壁の全面打診は、竣工・外壁改修・前回の全面打診からおおむね10年を超えたあとの定期調査で必要になります(出典:国土交通省「定期報告制度における外壁のタイル等の調査について」)。

(最終更新:2026年10月16日/執筆時点の現行年度:令和8年度)

結論:鎌倉市で12条点検の対象になる建物と、全面打診のタイミング

株式会社明誠は、東京都東大和市に拠点を置く大規模修繕の会社です。私は代表として20年以上、マンション・ビル・ホテルの修繕現場に立ってきました。神奈川県の12条点検シリーズは、横浜市・川崎市・相模原市の各区、横須賀市、平塚市に続き、今回は古都・鎌倉市を取り上げます。

鎌倉市は、相模湾に面し、三方を丘陵に囲まれたまちです。人口は、令和2年国勢調査の確定値で172,710人、75,722世帯です(出典:鎌倉市「人口・世帯数(令和2年10月1日現在)」)。観光客が多く、ホテルや旅館、飲食店が入る建物も多いエリアです。

鎌倉市は、建築基準法上の「特定行政庁」として、定期報告制度を自ら運用しています。特定行政庁とは、建築確認や違反建築の指導を担う行政機関のことです。12条点検の目線で鎌倉市を見ると、押さえておきたい点が3つあります。

  • 報告の周期が原則「毎年」。多くの自治体は3年ごとなので、準備の猶予が短くなります。
  • 報告期間が「毎年7月1日から9月30日まで」と、年に一度の期間で決まっている。そして報告の期限は、調査の日から1か月以内です。
  • 対象用途が避難階(通常は1階)だけにある場合や、対象用途の床面積の合計が200㎡以下の場合は対象外と明記されています。

鎌倉市で「建築物」の定期報告が必要になるかどうかは、次のように整理できます。

建物の種類 鎌倉市での定期報告(建築物)
住戸だけの分譲マンション・賃貸マンション・アパート 対象用途に掲載なし(対象外)
1階だけに店舗が入るマンション(2階以上は住戸) 対象外(対象用途が避難階のみ)
病院・有床診療所・旅館・ホテル・サービス付き高齢者向け住宅など(地階または3階以上、または2階の当該用途が300㎡以上) 対象
物品販売店舗・飲食店・遊技場など(地階または3階以上、2階の当該用途が500㎡以上、または床面積3,000㎡以上) 対象
劇場・映画館・集会場など 規模により対象
エレベーター・エスカレーター(昇降機) 原則対象(住戸内のものなどを除く)

(出典:鎌倉市「定期報告制度について」(令和7年7月1日以降)、鎌倉市「鎌倉市の定期報告について」)

全面打診の要否は、次の一文で判断できます。

「竣工、または前回の全面打診・外壁全面改修から10年を超えていれば、次の定期調査で全面打診が必要」

鎌倉市は毎年報告なので、「10年を超えた年の報告」がそのまま全面打診の年になります。

建築基準法第12条の基本(定期調査と定期検査の違い)

建築基準法第12条は、多くの人が利用する建物の所有者・管理者に「建物の安全を有資格者に定期的に調べさせ、その結果を特定行政庁に報告する」ことを求める制度です。国土交通省は、定期報告制度を、建築物や設備の劣化・不具合を早期に把握し、事故を未然に防ぐための制度と位置づけています(出典:国土交通省「建築基準法に基づく定期報告制度について」)。

12条には、建物本体を調べる「特定建築物定期調査」と、設備を調べる「建築設備・防火設備・昇降機等の定期検査」があります。外壁の打診は、特定建築物定期調査のうち「建築物の外部」の項目に含まれます。鎌倉市の一覧でも、建築物のほか、機械換気設備・中央管理方式の空気調和設備・排煙機を設けた排煙設備・非常用の照明装置、防火設備、昇降機・遊戯施設が、それぞれ対象として整理されています。

外壁の全面打診のルールは、平成20年国土交通省告示第282号で定められています。タイル・石貼り(乾式工法を除く)・モルタルなどの外壁で、落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分は、竣工・外壁改修・前回の全面打診から10年を超えたときに、全面的に打診等で調べることになりました。令和4年1月18日の告示改正では、無人航空機(ドローン)による赤外線調査も、全面打診以外の方法として認められています(出典:国土交通省)。

さらに令和7年7月1日から、定期報告告示の見直しにより、鎌倉市でも定期報告が必要な防火設備の要件が変わりました。たとえば常時閉鎖式の防火設備は、各階の主要な防火扉(避難経路に設けられたもの、吹抜けに面するもの、日常の通行頻度が高いもの)に限られます。調査会社に依頼するときは、見直し後の様式と鎌倉市の扱いを理解しているかを確認してください。

鎌倉市の12条点検:対象の線引き・報告時期・窓口

窓口は建築指導課、提出先は神奈川県建築安全協会

項目 内容(公式ページ掲載)
市の担当 鎌倉市 建築指導課(本庁舎3階)
所在地 鎌倉市御成町18-10
電話 市役所代表 0467-23-3000(建築指導課は内線2530)
報告書の提出先 一般財団法人 神奈川県建築安全協会

(出典:鎌倉市「定期報告制度について」(2025年6月27日更新)、鎌倉市「窓口案内」)

報告書の様式、手数料、提出方法は、提出先の協会のサイトで確認する形になっています。手数料の額は、鎌倉市の該当ページに掲載がないため本記事では記載しません。提出の前に、協会または建築指導課にご確認ください。

報告は「毎年7月1日から9月30日」、令和8年度の期間は終了

鎌倉市の一覧によれば、建築物・建築設備・防火設備の報告の時期は、次のとおりです(出典:鎌倉市「定期報告制度について」)。

区分 報告の周期・時期
建築物・建築設備・防火設備 原則毎年。初回は、対象となった日から2回目の7月1日から9月30日まで。2回目以降は毎年7月1日から9月30日まで
昇降機・工作物 初回は検査済証の交付を受けた日から1年後の月。2回目以降は前回報告の1年後の同じ月
報告の期限 調査の日から1か月以内

この記事を書いている令和8年10月16日時点では、令和8年度の報告期間(7月1日〜9月30日)はすでに終了しています。報告がまだ済んでいない建物のオーナーさまは、まず建築指導課へ状況を相談してください。次の報告期間は、令和9年(2027年)7月1日から9月30日です。

ここで大事なのは、「報告の期間」と「調査をする時期」の関係です。調査の日から1か月以内に報告する決まりなので、調査は期間の前後を含めて逆算して計画します。夏場に調査と報告が集中しやすいため、調査会社の予約や、テナント・宿泊客への事前周知は、春のうちに動き出すのが安全です。

全面打診は「毎回その月に詰め込む」必要があるのか

毎年報告と聞くと「全面打診も毎年やるのか」と心配される方がいます。平成20年国土交通省告示第282号は、全面打診が必要になる場合を「竣工・外壁改修・前回の全面打診等から10年を超え、かつ、3年以内に全面打診等を実施していない場合」と定めています。また、3年以内に外壁改修等が行われることが確実な場合や、別途、歩行者等の安全を確保する対策を講じている場合は除くとされています(出典:平成20年国土交通省告示第282号(抜粋資料)、国土交通省)。言い換えれば、直近3年以内に全面打診を実施していれば、その結果を踏まえて報告できるという考え方です。

ただし、毎年の定期調査そのもの(目視や手の届く範囲の打診など)は、毎年行う必要があります。全面打診をいつ実施し、その結果をどの年の報告に使うかは、建築指導課や調査会社と事前に確認しておくのが確実です。私は、全面打診を大規模修繕の足場がある時期や、ロープアクセスで計画的に実施できる時期に前倒しで行い、毎年の調査とは切り分けて段取りすることをお勧めしています。

「1階だけの店舗」は対象外、上階に入ると対象に

鎌倉市の一覧には「該当用途の部分の床面積が合計200㎡以下の場合や、該当用途が避難階のみにある場合は除く」と書かれています。避難階とは、直接地上へ出られる出入口がある階のことで、多くの建物では1階です。

このため、1階だけに飲食店や物販店が入る小規模なビルは、建築物の定期報告の対象外になる場合があります。一方、次のような建物は対象になり得ます。

  • 2階の物販店・飲食店の床面積の合計が500㎡以上
  • 3階以上や地階に飲食店・物販店・遊技場などが入る雑居ビル
  • 店舗・飲食店などの床面積の合計が3,000㎡以上の商業ビル
  • 3階以上や地階に客室がある、または2階の客室等が300㎡以上のホテル・旅館

観光地の鎌倉市では、上階に客室を持つ宿泊施設や、上階に飲食店が入るテナントビルもあります。「店舗が入っているから対象」「マンションだから対象外」と思い込まず、どの階に、どの用途が、何㎡あるかを一度整理してください。判断がつかない場合は、階ごとの用途と面積をまとめて、建築指導課に相談するのが確実です。

鎌倉市ならではの事情:古都の景観と、海風・谷戸の地形

景観地区・風致地区では、補修の「色」と「見た目」に配慮が要る

鎌倉市は、全国でも珍しい古都保存の制度が重なるまちです。鎌倉市の資料によると、古都保存法の歴史的風土保存区域は約982.2haで、そのうち約573.6haが歴史的風土特別保存地区です。風致地区は約2,194haで、市全体の55.5%を占めます。さらに、鎌倉景観地区と北鎌倉景観地区が定められており、色彩を含む形態意匠の制限が地区ごとに設けられています。建築物の高さの最高限度は15m(第一種低層住居専用地域内は10m)です(出典:鎌倉市「歴史的風致維持向上計画 令和2年度進行管理・評価シート(案)」)。

外壁の打診調査や、浮きの部分補修そのものは、見た目を変える工事ではありません。ただ、調査の結果を受けて外壁を塗り替えたり、タイルを張り替えたりする場合には、色や意匠の扱いが問題になることがあります。ご所有の建物が景観地区や風致地区に当たるかどうか、工事の内容が事前の協議や認定の対象になるかは、物件ごとに異なります。私は、補修計画の段階で、鎌倉市の担当課に確認することをお勧めしています。

海風を受ける外壁は、劣化の出方が違う

鎌倉市は相模湾に面しています。海沿いの建物の外壁は、潮風に含まれる塩分の影響を受けやすく、内陸の建物とは劣化の出方が違うことがあります。私が海沿いの現場で見てきた例では、鉄部のさびが早く進む、タイル目地やシーリングの傷みが早い、さびた鉄筋が膨らんでコンクリートを押し出す「爆裂」が出る、といった症状が目立ちます。

外壁のタイルやモルタルは、下地との間に浮きが生じると、ある日突然落ちることがあります。観光客や通学の子どもが多く歩く道に面した建物は、落下したときの被害が大きくなります。海に面した面や、風を強く受ける面は、10年を待たずに一度、手の届く範囲を叩いて状態を確かめておくと安心です。

谷戸や斜面の建物は、面ごとに「足場の高さ」が違う

鎌倉市は、丘陵と、谷戸と呼ばれる谷あいが入り組む地形です。斜面に建つマンションやホテルは、坂の上側から見ると3階建てでも、下側から見ると5階建てというように、面によって地面からの高さが変わります。坂の下側の面ほど足場が高くなり、隣地との境に擁壁があると、足場を組む場所自体が取りにくくなります。道が細い場所では、足場の資材の搬入も大きな課題です。

全面打診を計画するときは、面ごとに「どこから人が近づけるか」「その真下を誰が歩くか」を最初に確かめてください。私が現場で調査範囲を決めるときも、歩道や通学路、出入口の上を優先して叩きます。

毎年報告だからこそ、「外壁の記録」を積み上げる

毎年報告は、手間に感じられるかもしれません。ただ、見方を変えれば、毎年の定期調査の記録がそのまま「外壁の健康診断の履歴」になります。浮きやひび割れの位置を毎年同じ図面に記録しておけば、劣化がどの面で、どの速さで進んでいるかが分かります。その記録は、次の大規模修繕の補修数量や、長期修繕計画の見直しの根拠になります。

なお、住戸だけのマンションは定期報告の対象外ですが、外壁の責任がなくなるわけではありません。建築基準法第8条は、建物の所有者・管理者・占有者に「常時適法な状態に維持するよう努める」ことを求めています。外壁のタイルが落ちて通行人がけがをすれば、民法第717条(工作物責任)により所有者等が責任を問われる可能性があります。報告義務のない分譲マンションも、管理組合が自主的に外壁を調べる意味があります。

全面打診が必要になる4つのきっかけ

理事長さまやオーナーさまには、次の4つを「全面打診のきっかけ」としてお伝えしています。

  1. 竣工から10年を超えた:最初の全面打診の起点です。
  2. 外壁の全面改修から10年を超えた:タイル張替えや全面補修をした年から数え直します。
  3. 前回の定期調査で「要是正」とされ、改善が済んでいない:毎年報告の鎌倉市では、翌年の報告ですぐに改善状況が問われます。
  4. タイルの浮き・剥落の兆候が見つかった:手の届く範囲の打診で異常があれば、全面打診で確かめます。

鎌倉市の対象建築物では、10年を超えた年の報告がそのまま全面打診の年です。前回の大規模修繕の年と、最後に全面打診をした年を、まず修繕履歴で確かめてみてください。たとえば平成28年(2016年)に外壁改修をした建物なら、令和8年(2026年)以降の報告で全面打診が求められる時期に入っています。

費用の目安:打診の㎡単価と、足場・ロープアクセスの差

費用の目安を示します。以下は参考値で、実際の見積は建物の形状・高さ・外壁の仕上げ・敷地条件で大きく変わります。

項目 目安
全面打診調査の㎡単価(調査のみ) 250〜500円/㎡
10階建て・外周80m・打診対象約2,000㎡の調査費 約50〜100万円
同条件で仮設足場を組む場合(工期3か月想定) 約168万円
同条件でロープアクセス工法の場合 約59万円
足場とロープアクセスの差額 約109万円

全体の費用を押し上げるのは、打診そのものより足場です。斜面で足場が高くなる建物や、道が狭く資材を置きにくい敷地、ホテルや店舗の前に足場を組むと営業や景観に影響が出る建物では、足場の計画がさらに難しくなります。料金の考え方は明誠の大規模修繕の料金の考え方でも公開しています。

ロープアクセス工法が12条打診で選ばれる理由

ロープアクセス工法とは、屋上などの確実な吊元から、作業員がメインロープとバックアップロープの2本に接続して壁面に降り、足場を組まずに調査や補修を行う工法です。吊元は2点以上を確保し、二重の冗長化で安全を確保します。国際基準(IRATA)に沿った、業界標準のやり方です。技術の詳細は明誠のロープアクセス工法のページに、安全への取り組みは明誠の安全管理にまとめています。

12条打診でロープアクセスを選ぶ理由は、主に3つです。

  1. 費用:足場代を抑えられます。上の例では、足場工法より約100万円の差が出る可能性があります。
  2. 期間:足場の組立・解体がないため、足場工法の約60%の工期が目安です。報告期間が決まっている鎌倉市では、短い期間で調査を終えられることが大きな利点です。
  3. 営業しながら・住みながら施工:窓や店舗の前に足場やメッシュシートがかからず、ホテルの眺望や客室の日当たり、店舗の看板が隠れる心配が少なく済みます。観光地では、景観への影響が小さいことも利点です。

斜面に建つ鎌倉市の建物では、ロープアクセスの強みがさらに生きます。屋上に吊元が取れれば、坂の下側の高い面まで、壁面に沿って降りて調べられます。擁壁があって足場の置き場がない面も、作業員が降りる広さがあれば調査できます。

打診は、テストハンマーでタイルやモルタルを一枚ずつ叩き、音の違いを聞き分ける仕事です。ロープアクセスなら、見つけた浮きにその場でマーキングし、条件が合えば注入による部分補修まで続けて行えます。海風で傷んだシーリングや鉄部の状態も、同じ降下で一緒に確かめられます。ドローンの赤外線調査で全体を把握し、気になる面だけロープアクセスで叩いて確かめる組み合わせも可能です。ただし、住宅が密集した地域や海沿いの風の強い場所でドローンを飛ばすには、航空法上の許可・承認や周辺への配慮が必要なため、事前の確認が欠かせません。

株式会社明誠は、これまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕に携わってきました。ロープアクセスでの高所作業では、明誠と全国のフランチャイズ加盟企業で、過去16年間、墜落による労働災害ゼロを続けています。作業は、IRATA水準の訓練を受けた作業員が担当します。

ロープアクセスの訓練体制や施工の実例は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムで詳しく紹介しています。足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3工法の比較もロープアクセスドットコムに掲載しています。塗装・防水・タイル・電気・看板などの専門工事会社さまで、フランチャイズ加盟をご検討の方もロープアクセスドットコムからご覧ください。

12条点検を大規模修繕・長期修繕計画とつなげる

12条点検(または自主的な外壁調査)と大規模修繕を、別々の会社に別々のタイミングで発注している管理組合やオーナーさまは少なくありません。私はこれを、できるだけワンセットで考えるよう提案しています。

  • 足場代の二重払いを避ける:打診のために足場を組み、数年後の大規模修繕でまた組む、という重複をなくせます。
  • 調査結果が補修数量の根拠になる:浮き・欠損の位置と数量が分かれば、見積書の数量が透明になります。
  • 長期修繕計画の精度が上がる:外壁の劣化が数字で分かり、修繕積立金の見通しが立てやすくなります。
  • ハイブリッド工法の判断材料になる:店舗のある低層部や地面に近い面は足場、高層部や斜面の下側の高い面はロープアクセス、と面ごとに使い分けると総額が下がる建物もあります。

鎌倉市のように毎年報告がある市では、全面打診の年を大規模修繕の年に合わせられれば、足場を一度で済ませられます。全面打診の結果は、直近3年以内のものであれば報告に生かせる考え方なので、大規模修繕の計画と、翌年7月からの報告期間を並べて、段取りを組んでみてください。

分譲マンションの管理組合さまは管理組合様向けの大規模修繕サービスを、賃貸マンション・テナントビル・ホテルのオーナーさまはビルオーナー様向けの修繕サービスをご覧ください。

よくあるご質問

Q. 鎌倉市の分譲マンションは、12条の定期報告が必要ですか?

A. 鎌倉市の一覧に、一般の共同住宅は対象用途として掲載されていません。就寝用途の施設(病院、旅館、ホテル、サービス付き高齢者向け住宅など)にあたらない住戸だけのマンションは、建築物の定期報告の対象外です。ただし、エレベーターなどの昇降機は、住戸内のものなどを除き定期検査報告の対象です。

Q. 1階にカフェが入るビルは対象ですか?

A. 鎌倉市は「該当用途が避難階のみにある場合」や「該当用途の床面積が合計200㎡以下の場合」を対象外としています。1階(避難階)だけに店舗がある場合は、原則として建築物の定期報告の対象外です。2階以上や地階に入る場合は、階と面積によって対象になります。

Q. 鎌倉市の12条点検の報告は何年ごとですか?

A. 建築物・建築設備・防火設備は原則毎年です。3年ごとの自治体とは異なるので注意してください。

Q. 報告はいつ出せばよいですか?

A. 建築物・建築設備・防火設備は、毎年7月1日から9月30日までです。令和8年度の期間は終了しており、次回は令和9年7月1日から9月30日です。調査の日から1か月以内に報告する決まりもあります。

Q. 鎌倉市の12条点検の窓口はどこですか?

A. 市の担当は鎌倉市建築指導課(御成町18-10 本庁舎3階、市役所代表0467-23-3000、内線2530)です。報告書の提出先は、一般財団法人神奈川県建築安全協会です。

Q. 外壁の全面打診は何年ごとですか?

A. 定期報告の対象建築物では、竣工や外壁改修、前回の全面打診から10年を超えたときに必要です。根拠は平成20年国土交通省告示第282号です。直近3年以内に全面打診を実施していれば、その結果を踏まえて報告する考え方が示されています。

Q. 谷戸や斜面に建つホテルでも、足場なしで外壁を調べられますか?

A. 屋上に2点以上の吊元を確保できれば、ロープアクセス工法でメインロープとバックアップロープの2本に接続して降り、坂の下側の高い面まで足場なしで叩いて調べられます。営業を続けながらの調査にも対応します。現地を見て、足場との組み合わせも含めてご提案します。

まとめ+今週動くこと3点

鎌倉市の12条点検の窓口は、鎌倉市建築指導課で、報告書の提出先は神奈川県建築安全協会です。住戸だけのマンションや、1階だけに店舗があるビルは、建築物の定期報告の対象外です。一方、ホテル・旅館や、上階・地階に店舗・飲食店が入る建物は対象になり、報告は原則毎年、期間は7月1日から9月30日です。10年を超えた年の報告がそのまま全面打診の年になるため、準備は早めが肝心です。

今週動くことを3つに絞ります。

  1. 自分の建物が対象かを確かめる:階ごとの用途と床面積を整理し、対象かどうか分からない建物は建築指導課に相談する。令和8年度の報告が未了なら、状況を早めに伝える。
  2. 最後の全面打診の年を調べる:修繕履歴や過去の調査報告書を見て、10年を超える年がいつかを確かめる。報告義務のない分譲マンションも、10年を目安に外壁の状態を数字で把握する。海に面した面は特に早めに。
  3. 次の大規模修繕とセットで考える:全面打診の年と大規模修繕の年、翌年7月からの報告期間を並べ、足場を一度で済ませられないか、ロープアクセスで前倒しできないかを、次の理事会・オーナー会議で共有する。

明誠の施工実績は明誠の施工事例で、私たちの考え方は明誠の理念でご覧いただけます。ご相談は大規模修繕・打診調査のお問い合わせフォームからどうぞ。鎌倉市を含む神奈川県全域で、現地調査にも対応しています。報告期間の前に一度建物を見ておくだけでも、次の一手はずっと選びやすくなります。

出典・参考資料

本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月16日(令和8年度)時点で公表されている国土交通省・鎌倉市の公式情報をもとに執筆しています。鎌倉市の「定期報告制度について」は2025年6月27日(令和7年度)の更新で、令和7年7月1日以降に調査を行うものの対象・周期・時期を示した資料(令和7年7月1日付)が掲載されています。令和8年度に入ってからの改定は確認できませんでしたが、令和7年度掲載の情報であるため、調査・報告の前に必ず市へ現行の内容をご確認ください。人口は令和2年国勢調査の確定値で、最新の推計値ではありません。景観地区・風致地区などの面積は令和2年度の資料に基づきます。制度は年度途中でも改正があり得ます。手数料は市のページに掲載がないため記載していません。費用の数字は参考値で、個別の見積を保証するものではありません。

この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年10月16日


関連記事(姉妹サイト)

ロープアクセス工法の詳細や実例については、姉妹サイト「ロープアクセスドットコム」の以下の記事もぜひご覧ください。

▶ ロープアクセスドットコムの関連記事を見る


本間社長の著書のご案内

『大規模修繕工事 職人だから言える本当の話 —— 見積書では見えない業界の裏側と、修繕積立金を守る発注術』(Kindle版)を出版しています。20年以上の現場経験から、管理組合・オーナーが修繕積立金を守るための発注術と、業界の内幕を書き下ろしました。

▶ Amazonで見る(Kindle版)

平塚市の12条点検|毎年4〜10月の報告期間と外壁打診の時期【2026年度版】

Q. 平塚市のマンションやビル、ホテルは、12条点検(定期報告)の対象になるのか?外壁の全面打診はいつ必要か?

A. 平塚市内の建物の定期報告は、平塚市まちづくり政策部建築指導課の所管です。平塚市の一覧表では、共同住宅は「サービス付き高齢者向け住宅」に限って対象とされており、住戸だけの一般の分譲マンション・賃貸マンションは建築物の定期報告の対象外です(出典:平塚市「定期報告の対象建築物・建築設備等の一覧表(令和7年7月1日以降)」)。一方、ホテル・旅館、病院、一定規模の店舗・飲食店が入る建物は対象になり、平塚市では特定建築物の報告が「毎年」、報告時期は「4月1日から10月31日まで」です(出典:平塚市「定期報告制度」)。外壁の全面打診は、竣工・外壁改修・前回の全面打診から「おおむね10年」を超えたあとの定期調査で必要になります(出典:国土交通省「定期報告制度における外壁のタイル等の調査について」)。

(最終更新:2026年10月16日/執筆時点の現行年度:令和8年度)

結論:平塚市で12条点検の対象になる建物と、全面打診のタイミング

株式会社明誠は、東京都東大和市に拠点を置く大規模修繕の会社です。私は代表として20年以上、マンション・ビル・ホテルの修繕現場に立ってきました。神奈川県の12条点検シリーズは、横浜市・川崎市・相模原市の各区、横須賀市に続き、今回は湘南エリアの平塚市を取り上げます。

平塚市の推計人口は、令和8年7月1日現在で257,320人、120,287世帯。面積は67.83㎢です(出典:平塚市「人口速報」令和8年7月1日現在)。市の南側は相模湾に面し、JR平塚駅を中心に商業ビルと集合住宅が集まっています。

平塚市は、建築基準法上の「特定行政庁」として、定期報告を自ら所管している市です。特定行政庁とは、建築確認や違反建築の指導を担う行政機関のことです。一方、近隣の伊勢原市・大磯町・二宮町・寒川町は、神奈川県平塚土木事務所の建築指導課が所管しています(出典:神奈川県「平塚土木事務所 計画建築部 建築指導課」)。名前は似ていても、平塚市の建物は「市の建築指導課」、周辺の町は「県の平塚土木事務所」と、所管が分かれる点に注意してください。

12条点検の目線で平塚市を見ると、ポイントは3つです。

  • 特定建築物(建物本体)の報告が「毎年」。東京23区などで多い「3年ごと」とは違います。
  • 報告時期は毎年「4月1日から10月31日まで」。期間が決まっているため、調査の段取りを夏までに固める必要があります。
  • 調査・検査は「報告の日前1月以内」に行ったものとする、と市が明記しています。

この記事の公開日(2026年10月16日)から見ると、令和8年度の報告期限である10月31日まで残り約2週間です。今年度の報告がまだのオーナーさまは、まず建築指導課か提出先の協会に状況を確かめてください。

平塚市で「建築物」の定期報告が必要になるかどうかは、次のように整理できます。

建物の種類 平塚市での定期報告(建築物)
住戸だけの分譲マンション・賃貸マンション・アパート 対象外
サービス付き高齢者向け住宅(3階以上にある、2階部分が300㎡以上、または地階にある) 対象
ホテル・旅館(同上) 対象
病院・有床診療所・老人ホーム・グループホーム等(同上) 対象
店舗・飲食店(3階以上や地階に100㎡超、2階部分が500㎡以上、または合計3,000㎡以上) 対象
劇場・集会場など(3階以上や地階に100㎡超、または200㎡以上) 対象
エレベーター(昇降機) 原則すべて対象(毎年)

(出典:平塚市「定期報告の対象建築物・建築設備等の一覧表(令和7年7月1日以降)」。一覧表には、対象用途を避難階以外の階に持つものが対象である旨の注記があります。個別の判定は市にご確認ください)

全面打診の要否は、次の一文で判断できます。

「竣工、または前回の全面打診・外壁全面改修から10年を超えていれば、次の定期調査で全面打診が必要」

平塚市は毎年報告なので、「10年を超えた年度の報告」がそのまま全面打診の年になります。3年周期の自治体より、準備の猶予が短いということです。

建築基準法第12条の基本(定期調査と定期検査の違い)

建築基準法第12条は、多くの人が利用する建物の所有者・管理者に「建物の安全を有資格者に定期的に調べさせ、その結果を特定行政庁に報告する」ことを求める制度です。平塚市のページは、多くの犠牲者を出した建築物事故の大半は維持管理が不適切なものだったと説明し、報告をしなかったり虚偽の報告をした場合は百万円以下の罰金の対象になる(建築基準法第101条)と明記しています(出典:平塚市「定期報告制度」(2025年12月11日更新))。

12条には、建物本体を調べる「特定建築物定期調査」(1項)と、設備を調べる「建築設備・防火設備・昇降機等の定期検査」(3項)があります。外壁の打診は、1項の特定建築物定期調査のうち「建築物の外部」の項目に含まれます。

平塚市の報告時期は、次のとおりです。

種類 報告の周期と時期(平塚市)
特定建築物(定期調査) 毎年/4月1日〜10月31日
建築設備(定期検査) 毎年/4月1日〜10月31日
防火設備(定期検査) 毎年/4月1日〜10月31日
昇降機・遊戯施設(定期検査) 毎年/検査済証の交付を受けた日の属する月と同じ月
共通 調査・検査は、報告の日前1月以内に行ったもの

(出典:平塚市「定期報告制度」)

調査ができるのは、一級・二級建築士か特定建築物調査員などの有資格者に限られます。

外壁の全面打診のルールは、平成20年国土交通省告示第282号で定められています。タイル・石貼り(乾式工法を除く)・モルタルなどの外壁で、落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分は、竣工・外壁改修・前回の全面打診から10年を超えたときに、全面的に打診等で調べることになりました。令和4年1月18日の告示改正では、無人航空機(ドローン)による赤外線調査も、全面打診以外の方法として認められています(出典:国土交通省)。制度の全体像は国土交通省「建築基準法に基づく定期報告制度について」でも確認できます。

平塚市の12条点検:窓口・提出先・最近の改正

制度の相談は平塚市建築指導課

項目 内容(公式ページ掲載)
担当 平塚市 まちづくり政策部 建築指導課
住所 〒254-8686 平塚市浅間町9番1号 本館6階
電話(建築安全担当) 0463-20-8860

(出典:平塚市「定期報告制度」)

報告書の提出先は神奈川県建築安全協会

平塚市は、定期報告に関する業務を一般財団法人神奈川県建築安全協会に委託しています。報告書は市役所ではなく、協会(横浜市中区元浜町、ヘリオス関内ビル)に提出します。電話は特定建築物・建築設備等が045-212-4511、昇降機等が045-212-4519です。報告書の様式も協会のホームページからダウンロードします(出典:平塚市「定期報告制度」)。窓口へ持参する場合の予約の要否や受付日は、事前に協会へ確認してください。

令和7年の2つの改正

平塚市のページでは、次の2点の改正が案内されています。

  • 防火設備の対象の見直し(令和7年7月1日〜):国土交通省の告示改正に伴い、定期報告の対象となる防火設備が見直されました。一覧表(令和7年7月1日以降版)では、常時閉鎖式の防火設備のうち、避難経路に設けたもの、吹抜けに面して設けたもの、日常の通行が多く開閉の頻度が高いものなど、各階の主要な防火扉が対象として整理されています。
  • 簡易リフトの扱い(令和7年11月1日〜):労働安全衛生法で規制を受ける簡易リフトは、建築基準法のエレベーター・小荷物専用昇降機の定期報告の対象外になりました。

調査会社に依頼するときは、見直し後の調査項目・様式を理解しているかを確認してください。

「4月〜10月」と「報告前1か月以内」をどう組み合わせるか

平塚市の12条点検で一番大事なのは、この2つのルールの組み合わせです。

報告期限が10月31日なら、調査はその1か月前、つまり9月〜10月に行うのが一つの目安になります。ところが、この時期は台風や秋の長雨と重なります。外壁の打診は、雨や強風の日は作業ができません。私の現場経験でも、秋に予定を組んだ打診が天候で何日も止まったことは一度や二度ではありません。

そのため、私は平塚市のオーナーさまには次のような組み方をお勧めしています。

時期 やること
前年度の冬〜春 竣工年・前回の全面打診の年を確かめ、令和◯年度が全面打診の年かを判定する
4月〜5月 調査会社と工法(足場・ロープアクセス・ハイブリッド)を決め、日程を押さえる
6月〜8月 梅雨明け後に全面打診を実施し、1か月以内に報告書を提出する
9月〜10月 天候で遅れた場合の予備期間として残しておく

「報告前1か月以内」の運用(どの日から数えるか、全面打診に時間がかかる場合の扱いなど)は、計画段階で建築指導課に確認しておくと安心です。

平塚市ならではの事情:湘南の海風と、駅前の外壁

「落ちたら誰に当たるか」で調べる面を決める

告示第282号で全面打診の対象になるのは、「落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分」です。平塚駅周辺のように、歩道に面した商業ビルや店舗併設のマンションが多い地域では、道路側の外壁がまず対象になります。調査会社とは「どの面が対象か」を最初にすり合わせると、見積の数量がぶれにくくなります。

海に近い建物は、劣化の進み方が違う

平塚市の南側は相模湾に面しています。海からの風を受ける建物は、塩分で鉄部のさびや外壁の汚れが進みやすい傾向があります。タイルの目地やシーリングの傷みが早く出ることもあり、10年を待たずに浮きが見つかる建物もあります。海に近い面は、報告年でなくても手の届く範囲で一度叩いてみることをお勧めします。

報告義務がなくても、落下事故の責任は残る

住戸だけの分譲マンションは建築物の定期報告の対象外ですが、外壁タイルが落ちて通行人がけがをすれば、建物の所有者として責任を問われる可能性があります(民法第717条の工作物責任)。報告義務の有無にかかわらず、竣工から10年を目安に外壁の状態を把握しておくことが、結果的に管理組合やオーナーさまを守ります。

全面打診が必要になる4つのきっかけ

理事長さまやオーナーさまには、次の4つを「全面打診のきっかけ」としてお伝えしています。

  1. 竣工から10年を超えた:最初の全面打診の起点です。
  2. 外壁の全面改修から10年を超えた:タイル張替えや全面補修をした年から数え直します。
  3. 前回の定期調査で「要是正」とされ、改善が済んでいない:毎年報告の平塚市では、翌年度の報告で改善状況が問われます。
  4. タイルの浮き・剥落の兆候が見つかった:報告年を待たず、手の届く範囲の打診で異常があれば全面打診で確かめます。

平塚市は毎年報告なので、たとえば平成28年度に全面打診をした建物は、10年を超える令和9年度の報告で全面打診が必要になる可能性が高い、と考えてください。まずは修繕履歴で、前回の大規模修繕の年と、最後に全面打診をした年を確かめてみてください。

費用の目安:打診の㎡単価と、足場・ロープアクセスの差

費用の目安を示します。以下は参考値で、実際の見積は建物の形状・高さ・外壁の仕上げ・敷地条件で大きく変わります。

項目 目安
全面打診調査の㎡単価(調査のみ) 250〜500円/㎡
10階建て・外周80m・打診対象約2,000㎡の調査費 約50〜100万円
同条件で仮設足場を組む場合(工期3か月想定) 約168万円
同条件でロープアクセス工法の場合 約59万円
足場とロープアクセスの差額 約109万円

全体の費用を押し上げるのは、打診そのものより足場です。しかも平塚市では毎年の報告期間が4月〜10月と決まっており、調査は報告前1か月以内というルールもあるため、足場を組んで叩いて外すまでの段取りをこの期間に収める必要があります。料金の考え方は明誠の大規模修繕の料金の考え方でも公開しています。

ロープアクセス工法が12条打診で選ばれる理由

ロープアクセス工法とは、屋上などの確実な吊元から、作業員がメインロープとバックアップロープの2本に接続して壁面に降り、足場を組まずに調査や補修を行う工法です。吊元は2点以上を確保し、二重の冗長化で安全を確保します。国際基準(IRATA)に沿った、業界標準のやり方です。技術の詳細は明誠のロープアクセス工法のページに、安全への取り組みは明誠の安全管理にまとめています。

12条打診でロープアクセスを選ぶ理由は、主に3つです。

  1. 費用:足場代を抑えられます。上の例では、足場工法より約100万円の差が出る可能性があります。
  2. 期間:足場の組立・解体がないため、足場工法の約60%の工期が目安です。平塚市の「4月〜10月」「報告前1か月以内」という枠の中でも、天候の予備日を取りやすくなります。
  3. 居ながら・営業しながら施工:窓や店舗の前に足場やメッシュシートがかからず、日当たりや防犯面の不安、店舗の看板が隠れる心配が少なく済みます。駅前の店舗やホテルにとっては大きな利点です。

打診は、テストハンマーでタイルやモルタルを一枚ずつ叩き、音の違いを聞き分ける仕事です。ロープアクセスなら、見つけた浮きにその場でマーキングし、条件が合えば注入による部分補修まで続けて行えます。ドローンの赤外線調査で全体を把握し、気になる面だけロープアクセスで叩いて確かめる組み合わせも可能です。ただし、市街地でドローンを飛ばすには航空法上の許可・承認や周辺への配慮が必要なため、事前の確認が欠かせません。

株式会社明誠は、これまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕に携わってきました。ロープアクセスでの高所作業では、明誠と全国のフランチャイズ加盟企業で、過去16年間、墜落による労働災害ゼロを続けています。作業は、IRATA水準の訓練を受けた作業員が担当します。

ロープアクセスの訓練体制や施工の実例は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムで詳しく紹介しています。足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3工法の比較もロープアクセスドットコムに掲載しています。塗装・防水・タイル・電気・看板などの専門工事会社さまで、フランチャイズ加盟をご検討の方もロープアクセスドットコムからご覧ください。

12条点検を大規模修繕・長期修繕計画とつなげる

12条点検(または自主的な外壁調査)と大規模修繕を、別々の会社に別々のタイミングで発注している管理組合やオーナーさまは少なくありません。私はこれを、できるだけワンセットで考えるよう提案しています。

  • 足場代の二重払いを避ける:打診のために足場を組み、数年後の大規模修繕でまた組む、という重複をなくせます。
  • 調査結果が補修数量の根拠になる:浮き・欠損の位置と数量が分かれば、見積書の数量が透明になります。
  • 長期修繕計画の精度が上がる:外壁の劣化が数字で分かり、修繕積立金の見通しが立てやすくなります。
  • ハイブリッド工法の判断材料になる:店舗のある低層部は足場、上層部はロープアクセス、と面ごとに使い分けると総額が下がる建物もあります。

平塚市は毎年報告なので、全面打診の年と大規模修繕の年を重ねやすい自治体でもあります。大規模修繕で外壁を全面改修すれば、その年から10年を数え直せます。令和9年度以降に全面打診を控える建物なら、令和8年度のうちに外壁の状態を把握し、その結果を大規模修繕の計画に組み込むのが理想です。

分譲マンションの管理組合さまは管理組合様向けの大規模修繕サービスを、賃貸マンション・テナントビルのオーナーさまはビルオーナー様向けの修繕サービスを、ホテル運営者さまはホテル様向けの修繕サービスをご覧ください。

よくあるご質問

Q. 平塚市の分譲マンションは、12条の定期報告が必要ですか?

A. 平塚市の一覧表では、共同住宅はサービス付き高齢者向け住宅に限って対象とされています。住戸だけのマンションは建築物の定期報告の対象外ですが、エレベーターは原則として毎年の定期検査報告が必要です。

Q. 1階や2階に店舗が入るマンションは対象になりますか?

A. 店舗の用途・階・面積によっては特定建築物として対象になります。たとえば物販店・飲食店は、3階以上や地階に100㎡を超える部分がある場合、2階に500㎡以上ある場合などが対象です。判断に迷う場合は、平塚市建築指導課(建築安全担当 0463-20-8860)に相談してください。

Q. 平塚市の定期報告はいつ出せばよいですか?

A. 特定建築物・建築設備・防火設備は、毎年4月1日から10月31日までが報告時期です。昇降機・遊戯施設は、毎年、検査済証の交付を受けた日の属する月と同じ月に報告します。

Q. 報告書はどこに出しますか?

A. 平塚市は定期報告の業務を一般財団法人神奈川県建築安全協会(横浜市中区元浜町)に委託しています。報告書の提出と様式のダウンロードは協会です。制度の相談は市の建築指導課です。

Q. 調査はいつ行えばよいですか?

A. 平塚市は「報告を行う場合の調査・検査は、その報告の日前1月以内に行ったもの」としています。秋は台風や長雨で打診が止まりやすいため、梅雨明け後の夏に調査し、早めに報告する段取りをお勧めします。

Q. 外壁の全面打診は何年ごとですか?

A. 定期報告の対象建築物では、竣工や外壁の全面改修、前回の全面打診から、おおむね10年を経過したあとの最初の定期調査で必要です。根拠は平成20年国土交通省告示第282号です。平塚市は毎年報告のため、10年を超えた年度の報告が全面打診の年になります。

Q. 足場を組まずに外壁の全面打診はできますか?

A. 屋上に2点以上の吊元を確保できれば、ロープアクセス工法でメインロープとバックアップロープの2本に接続して降り、足場なしで外壁を叩いて調べられます。現地を見て、足場との組み合わせも含めてご提案します。

まとめ+今週動くこと3点

平塚市の12条点検は、平塚市建築指導課が所管し、報告書は神奈川県建築安全協会に提出します。住戸だけのマンションは建築物の定期報告の対象外ですが、飲食店・物販店・ホテル・病院などが一定規模で入る建物は対象です。特定建築物も毎年報告で、報告時期は4月1日から10月31日まで、調査は報告の日前1か月以内に行う必要があります。

今週動くことを3つに絞ります。

  1. 令和8年度の報告が済んでいるかを確かめる:対象建物で未提出なら、期限の10月31日までに何ができるかを、すぐに協会か建築指導課へ相談する。
  2. 最後の全面打診の年を調べる:修繕履歴や過去の調査報告書を見て、令和9年度の報告時点で10年を超えないかを確かめる。報告義務のない分譲マンションも、10年を目安に外壁の状態を数字で把握する。
  3. 令和9年度の段取りを今から組む:梅雨明け後の調査と天候の予備日を前提に、工法(足場・ロープアクセス・ハイブリッド)と大規模修繕との一体化を、次の理事会・オーナー会議で共有する。

明誠の施工実績は明誠の施工事例で、私たちの考え方は明誠の理念でご覧いただけます。ご相談は大規模修繕・打診調査のお問い合わせフォームからどうぞ。平塚市を含む神奈川県全域で、現地調査にも対応しています。報告期間が始まる前に一度建物を見ておくだけでも、次の一手はずっと選びやすくなります。

出典・参考資料

本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月16日(令和8年度)時点で公表されている国土交通省・平塚市・神奈川県の公式情報をもとに執筆しています。平塚市「定期報告制度」は2025年12月11日(令和7年度)の更新で、令和7年7月1日の防火設備の見直しと令和7年11月1日の簡易リフトの扱いの変更を反映しています。令和8年度に入ってからの改定は確認できませんでしたが、令和7年度掲載の情報であるため、報告前に必ず市へ現行の内容をご確認ください。人口は令和8年7月1日現在の推計値で、市は国勢調査確報値の公表後(令和8年11月頃予定)に数値を遡って変更する予定としています。制度は年度途中でも改正があり得ます。調査・報告の前に、平塚市建築指導課(建築安全担当 0463-20-8860)へ最新の内容をご確認ください。費用の数字は参考値で、個別の見積を保証するものではありません。

この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年10月16日


関連記事(姉妹サイト)

ロープアクセス工法の詳細や実例については、姉妹サイト「ロープアクセスドットコム」の以下の記事もぜひご覧ください。

▶ ロープアクセスドットコムの関連記事を見る


本間社長の著書のご案内

『大規模修繕工事 職人だから言える本当の話 —— 見積書では見えない業界の裏側と、修繕積立金を守る発注術』(Kindle版)を出版しています。20年以上の現場経験から、管理組合・オーナーが修繕積立金を守るための発注術と、業界の内幕を書き下ろしました。

▶ Amazonで見る(Kindle版)

小田原市のマンション漏水・防災対策|酒匂川・早川の洪水、高潮・津波、土砂災害のハザードマップから考える大規模修繕の優先順位【2026年度版】

2026年10月15日 更新

小田原市でマンションやビルをお持ちの方に、最初にお伝えしたいことがあります。小田原市は、山と川と海がひとつの市の中にそろっている、関東でもめずらしい地形の街です。そのため、市のハザードマップには、洪水、土砂災害、高潮、津波のすべてが載っています。どれか1つだけ見て「うちは大丈夫」と判断するのは危険です。

私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。拠点は東京都東大和市ですが、神奈川県全域のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけています。20年以上、外壁と防水の現場に立ってきました。仮設足場を組む工事も、メインロープとバックアップロープの2本に接続して壁面に降りる無足場の工事も、どちらも自分の手でやってきた人間です。

今日は、小田原市・神奈川県・国土交通省の公式情報をもとに、小田原市の分譲・賃貸マンション、オーナーさまのビルやホテルが、大規模修繕で先に手を打つべき漏水・防災の場所を整理します。

なお、2026年9月の台風第25号の接近にあたっては、小田原市も市の公式サイトで注意喚起を出していました。市内の個別の被害状況について、私の方で公式資料を確認できておりませんので、この記事では触れません。


結論:小田原市で優先すべきは「地区ごとのリスクの確認」「地下・低層の設備」「屋上と外壁の排水・防水」です

先に結論を申し上げます。小田原市のマンションでは、次の3つから動くことをお勧めします。

  1. 市の「ハザードマップ住所別早見表」で、建物がどの区割のマップに載っているかを確認する:小田原市のハザードマップは市内を8つの区割に分けて作られています。まず自分の建物のページを開くことが出発点です
  2. 受変電設備・給水ポンプ・非常用発電機の設置階を、浸水想定と照らして確認する:川沿いでも海沿いでも、地下や1階の設備が最初に止まります
  3. 屋上ドレン・バルコニー排水・外壁のシーリングを点検し、防水の改修時期を記録で確認する:大雨で最初に出る被害は、排水が追いつかないことによる漏水です

順に見ていきます。


小田原市のハザードマップを1枚で読む

小田原市は、令和4年9月に、洪水・土砂災害・高潮・津波などの災害リスクを地区ごとに一元化したハザードマップを発行しました。市のページ(最終更新日:2025年12月4日)から、区割ごとのPDFを入手できます(出典:小田原市「小田原市ハザードマップ等一覧(令和4年9月発行)」)。

種類 市の公開内容(要点) マンションでの見方
洪水 酒匂川・狩川・山王川・早川・森戸川・中村川の各水系の浸水想定区域を反映 浸水の深さと浸水継続時間、家屋倒壊等氾濫想定区域にかかるか
土砂災害 市内16地区に土砂災害警戒区域が指定 斜面・擁壁に接する建物は県の告示図書で確認
高潮 神奈川県が令和3年8月31日に指定した相模灘沿岸の高潮浸水想定区域を反映 台風時の1階・地下の止水、越波の到達範囲
津波 令和元年12月24日に県が指定した津波災害警戒区域を反映 避難先、上階への避難経路、設備の高さ

市のページは、市内を次の8区割に分けてPDFを公開しています。

  • 緑・新玉・万年・幸・十字・足柄・山王網一色
  • 早川・大窪
  • 片浦
  • 二川・久野・芦子
  • 東富水・富水・桜井
  • 酒匂小八幡・下府中・富士見・国府津
  • 上府中・曽我・下曽我・豊川
  • 前羽・橘北

どの区割に入るかは、市のページの「ハザードマップ住所別早見表」で確認できます。インターネットの地図で見たい場合は、市の地図情報システム「Navi-o」の「防災」からも閲覧できます。

洪水:市のページに載っている水系は6つです

市のページには、洪水浸水想定区域の改定状況として、次の水系が記載されています。

改定日 水系・河川(市ページの記載どおり)
令和2年3月24日 早川水系
令和元年12月20日 森戸川水系、中村川水系
平成30年7月27日 酒匂川水系狩川(仙了川、要定川、洞川、川音川)
平成30年6月1日 山王川水系山王川
平成29年3月31日 酒匂川水系酒匂川

(出典:小田原市「小田原市ハザードマップ等一覧」)

私が自治体の記事を書くときに必ず守っているのは、広域の資料に出てくる川をすべてその市に当てはめない、ということです。上の表は、小田原市の公式ページに載っている水系だけを書き写したものです。指定図面の詳細は、市のページが案内しているとおり、神奈川県河港課の県内洪水浸水想定区域図で確認してください。

内水:水防法に基づく市のマップは、洪水・土砂と高潮の2種類です

ここは見落とされやすい点です。市のページには、宅地建物取引業者向けの案内として、「市では現在、洪水・土砂災害ハザードマップ及び高潮ハザードマップを水防法第15条第3項の規定に基づき作成している」と書かれています。つまり、下水道や排水路が雨水をさばけずにあふれる「内水(雨水出水)」の水防法に基づくマップは、この一覧には含まれていません。

だからといって、内水の心配がないわけではありません。洪水の浸水想定区域の外でも、短時間の強い雨で道路や敷地に水がたまり、1階や地下の設備室に流れ込むことはあります。内水のリスクについては、市の防災対策課(0465-33-1855)に問い合わせるのが確実です。

土砂災害:市内16地区、500区域以上が指定されています

小田原市のページによると、市内16地区で、土砂災害警戒区域は土石流116区域、がけ崩れ(急傾斜地)396区域が指定されています。土砂災害特別警戒区域は、土石流86区域、がけ崩れ346区域です。

一方で、次の10地区は土砂災害の指定がない、とも明記されています。新玉、万年、山王網一色、足柄、東富水、桜井、酒匂・小八幡、下府中、富士見、豊川です。

市のページは、マップ上の区域は作成時点のもので、法的な図面は神奈川県土砂災害情報ポータルの告示図書で確認するよう案内しています。斜面や擁壁に接している建物は、必ず県の情報で確認してください。

高潮:早川を境に、東側版と西側版の想定図があります

神奈川県は2021年(令和3年)8月31日に、相模灘沿岸の高潮浸水想定区域を指定・公表しました。想定は、室戸台風の中心気圧や伊勢湾台風の暴風半径などを参考にした「我が国既往最大規模等の台風」で、高潮と同時に河川の洪水も考慮し、堤防等の決壊も見込んだ最悪の条件です。

小田原市はこれを受けて「高潮・高波浸水想定図」を作成しており、早川以東版と早川以西版があります。浸水の深さを示す図に加えて、越波(護岸を越えた波)や氾濫流で建物の倒壊・流失のおそれがある「家屋倒壊等氾濫想定区域図」も公開されています(出典:小田原市「相模灘沿岸における高潮浸水想定区域の指定について」最終更新日:2026年2月10日)。

なお、同ページには、県が修正作業中のため一時公開を停止していたが、現在は修正後の区域図が公表されている、との記載があります。古いPDFを保存している管理組合さまは、県のページから最新版を取り直してください。

津波:相模トラフ沿いの地震(西側モデル)が想定の基準です

小田原市内では、神奈川県知事が令和元年12月24日に「津波災害警戒区域」を指定しました。市のページによると、想定の基準は、本市の津波被害が最大となる「相模トラフ沿いの海溝型地震(西側モデル)」で、地震規模はマグニチュード8.7です。

この指定にあわせて「基準水位」(津波が建物などにぶつかったときの波の高さ)が公表されています。市は市内約90か所の建物を津波避難ビルとして指定しており、基準水位を参考に見直しを進めるとしています(出典:小田原市「津波災害警戒区域の指定について」)。

海沿いのマンションは、自分の建物が津波避難ビルとして指定されているか、または近くのどの建物が指定されているかを、理事会で確認しておくと安心です。基準水位は、神奈川県の「e-かなマップ」で地図上で確認できます。


地域特性と漏水事故の関係:山・川・海で、傷み方が違います

小田原市のマンションをご覧になるとき、私は大きく3つの地形で見ています。ここは私の現場経験にもとづく見方であり、市の公式資料の分類ではないことをお断りしておきます。

海に近い建物:潮風と越波で、金物と防水が傷みます

海風の当たる建物では、屋上の金物、手すり、設備架台の錆が早く進みます。塗膜の端部から錆が入り、そこから雨水が回って、防水層の下で広がる例を、私はこれまで何度も見てきました。小田原の海沿いは、高潮の想定図に「越波」の区域が示されているとおり、台風のときは波しぶきが建物に直接かかることもあります。日常の潮風と台風の越波、その両方が外壁と防水を傷めます。

河川沿いの低地の建物:浸水継続時間と排水能力

酒匂川や狩川、山王川の流域に広がる平地のマンションでは、洪水の浸水の深さだけでなく、「浸水継続時間」を必ず見てください。水が引くまで時間がかかる場所では、地下や1階の受変電設備、給水ポンプが長く使えなくなります。また、川があふれなくても、屋上やバルコニーの排水が追いつかなければ、最上階や上階の住戸に漏水が出ます。

斜面や擁壁に接する建物:土の水を見ます

早川・大窪、片浦、二川・久野・芦子の区割など、斜面の多い地域では、擁壁の水抜き穴の詰まりが、地下階や1階の漏水につながります。土砂災害警戒区域に入っているかを県のポータルで確認し、擁壁の点検記録もあわせて保管してください。


大規模修繕でチェックすべき漏水ポイント7つ

ここからは、地域を問わず、私が現場で最初に見る7か所です。小田原市の事情に引きつけてお話しします。

  1. 屋上防水:潮風と紫外線で、保護層のひび割れや防水層の膨れが出ます。防水改修の一般的な目安は、㎡あたり5,000〜8,000円です(工法・下地・面積で大きく変わります)
  2. シーリング(目地の防水材):外壁の目地とサッシまわりは、打ち替えの時期を記録で確認します。ここが切れると、雨が壁内に入ります
  3. バルコニー排水:落ち葉や砂で詰まりやすい場所です。海に近い建物は砂の堆積も見ます
  4. 屋上ドレン(排水口):豪雨で最初に詰まる場所です。ストレーナー(ごみ除け)の清掃と、排水管の勾配・口径を確認します
  5. 立上り(防水層の端部):屋上に水がたまったとき、水が越える部分です。高さと端部の処理を確認します
  6. サッシまわり:強風を伴う雨では、サッシ下端から水が入ります。台風の時期は、ここの相談が一番増えます
  7. エキスパンションジョイント(建物の継ぎ目):建物の揺れに追従する部分です。小田原市は相模トラフの地震が想定される地域ですので、地震後の漏水の入口になりやすいこの部分は、大規模修繕のときに必ず見ておきます

足場を組まずに、屋上からロープで降りて確認できる部位も多くあります。調査の段階で、足場工法と無足場工法、またはその両方を組み合わせたハイブリッド工法の、どれが合うかを見極めます。詳しい技術情報は、姉妹サイト「ロープアクセスドットコム」にまとめています。


漏水緊急対応でロープアクセスが強い理由

大雨や台風のあとに「最上階の天井から水が落ちてくる」という連絡を受けたとき、足場を組む手配から始めると、早くても数日から1週間以上かかります。その間に、住戸の被害は広がります。

ロープアクセスは、メインロープとバックアップロープの2本に接続して作業します。屋上の吊り元を2点以上確保できれば、足場の手配を待たずに、原因箇所の特定と応急処置に入れます。足場を組まないぶん、仮設費も抑えられます。明誠の試算では、10階建て・外周80m・工期3か月の条件で、足場費が約168万円に対し、ロープアクセスでは約59万円(差額約109万円)という比較例があります。物件の形状や高さで大きく変わる参考値です。

明誠は、これまでに約6,000棟の大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセス工法での高所作業については、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業で、過去16年間、墜落による労働災害ゼロを維持しています。技能訓練はIRATA(国際産業ロープアクセス協会)の水準で行っています。

応急処置の費用は、被害の範囲や建物の高さで変わります。散水試験を含む原因調査と、シーリングの部分補修で、数万円から数十万円の範囲に収まるケースもあります。あくまで目安ですので、状況を拝見したうえで見積もりをお出しします。漏水のご相談は、明誠の漏水対応のご案内をご覧ください。ロープアクセス工法そのものの考え方はロープアクセス工法のご紹介に、料金の考え方は明誠の料金の考え方に整理しています。


防災上の共用部:位置と修繕の優先度

漏水の修繕と並んで、私が理事会でお伝えしているのが、共用部の設備の「位置」の確認です。国土交通省と経済産業省の「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン」は、令和元年東日本台風で高層マンションの受変電設備が浸水し、エレベーターや給水設備が長時間使えなくなった事例を背景に作られました。ガイドラインでは、ハザードマップなどから想定浸水深を決め、浸水リスクの低い場所への設置、開口部の止水、設備の嵩上げなどを組み合わせて対策を検討する、と整理されています。受変電設備の復旧には、排水、清掃・点検、応急措置、組立・配線、送電の順で、概ね2〜4日を要するとされています(出典:国土交通省「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン(概要)」)。

小田原市のマンションで、確認していただきたい順番を表にしました。

共用部 確認すること 優先度の考え方
受変電設備・自家発電機 設置階が、洪水・高潮の浸水想定より上か 最優先。止まるとほかの設備もすべて止まる
給水ポンプ ポンプ室の位置と、止水板の有無 断水は、居住の継続を直撃する
エレベーター 制御盤の位置、浸水時の停止運用 受変電設備とセットで確認
避難通路・外階段 手すり・踏面の劣化、津波避難時の通行 上階への避難経路を実際に歩いて確認
擁壁・水抜き穴 詰まり、ひび割れ、はらみ 土砂災害警戒区域に接する建物は優先度が上がる
屋上・バルコニー排水 ドレンの清掃記録 毎年の点検で足りる、最も費用対効果が高い

大規模修繕で足場をかけたり、ロープで外壁に降りたりするついでに、これらの周辺の外壁や防水を直しておくと、無駄な再工事を避けられます。


小田原市の耐震関連の補助制度

小田原市のよくある質問ページ(最終更新日:2025年4月28日)では、住宅の耐震診断の補助制度として「木造住宅耐震診断費補助金」が案内されています(出典:小田原市「住宅の耐震診断をしたいのですが、補助制度はありますか。」)。

今回、私が確認した範囲では、分譲マンション(非木造の共同住宅)を対象とした耐震診断・改修の補助制度について、市の公式ページで令和8年度の内容を確認することはできませんでした。制度は年度で変わりますので、旧耐震基準(昭和56年5月31日以前の着工)のマンションで耐震診断をお考えの管理組合さまは、市の都市部建築指導課(0465-33-1433)に、令和8年度の対象と受付状況を直接ご確認ください。


よくあるご質問

Q. 小田原市のハザードマップは、どこで手に入りますか?

A. 市の公式ページ「小田原市ハザードマップ等一覧」から、8つの区割ごとのPDFをダウンロードできます。紙のマップは、市役所3階の防災対策課、各タウンセンター、尊徳記念館などで受け取れます。

Q. うちのマンションはどの区割のマップを見ればよいですか?

A. 市のページにある「ハザードマップ住所別早見表」で、住所から該当する区割を確認できます。

Q. 内水(下水があふれる浸水)のハザードマップはありますか?

A. 市のページでは、水防法に基づくマップとして「洪水・土砂災害」と「高潮」の2種類を作成していると案内されています。内水のリスクは、市の防災対策課に直接ご確認ください。

Q. 雨のたびに最上階で漏水します。足場を組まないと調べられませんか?

A. ロープアクセスなら、屋上からメインロープとバックアップロープの2本に接続して、外壁やサッシまわりを調べられます。足場の手配を待たずに、原因箇所の特定と応急処置に入れることが多いです。

Q. 防水の改修費用はどのくらいですか?

A. 一般的な目安は㎡あたり5,000〜8,000円です。屋上の面積、既存の防水の種類、下地の状態で大きく変わります。現地を拝見したうえで概算をお出しします。

Q. 海沿いのマンションで、大規模修繕のときに特に気をつけることは?

A. 金物の錆と、塗膜端部・シーリングの劣化です。潮風で劣化が早く進むため、前回の修繕からの年数だけで判断せず、実際の劣化状況を調査で確認することをお勧めします。

Q. まず何から相談すればよいですか?

A. 竣工図、過去の大規模修繕の記録、屋上防水の施工年がわかる資料をご用意ください。そこから、漏水の履歴とハザードマップ上の位置を一緒に整理します。


まとめ:今週動くこと3点

小田原市のマンション管理組合さま、ビルオーナーさまに、今週のうちに動いていただきたいことを3つに絞ります。

  1. 市の「住所別早見表」で区割を確認し、該当ページの洪水・土砂・高潮・津波の想定を理事会で共有する:コピーを1枚配るだけで十分です
  2. 受変電設備・給水ポンプ・非常用発電機の設置階を、竣工図で確認する:浸水想定より下にあれば、対策の検討を始めてください
  3. 屋上ドレンとバルコニー排水を、次の雨の前に清掃する:費用をほとんどかけずにできる、最も効果の高い備えです

総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。管理組合さまは管理組合向けのご案内、ビルオーナーさまはビルオーナー向けのご案内をご覧のうえ、お問合せフォームからお気軽にご相談ください。これまでの実績は明誠の施工事例からご覧いただけます。ロープアクセス工法の安全基準や実例は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムにあります。

次回も、現場で本当に使える話だけをお届けします。

出典・参考資料

※本記事の制度・ハザード情報は2026年10月15日時点で各公式ページを確認した内容です。最新の情報は各機関の公式サイトでご確認ください。

この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年10月15日


関連記事(姉妹サイト)

ロープアクセス工法の詳細や実例については、姉妹サイト「ロープアクセスドットコム」の以下の記事もぜひご覧ください。

▶ ロープアクセスドットコムの関連記事を見る


本間社長の著書のご案内

『大規模修繕工事 職人だから言える本当の話 —— 見積書では見えない業界の裏側と、修繕積立金を守る発注術』(Kindle版)を出版しています。20年以上の現場経験から、管理組合・オーナーが修繕積立金を守るための発注術と、業界の内幕を書き下ろしました。

▶ Amazonで見る(Kindle版)

茅ヶ崎市のマンション漏水・防災対策|洪水・内水・津波・高潮のハザードマップから考える大規模修繕の優先順位【2026年度版】

2026年10月15日 更新

茅ヶ崎市で分譲マンションやビルをお持ちの方に、まず確認していただきたいことがあります。市が公開している津波ハザードマップ(令和7年8月作成)では、最大の津波高が9.6m、最短7分で到達する想定も示されています。海に近い建物だけの話ではなく、河川沿いの建物も、市内を流れる川の洪水と内水の想定を見ておく必要があります。

私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。拠点は東京都東大和市ですが、神奈川県内のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕も手がけています。20年以上、外壁と防水の現場に立ってきました。仮設足場を組む工事も、メインロープとバックアップロープの2本に接続して壁面に降りる無足場の工事も、どちらも自分の手でやってきた人間です。

今日は、茅ヶ崎市・神奈川県・気象庁・国土交通省の公式情報をもとに、茅ヶ崎市の分譲・賃貸マンション、そしてオーナーさまのビルやホテルが、大規模修繕で先に手を打つべき漏水・防災の場所を整理します。

なお、台風第25号(2026年9月)では、千葉県で24時間降水量が観測史上1位を更新した地点が出るなど、関東の広い範囲で大雨への警戒が高まりました(出典:銚子地方気象台 速報)。茅ヶ崎市内の個別の被害状況は、私の方で公式資料を確認できておりませんので、この記事では触れません。


結論:茅ヶ崎市で優先すべきは「津波と高潮に備えた地下・低層の設備」「河川沿いの内水対策」「屋上とバルコニーの排水」です

先に結論を申し上げます。茅ヶ崎市のマンションでは、次の3つから動くことをお勧めします。

  1. 受変電設備・給水ポンプ・非常用発電機の置き場所を、ハザードマップの浸水想定と照らして確認する:地下や1階にある設備は、津波・高潮・内水のどれでも最初に止まります
  2. 屋上ドレン・バルコニー排水・サッシまわりのシーリングを点検し、防水の改修時期を記録で確認する:まとまった雨で最初に出る被害は、排水が追いつかないことによる漏水です
  3. 市の洪水・内水ハザードマップで、自分の建物が浸水する深さと時間を理事会で共有する:「うちは大丈夫」という思い込みが、一番の弱点になります

順に見ていきます。


茅ヶ崎市のハザードマップを1枚で読む

茅ヶ崎市は、洪水・土砂災害・内水・津波・高潮・液状化のハザードマップを、市の公式ページで公開しています。まず種類ごとに、何が書いてあるかを整理します。

種類 市の公開内容(要点) マンションでの見方
洪水・土砂災害・内水 表面に洪水と土砂災害、裏面に内水。対象河川は相模川・小出川・千ノ川・駒寄川・目久尻川 浸水の深さ・時間・河岸侵食の3点を見る
津波 令和7年8月作成。5つの想定地震を重ねた最大津波高と到達時間 避難先と上階への避難経路、設備の高さ
高潮 神奈川県の高潮浸水想定区域図に基づく。浸水想定区域内の字名を一覧で公開 台風時の1階・地下の止水対策
液状化 50mメッシュ。平成25年8月に完成 建物まわりの地盤沈下・配管の破損

(出典:茅ヶ崎市「洪水・土砂災害・内水ハザードマップ」「高潮ハザードマップ」「液状化ハザードマップ」)

洪水・内水:市の地図に載っている河川は5本です

市の洪水・土砂災害・内水ハザードマップに掲載されている対象河川は、相模川、小出川、千ノ川、駒寄川、目久尻川です。ここで申し上げておきたいのは、広域の資料に出てくる川を、すべて茅ヶ崎市に当てはめてはいけない、ということです。私はいつも、市の公式ページに載っている川だけを見るようにしています。

市のページによると、このハザードマップは令和3年度に更新され、PDFは2021年9月の改訂版です。さらに、駒寄川と千ノ川の浸水想定区域の一部は、市が管理する河川として計算したもので、水防法の方法による想定ではない、という注記があります。

そして新しい動きがあります。市のページには、令和8年3月31日に雨水出水(内水)の浸水想定区域を市が指定した、との記載があります。内水とは、川があふれるのではなく、下水や排水路が雨水をさばけずに街があふれる現象です。川から離れた建物でも起こります。

土砂災害:県が令和8年2月27日に区域を更新しています

土砂災害警戒区域・特別警戒区域は、令和8年2月27日に神奈川県が更新しました。市のページは、正確な境界は県の告示図書と県の土砂災害情報ポータルで確認するよう案内しています。市の地図は目安であり、不動産の判断に使えるほど精密ではない、とも明記されています。斜面や擁壁に接する建物は、県の情報で確認してください。

津波:最大9.6m、最短7分の想定があります

市の津波ハザードマップ(令和7年8月作成)には、想定地震ごとの最大津波高と最大津波到達時間が示されています。

想定地震 最大津波高 最大津波到達時間
相模トラフ沿いの海溝型地震(西側モデル) 8.6m 17分
相模トラフ沿いの海溝型地震(中央モデル) 9.6m 16分
元禄関東地震タイプ 7.1m 7分
元禄関東地震タイプと国府津-松田断層帯地震の連動 7.1m 7分
慶長型地震 7.7m 52分

(出典:茅ヶ崎市「津波ハザードマップ」令和7年8月)

この地図は、神奈川県が令和7年3月24日に茅ヶ崎市を津波災害警戒区域に指定したことを受け、県の示す基準水位に基づいて作られました(出典:茅ヶ崎市「新たな津波ハザードマップを作成」令和7年8月27日)。7分という数字は、揺れが収まってから理事会を開いている時間がない、ということを意味します。

高潮:市内の字名が一覧になっています

高潮ハザードマップは、神奈川県が作成した高潮浸水想定区域図が元になっています。市のページには、矢畑、中海岸3丁目、南湖、柳島、浜之郷、萩園、汐見台、白浜町、浜須賀などの字名が、浸水想定区域内として示されています。お持ちの建物の住所が、この一覧に入っているかどうかを、まず市のページで確認してください。


地域特性と漏水事故の関係:海沿いの塩害と、河川沿いの水

茅ヶ崎市のマンションをご覧になるとき、私は大きく3つの地形で見ています。ここは私の現場経験にもとづく見方であり、市の公式資料の分類ではないことをお断りしておきます。

海に近い建物:塩害と飛来物で、防水と金物が傷みます

海風の当たる建物では、屋上の金物、手すり、設備架台の錆が早く進みます。塗膜の端部から錆が入り、そこから雨水が回って、防水層の下で広がる例を、私はこれまで何度も見てきました。津波や高潮のときだけでなく、日常の潮風が、建物の寿命を縮めています。

河川沿いの建物:内水と排水能力の限界

千ノ川、小出川、駒寄川の沿いでは、過去に水位の上昇で避難の情報が出た経緯があります。市の資料によると、平成26年10月の台風18号では、千ノ川で8,097世帯(19,752人)、小出川で9,547世帯(24,497人)が避難勧告の対象になりました。これは避難勧告の対象規模であり、浸水した棟数ではありません。また、平成28年の台風9号、平成29年の台風21号、平成30年の台風12号でも、千ノ川の水位上昇により避難準備情報等が出されています(出典:茅ヶ崎市「風水害対策」)。

同じ資料は、市内で1時間に50mmを超える大雨の頻度が増えていると記しています。1時間50mmは、屋上ドレンや雨どいの設計を超えやすい雨量です。排水が追いつかない屋上は、数センチの水が溜まるだけで、立上りの端部やパラペットの笠木の継ぎ目から水が入ります。

内陸の斜面や擁壁に接する建物:土の水を見ます

斜面や擁壁に接している建物では、擁壁の水抜き穴の詰まりが、地下階や1階の漏水につながります。県の土砂災害情報ポータルで、警戒区域に入っているかを確認し、擁壁の点検記録も合わせて保管してください。


大規模修繕でチェックすべき漏水ポイント7つ

ここからは、地域を問わず、私が現場で最初に見る7か所です。一つずつ、茅ヶ崎市の事情に引きつけてお話しします。

  1. 屋上防水:塩害と紫外線で、保護層のひび割れや防水層の膨れが出ます。防水改修の目安は、工法により10〜15年程度とされることが多く、一般的な改修費の目安は㎡あたり5,000〜8,000円です(物件により大きく変わります)
  2. シーリング(目地の防水材):外壁の目地とサッシ周りは、打ち替えの時期を記録で確認します。ここが切れると、雨が壁内に入ります
  3. バルコニー排水:落ち葉や砂で詰まりやすい場所です。海に近い建物は砂の堆積も見ます
  4. 屋上ドレン(排水口):豪雨で最初に詰まる場所です。ストレーナー(ごみ除け)の清掃と、排水管の勾配・口径の確認をします
  5. 立上り(防水層の端部):水が溜まったときに水が越える部分です。高さと端部の処理を確認します
  6. サッシまわり:強風を伴う雨では、サッシ下端から水が入ります。台風時は特にここの相談が増えます
  7. エキスパンションジョイント(建物の継ぎ目):建物の揺れや沈下に追従する部分で、ここが劣化すると、地震後に漏水が出ます

足場を組まずに、屋上からロープで降りて確認できる部位も多くあります。調査の段階で、足場工法と無足場工法、またはその両方を組み合わせたハイブリッド工法の、どれが合うかを見極めます。詳しい技術情報は、姉妹サイト「ロープアクセスドットコム」にまとめています。


漏水緊急対応でロープアクセスが強い理由

大雨のあとに「最上階の天井から水が落ちてくる」という連絡を受けたとき、足場を組む手配から始めると、早くても数日から1週間以上かかります。その間に、住戸の被害は広がります。

ロープアクセスは、メインロープとバックアップロープの2本に接続して作業します。屋上の吊り元を2点以上確保できれば、足場の手配を待たず、原因箇所の特定と応急処置に入れます。足場を組まないぶん、仮設費も抑えられます。たとえば10階建て・外周80m・工期3か月の目安では、足場費が約168万円に対し、ロープアクセスでは約59万円(差額約109万円)という比較例があります(物件により大きく異なる参考値です)。

明誠は、約6,000棟の大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセス工法での高所作業については、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業で、過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。技能訓練はIRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準で行っています。

応急処置の費用は、被害の範囲や建物の高さで変わります。散水試験を含む原因調査と、シーリングの部分補修で、数万円から数十万円の範囲に収まるケースもあります。ただし、あくまで目安ですので、状況を拝見した上で見積もりをお出しします。漏水の相談は、明誠の漏水対応のご案内をご覧ください。ロープアクセス工法そのものの考え方は、ロープアクセス工法のご紹介に整理しています。

大規模修繕の総額は、30戸規模のマンションで3,500万〜5,000万円がひとつの目安で、そのうち仮設足場が15〜25%を占めます。ここを見直せるのが、ロープアクセスの強みです。料金の考え方は明誠の料金の考え方にあります。


防災上の共用部:位置と修繕の優先度

漏水の修繕と並んで、私が理事会でお伝えしているのが、共用部の位置の確認です。国土交通省と経済産業省の「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン」は、令和元年東日本台風で武蔵小杉周辺の高層マンションの受変電設備が浸水し、エレベーターや給水設備が長時間使えなくなった事例を背景に作られました。ガイドラインでは、ハザードマップなどから想定浸水深を決め、浸水リスクの低い場所への設置、開口部の止水、設備の嵩上げなどを組み合わせて対策を検討する、と整理されています。受変電設備の復旧は、排水、清掃・点検、応急措置、組立・配線、送電の順に進み、所要日数は概ね2〜4日とされています(出典:国土交通省「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン(概要)」)。

茅ヶ崎市のマンションで、確認していただきたい順番を表にしました。

共用部 確認すること 優先度の考え方
受変電設備・自家発電機 設置階が、浸水想定より上か 最優先。止まるとほかの設備もすべて止まる
給水ポンプ ポンプ室の位置と、止水板の有無 断水は、居住の継続を直撃する
エレベーター 制御盤の位置、浸水時の停止運用 受変電設備とセットで確認
避難通路・外階段 手すり・踏面の劣化、津波避難時の通行 7分で動ける経路かを実際に歩いて確認
屋上・バルコニー排水 ドレンの清掃記録 毎年の点検で足りる、最も費用対効果が高い

大規模修繕の工事の足場をかけるついでに、これらの周辺の外壁や防水を直しておくと、無駄な再工事を避けられます。


茅ヶ崎市の防災補助・耐震助成

市は、昭和56年5月31日以前に建築または着工した旧耐震基準の分譲マンションについて、耐震診断費用の一部を補助する制度を案内しています。市のページによると、補助率は耐震診断費用の2分の1、上限額は区分所有者が居住する住戸数に30,000円を乗じた額で、実際の補助額はこの額と補助率による額のうち少ない方です。

ただし、このページの更新日は令和5年3月31日で、現行の令和8年度の実施状況や金額は、このページだけでは確認できません。制度は年度で変わりますので、ここで紹介した数字はあくまで市のページの記載内容です。申請をお考えの管理組合さまは、市の建築指導課に、令和8年度の受付可否と補助額を直接ご確認ください。市のページには、補助金額が単年度予算を超える場合は10月までに相談するよう案内もあります(出典:茅ヶ崎市「分譲マンション耐震診断事業補助金のご案内」)。


よくあるご質問

Q. 茅ヶ崎市のマンションは、津波と洪水のどちらを先に備えるべきですか?

A. 建物の位置によります。市の津波ハザードマップには最短7分の想定があり、海に近い建物は避難経路と設備の高さを先に確認してください。河川沿いの建物は、洪水・内水の浸水深と時間を市の地図で確認することから始めます。

Q. 内水ハザードマップは、どこで見られますか?

A. 市の「洪水・土砂災害・内水ハザードマップ」の裏面に内水の情報があります。市のページでは、令和8年3月31日に雨水出水(内水)の浸水想定区域を市が指定したとの記載もありますので、最新の資料は防災対策課にご確認ください。

Q. 雨のたびに最上階で漏水します。足場を組まないと調べられませんか?

A. ロープアクセスなら、屋上からメインロープとバックアップロープの2本に接続して外壁やサッシまわりを調べられます。足場の手配を待たずに、原因箇所の特定と応急処置に入れることが多いです。

Q. 防水の改修費用はどのくらいですか?

A. 一般的な目安は、㎡あたり5,000〜8,000円です。屋上の面積、既存の防水の種類、下地の状態で大きく変わります。現地を拝見したうえで概算をお出しします。

Q. 足場を組む場合とロープアクセスで、工期はどう違いますか?

A. 10階建て・外周80mのマンションでは、足場の3か月に対し、ロープアクセスは1.5〜2か月が目安です。建物の形状によっては、足場とロープアクセスを部位ごとに使い分けるハイブリッド工法の方が、総額が下がることもあります。

Q. 耐震診断の補助金は、令和8年度も使えますか?

A. 市のページの更新日は令和5年3月31日です。令和8年度の受付状況と補助額は、市の建築指導課に直接ご確認ください。

Q. まず何から相談すればよいですか?

A. 竣工図と、過去の大規模修繕の記録、屋上防水の施工年がわかる資料をご用意ください。そこから、漏水の履歴と、ハザードマップ上の位置を一緒に整理します。


まとめ:今週動くこと3点

茅ヶ崎市のマンション管理組合さま、ビルオーナーさまに、今週のうちに動いていただきたいことを3つに絞ります。

  1. 市の公式ページで、建物の住所が洪水・内水・津波・高潮のどの想定に入るかを確認し、理事会で共有する:コピーを1枚配るだけで十分です
  2. 受変電設備・給水ポンプ・非常用発電機の設置階を、竣工図で確認する:浸水想定より下にあれば、対策の検討を始めてください
  3. 屋上ドレンとバルコニー排水を、雨の前に清掃する:費用をほとんどかけずにできる、最も効果の高い備えです

総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。管理組合さまは管理組合向けのご案内、ビルオーナーさまはビルオーナー向けのご案内をご覧のうえ、お問合せフォームからお気軽にご相談ください。これまでの実績は明誠の施工事例からご覧いただけます。ロープアクセス工法の詳しい技術情報は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムにあります。

次回も、現場で本当に使える話だけをお届けします。

出典・参考資料

この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年10月15日


関連記事(姉妹サイト)

ロープアクセス工法の詳細や実例については、姉妹サイト「ロープアクセスドットコム」の以下の記事もぜひご覧ください。

▶ ロープアクセスドットコムの関連記事を見る


本間社長の著書のご案内

『大規模修繕工事 職人だから言える本当の話 —— 見積書では見えない業界の裏側と、修繕積立金を守る発注術』(Kindle版)を出版しています。20年以上の現場経験から、管理組合・オーナーが修繕積立金を守るための発注術と、業界の内幕を書き下ろしました。

▶ Amazonで見る(Kindle版)

鎌倉市の管理組合が使える無料相談窓口13選|マンション管理士の市民相談・県アドバイザー派遣・耐震アドバイザーから国の電話相談まで【令和8年度版】

2026年10月15日 更新

鎌倉市のマンションの理事長さまから、こんなご相談をいただくことがあります。

「大規模修繕の時期が近づいてきたが、誰に何を聞けばいいのか分からない。専門家への相談料を修繕積立金から出すのは気が引ける」

鎌倉市の管理組合には、費用をかけずに動ける入口があります。市役所の市民相談に、マンション管理士が60分かけて管理や修繕の相談に応じる「マンション管理相談」があるのです。市の「市民相談」のページには、毎月第1木曜日の13時から16時と案内されています(出典:鎌倉市「市民相談内容・日時・他」、2026年6月1日更新)。

申し遅れました。私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。東京都東大和市を拠点に、20年近くマンション・ビル・ホテルの外壁の仕事をしてきました。この記事では、令和8年10月15日時点で鎌倉市の管理組合が使える窓口を、費用の根拠とあわせて整理します。


結論:鎌倉市で使える窓口は13、無料と読めるのは9

先に一覧でお示しします。公式ページに「無料」と書かれているもの、市の「無料相談」の一覧に載っているもの、費用の記載が見つからなかったものを分けています。

# 制度・窓口 誰が対応するか 費用 申込先
1 市民相談「マンション管理相談」 マンション管理士(60分) 無料相談の一覧に掲載(個別の費用記載なし) くらしと福祉の相談窓口 0467-61-3864
2 市民相談「法律相談」 弁護士(30分) 無料相談の一覧に掲載(同上) 同上
3 市民相談「不動産相談」 専門の相談員(20分) 無料相談の一覧に掲載(同上) 同上
4 市民相談「司法書士相談」 司法書士(30分) 無料相談の一覧に掲載(同上) 同上
5 市民相談「税務相談」 税理士(30分) 無料相談の一覧に掲載(同上) 同上
6 神奈川県 マンションアドバイザー派遣 マンション管理士・建築士等 無料(年度内2回まで) かながわマンション管理組合ネットワーク 045-620-6300
7 神奈川県主催 マンション管理組合交流会 専門家の助言つき 要確認(費用の記載なし) 神奈川県マンション管理士会事務局 045-662-5471
8 耐震改修アドバイザーの派遣 専門家(1回2時間以内、3回まで) 無料 建築指導課
9 マンション耐震診断補助金 診断費用の2分の1を補助 補助(無料ではない) 建築指導課 0467-61-3586
10 管理計画認定制度(市の独自の防災項目) 都市計画課 要確認(手数料の記載なし) 都市計画課 0467-61-3408
11 管理計画認定制度 相談ダイヤル(日管連) マンション管理士 無料(何回でも、1回30分程度まで) 03-5801-0858
12 マンション管理センター 電話相談 専門相談員 要確認(費用の記載なし) 03-3222-1517/1519
13 法テラス 無料法律相談 弁護士等 無料(収入・資産の基準あり) 0570-078374

「無料と読める」の9は、1〜5・6・8・11・13です。1〜5は、市の「市民相談」のページで「鎌倉市では、各種の無料相談を行っています」という見出しの下に並んでいます。ただし、相談ごとの費用は個別に書かれていないため、予約の電話でひと言確認すると安心です(出典:鎌倉市「市民相談」、2026年10月9日更新)。

正直にお伝えします。費用の記載を確認できなかった窓口が3つ、補助であって無料ではないものが1つありました。電話で申し込むときに「相談料はかかりますか」とひと言確認するだけで、あとから戸惑わずに済みます。

もう一つ、押さえておきたい点があります。神奈川県の「マンションアドバイザー派遣事業」は、横浜市・川崎市・相模原市・横須賀市を除く県内の分譲マンションが対象です。鎌倉市はこの除外に入っていません。鎌倉市のページにも、令和8年度の事業として案内されています(出典:神奈川県「マンションアドバイザー派遣事業」、2026年6月26日更新)。


市民相談の「マンション管理相談」:マンション管理士が60分

私が鎌倉市の管理組合に最初にお勧めするのは、この相談です。市の案内を整理すると、次のとおりです。

項目 内容
相談の内容 マンション管理(修繕、管理規約の改正、理事会運営等)
対応する人 マンション管理士
1回の時間 60分(ほかの相談は20〜30分)
日程・会場 毎月第1木曜日 13時〜16時、市役所
予約 必要。相談日の一週間前から電話で受付(メール・FAXは不可)
予約窓口 くらしと福祉の相談窓口 0467-61-3864(受付8時30分〜17時)
対象 市内に在住・在勤・在学の方
制限 同一案件での相談は1回限り

これからの日付と、予約のタイミング

「第1木曜」のルールどおりなら、次回は11月5日(木)、その次は12月3日(木)、令和9年1月7日(木)です。今日10月15日(木)は、10月の枠がすでに過ぎています。予約は相談日の一週間前から始まりますので、11月5日の枠は10月29日(木)から電話で取れる計算です。

ここで注意が必要です。月ごとの実際の日程は、市のサイトに掲載される「市民相談日程表(市民相談課分)」のPDFで決まります。私が確認したページには、10月と11月分のPDFへのリンクが載っていましたが、その中身までは確認できていません。電話で予約するときに、日付を必ず聞き直してください。

管理組合として使えるかは、書かれていません

2つの点にご注意ください。

  • 対象は「市内に在住・在勤・在学の方」で、同一案件での相談は1回限りです。 管理組合の理事長が、組合の案件として相談できるかは、ページに書かれていません。予約の電話で確認してください。
  • 60分という長さは、使い方次第で大きな差が出ます。 後述の「3点セット」を持ち込むと、60分が濃くなります。

使いどきは、見積依頼の前

現場にいる私の立場から一つお伝えします。この相談の価値は、施工会社の営業とは別の第三者の意見が聞けることです。見積書が出てから慌てて相談するより、見積依頼の前に相談するほうが、仕様のぶれが小さくなります。私が現場でよく見てきた遠回りは、見積りを取ったあとで「そもそも今回の工事範囲は適切なのか」と迷い、総会の日程がずれ込むケースです。

大規模修繕の費用感の目安も、先に頭に入れておくと相談の質が上がります。あくまで目安ですが、30戸規模のマンションで総工費は3,500万円〜5,000万円、そのうち仮設足場が15〜25%という幅が一般的です。外壁塗装は1㎡あたり3,500円〜4,500円、打診調査は1㎡あたり250円〜500円が参考値です。実際の金額は建物の状態や仕様で大きく変わります。


鎌倉市の市民相談:法律・不動産・司法書士・税務

管理費の滞納、規約の読み方、理事会の議事の進め方、管理組合名義の不動産の扱い。工事の前段階で出てくるこうした疑問は、専門家の相談で整理できることが多いと、私は見ています。鎌倉市の市民相談の主な枠を整理します(出典:前掲「市民相談内容・日時・他」、2026年6月1日更新)。

相談 対応する人 1回 日程・会場
法律相談 弁護士 30分 市役所:毎週金曜と第2・4火曜 9時〜16時、第1・3火曜 17時30分〜20時(8月・1月は第3火曜のみ)。支所:深沢(第1水)、大船(第2水)、腰越(第3水)、玉縄(第4水)いずれも10時〜16時
不動産相談 専門の相談員 20分 第2木曜 14時〜16時、市役所
司法書士相談 司法書士 30分 偶数月は第3火曜 13時〜16時、奇数月は第3火曜 9時〜16時、市役所
税務相談 税理士 30分 偶数月は第2・3水曜、奇数月は第2水曜の9時〜16時、市役所

予約は、法律・不動産・司法書士・税務・マンション管理のいずれも、相談日の一週間前から、電話(0467-61-3864)で受け付けます。

法律相談は、金曜日が使いやすい

法律相談は、毎週金曜日に市役所で開かれています。たとえば10月23日(金)の枠は、予約の始まる10月16日(金)から取れる計算です。支所(深沢・大船・腰越・玉縄)でも月1回ずつ開かれていますので、理事長さまのお住まいに近い会場を選べます。担当弁護士が相手方の代理人にあたる利益相反の場合は、相談の中止や日程変更になることがあると、ページに書かれています。

不動産相談の日付

第2木曜の14時〜16時なので、ルールどおりなら次回は11月12日(木)です。賃貸に出している専有部分が多い、空き住戸が増えているといった悩みは、この枠が入口になります。

建築士の相談は、このページにはありません

工事そのものについて建築士に相談したい場合、市民相談のページには建築士の枠が載っていません。後述の「耐震改修アドバイザー」や、県のアドバイザー派遣が代わりの入口になります。


神奈川県のマンションアドバイザー派遣:年2回まで無料

市の窓口より一歩踏み込んで、専門家に管理組合まで来てもらえるのが、県の事業です。鎌倉市の「マンション管理に関する情報提供」ページ(2026年9月14日更新)にも、令和8年度の事業として載っています(出典:鎌倉市「マンション管理に関する情報提供」)。

項目 内容
内容 マンション管理士や建築士などの資格を持つアドバイザーを、管理組合に派遣して助言
相談例 管理規約の改正、長期修繕計画の見直し、修繕積立金の値上げなど
費用 無料
回数 年度内2回まで(申込者が多い場合は、2回目の申請ができないことがある)
令和8年度の受付期間 令和8年6月26日〜令和9年2月26日(申込者が多い場合は早期に終了することがある)
申込先 NPO法人かながわマンション管理組合ネットワーク 電話 045-620-6300(10時〜16時、土日祝休み)、メール info@jinkan-net.com

申請書は、メールまたはFAXで送る形です(出典:前掲、神奈川県のページ)。

市民相談との使い分け

使い分けの目安は、次のとおりです。

  • 市民相談のマンション管理相談:理事長さまが市役所に出向く形。60分、同一案件は1回限り。
  • 県のアドバイザー派遣:管理組合の場所に専門家が来る形。理事会や総会の場で、複数の役員が同席できる。年度内2回まで。

大規模修繕の方針を固める段階では、後者のほうが、役員みんなが同じ話を聞ける点で役に立つと、私は考えています。

県の交流会

同じ県の取り組みに「マンション管理組合交流会」があります。管理組合運営のさまざまな課題について、専門家の助言を受けながら情報交換する場です。問合せ先は神奈川県マンション管理士会事務局(045-662-5471)です。費用や令和8年度の日程は、鎌倉市のページからは確認できませんでした。電話でご確認ください。


旧耐震マンションの耐震診断:まず無料のアドバイザー派遣

昭和56年(1981年)5月31日以前に建築確認を受けたマンションなら、市の耐震支援が使えます。鎌倉市の「よくある質問」には、次のように書かれています(出典:鎌倉市「マンションの耐震改修工事をしたいと考えているのですが?」、2026年7月14日更新)。

項目 内容
耐震改修アドバイザーの派遣 市内の共同住宅などの所有者・管理者に、専門家を無料で派遣
対象 昭和56年5月31日以前に建築確認を受けた市内の共同住宅、特定建築物
回数・時間 1施設につき3回まで、1回あたり2時間以内
自己負担 派遣費用以外(会場使用料など)が必要な場合は自己負担
申込み 申請書に必要書類を添付して、建築指導課に提出

耐震診断の補助は、費用の2分の1

アドバイザーの派遣を受けたマンションが耐震診断を行う場合の補助金は、次のとおりです(出典:鎌倉市「マンション耐震診断補助金交付制度について」)。

項目 内容
補助率 耐震診断に要する費用の2分の1
上限額 150万円。延べ面積1,000㎡未満のマンションは、1㎡あたり1,500円を限度(1,000円未満は切り捨て)
主な条件 耐震改修アドバイザーの派遣を受けていること、住戸の過半に区分所有者が居住していること、住宅部分が延べ面積の過半であること、建築図面があること、管理組合の集会で実施が決議されていること、耐震判定委員会で診断結果が適正と評価されること
窓口 建築指導課 0467-61-3586

ご注意いただきたい点が2つあります。

  • 補助金のページの更新日は2021年11月17日で、令和8年度という明記もありません。 令和8年度の受付状況や金額は、建築指導課に電話で確認してください。これは費用の一部を負担してもらう制度で、無料の窓口ではありません。
  • 窓口の電話番号が、ページによって異なります。 補助金のページは0467-61-3586、「よくある質問」のページは0467-61-3596と書かれています。つながらない場合は、もう一方も試してください。

外壁の打診調査とは目的が違いますが、「建物をプロに診てもらう習慣」をつける入口になります。


管理計画認定制度と、鎌倉市の独自の防災項目

鎌倉市は、令和6年(2024年)5月に「鎌倉市マンション管理適正化推進計画」を策定しています。計画期間は令和6年度から令和10年度までの5年間です。計画には、市内のマンションは約11,000戸(11,106戸)で市内の住宅全体の約16%、築40年を超えるマンションは約2,200戸で、20年後には約6,000戸になる見込みだと書かれています(出典:鎌倉市マンション管理適正化推進計画)。

管理計画認定制度は、この計画を持つ自治体が認定する仕組みで、国の基準に加えて、鎌倉市には独自の防災に関する項目があります(出典:鎌倉市「マンション管理計画認定制度」、2026年9月14日更新)。

項目 内容
申請の入口 鎌倉市には直接申請できず、申請方法や必要書類は(公財)マンション管理センターに問い合わせる
市への提出書類 防災に関する独自基準の書類を、表明保証書に添えて、都市計画課都市計画担当に提出
手数料・事前確認 ページに記載なし
更新 認定は5年ごとの更新制
問合せ先 都市政策部 都市計画課 都市計画担当 0467-61-3408

手数料や事前確認の有無は、今回の調査では確認できませんでした。マンション管理センターと都市計画課の両方に、確認することをお勧めします。また、神奈川県の認定は町村部のマンションが対象で、市部のマンションは各市に問い合わせるよう案内されています(出典:神奈川県「マンション管理計画認定制度」、2026年4月10日更新)。


国の窓口:日管連・マンション管理センター・法テラス

市と県の窓口で足りないときの、二の矢として知っておくと役に立ちます。

窓口 内容 受付 費用
管理計画認定制度 相談ダイヤル(日管連) 03-5801-0858 制度の質問にマンション管理士が回答 月〜土 10:00〜17:00(祝日・年末年始を除く) 無料。何回でも、1回30分程度まで
マンション管理センター 電話相談 03-3222-1517(管理組合運営・管理規約等)/03-3222-1519(建物・設備の維持管理) 管理組合からの相談 月〜金 9:30〜17:00(祝日・年末年始を除く) ページに記載なし
法テラス・サポートダイヤル 0570-078374 無料法律相談の予約案内 平日 9:00〜21:00、土曜 9:00〜17:00 無料(収入・資産の基準あり)

日管連のダイヤルは、鎌倉市の管理計画認定のページにも載っています(出典:日本マンション管理士会連合会「管理計画認定制度 相談ダイヤル」)。マンション管理センターの電話相談は、管理組合からの相談を受け付けており、賃貸マンションの相談は対象外です(出典:(公財)マンション管理センター「電話相談」)。法テラスの無料法律相談は、同じ問題について3回まで、1回30分です。収入と資産の基準があり、原則として事前予約が必要です(出典:法テラス「無料法律相談のご利用の流れ」)。管理組合という団体として使えるかどうかは、窓口での確認が必要です。


何を用意していけばいいか:3点セット

どの窓口でも、手ぶらで行くと「それは資料を見ないと分かりません」と言われがちです。私は理事長さまに、次の3点を揃えておくようお伝えしています。

  1. 総会議事録(直近2年分):修繕積立金の状況や、大規模修繕についての決議の経過が分かります。
  2. 長期修繕計画:次回の大規模修繕の時期と、見込まれる総額が分かります。
  3. 管理規約:管理費の滞納、専有部分のルール、理事会の権限を調べるときに必要です。

さらに余裕があれば、前回の大規模修繕の見積書や竣工図、直近の劣化診断の報告書があると、相談が一段と具体的になります。旧耐震のマンションなら、耐震改修アドバイザーの申込みの際に、建築図面(設計図書)があると話が進みます。


鎌倉市の管理組合が、無料相談のあとに考えたい工事の選び方

相談で論点が整理できたら、次に工事の進め方を考える段階に入ります。明誠は、通常の足場工法、無足場のロープアクセス工法、両方を組み合わせるハイブリッド工法の3つから、建物に合った進め方をご提案しています。

鎌倉市は海に近い地域があり、潮風を受ける外壁は、劣化の出方が内陸と異なることがあります。また、傾斜地や細い道に面した建物では、足場の搬入や設置に手間がかかる例を、私は現場で見てきました。どの工法が合うかは、建物ごとに現地を見て判断します。

足場工法とロープアクセス工法の費用差は、規模によって変わります。10階建て・外周80m・工期3か月の例では、足場費が168万円、ロープアクセスが59万円と、109万円の差が出た試算があります。あくまで目安で、実際の見積りは物件ごとに異なります。

ロープアクセス工法は、メインロープとバックアップロープの2本に接続して作業し、2点以上の吊元を確保する国際基準(IRATA)の考え方を採り入れた工法です。明誠はこれまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけ、ロープアクセスでの高所作業について、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業では過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。

明誠のこれまでの施工事例もご覧いただけます。


よくあるご質問

Q. 鎌倉市の管理組合が無料で使える専門家の相談はありますか?

A. はい。市民相談に、マンション管理士が60分対応する「マンション管理相談」があり、毎月第1木曜日に市役所で開かれています。予約制で、相談日の一週間前から電話で受け付けます。市の「無料相談」の一覧に掲載されています。

Q. 神奈川県のマンションアドバイザー派遣は鎌倉市でも使えますか?

A. 使えます。県の事業は横浜市・川崎市・相模原市・横須賀市が対象外で、鎌倉市は対象です。無料で、年度内2回までです。令和8年度の受付は令和9年2月26日までですが、申込者が多いと早く終わることがあります。

Q. マンション管理相談の予約はどこにすればいいですか?

A. くらしと福祉の相談窓口(0467-61-3864、受付8時30分〜17時)です。11月5日(木)の枠なら、10月29日(木)から取れる計算です。日付は、市の日程表で必ずご確認ください。

Q. 市民相談は、管理組合として使えますか?

A. 公式ページには書かれていません。対象は市内に在住・在勤・在学の方で、同一案件での相談は1回限りです。予約の電話で、管理組合の理事として相談できるかを確認してください。

Q. 旧耐震のマンションの耐震診断に補助はありますか?

A. あります。診断費用の2分の1で、上限は150万円です。延べ面積が1,000㎡未満の場合は、1㎡あたり1,500円が限度です。条件として、耐震改修アドバイザー(無料、3回まで)の派遣を受けること、管理組合の集会での決議などがあります。令和8年度の受付状況は、建築指導課で確認してください。

Q. 管理計画認定は、鎌倉市に申請すればいいのですか?

A. 鎌倉市には直接申請できず、申請方法や必要書類は(公財)マンション管理センターに問い合わせる形です。市の独自の防災項目の書類は、都市計画課に提出します。手数料は、市のページに記載がありませんでした。

Q. 無料相談のあとに、工事を頼む義務はありますか?

A. ありません。市や県の相談は、特定の施工会社を紹介するものではありません。工事の発注先は、管理組合の総会で決めるものです。

Q. 大規模修繕の費用は、いくらくらいを見ておけばいいですか?

A. 30戸規模で総工費は3,500万円〜5,000万円、うち仮設足場が15〜25%という幅が一般的です。外壁塗装は1㎡あたり3,500円〜4,500円が参考値です。建物の状態で大きく変わるため、相談のうえで概算見積りをお取りください。

Q. 明誠に概算見積りを頼むと費用はかかりますか?

A. 概算お見積りは無料でご提示しています。お気軽にお問合せフォームからご連絡ください。


まとめ+今週動くこと3点

鎌倉市の管理組合が使える相談先は、市、県、国と、13の入口があります。そのうち9は、公式ページで無料と読めます。まず押さえておきたいのは、毎月第1木曜のマンション管理相談と、県のアドバイザー派遣です。費用をかけずに、第三者の意見を聞けます。

今週動くことを、3点に絞ります。

  1. 県のアドバイザー派遣(045-620-6300)に、まず電話で空き状況を聞く。 令和9年2月26日までの受付ですが、申込者が多いと早く終わります。受付は10時〜16時で、土日祝は休みです。今日は木曜日なので、今日中に電話できます。
  2. 10月29日(木)に、くらしと福祉の相談窓口(0467-61-3864)へ電話し、11月5日(木)のマンション管理相談を予約する。 あわせて、管理組合の理事として相談できるかも聞いてください。法律相談を使うなら、明日10月16日(金)から10月23日(金)の枠が取れる計算です。
  3. 総会議事録・長期修繕計画・管理規約の3点を、理事会の共有フォルダに集める。 相談の質は、この3点で決まります。旧耐震のマンションなら、建築図面も加えてください。

私は、工事の話に入る前の「聞く力」が、修繕積立金を守ると考えています。相談だけでも遠慮なくお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。


出典・参考資料


この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)

株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市

マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。IRATA水準の技能訓練を受けた作業員、ISO9001品質マネジメントシステム、日本ロープ高所作業協会の事務局を担当。

最終更新:2026年10月15日


関連記事(姉妹サイト)

ロープアクセス工法の詳細や実例については、姉妹サイト「ロープアクセスドットコム」の以下の記事もぜひご覧ください。

▶ ロープアクセスドットコムの関連記事を見る


本間社長の著書のご案内

『大規模修繕工事 職人だから言える本当の話 —— 見積書では見えない業界の裏側と、修繕積立金を守る発注術』(Kindle版)を出版しています。20年以上の現場経験から、管理組合・オーナーが修繕積立金を守るための発注術と、業界の内幕を書き下ろしました。

▶ Amazonで見る(Kindle版)

本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月15日時点で公表されている鎌倉市および国土交通省・神奈川県の公式情報をもとに執筆しています。マンション耐震診断補助金のページは更新日が2021年11月17日と古く、令和8年度の受付状況が確認できていないため、本文中にその旨を記載しました。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際にお申し込みの前に、鎌倉市および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。

平塚市の管理組合が使える無料相談窓口13選|マンション管理士・弁護士の市民相談から県アドバイザー派遣・国の電話相談まで【令和8年度版】

2026年10月15日 更新

平塚市のマンションの理事長さまから、こんなご相談をいただくことがあります。

「大規模修繕の時期が近づいてきたが、誰に何を聞けばいいのか分からない。専門家への相談料を修繕積立金から出すのは気が引ける」

平塚市には、費用をかけずに動ける入口があります。市役所の市民相談で、マンション管理士による「分譲マンション管理相談」が毎月開かれているのです。令和8年度の市民相談案内に載っており、料金は無料と明記されています(出典:平塚市「市民相談」、2026年4月1日更新)。

申し遅れました。私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。東京都東大和市を拠点に、20年近くマンション・ビル・ホテルの外壁の仕事をしてきました。この記事では、令和8年10月15日時点で平塚市の管理組合が使える窓口を、費用の根拠とあわせて整理します。


結論:平塚市で使える窓口は13、公式ページで無料と読めるのは10

先に一覧でお示しします。公式ページに「無料」と書かれているものと、費用の記載が見つからなかったものを分けています。

# 制度・窓口 誰が対応するか 費用 申込先
1 分譲マンション管理相談(市民相談) マンション管理士 無料(毎月第4月曜・予約制) 市民情報・相談課 0463-21-8764
2 弁護士相談(市民相談) 弁護士 無料(毎週水・木曜・予約制) 同上
3 司法書士相談(市民相談) 司法書士 無料(毎月第2金曜・予約制) 同上
4 不動産相談(市民相談) 宅建協会/不動産鑑定士 無料(毎月第1・第3金曜・予約制) 同上
5 住宅(新築・リフォーム)相談 湘央建設組合員 無料(毎月第3火曜・予約制) 同上
6 消費生活相談 消費生活相談員 無料 消費生活担当 0463-21-7530
7 分譲マンション耐震改修アドバイザー派遣 市の派遣事業 無料(派遣は無料と記載) 建築指導課 0463-21-9731
8 管理計画認定制度の助言・指導 建築指導課 要確認(費用の記載なし) 建築指導課 0463-21-9731
9 神奈川県マンションアドバイザー派遣 マンション管理士等 無料(年度内2回まで) かながわマンション管理組合ネットワーク 045-620-6300
10 神奈川県マンション管理組合交流会 講師+参加者同士 無料 神奈川県マンション管理士会事務局 045-662-5471
11 管理計画認定制度 相談ダイヤル 日本マンション管理士会連合会 無料(1回約30分) 03-5801-0858
12 マンション管理センター 電話相談 同センター 要確認(費用の記載なし) 03-3222-1517/03-3222-1519
13 法テラス(無料法律相談) 弁護士等 条件付き(資力基準あり) 0570-078374

ここからは、使う順番を意識して一つずつ見ていきます。なお、市民相談の1〜5は「平塚市内に在住・在勤・在学の方」が対象で、個人事業主や法人は対象外です。理事長さま個人が区分所有者として使えるのか、管理組合として使えるのかは、予約の電話のときに最初に確認してください。


分譲マンション管理相談:毎月第4月曜、マンション管理士が40分

私が最初にご案内するのは、この窓口です。

平塚市の「分譲マンション管理相談」は、毎月第4月曜日の13時から16時に開かれ、1組40分、予約制です。相談員はマンション管理士です。扱う内容は、管理組合の運営(総会・理事会・管理会社・管理規約)、大規模修繕工事(工事の進め方・業者選定)、ペットや生活騒音といった生活上のトラブルです(出典:平塚市「市民相談」)。

予約は、相談月の前月1日の8時30分から先着順で、電話(0463-21-8764)か本館5階516番窓口で受け付けます。令和8年10月の第4月曜は26日にあたります。予約はすでに9月1日から始まっているため、空きがあるかは電話で確かめてください。11月の第4月曜は23日で祝日に重なるため、開催の扱いも市に確認が必要です。

注意点が二つあります。メールや手紙での相談は受け付けておらず、書類の作成や確認もできません(出典:同上)。つまり、長期修繕計画書や見積書の「中身を読んでもらう」場ではなく、「何から手を付けるか」を整理する場です。

費用の目安を先に知っておく

大規模修繕の総工費は、30戸前後のマンションで3,500〜5,000万円がひとつの目安です(物件の状態で大きく変わります)。そのうち仮設足場が15〜25%を占めます。相談の前に、この数字だけ頭に置いておくと、業者選定の話が具体的になります。


建築士派遣に近い制度:耐震改修アドバイザー派遣と管理計画認定の助言

平塚市に「建築士を無料で派遣する大規模修繕アドバイザー」という名前の制度は、私が確認した範囲では見当たりませんでした。近いものが二つあります。

一つ目は、分譲マンションの耐震改修アドバイザー派遣事業です。市のページに、アドバイザー派遣は無料と書かれています。予備診断と耐震診断は、費用の一部を補助する制度です。窓口は建築指導課(0463-21-9731ほか)で、ページの更新日は2026年4月1日です(出典:平塚市「分譲マンションの耐震改修アドバイザー派遣事業・マンション耐震化促進事業」)。派遣の回数や手続きの詳細はページに載っていないため、申込み前に電話で確認してください。

補助の中身は次のとおりです。いずれも昭和56年5月31日以前に着工した、延べ面積1,000㎡以上の分譲マンションが対象で、1管理組合につき1棟までです。

補助 補助率 上限
予備診断費 診断費の9/10(千円未満切捨て) 18万円
耐震診断費 診断費の1/2 1住戸あたり4万円(区分所有者が居住する住戸のみ)

(出典:平塚市「予備診断費の補助」、同「耐震診断費の補助」、いずれも2026年4月1日更新)

二つ目は、マンション管理計画認定制度の助言・指導です。平塚市は令和5年4月に制度を始めており、管理の状況について助言を受けたうえで長期修繕計画を作成・見直した場合は、固定資産税の減額につながる可能性があります(出典:平塚市「マンション管理計画認定制度、助言・指導について」、2026年5月18日更新)。助言・指導そのものの費用は、ページに記載がありませんでした。

固定資産税の減額は、市の税のページによると、築20年以上・10戸以上などの要件を満たし、2回目以降の長寿命化工事を令和5年4月1日から令和9年3月31日までに完了した場合に、翌年度の建物部分の税額が2分の1になる仕組みです。完了から3か月以内の申告が必要で、各戸の申告になります(出典:平塚市「マンション長寿命化促進税制」。このページには更新日の記載がないため、申告前に市へ確認してください)。工事の時期が近い管理組合は、期限から逆算して動く必要があります。


弁護士相談・消費生活センター:滞納や契約トラブルの最初の一歩

管理費の滞納や、区分所有者どうしのトラブルは、理事会だけで抱え込むと長引きます。私の経験上、こじれる前に一度専門家へ話を通しておくだけで、理事会の空気が変わります。

平塚市の市民相談では、弁護士相談が毎週水・木曜の13時から16時に開かれ、1組30分です。オンラインの枠もあり、予約のときに希望を伝えます。司法書士相談(毎月第2金曜)は、相続による名義変更などの登記が中心です。不動産相談(毎月第1・第3金曜)は、宅建協会と不動産鑑定士が担当します(出典:平塚市「令和8年度 市民相談のご案内」)。

ここで正直にお伝えしておきたいのが、住宅(新築・リフォーム)相談の相談員です。令和8年度の案内では「湘央建設組合員」とされており、建築士とは書かれていません。工事の技術的な中身を聞く窓口というより、住まいの工事全般の入口と考えたほうが安全です。

訪問販売や電話勧誘の工事トラブルは、消費生活相談(0463-21-7530)が受け付けます。市役所本館5階で、電話または来所、料金は無料です。ただし、このページの更新日は2022年3月31日と古いため、受付時間は令和8年度の市民相談案内(平日9時30分〜16時)で確認しています(出典:平塚市「消費生活相談」)。「外壁の劣化を指摘して契約を急がせる業者」の相談は、この窓口の守備範囲です。


自治体のセミナー・相談会:県の交流会は無料、近い会場は茅ヶ崎市

平塚市が主催する管理組合向けセミナーは、私が確認した範囲では令和8年度の案内が見つかりませんでした。市の建築指導課のお知らせに載っていたのは、令和6年度の県の交流会(平塚市での開催)だけで、令和8年度の掲載はありません。

代わりに使えるのが、神奈川県が開く「令和8年度マンション管理組合交流会」です。対象は県内のマンションの管理組合役員、参加費は無料です。第1部が講義、第2部が参加者どうしの情報交換で、14時から16時の予定です(出典:神奈川県「マンション管理組合交流会」、2026年9月3日更新)。

日時 会場 第1部の講義テーマ
11月7日(土) 箱根町役場 マンションの適正管理について
11月14日(土) ユニコムプラザさがみはら 区分所有法、標準管理規約改正について
11月22日(日) 茅ヶ崎市民文化会館 修繕(長期修繕計画を含む)について
11月28日(土) 葉山マリーナ 区分所有法、標準管理規約改正について

平塚市に隣接する茅ヶ崎市の11月22日(日)は、修繕がテーマです。理事会の役員が一人参加して、持ち帰って共有するだけでも元は取れます。申込みは各会場のGoogleフォームで、内容の問合せは神奈川県マンション管理士会事務局(045-662-5471、平日10時〜17時)です。


神奈川県・国の相談窓口:平塚市は県のアドバイザー派遣の対象

ここが、近隣自治体との大きな違いです。神奈川県のマンションアドバイザー派遣は、横浜市・川崎市・相模原市・横須賀市を除く県内の管理組合が対象です。平塚市は除外に入っていないため、利用できます。

項目 内容
費用 無料
派遣内容 1回あたり1〜2名、3時間以内。夜間・休日も可
回数 1管理組合につき年度内2回まで
申込期間 令和8年6月26日〜令和9年2月26日(申込みが多いと早期終了)
相談できること 長期修繕計画、大規模修繕、管理規約、修繕積立金、耐震改修、管理計画認定など
できないこと 建物の精密測定、設計書作成、見積比較、業者紹介、住民間の紛争解決、認定申請の代行
申込先 NPO法人かながわマンション管理組合ネットワーク 045-620-6300(平日10〜16時)

(出典:神奈川県「マンションアドバイザー派遣事業」、2026年6月26日更新/令和8年度チラシ)

「見積比較と業者紹介はできない」点は、覚えておいてください。業者の良し悪しを決めてもらう制度ではなく、理事会が正しい質問を持てるようにする制度です。

国と全国組織の窓口は三つです。

  • 管理計画認定制度 相談ダイヤル(日本マンション管理士会連合会):03-5801-0858、月〜土曜10〜17時、祝日・年末年始を除く。無料で、1回約30分です。制度の概要は国土交通省のページにまとまっています。
  • マンション管理センター 電話相談:管理組合運営・規約は03-3222-1517、建物・設備の維持管理は03-3222-1519。平日9時30分〜17時で、1件15分前後を目安にしています。費用はページに記載がないため、電話で確認してください(出典:マンション管理センター「電話相談」)。
  • 法テラス:収入と資産が基準以下の方が対象で、同一の問題につき3回まで無料です。サポートダイヤルは0570-078374(平日9〜21時、土曜9〜17時)。法人が使えるかはページに記載がなく、直接の確認が必要です(出典:法テラス「無料法律相談のご利用の流れ」)。

賃貸ビルを所有する法人のオーナーさまは、市民相談や県の派遣の対象外になることが多いと思います。その場合は、法人でも使える可能性がある国の窓口と、民間の専門家への有料相談を組み合わせてください。


何を用意していけばいいか:3点セット

どの窓口でも、手ぶらで行くと「一般論」で終わります。私が理事長さまに毎回お願いしているのは、次の3点です。

  1. 総会議事録(直近2年分):修繕積立金の増額や工事の決議がどう扱われてきたかが分かります。
  2. 長期修繕計画書:次の大規模修繕がいつ、いくらの想定なのかを示す書類です。
  3. 管理規約:理事会の権限、工事の決議要件、滞納への対応の根拠が書かれています。

加えて、築年数、戸数、前回の大規模修繕の時期と工事内容をメモにまとめてください。相談時間は30〜40分です。冒頭の5分で現状を説明できれば、残りの時間が「これからの話」に使えます。


無料相談のあとに考えたい、工事の選び方

相談で方向が見えたら、次は工事の中身です。ここからが私の本業です。

株式会社明誠は、これまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセス工法での高所作業では、明誠および全国の加盟企業で過去16年間、墜落による労働災害はゼロです。通常の足場工法、無足場のロープアクセス工法、両者を組み合わせたハイブリッド工法の3つから、建物に合う方法をご提案しています。

10階建て・外周80m・工期3か月を想定した試算では、足場の費用が168万円、ロープアクセスが59万円で、差額は109万円です(物件によって大きく変わる参考値です)。打診調査も、外壁1㎡あたり250〜500円がひとつの目安です。

ロープアクセス工法は、メインロープとバックアップロープの2本に接続し、2点以上の吊元を確保して作業する、二重の安全確保が前提の工法です。技術や訓練の考え方は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムで詳しく解説しています。資格の見方や安全性の整理は、ロープアクセスドットコムの解説記事もご覧ください。

工法の詳細は明誠のロープアクセス工法のご紹介、考え方は明誠の理念に載せています。管理組合向けの進め方は管理組合さま向けのサービス、実際の工事は施工事例でご覧いただけます。平塚市の管理計画認定制度については、平塚市の管理計画認定制度の解説記事で詳しくまとめています。


よくあるご質問

Q. 平塚市の分譲マンション管理相談は、理事長でなくても使えますか?

A. 対象は平塚市内に在住・在勤・在学の方で、個人事業主と法人は対象外です。管理組合の役員が区分所有者として使えるかは、予約時に市民情報・相談課(0463-21-8764)へ確認してください。

Q. 相談の予約はいつから取れますか?

A. 相談月の前月1日の8時30分から先着順で、前日16時30分まで受け付けます(出典:平塚市「市民相談」)。令和8年10月26日の回はすでに受付が始まっているため、空きは電話での確認になります。

Q. 神奈川県のアドバイザー派遣は、平塚市も対象ですか?

A. はい。対象から除かれているのは横浜市・川崎市・相模原市・横須賀市で、平塚市は含まれません。費用は無料で、年度内2回までです。

Q. 無料相談で、見積書のチェックまでしてもらえますか?

A. 県の派遣では見積比較と業者紹介は対象外で、市民相談でも書類の確認はできません。見積書の中身の確認は、複数社の相見積もりと、第三者の専門家への有料相談を併用する形になります。

Q. 大規模修繕の費用が不安です。目安はありますか?

A. 30戸前後で3,500〜5,000万円が目安ですが、劣化状況で大きく変わります。明誠では概算のお見積りを無料でご提示していますので、お問合せください。

Q. 旧耐震のマンションに使える補助はありますか?

A. 昭和56年5月31日以前に着工した1,000㎡以上の分譲マンションなら、予備診断費は9/10(上限18万円)、耐震診断費は1/2(1住戸あたり4万円まで)が補助されます。建築指導課へご相談ください。


まとめ+今週動くこと3点

平塚市には、費用をかけずに使える窓口が少なくとも10あります。ただし、市民相談は個人が対象で、県のアドバイザー派遣は見積比較ができないなど、向き不向きがあります。目的ごとに使い分けるのが近道です。

今週、動いていただきたいことは次の3点です。

  1. 市民情報・相談課(0463-21-8764)に電話して、分譲マンション管理相談の空きと、管理組合として使えるかを聞く。
  2. 総会議事録・長期修繕計画書・管理規約の3点を、コピーしてひとつのファイルにまとめる。
  3. 神奈川県のアドバイザー派遣(045-620-6300)に事前相談の電話を入れる。申込期間は令和9年2月26日までですが、申込みが多いと早く閉まります。

大規模修繕は、数千万円の判断です。無料の窓口を使い切ってから決めても、遅くはありません。それでも迷われたら、総会の前段階の整理だけでも構いません。お問合せフォームから、遠慮なくお声がけください。


出典・参考資料


この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)

株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市

マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。IRATA水準の技能訓練を受けた作業員、ISO9001品質マネジメントシステム、日本ロープ高所作業協会の事務局を担当。

最終更新:2026年10月15日


関連記事(姉妹サイト)

ロープアクセス工法の詳細や実例については、姉妹サイト「ロープアクセスドットコム」の以下の記事もぜひご覧ください。

▶ ロープアクセスドットコムの関連記事を見る


本間社長の著書のご案内

『大規模修繕工事 職人だから言える本当の話 —— 見積書では見えない業界の裏側と、修繕積立金を守る発注術』(Kindle版)を出版しています。20年以上の現場経験から、管理組合・オーナーが修繕積立金を守るための発注術と、業界の内幕を書き下ろしました。

▶ Amazonで見る(Kindle版)

本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月15日時点で公表されている平塚市および国土交通省・神奈川県の公式情報をもとに執筆しています。一部のページ(消費生活相談、マンション長寿命化促進税制)は更新日が古いか記載がないため、本文中にその旨を記載しました。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際にお申し込みの前に、平塚市および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。

お気軽にご相談ください!