龍ケ崎市のマンション補助金|管理組合の大規模修繕2026

はじめまして。株式会社明誠で代表を務めております、本間幸紘と申します。私はこれまで、マンション・ビル・ホテルの大規模修繕を、足場を組む工事も、ロープでぶら下がって足場を使わない工事も、両方を組み合わせた工事も、現場でずっと見てきました。今日は茨城県龍ケ崎市(りゅうがさきし)の分譲マンションにお住まいの理事長さん、管理組合の役員さんに向けて、「龍ケ崎市で大規模修繕にどんな補助金・支援制度が使えるのか」を、できるだけ正直に整理してお話しします。

先に結論から申し上げます。龍ケ崎市には、外壁塗装や大規模修繕の「工事費そのもの」に現金を直接くれる補助金は、私が調べた限り確認できませんでした。ここで期待させて後でがっかりさせるのは私の本意ではないので、はっきり書いておきます。ただ、それでもあきらめる必要はありません。龍ケ崎市にはマンション管理計画認定制度があり、これを入口にすると固定資産税の減額や住宅金融支援機構の金利引下げという、実額で効いてくる優遇にたどり着けます。この記事は、その「使える制度」への地図です。


龍ケ崎市はいま、マンションが一斉に修繕期を迎える街

龍ケ崎市は茨城県南部・県南地域に位置する、人口およそ7万人台の街です。市の中心市街地には関東鉄道竜ヶ崎線が走り、市の北西側にはJR常磐線の龍ケ崎市駅(旧・佐貫駅。2020年3月に改称されました)があります。龍ケ崎市駅からは、大規模な住宅地である竜ヶ崎ニュータウンへ路線バスが接続しており、ここから上野・東京方面へ通勤する方が数多くいらっしゃいます。

この「竜ヶ崎ニュータウン」というキーワードが、実は今回の話の核心です。ニュータウンや駅周辺の分譲マンションの多くは、高度成長期からバブル期にかけて一斉に供給されました。つまり、街全体でマンションが同じ時期に一斉に築40年・築50年に近づいているということです。建物は正直で、鉄筋コンクリートでも15年前後で外壁やシーリング、防水が傷んできます。そして街のあちこちで修繕のタイミングが重なると、職人も資材も取り合いになり、工事費が上がりやすくなります。

私が龍ケ崎市の管理組合さんにまずお伝えしたいのは、「制度を使うにも、工事を安く上げるにも、早く動いた組合ほど得をする」というシンプルな事実です。内陸の龍ケ崎市は海沿いのような塩害こそ少ないものの、雨・紫外線・寒暖差による劣化は確実に進みます。放っておいて得をすることは、建物に関しては一つもありません。


まず押さえる「龍ケ崎市マンション管理計画認定制度」

龍ケ崎市は、マンションの管理の適正化の推進に関する法律(マンション管理適正化法)第3章の規定に基づく「龍ケ崎市マンション管理計画認定制度」を、令和6年4月から運用開始しています。対象は市内にある分譲マンションです。

この認定制度、名前だけ聞くと「書類仕事が増えるだけでは?」と身構える理事長さんもいらっしゃいますが、私は逆にお金の話への入口だと考えています。市の公式ページにもはっきり書かれているとおり、認定を取得すると「固定資産税の特例措置」や「融資の金利引下げ」といったメリットが受けられるからです。後述する固定資産税の減額も、機構融資の優遇も、この認定が前提になってくる場面が多いのです。

認定の基準は「国の基準そのまま」

龍ケ崎市の認定基準は、国土交通省告示で定められた基準のとおりで、市独自の上乗せ基準はありません。これは組合にとって朗報です。龍ケ崎市だからといって特別に厳しいハードルが課されるわけではなく、全国共通の物差しで判断されるということです。認定の物差しは、大きく分けて次のような分野になります。

管理者(理事長)が定まっていること。集会(総会)が年1回以上開かれていること。管理規約が適切に定められていること。長期修繕計画が一定期間以上で作られ、計画に基づく修繕積立金の額が確保されていること。そして、修繕積立金が適切に積み立てられていること。要は「まともに管理されている組合かどうか」を国の基準で確認する制度です。ふだんきちんと総会を開き、長期修繕計画を回している組合であれば、決して手の届かない基準ではありません。

申請は2ステップ。窓口は都市計画課

龍ケ崎市の認定申請は、次の順番で進みます。

STEP1(事前確認):公益財団法人マンション管理センターが提供している「管理計画認定手続支援サービス」を利用し、管理計画が基準に適合しているかの事前確認を受けます。ここで適合が確認されると「適合証」が発行されます。

STEP2(市への認定申請):マンション管理センターが発行した適合証等を添付し、龍ケ崎市の都市整備部 都市計画課へ認定申請を行います。窓口は龍ケ崎市役所(〒301-8611 茨城県龍ケ崎市3710番地、電話0297-64-1111)です。

手数料は「二段構え」なので予算取りに注意

ここは理事長さんが総会にかける前に必ず知っておくべき点です。龍ケ崎市の認定にかかる費用は、大きく二段構えになっています。

一つはマンション管理センターの手数料で、システム利用料と事前確認審査料がかかります(金額はセンターのサービス内容により決まります)。もう一つが市への認定申請手数料で、龍ケ崎市の場合は次のように定められています。

区分 手数料
認定・更新申請(長期修繕計画1つの場合) 4,000円
同、2つ以上の場合の追加1あたりの加算額 2,000円
変更認定申請(1あたり) 14,500円

団地型で棟数が多いマンションほど、長期修繕計画の数に応じて市の手数料が加算される点に注意してください。とはいえ、市への手数料自体は数千円〜数万円のオーダーです。この後に得られる固定資産税の減額や融資優遇の実額を考えれば、入口のコストとしては十分にペイする水準だと私は見ています。


本命は「固定資産税の3分の1減額」— ただし龍ケ崎市は割合に注意

龍ケ崎市の管理組合にとって、最も実額のインパクトが大きい制度が、このマンション長寿命化促進税制(大規模の修繕等が行われたマンションに係る固定資産税の減額制度)です。龍ケ崎市の公式ページ(更新日2025年4月24日)を、私自身が一つずつ確認しました。

制度の中身

一定の要件を満たすマンションが、令和5年4月1日から令和9年3月31日までの間に長寿命化に資する大規模修繕工事を行い、工事完了日から3か月以内に申告した場合、工事が完了した年の翌年度分の固定資産税額を減額する制度です。

ここで龍ケ崎市の管理組合さんに、正直にお伝えしなければならないことがあります。この減額割合は自治体が条例で定める「参酌基準」の範囲で決まるのですが、龍ケ崎市は「3分の1」を採用しています。横浜市など「2分の1」を採用している自治体もあり、龍ケ崎市はそれよりやや控えめです。誇張して「半額になります」と言ってしまうと、後で申告のときに話が違うことになります。龍ケ崎市は3分の1、ここは正確に押さえておいてください。

対象になるマンションの4要件

龍ケ崎市で減額を受けるには、次の4つをすべて満たす必要があります。

第一に、築20年以上が経過していること。第二に、総戸数が10戸以上であること。第三に、過去に長寿命化工事(外壁塗装等工事、床防水工事および屋根防水工事)を行っていること。第四に、管理計画認定マンション、または助言指導に係る管理者等の管理組合に係るマンションであること。

この第四の要件が、前章の「管理計画認定制度」と直結しています。認定を受けたマンションの場合、令和3年9月1日以降に、長期修繕計画の期間全体での修繕積立金の平均額を「認定基準未満」から「認定基準以上」まで引き上げたことを証明する書類(修繕積立金引上証明書)が必要になります。つまり、積立金をきちんと引き上げてきた組合が報われる設計になっているわけです。

減額される範囲と、見落としがちな注意点

減額されるのは、1戸あたり100平方メートル(共用部分を含む)までの部分で、固定資産税額の3分の1です。100平方メートルを超える部分は減額されません。また、減額の対象は大規模修繕工事が行われた棟に限られます。

そして、ここが実務で見落とされやすいポイントです。

  • 減額されるのは固定資産税のみで、都市計画税は減額されません。
  • この減額は、当該マンションにつき1度しか受けられません。
  • 耐震改修・バリアフリー改修・省エネ改修による減額とは同時に適用できません。
  • 土地についての減額はありません(建物部分のみ)。
  • 各要件は、申告時点かつ固定資産税の賦課期日(1月1日)時点で満たしている必要があります。

団地型マンションで棟別に修繕積立金を積み立てていない場合は、要件を満たすかどうかを「団地全体」で判断します。棟別に積み立てている場合は、総戸数10戸以上の要件を除き「棟別」に判断します。龍ケ崎市には団地型のマンションも少なくないので、この扱いは事前に税務課へ確認しておくと安心です。

申告は「税務課」へ。管理組合がまとめて申告できる

申告先は市役所の総務部 税務課(電話0297-64-1111)で、工事完了後3か月以内に行います。ありがたいのは、当該マンションの管理組合等の代表者が、各所有者の申告をまとめて行える点です。区分所有者一人ひとりが個別に手続きする必要はなく、理事長が代表して手続きできます(各人の署名を付した別紙を添付します)。

必要書類は、共通で「申告書」「大規模の修繕等証明書(建築士・住宅瑕疵担保責任保険法人が発行)」「過去工事証明書(建築士・マンション管理士が発行)」「総戸数が10戸以上であることがわかる書類」。管理計画認定マンションの場合はさらに「管理計画の認定通知書(龍ケ崎市都市計画課が発行)」「修繕積立金引上証明書」が加わります。

証明書の発行には建築士やマンション管理士の関与が必要です。大規模修繕の設計・施工段階から、税制の証明を見据えて書類を整えておくことが、後で慌てないコツです。私たちのような施工側と早めに情報共有しておくと、この段取りがスムーズになります。


積立金が足りない組合が、龍ケ崎市で打てる4つの手

「制度はわかった。でもうちは積立金が足りなくて、そもそも工事に踏み切れない」——龍ケ崎市の築古マンションで、私が一番よく聞くのがこの声です。ニュータウン世代のマンションは、分譲当初の積立金設定が今の物価水準に追いついていないケースが本当に多い。ここでは、現場で私が組合さんにお勧めしている打ち手を4つ挙げます。

打ち手1:住宅金融支援機構の共用部分リフォーム融資を使う。 積立金の不足分を一時金の値上げだけで賄おうとすると総会が荒れます。機構の融資で工事費を平準化し、返済しながら積み立てを続ける方が、合意形成はずっと楽です(次章で詳述します)。

打ち手2:管理計画認定を取り、固定資産税減額とセットで設計する。 前述のとおり、認定は税制と融資優遇の入口です。工事の実施と認定取得のタイミングを合わせれば、実額のリターンが最大化します。

打ち手3:工法を見直して工事費そのものを下げる。 これが私たち明誠の最も得意とするところです。足場を組むかロープアクセスにするか、その組み合わせ方一つで、総額が大きく変わります(後半で具体的なモデルケースをお見せします)。

打ち手4:長期修繕計画を今の相場で作り直す。 古い単価のままの計画は「絵に描いた餅」です。認定の要件にも積立金の確保が入っているので、計画の見直しは制度活用と防災の両面で意味があります。


住宅金融支援機構の融資は「認定」で有利になる

龍ケ崎市の公式ページでも、住宅金融支援機構(機構)の融資制度が紹介されています。管理組合が使える代表的なものが、マンション共用部分リフォーム融資です。

この融資は、大規模修繕などの共用部分の工事資金を管理組合が借り入れられる制度で、金利は申込時の金利が全期間固定で適用されます(金利は毎月見直されます)。担保として、公益財団法人マンション管理センターの債務保証を利用できるため、理事長個人が連帯保証人になる必要がない点も安心材料です。

そして重要なのが、管理計画認定を受けたマンションでは融資金利の引下げ等の優遇があるという点です。ここでも認定が効いてきます。返済期間や現時点の適用金利は申込時期や条件によって変わるため、断定は避けますが、認定を取っておくことで条件が有利になる、という方向性は間違いありません。具体的な返済期間・最新の金利は、機構の本支店窓口またはマンション管理センターへ確認してください。

あわせて、計画的に積立を進めたい組合にはマンションすまい・る債という選択肢もあります。機構が管理組合を対象に発行する債券で、毎年一定額を積み立てていく仕組みです。2026年度の応募受付期間は2026年4月13日(月)から10月9日(金)までとされています。認定マンションは利率面で優遇される仕組みもあります。工事の「借りる」側だけでなく「貯める」側も、機構の制度で強化できるということです。

将来の修繕費と積立のバランスを見える化したい場合は、機構が提供する「マンションライフサイクルシミュレーション」も役立ちます。龍ケ崎市の公式ページからもリンクされていますので、まず現状把握から始めたい組合さんはここから触ってみてください。


正直に言います。「使いにくい・使えない」制度も龍ケ崎市にはあります

補助金の記事というと、使える制度ばかりを並べたくなるものですが、私はそれをしません。理事長さんが総会で「あの制度が使えるはずだ」と言った後に「実は対象外でした」となるのが、組合にとって一番まずいからです。龍ケ崎市には住宅系の補助制度がいくつかありますが、分譲マンションの共用部大規模修繕には基本的に使えないものが多いので、そこを正直に整理します。

木造住宅の耐震化補助(毎年6月1日から受付開始): 昭和56年5月31日以前の基準で建てられた木造住宅の耐震診断・耐震設計・耐震改修を支援する制度で、補助対象経費の5分の4以内(最大100万円)が補助されます。ただし対象は木造住宅です。鉄筋コンクリート造(RC)・鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC)の分譲マンションの共用部は対象外です。

危険ブロック塀等撤去補助金(毎年6月1日から受付開始): 倒壊のおそれがあるブロック塀の撤去を支援する制度です。マンションの敷地境界にある危険なブロック塀であれば検討の余地はありますが、大規模修繕そのものとは別枠です。

空家バンク活用促進事業補助金: 龍ケ崎市空家バンクに登録された空家を対象に、改修工事費の半額(上限50万円)などを補助する制度です。これは空家の流通・活用を促す制度で、居住中の分譲マンションの共用部修繕には使えません。

若者・子育て世代住宅取得補助金: 住宅の「取得」を支援する移住・定住施策で、大規模修繕とは目的が異なります。

つまり龍ケ崎市では、「工事費を直接くれる補助金」を探すより、「管理計画認定 → 固定資産税減額+機構融資優遇」という王道ルートに集中したほうが、実際にお金が動く、というのが私の結論です。


旧耐震のマンションは「補助金」より「決議のハードルを下げる」発想を

龍ケ崎市は竜ヶ崎ニュータウンを含め、比較的新しい住宅地が多い街ですが、それでも旧耐震基準(昭和56年5月以前)のマンションが該当する組合さんはいらっしゃると思います。前述のとおり、市の耐震補助は木造が中心でRC/SRCマンションの共用部には使いにくい。では旧耐震マンションは打つ手なしかというと、そんなことはありません。

ここで知っておいてほしいのが、耐震改修促進法の「要耐震改修認定」です。これは補助金ではありませんが、実務上は非常に強力な武器になります。この認定を受けると、耐震改修工事について、区分所有法上は各4分の3以上が必要な共用部の変更決議が、過半数へと緩和されます。「反対する人が多くて決議が通らない」という、旧耐震マンションで一番のボトルネックを、法律の力で下げられるのです。

補助金がない=改修できない、ではありません。決議のハードルを下げて前に進めるという選択肢がある。これは意外と知られていないので、旧耐震の組合さんはぜひ頭の隅に置いておいてください。


ここからが本題。工事費そのものを下げる「3つの工法」

制度で数万円〜数十万円を取りに行くのも大事ですが、大規模修繕で一番大きいのは、やはり工事費本体です。数千万円の工事なら、工法選びで数百万円が動きます。ここが私たち明誠の本領です。私たちは、建物に合わせて次の3つの工法を提案できる、日本でも数少ない会社です。

工法1:通常の足場工法

建物の周囲に仮設足場を組む、従来型の工法です。中低層で形状が複雑な建物、全面的に手を入れる必要がある建物に向いています。作業の安定性が高い反面、足場の架設・撤去費が総額に大きく乗るのが弱点です。龍ケ崎市のような戸建て混在の落ち着いた住環境では、足場のシート養生で数か月間、日当たりや眺望が塞がれることを気にされる居住者も多いです。

工法2:ロープアクセス工法(無足場)

産業用ロープで作業員が壁面を上下しながら施工する、足場を組まない工法です。足場費がまるごと不要になるため、条件が合えばコストを大きく圧縮でき、工期も短縮できます。さらに、足場という「侵入経路」を作らないため防犯面でも安心で、ベランダ前に足場が立たないので居住者の生活への影響が最小限です。高層階、足場が架けにくい狭小地・隣地との距離が近い物件、そして「とにかくコストを抑えたい」という組合さんに強い工法です。

工法3:ハイブリッド工法

足場とロープアクセスを、建物の部位ごとに使い分ける工法です。たとえば「劣化が激しく全面打診が必要な面は足場、健全で塗り替え中心の面はロープアクセス」といった具合に最適化します。大規模で複雑な物件ほど、この使い分けで総額を大きく下げられます。1〜2の工法しか持たない会社にはできない、3つの選択肢を持つ明誠だからこその提案です。


龍ケ崎市の管理組合向け・モデルケース2本

具体的な数字があるほうがイメージしやすいので、龍ケ崎市によくある2つのパターンで、あくまで一般的なモデルとして試算をお見せします(実際の金額は建物の状態・面積・仕様で変わります。正確な額は現地調査のうえお見積りします)。

モデルA:龍ケ崎市駅周辺・築25年・11階建て・48戸(新耐震)

竜ヶ崎ニュータウンや龍ケ崎市駅周辺によくある中規模マンションです。全面足場を組む前提だと総額はおよそ9,000万円規模になりますが、劣化の軽い面をロープアクセスに切り替えるハイブリッド工法にすると、総額はおよそ7,800万円まで圧縮できるイメージです。差額はおよそ1,200万円。48戸で割れば1戸あたり約25万円の差になります。ここに管理計画認定を取って固定資産税の3分の1減額を重ねれば、組合全体で見た負担はさらに軽くなります。

モデルB:市内・築40年超・5階建て・18戸(小規模)

ニュータウン以前からある、小規模で高経年のマンションです。全面足場だとおよそ3,200万円のところ、ロープアクセス主体で組み立てるとおよそ2,600万円程度まで下げられるイメージです。積立金が不足しがちなこの規模こそ、機構の共用部分リフォーム融資で資金を平準化し、旧耐震であれば要耐震改修認定で決議のハードルを下げる、という合わせ技が効いてきます。

繰り返しますが、これはモデルです。大事なのは「工法の選び方次第で、これだけ動く余地がある」という事実を知っていただくことです。


使う順番を逆算する「龍ケ崎市・大規模修繕カレンダー」

制度をバラバラに知っていても、順番を間違えると取りこぼします。龍ケ崎市の組合さんが実際に動くときの流れを、逆算で整理しておきます。

まず現状把握です。長期修繕計画と積立金残高を確認し、必要なら今の相場で計画を作り直します。次に建物調査・見積り。ここで足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3案を比較し、工事の規模と予算感を固めます。並行して管理計画認定の準備を進めます。総会で管理規約・長期修繕計画・積立金を整え、マンション管理センターの事前確認(STEP1)を経て、都市計画課へ認定申請(STEP2)します。

資金面では、不足があれば機構の共用部分リフォーム融資を検討し、認定による金利優遇を織り込みます。積立を強化したいならすまい・る債の応募期間(2026年度は4月13日〜10月9日)も意識します。そして工事契約・着工・完成。ここで税制の証明書(大規模の修繕等証明書・過去工事証明書など)を建築士・マンション管理士に発行してもらい、完成から3か月以内に税務課へ固定資産税減額を申告します。

この一連の流れを、思いつきで一つずつやると数年がかりになりますが、最初に全体像を描いておけば、総会の回数も最小限で済みます。私たちは、この地図を組合さんと一緒に描くところからお手伝いします。


総会を通す「合意形成」の3つのコツ

制度と工法が整っても、最後は総会での合意です。龍ケ崎市の組合さんに、私が現場で実感している合意形成のコツを3つだけお伝えします。

一つ目は、「増額の理由」を数字とセットで語ること。積立金の値上げや一時金は感情的な反発を招きがちですが、「今動けば固定資産税がこれだけ減り、機構融資で月々の負担はこう平準化される」という実額を示すと、議論が前向きになります。

二つ目は、複数の工法・複数の見積りを並べること。1案しか出さないと「本当にこれが最善か」という不信が残ります。足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3案を並べ、なぜこれを選ぶのかを説明できると、納得感がまるで違います。

三つ目は、外部の専門家の視点を借りること。理事会だけで抱え込まず、施工会社・マンション管理士・機構などの一次情報を総会資料に添えると、「業者に言われるがまま」ではない、根拠ある意思決定になります。


よくあるご質問(龍ケ崎市の管理組合向け)

Q1. 龍ケ崎市には外壁塗装そのものへの補助金はありますか?
私が調べた限り、龍ケ崎市に外壁塗装・大規模修繕の工事費を直接補助する制度は確認できませんでした。ただし管理計画認定を入口に、固定資産税の3分の1減額と機構融資の優遇にたどり着けます。

Q2. 固定資産税の減額は「半額」ですか?
いいえ、龍ケ崎市は3分の1です。自治体によって割合が異なり、龍ケ崎市はやや控えめな設定なので、正確に押さえてください。しかも減額されるのは固定資産税のみで、都市計画税は対象外、翌年度の1年度分のみです。

Q3. 管理計画認定を取らないと減額は受けられませんか?
固定資産税減額の要件は「管理計画認定マンション」または「助言指導を受けた管理組合」です。いずれかを満たす必要があるため、認定取得(またはそれに準じる助言指導)が実質的な前提になります。

Q4. 認定の手数料はいくらかかりますか?
市への認定申請手数料は長期修繕計画1つで4,000円(2つ以上は1つあたり2,000円加算)。これとは別にマンション管理センターのシステム利用料・事前確認審査料がかかります。

Q5. 融資は理事長個人が保証人になる必要がありますか?
機構の共用部分リフォーム融資は、マンション管理センターの債務保証を利用できるため、理事長個人が連帯保証人になる必要はありません。

Q6. うちは旧耐震ですが、耐震補助が使えないなら手詰まりですか?
いいえ。耐震改修促進法の要耐震改修認定を受ければ、耐震改修の共用部決議が4分の3から過半数へ緩和されます。補助金がなくても前に進める道があります。


JCSAの取り組みについて

最後に少しだけ。私たち明誠は、施工会社であると同時に、一般社団法人 全国建設業支援協会(JCSA)の運営にも関わっています。建設業向けの経営支援や情報発信、オンラインセミナー、交流会、ビジネスマッチングなどを通じて、業界全体の底上げを目指す取り組みです。地域の管理組合さんに、信頼できる施工体制と最新の制度情報をお届けし続けるための土台だとご理解いただければと思います。


まとめ:龍ケ崎市の管理組合が、今日から動くために

龍ケ崎市の大規模修繕で押さえるべきことを、もう一度整理します。工事費そのものへの直接補助は確認できないけれど、マンション管理計画認定制度(令和6年4月開始)を入口にすれば、固定資産税の3分の1減額(令和9年3月31日までの工事完了・完了から3か月以内申告)と、住宅金融支援機構の共用部分リフォーム融資の金利優遇にたどり着けます。木造耐震補助や空家バンク補助は共用部大規模修繕には使いにくいこと、旧耐震なら要耐震改修認定で決議を緩和できることも、正直に知っておいてください。

そして何より、工事費本体を下げる鍵は工法です。足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3つから、建物にとって最適な工法を選べば、数百万円の差が生まれます。制度で取り、工法で削る。この両輪で、龍ケ崎市の管理組合さんの負担は確実に軽くできます。

私たち明誠は、龍ケ崎市の分譲マンションの建物調査・お見積りを無料で承っています。「まず現状を診てほしい」「3工法で比較した見積りが見たい」「認定と税制の段取りを相談したい」——どんな入口でも構いません。まずはお気軽にご相談ください。


この記事の主な参照・出典(公的一次情報)

明誠の関連ページ

▼ロープアクセス工法・無足場工法の詳細解説はこちら
ロープアクセスドットコム|無足場工法専門メディア

守谷市のマンション補助金|管理組合の大規模修繕2026

つくばエクスプレス(TX)で秋葉原まで約32分。守谷市は、都心通勤の便と自然環境のバランスで「住みここちの良い街」として選ばれ続けてきました。その守谷市で、いま静かに増えているのが「そろそろ2回目、3回目の大規模修繕を考えなければならない分譲マンション」です。

私は大規模修繕の現場に20年近く携わってきました。守谷市のような、TX開業(2005年)前後に一気に街が育ったエリアには、共通の特徴があります。築20年前後の分譲マンションが、時期をそろえて修繕適齢期に入ってくるのです。

本題に入る前に、正直に申し上げます。守谷市には「マンションの大規模修繕工事費そのものへ直接現金を出す補助金」は、現時点(2026年7月)で確認できませんでした。ここで話を終わらせる記事も世の中には多いのですが、それでは理事長さまの役に立ちません。

守谷市には、現金補助の代わりに「使える制度」がきちんとあります。この記事では、守谷市マンション管理計画認定制度を入口に、固定資産税の特例(マンション長寿命化促進税制)、住宅金融支援機構の融資、そして工事費そのものを下げる工法選択まで、理事長さまが総会前に押さえておくべき道筋を、公的な一次情報のリンク付きで整理します。

この記事は、こんな守谷市のマンション理事長さまへ

  • 守谷駅・新守谷駅周辺の築18〜25年の分譲マンションで、次の大規模修繕を控えている
  • 「補助金があるなら使いたいが、何が使えるのか分からない」
  • 修繕積立金が計画どおり貯まっておらず、値上げの説明材料が欲しい
  • 見積もりが本当に妥当なのか、判断する物差しが欲しい

ひとつでも当てはまるなら、この先はきっと「うちの話だ」と感じていただけるはずです。

守谷市というエリアの、修繕という視点での特徴

まず、なぜ守谷市で「修繕の話」がいま重要なのかを、街の成り立ちから整理させてください。

守谷市の人口は約7万人(令和3年12月時点で69,985人)。TX開業以降、都心へのアクセスが劇的に改善し、移住者が増えて人口が伸びてきた、県内でも数少ない「増えている街」です。守谷駅は始発電車も多く、朝でも座って都心へ通えることが、ファミリー層に選ばれてきた大きな理由でした。

この「TXで育った街」という性格が、修繕の観点では二つの意味を持ちます。

ひとつは、分譲マンションの築年数がそろっていること。街が一気に育った分、供給された分譲マンションの竣工時期も近く、2000年代半ばに建った物件が、いままさに2回目の大規模修繕(一般に築24〜36年で実施)や、初回修繕(築12〜15年)を終えて次を見据える時期に入っています。街全体で修繕期が重なるということは、良い施工会社ほど早く予約が埋まるということでもあります。

もうひとつは、内陸で塩害がないこと。海沿いの街と違い、鉄部の腐食スピードは比較的ゆるやかです。これは裏を返せば、「見た目がまだきれいだから、修繕はもう少し先でいい」と判断を先送りしやすい、という落とし穴でもあります。塗膜(塗装の膜)の防水性能は、見た目が保たれていても内側から確実に落ちていきます。私が現場で一番悔しい思いをするのは、この「まだ大丈夫」で数年放置され、下地(コンクリートや鉄筋の土台部分)まで傷んでから呼ばれるケースです。

だからこそ、守谷市の理事長さまには、制度と工法の話を「まだ先」ではなく「いまのうち」に知っておいていただきたいのです。

守谷市の一番の武器|マンション管理計画認定制度(令和6年4月開始)

守谷市が管理組合のために用意している制度で、最初に押さえるべきものが守谷市マンション管理計画認定制度です。守谷市は、マンションの管理の適正化の推進に関する法律に基づき、この制度を令和6年4月から運用開始しています(守谷市公式ページ・更新日 令和8年7月3日)。

認定制度とは、ざっくり言うと

「このマンションは、管理組合の運営や長期修繕計画がきちんとしていますよ」と市がお墨付きを与える制度です。国が定めた基準を満たしていれば、市から認定を受けられます。守谷市の場合、市独自の上乗せ基準はなく、国土交通省告示の基準そのままなので、他市と比べて特別に厳しいということはありません。

認定を受けると何が良いのか

守谷市は認定のメリットとして、固定資産税の特例措置と融資の金利引下げを挙げています。具体的には次のような入口になります。

  • マンション長寿命化促進税制(固定資産税の減額)の入口条件になる
  • 住宅金融支援機構「マンション共用部分リフォーム融資」の金利引下げの対象になり得る
  • 「すまい・る債」の利率上乗せなど、積立金運用面での優遇につながる
  • 管理計画認定マンション閲覧サイトで公表され、中古市場での評価・資産価値の下支えになる

私はいつも理事長さまに、「認定は、それ自体がゴールではなく、税と融資の“扉の鍵”です」とお伝えしています。次に説明する固定資産税の減額も、機構融資の金利引下げも、この認定があってこそ効いてくるからです。

申請の流れ(守谷市の場合)

守谷市の公式ページに沿うと、手順はこうなります。

  1. STEP1:事前確認の申請 … 公益財団法人マンション管理センターの「管理計画認定手続支援サービス」を使い、認定基準に適合しているか事前確認を受ける
  2. STEP2:事前確認適合証の取得 … 基準に適合していれば、マンション管理センターから適合証が発行される
  3. STEP3:守谷市へ認定申請 … 適合証を取得後、都市計画課開発指導グループへ持参または郵送で申請。支援サービス経由なら申請書類はシステムで自動作成される
  4. STEP4:市の認定 … 審査のうえ、基準に適合すると認められれば守谷市から認定通知書が発行される
  5. STEP5:認定情報の公開(希望者) … 同意すれば認定マンション閲覧サイトで公表される

費用と窓口

ここが大事なところです。守谷市への認定申請手数料は無料です。ただし、STEP1で使うマンション管理センターのシステム利用料・事前確認審査料は別途かかります。ここを「市に払うお金」と混同しないよう、総会では分けて説明してください。

  • 窓口:守谷市 都市整備部 都市計画課(開発指導グループ)
  • 住所:〒302-0198 茨城県守谷市大柏950番地の1
  • 電話:0297-45-1111(代表)/ファクス 0297-45-2804

(出典:守谷市「マンション管理計画・関連情報」)

認定基準の5分野を、理事長目線でかみ砕く

「国の基準そのまま」と言われても、実際に何が問われるのか。認定基準はおおむね次の5分野です。総会で説明するときの言葉に置き換えて整理します。

① 管理組合の運営 … 管理者(理事長など)が定められ、集会が年1回以上開かれているか。要は「組合がちゃんと動いているか」です。

② 管理規約 … 規約が適切に定められ、緊急時の専有部への立ち入りや、修繕等の履歴情報の管理が規定されているか。

③ 管理組合の経理 … 管理費会計と修繕積立金会計が区分されているか。積立金が管理費に紛れていないか、が問われます。

④ 長期修繕計画 … ここが実務上の山場です。計画期間が30年以上あり、その間に大規模修繕工事が2回以上含まれること。さらに、7年以内に計画が見直されていること。そして、計画に照らして積立金の額が確保されていること。

⑤ その他 … 組合員名簿・居住者名簿が整備され、年1回以上更新されているか。

初めて読むと身構えますが、ふだんから管理会社さんと長期修繕計画を回している組合なら、③と④の「数字の裏付け」を整えるだけで届くことが多い、というのが私の実感です。

固定資産税が下がる|マンション長寿命化促進税制

守谷市が認定メリットの筆頭に挙げているのが、マンション長寿命化促進税制(固定資産税の特例措置)です。これは、一定の要件を満たす大規模修繕を行ったマンションの、居住用専有部分の固定資産税を、翌年度の1年度分だけ減額する制度です。

減額の要件(国の制度)

国土交通省の資料によると、主な要件は次のとおりです。

  • 築20年以上が経過している
  • 総戸数10戸以上
  • 過去に一度、外壁塗装等・床防水・屋根防水の工事を行っている
  • 今回、その3つの工事を一体で(適切な内容で)実施する
  • 管理計画の認定を受けている、または助言・指導を受けて長期修繕計画を適切に見直している
  • 修繕積立金が一定基準以上に引き上げられている
  • 工事完了後3か月以内に市へ申告する

(出典:国土交通省「マンション長寿命化促進税制(固定資産税の特例措置)」)

★守谷市で必ず電話確認していただきたいポイント

正直にお伝えします。減額の割合(何分の1減額か)は、市町村の条例で決まります。国の参酌基準は「3分の1」ですが、条例で6分の1〜2分の1の範囲で設定でき、自治体ごとに幅があります。守谷市の公式ページでは、この制度を「認定のメリット」として国のページにリンクで案内していますが、守谷市としての具体的な減額割合や適用期間の細部までは、当該ページ上では明示されていません。

ですから、ここは断定を避けます。着工前に、守谷市役所(0297-45-1111)の資産税担当へ、減額割合・対象期間・申告様式を必ず電話で確認してください。国の制度自体は令和7年4月1日から令和9年3月31日までの2年間延長されていますが、市の運用(割合・受付)は市に直接聞くのが確実です。「私はこれを、必ずワンセットで確認するようにしています」とお伝えするのは、この一手間を省いて後悔された組合を何度も見てきたからです。

なお、この長寿命化促進税制は、耐震改修・バリアフリー改修・省エネ改修に伴う固定資産税の減額とは併用できないのが一般的です。どれが自分たちのマンションに一番効くのか、税理士や市の担当と一度整理しておくと安心です。

工事費をまかなう|住宅金融支援機構の融資と債券

補助金がなくても、資金繰りを助ける制度はあります。守谷市もマンション管理計画のページで、住宅金融支援機構(旧・住宅金融公庫)の制度を案内しています。

マンション共用部分リフォーム融資(すまい・る融資)

管理組合が、共用部分の大規模修繕のために借りられる全期間固定金利の融資です。金利変動に左右されないので、長期の返済計画が立てやすいのが管理組合向きです。

ポイントは、管理計画の認定を受けていると、返済期間を最長35年まで延ばせるなど、条件面で優遇があること。さらに、浸水対策工事や省エネ工事を組み合わせると、金利がそれぞれ引き下げられる仕組みもあります。債務保証はマンション管理センターが行います。

(出典:住宅金融支援機構「マンション共用部分リフォーム融資」)

マンションすまい・る債

こちらは借りる制度ではなく、積立金を計画的に育てるための制度です。管理組合が住宅金融支援機構の発行する債券を毎年積み立てていく仕組みで、認定マンションは利率が上乗せされる優遇があります。「積立金が計画に届いていない」という守谷市の多くの組合にとって、これは地味ですが効く一手です。

(出典:住宅金融支援機構「マンションすまい・る債」)

まず現状を可視化するなら

「いくら足りないのか分からない」という段階なら、機構のマンションライフサイクルシミュレーションで、修繕費と積立金の将来像をざっくり試算してみるのがおすすめです。総会で数字を見せるだけで、議論の空気が変わります。

「使いにくい制度」も正直にお伝えします

守谷市には住宅向けの助成メニューがいくつかありますが、分譲マンションの共用部大規模修繕にはそのまま使いにくいものが多いのが実情です。ここを曖昧にすると、期待だけ膨らんで総会で失望を招くので、正直に整理します。

守谷市の「住宅の助成」ページには、次のような制度が並びます。

  • 住宅用太陽光発電システム設置費補助金
  • 家庭用リチウムイオン蓄電池設置費補助金
  • 住宅用高効率給湯器設置費補助金
  • 生垣設置補助金
  • 危険ブロック塀等撤去補助金
  • 住宅の耐震・バリアフリー・省エネ改修工事に伴う減額 / 認定長期優良住宅に係る減額

(出典:守谷市「住宅の助成」)

これらの多くは個人の住宅(自己居住の専有部)向けで、管理組合が共用部の大規模修繕で使うことは想定されていません。たとえば太陽光・蓄電池・給湯器の補助は、基本的に戸建てや専有部の設備が対象です。管理組合名義での申請が可能かどうかは、必ず担当課へ確認してください(対象外のことが多い、という前提で臨むのが安全です)。

ただし、ひとつだけ「共用部でも使える発想の武器」があります。それが耐震です。

耐震は「補助金」より「決議のハードルを下げる法律」で考える

守谷市の木造住宅向け耐震支援(昭和56年5月以前の木造戸建てが主対象)は、RC造・SRC造のマンション共用部には基本的に対象外です。ここは期待しないほうがいい。

その代わり、耐震改修促進法という法律に、管理組合にとって強力な仕組みがあります。マンションが「要耐震改修認定」を受けると、共用部分の耐震改修について、区分所有法で通常「各4分の3以上」必要な決議が、「各過半数」に緩和されるのです。旧耐震(1981年5月以前)のマンションで「合意が取れずに耐震工事が進まない」という組合には、この決議緩和が突破口になります。守谷市は新しい街なので旧耐震物件は多くありませんが、該当する組合には知っておいていただきたい一手です。

積立金が足りないとき、理事長が打てる4つの手

守谷市に限らず、私が相談を受けるマンションの多くが「積立金不足」に直面しています。打てる手は、大きく4つです。

① 積立金の値上げ … 王道ですが、総会での合意が最大の壁。長期修繕計画の数字と、後述の「戸あたり換算」で説得力を作ります。

② 修繕周期の最適化 … 「12年ごとに全部やり直す」という固定観念を外し、部位ごとに傷み具合を見極めて、本当に必要なものから手を入れる。ここで工法選択が効きます。

③ 機構融資の活用 … 一時金を集める代わりに、共用部リフォーム融資で平準化する。認定があれば条件が良くなります。

④ 工法によるコスト圧縮 … これが、私たち明誠が最もお役に立てる領域です。

工事費そのものを下げる|3つの工法を建物に合わせて選ぶ

大規模修繕の費用の中で、意外と大きな比重を占めるのが足場(仮設)です。ビルやマンションの外周をぐるりと囲うあの鉄骨の枠組みは、組み立てと解体だけで数百万円、工期にして数週間を要することも珍しくありません。

私たち明誠は、この足場をめぐって3つの工法を、建物ごとに最適に選べる、日本でも数少ない会社です。

(1)通常の足場仮設工法 … 全面を足場で囲う従来型。中低層や、外壁が複雑な形状の建物に向きます。作業の安定性は高い一方、費用と工期はかさみます。

(2)ロープアクセス工法(無足場工法) … 産業用のロープで職人が壁面を昇降し、足場を架けずに施工する方法です。足場費を大幅に削減でき、工期も短く、足場で日当たりや眺望をふさがれないため、居住者の生活への影響が最小で済みます。高層や、足場を架けにくい立地に特に有効です。

(3)ハイブリッド工法 … 足場が必要な面(バルコニー側など)は足場、ロープアクセスが得意な面(窓の少ない妻壁など)はロープ、と部位ごとに使い分けて、総コストを最適化します。

ロープアクセスと聞くと「特殊で高そう」と身構える方がいますが、逆です。足場を省ける分、総額は下がることがほとんどです。私たちはこのロープアクセスを、塗装・防水・タイル・電気・看板など各分野の専門職が加盟するフランチャイズネットワークで回しているので、高品質と低価格を両立できます。ロープアクセスの詳しい仕組みはロープアクセス工法のご紹介をご覧ください。

守谷市のマンションでのモデルケース(試算)

イメージを持っていただくために、守谷市によくある2つのパターンで、あくまで試算としてご紹介します(物件を特定するものではありません)。

ケースA:守谷駅周辺・築22年・11階建て・48戸

新耐震の中層ファミリーマンション。TX開業前後に建った、守谷市に多いタイプです。全面足場で見積もると約9,000万円。ここをハイブリッド工法に切り替えると、約7,800万円まで圧縮できる可能性があります。差額は約1,200万円。1戸あたりに直すと約25万円の差です。これは修繕積立金の値上げ幅を、丸ごと1〜2年分吸収できるインパクトです。

ケースB:小規模・築30年超・5階建て・18戸

戸数が少なく、一時金の負担が重くのしかかる小規模マンション。足場前提だと1戸あたりの負担が大きくなりがちです。ロープアクセス主体に切り替えることで、約3,200万円を約2,600万円へ。ここに機構の共用部リフォーム融資を組み合わせれば、一時金を抑えて平準化できます。

※金額は一般的な試算です。実際は建物の形状・劣化状況・数量で変わりますので、大規模修繕工事のご相談で現地を拝見してから正確にお出しします。

使う順番|守谷市の理事長のための逆算カレンダー

制度は「知っている」だけでは1円にもなりません。動く順番が命です。守谷市で次の大規模修繕を見据えるなら、逆算でこう進めます。

  1. 12〜18か月前:長期修繕計画を最新化。7年以内の見直しになっているか確認(認定要件④)
  2. 同時期:管理費会計と修繕積立金会計が区分されているか点検(認定要件③)
  3. 10か月前:マンション管理センターの支援サービスで事前確認を申請
  4. 8か月前:事前確認適合証を取得 → 守谷市 都市計画課へ認定申請(申請手数料は無料)
  5. 同時並行:機構融資を使うなら、事前審査と返済計画を管理会社・機構と詰める
  6. 6か月前:複数社から相見積もり。工法(足場/ロープ/ハイブリッド)の比較を必ず含める
  7. 着工前:守谷市 資産税担当へ長寿命化促進税制の減額割合・申告方法を電話確認
  8. 工事完了後3か月以内:固定資産税減額の申告を忘れずに

この順番を守れば、認定 → 税の減額 → 融資の優遇 → 工法によるコスト圧縮、という4つの効果が重なって効いてきます。

総会で合意を取るための3つのコツ

制度と工法がそろっても、最後は人の合意です。私が現場で見てきた、通る総会に共通する3つのコツをお伝えします。

① 数字は「戸あたり」で語る … 「総額1,200万円の削減」より「一戸あたり25万円が浮きます」のほうが、財布の感覚で伝わります。

② 「やらない場合のコスト」も並べる … 先送りすると下地まで傷み、次回工事が高くつく。放置のリスクを同じ土俵で見せると、判断が前に進みます。

③ 第三者の物差しを用意する … 見積もりが妥当かどうか、住まいるダイヤル(住宅リフォーム・紛争処理支援センター)や、複数工法での相見積もりで客観性を担保する。「安いから」ではなく「根拠があるから」で通すのが、後々もめない秘訣です。

よくあるご質問(守谷市の理事長さまから)

Q1.守谷市には大規模修繕の補助金は本当にないのですか?
現時点(2026年7月)で、工事費そのものへの直接現金補助は確認できませんでした。ただし、認定制度・固定資産税の減額・機構融資という「実質的に効く制度」はそろっています。制度は年度で変わるので、最新は市へご確認ください。

Q2.認定を受けるのにお金はかかりますか?
守谷市への申請手数料は無料です。ただし、マンション管理センターの事前確認にはシステム利用料・審査料がかかります。ここは分けて考えてください。

Q3.認定の相談はどこにすればいいですか?
守谷市 都市計画課(0297-45-1111)が窓口です。制度全般の相談は、一般社団法人茨城県マンション管理士会(029-231-6433)や、マンション管理士連合会の相談ダイヤル(03-5801-0858/平日10〜17時)も利用できます。

Q4.築20年未満でも何かできますか?
長寿命化促進税制は築20年以上が要件ですが、認定制度自体や機構の積立支援(すまい・る債)は築年数を問いません。むしろ若いうちから積立と計画を整えておくほうが、後で楽になります。

Q5.ロープアクセスは守谷市のマンションでも本当に使えますか?
はい。守谷市は内陸で塩害がなく、中層のファミリーマンションが多いので、ハイブリッド工法が特にはまりやすいエリアです。建物の形状を拝見すれば、どの面をロープに回せるか具体的にお出しできます。

Q6.どのタイミングで相談すればいいですか?
「次の総会で修繕の話が出そう」という段階が理想です。認定や融資は準備に時間がかかるため、着工の1年〜1年半前から動くと選択肢が広がります。

建設業界のネットワークという、明誠のもうひとつの顔

最後に少しだけ。私たち明誠は、施工だけでなく、一般社団法人 全国建設業支援協会(JCSA)の運営を通じて、建設業の経営支援やビジネスマッチングにも取り組んでいます。守谷市のような成長エリアで、地域の専門職と連携しながら、良い工事を適正な価格で届ける。その土台があるからこそ、フランチャイズの各分野の職人が高品質・低価格で動けるのです。

まとめ|守谷市の理事長さまへ

守谷市に「大規模修繕への直接補助金」はありません。けれど、落胆する必要はまったくありません。

  • 守谷市マンション管理計画認定制度(令和6年4月〜) が、税と融資の扉の鍵になる
  • マンション長寿命化促進税制 で固定資産税が軽くなる(割合は市へ要確認)
  • 住宅金融支援機構の融資・すまい・る債 で資金繰りと積立を助ける
  • そして 足場/ロープアクセス/ハイブリッドの工法選択 で、工事費そのものを下げられる

この4つを、正しい順番で重ねること。それが、補助金のない街で修繕を賢く進める現実解です。

守谷駅の始発で都心へ座って通える街の、その暮らしを支える建物を、次の30年へつなぐ。そのお手伝いを、私たちは本気でしたいと思っています。ご相談だけでも遠慮なくお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。お問合せはこちらからどうぞ。

次回も、現場で本当に使える話だけをお届けします。

出典・参考資料

本記事は2026年7月時点の公開情報に基づく一般的な解説であり、個別の税務・法務判断を保証するものではありません。補助金・税制は予算枠や年度で変更される場合があります。最新の適用可否・金額・期限は、必ず守谷市の担当課および各制度の公式窓口へご確認ください。

▼ロープアクセス工法・無足場工法の詳細解説はこちら
ロープアクセスドットコム|無足場工法専門メディア

牛久市の大規模修繕|管理組合が使える補助金2026

「牛久市のマンション、うちで使える制度はあるのか」——理事長さまの疑問に正面からお答えします

はじめまして。株式会社明誠の代表を務めております、本間幸紘と申します。マンションやビル、ホテルの大規模修繕を、足場を組む従来工法と、ロープでぶら下がって施工する無足場工法(ロープアクセス工法)、そしてその両方を建物に合わせて使い分けるハイブリッド工法で、20年近く現場に立ち続けてきました。

このブログでは、首都圏の分譲マンション管理組合の理事長さまや役員の皆さまに向けて、「知っておくだけで数十万円、場合によっては数百万円単位で負担が変わってくる」自治体の補助金や支援制度を、地域ごとに一つずつ整理してお届けしています。今回の舞台は、茨城県南部の牛久市(うしくし)です。

牛久市は、JR常磐線が走り、牛久駅・ひたち野うしく駅から上野・東京方面へ通勤する人たちが数多く暮らす、典型的な首都圏のベッドタウンです。世界最大級の青銅立像「牛久大仏」や、日本初の本格ワイン醸造場として知られる牛久シャトーがある、落ち着いた住宅都市でもあります。人口はおよそ8万4千人。牛久駅・ひたち野うしく駅の周辺には、バブル期から平成にかけて建てられた分譲マンションが根づいており、「そろそろ2回目の大規模修繕が近い」「修繕積立金が足りるだろうか」——理事会でそんな声が出はじめている組合も、決して少なくないはずです。

正直に申し上げます。牛久市には、マンションの「工事費そのもの」を直接まとまって補助してくれる制度は、現時点では多くありません。ですが、管理組合が資産価値を守るうえで見逃せない制度が、静かに、しかし確実に整いつつあります。今回は牛久市の分譲マンション管理組合が使える制度を、私が現場目線で「どう活かすか」まで含めて解説していきます。

牛久市の管理組合が押さえるべき制度は大きく5つ

最初に全体像をお見せします。細かい話に入る前に、地図を頭に入れておいたほうが迷いません。牛久市で分譲マンションの管理組合が関わってくる制度は、ざっくり次の5つに整理できます。

一つ目が、いま国と自治体が最も力を入れている「マンション管理計画認定制度」。二つ目が、大規模修繕を行うと固定資産税が下がる可能性のある「マンション長寿命化促進税制」。三つ目が、修繕資金を長期固定金利で借りられる住宅金融支援機構の「マンションすまい・る融資」。四つ目が、耐震や省エネといった個別テーマの補助制度。そして五つ目が、専門家に相談できる県・国の相談窓口です。

このうち、牛久市の分譲マンション管理組合にとって「今すぐ効いてくる」のは一つ目と二つ目、そして三つ目です。私はいつも理事長さまに「補助金は工事費の値引きだと思わず、資産価値を守るための仕組みだと捉えてください」とお伝えしています。順番に見ていきましょう。

牛久市のマンション事情——通勤圏の“築古”が一斉に修繕期へ

制度の中身に入る前に、牛久市という街のマンション事情を少しだけ整理させてください。ここを押さえておくと、なぜ牛久市がいま「管理の適正化」に動き出したのかが腑に落ちます。

牛久市は、常磐線と圏央道(牛久阿見インターチェンジ)で都心・空港と結ばれた交通の便のよさから、昭和後期以降にベッドタウンとして人口を伸ばしてきました。牛久駅・ひたち野うしく駅の周辺には、通勤族の受け皿として中高層の分譲マンションが供給され、その多くが築30年前後を数えています。まさに「2回目・3回目の大規模修繕」の時期に、街全体でいっせいに差しかかっているのです。

私が現場で20年見てきて実感するのは、建物の傷みよりも先に「管理組合の体力」が落ちていくということです。理事のなり手がいない、修繕積立金の値上げが総会を通らない、長期修繕計画が10年以上見直されていない——こうした「組織の老朽化」が、結果として工事の先送りを生み、建物の寿命を縮めます。国がマンション管理適正化法を改正し、認定制度という仕組みをつくったのも、まさにこの「組織の健康」を保つためです。牛久市の制度も、その流れの中にあります。

もう一つ、牛久市のようなベッドタウンならではの事情を挙げるなら「都心の相場より工事費の感覚がつかみにくい」という点があります。東京23区のマンションと違い、周囲に大規模修繕の実例情報が少なく、「戸あたりいくらが妥当なのか」の物差しを持ちにくい。私の経験上、これが業者任せの割高な工事や、逆に安すぎて品質が伴わない工事を招く一因になっています。だからこそ、後半でお話しする「工法を揃えた相見積もり」が、牛久市のような地域では特に効いてきます。順番に見ていきましょう。

【最重要】マンション管理計画認定制度——牛久市は「申請できる街」

まず、牛久市の管理組合に一番知っていただきたいのが、このマンション管理計画認定制度です。

そもそも管理計画認定制度とは

マンション管理計画認定制度とは、管理組合が作成した管理計画(管理のルールや長期修繕計画などをまとめたもの)が、国の定める一定の基準を満たしている場合に、市区町村が「このマンションは適正に管理されていますよ」と公的にお墨付きを与える仕組みです。2020年(令和2年)のマンション管理適正化法の改正でできた、比較的新しい制度です(出典:国土交通省「住宅:管理計画認定制度」)。

ここで大事なのは、この認定は「その市区町村が制度を実施している」ことが前提になる、という点です。実施していない自治体では、そもそも認定の申請ができません。

牛久市は、このマンション管理計画認定制度をすでに実施しています(出典:牛久市「マンション管理計画認定制度」)。つまり牛久市は、分譲マンションが認定申請を「できる街」なのです。これは意外と大きな意味を持ちます。周辺の自治体の中には、まだ制度を始めていないところもあるからです。

牛久市の認定基準——国の基準と同じ

牛久市の公表によれば、認定基準について「牛久市独自の基準はなく、国がマンション管理適正化指針に定める基準と同一の内容」とされています(出典:牛久市「マンション管理計画認定制度」)。

これは実務的にありがたい話です。独自の上乗せ基準がない分、国の標準的な基準さえクリアすれば申請できます。国の基準のうち、私が現場で「ここでつまずく組合が多い」と感じるのは、やはり長期修繕計画まわりです。おおむね次のような点が問われます。

長期修繕計画が国の「長期修繕計画標準様式」に準拠して作成され、その内容と修繕積立金額が総会で決議されていること。計画の作成または見直しが7年以内に行われていること。計画期間が30年以上で、その期間内に大規模修繕工事が2回以上含まれるように設定されていること。将来の一時的な修繕積立金の徴収(いわゆる一時金頼み)を予定していないこと。経理の面では、管理費と修繕積立金が明確に区分経理されていること——などです。

言い換えれば、認定制度は「きちんと長期の視点で修繕を計画し、そのためのお金を無理なく積み立てているか」を問うものです。私はこれを、単なる書類仕事ではなく「管理組合の健康診断」だと理事長さまにお伝えしています。

申請の流れと手数料——市の手数料は無料、外部の審査料は別

申請の流れは二段構えです。まず、公益財団法人マンション管理センターが運営する「管理計画認定手続支援サービス」という電子システムで、管理計画が認定基準に適合しているかを事前に確認します。基準を満たしていれば「事前確認適合証」が発行され、これを添えて牛久市に認定申請を行う、という順序です(出典:公益財団法人マンション管理センター「管理計画認定手続支援サービス」)。

費用の話は正直にお伝えします。牛久市への申請手数料そのものは、多くの自治体と同様に無料と案内されています。ただし、マンション管理センターのシステム利用料、および事前確認に係る審査料は別途かかります。つまり「市に払うお金はほぼないが、外部の確認費用はかかる」と整理しておいてください。認定の有効期間は5年で、満了までに更新申請をしないと失効します。「取って終わり」ではなく、5年ごとの更新を前提に考えておく必要があります。

申請の窓口や必要書類の詳細は、牛久市の建築住宅課(市役所代表 029-873-2111)が案内しています。担当課の名称は市の組織改正で変わることがありますので、電話の際は「マンション管理計画認定制度の担当につないでほしい」とお伝えいただくのが確実です。

認定を受ける5つのメリット

「手間をかけて認定を取って、何が得なのか」——当然の疑問です。認定には、次の5つの実利があります。

一つ目は、次にお話しする長寿命化促進税制(固定資産税の減額)の「入口」になること。二つ目は、住宅金融支援機構のマンションすまい・る融資で返済期間が延び、金利面でも優遇されること。三つ目は、修繕積立金を機構の「マンションすまい・る債」で積み立てる際に利率が上乗せされること。四つ目は、中古市場での評価です。認定マンションは管理が行き届いている客観的な証明になり、売却時の訴求材料になります。五つ目は、住宅ローン「フラット35」の維持保全型による金利引下げの対象となり得ること。いずれも「管理をきちんとしている組合ほど得をする」という、国の明確なメッセージが込められた設計です。

マンション長寿命化促進税制——固定資産税が3分の1下がる可能性

二つ目の柱が、大規模修繕を「税の面から」後押しする、マンション長寿命化促進税制です。

減額の中身

これは、一定の要件を満たす大規模修繕工事を行ったマンションについて、工事完了の翌年度分の固定資産税(建物部分)を減額する制度です。国の制度で、実際の減額割合は各自治体が条例で定めます。牛久市は、居住部分にかかる固定資産税を「3分の1」減額すると案内しています(出典:牛久市「固定資産税」、国土交通省「マンション長寿命化促進税制」)。

減額の対象は住居部分に限られ、店舗など非住宅部分は対象外です。減額される床面積は1戸あたり100平方メートル相当までが上限で、都市計画税は対象になりません。また、耐震改修・省エネ改修・バリアフリー改修による固定資産税の減額とは同時に適用できず、いずれか一つを選ぶ形になります。減額はあくまで「1回限り・翌年度の1年度分」であることも、押さえておいてください。

「3分の1」という数字は、国が参酌基準として示している水準どおりです。自治体によっては条例で2分の1まで手厚くしている例もありますが、牛久市は標準的な3分の1と案内しています。過度な期待は禁物ですが、固定資産税が1年だけとはいえ3割減るのは、決して小さくありません。

適用の主な要件

この税制を使うには、いくつかの条件を満たす必要があります。おおむね次のとおりです。築後20年以上が経過した、10戸以上のマンションであること。過去に外壁塗装等・床防水・屋根防水の工事をそれぞれ1回以上行っていること。そのうえで、今回の工事で外壁塗装等・床防水・屋根防水を一体的に実施すること。さらに、修繕積立金を適正な水準まで引き上げていること(管理計画の認定を受けているか、または自治体の助言・指導を受けていること)。そして、工事完了後3か月以内に市へ申告することです。

要件を並べると難しく感じるかもしれませんが、要は「きちんと管理し、必要な防水・塗装をワンセットで行い、積立金も適正化しているマンションを税で応援する」という制度です。私が普段から「防水と塗装は必ずワンセットで提案する」とお伝えしているのも、建物を長持ちさせる観点だけでなく、こうした制度要件と噛み合うからでもあります。

★注意:対象工事期間の記載ズレに気をつけてください

ここで、私が理事長さまに必ずお伝えしている「誠実な注意点」があります。この税制の対象となる工事期間について、自治体の案内ページと国の最新情報にズレが生じている場合があるのです。

国は、この長寿命化促進税制の適用期間を令和9年(2027年)3月31日まで2年延長しています(出典:国土交通省「マンション長寿命化促進税制」)。一方で、市区町村のホームページは更新のタイミングによって、延長前の「令和7年3月31日まで」という古い期限が残っていることがあります。牛久市のページをご覧になる際も、この点は着工前に必ず市の課税課(資産税担当・市役所代表 029-873-2111)へ電話で確認してください。「期限が切れていると思って諦めていたが、実は延長されていた」という取りこぼしを防ぐためです。制度の細部は年度で変わりますので、断定を避け、必ず一次情報で最新の状態を確認するのが鉄則です。

住宅金融支援機構「マンションすまい・る融資」で資金と金利を味方に

補助金ではありませんが、大規模修繕の資金繰りで頼りになるのが、住宅金融支援機構の「マンションすまい・る融資(マンション共用部分リフォーム融資)」です。管理組合として申し込める、全期間固定金利の公的融資です。

2026年度の案内によると、マンション管理計画の認定を受けている場合は、返済期間を最長35年まで延ばせます。さらに、浸水対策工事や省エネルギー対策工事を実施する場合は、それぞれ0.2%ずつ金利を引き下げる仕組みがあります(出典:住宅金融支援機構「2026年度マンションすまい・る融資のご案内」、同「共用部分リフォーム融資の融資金利」)。債務保証は公益財団法人マンション管理センターが担います。

積立金を運用する側の制度として「マンションすまい・る債」もあります。2026年度の10年満期時の年平均利率は税引前で年2.0%と案内されており、管理計画の認定を受けたマンション向けにはさらに利率が上乗せされます(出典:住宅金融支援機構「マンションすまい・る債」)。応募受付には期間がありますので、積立金の置き場所として検討する場合は、年度初めのうちに機構のサイトで最新のスケジュールを確認しておくとよいでしょう。ここでも、認定を取っているかどうかで条件が変わってくる。認定制度が「入口」だと申し上げた意味が、おわかりいただけると思います。

使えそうで使いにくい制度も、正直にお伝えします

牛久市には住宅関連の補助制度がいくつもありますが、その多くは「戸建て・自己居住・専有部」を想定した制度です。分譲マンションの共用部大規模修繕にはそのまま使えないものが多いので、期待を持たせすぎないよう、正直に整理しておきます。

住宅リフォーム資金補助金は「専有部向け」

牛久市には住宅リフォームを支援する補助金がありますが、基本的に所有者自身が居住する住宅のリフォームを対象としています。管理組合が発注する共用部の大規模修繕(外壁・屋上防水・鉄部塗装など)は対象外となるのが一般的です。ただし、区分所有者の方が「自分の部屋(専有部)」の内装や設備を直す場合には使える可能性があります。共用部と専有部で扱いが分かれる点は、担当課へ個別にご確認ください。

木造住宅耐震診断士派遣は「木造戸建て向け」——でも“別の武器”があります

牛久市は、昭和56年5月31日以前に着工された木造一戸建て住宅などを対象に、耐震診断士を無料で派遣する事業を行っています(出典:牛久市「無料 木造住宅耐震診断士派遣事業について」)。対象は「木造・自己居住・延べ床面積30平方メートル以上」などの戸建て住宅で、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造の分譲マンションの共用部は対象外です。この点は誤解のないようお伝えしておきます。

ただし、旧耐震(1981年より前の基準)のマンションには、補助金とは別の“武器”があります。耐震改修促進法に基づく「要耐震改修認定」を受けると、共用部の耐震改修について、区分所有者および議決権の各4分の3以上が必要だった決議要件を、各過半数に緩和できます。「耐震補強をやりたいのに総会が通らない」という組合にとって、これは資金以上に大きな後押しになります。旧耐震のマンションをお持ちの理事長さまは、ぜひ頭の片隅に置いておいてください。

住宅用環境配慮型設備の補助(蓄電池最大5万円)は個人向け

牛久市は令和8年度も、住宅用の環境配慮型設備(蓄電池など)を設置する方に補助金を用意しており、蓄電池には最大5万円が交付されます(出典:牛久市「令和8年度住宅用環境配慮型設備設置事業補助金について」)。ただしこれは、自ら居住する(または居住しようとする)住宅を対象とした個人向けの制度で、市税の滞納がないことなどが要件です。分譲マンションの共用部にそのまま使うのは難しいのが実情です。管理組合名義での申請が可能かどうかは、環境政策課(新エネルギー対策室)へ事前に確認してください。窓の断熱改修や家電の買い替えを支援する制度(出典:牛久市「令和8年度住宅用省エネ家電製品買替え促進補助金について」)も、基本は各戸の専有部・自己居住向けです。

こうした制度は、いずれも「先着順・予算枠に達し次第終了」が一般的です。年度初めの早い時期に動くほど有利になりますので、使える見込みがあるものは、募集開始の情報を早めにつかんでおくことをおすすめします。

茨城県のマンション政策と相談窓口も活用してください

牛久市の制度に加えて、茨城県のマンション政策も知っておくと心強いです。茨城県は令和6年(2024年)3月に「茨城県マンション管理適正化推進計画」を策定し、県としてマンション管理の適正化を後押しする体制を整えました(出典:茨城県「マンション政策」)。県は一般社団法人茨城県マンション管理士会と連携し、管理組合向けの講習会や相談会も開催しています。

正直に申し上げると、埼玉県などで見られるような「県が無料でマンション管理アドバイザーを派遣する」といった手厚い仕組みは、私が調べた範囲では茨城県では確認できませんでした。その代わり、認定制度については国の「マンション管理計画認定制度相談ダイヤル」(一般社団法人マンション管理士会連合会、TEL 03-5801-0858、平日10時〜17時)が利用できます。「認定を取りたいが、うちの長期修繕計画で基準を満たせるのか」といった段階の相談から乗ってもらえますので、まずは電話で現在地を確かめるのがよいでしょう。

牛久市で工事費を最適化する——3つの工法を使い分ける

ここからが、私たち施工会社として一番お役に立てる本題です。補助金や税制で数十万円を取りに行くのも大事ですが、大規模修繕はそもそもの工事費が数千万円単位。その「本体価格」をどう最適化するかで、桁が一つ違ってきます。鍵は工法の選び方です。

一つ目は、昔ながらの「足場仮設工法」。建物全体に足場を組む方法で、どんな作業もしやすい反面、足場の設置・撤去に大きな費用と工期がかかります。二つ目が、私たちが得意とする「ロープアクセス工法(無足場工法)」。屋上からロープでぶら下がって施工する方法で、足場が要らない分、費用を抑えられ、工期も短く、居住者の生活への影響も最小限で済みます。防犯面でも、足場がないことは大きな安心材料です。三つ目が、その両方を部位ごとに使い分ける「ハイブリッド工法」です。

私はいつも、この3つを「どれか一つ」ではなく、建物の形状・階数・劣化状況に応じて組み合わせてご提案しています。足場が本当に必要な面には足場を、ロープで十分な面はロープで——この見極めができるかどうかで、総額は大きく変わります。牛久市のマンションは中低層から中高層まで幅があり、まさに工法の使い分けが効く物件が多い地域です。工法ごとの違いはロープアクセス工法のご紹介でも詳しくご説明しています。

モデルケースで見る「戸あたりいくら違うか」

抽象論では財布の感覚が動きません。牛久市で想定されるマンションを例に、工法によって戸あたりの負担がどう変わるかを見てみましょう。あくまで一般的な傾向を示すための試算で、実際の金額は建物ごとに調査のうえ算出します。

まず、牛久駅周辺にありそうな「築28年・11階建て・48戸・新耐震」のマンション。全面足場でのオーソドックスな大規模修繕を仮に9,000万円とすると、足場が必要な面と不要な面を見極めたハイブリッド工法では、7,800万円程度まで圧縮できるケースがあります。差額はおよそ1,200万円。48戸で割ると、1戸あたり約25万円の違いです。総会で「25万円」と言われれば、多くの区分所有者が耳を傾けてくれます。

次に、少し年数を重ねた「築44年・5階建て・18戸・旧耐震」の小規模マンション。足場中心の工事で3,200万円かかるところを、ロープアクセスを主体にすると2,600万円程度に抑えられる場合があります。加えて、先ほどお話しした要耐震改修認定を使えば、耐震補強の決議要件を各過半数に緩和でき、「工事はしたいが総会が通らない」という小規模組合特有の壁も越えやすくなります。規模が小さい組合ほど、足場費の削減とロープアクセスの相性はよい、というのが私の実感です。

修繕積立金が足りないとき、4つの打ち手

「制度はわかった。でも、そもそも積立金が足りない」——これが多くの組合の本音だと思います。私が現場でご提案している打ち手は、大きく4つです。

一つ目は、工法の見直しによる工事費そのものの圧縮。ここまで述べたとおり、ロープアクセスやハイブリッドで足場費を削るのが最も効果的です。二つ目は、住宅金融支援機構のマンションすまい・る融資の活用。全期間固定で計画が立てやすく、認定を取っていれば条件が有利になります。三つ目は、工事範囲の優先順位づけ。劣化調査に基づいて「今すぐやるべき部位」と「次回に回せる部位」を仕分けし、緊急度の高いところから段階的に手を入れる方法です。傷んだ箇所だけを狙って直すピンポイント施工も、費用を抑えながら建物を延命させる有効な選択肢です。四つ目は、長期修繕計画と積立金の適正化そのもの。これは認定制度の要件でもあり、遠回りに見えて、結局いちばん組合の体力を回復させます。

制度を使う順番——牛久市の管理組合のための逆算カレンダー

制度は「知っている」だけでは1円も得しません。「使う順番」で組み立てて、はじめて効いてきます。牛久市の管理組合が2回目・3回目の大規模修繕に向かう場合の、逆算の道筋をお示しします。

第一段階は、長期修繕計画の見直しと劣化調査です。ここが全ての土台になります。第二段階で、修繕積立金を適正な水準へ引き上げる決議を総会で通します。第三段階で、マンション管理計画認定の事前確認から申請へ進みます。第四段階で、認定を前提に住宅金融支援機構のすまい・る融資の枠を確認します。第五段階で、複数の施工会社から「工法を揃えた」相見積もりを取り、工事内容と金額を精査します。第六段階で工事を発注・実施し、外壁塗装等・床防水・屋根防水をワンセットで行います。そして第七段階、工事完了後3か月以内に長寿命化促進税制の申告を市へ行う——ここまでが一連の流れです。

この順番で動くと、認定・融資・税制がきれいにつながります。逆に、思いつきで工事だけ先に発注してしまうと、税制の要件を満たせず減額を取り逃す、といったもったいない事態が起こります。急がば回れ、です。

総会で合意を得るための3つのコツ

最後に、制度以前に多くの組合がつまずく「合意形成」について、現場からの3つのコツをお伝えします。

一つ目は、数字を「戸あたり」で語ること。総額9,000万円ではピンと来なくても、「1戸あたり月◯円の積立増」「工法変更で1戸25万円の削減」と言い換えれば、判断の土俵に乗ります。二つ目は、選択肢を2〜3案に絞って見せること。案が多すぎると総会は決まりません。三つ目は、外部の専門家や相見積もりを「対立」ではなく「安心材料」として使うこと。私は理事長さまに、相見積もりは業者を叩くためではなく、組合の意思決定に自信を持つための道具だとお伝えしています。管理組合向けのサポートについては大規模修繕工事のご紹介や管理組合さま向けサービスのご案内もあわせてご覧ください。

よくあるご質問(FAQ)

Q1. 牛久市には、大規模修繕の工事費を直接もらえる補助金はありますか。
現時点では、共用部の大規模修繕そのものへ直接まとまった現金を交付する牛久市独自の制度は確認できていません。代わりに、固定資産税の減額(長寿命化促進税制)や、認定制度を入口とした融資・利率の優遇が中心になります。

Q2. 管理計画認定を取るのに、市へのお金はかかりますか。
牛久市への申請手数料は無料と案内されています。ただし、マンション管理センターのシステム利用料と事前確認の審査料は別途かかります。

Q3. 長寿命化促進税制の期限が切れていると聞きました。
国は令和9年3月31日まで2年延長しています。市のページに古い期限が残っている場合がありますので、着工前に必ず課税課(資産税担当)へ電話で最新の状態をご確認ください。

Q4. うちは旧耐震ですが、耐震補強の決議が総会で通りません。
耐震改修促進法の「要耐震改修認定」を受けると、共用部の決議要件を各過半数に緩和できます。資金の前に、まずこの決議のハードルを下げられる可能性があります。

Q5. ロープアクセスは本当に安全で、安いのですか。
ロープアクセスは資格を持つ技術者が国際基準に沿って施工する工法で、足場が不要な分、費用と工期を抑えられます。ただし建物の形状によっては足場が適する面もあり、私は必ず現地を見てから足場・ロープ・ハイブリッドを使い分けています。

Q6. まず何から始めればいいですか。
長期修繕計画の見直しと劣化調査からです。ここが認定・融資・税制すべての土台になります。判断に迷うときは、お問合せフォームからご相談だけでもお寄せください。

最後に——牛久市の管理組合さまへ

牛久市は、常磐線で都心とつながりながら、大仏さまとワインの街として独自の落ち着きを持つ、暮らしやすいまちです。その街で長く住み継がれてきた分譲マンションが、いままさに一斉に修繕の節目を迎えています。

正直に申し上げます。牛久市の制度は、派手な現金給付こそ多くありません。けれども、認定制度・長寿命化促進税制・機構融資という「管理をきちんとする組合が得をする」仕組みは、着実にそろっています。そこに、工法を使い分けて工事費そのものを最適化する視点を重ねれば、負担は目に見えて変わります。

私たち明誠は、足場仮設とロープアクセスの両方を自社の武器として持ち、建物にとって本当にベストな工法をご提案できる、日本でも数少ない会社です。牛久市の管理組合の皆さま、総会の前段階の整理だけでも構いません。ご相談だけでも遠慮なくお声がけください。理事会で決めきる前の「頭の整理」の段階から、お力になれることが必ずあります。

出典・参考資料

▼ロープアクセス工法・無足場工法の詳細解説はこちら
ロープアクセスドットコム|無足場工法専門メディア

古河市のマンション補助金|管理組合の大規模修繕2026

「うちのマンション、古河市で使える制度はあるのか」——理事長さまの疑問に正面からお答えします

はじめまして。株式会社明誠の代表を務めております、本間幸紘と申します。マンションやビル、ホテルの大規模修繕を、足場を組む従来工法と、ロープでぶら下がって施工する無足場工法(ロープアクセス工法)、そしてその両方を建物に合わせて使い分けるハイブリッド工法で、20年近く現場に立ち続けてきました。

このブログでは、首都圏の分譲マンション管理組合の理事長さまや役員の皆さまに向けて、「知っておくだけで数十万円、場合によっては数百万円単位で負担が変わってくる」自治体の補助金や支援制度を、一つずつ地域ごとに整理してお届けしています。今回の舞台は、茨城県西部の古河市(こがし)です。

古河市は、JR宇都宮線(東北本線)が走り、埼玉県・栃木県と県境を接する交通の要衝です。人口はおよそ13万9千人で、茨城県内でも有数の規模を持つ市です。旧市街には平成初期に建てられた分譲マンションが根づき、駅周辺には比較的新しいマンションも増えてきました。「そろそろ2回目の大規模修繕が近い」「修繕積立金が足りるか不安だ」——理事会でそんな声が出はじめている組合も、決して少なくないはずです。

正直に申し上げます。古河市には、マンションの「工事費そのもの」を直接まとまって補助してくれる制度は、現時点では多くありません。ですが、管理組合が資産価値を守るうえで見逃せない制度が、静かに、しかし確実に整いつつあります。今回は古河市の分譲マンション管理組合が使える制度を、私が現場目線で「どう活かすか」まで含めて解説していきます。

古河市の管理組合が押さえるべき制度は大きく5つ

最初に全体像をお見せします。細かい話に入る前に、地図を頭に入れておいたほうが迷いません。古河市で分譲マンションの管理組合が関わってくる制度は、ざっくり次の5つに整理できます。

一つ目が、いま国と自治体が最も力を入れている「マンション管理計画認定制度」。二つ目が、大規模修繕を行うと固定資産税が下がる可能性のある「マンション長寿命化促進税制」。三つ目が、太陽光や蓄電池といった省エネ・脱炭素設備の「自立・分散型エネルギー設備導入促進事業補助金」。四つ目が、建物の安全に関わる「耐震改修促進事業」。そして五つ目が、専門家に相談できる県・国の相談窓口です。

このうち、古河市の分譲マンション管理組合にとって「今すぐ効いてくる」のは一つ目と二つ目、そして五つ目です。私はいつも理事長さまに「補助金は工事費の値引きだと思わず、資産価値を守るための仕組みだと捉えてください」とお伝えしています。順番に見ていきましょう。

古河市のマンション事情——なぜ今「管理」なのか

制度の中身に入る前に、古河市という街のマンション事情を少しだけ整理させてください。ここを押さえておくと、なぜ古河市がいま「管理の適正化」に動き出したのかが腑に落ちます。

古河市は、平成17年(2005年)に旧古河市・総和町・三和町が合併して誕生した、比較的新しい枠組みの市です。庁舎が総和・古河・三和の3か所に分かれているのはその名残で、マンション行政の窓口も担当ごとに庁舎が異なります。ここは後ほど連絡先のところで整理します。

古河駅周辺の中心市街地には、昭和末期から平成初期に建てられた分譲マンションが点在しています。これらは築30年から35年を数え、まさに「2回目・3回目の大規模修繕」の時期に差しかかっています。一方で、近年は住環境の良さから移住・定住を促す動きもあり、比較的新しいマンションも供給されてきました。「新しいマンションと、年数を重ねたマンションが混在する」——この構図は、多くの地方都市に共通する悩みです。

私が現場で20年見てきて実感するのは、建物の傷みよりも先に「管理組合の体力」が落ちていくということです。理事のなり手がいない、修繕積立金の値上げが総会を通らない、長期修繕計画が10年以上見直されていない——こうした「組織の老朽化」が、結果として工事の先送りを生み、建物の寿命を縮めます。国がマンション管理適正化法を改正し、認定制度という仕組みをつくったのも、まさにこの「組織の健康」を保つためです。古河市の制度も、その流れの中にあります。

もう一つ、古河市ならではの事情を挙げるなら「都心の相場より工事費の感覚がつかみにくい」という点があります。東京23区のマンションと違い、地方都市では大規模修繕の実例情報が周囲に少なく、「戸あたりいくらが妥当なのか」の物差しを持ちにくい。私の経験上、これが業者任せの割高な工事や、逆に安すぎて品質が伴わない工事を招く一因になっています。だからこそ、後半でお話しする「工法を揃えた相見積もり」が、古河市のような地域では特に効いてきます。順番に見ていきましょう。

【最重要】マンション管理計画認定制度——古河市は「申請できる街」

まず、古河市の管理組合に一番知っていただきたいのが、このマンション管理計画認定制度です。

そもそも管理計画認定制度とは

マンション管理計画認定制度とは、管理組合が作成した管理計画(管理のルールや長期修繕計画などをまとめたもの)が、国の定める一定の基準を満たしている場合に、市区町村が「このマンションは適正に管理されていますよ」と公的にお墨付きを与える仕組みです。2020年(令和2年)のマンション管理適正化法の改正でできた、比較的新しい制度です。

ここで大事なのは、この認定は「その市区町村が制度を実施している」ことが前提になる、という点です。実施していない自治体では、そもそも認定の申請ができません。

古河市は、令和6年(2024年)5月1日から、このマンション管理計画認定制度を実施しています(出典:古河市「マンション管理計画の認定制度」)。つまり古河市は、分譲マンションが認定申請を「できる街」なのです。これは意外と大きな意味を持ちます。

古河市の認定基準——国の基準と同じ

古河市の公表によれば、認定の対象は「市内の既存の分譲マンション」で、申請者はマンション管理組合の管理者等となります。そして認定基準について、古河市はこう明記しています。「古河市独自の基準はなく、国がマンション管理適正化指針に定める基準と同一の内容」です(出典:古河市「マンション管理計画の認定制度」)。

これは実務的にありがたい話です。独自の上乗せ基準がない分、国の標準的な基準さえクリアすれば申請できます。国の基準のうち、私が現場で「ここでつまずく組合が多い」と感じるのは、やはり長期修繕計画まわりです。おおむね次のような点が問われます。

長期修繕計画が国の「長期修繕計画標準様式」に準拠して作成され、その内容と修繕積立金額が総会で決議されていること。計画の作成または見直しが7年以内に行われていること。計画期間が30年以上で、その期間内に大規模修繕工事が2回以上含まれるように設定されていること。将来の一時的な修繕積立金の徴収(いわゆる一時金頼み)を予定していないこと。経理の面では、管理費と修繕積立金が明確に区分経理されていること——などです。

言い換えれば、認定制度は「きちんと長期の視点で修繕を計画し、そのためのお金を無理なく積み立てているか」を問うものです。私はこれを、単なる書類仕事ではなく「管理組合の健康診断」だと理事長さまにお伝えしています。

申請手数料は無料。ただし外部の審査料はかかる

費用の話は正直にお伝えします。古河市への申請手数料そのものは無料です。ただし、公益財団法人マンション管理センターが運営する管理計画認定手続支援システムの利用料、および事前確認に係る審査料は有料です(出典:古河市「マンション管理計画の認定制度」)。

認定の有効期間は、認定を受けた日から5年です。有効期間の満了までに更新申請を行わないと認定は失効しますので、「取って終わり」ではなく5年ごとの更新を前提に考えておく必要があります。

認定を受ける4つのメリット

では、手間をかけて認定を取ると何がいいのか。古河市が挙げているメリットは主に4つです。

一つ目は、適正に管理されているマンションとして評価されること。区分所有者が部屋を売るとき、「管理計画認定マンション」という肩書きは買い手への安心材料になります。二つ目は、住宅金融支援機構の「フラット35」や共用部分リフォーム融資で金利の引き下げ措置が受けられること。三つ目は、同じく住宅金融支援機構の「マンションすまい・る債」を利用する場合に利率の上乗せ措置が受けられること。積立金を運用する組合にとっては地味に効いてきます。

そして四つ目が、次にお話しする「マンション長寿命化促進税制」の対象になり得ること、です(出典:古河市「マンション管理計画の認定制度」)。この四つ目が、大規模修繕を控えた組合にとっては一番の狙いどころになります。

マンション長寿命化促進税制——大規模修繕で固定資産税が1年だけ半分に

認定制度と必ずセットで理解していただきたいのが、この「マンション長寿命化促進税制」です。これは古河市独自の制度ではなく、国が令和5年度税制改正で創設した全国共通の仕組みです。

制度の中身

一定の要件を満たすマンションが、長寿命化に資する大規模修繕工事(外壁塗装等工事、床防水工事、屋根防水工事の「すべて」を含むもの)を行った場合、工事が完了した年の翌年度分に限り、そのマンションの固定資産税額(居住用部分・一戸あたり床面積100平方メートル相当分まで)が2分の1に減額されます(出典:国土交通省「マンション長寿命化促進税制」)。

適用期間は令和5年4月1日から令和9年3月31日までです。当初は令和7年3月31日までの制度でしたが、令和7年度の税制改正で2年間延長されました。つまり、いま大規模修繕を検討している古河市の組合にとっては、間に合う可能性が十分ある制度だということです。

使うための前提条件

ここが肝心です。この税制を使うには、いくつかの前提があります。まず、築20年以上・総戸数10戸以上といったマンションの規模要件があること。次に、長期修繕計画の見直し等により修繕積立金を一定の基準額以上に引き上げていること。そして——ここが認定制度とつながるのですが——原則として管理計画の認定を受けているか、市区町村から助言・指導を受けて長期修繕計画を適切に見直していること、が求められます。

つまり、「認定制度で管理体制を整える → 適切な積立をする → 長寿命化工事を行う → 固定資産税が1年だけ半分になる」という一本の道でつながっているのです。私が「認定と税制はワンセットで考えてください」とお伝えするのは、このためです。

申告のタイミングに注意

減額を受けるには、工事完了後3か月以内に、大規模の修繕等証明書、過去工事証明書、管理計画の認定通知書、修繕積立金引上証明書などを添えて、管理組合の代表者が市区町村に申告する必要があります(出典:国土交通省「マンション長寿命化促進税制」)。工事が終わってから「そういえば」では間に合いません。工事の計画段階から、証明書の取得と申告のスケジュールを組み込んでおくことが大切です。

正直に申し上げると、減額されるのは「1年分の固定資産税の半分」ですから、金額として劇的に大きいわけではありません。ですが、認定・積立・工事という一連の取り組みを「きちんとやっている証」として使える点にこそ、私は価値があると考えています。

認定を取るまでの現実的な4ステップ

「認定が良いのは分かった。でも、うちの組合に取れるのか」——理事長さまから必ず聞かれる質問です。現場での進め方を、4つのステップに分けてお伝えします。

第一に、長期修繕計画の現状確認です。手元の計画が国の標準様式に沿っているか、直近7年以内に見直されているか、計画期間が30年以上あるかを確認します。ここが古ければ、まず見直しから着手します。第二に、修繕積立金の水準チェックです。将来の一時金頼みになっていないか、区分経理がきちんと分かれているかを見ます。第三に、公益財団法人マンション管理センターの支援システムを通じて事前確認を受け、専門家(マンション管理士など)の目を入れます。そして第四に、古河市営繕住宅課へ認定申請、という流れです。

私の経験上、いきなり第四の「申請」から入ろうとして止まる組合がとても多い。実際に効いてくるのは第一・第二の「足元を整える」段階です。ここは総会での合意形成が必要になるため、理事会だけで抱え込まず、早めに専門家と施工会社の両方に相談しながら進めるのが、結局は一番の近道になります。認定は「建物の資産価値を守る土台づくり」であり、私はこれを資産価値の維持・向上という長い視点で理事長さまにお話しするようにしています。

省エネ・脱炭素の補助金——共用部の設備更新で検討したい

三つ目は、太陽光発電や蓄電池などの省エネ・脱炭素設備に関する補助です。古河市は「自立・分散型エネルギー設備導入促進事業補助金」を実施しており、茨城県の補助制度を活用する形で運用しています(出典:古河市 環境課「自立・分散型エネルギー設備導入促進事業補助金」)。

対象となるのは、発電出力10キロワット未満の太陽光発電設備と連系する蓄電池などの設備で、停電時や電力需要のピーク時に電気を活用できるものです。令和7年度は6月上旬から受付を開始し、予算の上限に達し次第、受付を終了する運用となっていました。

分譲マンションの場合、各住戸というより「共用部の照明のLED化」「エントランスや管理室の電源のバックアップ」といった文脈で、こうした設備が検討対象になることがあります。ただし、この補助はもともと戸建てや個人住宅を主な想定にしている面があり、分譲マンションの共用部でそのまま使えるかは、設備の仕様や申請要件によって変わります。導入をお考えの際は、必ず事前に古河市三和庁舎の環境課(電話 0280-76-1511)へ、共用部での適用可否を確認してから計画を進めてください。「予算上限で早期終了」という制度なので、動くなら年度の早い時期が有利です。

耐震改修促進事業——「木造戸建て中心」という前提を正しく知る

四つ目は耐震です。ここは誤解が生まれやすいので、あえて丁寧にお伝えします。

古河市の「耐震改修促進事業」は、木造住宅耐震診断士派遣、木造住宅耐震改修訪問相談、木造住宅耐震改修補助金の3本立てで構成されています。補助金では、上部構造評点1.0未満と判定された木造戸建て住宅の耐震改修等について、必要経費の5分の4に相当する額、かつ上限115万円までが補助されます(出典:古河市「古河市耐震改修促進事業のご案内」)。

数字だけ見ると手厚い制度ですが、ここで大事なのは「対象が木造の一戸建て住宅である」という点です。分譲マンションの多くは鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)ですので、この木造向けの補助制度はそのままでは当てはまりません。「マンションだから耐震補助が115万円もらえる」と早合点しないよう、私はあえて注意喚起しています。

では、RC造・SRC造の分譲マンションの耐震はどうすればよいのか。旧耐震基準(昭和56年5月以前)で建てられたマンションについては、国や都道府県レベルで耐震診断・耐震改修の助成が用意されている場合があります。制度は年度ごとに枠や要件が変わりますので、旧耐震のマンションで耐震にご不安がある組合は、まず市の建築指導課(電話 0280-76-1511)と茨城県の住宅担当窓口に、現行で使える制度がないかを確認するのが確実です。耐震は「使える制度があるか」ではなく「建物の安全をどう確保するか」から逆算して考えるべきテーマだと、私は考えています。

相談窓口と専門家の活用——「まず誰に聞くか」を整理する

五つ目は、お金そのものではありませんが、実は一番使ってほしい「相談窓口」です。制度は知っていても、「自分の組合が対象になるのか」「何から手をつければいいのか」が分からず止まってしまう——これが現場で一番多いパターンです。

まず、マンション管理計画認定制度について、国レベルでは一般社団法人日本マンション管理士会連合会が「マンション管理計画認定制度相談ダイヤル」(電話 03-5801-0858、平日10時〜17時)を開設しています。認定を取るべきかどうかの入り口相談に使えます。

そして古河市では、認定制度そのものの窓口は営繕住宅課(三和庁舎、電話 0280-76-1511)です。省エネ設備は同じく三和庁舎の環境課、耐震や建築確認は建築指導課が担当します。古河市は庁舎が3か所に分かれているので、「どの制度をどの庁舎に聞けばいいか」を最初に整理しておくと、無駄足を踏まずに済みます。

私はいつも理事長さまに「制度の可否は行政に、工事の中身は施工会社に、この二つを分けて相談してください」とお伝えしています。行政は制度の要件は教えてくれますが、工事の方法や費用の妥当性までは踏み込みません。そこは私たちのような施工会社の役目です。

大規模修繕を古河市で進めるときの、現場からの3つの助言

制度の話が続いたので、最後に施工の視点から、古河市の管理組合に向けた実務的な助言を3つお伝えします。

一つ目は、「認定・税制を狙うなら、工事の設計段階から逆算する」こと。長寿命化促進税制は外壁塗装等・床防水・屋根防水の3工事をすべて含むことが条件です。せっかく大規模修繕をするなら、この3点セットを漏らさない設計にしておかないと、税制の対象から外れてしまいます。工事内容と証明書取得のスケジュールは、着工前に必ずすり合わせてください。

二つ目は、「工法によって費用が大きく変わる」こと。私ども明誠は、足場を組む従来工法だけでなく、ロープでぶら下がって施工する無足場工法(ロープアクセス工法)も手掛けています。足場の架設・解体には相応の費用と工期がかかりますが、建物の形状や工事範囲によっては、無足場工法や足場との組み合わせ(ハイブリッド工法)にすることで、足場費や工期を抑えられるケースがあります。積立金に不安がある組合ほど、複数の工法を比較する価値があります。

三つ目は、「相見積もりは工法を揃えて取る」こと。A社は全面足場、B社はロープアクセスという条件のバラバラな見積もりを並べても、正しい比較はできません。同じ工事範囲・同じ品質基準で、工法違いも含めて比較する。ここが管理組合の費用最適化の分かれ目です。私どもは大規模修繕工事のご相談で、まさにこの「工法を揃えた比較検討」からお手伝いすることが多いです。

補足すると、無足場工法は「どんな建物でも安くなる魔法」ではありません。凹凸が多く作業範囲の広い建物では、かえって足場のほうが効率的なこともあります。だからこそ私は、足場・ロープアクセス・その組み合わせの3つを最初から比較できる体制を大切にしています。「うちの建物ならどの工法が向くのか」——そこを一緒に見極めるのが、私の一番の仕事だと思っています。古河市のように築30年前後のマンションが多い地域では、2回目・3回目の修繕をどう設計するかで、その後20年の積立負担が大きく変わります。

まとめ——古河市の管理組合が今日からできること

長くなりましたので、古河市の分譲マンション管理組合が押さえるべきポイントを整理します。

古河市は令和6年5月から、分譲マンションの管理計画認定制度を実施しています。認定を取れば、フラット35等の金利優遇や、大規模修繕時の固定資産税を1年だけ半分にする長寿命化促進税制(令和9年3月31日まで)につながります。省エネ設備の補助や耐震の制度もありますが、後者は木造戸建て中心という前提を正しく理解しておく必要があります。そして、迷ったらまず市の営繕住宅課と国の相談ダイヤルに聞く——これが遠回りのようで一番の近道です。

補助金や税制は、あくまで「きちんと管理し、適切に修繕する組合」を後押しする仕組みです。制度を入り口に、長期修繕計画と積立、そして工法の見直しまで一度整理してみる。その最初の一歩を、私どもはいつでもお手伝いします。総会前の段階整理だけでも、お問い合わせからお気軽にお声がけください。ご相談だけでも、お力になれることがあります。

次回も、現場で本当に使える話だけをお届けします。

出典・参考資料

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ロープアクセスドットコム|無足場工法専門メディア

日立市のマンション補助金・税制ガイド2026|管理組合が使える制度を、市の一次情報で全部並べました

日立市のマンションを見せていただくとき、私が理事長さんに最初にお伝えすることは、だいたい同じです。「この街は、市役所がマンションの味方をしてくれている、数少ない街ですよ」と。

これは持ち上げているわけではありません。日立市は、市のホームページにわざわざ「マンション大規模修繕工事の発注等に関する相談窓口について」という専用のページを設けています。工事の見積もりが妥当かどうか、発注のやり方が適切かどうかを、管理組合や区分所有者が相談できる窓口を、市が案内してくれているのです。これをやっている市町村は、正直なところ、そう多くありません。

私は塗装屋として二十年以上、マンションやビルの外壁と向き合ってきました。その経験から申し上げると、大規模修繕でいちばん怖いのは、工事そのものではなく「相談できる相手がいないまま、言い値で契約してしまうこと」です。日立市はそこに手を差し伸べてくれている。だからこの街の管理組合には、「使える制度は全部使い、相談できる窓口は全部使う」という姿勢を、私は強くおすすめしています。

この記事では、2026年(令和8年)7月時点で、日立市の分譲マンション管理組合が使える制度を、行政の一次情報にあたって整理しました。先に結論から申し上げます。日立市にも「大規模修繕工事費そのものに現金を出す市の補助金」は、残念ながら確認できませんでした。ここは正直にお伝えします。

しかしその代わり、日立市には他の街がうらやむような、はっきりした強みが3つあります。ひとつはマンション管理計画認定制度がすでに申請できる状態にあること。ふたつめは、長寿命化促進税制の減額割合が「2分の1」という手厚い水準で、しかも市のページが国の期限延長を正しく反映していること。みっつめが、さきほどの発注相談窓口を市が用意していることです。

この3つを軸に、順番に道筋をつくっていきましょう。


まず結論:日立市の管理組合が押さえるべき制度・早見表

理事会の資料にそのまま貼れるよう、先に一覧にします。詳しい中身は後ほど順に解説します。

# 制度名 誰が出しているか 管理組合にとっての意味 窓口
1 日立市マンション管理計画認定制度 日立市 管理レベルの公的なお墨付き。すべての入口 市 住政策推進課
2 マンション長寿命化促進税制(固定資産税2分の1減額) 国/日立市 認定+大規模修繕で翌年度の固定資産税が半分に 市 資産税課
3 マンション大規模修繕工事の発注相談窓口 日立市が案内 見積チェック・発注アドバイスが無料で受けられる 住まいるダイヤル ほか
4 マンション共用部分リフォーム融資(すまい・る融資) 住宅金融支援機構 認定等で金利引下げ。積立金不足の補完に 住宅金融支援機構
5 日立市木造住宅耐震化支援事業助成金 日立市 ※木造戸建向け。RC造マンション共用部は対象外 市 建築指導課
6 日立市脱炭素化促進事業補助(蓄電池・ZEH) 日立市 ※基本は個人住宅向け。共用部利用は要確認 市 環境推進課

この表を見て、いちばんお伝えしたいのは「1番と2番はセットで効く」ということです。管理計画認定を取り、その上で大規模修繕をきちんとやると、翌年度の固定資産税が半分になる。日立市は、この道がちゃんとつながっている街なのです。順に見ていきます。


制度1:日立市マンション管理計画認定制度――すべての入口はここ

令和6年5月から、日立市で申請できるようになりました

まず大前提の話です。マンション管理計画認定制度とは、管理組合の運営状態が国の基準を満たしていることを、自治体が公的に認定する仕組みです。「このマンションはちゃんと管理されている」という、行政のお墨付きだと考えてください。

この制度は全国どこでも自動的に使えるわけではなく、各市区町村が「うちでも認定を始めます」と体制を整えて初めて、その市のマンションが申請できるようになります。日立市は、この認定制度を令和6年5月から運用しています(市ページの更新日は令和8年6月11日)。つまり、日立市の分譲マンションは、いま申請しようと思えば申請できる状態にあります。

対象は、日立市内にある分譲マンションです。認定を取ると、後で説明する固定資産税の特例や、融資の金利引下げなどが受けられる場合があります。

認定基準は「国の基準そのまま」――日立市の上乗せはありません

日立市の認定基準について、市はこう明記しています。「国土交通省告示で定められた基準のとおりです。(日立市独自の基準はありません。)」

これは管理組合にとって、地味ですが大きな安心材料です。市が独自のハードルを追加していないので、全国共通の国の基準さえクリアすれば認定される。ほかの市の事例やマニュアルがそのまま参考にできるということです。

国の認定基準は、おおまかに次のような柱で構成されています。理事長の目線で噛みくだくと、こうなります。

第一に、管理組合の運営。管理者等(理事長など)が定められていて、監事も置かれ、総会が年1回以上ちゃんと開かれていること。第二に、管理規約。適切に定められ、緊急時の対応や情報開示についても規定されていること。第三に、管理組合の経理。管理費と修繕積立金の会計が分かれていて、区分経理されていること。第四に、いちばん実務的に大事な長期修繕計画。計画期間が30年以上あり、その間に大規模修繕工事が2回以上含まれ、かつ7年以内に見直されたものであること。そして計画に照らして、修繕積立金の額が設定されていること。第五に、組合員名簿・居住者名簿を備え、年1回以上更新していること。

この基準を眺めると、「認定のためのハードル」というより「そもそも健全な管理組合の姿」だとわかります。認定を目指す過程で管理が整う。これが認定制度のいちばんの価値だと、私は考えています。

申請は2ステップ。市への手数料は無料です

日立市の申請の流れは、はっきり2ステップに分かれています。

ステップ1(事前確認) は、公益財団法人マンション管理センターが提供する「管理計画認定手続支援サービス」を使います。ここで書類を整え、事前確認を受けると「事前確認適合証」が発行されます。

ステップ2(市への認定申請) は、事前確認適合証が出たあと、同じ支援サービスから市へ申請します。あわせて、建築確認済証・検査済証の写し(またはこれに代わる書類)を、市の住政策推進課へ持参・郵送・メール(juseisaku@city.hitachi.lg.jp)のいずれかで提出します。

費用について、市は明快に書いています。「市の認定に係る手数料は無料です。」 ただし、ステップ1の支援サービスにはシステム利用料と事前確認審査料がかかります。ここは分けて理解しておきましょう。「市に払うお金はゼロ、事前確認の実費だけがかかる」という整理です。

窓口は日立市の都市建設部 住政策推進課(電話 0294-22-3111、IP電話 050-5528-5148)です。制度の入口として、まずここに一本電話を入れるところから始めるのが、いちばんの近道です。


制度2:マンション長寿命化促進税制――日立市は「2分の1減額」、しかも期限が正確

大規模修繕をすると、翌年度の固定資産税が半分になります

ここが、日立市の管理組合にとっていちばんお金に直結する話です。

マンション長寿命化促進税制とは、一定の要件を満たすマンションが長寿命化に資する大規模修繕工事を行うと、工事が完了した年の翌年度分の固定資産税が2分の1減額されるという制度です。日立市はこの減額割合を「2分の1」と市ページに明記しています。

減額の範囲は、1戸あたり床面積100平方メートル(共用部分を含む)までの部分について、固定資産税額の2分の1です。100平方メートルを超える部分は対象外になります。減額されるのは固定資産税だけで、都市計画税は減額されません。また、この減額は1つのマンションにつき1度しか受けられません。耐震改修・バリアフリー改修・省エネ改修による減額とは、同時には使えません。

日立市のページは、国の「2年延長」を正しく反映しています

ここで、私がこの記事でどうしてもお伝えしたい、日立市の誠実なポイントがあります。

この税制で対象になる大規模修繕工事の実施期間について、日立市のページは「令和5年4月1日から令和9年3月31日まで」と記載しています。実はこの制度、当初は令和7年3月31日までの措置でしたが、国が2年延長して令和9年3月31日までとしました。日立市のページは、この延長をきちんと反映して令和9年3月31日と書いてあるのです。

なぜこれを強調するかというと、自治体によっては、国が延長したのにページの日付が古いまま(令和7年3月31日のまま)になっていることが、実際にあるからです。着工のタイミングを見誤ると、せっかくの減額を取り逃がしかねません。その点、日立市は日付が正確なので、安心して計画が立てられます。とはいえ制度は動くものですから、着工前には必ず資産税課に一本電話を入れて、最新の期限を確認してください。これは念のため、どの街でも私がお願いしていることです。

「認定」か「助言・指導」――減額を受けるための2つのルート

減額を受けるには、対象マンションが次のいずれかである必要があります。

ひとつは、管理計画認定マンションであること。制度1で説明した認定を取り、その管理計画に定めた大規模修繕工事を行った場合です。多くの管理組合が目指すのは、こちらのルートになります。

もうひとつは、市から助言・指導を受けた管理組合の管理者等に係るマンションであること。ただし市が明記しているとおり、この助言・指導は「管理組合が十分に機能していないと考えられるマンションに対し、市が実施するもの」で、希望して受けられるものではありません。ですから、実務的には認定ルートを目指すのが王道です。ここでも制度1と制度2がつながっているのがわかります。

そのほか共通の要件として、居住用専有部分を有すること、新築から20年以上経過していること、総戸数が10戸以上であること、そして大規模修繕工事より前に「外壁塗装等工事・床防水工事・屋根防水工事」の3つすべてを1回以上行っていること、さらに令和3年9月1日以降に修繕積立金の平均額を認定基準以上へ引き上げていること、が求められます。

工事完了後は、3か月以内の申告が必要です。ここを逃すと減額が受けられません。工程表に「竣工→3か月以内に資産税課へ申告」と赤字で書き込んでおいてください。窓口は総務部 資産税課(電話 0294-22-3111 家屋係 内線233・234、IP電話 050-5528-5054/050-5528-5055)です。


制度3:大規模修繕の「発注相談窓口」――日立市が用意してくれた守りの制度

冒頭で触れた、日立市らしい制度です。市は「マンション大規模修繕工事の発注等に関する相談窓口について」というページを設け、次の2つの窓口を案内しています。

ひとつは、公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター(住まいるダイヤル)。電話は03-3556-5147です。ここでは建築士等による発注のアドバイスに加えて、施工費用の「見積チェックサービス」を無料で行っています。つまり、業者から出てきた見積書が妥当な水準かどうかを、第三者の建築士に無料で見てもらえるのです。

もうひとつは、公益財団法人 マンション管理センター。電話は03-3222-1519で、建物・設備の維持管理の相談に乗ってくれます(こちらは見積チェックは行っていません)。

正直に言えば、私たちのような施工会社にとって、第三者が見積をチェックする仕組みは「怖い制度」に見えるかもしれません。でも私はまったく逆に考えています。見積の中身に自信があるなら、チェックされて困ることは何もない。むしろ、こうした窓口を堂々と使ってもらえる関係でこそ、長いお付き合いができます。日立市の管理組合には、ぜひこの無料の見積チェックを使っていただきたい。そのうえで私たちの見積も並べて比べていただければ、それでいいのです。


制度4:住宅金融支援機構のマンション共用部分リフォーム融資(すまい・る融資)

積立金が計画額に届かない、という管理組合は少なくありません。日立市の認定制度のページでも、外部リンクとして住宅金融支援機構の「マンション共用部分リフォーム融資」が紹介されています。

これは管理組合が共用部分の工事のために借りられる公的な融資です。ポイントは、管理計画の認定を受けているなどの条件を満たすと、融資金利の引下げが受けられる場合があること。ここでも認定が効いてきます。さらに、機構の「マンションすまい・る債」を積み立ててきた組合には利率上乗せの仕組みもあり、返済期間も条件によって長期に設定できます。返済はマンション管理センターの債務保証を利用する形が一般的です。

借入は最後の手段のように思われがちですが、私は「工事の質を落として積立金の範囲に無理やり収める」よりも、必要な工事をきちんとやって融資で平準化するほうが、結果的に建物にも住民にも優しいと考えています。詳しい条件は年度ごとに更新されますので、機構の最新の案内を確認してください。


制度5・6:木造耐震・省エネ補助――「使えるもの」と「使えないもの」を正直に

ここは期待させてしまうと申し訳ないので、正直に線を引きます。

日立市木造住宅耐震化支援事業助成金は、昭和56年5月31日以前に建築された木造戸建て住宅を対象に、耐震診断(助成率16分の15・限度3万円)、耐震改修計画(3分の1・限度10万円)、耐震改修工事(3分の1・限度30万円)を段階的に助成する、とても良い制度です。ただし対象は木造戸建て。RC造・SRC造の分譲マンションの共用部は対象外です。ここは誤解のないようにお伝えします。

とはいえ、旧耐震のマンションが打つ手がないわけではありません。耐震改修促進法という別の法律に、要耐震改修認定を受けると共用部分の耐震改修の決議要件が「各4分の3以上」から「各過半数」に緩和されるという仕組みがあります。旧耐震で建て替えも視野に入るような物件では、この決議緩和が現実的な武器になります。

日立市脱炭素化促進事業補助(蓄電システム・ZEH)も、市が用意している良い制度ですが、基本は個人の住宅(自ら居住する住宅)向けです。蓄電システムは発電出力10kW未満の住宅用太陽光と連系し、自宅で使う電力が対象、といった条件で、分譲マンションの共用部にそのまま使うのは難しいのが実情です。共用部でLED化や高効率設備を検討する際に、管理組合名義での申請が可能かどうかは、環境推進課へ個別に確認するのが確実です。安易に「使えます」とは言わず、要確認とお伝えしておきます。


日立市という街の「立地」と大規模修繕――なぜ工法選びが効くのか

制度の話が続いたので、ここで現場屋としての視点を挟ませてください。

日立市は、日立製作所や三菱重工業の企業城下町として発展した、茨城県北部の中核的な街です。人口は県内でも上位で、JR常磐線の日立駅・多賀駅・大甕駅などを軸に市街地が広がっています。地形の特徴は、海(太平洋)と山(多賀山地)が近く、平地が細長いこと。そして海に面した地区では、内陸より塩害の影響が出やすいことです。

この立地は、大規模修繕の工事計画に直接効いてきます。海側のマンションでは、バルコニーの手すりや鉄部の腐食、塗膜の早い劣化が起きやすい。斜面地・高低差のある敷地に建つマンションでは、足場を組むこと自体にコストと手間がかかります。企業城下町ゆえに、社宅を分譲に転用した物件や、駅前に建つ中高層の物件など、建物のタイプもさまざまです。

こういう「一律ではない」街だからこそ、工法を建物ごとに選べるかどうかで、コストと工期が大きく変わります。次章で、その工法の話をします。


足場・ロープアクセス・ハイブリッド――日立市の建物にどれが合うか

私たち明誠は、大規模修繕を3つの工法から、建物にとってベストなものを提案できる、日本でも数少ない会社です。

通常の足場工法は、建物の全面に仮設足場を組む、いちばんオーソドックスなやり方です。作業の安定性が高く、全面的な補修や複雑な形状の建物に向きます。一方で、足場の架設・解体にコストと期間がかかり、足場が組みにくい斜面地や隣地との距離が近い敷地では、そもそも設置が難しいこともあります。

ロープアクセス工法(無足場工法)は、産業用ロープで作業員が壁面を昇降しながら施工する方法です。足場を組まないため、足場費を大きく削減でき、工期も短くなります。居住者の生活への影響(窓がふさがれる、日当たりが遮られる、防犯上の不安)も最小限に抑えられます。日立市のように、海沿いの鉄部補修を定期的に挟みたい物件や、高低差のある敷地の物件では、この工法が最も効く場面が多くあります。

ハイブリッド工法は、足場とロープアクセスを部位ごとに使い分けるやり方です。たとえば劣化の激しい面や全面補修が必要な面には足場を組み、部分補修で足りる面や足場が組みにくい面はロープアクセスで対応する。大規模で複雑な建物ほど、この組み合わせで総合コストを最適化できます。

大切なのは「どれが一番か」ではなく「この建物にはどれが合うか」です。1つか2つの工法しか持たない会社は、自社が持つ工法に合わせて提案せざるを得ません。3つ持っているからこそ、建物に合わせて選べる。ここが私たちの強みです。詳しくはロープアクセス工法のご紹介と大規模修繕工事のご紹介をご覧ください。なぜ高品質でありながら価格を抑えられるのかは、明誠が低価格を実現できる理由にまとめています。


モデルケースで考える――日立市の2つの典型パターン

数字はあくまで一般的な目安で、実際の金額は建物の規模・劣化状況・仕様で変わります。考え方の道筋としてお読みください。

ケースA:日立駅周辺・築28年・11階建て・48戸(新耐震)

海がやや近い立地で、鉄部の劣化が早めに進んでいるマンションを想定します。全面足場で見積を取ると、大規模修繕工事費はおよそ9,000万円。ここで、足場が組みにくい面や鉄部中心の面をロープアクセスに切り替えるハイブリッドにすると、足場費が圧縮でき、工事費はおよそ7,800万円。差額は約1,200万円、率にして約13%です。48戸で割ると、1戸あたり約25万円の差になります。

さらにこのマンションが管理計画認定を取り、要件を満たして大規模修繕を行えば、翌年度の固定資産税が2分の1に。工事費の圧縮と税の減額が、両方効いてくる形です。

ケースB:海側地区・築44年・5階建て・18戸(旧耐震)

小規模で、積立金にも余裕がない旧耐震マンションを想定します。全面足場だと3,200万円ほどかかるところ、部分補修中心でロープアクセスを主体に組み立てると、およそ2,600万円まで抑えられる見込みです。旧耐震ですから、耐震改修促進法の要耐震改修認定を取れば、共用部の決議要件が各過半数に緩和され、合意形成のハードルも下げられます。積立金が足りない分は、機構のすまい・る融資で平準化する。こうして「小規模でも、無理なく次の一手が打てる」道をつくります。


修繕積立金が足りない――日立市の管理組合が打てる4つの手

積立金不足は、どの街でも共通の悩みです。日立市の管理組合が現実的に打てる手を、4つ挙げます。

ひとつめは、工法の見直しでコスト側を下げること。ロープアクセスやハイブリッドで足場費を圧縮すれば、必要な積立額そのものが下がります。ふたつめは、長寿命化促進税制で翌年度の固定資産税を取り戻すこと。区分所有者一人ひとりの負担が軽くなり、増額への理解も得やすくなります。みっつめは、機構のすまい・る融資で資金を平準化すること。工事の質を落とさずに、負担を時間で分散します。よっつめは、長期修繕計画を7年以内に見直し、積立金の水準を段階的に是正すること。これは認定の要件でもあり、避けて通れません。

この4つは、どれか1つではなく、組み合わせて使うものです。そして、その組み合わせを考える出発点が、やはり制度1の認定なのです。


合意形成を進める3つのコツ

制度が整っていても、総会で決まらなければ工事は動きません。私が現場で見てきた、うまくいく管理組合の共通点を3つ。

第一に、「なぜ今か」を数字で示すこと。塩害や高経年で劣化が進むと、先送りするほど工事範囲が広がり、総額が膨らみます。「今やれば◯円、5年後は◯円」という比較を出すと、話が前に進みます。第二に、制度のメリットを一人あたりに落とすこと。「固定資産税が半分」「工法見直しで1戸25万円の差」と、自分ごとの金額にすると、賛成が集まります。第三に、第三者の目を入れること。日立市が案内する無料の見積チェックを使い、「専門家も妥当と言っている」という材料を添えると、反対意見が和らぎます。


逆算カレンダー――認定と税制減額を両取りするために

理事会でそのまま使える、時間の流れです。竣工から逆算して動きましょう。

まず着工の1年〜1年半前に、長期修繕計画を見直し、修繕積立金の水準を認定基準以上へ引き上げる決議をします(税制の要件でもあります)。次に着工の半年〜1年前、マンション管理センターの支援サービスで事前確認を受け、事前確認適合証を取得、市の住政策推進課へ認定申請します。並行して、業者選定の段階で日立市案内の住まいるダイヤルの無料見積チェックを使い、工法(足場・ロープアクセス・ハイブリッド)を含めて見積を比較します。そして竣工後3か月以内に、資産税課へ長寿命化促進税制の減額申告を行う。この最後の申告を忘れないことが、減額を確実に取るための肝です。


よくあるご質問(日立市の管理組合向け)

Q. 日立市には大規模修繕工事費への直接の現金補助はありますか。
2026年7月時点で、市が工事費そのものに現金を出す補助は確認できませんでした。代わりに、管理計画認定・長寿命化促進税制(固定資産税2分の1減額)・発注相談窓口・機構融資が、実質的な支援として用意されています。

Q. 認定を取るのに市へお金はかかりますか。
市の認定に係る手数料は無料です。ただし事前確認を行うマンション管理センターの支援サービスには、システム利用料と事前確認審査料がかかります。

Q. 長寿命化促進税制は、いつまでの工事が対象ですか。
日立市のページは、対象工事の期間を令和5年4月1日から令和9年3月31日までと記載しています。着工前には資産税課へ最新の期限を確認してください。

Q. 旧耐震のマンションですが、耐震の補助は使えますか。
日立市の耐震化助成は木造戸建てが対象で、RC造・SRC造マンションの共用部は対象外です。ただし耐震改修促進法の要耐震改修認定を取れば、共用部の決議要件が各過半数に緩和されます。

Q. 見積が妥当かどうか、誰かに見てもらえますか。
日立市が案内している住まいるダイヤル(03-3556-5147)で、施工費用の見積チェックサービスを無料で受けられます。

Q. 管理組合の運営に不安があります。相談先はありますか。
公益財団法人マンション管理センター(03-3222-1519)や、公益財団法人日本マンション管理士会連合会の相談ダイヤル(03-5801-0858)が利用できます。茨城県のマンション管理適正化推進計画(令和6年3月策定)の枠組みでも、県と市が管理適正化を後押ししています。


私たち明誠について

私たち明誠は、マンション・ビル・ホテルの大規模修繕を専門とする建設会社です。通常の足場工法、ロープアクセス工法(無足場工法)、そして両者を組み合わせたハイブリッド工法という3つの工法から、建物にとってベストなものを提案できる、日本でも数少ない会社です。

また、ロープアクセス工事としては日本で初めてとなるフランチャイズ展開も行っており、塗装・防水・タイル・電気・看板工事など各分野の専門職が加盟しています。専門職が直接施工することで、中間マージンを削り、高品質と低価格を両立しています。詳しくは加盟店ネットワークのご紹介をご覧ください。

あわせて、私どもはJCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)を運営しています。全国の建設業者に向けて経営支援情報の発信、オンラインセミナー、リアル交流会、ビジネスマッチングを行っている団体です。茨城県内の同業の方で、大規模修繕の技術や経営に関心のある方は、こちらものぞいてみてください。

日立市のマンションについて、「うちはどの工法が合うのか」「この制度は使えるのか」といったご相談は、お問合せフォームからお気軽にどうぞ。見積もりの前段階、総会に出す資料の整理だけでも、お力になれることがあります。

最後に、もう一度だけ。日立市は、市が管理組合の味方をしてくれている街です。認定を取り、税制で取り戻し、無料の相談窓口を使い、工法で無駄を削る。この4つを順につないでいけば、大切な資産を、無理なく、確実に守っていけます。その道筋づくりを、私たちにお手伝いさせてください。


出典・参考(すべて2026年7月時点)

  • 日立市「日立市マンション管理計画認定制度のご案内」 https://www.city.hitachi.lg.jp/kurashi_tetsuzuki/sumai/1002171/1009846/1012596.html
  • 日立市「長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションに対する固定資産税の減額制度」 https://www.city.hitachi.lg.jp/kurashi_tetsuzuki/zeikin/1002097/1002119/1013184.html
  • 日立市「マンション大規模修繕工事の発注等に関する相談窓口について」 https://www.city.hitachi.lg.jp/kurashi_tetsuzuki/sumai/1002171/1009846/1016501.html
  • 日立市「茨城県マンション管理適正化推進計画(令和6年3月策定)」 https://www.city.hitachi.lg.jp/kurashi_tetsuzuki/sumai/1002171/1009846/1012144.html
  • 日立市「日立市木造住宅耐震化支援事業助成金」 https://www.city.hitachi.lg.jp/machizukuri_kankyo/kenchiku/1016230.html
  • 日立市「蓄電システム補助金」 https://www.city.hitachi.lg.jp/machizukuri_kankyo/kankyo/1011622/1014422/1019090.html
  • 国土交通省「マンション長寿命化促進税制(固定資産税の特例措置)」 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000121.html
  • 住宅金融支援機構「マンション共用部分リフォーム融資」 https://www.jhf.go.jp/loan/yushi/info/mansionreform/index.html
  • 公益財団法人マンション管理センター https://www.mankan.or.jp/

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ひたちなか市のマンション補助金・税制ガイド2026|潮風の街で管理組合が使える制度を全部並べました

勝田駅から歩いて数分のマンションで、私が最初に手を伸ばすのは外壁ではありません。バルコニーの手すりの、付け根です。

指でなぞると、白い粉のようなものがつく。アルミの表面が塩分でやられて、酸化した粉が浮いている状態です。ひたちなか市の海側、那珂湊のあたりで築25年を超えたマンションを見せていただくと、この「白い粉」に出会う確率がぐっと上がります。

私は塗装屋として現場に立ってきましたが、正直に申し上げます。海が近い街のマンションは、内陸の同じ築年数のマンションより、確実に傷むのが早いです。それは施工が悪かったからでも、管理組合の努力が足りなかったからでもありません。潮風という、避けようのない条件がそこにあるからです。

だからこそ、ひたちなか市の管理組合には「使えるものは全部使ってから工事に臨む」という姿勢を、私は強くおすすめしています。

この記事では、2026年(令和8年)7月時点で、ひたちなか市の分譲マンション管理組合が使える制度を、行政の一次情報にあたって整理しました。結論から申し上げると、ひたちなか市には「大規模修繕工事費そのものに現金を出す市の補助金」は確認できませんでした。ここは正直にお伝えします。

しかしその代わり、ひたちなか市には他の自治体がうらやむような、はっきりした強みが2つあります。ひとつはマンション管理計画認定制度がすでに申請できる状態にあること。もうひとつは、長寿命化促進税制の減額割合が「2分の1」という手厚い水準であることです。

この2つを軸に、順番に道筋をつくっていきましょう。


まず結論:ひたちなか市の管理組合が押さえるべき制度・早見表

理事会の資料にそのまま貼れるよう、先に一覧にします。詳しい中身は後ほど順に解説します。

# 制度名 誰が出しているか 管理組合にとっての意味 窓口
1 マンション管理計画認定制度 ひたちなか市 管理レベルの公的なお墨付き。すべての入口 市 都市計画課
2 マンション長寿命化促進税制 国+ひたちなか市の条例 大規模修繕後、翌年度の固定資産税が2分の1減額 市 資産税課
3 マンションすまい・る融資(共用部分リフォーム融資) 住宅金融支援機構 修繕資金の借入。認定等で金利引下げ・最長35年 住宅金融支援機構
4 マンションすまい・る債 住宅金融支援機構 修繕積立金を積み立てながら運用。認定で利率上乗せ 住宅金融支援機構
5 耐震改修に伴う固定資産税の減額 ひたちなか市 旧耐震マンションの耐震改修で翌年度2分の1減額 市 資産税課
6 茨城県マンション管理適正化推進計画/支援法人制度 茨城県 相談先・専門家ネットワークの土台 茨城県 住宅課
7 自立・分散型エネルギー設備導入補助事業 ひたちなか市 太陽光+蓄電池。ただし個人住宅向けで共用部は要確認 市 担当課

このうち、1と2が一本の道でつながっているのがポイントです。認定を取ると管理水準が上がり、管理水準が上がると税制と融資の条件がよくなり、結果として工事の総コストが下がる。この流れを理事会で共有できるかどうかが、最初の分かれ目だと私は思っています。


【最重要】マンション管理計画認定制度──ひたちなか市は「もう申請できる街」です

まず、いちばん大事な話からいきます。

マンション管理計画認定制度とは、マンションの管理計画が一定の基準を満たしている場合に、市から「適切な管理計画を持つマンション」として認定を受けられる制度です(マンションの管理の適正化の推進に関する法律に基づく制度)。

私が全国のマンションを回っていて痛感するのは、この制度に「申請できる自治体」と「まだ受け付けていない自治体」が混在していることです。制度の存在を知っていても、自分の市で受け付けていなければ動きようがありません。

その点、ひたちなか市はすでに認定申請を受け付けています。市の公式サイトに認定制度のページがあり、認定申請書のダウンロードまで用意されています(出典:ひたちなか市「マンション管理計画認定制度」)。

これは、当たり前のようでいて、かなりありがたいことです。

対象と基準

  • 対象:市内にある区分所有された分譲マンション
  • 基準:国土交通省告示で定められた基準のとおり。市独自の基準はありません

「市独自の基準はありません」という一文、地味ですが重要です。独自基準がある自治体だと、国の基準に加えて追加要件を読み解く必要が出てきます。ひたちなか市は国の基準だけを見ればよい。準備がシンプルです。

申請の流れは2ステップ

STEP1:事前確認
公益財団法人マンション管理センターが提供する「管理計画認定手続支援サービス」を利用します。ここで管理規約や長期修繕計画をチェックしてもらい、適合証の発行を受けます。

STEP2:市への認定申請
マンション管理センターが発行した適合証等を添付して、ひたちなか市 都市計画課へ認定申請を行います。

費用は「市はゼロ、センターは有料」

ここも正直にお伝えしておきます。

  • 市への申請手数料:かかりません
  • マンション管理センターのシステム利用料および事前確認審査料:必要です

つまり「完全無料」ではありませんが、市の窓口で追加のお金を取られることはない、という整理です。センター側の費用は規模により変わりますので、マンション管理センターのホームページでご確認ください。

認定基準を、理事長さま目線で読み解く

国の認定基準は、大きく5つの分野に分かれています。専門用語が並ぶので、私なりに噛み砕きます。

(1)管理者等の設置
理事長など、管理組合を代表して動く人がきちんと決まっているか。監事(会計をチェックする役)も置かれているか。集会(総会)が年1回以上開かれているか。

(2)管理規約
管理規約が作られていること。そして、緊急時に専有部へ立ち入れる規定や、管理組合の財産情報を開示する規定などが盛り込まれていること。国土交通省の「マンション標準管理規約」が改正されているのに、うちの規約は20年前のまま──というケースは本当によくあります。

(3)管理組合の経理
管理費と修繕積立金の会計が区分経理されていること。ここ、要注意です。日々の管理費と、将来の工事のために貯めている修繕積立金が同じ口座でごちゃまぜになっていると、それだけで基準を満たしません。そして、修繕積立金会計から他の会計へ流用されていないこと。滞納に対する督促が規定に沿って行われていること。

(4)長期修繕計画の作成および見直し等
これがいちばんハードルが高い項目です。

  • 長期修繕計画が7年以内に作成または見直しされていること
  • 計画期間が30年以上であり、かつ大規模修繕工事が2回以上含まれていること
  • 計画期間内に修繕積立金の不足が生じない設定であること
  • 修繕積立金の平均額が著しく低額でないこと

「30年以上で大規模修繕2回以上」という条件は、逆に言えば、いま12年周期で考えている組合であれば30年の計画を引けば自然と2回入る、ということです。難しく考えすぎないでください。

(5)その他
組合員名簿・居住者名簿を備え、年1回以上更新していること。暴力団員等が役員になっていないこと。

認定の有効期間と、取れたら何がいいのか

認定の有効期間は5年間で、更新が必要です。

そして、認定を取ると次のような扱いを受けられます。

  1. マンション長寿命化促進税制の入口になる(後述)
  2. 住宅金融支援機構の共用部分リフォーム融資で金利引下げ
  3. マンションすまい・る債の利率上乗せ
  4. フラット35の金利引下げ(そのマンションを買う人にとっての魅力になる=資産価値の話)
  5. 中古市場で「管理が良いマンション」として評価されやすくなる

私はいつも理事長さまに、「認定はご褒美ではなく、次の扉を開ける鍵です」とお伝えしています。認定そのものでお金がもらえるわけではありません。でも、認定がないと入れない部屋がいくつもあるのです。

なお、制度について迷ったときは、一般社団法人マンション管理士会連合会の「マンション管理計画認定制度相談ダイヤル 03-5801-0858」(受付10時〜17時、祝日・日曜・年末年始を除く)が使えます。ひたちなか市も公式サイトでこの窓口を案内しています。無料の専門家窓口ですから、遠慮なく使ってください。


ひたちなか市は「2分の1減額」の手厚い街──マンション長寿命化促進税制

ここからが本題です。ひたちなか市の管理組合にとって、いちばん金額インパクトが大きいのがこの制度です。

マンション長寿命化促進税制は、令和5年度税制改正で創設された、大規模修繕工事を行ったマンションの固定資産税を減額する制度です(出典:国土交通省「マンション長寿命化促進税制(固定資産税の特例措置)」)。

なぜ「2分の1」が手厚いのか

この制度の減額割合は、国が示す参酌基準が「3分の1」で、実際の割合は6分の1から2分の1の範囲内で各市町村の条例で定めることになっています。

つまり、同じ工事をしても、住んでいる市によって減額の幅が変わるのです。

ひたちなか市の公式サイトを確認すると、居住用専有部分に限り固定資産税額の2分の1が減額(1戸あたり100平方メートル相当分を限度)と案内されています(出典:ひたちなか市「長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションに対する固定資産税の減額制度」)。

これは範囲の上限、いちばん手厚い水準です。私が回ってきた自治体では「3分の1」が多く、「2分の1」は決して当たり前ではありません。ひたちなか市の管理組合は、この点でかなり恵まれています。

適用の要件

順番にチェックしてください。

  1. マンションが新築されてから20年以上経過していること
  2. 居住用専有部分を有すること(総戸数10戸以上であることが国の要件です)
  3. 今回の長寿命化工事より前に、外壁塗装等工事・床防水工事・屋根防水工事のすべてが1回以上行われていること
  4. 今回の工事で、外壁塗装等・床防水・屋根防水を一体的に実施すること
  5. 修繕積立金が一定の水準まで引き上げられていること(管理計画認定を受けている、または助言・指導を受けて長期修繕計画を適切に見直している)
  6. 工事完了後、3か月以内に市へ申告すること

3番目の要件、意外な落とし穴です。「今回が初めての大規模修繕」というマンションは対象になりません。2回目以降の大規模修繕が対象、と覚えてください。築25〜35年で2回目・3回目を迎えるひたちなか市内のマンションは、まさにここに当てはまります。

減額の中身

工事が完了した年の翌年度の1年度分について、居住用専有部分の固定資産税額が2分の1減額されます。1戸あたり100平方メートル相当分が限度です。

数字の体感をお伝えします。仮に1戸あたりの家屋部分の固定資産税が年間6万円だとすると、翌年度は3万円。50戸のマンションなら組合全体で150万円分、区分所有者の懐が軽くなる計算です。工事費そのものの補助ではありませんが、「工事の翌年に、全戸に一斉に効く」という点で、住民説明会でとても説明しやすい制度です。

ここは要確認です──期限をめぐる注意点

正直に申し上げます。ここだけは、数字を鵜呑みにしないでください。

ひたちなか市の公式ページには、工事の実施期間として「令和5年4月1日から令和7年3月31日まで」という記載が見られます。一方で、国はこの措置を令和7年4月1日から令和9年3月31日まで2年間延長しています(出典:国土交通省「住宅:マンション税制」)。

市のページの更新が国の延長に追いついていないだけ、という可能性が高いのですが、私の立場でそれを「大丈夫です」と断定することはできません。

ですので、こうしてください。

工事の着工を決める前に、ひたちなか市 資産税課に電話を1本入れて、「マンション長寿命化促進税制について、令和9年3月31日完了分まで適用されますか。減額割合は2分の1のままですか」と確認する。

たったこれだけです。5分の電話が、数百万円の判断を左右します。市役所代表は029-273-0111です。

もうひとつ、令和7年4月1日以降は、管理組合の管理者等から必要書類の提出があれば、区分所有者ひとりひとりが申告書を出さなくても減額を受けられる運用に改められています。これは理事会にとって大きな負担軽減です。100戸のマンションで100人分の申告書を集める作業を想像すれば、ありがたさが分かると思います。


資金調達:住宅金融支援機構のすまい・る融資とすまい・る債

修繕積立金が足りない。これは、私が現場で最も多く聞く言葉です。

そのときの選択肢が、住宅金融支援機構のマンション共用部分リフォーム融資(マンションすまい・る融資)です。管理組合名義で借りられる、公的な融資です。

2026年度分の案内では、次のような条件が示されています(出典:住宅金融支援機構「マンションすまい・る融資のご案内」)。

  • 浸水対策工事または省エネルギー対策工事を実施し、かつマンション管理計画認定を取得している場合、それぞれ0.2%ずつ金利を引き下げ
  • 管理計画認定を取得し、一定の工事を行う場合、返済期間を最長35年とすることができる

ここでも認定が効いてきます。「認定は次の扉を開ける鍵」と申し上げた意味が、お分かりいただけるかと思います。

金利は毎月見直されますので、実際の数字は住宅金融支援機構の融資金利ページでご確認ください。

あわせて、マンションすまい・る債も検討する価値があります。修繕積立金を10年満期の債券で積み立てていく仕組みで、こちらも管理計画認定を取得していると利率の上乗せが受けられます。「借りる前に、貯め方を変える」という発想です。

なお、共用部分リフォーム融資には公益財団法人マンション管理センターの債務保証制度があり、担保を設定せずに借りられる道も用意されています。


旧耐震マンションの方へ:耐震改修と固定資産税の減額、そして「決議のハードル」

ひたちなか市には、住宅の耐震改修に伴う固定資産税の減額措置があります。

市の案内によれば、昭和57年1月1日以前に建築された住宅について、建築基準法に基づく現行の耐震基準に適合させる一定の改修工事を行い、1戸あたりの改修費用が50万円を超える場合、翌年度の家屋の固定資産税を2分の1減額。耐震改修により長期優良住宅の認定を受けた場合は3分の2減額とされています(出典:ひたちなか市「住宅の改修に伴う各種減額措置」)。

ただし、こちらも適用期限の記載が「令和8年3月31日まで」となっており、2026年7月時点でこの期限が延長されているかどうかは、市の資産税課への確認が必要です。ここも断定を避けます。

木造住宅向けの耐震補助は、マンションには使えません

ひたちなか市に限らず、多くの自治体の耐震診断・耐震改修補助は木造の一戸建て住宅を対象としています。RC造・SRC造の分譲マンションの共用部は、原則として対象外です。

期待させておいて申し訳ないのですが、ここは正直に書きます。「耐震補助があるらしい」と理事会で盛り上がって、後から対象外と分かってがっかりする──この光景を私は何度も見てきました。最初から知っておいたほうがいいのです。

その代わりに使える「決議のハードルを下げる」武器

旧耐震のマンションで本当に効くのは、お金の制度ではなく法律の制度です。

建築物の耐震改修の促進に関する法律(耐震改修促進法)第25条には、所管行政庁から要耐震改修認定を受けた区分所有建築物について、共用部分の耐震改修工事に関する集会の決議要件を、区分所有者および議決権の各4分の3以上から、各過半数に緩和するという規定があります。

これは大きいです。4分の3を集めるのは、実務的には相当きつい。それが過半数でよくなる。旧耐震のマンションで大規模修繕と耐震改修をセットで考えている管理組合は、この条文を理事会で共有する価値があります。


正直に申し上げます──使えない制度、使いにくい制度

営業の立場からすると、書きたくない章です。でも、書きます。

大規模修繕工事費への「市の直接現金補助」は確認できませんでした

2026年7月時点で、ひたちなか市の公式サイトを確認した限り、分譲マンションの大規模修繕工事費そのものに対して市が現金を補助する制度は確認できませんでした。

外壁塗装の費用の何割かを市が出してくれる、という制度は、少なくとも公表資料には見当たりません。「補助金で工事費が安くなる」という期待からは、いったん離れてください。

その代わりに使えるのが、これまで書いてきた税制・融資・工法選択の3本です。実は、金額のインパクトで言えば、こちらのほうが大きくなることも珍しくありません。

自立・分散型エネルギー設備導入補助事業は、共用部には使いにくい

ひたちなか市には、太陽光発電設備や蓄電池の導入を支援する自立・分散型エネルギー設備導入補助事業があります。金額は最大5万円程度と案内されています。

ただし、この種の補助金は一般に、

  • 対象者が市の住民基本台帳に記録されている個人であること
  • 市税の未納がないこと
  • 太陽光と蓄電池のセット導入であること

といった要件が付きます。つまり個人の自宅向けの制度設計であり、管理組合が共用部に導入する場合にそのまま使えるとは限りません。

分譲マンションの共用部で検討される場合は、必ず事前に市の担当課へ「管理組合名義で申請できますか」と確認してください。要件を満たさないまま工事を進めてしまうと、後戻りできません。

茨城県には「無料アドバイザー派遣」が確認できません

私は埼玉県内のマンションを担当することも多いのですが、埼玉県には分譲マンションアドバイザーを無料で派遣してくれる制度があります。合意形成の場に第三者の専門家が入ってくれるので、非常に有効です。

茨城県には、これと同等の無料派遣制度は、公表資料の範囲では確認できませんでした。

代わりに、茨城県はマンション管理適正化推進計画を令和6年3月に策定しており、ひたちなか市も県と共同でこの計画を策定しています(出典:ひたちなか市「茨城県マンション管理適正化推進計画について」)。

さらに、2025年5月に改正されたマンション管理適正化法により、マンション管理適正化支援法人の登録制度が創設されました。民間の専門団体が県の登録を受け、公的な立場でマンション管理を支援する仕組みです。ひたちなか市も市サイトでこの制度を案内しています(出典:ひたちなか市「マンション管理適正化支援法人登録制度について」)。

まだ動き出したばかりの制度ですが、今後、茨城県内の管理組合にとって頼れる相談先が増えていく流れにあります。県の住宅課、そして先ほどの相談ダイヤル(03-5801-0858)を、まずは使ってみてください。


潮風の街の大規模修繕──ひたちなか市特有の「痛み方」を知る

制度の話が続きましたので、ここからは職人としての話をさせてください。

ひたちなか市は、太平洋に面した街です。那珂湊の漁港、阿字ヶ浦の海岸、国営ひたち海浜公園。海の近さがこの街の魅力ですが、建物にとっては条件が厳しい。

塩害が建物に何をするか

海からの風は塩分を含んでいます。この塩分が建物の表面に付着し、湿気を呼び、金属を腐らせます。専門的には塩害と呼びます。

現場で私が見てきた具体的な症状を挙げます。

  • 鉄部の腐食:バルコニーの手すり、階段の手すり、玄関扉の枠。内陸なら10年もつ塗装が、海沿いだと7〜8年で錆が浮くことがあります
  • アルミの白化:サッシやバルコニー手すりのアルミ表面に、白い粉状の腐食が出る
  • 外壁塗膜の早期劣化:塩分と紫外線の複合で、チョーキング(手で触ると白い粉がつく現象)が早く出る
  • 鉄筋の腐食によるコンクリート爆裂:外壁のひび割れから塩分が侵入し、内部の鉄筋が錆びて膨張し、コンクリートを内側から押し割る

最後の「爆裂」がいちばん怖い。私が20年やってきて、いちばん悔しい思いをするのはこの症状に手遅れで出会ったときです。ひび割れの段階で手を打てば数十万円で済んだものが、爆裂まで進むと断面修復から必要になり、桁がひとつ変わります。

何をすべきか

答えはシンプルです。「点検の頻度を上げること」と、「鉄部の塗り替えを外壁と切り離して考えること」。

内陸の常識では、12年周期の大規模修繕で外壁も鉄部もまとめて塗り替えます。しかし海沿いでは、鉄部だけ6〜7年で1回、間に挟むほうが結果的に安くつくケースがあります。錆が進んでから塗り替えると、ケレン(錆落とし)の手間が跳ね上がり、最悪は部材交換になるからです。

そして、この「間に挟む鉄部塗装」こそ、ロープアクセス工法がいちばん効く場面です。


足場・ロープアクセス・ハイブリッド──3つの選択肢を持つという意味

私どもは、大規模修繕を3つの工法からご提案しています。これは業界では珍しい体制です。

通常足場工法

建物全体に仮設足場を組む、従来からの方法です。

  • 長所:作業の自由度が高い。全面的な打診調査、大量の下地補修、タイル張り替えなど、面で大量に作業する工事に向く
  • 短所:足場の架設・解体だけで工期の1〜2割を使う。費用のうち仮設費が2〜3割を占める。窓の外に足場があるため、防犯不安とプライバシーの問題が出る

ロープアクセス工法(無足場工法)

屋上から産業用ロープで下降しながら作業する方法です。

  • 長所:足場を組まないため仮設費が大きく削減できる。工期が短い。バルコニーの前が塞がらないので居住者の生活影響が小さい。足場がないので防犯面の不安がない
  • 短所:一度に大量の下地補修を行う工事には不向き。屋上にアンカーを設置できる構造が必要。作業範囲が限定される部位もある

ハイブリッド工法

建物の部位ごとに、足場とロープアクセスを使い分ける方法です。

たとえば「劣化の激しい海側の外壁面は足場、傷みの少ない山側と、鉄部・シーリングだけの面はロープアクセス」といった組み方をします。

私はこれを、必ずワンセットでご提案するようにしています。なぜなら、建物ごとに正解が違うからです。1つの工法しか持たない会社は、どんな建物にもその工法を当てはめるしかありません。3つ持っていれば、建物に合わせて選べる。この差が、最終的な金額と満足度に効いてきます。

詳しくはロープアクセス工法のご紹介と大規模修繕工事のご紹介をご覧ください。なぜ高品質でありながら価格を抑えられるのかについては明誠が低価格を実現できる理由にまとめています。


モデルケースで考える:ひたちなか市の2つのマンション

数字で見たほうが分かりやすいので、私の経験をもとにモデルケースを2つ作りました。実在の物件ではありません。

ケースA:勝田駅周辺/築28年・11階建て・48戸・新耐震

駅近の中規模マンション。2回目の大規模修繕を迎えています。

項目 内容
従来の全面足場での概算 9,000万円
ハイブリッド工法での概算 7,800万円(▲13%)
工期 約6か月 → 約5か月
使える制度 管理計画認定 → 長寿命化促進税制(2分の1減額)/機構融資

ポイントは、外壁のタイル面は足場を組んで確実に打診・張り替えを行い、鉄部塗装とシーリング打ち替えが中心の面はロープアクセスで回す、という組み立てです。1戸あたり約25万円のコスト差になります。

さらに、2回目の大規模修繕であり外壁・床防水・屋根防水を一体で行うため、長寿命化促進税制の要件に合致する可能性が高い。翌年度の固定資産税が2分の1になれば、住民説明会での説得力がまるで違います。

ケースB:那珂湊エリア/築44年・5階建て・18戸・旧耐震

海が近く、塩害が進んだ小規模マンション。積立金は潤沢ではありません。

項目 内容
従来の全面足場での概算 3,200万円
ロープアクセス中心での概算 2,600万円前後
使える制度 耐震改修促進法25条(決議要件の緩和)/耐震改修の固定資産税減額/機構融資

小規模マンションは足場の単価効率が悪く、仮設費の比率が高くなりがちです。ロープアクセスの効果がいちばん出るのがこのタイプです。

旧耐震ですから、耐震改修とセットで考え、要耐震改修認定による決議要件の緩和(各4分の3 → 各過半数)を活用する道があります。

※上記はいずれも一般的な条件での試算です。実際の金額は、建物の形状、劣化状況、仕様、時期により変動します。


修繕積立金が足りないときの、4つの打ち手

「制度は分かった。でも、そもそもお金がない」

これが多くの管理組合の本音だと思います。打ち手は4つです。

1. 工法を変えて工事費そのものを下げる
仮設費は工事費の2〜3割を占めます。ここに手を入れるのがいちばん効きます。ロープアクセスやハイブリッドの見積もりを、足場の見積もりと並べて比較してください。

2. 工事を分割する
一度にすべてをやらず、緊急度の高い部位から段階的に実施する。ただし、長寿命化促進税制は外壁塗装・床防水・屋根防水の一体実施が要件ですので、税制を狙うなら分割の仕方に注意が必要です。

3. 借りる
住宅金融支援機構のマンションすまい・る融資。管理計画認定があれば金利引下げ・最長35年。

4. 積立金を上げる
いちばん言いにくく、いちばん本質的な打ち手です。ただし、これは長寿命化促進税制の要件(修繕積立金が一定水準まで引き上げられていること)でもあります。「値上げは苦しいが、値上げしないと税制も融資も使えない」という構造を、正直に説明したほうが総会は通ります。


使う順番──8ステップの逆算カレンダー

制度をバラバラに知っていても動けません。順番が大事です。

ステップ やること 目安時期
1 長期修繕計画の見直し(7年以内に更新されているか確認) 工事の24か月前
2 修繕積立金の水準を点検し、必要なら値上げを総会に諮る 工事の20か月前
3 管理規約の見直し(標準管理規約との差分チェック) 工事の18か月前
4 マンション管理センターの事前確認を受ける 工事の15か月前
5 ひたちなか市 都市計画課へ認定申請 工事の12か月前
6 建物診断・複数社から見積取得(3工法を比較) 工事の12か月前
7 資金計画の確定(機構融資の相談を含む) 工事の8か月前
8 施工会社決定・工事着工 → 完了後3か月以内に資産税課へ申告 着工〜完了

最後のステップ8を絶対に忘れないでください。工事が無事に終わると、みんな気が抜けます。そこから3か月以内の申告を逃すと、2分の1の減額が丸ごと消えます。工事完了時のチェックリストに、赤字で書いておいてください。


合意形成の3つのコツ

制度も工法も分かった。あとは総会を通すだけ。ここでつまずく組合が本当に多いので、私なりのコツを3つだけ。

1. 「比較表」を配る
足場だけの見積もりを1枚出すと、住民は「高い/安い」しか判断できません。3工法の比較表を出すと、住民は「選んでいる」感覚になります。納得度がまるで違います。

2. 「1戸あたり」に換算する
9,000万円と言われてもピンときません。「48戸で割ると1戸あたり約187万円、ハイブリッドなら約162万円、差は25万円」と言うと、はじめて自分の財布の話になります。

3. 反対意見の人を、最初に訪ねる
総会の場で反対されると収拾がつきません。事前に「気になる点を教えてください」と聞きに行く。多くの場合、反対の理由は金額ではなく「勝手に決められた感」です。


よくあるご質問

Q1. うちは築18年です。長寿命化促進税制は使えますか。
新築から20年以上経過していることが要件ですので、現時点では対象外です。ただし、要件には「今回の工事より前に外壁塗装・床防水・屋根防水のすべてを1回以上実施していること」も含まれます。1回目の大規模修繕でこの3つを確実に実施しておくことが、次回の税制活用への布石になります。

Q2. 認定を取るのに、どのくらい時間がかかりますか。
規約や長期修繕計画の見直しが必要かどうかで大きく変わります。書類が整っている組合なら数か月、規約改正から必要な場合は総会のタイミングもあり1年以上を見ておいたほうが安全です。だからこそ、工事の2年前から動き始めることをおすすめしています。

Q3. 賃貸に出している区分所有者が多く、総会の出席率が低いのですが。
ひたちなか市は企業の社宅や単身赴任の方も多い地域です。委任状・議決権行使書の様式を整え、事前に郵送で意思を集める仕組みを作ってください。認定基準にも「集会が年1回以上開催されていること」が含まれますので、ここは避けて通れません。

Q4. ロープアクセスだと手抜きにならないですか。
よく聞かれます。ロープアクセスは作業員が建物に密着して作業するため、むしろ近距離での目視精度は高くなります。ただし、大量の下地補修や全面的なタイル張り替えには不向きです。だから私どもは建物診断の結果を見て、部位ごとに工法を割り振るのです。「どこにロープアクセスを使い、どこに足場を使うか」を説明できない会社には、注意したほうがいいと思います。

Q5. 海沿いなので、塗料は何を選べばいいですか。
一般論として、塩害地域では耐候性の高いフッ素系や無機系の塗料が選ばれることが多いです。ただし、初期費用は上がります。「何年もたせたいか」から逆算して選ぶべきで、次回の修繕を12年後に想定するのか18年後に想定するのかで答えが変わります。建物診断のときにご相談ください。

Q6. 市の補助金がないなら、この記事で得したことは何ですか。
率直な質問、ありがたいです。私の答えは、「2分の1の固定資産税減額と、機構融資の金利引下げと、工法選択によるコスト削減を足すと、多くの場合、現金補助より大きい」です。しかも、そのすべての入口が管理計画認定という1点に集まっている。だから認定から始めてください、というのがこの記事の結論です。


明誠のご案内と、業界の仲間へ

私ども株式会社明誠は、マンション・ビル・ホテルの大規模修繕工事を手がけています。通常の足場仮設による工事、無足場工法であるロープアクセス、そしてその両方を組み合わせたハイブリッド工法。この3つから、建物にとってベストな工法をご提案できる、日本でも数少ない会社です。

また、ロープアクセス工事としては日本で初めてとなるフランチャイズ展開も行っており、塗装・防水・タイル・電気・看板工事など各分野の専門職が加盟しています。専門職が直接施工することで、中間マージンを削り、高品質と低価格を両立しています。詳しくは加盟店ネットワークのご紹介をご覧ください。

あわせて、私どもはJCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)を運営しています。全国の建設業者に向けて経営支援情報の発信、オンラインセミナー、リアル交流会、ビジネスマッチングを行っている団体です。茨城県内の同業の方で、大規模修繕の技術や経営に関心のある方は、こちらものぞいてみてください。

ひたちなか市のマンションについて、「うちはどの工法が合うのか」「この制度は使えるのか」といったご相談は、お問合せフォームからお気軽にどうぞ。見積もりの前段階、総会に出す資料の整理だけでも、お力になれることがあります。


おわりに

勝田駅前で見た、あの白い粉の話に戻ります。

あれは、建物が「そろそろ手を入れてくれ」と出しているサインです。放っておいても、明日崩れるわけではありません。でも、5年後の工事費は確実に高くなっています。

ひたちなか市には、大規模修繕に現金を出す市の補助金はありません。けれど、認定制度という入口があり、2分の1という手厚い税制があり、公的な融資があり、そして工法という選択肢があります。使えるものは、思ったより多いのです。

まずは、管理規約と長期修繕計画をファイルから出してみてください。最後に見直したのはいつでしょうか。そこから始まります。

ご相談だけでも遠慮なくお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。


出典・参考資料

※本記事は2026年7月23日時点で公開されている情報をもとに整理したものです。制度の内容・金額・期限は変更される場合があります。実際の申請にあたっては、必ず各窓口で最新情報をご確認ください。

▼ロープアクセス工法・無足場工法の詳細解説はこちら
ロープアクセスドットコム|無足場工法専門メディア

土浦市のマンション補助金2026|管理組合が使える管理計画認定・長寿命化促進税制・耐震補助を本間が正直に解説

「土浦市のマンションで、うちの管理組合は何が使えるのか」——霞ヶ浦のまちの理事長さまへ

はじめまして。株式会社明誠の代表を務めております、本間幸紘と申します。マンションやビルの大規模修繕を、足場を組む従来工法と、ロープでぶら下がって施工する無足場工法(ロープアクセス工法)、そして両方を建物に合わせて使い分けるハイブリッド工法で、20年近く現場に立ち続けてきました。

このブログでは、分譲マンションの管理組合の理事長さまや役員の皆さまに向けて、「知っておくと数十万円、場合によっては数百万円単位で負担が変わってくる」自治体の補助金や支援制度を、地域ごとに一つずつ整理してお届けしています。今回の舞台は、霞ヶ浦を望む茨城県南の中核都市・土浦市です。

先に正直に申し上げます。土浦市には、マンションの「工事費そのもの」を直接ドンと補助してくれる現金の補助金は、残念ながら多くありません。ですが、その代わりに、土浦市には令和7年4月にスタートしたばかりの新しい「使える仕組み」が整いつつあります。ひとつはマンション管理計画認定制度、もうひとつは、認定を取ったマンションが大規模修繕をすると固定資産税が下がる長寿命化促進税制です。さらに、木造向けではあるものの全国的に見ても手厚い耐震改修補助(工事費の5分の4・上限100万円)も土浦市の特徴です。今回は、この認定制度を軸に、土浦市の管理組合が本当に使える制度を、現場目線で「どう活かすか」まで含めて解説していきます。

土浦市のマンション事情——霞ヶ浦のまちで進む「築古化」

制度の中身に入る前に、土浦市という街のマンション事情を少しだけ整理させてください。ここを押さえておくと、なぜ土浦市がいま「管理」に力を入れ始めたのかが腑に落ちます。

土浦市は茨城県南部、霞ヶ浦の西岸に広がる人口およそ13万人台の都市です(出典:土浦市「土浦市地区別人口及び世帯数一覧」)。JR常磐線の土浦駅を中心に古くから県南の商業・行政の拠点として発展し、つくば市と並ぶ県南の要のまちです。全国のマンションデータベースで確認すると、土浦市内には登録されている分譲マンションだけでも60棟以上があり(出典:全国マンションデータベース「土浦市」)、その多くは土浦駅周辺や幹線道路沿いに立地しています。

私が現場で20年見てきて実感するのは、土浦のような地方中核都市のマンションこそ、「築古化」と「管理組合の高齢化」が同時に進んでいるということです。土浦駅周辺には、バブル期からゼロ年代にかけて建てられた物件が数多くあり、築25年、30年と年数を重ねて「そろそろ2回目・3回目の大規模修繕」の時期を迎えています。ところが、建物の傷みより先に「管理組合の体力」が落ちていく。理事のなり手がいない、修繕積立金の値上げが総会を通らない、長期修繕計画が10年以上見直されていない——こうした「組織の老朽化」が、結果として工事の先送りを生み、建物の寿命を縮めます。土浦市が令和7年4月に管理計画認定制度を導入したのは、まさにこの「組織の健康」を保つための土台づくりだと私は捉えています。

土浦市の管理組合が押さえるべき制度は大きく6つ

最初に全体像をお見せします。細かい話に入る前に、地図を頭に入れておいたほうが迷いません。土浦市で分譲マンションの管理組合が関わってくる制度は、ざっくり次の6つに整理できます。

一つ目が、令和7年4月に始まったばかりの「マンション管理計画認定制度」。二つ目が、認定を前提に大規模修繕を行うと固定資産税が下がる「マンション長寿命化促進税制」。三つ目が、耐震診断・耐震改修の補助制度。四つ目が、住宅リフォーム助成や転入者リフォーム応援などの市の住宅補助。五つ目が、太陽光・蓄電池といった省エネ・脱炭素の補助金。そして六つ目が、住宅金融支援機構の共用部分リフォーム融資などの金融支援です。

このうち、土浦市の管理組合にとって「今すぐ効いてくる」のは一つ目と二つ目です。私はいつも理事長さまに「補助金は工事費の値引きだと思わず、資産価値を守るための仕組みだと捉えてください」とお伝えしています。順番に見ていきましょう。

【最重要】マンション管理計画認定制度——土浦市は令和7年4月から「申請できる街」

まず、土浦市の管理組合に一番知っていただきたいのが、このマンション管理計画認定制度です。

そもそも管理計画認定制度とは

マンション管理計画認定制度とは、管理組合が作成した管理計画(管理のルールや長期修繕計画などをまとめたもの)が、国の定める一定の基準を満たしている場合に、市区町村が「このマンションは適正に管理されていますよ」と公的にお墨付きを与える仕組みです。2020年(令和2年)のマンション管理適正化法の改正でできた、比較的新しい制度です。

ここで大事なのは、この認定は「その市区町村がマンション管理適正化推進計画をつくっている」ことが前提になる、という点です。計画をつくっていない自治体では、そもそも認定の申請ができません。

土浦市は、令和7年4月1日からこの制度を実施しています(出典:土浦市「マンション管理計画認定制度」)。つまり土浦市は、分譲マンションが認定申請を「できる街」になったばかりなのです。茨城県全体を見ると、県が認定を行うのは町村区域に限られ、市区域のマンションは各市が窓口になります(出典:茨城県「マンション管理計画認定制度」)。土浦市は県南で自前の制度を立ち上げた自治体のひとつであり、制度が始まったばかりの「今」こそ、早めに動く価値があります。

土浦市の認定基準——市独自の上乗せはなし

認定を受けるには、管理組合の運営、管理規約、経理、長期修繕計画、その他の分野で基準を満たす必要があります。土浦市は「国土交通省告示で定められた基準のとおりであり、土浦市独自の基準はありません」としています(出典:土浦市「マンション管理計画認定制度」)。上乗せの条件がない分、他の自治体と比べても取り組みやすいと言えます。

国の基準のうち、私が現場で「ここでつまずく組合が多い」と感じるのは、やはり長期修繕計画まわりです。長期修繕計画が国の標準様式に準拠して作成され、その内容と修繕積立金額が総会で決議されていること。作成または見直しが7年以内に行われていること。計画期間が30年以上で、その期間内に大規模修繕工事が2回以上含まれること。経理面では、管理費と修繕積立金が明確に区分経理されていること、修繕積立金の3か月以上の滞納が全体の1割以内であること、などです。

言い換えれば、認定制度は「きちんと長期の視点で修繕を計画し、そのためのお金を無理なく積み立てているか」を問うものです。私はこれを、単なる書類仕事ではなく「管理組合の健康診断」だと理事長さまにお伝えしています。

認定を受ける4つのメリット

では、手間をかけて認定を取ると何がいいのか。土浦市が挙げているメリットは主に次のとおりです。

一つ目は、適正に管理されているマンションとして、市場において評価されること。区分所有者が部屋を売るとき、「管理計画認定マンション」という肩書きは買い手への安心材料になります。二つ目は、住宅金融支援機構の【フラット35】や共用部分リフォーム融資で金利の引き下げ措置が受けられること。三つ目は、修繕積立金の運用に使う【マンションすまい・る債】で利率の上乗せ措置が受けられること。積立金を運用する組合にとっては地味に効いてきます。そして四つ目が、認定を受けたマンションが一定の要件を満たす大規模修繕工事を行った場合に、次にお話しする固定資産税の減額の対象になること、です(出典:土浦市「マンション管理計画認定制度」)。

申請の流れと窓口・費用

土浦市の認定申請は、公益財団法人マンション管理センターの「管理計画認定手続支援サービス」を通じて行います。流れとしては、まず管理計画の情報を電子システムに入力してマンション管理センターの事前確認を受け、「事前確認適合証」を取得します。その適合証を添えて、システム上で土浦市に認定申請を行い、市の審査を経て認定通知書が発行される、という順番です。事前確認適合証がないと、市は認定の申請そのものを受け付けできません。

費用について、土浦市の申請手数料は、認定・更新申請が長期修繕計画1つにつき4,000円(2以上の場合は追加1あたり2,000円の加算)、変更認定申請が1あたり11,000円と定められています(出典:土浦市「マンション管理計画認定制度」)。このほかに、マンション管理センターのシステム利用料と事前確認審査料が別途かかります。認定の有効期間は5年で、更新申請をしないと失効します。窓口は土浦市の住宅営繕課 住宅係(電話:029-826-1111 内線2420・2421)です。

マンション長寿命化促進税制——認定とセットで固定資産税が下がる

認定制度とセットで知っておきたいのが、国の「マンション長寿命化促進税制」です。これは、一定の要件を満たすマンションが長寿命化のための大規模修繕を行った場合、その翌年度分の建物(家屋)の固定資産税が減額される制度です。土浦市の認定制度のページでも、認定を受けたマンションが一定の要件を満たす大規模修繕工事を行うと固定資産税額が減額される、と明記されています(出典:土浦市「マンション管理計画認定制度」)。

減額割合は市の条例で決まる——土浦市は必ず窓口で確認を

この税制で減額される割合は、各市町村が条例で「6分の1から2分の1の範囲」で定めることになっています(出典:国土交通省「マンション長寿命化促進税制」)。横浜市のように2分の1の手厚い自治体もあれば、3分の1にとどめる自治体もあります。土浦市が何分の1と定めているかは、条例で確認すべき重要な数字ですので、ここは想像で書かず、必ず土浦市の資産税課へ直接ご確認いただくようお願いします。ここを曖昧にして「たくさん戻ります」と煽るのは、私の主義に反します。

適用の主な要件

国の制度として、対象になるのは概ね次のようなマンションです。新築された日から20年以上が経過していること。総戸数が10戸以上であること。過去に1回以上、長寿命化工事(外壁塗装等工事・床防水工事・屋根防水工事)を適切に行っていること。そして令和5年4月1日から令和9年3月31日までの間に、外壁塗装・床防水・屋根防水をすべて含む大規模修繕(2回目以降)を完了していること、などです。さらに、長寿命化工事を適切に実施するために必要な修繕積立金が確保されていることも要件になります(出典:国土交通省「マンション長寿命化促進税制」)。

工事が完了した日から3か月以内に、市へ申告する必要があります。減額されるのは工事完了の翌年度分に限られ、土地の固定資産税や都市計画税は対象外です。適用は1つのマンションにつき1回限りです。ここで大事なのは、対象になるのが「管理計画の認定を受けたマンション」または「長期修繕計画について市長の助言・指導を受けたマンション」に限られるという点です。つまり、先ほどの「管理計画認定」と、この「固定資産税の減額」は、地続きの制度なのです。認定を取っておけば、税の減額という具体的なリターンにつながります。窓口や条例上の減額割合については、土浦市の資産税課(土浦市役所 代表:029-826-1111)へお問い合わせください。

耐震の補助は「木造住宅」が中心——マンション共用部の現実と武器

ここまで前向きな話が続きましたので、耐震まわりは正直にお伝えします。

土浦市の耐震補助は手厚い、ただし木造戸建て向け

土浦市には、木造住宅の耐震診断への補助と、耐震改修費用への補助があります。耐震診断は、費用の2分の1(限度額5万円)が補助されます。対象は昭和56年5月31日以前に着工された木造住宅で、平屋または2階建て、延床面積30平方メートル以上のものなどです。耐震改修については、市の耐震診断を受けて上部構造評点が1.0未満と判定された木造住宅を対象に、耐震改修工事費用の5分の4・上限100万円が補助されます(出典:スマート補助金「木造住宅耐震診断費補助制度(土浦市)」、ハピすむ「土浦市のリフォーム補助金・助成金一覧」)。工事費の5分の4・上限100万円という改修補助は、全国的に見ても手厚い水準です。

ただし——ここははっきり書かせてください。これらの制度は木造の戸建て住宅を念頭に置いたもので、鉄筋コンクリート造(RC)や鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC)の分譲マンションの共用部は対象外です。期待させたくないので明記します。旧耐震のマンションで耐震改修をお考えの場合でも、この木造向けの手厚い補助はあてにできません。詳しくは土浦市の建築指導課(土浦市役所 代表:029-826-1111)にご確認ください。

それでも使える「耐震改修促進法25条」という武器

とはいえ、旧耐震のマンションに打つ手がないわけではありません。耐震改修促進法という法律の25条には、耐震改修の必要性について認定(計画の認定)を受けると、共用部分の変更に関する総会決議の要件が、通常の「区分所有者および議決権の各4分の3以上」から「各過半数」に緩和される、という規定があります。合意形成の高いハードルを一段下げられる、実務上とても有効な仕組みです。旧耐震のマンションで大規模修繕と耐震改修を一体で考える場合、この25条の認定は覚えておいて損はありません。

住宅リフォーム助成・転入者応援——「自己居住向け」で共用部には使えない

土浦市には、個人向けの住宅リフォーム助成制度もあります。誤解のないよう、共用部の大規模修繕に使えるかどうかの線引きを整理しておきます。

令和8年度 土浦市住宅リフォーム助成

令和8年度の土浦市住宅リフォーム助成制度は、2026年4月24日から6月30日までの受付、抽選が2026年7月6日という形で実施されました。助成額は工事費の10分の1・上限10万円、予算総額は600万円で、対象は省エネ改修または子育て応援改修などとされています(出典:街の屋根やさん土浦店「土浦市 令和8年度リフォーム助成金制度」)。ただしこれは、区分所有者が自分の専有部(自己居住の住宅)をリフォームするときに使うことを想定した制度で、しかも抽選・予算枠のある人気制度です。管理組合が共用部の大規模修繕に使えるものではありません。

転入者リフォーム応援事業など

このほか、土浦市には中古住宅を取得して転入する方向けの「転入者リフォーム応援事業」(最大30万円)などもあります(出典:土浦市「令和8年度 土浦市転入者リフォーム応援事業のお知らせ」)。こちらも個人の住宅取得・移住を後押しする制度で、管理組合の共用部工事とは別物です。管理組合としては「専有部のリフォームには市の助成、共用部の大規模修繕には認定+税制+機構融資+工法選択」と役割を分けて整理しておくのが正解です。

省エネ・脱炭素の補助金——共用部で使えるかは要確認

土浦市は、令和8年度も家庭の脱炭素を後押しする補助制度を用意しています。住宅用環境配慮型設備導入事業費補助として、太陽光発電設備と接続された蓄電システムの設置に1台あたり5万円を補助するもので、令和8年5月から先着順で受付が行われています(出典:土浦市「令和8年度住宅用環境配慮型設備導入事業費補助事業(蓄電システム)」)。窓口は環境保全課(市役所本庁舎2階21番窓口)です。

ただし、これらは基本的に「自分が住むための住宅」に設備を設置する個人向けの制度で、茨城県の「いばらきエコチャレンジ」への登録などが条件になります。分譲マンションの共用部に管理組合名義で設置する場合に対象となるかは運用によりますので、必ず事前に環境保全課へ確認してください。共用部の省エネ改修(照明のLED化、給水ポンプの更新など)を計画するなら、市の補助にこだわらず、修繕積立金と国の融資を組み合わせて進めるほうが現実的なケースが多いです。

正直に言えば「使いにくい・使えない」制度もあります

読者の皆さまに誠実でありたいので、期待しすぎないよう、使いにくい制度もはっきり書いておきます。

まず、前述の住宅リフォーム助成も転入者応援も、いずれも「自己の居住のための住宅」が対象で、管理組合が共用部の大規模修繕に使えるものではありません。太陽光・蓄電池の補助も、原則は自己居住の住宅向けです。そして、埼玉県や東京都の一部が実施しているような「分譲マンションアドバイザーの無料派遣」といった手厚い専門家派遣制度は、茨城県では確認できませんでした。茨城県のマンション管理計画認定制度の窓口も、県が担当するのは町村区域のみで、土浦市のマンションは市が窓口です(出典:茨城県「マンション管理計画認定制度」)。

その代わり、認定制度に関する相談は、一般社団法人マンション管理士会連合会が開設する「マンション管理計画認定制度相談ダイヤル」を無料で使えます。土浦市の住宅営繕課への相談と、この相談ダイヤルを上手に組み合わせるのが、土浦での現実的な進め方です。

制度を「使う順番」——8つのステップ

制度は知っているだけでは意味がなく、順番に使ってこそ効果が出ます。私が管理組合にお勧めしている流れは、次の8ステップです。

第一に、長期修繕計画を引っ張り出して、最後に見直した時期と、30年以上・大規模修繕2回以上を含む計画になっているかを確認する。第二に、修繕積立金が計画に見合っているか、滞納が1割を超えていないかをチェックする。第三に、土浦市の住宅営繕課(029-826-1111 内線2420・2421)に電話し、管理計画認定の申請可否を相談する。第四に、マンション管理センターの事前確認を受け、認定申請の準備を進める。第五に、大規模修繕の工事内容を「外壁塗装・床防水・屋根防水をすべて含む」形で設計し、長寿命化促進税制の要件に合わせる。第六に、複数の施工会社から、足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3工法で見積もりを取り、コストと工期を比較する。第七に、工事を実施し、完了から3か月以内に資産税課へ固定資産税減額の申告を行う(減額割合は事前に条例で確認)。第八に、認定の有効期間(5年)と次回の大規模修繕を見据えて、長期修繕計画を回し続ける。

この順番で動けば、認定→積立金の適正化→長寿命化税制の減額→機構融資の金利引き下げ→工法選択によるコストダウン、という一本の道がつながります。

土浦市のマンションでの「現実的な組み立て」——2つのモデルケース

抽象論だけでは動きにくいので、土浦で私がよくご提案する2つの組み立てを紹介します。

一つ目は、土浦駅周辺の築28年・8階建て・60戸クラスの分譲マンション。2回目の大規模修繕を控えているケースです。この場合は、まず管理計画認定を取得し、外壁塗装・床防水・屋根防水をすべて含む形で工事を設計します。認定を取れば長寿命化促進税制の対象になり、機構の共用部分リフォーム融資の金利引き下げも受けられます。そのうえで、3工法を並べて見積もり、高層階はロープアクセスで足場費を圧縮する——これで実質的な負担をしっかり下げられます。

二つ目は、幹線道路沿いの築40年・5階建て・20戸の旧耐震マンション。耐震の不安がありますが、市の木造向け耐震補助は使えません。この場合は、耐震改修促進法25条の認定で総会決議のハードルを下げつつ、ロープアクセス中心でコストを抑え、住宅金融支援機構の共用部分リフォーム融資(認定取得で金利引き下げ)で資金を手当てする、という組み立てが現実的です。制度の直接補助がなくても、工法と融資と税制を重ねれば、実質的な負担はしっかり軽くできます。

修繕積立金が足りないときの4つの打ち手

「工事はしたいが、積立金が足りない」——これは土浦に限らず、多くの管理組合が抱える悩みです。打ち手は大きく4つあります。

第一に、長期修繕計画を見直し、無理のない範囲で積立金を段階的に引き上げること。これは認定と税制の要件にも直結します。第二に、住宅金融支援機構の共用部分リフォーム融資を使うこと。管理計画認定を取っていれば金利の引き下げが受けられます。第三に、工法選択でそもそもの工事費を下げること。ロープアクセスやハイブリッドで足場費を圧縮すれば、借入額そのものを減らせます。第四に、工事の優先順位を整理し、緊急性の高い防水・外壁から段階的に実施すること。これらを組み合わせれば、「積立金が足りないから何もできない」という膠着状態を抜け出せます。

合意形成を進める3つのコツ

制度も工法も、最後は総会で決議されなければ動きません。合意形成を進めるコツを3つお伝えします。

一つ目は、「数字を早見表にして見せる」こと。認定でいくら金利が下がり、税制でいくら戻り、工法選択でいくら工事費が下がるのか。文章より一枚の表のほうが、区分所有者の理解は早いです。二つ目は、「第三者を上手に使う」こと。マンション管理士や相談ダイヤル、市の窓口を活用し、理事会だけで抱え込まないこと。中立の専門家の説明は説得力が違います。三つ目は、「一度に完璧を目指さない」こと。まず認定と計画の見直しから着手し、工事は段階的に、と分けて提案するほうが、総会は通りやすくなります。

よくあるご質問(FAQ)

Q1. 土浦市では管理計画認定を本当に申請できますか?
できます。土浦市は令和7年4月1日から制度を実施しています。始まったばかりの制度なので、まずは住宅営繕課 住宅係(029-826-1111 内線2420・2421)へご相談ください。

Q2. 認定申請にいくらかかりますか?
土浦市の申請手数料は、長期修繕計画1つにつき4,000円(2以上は追加1あたり2,000円加算)です。このほかにマンション管理センターのシステム利用料と事前確認審査料が別途かかります。有効期間は5年です。

Q3. 大規模修繕をすると固定資産税はいくら下がりますか?
長寿命化促進税制の減額割合は市町村の条例で6分の1〜2分の1の範囲で定められます。土浦市が何分の1かは条例の確認事項ですので、資産税課へ直接ご確認ください。対象は認定または市長の助言・指導を受けたマンションで、築20年以上・10戸以上などの要件があります。

Q4. 旧耐震で不安ですが、土浦市の耐震補助は使えますか?
土浦市の耐震診断・改修補助(改修は工事費の5分の4・上限100万円と手厚い)は木造住宅向けで、RC・SRCの分譲マンション共用部は対象外です。ただし耐震改修促進法25条の認定を使えば、共用部変更の決議要件を各過半数に緩和できます。まず建築指導課へご確認ください。

Q5. 市の住宅リフォーム助成はマンションの大規模修繕に使えますか?
使えません。土浦市の住宅リフォーム助成や転入者リフォーム応援は、区分所有者が自己居住の住宅(専有部)に使う個人向け制度です。共用部の大規模修繕は、認定+税制+機構融資+工法選択で組み立てます。

Q6. ロープアクセスだと本当に安くなりますか?
足場の設置・撤去費が不要になるため、条件が合えば大きく圧縮できます。ただし全面改修など足場が有利な工事もあるので、建物ごとの比較が前提です。私たちは3工法を並べて比較提案します(適正価格の考え方はこちら)。

3つの工法から、土浦の建物に一番合うご提案を

土浦市は、現金の直接補助は多くありませんが、令和7年4月に始まった管理計画認定という「申請できる街」の土台ができ、認定を取れば長寿命化促進税制の減額と機構融資の金利引き下げにつながります。ここに工法選択によるコストダウンを重ねれば、実質的な負担はしっかり軽くできます。まず動くべきは、住宅営繕課(029-826-1111 内線2420・2421)への1本の電話です。

私たち明誠は、足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3つの工法から、土浦市の建物に一番合った方法をご提案できる、日本でも数少ない会社です(施工サービスの詳細はこちら)。ご相談だけでも遠慮なくお声がけください。総会の前段階の整理や、補助金・認定と工事の時期合わせだけでも、お力になれることがあります。まずはお問合せフォームから、気軽にご連絡ください。

建設業者どうしの支え合いも、この街の力になる

最後に一つ。私たちは大規模修繕の施工会社であると同時に、JCSA(一般社団法人全国建設業支援協会)を運営し、全国の建設業者向けに経営支援の情報発信やオンラインセミナー、交流会、ビジネスマッチングを行っています(JCSAをはじめとする取り組みはこちら)。地域の工事は、地域の職人と会社が元気でこそ成り立ちます。土浦市を含む茨城県南の建物を長く守っていくために、業界の横のつながりも大切にしています。

まとめ:土浦市は「始まったばかりの認定」を早めに取るのが得

土浦市は、工事費への直接補助は薄いものの、令和7年4月に管理計画認定制度を導入し、認定を取れば長寿命化促進税制と機構融資の金利引き下げにつながる、管理組合にとって「今こそ動きがいのある街」です。認定を取り、長期修繕計画と積立金を整え、税制の減額と機構融資を受け、そこに3工法の比較によるコストダウンを重ねる——この一本道を、私たちは何度も現場で歩いてきました。制度が始まったばかりの今だからこそ、早めに認定を取る組合が一歩リードします。まず動くべきは、住宅営繕課(029-826-1111 内線2420・2421)への1本の電話です。次回も、現場で本当に使える話だけをお届けします。

出典・参考資料

本記事は2026年7月時点で公表されている情報をもとに作成しています。補助金・税制・融資は年度ごとに要件や予算が変わります。特に長寿命化促進税制の減額割合や各補助の受付状況、予算枠は変動しますので、申請前に各担当窓口で最新情報をご確認ください。

▼ロープアクセス工法・無足場工法の詳細解説はこちら
ロープアクセスドットコム|無足場工法専門メディア

つくば市の分譲マンション、大規模修繕で使える補助金・税制はどこまで?管理組合が動く順番を整理します【2026年度版】

理事長さまから最初にいただく質問は、いつも同じです。「つくば市には、大規模修繕に使える補助金はあるんですか」。

正直に申し上げます。つくば市が大規模修繕の工事費そのものに現金を直接補助する制度は、2026年7月時点で私が調べた限り見当たりません。ここでがっかりして話が終わってしまう管理組合を、私は現場で何度も見てきました。

ですが、それはもったいない話です。現金の直接補助が薄い街でも、国の税制と住宅金融支援機構の融資、そして工法の選び方を組み合わせれば、負担は確実に変わります。研究学園都市として新しいタワーマンションから築30年前後の分譲マンションまで幅広く抱えるつくば市だからこそ、使える武器を正しい順番で並べることが大切です。

この記事では、私が管理組合の理事会でお話ししている内容そのままに、つくば市のマンション管理組合が「どの制度を、どの順番で使えばいいのか」を整理します。数字と期限には、すべて公的な一次情報のリンクを添えました。

まず結論:つくば市の管理組合が押さえるべき「1本の道」

制度は数が多く、バラバラに眺めると混乱します。私はいつも、次の1本の道として理事長さまにお伝えしています。

①管理計画の認定 → ②修繕積立金の適正化 → ③国の長寿命化促進税制で固定資産税の減額 → ④住宅金融支援機構の融資で金利引下げ → ⑤工法の選び方で工事費そのものを最適化。

この5ステップは、途中でつながっています。認定を取ると税制と融資の入口が開き、工法の選択でコストを削れば積立金の負担も軽くなる。単発の補助金を探すより、この道を一度通す方が、管理組合の財布には効きます。

以下、ひとつずつ、つくば市の実情に沿って見ていきます。

つくば市というまちと、マンションの修繕期の重なり

つくば市は、茨城県南部の研究学園都市です。人口は約25万人。つくばエクスプレス(TX)の開業以降、つくば駅・研究学園駅を中心に新築の大規模分譲マンションが増え、一方で1980年代から1990年代にかけて建てられた分譲マンションも数多く残っています。

私の実感では、TX沿線には築15〜25年、旧市街には築30年を超える物件が混在しています。築12年前後で1回目、築24年前後で2回目の大規模修繕(一定周期でまとめて行う共用部の修繕工事)を迎えるのが一般的ですから、つくば市は今、まさに「修繕期の山」が重なっている街だと言えます。

修繕期が重なると、資材と職人の取り合いになり、見積もりも高止まりしがちです。だからこそ、制度と工法の両輪で早めに動いた管理組合が有利になります。ここからが本題です。

①【土台】国のマンション長寿命化促進税制

つくば市の管理組合にとって、いちばんの土台になるのが国の制度です。名前は「マンション長寿命化促進税制」(正式には大規模の修繕等が行われたマンションに係る固定資産税の減額措置)といいます。

一定の要件を満たす大規模修繕を行うと、工事の翌年度分の建物にかかる固定資産税が減額される制度です(出典:国土交通省 マンション税制)。修繕積立金の確保と、長寿命化工事に向けた管理組合の合意形成を後押しすることが目的とされています。

適用のおもな要件

私が理事会でお見せしている要件を、かみくだいて並べます。

  • 築20年以上、総戸数10戸以上の分譲マンションであること
  • 過去に外壁塗装等・床防水・屋根防水の3つの長寿命化工事をそれぞれ1回以上行っていること
  • そのうえで、2回目以降の長寿命化工事を令和5年4月1日から令和9年3月31日までの間に完了すること
  • 修繕積立金が、令和3年9月1日以降に一定の基準まで引き上げられていること(管理計画の認定、または助言・指導が前提)
  • 工事完了から3か月以内に市へ申告すること

減額の対象は、1戸あたり床面積100平方メートル相当分までで、適用は1度限りです。都市計画税は対象外である点も、あわせて理事会で共有しておくと誤解が防げます。

減額の割合は「市の条例」で決まる

ここは正直にお伝えしなければなりません。減額割合は、法律で6分の1から2分の1の範囲と定められており、具体的な割合は各市町村の条例で決まります。つくば市の割合が何分の1になるかは、公表資料だけでは断定できませんでした。

ですから私は、「減額割合はつくば市の資産税課に必ず確認してください」とお伝えしています(つくば市 資産税課/代表 029-883-1111)。制度そのものは国の枠組みですが、財布に入る金額は市の運用次第です。ここを曖昧にしたまま総会に諮ると、後で数字が食い違い、理事の信用に関わります。

なお、令和7年4月1日以降は管理組合の管理者等が申告できるようになり、手続きの実務も少し軽くなりました。国はこの税制について、令和8年度の税制改正で延長する方針を示していますが、期限は年度で動く可能性があるため、最新の適用期間もあわせて確認しておくと安心です。証明書の様式は国交省のページからダウンロードできます。

②【入口】マンション管理計画認定制度は、つくば市で申請できるのか

長寿命化促進税制の「積立金引上げ」の前提として登場するのが、マンション管理計画認定制度です。これは、管理組合の運営・規約・経理・長期修繕計画などが一定の基準を満たしていることを自治体が認定する仕組みで、令和4年に施行されたマンション管理適正化法にもとづきます。

認定を受けると、次のようなメリットがあります。

  • 長寿命化促進税制の入口(積立金の引上げ要件を満たしやすくなる)
  • 住宅金融支援機構の共用部分リフォーム融資で金利が引下げになる
  • マンションすまい・る債の利率が上乗せになる
  • フラット35の金利優遇(区分所有者が住戸を売買する際の後押しにもなる)
  • 市場での評価・資産価値の面でのプラス

つくば市での運用状況は「要確認」

茨城県は、令和6年4月からマンション管理計画認定制度を運用していますが、県が担うのは町村区域にあるマンションで、市区域のマンションは各市の窓口が担当する仕組みです(出典:茨城県 マンション管理計画認定制度)。

つくば市は市区域ですから、認定の窓口は原則としてつくば市になります。ただ、私が2026年7月時点でつくば市の公式サイトを確認した範囲では、つくば市が独自にマンション管理適正化推進計画を策定し、認定の受付を開始しているかどうかを明記したページを見つけられませんでした。

ですので、ここも正直に申し上げます。つくば市で今すぐ認定申請ができるかは、都市計画部 建築指導課(029-883-1111)に確認するのが確実です。同じ茨城県内でも、水戸市はすでに認定実績があり、ひたちなか市も制度を案内しています。つくば市も準備・運用が進んでいる可能性は十分にありますので、「まだ無い」と決めつけず、まず一本電話を入れてみてください。

私はいつも、「認定はゴールではなく入口です」とお伝えしています。認定が取れれば税制と融資の扉が開く。取れない・まだ制度が動いていないなら、後述する助言・指導のルートや機構融資で代替を考える。どちらに転んでも道は残ります。

③【資金】住宅金融支援機構の共用部分リフォーム融資

つくば市に直接の工事費補助が無くても、資金の面で管理組合を支えてくれるのが、住宅金融支援機構の「マンション共用部分リフォーム融資(マンションすまい・る融資)」です。

管理組合が申込人となって共用部の修繕工事の資金を借りられる制度で、返済期間は最長35年まで設定できます。管理計画の認定を受けているなど一定の要件に合致すると、融資金利が0.2%引下げになります(出典:住宅金融支援機構 マンションすまい・る融資)。金利は毎月見直され、2026年度分の案内も公表されています。

あわせて、公益財団法人マンション管理センターによる債務保証の仕組みもあります(出典:マンション管理センター 共用部分リフォーム融資と債務保証)。積立金だけでは一時金が必要になりそうなとき、私はこの融資を「積立金不足の応急処置ではなく、計画的な平準化の道具」としてご案内しています。

さらに、日ごろから積立金を「マンションすまい・る債」で積み立てておくと、認定マンションは利率が上乗せされ、いざ融資を受けるときの条件も整いやすくなります。認定・積立て・融資は、それぞれ別々に見えて、実は連動しているのです。

④【誤解の多い】耐震の補助は、分譲マンションに使えるのか

「耐震の補助があると聞いた」というご相談も多いのですが、ここは注意が必要です。

つくば市には「木造住宅耐震改修費補助制度」があります。令和8年度は令和8年5月13日から8月31日までの受付で、先着2件。昭和56年5月31日以前に建てられた2階建て以下の戸建て木造住宅が対象で、耐震改修工事費用の5分の4(上限115万円)が補助されます(出典:つくば市 木造住宅耐震改修費補助制度)。木造住宅耐震診断士の派遣事業もあります。

ただし、正直に申し上げます。これらは木造の戸建て住宅が対象で、鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)の分譲マンション共用部は対象外です。分譲マンションの耐震にそのまま使える補助ではありません。

では旧耐震のマンションは打つ手が無いのかというと、そうではありません。私が武器としてご案内しているのが、耐震改修促進法の仕組みです。所管行政庁から「要耐震改修認定」を受けたマンションは、共用部分の耐震改修に必要な集会の決議要件が、区分所有者および議決権の各4分の3から各過半数に緩和されます。合意形成のハードルが下がるのは、旧耐震の管理組合にとって大きな意味があります。耐震は「補助が無いから諦める」ではなく、「決議を通しやすくする制度を使う」と発想を変えるのが現実的です。

⑤【正直に】省エネ系の補助は、分譲の共用部には使いにくい

つくば市には、温室効果ガス削減のための補助金がいくつかあります。令和8年度の主なものを挙げると、蓄電池5万円、自然冷媒ヒートポンプ式給湯機(エコキュート)5万円、V2Hシステム10万円、低炭素住宅への奨励金10万円などです(出典:つくば市 住宅・省エネ機器に関する補助金等の御案内)。なお、太陽光発電の単独設置は補助対象外です。

魅力的に見えますが、これらは基本的に個人が自ら居住する住宅(多くは戸建て)向けの制度です。分譲マンションの共用部の大規模修繕にそのまま充てられるものではありません。「使えそうで使いにくい」制度の代表格ですので、期待しすぎないよう理事会で正直に共有しておくことをおすすめします。

一方で、賃貸の共同住宅を所有するオーナーさま向けには、宅配ボックス設置事業補助金(補助対象経費の2分の1、共同住宅1棟につき上限10万円、1人2棟分まで)があります。これは分譲の管理組合ではなく、収益不動産のオーナーさま向けの話ですが、区分所有で複数戸を賃貸に回している方には役立つ場合があります。自分がどの立場で制度を見るのか、そこを間違えないことが大切です。

茨城県には「無料アドバイザー派遣」があるのか

埼玉県などでは、県が分譲マンションに管理士を無料派遣する制度がありますが、茨城県で同様の県による無料アドバイザー派遣は、私が確認した範囲では見当たりませんでした。

その代わりに使えるのが、国交省が案内する「マンション管理計画認定制度 相談ダイヤル」です。一般社団法人日本マンション管理士会連合会が窓口となっており、電話は03-5801-0858(月曜〜土曜10:00〜17:00、祝日・年末年始を除く)。長寿命化税制と認定制度の両方について相談できます(出典:国土交通省 マンション税制)。地元の茨城県マンション管理士会に相談窓口がある場合もありますので、あわせて探してみてください。

制度の早見表(つくば市の管理組合向け・2026年度)

理事会でそのまま配れるよう、要点を表にしました。金額・期限は必ず一次情報とリンク先で最終確認をお願いします。

制度 対象 主なポイント 窓口
マンション長寿命化促進税制 築20年以上・10戸以上の分譲 翌年度の固定資産税を減額(割合は市条例=要確認)、R9.3.31完了・3か月以内申告 つくば市 資産税課/日本マンション管理士会連合会 03-5801-0858
マンション管理計画認定制度 分譲マンション 税制・融資の入口。つくば市での受付可否は要確認 つくば市 都市計画部 建築指導課 029-883-1111
共用部分リフォーム融資 管理組合 最長35年、認定等で金利0.2%引下げ、すまい・る債で利率上乗せ 住宅金融支援機構
木造住宅耐震改修費補助 木造戸建(S56.5.31以前) 5分の4・上限115万円、先着2件(分譲マンション共用部は対象外) つくば市 建築指導課 029-883-1111
省エネ機器補助 個人住宅 蓄電池5万・V2H10万等(分譲共用部には使いにくい) つくば市 環境政策課 029-883-1111

工事費そのものを下げる:3つの工法から選ぶという発想

制度で負担を軽くするのと同じくらい、いや、それ以上に効くのが工事費そのものの最適化です。ここに私たちの本業があります。

大規模修繕というと、建物全体に足場を組む工事を思い浮かべる方がほとんどです。ですが、足場の架設・解体には相応の費用と工期がかかり、住民の方の生活にも影響します。私はここで、いつも3つの工法をワンセットで提案するようにしています。

  • 通常の足場仮設工法:全面に足場を組む従来の方法。複雑な形状や中低層に向きます。
  • ロープアクセス工法(無足場工法):産業用ロープで職人が壁面に降りて施工する方法。足場を組まないため、足場費を抑えられ、工期も短縮しやすく、居住者の生活への影響や防犯面のリスクも小さくなります。高層や足場を架けにくい建物に強い工法です。
  • ハイブリッド工法:足場とロープアクセスを部位ごとに使い分け、建物全体で総合コストを最適化する方法です。

つくば市には、TX沿線の高層マンションから旧市街の中層まで幅広い建物があります。だからこそ、「足場ありき」で見積もるのではなく、建物の形状と劣化状況に合わせて工法を選べるかどうかが、コストの分かれ目になります。私たちは、足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3つから、その建物にとってベストな組み合わせをご提案できます(ロープアクセス工法のご紹介/大規模修繕工事のご紹介)。

高品質でありながら低価格を実現できるのは、塗装・防水・タイル・電気・看板といった各分野の専門職がフランチャイズで加盟し、中間マージンを抑えた体制を持っているからです(高品質・低価格の理由)。制度で削り、工法で削る。この両輪がそろって初めて、積立金の負担は目に見えて変わります。

モデルケースで考える

言葉だけでは体感しにくいので、私が理事会でよくお見せする2つのモデルで、財布感覚に落とし込みます。あくまで一般的な想定で、実際の金額は建物ごとに変わります。

ケースA:研究学園エリア・築28年・11階建て・48戸・新耐震

2回目の大規模修繕を控えた新耐震のマンション。全面足場で見積もると9,000万円だったところ、高層部をロープアクセス中心に切り替えるハイブリッド工法で、総額7,800万円まで下げられた想定です。差額は1,200万円、率にして約13%。1戸あたりに換算すると25万円前後の負担軽減です。

そのうえで管理計画の認定と長寿命化促進税制を組み合わせれば、翌年度の固定資産税も軽くなります。工法と制度の合わせ技で、積立金の取り崩しを抑えられる。これが1本の道の効き目です。

ケースB:旧市街・築44年・5階建て・18戸・旧耐震

小規模で積立金も潤沢ではない旧耐震のマンション。ここでは耐震改修促進法の要耐震改修認定で決議のハードルを下げつつ、外壁・防水はロープアクセス中心で足場費を圧縮し、不足分は住宅金融支援機構の融資で平準化する、という組み立てになります。

「戸数が少ないから何もできない」と諦めていた管理組合が、決議・工法・融資の3点で動き出せた例を、私は何度も見てきました。

修繕積立金が足りないとき、打てる手は4つ

つくば市に限らず、私が理事会でいちばん多く相談を受けるのが、修繕積立金の不足です。「次の大規模修繕の見積もりに、積立金が届かない」。この状況で使える打ち手を、私は次の4つに整理してお伝えしています。

まず1つ目は、工法の見直しでそもそもの工事費を下げること。全面足場を前提にしていた見積もりを、ロープアクセスやハイブリッドで組み直すだけで、足場費が丸ごと軽くなる場合があります。積立金を増やす前に、出ていくお金を減らせないかを最初に考えるのが私の順番です。

2つ目は、住宅金融支援機構の融資で平準化すること。一時金で住民に負担を求める前に、長期の融資で月々に均す方が、合意は得やすくなります。

3つ目は、修繕積立金そのものの段階的な引上げです。これは長寿命化促進税制の要件にも直結しますから、税制のメリットとセットで住民に説明すると、値上げの納得感が変わります。

4つ目は、工事範囲の優先順位づけです。すべてを一度にやるのではなく、劣化の進んだ防水・外壁から先に手を入れ、残りは次期に回す。診断にもとづいて「今やるべき面」と「待てる面」を見極めることが、限られた積立金を活かす鍵になります。

私はこの4つを、必ずワンセットで提案するようにしています。ひとつだけで解決しようとすると無理が出るからです。

総会で合意を得るための3つのコツ

制度も工法も、最後は総会で議決されなければ動きません。ここでつまずく管理組合が本当に多い。私が理事長さまにお伝えしている合意形成のコツは、3つあります。

1つ目は、数字を「戸あたり」で語ること。「総額1,200万円の削減」より、「1戸あたり25万円の負担減」の方が、区分所有者の財布に響きます。総額は理事の言葉、戸あたりは住民の言葉です。

2つ目は、デメリットも先に開示すること。ロープアクセスは万能ではありません。バルコニー内部の細かい作業や、大量の資材を上げ下ろしする工事では、足場の方が向く場面もあります。「ただし、こういう場合は足場を使います」と先に言っておくと、かえって信頼されます。

3つ目は、確認が必要な項目を正直に残すこと。「減額割合は市に確認中です」と正直に書いた資料の方が、断定した資料より通ります。断定は、後で数字が違ったときに理事の信用を失います。私はこれを、20年の現場でいちばん痛感してきました。

動き出しの逆算カレンダー

制度は年度で動きます。つくば市の管理組合が2026年度内に動くなら、私はこんな逆算をおすすめしています。

  • 夏(今):長期修繕計画と積立金の現状確認、市への問い合わせ(認定・税制)
  • 秋:工事履歴の証明書整理、複数工法での相見積もり取得
  • 冬:資金計画の確定、機構融資・すまい・る債の検討
  • 年度末〜翌年度総会:工事と申告のスケジュールを逆算して議決

長寿命化促進税制の工事完了期限は令和9年3月31日です。2回目の長寿命化工事でこの税制を狙うなら、逆算するとあまり時間はありません。動き出しは、早いほど選択肢が広がります。

使う順番【8ステップ】

最後に、明日から動くための順番をまとめます。理事会で1分、この話題を出してみてください。

  1. 長期修繕計画と修繕積立金の現状を確認する
  2. つくば市 建築指導課に、管理計画認定の受付可否を問い合わせる(029-883-1111)
  3. 認定または助言・指導のルートで、積立金引上げの要件整理に着手する
  4. 過去の外壁・床防水・屋根防水の工事履歴を証明書としてそろえる
  5. つくば市 資産税課に、長寿命化促進税制の減額割合と申告手順を確認する
  6. 住宅金融支援機構の融資・すまい・る債で資金計画を組む
  7. 複数工法(足場・ロープアクセス・ハイブリッド)で相見積もりを取る
  8. 総会に諮り、工事と申告のスケジュールを逆算して決める

このうち②と⑤の「市への確認」を早めに済ませるほど、総会で数字がぶれません。制度は年度で動きますから、動き出しは早いほど有利です。

よくあるご質問

Q. つくば市には大規模修繕の工事費補助はありますか。
A. 2026年7月時点で私が確認した限り、工事費そのものへの市の直接補助は見当たりません。国の税制・機構融資・工法の最適化で負担を軽くするのが現実的な道です。

Q. 管理計画の認定は必ず必要ですか。
A. 必須ではありませんが、認定があると税制と融資の条件が有利になります。つくば市での受付可否は建築指導課にご確認ください。

Q. 長寿命化促進税制は、いくら安くなりますか。
A. 1戸100平方メートル相当分までの固定資産税が減額されます。割合は市の条例で6分の1〜2分の1の範囲。つくば市の割合は資産税課へご確認ください。

Q. ロープアクセスは足場より本当に安いのですか。
A. 建物の形状によります。高層で足場を架けにくい建物ほど効果が出やすく、部位で使い分けるハイブリッドが最も無駄が出にくい、というのが私の経験上の実感です。

Q. 認定制度がまだ動いていない場合、長寿命化税制は使えないのですか。
A. 認定がなくても、市から助言・指導を受けた管理組合の管理者等に係るマンションのルートで適用される場合があります。詳しくは資産税課と国交省の案内をご確認ください。

Q. 過去の工事の記録が残っていないのですが、大丈夫でしょうか。
A. 長寿命化促進税制は、過去に外壁・床防水・屋根防水を行った履歴が要件になります。記録が曖昧なら、まず管理会社や過去の施工会社に工事内容の確認を始めるところからです。私たちも履歴の整理からお手伝いします。

Q. 賃貸に出している区分所有者がいると、合意は難しくなりますか。
A. 賃貸オーナーは「工事後に家賃や資産価値がどう変わるか」に関心があります。ここでも戸あたりの数字と、資産価値維持の観点をあわせて示すと、合意に近づきます。

JCSAという、もうひとつの後ろ盾

私たちは、一般社団法人全国建設業支援協会(JCSA)の運営にも関わっています。建設業向けの経営支援やセミナー、交流会を通じて、業界のネットワークと情報を積み上げてきました。管理組合さまにとっては、「この会社は業界の中でどう見られているのか」を測るひとつの目安にしていただければと思います。管理組合向けの大規模修繕のご提案内容は、管理組合さま向けサービスのご案内にまとめています。

おわりに

つくば市は、現金の直接補助という点では派手さのない街かもしれません。ですが、国の税制と機構の融資、そして工法の選び方を正しい順番でつなげば、管理組合の負担は確かに変わります。

私はこれを、現場で20年見てきたうえでの、嘘偽りのない感想としてお伝えしています。制度は年度で動きますし、市での運用状況も確認が必要な部分があります。だからこそ、ご相談だけでも遠慮なくお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります(お問合せフォーム)。

次回も、現場で本当に使える話だけをお届けします。

出典・参考資料

▼ロープアクセス工法・無足場工法の詳細解説はこちら
ロープアクセスドットコム|無足場工法専門メディア

水戸市のマンション補助金2026|管理組合が使える管理計画認定・長寿命化促進税制(固定資産税1/2減額)を本間が正直に解説

「水戸市のマンションで使える制度はあるのか」——県都の管理組合さまへ

はじめまして。株式会社明誠の代表を務めております、本間幸紘と申します。マンションやビルの大規模修繕を、足場を組む従来工法と、ロープでぶら下がって施工する無足場工法(ロープアクセス工法)、そして両方を建物に合わせて使い分けるハイブリッド工法で、20年近く現場に立ち続けてきました。

このブログでは、分譲マンションの管理組合の理事長さまや役員の皆さまに向けて、「知っておくと数十万円、場合によっては数百万円単位で負担が変わってくる」自治体の補助金や支援制度を、地域ごとに一つずつ整理してお届けしています。今回の舞台は、茨城県の県都・水戸市です。

先に正直に申し上げます。水戸市には、マンションの「工事費そのもの」を直接補助してくれる現金の補助金は、ほとんどありません。ですが、その代わりに、他の街よりも一歩進んだ「使える仕組み」が水戸市には整っています。ひとつは令和5年11月にスタートした管理計画認定制度、もうひとつは、大規模修繕をすると固定資産税が下がる長寿命化促進税制で、水戸市はこの減額割合を手厚い「2分の1」と定めています。今回は、この2本柱を軸に、水戸市の管理組合が本当に使える制度を、現場目線で「どう活かすか」まで含めて解説していきます。

水戸市のマンション事情——県都で静かに進む「管理の適正化」

制度の中身に入る前に、水戸市という街のマンション事情を少しだけ整理させてください。ここを押さえておくと、なぜ水戸市がいま「管理」に力を入れているのかが腑に落ちます。

水戸市の人口は、令和8年4月時点でおよそ26万5千人(出典:水戸市「人口及び世帯数」)。偕楽園と千波湖を擁する県都であり、首都圏に近すぎず遠すぎない「ちょうどよい都市規模」として、子育て世帯の移住先にも選ばれています。分譲マンションは、駅前や中心市街地を中心に、100戸以下の中規模物件が数多く根づいており、なかには築25年、30年と年数を重ねた「そろそろ2回目・3回目の大規模修繕」の時期を迎えた物件も少なくありません。

私が現場で20年見てきて実感するのは、建物の傷みよりも先に「管理組合の体力」が落ちていくということです。理事のなり手がいない、修繕積立金の値上げが総会を通らない、長期修繕計画が10年以上見直されていない——こうした「組織の老朽化」が、結果として工事の先送りを生み、建物の寿命を縮めます。水戸市が令和5年11月に管理計画認定制度をいち早く導入したのは、まさにこの「組織の健康」を保つための土台づくりだと私は捉えています。

水戸市の管理組合が押さえるべき制度は大きく6つ

最初に全体像をお見せします。細かい話に入る前に、地図を頭に入れておいたほうが迷いません。水戸市で分譲マンションの管理組合が関わってくる制度は、ざっくり次の6つに整理できます。

一つ目が、いま国と自治体が一番力を入れている「マンション管理計画認定制度」。二つ目が、大規模修繕を行うと固定資産税が下がる「マンション長寿命化促進税制」。三つ目が、管理組合の相談相手になる「マンション管理適正化支援法人」。四つ目が、耐震診断・耐震改修の補助制度。五つ目が、太陽光や蓄電池といった省エネ・脱炭素の補助金。そして六つ目が、住宅金融支援機構の共用部分リフォーム融資などの金融支援です。

このうち、水戸市の管理組合にとって「今すぐ効いてくる」のは一つ目と二つ目です。私はいつも理事長さまに「補助金は工事費の値引きだと思わず、資産価値を守るための仕組みだと捉えてください」とお伝えしています。順番に見ていきましょう。

【最重要】マンション管理計画認定制度——水戸市は令和5年11月から「申請できる街」

まず、水戸市の管理組合に一番知っていただきたいのが、このマンション管理計画認定制度です。

そもそも管理計画認定制度とは

マンション管理計画認定制度とは、管理組合が作成した管理計画(管理のルールや長期修繕計画などをまとめたもの)が、国の定める一定の基準を満たしている場合に、市区町村が「このマンションは適正に管理されていますよ」と公的にお墨付きを与える仕組みです。2020年(令和2年)のマンション管理適正化法の改正でできた、比較的新しい制度です。

ここで大事なのは、この認定は「その市区町村がマンション管理適正化推進計画をつくっている」ことが前提になる、という点です。計画をつくっていない自治体では、そもそも認定の申請ができません。

水戸市は、令和5年11月1日からこの制度を実施しています(出典:水戸市「マンション管理計画認定制度」)。つまり水戸市は、分譲マンションが認定申請を「できる街」なのです。茨城県全体を見ると、県が認定を行うのは町村区域に限られ、市区域のマンションは各市が窓口になります。水戸市はいち早く自前の制度を立ち上げた、県内でも先行する自治体だと言えます。すでに水戸市内では認定を取得したマンションも公表されており、絵に描いた餅ではなく、実際に動いている制度です。

水戸市の認定基準——市独自の上乗せはなし

認定を受けるには、管理組合の運営、管理規約、経理、長期修繕計画、その他の分野で基準を満たす必要があります。水戸市は「市独自の基準はなく、国がマンション管理適正化指針に定める基準と同一の内容」としています(出典:水戸市「マンション管理計画認定制度」)。上乗せの条件がない分、他の自治体と比べても取り組みやすいと言えます。

国の基準のうち、私が現場で「ここでつまずく組合が多い」と感じるのは、やはり長期修繕計画まわりです。長期修繕計画が国の標準様式に準拠して作成され、その内容と修繕積立金額が総会で決議されていること。作成または見直しが7年以内に行われていること。計画期間が30年以上で、その期間内に大規模修繕工事が2回以上含まれること。経理面では、管理費と修繕積立金が明確に区分経理されていること、修繕積立金の3か月以上の滞納が全体の1割以内であること、などです。

言い換えれば、認定制度は「きちんと長期の視点で修繕を計画し、そのためのお金を無理なく積み立てているか」を問うものです。私はこれを、単なる書類仕事ではなく「管理組合の健康診断」だと理事長さまにお伝えしています。

認定を受ける4つのメリット

では、手間をかけて認定を取ると何がいいのか。水戸市が挙げているメリットは主に4つです。

一つ目は、適正に管理されているマンションとして、市場において評価されること。区分所有者が部屋を売るとき、「管理計画認定マンション」という肩書きは買い手への安心材料になります。二つ目は、住宅金融支援機構の【フラット35】や共用部分リフォーム融資で金利の引き下げ措置が受けられること。三つ目は、修繕積立金の運用に使う【マンションすまい・る債】で利率の上乗せ措置が受けられること。積立金を運用する組合にとっては地味に効いてきます。そして四つ目が、次にお話しする「マンション長寿命化促進税制」による固定資産税の減額の対象になること、です(出典:水戸市「マンション管理計画認定制度」)。

申請の流れと窓口・費用

水戸市の認定申請は、公益財団法人マンション管理センターの「管理計画認定手続支援サービス」を通じて行います。流れとしては、まず管理計画の情報を電子システムに入力してマンション管理センターの事前確認を受け、「事前確認適合証」を取得します。その適合証を添えて、システム上で水戸市に認定申請を行い、市の審査を経て認定通知書が発行される、という順番です。

水戸市への申請手数料は無料です。ただし、マンション管理センターのシステム利用料(事前確認の利用料は1万円)と事前確認審査料は別途かかります。認定の有効期間は5年で、更新申請をしないと失効します。窓口は水戸市の住宅政策課 政策係(電話:029-232-9222)です。

マンション長寿命化促進税制——水戸市は「1/2減額」の手厚い街

認定制度とセットで知っておきたいのが、国の「マンション長寿命化促進税制」です。これは、一定の要件を満たすマンションが長寿命化のための大規模修繕を行った場合、その翌年度分の建物(家屋)の固定資産税が減額される制度です。

水戸市の減額割合は「2分の1」——ここが大きい

減額される割合は、各市町村が条例で6分の1から2分の1の範囲で定めることになっています。ここが今回いちばんお伝えしたいポイントなのですが、水戸市はこの減額割合を、対象となる住戸1戸あたり100平方メートル相当分まで「固定資産税額の2分の1」と定めています(出典:水戸市「大規模修繕工事を行ったマンションの固定資産税が減額されます」)。自治体によっては3分の1にとどめているところもあるなかで、水戸市は最も手厚い2分の1です。管理組合全体で見れば、決して小さくない金額が戻ってきます。

適用の主な要件

水戸市の資料によると、対象となるのは次のようなマンションです。新築された日から20年以上が経過していること。総戸数が10戸以上であること。専有部分の床面積の2分の1以上が居住用であること。今回の大規模修繕より前に、長寿命化工事(外壁塗装等工事・床防水工事・屋根防水工事のすべて)を1回以上行っていること。そして令和5年4月1日から令和9年3月31日までの間に、外壁塗装・床防水・屋根防水をすべて含む2回目以降の工事を完了していること、などです。さらに、修繕積立金の額が認定基準を満たすよう令和3年9月1日以降に引き上げられていることも要件になります(出典:水戸市「大規模修繕工事を行ったマンションの固定資産税が減額されます」)。

工事が完了した日から3か月以内に、水戸市の資産税課へ申告する必要があります。減額されるのは工事完了の翌年度分に限られ、土地の固定資産税や都市計画税は対象外です。また、適用は1つのマンションにつき1回限りで、耐震改修・バリアフリー改修・省エネ改修に伴う固定資産税の減額とは同じ年度に併用できません(別の年度なら適用可能です)。

認定・助言指導との関係——そして管理組合が申告できるように

ここが実務上のポイントです。この税制の対象になるのは、(1)水戸市から管理計画の認定を受けているマンション、または(2)水戸市長から長期修繕計画に関する助言・指導を受けているマンション、のいずれかです。つまり、先ほどの「管理計画認定」と、この「固定資産税の減額」は、地続きの制度なのです。認定を取っておけば、税の減額という具体的なリターンにつながります。

もう一つ大きな変化があります。従来、この減額の申告は各住戸の区分所有者が行う必要がありましたが、令和7年4月1日以降は、区分所有者からの申告がなくても、管理組合の管理者等がまとめて必要書類を提出し、要件を満たすことが確認できれば減額が適用されるようになりました(出典:水戸市「大規模修繕工事を行ったマンションの固定資産税が減額されます」)。数十戸の区分所有者に個別に申告してもらう手間が省け、理事会主導で進めやすくなったわけです。窓口は水戸市の資産税課 家屋第1、2係(電話:029-224-1122)です。

マンション管理適正化支援法人——組合の「伴走者」を頼る

水戸市には、管理組合を専門的にサポートする「マンション管理適正化支援法人」の仕組みもあります(出典:水戸市「マンション管理適正化支援法人」)。これは、市が指定した法人が、管理組合の運営や長期修繕計画の見直し、認定申請の準備などを助言・支援してくれるものです。

「認定を取りたいが、うちの長期修繕計画で基準を満たせるのか分からない」「総会で修繕積立金の値上げをどう説明すればいいか悩んでいる」——そんなときの相談先として頼れる存在です。第三者の専門家に間に入ってもらうと、理事会だけで抱え込むよりも合意形成がスムーズに進むことが多いです。まずは水戸市の住宅政策課(029-232-9222)に、支援法人の活用について問い合わせてみてください。

耐震の補助は「木造住宅」が中心——マンション共用部の現実と武器

ここまで前向きな話が続きましたので、耐震まわりは正直にお伝えします。

水戸市の耐震補助は木造戸建て向け

水戸市には、木造住宅の耐震診断士派遣事業と、耐震改修費用の補助金があります。いずれも対象は「昭和56年5月31日以前に着工された木造住宅」で、耐震診断の結果、上部構造評点が1.0未満と判定されたものを1.0以上に改修する工事などが対象です(出典:水戸市「木造住宅の耐震改修費用を補助します」)。

つまり、これらの制度は木造の戸建て住宅を念頭に置いたもので、鉄筋コンクリート造(RC)や鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC)の分譲マンションの共用部は対象外です。ここは期待させたくないので、はっきり書いておきます。旧耐震のマンションで耐震改修をお考えの場合は、市の木造向け補助はあてにできません。詳しくは水戸市の建築指導課(029-232-9210)にご確認ください。

それでも使える「耐震改修促進法25条」という武器

ただ、旧耐震のマンションに打つ手がないわけではありません。耐震改修促進法という法律の25条には、耐震改修の必要性について認定(計画の認定)を受けると、共用部分の変更に関する総会決議の要件が、通常の「区分所有者および議決権の各4分の3以上」から「各過半数」に緩和される、という規定があります。合意形成の高いハードルを一段下げられる、実務上とても有効な仕組みです。旧耐震のマンションで大規模修繕と耐震改修を一体で考える場合、この25条の認定は覚えておいて損はありません。

省エネ・脱炭素の補助金——共用部で使えるかは要確認

水戸市は、令和8年度も家庭の脱炭素を後押しする補助制度を用意しています。住宅用太陽光発電システムの設置に最大5万円、住宅用蓄電システムの設置に最大5万円を補助するもので、太陽光と蓄電池を同時に導入すれば国の補助と合わせて大きな支援になる場合があります(出典:水戸市「令和8年度住宅用太陽光発電システム設置補助制度」)。窓口は環境保全課(029-232-9154)です。

ただし、これらは基本的に「自分が住むための住宅」に設備を設置する個人向けの制度です。分譲マンションの共用部に管理組合名義で設置する場合に対象となるかは運用によりますので、必ず事前に環境保全課へ確認してください。共用部の省エネ改修(照明のLED化、給水ポンプの更新など)を計画するなら、市の補助にこだわらず、修繕積立金と国の融資を組み合わせて進めるほうが現実的なケースが多いです。

正直に言えば「使いにくい・使えない」制度もあります

読者の皆さまに誠実でありたいので、期待しすぎないよう、使いにくい制度もはっきり書いておきます。

まず、水戸市安心住宅リフォーム支援補助金です。市内に自己居住の住宅を所有する方が50万円以上のリフォームを行うと工事費の1割(上限10万円)が補助される制度ですが、対象は「自己の居住のための住宅」で、不動産業者が所有する住宅は除かれます(出典:水戸市「水戸市安心住宅リフォーム支援補助金」)。これは各区分所有者が自分の専有部をリフォームするときに使うことを想定した制度で、管理組合が共用部の大規模修繕に使えるものではありません。

もう一つ、埼玉県などが実施している「分譲マンションアドバイザーの無料派遣」のような、都道府県レベルの手厚い専門家派遣制度は、茨城県では確認できませんでした。茨城県のマンション管理計画認定制度の窓口も、県が担当するのは町村区域のみです(出典:茨城県「マンション管理計画認定制度」)。その代わり、認定制度に関する相談は、一般社団法人マンション管理士会連合会が開設する「マンション管理計画認定制度相談ダイヤル」(電話:03-5801-0858、平日10時〜17時)を無料で使えます。水戸市のマンション管理適正化支援法人と、この相談ダイヤルを上手に組み合わせるのが、水戸での現実的な進め方です。

制度を「使う順番」——8つのステップ

制度は知っているだけでは意味がなく、順番に使ってこそ効果が出ます。私が管理組合にお勧めしている流れは、次の8ステップです。

第一に、長期修繕計画を引っ張り出して、最後に見直した時期と、30年以上・大規模修繕2回以上を含む計画になっているかを確認する。第二に、修繕積立金が計画に見合っているか、滞納が1割を超えていないかをチェックする。第三に、水戸市の住宅政策課(029-232-9222)に電話し、管理計画認定の申請可否と支援法人の活用について相談する。第四に、マンション管理センターの事前確認を受け、認定申請の準備を進める。第五に、大規模修繕の工事内容を「外壁塗装・床防水・屋根防水をすべて含む」形で設計し、長寿命化促進税制の要件に合わせる。第六に、複数の施工会社から、足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3工法で見積もりを取り、コストと工期を比較する。第七に、工事を実施し、完了から3か月以内に資産税課(029-224-1122)へ固定資産税減額の申告を行う。第八に、認定の有効期間(5年)と次回の大規模修繕を見据えて、長期修繕計画を回し続ける。

この順番で動けば、認定→積立金の適正化→長寿命化税制の1/2減額→機構融資の金利引き下げ→工法選択によるコストダウン、という一本の道がつながります。

逆算カレンダー——総会から逆算して動く

大規模修繕は、思い立ってすぐ着工できるものではありません。総会での決議が必要で、そこから逆算して動く必要があります。

一般的な流れで言えば、工事の1年半から2年前には長期修繕計画の見直しと修繕委員会の立ち上げ、1年前には建物調査診断と施工会社の選定、半年前には総会での工事決議と資金計画の確定、そして着工、というスケジュール感になります。管理計画認定を狙うなら、この長期修繕計画の見直しのタイミングで、認定基準を満たす形に計画を整えておくのが効率的です。認定は一度取れば5年間有効ですから、大規模修繕の前年度までに取得しておけば、税制の要件にも余裕を持って対応できます。「まだ工事は先」と思っている今こそ、書類と計画を整える好機です。

水戸市の制度・早見表

ここまでの制度を、ひと目で分かるよう整理しておきます。

制度 主な内容 窓口・電話
マンション管理計画認定制度 令和5年11月開始。市手数料無料(センター利用料等は別途)。有効5年 住宅政策課 029-232-9222
マンション長寿命化促進税制 100㎡まで固定資産税を2分の1減額。翌年度分・1回限り 資産税課 029-224-1122
マンション管理適正化支援法人 認定準備・長期修繕計画の見直しを支援 住宅政策課 029-232-9222
木造住宅耐震診断・改修補助 旧耐震の木造戸建向け。RC/SRCマンション共用部は対象外 建築指導課 029-232-9210
住宅用太陽光・蓄電池補助(令和8年度) 各最大5万円。自己居住住宅向け。共用部は要確認 環境保全課 029-232-9154
認定制度 相談ダイヤル マンション管理士会連合会(無料相談) 03-5801-0858

※金額・要件・受付状況は年度ごとに変わります。申請前に必ず各窓口で最新情報をご確認ください。

ここでロープアクセス(無足場工法)が効いてくる理由

水戸市の制度は、現金の直接補助が薄い分、「工事そのものをいかに安く、賢くやるか」がより重要になります。ここで私たち明誠が得意とするロープアクセス工法(無足場工法)が効いてきます。

ロープアクセス工法は、産業用のロープで職人がぶら下がって施工する方法で、足場を組み立てて解体する費用が丸ごと不要になります。大規模修繕では、足場の設置・撤去費が工事費全体の2割前後を占めることも珍しくありません。条件が合えば、この部分を大きく圧縮できます。加えて、足場を組まないぶん工期が短くなり、足場を伝った侵入などの防犯リスクや、洗濯物・日当たりといった居住者の生活への影響も抑えられます。

もちろん、全面改修のように足場があったほうが有利な工事もあります。だからこそ私たちは、足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3つの工法を並べて比較し、水戸の建物ごとに一番コストと工期のバランスが良い方法をご提案しています。この「3工法から選べる」という点が、他社にはない明誠の強みです(ロープアクセス工法の詳細はこちら)。

モデルケースで見る——水戸のマンション2パターン

具体的なイメージが湧くよう、水戸市に多い2つのパターンで考えてみます(金額は説明のための概算例です)。

一つ目は、駅周辺の築28年・11階建て・48戸の新耐震マンション。2回目の大規模修繕を控えており、外壁塗装・床防水・屋根防水を一体で行う計画です。ここでハイブリッド工法を採用し、足場が必要な部分だけ足場を組み、高層部や狭所はロープアクセスで対応すると、仮に足場前提で9,000万円かかる工事が7,800万円程度まで、13%前後圧縮できるケースがあります。さらに管理計画認定を取得しておけば、工事翌年度に固定資産税の2分の1減額が乗ります。

二つ目は、中心市街地の築44年・5階建て・18戸の旧耐震マンション。耐震の不安がありますが、市の木造向け補助は使えません。この場合は、耐震改修促進法25条の認定で総会決議のハードルを下げつつ、ロープアクセス中心でコストを抑え、住宅金融支援機構の共用部分リフォーム融資(認定取得で金利引き下げ)で資金を手当てする、という組み立てが現実的です。制度の直接補助がなくても、工法と融資と税制を重ねれば、実質的な負担はしっかり軽くできます。

修繕積立金が足りないときの4つの打ち手

「工事はしたいが、積立金が足りない」——これは水戸に限らず、多くの管理組合が抱える悩みです。打ち手は大きく4つあります。

第一に、長期修繕計画を見直し、無理のない範囲で積立金を段階的に引き上げること。これは認定と税制の要件にも直結します。第二に、住宅金融支援機構の共用部分リフォーム融資を使うこと。管理計画認定を取っていれば金利の引き下げが受けられます。第三に、工法選択でそもそもの工事費を下げること。ロープアクセスやハイブリッドで足場費を圧縮すれば、借入額そのものを減らせます。第四に、工事の優先順位を整理し、緊急性の高い防水・外壁から段階的に実施すること。これらを組み合わせれば、「積立金が足りないから何もできない」という膠着状態を抜け出せます。

合意形成を進める3つのコツ

制度も工法も、最後は総会で決議されなければ動きません。合意形成を進めるコツを3つお伝えします。

一つ目は、「数字を早見表にして見せる」こと。認定でいくら金利が下がり、税制でいくら戻り、工法選択でいくら工事費が下がるのか。文章より一枚の表のほうが、区分所有者の理解は早いです。二つ目は、「第三者を上手に使う」こと。水戸市の支援法人や、マンション管理士、相談ダイヤルを活用し、理事会だけで抱え込まないこと。中立の専門家の説明は説得力が違います。三つ目は、「一度に完璧を目指さない」こと。まず認定と計画の見直しから着手し、工事は段階的に、と分けて提案するほうが、総会は通りやすくなります。

よくあるご質問(FAQ)

Q1. 水戸市では管理計画認定を本当に申請できますか?
できます。水戸市は令和5年11月1日から制度を実施しており、すでに認定を取得したマンションも市が公表しています。まずは住宅政策課(029-232-9222)へご相談ください。

Q2. 長寿命化税制の減額は何分の1ですか?
水戸市は、住戸1戸あたり100平方メートル相当分まで、固定資産税額の2分の1です。3分の1の自治体もあるなかで手厚い水準です。築20年以上・10戸以上・過去に長寿命化工事を1回以上・今回の工事を令和9年3月末までに完了・認定または助言指導、などの要件があります。

Q3. 減額の申告は区分所有者が全員でやるのですか?
令和7年4月1日以降は、区分所有者からの申告がなくても、管理組合の管理者等がまとめて必要書類を提出すれば適用されるようになりました。理事会主導で進めやすくなっています。

Q4. 旧耐震で不安ですが、水戸市の耐震補助は使えますか?
水戸市の耐震診断・改修補助は木造住宅向けで、RC・SRCの分譲マンション共用部は対象外です。ただし耐震改修促進法25条の認定を使えば、共用部変更の決議要件を各過半数に緩和できます。まず建築指導課(029-232-9210)へご確認ください。

Q5. 省エネ設備の補助はマンションでも使えますか?
太陽光・蓄電池の補助は基本的に自己居住の住宅向けです。共用部に管理組合名義で設置する場合に使えるかは運用によりますので、環境保全課(029-232-9154)へ事前確認してください。

Q6. ロープアクセスだと本当に安くなりますか?
足場の設置・撤去費が不要になるため、条件が合えば大きく圧縮できます。ただし全面改修など足場が有利な工事もあるので、建物ごとの比較が前提です。私たちは3工法を並べて比較提案します(適正価格の考え方はこちら)。

3つの工法から、水戸の建物に一番合うご提案を

水戸市は、現金の直接補助は多くありませんが、令和5年11月に始まった管理計画認定という「申請できる街」の土台があり、長寿命化促進税制の減額割合も最も手厚い2分の1です。ここに機構融資の金利引き下げと、工法選択によるコストダウンを重ねれば、実質的な負担はしっかり軽くできます。まず動くべきは、住宅政策課(029-232-9222)への1本の電話です。

私たち明誠は、足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3つの工法から、水戸市の建物に一番合った方法をご提案できる、日本でも数少ない会社です(施工サービスの詳細はこちら)。ご相談だけでも遠慮なくお声がけください。総会の前段階の整理や、補助金・認定と工事の時期合わせだけでも、お力になれることがあります。まずはお問合せフォームから、気軽にご連絡ください。

建設業者どうしの支え合いも、この街の力になる

最後に一つ。私たちは大規模修繕の施工会社であると同時に、JCSA(一般社団法人全国建設業支援協会)を運営し、全国の建設業者向けに経営支援の情報発信やオンラインセミナー、交流会、ビジネスマッチングを行っています(JCSAをはじめとする取り組みはこちら)。地域の工事は、地域の職人と会社が元気でこそ成り立ちます。水戸市を含む茨城県の建物を長く守っていくために、業界の横のつながりも大切にしています。

まとめ:水戸市は「認定×1/2減額」で動く街

水戸市は、工事費への直接補助は薄いものの、令和5年11月にいち早く管理計画認定制度を導入し、長寿命化促進税制の減額を最も手厚い2分の1と定めた、管理組合にとって「動きがいのある街」です。認定を取り、長期修繕計画と積立金を整え、税制の1/2減額と機構融資の金利引き下げを受け、そこに3工法の比較によるコストダウンを重ねる——この一本道を、私たちは何度も現場で歩いてきました。まず動くべきは、住宅政策課(029-232-9222)への1本の電話です。次回も、現場で本当に使える話だけをお届けします。

出典・参考資料

本記事は2026年7月時点で公表されている情報をもとに作成しています。補助金・税制・融資は年度ごとに要件や予算が変わります。特に長寿命化促進税制の対象期間や各補助の受付状況は変動しますので、申請前に各担当窓口で最新情報をご確認ください。

▼ロープアクセス工法・無足場工法の詳細解説はこちら
ロープアクセスドットコム|無足場工法専門メディア

吉川市マンション補助金2026|管理組合が使える支援制度

「うちのマンション、吉川市で使える制度はあるのか」——その疑問に正面からお答えします

はじめまして。株式会社明誠の代表を務めております、本間幸紘と申します。マンションやビルの大規模修繕を、足場を組む従来工法と、ロープでぶら下がって施工する無足場工法(ロープアクセス工法)、その両方を建物に合わせて組み合わせるやり方で、20年近く現場に立ち続けてきました。

このブログでは、首都圏の分譲マンション管理組合の理事長さまや役員の皆さまに向けて、「知っておくと数十万円、場合によっては数百万円単位で変わってくる」自治体の補助金や支援制度を、一つずつ地域ごとに整理してお届けしています。今回の舞台は、埼玉県南東部の吉川市です。

吉川市は、JR武蔵野線とつくばエクスプレスが走り、中川と江戸川に挟まれた水と緑の街です。近年は吉川美南駅周辺の区画整理で新しいマンションも増え、一方で築20年、25年と年数を重ねた分譲マンションもしっかり根づいています。「そろそろ2回目の大規模修繕」「修繕積立金が足りるか不安」——理事会でそんな声が出はじめている組合も多いのではないでしょうか。

正直に申し上げます。吉川市は、マンションの「工事費そのもの」を直接補助してくれる制度は多くありません。ですが、管理組合の資産価値を守るうえで見逃せない制度が、静かに、しかし確実に整いつつあります。今回は吉川市の分譲マンション管理組合が使える制度を、私が現場目線で「どう活かすか」まで含めて解説していきます。

吉川市の管理組合が押さえるべき制度は大きく5つ

最初に全体像をお見せします。細かい話に入る前に、地図を頭に入れておいたほうが迷いません。吉川市で分譲マンションの管理組合が関わってくる制度は、ざっくり次の5つに整理できます。

一つ目が、いま国と自治体が一番力を入れている「マンション管理計画認定制度」。二つ目が、大規模修繕を行うと固定資産税が下がる可能性のある「マンション長寿命化促進税制」。三つ目が、耐震診断・耐震改修の補助制度。四つ目が、太陽光や蓄電池といった省エネ・脱炭素の補助金。そして五つ目が、専門家に無料で相談できる「埼玉県分譲マンションアドバイザー派遣」や無料相談会です。

このうち、吉川市の管理組合にとって「今すぐ効いてくる」のは一つ目と二つ目、そして五つ目です。私はいつも理事長さまに「補助金は工事費の値引きだと思わず、資産価値を守るための仕組みだと捉えてください」とお伝えしています。順番に見ていきましょう。

吉川市のマンション事情——なぜ今「管理」なのか

制度の中身に入る前に、吉川市という街のマンション事情を少しだけ整理させてください。ここを押さえておくと、なぜ吉川市がいま「管理の適正化」に舵を切ったのかが腑に落ちます。

吉川市は人口およそ7万人。JR武蔵野線の吉川駅・吉川美南駅に加え、隣接する三郷市側にはつくばエクスプレスも走り、都心へのアクセスは年々良くなっています。吉川美南駅周辺の区画整理では新築マンションが供給され、若い世帯の流入も続いています。一方で、駅前や旧市街には平成初期に建てられた分譲マンションも多く、こちらは築25年から35年という「2回目・3回目の大規模修繕」の時期に差しかかっています。

この「新しいマンションと、年数を重ねたマンションが混在する」構図は、吉川市が令和6年11月にマンション管理適正化推進計画を策定した背景そのものです。市の資料でも、全国的にマンションの高経年化、区分所有者の高齢化、賃貸・空き住戸化が進み、管理組合の役員のなり手不足で総会運営が難しくなる——そうした「老朽化マンションの急増」への懸念が挙げられています(出典:吉川市「マンション適正管理」)。

私が現場で20年見てきて実感するのは、建物の傷みよりも先に「管理組合の体力」が落ちていくということです。理事のなり手がいない、修繕積立金の値上げが総会を通らない、長期修繕計画が10年以上見直されていない——こうした「組織の老朽化」が、結果として工事の先送りを生み、建物の寿命を縮めます。吉川市の制度は、まさにこの「組織の健康」を保つための道具立てだと私は捉えています。順番に見ていきましょう。

【最重要】マンション管理計画認定制度——吉川市は「申請できる街」

まず、吉川市の管理組合に一番知っていただきたいのが、このマンション管理計画認定制度です。

そもそも管理計画認定制度とは

マンション管理計画認定制度とは、管理組合が作成した管理計画(管理のルールや長期修繕計画などをまとめたもの)が、国の定める一定の基準を満たしている場合に、市区町村が「このマンションは適正に管理されていますよ」と公的にお墨付きを与える仕組みです。2020年(令和2年)のマンション管理適正化法の改正でできた、比較的新しい制度です。

ここで大事なのは、この認定は「その市区町村がマンション管理適正化推進計画をつくっている」ことが前提になる、という点です。計画をつくっていない自治体では、そもそも認定の申請ができません。

吉川市は、令和6年(2024年)11月に「吉川市マンション管理適正化推進計画」と「吉川市マンションの管理の適正化に関する指針」を策定しました(出典:吉川市「マンション適正管理」)。つまり吉川市は、分譲マンションが認定申請を「できる街」なのです。これは意外と大きな意味を持ちます。

吉川市の認定基準——カギは「長期修繕計画」

認定を受けるには、管理組合の運営、管理規約、経理、長期修繕計画、その他の5分野で基準を満たす必要があります。吉川市が公表している基準のうち、私が現場で「ここでつまずく組合が多い」と感じるのは、やはり長期修繕計画まわりです。具体的にはこうなっています。

長期修繕計画が国の「長期修繕計画標準様式」に準拠して作成され、その内容と修繕積立金額が総会で決議されていること。作成または見直しが7年以内に行われていること。計画期間が30年以上で、その期間内に大規模修繕工事が2回以上含まれるように設定されていること。将来の一時的な修繕積立金の徴収(いわゆる一時金頼み)を予定していないこと。そして計画の最終年度に借入金の残高が残らない計画であること——などです。

経理の面でも、管理費と修繕積立金が明確に区分経理されていること、修繕積立金の3か月以上の滞納が全体の1割以内であること、といった基準があります。

言い換えれば、認定制度は「きちんと長期の視点で修繕を計画し、そのためのお金を無理なく積み立てているか」を問うものです。私はこれを、単なる書類仕事ではなく「管理組合の健康診断」だと理事長さまにお伝えしています。

認定を受ける4つのメリット

では、手間をかけて認定を取ると何がいいのか。吉川市が挙げているメリットは主に4つです。

一つ目は、適正に管理されているマンションとして、売買時に市場で評価されることが期待できること。区分所有者が部屋を売るとき、「管理計画認定マンション」という肩書きは買い手への安心材料になります。

二つ目は、住宅金融支援機構の「フラット35」や「マンション共用部分リフォーム融資」で金利の優遇が受けられること。三つ目は、同じく住宅金融支援機構の「マンションすまい・る債」で利率の上乗せが受けられること。積立金を運用する組合にとっては地味に効いてきます。

そして四つ目が、次にお話しする「マンション長寿命化促進税制」による固定資産税の減額が適用される場合があること、です(出典:吉川市「マンション適正管理」)。

申請の流れと窓口

吉川市の認定申請は、公益財団法人マンション管理センターの「管理計画認定手続支援サービス」を通じて行います。流れとしては、まず事前確認の情報をシステムに入力して書類を提出し、マンション管理センターの事前確認を受けて「事前確認適合証」を取得します。その適合証を添えて、システム上で吉川市に認定申請を行い、市の審査を経て認定通知書が発行される、という順番です。

吉川市への審査手数料は無料ですが、マンション管理センターのシステム利用料や事務確認審査料は別途かかります。金額はマンション管理センターのページで確認してください。認定の有効期間は5年で、更新手続きをしないと失効します。窓口は吉川市の開発建築課 建築指導担当(電話:048-982-9885)です。

マンション長寿命化促進税制——大規模修繕で固定資産税が下がる

認定制度とセットで知っておきたいのが、国の「マンション長寿命化促進税制」です。これは、一定の要件を満たすマンションが長寿命化のための大規模修繕を行った場合、その翌年度分の建物の固定資産税が減額される制度です。

適用の主な要件

国土交通省の資料によると、対象となるのは次のようなマンションです。新築された日から20年以上が経過していること。総戸数が10戸以上であること。過去に長寿命化工事(外壁塗装等工事、床防水工事、屋根防水工事のすべて)を1度以上行っていること。そして令和5年4月1日から令和9年3月31日までの間に、2回目以降の長寿命化工事を完了していること、などです(出典:国土交通省「マンション長寿命化促進税制」)。

工事が完了した日から3か月以内に市へ申告する必要があります。減額される割合は、各市町村が条例で定める範囲(6分の1から2分の1)で決まります。多くの自治体では2分の1減額としていますが、吉川市での具体的な減額割合は市の条例と最新の案内でご確認ください。ここは断定を避け、必ず一次情報にあたっていただきたい部分です。

認定制度との関係

ここが実務上のポイントです。この税制の適用を受けるには、前提として管理計画の認定を受けている、あるいは助言・指導を受けて長期修繕計画を見直しているなど、管理の適正化に取り組んでいることが求められます。つまり、先ほどの「管理計画認定」と、この「固定資産税の減額」は、地続きの制度なのです。

私はこれを、必ずワンセットで考えるよう理事長さまに提案しています。せっかく数千万円をかけて2回目の大規模修繕をやるなら、その前後で認定と税制の要件を満たしにいく。工事と制度活用のタイミングを合わせるだけで、組合の負担は目に見えて変わります。

区分所有法の改正で、管理規約の見直しが必要になっています

認定制度と並んで、いま吉川市が管理組合に呼びかけているのが「管理規約の見直し」です。吉川市も「分譲マンション管理組合の皆さん!管理規約の見直しが必要です!」という案内を出しています(出典:吉川市「マンション適正管理」)。

背景には、区分所有法の改正と、それに伴う国のマンション標準管理規約の改正があります。標準管理規約とは、国が示す「管理規約のひな型」のことで、多くの管理組合がこれをベースに自分たちの規約をつくっています。ひな型が変われば、各組合の規約も見直しが必要になる、というわけです。

ここで先ほどの認定制度を思い出してください。認定基準には「管理規約に、災害等の緊急時や管理上必要なときの専有部への立ち入り、修繕等の履歴情報の管理などが定められていること」という項目がありました。つまり、規約の見直しは認定の要件とも直結しています。私は理事長さまに、「どうせ規約を触るなら、認定基準を意識して一度に整えましょう」とお伝えしています。バラバラにやると、総会を何度も開くことになり、役員の負担ばかりが増えてしまうからです。

耐震診断・改修の補助は、マンションで使えるのか

「耐震の補助はどうなっていますか」——これも吉川市の理事会でよく出る質問です。ここは誤解が多いので、正直にお伝えします。

吉川市には木造住宅を対象とした耐震診断・耐震改修の補助制度があります。診断は費用の3分の2以内で上限6万5千円、改修は費用の100分の23以内で上限30万円、さらに65歳以上の高齢者が居住する住宅には10万円が加算される、という内容です(出典:吉川市「木造住宅の耐震改修補助制度」)。

ただし、これは名前のとおり「木造住宅」向けです。分譲マンションの多くはRC造(鉄筋コンクリート造)やSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)ですから、残念ながらこの制度の直接の対象にはなりません。ここを勘違いして「耐震補助が使えるはず」と工事計画を立ててしまうと、あとで資金計画が崩れます。

分譲マンションの耐震化について補助の可能性を探るなら、まずは開発建築課(電話:048-982-9885)に個別に問い合わせるのが確実です。自治体によっては別枠の共同住宅向け耐震制度を持っている場合もありますが、吉川市で分譲マンション共用部を直接対象とする耐震補助が公表されているわけではない、というのが2026年7月時点での正直な状況です。断定できない部分を曖昧にせず、はっきりお伝えしておきます。

省エネ・脱炭素の補助金——共用部でどこまで使えるか

近年、どの自治体も力を入れているのが省エネ・脱炭素分野です。吉川市も例外ではありません。ただ、ここも「誰が使えるのか」を丁寧に見る必要があります。

太陽光発電・蓄電池の補助金

吉川市は「令和8年度住宅用太陽光発電設備等設置事業補助金」を実施しています。金額は、太陽光発電設備が4キロワット未満で定額3万円、4キロワット以上で定額4万円、定置用蓄電池が定額5万円、太陽光と蓄電池をあわせて設置すると定額10万円です。予算は325万円で、枠に達した時点で受付終了となります(出典:吉川市「令和8年度住宅用太陽光発電設備等設置事業補助金」)。

ただし、この補助の対象者は「自ら所有し、自ら居住する既存住宅(またはZEHの新築)」に設置する方、とされています。つまり、基本的には戸建てや個人の住戸向けで、マンションの共用部にそのまま適用できる制度ではありません。窓口は吉川市の環境課 環境保全係(電話:048-982-9698)です。共用部への太陽光導入を検討する場合は、対象になるかどうかを事前に必ず環境課へ確認してください。

EV充電設備や給湯器の補助

吉川市には「令和8年度電気自動車等充電設備設置事業補助金」や「令和8年度高効率給湯器買換促進事業費補助金」といった制度もあります。マンションの駐車場へのEV充電設備の導入は、これから管理組合の総会議題に上がってくるテーマです。こちらも共用部が対象になるかどうかは制度の要件次第ですので、環境課に確認したうえで、長期修繕計画に組み込むかを判断するのが賢明です。

無料で使える専門家——埼玉県のアドバイザー派遣と相談会

制度の話ばかりだと身構えてしまうかもしれません。でも、吉川市の管理組合には「タダで専門家に相談できる」入口がちゃんと用意されています。

一つは、埼玉県の「分譲マンションアドバイザー無料派遣制度」です。県が埼玉県住宅供給公社と協力し、登録された「埼玉県分譲マンションアドバイザー」(マンション管理士など)を無料で派遣してくれます。対象は区分所有の分譲マンションで、維持管理や総会運営に不安がある組合が活用できます(出典:埼玉県「分譲マンションアドバイザー派遣制度」)。

もう一つが、埼玉県マンション管理士会による無料相談会(キャラバン隊)です。吉川市を含む東部の6市1町で持ち回り開催されており、吉川市では令和8年6月18日(木)と令和8年11月19日(木)の午後6時から9時に予定されています。事前予約が必要で、開催市のマンション担当への連絡が要ります。マンションの所在地以外の会場でも相談できるので、日程が合う回に参加してみるのも手です。

私はいつも「まず無料の相談窓口を使い倒してください」と申し上げています。専門家の第三者の目が入るだけで、理事会の議論が驚くほど整理されるからです。

制度を「工事」に結びつける——明誠の考え方

ここからが本題です。制度をいくら理解しても、最後は「工事をどう計画し、いくらでやるか」に行き着きます。ここに、私たち明誠がお役に立てる余地があります。

ロープアクセスで足場費を抑えるという選択肢

大規模修繕の見積書を見ると、足場の仮設・解体費が全体の2割前後を占めることが珍しくありません。私が現場で一番悔しい思いをするのは、「足場代さえもう少し抑えられれば、修繕積立金の範囲で収まったのに」というケースに出会うときです。

そこで私たちがご提案しているのが、ロープでぶら下がって施工する無足場工法(ロープアクセス工法)です。外壁のタイル補修や塗装、シーリングの打ち替えといった部分的な工事なら、足場を全面に組まずに施工できる場面が少なくありません。足場が不要になれば、その分のコストが浮き、工期も短縮でき、何より居住者の窓が塞がれる期間を減らせます。詳しくはロープアクセス工法のご紹介をご覧ください。

以前、ある中規模マンションで、外壁の一部だけタイルの浮きが出ているのに「全面足場を組まないと直せない」と言われて困っている、というご相談を受けたことがあります。全面足場だと数百万円の仮設費がかかり、そこまでの予算はないという話でした。私たちが該当部分をロープアクセスで打診調査し、浮いている箇所をピンポイントで補修したところ、足場を組む場合と比べて仮設まわりの費用を大きく抑えられました。もちろん、劣化が全面に及んでいれば全面施工が必要です。大事なのは「本当に建物全体に足場が要るのか」を、思い込みでなく調査してから判断することです。私はこれを、必ず打診調査とセットでご提案するようにしています。ピンポイントの補修については部分補修・ピンポイント施工のご紹介もご覧ください。

もちろん、ロープアクセスが万能というわけではありません。建物全面を一度に塗り替えるような工事や、大がかりな躯体補修が必要な場合は、従来の足場工法のほうが適しています。だからこそ私たちは、足場・ロープアクセス・両者を部位ごとに使い分けるハイブリッド工法の3つから、その建物にとって一番コストと工期のバランスが取れるやり方をご提案しています。この「3工法から選べる」点が、明誠の一番の強みです(詳しくは大規模修繕工事のご紹介)。

認定基準を満たす「長期修繕計画」づくりから

そしてもう一つ。管理計画認定制度も長寿命化促進税制も、根っこにあるのは「実効性のある長期修繕計画」です。計画期間30年以上、その中に大規模修繕2回以上、無理のない積立金設定——この基準を満たす計画をつくるには、工事の中身と金額を現実的に見積もれる施工会社の視点が欠かせません。

私たちは、単に工事を請けるだけでなく、「この工法ならこの周期で、この金額で回せます」という現場の相場観を、計画づくりの段階からお出しできます。管理組合向けのご相談は管理組合さま向けサービスでも受け付けています。

とくに修繕積立金については、「値上げの話を総会に出すのが怖い」という理事長さまが本当に多いのが実情です。ですが、工法の選択肢を増やして工事費の見通しを下げられれば、必要な値上げ幅も抑えられます。認定基準にある「一時金頼みにしない」「借入金を残さない」計画は、裏を返せば、日々の積立を無理のない水準で回せるかどうかにかかっています。工事する側の目線を早い段階で入れることが、実は一番の近道だと私は考えています。

吉川市の管理組合からよくいただくご質問

現場で理事長さまからよく受ける質問を、いくつか整理しておきます。

一つ目。「管理計画認定を取ると、補助金がもらえるのですか?」——これは誤解されやすいところです。認定そのもので現金の補助が出るわけではありません。得られるのは、売買時の評価、フラット35などの金利優遇、住宅金融支援機構の債券の利率上乗せ、そして長寿命化促進税制による固定資産税の減額の「可能性」です。直接の値引きではなく、資産価値と資金調達の面でじわじわ効いてくる制度だとお考えください。

二つ目。「長寿命化促進税制は、1回目の大規模修繕でも使えますか?」——原則として使えません。要件が「過去に長寿命化工事を1度以上行っていて、2回目以降の工事を完了していること」となっているため、初めての大規模修繕では対象外になるのが通常です。築20年を過ぎ、2回目の修繕を控えた組合が主なターゲットになります。

三つ目。「太陽光の補助10万円は、うちのマンションの屋上に載せるときも使えますか?」——吉川市の住宅用補助は「自ら所有し居住する既存住宅」向けが基本で、共用部にそのまま使えるとは限りません。共用部への導入は、対象になるかどうかを環境課(048-982-9698)に必ず事前確認してください。

四つ目。「相談するとしつこく営業されませんか?」——少なくとも私たちは、まず制度と現状の整理からご一緒します。工事の話は、組合が「そろそろ動こう」と決めてからで十分です。

吉川市の管理組合が、今日からできる3ステップ

情報が多くなったので、動き方を3つに絞ります。

第一に、自分たちの長期修繕計画が「7年以内に見直されているか」「30年以上の計画になっているか」を確認する。ここが認定と税制の入口です。第二に、埼玉県の無料アドバイザー派遣か、11月19日の無料相談会を予約して、第三者の目を入れる。第三に、次の大規模修繕の見積もりを取る際に、足場工法だけでなくロープアクセスやハイブリッドも含めて比較する。この3つを回すだけで、組合の資金計画は確実に強くなります。

補助金や税制は、締切や予算枠、年度の切り替えで内容が変わります。この記事の数字も2026年7月時点のものです。実際に申請へ動く前には、必ず吉川市や国土交通省の最新の一次情報をご確認ください。

制度の入口の整理だけでも、大規模修繕の見積もりの見方だけでも構いません。ご相談だけでも遠慮なくお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。お問い合わせはこちらのフォームから、いつでもどうぞ。

次回も、現場で本当に使える話だけをお届けします。

出典・参考資料

▼ロープアクセス工法・無足場工法の詳細解説はこちら
ロープアクセスドットコム|無足場工法専門メディア

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