府中市のマンション漏水・防災対策|多摩川の浸水想定と立川断層の地震リスク、大規模修繕の優先順位【2026年度版】
2026年9月25日 更新
府中市内の多摩川に近い分譲マンションで大規模修繕のご提案をしたとき、理事長さまから「うちは競馬場のそばで高台だから、水害とは無縁ですよね」と聞かれたことがあります。私はその場で「棟がどちらを向いているか、次第です」とお答えしました。府中市は多摩川沿いの低地から、府中崖線と呼ばれる段丘の斜面地、京王線・中央線沿いの台地部まで地形が入り組んでおり、同じ市内でも建物が立つ場所によって水害・地震のリスクの出方がまったく違うからです。
私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。東京都東大和市を拠点に、20年近くマンション・ビル・ホテルの大規模修繕に携わってきました。仮設足場を組む工事も、ロープ1本でぶら下がる無足場の工事も、どちらも現場でやってきた人間として、今日は府中市のハザードマップの数字と、大規模修繕で先に手を打つべき場所を整理します。
結論:府中市の分譲・賃貸マンションで優先すべき漏水・防災対策
先に結論からお伝えします。府中市のマンションで大規模修繕を計画するなら、私は次の3点を最優先で確認するようお伝えしています。
- 多摩川からの距離だけで水害リスクを判断しない:想定最大規模降雨(48時間総雨量588mm)による浸水想定区域は多摩川沿いに広がっていますが、府中市の直近の大雨情報では、浸水被害の半数以上がハザードマップの想定区域外、つまり内水氾濫(下水道の排水が追いつかず低地に水があふれる現象)で起きています(出典:府中市「府中の気象・多摩川の状況」関連の防災情報)。
- 立川断層帯による最大震度6強を前提に、屋上・外壁・エキスパンションジョイントの耐震劣化を点検する(出典:府中市「立川断層帯について」)。
- 令和9年3月31日までの期限がある固定資産税減額など、期限付きの支援制度を逃さない(出典:府中市「長寿命化に資する大規模修繕工事が行われたマンションに係る固定資産税の減額について」)。
私の経験上、これは府中市に限らず多摩地域の自治体に共通する傾向ですが、府中市は特に「水害の想定区域」と「実際に水が出る場所」がずれやすい自治体だと感じています。
府中市のハザードマップを1枚で読む
府中市は水害・土砂災害・地震のハザードマップを公開しています(出典:府中市「ハザードマップ」)。管理組合の理事会で確認いただきたいポイントを整理します。
洪水・内水(水害ハザードマップ)
多摩川の想定最大規模降雨(48時間総雨量588mm)による洪水浸水想定区域が、多摩川沿いの一部エリアに設定されています(出典:府中市「多摩川の想定最大規模降雨による洪水浸水想定区域について」、最終更新2021年4月9日)。詳細な浸水深・浸水継続時間は、国土交通省京浜河川事務所の浸水想定区域図で確認できます(出典:国土交通省 京浜河川事務所「多摩川・浅川・大栗川の洪水浸水想定区域図」)。ここで正直に申し上げますが、ハザードマップの想定区域はあくまで「河川が氾濫した場合」の想定です。2026年9月の大雨情報では、浸水被害の約56%がこの想定区域の外、つまり下水道処理能力を超えて水があふれる内水氾濫で発生しているとされています。多摩川から離れているマンションでも、低い場所にある地下駐車場や半地下の電気室は油断できません。
土砂災害
府中市内の一部の急傾斜地は、2019年9月に東京都の土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域・特別警戒区域として指定されています(出典:府中市「土砂災害(特別)警戒区域の指定について」)。府中崖線沿いの斜面地に立つマンションや擁壁付きの敷地では、この指定の有無を必ず確認するようお伝えしています。
地震・液状化
立川断層帯が府中市域を通過しており、マグニチュード7.4程度の地震が発生した場合、府中市では最大震度6強が想定されています(30年以内の発生確率0.5〜2%)(出典:府中市「立川断層帯について」)。東京都は約5年ごとに「地震に関する地域危険度測定調査」を実施し、建物倒壊危険度・火災危険度・総合危険度を5段階で公表しています。府中市内の町丁目別の詳細な順位は東京都都市整備局の資料で確認できます(出典:府中市「地震に関する地域危険度測定調査」)。
地域特性と漏水事故の関係
私はこれを、必ず理事会でお伝えするようにしています。府中市は地形によって建物の弱点の出方が変わります。
多摩川沿いの低地(是政・多摩川・分梅周辺):地下ピットや半地下電気室への浸水リスクが相対的に高く、止水板や防水扉の有無が被害の分かれ目になります。また地盤の締まり方によっては地震時の揺れが増幅されやすく、外壁のクラックや屋上防水の亀裂が進みやすい傾向があります。
府中崖線沿いの斜面地:擁壁の劣化やのり面の排水不良が、集中豪雨時の土砂災害リスクに直結します。斜面地に接するマンションでは、擁壁点検を大規模修繕のスコープに含めるかどうかで、その後の資産価値の維持コストが大きく変わります。
台地部(府中本町・府中駅周辺の高台エリア):水害リスクは相対的に低い一方、立川断層帯の想定震度6強は市内全域で共通です。台地部だからといって耐震・防災対策を後回しにしてよい理由にはなりません。
大規模修繕で必ずチェックすべき漏水ポイント7つ
現場で20年やってきて、私が一番悔しい思いをするのは、雨漏りの原因が「防水シートの経年劣化」ではなく「シーリングの打ち忘れ」や「ドレンの詰まり」といった、点検さえしていれば防げた単純な理由だったときです。府中市のマンションで大規模修繕をご提案する際、私は必ず次の7箇所をチェックしています。
- 屋上防水:紫外線劣化とドレン周りの膨れを最優先で確認
- 外壁シーリング:打ち継ぎ部・サッシまわりのひび割れは漏水の入口になりやすい
- バルコニー排水:排水勾配不良は台風前に必ず点検
- ドレン(排水口):落ち葉や砂の堆積が内水氾濫時のオーバーフローを招く
- 立上り部:屋上パラペットや設備基礎の立上り高さ不足は豪雨時の浸水経路になる
- サッシまわり:経年でのゴムパッキン硬化が横殴りの雨で漏水を招く
- エキスパンションジョイント:棟の継ぎ目は地震・経年変位の両方でシーリング破断が起きやすい
漏水緊急対応でロープアクセスが強い理由
台風接近時や大雨後に「屋上から水が入っているようだ」というご連絡をいただくことがあります。足場を組む工事では、着工までに設計・申請・資材搬入で数週間かかることも珍しくありません。私はこれを、必ずワンセットで提案するようにしています。ロープアクセス工法(無足場工法)であれば、資機材はロープとハーネス、専用の装備一式のみで、早ければ即日、遅くとも数日で緊急調査・応急処置に入れます。
ロープアクセスドットコムでも解説していますが、無足場工法は高所の限られた範囲にピンポイントでアプローチできるため、漏水箇所の特定と応急シーリング、防水シートの部分補修まで、居住者の生活動線を塞がずに完結できるのが強みです。府中市のように多摩川沿いと崖線沿いが混在する自治体では、同じ大雨でも建物ごとに緊急対応の優先順位が変わるため、私はいつも理事長さまに「まず現地調査だけでもロープアクセスで」とお伝えしています。
株式会社明誠は通常足場工法・ロープアクセス工法・両者を組み合わせたハイブリッド工法の3つを提案できる、日本でも数少ない会社です。ロープアクセスドットコムが運営する日本初のロープアクセス・フランチャイズ網により、塗装・防水・タイル・電気など各分野の専門職が直接施工するため、緊急対応でも高品質・低価格を両立できます。ロープアクセス工法のご紹介もあわせてご覧ください。
防災上の共用部の位置と修繕優先度
大規模修繕の計画では、居室だけでなく防災上重要な共用部の位置を必ず図面で確認するようお伝えしています。
- 避難通路・避難階段:土砂災害警戒区域に近い斜面側の避難経路は、豪雨時に使えなくなる可能性を前提に代替動線を確認
- エレベーター機械室:地下や1階に設置されている場合、内水氾濫時の浸水対策(止水板・電気設備のかさ上げ)の優先度が高い
- 受電設備・自家発電設備:多摩川沿いの低地に立つ建物では、キュービクルの設置高さが停電の長さを左右する
- 給水ポンプ室:断水時の生活影響が最も大きい設備。半地下設置の場合は防水扉の有無を要確認
これらは大規模修繕の見積りに含まれないことも多い項目ですが、正直に申し上げます。修繕積立金の使い道を「見た目の美観」だけに絞ると、災害時に一番困るのはこうした裏方の設備です。理事会での優先順位付けの際、私は必ずこの4項目を議題に上げるようお願いしています。
府中市の防災補助・耐震助成
府中市が用意している分譲マンション向けの支援制度のうち、2026年9月時点で確認できる主なものを紹介します。いずれも一次情報を必ず市の窓口でご確認ください。
マンションアドバイザー制度利用助成事業(最終更新2026年4月1日=令和8年度)
管理組合が東京都防災・建築まちづくりセンターのアドバイザー派遣制度を利用した際の派遣料を助成する制度です。管理アドバイザー制度はAコース(講座編)・Bコース(相談編)が派遣料全額、Cコース(支援編、築20年以上対象)が派遣料の2分の1。建替え・改修アドバイザー制度のAコース(入門編)は派遣料全額です(出典:府中市「マンションアドバイザー制度利用助成事業」)。助成事業には予算の上限があり、年度途中で受付を終了する場合があるとの注記があるため、早めの相談をお勧めしています。
長寿命化に資する大規模修繕工事に係る固定資産税の減額(最終更新2025年4月3日)
新築から20年以上経過し総戸数10戸以上のマンションで、外壁・床防水・屋根防水の3工事をすべて実施し、管理計画認定または適正化法に基づく助言指導を受けている場合が対象です。1戸あたり100平方メートルまでの床面積相当分について固定資産税を3分の1減額(工事完了年の翌年度分)。対象工事の完了期限は令和9年3月31日と定められています(出典:府中市「長寿命化に資する大規模修繕工事が行われたマンションに係る固定資産税の減額について」)。期限までの逆算が必要な制度ですので、大規模修繕の着工時期を検討中の理事会は特にご注意ください。
特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震助成制度(最終更新2023年4月1日)
特定緊急輸送道路に接し、昭和56年5月31日以前に建築され、建物高さが道路幅員のおおむね2分の1を超える建物が対象です。補強設計・建替設計は費用全額、耐震改修・建替え・除却は原則費用の10分の9を助成(いずれも限度額あり)。対象路線の詳細は住宅課住宅安全係(電話042-335-4173)へのご確認をお勧めします(出典:府中市「特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震助成制度」)。
まとめ|今週動くこと3点
府中市のマンションで防災・漏水対策を進めるなら、私は理事会にこの3つをお願いしています。
- 府中市「水害ハザードマップ」で自分のマンションの浸水想定を確認する(想定区域外でも内水氾濫のリスクは残る前提で)
- 屋上防水・シーリング・ドレンの7箇所チェックを、次回の理事会議題に入れる
- 固定資産税減額(令和9年3月31日完了期限)とマンションアドバイザー助成の対象要件を、管理会社または当社に確認する
次回も、現場で本当に使える話だけをお届けします。府中市の水害・地震リスクの整理だけでも、お気軽にお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。お問合せフォームからご連絡いただくか、マンション管理組合さま向けのご案内もご参照ください。
本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月25日時点で公表されている府中市および国土交通省・東京都の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請される前に、必ず府中市および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。
出典・参考資料
- 東京都府中市「ハザードマップ」
- 東京都府中市「多摩川の想定最大規模降雨による洪水浸水想定区域について」(最終更新2021年4月9日)
- 国土交通省 京浜河川事務所「多摩川・浅川・大栗川の洪水浸水想定区域図(想定最大規模)」
- 東京都府中市「立川断層帯について」(最終更新2013年4月1日)
- 東京都府中市「地震に関する地域危険度測定調査」
- 東京都府中市「土砂災害(特別)警戒区域の指定について」
- 東京都府中市「マンションアドバイザー制度利用助成事業」(最終更新2026年4月1日)
- 東京都府中市「長寿命化に資する大規模修繕工事が行われたマンションに係る固定資産税の減額について」(最終更新2025年4月3日)
- 東京都府中市「特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震助成制度」(最終更新2023年4月1日)
- 号外NET東京都府中市「7日ごろまで大雨が続く可能性。あなたの家の浸水リスク、知っていますか?」(2026年9月3日)
調布市のマンション漏水・防災対策|多摩川・野川の浸水想定と深大寺エリアの土砂災害リスク、大規模修繕の優先順位【2026年度版】
2026年9月25日 更新
仙川沿いの分譲マンションで大規模修繕のご相談をいただいたとき、理事長さまから「うちは多摩川から離れているから水害は関係ないですよね」と聞かれたことがあります。私はその場で「地区によります」とお答えしました。調布市は多摩川沿いの低地と、深大寺・佐須町のような谷戸地形、国領・布田のような台地部が混在する自治体で、同じ市内でもマンションが建つ場所によってリスクの出方がまったく違うからです。
私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。東京都東大和市を拠点に、20年近くマンション・ビル・ホテルの大規模修繕に携わってきました。仮設足場を組む工事も、ロープ1本でぶら下がる無足場の工事も、どちらも現場でやってきた人間として、今日は調布市のハザードマップの数字と、大規模修繕で先に手を打つべき場所を整理します。
結論:調布市の分譲・賃貸マンションで優先すべきは「地区特性に応じた水害・土砂災害対策」と「屋上防水・排水経路の健全性」です
先に結論を申し上げます。調布市の大規模修繕で私が最初に確認するのは、次の2点です。
1つ目は建物が多摩川沿いの浸水想定区域にあるか、深大寺・佐須町周辺の土砂災害警戒区域にあるかの立地確認です。調布市洪水・内水ハザードマップ(令和5年3月改訂)は、国土交通省が公表する多摩川・浅川・大栗川と、東京都が公表する野川・仙川・入間川・谷沢川・丸子川を対象としており(出典:調布市「調布市洪水・内水ハザードマップ」、最終更新2026年9月15日)、河川からの距離だけでなく内水氾濫(下水道の排水能力を超えた雨水があふれること)のリスクも地図に加わっています。
2つ目は屋上防水とバルコニー排水経路の健全性。調布市は台地・沖積低地・谷底低地が入り混じる地盤構成のため(出典:東京都都市整備局「地震に関する地域危険度一覧表(調布市)」)、地区によって降雨時の排水の効きやすさが変わります。この2点を大規模修繕の計画段階で見直すことが、調布市のマンションにとって最優先の対策になると私は考えています。
調布市のハザードマップを1枚で読む
市と国・都が公表している資料を、マンション修繕の視点で1枚に整理しました。
| 災害種別 | 調布市の該当 | 想定・該当範囲 |
|---|---|---|
| 洪水(多摩川・浅川・大栗川、想定最大規模降雨) | あり | 多摩川沿いの低地に浸水想定区域。国交省公表(出典:国土交通省関東地方整備局 京浜河川事務所「多摩川・浅川・大栗川の洪水浸水想定区域図(想定最大規模)」) |
| 洪水(野川・仙川・入間川・谷沢川・丸子川) | あり | 東京都公表の中小河川。市中央部・南部の低地に浸水想定区域 |
| 内水氾濫(下水道等の排水能力超過) | あり | 令和5年3月改訂でハザードマップに追加。短時間豪雨で市内各所に発生し得る |
| 土砂災害警戒区域 | あり | 飛田給・下石原、野水、深大寺・佐須町・柴崎、若葉町・東つつじケ丘・入間町の一部の5地区が対象(出典:調布市「調布市土砂災害ハザードマップ」) |
| 液状化 | 可能性あり | 国土地理院「重ねるハザードマップ」の液状化予測情報で地区ごとの相対評価を確認できる(出典:国土地理院「重ねるハザードマップ」) |
| 津波・高潮 | 指定なし | 内陸部のため区独自の想定なし |
過去の実例では、令和元年東日本台風(台風19号)で市内の多くの家屋が床上・床下浸水の被害に見舞われたと市が公式に記録しています(出典:調布市「令和元年東日本台風(台風第19号)調布市の記録」)。多摩川本流だけでなく、野川・仙川といった中小河川沿いの内水氾濫も被害の一因になったとみられています。
正直に申し上げます。この一覧を最初に整理したとき、私自身「同じ調布市でもこれほど地区差があるのか」と感じました。ただしハザードマップは「怖がるための資料」ではなく、「自分のマンションがどの地区に建っていて、何を優先すべきかを決めるための資料」だと私は理事会でお伝えしています。
地域特性と漏水事故の関係
調布市は一つの顔ではなく、エリアごとにリスクの出方が違います。
多摩川沿いの低地(多摩川・染地・国領の一部など):洪水浸水想定区域に含まれる地区があり、地下・半地下の駐車場や電気室が浸水すると、建物全体が長期間使用不能になりかねません。台風シーズンの雨量が多い年は、屋上防水と外構排水の点検を前倒しする価値があります。
深大寺・佐須町・若葉町周辺の谷戸地形:土砂災害警戒区域の指定を受けている地区で、崖線や擁壁の近くに建つマンションでは、大雨後の擁壁ひび割れ・排水不良が漏水事故の引き金になります。地域危険度調査では国領町5丁目や若葉町1丁目など一部の町丁目がランク3(相対的に高い区分)に分類されており(出典:東京都都市整備局「地震に関する地域危険度一覧表(調布市)」)、地盤特性を踏まえた点検が有効です。
国領・布田・仙川沿いの中高層マンション:台地上に位置し地盤は比較的安定していますが、仙川・野川沿いの低地に近い棟では内水氾濫の想定区域に入ることがあり、バルコニー排水とドレンの詰まりが被害を広げやすい点は他エリアと共通しています。
いずれのエリアでも共通するのは、「日常の漏水対策」と「非常時の浸水・土砂災害対策」がつながっているという点です。日頃の屋上防水・排水ドレンの点検を怠っている建物は、台風時の内水氾濫でも被害が大きくなります。
大規模修繕で必ず確認したい漏水ポイント7つ
私が漏水対応の現地調査で毎回見る7カ所です。調布市のように地区ごとの地盤・地形差が大きいエリアでは、特に排水系統と外周部の劣化状況を丁寧に見る必要があります。
- 屋上防水層:経年劣化・膨れ・亀裂の有無。トップコートの摩耗だけでも雨水侵入のリスクが上がります。
- シーリング(目地):外壁パネル間・サッシまわりのシーリング材の硬化・ひび割れ。
- バルコニー排水(ドレン):落ち葉やゴミによる詰まりは、ゲリラ豪雨時に排水能力を一気に落とします。
- 屋上ドレン・オーバーフロー管:屋上に水がたまる「ドレン詰まり」は漏水事故の最多原因の一つです。
- パラペット・笠木の立上り部:雨水の吹き込みが起きやすく、防水層の切れ目になりやすい箇所です。
- サッシまわりのシール:強風を伴う台風時、サッシ枠からの雨水侵入が急増します。
- エキスパンションジョイント:建物の伸縮を吸収する部材の劣化は、地震後の漏水事故の引き金にもなります。
これらは足場を組んでも、ロープアクセスでも点検・補修できます。ただし深大寺・佐須町のように土砂災害警戒区域と隣接するエリアでは、大雨直後に擁壁や崖線に近い外壁・防水層を即座に点検できるかどうかが被害の拡大を左右します。技術的な詳細は姉妹サイトのロープアクセスドットコムでも解説しています。
漏水緊急対応でロープアクセスが強い理由
台風接近が予報された段階で「屋上の防水が心配」というご相談をいただくことがあります。仮設足場は組み立てだけで数日、規模によっては1〜2週間かかります。一方、ロープアクセス工法であれば、資材と作業員の手配ができ次第、当日〜翌日には屋上やバルコニーの応急補修に着手できます。
目安として、10階建て・外周80m・工期3ヶ月の大規模修繕を想定した場合、足場費用は約168万円、ロープアクセスなら約59万円というケースがあります(物件の規模・形状により変動するため、あくまで目安の一例です)。屋上防水の本体工事は工法・面積によって5,000〜8,000円/㎡が目安ですが、緊急の部分補修であれば足場とロープアクセスの費用差はさらに大きくなります。
株式会社明誠は日本で数少ない、足場・ロープアクセス・ハイブリッド工法の3つから建物に最適な工法を提案できる会社です。これまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけており、ロープアクセスの高所作業について、明誠と全国のフランチャイズ加盟企業では過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。工法選びの実例は明誠の施工事例からもご確認いただけます。詳しい技術情報はロープアクセスドットコムにまとまっています。
防災上の共用部(避難通路/エレベーター/受電設備/給水ポンプ/自家発電)の位置と修繕優先度
調布市のように地区によって水害・土砂災害の想定が異なるエリアでは、共用部の設備配置そのものが防災計画の一部になります。私が理事会にお伝えしている優先順位は次のとおりです。
| 優先度 | 設備 | チェックポイント |
|---|---|---|
| 高 | 受変電設備・自家発電設備 | 多摩川・野川・仙川沿いの浸水想定区域内の場合、地下・1階設置なら移設・かさ上げを検討 |
| 高 | 給水ポンプ室 | 停電・浸水時の給水停止リスク。予備電源との連携を確認 |
| 中〜高 | 外構・擁壁(深大寺・佐須町エリアなど) | 土砂災害警戒区域に近い場合、擁壁のひび割れ・排水不良を定期点検 |
| 中 | エレベーター機械室 | 冠水時の停止に備え、階段避難の動線と表示を確保 |
| 中 | 避難通路・共用廊下 | 浸水時に上層階へ垂直避難できる動線の明確化 |
| 中〜高 | 防水層・外壁(本記事の主題) | 日常の漏水対策が非常時の被害拡大を防ぐ土台 |
令和元年東日本台風では都内の多摩川流域で地下設備の浸水による停電・断水が各地で報告されており、調布市も市の公式記録で家屋の床上・床下浸水を確認しています(出典:調布市「令和元年東日本台風(台風第19号)調布市の記録」)。大規模修繕のタイミングは、防水・外壁の更新と同時に、こうした設備の位置を見直す数少ない機会でもあります。
調布市の防災補助・耐震助成
調布市は分譲マンションを対象にした耐震化促進事業を実施しています(出典:調布市「分譲マンション耐震化促進事業」、最終更新2026年4月16日)。
| 助成内容 | 助成率・上限額 | 対象要件 |
|---|---|---|
| 耐震診断 | 実支出額(上限100万円) | 昭和56年5月31日以前に建築確認、階数3以上(地階を除く)、RC・S・SRC造 |
| 補強設計 | 実支出額(上限200万円) | 同上 |
| 耐震改修・建替え・除却(延べ面積1,000㎡以上) | 1/3(上限2,000万円) | 同上 |
| 耐震改修・建替え・除却(延べ面積1,000㎡未満) | 23%(上限2,000万円) | 同上 |
| 工事監理 | 実支出額(上限200万円) | 同上 |
制度の詳細な適用可否や令和8年度の予算枠については、調布市の担当窓口(都市整備部建築指導課)への確認をおすすめします。予算枠に達し次第、申請受付が終了する制度のため、検討される場合は早めのご相談が有効です。
まとめ|今週動くこと3点
調布市のマンション管理組合・オーナーさまに、今週すぐできることを3つお伝えします。
- 市の洪水・内水ハザードマップと土砂災害ハザードマップで、自分の建物がどの地区・どの想定区域に該当するかを確認する
- 屋上防水・ドレン・バルコニー排水の点検記録を、直近3年分だけでも見直す
- 深大寺・佐須町など土砂災害警戒区域に近い立地の場合、擁壁・外構の排水状況を大規模修繕の議題に加える
理事会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。ご相談だけでも遠慮なくお問合せフォームからお声がけください。分譲マンションの管理組合さまは管理組合向けサービス、賃貸マンション・ビルのオーナーさまはビルオーナー向けサービスのページもご参照ください。
よくあるご質問
Q. 調布市は本当に水害のリスクがあるのですか?
A. 多摩川・浅川・大栗川と、野川・仙川などの中小河川で洪水浸水想定区域が公表されており、令和元年東日本台風では市内で床上・床下浸水の被害が実際に発生しています。ただし地区差が大きいため、まずは自分の建物の立地確認が優先です。
Q. うちのマンションは台地の上にあるので、水害対策は不要ですか?
A. 台地部でも仙川・野川沿いに近い棟は内水氾濫の想定区域に入ることがあります。地区の想定区域図を確認したうえで、バルコニー排水・ドレンの点検は立地によらず有効です。
Q. 深大寺・佐須町周辺は具体的にどんなリスクがありますか?
A. 土砂災害警戒区域に指定されている地区があり、崖線や擁壁の近くに建つマンションでは大雨後の擁壁ひび割れ・排水不良に注意が必要です。市の土砂災害ハザードマップで詳細な範囲を確認できます。
Q. 屋上防水の工事はどのくらいの費用がかかりますか?
A. 防水工事は工法・面積により5,000〜8,000円/㎡が目安です。物件の規模や劣化状況により変動するため、無料で概算お見積りを提示できます。
Q. 台風が来る前に、緊急で屋上だけ直すことはできますか?
A. ロープアクセス工法であれば、足場を組まずに当日〜翌日に着手できるケースがあります。応急補修のご相談はお早めにお願いします。
Q. 分譲マンションでも耐震助成は使えますか?
A. 調布市の場合、昭和56年5月31日以前に建築確認を取得し、階数3以上・RC造等の要件を満たせば分譲マンション耐震化促進事業の対象になり得ます。詳細は市の建築指導課でご確認ください。
Q. 液状化のリスクはどう考えればよいですか?
A. 国土地理院の重ねるハザードマップで地区ごとの液状化予測情報を確認できます。地盤調査の履歴がない古い建物は、大規模修繕の機会に基礎まわりの点検も合わせて検討することをおすすめします。
出典・参考資料
- 調布市「調布市洪水・内水ハザードマップ」
- 調布市「調布市土砂災害ハザードマップ」
- 調布市「分譲マンション耐震化促進事業」
- 調布市「令和元年東日本台風(台風第19号)調布市の記録」
- 国土交通省関東地方整備局 京浜河川事務所「多摩川・浅川・大栗川の洪水浸水想定区域図(想定最大規模)」
- 東京都都市整備局「地震に関する地域危険度一覧表(調布市)」
- 国土地理院「重ねるハザードマップ」
本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月25日時点で公表されている調布市および国土交通省・東京都の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に耐震化助成を申請される前に、必ず調布市の建築指導課へ最新の内容をご確認ください。
この記事の執筆者
本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。
最終更新:2026年9月25日
マンション管理組合「登録制度」を大分市が新設|10月1日スタート、723.6万戸時代の『管理の見える化』で関東の理事会が今すべきこと【2026年9月】
この記事で分かること
「うちのマンションも、いずれ自治体への登録や届出が必要になるのか」——この記事はその疑問に、大分市が2026年10月1日に始める「マンション管理組合登録制度」と、国土交通省が全国で進めている「マンション管理計画認定制度」の最新データをもとにお答えします。
大分市は2026年10月1日から、市内すべての分譲マンションを対象に、管理組合の代表者・管理者・管理業者などが市へ管理状況を届け出る「マンション管理組合登録制度」を始めます(出典:大分市「マンション管理組合登録制度について」)。一見すると地方都市の個別施策に見えますが、私はこれを「管理の見える化」という全国的な流れの一つの現れだと受け止めています。国土交通省の最新統計では、全国の分譲マンションストックは2025年末時点で約723.6万戸、うち築40年超は158.8万戸に達しています(出典:国土交通省「分譲マンションストック数の推移」、国土交通省「築40年以上の分譲マンション数の推移」)。
大分市の制度は、管理組合の代表者・管理者のほか、管理業者や、管理組合がない場合は区分所有者本人でも届出ができる設計になっており、オンライン届出、郵送、ファクス、メール、市役所窓口への持参と、複数の届出方法が用意されています(出典:大分市)。届出のハードルをできるだけ下げ、まずは実態を把握したいという行政側の姿勢がうかがえます。
私は株式会社明誠の本間と申します。東京都東大和市を拠点に、マンション・ビルの大規模修繕とロープアクセス工法による外壁調査を20年近くやってきました。今日は大分市の新制度をきっかけに、関東の管理組合理事長さま・オーナーさまが「見える管理」の波にどう備えればよいかを、現場目線でお伝えします。
結論:大分市の新制度は「入口」、本丸は全国の管理計画認定制度
先に結論からお伝えします。大分市の登録制度そのものは、罰則のない届出ベースの制度で、市が「市内の分譲マンションの管理状況を把握するとともに、管理組合によるマンションの適正管理を推進する」ことを目的としています(出典:大分市)。届け出れば、マンション管理士による無料相談など市の支援を受けやすくなる、という比較的緩やかな仕組みです。
しかし私が注目してほしいのは、これが単発のローカルニュースではないという点です。国は2022年度(令和4年度)から、より踏み込んだ「マンション管理計画認定制度」を全国で走らせています。この制度では、管理組合の運営状況や長期修繕計画の内容を自治体が審査し、基準を満たせば「認定」を与える仕組みです(出典:国土交通省「マンション管理計画認定制度」)。大分市の登録制度は、いわば認定制度の手前にある「まず管理組合の存在と状況を把握する」段階の施策と位置づけられます。
| 制度 | 主体 | 性質 | 主なメリット |
|---|---|---|---|
| 大分市 管理組合登録制度 | 大分市 | 届出(努力義務・罰則なし) | 情報提供、管理士無料相談 |
| マンション管理計画認定制度 | 市区町村・都道府県(推進計画策定済み) | 審査・認定 | 住宅金融支援機構の金利優遇、固定資産税減額、市場での適切な評価 |
「登録」と「認定」は似た言葉ですが、中身の重さがまったく違います。関東で暮らす管理組合の理事長さまにとって重要なのは、大分市の制度そのものより、この「管理の見える化」という流れが、すでに首都圏では認定制度という形でかなり具体的に進んでいるという事実です。
なぜ今、全国の自治体が「管理の見える化」を急ぐのか
背景にあるのは、マンションの高齢化という構造的な問題です。国土交通省の最新統計によれば、2025年末時点で全国の分譲マンションストックは約723.6万戸、そのうち築40年以上のマンションは158.8万戸にのぼります(出典:国土交通省)。さらに深刻なのは今後の見通しで、同じ統計では10年後の2035年末には築40年超が約313.1万戸、20年後の2045年末には約503.6万戸まで増える見込みが示されています。
築40年超マンションの将来推計
| 時点 | 築40年以上のマンション戸数 |
|---|---|
| 2025年末(現在) | 約158.8万戸 |
| 2035年末(10年後) | 約313.1万戸 |
| 2045年末(20年後) | 約503.6万戸 |
この数字が示しているのは、10年後には今の約2倍、20年後には約3.2倍の築古マンションが街にあふれるということです。マンションという住まいの形が日本に本格的に広がり始めたのは高度経済成長期からで、当時一斉に建てられた物件が、今まさに一斉に「築40年超」の節目を迎えつつあります。建物は一つひとつ状態が違うのに、制度への対応や修繕の準備は同じタイミングで管理組合に降りかかってくる、というのが私の見ている構図です。管理組合の運営がしっかりしているマンションと、そうでないマンションとでは、この先の資産価値の差が今よりもはっきりと分かれてくると私は見ています。自治体側からすれば、老朽化したマンションが管理不全に陥り、周辺の住環境や治安、資産価値に悪影響を及ぼす前に、行政として実態を把握し、支援の手を差し伸べたい。大分市の登録制度も、全国で進む管理計画認定制度も、根っこにある動機は同じだと私は考えています。
管理組合の理事長さまの立場からすると、「面倒な行政手続きが増えるだけ」と感じるかもしれません。ただ、私が現場で見てきた実感としては、こうした制度は「もともと管理がしっかりしている組合」にとってはほぼ手間が増えず、逆に「これまで管理の実態を見える化してこなかった組合」にとってこそ、自分たちの立ち位置を確認する良い機会になります。届出や認定の準備そのものが、長期修繕計画や修繕積立金の見直しのきっかけになるケースを、私は何度も見てきました。
なお、築40年超マンションのうち約103万戸は、1981年6月1日より前の旧耐震基準で建てられたものだと推計されています(出典:国土交通省を基に、新耐震基準(1981年6月〜)以降の建物との比較から算出)。旧耐震基準の建物は、新耐震基準の建物に比べて耐震性能の面でも管理の丁寧さが問われやすく、長期修繕計画の中に耐震診断や耐震改修をどう位置づけるかも、認定を見据えるうえで避けて通れない論点になってきます。
私が実際に相談を受けた管理組合の中には、築38年、総戸数62戸のマンションで、長期修繕計画が15年分しか作られておらず、修繕積立金の残高も次回の大規模修繕費用の6割程度しか賄えないという状態のところがありました。理事長さまは「うちは古いから仕方ない」とおっしゃっていましたが、劣化診断をきちんと行い、30年分の長期修繕計画に作り直したところ、金融機関からの修繕積立金不足への融資や、段階的な積立金の見直しについて具体的な相談ができるようになりました。「管理の見える化」は、行政に見せるためだけのものではなく、まず管理組合自身が自分たちの状態を正確に把握するための作業でもあると、私はこのとき強く感じました。
首都圏マンションの現在地:認定制度はすでに「全区」で動いている
関東の読者の皆さまに、まず知っておいていただきたい事実があります。マンション管理計画認定制度を運用するには、自治体が「マンション管理適正化推進計画」を策定する必要がありますが、国土交通省の資料によると、2025年5月末時点で特別区23区はすべて推進計画の策定を完了しています。政令指定都市20団体、県庁所在地の市区47団体、中核市62団体も、いずれも策定を終えています(出典:国土交通省「マンション管理計画認定制度の状況」)。同じ資料では、2025年度末(令和7年度末)時点で全国の約98.7%のマンションが、この認定制度の対象エリアに入る見込みだとも示されています。
マンション管理計画認定制度の準備状況(2025年5月末時点)
| 自治体区分 | 推進計画の策定状況 |
|---|---|
| 特別区(東京23区) | すべて策定済み |
| 政令指定都市 | 20団体すべて策定済み |
| 県庁所在地の市区 | 47団体すべて策定済み |
| 中核市 | 62団体すべて策定済み |
| その他の市 | 346団体中49.0%が策定済み |
制度が始まった2022年度(令和4年度)当初、認定件数はごくわずかでしたが、同資料によれば2025年10月末時点の累計認定件数は3,060件まで積み上がっています。地方都市がこれから登録制度で「実態把握」の一歩を踏み出そうとしている段階で、東京や神奈川、埼玉、千葉といった首都圏はすでに「認定」という、より踏み込んだ段階に多くのマンションが進んでいるわけです。私の肌感覚では、この差はこれからさらに広がっていきます。認定を取得したマンションと、そうでないマンションとで、売却時の印象や住宅ローン・修繕融資の条件に少しずつ差がつき始めているというのが、現場で管理組合の相談を受けてきた私の実感です。
管理組合理事長が今すぐ準備しておきたい3つのこと
認定を取るかどうかは各管理組合の判断ですが、いずれ制度の存在を知らなかったでは済まされない時代になりつつあります。私から、今の段階でできる準備を3つお伝えします。
1. 長期修繕計画を「30年以上・大規模修繕2回以上」の基準で見直す
マンション管理計画認定制度の認定基準の一つに、「計画期間が30年以上で、残存期間内に大規模修繕工事が2回以上含まれていること」があります(出典:国土交通省)。古い長期修繕計画をそのままにしている管理組合は、この機会に見直しをおすすめします。
2. 管理規約・議事録・名簿の整備状況を棚卸しする
認定基準には、管理規約の整備、年1回以上の総会開催、組合員名簿・居住者名簿の適切な備え付けなども含まれます。特別なことをする必要はなく、「当たり前の管理」ができているかを確認する作業です。
3. 修繕積立金の区分経理と積立水準を確認する
管理費と修繕積立金の区分経理も認定基準の一つです。あわせて、積立金の水準が将来の大規模修繕費用に見合っているかどうかも、この機会に理事会で確認しておくことを私はおすすめしています。
これらはどれも、認定を取るかどうかにかかわらず、管理組合として本来備えておくべき基本です。私はいつも理事長さまに、「認定はゴールではなく、健全な管理をしている証明のようなもの」とお伝えしています。逆に言えば、今この3つを確認して不安が残るようであれば、それは制度対応の前に、そもそも管理組合の運営そのものを見直すサインだと私は受け止めています。
理事会だけでこの3点をすべて棚卸しするのは、正直に申し上げると簡単ではありません。多くの管理組合では、管理会社が長期修繕計画の原案作成や名簿管理を担っていますので、まずは管理会社のフロント担当者に「うちの長期修繕計画は認定基準を満たしているか」を一度聞いてみるところから始めるのが、現実的な一歩だと思います。管理会社が把握していない、あるいは古い計画のまま更新されていないようであれば、それ自体が長期修繕計画そのものを見直すきっかけになります。私の経験では、こうした確認作業を理事会の議題として一度取り上げるだけでも、理事の皆さまの間で「うちのマンションは大丈夫なのか」という当事者意識が生まれやすくなります。
収益不動産オーナーにとっての意味
区分所有の賃貸住戸を保有するオーナーさまにとっても、この流れは無関係ではありません。認定を取得したマンションは、不動産サイトでの表示や住宅金融支援機構による金利優遇、固定資産税の減額(長寿命化促進税制)といった形で、市場からの評価が変わり得ることが国交省の資料に示されています(出典:国土交通省)。
ただし、認定を取るかどうかを決めるのは管理組合の総会であり、区分所有者一人の意向だけでは動きません。私がオーナーさまにお伝えしているのは、「自分の物件の管理組合が認定制度についてどう考えているかを、まず理事会や管理会社に確認してみてください」ということです。管理組合が制度の存在すら知らない場合は、情報提供そのものが、オーナーさまから理事会への価値ある一歩になります。将来の売却や賃貸募集の場面で、「認定マンションかどうか」が入居希望者や買主の判断材料の一つになる可能性は、今後さらに高まっていくと私は見ています。
数字で少し体感していただくと、固定資産税の減額(長寿命化促進税制)は、認定を受けた管理組合が長寿命化に資する大規模修繕を実施した場合に、建物部分の固定資産税を一定期間・一定割合減額する仕組みです(出典:国土交通省)。減額される割合や期間は年度・要件によって変わりますが、区分所有する1戸あたりで見れば、年間数千円〜数万円単位の差になり得るというのが私の理解です。1戸あたりでは小さく見えても、保有戸数が多いオーナーさまであれば、その分だけ差が積み重なります。実際の減額率・期間・適用要件は年度や自治体によって変わりますので、詳細はお持ちの物件の所在自治体の税務担当課、または管理組合を通じてご確認ください。
ロープアクセス工法が「見える管理」にどう貢献できるか
管理計画認定の基準には直接含まれていませんが、私が現場で強調したいのは、長期修繕計画の実効性を支えるのは、正確な劣化診断だという点です。長期修繕計画が30年以上あっても、外壁やタイルの劣化状況を正確に把握できていなければ、絵に描いた餅になってしまいます。
私たちが専門とするロープアクセス工法(フルハーネスとロープを使い、全面足場を組まずに外壁に近接して調査・補修を行う工法)は、この「実態把握」の部分で力を発揮します。全面足場を組む前の段階で、建物全体のタイル浮きやひび割れ、シーリングの劣化状況をピンポイントで確認できるため、次回大規模修繕の計画づくりに必要な情報を、比較的低コスト・短期間で集めることができます。ロープアクセス工法の技術的な背景や国際的な安全基準については、姉妹サイトのロープアクセスドットコムに詳しくまとめていますので、あわせてご覧いただければと思います。
私はどの管理組合にもロープアクセス工法を優先すべきだとは考えていません。建物の形状や劣化の広がり方によっては、全面足場の方が合理的な場合もあります。大切なのは、足場・ロープアクセス・ハイブリッドのどれか一つに偏らず、建物の状態と管理組合の予算に応じて選べる体制を持っているかどうかです。管理計画認定を見据えて長期修繕計画を見直す際は、この工法選びの柔軟性も、ぜひ検討材料に加えていただきたいと思います。ロープアクセス工法の詳しいご紹介はこちらのページ、大規模修繕工事全般については大規模修繕工事のご紹介をご覧ください。
費用感と進め方の流れ
管理計画認定を見据えた準備には、大きく分けて次のようなステップと費用感があります。あくまで一般的な目安としてご参照ください。
| ステップ | 内容 | 費用感の目安 |
|---|---|---|
| 1. 現況診断 | 外壁・防水・設備の劣化状況を調査 | 建物規模により数十万円〜 |
| 2. 長期修繕計画の見直し | 30年以上・大規模修繕2回以上の計画に改定 | 診断結果を踏まえてコンサルタントに依頼するケースが一般的 |
| 3. 管理規約・名簿の整備 | 管理規約、名簿、議事録の確認・整備 | 多くは管理会社との連携で対応可能 |
| 4. 認定申請 | 自治体またはマンション管理センターへ申請 | 自治体により手数料の有無が異なる |
費用や手続きの詳細は自治体ごとに異なりますので、まずはお住まいの市区町村の住宅担当課、または公益財団法人マンション管理センターの認定手続支援サービスに確認することをおすすめします。私たちにできるのは、その前段階である「建物の実態を正確に把握するための調査」の部分です。
ここで少し具体的な数字の感覚をお伝えします。総戸数50戸規模のマンションで、外壁・屋上防水を対象にロープアクセス工法による予備調査を行う場合、全面に足場を組んでからの詳細調査に比べて、仮設費用を抑えたピンポイント診断が可能になるケースが多く、1戸あたりに換算すると数千円〜1万円台の調査費用に収まることも珍しくありません。もちろん建物の階数・形状・劣化の程度によって金額は変わりますので、これはあくまで私が現場で見てきた範囲での目安とご理解ください。長期修繕計画を見直す前段階として、まず正確な現況を数字で押さえておくことが、その後の資金計画や合意形成をスムーズにすると私は考えています。
次回の大規模修繕や劣化診断のご相談は、お問合せフォームから承っております。管理組合さま向けのサービス詳細は管理組合さま向けページもあわせてご覧ください。
まとめ
大分市が2026年10月に始める管理組合登録制度は、地方都市における「管理の見える化」の第一歩です。一方で首都圏では、マンション管理計画認定制度という、より踏み込んだ仕組みがすでに全区・全市レベルで走っており、累計認定件数も着実に積み上がっています。築40年超マンションが今後10年で倍増するという国の推計を踏まえると、この流れは今後さらに強まっていくはずです。
私自身、日々現場で理事長さまとお話ししていて感じるのは、「制度が始まってから慌てて対応する」管理組合と、「制度を先取りして、日頃から長期修繕計画や積立金を見直している」管理組合とで、いざというときの対応力に大きな差が出るということです。今日ご紹介した3つの準備は、認定を取るかどうかにかかわらず、健全な管理組合運営の基本でもあります。まずはご自身のマンションの長期修繕計画と管理規約を、あらためて確認するところから始めてみてはいかがでしょうか。
大分市の登録制度が始まる10月1日は、木曜日です。おそらく多くの理事長さまにとっては、遠く離れた九州の一自治体のニュースとして流れていくだけの一日になるはずです。ただ、私は20年近くこの業界で管理組合の皆さまと接してきて、制度そのものよりも、その制度が生まれた背景——築古マンションの急増という、全国どの地域でも避けられない現実——の方が、はるかに重要だと感じています。今日、この記事をきっかけに、ご自身のマンションの長期修繕計画を一度開いてみていただけたら、私としてはそれだけで書いた意味があったと思っています。これからも、管理組合の理事長さま・オーナーさまの意思決定に直接役立つ制度ニュースを、現場目線でお届けしていきます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 大分市のマンション管理組合登録制度に、罰則はありますか?
A. 大分市の公表資料には罰則や過料の記載はなく、届出を通じて市からの情報提供や無料相談を受けやすくする仕組みとして案内されています(出典:大分市)。
Q2. マンション管理計画認定制度は、東京都のマンションでも使えますか?
A. 使えます。東京都の特別区23区は2025年5月末時点ですべて推進計画の策定を完了しており、区・都を通じて認定制度が運用されています(出典:国土交通省)。窓口や具体的な申請方法はお住まいの区・市にご確認ください。
Q3. 認定を取得すると、修繕積立金の値上げをしなくてよくなりますか?
A. 認定と積立金の水準は別の話です。認定基準は長期修繕計画の期間や大規模修繕の回数など「計画の形式」を主に見るもので、積立金が実際に足りているかどうかは、各管理組合が別途検討する必要があります。
Q4. 築40年を超えたマンションは、すぐに建て替えを検討すべきですか?
A. 必ずしもそうとは限りません。国交省の統計では築40年超は今後大きく増える見込みですが、適切な大規模修繕とロープアクセス工法などを組み合わせた計画的な維持管理によって、建物の寿命を延ばす選択肢もあります。建て替え・大規模修繕・部分改修のどれが適しているかは、劣化診断の結果を踏まえて判断することをおすすめします。
Q5. 賃貸マンションのオーナーは、管理組合の認定取得にどう関わればよいですか?
A. 認定取得の可否を決めるのは管理組合の総会です。オーナーさまとしては、まず管理会社や理事会に制度の存在と現状を確認し、必要であれば情報提供や検討の提案を行うところから関われます。
Q6. ロープアクセス工法による調査は、長期修繕計画の見直しにどう役立ちますか?
A. 全面足場を組む前に、建物全体のタイル浮きやひび割れの状況をピンポイントで把握できるため、次回大規模修繕の優先順位や概算費用を、より実態に即した形で長期修繕計画に反映しやすくなります。
Q7. 大分市以外にも、同じような登録制度を作っている自治体はありますか?
A. 自治体ごとに制度の名称や内容は異なりますが、マンション管理適正化法に基づく管理計画認定制度そのものは、特別区23区を含む多くの自治体ですでに運用されています。お住まいの自治体の制度については、住宅担当課への確認をおすすめします。
Q8. 管理組合として、まず何から手をつければよいですか?
A. 私がいつもお伝えしているのは、「長期修繕計画」「管理規約」「修繕積立金の残高」の3点を、まず現状のまま一度見直してみることです。特別な準備をする前に、今の状態を正確に把握することが、認定を目指すにせよ目指さないにせよ、最初の一歩になります。
この記事のポイントまとめ
- 大分市が2026年10月1日、マンション管理組合の登録制度を新設
- 全国のマンションストックは2025年末で約723.6万戸、築40年超は158.8万戸
- 特別区23区は認定制度の推進計画をすべて策定済み、累計認定は3,060件
- 認定基準は長期修繕計画・管理規約・区分経理など「当たり前の管理」が中心
- ロープアクセス工法による劣化診断が、長期修繕計画の実効性を支える
執筆者:本間 幸紘(株式会社明誠 代表取締役)
専門領域:マンション大規模修繕/ロープアクセス工法/建物長寿命化計画
実務経験:建設・改修業界 20年以上
所属:一般社団法人 全国建設業支援協会(JCSA)
株式会社明誠について:東京都東大和市を拠点に、東京・関東一円でロープアクセス工法と従来足場工法の両方を提案できる改修会社。日本初のロープアクセス工事フランチャイズを展開しています。
最終更新:2026年9月25日
出典・参考資料
- 大分市「マンション管理組合登録制度について」
- 国土交通省「マンション管理計画認定制度」
- 国土交通省「マンション管理計画認定制度の状況」
- 国土交通省「分譲マンションストック数の推移(2025年末現在)」
- 国土交通省「築40年以上の分譲マンション数の推移(2025年末現在)」
- 国土交通省「マンションに関する統計・データ等」
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足立区の管理組合が無料で使える相談・支援10選|出張相談会は年8回、管理アドバイザー派遣は区も都も無料【令和8年度版】
2026年9月24日 更新
先日、足立区のあるマンションの理事長さまから、こんなお電話をいただきました。
「うちのマンション、旧耐震基準で築45年になる。管理会社は付いているが、大規模修繕の見積りを見せられても、それが妥当な金額なのか誰も判断できない。かといって、コンサルタントを雇うお金もない」
竹ノ塚に近いエリアの、5階建て・36戸の分譲マンションでした。私が現地で外壁を見たところ、タイルの浮きと目地のひび割れが目立ちはじめている段階で、まだ全面改修が必須というほどではありません。むしろ急ぐべきは、修繕積立金の見通しを立て直すことと、専門家の目で一度、管理組合の運営そのものを点検してもらうことでした。
このとき私が申し上げたのは、こうです。「その専門家への相談、足立区と東京都が無料で用意している窓口があります」。
足立区は、分譲マンションの管理組合向けに、区独自の出張相談会とアドバイザー派遣制度を持っています。さらに東京都が運営する分譲マンション総合相談窓口とマンションアドバイザー無料派遣も、区内のマンションであればそのまま使えます。今年、足立区に大きな新規助成が新設されたわけではありませんが、お金をかけずに専門家の判断を仰げる窓口は、数えると10あります。
申し遅れました。私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。東京都東大和市を拠点に、20年近くマンション・ビル・ホテルの大規模修繕に携わってきました。足場を組んで建物を囲う工事も、ロープ1本でぶら下がる無足場の工事も、どちらも自分の足で現場を踏んできた人間です。
今日は、足立区の管理組合と収益不動産オーナーさまが令和8年度に使える相談・派遣の窓口を10個、一次情報で整理します。
結論:足立区で使える無料の相談・支援は10ある
先に一覧でお示しします。すべて費用はかかりません(登記・相続の実費や証明書の発行手数料などは除きます)。
| # | 制度・窓口 | 誰が対応するか | 費用 | 申込先 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 足立区 分譲マンション出張相談会 | マンション管理士 | 無料/令和8年度は年8回開催 | 03-3880-5963(建築室住宅課) |
| 2 | 足立区 分譲マンション管理アドバイザー派遣制度 | マンション管理士 | 無料/年度内12時間まで(1名派遣) | 03-3880-5963(同上) |
| 3 | 東京都 マンションアドバイザー無料派遣 | マンション管理士 | 無料/通常1回、管理不全兆候ありなら5回まで | 03-5989-1453(東京都防災・建築まちづくりセンター) |
| 4 | 東京都 分譲マンション総合相談窓口 | マンション管理士 | 無料/対面・電話・Zoom対応 | 03-6427-4900(同センター) |
| 5 | 足立区 不動産相談(予約制) | 宅地建物取引士 | 無料/毎月第1・3水曜13:00〜16:00 | 03-3880-5359(区民の声相談課) |
| 6 | 足立区 相続・登記相談(予約制) | 司法書士・土地家屋調査士 | 無料/毎月第2水曜13:00〜16:00 | 03-3880-5359(同上) |
| 7 | 足立区 すまいの建築相談(予約制) | 建築士 | 無料/毎月第2水曜14:00〜16:00 | 03-3880-5963(建築室住宅課) |
| 8 | 足立区 法律相談(予約制) | 弁護士 | 無料/平日・第2土曜・第4日曜 | 03-3880-5359(区民の声相談課) |
| 9 | 足立区 マンション管理状況届出制度 | — | 届出自体は無料(上記2・3の利用条件) | 03-3880-5963(同上) |
| 10 | 足立区 マンション管理計画認定制度 | — | 区の手数料は当面無料(変更認定含む) | 03-3880-5963(同上) |
1〜4が専門家に直接相談・派遣を頼める窓口、5〜8が区民相談室の予約制相談、9〜10が制度の入口です。順番に見ていきます。
足立区独自の相談・派遣窓口(1〜2)
1. 分譲マンション出張相談会:令和8年度は年8回、区内各地で開催
足立区は「分譲マンション出張相談会」と題して、マンション管理士による無料相談会を区内各地で開催しています。令和8年度の開催日は次の8回です(更新日2026年4月3日)。
| 回 | 開催日 |
|---|---|
| 第1回 | 5月21日(木) |
| 第2回 | 6月19日(金) |
| 第3回 | 7月25日(土) |
| 第4回 | 9月12日(土) |
| 第5回 | 10月21日(水) |
| 第6回 | 12月19日(土) |
| 第7回 | 2月20日(土) |
| 第8回 | 3月11日(木) |
各回、60分のセミナーと60分の相談会がセットで組まれており、相談会のみの参加も可能です。相談内容は建物の維持管理や管理組合運営、将来の建替え相談まで幅広く扱われますが、建築基準法やリフォーム工法そのものの相談は、後述する「すまいの建築相談」に振り分けられます。
申込みは電話(平日午前9時〜午後4時、03-3880-5963)またはオンライン申請システムから。9月12日開催分は本記事執筆時点ですでに終了していますので、次回は10月21日(水)です。理事会の議題として次の相談会をカレンダーに入れておくと、動き出しが早くなります。
(出典:足立区「分譲マンション出張相談会開催のお知らせ」/更新日2026年4月3日)
2. 分譲マンション管理アドバイザー派遣制度:年度内12時間まで無料
出張相談会が「話を聞きに行く」窓口だとすれば、こちらは「管理組合の集まりに来てもらう」窓口です。足立区が実施する分譲マンション管理アドバイザー派遣制度は、マンション管理士を管理組合の総会や理事会に無料で派遣する制度です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 区内の分譲マンション管理組合 |
| 派遣専門家 | マンション管理士(国家資格) |
| 派遣時間 | 年度内12時間まで(管理士1名派遣の場合)/2名派遣の場合は6時間まで |
| 費用 | 無料 |
| 申込方法 | 電話(平日9時〜16時)またはオンライン申請システムで仮予約後、管理士と日程調整のうえ申込書を提出 |
| 必要書類 | 申込書(管理組合印の押印が必要)、派遣終了後は議事録の写しまたは実施確認書 |
| 注意点 | 派遣希望日の2週間以上前に仮予約が必要。区分所有者2名以上の参加が必須 |
(出典:足立区「分譲マンション管理アドバイザー派遣制度」)
令和6年4月1日から、派遣の上限が「回数制」から「時間制」に変わっています。以前は「年○回まで」という数え方でしたが、今は「年12時間まで」という時間の総量で管理されています。1回2時間の総会説明を年に6回使い切ることもできますし、長期修繕計画の見直しにまとまった時間を充てることもできます。管理組合の使い方次第で融通が利く制度です。
なお、本ページの内容確認時点で最終更新の記載は2025年当時のものにとどまっていました。派遣時間の枠組み自体は継続していると考えられますが、申込みの前に電話で最新の運用を一度確認しておくと確実です。
東京都が運営する窓口(3〜4):区内のマンションでもそのまま使えます
足立区独自の制度に加えて、公益財団法人東京都防災・建築まちづくりセンターが運営する2つの窓口も、足立区内の分譲マンションであれば区を経由せず直接利用できます。
3. マンションアドバイザー無料派遣:旧耐震・6戸以上が対象
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 昭和58年(1983年)12月31日以前に新築された、独立部分(住戸)が6以上ある分譲マンション |
| 前提条件 | マンション管理状況届出制度への届出が受理されていること |
| 費用 | 無料(講座編を利用する場合、テキスト代が別途かかることあり) |
| 利用回数 | 通常は1回まで無料。管理不全の兆候があるマンションは5回まで無料 |
| 申込方法 | 申込書に記入のうえFAX・メール・郵送で提出。1〜2週間程度でアドバイザーから日程調整の連絡 |
| 問合せ先 | 03-5989-1453(東京都防災・建築まちづくりセンター まちづくり推進課) |
(出典:(公財)東京都防災・建築まちづくりセンター「マンションアドバイザー無料派遣」)
「昭和58年12月31日以前」という築年条件が、この制度の一番のポイントです。足立区内でも旧耐震基準(昭和56年5月31日以前の建築確認)の物件だけでなく、昭和56〜58年に建てられた新耐震基準ぎりぎりの物件まで対象に含まれます。築40年を超えるマンションの管理組合は、まずこの条件に当てはまるかどうかを確認する価値があります。
前の章で紹介した足立区独自のアドバイザー派遣(年12時間)と、こちらの東京都の無料派遣(通常1回)は、運営元も申込先も別です。足立区の制度で年間の時間を使い切ってしまった場合でも、条件を満たせばこちらを併用できる可能性があります。迷ったら両方に電話して、使える枠を確認するのが早道です。
4. 分譲マンション総合相談窓口:電話・メール・Zoomにも対応
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対応者 | マンション管理士 |
| 対象 | 都内に所在する分譲マンションに関する相談全般(管理組合運営、大規模修繕、建替え・改修、管理状況届出制度の説明など) |
| 費用 | 無料 |
| 相談方法 | 電話・メール・FAX・対面(要予約)・Web会議(Zoom、1週間前までに要予約) |
| 相談日時 | 月〜金曜日・第1土曜日・第3日曜日(祝日・年末年始除く)午前9時〜午後5時(水曜日は午後7時まで) |
| 連絡先 | 電話 03-6427-4900/メール mansion-soudan@tokyo-machidukuri.jp/FAX 03-6427-4901 |
| 所在地 | 東京都新宿区西新宿7-7-30 小田急西新宿O-PLACE 2F |
(出典:東京都「分譲マンション総合相談窓口」)
区役所の窓口が開いている平日日中に時間が取れない理事さまも多いと思います。この窓口はZoomでの相談を受け付けているため、平日夜(水曜は19時まで)や土曜午前中に、自宅から相談できるのが実務上の強みです。共働きで理事会役員をされている方には、こちらのほうが使い勝手が良いかもしれません。
外壁の劣化がどこまで進んでいるかを、専門家に相談する前段階でご自身でも把握したい場合は、明誠のロープアクセス工法による外壁調査の考え方もあわせてご覧ください。足場を組まずにどこまで確認できるかがわかります。工法の技術的な仕組みそのものを詳しく知りたい方は、姉妹サイトロープアクセスドットコムのほうに詳しい解説を載せています。
足立区 区民相談室の無料相談(5〜8)
分譲マンションに限らない一般的な相談ですが、管理組合の運営や大規模修繕の資金計画に絡む場面で使えるものを4つ挙げます。いずれも足立区役所の区民の声相談課が窓口です。
5. 不動産相談(予約制):宅地建物取引士が対応
借地・借家、更新・立退きなど不動産全般について、宅地建物取引士が相談に応じます。毎月第1・3水曜日午後1時〜4時(祝日・年末年始除く)、費用は無料です。1回の相談時間は35分以内で、予約は電話(03-3880-5359、平日8時30分〜17時15分)または区役所本庁舎北館2階の窓口で受け付けています。無断キャンセルは以後の利用制限の対象になる、と明記されている点は留意が必要です。
(出典:足立区「不動産相談(予約制)」/更新日2026年6月19日)
6. 相続・登記相談(予約制):司法書士・土地家屋調査士が対応
不動産の売買・相続、登記、土地の調査・測量に関する相談です。毎月第2水曜日午後1時〜4時に開催され、費用は無料。予約は1か月前から可能で、申込先は不動産相談と同じ03-3880-5359です。
管理組合そのものの相談ではありませんが、区分所有者の相続で連絡が取れなくなった住戸がある、といった管理組合特有の悩みの入口として使われることもあります。
(出典:足立区「住まいの相談」)
7. すまいの建築相談(予約制):建築士が対応
新築・改築・リフォームに関する建築士による相談です。毎月第2水曜日(祝日の場合は前日)午後2時〜4時に開催、費用は無料。申込みは電話03-3880-5963(建築室住宅課)で、予約制です。
分譲マンション出張相談会がマンション管理士による「管理組合運営」の相談であるのに対し、こちらは建築士による「建物そのもの」の技術的な相談という色分けになっています。外壁の劣化診断や大規模修繕の工法選定に近い話は、こちらのほうが専門的な回答を得やすい場面もあります。
(出典:足立区「住まいの相談」)
8. 法律相談(予約制):弁護士が対応
金銭問題、損害賠償、契約トラブルなどについて弁護士が相談に応じます。平日午前9時〜正午・午後1時〜4時に加えて、第2土曜日午前9時30分〜午後0時30分(窓口のみ)、第4日曜日午前9時〜正午・午後1時〜4時にも開催されており、オンライン相談も可能です。1回の相談時間は40分以内、費用は無料。予約・問合せは03-3880-5359です。
管理費の滞納や、管理規約の解釈をめぐる区分所有者間のトラブルなど、管理組合運営で法律問題に発展しそうな場面では、まずこの無料相談で見立てを聞いておくと、その後の対応方針が立てやすくなります。
(出典:足立区「法律相談(予約制)」/更新日2026年6月19日)
制度の「入口」になる2つの届出・認定(9〜10)
9. マンション管理状況届出制度:まずここから
東京都の条例(東京都マンションの管理の適正化に関する条例)に基づき、区内の一定規模以上の分譲マンションには、管理組合の運営状況などを区に届け出る義務があります。届出そのものに費用はかかりません。
ここまで紹介した「2. 分譲マンション管理アドバイザー派遣制度」や「3. 東京都 マンションアドバイザー無料派遣」は、いずれもこの管理状況届出が受理されていることが利用の前提条件です。まだ届出をしていない管理組合は、無料の専門家派遣を受ける前に、まずこの届出から着手する必要があります。
(出典:足立区「マンション管理状況届出制度(東京都条例)について」)
10. マンション管理計画認定制度:区の手数料は当面無料
長期修繕計画や管理規約の整備状況などが一定の基準を満たす管理組合は、区の「マンション管理計画認定制度」の認定を受けられます。認定基準には、長期修繕計画が国の「長期修繕計画標準様式」に準拠して作成されていること、計画期間が30年以上で大規模修繕工事が2回以上含まれることなどが定められています。
区の手数料は当面のあいだ無料(変更認定申請を含む)です。ただし、新規申請は公益財団法人マンション管理センターの「管理計画認定手続支援システム」を経由する必要があり、そちらのシステム利用料等は別途必要になります。区の窓口では新規申請そのものは受け付けていない点に注意してください。変更申請は郵送または区窓口での提出が可能です。標準審査期間は30日間とされています。
(出典:足立区「マンション管理計画認定制度について」/更新日2026年4月1日)
認定を受けると、住宅金融支援機構の融資金利引下げや、マンションが長期優良化に資すると認められた場合の税制優遇(マンション長寿命化促進税制)につながる道が開けます。この税制の適用には区が発行する証明(手数料300円/通)が必要になりますが、認定そのものの手数料が無料である点は、これから長期修繕計画を整える管理組合にとって着手のハードルを下げてくれます。
なぜ「無料の相談」を軽視してはいけないのか
正直に申し上げます。私はこれまで多くの管理組合の理事会にお邪魔してきましたが、一番もったいないと感じるのは、こうした無料の窓口を知らないまま、業者の言い値をそのまま信じてしまうケースです。
足立区・東京都のどちらの窓口も、対応するのは利害関係のない第三者のマンション管理士や建築士、弁護士です。工事を受注したい業者とは違う立場から、「その見積りは妥当か」「その進め方で管理規約上、問題はないか」を聞ける機会は、実はこれだけ用意されています。
株式会社明誠はこれまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセス工法での高所作業について、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業では過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。作業員はIRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の技能訓練を受けています。この安全体制の詳細はロープアクセスドットコムで公開しています。
大規模修繕の工法には、従来型の足場工法、ロープアクセスによる無足場工法、両者を部位ごとに使い分けるハイブリッド工法の3つがあります。低層で形状が複雑な建物や改修範囲が広い建物は足場工法が有利なこともあれば、高層で足場の架設が難しい建物、居住者への生活影響を最小限にしたい建物はロープアクセスが有利なこともあります。3工法を自社で提案できる会社は、国内でも多くありません。料金の考え方は明誠の大規模修繕の料金の考え方に、安全管理への取り組みは明誠の安全管理への取り組みにまとめています。
こうした無料相談で「専門家の目」を一度通してから、私たちのような施工会社に声をかけていただくのが、遠回りのようで実は一番確実な進め方だと考えています。
よくあるご質問
Q. 足立区の分譲マンション管理アドバイザー派遣制度は、管理状況届出をしていないと使えませんか?
A. 区のページには届出を明示的な要件とする記載はありませんが、東京都のマンションアドバイザー無料派遣(前提条件3)は管理状況届出の受理が明確な要件です。両制度を確実に利用するためにも、まず管理状況届を提出しておくことをおすすめします。
Q. 区のアドバイザー派遣(年12時間)と都のアドバイザー無料派遣(1回)は、両方使えますか?
A. 運営元(区と東京都防災・建築まちづくりセンター)が異なる別制度です。区の年12時間の枠を使い切った後でも、都の制度の対象条件(昭和58年12月31日以前築・6戸以上・管理状況届出受理済み)を満たしていれば、別途申し込める可能性があります。詳しくはそれぞれの窓口に直接ご確認ください。
Q. 出張相談会や区民相談室の予約は、どのくらい前から取ればいいですか?
A. 相談内容により異なります。相続・登記相談は1か月前から予約可能です。出張相談会は開催日の案内が出た時点で早めに埋まる傾向があるため、次回開催日(本記事執筆時点では10月21日)が決まり次第、理事会で日程調整のうえ早めの申込みをおすすめします。
Q. 大規模修繕の見積りが妥当かどうか、無料相談で判断してもらえますか?
A. マンション管理士や建築士による相談は、見積りの妥当性そのものを鑑定するサービスではなく、管理組合運営や進め方に関する助言が中心です。見積書の数量・単価の妥当性を具体的に確認したい場合は、施工会社によるセカンドオピニオンをあわせて利用されることをおすすめします。明誠でも既存の見積書を拝見してのご相談を承っています。お問合せフォームからご連絡ください。
Q. 大規模修繕の工期は、足場とロープアクセスでどれくらい違いますか?
A. ロープアクセス工法は足場の組立・解体の期間がまるごと不要になるため、足場工法のおよそ60%程度の工期が目安です。5階建て・36戸クラスのマンションであれば、足場工法で2か月前後のところ、ロープアクセスなら1〜1.5か月程度になることがあります。改修範囲が広い場合はこの差が縮まります。
Q. 足場を組まないと、住民への負担は本当に減るのですか?
A. 足場とメッシュシートで建物を囲うと、日照・通風が数か月にわたって制限され、防犯上の不安も生じます。ロープアクセスは作業する面だけを順に進めるため、影響が及ぶ期間と範囲を限定できます。
Q. 賃貸マンションのオーナーでも使える窓口はありますか?
A. 足立区の出張相談会・アドバイザー派遣・管理状況届出制度は、いずれも分譲マンションの管理組合が対象です。賃貸マンションのオーナーさまは、区民相談室の不動産相談・建築相談(区内在住・在勤・在学の方が対象)や、民間の第三者による診断をご検討ください。収益物件の維持管理については明誠のオーナー向けサービスをご覧ください。
Q. 管理会社を通さずに、明誠に直接相談してもいいのでしょうか?
A. もちろんです。セカンドオピニオンとしてお使いいただくケースが一番多いです。管理組合向けのご案内は明誠の管理組合向けサービスにまとめています。
まとめ:今週、足立区の管理組合が動けること3つ
長くなりましたので、動き出しの3手に絞ります。
1. マンション管理状況届出の提出状況を確認する
東京都条例に基づく届出で、これが受理されていないと、区・都のアドバイザー派遣が受けられない可能性があります。届出書類は区のページからダウンロードできます。
2. 次の出張相談会(10月21日・水)を理事会カレンダーに入れる
年8回開催のうち、直近の回です。電話03-3880-5963で予約状況を確認しつつ、「うちのマンションはアドバイザー派遣も使えるか」もあわせて聞いておくと、その後の動きが具体的になります。
3. 大規模修繕を控えているなら、区・都の無料相談と並行して施工会社にも相談する
無料相談は管理組合運営の助言が中心で、見積りの数量・単価まで踏み込むものではありません。区・都の相談と、施工会社によるセカンドオピニオンを並行して進めるのが、遠回りのようで一番早い進め方です。明誠のこれまでの明誠の施工事例もあわせてご覧いただければ、実際にどんな建物でどんな判断をしてきたかが伝わると思います。
足立区は、板橋区のように今年新設された大型の助成金こそありませんが、区独自の相談・派遣窓口に加えて、東京都の窓口までフルに使えるという点で、無料支援の選択肢自体は決して少なくありません。むしろ窓口が複数あるぶん、「どれをどの順番で使えばいいか」が分かりにくいというのが実情だと思います。
私は現場でこう思うことがあります。管理組合が損をするのは、悪い業者に当たったときよりも、無料で相談できる窓口があることを知らないまま、時間だけが過ぎたときのほうがずっと多い、と。壁の浮きも、防水の切れも、待っていて良くなることはありません。
総会の前段階の整理だけでも、私たちにお力になれることがあります。お気軽にお声がけください。
出典・参考資料
- 足立区「分譲マンション出張相談会開催のお知らせ」(更新日2026年4月3日)
- 足立区「分譲マンション管理アドバイザー派遣制度」
- 足立区「マンション管理状況届出制度(東京都条例)について」
- 足立区「マンション管理計画認定制度について」(更新日2026年4月1日)
- 足立区「不動産相談(予約制)」(更新日2026年6月19日)
- 足立区「法律相談(予約制)」(更新日2026年6月19日)
- 足立区「住まいの相談」(建築相談・相続登記相談を含む)
- (公財)東京都防災・建築まちづくりセンター「マンションアドバイザー無料派遣」
- 東京都「分譲マンション総合相談窓口」
- 国土交通省「マンションの管理計画認定の基準」(PDF)
本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月24日時点で公表されている東京都足立区・東京都・国土交通省の公式情報をもとに執筆しています。令和8年度(2026年4月〜2027年3月)を現行年度として整理していますが、一部ページ(分譲マンション管理アドバイザー派遣制度など)は最終更新日の記載が2025年当時にとどまっており、令和8年度時点での内容変更の有無を公式には確認できませんでした。実際に申込みをされる前に、必ず足立区(03-3880-5963)または該当窓口へ最新の内容をご確認ください。
この記事の執筆者
本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。
最終更新:2026年9月24日
葛飾区の管理組合が無料で使える相談・派遣13選|耐震アドバイザー派遣は1棟4回まで無料、管理計画認定アドバイザーは令和9年2月28日まで受付【令和8年度版】
2026年9月24日 更新
先週、金町の分譲マンションの理事長さまから電話をいただきました。
「築42年の棟で、そろそろ大規模修繕の3回目を検討し始めている。ただ、うちは旧耐震基準の建物らしいと聞いたことがあるが、それが何を意味するのか、誰に聞けばいいのかも分からない」
伺うと、5階建て・48戸の建物で、昭和54年築。旧耐震基準(昭和56年5月31日以前)の建築物にぴったり該当していました。しかも長期修繕計画は一度も専門家の手が入らないまま、管理会社の提案書をそのまま踏襲してきたとのことでした。
私はこの手のご相談を受けるたびに、同じことを思います。葛飾区の管理組合には、実は無料で呼べる専門家や、費用の大半が助成で戻る制度がかなり揃っているのに、その情報が理事会まで届いていない、と。特に葛飾区は、旧耐震基準の建物を対象にした耐震アドバイザー派遣を1棟あたり4回まで無料で使える、23区の中でも手厚い制度を持っています。
申し遅れました。私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。東京都東大和市を拠点に、20年近くマンション・ビル・ホテルの外壁の仕事をしてきました。足場を組んで建物をすっぽり囲う工事も、ロープ1本でぶら下がる無足場の工事も、どちらの現場も自分の足で踏んできた人間です。
今日は、葛飾区の管理組合とビル・収益不動産オーナーさまが使える相談・派遣・助成を13個、令和8年度(2026年4月1日から2027年3月31日まで)の一次情報で整理します。
結論:葛飾区で使える支援は13ある
先に一覧でお示しします。費用ゼロのものと、費用の一部が助成で戻るものを分けて並べました。
| # | 制度・窓口 | 誰が対応するか | 費用 | 申込先 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | マンション管理計画認定取得のためのアドバイザー派遣 | マンション管理士等 | 無料(システム利用料1万円は管理組合負担) | 住環境整備課企画管理係 03-5654-8352 |
| 2 | 分譲マンションアドバイザー制度利用助成 | 都センター認定アドバイザー | 派遣料の一部助成(上限8,250〜25,300円・年度内1回) | 住環境整備課企画管理係 03-5654-8352 |
| 3 | マンション耐震アドバイザー派遣制度 | 建築士等の耐震アドバイザー | 無料/1棟あたり4回まで | 建築課建築安全係 03-5654-8552 |
| 4 | 分譲マンション維持管理セミナー・個別相談会 | 専門家講師+個別相談 | 無料 | 住環境整備課 03-5654-8352/8529 |
| 5 | 区の法律相談 | 弁護士 | 無料/30分程度・電話予約制 | 区民相談室 03-5654-8612〜8615 |
| 6 | 建築・リフォームなんでも相談 | 建築士 | 無料/第1・3金曜、予約不要 | 区民相談室 03-5654-8612〜8615 |
| 7 | 葛飾区消費生活センター | 消費生活相談員 | 無料 | 03-5698-2311 |
| 8 | 東京都 分譲マンション総合相談窓口 | 都職員・専門相談員 | 無料 | 03-6427-4900 |
| 9 | 東京都 マンションアドバイザー無料派遣(管理状況届出制度) | マンション管理士等 | 無料(届出済みが条件・管理不全兆候ありは最大5回) | 東京都防災・建築まちづくりセンター 03-5989-1453 |
| 10 | (公財)マンション管理センター 電話相談 | 専門相談員 | 無料 | 運営03-3222-1517/設備03-3222-1519 |
| 11 | 一般社団法人マンション管理業協会 相談窓口 | 専門相談員 | 無料 | 050-3733-8982 |
| 12 | 法テラス・サポートダイヤル | 案内オペレーター | 無料(個別法律相談は要件により有料の場合あり) | 0570-078374 |
| 13 | 葛飾区マンション管理計画認定制度 | 住環境整備課(事前確認は外部機関) | 区への申請手数料無料(事前確認料等は別途) | 住環境整備課企画管理係 03-5654-8352 |
1〜12がお金のかからない、あるいは費用の大半が戻る相談・派遣・助成、13は区への申請自体は無料で事前確認費用のみ発生する認定制度です。順番に見ていきます。
葛飾区の目玉は「耐震アドバイザー派遣・1棟4回まで無料」
多くの区の耐震アドバイザー制度は1回きりか、せいぜい2回までです。葛飾区は同一マンションにつき最大4回まで無料で派遣を受けられる点が際立っています。
1. マンション耐震アドバイザー派遣制度
区が公表している内容をそのまま引用します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象建築物 | 昭和56年5月31日以前に建築された、3階以上・鉄骨造/鉄筋コンクリート造/鉄骨鉄筋コンクリート造の耐火・準耐火建築物(区内の共同住宅) |
| 費用 | 無料 |
| 派遣回数 | 1つのマンションにつき4回まで |
| 申込先 | 葛飾区役所建築課建築安全係 03-5654-8552 |
(出典:葛飾区「マンション耐震アドバイザー派遣制度(無料)」)
4回という回数の意味は小さくありません。1回目で現地を見てもらい、2回目で簡易診断の結果を踏まえた説明を受け、3回目で耐震改修の方向性を詰め、4回目で総会向けの資料の見せ方を相談する——そこまでの伴走を無料で受けられる計算です。私はいつも理事長さまに「1回で終わらせず、総会説明の直前にもう一度呼んでください」とお伝えしています。総会当日に区分所有者から想定外の質問が飛んでも、アドバイザーに聞いた内容ならその場で答えやすくなるからです。
対象は昭和56年5月31日以前の建物に限られますが、葛飾区は柴又・金町・新小岩・立石など昭和40年代後半から50年代に建てられた分譲マンションが多いエリアです。まずご自身の管理組合の建物がこの年代に該当するか、竣工年月日を登記簿や重要事項調査報告書で確認するところから始めてみてください。
マンション管理計画認定制度を取りに行くなら、アドバイザー派遣がほぼ無料で使える
令和4年に始まったマンション管理計画認定制度は、葛飾区でも申請が進んでいます。区は認定取得を後押しするアドバイザー派遣制度を用意しています。
2. マンション管理計画認定取得のためのアドバイザー派遣
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 区内分譲マンションの管理組合、または管理組合から委託を受けた管理会社 |
| 費用 | 無料(ただし管理計画認定手続支援サービスのシステム利用料 税込10,000円は管理組合負担) |
| 受付期間 | 令和8年5月1日〜令和9年2月28日 |
| 申込方法 | 申込書を郵送・持参、または申込みフォーム |
| 申込先 | 住環境整備課企画管理係 03-5654-8352 |
(出典:葛飾区「マンション管理計画認定取得のためのアドバイザーを派遣します」/更新日令和8年5月1日)
アドバイザー派遣そのものは無料ですが、認定申請の前段階として必要になる事前確認(マンション管理士や日本マンション管理士会連合会、マンション管理センターなどによる適合証の発行)には別途費用がかかります。この事前確認料と、認定申請支援システムの利用料1万円が、実質的な自己負担額です。
3. 葛飾区マンション管理計画認定制度そのもの
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 区への認定申請手数料 | 無料 |
| 事前確認 | 必須(マンション管理士・管理会社・日管連・マンション管理センターいずれかの「事前確認適合証」が必要) |
| 申請窓口 | 住環境整備課企画管理係(葛飾区立石5-13-1 区役所3階307番窓口) |
| 電話 | 03-5654-8352 |
(出典:葛飾区「管理計画認定制度」)
認定を取得すると、住宅金融支援機構のフラット35の金利引き下げや、大規模修繕工事融資の金利優遇といった税制・融資面のメリットが受けられます。長期修繕計画の見直しと合わせて検討する管理組合が増えている制度です。
4. 分譲マンションアドバイザー制度利用助成 — 都の派遣費用を区が一部負担
(公財)東京都防災・建築まちづくりセンターのマンションアドバイザー制度を利用するとき、その派遣料の一部を葛飾区が助成してくれます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 区内の分譲マンションの管理組合または区分所有者 |
| 助成額 | B-1〜B-7コース:上限12,650円/B-8①②コース:上限25,300円/建替え・改修Aコース:上限8,250円 |
| 助成回数 | 同一マンションにつき年度内1回 |
| 申込先 | 住環境整備課企画管理係 03-5654-8352(事前に電話連絡のうえ申請) |
(出典:葛飾区「分譲マンションアドバイザー制度利用助成」/掲載更新日令和5年4月10日)
このページの更新日は令和5年4月10日と少し古いため、助成額そのものに変更がないかは、申請前に必ず住環境整備課へ電話で確認してください。区がハブとして案内している分譲マンションの維持管理相談窓口ページでは「派遣料の半額を助成」という説明もあり、コースによって助成率の表現が異なります。いずれにせよ、都のアドバイザー派遣を単独で申し込むより、区の助成を併用したほうが自己負担は小さくなります。
私はこれを、大規模修繕の初動段階で必ずワンセットで提案するようにしています。管理状況届の提出、都のアドバイザー制度、区の助成——3つを組み合わせて初めて「実質無料に近い専門家派遣」が完成するからです。
区が主催する無料セミナー・個別相談会
5. 分譲マンションにお住まいの方のための維持管理セミナー
区が年に数回開催している、講師によるセミナーと個別相談会のセットです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 区内分譲マンションの管理組合役員、区分所有者 |
| 費用 | 無料 |
| 直近の開催 | 令和8年6月13日(土曜)9時30分〜10時50分がセミナー、11時〜12時が個別相談会 |
| 申込先 | 住環境整備課 03-5654-8352または03-5654-8529 |
(出典:葛飾区「分譲マンションにお住まいの方のための維持管理セミナー」/更新日令和8年5月1日)
本記事の執筆時点(2026年9月24日)では直近の開催は令和8年6月13日で終了しており、次回の日程は未公表です。定員に達すると受付が締め切られる形式のため、興味のある管理組合は住環境整備課に電話をして、次回開催の案内を早めに受け取れるようにしておくことをお勧めします。
区民相談室──弁護士も建築士も無料で呼べる
6. 区の法律相談(弁護士)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 頻度 | 月〜金曜(第1木曜は午前から、第2水曜は夜間まで拡充) |
| 時間 | 通常13:00〜16:40、第1木曜8:40〜16:40、第2水曜13:00〜19:20 |
| 費用 | 無料 |
| 予約 | 電話のみ・相談日の2週間前から受付 |
| 電話 | 03-5654-8612〜8615(平日8:30〜17:00) |
(出典:葛飾区「法律相談」/更新日令和8年7月2日)
管理費の滞納が続く区分所有者への対応、専有部分の使用差し止め、総会決議の有効性など、区分所有法が絡む相談は法律相談の得意分野です。メール相談は実施していないため、電話で予約してください。
7. 建築・リフォームなんでも相談(建築士)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 頻度 | 第1・3金曜日 |
| 時間 | 13:00〜16:00 |
| 費用 | 無料 |
| 予約 | 不要(当日来室または電話可) |
| 電話 | 03-5654-8612〜8615 |
(出典:葛飾区「区民相談のご案内」)
予約不要というのが使い勝手の良いところです。大規模修繕の見積書や、管理会社から提示された改修プランを持ち込んで、第三者の建築士に目を通してもらうという使い方ができます。
8. 葛飾区消費生活センター
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 費用 | 無料 |
| 受付時間 | 月〜金曜9:00〜17:00(休日・年末年始除く) |
| 電話 | 03-5698-2311 |
(出典:葛飾区「消費生活相談はこちら」)
管理組合が結んだ工事契約や、訪問営業によるリフォーム契約のトラブルは消費生活センターの管轄です。クーリングオフの可否や、契約書の不備の指摘など、実務的なアドバイスが受けられます。
都・国レベルの相談窓口も併用できる
区の窓口だけでなく、東京都や業界団体が用意する無料窓口も併用できます。
9. 東京都 分譲マンション総合相談窓口
日常の維持管理から建替え・改修まで、幅広く相談できる都の窓口です。電話:03-6427-4900。
10. 東京都 マンションアドバイザー無料派遣(管理状況届出制度)
管理状況届を提出済みの要届出マンション(昭和58年12月31日以前に新築・6戸以上)であれば、アドバイザー派遣1回が無料。管理不全の兆候がある場合はさらに手厚く、最大5回まで無料派遣を受けられます。申込・問合せ先は(公財)東京都防災・建築まちづくりセンター 03-5989-1453です。
(出典:東京都マンションポータルサイト「管理状況の届出内容に応じたアドバイザー派遣費用の助成」)
11. (公財)マンション管理センターの電話相談
管理組合運営・管理規約の相談は03-3222-1517、建物・設備の維持管理相談は03-3222-1519。受付は平日9:30〜17:00です。
(出典:(公財)マンション管理センター「相談窓口について」)
12. 一般社団法人マンション管理業協会の相談窓口
管理会社との契約内容や委託業務の範囲に疑問があるときの相談先です。電話:050-3733-8982、受付10:00〜16:30(12:00〜13:00を除く)。
13. 法テラス・サポートダイヤル
個別の法律相談窓口を案内してくれる全国共通の窓口です。電話:0570-078374(ナビダイヤル)、平日9:00〜21:00・土曜9:00〜17:00。資力要件を満たす場合は無料の民事法律扶助(弁護士費用の立替制度)につながることもあります。
(出典:法テラス「法テラス・サポートダイヤル」)
お金の話:葛飾区で大規模修繕を検討するときの目安
制度の話ばかりでは実感が湧かないと思いますので、費用の目安も出しておきます。すべて参考値のレンジです。実際の見積は建物の形状・劣化状況・立地によって大きく変動します。
| 工種 | ㎡単価の目安 |
|---|---|
| 外壁塗装 | 3,500〜4,500円/㎡ |
| 外壁打診調査 | 250〜500円/㎡ |
| 屋上・バルコニー防水 | 5,000〜8,000円/㎡ |
30戸規模のマンションで大規模修繕を一巡させると、総額のレンジは3,500〜5,000万円程度。このうち仮設足場が15〜25%を占めます。足場だけで500万〜1,200万円という計算です。
私がロープアクセス工法(産業用ロープで作業員が懸垂し、足場を組まずに外壁作業を行う無足場工法)をご提案することが多い理由は、ここにあります。10階建て・外周80m・工期3か月というモデルケースでは、足場の仮設費が約168万円に対し、ロープアクセスなら約59万円。差額は約109万円です。
ただし、どんな建物でもロープアクセスが最適というわけではありません。低層で形状が複雑な建物、改修範囲が広い建物は、足場を組んだほうが総合コストで有利になることもあります。だからこそ明誠では、通常足場・ロープアクセス・両者を部位ごとに使い分けるハイブリッド工法の3つから選べる体制をとっています。3工法を自社で提案できる会社は、国内でも多くありません。料金の考え方は明誠の大規模修繕の料金の考え方にまとめています。
株式会社明誠はこれまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセス工法での高所作業について、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業では過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。作業員はIRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の技能訓練を受けています。この安全体制の詳細はロープアクセスドットコムで公開しています。ISO9001品質マネジメントシステムに基づく施工品質の考え方も、姉妹サイトのロープアクセスドットコムで技術的に解説しています。安全管理の考え方は明誠の安全管理への取り組み、会社の理念は明誠の理念もあわせてご覧ください。
葛飾区は柴又・金町・新小岩・立石・青戸と、地域によって建物のストック年齢に差があります。旧耐震基準の建物が集中するエリアもあれば、区画整理でまとまって建て替えられたエリアもある。同じ葛飾区でも、まず確認すべきことは建物によって違います。
相談に行くとき、何を持っていけばいいか
限られた相談時間を最大限に使うために、私がいつもお伝えしている3点セットがあります。
- 直近3期分の総会議事録 — 何が決まり、何が先送りされてきたかが一目で分かります
- 長期修繕計画書 — 更新が止まっていても構いません。むしろ止まっていること自体が相談材料です
- 管理規約(最新版) — 標準管理規約は令和7年に改正されています。自組合の規約がどの版に準拠しているかで、打てる手が変わります
余裕があれば、竣工年月日が分かる書類(登記簿・重要事項調査報告書など)と、気になっている箇所のスマホ写真を加えてください。旧耐震基準に該当するかどうかは、耐震アドバイザー派遣を申し込む際にまず聞かれる項目です。
法令面では、令和7年5月30日公布の「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律」(令和7年法律第47号)が令和7年11月28日に一部施行されています。建替えや大規模な改修を視野に入れている管理組合は、この改正を踏まえた助言を受けられるかどうかで、相談の価値が変わってきます。
よくあるご質問
Q. 耐震アドバイザー派遣は、旧耐震基準かどうかが分からなくても申し込めますか?
A. まず建築課建築安全係(03-5654-8552)に竣工年月日と構造(鉄骨造・鉄筋コンクリート造など)を伝えれば、対象になるかどうかを確認してもらえます。登記簿や重要事項調査報告書に竣工年月日の記載がありますので、事前に手元に用意しておくとスムーズです。
Q. マンション管理計画認定を取得すると、具体的にどんなメリットがありますか?
A. 住宅金融支援機構のフラット35の金利引き下げや、マンション共用部分リフォーム融資の金利優遇が代表的です。長期修繕計画の内容や修繕積立金の水準が一定の基準を満たしていることが前提になりますので、まずは事前確認から始めることをお勧めします。
Q. 分譲マンションアドバイザー制度利用助成の金額は、令和8年度も同じですか?
A. 区の該当ページの掲載更新日は令和5年4月10日で、令和8年度向けの改定情報は確認できていません。申請前に住環境整備課企画管理係(03-5654-8352)へ電話し、現行年度の助成額を直接ご確認ください。
Q. 賃貸マンションのオーナーでも使える制度はありますか?
A. 耐震アドバイザー派遣や管理計画認定関連の制度は分譲マンションの管理組合が主な対象です。賃貸マンションのオーナーさまは区民相談室の建築相談・法律相談(区内在住・在勤・在学の個人が対象)や、民間の第三者診断をご検討ください。収益物件の維持管理については明誠のオーナー向けサービスをご覧ください。
Q. 大規模修繕の工期は、足場とロープアクセスでどれくらい違いますか?
A. ロープアクセス工法は足場の組立・解体の期間がまるごと不要になるため、足場工法のおよそ60%の工期が目安です。10階建て・外周80mのマンションであれば、足場工法で3か月程度のところ、ロープアクセスなら1.5〜2か月程度になります。
Q. 管理会社を通さずに、明誠に直接相談してもいいのでしょうか?
A. もちろんです。セカンドオピニオンとしてお使いいただくケースが一番多いです。既存の見積書を拝見して、数量と単価の妥当性を一緒に確認するだけでも結構です。お問合せフォームからご連絡ください。管理組合向けのご案内は明誠の管理組合向けサービスにまとめています。
Q. 予算がなくなったら助成は使えなくなりますか?
A. アドバイザー派遣制度は年度予算の範囲内で運営されているため、年度末に近づくほど枠が埋まる可能性があります。特に管理計画認定取得のためのアドバイザー派遣は受付期間が令和9年2月28日までと定められていますので、検討している管理組合は早めに住環境整備課へお問い合わせください。
まとめ:今週、葛飾区の管理組合が動けること3つ
長くなりましたので、動き出しの3手に絞ります。
1. 建物の竣工年月日を確認し、旧耐震基準に該当するか調べる
昭和56年5月31日以前の建物であれば、耐震アドバイザー派遣を1棟あたり4回まで無料で使えます。登記簿や重要事項調査報告書があれば、すぐに確認できます。
2. 住環境整備課(03-5654-8352)に電話して、管理計画認定アドバイザー派遣の受付状況を聞く
受付期間は令和9年2月28日までですが、予算の状況によって早期に締め切られる可能性もあります。長期修繕計画の見直し時期と合わせて検討している管理組合は、早めの相談をお勧めします。
3. 次の理事会に、この記事の一覧表を持っていく
13ある制度のうち、自分たちの管理組合がどれに該当するかを整理するだけでも、専門家に相談するときの話が具体的になります。
葛飾区は、旧耐震基準の建物への支援という点で、23区の中でも特徴のある制度を持っています。耐震アドバイザー派遣が1棟4回まで無料というのは、決して小さな数字ではありません。
一方で、都の制度と区の助成を組み合わせる仕組みは少し分かりにくく、掲載情報の更新頻度にもばらつきがあります。だからこそ、電話一本で確認する手間を惜しまないことが大切だと、私は現場で感じています。
私はこう思うことがあります。管理組合が損をするのは、悪い業者に当たったときよりも、相談しないまま時間だけが過ぎたときのほうがずっと多い、と。壁の浮きも、防水の切れも、待っていて良くなることはありません。
明誠のこれまでの明誠の施工事例もあわせてご覧いただければ、実際にどんな建物でどんな判断をしてきたかが伝わると思います。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。
出典・参考資料
- 葛飾区「マンション耐震アドバイザー派遣制度(無料)」
- 葛飾区「マンション管理計画認定取得のためのアドバイザーを派遣します」(更新日令和8年5月1日)
- 葛飾区「管理計画認定制度」
- 葛飾区「分譲マンションアドバイザー制度利用助成」(掲載更新日令和5年4月10日)
- 葛飾区「分譲マンションの維持管理相談窓口」
- 葛飾区「分譲マンションにお住まいの方のための維持管理セミナー」(更新日令和8年5月1日)
- 葛飾区「法律相談」(更新日令和8年7月2日)
- 葛飾区「区民相談のご案内」
- 葛飾区「消費生活相談はこちら」
- 東京都マンションポータルサイト「管理状況の届出内容に応じたアドバイザー派遣費用の助成」
- (公財)東京都防災・建築まちづくりセンター「マンションアドバイザー」
- (公財)マンション管理センター「相談窓口について」
- 一般社団法人マンション管理業協会「お問い合わせ」
- 法テラス「法テラス・サポートダイヤル」
- 国土交通省「マンションの管理計画認定の基準」(PDF)
本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月24日時点で公表されている東京都葛飾区および国土交通省・東京都の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。特に分譲マンションアドバイザー制度利用助成のページは掲載更新日が令和5年4月10日と古いため、助成額に変更がないか申請前に必ず住環境整備課へご確認ください。実際に申請される前に、必ず東京都葛飾区および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。
この記事の執筆者
本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。
最終更新:2026年9月24日
三鷹市のマンション漏水・防災対策|武蔵野台地の地盤と神田川・野川流域の浸水リスク、大規模修繕の優先順位【2026年度版】
2026年9月24日 更新
三鷹市のマンションで理事会にお邪魔したとき、理事長さまから「うちは高台だから、水害とは無縁だと思っていました」と言われたことがあります。私はそこで一度立ち止まっていただくようにしています。三鷹市は武蔵野台地の上にあり、たしかに東京23区の低地部と比べれば地盤は良好です。ただし神田川・野川・仙川という3本の川が市内を流れており、川沿いの低地や崖線沿いの傾斜地には、今も指定されたリスクが残っています。
私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。東京都東大和市を拠点に、20年近くマンション・ビル・ホテルの大規模修繕に携わってきました。仮設足場を組む工事も、ロープ1本でぶら下がる無足場の工事も、どちらも現場でやってきた人間として、今日は三鷹市のハザードマップの中身と、大規模修繕で先に手を打つべき場所を整理します。
結論:三鷹市の分譲・賃貸マンションで優先すべきは「川沿い・崖線沿いの建物の排水設備点検」と「地下・低層階の電気室・給水ポンプの浸水対策」です
先に結論を申し上げます。三鷹市の大規模修繕で私が最初に確認するのは、次の2点です。
1つ目は神田川・野川・仙川沿いに建つ物件の屋上防水とバルコニー・敷地排水経路の健全性。三鷹市は地盤の良さで知られる武蔵野台地上の街ですが、市内を流れる3つの河川の沿岸には浸水想定区域が指定されています(出典:三鷹市「三鷹市浸水ハザードマップ」)。台地の上だから大丈夫、と考えて排水設備の点検を後回しにしている管理組合さまを、私は何度も見てきました。
2つ目は地下・1階に電気室や給水ポンプを設置している建物の設備配置の見直し。神田川・野川流域では、想定最大規模降雨時の浸水に加えて、下水道の排水能力を超える内水氾濫のリスクも公表されています(出典:同上)。地下や低層階の設備が水没すれば、規模の大小にかかわらずエレベーター・給水・照明のすべてが止まります。この2点を大規模修繕の計画段階で見直すことが、三鷹市のマンションにとって優先度の高い対策になると私は考えています。
三鷹市のハザードマップを1枚で読む
市と都が公表している資料を、マンション修繕の視点で1枚に整理しました。
| 災害種別 | 三鷹市の該当 | 想定・該当範囲 |
|---|---|---|
| 洪水(神田川・野川・仙川等、想定最大規模降雨) | あり | 河川沿いの低地に浸水想定区域を指定(浸水深は5段階の色分けで表示) |
| 内水氾濫(下水道の排水能力超過) | あり | 水防法に基づく指定ではないが、短時間豪雨で市内各所に発生し得る参考情報として公表 |
| 高潮・津波 | 該当なし | 内陸に位置するため対象外 |
| 土砂災害(特別)警戒区域 | あり | 市内21箇所を指定(警戒区域・特別警戒区域とも)。かつての「土砂災害危険箇所」9箇所は令和6年4月に廃止・区域指定に一本化(出典:三鷹市「土砂災害(特別)警戒区域」、東京都建設局「土砂災害(特別)警戒区域の区市町村別指定状況」) |
| 液状化 | 相対的に低い傾向 | 武蔵野台地上のため都内平均より良好とされるが、液状化予測図(東京都、令和3年度改訂版)で地点ごとの相対評価を確認できる(出典:三鷹市「東京の液状化予測図」) |
三鷹市浸水ハザードマップは令和6年10月改訂の第11版で、令和6年2月に東京都が公表した最新の洪水浸水想定区域図を反映しています(最終更新2025年3月5日)。対象河川は神田川・野川・仙川・入間川等で、これらは国分寺市から世田谷区方面へと連なる国分寺崖線に沿って流れる中小河川です(出典:三鷹市「三鷹市浸水ハザードマップ」)。
正直に申し上げます。「三鷹は台地だから安全」という理事長さまの感覚は、市全体で見れば間違ってはいません。ただし川沿いと崖線沿いという2つの例外があることは事実です。ハザードマップは「怖がるための資料」ではなく、「自分の建物がどちらの立地にあるかを確認するための資料」だと私は理事会でお伝えしています。
あわせて確認しておきたいのが「地震に関する地域危険度測定調査」です。東京都は概ね5年ごとに都内5,192町丁目を対象に、建物倒壊危険度・火災危険度・災害時活動困難度・総合危険度を測定しており、三鷹市分は第9回(令和4年9月公表)が最新です(出典:三鷹市「地震に関する地域危険度測定調査(第9回)」)。三鷹市は都内でも危険度が低いエリアが多い一方、木造住宅が密集し道路が狭いエリアでは相対的に危険度が高く算定される町丁目もあります。自分の建物が属する町丁目の危険度ランクは、三鷹市防災課(電話:0422-24-9102)または東京都都市整備局のホームページで確認できます。
地域特性と漏水事故の関係
三鷹市は一つの顔ではなく、エリアごとにリスクの出方が違います。
三鷹駅前・下連雀・上連雀など台地上の中心部:武蔵野台地の平坦な地盤に位置し、地盤そのものは比較的安定しています。ただしこのエリアでも、屋上防水の経年劣化やバルコニー排水ドレンの詰まりによる漏水事故は、立地に関係なく起こります。
神田川・仙川沿いの低地(下連雀・新川・中原など):浸水想定区域に含まれる可能性があるエリアで、大雨のたびに敷地の排水能力が追いつかなくなりやすく、地下駐車場や半地下部分への浸水リスクが相対的に高くなります。
野川沿い・大沢地区(国分寺崖線沿い):崖線特有の傾斜地形を含み、土砂災害警戒区域の指定対象になり得るエリアです。斜面に近い擁壁や外構の点検も、大規模修繕の視野に入れておく必要があります。
いずれのエリアでも共通するのは、「日常の漏水対策」と「非常時の浸水・土砂災害対策」がつながっているという点です。日頃の屋上防水・排水ドレンの点検を怠っている建物は、大雨のたびに小さな漏水が積み重なり、結果として大規模な補修が必要になります。
三鷹市はジブリ美術館や井の頭恩賜公園、太宰治ゆかりの地としても知られ、緑地率の高さが街の魅力になっています。この緑の豊かさは、裏を返せば落葉・倒木による排水経路の閉塞や、樹木の根による外構・擁壁への影響も無視できないということです。私は現地調査のとき、必ず敷地内の樹木と排水経路の位置関係も合わせて確認するようにしています。
大規模修繕で必ずチェックすべき漏水ポイント7つ
私が漏水対応の現地調査で必ず見る7カ所です。三鷹市のような台地と低地が混在するエリアでは、立地によって劣化の進み方に差が出ます。
- 屋上防水層:経年劣化・膨れ・亀裂の有無。トップコートの摩耗だけでも雨水侵入のリスクが上がります。
- シーリング(目地):外壁パネル間・サッシまわりのシーリング材の硬化・ひび割れ。
- バルコニー排水(ドレン):落ち葉やゴミによる詰まりは、ゲリラ豪雨時に排水能力を一気に落とします。三鷹市は緑地・公園が多い街並みが特徴で、落葉による詰まりは他エリアより起きやすいと私は現場で感じています。
- 屋上ドレン・オーバーフロー管:屋上に水がたまる「ドレン詰まり」は、集中豪雨時の漏水事故の最多原因の一つです。
- パラペット・笠木の立上り部:雨水の吹き込みが起きやすく、防水層の切れ目になりやすい箇所です。
- サッシまわりのシール:強風を伴う台風時、サッシ枠からの雨水侵入が急増します。
- 擁壁・外構(崖線沿いの物件のみ):国分寺崖線沿いに建つ物件では、擁壁のひび割れや排水不良が土砂災害・漏水の両方のリスクにつながります。
これらは足場を組んでも、ロープアクセスでも点検・補修できます。ただし三鷹市のように住宅密集地と緑地が入り組んだエリアでは、足場を組むための敷地確保や近隣調整に時間がかかることが少なくありません。技術的な詳細は姉妹サイトのロープアクセスドットコムでも解説しています。
漏水緊急対応でロープアクセスが強い理由
台風接近が予報された段階で「屋上の防水が心配」というご相談をいただくことがあります。仮設足場は組み立てだけで数日、規模によっては1〜2週間かかります。一方、ロープアクセス工法であれば、資材と作業員の手配ができ次第、当日〜翌日には屋上やバルコニーの応急補修に着手できます。
目安として、10階建て・外周80m・工期3ヶ月の大規模修繕を想定した場合、足場費用は約168万円、ロープアクセスなら約59万円というケースがあります(物件の規模・形状により変動するため、あくまで目安の一例です)。緊急の部分補修であれば、この差はさらに大きくなります。三鷹市のように住宅が密集し、足場を組むための道路使用許可や近隣同意に時間がかかりやすいエリアでは、ロープアクセスの機動力が特に向いていると私は考えています。
株式会社明誠は日本で数少ない、足場・ロープアクセス・ハイブリッド工法の3つから建物に最適な工法を提案できる会社です。ロープアクセスの高所作業について、明誠と全国のフランチャイズ加盟企業では過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。工法選びの考え方は明誠の施工事例からもご確認いただけます。詳しい技術情報はロープアクセスドットコムにまとまっています。
防災上の共用部(避難通路/エレベーター/受電設備/給水ポンプ/自家発電)の位置と修繕優先度
三鷹市のように河川沿いの浸水想定区域と崖線沿いの土砂災害警戒区域が混在するエリアでは、共用部の設備配置そのものが防災計画の一部になります。私が理事会にお伝えしている優先順位は次のとおりです。
| 優先度 | 設備 | チェックポイント |
|---|---|---|
| 高 | 受変電設備・自家発電設備 | 地下・1階設置かつ河川沿い立地の場合、浸水想定を踏まえた移設・かさ上げを検討 |
| 高 | 給水ポンプ室 | 停電・浸水時の給水停止リスク。予備電源との連携を確認 |
| 中 | エレベーター機械室 | 冠水・停電時の停止に備え、階段避難の動線と表示を確保 |
| 中 | 擁壁・外構(崖線沿いの物件) | 定期点検とひび割れ・排水不良の早期補修 |
| 中〜高 | 防水層・外壁(本記事の主題) | 日常の漏水対策が非常時の被害拡大を防ぐ土台 |
2019年の台風19号では、都内近郊のマンションで地下の電気室が浸水し、長期間にわたり停電・断水・エレベーター停止が続いた事例が広く報じられました。三鷹市の場合、市全域が同じリスクを抱えているわけではありませんが、川沿い・崖線沿いに建つ物件は他人事ではない数字だと私は感じています。大規模修繕のタイミングは、防水・外壁の更新と同時に、こうした設備の位置を見直す数少ない機会でもあります。
三鷹市の防災補助・耐震助成
三鷹市は分譲マンションを対象にした耐震助成制度を設けています(出典:三鷹市「分譲マンション耐震助成制度のご案内」、最終更新2026年7月27日)。
| 助成内容 | 助成率 | 限度額 |
|---|---|---|
| 耐震アドバイザー派遣 | 100% | 5万円/回(5回まで) |
| 耐震診断 | 3分の2 | 200万円 |
| 補強設計 | 3分の2 | 200万円 |
| 耐震改修(延床面積1,000㎡未満) | 23.0% | 2,000万円 |
| 耐震改修(延床面積1,000㎡以上) | 3分の1 | 2,000万円 |
対象は「複数の区分所有者が存する居住用マンション(店舗兼用は延床面積1/2以下)」「昭和56年5月31日以前に建築基準法に基づく確認または通知を受けて工事着手」「地上3階以上の耐火・準耐火建築物」「特定緊急輸送道路沿道建築物でないこと」の全条件を満たす必要があります。具体的な申請手続きや年度内の受付状況は、三鷹市の担当窓口への確認をおすすめします。予算に達し次第、申請受付が終了する可能性がある制度のため、検討される場合は早めの相談をおすすめします。
なお三鷹市には木造住宅を対象にした別枠の耐震診断・耐震改修助成制度もありますが、分譲マンション(共同住宅)はこちらの対象外です。ご自身の建物がどちらの制度に該当するかを見誤ると、申請そのものが受理されないケースもあるため、まずは分譲マンション向けの制度であることを窓口で確認したうえで進めることをおすすめします。
まとめ|今週動くこと3点
三鷹市のマンション管理組合・オーナーさまに、今週すぐできることを3つお伝えします。
- 三鷹市浸水ハザードマップ(第11版)で、自分の建物が河川沿いの浸水想定区域や崖線沿いの土砂災害警戒区域に含まれるかを確認する
- 屋上防水・ドレン・バルコニー排水の点検記録を、直近3年分だけでも見直す
- 受変電設備・給水ポンプの設置階を確認し、地下や1階にある場合は大規模修繕の議題に加える
理事会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。ご相談だけでも遠慮なくお問合せフォームからお声がけください。分譲マンションの管理組合さまは管理組合向けサービス、賃貸マンション・ビルのオーナーさまはビルオーナー向けサービスのページもご参照ください。
よくあるご質問
Q. 三鷹市は台地の上だから、水害の心配はないと聞きましたが本当ですか?
A. 市の大部分は武蔵野台地上にあり地盤は比較的良好ですが、神田川・野川・仙川沿いの低地には浸水想定区域が指定されています。建物の立地がどちらに該当するかをハザードマップで確認することをおすすめします。
Q. 崖線沿いにマンションがあるのですが、何を確認すればよいですか?
A. 土砂災害(特別)警戒区域に該当するかを三鷹市または東京都のマップで確認し、該当する場合は擁壁・外構の点検記録の有無を大規模修繕の議題に加えることをおすすめします。
Q. 屋上防水の工事はどのくらいの費用がかかりますか?
A. 防水工事は工法・面積により5,000〜8,000円/㎡が目安です。物件の規模や劣化状況により変動するため、無料で概算お見積りを提示できます。
Q. 台風が来る前に、緊急で屋上だけ直すことはできますか?
A. ロープアクセス工法であれば、足場を組まずに当日〜翌日に着手できるケースがあります。応急補修のご相談はお早めにお願いします。
Q. 分譲マンションでも耐震助成は使えますか?
A. 三鷹市の場合、3階建て以上・耐火または準耐火建築物・昭和56年5月31日以前に建築確認を取得しているなどの要件を満たせば対象になります。詳細は市の窓口でご確認ください。
Q. 液状化のリスクはどう考えればよいですか?
A. 三鷹市は武蔵野台地上にあるため都内平均より液状化の可能性は低い傾向にありますが、液状化予測図(令和3年度改訂版)で地点ごとの相対評価が公表されています。地盤調査の履歴がない古い建物は、大規模修繕の機会に基礎まわりの点検も合わせて検討することをおすすめします。
Q. 木造住宅向けの耐震助成と分譲マンション向けの助成は違うのですか?
A. 三鷹市では木造住宅(戸建て等)向けの耐震診断・改修助成制度と、分譲マンション向けの耐震助成制度が別枠で設けられています。共同住宅にお住まいの場合は、分譲マンション向けの制度が対象になりますので、申請前に窓口で対象制度をご確認ください。
出典・参考資料
- 三鷹市「三鷹市浸水ハザードマップ」
- 三鷹市「土砂災害(特別)警戒区域」
- 東京都建設局「土砂災害(特別)警戒区域の区市町村別指定状況」
- 三鷹市「東京の液状化予測図」
- 三鷹市「地震に関する地域危険度測定調査(第9回)」
- 三鷹市「分譲マンション耐震助成制度のご案内」
- 東京都建設局「神田川流域洪水浸水想定区域図」
本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月24日時点で公表されている三鷹市および東京都の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に耐震助成を申請される前に、必ず三鷹市の担当窓口へ最新の内容をご確認ください。
この記事の執筆者
本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。
最終更新:2026年9月24日
江戸川区のマンション漏水・防災対策|ゼロメートル地帯のハザードマップと大規模修繕の優先順位【2026年度版】
2026年9月24日 更新
小岩のマンションで理事会に呼ばれたとき、理事長さまから「うちは荒川にも江戸川にも近いから、正直、大雨のたびに落ち着かない」と言われたことがあります。私はその場で否定しませんでした。江戸川区は東京23区の中でも、水害のリスクを数字で見たときに一番正直に向き合わなければならない区の一つだからです。
私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。東京都東大和市を拠点に、20年近くマンション・ビル・ホテルの大規模修繕に携わってきました。仮設足場を組む工事も、ロープ1本でぶら下がる無足場の工事も、どちらも現場でやってきた人間として、今日は江戸川区のハザードマップの数字と、大規模修繕で先に手を打つべき場所を整理します。
結論:江戸川区の分譲・賃貸マンションで優先すべきは「屋上防水・排水設備」と「電気室・給水ポンプの浸水対策」です
先に結論を申し上げます。江戸川区の大規模修繕で私が最初に確認するのは、次の2点です。
1つ目は屋上防水とバルコニー排水経路の健全性。江戸川区は区面積の約7割が満潮位より低い「ゼロメートル地帯」です(出典:三井住友トラスト不動産「まちの防災情報 江戸川区」)。台風やゲリラ豪雨のたびに敷地の排水能力が追いつかなくなりやすく、屋上・バルコニーからの雨水侵入がそのまま漏水事故につながります。
2つ目は電気室・給水ポンプ・自家発電設備の設置位置。荒川と江戸川が氾濫した場合、区内には浸水深10m以上・浸水継続時間2週間以上になるエリアがあると想定されています(出典:同上、江戸川区水害ハザードマップ第2版)。地下や1階に電気室・ポンプ室がある建物では、水没した瞬間にエレベーター・給水・照明のすべてが止まります。この2点を大規模修繕の計画段階で見直すことが、江戸川区のマンションにとって最優先の対策になると私は考えています。
江戸川区のハザードマップを1枚で読む
区と国が公表している資料を、マンション修繕の視点で1枚に整理しました。
| 災害種別 | 江戸川区の該当 | 想定・該当範囲 |
|---|---|---|
| 洪水(荒川・江戸川、想定最大規模降雨) | あり | 浸水深10m以上・浸水継続2週間以上になるエリアを含む |
| 内水氾濫(下水道の排水能力超過) | あり | 短時間豪雨で区内の低地に広く発生し得る |
| 高潮 | あり | 台風・低気圧による海面上昇で河川へ海水が逆流 |
| 土砂災害警戒区域 | 指定なし | 区内全域が平坦な沖積低地のため(出典:東京都建設局「土砂災害(特別)警戒区域の区市町村別指定状況」) |
| 液状化 | 可能性あり | 液状化予測図(令和6年3月改訂)で相対評価を確認できる(出典:江戸川区「液状化予測図」) |
| 津波 | 限定的 | 東京湾内奥のため区独自のハザードマップは高潮想定に統合されている |
過去の被害では、大正6年(1917年)の高潮で区内を含む一帯で240名が犠牲になり、昭和24年(1949年)のキティ台風では区の約6割が水没した記録が残っています(出典:三井住友トラスト不動産「まちの防災情報 江戸川区」)。荒川・江戸川が同時に氾濫した最悪のケースでは、江戸川区・江東区・墨田区・葛飾区・足立区の江東5区全体で最大約250万人が浸水被害に遭うと想定されており、江東5区広域避難計画の検討対象にもなっています(出典:内閣府「大規模・広域避難に関する定量的な算出方法~江東5区における具体的な検討~」)。
正直に申し上げます。この数字を最初に見たとき、私自身も「ここまでか」と思いました。ただし過去の水害と今の建物の防水性能・排水能力は別の話です。ハザードマップは「怖がるための資料」ではなく、「どこを優先して直すかを決めるための資料」だと私は理事会でお伝えしています。
地域特性と漏水事故の関係
江戸川区は一つの顔ではなく、エリアごとにリスクの出方が違います。
臨海部・タワーマンション(西葛西・南葛西・臨海町など):海風による塩害で、外壁のシーリング劣化と鉄部の腐食が早く進みます。共用部の給排水管や設備配管の腐食も、内陸部より数年早く表面化する傾向があると私は現場で感じています。
中央部・低地の中高層マンション(中央・松島・小岩など):ゼロメートル地帯特有の内水氾濫リスクが高く、地下・半地下の駐車場や電気室が浸水すると、建物全体が長期間使用不能になりかねません。
荒川・江戸川沿いの物件:洪水と高潮が重なる複合災害の想定区域に入りやすく、想定最大規模降雨時には浸水継続が2週間を超えるエリアもあります。避難のタイミングだけでなく、垂直避難(上層階への移動)を前提にした建物内の備えが必要になります。
いずれのエリアでも共通するのは、「日常の漏水対策」と「非常時の浸水対策」がつながっているという点です。日頃の屋上防水・排水ドレンの点検を怠っている建物は、台風時の内水氾濫でも被害が大きくなります。
大規模修繕で必ずチェックすべき漏水ポイント7つ
私が漏水対応の現地調査で必ず見る7カ所です。江戸川区のような低地・多湿エリアでは、特に排水系統の劣化が早く進みます。
- 屋上防水層:経年劣化・膨れ・亀裂の有無。トップコートの摩耗だけでも雨水侵入のリスクが上がります。
- シーリング(目地):外壁パネル間・サッシまわりのシーリング材の硬化・ひび割れ。
- バルコニー排水(ドレン):落ち葉やゴミによる詰まりは、ゲリラ豪雨時に排水能力を一気に落とします。
- 屋上ドレン・オーバーフロー管:屋上に水がたまる「ドレン詰まり」は、江戸川区のような多雨エリアで漏水事故の最多原因の一つです。
- パラペット・笠木の立上り部:雨水の吹き込みが起きやすく、防水層の切れ目になりやすい箇所です。
- サッシまわりのシール:強風を伴う台風時、サッシ枠からの雨水侵入が急増します。
- エキスパンションジョイント:建物の伸縮を吸収する部材の劣化は、地震後の漏水事故の引き金にもなります。
これらは足場を組んでも、ロープアクセスでも点検・補修できます。ただし江戸川区のように台風シーズンの緊急対応が読みにくいエリアでは、足場の設置に日数がかかる工法より、即日着手できる工法を選べるかどうかが被害の拡大を左右します。技術的な詳細は姉妹サイトのロープアクセスドットコムでも解説しています。
漏水緊急対応でロープアクセスが強い理由
台風接近が予報された段階で「屋上の防水が心配」というご相談をいただくことがあります。仮設足場は組み立てだけで数日、規模によっては1〜2週間かかります。一方、ロープアクセス工法であれば、資材と作業員の手配ができ次第、当日〜翌日には屋上やバルコニーの応急補修に着手できます。
目安として、10階建て・外周80m・工期3ヶ月の大規模修繕を想定した場合、足場費用は約168万円、ロープアクセスなら約59万円というケースがあります(物件の規模・形状により変動するため、あくまで目安の一例です)。緊急の部分補修であれば、この差はさらに大きくなります。台風シーズンにピンポイントで屋上・バルコニーの防水だけを直したいというご相談には、ロープアクセスの機動力が向いていると私は考えています。
株式会社明誠は日本で数少ない、足場・ロープアクセス・ハイブリッド工法の3つから建物に最適な工法を提案できる会社です。ロープアクセスの高所作業について、明誠と全国のフランチャイズ加盟企業では過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。工法選びの考え方は明誠の施工事例からもご確認いただけます。詳しい技術情報はロープアクセスドットコムにまとまっています。
防災上の共用部(避難通路/エレベーター/受電設備/給水ポンプ/自家発電)の位置と修繕優先度
江戸川区のような浸水継続2週間以上を想定すべきエリアでは、共用部の設備配置そのものが防災計画の一部になります。私が理事会にお伝えしている優先順位は次のとおりです。
| 優先度 | 設備 | チェックポイント |
|---|---|---|
| 高 | 受変電設備・自家発電設備 | 地下・1階設置の場合、浸水想定深を超える高さへの移設・かさ上げを検討 |
| 高 | 給水ポンプ室 | 停電・浸水時の給水停止リスク。予備電源との連携を確認 |
| 中 | エレベーター機械室 | 冠水時の停止に備え、階段避難の動線と表示を確保 |
| 中 | 避難通路・共用廊下 | 浸水時に上層階へ垂直避難できる動線の明確化 |
| 中〜高 | 防水層・外壁(本記事の主題) | 日常の漏水対策が非常時の被害拡大を防ぐ土台 |
2019年の台風19号では、都内近郊のタワーマンションで地下の電気室が浸水し、長期間にわたり停電・断水・エレベーター停止が続いた事例が広く報じられました。江戸川区は当時のその物件よりも浸水想定が大きいエリアを抱えており、他人事とは思えない数字だと私は感じています。大規模修繕のタイミングは、防水・外壁の更新と同時に、こうした設備の位置を見直す数少ない機会でもあります。
江戸川区の防災補助・耐震助成
江戸川区は住宅・建築物の耐震化助成制度の中で、分譲マンションも対象にしています(出典:江戸川区「分譲マンション」、最終更新2026年7月3日)。
| 助成内容 | 助成率 | 対象要件 |
|---|---|---|
| 耐震診断 | 3分の2 | 3階建て以上・耐火または準耐火建築物 |
| 耐震改修設計 | 3分の2 | 複数の区分所有者が自ら居住していること |
| 耐震改修工事 | 2分の1(戸数に応じた上限額あり) | 昭和56年5月31日以前に建築確認を取得 |
具体的な上限額は戸数によって変わるため、区の建築指導課耐震化促進係(電話:03-5662-6389)への確認が必要です。あわせて、令和8年度からは戸建て向けの老朽住宅除却工事助成の上限額が50万円から100万円に拡充されています(出典:江戸川区「住宅・建築物の耐震化助成制度」、最終更新2026年5月18日)。年度の予定予算額に達し次第、申請受付が終了する制度のため、検討される場合は早めの相談をおすすめします。
まとめ|今週動くこと3点
江戸川区のマンション管理組合・オーナーさまに、今週すぐできることを3つお伝えします。
- 区の水害ハザードマップ第2版で、自分の建物の浸水想定深と継続時間を確認する
- 屋上防水・ドレン・バルコニー排水の点検記録を、直近3年分だけでも見直す
- 受変電設備・給水ポンプの設置階を確認し、地下や1階にある場合は大規模修繕の議題に加える
理事会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。ご相談だけでも遠慮なくお問合せフォームからお声がけください。分譲マンションの管理組合さまは管理組合向けサービス、賃貸マンション・ビルのオーナーさまはビルオーナー向けサービスのページもご参照ください。
よくあるご質問
Q. 江戸川区は本当にそんなに浸水するのですか?
A. 荒川・江戸川の両方が想定最大規模降雨で氾濫した場合の想定であり、毎年起きる規模の話ではありません。ただし区の7割がゼロメートル地帯であることは事実で、想定を知ったうえで建物の防水・設備配置を見直すことに意味があります。
Q. うちのマンションは高台にないので、防水以外にできることはありますか?
A. 受変電設備・給水ポンプの設置階の確認、止水板の準備、避難動線の見直しが有効です。大規模修繕のタイミングで設備移設を検討する管理組合さまも増えています。
Q. 屋上防水の工事はどのくらいの費用がかかりますか?
A. 防水工事は工法・面積により5,000〜8,000円/㎡が目安です。物件の規模や劣化状況により変動するため、無料で概算お見積りを提示できます。
Q. 台風が来る前に、緊急で屋上だけ直すことはできますか?
A. ロープアクセス工法であれば、足場を組まずに当日〜翌日に着手できるケースがあります。応急補修のご相談はお早めにお願いします。
Q. 分譲マンションでも耐震助成は使えますか?
A. 江戸川区の場合、3階建て以上・耐火または準耐火建築物・昭和56年5月31日以前に建築確認を取得しているなどの要件を満たせば対象になります。詳細は区の窓口でご確認ください。
Q. 液状化のリスクはどう考えればよいですか?
A. 江戸川区は液状化予測図(令和6年3月改訂)で相対的な評価が公表されています。地盤調査の履歴がない古い建物は、大規模修繕の機会に基礎まわりの点検も合わせて検討することをおすすめします。
出典・参考資料
- 江戸川区「江戸川区水害ハザードマップ第2版」
- 江戸川区「浸水想定区域図(想定最大規模)」
- 江戸川区「液状化予測図」
- 江戸川区「住宅・建築物の耐震化助成制度」
- 江戸川区「分譲マンション(耐震化助成)」
- 国土交通省 関東地方整備局「洪水浸水想定区域図・ハザードマップなど(江戸川河川事務所)」
- 東京都建設局「土砂災害(特別)警戒区域の区市町村別指定状況」
- 内閣府「大規模・広域避難に関する定量的な算出方法~江東5区における具体的な検討~」
- 三井住友トラスト不動産「まちの防災情報 江戸川区」
本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月24日時点で公表されている江戸川区および国土交通省・東京都の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に耐震助成を申請される前に、必ず江戸川区の建築指導課耐震化促進係へ最新の内容をご確認ください。
この記事の執筆者
本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。
最終更新:2026年9月24日
桶川市のマンション補助金|大規模修繕2026年度版
桶川市の分譲マンションで大規模修繕を控えている管理組合が、まず知っておくべきことは何か。私が今回いちばん驚いたのは、桶川市には「マンション長寿命化促進税制」そのものが存在しないという事実でした。固定資産税・都市計画税の減免・特例制度一覧のページを隅々まで確認しましたが、大規模修繕を行ったマンションの固定資産税を減額する制度は、桶川市のどこにも見当たりませんでした。
もう1つ、見過ごせない変化がありました。桶川市が独自に開いていた「マンション管理相談」は、令和6年1月の相談をもってすでに終了しています。今は埼玉県が運営する「住まい相談プラザ」(JR大宮駅構内)への案内に切り替わっています。市に電話をして「マンション相談はいつですか」と聞いても、もうその窓口自体が存在しないのです。
株式会社明誠の本間です。マンション・ビル・ホテルの大規模修繕を20年以上やってきました。この記事では、桶川市の管理組合が令和8年度に使える制度を、市の公式ページ・埼玉県の制度の原文にあたって整理します。数字はすべて出典リンク付きで書きます。
Q. 桶川市の分譲マンションで、大規模修繕に関連して使える制度は?
A. 共用部の工事費そのものに直接効く市独自の補助金は、公表情報からは確認できませんでした。使えるのは、①埼玉県の吹付けアスベスト等含有調査・除去補助金(該当する場合、除去等工事費は補助率3分の2・上限800万円)と、②埼玉県分譲マンションアドバイザー派遣(無料相談、ただし令和8年度分はすでに予算上限に達し受付終了)の2本です(出典:埼玉県、埼玉県)。
この記事の結論(先にお伝えします)
桶川市の分譲マンション管理組合が押さえるべきことは、次の3点です。
- マンション長寿命化促進税制(固定資産税の減額)は、桶川市には存在しません。 近隣の鴻巣市などでは大規模修繕後の固定資産税減額が用意されていますが、桶川市の固定資産税ページ・減免特例一覧のどこにも該当項目がありません。税制メリットを前提に資金計画を立てることはできません。
- 市のマンション管理相談窓口は令和6年1月で終了済み。 今は埼玉県の「住まい相談プラザ」(大宮駅、毎日10:00〜18:30)が受け皿です。理事会が「市に聞けば分かる」と思っていると、たらい回しになります。
- 埼玉県分譲マンションアドバイザー派遣は桶川市も対象ですが、令和8年度分はすでに終了しています。 予算上限に達したためで、次に使えるのは令和9年度(最終年度)分からです。
なお、ロープアクセス工法(無足場工法)そのものの一般的な技術解説は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムにまとめています。
桶川市で令和8年度に管理組合が使える主な制度を、一覧にしておきます。
| 制度名 | 共用部に使えるか | 金額 | 窓口 |
|---|---|---|---|
| 埼玉県 吹付けアスベスト等含有調査・除去補助金 | 使える可能性あり | 調査:1検体8万円・1棟あたり25万円上限/除去等:費用の3分の2・上限800万円(延べ面積1,000㎡未満は400万円) | 埼玉県建築安全課(048-830-5527) |
| マンション管理計画認定制度 | 制度の認定 | 市への申請手数料は無料(システム利用料・事前確認審査料は別途) | 桶川市建築課 営繕・住宅係 |
| マンション長寿命化促進税制 | 制度なし(確認できず) | ― | ― |
| 埼玉県分譲マンションアドバイザー派遣 | 相談が無料 | 無料・最大2回派遣。令和8年度分は受付終了、令和9年度が最終年度 | 埼玉県住宅課 |
| 桶川市住宅リフォーム資金補助金 | 使えない(専有部のみ) | 工事費の5%・上限10万円(市内業者施工が条件) | 産業観光課 |
| 桶川市既存木造住宅耐震化事業 | 使えない(木造戸建て限定) | 診断上限5万円・改修上限80万円 | 建築課 建築指導係 |
| 桶川市脱炭素事業推進奨励金 | 共用部への適用は不明確 | 機器ごと定額(例:太陽光5万円)/令和8年度は受付終了 | 環境対策推進課 |
「使えない」も「制度自体がない」も、正直に並べました。期待させてから外すのが、私は一番よくないと思っています。
マンション長寿命化促進税制|桶川市には制度そのものがありません
大規模修繕を行ったマンションの固定資産税を減額する「マンション長寿命化促進税制」は、国の地方税法改正を受けて各市区町村が条例で導入するかどうかを判断する制度です(出典:国土交通省「マンション長寿命化促進税制」)。
桶川市の「固定資産税・都市計画税の減免・特例制度」一覧ページを確認すると、掲載されている制度は次の10項目でした(出典:桶川市「固定資産税・都市計画税の減免・特例制度」)。
太陽光発電設備に係る固定資産税(償却資産)の申告及び課税の軽減措置/地域決定型地方税制特例措置(わがまち特例)/家屋の評価のしくみと新築住宅に対する固定資産税の減額/固定資産税・都市計画税の減免/高齢者等居住改修(バリアフリー改修)工事に伴う固定資産税の減額/認定長期優良住宅に係る固定資産税の減額/サービス付き高齢者向け住宅に係る固定資産税の減額/住宅耐震改修に伴う固定資産税の減額/住宅の熱損失防止(省エネ)改修工事に伴う固定資産税の減額
このリストに「マンション長寿命化促進税制」「大規模修繕」に関する項目は含まれていません。 導入するかどうかは市区町村の判断に委ねられている制度である以上、「桶川市が今後導入する可能性がゼロ」とまでは言い切れませんが、少なくとも令和8年9月時点の公表情報からは、この制度は確認できませんでした。
私がこれまで訪れた自治体の中には、この税制を条例化しているところとしていないところが両方あります。大規模修繕の資金計画を立てる際、「固定資産税が減額されるはず」という前提を桶川市の管理組合が持つと、後で計画が狂います。 総会資料には、この点を明記しておくことをお勧めします。
なお、一覧には「住宅耐震改修に伴う固定資産税の減額」という別の項目があります。これは旧耐震基準(昭和57年1月1日以前建築)の住宅が耐震改修を行った場合に固定資産税を減額する、地方税法に基づく全国共通の制度で、木造戸建てに限定した市の補助制度(後述)とは別枠です。分譲マンションが対象になり得るか、対象となる場合の減額率・期間について、桶川市の公開ページからは共同住宅への適用可否を明確に読み取ることができませんでした。該当しそうな旧耐震マンションの管理組合は、税務課へ直接ご確認ください。
埼玉県 吹付けアスベスト等含有調査・除去補助金|桶川市は対象区域です
この制度は埼玉県が運営しており、対象外となる市が12市定められています(出典:埼玉県「民間建築物のアスベスト除去等に対する補助制度のご案内」)。
さいたま市、川越市、熊谷市、川口市、所沢市、春日部市、狭山市、上尾市、草加市、越谷市、新座市及び久喜市
桶川市はこの12市に含まれていません。 つまり、桶川市内のマンションは埼玉県の制度をそのまま使える対象区域にあります。県のページの掲載日は2026年5月11日です。
いくらもらえるのか
| 項目 | 補助率・上限額 |
|---|---|
| 含有調査費 | 1検体あたり8万円、かつ1棟あたり25万円が上限 |
| 除去等工事費 | 費用の3分の2、上限800万円(延べ面積1,000㎡未満の建築物は上限400万円) |
対象となるのは吹付けアスベスト・吹付けロックウール・吹付けパーライト・吹付けバーミキュライトで、アスベストを重量の0.1%を超えて含有するもの。除去・封じ込め・囲い込み、または解体工事が対象です。申請の窓口も桶川市役所ではなく埼玉県都市整備部建築安全課(048-830-5527)で、市を経由しません。
上限800万円という金額は、戸数で割ると体感しやすくなります。80戸のマンションなら1戸あたり10万円相当、40戸なら1戸あたり20万円相当です。仮設足場費が総工費の15〜25%を占めることを考えると、除去費用の補助だけで足場費の一部を相殺できる規模感だと私は見ています。築年数の古いマンションで、機械室・パイプシャフト・駐車場の天井などに吹付け材が残っている場合、大規模修繕の劣化診断とあわせて調査だけでも先に済ませておく価値があります。
桶川市のマンションは「新旧が同居する」まちです
ここが、桶川市を語るうえで避けて通れない特徴です。全国マンションデータベースに登録されている桶川市内の分譲マンション(確認できた範囲で54件)を見ると、最新の物件は2026年3月竣工の「サンクレイドル桶川2」、最も古いものは1992年2月竣工の「ウィズ桶川リエンテ」でした(出典:全国マンションデータベース「桶川市|登録分譲マンション一覧」)。竣工年の幅は34年に及びます。
立地は桶川駅周辺(駅から徒歩1〜20分圏内)に最も集中し、次いで北上尾駅周辺(徒歩3〜7分圏内)に多く見られます。町丁別では「若宮」に18件、「泉」に7件が登録されており、駅周辺の限られたエリアに、新耐震初期の物件から2026年築の新築まで幅広い世代のマンションが混在しているのが桶川市の実像です。
このデータベースはすべての物件を網羅した公式統計ではなく、桶川市が公表している分譲マンションの棟数・築年数の全数調査結果を私は確認できませんでした。ですので断定はできませんが、築30年を超える物件から築数年の新築まで、修繕サイクルがバラバラに存在するという傾向ははっきり見て取れます。この状況が意味することは、実務的には2つあります。
- 旧耐震(昭和56年5月31日以前)に該当する分譲マンションが桶川市に存在する可能性は、鴻巣市などの新しいまちより高い。 1992年築の物件でもすでに新耐震基準ですが、周辺により古い賃貸・戸建てが混在する地域特性を踏まえると、旧耐震の共同住宅がゼロとは言い切れません。
- 築20〜30年クラスの、2回目の大規模修繕を控えた管理組合が、桶川市では一定のボリュームを持っている可能性が高い。 この年代は、初回修繕の経験を踏まえた長期修繕計画の「実績に基づく見直し」が論点になります。
ご自身のマンションが何年に竣工したか、そして周辺に同世代の物件がどれくらいあるかは、理事会で一度共有しておく価値のある情報だと思います。
マンション管理計画認定制度|桶川市の独自基準はありません
マンション管理計画認定制度は、管理組合が作成した管理計画を自治体が認定する仕組みです(出典:国土交通省「マンション管理計画認定制度」)。桶川市のページには、次のように明記されています(出典:桶川市「マンション管理計画認定制度」)。
市への申請手数料は無料です。ただし、公益財団法人マンション管理センターが運用する管理計画認定手続支援サービスのシステム利用料のほか、事前確認に係る審査料が別途必要です。
申請手数料そのものは無料という点は、管理組合にとって分かりやすいメリットです。一方で、システム利用料と事前確認審査料という2つの実費は発生しますので、私は総会資料には「市への申請手数料は無料。ただしシステム利用料と事前確認審査料は別途必要」と、両方セットで書くことをお勧めしています。
もう1つ、認定基準についてはこう明記されています。
市の独自基準はなく、国がマンション管理適正化指針に定める基準と同一の内容です。
上乗せ基準を設けている自治体もある中で、桶川市はシンプルな運用です。有効期間は認定日から5年間で、更新しなければ効力を失います。窓口は建築課 営繕・住宅係(048-788-4956)、所在地は桶川市泉一丁目3番28号です。総会での決議 → 認定申請依頼 → 事前確認 → 認定申請 → 認定 → 公表、という流れは他の自治体と共通しています。理事会だけでは前に進みませんので、逆算した準備が必要です。
桶川市既存木造住宅耐震化事業|マンションは対象外です
桶川市には木造住宅を対象にした耐震診断・耐震改修の補助制度がありますが、対象は明確に木造限定です(出典:桶川市「桶川市既存木造住宅耐震化事業」)。
| 工事種別 | 補助率 | 上限額 |
|---|---|---|
| 耐震診断 | 2分の1 | 5万円 |
| 耐震改修 | 23% | 80万円 |
| リフォーム(耐震改修と合算) | 2分の1 | 80万円(耐震改修費との合算上限) |
| 建替え | 23% | 80万円 |
対象は「在来軸組構法または枠組壁工法によって建築された建築物」で、着工が昭和56年5月31日以前(旧耐震基準)のものに限られます。鉄筋コンクリート造・鉄骨造の分譲マンションは、この補助制度の対象にはなりません。窓口は建築課 建築指導係(048-788-4957)です。
桶川市は「限定特定行政庁」|大きな建物は越谷建築安全センターが窓口です
建築基準法第12条に基づく定期報告制度(いわゆる12条点検)や建築確認は、「どこの市町村に建物があるか」だけでなく、「その市がどこまでの権限を持つ特定行政庁か」によって窓口が変わります。桶川市は、平成10年4月から「限定特定行政庁」という立場にあります(出典:埼玉県「建築行政法規等担当窓口一覧」)。
限定特定行政庁とは、建築確認・検査の権限を限定的にしか持たない特定行政庁のことです。桶川市の場合、次のように窓口が分かれます。
- 桶川市建築課が担当:木造2階建て・延べ面積300㎡以下・高さ16m以下など、限定的な範囲の建築物(電話:048-788-4957)
- 越谷建築安全センターが担当:それ以外の建築物(多くの分譲マンションはこちらに該当する可能性があります)
鴻巣市のように市が自前で建築確認を行う特定行政庁である自治体と、桶川市のような限定特定行政庁とでは、規模の大きな共同住宅の確認申請・定期報告の実質的な窓口が異なります。ご自身のマンションの12条点検の提出先・報告状況について、桶川市建築課(048-788-4957)と越谷建築安全センターのどちらが窓口になるかは、まず桶川市建築課に電話で確認するのが確実です。 マンション管理計画認定制度の審査でも、12条点検の報告状況が確認されることがありますので、認定を検討している管理組合はなおさら早めの確認をお勧めします。
桶川市住宅リフォーム資金補助金|専有部のみ・市内業者限定です
令和8年4月1日から受付が始まったこの補助金は、対象を次のように定めています(出典:桶川市「令和8年度桶川市住宅リフォーム資金補助金」)。
マンションの場合、個人の専用部分のみが対象となります。
補助額は工事費の5%(上限10万円)。ブロック塀等の撤去・処分については、費用の50%・上限10万円という別枠もあります。ただし共用部の外壁塗装や防水工事といった大規模修繕そのものには使えません。
もう1つ、見落とされがちな要件があります。
市内に事業所を有する施工業者が行うこと
これは施工業者が桶川市内に事業所を置いていることを求める要件です。株式会社明誠は東京都東大和市の会社であり、桶川市内に事業所を置いていないため、当社が施工する工事はこの補助金の対象にはなりません。 自社に不利な情報ですが、正直にお伝えしておきます。工事完了期限は令和9年3月19日、問い合わせは産業観光課(048-786-3211)です。
桶川市脱炭素事業推進奨励金|令和8年度分はすでに受付終了です
桶川市には太陽光発電・蓄電池・V2H充電設備などを対象にした奨励金制度もあります(出典:桶川市「桶川市脱炭素事業推進奨励金」)。太陽光発電・蓄電池・V2Hはそれぞれ定額5万円などの支給です。
ただし2点、注意が必要です。第一に、交付条件は「市内に住宅を所有し居住する住宅に機器を設置」となっており、分譲マンションの共用部設備(例えば共用灯の太陽光化や共用蓄電池)への適用可否は、ページ上では明確にされていません。 第二に、令和8年度の申請受付は令和8年6月11日ですでに終了しています。 機器の設置工事着工前の申請が必須で、この記事を公開している時点(9月)では、令和8年度枠は使えません。共用部への活用を検討する管理組合は、来年度の受付開始時期を環境対策推進課(048-788-4924)に確認しておくことをお勧めします。
桶川市のマンション管理相談は終了、今は埼玉県の「住まい相談プラザ」へ
もう1つ、桶川市の管理組合にとって知っておくべき変化があります。桶川市が独自に開催していた「マンション管理相談」は、令和6年1月の相談をもって終了しました(出典:桶川市「マンション管理相談」)。
現在案内されている代替窓口は、埼玉県が埼玉県住宅供給公社に委託して運営する「住まい相談プラザ」です(出典:桶川市「住まい相談プラザ」)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 場所 | JR大宮駅コンコース西口内 |
| 営業時間 | 午前10時〜午後6時30分(12月29日〜1月3日を除き毎日) |
| 相談内容 | リフォーム、マンション管理、法律相談、県営住宅の案内など |
| 費用 | 無料 |
| 問い合わせ | 048-658-3017 |
市の窓口が終了しているため、「桶川市役所にマンション相談の予約を取りたい」と考えている理事長さまは、まず大宮駅の住まい相談プラザに問い合わせるのが早道です。 桶川駅から大宮駅までは高崎線で1本、20分弱です。
埼玉県分譲マンションアドバイザー派遣|桶川市は対象ですが令和8年度分は終了しています
埼玉県は、分譲マンションの管理組合に対してマンション管理士等を無料で派遣する制度を運営しています(出典:埼玉県「市部における埼玉県分譲マンションアドバイザーの無料派遣について」)。桶川市はこの対象市に含まれています。
派遣は無料、1組合あたり最大2回まで利用できます。ここで大事な注意点があります。
令和8年度は予算上限に達しましたので、終了しました
令和8年度分の新規申込は、すでに締め切られています。 令和8年度は約13組合、令和9年度は約9組合が派遣対象の見込みで、令和9年度がこの制度の最終年度です。
令和10年度以降、派遣については各市にお問い合わせください。
つまり、県によるこの制度は令和9年度で終わり、令和10年度以降は市ごとの対応に移行する見通しです。桶川市が独自にこの制度を引き継ぐかどうかは、現時点の公表情報からは確認できませんでした。長期修繕計画の見直しで第三者の意見を聞きたい管理組合は、令和9年度の受付開始と同時に申し込むくらいの心づもりでいることをお勧めします。申込窓口は埼玉県都市整備部住宅課マンション・居住支援担当(048-830-5573)です。
紅花の集散地だったまちだからこそ言えること
桶川市は中山道六十九次の6番目の宿場「桶川宿」であり、江戸時代には「武州紅花」の一大集散地として栄えました。紅花は染料・口紅の原料として京都にまで運ばれ、桶川宿の商人たちが最上(山形)の紅花商人と肩を並べるほどの財を成したと伝えられています。
この歴史には、大規模修繕の実務にもつながる話があると私は考えています。紅花という一次産品を遠方まで安定して運び、価値を落とさず届けるには、荷造り・輸送・保管という一つひとつの工程の質が問われました。どこか一つの工程で手を抜けば、最終的な商品価値が下がる。 これは、劣化診断・工法選定・施工・アフター点検という大規模修繕の一連の工程にもそのまま当てはまります。足場代を削るために劣化診断を省略したり、安さだけで施工会社を選んだりすれば、10年後の建物価値という「最終的な商品」が損なわれます。
もう1つ、桶川駅周辺は江戸時代からの宿場町としての町割りが残るエリアと、高崎線沿線の宅地開発で生まれた比較的新しい住宅地が隣接しています。古いものと新しいものが同じまちの中で共存している点は、先ほど述べた「築1992年から2026年まで、世代の異なるマンションが同じ駅周辺に混在する」という桶川市の物件傾向とも重なる、私にとって印象的な符合でした。
桶川市で無料・低コストで使える相談窓口
- 住まい相談プラザ(048-658-3017):リフォーム・マンション管理・法律相談(大宮駅、無料)
- 埼玉県分譲マンションアドバイザー派遣(048-830-5573):令和9年度受付開始を待つ(無料・最大2回)
- 桶川市建築課 営繕・住宅係(048-788-4956):マンション管理計画認定制度
- 桶川市建築課 建築指導係(048-788-4957):12条点検の窓口確認、耐震化事業(木造限定)
- 埼玉県建築安全課(048-830-5527):吹付けアスベスト補助金の申請
- 桶川市税務課(048-788-4916):固定資産税に関する確認(長寿命化促進税制は制度なし)
モデルケース|桶川市の2つの典型でいくらになるか
桶川市の物件傾向(駅近・新旧混在)を踏まえて、2つのケースで試算します。金額はいずれも目安で、実際は現地調査のうえでお見積りします。
ケースA:桶川駅圏の単棟型 築14年 10階建て・70戸
初回の大規模修繕を検討する段階です。足場工法での見積り概算は約7,900万円。ハイブリッド工法(外壁は足場、屋上・上層部の点検はロープアクセスを併用)に切り替えると約6,850万円(▲1,050万円、1戸あたり約15万円の圧縮)。工期は足場の架け払いが1回分減ることで、約5.5か月から約4.5か月に短縮できる見込みです。桶川市には長寿命化促進税制がないため、税制メリットを見込まず、純粋な工事費の圧縮効果として資金計画に組み込むことをお勧めします。
ケースB:北上尾駅圏の団地型 築29年 5階建て×3棟・90戸
過去に一度、外壁塗装のみの部分修繕歴があるケースです。全面的な大規模修繕(外壁塗装等・床防水・屋根防水を一体実施)を足場工法で行うと約1億400万円。ロープアクセス主体のハイブリッド工法では約8,800万円(▲1,600万円、1戸あたり約17.8万円の圧縮)。築29年で旧耐震・新耐震の境界に近い年代のため、まずは12条点検の報告状況と、越谷建築安全センター・桶川市建築課どちらが窓口かの確認を優先することをお勧めします。㎡単価の目安は、外壁塗装等3,500〜4,500円、タイル打診調査250〜500円、防水5,000〜8,000円。仮設足場費は総工費の15〜25%が一般的な水準です。
見積書で必ず確認していただきたい5点
- 足場・養生の仮設費が総工費に占める割合(一式表記でなく内訳を出してもらう)
- 含有調査(アスベスト等)の有無と、埼玉県補助金の申請サポートの可否
- 見積り時点で判明していない仮定数量が超過した場合の追加単価(契約書に明記してもらう)
- 足場リース期間が延びた場合の追加費用の負担者
- 設計監理者と施工会社との資本関係(利益相反の有無)
正直に申し上げます|私は施工会社の人間です
ここまでお読みいただいた方に、あらためてお伝えしておきたいことがあります。私は施工会社の人間であり、自社の工法を勧める立場にあります。その前提でこの先を読んでください。
ロープアクセス工法が万能というわけではありません。次のような条件では、足場工法のほうが適していることが実際にあります。
- タイルの浮きが外壁面積のおおむね20%を超えている
- バルコニー内部の防水や下地補修が主体になる
- サッシ・開口部の交換を伴う
- 敷地の外周に十分な平場が確保できる
また、「ロープアクセスなら住戸への立ち入りは一切不要」というのも正確ではありません。バルコニー内部や住戸まわりのシーリング打ち替えなどは、工法にかかわらず立ち入りが必要になる場合があります。曖昧なまま契約して後で叱られるのは、施工会社ではなく、それを住民に説明した理事会です。
私が3つの工法(通常の足場仮設、無足場工法であるロープアクセス、両者を組み合わせたハイブリッド)を持っている意味は、ここにあります。足場しか持たない会社は足場を勧めるしかなく、ロープしか持たない会社はロープを勧めるしかありません。3つ持っているからこそ、状況によっては足場を勧めることもできます。
株式会社明誠はこれまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセス工法での高所作業について、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業では過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。IRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の技能訓練を受けた作業員、ISO9001品質マネジメントシステム、日本ロープ高所作業協会の事務局。そして、日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部として、塗装・防水・タイル・電気・看板の各分野の専門職が加盟しています。
フランチャイズの仕組みで各分野の専門会社が直接施工に入るため、中間マージンを圧縮しながら品質を保てます。これが「高品質で低価格」を成り立たせている仕組みです。技術面の詳しい解説はロープアクセスドットコムでご覧いただけます。
当社のロープアクセス工法そのものについてはロープアクセス工法のご紹介で、大規模修繕工事の総合的な進め方は大規模修繕工事のご紹介でご覧いただけます。管理組合さま向けのサービス内容はマンション管理組合向けの大規模修繕サービスに、これまでの施工実績は明誠の施工事例にまとめています。漏水が起きている物件については漏水調査・止水工事もあわせてご覧ください。工法選定でお悩みの際はピンポイント施工のページも参考にしていただけます。
この秋、桶川市の管理組合がやることの順番
| 時期 | やること | 窓口・備考 |
|---|---|---|
| 9月〜10月 | ご自身のマンションの竣工年・旧耐震か新耐震かを確認 | 登記簿・確認済証で確認 |
| 9月〜10月 | 吹付け材(機械室・PS・駐車場天井等)の有無を確認 | 該当すれば埼玉県建築安全課へ相談 |
| 10月 | 12条点検の窓口(桶川市建築課/越谷建築安全センター)を確認 | 048-788-4957 |
| 10月〜11月 | 大規模修繕の劣化診断を実施・前倒し | アスベスト調査と同時実施を検討 |
| 11月〜12月 | 見積を3社取得。足場費の内訳・仮定数量超過単価を必須項目に | 固定資産税減額は見込めない前提で試算 |
| 12月〜1月 | 管理計画認定を総会議案へ(市の手数料は無料) | 長期修繕計画の見直しとセット |
| 随時 | 埼玉県分譲マンションアドバイザー派遣の令和9年度受付を待つ | 埼玉県住宅課、令和8年度分は終了済み |
よくあるご質問
Q. 桶川市の分譲マンションで、共用部の大規模修繕費用そのものに直接使える市の補助金はありますか。
A. 令和8年度の公表情報からは確認できませんでした。共用部そのものに直接効くのは、埼玉県の吹付けアスベスト補助金(該当する場合)です。桶川市住宅リフォーム資金補助金は専有部分のみが対象で、市内業者施工が条件です。
Q. 桶川市にはマンション長寿命化促進税制(固定資産税の減額)はありますか。
A. 桶川市の固定資産税・都市計画税の減免・特例制度一覧を確認しましたが、該当する制度は見当たりませんでした。近隣市にある制度と同じものが桶川市にもあると思い込まず、税務課(048-788-4916)へ直接ご確認ください。
Q. 埼玉県分譲マンションアドバイザー派遣は、今すぐ申し込めますか。
A. 令和8年度分はすでに予算上限に達し受付が終了しています。次に申し込めるのは令和9年度(この制度の最終年度)分からです。埼玉県住宅課(048-830-5573)に、令和9年度の受付開始時期を確認しておくことをお勧めします。
Q. うちのマンションの12条点検は、桶川市とどちらが窓口になりますか。
A. 桶川市は限定特定行政庁のため、木造2階建て・延べ面積300㎡以下等の限定的な範囲を除き、多くの分譲マンションは越谷建築安全センターが窓口になる可能性があります。まずは桶川市建築課(048-788-4957)に、ご自身のマンションがどちらの窓口になるかをご確認ください。
Q. ロープアクセス工法にすれば、必ず費用は安くなりますか。
A. そうとは限りません。タイルの浮きが広範囲に及ぶ場合や、バルコニー内部の工事が主体になる場合は、足場工法のほうが効率的なことがあります。敷地条件や劣化状況によって最適な工法は変わりますので、まずは現地調査でご相談ください。
この記事のポイントまとめ
- 桶川市にはマンション長寿命化促進税制(固定資産税減額)が存在しない
- 市のマンション管理相談は令和6年1月で終了、今は県の住まい相談プラザ(大宮駅)
- 埼玉県分譲マンションアドバイザー派遣は対象市だが令和8年度分は受付終了
- 桶川市は限定特定行政庁、大きな建物の12条点検は越谷建築安全センターが窓口の可能性
- 分譲マンションは1992年〜2026年築と世代混在、54件が桶川・北上尾両駅周辺に集中
出典・参考資料
- 桶川市「マンション管理計画認定制度」(更新日2024年5月1日)
- 桶川市「固定資産税・都市計画税の減免・特例制度」
- 桶川市「桶川市既存木造住宅耐震化事業(補助制度)」
- 桶川市「令和8年度桶川市住宅リフォーム資金補助金」(更新日2025年3月26日)
- 桶川市「桶川市脱炭素事業推進奨励金」
- 桶川市「マンション管理相談」(令和6年1月終了)
- 桶川市「住まい相談プラザのご案内」
- 桶川市「桶川市の人口と世帯数」(令和8年9月1日現在)
- 埼玉県「民間建築物のアスベスト除去等に対する補助制度のご案内」(掲載日2026年5月11日)
- 埼玉県「市部における埼玉県分譲マンションアドバイザーの無料派遣について」
- 埼玉県「建築行政法規等担当窓口一覧(桶川市)」
- 国土交通省「マンション管理計画認定制度」
- 国土交通省「マンション長寿命化促進税制(固定資産税の特例措置)」
- 全国マンションデータベース「桶川市|登録分譲マンション一覧」(民間データベース・参考情報)
▼ロープアクセス工法・無足場工法の詳細解説はこちら
ロープアクセスドットコム|無足場工法専門メディア
本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月24日時点で公表されている桶川市および国土交通省・埼玉県の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請される前に、必ず桶川市および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。特に住宅耐震改修に伴う固定資産税減額の共同住宅への適用可否、脱炭素事業推進奨励金の共用部への適用可否、12条点検の対象規模と窓口区分については、公開情報から断定できなかったため、窓口でのご確認をお願いします。
桶川市の管理組合さまへ。固定資産税の減額が見込めない分、埼玉県のアスベスト補助金と分譲マンションアドバイザー派遣(令和9年度分)をどう使うかが、資金計画のポイントになる方もいらっしゃると思います。ご相談だけでも遠慮なくお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。
ご相談は株式会社明誠のお問い合わせフォームから承っています。
この記事の執筆者
本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。
最終更新:2026年9月24日
鴻巣市のマンション補助金|大規模修繕2026年度版
鴻巣市の分譲マンションで大規模修繕を控えている管理組合が、まず知っておくべき制度は何か。私が今回いちばん驚いたのは、熊谷市や久喜市にはない「埼玉県の制度がそのまま使える」という鴻巣市の立ち位置でした。吹付けアスベストの含有調査・除去費用について、鴻巣市は独自の補助制度を持たない代わりに、埼玉県の補助制度をそのまま利用できる対象区域に入っています。
もう1つ、意外な発見がありました。鴻巣市に登録されている分譲マンションを民間データベースで見ると、最新の物件は2025年2月竣工、確認できた範囲で最も古いものでも2007年築です。旧耐震(昭和56年5月31日以前)のマンションを前提にした補助金が、鴻巣市ではそもそも噛み合わない可能性があるのです。
株式会社明誠の本間です。マンション・ビル・ホテルの大規模修繕を20年以上やってきました。この記事では、鴻巣市の管理組合が令和8年度に使える制度を、市の要綱・埼玉県の制度の原文にあたって整理します。数字はすべて出典リンク付きで書きます。
Q. 鴻巣市の分譲マンションで、大規模修繕に関連して使える制度は?
A. 共用部の工事費そのものに直接効くのは、①埼玉県の吹付けアスベスト等含有調査・除去補助金(該当する場合、除去等工事費は補助率3分の2・上限800万円)と、②マンション長寿命化促進税制(2回目以降の大規模修繕で固定資産税を3分の1減額、期限は令和9年3月31日完了)の2本柱です(出典:埼玉県、鴻巣市)。
この記事の結論(先にお伝えします)
鴻巣市の分譲マンション管理組合が押さえるべきことは、次の3点です。
- 吹付けアスベストの調査・除去費用は、埼玉県の補助金がそのまま使える(鴻巣市は除外12市に入っていないため)。除去等工事費は補助率3分の2・上限800万円。旧耐震で吹付け材を使っている可能性のある物件は、まずここを確認する価値があります。
- マンション管理計画認定制度は、鴻巣市への申請手数料が無料。しかも鴻巣市は認定基準に市独自の上乗せをしておらず、国のマンション管理適正化指針とそのまま同じ内容です。
- マンション長寿命化促進税制(固定資産税の減額)は、令和9年3月31日完了が期限。公開時点で残り半年程度です。ただし2回目以降の大規模修繕が対象のため、初回の大規模修繕を控えている管理組合には使えません。
なお、ロープアクセス工法(無足場工法)そのものの一般的な技術解説は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムにまとめています。
鴻巣市で令和8年度に管理組合が使える主な制度を、一覧にしておきます。
| 制度名 | 共用部に使えるか | 金額 | 窓口 |
|---|---|---|---|
| 埼玉県 吹付けアスベスト等含有調査・除去補助金 | 使える可能性あり | 調査:1検体8万円・1棟25万円が上限/除去等:費用の3分の2・上限800万円(延べ面積1,000㎡未満は400万円) | 埼玉県建築安全課(県庁に直接申請) |
| マンション管理計画認定制度 | 制度の認定 | 市への申請手数料は無料(システム利用料・事前確認審査料は別途) | 建築住宅課 |
| マンション長寿命化促進税制 | 使える(2回目以降の工事に限る) | 家屋の固定資産税を1年度分3分の1減額(100㎡相当まで) | 税務課 家屋担当 |
| 埼玉県分譲マンションアドバイザー派遣 | 相談が無料 | 無料・最大2回派遣。令和8年度は約13組合、令和9年度が最終年度 | 埼玉県住宅課 |
| 鴻巣市住宅リフォーム資金補助事業 | 使えない(専有部のみ) | 補助対象経費の5%・上限10万円 | 建築住宅課 |
| 木造住宅耐震診断・改修助成 | 使えない(木造戸建て限定) | 診断上限5万円・改修上限20万〜30万円 | 建築住宅課 |
「使えない」も正直に並べました。期待させてから外すのが、私は一番よくないと思っています。
埼玉県 吹付けアスベスト等含有調査・除去補助金|熊谷市・久喜市にはない鴻巣市の強み
この制度は、実はここまでのシリーズで訪れた熊谷市・久喜市では使えませんでした。両市は独自の補助制度を持つため、埼玉県の制度の対象区域から外れているからです(出典:埼玉県「民間建築物のアスベスト除去等に対する補助制度のご案内」)。
埼玉県の制度が対象外とする市は、次の12市です。
さいたま市、川越市、熊谷市、川口市、所沢市、春日部市、狭山市、上尾市、草加市、越谷市、新座市及び久喜市
鴻巣市はこの12市に含まれていません。 つまり、鴻巣市内のマンションは埼玉県の制度をそのまま使える対象区域にあります。この制度は平成21年度から続いており、県のページの掲載日は2026年5月11日です。
いくらもらえるのか
| 項目 | 補助率・上限額 |
|---|---|
| 含有調査費 | 1検体あたり8万円、かつ1棟あたり25万円が上限 |
| 除去等工事費 | 費用の3分の2、上限800万円(延べ面積1,000㎡未満の建築物は上限400万円) |
延べ面積1,000㎡未満の建築物については、県のページに「定期報告の対象となる建築物(共同住宅、寄宿舎を除く)に限る」という条件が付されています。これをそのまま読むと、延べ面積1,000㎡未満の共同住宅(マンション)は、この例外規定の対象から外れるとも解釈できます。一方、延べ面積が1,000㎡以上のマンションであれば、この条件そのものが関係なくなります。中規模以上の分譲マンションであれば延べ面積1,000㎡を超えることが多いため、実務上は多くの物件が該当し得ると私は見ていますが、条文の解釈が読み手によって分かれ得る部分ですので、ご自身のマンションが対象になるかどうかは、申請前に埼玉県建築安全課へ直接ご確認ください。
申請の窓口も、鴻巣市役所ではなく埼玉県都市整備部建築安全課です。市を経由しないという点が、他の制度と違うところなので注意してください。
上限800万円という金額は、戸数で割ると体感しやすくなります。80戸のマンションなら1戸あたり10万円相当、40戸なら1戸あたり20万円相当です。仮設足場費が総工費の15〜25%を占めることを考えると、除去費用の補助だけで足場費の一部を相殺できる規模感だと私は見ています。
対象となるのは「吹付けアスベスト」「吹付けロックウール」で、アスベストを重量の0.1%を超えて含有するもの。除去・封じ込め・囲い込み、または解体工事が対象です。築年数の古いマンションで、機械室・パイプシャフト・駐車場の天井などに吹付け材が残っている場合、大規模修繕の劣化診断とあわせて調査だけでも先に済ませておく価値があります。
鴻巣市のマンションは、実は「新しい」まちです
ここが、鴻巣市を語るうえで避けて通れない特徴です。全国マンションデータベースに登録されている鴻巣市内の分譲マンション(確認できた範囲で104件)を見ると、最新の物件は2025年2月竣工の「グランセンチュリー鴻巣」、確認できた最も古いものでも2007年1月竣工でした(出典:全国マンションデータベース「鴻巣市|登録分譲マンション一覧」)。
このデータベースはすべてのマンションを網羅した公式統計ではなく、鴻巣市が公表している分譲マンションの棟数・築年数の全数調査結果を私は確認できませんでした。ですので「鴻巣市に旧耐震マンションが1棟もない」と断定するつもりはありません。ただし、掲載されている物件が鴻巣駅・北鴻巣駅・吹上駅の周辺、駅から徒歩1〜8分の範囲に集中しており、いずれもJR高崎線の開通後、特に平成後期から令和にかけて分譲されたマンションが目立つという傾向は、はっきり見て取れます。
この傾向が意味することは、実務的には2つあります。
- 旧耐震(昭和56年5月31日以前)を前提にした耐震診断助成のような制度は、鴻巣市では対象になる物件そのものが少ない可能性がある。私がこれまで訪れた自治体の中には、旧耐震マンションを対象にした専用の助成金を持つところが複数ありましたが、鴻巣市の公表情報からは、そうした制度を見つけることができませんでした。
- 築15〜25年クラスの、初回の大規模修繕を控えた管理組合が、鴻巣市ではボリュームゾーンになっている可能性が高い。この年代のマンションは、耐震性そのものより、長期修繕計画の見直しと修繕積立金の水準が最初の論点になります。
ご自身のマンションが何年に竣工したか、そして周辺に同世代の物件がどれくらいあるかは、理事会で一度共有しておく価値のある情報だと思います。
マンション管理計画認定制度|鴻巣市の独自基準はありません
マンション管理計画認定制度は、管理組合が作成した管理計画を自治体が認定する仕組みです(出典:国土交通省「マンション管理計画認定制度」)。鴻巣市のページには、次のように明記されています(出典:鴻巣市「マンション管理計画認定制度について」)。
市への申請手数料は無料です。ただし、公益財団法人マンション管理センターが運用する「管理計画認定手続支援サービス」のシステム利用料がかかるほか、事前確認に係る審査料が別途必要です。
申請手数料そのものは無料という点は、管理組合にとって分かりやすいメリットです。一方で、システム利用料と事前確認審査料という2つの実費は発生しますので、「無料」という言葉だけを総会資料に書くと、後から「手数料が発生するじゃないか」という指摘を受けかねません。私は総会資料には「市への申請手数料は無料。ただしシステム利用料と事前確認審査料は別途必要」と、両方セットで書くことをお勧めしています。
もう1つ、鴻巣市ならではの特徴として、認定基準についてこう書かれています。
市の独自基準はなく、国がマンション管理適正化指針に定める基準と同一の内容です。
これまで訪れた自治体の中には、「地域独自の管理適正化指針に照らして適切であること」といった上乗せ基準を設けているところもありました。鴻巣市はそうした上乗せをしていない、シンプルな運用です。有効期間は5年で、更新しなければ効力を失います。申請の流れは、総会での決議 → 認定申請依頼 → 事前確認 → 認定申請 → 認定 → 公表、という順番です。総会決議が最初のステップになる点は、他の自治体と共通しています。理事会だけでは前に進みませんので、逆算した準備が必要です。
問い合わせ先は建築住宅課(Tel:048-541-1321)。認定そのものより、私は「認定基準を埋めていく過程で、理事会が長期修繕計画の現実を直視することになる」点にこそ価値があると考えています。
マンション長寿命化促進税制|期限まで残り半年です
長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションに対する固定資産税の減額措置も、鴻巣市は独自に運用しています(出典:鴻巣市「長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションに係る固定資産税の減額について」)。
対象要件を整理すると、次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 建物要件 | 建築後20年以上が経過している、総戸数10戸以上のマンション |
| 工事の要件 | 過去に大規模修繕工事(外壁塗装等、床防水、屋根防水)を1回以上実施していること |
| 対象期間 | 令和5年4月1日から令和9年3月31日までに工事が完了 |
| 積立金要件 | 修繕積立金が適切に確保されていること |
| 減額の内容 | 工事完了翌年度分の家屋の固定資産税額を3分の1減額(1戸あたり床面積100㎡が限度) |
| 対象外 | 都市計画税は対象外 |
| 申告期限 | 大規模修繕工事完了後3か月以内 |
| 適用回数 | 1回限り |
ここで見落とされやすいのが「過去に大規模修繕工事を1回以上実施していること」という要件です。これは2回目以降の大規模修繕が対象という意味で、初回の大規模修繕を控えている管理組合には使えません。 先ほど書いたとおり、鴻巣市は比較的新しいマンションが多い可能性があるまちですので、この制度の対象になる物件はまだ限られているかもしれません。
期限は令和9年3月31日完了です。この記事を書いている時点で、残り半年程度しかありません。工事完了から逆算すると、この秋のうちに契約・着工していなければ間に合わない工程になります。申告は税務課家屋担当(Tel:048-541-1321、新館2階)で受け付けています。
なお、鴻巣市役所は本庁舎と新館という2つの建物に分かれています。建築住宅課は本庁舎2階、税務課は新館2階です。電話番号はどちらも同じ048-541-1321ですが、実際に訪ねる建物が違いますので、来庁前にどちらの窓口かを確認されることをお勧めします。
12条点検(定期報告)|鴻巣市は自分で建築確認を行う特定行政庁です
建築基準法第12条に基づく定期報告制度(いわゆる12条点検)は、共同住宅の規模によっては報告義務が生じます。ここで大事なのは、報告書の提出先が「どこの市町村に建物があるか」で変わるという点です(出典:埼玉県「定期報告制度について」)。
鴻巣市は、自前で建築確認を行う立場にあります。鴻巣市のページには次のように明記されています(出典:鴻巣市「建築主の皆様へ」)。
建築確認申請は、国土交通大臣又は都道府県知事が指定した者(指定確認検査機関)又は鴻巣市建築住宅課へ提出して下さい。
これは、鴻巣市が建築確認を市自身で行える立場、つまり特定行政庁であることを示しています。小規模な町村では、建築確認や12条点検の窓口が県の建築安全センターに一本化されているケースがありますが、鴻巣市はそうではなく、建築住宅課が窓口になっている可能性が高いということです。
ただし、正直に申し上げると、共同住宅について何階建て・延べ面積何㎡以上が報告義務の対象になるかという具体的な規模要件を、私は鴻巣市の公開ページから確認することができませんでした。特定行政庁ごとに指定内容が異なる場合があることは埼玉県自身も明記しており、他市の指定をそのまま鴻巣市に当てはめるのは危険です。ご自身のマンションが対象かどうか、また最後に報告した年度がいつだったかは、建築住宅課(048-541-1321)へ直接お電話でご確認ください。 マンション管理計画認定制度の審査でも、12条点検の報告状況が確認されることがありますので、認定を検討している管理組合はなおさら早めの確認をお勧めします。
埼玉県分譲マンションアドバイザー派遣|鴻巣市は対象20市に入っています
埼玉県は、分譲マンションの管理組合に対してマンション管理士を無料で派遣する制度を運営しています(出典:埼玉県「分譲マンションアドバイザー派遣」)。市部の対象は次の20市です。
川越市、熊谷市、飯能市、狭山市、鴻巣市、上尾市、戸田市、入間市、朝霞市、志木市、和光市、桶川市、久喜市、北本市、八潮市、富士見市、三郷市、坂戸市、鶴ヶ島市、吉川市
鴻巣市はこの対象20市に含まれています。 これまでのシリーズで訪れた東松山市はこの対象から外れていましたので、鴻巣市の管理組合にとってはありがたい制度です。
派遣は無料、1組合あたり最大2回まで利用できます。令和8年度は約13組合、令和9年度は約9組合が派遣対象の見込みです。ここで大事な注意点があります。
令和10年度以降、派遣については各市にお問い合わせください。
つまり、県によるこの制度は令和9年度で終わり、令和10年度以降は市ごとの対応に移行する見通しです。鴻巣市が独自にこの制度を引き継ぐかどうかは、現時点の公表情報からは確認できませんでした。長期修繕計画の見直しや管理計画認定の準備で第三者の意見を聞きたい管理組合は、県の制度が続いているうちに一度使っておくことをお勧めします。
鴻巣市で「使えない制度」もはっきり書いておきます
鴻巣市には、住宅関連の補助金がいくつかありますが、共用部の大規模修繕にそのまま使えるものではありません。正直に並べておきます。
鴻巣市住宅リフォーム資金補助事業|専有部分のみが対象
令和8年4月1日から受付が始まったこの補助金は、対象工事について次のように定められています(出典:鴻巣市「鴻巣市住宅リフォーム資金補助事業」)。
集合住宅の場合は、専有部分の工事のみが対象です。
補助額は税抜き工事費の5%(上限10万円)、65歳以上の方や障害者手帳をお持ちの世帯がいる場合は一律2万円が加算されます。ただし共用部の外壁塗装や防水工事といった大規模修繕そのものには使えません。区分所有者が自室のリフォームをする際には使える可能性がありますので、総会資料に「個人でお使いいただける制度としてこういうものがあります」と1行添えるのは、理事会が住民の側に立っていることを伝える、コストのかからない工夫だと思います。
もう1つ、見落とされがちな要件があります。
本市に主たる事業所を有する法人又は住所を有する個人事業主に限ります
これは施工業者が鴻巣市内に主たる事業所を置いていることを求める要件です。株式会社明誠は東京都東大和市の会社であり、鴻巣市内に主たる事業所を置いていないため、当社が施工する工事はこの補助金の対象にはなりません。 自社に不利な情報ですが、正直にお伝えしておきます。
木造住宅耐震診断・改修助成|戸建て限定
鴻巣市には木造住宅の耐震診断・改修に対する助成もありますが、対象は「平成12年5月31日以前に建築確認を受けた2階以下の木造戸建住宅」です。鉄筋コンクリート造・鉄骨造の分譲マンションには使えません。
川幅日本一とひな人形のまちだからこそ言えること
鴻巣市には、荒川にかかる御成橋付近に「日本一広い川幅」の地点があります。この土地の特徴は、大規模修繕の実務にもつながる話があると私は考えています。
広い河川敷を持つまちは、水はけと風の通り道が独特です。荒川沿いの立地にあるマンションでは、洗濯物や外壁への砂ぼこりの付着、河川からの風による足場の養生シートのばたつきといった、内陸の物件とは違う条件が出やすくなります。私の経験上、これは川沿いの現場で足場の養生ネットの固定を一段厳重にする理由の1つです。ロープアクセス工法であれば、そもそも面で覆う養生シート自体を必要としないため、この種の風対策の手間自体がなくなります。
もう1つ、鴻巣市は「人形の鴻巣」として知られ、毎年開催される鴻巣びっくりひな祭りでは、ピラミッド状に組まれた巨大なひな段が名物になっています。何段にも積み重ねる構造物は、下段の土台がしっかりしていないと全体が傾く、という点で、実は分譲マンションの長期修繕計画とよく似た構造をしています。土台(=1回目の大規模修繕・耐震性・修繕積立金の水準)が整っていないまま、上に工事を積み重ねようとしても、どこかで無理が出る。私が理事会でよくお話しするたとえ話です。
鴻巣市で無料で使える相談窓口
鴻巣市は、マンション管理に関する無料相談会を継続的に開催しています(出典:鴻巣市「第40回マンション管理無料相談会」)。「第40回」という回数が示すとおり、この相談会は長年にわたって定期的に開催されてきました。 1回きりの単発イベントではなく、継続的な仕組みとして根づいている点は、管理組合にとって心強い材料です。
開催内容の詳細(日時・定員・申込方法)はページごとに更新されますので、直近の開催回の情報は建築住宅課(048-541-1321)または鴻巣市のホームページで最新のものをご確認ください。あわせて、次の窓口も無料で使えます。
- 建築住宅課(048-541-1321):マンション管理計画認定制度、12条点検、住宅リフォーム補助
- 税務課(048-541-1321、新館2階):長寿命化促進税制の申告
- 埼玉県建築安全課:吹付けアスベスト補助金の申請
- 埼玉県住宅課:分譲マンションアドバイザー派遣の申込
モデルケース|鴻巣市の2つの典型でいくらになるか
鴻巣市の物件傾向(駅近・比較的新しい築年数)を踏まえて、2つのケースで試算します。金額はいずれも目安で、実際は現地調査のうえでお見積りします。
ケースA:鴻巣駅圏の単棟型 築18年 8階建て・60戸
初回の大規模修繕を検討する段階です。足場工法での見積り概算は約6,800万円。ハイブリッド工法(外壁は足場、屋上・上層部の点検はロープアクセスを併用)に切り替えると約5,900万円(▲900万円、1戸あたり約15万円の圧縮)。工期は足場の架け払いが1回分減ることで、約5.5か月から約4.5か月に短縮できる見込みです。この規模はまだ長寿命化促進税制の対象(2回目以降)にはなりませんが、管理計画認定の取得を同時に進めておくことをお勧めします。
ケースB:荒川沿い立地の団地型 築24年 5階建て×4棟・80戸
過去に一度、外壁塗装のみの部分修繕歴があるケースです。全面的な大規模修繕(外壁塗装等・床防水・屋根防水を一体実施)を足場工法で行うと約9,200万円。ロープアクセス主体のハイブリッド工法では約7,800万円(▲1,400万円、1戸あたり約17.5万円の圧縮)。3つの防水・塗装を一体で実施すれば、長寿命化促進税制の対象になり得ますので、令和9年3月31日の完了期限から逆算したスケジュールが重要になります。㎡単価の目安は、外壁塗装等3,500〜4,500円、タイル打診調査250〜500円、防水5,000〜8,000円。仮設足場費は総工費の15〜25%が一般的な水準です。
見積書で必ず確認していただきたい5点
- 足場・養生の仮設費が総工費に占める割合(一式表記でなく内訳を出してもらう)
- 含有調査(アスベスト等)の有無と、埼玉県補助金の申請サポートの可否
- 見積り時点で判明していない仮定数量が超過した場合の追加単価(契約書に明記してもらう)
- 足場リース期間が延びた場合の追加費用の負担者
- 設計監理者と施工会社との資本関係(利益相反の有無)
正直に申し上げます|私は施工会社の人間です
ここまでお読みいただいた方に、あらためてお伝えしておきたいことがあります。私は施工会社の人間であり、自社の工法を勧める立場にあります。その前提でこの先を読んでください。
ロープアクセス工法が万能というわけではありません。次のような条件では、足場工法のほうが適していることが実際にあります。
- タイルの浮きが外壁面積のおおむね20%を超えている
- バルコニー内部の防水や下地補修が主体になる
- サッシ・開口部の交換を伴う
- 敷地の外周に十分な平場が確保できる
また、「ロープアクセスなら住戸への立ち入りは一切不要」というのも正確ではありません。バルコニー内部や住戸まわりのシーリング打ち替えなどは、工法にかかわらず立ち入りが必要になる場合があります。曖昧なまま契約して後で叱られるのは、施工会社ではなく、それを住民に説明した理事会です。
私が3つの工法(通常の足場仮設、無足場工法であるロープアクセス、両者を組み合わせたハイブリッド)を持っている意味は、ここにあります。足場しか持たない会社は足場を勧めるしかなく、ロープしか持たない会社はロープを勧めるしかありません。3つ持っているからこそ、状況によっては足場を勧めることもできます。
株式会社明誠はこれまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセス工法での高所作業について、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業では過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。IRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の技能訓練を受けた作業員、ISO9001品質マネジメントシステム、日本ロープ高所作業協会の事務局。そして、日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部として、塗装・防水・タイル・電気・看板の各分野の専門職が加盟しています。
フランチャイズの仕組みで各分野の専門会社が直接施工に入るため、中間マージンを圧縮しながら品質を保てます。これが「高品質で低価格」を成り立たせている仕組みです。技術面の詳しい解説はロープアクセスドットコムでご覧いただけます。
当社のロープアクセス工法そのものについてはロープアクセス工法のご紹介で、大規模修繕工事の総合的な進め方は大規模修繕工事のご紹介でご覧いただけます。管理組合さま向けのサービス内容はマンション管理組合向けの大規模修繕サービスに、これまでの施工実績は明誠の施工事例にまとめています。アスベスト含有調査の結果、劣化が判明した場合の対応など、漏水が起きている物件については漏水調査・止水工事もあわせてご覧ください。工法選定でお悩みの際はピンポイント施工のページも参考にしていただけます。
この秋、鴻巣市の管理組合がやることの順番
| 時期 | やること | 窓口・備考 |
|---|---|---|
| 9月〜10月 | ご自身のマンションの竣工年・旧耐震か新耐震かを確認 | 登記簿・確認済証で確認 |
| 9月〜10月 | 吹付け材(機械室・PS・駐車場天井等)の有無を確認 | 該当すれば埼玉県建築安全課へ相談 |
| 10月 | 12条点検の報告状況と対象規模を建築住宅課に確認 | 048-541-1321 |
| 10月〜11月 | 大規模修繕の劣化診断を実施・前倒し | アスベスト調査と同時実施を検討 |
| 11月〜12月 | 見積を3社取得。足場費の内訳・仮定数量超過単価を必須項目に | |
| 12月〜1月 | 管理計画認定を総会議案へ(市の手数料は無料) | 長期修繕計画の見直しとセット |
| 1月〜3月 | 総会・契約。長寿命化促進税制を使う場合は令和9年3月31日完了から逆算 | 2回目以降の工事のみ対象・申告は完了後3か月以内 |
| 随時 | 埼玉県分譲マンションアドバイザー派遣を申込(令和9年度が最終年度) | 埼玉県住宅課 |
よくあるご質問
Q. 鴻巣市の分譲マンションで、共用部の大規模修繕費用そのものに直接使える市の補助金はありますか。
A. 令和8年度の公表情報からは確認できませんでした。共用部そのものに直接効くのは、埼玉県の吹付けアスベスト補助金(該当する場合)と、2回目以降の大規模修繕を対象にしたマンション長寿命化促進税制(固定資産税の減額)です。住宅リフォーム資金補助事業は専有部分のみが対象です。
Q. 埼玉県のアスベスト補助金は、管理組合が直接申請できますか。
A. 県のページでは「民間建築物が対象」とされていますが、分譲マンションの管理組合が申請者になれるかどうかの明記は確認できませんでした。申請前に必ず埼玉県建築安全課へ、管理組合として申請可能かをご確認ください。
Q. うちのマンションは築30年を超えていますが、まだ大規模修繕を1度もしていません。長寿命化促進税制は使えますか。
A. 使えません。この税制は「過去に大規模修繕工事を1回以上実施していること」が要件で、2回目以降の工事が対象です。初回の大規模修繕には使えませんが、その工事自体が2回目以降の工事の前提になりますので、まずは初回の工事を計画どおりに進めてください。
Q. マンション管理計画認定は、費用がかかりますか。
A. 鴻巣市への申請手数料そのものは無料です。ただし、管理計画認定手続支援サービスのシステム利用料と、事前確認に係る審査料が別途発生します。総会資料には両方を明記することをお勧めします。
Q. 鴻巣市に相談に行きたいのですが、どこに行けばよいですか。
A. マンション管理計画認定制度・12条点検・住宅リフォーム補助は建築住宅課(本庁舎2階、048-541-1321)、長寿命化促進税制の申告は税務課(新館2階、048-541-1321)です。電話番号は同じですが、訪ねる建物が違いますので、来庁前にどちらの窓口かを確認されることをお勧めします。
Q. ロープアクセス工法にすれば、必ず費用は安くなりますか。
A. そうとは限りません。タイルの浮きが広範囲に及ぶ場合や、バルコニー内部の工事が主体になる場合は、足場工法のほうが効率的なことがあります。敷地条件や劣化状況によって最適な工法は変わりますので、まずは現地調査でご相談ください。
この記事のポイントまとめ
- 鴻巣市は埼玉県の吹付けアスベスト補助金の対象区域(熊谷市・久喜市は対象外)
- マンション管理計画認定は市への申請手数料無料・独自基準なし
- 長寿命化促進税制は令和9年3月31日完了が期限、2回目以降の工事のみ対象
- 鴻巣市は特定行政庁で建築確認を市自身が担当、12条点検の詳細は要確認
- 埼玉県マンションアドバイザー派遣は対象20市に鴻巣市を含む・令和9年度で終了見込み
出典・参考資料
- 埼玉県「民間建築物のアスベスト除去等に対する補助制度のご案内」(掲載日2026年5月11日)
- 鴻巣市「マンション管理計画認定制度について」(更新日2024年4月1日)
- 鴻巣市「長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションに係る固定資産税の減額について」(更新日2025年4月1日)
- 鴻巣市「鴻巣市住宅リフォーム資金補助事業」(更新日2026年9月2日)
- 鴻巣市「建築主の皆様へ」(建築住宅課)
- 鴻巣市「第40回マンション管理無料相談会」(建築住宅課)
- 鴻巣市「建築住宅課」
- 鴻巣市「税務課」
- 鴻巣市「人口・世帯数」(令和8年9月1日現在)
- 埼玉県「分譲マンションアドバイザー派遣」
- 埼玉県「定期報告制度について」
- 国土交通省「マンション管理計画認定制度」
- 全国マンションデータベース「鴻巣市|登録分譲マンション一覧」(民間データベース・参考情報)
▼ロープアクセス工法・無足場工法の詳細解説はこちら
ロープアクセスドットコム|無足場工法専門メディア
本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月24日時点で公表されている鴻巣市および国土交通省・埼玉県の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請される前に、必ず鴻巣市および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。特に12条点検の対象規模、埼玉県アスベスト補助金の管理組合による申請可否、鴻巣市の分譲マンション全数統計については、公開情報から断定できなかったため、窓口でのご確認をお願いします。
鴻巣市の管理組合さまへ。埼玉県のアスベスト補助金と、長寿命化促進税制の期限、2つのタイミングが効いてくる方もいらっしゃると思います。ご相談だけでも遠慮なくお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。
ご相談は株式会社明誠のお問い合わせフォームから承っています。
この記事の執筆者
本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。
最終更新:2026年9月24日
足立区の管理組合が無料で使える相談・派遣12選|管理計画認定は手数料無料、非木造の耐震助成は診断・改修とも5割【令和8年度版】
2026年9月23日 更新
先日、北千住駅から歩いて15分ほどの分譲マンションの修繕委員長さまから、こんなご相談をいただきました。
「築38年、5階建て・64戸のマンションで、2回目の大規模修繕をそろそろ動かしたい。ただ理事会の予算資料には『管理会社からの見積り一式』としか書かれておらず、その金額が高いのか安いのかを判断する材料が誰の手元にもない」
伺うと、長期修繕計画そのものは残っていたものの、直近の改定は6年前で止まっていました。理事は毎年入れ替わる輪番制。前の理事会が何を検討し、どこで判断を保留したのかは、議事録を遡ってようやく分かる状態でした。
私はこの手のご相談を受けるたびに思うことがあります。足立区の管理組合には、実はお金をかけずに呼べる第三者の専門家がいくつも用意されているのに、その存在自体があまり知られていない、と。しかも足立区の場合、マンション管理計画認定の区の手数料が当面のあいだ無料という、23区の中でも珍しい設計になっています。
申し遅れました。私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。東京都東大和市を拠点に、20年近くマンション・ビル・ホテルの外壁の仕事をしてきました。足場を組んで建物をすっぽり囲う工事も、ロープ1本でぶら下がる無足場の工事も、どちらの現場も自分の足で踏んできた人間です。
今日は、足立区の管理組合とビル・収益不動産オーナーさまが使える相談・派遣・助成を12個、令和8年度(2026年4月1日から2027年3月31日まで)の一次情報で整理します。
結論:足立区で使える支援は12ある
先に一覧でお示しします。費用ゼロのものと、費用の一部が助成で戻るものを分けて並べました。
| # | 制度・窓口 | 誰が対応するか | 費用 | 申込先 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 足立区 分譲マンション出張相談会 | マンション管理士 | 無料/個別相談+ミニセミナー(原則年度内1回) | 住宅課住宅計画係 03-3880-5963 |
| 2 | 足立区 分譲マンション管理アドバイザー派遣制度 | マンション管理士 | 無料/年度内12時間(1名派遣)または6時間(2名派遣) | 住宅課住宅計画係 03-3880-5963 |
| 3 | 足立区 マンション管理計画認定制度 | 区+(公財)マンション管理センター | 区の手数料無料(当面のあいだ)/システム利用料は別途 | 住宅課住宅計画係 03-3880-5963 |
| 4 | 足立区 非木造住宅・建築物耐震化助成(分譲マンション対象) | 区登録の耐震診断士等 | 診断費用5割助成(上限500万円または戸数×10万円の低い方)、改修工事費用5割助成(上限3,000万円) | 建築防災課 03-3880-5317 |
| 5 | 足立区 不動産相談(予約制) | 宅地建物取引士 | 無料/1回35分・月2回(第1・3水曜) | 区民の声相談課 03-3880-5359 |
| 6 | 足立区 すまいの建築相談 | 建築士 | 無料/月1回(第2水曜) | 住宅課住宅計画係 03-3880-5963 |
| 7 | 足立区 法律相談(予約制) | 弁護士 | 無料/1回40分以内、同一内容は原則1回 | 区民の声相談課 03-3880-5359 |
| 8 | 足立区 消費生活相談 | 消費生活相談員 | 無料(通話料等は自己負担) | 03-3880-5380 |
| 9 | 東京都 マンションアドバイザー無料派遣(管理状況届出制度) | マンション管理士等 | 無料(届出済みが条件) | 東京都防災・建築まちづくりセンター |
| 10 | 東京都 マンション管理士無料派遣(防災力向上・認知症対応) | 講習修了のマンション管理士 | 無料/各2回まで | 東京都マンション管理士会(令和9年2月26日まで) |
| 11 | (公財)マンション管理センター 電話相談 | 専門相談員 | 無料 | 03-3222-1517/設備は03-3222-1519 |
| 12 | 一般社団法人マンション管理業協会 相談窓口 | 専門相談員 | 無料 | 050-3733-8982 |
1〜3・5〜12がお金のかからない相談・派遣・認定手数料、4だけは費用の一部を自己負担する助成制度です。順番に見ていきます。
足立区の分譲マンション支援は「相談会」と「アドバイザー派遣」の二段構え
足立区の分譲マンション支援は、区が年に何度か開く出張相談会と、より腰を据えて相談したいときに呼べるアドバイザー派遣制度の二段構えになっています。
1. 分譲マンション出張相談会(原則年度内1回)
区が公表している内容をそのまま引用します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 区内分譲マンション居住者(原則、年度内1回限り) |
| 開催頻度 | 年8回(5月から翌年3月まで、月1〜2回程度) |
| 内容 | マンション管理士による個別相談。管理・修繕・トラブルなど分譲マンションのさまざまな問題に対応。60分のミニセミナーも併催 |
| 費用 | 無料 |
| 申込方法 | 電話(平日午前9時〜午後4時)または区のオンライン申請システムから事前申込。会場ごとに申込開始日が異なる |
| 申込先 | 住宅課住宅計画係 03-3880-5963 |
(出典:足立区「分譲マンション出張相談会開催のお知らせ」/更新日2026年4月3日)
個別相談とミニセミナーが同じ日にセットで受けられるのが足立区の特徴です。相談だけでなく、他の管理組合がどんな課題に直面しているかをミニセミナーで俯瞰してから個別相談に入ると、限られた時間の使い方が変わってきます。私の経験では、質問を3つまでに絞って持っていく理事会ほど、この手の相談枠を使いこなしています。
2. 分譲マンション管理アドバイザー派遣制度 — 足立区の目玉
出張相談会よりも踏み込んだ相談をしたいとき、あるいは理事会に来てもらってじっくり議論したいときに使えるのがこちらです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 区内分譲マンション管理組合 |
| 派遣時間 | 年度内12時間まで(マンション管理士1名派遣の場合)または6時間まで(2名派遣の場合)、1回1時間単位 |
| 費用 | 完全無料 |
| 手続の流れ | ①オンライン申請システムで仮予約(希望日の2週間以上前)②本申込③アドバイザー派遣・相談実施 |
| 申込条件 | 管理組合理事長が申込者、区分所有者2名以上の参加が条件 |
| 申込先 | 住宅課住宅計画係 03-3880-5963(平日午前9時〜午後4時) |
(出典:足立区「分譲マンション管理アドバイザー派遣制度」/更新日2025年4月1日)
この制度のポイントは、年度内12時間という枠の広さです。1回1時間単位で使えるので、「今月は長期修繕計画の見直し方針だけ」「来月は見積り査定の視点だけ」というように、論点ごとに小分けして呼ぶこともできます。私はいつも理事長さまに「1回で全部解決しようとせず、論点を分けて何度も呼んでください」とお伝えしています。無料の枠を使い切らずに終わる管理組合が、実は少なくありません。
外壁の劣化がどの程度進んでいるかを客観的に把握する方法については、明誠のロープアクセス工法による外壁調査の考え方をご覧いただくと、足場を組まずにどこまで見られるのかが分かります。技術的な仕組みそのものをもう少し深く知りたい方は、同業者向けに書いている姉妹サイトロープアクセスドットコムのほうが詳しいです。
足立区で使える弁護士・宅建士・建築士の無料相談
管理費の滞納、区分所有者間のトラブル、工事契約をめぐる紛争、賃貸トラブル。これらは管理士の守備範囲を超えることがあります。足立区にはこの領域の無料窓口も複数用意されています。
5. 不動産相談(予約制)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 相談員 | 宅地建物取引士 |
| 相談内容 | 借地・借家の賃料、更新、立退き、借地権など |
| 日時 | 毎月第1・3水曜日 午後1時〜4時(祝日・年末年始を除く) |
| 相談時間 | 1回35分以内 |
| 費用 | 無料 |
| 対象 | 区内在住・在勤・在学の方 |
| 会場 | 足立区役所北館2階 区民の声相談課 |
| 予約先 | 03-3880-5359(平日8時30分〜17時15分) |
(出典:足立区「不動産相談(予約制)」/更新日2026年6月19日)
区分所有のマンションだけでなく、賃貸マンションを所有するビルオーナーさまの立退き・更新トラブルにも対応できる窓口です。賃料改定を巡って入居者と揉めそうなときは、契約書を持参して相談に臨むと話が早く進みます。
6. すまいの建築相談
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 相談員 | 建築士 |
| 日時 | 毎月第2水曜日 午後2時〜4時 |
| 費用 | 無料 |
| 予約方法 | 事前予約制 |
| 申込先 | 住宅課住宅計画係 03-3880-5963 |
(出典:足立区「住まいの相談」)
新築・改築・リフォームが主な対象ですが、大規模修繕の進め方に建築的な疑問がある場合も相談材料になります。月1回・枠が限られるため、予約は早めが確実です。
7. 法律相談(予約制)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 相談員 | 弁護士 |
| 相談時間 | 1回40分以内 |
| 回数 | 原則、同一内容の相談は1回限り(異なる内容なら再利用可) |
| 費用 | 無料 |
| 相談形式 | 窓口・電話(平日・第4日曜日)・オンライン(午後2時30分開始のみ) |
| 予約先 | 03-3880-5359(平日8時30分〜17時15分) |
(出典:足立区「法律相談(予約制)」/更新日2026年6月19日)
40分という時間は、練馬区や他の自治体でよく見る30分よりやや長めです。私は「争点を1つに絞って行く」ことをいつもお勧めしています。「滞納が3年分たまっている区分所有者に、どの手続きから着手すべきか」まで絞れていれば、40分で具体的な道筋が見えます。
なお、収入・資産が一定基準以下の方であれば、法テラス(日本司法支援センター)の民事法律扶助による無料法律相談も選択肢になります。同一の問題につき1回30分・3回まで無料で、弁護士・司法書士に相談できます(出典:法テラス「無料法律相談のご利用の流れ」)。
8. 消費生活相談
工事契約のトラブル、訪問業者による強引な勧誘への対応は、消費生活相談の領域です。
- 相談電話:03-3880-5380
- 相談時間:月〜金 午前9時〜午後4時45分(祝日・年末年始を除く)
- 費用:無料(通話料・オンライン通信料は自己負担)
(出典:足立区「消費生活相談」/更新日2025年2月1日)
「地震のあと点検に来たという業者に、その場で契約書を書かされた」という相談は、残念ながら現場で今も耳にします。この手の話は法律相談より先に、消費生活相談に入れたほうが早いことが多いです。
足立区マンション管理計画認定制度 — 区の手数料は当面のあいだ無料
3. マンション管理計画認定制度
足立区のマンション管理計画認定制度は、多くの自治体が数千円の手数料を設定している中で、区の手数料を当面のあいだ無料にしている点が際立っています(更新申請含む)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 区の手数料 | 当面のあいだ無料(変更認定申請含む) |
| 別途費用 | (公財)マンション管理センター「管理計画認定手続支援システム」の利用料等は別途発生 |
| 申請方法 | 区窓口での直接申請は不可。マンション管理センターのシステム経由でのみ申請可能 |
| 必要書類 | 電子化した管理規約、長期修繕計画書、事前確認適合証など |
| 標準審査期間 | 30日間 |
| 認定有効期間 | 5年(更新は満了前に同システム経由で申請) |
(出典:足立区「マンション管理計画認定制度について」/更新日2025年2月14日)
認定を取ると、住宅金融支援機構の共用部分リフォーム融資の金利引き下げや、長寿命化促進税制の適用要件など、修繕積立金の負担に効いてくる場面があります。国の制度概要は国土交通省「マンション管理計画認定制度」にまとまっています。区の手数料がかからない分、マンション管理センターのシステム利用料だけを見込んでおけば予算化しやすいはずです。
非木造建築物の耐震助成 — 分譲マンションも対象、診断・改修とも5割
4. 非木造住宅・建築物耐震化助成
足立区の分譲マンションで見落とされがちなのが、旧耐震基準(昭和56年5月31日以前)の非木造建築物を対象にした耐震診断・耐震改修の助成制度です。賃貸・分譲の区別を問わず、居住部分が延べ面積の過半を占める建物が対象になります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象建築物 | 昭和56年5月以前に建築された非木造建築物(分譲マンション含む) |
| 耐震診断助成 | 費用の5割、上限500万円または住宅戸数×10万円のいずれか低い方 |
| 耐震改修工事助成 | 費用の5割、上限3,000万円 |
| 拡充期間 | 令和9年3月まで延長 |
| 注意点 | 契約前に事前申請が必要。契約後の申請は助成対象外 |
| 申込先 | 建築室建築防災課 03-3880-5317 |
(出典:足立区「非木造住宅・建築物の耐震化に助成を行っています」/更新日2026年4月2日)
練馬区などで見られる「アドバイザー派遣10回まで無料」のような専門家派遣そのものは、足立区の非木造制度には含まれていません。その代わり、診断・改修とも実費の半分を助成という、金額のインパクトが大きい設計になっています。旧耐震の分譲マンションで「診断すら踏み出せていない」管理組合ほど、この助成の対象になる可能性が高いはずです。
一番大事な注意点は、契約前の事前申請が必須ということです。「診断業者と契約してから申請しよう」と考えると、その時点で助成の対象から外れてしまいます。理事会で診断の実施を決めた段階で、契約前に建築防災課へ一報を入れることを強くお勧めします。
東京都・国の相談窓口を重ねて使う
足立区の枠を使い切っても、まだ残っています。ここからは東京都と国の制度です。
9. マンションアドバイザー無料派遣(管理状況届出制度が前提)
東京都は「管理状況届出制度による届出を行った管理組合に対し、その管理状況に応じて、マンション管理士などの専門家を派遣し、マンションの管理や建替え・改修について、講義や個別具体的な相談に対するアドバイスを行います」としています(出典:東京都マンションポータルサイト「マンションアドバイザー無料派遣のご案内」)。
肝は「届出を出していること」が条件という点です。足立区の分譲マンションも、「東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例」に基づく管理状況届出制度の対象になります。届出の具体的な手続については、住宅課(03-3880-5963)に確認するのが確実です。
- 通常の届出済みマンション:1回まで無料
- 管理不全の兆候があるマンション:5回まで無料
- 申込先:(公財)東京都防災・建築まちづくりセンター
順番としては「届出 → 無料派遣」です。まだ届出をしていない管理組合は、まずここから動くとよいでしょう。
10. マンション管理士無料派遣(防災力向上・認知症対応)
こちらは届出の有無を問わない枠です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 都内に所在するマンション管理組合 |
| 回数 | 防災力向上・認知症対応それぞれ2回まで(合計最大4回) |
| 費用 | 無料 |
| 受付期間 | 令和8年6月23日(火)から令和9年2月26日(金)まで |
| 募集枠 | 防災力向上・認知症対応あわせて160件程度 |
| 申込 | 東京都マンション管理士会のホームページから |
(出典:東京都「本日からマンション管理士無料派遣事業の受付を開始(マンション管理組合向け)」/東京都マンションポータルサイト「分譲マンション向けマンション管理士無料派遣(防災力向上・認知症対応)」)
都内全域で160件程度という枠です。締切の令和9年2月26日まで残り約5か月。年内に理事会で決議しておくと安心です。賃貸マンションのオーナーさま向けには、賃貸マンション向け防災アドバイザー無料派遣という別枠も用意されています。
11. (公財)マンション管理センターの電話相談
全国の管理組合が使える、国のマンション管理適正化推進センター指定団体の窓口です。
- 管理組合運営・管理規約などの相談:03-3222-1517
- 建物・設備の維持管理の相談:03-3222-1519(電話で事前予約)
- 相談時間:月〜金 9時30分〜17時00分
(出典:(公財)マンション管理センター「相談窓口について」)
12. 一般社団法人マンション管理業協会の相談窓口
管理会社の団体である日管協(マンション管理業協会)も、管理組合向けの相談窓口を設けています。
- マンション管理に関する相談:050-3733-8982(10時〜16時30分、12時〜13時は昼休み)
「区に相談するほどでもないが、誰かに確認したい」という程度の疑問なら、11番・12番のどちらかが一番手軽です。
お金の話:足立区で大規模修繕を検討するときの目安
支援制度の話ばかりでは実感が湧かないと思いますので、費用の目安も出しておきます。すべて参考値のレンジです。実際の見積は建物の形状・劣化状況・立地によって大きく変動します。
| 工種 | ㎡単価の目安 |
|---|---|
| 外壁塗装 | 3,500〜4,500円/㎡ |
| 外壁打診調査 | 250〜500円/㎡ |
| 屋上・バルコニー防水 | 5,000〜8,000円/㎡ |
60戸規模のマンションで大規模修繕を一巡させると、総額のレンジは3,500〜5,000万円程度。このうち仮設足場が15〜25%を占めます。つまり足場だけで500万〜1,200万円という計算になります。
私がロープアクセス工法(産業用ロープで作業員が懸垂し、足場を組まずに外壁作業を行う無足場工法)をお勧めする理由は、ここにあります。10階建て・外周80m・工期3か月というモデルケースでは、足場の仮設費が約168万円に対し、ロープアクセスなら約59万円。差額は約109万円です。
もちろん、どんな建物でもロープアクセスが最適というわけではありません。低層で形状が複雑な建物、外壁の改修範囲が広い建物は、足場を組んだほうが総合コストで有利になります。だからこそ明誠では、通常足場・ロープアクセス・両者を併用するハイブリッド工法の3つから選べる体制をとっています。3工法を自社で提案できる会社は、国内でも多くありません。料金の考え方については明誠の大規模修繕の料金の考え方にまとめています。
株式会社明誠はこれまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセス工法での高所作業について、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業では過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。作業員はIRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の技能訓練を受けています。この安全体制の詳細はロープアクセスドットコムで公開しています。
相談に行くとき、何を持っていけばいいか
限られた時間を最大限に使うために、私がいつもお伝えしている3点セットがあります。
- 直近3期分の総会議事録 — 何が決まり、何が先送りされてきたかが一目で分かります
- 長期修繕計画書 — 更新が止まっていても構いません。むしろ止まっていること自体が相談材料です
- 管理規約(最新版) — 標準管理規約は令和7年に改正されています。自組合の規約がどの版に準拠しているかで、打てる手が変わります
余裕があれば、これに修繕積立金の残高が分かる直近の決算書と、気になっている箇所のスマホ写真を加えてください。写真は強力です。「北側外壁のタイルに浮きが出ている」と口で説明するより、1枚見せたほうが専門家の判断は10倍速くなります。
法令面では、令和7年5月30日公布の「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律」(令和7年法律第47号)が令和7年11月28日に一部施行されています。旧耐震のマンションで大規模な改修や建替えを視野に入れている管理組合は、この改正を踏まえた助言を受けられるかどうかで、相談の価値が変わってきます。
よくあるご質問
Q. 分譲マンション管理アドバイザー派遣制度は、何度でも呼べますか?
A. 年度内で1名派遣なら12時間まで、2名派遣なら6時間まで無料です。1回1時間単位で申し込めるため、論点ごとに小分けして複数回呼ぶことができます。オンライン申請システムでの仮予約は希望日の2週間以上前が必要です。
Q. マンション管理計画認定制度は、本当にお金がかかりませんか?
A. 区の手数料は当面のあいだ無料です(更新申請も含みます)。ただし(公財)マンション管理センターの管理計画認定手続支援システムの利用料は別途発生しますので、その点はご留意ください。
Q. 非木造建築物の耐震助成は、うちのマンションが対象か分かりません。
A. 対象は昭和56年5月31日以前に建築された非木造建築物で、居住部分が延べ面積の過半を占めるものです。賃貸・分譲の区別は問いません。確実な判断は建築室建築防災課(03-3880-5317)にご確認ください。契約前の事前申請が必須という点が最大の注意点です。
Q. 東京都のマンション管理士無料派遣は、いつまでに申し込めばいいですか?
A. 令和8年度の受付期間は令和8年6月23日から令和9年2月26日までで、防災力向上・認知症対応あわせて160件程度という募集枠が公表されています。年度末ぎりぎりではなく、年内の理事会で決議しておくほうが安心です。
Q. 法律相談と法テラス、どちらを使えばいいですか?
A. 足立区の法律相談(予約制)は区内在住・在勤・在学であれば所得に関わらず利用でき、1回40分以内です。法テラスは収入・資産の要件を満たす方が対象で、同一の問題につき3回まで無料です。まずは要件を問わない区の法律相談から検討されるのがよいと思います。
Q. 大規模修繕の工期はどれくらい違いますか?
A. ロープアクセス工法は足場の組立・解体の期間がまるごと不要になるため、足場工法のおよそ60%の工期が目安です。10階建て・外周80mのマンションであれば、足場工法で3か月程度のところ、ロープアクセスなら1.5〜2か月程度になります。ただし改修範囲が広い場合は差が縮まります。
Q. 管理会社を通さずに、明誠に直接相談してもいいのでしょうか?
A. もちろんです。セカンドオピニオンとしてお使いいただくケースが一番多いです。既存の見積書を拝見して、数量と単価の妥当性を一緒に確認するだけでも結構です。お問合せフォームからご連絡ください。
まとめ:今週、足立区の管理組合が動けること3つ
長くなりましたので、動き出しの3手に絞ります。
1. 住宅課(03-3880-5963)に電話して、分譲マンション管理アドバイザー派遣制度の仮予約を確認する
年度内12時間まで無料、1回1時間単位です。論点を分けて何度も呼べることを理事会で共有してください。
2. 旧耐震(昭和56年5月以前)の非木造建築物かどうかを確認し、該当すれば耐震診断助成を検討する
該当すれば診断費用の5割(上限500万円または戸数×10万円の低い方)が助成対象です。契約前の事前申請を忘れずに。
3. マンション管理計画認定制度の申請を理事会の議題に載せる
区の手数料は当面のあいだ無料です。住宅金融支援機構のリフォーム融資の金利引き下げなど、修繕積立金の負担軽減につながる場面があります。
足立区は、北千住・西新井・竹ノ塚のような駅前再開発で新しい住棟が増えているエリアから、昭和期に建てられた団地型マンションが数多く残るエリアまで、建物のタイプが幅広い区です。旧耐震の非木造建築物が今も一定数残る一方で、駅前の再開発でタワー型マンションに入れ替わったエリアもある。だからこそ、「よその管理組合がこうしたから」ではなく、自分の建物の状態と築年を自分で把握することが効いてきます。
そして、その第一歩にかかるお金は、足立区の場合ほとんどゼロにできます。区の相談会、アドバイザー派遣、管理計画認定、不動産相談、建築相談、法律相談、消費生活相談。これだけ呼んでも、支出は郵送代と電話代くらいのものです。
私は現場でこう思うことがあります。管理組合が損をするのは、悪い業者に当たったときよりも、相談しないまま時間だけが過ぎたときのほうがずっと多い、と。壁の浮きも、防水の切れも、待っていて良くなることはありません。
明誠のこれまでの明誠の施工事例もあわせてご覧いただければ、実際にどんな建物でどんな判断をしてきたかが伝わると思います。ご相談だけでも遠慮なくお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。
出典・参考資料
- 足立区「分譲マンション出張相談会開催のお知らせ」(更新日2026年4月3日)
- 足立区「分譲マンション管理アドバイザー派遣制度」(更新日2025年4月1日)
- 足立区「マンション管理計画認定制度について」(更新日2025年2月14日)
- 足立区「非木造住宅・建築物の耐震化に助成を行っています」(更新日2026年4月2日)
- 足立区「不動産相談(予約制)」(更新日2026年6月19日)
- 足立区「住まいの相談」
- 足立区「法律相談(予約制)」(更新日2026年6月19日)
- 足立区「消費生活相談」(更新日2025年2月1日)
- 法テラス「無料法律相談のご利用の流れ」
- 東京都マンションポータルサイト「マンションアドバイザー無料派遣のご案内」
- 東京都マンションポータルサイト「分譲マンション向けマンション管理士無料派遣(防災力向上・認知症対応)」
- 東京都マンションポータルサイト「賃貸マンション向け防災アドバイザー無料派遣」
- 東京都「本日からマンション管理士無料派遣事業の受付を開始(マンション管理組合向け)」(令和8年6月23日)
- (公財)マンション管理センター「相談窓口について」
- 一般社団法人マンション管理業協会「お問い合わせ」
- 国土交通省「マンション管理計画認定制度」
本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月23日時点で公表されている東京都足立区および国土交通省・東京都の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請される前に、必ず東京都足立区および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。
この記事の執筆者
本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。
最終更新:2026年9月23日

