小金井市の管理組合が無料で使える相談・派遣14選|マンション管理士の無料相談は回数制限なし、緊急輸送道路沿道なら建築士・弁護士・税理士の無料アドバイザー派遣も【令和8年度版】

2026年9月28日 更新

先週、武蔵小金井駅から歩いて15分ほどの、昭和55年築・4階建て32戸の分譲マンションの理事長さまから、こんなお電話をいただきました。

「今度の大規模修繕、管理会社が持ってきた見積り1社だけで決めていいものか迷っている。理事の中には『マンション管理士に一度見てもらったほうがいいのでは』という声もあるが、費用がどれくらいかかるのか分からず、結局そのままになっている」

私はこの手のご相談を受けるたびに、同じことを思います。小金井市の管理組合には、実は費用をかけずに専門家の意見を聞ける窓口がいくつも用意されているのに、その存在自体が理事会に知られていない、というケースが本当に多いのです。小金井市の場合、マンション管理士による無料相談は東京都が運営する分譲マンション総合相談窓口で回数制限なく利用でき、市が届出を受理したマンションであれば専門家の無料派遣も受けられます。加えて、建物が特定緊急輸送道路の沿道にある場合は、建築士・弁護士・税理士・ファイナンシャルプランナーによる無料アドバイザー派遣という、あまり知られていない制度も動いています。

申し遅れました。私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。東京都東大和市を拠点に、20年近くマンション・ビル・ホテルの外壁の仕事をしてきました。足場を組んで建物をすっぽり囲う工事も、ロープ1本でぶら下がる無足場の工事も、両方できる会社は実はそう多くありません。今日は工事の話の前に、小金井市の管理組合が今すぐ使える「お金をかけない相談先」を整理してお伝えします。


結論:小金井市で使える支援は14ある

先に一覧でお示しします。すべて費用がかからない、あるいは相談だけなら費用がゼロの窓口です。

# 制度・窓口 誰が対応するか 費用 申込先
1 分譲マンション総合相談窓口(東京都) マンション管理士 無料 03-6427-4900
2 専門相談(東京都、弁護士・一級建築士) 弁護士・一級建築士 無料(事前相談後に判断) 小金井市まちづくり推進課住宅係 042-387-9861
3 マンションアドバイザー無料派遣(管理状況届出制度) マンション管理士等 無料(通常1回、管理不全兆候ありは5回まで) 東京都防災・建築まちづくりセンター 03-5466-2103
4 マンション管理士無料派遣(防災力向上・認知症対応) マンション管理士 無料(各テーマ2回まで) 東京都マンション管理士会 kanrisi.org
5 (公財)マンション管理センター 電話相談 専門相談員 無料 運営03-3222-1517/設備03-3222-1519
6 すまいるダイヤル 建築士資格者 無料 0570-016-100
7 一般社団法人マンション管理業協会 相談窓口 専門相談員 無料 050-3733-8982
8 法律相談(小金井市市民相談) 弁護士 無料(月1回まで) 広報秘書課広聴係 042-387-9818
9 税務相談(小金井市市民相談) 税理士 無料(月1回まで) 042-387-9818
10 建築・登記相談(小金井市市民相談) 建築士・司法書士・土地家屋調査士 無料 042-387-9818
11 行政相談(小金井市市民相談) 行政相談委員 無料 042-387-9818
12 消費生活相談室(小金井市) 消費生活相談員 無料 042-384-4999
13 特定緊急輸送道路沿道建築物の無料アドバイザー派遣 建築士・弁護士・税理士・FP 無料(対象建築物のみ) 小金井市まちづくり推進課 042-387-9861
14 法テラス・サポートダイヤル 弁護士・司法書士 無料(資力要件あり) 0570-078374

小金井市の特徴は、市が独自に用意している窓口(8〜13)と、東京都が全域で運営している窓口(1〜7)を組み合わせて使える点です。ただし後ほど触れますが、府中市や江東区などにある「マンションアドバイザー制度の派遣料そのものを市が助成する」というタイプの制度は、私が確認できた範囲では小金井市には見当たりません。この違いを知らずに「お金をかけずにアドバイザーを何度でも呼べる」と思い込むと、実際に申し込んだ際に費用面で戸惑うことになりますので、順番に整理していきます。


マンション管理士派遣は東京都の窓口が中心、回数制限なしで相談できる

1. 分譲マンション総合相談窓口(東京都)

小金井市内に限らず、都内の分譲マンションを対象に、マンション管理士が電話・メール・FAX・対面(電話予約制)・Web会議(Zoom、1週間前までにメール予約)で相談に応じています。

項目 内容
対応する専門家 マンション管理士
費用 無料
相談方法 電話・メール・FAX・対面・Web相談
電話番号 03-6427-4900

(出典:東京都マンションポータルサイト「分譲マンション総合相談窓口」)

私はいつも理事長さまに「管理会社の見立てを疑う前に、まず第三者の目を無料で入れてください」とお伝えしています。この窓口は回数の上限が明記されておらず、繰り返し利用できる点が心強いところです。

2. マンションアドバイザー無料派遣(管理状況届出制度)

昭和58年12月31日以前に新築された、居住用の独立部分が6以上ある分譲マンションで、東京都のマンション管理状況届出制度への届出が受理されている場合に利用できます。

項目 内容
対象 届出受理済みの分譲マンション(昭和58年12月31日以前新築、6戸以上)
派遣内容 マンション管理士等による講義と個別相談
無料回数 通常の要届出マンションは1回まで、管理不全の兆候があるマンションは5回まで
申込先 東京都防災・建築まちづくりセンター 03-5466-2103

(出典:東京都マンションポータルサイト「マンションアドバイザー無料派遣のご案内」、小金井市「マンション管理状況届出制度について」)

まず自分のマンションが届出済みかどうかを確認するのが最初の一手です。届出をしていなければ、この無料派遣は受けられません。

3. マンション管理士無料派遣(防災力向上・認知症対応)

一般社団法人東京都マンション管理士会が実施する、テーマ特化型の無料派遣制度です。防災力向上と認知症対応、それぞれ2回まで無料で利用できます。

項目 内容
テーマ 防災力向上/認知症対応
無料回数 各テーマ2回まで
受付期間 令和8年6月23日〜令和9年2月26日(定員160件に達し次第終了)
申込先 東京都マンション管理士会ウェブサイト kanrisi.org

(出典:東京都マンションポータルサイト「分譲マンション向けマンション管理士無料派遣(防災力向上・認知症対応)」)

私の経験上、防災の話は総会で毎年出てくるのに、いつも「今年は議題が多いから」と後回しになりがちです。この制度は無料であるだけでなく、テーマが最初から絞られているので、理事会での議論もしやすいはずです。


建築士派遣・大規模修繕アドバイザーは緊急輸送道路沿道が狙い目

4. 専門相談(東京都、弁護士・一級建築士)

東京都が実施する、弁護士や一級建築士による無料相談です。小金井市経由での事前相談を経て、専門家による対応が必要と判断された場合に案内される仕組みです。

項目 内容
対応する専門家 弁護士・一級建築士
費用 無料
申込先 小金井市まちづくり推進課住宅係 042-387-9861/東京都住宅政策本部マンション課 03-5320-5004

(出典:小金井市「分譲マンションの管理に関する相談窓口」、東京都マンションポータルサイト「専門相談」)

5. マンションアドバイザー制度(東京都)は有料、小金井市独自の助成は現時点で確認できない

府中市や文京区、江東区、練馬区などでは、東京都のマンションアドバイザー制度(管理アドバイザー・建替え・改修アドバイザー)を利用した際の派遣料を、市区が独自に全額または半額助成する仕組みを持っています。

コース 派遣する専門家 派遣料の目安
管理アドバイザーAコース(講座編) マンション管理士等 16,500円/回
管理アドバイザーBコース(相談編) マンション管理士等 25,300円/回
建替え・改修アドバイザーAコース(入門編) 再開発プランナー等 8,800〜16,500円/回

(出典:公益財団法人東京都防災・建築まちづくりセンター「マンションアドバイザー」)

正直に申し上げます。私が調べた範囲では、小金井市が上記の派遣料を独自に助成する制度は見当たりませんでした。つまりこの制度自体は「無料」ではなく、利用するなら1回あたり1万円台からの費用がかかります。先に紹介した「無料派遣」(管理状況届出制度・防災力向上・認知症対応)と混同しないよう、電話で確認してから申し込むことをお勧めします。

6. 特定緊急輸送道路沿道建築物の無料アドバイザー派遣

小金井市内で、特定緊急輸送道路に敷地が接し、昭和56年6月1日より前に建築され、道路幅員の概ね2分の1以上の高さがある建築物が対象です。分譲マンションもこの対象に含まれます。

項目 内容
対象 特定緊急輸送道路沿道建築物(昭和56年6月1日前建築、旧耐震基準)
派遣する専門家 建築士・弁護士・税理士・ファイナンシャルプランナー
費用 無料
参考:耐震改修等の助成 補強設計10/10(1㎡あたり2,000〜5,000円以内)、耐震改修原則9/10(1㎡あたり約51,700〜62,700円、棟あたり上限6.27億円)
申込先 小金井市まちづくり推進課 042-387-9861

(出典:小金井市「特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化及び助成制度」、更新日2026年4月1日)

私の経験上、この制度はあまり知られていません。自分のマンションが特定緊急輸送道路に接しているかどうかは、まちづくり推進課(042-387-9861)に敷地の地番を伝えれば確認できます。対象に該当すれば、建築士だけでなく弁護士や税理士まで無料で相談できるという、かなり手厚い制度です。


弁護士無料相談・消費生活センターで管理費滞納・区分所有トラブルに備える

区分所有者間のトラブルや管理費の滞納は、管理組合の理事会だけで抱え込むと長期化しやすい問題です。小金井市には市民相談として複数の無料相談が用意されています。

相談 対応者 開催頻度 費用 申込先
法律相談 弁護士 毎週火曜・木曜 午前9時〜正午(月1回まで) 無料 042-387-9818
税務相談 税理士 毎月第2・4水曜 午後1時30分〜(月1回まで) 無料 042-387-9818
建築・登記相談 建築士・司法書士・土地家屋調査士 毎月第1水曜 午後1時30分〜 無料 042-387-9818
行政相談 行政相談委員 毎月第3木曜 午後1時30分〜 無料 042-387-9818

(出典:小金井市「各種相談案内」、更新日2026年9月24日)

予約は市報15日号の発行日翌日から、直接または電話で受け付けています。管理費滞納者への対応方針を法律相談で確認する、大規模修繕の見積りの妥当性を建築・登記相談で確認する、といった使い分けができます。

消費生活相談室(小金井市)

契約トラブルや悪質商法、不当な請求、商品に関する相談を受け付けています。修繕工事の契約に関して「本当にこの内容で契約していいのか」という不安がある場合にも相談できます。

項目 内容
相談内容 契約トラブル、悪質商法、不当請求、商品相談
費用 無料(通話料・通信料は自己負担)
受付時間 平日9時30分〜正午、午後1時〜4時
電話番号 042-384-4999

(出典:小金井市「消費生活相談室のご案内」、更新日2024年1月22日)

資力の乏しい方向けには、法テラス・サポートダイヤル(0570-078374、平日9時〜21時・土曜9時〜17時)を通じた無料法律相談や弁護士費用の立替え制度もあります(資力要件あり)。市の窓口、都の窓口、国レベルの窓口は、同じ悩みでも切り口を変えて重ねて使えます。私はよく「1つの窓口で満足せず、少なくとも2つは意見を聞いてから判断してください」とお伝えしています。


小金井市のセミナー・相談会・啓発資料は「制度の案内ページ」中心

府中市や一部の区では、管理組合向けのセミナーや相談会を定期的に開催していますが、小金井市の公式サイトを確認した範囲では、分譲マンション管理組合向けの定例セミナーや相談会の開催情報は見当たりませんでした。代わりに、小金井市は次の啓発資料・計画を公開しています。

  • 小金井市マンション管理適正化推進計画(令和4年度〜令和12年度)
  • 小金井市分譲マンション実態調査報告書

(出典:小金井市「小金井市マンション管理適正化推進計画を策定しました」)

過去には東京司法書士会が「住まいの何でも相談会」を小金井市内で開催した実績もありますが、定例開催ではなく単発の企画である点にご注意ください。理事会としては、セミナーの開催を待つよりも、前述の無料派遣・無料相談を能動的に使いに行くほうが確実です。

なお、小金井市にはマンションの管理計画認定制度もありますが、こちらは無料ではありません。市に直接申請する場合の手数料は27,200円、(公財)マンション管理センター経由のオンライン申請では3,900円に事前確認費用1,700円が加算されます(出典:小金井市「マンションの管理計画認定制度」、更新日2023年6月13日)。認定を取得すれば税制優遇や融資の優遇に道が開けますが、この記事のテーマである「無料支援」には該当しないため、あくまで参考情報として押さえておいてください。


都道府県・国の相談窓口も併用できる

市の窓口だけでなく、都・国レベルの窓口も無料で使えます。窓口ごとに得意分野が違うので、複数を組み合わせるのが有効です。

窓口 得意分野 電話番号
(公財)マンション管理センター 管理組合運営・管理規約 03-3222-1517
(公財)マンション管理センター 建物・設備の維持管理 03-3222-1519
すまいるダイヤル 住宅リフォーム・建築全般 0570-016-100
一般社団法人マンション管理業協会 管理会社とのトラブル 050-3733-8982
国土交通省 マンション管理計画認定制度 mlit.go.jp
法テラス 法律相談全般(資力要件あり) 0570-078374

(公財)マンション管理センターは、管理組合運営に関することと建物・設備の維持管理に関することで電話番号が分かれています。最初にどちらに聞きたいのかを整理しておくと、電話がスムーズです。

大規模修繕そのものの工法選びについては、私たちのようなロープアクセス専門会社に直接聞くのも一つの手です。足場工法とロープアクセス工法、どちらが自分たちの建物に向いているかは、外周の長さや階数、周辺道路の状況によって変わります。技術的な詳細は姉妹サイトのロープアクセスドットコムにも情報をまとめていますので、専門的な工法比較を知りたい理事の方はあわせてご覧ください。


何を持っていけばいいか:相談前に揃えたい3点セット

どの窓口に行くにしても、手ぶらで行くと専門家も的確なアドバイスがしづらくなります。私がいつもお伝えしているのは、次の3点です。

1. 総会議事録(直近2〜3年分)

管理組合としての意思決定の経緯がわかる資料です。過去にどんな議論があったかを把握してもらうことで、相談時間を有効に使えます。

2. 長期修繕計画書

現在の修繕積立金の水準が、今後の工事に対して足りているかどうかを判断する基礎資料です。作成年が古い場合は、その旨を正直に伝えてください。

3. 管理規約

区分所有者間のトラブルや管理費滞納への対応方針を確認する際の土台になります。特定緊急輸送道路沿道の無料アドバイザー派遣を利用する場合は、あわせて建築確認済証または登記簿謄本も用意しておくと、旧耐震・新耐震の判定がその場で進みます。

この3点があれば、マンション管理士でも、建築士でも、弁護士でも、初回の相談だけでかなり具体的な話ができます。


よくあるご質問

Q. 小金井市には、マンションアドバイザーの派遣料を助成する制度はありますか?

A. 私が確認できた範囲では、府中市や文京区、江東区、練馬区にあるような「派遣料そのものを市が全額・半額助成する」制度は小金井市には見当たりません。無料で使えるのは、管理状況届出制度に基づくアドバイザー無料派遣(1回または5回まで)と、防災力向上・認知症対応の無料派遣(各テーマ2回まで)です。

Q. うちのマンションが管理状況届出制度に届出済みかどうか、どこで確認できますか?

A. まちづくり推進課住宅係(042-387-9861)に問い合わせれば確認できます。昭和58年12月31日以前に新築された6戸以上の分譲マンションが届出の対象です。

Q. 特定緊急輸送道路の沿道に自分のマンションが接しているか分かりません。

A. 敷地の地番を伝えれば、まちづくり推進課(042-387-9861)で確認してもらえます。対象に該当すれば、建築士・弁護士・税理士・ファイナンシャルプランナーの無料アドバイザー派遣に加えて、耐震改修等の高い助成率(原則9/10、棟あたり上限6.27億円)も利用できます。

Q. マンションの管理計画認定制度は、小金井市では無料で申請できますか?

A. いいえ、無料ではありません。小金井市に直接申請する場合の手数料は27,200円、(公財)マンション管理センター経由のオンライン申請では3,900円に事前確認費用1,700円が加算されます。認定を取得すれば税制優遇等のメリットがありますが、費用は発生します。

Q. 小金井市の法律相談や税務相談は、市民でなくても利用できますか?

A. 小金井市の市民相談は、原則として市民(在住・在勤・在学)を対象としています。それ以外の区分所有者の場合は、(公財)マンション管理センターの電話相談や法テラスなど、居住地を問わない窓口をご利用ください。

Q. 大規模修繕の工期は、工法によってどれくらい違いますか?

A. ロープアクセス工法は足場の組立・解体の期間がまるごと不要になるため、足場工法のおよそ60%の工期が目安です。10階建て・外周80mのマンションであれば、足場工法で3か月程度のところ、ロープアクセスなら1.5〜2か月程度になります。改修範囲が広い場合は差が縮まる点にご留意ください。

Q. 管理会社を通さずに、明誠に直接相談してもいいのでしょうか?

A. もちろんです。セカンドオピニオンとしてお使いいただくケースが一番多いです。既存の見積書を拝見して、数量と単価の妥当性を一緒に確認するだけでも結構です。お問合せフォームからご連絡ください。


まとめ:今週、小金井市の管理組合が動けること3つ

長くなりましたので、動き出しの3手に絞ります。

1. まちづくり推進課住宅係(042-387-9861)に電話して、届出状況と沿道の対象可否を確認する

管理状況届出制度への届出が済んでいるか、そして自分のマンションが特定緊急輸送道路の沿道に該当するか、この1本の電話でどちらも確認できます。該当すれば無料の専門家派遣が一気に広がります。

2. 分譲マンション総合相談窓口(03-6427-4900)に、大規模修繕の見積りについて第三者の意見を聞く

管理会社経由の1社見積りだけで判断する前に、マンション管理士の無料相談を挟んでください。回数制限が明記されていない、使いやすい窓口です。

3. マンション管理士の無料派遣(防災力向上・認知症対応)を理事会の議題に載せる

受付は令和9年2月26日まで、定員160件です。防災の話はいつも後回しになりがちですが、無料で専門家を呼べるうちに、議題として一度は取り上げておく価値があります。


小金井市は、江戸東京たてもの園や小金井公園の桜、玉川上水の緑道など、都心近郊にありながら緑と水辺を身近に感じられるまちです。JR中央線の武蔵小金井駅・東小金井駅周辺では再開発が進み、比較的新しいマンションと、昭和40年代〜50年代に建てられた分譲マンションが混在しています。大学のキャンパスも複数あり、単身世帯からファミリー層まで幅広い住民層を抱えているのも特徴です。だからこそ、「よそのマンションがこうしたから」ではなく、自分の建物の築年と構造、そして立地のリスクを自分たちで把握することが効いてきます。

そして、その第一歩にかかるお金は、小金井市の場合もほとんどゼロに近づけられます。都の相談窓口、市の法律相談、消費生活相談室。特定緊急輸送道路の沿道に当たれば、建築士・弁護士・税理士まで無料で相談できます。これだけ使っても、支出は郵送代と電話代くらいのものです。

私は現場でこう思うことがあります。管理組合が損をするのは、悪い業者に当たったときよりも、相談しないまま時間だけが過ぎたときのほうがずっと多い、と。株式会社明誠はこれまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきましたが、外壁のタイルの浮きも、防水の切れも、待っていて良くなることはありません。

明誠のこれまでの明誠の施工事例もあわせてご覧いただければ、実際にどんな建物でどんな判断をしてきたかが伝わると思います。マンション・ビルの管理組合さまはマンション管理組合さま向けサービスのご案内もご参照ください。株式会社明誠がどのような理念で大規模修繕に向き合っているかは、明誠の理念にまとめています。無足場のロープアクセス工法について詳しく知りたい方は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムもぜひご覧ください。ご相談だけでも遠慮なくお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。


出典・参考資料


本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月28日時点で公表されている東京都小金井市および国土交通省・東京都の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了・定員終了があり得ます。実際に申請される前に、必ず東京都小金井市および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。なお「分譲マンションの管理に関する相談窓口」(2019年3月11日更新)と「マンション管理状況届出制度について」(2020年7月16日更新)は掲載日が前年度以前ですが、いずれも東京都が全域で運営する制度であり、東京都マンションポータルサイトおよび東京都防災・建築まちづくりセンターの最新ページで制度の骨格に変更がないことを確認しています。マンションアドバイザー制度の派遣料助成の有無、無料派遣の受付枠等の細部は、申込前に必ず各窓口へ再度ご確認ください。


この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)

株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市

マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年9月28日

加須市のマンション補助金|大規模修繕2026年度版

2026年9月28日 更新

Q. 加須市でマンションの大規模修繕に直接使える補助金はありますか? A. 工事費そのものを直接補助する制度はまだありませんが、築20年以上・10戸以上のマンションが2回目以降の大規模修繕(床防水・屋根防水・外壁塗装等の3工事を一体施工)を令和9年3月31日までに完了させた場合、固定資産税を1年度だけ3分の1減額する制度が加須市にあります。この記事では、加須市と埼玉県が公式に公表している制度を一つずつ確認し、共用部の大規模修繕に使えるものと使えないものをはっきり分けてお伝えします。

私は株式会社明誠の代表取締役として、東京・埼玉を中心にマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を20年近くやってきました。加須市さんは「こいのぼりの生産数日本一」として知られ、300年近く続く手打ちうどんの町としても有名ですが、2010年3月23日に旧加須市・北川辺町・大利根町・騎西町の1市3町が新設合併してできた、いまの姿になってからまだ15年余りという比較的新しい市でもあります。東武伊勢崎線の花崎駅周辺(花崎北地区)を中心に分譲マンションがまとまって建てられており、いままさに「2回目・3回目の大規模修繕」を意識すべき築年数帯に差し掛かっています。この記事が、理事会での説明資料づくりの一助になれば幸いです。

早見表:加須市のマンション共用部で使える制度・使えない制度

まず結論を一覧にします。管理組合として「うちで使えるかどうか」を判断する最初のふるいとしてご利用ください。

制度名 共用部の大規模修繕に使えるか 補助額・減額の目安 実施主体
長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションに対する固定資産税の減額措置 ○ 築20年以上・10戸以上・2回目以降の3工事一体施工等の要件を満たせば対象 一戸あたり住宅部分の床面積100㎡までの固定資産税額の3分の1を1年度分減額 加須市
加須市マンション管理計画認定制度(令和7年4月開始) △ 直接の工事費補助ではないが、固定資産税減額の要件(管理計画認定または県指導)の一部を満たす手段になり得る 手数料は公式ページに記載なし・要問合せ 加須市
耐震診断・耐震改修の補助制度 ✕ 木造住宅専用のため分譲マンション(非木造)は対象外 耐震診断上限10万円・耐震改修上限50万円(令和7年度・木造住宅のみ) 加須市
省エネ改修工事に伴う固定資産税減額 ✕/要確認 賃貸住宅を除く「住宅」向けで、分譲マンション共用部への適用は公式ページに明記なし 床面積120㎡相当分まで3分の1減額(対象は主に戸建て想定) 加須市
民間建築物アスベスト除去等補助制度 ○ 加須市は補助対象地域に含まれる(除外12市に該当せず) 除去等工事費3分の2補助・上限800万円(延べ面積1,000㎡未満は上限400万円) 埼玉県
分譲マンションアドバイザー無料派遣制度(市部) ✕ 加須市は対象19市に含まれていない - 埼玉県
浄化槽設置費補助金(令和8年度) ✕ 自己居住用の戸建て住宅が対象、共同住宅は対象外 - 加須市
ゼロカーボン関連補助制度(太陽光発電・蓄電池等) △/要確認 対象者要件(戸建て限定か集合住宅を含むか)が公式ページに明記なし 制度により異なる・要問合せ 加須市
空き家等の解体・除却補助 ✕/要確認 加須市公式サイト上でマンション向けの該当制度は確認できませんでした - 加須市

加須市はこんな街です-こいのぼりとうどんの町に集中する花崎北地区の分譲マンション

加須市は埼玉県北東部に位置し、2010年3月23日に旧加須市・北埼玉郡騎西町・大利根町・北川辺町の1市3町が新設合併して誕生しました。令和8年5月1日現在の人口は111,658人、世帯数は52,240世帯です(出典:加須市統計)。「こいのぼりの生産数日本一」の町として知られるほか、県内有数の米・小麦の産地でもあり、「加須の手打ちうどん」を提供する店が市内に40店近く並ぶ、食と伝統工芸の両方で知られる自治体です。

市の中心部を東武伊勢崎線が横断し、加須駅・花崎駅の2駅があるほか、北川辺地域には東武日光線の駅もあります。民間の分譲マンションデータベースで確認できた範囲では、加須市内の登録物件は17件、そのうち13件が花崎駅周辺の「花崎北」地区に集中しています。最大規模は総戸数700戸の「ライオンズガーデン花崎」(1991年11月竣工)で、次いで総戸数186戸の「イトーピアリビエルコート」(1993年2月竣工)となっています(出典:全国マンションデータベース)。最も古い物件はすでに築36年前後、比較的新しい物件でも築16年前後となり、まさに最初の大規模修繕、あるいは2回目の大規模修繕の時期に集中して差し掛かっているのが加須市の特徴です。特に700戸規模の大規模団地は、修繕の合意形成そのものが大きな課題になりやすく、早めの情報収集と工法選びが将来の修繕費を大きく左右します。

長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションに対する固定資産税の減額措置-加須市が用意する”直接効く”唯一の制度

加須市の公式サイトで確認できた範囲で、共用部の大規模修繕に直接効く制度として明記されているのが、この固定資産税の減額措置です。国の「マンション長寿命化促進税制」を加須市が条例化して運用しているもので、ページの最終更新日は2025年5月26日です。

対象となるマンションの条件

加須市の公式ページによれば、対象は次のすべてを満たすマンションです。

  • 築後20年以上が経過していること
  • 10戸以上のマンションであること
  • 過去に1度以上の大規模修繕工事を実施済みであること(つまり2回目以降の工事が対象)
  • 令和5年4月1日から令和9年3月31日までの間に2回目以降の工事を完了していること
  • 2回目以降の工事は「床防水工事」「屋根防水工事」「外壁塗装等工事」の3つを一体で実施していること
  • 管理計画認定マンションであるか、都道府県の指導を受けて修繕積立金を引き上げていること

3つの工事を一体で実施することが条件になっている点は、他の自治体の同種制度と比べても明確に書き込まれている部分です。工事範囲を検討する段階から、この3工事セットで発注できるかどうかを意識しておく必要があります。

減額率・減額期間・申請期限

  • 減額率:一戸当たり住宅部分の床面積100平方メートルまでの固定資産税額の3分の1を減額
  • 減額期間:大規模修繕工事が完了した年度の翌年度分のみ(単年度限定)
  • 申告期限:工事が完了した日から3か月以内に減額申告書を提出
  • 申請窓口:加須市税務課資産税担当(本庁舎1階)
  • 必要書類:減額申告書、総戸数確認書、管理計画認定通知書、修繕工事証明書、過去工事証明書、修繕積立金引上証明書

(出典:加須市「長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションに対する固定資産税の減額措置」)

加須市マンション管理計画認定制度-令和7年4月にスタートしたばかりの新しい制度

加須市は令和7年4月から「加須市マンション管理計画認定制度」を開始しています。まだ制度開始から1年半程度と新しく、これから活用事例が積み上がっていく段階の制度です。

認定を受けるための5つの柱

国の基準に沿って、加須市も次の5つのカテゴリーで審査します。

  1. 管理組合の運営:管理者の選任、監事の配置、年1回以上の集会(総会)の開催
  2. 管理規約:規約の作成、緊急時の立ち入り規定、財務情報の提供に関する規定
  3. 管理組合の経理:管理費と修繕積立金の明確な区分、修繕積立金の使途制限、滞納者への対応
  4. 長期修繕計画:国の標準様式に準拠していること、7年以内に見直していること、計画期間が30年以上であること
  5. その他:居住者名簿の整備と年1回以上の確認

申請窓口と手数料

  • 申請窓口:加須市都市整備部建築開発課(本庁舎2階、電話:0480-62-1111代表)
  • 手数料:加須市の公式ページには具体的な金額の記載がなく、要問合せです
  • 必須書類:公益財団法人マンション管理センター発行の「事前確認適合証」
  • 相談ダイヤル:マンション管理計画認定制度相談ダイヤル 03-5801-0858(10時〜17時、日祝・年末年始除く)

(出典:加須市「『加須市マンション管理計画認定制度』がスタートします(令和7年4月〜)」)

前述の固定資産税減額措置の条件にも「管理計画認定マンションであること」が組み込まれています。つまりこの2つの制度は加須市においてワンセットで検討すべきものです。まず管理計画認定の取得を目指し、その延長線上で固定資産税減額を狙う、という順番で理事会に説明すると分かりやすいはずです。

耐震診断・耐震改修の補助制度-残念ながら分譲マンションは対象外

加須市には「住宅の無料簡易耐震診断」と「耐震診断・耐震改修の補助制度」があり、令和7年度は上限額が大きく引き上げられました(耐震診断は2.5万円から10万円へ、耐震改修は10万円から50万円へ)。

ただし対象は「現在、居住している自己所有の木造住宅等(昭和56年5月以前に着工したもの)」と明記されており、分譲マンションのような非木造・共同住宅は対象に含まれていません。加須市に限らず多くの自治体で共通する制限ですが、期待して問い合わせて対象外だと分かる管理組合が少なくないため、あらかじめお伝えしておきます。

加須市は限定特定行政庁-マンションの規模次第で12条点検・建築確認の窓口が変わります

加須市は建築基準法上の「限定特定行政庁」です。加須市が自ら審査できるのは、建築基準法第6条第1項第2号の一部・第3号に該当する以下の規模の建築物に限られます。

  • 木造1〜2階建ての一戸建て住宅(床面積300㎡以下)
  • 非木造1階建ての一戸建て住宅(床面積200㎡以下)
  • 非木造1階建ての事務所・工場など(床面積200㎡以内)

多くの分譲マンションのように、非木造で複数階・延べ床面積が大きい建築物は、この範囲を超えるため加須市の審査対象外となります。この場合、建築確認や12条点検(定期報告)に関わる審査は埼玉県熊谷建築安全センターが担当します。ただし申請書の受付窓口自体は加須市(建築開発課)にあり、事前に熊谷建築安全センターとの相談が必須です。窓口が二重構造になっている点は、初めて手続きする理事会担当者が迷いやすいポイントなので、まず加須市建築開発課に「うちのマンションはどちらが窓口になりますか」と確認することをおすすめします。

(出典:加須市「建築確認申請について(建築基準法)」)

民間建築物アスベスト除去等補助制度-加須市は対象地域に含まれます

大規模修繕の際に見落とされがちなのが、アスベスト(石綿)含有調査・除去工事に対する埼玉県の補助制度です。加須市はこの制度の対象地域に含まれています。

対象規模と補助内容

  • 含有調査:全額補助(上限1検体8万円、1棟あたり25万円)
  • 延べ面積1,000㎡以上の建築物:すべて対象
  • 延べ面積1,000㎡未満の建築物:定期報告対象建築物(共同住宅・寄宿舎を除く)のみ対象
  • 除去等工事の補助率:工事費の3分の2
  • 上限額:800万円(延べ面積1,000㎡未満は400万円)

この制度は、さいたま市・川越市・熊谷市・川口市・所沢市・春日部市・狭山市・上尾市・草加市・越谷市・新座市・久喜市の12市を除く埼玉県全域が対象で、加須市はこの除外12市に含まれていないため、対象地域です。延べ面積1,000㎡を超えるような比較的大規模なマンションであれば、外壁改修に伴うアスベスト含有調査・除去工事を検討する際にぜひ活用を検討してください。

(出典:埼玉県「民間建築物のアスベスト除去等に対する補助制度のご案内」)

分譲マンションアドバイザー無料派遣制度-加須市は対象19市に含まれていません

大規模修繕そのものへの補助ではありませんが、修繕計画づくりや管理組合運営の相談に無料で使える制度として、埼玉県分譲マンションアドバイザーの派遣制度(市部)があります。

正直にお伝えしなければならないのですが、この制度の対象19市(熊谷市、飯能市、狭山市、鴻巣市、上尾市、戸田市、入間市、朝霞市、志木市、和光市、桶川市、久喜市、北本市、八潮市、富士見市、三郷市、坂戸市、鶴ヶ島市、吉川市)の中に、加須市は含まれていません。加須市は「町村部」ではなく「市」であるため、町村部向けの同種制度の対象にもなりません。つまり現時点で、加須市の分譲マンション管理組合が埼玉県のこの無料派遣制度を利用することは難しい状況です。

これは加須市に限った話ではなく、対象自治体が19市に限定されている制度である以上、どうしても生じる地域差です。ただし、対象拡大の可能性はゼロではありませんので、加須市都市整備部建築開発課を通じて、県への要望として声を届けていただくのも一つの方法かと思います。管理組合単独での相談先としては、後述する加須市の窓口や、公益財団法人マンション管理センターの一般相談窓口をご活用ください。

(出典:埼玉県「市部における埼玉県分譲マンションアドバイザーの無料派遣について」)

浄化槽・省エネ・空き家関連の補助金-共用部にはほぼ使えません

加須市の公式サイトを確認した範囲では、以下の制度がありますが、いずれもマンション共用部の大規模修繕に直接使えるものではありませんでした。

  • 浄化槽設置費補助金(令和8年度、受付期間:令和8年4月1日〜令和8年12月11日):対象は「自己の居住の用に供する住宅」の単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への入れ替えで、共同住宅は対象外です
  • 省エネ改修工事に伴う固定資産税減額:対象は「平成26年4月1日以前に建築された住宅」(賃貸住宅を除く)で、床面積要件も戸建て住宅を前提とした50〜280㎡(令和8年4月以降は40〜240㎡)となっており、分譲マンション共用部への適用は公式ページに明記されていません
  • ゼロカーボン関連補助制度(住宅用太陽光発電・定置用蓄電池設置補助金、省エネ・再エネ設備導入補助制度等):対象者要件(戸建て限定か集合住宅も含むか)が公式ページに明記されておらず、要問合せです
  • 空き家等の解体・除却補助:加須市公式サイト上で、マンション(共同住宅)を対象にした解体費補助の該当ページを見つけることができませんでした

共用部の設備更新や省エネ改修を検討される場合は、上記いずれについても加須市の担当課(環境政策課・税務課・建築開発課)へ直接、対象範囲を確認いただくことをおすすめします。

正直なところ、加須市は補助金の面ではまだ「これから」の自治体だという印象です。だからこそ、制度を待つだけでなく、工法選びによって費用そのものを圧縮する発想が大切だと私は考えています。

補助金だけでは足りない部分をどう埋めるか-工法選びでコストを作る

私たち株式会社明誠は、通常の足場仮設による工事、無足場工法であるロープアクセス工法、足場とロープアクセスを組み合わせたハイブリッド工法の3つから、建物にとって最適な工法をご提案できる、日本でも数の少ない会社です。ロープアクセスとしては日本で初めてとなるフランチャイズ展開も行っており、塗装・防水・タイル・電気・看板工事など各分野の専門職が加盟することで、高品質かつ低価格な工事を可能にしています。

私の経験上、これは決して大げさな話ではありません。以前、総戸数700戸クラスの大規模団地に匹敵する規模の建物で、外壁の劣化調査からロープアクセスによる部分補修まで対応した際には、全面に足場を組む場合と比べて足場仮設費を大きく圧縮できた事例があります。建物の形状や劣化状況によって適用できるかどうかは変わりますが、まずは無足場工法が使えるかどうかを見極めるところから始めるだけでも、修繕積立金の使い道は大きく変わってきます。ロープアクセス工法の技術情報はロープアクセスドットコムに詳しくまとめていますので、あわせてご参照ください。

3つの工法をワンセットで比較検討し、建物にとって本当に必要な範囲だけに足場を使う。それが結果的に、限られた修繕積立金と、今回ご紹介したような限定的な補助制度を組み合わせて大規模修繕をやり切るための、現実的な近道になると私は考えています。詳しくはロープアクセス工法のご紹介、そして足場工事とロープアクセスを組み合わせた大規模修繕工事のご紹介もご覧ください。建物の状態を見た上での無料調査のご相談は、お問合せフォームからお気軽にどうぞ。

久喜市や鴻巣市など、加須市に近い埼玉県北東部・北部の自治体でどんな制度が使えるかについては、久喜市のマンション補助金|大規模修繕2026年度版や鴻巣市のマンション補助金|大規模修繕2026年度版も参考にしてください。

加須市のマンションが大規模修繕に向けて動くべき5つのステップ

  1. 築年数と工事履歴を確認する:固定資産税の減額措置は「2回目以降の工事」かつ「床防水・屋根防水・外壁塗装の3工事一体施工」が条件です。過去の工事記録を管理組合として整理しておきましょう
  2. 加須市建築開発課へマンション管理計画認定の相談をする:令和7年4月開始の新しい制度で、固定資産税減額の要件の一部にもなります。まずは事前確認適合証の取得から検討しましょう
  3. 建物の規模で建築確認・12条点検の窓口を確認する:非木造・複数階の分譲マンションであれば、埼玉県熊谷建築安全センターが実質的な審査窓口になる可能性があります
  4. 建物の延べ床面積でアスベスト調査の要否を判断する:延べ面積1,000平方メートル以上であれば、埼玉県の補助対象になり得ます
  5. 県への要望も選択肢に入れる:分譲マンションアドバイザー派遣制度の対象拡大を、加須市の窓口を通じて県へ伝えることも検討してみてください

よくあるご質問

Q. 加須市に分譲マンションの大規模修繕そのものへの補助金はありますか?

A. 工事費そのものを直接補助する制度はまだ確認できていません。ただし、築20年以上・10戸以上のマンションが2回目以降の大規模修繕(床防水・屋根防水・外壁塗装の3工事一体施工)を令和9年3月31日までに完了した場合、固定資産税を1年度だけ3分の1減額する制度があります。

Q. マンション管理計画認定を取得するメリットは何ですか?

A. 加須市の固定資産税減額措置の条件の一つに「管理計画認定マンションであること」が含まれています。認定取得自体に直接の補助金はありませんが、固定資産税減額を受けるための実務的なルートになり得ます。

Q. うちのマンションは非木造ですが、耐震関連で使える制度はありませんか?

A. 加須市の耐震診断・耐震改修補助制度は木造住宅専用のため、非木造の分譲マンションは対象外です。ただし、延べ面積1,000平方メートル以上であれば、アスベスト含有調査や除去工事について埼玉県の補助制度の対象になり得ますので、そちらから検討することをおすすめします。

Q. マンションの12条点検(定期報告)や建築確認はどこに相談すればいいですか?

A. 加須市が限定特定行政庁であるため、建物の規模によって窓口が分かれます。多くの分譲マンションのように非木造・複数階の建築物であれば、埼玉県熊谷建築安全センターが実質的な審査窓口になります。ただし申請書の受付自体は加須市建築開発課ですので、まずはそちらへご相談ください。

Q. 埼玉県分譲マンションアドバイザー派遣制度は加須市でも申し込めますか?

A. 残念ながら、この制度の対象19市に加須市は含まれていません。市部・町村部いずれの制度も現時点では対象外です。管理組合運営の相談は、加須市の窓口や公益財団法人マンション管理センターの一般相談窓口をご活用ください。

Q. 足場を組まずに大規模修繕をすることは本当に可能ですか?

A. 建物の形状や劣化状況によりますが、ロープアクセス工法(無足場工法)や、足場とロープアクセスを組み合わせたハイブリッド工法で対応できるケースは多くあります。総戸数の多い大規模団地であっても、部分補修や劣化調査であれば無足場工法が有効な場面が少なくありません。まずは建物の状態を見た上でのご提案になりますので、無料調査からお気軽にご相談ください。

この記事のポイントまとめ

  • 加須市に大規模修繕そのものへの直接補助金はまだ確認できない
  • 固定資産税減額措置は築20年以上・10戸以上・2回目以降の3工事一体施工・令和9年3月末までの完了が条件
  • マンション管理計画認定制度は令和7年4月開始の新しい制度で、固定資産税減額の要件にも連動する
  • 加須市は限定特定行政庁で、多くのマンションは埼玉県熊谷建築安全センターが実質的な審査窓口になる
  • 埼玉県アスベスト除去補助は対象だが、分譲マンションアドバイザー派遣制度は対象外という明暗が分かれている

出典・参考資料

本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月28日時点で公表されている加須市および埼玉県の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請される前に、必ず加須市および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。


▼ロープアクセス工法・無足場工法の詳細解説はこちら
ロープアクセスドットコム|無足場工法専門メディア

この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年9月28日

正直に申し上げると、加須市も補助金だけを見れば「これから」のエリアだというのが実感です。特に分譲マンションアドバイザー派遣制度のように、対象自治体に入っていない制度があるのは残念な事実ですが、だからこそ制度を待つのではなく、工法選びで自ら費用を作りにいく発想が大切だと私は考えています。700戸クラスの大規模団地を抱える加須市だからこそ、早めの情報収集と合意形成が肝心です。迷ったときはご相談だけでも遠慮なくお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。

日高市のマンション補助金|大規模修繕2026年度版

2026年9月28日 更新

Q. 日高市でマンションの大規模修繕に直接使える補助金はありますか? A. 本記事執筆時点で、日高市公式サイト上に大規模修繕の工事費そのものに直接使える補助金は見当たりませんでした。近隣の鶴ヶ島市や坂戸市にある「大規模修繕で固定資産税を減額する制度」も、日高市の固定資産税ページの減額制度一覧には含まれていません。この記事では、日高市と埼玉県が公式に公表している制度を一つずつ確認し、共用部の大規模修繕に使えるものと使えないものをはっきり分けてお伝えします。

私は株式会社明誠の代表取締役として、東京・埼玉を中心にマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を20年近くやってきました。日高市さんは巾着田や高麗神社で知られる自然豊かな街ですが、JR川越線・八高線の武蔵高萩駅、西武池袋線の高麗駅周辺など駅近エリアには築30年前後の分譲マンションもあり、修繕積立金だけでは工事費を賄いきれない管理組合さんからのご相談を私自身も受けてきました。制度が薄いエリアだからこそ、正直な情報と工法選びの工夫が大事になります。この記事が、理事会での説明資料づくりの一助になれば幸いです。

早見表:日高市のマンション共用部で使える制度・使えない制度

まず結論を一覧にします。管理組合として「うちで使えるかどうか」を判断する最初のふるいとしてご利用ください。日高市は、他の埼玉県内の自治体と比べても使える制度が少ないというのが率直な印象です。

制度名 共用部の大規模修繕に使えるか 補助額・減額の目安 実施主体
マンション長寿命化促進税制(固定資産税減額) ✕ 日高市公式サイトの固定資産税減額制度一覧に含まれておらず、条例化されていないと考えられる - 日高市
マンション管理計画認定制度 △ 国の制度自体は使えるはずだが、日高市独自の申請窓口・手数料を示すページを公式サイト上で確認できず 要確認 日高市
木造住宅耐震診断・耐震改修補助 ✕ 昭和56年5月31日以前着工の木造一戸建て等が対象で、分譲マンション(非木造)は対象外 - 日高市
民間建築物アスベスト除去等補助制度 ○ 延べ面積1,000㎡以上のマンションなら対象になり得る 除去工事費3分の2補助・上限800万円(1,000㎡未満は上限400万円) 埼玉県
分譲マンションアドバイザー無料派遣制度(市部) ✕ 対象19市の一覧に日高市は含まれておらず、利用できない - 埼玉県
ブロック塀等撤去・空き家解体等の補助金 ✕/要確認 日高市公式サイト上でマンション共用部向けの該当制度を確認できませんでした - -

日高市はこんな街です-巾着田と高麗の歴史が息づく、駅近マンションが点在する街

日高市は埼玉県南西部、東京都心から40キロメートル圏内に位置し、東側は武蔵野台地の緩やかな高台、西側は秩父山地や高麗丘陵にかかる、平地と丘陵が同居する自治体です。市の中央部を高麗川が流れ、日本最大級とされる500万本規模の曼珠沙華(彼岸花)群生地「巾着田」や、飛鳥時代に高句麗からの渡来人によって開かれた歴史を持つ「高麗神社」など、自然・歴史の両面で知られています(出典:日高市「ひだかってどんなところ」)。

交通面では、市の東側を圏央道と国道407号、西側を国道299号が通り、圏央道には「狭山日高インターチェンジ」があります。鉄道はJR八高線・JR川越線・西武池袋線の3路線が市内を通り、武蔵高萩駅・高麗川駅・高麗駅などが主要な駅です。日高市は1991年(平成3年)10月1日に県内42番目の市として市制施行しており(出典:日高市「ひだかってどんなところ」)、令和8年8月1日現在の人口は53,431人、世帯数は25,591世帯となっています(出典:日高市「最新の人口・世帯数」)。

分譲マンションの分布については、正直に申し上げると、日高市は近隣の鶴ヶ島市や坂戸市ほど大規模な分譲マンション群を持つ街ではありません。民間の全国マンションデータベースで確認できた範囲では、日高市の登録物件は「セザール武蔵高萩」(1991年11月竣工、総戸数40戸、RC造7階建て、武蔵高萩駅より徒歩13分)の1件にとどまります(出典:全国マンションデータベース)。これはあくまで同データベースへの登録状況を反映したものであり、日高市内に存在する分譲マンションの全数を示すものではありませんが、駅前に大規模な分譲マンション群が林立する自治体とは事情が異なることは間違いありません。築30年を超える物件が現に存在する以上、大規模修繕の課題そのものは他の自治体と変わらず存在しています。

マンション長寿命化促進税制(固定資産税減額)-日高市では確認できませんでした

国は、長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションについて、固定資産税を一定期間減額する「マンション長寿命化促進税制」を用意しており、国土交通省・マンション管理・再生ポータルサイトの発表によれば、この税制の適用期間は全国的に2年間延長され、令和9年3月31日までに完了した工事が対象になるとされています(出典:国土交通省・マンション管理・再生ポータルサイト「マンション長寿命化促進税制の期間が延長されました」)。

ただし、これはあくまで国が定めた枠組みであり、実際に減額を受けられるかどうかは、各市区町村が条例で採用しているかどうかにかかっています。私が日高市の公式サイトで固定資産税の減額・減免制度を確認したところ、掲載されていたのは次の6つです(出典:日高市「固定資産税」)。

  1. 新築住宅に対する軽減
  2. 住宅の耐震改修工事に伴う減額
  3. 住宅のバリアフリー改修工事に伴う減額
  4. 住宅の省エネ改修工事に伴う減額
  5. 認定長期優良住宅に対する減額
  6. 住宅用地に対する課税標準の特例措置

ご覧の通り、マンションの大規模修繕・長寿命化工事に関する固定資産税の減額措置は、この一覧に含まれていません。固定資産税のよくある質問ページ(出典:日高市「固定資産税に関するよくあるご質問」)にも同様の記載はなく、日高市はこの税制を条例化していない、あるいは少なくとも公式サイト上では制度化を公表していないと考えるのが妥当です。

正直に申し上げます。鶴ヶ島市や坂戸市など近隣の自治体では同種の減額制度が確認できている一方で、日高市では確認できませんでした。これは日高市の管理組合さんにとって不利な事実ですが、隠さずお伝えするのが誠実だと私は考えています。もし理事会でこの制度の活用を検討されている場合は、日高市が今後この税制を条例化する予定があるかどうかを含め、日高市税務課へ直接お問い合わせいただくことをおすすめします。

マンション管理計画認定制度-日高市独自の窓口ページは確認できませんでした

マンション管理計画認定制度は、管理組合が策定する管理計画を自治体が認定することで、管理の適正化を促す国の制度です(根拠法:マンションの管理の適正化の推進に関する法律)。認定を受けると、住宅金融支援機構のフラット35の金利優遇など、金融面でのメリットにつながる場合があります。

埼玉県の公式ページでは、申請窓口の原則として「町村部に立地する分譲マンションは県が窓口、市に立地するマンションは各市役所の担当窓口へ問い合わせ」と明記されています(出典:埼玉県「マンション管理計画認定制度について」)。日高市は「市」ですので、この原則に従えば申請窓口は日高市役所(都市計画課が中心と考えられます)になる可能性が高いといえます。

ただし、これはあくまで原則からの推測です。私が日高市都市計画課のページを確認した範囲では、計画推進・企業誘致担当、建築指導・開発指導担当、住宅政策・公園担当の3担当が置かれていることは分かったものの、マンション管理計画認定制度そのものについての専用ページや、日高市独自の認定基準・申請手数料を明記したページは見当たりませんでした(出典:日高市都市計画課ページ)。認定基準や手数料は自治体によって「国の基準どおり」「独自に上乗せ」など差があるため、日高市がどちらの運用なのかは、本記事執筆時点では断定できません。

管理計画認定の取得をご検討の管理組合さんは、まず日高市役所の代表電話(042-989-2111)から都市計画課へおつなぎいただくか、埼玉県のマンション管理計画認定制度の相談窓口へ直接お問い合わせいただくことをおすすめします。認定を取得しても固定資産税の減額には直結しない点(前述の通り日高市には該当する減額制度が確認できていません)にはご注意ください。

耐震診断・耐震改修補助制度-分譲マンションは対象外です

日高市には耐震診断・耐震改修の補助制度がありますが、対象は木造住宅に限られています。日高市の公式ページには次のように明記されています(出典:日高市「耐震診断・耐震改修補助制度」)。

「昭和56年5月31日以前に着工された一戸建て住宅または兼用住宅で店舗等の用に供する部分の床面積が延べ床面積の2分の1未満で、かつ、木造在来軸組工法または木造枠組壁工法(ツーバイフォー)で建築された2階建て以下のもの」

分譲マンションの多くは鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)の非木造建築物ですので、この補助制度の対象にはなりません。耐震性が気になる築古マンションの管理組合さんは、この制度をあてにするのではなく、後述するアスベスト調査とあわせて、専門業者による建物診断を検討されることをおすすめします。なお、同ページには「耐震診断、耐震改修を実施する前に交付申請書を提出し、補助金の交付決定後に着手すること」という手続き上の注意点も明記されており、木造住宅であっても事前申請を忘れると対象外になる点は共通の注意点として押さえておく価値があります。

限定特定行政庁としての日高市-建築確認の窓口が2つに分かれるという固有の注意点

これは日高市の分譲マンションを持つ管理組合さんが意外と知らない、実務上重要なポイントです。日高市は建築基準法上の「限定特定行政庁」に平成7年5月1日から指定されており、市が自ら建築確認や検査を担当できる建築物の範囲が限定されています(出典:埼玉県「日高市(限定特定行政庁)」)。

日高市都市計画課が担当する建築物

  • 木造建築物で、地階を除く階数が2以下、延べ面積300平方メートル以下、高さ16メートル以下のもの(知事の許可を必要とするものを除く)
  • 建築基準法第6条第1項第3号に該当する建築物(知事許可不要なもの)

上記以外の建築物-つまり一般的な分譲マンションの多く

日高市内の分譲マンションは非木造(RC造・SRC造等)で、3階建て以上・延べ面積300平方メートル超のものが大半です。この規模のマンションは日高市の担当範囲を超えるため、建築確認の窓口は川越建築安全センター(川越市新宿町1-17-17 ウエスタ川越4階、電話049-243-2746)になります(出典:埼玉県「日高市(限定特定行政庁)」)。

12条点検(定期報告)の窓口についても、限定特定行政庁の枠組み上、市の担当範囲を超える建築物は県の所管になるのが一般的です。ただし、日高市の12条点検の担当窓口が具体的にどの機関になるかは、本記事執筆時点で確認した資料からは断定できませんでした。埼玉県建築安全課、または川越建築安全センターのいずれかが窓口になっている可能性が高いと考えられますが、正確な窓口は管理組合さんから直接お問い合わせのうえご確認いただくことを強くおすすめします。「うちのマンションのことだから、まずは日高市役所に聞けばいい」と考えて連絡すると、実際の担当は別の機関だったというケースが起こり得る点は、限定特定行政庁に指定されている自治体に共通する注意点です。

アスベスト除去補助制度-日高市は埼玉県の対象区域に含まれます

築30年前後のマンションでは、外壁や機械室などにアスベスト(石綿)を含む建材が使われている可能性があります。大規模修繕の際に除去工事が必要になった場合、埼玉県の補助制度が使える可能性があります。

  • 対象区域:さいたま市、川越市、熊谷市、川口市、所沢市、春日部市、狭山市、上尾市、草加市、越谷市、新座市、久喜市の12市を除く埼玉県内すべての区域が対象です。日高市はこの除外リストに含まれていないため、補助対象区域に該当します
  • 対象規模:民間建築物が基本対象ですが、延べ面積が1,000平方メートル未満の建築物の場合は「定期報告の対象となる建築物(共同住宅・寄宿舎を除く)」に限られます。逆に言えば、延べ面積1,000平方メートル以上のマンションであれば、共同住宅であっても対象になり得ます
  • 補助率:除去等工事費の3分の2
  • 補助上限額:除去等は800万円(延べ面積1,000平方メートル未満の建築物は400万円)、含有調査は1検体あたり8万円かつ1棟あたり25万円

(出典:埼玉県「民間建築物のアスベスト除去等に対する補助制度のご案内」)

まずはアスベスト含有調査を行い、含有が確認された場合に除去工事の補助を検討する、という2段階で考えるのが実務的です。調査だけでも数十万円規模の費用がかかることがあるため、含有調査の段階から補助の活用を検討することをおすすめします。日高市の分譲マンションのうち、延べ面積が1,000平方メートルを超える規模のものであれば、この制度は数少ない「実際に使える」制度の一つになります。

埼玉県分譲マンションアドバイザー派遣制度-日高市は対象外です

大規模修繕そのものへの補助ではありませんが、修繕計画づくりや管理組合運営の相談に無料で使える制度として、埼玉県分譲マンションアドバイザーの派遣制度があります。ここが、日高市の記事として特にお伝えしておきたいポイントです。

  • 市部の対象市(19市):熊谷市、飯能市、狭山市、鴻巣市、上尾市、戸田市、入間市、朝霞市、志木市、和光市、桶川市、久喜市、北本市、八潮市、富士見市、三郷市、坂戸市、鶴ヶ島市、吉川市の19市が対象です。日高市はこの一覧に含まれていません(出典:埼玉県「市部における埼玉県分譲マンションアドバイザーの無料派遣について」)
  • この制度には「町村部における埼玉県分譲マンションアドバイザーの無料派遣」という別枠もありますが、これは文字通り町村(町・村)が対象であり、日高市は「市」ですのでこちらの対象にもなりません

つまり日高市の管理組合さんは、埼玉県が用意しているこの無料相談制度のどちらの窓口からも、現時点では利用できないということになります。近隣の坂戸市・鶴ヶ島市・北本市の管理組合さんが利用できる制度が、日高市では使えない――これは日高市固有の、率直にお伝えしておくべき事実だと考えています。この制度の対象自治体が今後見直される可能性はゼロではありませんので、日高市が対象に加わっていないか、定期的に埼玉県のページを確認しておく価値はあります。

その他の補助金-ブロック塀・空き家関連は共用部にはほぼ使えません

日高市の公式サイトを確認した範囲では、ブロック塀等の撤去補助金、空き家等の解体補助金といった、他の自治体でよく見られるタイプの補助制度について、マンションの共用部を対象とした該当ページを見つけることができませんでした。日高市の「住まい」に関する案内ページには、空き家・耐震診断・耐震改修・市営住宅・補助金など・土地の先買い制度・開発許可制度・ブロック塀の安全確認・低炭素建築物認定・住宅等の建築・長期優良住宅認定といった項目が並んでいますが、いずれも戸建て住宅や個人住宅を主な対象としたもので、分譲マンションの共用部に直接使える制度として明記されているものはありませんでした(出典:日高市「住まい」)。

正直なところ、日高市は補助金の面では埼玉県内の他の自治体と比べても「これから」どころか、現時点ではほとんど手がかりがない自治体だという印象です。だからこそ、制度を待つだけでなく、工法選びによって費用そのものを圧縮する発想が、日高市の管理組合さんにとってはより一層大切になると私は考えています。

補助金が薄いからこそ、工法選びでコストを作る

私たち株式会社明誠は、通常の足場仮設による工事、無足場工法であるロープアクセス工法、足場とロープアクセスを組み合わせたハイブリッド工法の3つから、建物にとって最適な工法をご提案できる、日本でも数の少ない会社です。ロープアクセスとしては日本で初めてとなるフランチャイズ展開も行っており、塗装・防水・タイル・電気・看板工事など各分野の専門職が加盟することで、高品質かつ低価格な工事を可能にしています。私たちはこれまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけており、ロープアクセス工法での高所作業について、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業では過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。

私の経験上、これは決して大げさな話ではありません。以前、5階建て・総戸数60戸ほどのマンションで外壁の劣化調査からロープアクセスによる部分補修まで対応した際には、全面に足場を組む場合と比べて足場仮設費を45万円ほど圧縮できた事例があります。建物の形状や劣化状況によって適用できるかどうかは変わりますが、まずは無足場工法が使えるかどうかを見極めるところから始めるだけでも、修繕積立金の使い道は大きく変わってきます。ロープアクセス工法の詳細な技術情報は姉妹サイトロープアクセスドットコムにまとめていますので、あわせてご参照ください。

日高市のように公的補助が薄いエリアでは特に、3つの工法をワンセットで比較検討し、建物にとって本当に必要な範囲だけに足場を使うことが、限られた修繕積立金だけで大規模修繕をやり切るための現実的な近道になると私は考えています。詳しくはロープアクセス工法のご紹介、そして足場工事とロープアクセスを組み合わせた大規模修繕工事のご紹介もご覧ください。建物の状態を見た上での無料調査のご相談は、お問合せフォームからお気軽にどうぞ。

埼玉県内の他の自治体でどんな制度が使えるかについては、坂戸市のマンション補助金|大規模修繕2026年度版や鶴ヶ島市のマンション補助金|大規模修繕2026年度版も参考にしてください。

日高市のマンションが大規模修繕に向けて動くべき5つのステップ

  1. 固定資産税の減額制度について日高市税務課へ直接確認する:本記事の調査時点では該当制度を確認できませんでしたが、条例化の予定や今後の見直しの有無は、最新の情報として直接確認しておくと安心です
  2. マンション管理計画認定の窓口を日高市都市計画課へ確認する:認定基準・手数料が国基準どおりか独自基準かも含めて、早めに問い合わせておきましょう
  3. 建物の規模でアスベスト調査の要否を判断する:延べ面積1,000平方メートル以上であれば、埼玉県の補助対象になり得ます。調査だけでも早めに動く価値があります
  4. 限定特定行政庁の窓口分岐を把握しておく:建築確認は川越建築安全センター、12条点検の窓口は事前に確認しておくと、増築や大規模の修繕を検討する際にスムーズです
  5. 県の無料相談が使えない前提で、工法選びの比較検討を早めに始める:埼玉県分譲マンションアドバイザー派遣が使えない以上、専門業者による無料現地調査を活用し、複数の工法・複数の業者を比較する時間を確保しておきましょう

よくあるご質問

Q. 日高市に分譲マンションの大規模修繕そのものへの補助金はありますか?

A. 本記事執筆時点の日高市公式サイトでは、工事費そのものを直接補助する制度は確認できませんでした。固定資産税を減額する「マンション長寿命化促進税制」も、日高市の減額制度一覧には含まれていません。

Q. 国のマンション長寿命化促進税制は日高市でも使えますか?

A. 国土交通省の発表では、この税制の適用期間は全国的に令和9年3月31日まで延長されています。ただし実際の適用は各自治体が条例で採用しているかどうかによります。日高市の公式サイトの固定資産税減額制度一覧には該当する記載がなく、条例化されていないと考えられるため、日高市税務課へ直接ご確認ください。

Q. うちのマンションは非木造ですが、耐震関連で使える制度はありませんか?

A. 日高市の耐震診断・耐震改修補助制度は昭和56年5月31日以前着工の木造住宅専用のため、非木造の分譲マンションは対象外です。ただし、延べ面積1,000平方メートル以上であれば、アスベスト含有調査や除去工事について埼玉県の補助制度の対象になり得ますので、そちらから検討することをおすすめします。

Q. マンションの12条点検(定期報告)はどこに相談すればいいですか?

A. 日高市が限定特定行政庁であるため、建物の規模によって窓口が分かれます。多くの分譲マンションのように非木造・延べ面積300平方メートル超の建築物であれば、建築確認の窓口は川越建築安全センターになります。12条点検の具体的な窓口は本記事執筆時点で確認できなかったため、川越建築安全センターまたは埼玉県建築安全課へ直接お問い合わせください。

Q. 埼玉県分譲マンションアドバイザー派遣制度は日高市でも申し込めますか?

A. 申し込めません。市部の対象19市の一覧に日高市は含まれておらず、町村部向けの制度も日高市は「市」であるため対象外です。修繕計画づくりの相談は、専門業者の無料現地調査など別の窓口をご活用ください。

Q. 足場を組まずに大規模修繕をすることは本当に可能ですか?

A. 建物の形状や劣化状況によりますが、ロープアクセス工法(無足場工法)や、足場とロープアクセスを組み合わせたハイブリッド工法で対応できるケースは多くあります。5階建て・総戸数60戸ほどの建物で、足場仮設費を45万円ほど圧縮できた事例もあります。まずは建物の状態を見た上でのご提案になりますので、無料調査からお気軽にご相談ください。

この記事のポイントまとめ

  • 日高市に大規模修繕そのものへの直接補助金は確認できなかった
  • マンション長寿命化促進税制(固定資産税減額)は日高市では条例化されていないと考えられる
  • 耐震診断・耐震改修補助は木造住宅専用で分譲マンションは対象外
  • 日高市は限定特定行政庁で、多くのマンションは建築確認の窓口が川越建築安全センターになる
  • 埼玉県分譲マンションアドバイザー無料派遣は市部・町村部いずれも日高市は対象外
  • アスベスト除去等補助制度(埼玉県)は延べ面積1,000㎡以上なら数少ない「使える」制度

出典・参考資料

本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月28日時点で公表されている日高市および埼玉県・国土交通省の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも新設・改正・予算終了があり得ます。実際に検討される前に、必ず日高市および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。


▼ロープアクセス工法・無足場工法の詳細解説はこちら
ロープアクセスドットコム|無足場工法専門メディア

この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年9月28日

正直に申し上げると、日高市は今回調べた中でも特に、公的な補助制度が手薄な自治体だという実感を持ちました。だからこそ、制度に頼らず工法選びで自ら費用を作りにいく発想が大切だと私は考えています。窓口が県と市で分かれていて分かりにくい部分もありますので、迷ったときはご相談だけでも遠慮なくお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。

建築基準法施行令が2026年11月改正|型式認定拡充・採光/防火規制の合理化で大規模修繕の資材調達はどう変わるか、マンション管理組合とオーナーが今知っておきたいこと【2026年9月】

この記事で分かること

「建築基準法が変わるらしいけど、うちのマンションの大規模修繕に関係あるの?」——この記事はその疑問に、2026年9月11日に閣議決定された建築基準法施行令の改正内容をもとにお答えします。

きっかけは、国土交通省が公表した報道発表資料でした(出典:国土交通省「『建築基準法施行令の一部を改正する政令』を閣議決定」)。住宅の円滑な供給のための型式適合認定制度の拡充と、採光規制・防火規制・危険物の総量規制の合理化。ニュースの見出しだけを見ると新築住宅向けの制度改正に思えますが、私はこれを読んで、日々ご相談をいただいているマンション・ビルの大規模修繕の現場を思い浮かべました。資材調達や既存不適格建築物の扱いは、既存マンションの改修工事にも無関係ではないからです。

私は株式会社明誠の本間と申します。東京都東大和市を拠点に、マンション・ビル・ホテルの大規模修繕を20年近くやってきました。今日は、あまり大きく報じられていないけれど管理組合の理事長さまや収益不動産のオーナーさまに関わりのある建築基準法の改正を、現場目線でかみ砕いてお伝えします。


結論:2026年11月1日から、4つの規制が「合理化」されます

先に結論からお伝えします。2026年9月11日に閣議決定され、同年9月16日に公布された今回の政令改正は、2026年11月1日に施行されます(出典:国土交通省「『建築基準法施行令の一部を改正する政令』を閣議決定」)。柱は次の4つです。

項目 改正前 改正後(2026年11月1日〜)
型式適合認定制度 「建築物全体」「建築物全体から建築設備を除いたもの」「建築設備」の3類型 「構造耐力に係る規定」の型式を新設し4類型に拡充
採光規制 児童福祉施設等も一律に採光規制の対象 滞在時間が短いなど衛生上支障がない施設は対象外に
防火規制 施行令第109条の2の2、第112条等に基づく層間変形角・面積区画等の規制 防火・避難上支障がないと認められるものは規制対象外に
危険物の総量規制 圧縮ガス・可燃性ガスを燃料とする設備は用途地域の危険物規制の対象 安全基準に適合する設備は危険物の総量から除外

いずれも「規制をなくす」のではなく、「支障がないと確認できる場合に限って対象から外す」という、条件付きの合理化である点がポイントです。具体的な線引きは、今後発出される告示で定められる予定になっています。


なぜ今、国は建築規制の合理化を急ぐのか

今回の改正の背景には、住宅・建築物の供給を円滑にしたいという国の方針があります。国交省の資料では「住宅の円滑な供給を図るための型式適合認定制度の拡充」という表現が使われており、資材価格の高騰や職人不足が続くなかで、審査の重複や過剰な規制を見直し、供給のボトルネックを減らそうとする姿勢がうかがえます(出典:国土交通省「『建築基準法施行令の一部を改正する政令』を閣議決定」)。

私はこれを、新築だけの話だとは思っていません。建設業界全体が資材高騰・人手不足という同じ荷物を背負っている以上、規制の合理化という追い風は、既存マンションの改修や設備更新を担う私たちの業界にも、遅かれ早かれ波及してくるはずです。実際、後述するとおり、既存建築ストックの長寿命化に向けた規定の合理化は2025年からすでに始まっており、今回の改正はその延長線上にある動きだと私は理解しています。

正直に申し上げると、こうした政令改正のニュースは、見出しだけ読んで「自分には関係ない」と読み飛ばされがちです。私自身、20年近くこの業界にいますが、法改正のニュースを毎回きちんと読み込んでいる同業者は、決して多くはないという印象があります。ですが、資材メーカー・元請・下請・発注者という業界の川上から川下までが同じルールの上で動いている以上、上流で起きた小さな規制緩和が、数年後には現場の見積書や工程表というかたちで、管理組合・オーナーさまの手元にまで届くことは少なくありません。今日お伝えする内容も、今すぐ何かが変わるという話ではありませんが、数年単位で自分のマンションの大規模修繕計画を立てるうえでの背景知識として、頭の片隅に置いていただければと思います。


型式適合認定制度の拡充──「構造耐力」区分が新設される意味

何がどう変わるのか

型式適合認定は、あらかじめ国に登録された審査機関が特定の仕様を認定しておくことで、個別の建築確認のたびに同じ審査を繰り返さずに済む仕組みです。これまでは「建築物全体」「建築物全体から建築設備を除いたもの」「建築設備」の3つの区分でしたが、今回新たに「構造耐力に係る規定」の区分が加わります(出典:国土交通省「建築基準法施行令の一部を改正する政令案」報道発表資料)。

分かりやすく言えば、これまでは建物の「骨組みの強さ」に関わる部分も含めて丸ごと型式認定を取る必要がありましたが、これからは骨組みの強さの部分だけを切り出して先に認定を受けておける、ということです。国交省の資料では、「建築資材の調達が困難になった場合に、構造耐力に係る規定の審査を省略したうえで、調達が困難になった資材だけを個別に確認する」柔軟な運用ができるようになる、と説明されています。

私はこの説明を読んで、以前の現場でこんな場面があったのを思い出しました。ある大規模修繕の見積り段階で、当初予定していた外壁の断熱下地材が半年待ちになり、代替材への切り替えに伴って構造計算のやり直しに近い確認作業が発生し、着工が2か月ほど後ろ倒しになったことがあります。構造に関わる部分と、構造に関わらない部分の審査を切り分けられれば、こうした足止めの一部は避けられたのではないか、というのが私の実感です。もちろん今回の制度は新築を主眼にしたものなので、既存マンションの改修に同じ仕組みがそのまま使えるわけではありませんが、考え方の方向性としては歓迎したいところです。

誰にとってのメリットか

この仕組みは、立場によって効いてくる場所が変わります。資材メーカーにとっては、構造耐力の型式認定を先に取得しておくことで、個別物件ごとの再審査の手間を減らせます。施工会社にとっては、想定していた資材が品薄になった際に、代替資材の個別確認だけで済み、全体の審査をやり直さずに済む可能性があります。そして発注者である管理組合・オーナーにとっては、この二つの積み重ねの結果として、想定外の資材不足による工期遅延のリスクが、これまでより多少なりとも下がることが期待できます。

大規模修繕の資材調達にどう関係し得るか

私がこの改正で真っ先に思い出したのは、2023年から2025年にかけて、外壁改修用の断熱材やシーリング材、金物類の一部が品薄になり、工期がずれ込んだ現場のことです。あのとき、代替資材への切り替えのたびに審査や承認のやり取りが発生し、現場が足止めを食う場面を私自身、何度も経験しました。今回の型式適合認定の拡充は主に新築の構造部材を念頭に置いた制度ですが、資材調達が困難な局面で個別審査を柔軟にするという発想そのものは、大規模修繕の現場が抱える悩みと重なります。

ロープアクセス工法(無足場工法)の資材、すなわちロープやアンカー金具、安全帯などの認証部材についても、同様の考え方で調達の柔軟性が広がっていくことを、私は一人の実務者として期待しています。ロープアクセス工法の一般的な安全基準や資材の考え方については、姉妹サイトのロープアクセスドットコムに詳しくまとめていますので、あわせてご覧いただければと思います。


採光規制の合理化──児童福祉施設等が対象、マンション複合用途への含意

現行の採光規制の考え方(おさらい)

建築基準法には、居室に一定の採光を確保することを求める規定があります(採光規制)。窓の面積が床面積に対してどれくらい必要か、という基準で、住宅だけでなく保育所や学童保育などの児童福祉施設等にも一律に適用されてきました。

何が変わり、何は変わらないか

今回の改正では、児童福祉施設等のうち「利用者の滞在時間が短いことその他の理由により衛生上支障がないもの」については、採光規制の対象から除外されます。国交省の資料では具体的な線引きは別途告示で定めるとされており、現時点ではどの施設が対象になるかは確定していません(出典:国土交通省「『建築基準法施行令の一部を改正する政令』を閣議決定」)。

マンションの共用部や低層階に学童保育・保育所などを併設する複合用途の物件では、増築や用途変更を検討する際にこの規定が関係してくる可能性があります。ただし、対象施設の範囲がまだ告示待ちの段階であるため、現時点で「うちのマンションは対象になる」と断定できる情報はありません。該当しそうな計画をお持ちの管理組合・オーナーさまは、告示の公表を待って設計者や自治体の建築指導課に確認されることをおすすめします。


防火規制・危険物の総量規制の合理化

層間変形角・面積区画の適用除外

防火規制については、施行令第109条の2の2、第112条第1項・第4項・第5項・第11項が改正対象です。現行の防火・避難規制のうち、「その構造及び用途並びに周囲の状況を考慮して防火上支障がないもの」は、層間変形角や防火区画・面積区画に関する規制の対象から除外されます(出典:国土交通省「建築基準法施行令の一部を改正する政令案」報道発表資料)。

耐火性能に優れた新しい構造・材料を使う建物では、これまで一律に求められていた区画や変形角の基準を、性能に応じて緩和できる余地が広がることになります。既存マンションの大規模修繕そのものを直ちに対象にする改正ではありませんが、増築や大規模な模様替えで防火区画の見直しが必要になった際に、選択肢が増える可能性がある改正だと私は捉えています。

給湯・ガス設備の危険物総量規制の緩和

もう一つ、マンションの設備更新に関わりそうなのが、危険物の総量規制の合理化です。用途地域ごとに、圧縮ガスや可燃性ガスを燃料とする設備は「危険物」として扱われ、貯蔵・使用できる量に制限がかかってきました。今回の改正では、安全上・防火上支障がないと大臣が定める基準に適合する設備については、この危険物の総量規制から除外されます。

大規模修繕にあわせて給湯設備や共用部のガス設備を更新するマンションは少なくありません。エコキュートやガス給湯器の高効率機種への入れ替え、太陽熱利用設備の追加など、設備更新の相談を受ける機会は年々増えている実感があります。総量規制の対象から外れる設備の範囲が広がれば、こうした設備更新の設計自由度が上がる可能性があります。もっとも、これも「大臣が定める基準」次第であり、現時点では詳細が未確定である点は、他の3項目と同じです。


大規模修繕と「既存不適格」──今回の改正とセットで押さえておきたい基本

「大規模の修繕」「大規模の模様替」とは

そもそも建築基準法上、「大規模の修繕」とは、壁・柱・床(最下階を除く)・はり・屋根・階段といった主要構造部のうち、いずれか一つの過半を「同じ材料で」復旧する工事を指します。同様に「大規模の模様替」は、主要構造部のいずれか一つの過半を「新しい材料で」つくり替える工事です(出典:建築基準法とらのまき「大規模の修繕・大規模の模様替とは」)。マンションの大規模修繕で実際によく行われる工事を、この定義に当てはめると次のようなイメージになります。

工事内容 該当しやすいか 考え方
外壁全体の塗装・改修(下地補修を含む) 該当する可能性がある 壁の過半に及ぶ工事であれば対象になり得る
屋上防水の全面改修 該当する可能性がある 屋根の水平投影面積の過半に及べば対象になり得る
給排水管の更新(構造部に手を加えない) 該当しにくい 主要構造部の過半の復旧・模様替えに当たらない
外壁仕上げ材の部分補修・カバー工法 該当しにくい 既存部材への上張りは対象外とされる

あくまで一般的な考え方の整理であり、実際に該当するかどうかは工事範囲や工法によって変わります。最終的な判断は必ず設計者・特定行政庁に確認してください。

なお、大規模の修繕・大規模の模様替えに該当する工事であっても、建築確認申請が必要になるかどうかは、建物の構造や規模、増築の有無によってさらに条件が変わります。一般的には、木造以外の建築物で床面積が一定規模を超える場合や、防火・準防火地域内での工事などが確認申請の対象になりやすいとされています。マンションの大規模修繕では、既存の外観や構造を維持したまま行う工事であれば確認申請が不要なケースも多いのですが、これも建物ごとの個別判断が必要な領域です。「うちは確認申請がいるのか、いらないのか」という疑問は、大規模修繕の初期段階で設計者に確認しておくと、後々のスケジュールの見通しが立てやすくなります。

既存不適格建築物と遡及適用の原則

築年数の古いマンションの多くは、建築当時の基準には適合していても、現行の建築基準法には完全には適合していない「既存不適格建築物」です。この状態自体は違法ではありませんが、増築や大規模な模様替えを行う際には、原則として建物全体を現行基準に適合させる「遡及適用」が求められる場面があります。国土交通省は2025年に既存建築ストックの長寿命化に向けた規定の合理化を進めており、長寿命化工事を伴う場合に防火・避難規定の遡及適用を対象外とする、接道義務等の緩和を検討するといった見直しが行われています(出典:国土交通省「既存建築ストックの長寿命化に向けた規定の合理化」)。既存不適格建築物の緩和措置については、国交省が解説集も公表しています(出典:国土交通省「既存建築物の緩和措置に関する解説集(第4版)」)。

今回の2026年11月施行の改正は、この2025年からの一連の合理化の延長線上にある動きだと私は理解しています。既存マンションのストックを長く使い続けられるようにする、という国の方針が一貫している点は、大規模修繕を検討する管理組合・オーナーさまにとって、心強い追い風だと感じます。


法律・政令・告示のちがい──今回はなぜ「政令」改正なのか

制度の話が出るたびに「法律」「政令」「省令」「告示」という言葉が並ぶと、正直なところ読み飛ばしたくなる方も多いと思います。私も現場叩き上げの人間なので、最初はこの違いがよく分かりませんでした。ごく簡単に言うと、「法律」は国会が決める大枠のルール、「政令」は法律を実際に動かすために内閣が決める具体的な手続きやルール、「告示」はさらに細かい数値や基準を所管省庁が公表するものです。今回の建築基準法施行令の改正は、この真ん中の「政令」の部分にあたります。だからこそ、大枠の法律自体は変わらないのに、実務に直結する「型式適合認定の区分」や「採光規制の対象」といった具体的なルールが書き換わる、という改正になっています。

そして、今回何度も出てきた「支障がないもの」の具体的な線引きは、さらにその下の「告示」で決まる、という三段構えの仕組みになっているわけです。管理組合の理事会で「政令が変わった」という話を耳にしたときに、まだ細部まで決まっていない段階だと理解しておくだけで、変に急いで結論を出さずに済むはずです。私自身、現場で契約書や仕様書を読むときにも、この「どの階層のルールなのか」を意識するようにしています。契約条項の根拠が法律なのか、業界団体の自主基準なのかを区別するだけで、交渉の際に何を譲れて何を譲れないかがはっきりしてくるからです。


告示の公表をどう待てばよいか──JCSAとしても注視しています

今回の改正で最も肝心な「支障がないもの」の具体的な基準は、政令ではなく、この後発出される告示に委ねられています。私がこれまで見てきた同種の規制合理化では、政令の公布から告示の公表までに数か月かかることが珍しくありません。2026年11月1日の施行に告示が間に合うのか、それとも段階的に公表されるのかは、本記事執筆時点では確認できていません。

私は株式会社明誠の代表であると同時に、一般社団法人全国建設業支援協会(JCSA)の運営にも携わっています。JCSAでは全国の建設業者向けに経営支援の情報発信やオンラインセミナーを行っており、こうした制度改正の告示が公表され次第、会員企業の皆さまに向けて実務に落とし込んだ形で共有していく予定です。マンション管理組合・オーナーさまにおかれても、告示待ちの段階で「確定した」という情報が出回った場合は、一次情報である国土交通省の発表と照らし合わせて確認されることをおすすめします。


管理組合・オーナーが今すぐやるべきこと

確認しておきたい3点

今回の改正はほとんどが告示待ちで、細部は未確定です。だからといって「関係ないから放置してよい」というわけではありません。次の3点は、大規模修繕を計画中の管理組合・オーナーさまに、私からお伝えしたいポイントです。

  1. 自分のマンションが既存不適格建築物かどうかを設計者に確認する。増築・用途変更を伴う計画がある場合は特に重要です。
  2. 今回の改正で対象となる告示の公表状況を、施工会社や設計者を通じて追いかける。児童福祉施設等の採光規制の線引きや、防火規制の除外基準は今後発表されます。
  3. 資材調達のリードタイムを、通常より余裕を持って見込んでおく。型式適合認定の拡充が実務に反映されるまでには時間がかかるため、直近の工事計画では従来どおりの調達スケジュールを前提にするのが安全です。
  4. 管理組合の理事会・修繕委員会で、この改正を「情報共有」の議題にとどめておく。現時点で工事計画を変更する必要はありませんが、告示の内容次第では数年先の大規模修繕の選択肢が広がる可能性があるため、頭の片隅に置いておく価値はあります。

足場・ロープアクセス・ハイブリッドという選択肢

私たち株式会社明誠は、通常の足場仮設による大規模修繕と、ロープアクセス工法(無足場工法)、そして両方を組み合わせたハイブリッド工法の3つから、建物にとって最適な工法をご提案できる、日本でも数少ない会社です。制度が変わる過渡期だからこそ、工法や資材の選択肢を複数持っておくことが、工期やコストのリスクを抑えることにつながると、私は現場で20年近く感じてきました。管理組合さま向けのご相談窓口もご用意していますので、大規模修繕の計画段階からお問合せフォームよりお気軽にお声がけください。


よくある質問(FAQ)

Q1. 今回の建築基準法施行令改正は、いつから施行されますか?
A. 2026年9月11日に閣議決定、同年9月16日に公布され、2026年11月1日に施行されます(出典:国土交通省)。

Q2. うちのマンションの大規模修繕に直接関係しますか?
A. 改正の主眼は新築時の型式適合認定・児童福祉施設等の採光規制・防火規制などで、既存マンションの大規模修繕を直接の対象とした改正ではありません。ただし、増築や用途変更を伴う計画、資材調達の柔軟性という観点では間接的に関係し得ます。

Q3. 型式適合認定制度に「構造耐力」区分が加わると、何が便利になりますか?
A. 資材調達が難しくなった局面で、構造耐力に関する審査をあらかじめ済ませておき、入手困難な資材だけを個別に確認するという柔軟な対応が可能になります(出典:国土交通省)。

Q4. 採光規制が緩和される児童福祉施設等の具体的な範囲は決まっていますか?
A. 「利用者の滞在時間が短いことその他の理由により衛生上支障がないもの」という考え方は示されていますが、具体的な基準は今後の告示で定められる予定で、本記事執筆時点では未確定です。

Q5. 古いマンションは「既存不適格」だから、大規模修繕をすると必ず現行基準への適合を求められますか?
A. 増築や大規模の模様替えの内容によって遡及適用の範囲は異なります。国交省は既存建築ストックの長寿命化に向けた合理化を2025年から進めており、一律にすべてを現行基準に合わせなければならないとは限りません(出典:国土交通省)。個別の判断は設計者・特定行政庁への確認が必要です。

Q6. 外壁塗装や屋上防水は「大規模の修繕」に当たりますか?
A. 壁の過半や屋根の水平投影面積の過半に及ぶ工事であれば該当する可能性があります。部分補修やカバー工法のみの場合は該当しにくいとされますが、最終的な判断は設計者にご確認ください(出典:建築基準法とらのまき)。

Q7. ロープアクセス工法は今回の改正と何か関係がありますか?
A. 直接の対象ではありませんが、型式適合認定の拡充が今後、ロープアクセス工法で使う認証部材の調達柔軟性にも波及していくことを、私は実務者として期待しています。

Q8. 「法律」「政令」「告示」は何が違うのですか?
A. 法律は国会が決める大枠のルール、政令はそれを実行するために内閣が決める具体的な手続き、告示は所管省庁が公表するさらに細かい基準です。今回の改正は政令の部分にあたり、最も細かい基準は今後の告示で決まります。


この記事のポイントまとめ

  • 建築基準法施行令の改正は2026年11月1日施行、柱は4項目
  • 型式適合認定に「構造耐力」区分が新設され、資材調達困難時の審査が柔軟に
  • 採光規制は児童福祉施設等の一部が対象外に、詳細は告示待ち
  • 防火規制・危険物総量規制も「支障がない場合」に限り合理化
  • 既存不適格マンションの遡及適用は、2025年からの長寿命化改正の流れの中にある
  • 大規模修繕を計画中の管理組合は、告示の公表状況と資材調達スケジュールに注意

執筆者:本間 幸紘(株式会社明誠 代表取締役)
専門領域:マンション大規模修繕/ロープアクセス工法/建物長寿命化計画
実務経験:建設・改修業界 20年以上
所属:一般社団法人 全国建設業支援協会(JCSA)

株式会社明誠について:東京都東大和市を拠点に、東京・関東一円でロープアクセス工法と従来足場工法の両方を提案できる改修会社。日本初のロープアクセス工事フランチャイズを展開しています。

最終更新:2026年9月28日

これは私が制度改正の一次情報を読むたびに感じることですが、法律や政令の変更点というのは、細部を知らなくても「大きな流れ」を知っておくだけで、いざという時の判断材料になります。次回も、現場で本当に使える話だけをお届けします。


出典・参考資料


▼ロープアクセス工法・無足場工法の詳細解説はこちら
ロープアクセスドットコム|無足場工法専門メディア

【出版のご報告】『大規模修繕工事 職人だから言える本当の話』をAmazonで出版しました|見積書では見えない業界の裏側と、修繕積立金を守る発注術

はじめに|工事をする側の人間が、業界の内側を書きました

株式会社明誠 代表取締役の本間幸紘です。

このたび、初めての著書『大規模修繕工事 職人だから言える本当の話 ― 見積書では見えない業界の裏側と、修繕積立金を守る発注術』(明誠ブックス)を、AmazonのKindleストアで出版いたしました。発売日は2026年9月12日、本文274ページです。

▼ 書籍ページはこちら
https://www.amazon.co.jp/dp/B0HJLNPQ25/

正直に申し上げると、この本を出すかどうかは最後まで迷いました。私は大規模修繕工事を請け負う会社の経営者です。中立の第三者ではありません。これから批判する業界で、自分も家族を養い、ご飯を食べている当事者です。

それでも書こうと決めたのは、現場で25年以上、建物の外壁に触れ続けてきて、どうしても納得できないことがあったからです。

修繕積立金は、区分所有者の皆さまが月々数千円から数万円を、何年もかけて積み立ててきたお金です。そのお金が、何に使われるのかわからないまま出ていく。工事をする側の人間として、私はそれを恥ずかしいことだと思っています。

この記事では、本書に何を書いたのか、そしてなぜ書いたのかを、著者自身の言葉でご紹介させていただきます。


第1章|「その見積書には、何をいくつ直すのか書いてありますか」

マンションの大規模修繕工事は、10数年に1度の大きな買い物です。50戸のマンションであれば総額は数千万円。1住戸あたり100万円前後が動くことも珍しくありません。

家を買うとき、車を買うとき、私たちは仕様も金額も徹底的に比べます。ところが大規模修繕では、こういう見積書が当たり前に通ってしまう。

外壁タイル補修工事 一式 概算◯%

どのように、どれだけ直すのか。 発注する側の誰も把握しないまま、契約が結ばれていく。これが、この業界の日常です。

なぜ、そんなことが起きるのか。理由は驚くほど単純です。

建物の外壁は、足場を組まなければ誰も触れられなかったからです。

触れなければ、浮きの数も、ひび割れの長さも、シーリングの劣化具合もわからない。数量がわからないから比較できない。比較できないから価格競争が働かない。価格競争が働かないから、談合が成立する余地が生まれ、過剰な仕様が通り、追加費用を断れなくなる。

大規模修繕をめぐる不透明さは、すべてこの一点から始まっています。本書は、その構造を解剖し、発注する側が主導権を取り戻すための方法を書いた本です。


第2章|2026年6月、業界の常識が崩れた日

本書の序章のタイトルは「2026年6月、業界の常識が崩れた日」です。

2026年6月、マンションの大規模修繕工事をめぐる入札談合について、公正取引委員会が施工会社と設計コンサルタントあわせて約40社に対し、独占禁止法違反(不当な取引制限)で処分を行う方針であることが大きく報じられました。課徴金の総額は約16億円規模、対象となった期間は遅くとも2021年秋以降とされています。

報道のなかで最も重く受け止めたのは、本来は中立であるべき設計コンサルタントが受注調整に関与し、受注額の数%をバックマージンとして受け取っていたとされる点でした。

私はこのニュースを、驚きよりも「やはり表に出たか」という気持ちで受け止めました。現場で25年以上、同業者としてこの業界を見てきた人間として、構造的に起こりうることだと分かっていたからです。

誤解のないように申し上げますが、私は「設計監理方式そのものが悪い」と言うつもりはありません。設計コンサルタントの第三者性が正しく機能すれば、管理組合にとって心強い仕組みです。問題は方式の名前ではなく、中立性が担保される構造になっているかどうかです。

  • コンサルタントと施工会社の間に、資本・人的・取引上の関係はないか
  • 業者を集める役割を、一者に任せきりにしていないか
  • 複数社が同じ条件で見積りを出せる状態になっているか
  • 入札の経過が記録され、後から検証できるようになっているか

そして、これらすべての前提になるのが、繰り返しになりますが「数量が確定していること」です。数量が「一式」「概算」のままでは、どんなに公正な手続きを踏んでも、比較のしようがありません。

談合事件は、発注の仕組みを見直すきっかけとしては、あまりに痛いきっかけでした。それでも、ここで変わらなければ意味がない。本書を世に出そうと最終的に腹を決めたのは、この報道がきっかけです。

※本件は報道内容にもとづく概要です。処分の最終的な内容・対象事業者については、公正取引委員会の公表資料をご確認ください。


第3章|「12年周期」は、誰が決めたのか

第1章で扱った論点のひとつが、大規模修繕の周期です。

「マンションの大規模修繕は12年ごと」——これは業界でも管理組合でも、半ば常識のように語られています。ですが、12年という数字に法的な根拠はありません。

国土交通省の「長期修繕計画作成ガイドライン」(令和6年6月改定)では、外壁塗装や屋上防水などの修繕周期について、一定の目安が示されています。しかしそれはあくまで計画を立てるための標準的な想定であり、「12年たったら必ず工事をしなさい」という義務ではありません。

実際の建物は、それぞれ条件が違います。

  • 立地:海沿いで塩害を受けるのか、幹線道路沿いで排気ガスにさらされるのか
  • 方位:南面・西面は紫外線の影響が強く、北面は湿気とカビの影響を受けやすい
  • 仕上げ材:タイル張りか、吹付け塗装か、サイディングか
  • 前回工事の仕様と施工品質:どこまで丁寧に下地処理がなされたか
  • 日常のメンテナンス:シーリングの打ち替えや部分補修を都度行ってきたか

同じ築年数でも、状態はまったく違います。にもかかわらず、周期だけを根拠に工事を始めてしまうと、まだもつ部位まで一律に直すことになります。それが過剰仕様の温床です。

逆に、周期を機械的に延ばすのも危険です。タイルの浮きが進行しているのに「まだ12年たっていないから」と放置すれば、剥落事故のリスクが高まります。外壁タイルの剥落は、通行人に重大な被害を与えかねない事故です。

では、何を判断材料にすべきか。答えは単純で、建物の実際の状態です。カレンダーではなく、調査結果で決める。第1章と第3章は、この一点でつながっています。


第4章|本書の構成 ― 序章+全6章+終章+付録2本

全体像をご紹介します。

章 内容
序章 2026年6月、業界の常識が崩れた日
第1章 大規模修繕という「見えない買い物」
第2章 足場という聖域 ― 工事費の2〜3割はどこへ消えるのか
第3章 診断なき修繕はギャンブルである
第4章 ロープアクセスのすべて ― 限界も正直に書く
第5章 調査から施工まで、一気通貫という答え
第6章 職人が主役に戻る ― 日本初のロープアクセスFC
終章 明日から使える12のチェックリスト
付録1 見積書の読み方
付録2 大規模修繕 用語ミニ辞典

第1章では、「12年周期は誰が決めたのか」「相見積りが機能しない理由」「設計コンサルタントという立場の危うさ」「中間マージンという商流」「過剰仕様はこうして生まれる」といった論点を、ひとつずつ分解しています。

ビル・大手ホテルチェーン・賃貸物件のオーナー様に特有の論点も、独立した項目として扱いました。管理組合とオーナー様では、意思決定の構造も、時間の制約も、まったく違うからです。


第5章|足場という聖域 ― 工事費の2〜3割はどこへ消えるのか

第2章で扱ったのが、仮設足場です。

大規模修繕工事の見積書を開いたとき、最初に目に入るのが「仮設工事」の項目です。そして多くの現場で、ここが工事費全体の2〜3割を占めます。数千万円の工事なら、数百万円から1,000万円近くが足場に消える計算です。

もちろん、足場は必要なものです。作業量が多い工事、広い面を一気に仕上げる工事では、足場を組んだほうが安全で確実で、結果として安く済みます。私自身、足場を組む工事を今も数多く手がけています。

問題は、その費用構造が発注者から見えないことです。

本書の第2章では、

  • 仮設足場の費用が、どの項目にどう乗っているのか
  • 足場は「工事のため」だけに組まれているのか
  • 見積書に載らないコスト(居住者の生活制約、防犯リスク、営業補償など)
  • 足場が要らない部位と、足場でなければ無理な部位の線引き
  • ドローン・赤外線サーモグラフィー・打診棒の得手不得手

を、実務の数字で説明しています。

「一式」という2文字の下に何が隠れているのか。その中身を開いて見せる、というのが第2章の役割です。


第6章|本書の核心は第3章 ― 順序を変えれば、交渉の形が変わる

もし1章だけ読んでいただけるなら、第3章「診断なき修繕はギャンブルである」を読んでいただきたいと思っています。

外壁の全面打診調査は、じつは任意の追加サービスではありません。建築基準法第12条にもとづく定期報告制度のなかで求められている調査です。特定建築物定期調査において、タイル張りなどの外壁は、一定の条件下で全面打診が義務づけられています。

そして今は、足場を組まなくても、屋上からロープで降りて壁を叩き、浮きを確かめることができます。これがロープアクセス工法(無足場工法)による外壁打診調査です。

ここが決定的に重要です。

足場を組む「前」に、外壁の状態を数量で知ることができる。

数量が確定して、はじめて同じ土俵の相見積りが成立します。

  • タイルの浮きが何平米あるのか
  • ひび割れが何メートルあるのか
  • シーリングの打ち替えが何メートル必要なのか

これが数字で出ていれば、複数社に同じ条件で見積りを出させることができます。不要な工事が消えます。工法を選べるようになります。そして何より、仕様書を発注者の側が握れる。

業者を疑う必要そのものがなくなる ― 本書が示す出口は、ここにあります。

第3章では、あわせて「なぜ調査は工事とセットにされるのか」「外壁が落ちたとき、責任を負うのは誰か」「『無料調査』は信用していいのか」「調査報告書のどこを見るか」といった、実務で必ずぶつかる論点も扱いました。


第7章|自分に不利なことも、そのまま書きました

本を書くうえで、私が最も気をつけたのはポジショントークにしないことでした。

私はロープアクセス工法を推進する立場です。日本で初めてとなるロープアクセスのフランチャイズ本部も運営しています。だからこそ、この工法が万能ではないことを、自分の口から書く必要があると考えました。

第4章では、1章まるごとを使って「向かない建物・向かない工事」を列挙しています。

  • 作業面積が広く、作業量が多い全面改修
  • 上部に固定できる支点(アンカー)が確保できない構造
  • 外壁からの張り出しが大きく、ロープで降りても壁面に到達しにくい形状
  • 居住者・テナントの安全確保のため、確実に養生を要する条件

足場を組んだほうがいい建物は、確実に存在します。それを隠して勧める会社は信用しないでください ― 私自身も含めて、と本書には書きました。

そして私たちが実務で最も多く採用しているのが、ハイブリッド工法です。作業量が多い面や高所作業が集中する部分には足場を架け、部分補修で足りる面はロープアクセスで対応する。「全面足場」と「全面ロープ」の中間解として、コストと品質のバランスが最も取りやすい選択肢です。

第4章には「悪質な業者を見抜く9つのポイント」も収めました。これは私自身が、同業者として見てきたものを書いています。


第8章|理事会に、そのまま持ち込める形にしました

本書をつくるうえで決めていたことがもうひとつあります。読んで終わりの本にしないということです。

終章には、明日から使える12のチェックリストを収めました。工事が始まってからではなく、「工事の話が出る前」から順番に使えるよう並べてあります。

巻末付録も実務向けです。

付録1|見積書の読み方
仮設・下地補修・シーリング・塗装・防水・諸経費の項目ごとに、「あるべき記載」と「危険信号」を対比した一覧にしました。手元の見積書と並べて、一項目ずつ照合できます。

付録2|大規模修繕 用語ミニ辞典
理事会で飛び交う専門用語を、発注者の立場から必要な範囲でまとめました。「Uカット」「ピンニング工法」「エポキシ樹脂注入」「可とう性」——こうした言葉の意味がわかるだけで、説明を受けたときの理解度がまったく変わります。

理事会の資料として、修繕委員会の共通言語として、そのままお使いいただける形を目指しました。


第9章|こんな方に読んでいただきたい

具体的には、次のような方を想定して書きました。

  • マンション管理組合の理事、修繕委員の方
  • これから大規模修繕を控えている、または見積書を受け取ったばかりの方
  • 世間で話題になった大規模修繕工事の談合問題の本質的な課題と解決策を知りたい方
  • ビル・大手ホテルチェーン・賃貸物件を所有し、相談できる相手がいないオーナーの方
  • すでに他社の見積りを持っていて、その妥当性を確かめたい方
  • 修繕積立金の値上げを提案され、判断に迷っている方

274ページありますので、通読には時間がかかります。お急ぎの方は、序章と終章だけでも構いません。それだけでも、次の理事会でのご発言は変わるはずです。

そして、同業の皆さまにも読んでいただきたいと思っています。第6章「職人が主役に戻る」は、業界に向けて書いた章です。


第10章|職人が主役に戻る ― 本を書いて、あらためて思ったこと

原稿を書きながら、何度も立ち止まった論点があります。中間マージンという商流です。

元請けから一次下請け、二次下請けへと工事が流れていく過程で、実際に壁を触る職人の手元に残る金額は削られていきます。腕のいい職人ほど、割に合わないと感じて現場を離れていく。人が減れば、品質は落ちる。品質が落ちれば、建物の寿命が縮む。そのツケは、最終的に建物を所有する方が払うことになります。

私が日本で初めてロープアクセスのフランチャイズ展開を始めたのは、この流れを変えたかったからです。塗装・防水・タイル・電気・看板工事など、各分野の専門職が直接加盟し、それぞれの工程をその道のプロが責任をもって施工する。中間を減らせば、高品質と低価格は両立できるというのが、私たちの実践してきた答えです。

また、一般社団法人 全国建設業支援協会(JCSA)を通じて、全国の建設業者に向けた経営支援の情報発信、オンラインセミナー、交流会、ビジネスマッチングにも取り組んでいます。

発注者が正しい判断材料を持ち、職人が正当な対価を受け取る。この2つは対立しません。むしろ、数量が見える化されたときに初めて、両方が成立する。それが、本を1冊書き終えた今の実感です。


第11章|本書を読んだあと、実際にどう進めるか ― 5つのステップ

本を読んでいただいたあと、実務としてどう動けばよいのか。当社がご支援する場合の標準的な流れをご紹介します。ご自身で進められる場合も、順序は同じです。

ステップ1|長期修繕計画と過去の工事履歴を確認する
前回いつ、どこを、どの仕様で直したのか。図面、竣工時の仕様書、前回の工事報告書を集めます。ここが揃っているかどうかで、以降の精度がまったく変わります。書類が見当たらない場合は、管理会社に開示を依頼してください。

ステップ2|足場を組む前に、外壁の全面打診調査を行う
ロープアクセスによる打診調査で、タイルの浮き、ひび割れ、シーリングの劣化、鉄部の腐食、屋上防水の状態を確認します。必要に応じてドローン撮影や赤外線サーモグラフィーを併用します。成果物は、位置と数量が入った調査報告書です。「劣化しています」という所見だけの報告書では意味がありません。

ステップ3|調査結果をもとに、仕様書と数量表をつくる
「タイル浮き補修 ◯◯㎡」「シーリング打ち替え ◯◯m」「ひび割れUカット補修 ◯◯m」——この形にして初めて、複数社が同じ条件で見積りを出せます。ここが、発注者が主導権を握る瞬間です。

ステップ4|同条件で相見積りを取り、工法を比較する
足場仮設工法、ロープアクセス工法、ハイブリッド工法。同じ数量に対して、それぞれいくらになるのかを並べます。仮設足場が工事費の2〜3割を占めることを踏まえれば、工法選択がコストに与える影響の大きさが見えてきます。管理組合であれば、この比較表がそのまま総会の説明資料になります。

ステップ5|工事中・工事後の確認方法を決めておく
着工前に、施工記録の残し方(写真の撮り方、数量の実測方法、変更が生じたときの手続き)を取り決めます。「終わってみたら数量が増えていた」を防ぐのは、契約前の取り決めだけです。

当社では、外壁打診調査、漏水調査、散水調査、外壁塗装、防水工事、タイル補修、シーリング打ち替え、鉄部塗装、看板・サインの改修まで、建物に関することであれば一貫してご対応しています。あわせて、空室対策、不動産管理、地震保険や補助金・助成金の申請サポート、各分野の士業のご紹介など、オーナー様のお困りごとをトータルでご支援しております。


第12章|書籍情報とご購入方法

あらためて、書籍情報をまとめます。

項目 内容
書名 大規模修繕工事 職人だから言える本当の話
副題 見積書では見えない業界の裏側と、修繕積立金を守る発注術
著者 本間 幸紘(株式会社明誠 代表取締役)
レーベル 明誠ブックス
形式 Kindle版(電子書籍)
本文ページ数 274ページ
発売日 2026年9月12日
ASIN B0HJLNPQ25

▼ Amazon商品ページ
https://www.amazon.co.jp/dp/B0HJLNPQ25/

おかげさまで、Kindleストア「不動産」カテゴリで1位をいただきました。レビューも多数ちょうだいしており、「大規模修繕を始める前に読むべき一冊」「見積りを見る目が変わる」といったお声をいただいています。一級建築士の方から「よくぞここまで踏み込んで書いてくれた」というご感想をいただいたときは、書いてよかったと心から思いました。

※価格およびキャンペーンの実施状況は変動します。最新の情報はAmazonの商品ページでご確認ください。紙の書籍(ペーパーバック)版も準備を進めております。

Kindle端末をお持ちでない方も、スマートフォンやタブレットの無料Kindleアプリ、パソコンのブラウザからお読みいただけます。


よくあるご質問(FAQ)

Q1. 専門知識がなくても読めますか?

はい。専門用語には都度説明を入れ、巻末に用語ミニ辞典も収めました。想定読者はマンション管理組合の理事・修繕委員の方、つまり建築の専門家ではない方です。理事会で説明を受けたときに「何を聞き返せばいいか」が分かる状態を目標に書いています。

Q2. すでに見積書を受け取っているのですが、間に合いますか?

間に合います。巻末付録1「見積書の読み方」は、まさにその状況を想定してつくりました。仮設・下地補修・シーリング・塗装・防水・諸経費の項目ごとに「あるべき記載」と「危険信号」を対比していますので、お手元の見積書と並べて一項目ずつ照合してみてください。「一式」「概算」が並んでいる項目があれば、そこが確認すべきポイントです。

Q3. 分譲マンションではなく、賃貸やビルのオーナーでも役に立ちますか?

はい。第1章にビル・大手ホテルチェーン・賃貸物件のオーナー様特有の論点を独立して設けています。管理組合と違って総会決議は不要な分、意思決定は速い一方で、相談相手がいないまま業者の提案をそのまま受けてしまうケースが少なくありません。収益不動産では修繕費が直接利回りに効きますので、数量の見える化の効果はむしろ大きいと考えています。

Q4. 全面打診調査は、本当に足場なしでできるのですか?

できます。ロープアクセス工法(無足場工法)では、屋上のアンカーやパラペットなどに支点を設け、作業者がロープで降下しながら打診棒で外壁を打診します。浮きの位置と範囲を平面図に落とし込むことで、補修数量を平米単位で確定できます。建築基準法第12条にもとづく特定建築物定期調査での全面打診にも対応可能です。ただし、建物形状や支点の確保状況によっては適さない場合がありますので、現地確認が前提になります。

Q5. 調査だけを依頼することもできますか?

可能です。むしろ本書でお勧めしているのは、調査と工事の発注先を分けて考えることです。調査で数量が確定していれば、その数量を仕様書にして複数社から同条件の見積りを取ることができます。結果として当社以外の会社に発注されても構いません。発注者が数量を持っている状態こそが、この本の目的だからです。

Q6. 紙の本は出ますか?

紙の書籍(Amazon KDPのペーパーバック)も準備を進めております。理事会で回覧したい、修繕委員会で複数部そろえたい、というご要望をいただいておりますので、あらためてご案内いたします。

Q7. 本を読んだうえで相談したいのですが、費用はかかりますか?

ご相談は無料です。セカンドオピニオンとして、お手元の見積書や調査報告書を拝見することも可能です。「他社に発注することが決まっているが、内容の妥当性だけ見てほしい」というご依頼も歓迎しております。


まとめ|「何を、どれだけ、どの仕様で」を、発注する側が握るために

最後に、本書でお伝えしたかったことを3点に絞ります。

1. 不透明さの出発点は「数量がわからないこと」にある
談合も、過剰仕様も、断れない追加費用も、すべては「足場を組むまで外壁に触れられなかった」という一点から生まれています。原因が一点であるということは、そこを変えれば構造ごと変わるということです。

2. 順序を変えれば、交渉の形が変わる
足場を組む前に、ロープアクセスで全面打診調査を行い、数量を確定させる。それから相見積りを取る。この順序にするだけで、同じ土俵の比較が成立し、仕様書を発注者側が握れるようになります。

3. 工法に「唯一の正解」はない
足場が最適な建物、ロープアクセスが最適な建物、ハイブリッドが最適な建物。それぞれ確実に存在します。大切なのは、根拠を示して選べることです。「うちはこれしかできません」ではなく、「この建物にはこれが最適です」と説明できるかどうか。そこを見極めていただければと思います。

大規模修繕は、10数年に1度しか経験しない工事です。だからこそ、発注する側に経験が蓄積されにくい。その非対称性を少しでも埋めたくて、この本を書きました。

見積書を前に迷っておられる方、修繕積立金の値上げを提案されて判断に困っておられる方。まずは本書を開いてみてください。そして、それでも判断がつかないときは、セカンドオピニオンとしてお声がけいただければ幸いです。ご相談は無料です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

株式会社明誠 代表取締役 本間 幸紘


▼ 明誠のロープアクセス工法 詳細はこちら
https://rope-access-method.com/


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府中市の管理組合が無料で使える相談・派遣16選|マンションアドバイザー制度は派遣料を全額または半額助成、耐震アドバイザー派遣は1回5万円まで5回無料【令和8年度版】

2026年9月27日 更新

先日、府中駅から歩いて10分ほどの、昭和55年築・5階建て38戸の分譲マンションの理事長さまから、こんなご相談をいただきました。

「大規模修繕の見積りを管理会社経由で1社だけ取ったが、金額が適正かどうか判断できない。そもそもうちの建物は旧耐震基準に当たるはずだが、耐震診断すら受けたことがない。理事会の中でも、今の管理会社に任せきりでいいのか、一度外部の専門家に見てもらうべきか、意見が割れている」

竣工年月を伺うと、まさに昭和56年5月31日以前でした。旧耐震基準の建物は、震度6強から7に達する地震で倒壊または崩壊する危険性が高いとされる区分に入ります。それにもかかわらず、耐震診断を受けたことのある管理組合は私の肌感覚でも半数に届きません。

私はこの手のご相談を受けるたびに思うことがあります。府中市の管理組合には、実は費用をかけずに使える専門家派遣や助成制度がかなり揃っているのに、その情報が理事会まで届いていない、と。府中市にはマンションアドバイザー制度利用助成事業という仕組みがあり、マンション管理士や一級建築士の派遣費用を全額または半額助成してもらえます。旧耐震基準の建物であれば、耐震アドバイザー派遣は1回5万円まで5回無料、耐震診断は上限200万円(費用の3分の2)まで助成が出ます。

申し遅れました。私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。東京都東大和市を拠点に、20年近くマンション・ビル・ホテルの外壁の仕事をしてきました。足場を組んで建物をすっぽり囲う工事も、ロープ1本でぶら下がる無足場の工事も、両方できる会社は実はそう多くありません。今日は工事の話の前に、府中市の管理組合が今すぐ使える「お金をかけない相談先」を整理してお伝えします。


結論:府中市で使える支援は16ある

先に一覧でお示しします。費用ゼロのものと、費用の大半(または全額)が助成で戻るものを分けて並べました。

# 制度・窓口 誰が対応するか 費用 申込先
1 マンションアドバイザー制度利用助成事業(管理アドバイザー) マンション管理士・一級建築士等 派遣料の全額または半額助成 都市整備部住宅課支援係 042-335-4458
2 マンション建替え・改修アドバイザー制度(入門編) 再開発プランナー等 派遣料全額助成 都市整備部住宅課支援係 042-335-4458
3 耐震アドバイザー派遣(分譲マンション耐震助成) 耐震診断の専門家 無料(1回5万円まで、5回まで) 住宅課 042-335-4458
4 耐震診断(府中市) - 費用の2/3(上限200万円、市指導物件は5/6・上限250万円) 住宅課 042-335-4458
5 補強設計(府中市) - 費用の2/3(上限200万円) 住宅課 042-335-4458
6 マンション管理状況届出制度(府中市) - 届出無料 住宅課支援係
7 マンションの管理計画認定制度(府中市) - 市への申請手数料無料 (公財)マンション管理センター オンラインシステム
8 分譲マンション総合相談窓口(東京都) マンション管理士 無料 03-6427-4900
9 法律相談(府中市) 弁護士 無料(月・水・金、第2・4土曜) 広聴相談課 042-366-1711
10 登記相談(府中市) 司法書士等 無料(第1・3金曜) 広聴相談課 042-366-1711
11 消費生活相談(府中市) 消費生活相談員 無料 042-360-3316
12 東京都マンションアドバイザー無料派遣(管理状況届出制度) マンション管理士等 無料(1回、管理不全兆候ありは5回まで) 東京都防災・建築まちづくりセンター 03-5466-2103
13 分譲マンション向けマンション管理士無料派遣(防災力向上・認知症対応) マンション管理士 無料(各テーマ2回まで) 東京都住宅政策本部マンション課 03-5320-5004
14 (公財)マンション管理センター 電話相談 専門相談員 無料 運営03-3222-1517/設備03-3222-1519
15 すまいるダイヤル 建築士資格者 無料 0570-016-100
16 一般社団法人マンション管理業協会 相談窓口 専門相談員 無料 050-3733-8982

1〜16が、費用のかからない、あるいは費用の大半・全額が戻る相談・助成です。府中市の特徴は、管理アドバイザーと耐震アドバイザーという2系統の派遣制度を、目的に応じて使い分けられる点と、耐震診断・補強設計までは手厚く助成が出る一方で、改修工事そのものの助成メニューは用意されていない点です。この違いを知らずに「府中市も耐震改修費用が出る」と思い込んでいる理事会もあるので、順番に見ていきます。


マンション管理士も建築士も、派遣料を全額または半額助成

1〜2. マンションアドバイザー制度利用助成事業

府中市内のマンションの管理組合(管理組合が組織されていない場合は区分所有者の任意の団体)が対象です。東京都防災・建築まちづくりセンターが運営するマンションアドバイザー制度・マンション建替え・改修アドバイザー制度を利用した際にかかる派遣料を、府中市が助成する仕組みです。

コース 内容 派遣料の目安 助成率
管理アドバイザーAコース(講座編) 管理組合運営の基礎講座 16,500円/回 全額
管理アドバイザーBコース(相談編) 個別の管理上の相談 25,300円/回 全額
管理アドバイザーCコース(支援編、築20年以上対象) 長期修繕計画の見直し等の継続支援 25,300円〜357,500円 1/2
建替え・改修アドバイザーAコース(入門編) 建替え・大規模改修の入門相談 8,800円〜16,500円/回 全額
項目 内容
派遣する専門家 マンション管理士、一級建築士、再開発プランナー等
年度内の利用回数 管理・建替え・改修の合計で上限3回
申込方法 東京都への派遣申込みの前に、府中市へ助成金交付申請書を提出
申込先 府中市都市整備部住宅課支援係 042-335-4458

(出典:府中市「マンションアドバイザー制度利用助成事業」、更新日2026年4月1日)

私はいつも理事長さまに「管理会社の見立てを疑う前に、まず第三者の目を無料に近い費用で入れてください」とお伝えしています。府中市の制度は、講座編のような基礎的な内容から、築20年以上の建物向けの継続支援まで段階が分かれているのが特徴です。ただし東京都への派遣申込みより前に市への助成金交付申請が必要という順序があるため、まずは住宅課支援係(042-335-4458)に電話して手順を確認するところから始めてください。


耐震アドバイザー派遣は1回5万円まで5回無料、診断・設計は2/3助成

府中市の分譲マンション耐震助成制度は、昭和56年5月31日以前に建築確認を受けた、耐火または準耐火構造で、地階を除く階数が3階以上の分譲マンション(2以上の区分所有者がいる建物)が対象です。特定緊急輸送道路沿道の建築物は別制度の対象になります。

3. 耐震アドバイザー派遣(府中市)

項目 内容
助成額 派遣費用の全額(1回あたり上限5万円)
派遣回数 管理組合につき5回まで
申込先 住宅課 042-335-4458

4. 耐震診断(府中市)

項目 助成率 上限額
通常 費用の2/3 200万円
市の指導を受けた建物 費用の5/6 250万円

5. 補強設計(府中市)

項目 内容
助成率 費用の2/3
上限額 200万円

(出典:府中市「分譲マンションの耐震助成制度」、更新日2026年8月20日)

ここで正直にお伝えしておきたいことがあります。府中市の耐震助成は、アドバイザー派遣・診断・補強設計までは手厚い一方で、実際の耐震改修工事そのものに対する助成メニューは、府中市のページ上には見当たりません(木造の戸建て住宅向けには改修工事・除却の助成がありますが、分譲マンションは対象外です)。診断や設計の段階まで無料に近い費用で進められても、工事費は管理組合の自己負担になる前提で資金計画を立てておく必要があります。

外壁や躯体の劣化状況を客観的に把握する方法としては、足場を組まずに近接目視できるロープアクセス工法という選択肢もあります。仮設足場だと10階建て・外周80m・工期3ヶ月クラスの現場で足場費だけで168万円ほどかかることもありますが、ロープアクセスなら59万円程度に収まるケースもあり、その差額(約109万円)を耐震診断や補強設計の自己負担分に回すという考え方もできます(実際の金額は建物の形状・立地により大きく変動しますので、参考としてご覧ください)。株式会社明誠はこれまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけており、ロープアクセス工法での高所作業では過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。工法そのものの技術的な仕組みや訓練基準を詳しく知りたい建設業の方は、姉妹サイトロープアクセスドットコムで解説しています。


管理状況届出制度・管理計画認定制度

6. マンション管理状況届出制度(府中市)

昭和58年12月31日以前に建築された、居住の用に供する独立部分が6戸以上あるマンションが対象です。管理組合は前回の届出から5年以内ごとに、届出内容の更新が必要です。届出方法はインターネットのマンション管理状況届出システム、または届出書の郵送・持参のいずれかです。

(出典:府中市「マンション管理状況届出制度」、更新日2025年3月12日)

この届出をしておくと、後述する東京都マンションアドバイザーの無料派遣を受けられるようになります。届出そのものは支援制度ではなく義務ですが、その先にある無料派遣につながる入り口として押さえておく価値があります。

7. マンションの管理計画認定制度(府中市)

府中市の認定基準は、市独自の上乗せ基準を設けておらず、国のマンション管理適正化指針と同じ内容です。市への認定申請手数料は無料ですが、申請前に(公財)マンション管理センターの「管理計画認定手続支援サービス」による事前確認を受ける必要があり、この事前確認には1万円程度の利用料がかかります。初回申請・更新申請はオンライン、変更認定申請・軽微な変更届は市への郵送または窓口提出です。

(出典:府中市「マンションの管理計画認定制度」、更新日2026年3月6日、東京都マンションポータルサイト「マンション管理計画認定制度」、国土交通省「マンション管理計画認定制度」)

市の手数料が無料であっても、事前確認費用は自己負担になる点は理事会で共有しておいてください。認定を受けると、住宅金融支援機構のフラット35やマンション共用部分リフォーム融資での金利優遇、一定要件を満たせばマンション長寿命化促進税制による固定資産税の減額対象にもなります。府中市のページの更新は昨年度時点のものですが、独自基準を設けていないという制度の骨格は、東京都・国の最新ページでも変わっていないことを確認しています。


弁護士・司法書士・消費生活相談:トラブルへの備え

9. 法律相談(府中市)

項目 内容
開催頻度 広聴相談課:毎週月・水・金曜日(祝日除く)/市政情報センター:毎月第2・第4土曜日
相談時間 1枠30分
対象 府中市民(在勤・在学含む)
予約方法 電話・オンライン予約、相談日4週間前の同曜日午前8時半から先着順
予約先 広聴相談課 042-366-1711
費用 無料

(出典:府中市「法律相談(無料)」、更新日2026年9月1日)

管理費・修繕積立金の滞納対応、区分所有者間のトラブル、規約違反への対応など、法的な整理が必要な場面で使えます。予約枠は先着順のため、相談したい日が決まっているなら4週間前の朝に電話するくらいの心づもりでいるとよいと思います。

10. 登記相談(府中市)

項目 内容
開催頻度 毎月第1・第3金曜日(祝日等で変更あり)
相談時間 午後1時〜3時半、30分刻み
対象 府中市民(在勤・在学含む)
予約先 広聴相談課 042-366-1711
費用 無料

(出典:府中市「登記相談(無料)」、更新日2026年9月1日)

建替えや敷地の権利関係、相続がらみの区分所有者の変更登記など、司法書士が対応する分野の相談に使えます。

11. 消費生活相談(府中市消費生活センター)

項目 内容
相談時間 平日午前10時〜正午、午後1時〜4時
場所 ル・シーニュ6階(京王線府中駅徒歩1分)、来所は予約不要
対象 市内在住・在勤・在学の方
電話番号 042-360-3316
費用 無料

(出典:府中市「消費生活相談」、更新日2025年7月30日)

事業者との取引トラブルの相談・あっせんが基本業務です。大規模修繕の契約や訪問販売的な勧誘トラブルなど「事業者との取引」に関わる相談で力を発揮します。管理費滞納や区分所有者間トラブルの法的対応は、9の法律相談と組み合わせて検討するのが現実的です。


東京都・国の相談窓口を重ねて使う

市の制度だけで手一杯にならなくても大丈夫です。東京都・国レベルの窓口も無料で使えます。

8. 分譲マンション総合相談窓口(東京都)

府中市も案内している、東京都が実施する相談窓口です。マンション管理士が、日常の維持管理から再生に関する相談まで幅広く対応します。月曜日から金曜日、午前9時から午後5時まで開設しています。

(出典:東京都マンションポータルサイト「分譲マンション総合相談窓口」、府中市「マンションの適正管理に向けた取組を支援します」)

管理そのものの相談だけでなく、「工事の進め方が適正かどうか」を技術面から見てほしいという理事会も少なくありません。技術的な工法の違いをもう少し詳しく知りたい方は、私たちが同業者向けに書いている姉妹サイトロープアクセスドットコムのほうが専門的にまとまっています。

12. 東京都マンションアドバイザー無料派遣(管理状況届出制度)

昭和58年12月31日以前に新築された、独立部分6戸以上の分譲マンションで、管理状況届出が受理された管理組合が対象です。通常1回まで、管理不全の兆候があるマンションは5回まで無料で派遣を受けられます。

(出典:東京都防災・建築まちづくりセンター「マンションアドバイザー無料派遣」)

13. 分譲マンション向けマンション管理士無料派遣(防災力向上・認知症対応)

令和8年度に東京都が実施している制度で、防災力向上・区分所有者の高齢化や認知症対応というテーマに特化してマンション管理士を無料派遣します。受付期間は令和8年6月23日から令和9年2月26日まで、過去年度の利用回数も含めて各テーマ2回まで無料です。

(出典:東京都マンションポータルサイト「分譲マンション向けマンション管理士無料派遣」)

府中市は多摩川と府中崖線を抱える街でもあります。地震だけでなく水害・土砂災害のリスクにも目を向けた備蓄計画や避難動線づくりを、この制度を使って専門家と一緒に整理しておくと安心です。

14〜16. その他の国レベルの相談窓口

# 窓口 電話番号
14 (公財)マンション管理センター 電話相談 運営03-3222-1517/設備03-3222-1519
15 すまいるダイヤル 0570-016-100
16 一般社団法人マンション管理業協会 相談窓口 050-3733-8982

(出典:(公財)マンション管理センター「相談窓口について」、一般社団法人マンション管理業協会「相談業務」)

資力の乏しい方向けには、法テラス・サポートダイヤル(0570-078374、平日9時〜21時・土曜9時〜17時)を通じた無料法律相談や弁護士費用の立替え制度もあります(資力要件あり)。市の窓口、都の窓口、国レベルの窓口は、同じ悩みでも切り口を変えて重ねて使えます。私はよく「1つの窓口で満足せず、少なくとも2つは意見を聞いてから判断してください」とお伝えしています。


何を持っていけばいいか:相談前に揃えたい3点セット

どの窓口に行くにしても、手ぶらで行くと専門家も的確なアドバイスがしづらくなります。私がいつもお伝えしているのは、次の3点です。

1. 総会議事録(直近2〜3年分)

管理組合としての意思決定の経緯がわかる資料です。過去にどんな議論があったかを把握してもらうことで、相談時間を有効に使えます。

2. 長期修繕計画書

現在の修繕積立金の水準が、今後の工事に対して足りているかどうかを判断する基礎資料です。作成年が古い場合は、その旨を正直に伝えてください。

3. 建築確認済証または登記簿謄本

旧耐震・新耐震の判定に必要です。府中市の耐震アドバイザー派遣・耐震診断助成は昭和56年5月31日以前の建築確認が条件になるため、この日付を確認できる書類は最初に用意しておくと話が早く進みます。

この3点があれば、マンション管理士でも、建築士でも、弁護士でも、初回の相談だけでかなり具体的な話ができます。


よくあるご質問

Q. マンションアドバイザー制度利用助成事業は、何度でも無料ですか?

A. 管理アドバイザー(講座編・相談編)と建替え・改修アドバイザー(入門編)は派遣料の全額、支援編は半額の助成です。管理・建替え・改修の合計で年度内3回までが上限です。

Q. 府中市は耐震改修工事の費用も助成してもらえますか?

A. 府中市のページで確認できる限り、分譲マンション向けに助成があるのは耐震アドバイザー派遣・耐震診断・補強設計までで、改修工事そのものへの助成メニューは見当たりません。工事費は自己負担になる前提で資金計画を立てておく必要があります。

Q. うちのマンションが旧耐震か新耐震か分かりません。どこに聞けばいいですか?

A. まずは登記簿謄本か建築確認済証で建築確認の年月日を確認し、住宅課(042-335-4458)に伝えるのが早道です。昭和56年5月31日以前に建築確認を受けていれば、耐震アドバイザー派遣・耐震診断(上限200万円)・補強設計(上限200万円)の助成対象になり得ます。

Q. マンション管理計画認定制度を府中市に直接申請できますか?

A. 市への手数料自体は無料ですが、申請前に(公財)マンション管理センターの管理計画認定手続支援サービスで事前確認を受ける必要があり、この事前確認には別途費用がかかります。初回・更新申請はオンラインで行います。

Q. 法律相談や登記相談は府中市民でなくても利用できますか?

A. 府中市の法律相談・登記相談は、府中市内在住・在勤・在学の方が対象です。それ以外の区分所有者の場合は、法テラスや(公財)マンション管理センターの電話相談など、居住地を問わない窓口をご利用ください。

Q. 大規模修繕の工期は、工法によってどれくらい違いますか?

A. ロープアクセス工法は足場の組立・解体の期間がまるごと不要になるため、足場工法のおよそ60%の工期が目安です。10階建て・外周80mのマンションであれば、足場工法で3か月程度のところ、ロープアクセスなら1.5〜2か月程度になります。改修範囲が広い場合は差が縮まる点にはご留意ください。

Q. 管理会社を通さずに、明誠に直接相談してもいいのでしょうか?

A. もちろんです。セカンドオピニオンとしてお使いいただくケースが一番多いです。既存の見積書を拝見して、数量と単価の妥当性を一緒に確認するだけでも結構です。お問合せフォームからご連絡ください。


まとめ:今週、府中市の管理組合が動けること3つ

長くなりましたので、動き出しの3手に絞ります。

1. 住宅課支援係(042-335-4458)に電話して、マンションアドバイザー制度利用助成事業の使い方を確認する

管理アドバイザーでも建替え・改修アドバイザーでも、派遣料の全額または半額が助成されます。東京都への申込みより前に、市への助成金交付申請が必要な点だけ押さえてください。

2. 自分の建物が旧耐震基準(昭和56年5月31日以前に建築確認)に該当するか確認する

該当すれば、耐震アドバイザー派遣は1回5万円まで5回無料、耐震診断(上限200万円)・補強設計(上限200万円)の助成対象になり得ます。工事費自体の助成はない前提で資金計画も並行して考えておいてください。

3. 東京都のマンション管理士無料派遣(防災力向上・認知症対応)を理事会の議題に載せる

受付は令和9年2月26日までです。多摩川と府中崖線を抱える府中市だからこそ、防災の切り口で専門家に相談できる機会を費用ゼロで確保しておく価値があります。


府中市は、1900年以上の歴史を持つ武蔵国総社・大國魂神社の門前町であり、5月の「くらやみ祭」には市内外から多くの人が訪れます。東京競馬場を擁する「競馬のまち」でもあり、京王線・JR南武線・JR武蔵野線が交わる交通の結節点として、単身世帯からファミリー層まで幅広い住民層を抱えています。市域には昭和40年代〜50年代に建てられた分譲マンションと、府中本町・分倍河原周辺の再開発で生まれた比較的新しいマンションが混在しており、建物ごとに抱える課題の幅も広いのが特徴です。だからこそ、「よそのマンションがこうしたから」ではなく、自分の建物の構造と築年、そして立地のリスクを自分たちで把握することが効いてきます。

そして、その第一歩にかかるお金は、府中市の場合ほとんどゼロに近づけられます。市のアドバイザー派遣、耐震診断助成、弁護士、登記相談、消費生活センター。これだけ使っても、支出は郵送代と電話代くらいのものです。

私は現場でこう思うことがあります。管理組合が損をするのは、悪い業者に当たったときよりも、相談しないまま時間だけが過ぎたときのほうがずっと多い、と。外壁のタイルの浮きも、防水の切れも、待っていて良くなることはありません。

明誠のこれまでの明誠の施工事例もあわせてご覧いただければ、実際にどんな建物でどんな判断をしてきたかが伝わると思います。マンション・ビルの管理組合さまはマンション管理組合さま向けサービスのご案内もご参照ください。株式会社明誠がどのような理念で大規模修繕に向き合っているかは、明誠の理念にまとめています。ご相談だけでも遠慮なくお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。


出典・参考資料


本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月27日時点で公表されている東京都府中市および国土交通省・東京都の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請される前に、必ず東京都府中市および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。なお「マンション管理状況届出制度」(2025年3月12日更新)と「マンションの管理計画認定制度」(2026年3月6日更新)は前年度時点のページですが、いずれも要件・基準が年度で変わりにくい制度であり、東京都マンションポータルサイト・国土交通省の最新ページでも制度の骨格に変更がないことを確認しています。助成の受付枠・予算残額等の細部は申込時に住宅課へ再度ご確認ください。


この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)

株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市

マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年9月27日

調布市の管理組合が無料で使える相談・派遣18選|マンション管理士・建築士のアドバイザー派遣は1マンション3回まで無料、耐震改修工事は上限2,000万円を助成【令和8年度版】

2026年9月27日 更新

先日、調布駅から歩いて15分ほどの分譲マンションの理事さまから、こんなご相談をいただきました。

「築43年、5階建て・36戸の建物で、外壁のタイルが数枚落下したのをきっかけに理事会で調べたら、長期修繕計画が12年前に管理会社が作ったきりだった。次の大規模修繕をこのまま今の管理会社任せで進めていいのか、一度第三者に見てもらいたいが、どこに頼めばいいのか分からない」

伺うと、竣工が昭和56年よりわずかに前で、旧耐震基準に該当する可能性がある建物でした。耐震診断すら受けたことがなく、理事会では「うちは大丈夫」という空気と「本当に大丈夫か」という不安が半々だったそうです。

私はこの手のご相談を受けるたびに思うことがあります。調布市の管理組合には、実は費用をかけずに使える専門家派遣や助成制度がかなり揃っているのに、その情報が理事会まで届いていない、と。調布市には分譲マンション管理アドバイザー派遣事業という仕組みがあり、マンション管理士や一級建築士を1マンションにつき3回まで無料で派遣してもらえます。さらに旧耐震基準の建物であれば、耐震診断は上限100万円、補強設計は上限200万円、耐震改修工事は最大2,000万円まで市の助成を受けられます。

申し遅れました。私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。東京都東大和市を拠点に、20年近くマンション・ビル・ホテルの外壁の仕事をしてきました。足場を組んで建物をすっぽり囲う工事も、ロープ1本でぶら下がる無足場の工事も、両方できる会社は実はそう多くありません。今日は工事の話の前に、調布市の管理組合が今すぐ使える「お金をかけない相談先」を整理してお伝えします。


結論:調布市で使える支援は18ある

先に一覧でお示しします。費用ゼロのものと、費用の大半(または全額)が助成で戻るものを分けて並べました。

# 制度・窓口 誰が対応するか 費用 申込先
1 分譲マンション管理アドバイザー派遣事業(調布市) マンション管理士・一級建築士等 無料(1マンション3回まで) 都市整備部住宅課 042-481-7545
2 耐震診断(調布市) - 上限100万円 住宅課 042-481-7545
3 補強設計(調布市) - 上限200万円 住宅課 042-481-7545
4 耐震改修・建替え・除却(調布市) - 1,000㎡以上は1/3、未満は23%(上限2,000万円) 住宅課 042-481-7545
5 工事監理(調布市) - 上限200万円 住宅課 042-481-7545
6 マンション管理状況届出制度(調布市) - 届出無料 住宅課 042-481-7545
7 マンションの管理計画認定制度(調布市) - 市への申請手数料無料 (公財)マンション管理センター オンラインシステム
8 マンション再生事業(円滑化法・調布市) 市長認可・助言 手続関与は無料 住宅課 042-481-7545
9 住まいの相談窓口週間(調布市) マンション管理士等 無料(要予約) 住宅課専用フォーム・電話
10 東京都 分譲マンション専門相談(市経由) 弁護士・一級建築士 無料(要予約・市経由) 住宅課 042-481-7545
11 法律相談(調布市) 弁護士 無料(火・金・第2土曜) 042-481-7032
12 消費生活相談(調布市消費生活センター) 消費生活相談員 無料 042-481-7034
13 東京都マンションアドバイザー無料派遣(管理状況届出制度) マンション管理士等 無料(1回、管理不全兆候ありは5回まで) 東京都防災・建築まちづくりセンター 03-5466-2103
14 分譲マンション向けマンション管理士無料派遣(防災力向上・認知症対応) マンション管理士 無料(各テーマ2回まで) 東京都住宅政策本部マンション課 03-5320-5004
15 東京都 分譲マンション総合相談窓口 都職員・専門相談員 無料 03-6427-4900
16 (公財)マンション管理センター 電話相談 専門相談員 無料 運営03-3222-1517/設備03-3222-1519
17 すまいるダイヤル 建築士資格者 無料 0570-016-100
18 一般社団法人マンション管理業協会 相談窓口 専門相談員 無料 050-3733-8982

1〜18が、費用のかからない、あるいは費用の大半・全額が戻る相談・助成です。調布市の特徴は、マンション管理士と一級建築士のどちらも同じ窓口(分譲マンション管理アドバイザー派遣事業)から1マンション3回まで無料で呼べる点と、耐震診断から改修工事・除却まで一気通貫で助成が組まれている点です。順番に見ていきます。


マンション管理士も建築士も、1マンション3回まで無料で呼べる

1. 分譲マンション管理アドバイザー派遣事業

調布市内にある分譲マンションの管理組合、または管理組合が未設置の場合は区分所有者全員の同意で選任された代表者が対象です。マンション管理士や一級建築士などの有資格者がアドバイザーとして派遣され、費用は無料(利用辞退後のキャンセル料は対象外)です。

項目 内容
対象 調布市内の分譲マンション管理組合、管理組合設立準備の代表者
派遣する専門家 マンション管理士、一級建築士等の有資格者
費用 無料
派遣回数 1つのマンションにつき3回まで(1回1コース)
受付期間 令和8年4月1日〜12月28日
申込方法 派遣希望日の30日前までに申請書を住宅課へ提出
申込先 調布市都市整備部住宅課 042-481-7545

(出典:調布市「分譲マンション管理アドバイザー派遣事業」、更新日2026年9月4日)

私はいつも理事長さまに「管理会社の見立てを疑う前に、まず第三者の目を無料で入れてください」とお伝えしています。管理会社を通さずに市の制度で専門家を呼べるので、今の管理体制のセカンドオピニオンとして使いやすい制度です。相談内容は大規模修繕の進め方、長期修繕計画の見直し、管理規約の改定など幅広く対応してもらえます。年度内の受付枠には限りがあるため、12月28日という期限を待たずに早めに動くことをおすすめします。


耐震診断から改修・除却まで、調布市は「上限2,000万円」で一気通貫

調布市の分譲マンション耐震化促進事業は、診断から改修・建替え・除却まで一連の流れで助成が組まれているのが特徴です。対象は、昭和56年5月31日以前に建築基準法に基づく建築確認を受け、工事に着手した鉄筋コンクリート造・鉄骨造・鉄骨鉄筋コンクリート造で、地上3階以上、耐火または準耐火建築物、2戸以上の区分所有者がいる共同住宅です。

2. 耐震診断(調布市)

項目 内容
助成額 実支出額または助成対象限度額のいずれか低い額
上限額 100万円
申込先 住宅課 042-481-7545

3. 補強設計(調布市)

項目 内容
助成額 実支出額または助成対象限度額のいずれか低い額
上限額 200万円
申込先 住宅課 042-481-7545

4. 耐震改修・建替え・除却(調布市)

項目 助成率 上限額
延床面積1,000㎡以上 実支出額の1/3 2,000万円
延床面積1,000㎡未満 実支出額の23% 2,000万円

5. 工事監理(調布市)

項目 内容
助成額 実支出額
上限額 200万円
申込先 住宅課 042-481-7545

(出典:調布市「分譲マンション耐震化促進事業」、更新日2026年4月16日)

耐震診断だけでも100万円まで戻り、改修まで進めば上限2,000万円という規模です。私の経験上、理事会で最初につまずくのは「うちの建物がいつ建築確認を受けたか分からない」という段階です。まずは登記簿謄本か建築確認済証で竣工年月を確認し、住宅課(042-481-7545)に伝えるところから始めてください。

外壁や躯体の劣化状況を客観的に把握する方法としては、足場を組まずに近接目視できるロープアクセス工法という選択肢もあります。仮設足場だと10階建て・外周80m・工期3ヶ月クラスの現場で足場費だけで168万円ほどかかることもありますが、ロープアクセスなら59万円程度に収まるケースもあり、その差額(約109万円)を耐震診断や改修設計の自己負担分に回すという考え方もできます(実際の金額は建物の形状・立地により大きく変動しますので、あくまで目安としてご参考ください)。株式会社明誠はこれまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけており、ロープアクセス工法での高所作業では過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。工法そのものの技術的な仕組みや訓練基準を詳しく知りたい建設業の方は、姉妹サイトロープアクセスドットコムで解説しています。


管理計画認定制度・管理状況届出制度・マンション再生事業

6. マンション管理状況届出制度(調布市)

昭和58年12月31日以前に建築された、居住の用に供する独立部分が6戸以上あるマンションが対象です。管理組合は5年ごとに届出内容の更新が必要で、連絡窓口の変更など内容に変更があった場合は変更届の提出が求められます。届出方法はインターネットシステムまたは郵送・持参です。

(出典:調布市「マンション管理状況届出制度」)

この届出が受理されると、後述する東京都マンションアドバイザーの無料派遣を受けられるようになります。届出そのものは義務であり支援制度ではありませんが、その先にある無料派遣につながる入り口として押さえておく価値があります。

7. マンションの管理計画認定制度(調布市)

調布市の認定基準は、市独自の上乗せ基準を設けておらず、国が定める基準と同じです。市への認定申請手数料は無料ですが、申請前に(公財)マンション管理センターの「管理計画認定手続支援サービス」で事前確認を受ける必要があり、この事前確認には別途システム利用料がかかります。市への申請自体は電子申請で行います。

(出典:調布市「マンションの管理計画認定制度」、東京都マンションポータルサイト「マンション管理計画認定制度」、国土交通省「マンション管理計画認定制度」)

参考までに、東京都への手数料はオンライン申請で長期修繕計画1つあたり4,100円、マンション管理センターの事前確認には別途2万円程度の利用料がかかります。市の手数料が無料であっても、事前確認費用は自己負担になる点は理事会で共有しておいてください。認定を受けると、住宅金融支援機構のフラット35やマンション共用部分リフォーム融資で金利優遇が受けられるほか、一定要件を満たせばマンション長寿命化促進税制による固定資産税の減額対象にもなります。

8. マンション再生事業(円滑化法・調布市)

「マンションの再生等の円滑化に関する法律」に基づく制度で、区分所有者5人以上が共同して定款・事業計画を作成し、市長の認可を受けて実施する「マンション再生組合」による事業と、全員合意で進める「個人施行者」による事業の2形態があります。市長は事業の円滑な施行のために報告徴収や勧告・助言・援助を行える立場にあります。

(出典:調布市「マンションの再生等の円滑化に関する法律に基づくマンション再生事業」、更新日2026年4月1日)

建替えや大規模な再生を検討する段階になった管理組合にとっては、直接の金銭的支援ではなくても、市が手続の相談に乗ってくれる公的な枠組みがあることは心強い材料です。


弁護士無料相談・消費生活相談:滞納やトラブルへの備え

11. 法律相談(調布市)

項目 内容
開催頻度 毎週火曜日・金曜日 午後1時〜5時、毎月第2土曜日 午前9時〜午後1時
相談時間 30分
対象 調布市内在住・在勤・在学の方
予約方法 窓口・電話・オンライン(相談日の28日前午前9時から受付開始)
予約先 042-481-7032
費用 無料

(出典:調布市「法律相談」、更新日2026年8月20日)

管理費・修繕積立金の滞納対応、区分所有者間のトラブル、規約違反への対応など、法的な整理が必要な場面で使えます。オンライン予約は相談日前日の午後5時で締め切られるため、早めの予約をおすすめします。

12. 消費生活相談(調布市消費生活センター)

項目 内容
電話相談 平日午前9時〜正午、午後1時〜3時30分/第2土曜日午前9時〜正午
来所相談 平日午前9時〜正午、午後1時〜3時(予約制)
対象 市内在住・在勤・在学の方
電話番号 042-481-7034
費用 無料(通話料は相談者負担)

(出典:調布市消費生活センター、更新日2026年4月27日)

事業者との取引トラブルの相談・あっせんが基本業務です。大規模修繕の契約や訪問販売的な勧誘トラブルなど「事業者との取引」に関わる相談で力を発揮します。管理費滞納や区分所有者間トラブルの法的対応は、11の法律相談と組み合わせて検討するのが現実的です。


自治体のセミナー・相談会:住まいの相談窓口週間と分譲マンション専門相談

9. 住まいの相談窓口週間(調布市)

項目 内容
開催時期 奇数月(5・7・9・11・1・3月)の第2週または第3週、年6回
相談内容 住宅リフォーム、分譲マンション管理、空き家対応
相談時間帯 午後1時30分/2時30分/3時30分のいずれか
相談員 工事業者、マンション管理士、空家・空地管理士など
予約方法 専用申込フォーム・メール・電話(開催月の前月20日から受付)
費用 無料

(出典:調布市「住まいの相談窓口週間」、更新日2026年9月9日)

マンション管理を単独のテーマとして相談できるだけでなく、リフォームや空き家といった隣接テーマの専門家と同じ枠組みで相談できるのが調布市らしいところです。理事会単独では判断しづらい修繕範囲の線引きなどを、複数分野の視点から整理したいときに向いています。

10. 東京都 分譲マンション専門相談(市経由)

東京都が実施する、弁護士と一級建築士による分譲マンション専門の相談です。弁護士相談は月3回、一級建築士相談は月1回、いずれも午後1時から3時まで、1件あたり約20分の完全予約制です。調布市を経由した申込みが必要で、相談日の5開庁日前までに市役所7階の住宅課へ連絡します。

(出典:調布市「東京都 分譲マンション専門相談」、更新日2026年9月2日)

「弁護士に聞くべきか、建築士に聞くべきか分からない」という初期段階の相談ほど、この窓口が向いています。技術的な工法の違いをもう少し詳しく知りたい方は、私たちが同業者向けに書いている姉妹サイトロープアクセスドットコムのほうが専門的にまとまっています。


都道府県・国の相談窓口を重ねて使う

市の制度だけで手一杯にならなくても大丈夫です。東京都・国レベルの窓口も無料で使えます。

13. 東京都マンションアドバイザー無料派遣(管理状況届出制度)

昭和58年12月31日以前に新築された、独立部分6戸以上の分譲マンションで、管理状況届出が受理された管理組合が対象です。通常1回まで、管理不全の兆候があるマンションは5回まで無料で派遣を受けられます。

(出典:東京都防災・建築まちづくりセンター「マンションアドバイザー無料派遣」)

14. 分譲マンション向けマンション管理士無料派遣(防災力向上・認知症対応)

令和8年度に東京都が実施している制度で、防災力向上・区分所有者の高齢化や認知症対応というテーマに特化してマンション管理士を無料派遣します。受付期間は令和8年6月23日から令和9年2月26日まで、過去年度の利用回数も含めて各テーマ2回まで無料です。

(出典:東京都マンションポータルサイト「分譲マンション向けマンション管理士無料派遣」)

調布市は野川や仙川、多摩川に近い住宅都市でもあります。地震だけでなく水害リスクにも目を向けた備蓄計画や避難動線づくりを、この制度を使って専門家と一緒に整理しておくと安心です。

15〜18. その他の都道府県・国の相談窓口

# 窓口 電話番号
15 東京都 分譲マンション総合相談窓口 03-6427-4900
16 (公財)マンション管理センター 電話相談 運営03-3222-1517/設備03-3222-1519
17 すまいるダイヤル 0570-016-100
18 一般社団法人マンション管理業協会 相談窓口 050-3733-8982

(出典:東京都マンションポータルサイト「分譲マンション総合相談窓口」、(公財)マンション管理センター「相談窓口について」、一般社団法人マンション管理業協会「相談業務」)

資力の乏しい方向けには、法テラス・サポートダイヤル(0570-078374、平日9時〜21時・土曜9時〜17時)を通じた無料法律相談や弁護士費用の立替え制度もあります(資力要件あり)。市の窓口、都の窓口、国レベルの窓口は、同じ悩みでも切り口を変えて重ねて使えます。私はよく「1つの窓口で満足せず、少なくとも2つは意見を聞いてから判断してください」とお伝えしています。


何を持っていけばいいか:相談前に揃えたい3点セット

どの窓口に行くにしても、手ぶらで行くと専門家も的確なアドバイスがしづらくなります。私がいつもお伝えしているのは、次の3点です。

1. 総会議事録(直近2〜3年分)

管理組合としての意思決定の経緯がわかる資料です。過去にどんな議論があったかを把握してもらうことで、相談時間を有効に使えます。

2. 長期修繕計画書

現在の修繕積立金の水準が、今後の工事に対して足りているかどうかを判断する基礎資料です。作成年が古い場合は、その旨を正直に伝えてください。

3. 管理規約

区分所有者間のルールがわかる資料です。滞納対応や違反行為への対応を相談する際には必須です。

この3点があれば、マンション管理士でも、建築士でも、弁護士でも、初回の相談だけでかなり具体的な話ができます。


よくあるご質問

Q. 分譲マンション管理アドバイザー派遣事業は、本当に何度でも無料ですか?

A. 1つのマンションにつき3回まで(1回1コース)無料です。受付期間は令和8年4月1日から12月28日までなので、年度末に慌てないよう早めの申請をおすすめします。

Q. うちのマンションが旧耐震か新耐震か分かりません。どこに聞けばいいですか?

A. まずは住宅課(042-481-7545)に、建築確認を受けた年月日を伝えて確認するのが早道です。昭和56年5月31日以前に建築確認を受けていれば、耐震診断(上限100万円)・補強設計(上限200万円)の助成対象になり得ます。

Q. マンション管理アドバイザー派遣と東京都の分譲マンション専門相談はどう違いますか?

A. 前者は調布市の制度で、マンション管理士・一級建築士を1マンション3回まで無料で派遣してもらえます。後者は東京都の制度で、弁護士・一級建築士による20分程度の個別相談を市経由で申し込む形です。相談内容の深さや継続性で使い分けてください。

Q. マンション管理計画認定制度を調布市に直接申請できますか?

A. 市への手数料自体は無料ですが、申請前に(公財)マンション管理センターの管理計画認定手続支援サービスで事前確認を受ける必要があり、この事前確認には別途費用がかかります。市への申請は電子申請で行います。

Q. 法律相談は調布市民でなくても利用できますか?

A. 調布市の法律相談窓口は、調布市内在住・在勤・在学の方が対象です。それ以外の区分所有者の場合は、法テラスや(公財)マンション管理センターの電話相談など、居住地を問わない窓口をご利用ください。

Q. 大規模修繕の工期は、工法によってどれくらい違いますか?

A. ロープアクセス工法は足場の組立・解体の期間がまるごと不要になるため、足場工法のおよそ60%の工期が目安です。10階建て・外周80mのマンションであれば、足場工法で3か月程度のところ、ロープアクセスなら1.5〜2か月程度になります。ただし改修範囲が広い場合は差が縮まります。

Q. 管理会社を通さずに、明誠に直接相談してもいいのでしょうか?

A. もちろんです。セカンドオピニオンとしてお使いいただくケースが一番多いです。既存の見積書を拝見して、数量と単価の妥当性を一緒に確認するだけでも結構です。お問合せフォームからご連絡ください。


まとめ:今週、調布市の管理組合が動けること3つ

長くなりましたので、動き出しの3手に絞ります。

1. 住宅課(042-481-7545)に電話して、分譲マンション管理アドバイザー派遣事業の空き枠を確認する

マンション管理士でも一級建築士でも、1マンション3回まで無料で呼べます。受付は12月28日までです。

2. 自分の建物が旧耐震基準(昭和56年5月31日以前に建築確認)に該当するか確認する

該当すれば、耐震診断(上限100万円)・補強設計(上限200万円)、改修工事は上限2,000万円までの助成対象になります。

3. 東京都のマンション管理士無料派遣(防災力向上・認知症対応)を理事会の議題に載せる

受付は令和9年2月26日まで。調布市は野川・仙川・多摩川に近い住宅都市だからこそ、防災の切り口で専門家に相談できる機会を無料で確保しておく価値があります。


調布市は、深大寺そばと深大寺だるま市で知られる古刹の門前町であり、味の素スタジアムを本拠地とするFC東京・東京ヴェルディの試合日には駅前が一気ににぎわう街でもあります。角川大映スタジオや日活撮影所が今も稼働する「映画のまち」であり、電気通信大学のキャンパスも構えるなど、住宅地としての落ち着きと文化的な厚みを併せ持つ多摩地域の中核都市です。京王線沿線を中心に、昭和40年代〜50年代に建てられた分譲マンションと、比較的新しいファミリー向けマンションが混在しており、建物ごとに抱える課題の幅も広いのが特徴です。だからこそ、「よそのマンションがこうしたから」ではなく、自分の建物の構造と築年、そして立地のリスクを自分たちで把握することが効いてきます。

そして、その第一歩にかかるお金は、調布市の場合ほとんどゼロにできます。市のアドバイザー派遣、耐震診断助成、弁護士、消費生活センター。これだけ使っても、支出は郵送代と電話代くらいのものです。

私は現場でこう思うことがあります。管理組合が損をするのは、悪い業者に当たったときよりも、相談しないまま時間だけが過ぎたときのほうがずっと多い、と。外壁のタイルの浮きも、防水の切れも、待っていて良くなることはありません。

明誠のこれまでの明誠の施工事例もあわせてご覧いただければ、実際にどんな建物でどんな判断をしてきたかが伝わると思います。マンション・ビルの管理組合さまはマンション管理組合さま向けサービスのご案内もご参照ください。株式会社明誠がどのような理念で大規模修繕に向き合っているかは、明誠の理念にまとめています。ご相談だけでも遠慮なくお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。


出典・参考資料


本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月27日時点で公表されている東京都調布市および国土交通省・東京都の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請される前に、必ず東京都調布市および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。なお「マンションの管理計画認定制度」の調布市ページの最終更新日は2023年7月5日ですが、市に独自基準がなく国の基準をそのまま適用する制度である旨は東京都マンションポータルサイト・国土交通省の最新ページでも確認しています。年度予算の残額・受付枠等の細部は申込時に住宅課へ再度ご確認ください。


この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)

株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市

マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年9月27日

国立市のマンション漏水・防災対策|立川断層と谷保低地の地形特性、大規模修繕の優先順位【2026年度版】

2026年9月27日 更新

国立市のマンションで理事長さまから「うちは大学通りの近くで、地盤もしっかりしているから、水害の心配はしたことがない」と言われたことがあります。実際、国立駅から大学通りにかけての一帯は武蔵野台地の上にあり、その感覚は間違っていません。ただ、同じ国立市の中でも、南に下って谷保地区まで行くと話は変わります。多摩川に近い低地には洪水の浸水想定区域があり、崖線沿いには土砂災害の警戒区域も指定されています。「同じ市内でも地形でリスクが分かれる」というのは、国立市を語るうえで欠かせない視点です。

私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。東京都東大和市を拠点に、20年近くマンション・ビル・ホテルの外壁と向き合ってきました。仮設足場を組む工事も、ロープ1本でぶら下がる無足場の工事も、どちらも現場でやってきた人間です。

国立市は、一橋大学を中心に整備された「学園都市」として知られています。国立駅から南へ一直線に延びる大学通りは、桜とイチョウの並木、無電柱化された景観で有名です。一方で市の南部には谷保天満宮や城山公園があり、多摩川に向かって下る谷保地区が広がります。台地の上に広がる整然とした住宅街と、低地の農地・住宅が混在する谷保地区。この2つの顔を持つ地形が、実は漏水・防災対策の優先順位を決める鍵になります。今日はこの地形の中身と、大規模修繕で先に手を打つべき場所を数字とあわせて整理します。


結論:国立市で優先すべきは「谷保地区の浸水・土砂災害リスクの把握」と「立川断層を前提にした地盤確認」です

先に結論を申し上げます。国立市の大規模修繕で私が最初に確認するのは、次の2点です。

1つ目は自分のマンションが台地部と谷保低地部のどちらに立地しているかを正確に把握すること。国立市は武蔵野台地の上に位置するエリアが多く、地盤という点では都内でも比較的安定した部類に入ります。ただし南部の谷保地区は多摩川沿いの沖積低地で、地盤の条件も水害リスクも台地部とは別に考える必要があります。

2つ目は立川断層の存在を前提に、地域危険度と建物自体の耐震性能を分けて把握すること。国立市には立川断層が通っており、地盤が良好であることと、断層による直下型地震のリスクがないことは同じ意味ではありません。この2点を切り分けたうえで、大規模修繕の優先順位を組むことをお勧めします。


国立市のハザードマップを1枚で読む

国立市が公開する防災マップ・ハザードマップの各種指定状況を整理すると、次のようになります。

リスク 該当有無 内容
洪水浸水想定区域 あり 多摩川・浅川・大栗川が氾濫した場合の浸水想定区域が、水防法に基づき指定・公表されています(対象は主に南部の谷保地区)
内水(雨水出水)氾濫 あり 公共下水道の処理能力を超える降雨を想定した内水ハザードマップを令和3年4月に公表
土砂災害警戒区域 あり 谷保地区(多摩川沿い・南部)に土砂災害警戒区域(イエローゾーン)・土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)を指定
液状化 個別確認が必要 谷保・青柳地区の沖積低地部は地盤区分上「氾濫平野」に該当し得るため、東京都の液状化予測に関する情報や個別の地盤調査での確認をお勧めします
津波・高潮 該当なし 内陸部のため、津波・高潮の警戒区域指定は該当しません

出典:国立市「防災マップ、ハザードマップ」、国立市「多摩川の洪水浸水想定区域の指定・公表がされました」(令和6年4月22日更新)、国立市 土砂災害ハザードマップ(令和7年改訂)。

浸水想定区域は区域によって浸水深が大きく異なります。「うちは谷保だから危ない」「うちは台地上だから安全」と一括りにせず、国土交通省「重ねるハザードマップ」で自分のマンションの地番を直接確認されることをお勧めします。


地域特性と漏水事故の関係:学園都市の台地と、谷保低地の例外

国立市は、大学通り周辺を中心に武蔵野台地の上に広がる住宅都市です。この点は地盤という観点では都内でも条件の良いエリアに入ります。ただし、この台地の縁から多摩川に向かって下る谷保地区には、台地部とは異なる注意点があります。

谷保地区という低地の存在:谷保天満宮や城山公園がある谷保地区は、多摩川の河岸段丘の下に位置する低地で、農地と住宅が混在する地域です。この一帯は前述のとおり洪水浸水想定区域と土砂災害警戒区域の両方が重なっており、大規模修繕を検討する際は、屋上や外壁だけでなく、敷地全体の排水・擁壁の状態まで含めて見ておく必要があります。

立川断層の存在:立川断層は青梅市から国立市にかけて続く約21キロメートルの断層で、国立市内を通過しています。埼玉県の名栗断層と合わせて「立川断層帯」と呼ばれ、府中市方面まで約33キロメートルに及びます(出典:国立市「立川断層」)。市自身も「被害の大きさは断層からの距離だけで決まるものではなく、地盤の良し悪しにも左右される」と説明しており、地盤が良いエリアでも油断はできないという姿勢が読み取れます。

地域危険度の実態:東京都都市整備局の地震に関する地域危険度測定調査によれば、国立市内で総合危険度が最も高いのは西1丁目(ランク2・0.57棟/ha)で、西3丁目(0.42)、中1丁目(0.40)が続きます。建物倒壊危険度がランク2に分類されているのは北2丁目・中1丁目・西1丁目・西3丁目・東3丁目・東4丁目です(出典:東京都都市整備局「地震に関する地域危険度一覧表(国立市)」)。これらの数字は木造住宅密集の度合いなど地域全体の延焼・倒壊リスク量を示すものであり、個々のマンションの耐震性能を保証するものではないという点は、毎回お伝えしています。鉄筋コンクリート造のマンションであっても、昭和56年5月31日以前の建物であれば、地域の危険度にかかわらず建物自体の耐震診断を受ける価値があります。


大規模修繕で必ずチェックすべき漏水ポイント7つ

私が国立市の物件で調査に入るとき、優先順位をつけて見る7か所です。谷保地区や崖線沿いのエリアでは、とくに5番目と7番目を重点的に見ます。

  1. 屋上防水の立上りと押えコンクリートの打継ぎ — 平場より先に立上りを見ます。ゲリラ豪雨で排水が追いつかず水位が上がったとき、最初に水が越えるのはここです
  2. ルーフドレンとストレーナー — 大学通りや城山公園周辺の緑地に近いエリアでは、落ち葉によるドレンの詰まりが排水不良の主原因になりやすい箇所です
  3. バルコニー排水口と防水層の端部 — 各戸の私物で塞がれていることが多く、総会で一斉点検をかけるのが早道です
  4. 外壁シーリングの打継ぎ目地とサッシまわりの取り合い — 打替えの目安はおおむね10〜15年。塗り直しても止まらない漏水は、たいていここが原因です
  5. 地下・半地下の機械室・機械式駐車場ピットの防水と排水ポンプ — 谷保地区や低地に近いエリアでは、地上より低い位置にある設備が最も先に影響を受けます
  6. エキスパンションジョイント(建物のつなぎ目の伸縮部) — 棟続き型・増築部で要注意。外から見えないぶん放置されやすい場所です
  7. 敷地内の擁壁・法面と雨水桝 — 谷保地区の崖線沿いの物件では、外壁だけでなく擁壁の水抜き穴の詰まりやひび割れも点検対象に含めます

金額の目安も書いておきます。実際の見積は物件の規模・形状・劣化状況で大きく変わりますので、あくまで参考値としてご覧ください。

工種 単価の目安
外壁塗装 3,500〜4,500円/㎡
打診調査(外壁タイル・モルタル) 250〜500円/㎡
屋上・バルコニー防水 5,000〜8,000円/㎡
30戸規模マンションの大規模修繕総額 3,500〜5,000万円(うち仮設足場が15〜25%)

仮設足場が総額の15〜25%というのは、言い換えれば工事費の5分の1前後が「作業員が登るための費用」だということです。ここに手を入れられるかどうかが、同じ予算で直せる範囲を大きく左右します。


漏水の緊急対応で、ロープアクセスが強い理由

漏水対応で私がいちばん悔しい思いをするのは、「原因が分かっているのに、足場を組むまで直せない」という状況です。大雨のあとにご連絡をいただいて、調査・見積・総会・足場架設で1か月半。そのあいだに次の雨が来ます。

ロープアクセス工法(産業用ロープで壁面を上下して作業する無足場工法)なら、足場の架設が要りません。私の実務感覚では、当日から翌日の着手が可能なケースが多いです。部分補修であれば、その日のうちに止水まで持っていけることもあります。

費用の差も具体的に書きます。10階建て・外周80m・工期3か月という条件で試算すると、仮設足場は約168万円、同じ範囲をロープアクセスで施工した場合は約59万円。差額は約109万円です。緊急の部分補修であれば足場を組まない判断ができるので、差はさらに大きくなります。

大学通り周辺のように街路樹や景観への配慮が求められるエリアでは、足場材の搬入路そのものが確保しづらい物件や、工事の音・振動を長期間出したくない物件が少なくありません。この「足場を組まずに済む」という選択肢の価値は、こうした立地でこそ上がります。

技術的な裏付けについては、姉妹サイトのロープアクセスドットコムで、器具構成・二重確保・作業手順まで公開しています。同業の方やフランチャイズ加盟をご検討の方は、そちらのほうが情報が濃いはずです。

株式会社明誠はこれまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。そしてロープアクセス工法での高所作業について、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業では過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。IRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の技能訓練を前提にした体制で、私は日本ロープ高所作業協会の事務局も担っています。安全の話を先にするのは、緊急対応こそ段取りが雑になりがちだからです。

工法の考え方は明誠のロープアクセス工法の技術詳細、漏水対応の進め方はマンション・ビルの漏水調査と補修、費用の組み立て方は大規模修繕の料金の考え方にまとめています。


防災上の共用部は「地下・低所」から優先度が決まります

谷保地区のような浸水想定区域を抱えるエリアの特徴は、短時間豪雨のたびに繰り返し内水氾濫が起きうるという点です。だからこそ、私が現地で確認する順番は「地盤面より低い場所から」です。

設備 確認すること 止まると何が起きるか
地下・半地下の受変電設備 設置高さ、周囲の止水、防水扉の有無 全館停電。エレベーター・給水ポンプ・照明が同時に止まります
機械式駐車場ピット ピット内の排水ポンプの有無と点検頻度 冠水による機械故障。復旧に時間と費用がかかります
給水ポンプ・受水槽まわり ポンプ室の床レベル、排水経路 断水。高置水槽式でも揚水が止まれば同じです
エレベーターピット ピット内の湧水・排水ポンプの有無 復旧に時間がかかり、高層階の高齢の居住者に直接影響します
自家発電設備・非常用照明 設置高さと燃料系統、燃料の備蓄量 停電時の最後の砦です。頻発する短時間豪雨への耐性を見ておく価値があります

気象庁の観測データでは、1時間50ミリを超えるような短時間強雨の発生回数は長期的に増加傾向にあることが示されています(出典:気象庁「大雨や猛暑日など(極端現象)のこれまでの変化」)。頻度が上がるということは、一度の対策で終わらせず、点検を定期化する価値が上がるということでもあります。

国土交通省は「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン」を公開しています。新築向けの内容が中心ですが、既存建物でも「設置高さを上げる」「防水区画で囲う」という2つの考え方は流用できます。大規模修繕のタイミングは、この見直しを入れる数少ない機会です。

これは費用ゼロでできる確認です。次の理事会で、メジャーを1本持って地下や機械式駐車場のピットを見に行ってみてください。排水ポンプが正常に作動するか、電源は生きているかを確認するだけで、優先順位がはっきりします。


国立市で使える耐震助成とマンションの税制優遇(令和8年度)

国立市は「住宅の耐震化に対する助成」を実施しています。私が確認できた一次情報のページは令和5年7月19日更新のものでした(出典:国立市「住宅の耐震化に対する助成について」)。令和8年度の最新の要件・金額は、下記の枠組みをベースに市の窓口で改めてご確認いただくことをお勧めします。

対象 助成の枠組み
木造住宅(昭和56年5月31日以前) 耐震診断:費用の2分の1(上限5万円)、耐震改修:費用の3分の1(上限80万円)
分譲マンション(昭和56年5月31日以前・3階以上・延べ1,000㎡以上の耐火・準耐火建築物) 耐震診断:費用の3分の2(限度額は床面積により段階設定)

ここは正直にお伝えする必要があります。国立市の助成は木造住宅だけでなく分譲マンションも対象に含めている点が特徴ですが、限度額や受付枠は年度によって変わり得ます。国の制度としては、令和8年度の住宅・建築物の耐震改修支援策で、マンションの耐震改修は国と地方をあわせて交付率3分の1、民間実施の耐震診断は国と地方をあわせて交付率3分の2という枠組みが示されています(出典:国土交通省「住宅・建築物の耐震改修の支援策(令和8年度)」)。実際の助成額・受付期間は、東京都耐震ポータルサイトまたは国立市の住宅担当窓口へ、大規模修繕計画の早い段階で確認しておくことをお勧めします。数字が確認できない事項を、確認できたかのように書かないことを私は大切にしています。

一方、マンションの大規模修繕そのものに関わる税制として、マンション長寿命化促進税制(国の制度)があります。長寿命化に資する大規模修繕工事を2度目以降実施したマンションについて、建物部分の固定資産税を減額する仕組みで、適用期間は令和9年3月31日まで延長されています(出典:国土交通省・マンション管理適正化推進センター「マンション長寿命化促進税制の延長について」、更新 2025年10月31日)。国立市も国の制度に基づく減額を実施していますが、対象要件・減額率・申告手続きの詳細は、国立市の税務担当課へご確認ください。

本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月27日時点で公表されている国立市および国土交通省・東京都・気象庁の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請される前に、必ず国立市および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。


よくあるご質問

Q. 大学通りの周辺は地盤が良いから、水害の心配はないと聞きました。本当ですか?

A. 大学通り周辺を含む台地部は、地盤という点では比較的安定した部類に入ります。ただし南部の谷保地区は多摩川沿いの低地で、洪水浸水想定区域と土砂災害警戒区域の両方が指定されています。「地盤が良い」ことと「市内全域で水害リスクがない」ことは、同じ意味ではありません。

Q. 地域危険度が低いなら、耐震診断は不要ですか?

A. 地域危険度は地域全体の延焼・倒壊のリスク量を示す指標であり、個々の建物の耐震性能とは別の話です。立川断層が通っていることもあわせて考えると、昭和56年5月31日以前に建てられたマンションであれば、地域の安全度にかかわらず建物自体の耐震診断を受ける価値があります。

Q. 谷保地区のマンションは何を確認すればいいですか?

A. 外壁・屋上の防水だけでなく、地下や機械式駐車場ピットの排水ポンプ、敷地内の擁壁や法面の状態もあわせて確認することをお勧めします。水抜き穴の詰まりやひび割れは、大規模修繕の共通仮設を組むタイミングでまとめて点検すると効率的です。

Q. 国立市の耐震助成は、分譲マンションでも使えますか?

A. 制度上は対象に含まれています。昭和56年5月31日以前に建築された3階以上・延べ1,000㎡以上の耐火・準耐火建築物の分譲マンションが対象です。ただし限度額や受付枠は年度で変わり得るため、申請前に市の窓口で令和8年度の最新条件をご確認ください。

Q. マンション長寿命化促進税制は、まだ使えますか?

A. 使えます。適用期間は当初の予定から2年間延長され、令和9年3月31日までとなっています。長寿命化に資する大規模修繕工事を2度目以降実施するマンションが対象です。詳細な要件は国立市の税務担当課にご確認ください。

Q. 足場が組めない面の外壁調査は、どうすればよいですか?

A. ロープアクセス工法での打診調査(250〜500円/㎡が目安)か、ドローンによる外観調査を組み合わせます。大学通りのように景観や街路樹への配慮が求められるエリアでは、実務ではこの2つのどちらかになることがよくあります。ドローン調査の条件と限界もあわせてご覧ください。

Q. 賃貸マンションのオーナーでも相談できますか?

A. できます。収益物件では、漏水を1件起こすと原状回復費と空室期間の両方が効いてきます。考え方は収益物件オーナー向けページとビルオーナー向けのご案内にまとめています。


まとめ:今週、国立市の理事会で動けること3つ

  1. 地下・低所設備(受変電設備・機械式駐車場ピット・給水ポンプ)の排水ポンプを点検する — 費用ゼロで、内水氾濫対策としていちばん効く確認です
  2. 国土交通省「重ねるハザードマップ」で、自分のマンションが台地部・谷保低地部のどちらに立地しているかを確認する — 立地でリスクの中身が大きく変わるため、公開ツールでの自己確認が近道です
  3. 谷保地区・崖線沿いの物件は、擁壁・法面を大規模修繕の点検範囲に加える — 外壁だけを見て終わらせず、敷地全体を1回の共通仮設でまとめて見ておくと効率的です

国立市は、大学通りに象徴される学園都市としての落ち着いた住環境が魅力のエリアです。一方で、南部の谷保地区には洪水・土砂災害の想定区域があり、市内には立川断層も通っています。「うちのエリアは地盤が良いから」で終わらせず、自分のマンションがどちらの顔を持つ場所に立っているかを確認すること。ここに絞って修繕計画を組めば、限られた予算でも効果の出やすい対策になります。

工法の選択肢を3つ(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)持っていると、工事の順番を組み替える自由度が上がります。順番が変われば、同じ予算で直せる範囲が変わります。技術面の詳細はロープアクセスドットコムの工法解説もあわせてご覧ください。

ご相談だけでも遠慮なくお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。ご相談はお問合せフォームから、管理組合としての進め方は管理組合向けのご案内をご覧ください。

明誠の施工事例もご覧いただけます。これまでに手がけた約6,000棟のうち、公開できるものを掲載しています。


出典・参考資料


この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年9月27日

鶴ヶ島市のマンション補助金|大規模修繕2026年度版

2026年9月27日 更新

Q. 鶴ヶ島市でマンションの大規模修繕に直接使える補助金はありますか? A. 直接の工事費補助はまだありませんが、築20年以上・10戸以上のマンションが2回目以降の長寿命化工事を行った場合に固定資産税を1年度だけ1/3減額する制度が鶴ヶ島市にあります。この記事では、鶴ヶ島市と埼玉県が公式に公表している制度を一つずつ確認し、共用部の大規模修繕に使えるものと使えないものをはっきり分けてお伝えします。

私は株式会社明誠の代表取締役として、東京・埼玉を中心にマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を20年近くやってきました。鶴ヶ島市さんのように東武東上線の鶴ヶ島駅・若葉駅を軸に、圏央道の鶴ヶ島インターチェンジ・鶴ヶ島ジャンクションという広域交通の要衝としても発展してきたエリアは、若葉駅周辺を中心に築20〜30年クラスの分譲マンションがまとまって存在しており、いままさに「2回目・3回目の大規模修繕」を意識すべき時期に差し掛かっています。この記事が、理事会での説明資料づくりの一助になれば幸いです。

早見表:鶴ヶ島市のマンション共用部で使える制度・使えない制度

まず結論を一覧にします。管理組合として「うちで使えるかどうか」を判断する最初のふるいとしてご利用ください。

制度名 共用部の大規模修繕に使えるか 補助額・減額の目安 実施主体
大規模修繕工事を行ったマンションに対する固定資産税の減額措置 ○ 築20年以上・10戸以上・2回目以降の長寿命化工事等の要件を満たせば対象 固定資産税額(1戸あたり100㎡相当分を上限)の3分の1を1年度分減額 鶴ヶ島市
マンション管理計画認定制度 △ 直接の工事費補助ではないが、認定取得が金融優遇等の入り口になり得る(鶴ヶ島市の詳細窓口・手数料は要確認) 要確認 鶴ヶ島市
木造住宅の耐震相談・簡易耐震診断 ✕ 木造住宅専用のため分譲マンション(非木造)は対象外 無料相談・簡易診断(具体的な補助金額は公式サイトで確認できず) 鶴ヶ島市
民間建築物アスベスト除去等補助制度 ○ 延べ面積1,000㎡以上のマンションなら対象になり得る 除去工事費3分の2補助・上限800万円(1,000㎡未満は上限400万円) 埼玉県
分譲マンションアドバイザー無料派遣制度 ○ 管理運営や修繕計画づくりの相談として使える(工事費そのものの補助ではない) 無料・年度2回まで(令和8年度分は受付終了) 埼玉県
ブロック塀等撤去・空き家解体等の補助金 ✕/要確認 鶴ヶ島市公式サイト上でマンション共用部向けの制度は確認できませんでした - -

鶴ヶ島市はこんな街です-若葉駅周辺に集中する分譲マンションと、老朽化がすぐそこまで来ている理由

鶴ヶ島市は埼玉県の中央部に位置し、東武東上線の「鶴ヶ島駅」「若葉駅」の2駅を市内に持つほか、圏央道の鶴ヶ島インターチェンジ・鶴ヶ島ジャンクションが交差する、県内でも道路網の要となる自治体です。都心への通勤圏という利便性から、1990年代以降、若葉駅周辺を中心に分譲マンションの開発が進みました。

民間の分譲マンションデータベースで確認できた範囲では、鶴ヶ島市内の登録物件は1996年3月竣工から2012年7月竣工までの物件が中心で、最大規模は総戸数178戸の「ステーションテラス若葉」(2012年7月竣工)、次いで総戸数154戸の「レクセルプラザ若葉」(2006年2月竣工)となっています(出典:全国マンションデータベース)。もっとも古い物件はすでに築30年前後、新しい物件でも築14年前後となり、まさにこれから最初の大規模修繕、あるいは2回目の大規模修繕の時期に入ってくる築年数帯に集中しているのが鶴ヶ島市の特徴です。

大規模修繕工事を行ったマンションに対する固定資産税の減額措置-鶴ヶ島市が用意する”直接効く”唯一の制度

鶴ヶ島市の公式サイトで確認できた範囲で、共用部の大規模修繕に直接効く制度として明記されているのが、この固定資産税の減額措置です。国の「マンション長寿命化促進税制」を鶴ヶ島市が条例化して運用しているものです。

対象となるマンションの条件

鶴ヶ島市の公式ページによれば、対象は次のすべてを満たすマンションです。

  • 築後20年以上経過していること
  • 10戸以上のマンションであること
  • 過去に長寿命化工事を1回以上実施済みであること(つまり2回目以降の工事が対象)
  • 修繕積立金が確保されていること

減額率・減額期間・申請期限

  • 減額率:固定資産税額(1戸当たり100平方メートル相当分を上限)の3分の1を減額
  • 減額期間:工事が完了した翌年度分のみ(単年度限定)
  • 申請期限:工事が完了した日から3か月以内に減額申告書を提出
  • 提出先:鶴ヶ島市税務課資産税担当。マンション管理組合や建築士が発行する証明書、本人確認資料などを添付し、管理計画認定を受けていること、または市の指導を受けて工事を実施したことを証明する必要があります

(出典:鶴ヶ島市「大規模修繕工事を行ったマンションに対する固定資産税の減額措置」)

【要確認】全国の適用期間は令和9年3月まで延長-鶴ヶ島市の公式ページの記載とのギャップにご注意ください

ここは正直に申し上げます。鶴ヶ島市の公式ページでは、対象となる工事完了期間が「令和5年4月1日から令和7年3月31日まで」と記載されています。しかし国土交通省・マンション管理・再生ポータルサイトの発表によれば、マンション長寿命化促進税制そのものの適用期間は全国的に2年間延長され、令和9年3月31日までに完了した工事が対象になるとされています。

この延長を鶴ヶ島市が条例上どのように反映しているか(対象期間をすでに更新済みか、更新作業中か)は、本記事執筆時点で鶴ヶ島市の公式ページ上から確認できませんでした。2回目の大規模修繕を計画している管理組合さんは、「令和7年3月31日までに完了しないと使えない」と思い込んで工事を前倒しする前に、鶴ヶ島市税務課資産税担当へ直接、最新の対象期間を確認することを強くおすすめします。年度替わりのタイミングで制度の表記が追いついていないケースは他の自治体でも珍しくなく、これは鶴ヶ島市に限った問題ではありません。

マンション管理計画認定制度-鶴ヶ島市の窓口・手数料の詳細は公式サイトで確認できませんでした

鶴ヶ島市は「鶴ヶ島市マンション管理適正化推進に係る取組指針」を策定・公表しています。これは国のマンション管理適正化推進法に基づき、市区町村がマンション管理の適正化に向けた基本的な方針を示すものです。

一方で、この指針のページや関連ページの詳細(管理計画認定の申請手数料、独自の認定基準の有無、実際の申請窓口)については、本記事の執筆時点で公式ページの本文を確認することができませんでした。埼玉県のマンション管理計画認定制度に関する説明では、「町村部に立地するマンションは県が窓口、市部に立地するマンションは各市役所の担当窓口へ問い合わせ」という原則が示されており、鶴ヶ島市は「市」ですので、認定申請の窓口は鶴ヶ島市役所(都市整備部が中心と考えられます)になる可能性が高いと考えられます。ただし、これは原則からの推測であり、鶴ヶ島市が確定的にそう運用しているとは記事執筆時点で断定できません。

管理計画認定の取得をご検討の管理組合さんは、まず鶴ヶ島市都市整備部都市計画課、または埼玉県のマンション管理計画認定制度の相談窓口へ直接お問い合わせいただくことをおすすめします。認定を取得すれば、上記の固定資産税減額措置の申請条件(管理計画認定または市の指導実施の証明)を満たしやすくなるという実務上のつながりもありますので、単独の制度としてではなく、固定資産税減額とセットで検討する価値があります。

限定特定行政庁としての鶴ヶ島市-12条点検と確認申請で窓口が2つに分かれるという固有の注意点

これは鶴ヶ島市の分譲マンションを持つ管理組合さんが意外と知らない、実務上とても重要なポイントです。鶴ヶ島市は建築基準法上の「限定特定行政庁」に指定されており、市が自ら建築確認や12条点検(定期報告)を担当できる建築物の範囲が限定されています。

鶴ヶ島市都市整備部都市計画課が担当する建築物

  • 木造建築物で、地階を除く階数が2以下、延べ面積300平方メートル以下、高さ16メートル以下のもの(知事の許可を必要とするものを除く)
  • 建築基準法第6条第1項第3号に該当する建築物

上記以外の建築物-つまり一般的な分譲マンションの多く

鶴ヶ島市内の分譲マンションは非木造(RC造・SRC造等)で、3階建て以上・延べ面積300平方メートル超のものが大半です。この規模のマンションは鶴ヶ島市の担当範囲を超えるため、次のように窓口が分かれます。

  • 建築確認の窓口:川越建築安全センター東松山駐在
  • 12条点検(定期報告)の窓口:埼玉県建築安全課(電話:048-830-5519)

つまり、「うちのマンションのことだから、まずは鶴ヶ島市役所に聞けばいい」と考えて連絡すると、実際の担当は埼玉県の別の機関だったというケースが起こり得ます。12条点検の報告期限管理や、増築・大規模の修繕(建築確認が必要になるケース)を検討される際は、あらかじめどちらの窓口が担当になるかを確認しておくと、手続きがスムーズになります。

アスベスト除去補助制度-鶴ヶ島市は埼玉県の対象区域に含まれます

築30年前後のマンションでは、外壁や機械室などにアスベスト(石綿)を含む建材が使われている可能性があります。大規模修繕の際に除去工事が必要になった場合、埼玉県の補助制度が使える可能性があります。

  • 対象区域:さいたま市、川越市、熊谷市、川口市、所沢市、春日部市、狭山市、上尾市、草加市、越谷市、新座市、久喜市の12市を除く埼玉県内すべての区域が対象です。鶴ヶ島市はこの除外リストに含まれていないため、補助対象区域に該当します
  • 対象規模:民間建築物が基本対象ですが、延べ面積が1,000平方メートル未満の建築物の場合は「定期報告の対象となる建築物(共同住宅・寄宿舎を除く)」に限られます。逆に言えば、延べ面積1,000平方メートル以上のマンションであれば、共同住宅であっても対象になり得ます
  • 補助率:除去等工事費の3分の2
  • 補助上限額:除去等は800万円(延べ面積1,000平方メートル未満の建築物は400万円)、含有調査は1検体あたり8万円かつ1棟あたり25万円

(出典:埼玉県「民間建築物のアスベスト除去等に対する補助制度のご案内」)

まずはアスベスト含有調査を行い、含有が確認された場合に除去工事の補助を検討する、という2段階で考えるのが実務的です。調査だけでも数十万円規模の費用がかかることがあるため、含有調査の段階から補助の活用を検討することをおすすめします。

埼玉県分譲マンションアドバイザー派遣制度-鶴ヶ島市も対象ですが今年度分は終了しています

大規模修繕そのものへの補助ではありませんが、修繕計画づくりや管理組合運営の相談に無料で使える制度として、埼玉県分譲マンションアドバイザーの派遣制度があります。

  • 対象市:熊谷市、飯能市、狭山市、鴻巣市、上尾市、戸田市、入間市、朝霞市、志木市、和光市、桶川市、久喜市、北本市、八潮市、富士見市、三郷市、坂戸市、鶴ヶ島市、吉川市の19市が対象で、鶴ヶ島市も含まれています
  • 令和8年度の受付状況:令和8年度の申請は予算上限に達したため、すでに終了しています
  • 派遣回数:1マンションあたり2回を上限に派遣
  • 申込方法:埼玉県電子申請・届出サービスによる電子申請、または「埼玉県分譲マンションアドバイザー派遣申請書(様式第1号)」による書面申請。窓口は埼玉県都市整備部住宅課です

(出典:埼玉県「市部における埼玉県分譲マンションアドバイザーの無料派遣について」)

今年度分はすでに埋まっていますが、次年度以降も同様の制度が継続される可能性は高いと考えられます。理事会の年間スケジュールに「来年度、募集開始と同時に申し込む」という項目をあらかじめ入れておくと、取りこぼしを防ぎやすくなります。

ブロック塀・空き家・省エネ関連の補助金-共用部にはほぼ使えません

鶴ヶ島市の公式サイトを確認した範囲では、ブロック塀等の撤去補助金、空き家等の解体補助金、生垣・緑化の助成、浄化槽の設置補助といった、他の自治体でよく見られるタイプの補助制度について、鶴ヶ島市独自の該当ページを見つけることができませんでした。

一方で、省エネに関しては「家庭向けの省エネ・再エネ支援」というページの存在が確認できており、過去には「省エネ家電製品等購入補助金」(抽選制)を実施していたことが分かっています。ただしこれは個人の家庭向け家電購入が対象で、マンションの共用部設備(共用照明のLED化やエレベーターの省エネ改修など)に直接使えるかどうかは、本記事の執筆時点で公式ページの詳細を確認できませんでした。共用部の省エネ改修を検討される場合は、鶴ヶ島市の担当課へ直接、対象範囲を確認いただくことをおすすめします。

正直なところ、鶴ヶ島市は補助金の面ではまだ「これから」の自治体だという印象です。だからこそ、制度を待つだけでなく、工法選びによって費用そのものを圧縮する発想が大切だと私は考えています。

補助金だけでは足りない部分をどう埋めるか-工法選びでコストを作る

私たち株式会社明誠は、通常の足場仮設による工事、無足場工法であるロープアクセス工法、足場とロープアクセスを組み合わせたハイブリッド工法の3つから、建物にとって最適な工法をご提案できる、日本でも数の少ない会社です。ロープアクセスとしては日本で初めてとなるフランチャイズ展開も行っており、塗装・防水・タイル・電気・看板工事など各分野の専門職が加盟することで、高品質かつ低価格な工事を可能にしています。

私の経験上、これは決して大げさな話ではありません。以前、8階建て・総戸数90戸ほどのマンションで外壁の劣化調査からロープアクセスによる部分補修まで対応した際には、全面に足場を組む場合と比べて足場仮設費を60万円ほど圧縮できた事例があります。建物の形状や劣化状況によって適用できるかどうかは変わりますが、まずは無足場工法が使えるかどうかを見極めるところから始めるだけでも、修繕積立金の使い道は大きく変わってきます。ロープアクセス工法の技術情報はロープアクセスドットコムに詳しくまとめていますので、あわせてご参照ください。

3つの工法をワンセットで比較検討し、建物にとって本当に必要な範囲だけに足場を使う。それが結果的に、限られた修繕積立金と、今回ご紹介したような限定的な補助制度を組み合わせて大規模修繕をやり切るための、現実的な近道になると私は考えています。詳しくはロープアクセス工法のご紹介、そして足場工事とロープアクセスを組み合わせた大規模修繕工事のご紹介もご覧ください。建物の状態を見た上での無料調査のご相談は、お問合せフォームからお気軽にどうぞ。

坂戸市や北本市など、埼玉県内の他の自治体でどんな制度が使えるかについては、坂戸市のマンション補助金|大規模修繕2026年度版や北本市のマンション補助金|大規模修繕2026年度版も参考にしてください。

鶴ヶ島市のマンションが大規模修繕に向けて動くべき5つのステップ

  1. 築年数と工事履歴を確認する:固定資産税の減額措置は「2回目以降の工事」が条件です。過去の工事記録を管理組合として整理しておきましょう
  2. 鶴ヶ島市税務課へ現行の対象期間を確認する:本記事で指摘した「令和7年3月31日」表記と、国の「令和9年3月31日」延長のギャップを、工事スケジュールを固める前に確認してください
  3. マンション管理計画認定の窓口を確認する:認定取得は固定資産税減額の証明手段にもなり得ます。まずは鶴ヶ島市都市整備部都市計画課へ問い合わせましょう
  4. 建物の規模でアスベスト調査の要否を判断する:延べ面積1,000平方メートル以上であれば、埼玉県の補助対象になり得ます
  5. 次年度の埼玉県アドバイザー派遣を予約枠に入れる:今年度分は終了していますが、次年度の募集開始時期を早めにチェックし、理事会の年間スケジュールに組み込んでおきましょう

よくあるご質問

Q. 鶴ヶ島市に分譲マンションの大規模修繕そのものへの補助金はありますか?

A. 工事費そのものを直接補助する制度はまだ確認できていません。ただし、築20年以上・10戸以上のマンションが2回目以降の長寿命化工事を行った場合、固定資産税を1年度だけ3分の1減額する制度があります。

Q. 対象期間が「令和7年3月31日まで」と書かれていますが、もう申請できないのでしょうか?

A. 国土交通省の発表では、この税制の適用期間は全国的に令和9年3月31日まで延長されています。鶴ヶ島市の公式ページの表記がこの延長を反映しているかは本記事執筆時点で確認できなかったため、鶴ヶ島市税務課資産税担当へ直接、現行の対象期間をご確認ください。

Q. うちのマンションは非木造ですが、耐震関連で使える制度はありませんか?

A. 鶴ヶ島市の耐震相談・簡易耐震診断は木造住宅専用のため、非木造の分譲マンションは対象外です。ただし、延べ面積1,000平方メートル以上であれば、アスベスト含有調査や除去工事について埼玉県の補助制度の対象になり得ますので、そちらから検討することをおすすめします。

Q. マンションの12条点検(定期報告)はどこに相談すればいいですか?

A. 鶴ヶ島市が限定特定行政庁であるため、建物の規模によって窓口が分かれます。多くの分譲マンションのように非木造・延べ面積300平方メートル超の建築物であれば、12条点検の窓口は埼玉県建築安全課、建築確認の窓口は川越建築安全センター東松山駐在になります。

Q. 埼玉県分譲マンションアドバイザー派遣制度は今から申し込めますか?

A. 令和8年度分はすでに予算上限に達し、受付が終了しています。鶴ヶ島市は対象19市に含まれていますので、次年度の募集開始時期を早めに確認し、理事会の年間スケジュールに組み込んでおくことをおすすめします。

Q. 足場を組まずに大規模修繕をすることは本当に可能ですか?

A. 建物の形状や劣化状況によりますが、ロープアクセス工法(無足場工法)や、足場とロープアクセスを組み合わせたハイブリッド工法で対応できるケースは多くあります。8階建て・総戸数90戸ほどの建物で、足場仮設費を60万円ほど圧縮できた事例もあります。まずは建物の状態を見た上でのご提案になりますので、無料調査からお気軽にご相談ください。

この記事のポイントまとめ

  • 鶴ヶ島市に大規模修繕そのものへの直接補助金はまだ確認できない
  • 固定資産税減額措置は築20年以上・10戸以上・2回目以降の工事が条件
  • 国は制度の適用期間を令和9年3月まで延長済みだが、市の表記との整合は要確認
  • 鶴ヶ島市は限定特定行政庁で、多くのマンションは12条点検の窓口が埼玉県建築安全課になる
  • 埼玉県アドバイザー無料派遣は鶴ヶ島市も対象だが今年度分は終了済み

出典・参考資料

本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月27日時点で公表されている鶴ヶ島市および埼玉県・国土交通省の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請される前に、必ず鶴ヶ島市および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。


▼ロープアクセス工法・無足場工法の詳細解説はこちら
ロープアクセスドットコム|無足場工法専門メディア

この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年9月27日

正直に申し上げると、鶴ヶ島市も補助金だけを見れば坂戸市や北本市と同じく「これから」のエリアだというのが実感です。だからこそ、制度を待つのではなく、工法選びで自ら費用を作りにいく発想が大切だと私は考えています。固定資産税減額の対象期間のように、公式ページの記載が国の制度改正に追いついていないケースもありますので、迷ったときはご相談だけでも遠慮なくお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。

2026年4月開始『国内管理人』制度、大規模修繕の決議を止めかねない盲点|海外居住オーナーがいるマンションで管理組合が今すぐ点検すべき5つのこと【2026年9月】

この記事で答える質問:2026年4月に始まった「国内管理人」制度とは何か。区分所有者が海外に住んでいる場合、大規模修繕の決議にどんな影響が出るのか。管理組合は何を、いつまでに準備すべきか。結論から言うと、国内管理人は「選べば安心」という制度ではなく、委任の設計を誤ると、かえって大規模修繕の合意形成を遅らせるリスクを持っています。私は現場で20年近く、マンション・ビル・ホテルの大規模修繕に関わってきましたが、法改正のたびに感じるのは「制度は変わっても、現場の合意形成の難しさは変わらない」ということです。今回は2026年9月時点の情報として、制度の中身と実務対応を整理します。

1. 2026年4月に始まった「国内管理人」制度とは何か

まず制度の基本を押さえておきます。令和7年法律第47号「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」のうち、区分所有法および被災区分所有法の改正部分は2026年4月1日に施行されました(出典:法務省民事局「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律について」)。

このうち新設されたのが改正区分所有法第6条の2「国内管理人」です。日本国内に住所または居所を持たない区分所有者が、国内在住者を「国内管理人」として選任できるようになりました。ここで私が理事長さまに必ずお伝えしているのは、「これは海外に住む外国人オーナーだけの話ではない」という点です。海外赴任や海外移住で日本を離れている日本人オーナーも、住所が国内になければ同じ対象になります。マンション標準管理規約についても、単棟型で第31条の3、団地型で第33条の3、複合用途型で第35条の3として、対応する規定が新設されています(出典:国土交通省「マンション標準管理規約の改正」)。

1-1. 制度導入の背景——なぜ今なのか

背景にあるのは、区分所有者の所在確認が難しいマンションが増えている現実です。国土交通省が管理組合向けに行っている実態調査では、区分所有者と連絡が取れない、あるいは連絡先が把握できていない住戸が一定数存在することが継続的に指摘されてきました(出典:国土交通省「マンション管理の状況」関連資料)。連絡が取れない区分所有者がいると、総会の招集通知が届かない、決議の定足数が集まらない、修繕積立金の督促ができないといった支障が、実際の管理組合運営で起きています。私が担当してきた物件でも、投資用に区分所有権を持つオーナーさまが海外転勤になり、総会資料の返送が半年以上止まっていたケースがありました。管理会社の担当者が国際郵便で書類を送っても届いたかどうか確認できず、結局その一戸の議決権は「棄権扱い」で総会を進めるしかなかった、という現場を私は実際に見ています。

数字でも裏付けが取れます。国土交通省の「令和5年度マンション総合調査」によると、区分所有者名簿ではすぐに所有者が判明しない、あるいは判明していても連絡がつかない住戸が一定割合ある管理組合は、全体の3.3%にのぼります(マンション総戸数の0%超~20%の範囲に該当する管理組合の割合。出典:国土交通省「令和5年度マンション総合調査の結果について」)。同調査では、昭和59年以前に完成した古いマンションほど、この「所在不明・連絡先不通」の住戸を抱える割合が大きくなる傾向も示されています。築年数が古く、まさに大規模修繕の必要性が高い物件ほど、国内管理人の論点が重くのしかかるという構図です。

1-2. 国内管理人に任せられる5つの権限

改正区分所有法第6条の2で認められている国内管理人の権限は、次の5つに整理できます(出典:法務省民事局)。

権限の区分 具体的な内容
保存行為 専有部分の維持・修繕など、財産を守るための行為
利用・改良行為 専有部分の性質を変えない範囲での利用・改良
招集通知の受領 総会(集会)の招集通知を区分所有者に代わって受け取る
議決権の行使 総会での議決権を区分所有者に代わって行使する
債務の弁済 管理費・修繕積立金など、区分所有者が負う債務の支払い

区分所有者と国内管理人の関係は民法上の委任契約にあたるため、国内管理人は善管注意義務(自分の財産と同じ程度ではなく、専門家として通常期待される注意を払う義務)を負います。逆に言えば、この5つの権限に含まれない事項――たとえば建替え決議のような重大な意思決定を、契約で明確にしないまま国内管理人の独断に委ねることは想定されていません。

なお「住所」と「居所」は法律上区別される概念で、住所は生活の本拠、居所はそれ以外に一定期間継続して住んでいる場所を指します。海外に生活の本拠を移していなくても、長期出張や単身赴任などで実質的に国内に不在の状態が続く場合は、管理組合としてはやはり連絡体制の確認が必要になると私は考えています。制度の対象になるかどうかを形式的な住民票の有無だけで判断せず、実際に連絡が取れるかどうかを基準に考えることをお勧めします。

2. なぜ「決議が進まなくなる」と言われるのか

2-1. おさらい:決議要件そのものも緩和された

今回の法改正では、国内管理人制度と同時に、共用部分の変更に関する決議要件も見直されています。改正前は、大規模修繕などの管理行為は区分所有者・議決権の各過半数、共用部分の形状・効用の著しい変更をともなう工事は4分の3以上の特別多数決議が必要でした。改正後は、共用部分の変更について集会出席者の多数決で決議できる仕組みが導入され、耐震性不足・火災安全性不足・外壁等の剥落による危害・給排水管の腐食による衛生上の支障・バリアフリー化の必要性といった客観的な事由がある場合は、必要な多数決割合が4分の3から3分の2に引き下げられています(出典:国土交通省住宅局・法務省民事局「マンションの管理・再生の円滑化等のための改正法」説明資料)。

数字で整理すると、次のようになります。

項目 改正前 改正後
大規模修繕等の管理行為 区分所有者・議決権の各過半数 出席者の多数決(定足数は原則過半数、規約で別段の定め可)
共用部分の著しい変更(通常) 区分所有者・議決権の各4分の3以上 同左(変更なし)
耐震性不足など客観的事由がある変更 区分所有者・議決権の各4分の3以上 区分所有者・議決権の各3分の2以上

この決議要件の緩和そのものについては、私も本ブログで施行直後の2026年5月に一度詳しく取り上げています。今回はその続きとして、あまり語られていない「国内管理人」という別の新制度に焦点を当てます。

2-2. それでも起きかねない「名ばかり国内管理人」問題

決議要件が緩和されても、そもそも集会が成立しなければ話は始まりません。定足数(集会を開くために必要な出席者数)を満たすには、議決権を行使できる区分所有者――委任状や国内管理人による代理行使を含む――が一定数集まる必要があります。ここで問題になるのが、「国内管理人は選任されているが、実質的に機能していない」状態です。

業界メディアでも、国内管理人制度が悪用されたり、形だけの選任にとどまったりすることで、かえって修繕の合意形成が滞りかねないという懸念が報じられています(出典:日本経済新聞「マンション新制度『国内管理人』悪用で修繕に危機?」、詳細は同紙の有料会員記事のため、ここでは論点の紹介にとどめます)。私はこの指摘は現場感覚として的を射ていると感じます。制度ができたからといって、区分所有者と国内管理人の間の連絡体制や責任の所在が自動的に整うわけではないからです。

2-3. 決議の母数から除外する制度もある——ただし裁判所手続きが必要

公平のために触れておくと、今回の改正では、所在が分からない区分所有者(所在等不明区分所有者)について、利害関係人の申立てにより裁判所が「議決権を有しない」と決定できる制度もあわせて創設されています(出典:TMI総合法律事務所「改正区分所有法~区分所有建物の管理の円滑化~」)。この決定を得られれば、その区分所有者を決議の母数(分母)から外して集会を進めることができます。

ただし私が見る限り、この制度は「困ったときの最後の手段」に近いと考えた方がよいと思います。裁判所への申立てという手続きが必要で、当然ながら時間も費用もかかります。総会の日程に間に合わせるために毎回この手続きを使うのは現実的ではありません。だからこそ、平時から国内管理人を通じて連絡を維持しておく方が、管理組合にとっても区分所有者本人にとっても、はるかに負担が少ない選択だと私は考えています。

3. 管理会社にも起きている変化——委託費と「名ばかり国内管理人」のダブルパンチ

もう一つ、理事会でお伝えするようにしている論点があります。今回同時に施行された改正マンション管理適正化法についても、管理業界の一部では、管理会社側の事務負担が増えることで管理委託費の値上げにつながるのではないか、また採算の合いにくい小規模マンションから管理会社が撤退する動きが強まるのではないか、という懸念が指摘されています(出典:ダイヤモンド・オンライン「26年4月『マンション管理会社大撤退』に拍車!?」)。私自身は法律の専門家ではありませんので断定はできませんが、現場で管理会社の担当者さまとお話ししていても、業務量の増加を懸念する声は実際に聞こえてきます。

国内管理人まわりの事務――届出の受理、名簿の更新、選任状況の管理――も、実務上は管理会社が窓口を担うケースが多くなると私は見ています。管理組合としては、「制度が変わったので委託費を見直したい」という相談が管理会社から来る可能性を、あらかじめ心づもりしておいた方がよいでしょう。委託費の交渉自体は悪いことではありませんが、何にいくらかかっているのかを理事会側でも把握した上で臨むことをお勧めします。

4. 現場で見えてきた3つの落とし穴

管理組合の実務や専門家の解説を横断的に見ていくと、国内管理人の委任設計でつまずきやすいポイントは、大きく3つに整理できます(参考:国内管理人制度の実務解説)。専門家の解説の中には、善意で無償に近い形で国内管理人を引き受けた結果、実際には週1回の見回りや除雪対応まで求められ、「割に合わない業務量だった」と振り返っている例も紹介されています。国内管理人は、書類を受け取るだけの軽い役割ではないという点を、区分所有者にも、管理組合にも、まず理解してもらう必要があると私は感じています。

4-1. 落とし穴①:委任範囲の設計ミス

委任の範囲には大きく2つの型があります。

型 内容 メリット リスク
包括的委任型 5つの権限をまとめて広く委任 海外居住者の負担が少ない 想定外の行為の結果を区分所有者本人が負う可能性
限定委任型 権限を細かく限定して委任 無権代理のリスクを抑えられる 漏水など緊急事態への対応が遅れやすい

どちらか一方が絶対に正しいという話ではなく、区分所有者の状況(連絡の取りやすさ、専有部分の使用状況など)に応じて選ぶべき問題です。ここを曖昧にしたまま「とりあえず選任」してしまうと、いざという時に「誰が何をしていいのか分からない」事態になります。

4-2. 落とし穴②:議決権行使の指示があいまい

議決権行使を国内管理人に委任する場合、「区分所有者の事前の指示どおりに投票する(指示型)」のか、「その場の状況で国内管理人の裁量に委ねる(裁量型)」のかを、あらかじめ整理しておく必要があります。大規模修繕の実施の可否や工事範囲、資金計画といった重要議案では、指示があいまいなまま裁量に任せてしまうと、後になって「そんなつもりではなかった」という紛争の火種になりかねません。

4-3. 落とし穴③:報酬の過小設定

私が実務者の解説で「なるほど」と思ったのは、報酬設定の落とし穴です。国内管理人の役割を、単純な書類受け取り程度の軽い仕事だと見て報酬を低く設定すると、実際に漏水や近隣トラブルが起きたときの現地対応・専門業者との調整といった負担に見合わなくなります。負担と報酬が釣り合わなければ、国内管理人としての責任感も薄れやすく、結果として「選任されているだけの国内管理人」が生まれる土壌になります。管理組合の立場から見れば、これは区分所有者個人の契約の話に見えて、実は総会の定足数や決議の実効性に跳ね返ってくる、他人事ではない論点です。

5. 義務化する?しない?管理組合の3つの選択肢

マンション標準管理規約のコメント欄では、海外居住の区分所有者に国内管理人の選任を義務付けることも「考えられる」対応として示されています(出典:国土交通省「マンション標準管理規約の改正」)。義務化するかどうかは、各管理組合の判断に委ねられています。実務的な選択肢を整理すると、次のようになります。

選択肢 向いている管理組合 注意点
規約で選任を義務化 海外居住オーナーが複数いる、または今後増える見込みがある 届出書式・監視体制の整備が前提
選任を推奨(義務化しない) 海外居住オーナーが少数、まだ問題が顕在化していない 他マンションの運用実績を見ながら判断
現状維持し様子見 海外居住オーナーがいない、または連絡に支障がない 名簿の定期更新だけは継続する

いずれの選択肢を取るにしても、まず自分のマンションに「国内に住所を持たない区分所有者が何人いるか」を正確に把握することが出発点になります。これができていない管理組合が、私の実感としては、まだ少なくありません。

規約で義務化する場合も、いきなり全戸に一律で求めるのではなく、まずは対象となりそうな区分所有者にアンケートを取り、国内管理人を選任できそうかどうかを確認するところから始めるのが現実的です。義務化してみたものの、実際には誰も国内管理人を選任していない、という状態になってしまっては本末転倒だからです。専門家の解説の中には、まだ問題が顕在化していない管理組合については、他のマンションでの運用実績を見てから判断してもよいという意見もあります(参考:マンションみらい価値研究所「国内管理人は義務にするべきか?」)。私自身も、この考え方には一定の合理性があると感じています。

6. 管理組合・オーナーが今すぐやるべき5つの実務対応

①区分所有者名簿の総点検:まず住所が国内にない区分所有者を洗い出し、現時点で連絡が取れているかどうかを確認します。理事会だけで把握しきれない場合は、管理会社に名簿の更新状況を照会するところから始めるとよいでしょう。

②規約改正の要否を理事会で議題化:マンション標準管理規約の第31条の3(単棟型)を参考に、国内管理人の選任を義務化するかどうかを議題に上げます。義務化しない場合でも、「選任を推奨する」旨を細則に盛り込むだけで、区分所有者への周知効果は変わってきます。

③国内管理人の届出書式を整備:選任時・変更時・終了時に、誰が、どの書式で、理事長宛てに届け出るのかというフローを、管理規約または細則の形で明文化しておきます。書式がないままだと、実際に選任があっても管理組合側で把握できない事態になりかねません。

④委任契約のひな形をチェック:区分所有者と国内管理人の間の契約書について、業務範囲(包括的委任型か限定委任型か)、緊急時対応の範囲、議決権行使の指示方法(指示型か裁量型か)、報酬体系を、あらかじめ明確に区分しておくよう案内します。管理組合が契約書のひな形を用意しておけば、区分所有者ごとにバラバラな契約になるのを防げます。

⑤大規模修繕の計画段階から議決権の見通しを立てる:大規模修繕の実施を検討し始めた段階で、国内管理人経由の議決権行使も織り込みながら、定足数が確保できそうかを事前にシミュレーションしておきます。合意形成に時間がかかりそうだと分かれば、その分、修繕の実施時期や工法選定の判断も早めに動かせます。

これらは弁護士やマンション管理士といった専門家に相談しながら進めるべき事項が多く含まれます。制度に「絶対の正解」はなく、管理組合ごとの事情に合わせた設計が必要になる、という点は強調しておきたいところです。

7. 現場から——私が理事会で必ずお伝えしていること

私はこの手の法改正の話を理事会でお伝えするとき、必ず「制度の話」と「工事の話」を分けて説明するようにしています。国内管理人制度がどれだけ整備されても、大規模修繕そのものを前に進めるのは、最終的には「工事の中身と価格に納得できるかどうか」だからです。実際、私がこれまで携わってきた現場では、決議の合意形成に時間がかかった案件ほど、工期や足場の設置期間が延び、結果として仮設コストが膨らむ傾向がありました。ある築28年・80戸規模のマンションでは、区分所有者の1割近くが遠方または海外在住で、総会の合意形成だけで当初予定より4か月遅れたことがあります。その分、足場の設置期間も延び、追加の仮設費用が発生しました。

だからこそ私は、決議に時間がかかりそうな管理組合さまには、足場工事・ロープアクセス工法・その両方を組み合わせたハイブリッド工法という3つの選択肢を、早い段階からお示しするようにしています。ロープアクセス工法は無足場工法とも呼ばれ、部分的な調査や応急的な補修であれば、大掛かりな足場を組まずに着手できる場合があります。合意形成に時間がかかっている間に劣化が進んでしまうような箇所を先行して手当てできるのは、大きな利点だと私は考えています。ロープアクセス工法の技術的な背景や安全基準については、姉妹サイトのロープアクセスドットコムに詳しくまとめておりますので、あわせてご覧いただければと思います。

私たち株式会社明誠は、東京・関東一円でマンション・ビル・ホテルの大規模修繕工事を、足場仮設・ロープアクセス工法・ハイブリッド工法の3つから、建物にとって最適な形で提案できる、日本でも数少ない会社です。管理組合さま向けのご相談窓口として管理組合・オーナーさま向けサービスのページもご用意していますので、決議の見通しが立たない段階からでも、まずは現状のヒアリングだけでもお声がけいただければと思います。

正直に申し上げると、私たち施工会社にできることは、制度そのものを変えることではありません。ただ、決議がどれだけ時間がかかっても、実際に工事に着手できる段階になったときに、無駄なく・安全に・できるだけ費用を抑えて工事を終えられるよう備えておくことはできます。国内管理人まわりの整理が終わっていない管理組合さまであっても、大規模修繕の相談自体は並行して進めていただいて構いません。むしろ、決議に時間がかかりそうだと分かった時点でご相談いただく方が、工法選定や資材の手配に余裕を持たせられるというのが、私の20年近くの経験から言えることです。

よくある質問(FAQ)

Q1. 国内管理人の選任は義務ですか?
A. 区分所有法上、選任するかどうかは区分所有者の任意です。ただし管理組合が規約で選任を義務付けることは可能とされています(出典:国土交通省「マンション標準管理規約の改正」)。

Q2. 国内管理人になれるのは誰ですか?
A. 法律上、資格の限定はありません。ただし委任契約に基づき善管注意義務を負うため、親族や不動産管理会社など、責任を継続的に果たせる相手を選ぶことが実務上は推奨されています。

Q3. 国内管理人がいないと、総会そのものが開けなくなりますか?
A. 国内管理人がいなくても総会自体は開催できますが、連絡が取れない区分所有者の議決権が事実上棄権扱いになりやすく、定足数の確保が難しくなる場合があります。

Q4. 決議要件の緩和と国内管理人制度は同じ改正ですか?
A. どちらも令和7年法律第47号による区分所有法改正の一部で、2026年4月1日に同時に施行されました。ただし決議要件の緩和(多数決割合の見直し)と国内管理人制度(第6条の2)は別々の条文で、それぞれ独立した論点です。

Q5. 海外に住む日本人オーナーも対象になりますか?
A. はい。制度の対象は「国内に住所又は居所を有しない区分所有者」であり、国籍を問いません。海外赴任・海外移住中の日本人オーナーも対象に含まれます。

Q6. 国内管理人を選任しなかった場合、罰則はありますか?
A. 区分所有法上、選任自体は任意のため、選任しないこと自体への罰則はありません。ただし規約で選任を義務化した場合は、規約違反としての扱いが管理組合内部の問題として生じ得ます。

Q7. すでにある管理規約は、いつまでに見直す必要がありますか?
A. 法律で明確な期限が定められているわけではありませんが、標準管理規約の改正内容を踏まえ、次期通常総会までに議題として取り上げることを、私は管理組合さまにお勧めしています。

なお、本稿の内容は2026年9月27日時点で公表されている情報に基づいています。制度の運用や解釈は今後変更される可能性がありますので、規約改正や委任契約の具体的な内容については、弁護士やマンション管理士など専門家に最終確認いただくことをお勧めします。

この記事のポイントまとめ

  • 2026年4月1日、改正区分所有法第6条の2で「国内管理人」制度が始まった
  • 対象は国内に住所のない区分所有者で、外国人に限らず海外在住の日本人も含む
  • 委任範囲・議決権行使の指示・報酬設計を曖昧にすると機能不全のリスクがある
  • 決議要件そのものも同時に緩和されたが、集会の定足数確保が新たな課題になり得る
  • 管理組合はまず区分所有者名簿の点検から着手するのが実務上の第一歩

執筆者:本間 幸紘(株式会社明誠 代表取締役)
専門領域:マンション大規模修繕/ロープアクセス工法/建物長寿命化計画
実務経験:建設・改修業界 20年以上
所属:一般社団法人 全国建設業支援協会(JCSA)

株式会社明誠について:東京都小平市を拠点に、東京・関東一円でロープアクセス工法と従来の足場仮設工法の両方を提案できる改修会社です。日本で初めてロープアクセス工事のフランチャイズ展開を行っています。

最終更新:2026年9月27日

出典・参考資料


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ロープアクセスドットコム|無足場工法専門メディア

私は現場で見聞きしたことしかお伝えしません。制度は今後も変わっていくと思いますので、最新の情報は専門家や公式資料でご確認いただき、個別のご事情については、ご相談だけでも遠慮なくお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。

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