【令和8年度版】台東区のマンション管理計画認定制度|区手数料4,100円・国基準準拠の全17項目と下町運用の全手順

【令和8年度版】台東区のマンション管理計画認定制度|区手数料4,100円・国基準準拠の全17項目と下町運用の全手順

2026年9月14日 更新

「うちのマンションは浅草橋にあるんですが、1階が店舗で2階以上が住居、区分所有者の一部が外国人の投資家です。認定は取れるものでしょうか」——先月、台東区のあるマンションの理事長さまから、そう質問されました。

私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。東京都東大和市を拠点に、20年近くマンション・ビル・ホテルの外壁と向き合ってきました。足場を組む工事も、ロープ1本でぶら下がる無足場の工事も、どちらも自分の手でやってきた人間です。

結論から申し上げると、店舗併用型でも外国人区分所有者がいても、要件を満たせば認定は取れます。ただし、台東区特有の論点——下町ならではの狭隘道路、密集地の足場問題、そして総会運営の実務——を理解して準備を進める必要があります。

今日お話しするのは、台東区にあるマンションが管理計画認定を取ると何が変わり、いくらかかり、どの順番で動けばいいのかという一点に絞ります。


結論:台東区で認定を取ると何が変わり、いくらかかるか

先に全体像を表でお示しします。

論点 台東区での答え
認定の主体 台東区(マンション管理適正化推進計画を策定済みの特別区)
窓口 台東区住宅課マンション施策担当(台東区役所5階)/電話 03-5246-9028
制度運用開始 令和4年11月1日
マンション管理センター経由 使います。「事前確認適合証」を取得してシステムから申請
独自基準 なし。国のマンション管理適正化指針の基準と同一(16項目+その他1項目)
区の基本手数料 4,100円(長期修繕計画が1つ増えるごとに1,800円加算)
手数料の総額目安 約24,100円(区4,100円+システム使用料10,000円+事前確認審査料おおむね10,000円程度)
認定までの期間 事前確認1〜2か月+区の審査約2〜3週間+通知書発行
有効期間 5年間(5年ごとの更新認定。区からの通知はなし)
主な経済効果 長寿命化促進税制、フラット35の金利引下げ、共用部分リフォーム融資の金利引下げ、すまい・る債の利率上乗せ

(出典:台東区「マンション管理計画認定制度」、国土交通省「マンション管理計画認定制度」)

台東区の一番の特徴は、区独自基準を設けず、国基準そのままで運用していることです。区独自の上乗せ基準を導入した文京区・港区・渋谷区とは対照的な設計です。「まずは国基準を満たす管理組合を増やす」という考え方だと私は理解しています。基準がシンプルな分、書類のブレも少なく、申請ハードルは他区より低めです。

このページの更新日は2026年(令和8年)2月20日で、ちらしは令和7年10月28日に更新されています。手数料や様式の情報は現行に近いものと考えられますが、詳細は申請前に住宅課へ電話で確認いただくのが安全です。


認定主体はどこか——台東区は「区が認定する」

管理計画認定制度の認定主体は、マンション管理適正化法に基づく「マンション管理適正化推進計画」を策定した市・特別区です。市以外の町村部は都道府県が担います(出典:国土交通省「マンション管理計画認定制度」)。

台東区は特別区で、推進計画を策定済みです。つまり台東区が認定主体です。東京都に申請するものではありません。

私はこの点を取り違えている理事会に、これまで何度も出会いました。「都に出すのか区に出すのか分からないので、とりあえず保留にしています」という管理組合が、実際にありました。台東区のマンションについては、窓口は台東区役所5階の住宅課マンション施策担当、電話は03-5246-9028です。台東区マンション管理適正化推進計画は令和7年度から令和16年度までの計画として策定されています(出典:台東区マンション管理適正化推進計画)。

なお、固定資産税の減額措置(後述の長寿命化促進税制)だけは話が別です。東京23区の固定資産税は東京都が課税するため、申告先は物件所在地を管轄する都税事務所になります。認定は区、減税の申告は都。この二本立てを最初に頭に入れておくと、後で慌てません。


認定基準——国が定める17項目のみ(区独自基準なし)

台東区の認定基準は、国が定める17項目です。台東区独自の上乗せ基準はありません(出典:台東区「マンション管理計画認定制度」、国土交通省「マンション管理計画認定基準」)。

1)管理組合の運営

  • 管理者等(理事長など)が定められていること
  • 監事が選任されていること
  • 集会(総会)が年に1回以上開催されていること

2)管理規約

  • 管理規約が作成されていること
  • 災害などの緊急時や管理上必要なときの専有部への立ち入り、修繕などの履歴情報の管理について定められていること
  • 管理組合の財務・管理に関する情報の書面交付(または電磁的方法による提供)について定められていること

3)管理組合の経理

  • 管理費と修繕積立金などを明確に区分して経理していること
  • 修繕積立金会計から他の会計への充当がされていないこと
  • 直前の事業年度末時点で、修繕積立金の3か月以上の滞納額が全体の1割以内であること

4)長期修繕計画の作成及び見直し等

  • 長期修繕計画が「長期修繕計画標準様式」に準拠して作成され、計画内容と修繕積立金額が総会で決議されていること
  • 長期修繕計画の作成または見直しが7年以内に行われていること
  • 計画期間が30年以上で、かつ残存期間内に大規模修繕工事が2回以上含まれていること
  • 将来の一時的な修繕積立金の徴収を予定していないこと
  • 計画期間全体での修繕積立金の総額から算定された平均額が著しく低額でないこと
  • 計画期間の最終年度において、借入金の残高のない計画となっていること

5)その他

  • 組合員名簿・居住者名簿を備え、年1回以上は内容の確認を行っていること
  • 都道府県等マンション管理適正化指針に照らして適切なものであること(※台東区マンション管理適正化指針では国基準以外の独自基準を設けていないため、上記16項目に適合すれば5(2)にも適合したとみなされる)

私の経験上、ここでつまずくマンションの大半は4)の長期修繕計画です。特に「一時金徴収を前提にしていないこと」と「最終年度に借入金残高がないこと」の2つ。この2条件は、修繕積立金の水準そのものに踏み込む要件です。積立金を上げずに認定は取れない、という設計になっています。逆に言えば、認定の準備がそのまま積立金不足の是正になる、ということでもあります。

台東区は、浅草・上野・浅草橋・入谷・鶯谷・根岸・下谷・谷中・浅草橋の一帯を抱える下町です。1970〜80年代の中小規模の分譲マンションが多く、当時の水準のまま修繕積立金がスライドしてきているマンションが少なからず存在します。認定申請の準備は、そのまま積立金不足の点検作業になります。


手数料と申請ルート——台東区は「国のシステム+区の紙手数料」

台東区の申請は、他区と比べてもシンプルな構造です。区独自基準の書類がない分、区窓口とのやり取りは手数料納付と審査結果の受け取りが中心です。

手数料の内訳(認定申請・更新申請)

内容 費用 支払先
システム使用料 10,000円 (公財)マンション管理センター
事前確認審査料 おおむね10,000円程度(依頼先により異なる) 依頼先
区の手数料(基本手数料) 4,100円 台東区
区の手数料(加算手数料) 1,800円(長期修繕計画が1つ増えるごと) 台東区

(出典:台東区「マンション管理計画認定制度」申請手数料)

長期修繕計画が1つのマンションであれば、総額の目安は約24,100円です。5年で1回の支出と考えれば、年あたり5,000円弱。総戸数50戸なら、1戸あたり年100円に届きません。

区の手数料は、申請受付が完了した後、区の担当者から申請ご担当者(原則メール)へ連絡が入り、その後に納付書が送付されます。金融機関または台東区役所1階のみずほ銀行派出所(午後3時まで/ATMでは納付不可)での納付が必要です。ATMで払おうとして受け付けられなかった、という管理組合が実際にありました。銀行の窓口業務時間に、通帳を持って窓口で払う——このひと手間を段取りに入れておいてください。

なお、手数料の入金後に金融機関から渡される「領収証書」のコピーをメール等で区の担当者へ提出すると、入金確認の時間が短縮されます。区としては入金の消し込みを待たずに審査に入れるからです。

変更認定の手数料

認定を受けた管理計画を変更する場合の手数料は、変更する項目ごとに分かれています。

変更する項目 基本手数料 加算手数料
管理組合の運営 4,800円 2,600円
管理規約 4,000円 2,600円
管理組合の経理 4,600円 2,800円
長期修繕計画の作成及び見直し等 9,800円 5,200円
その他 2,900円 1,700円
上記以外の事項の変更 2,000円 900円

長期修繕計画の変更だけが9,800円と、他の項目の2倍以上に設定されています。審査の重さがそのまま金額に出ている、ということだと私は理解しています。軽微な変更に該当する場合は変更申請そのものが不要で、その線引きは区の「軽微な変更に該当する項目」表にまとめられています。

なお、変更認定申請では、管理計画認定手続支援サービス(事前確認)及び電子システムは利用できません。変更認定申請書の正本・副本それぞれに変更に係る添付書類を添え、区に直接提出する形になります。ここは当初申請と大きく違うポイントです。

申請の流れ(6ステップ)

  1. 事前確認の依頼。(公財)マンション管理センター、(一社)マンション管理業協会、(一社)日本マンション管理士会連合会などに依頼。方法は4パターンあります。事前確認は通常1〜2か月
  2. 事前確認適合証の発行。基準適合が確認されると、マンション管理センターから電子システムで発行されます
  3. 総会決議。認定申請を行う旨を総会で決議します(事前確認の依頼前でも実施可能ですが、遅くともシステム申請前までに)
  4. システムから台東区へ認定申請。マンション管理センターの「管理計画認定手続支援サービス」から送信
  5. 手数料納付。区からメールで連絡→納付書送付→金融機関またはみずほ銀行派出所で納付。領収証書のコピーを区担当者に提出すると審査開始が早い
  6. 区の審査 → 認定通知書の交付。手数料納入から約2〜3週間で審査開始、審査後に認定通知書を発行・送付。公表に同意した管理組合は、区とマンション管理センターのサイトで「マンション名・所在地・認定コード」が公表されます

(出典:台東区「マンション管理計画認定制度」認定手続きの流れ、(公財)マンション管理センター「管理計画認定手続支援サービス」)

注意点:事前確認適合証が発行されていても、審査の結果、認定基準を満たしていないと区が判断した場合は、不認定になる場合があります。その場合も手数料の返還は行われません。事前確認は「基準への適合を確認する」ものであって、「区の認定を保証する」ものではない、という設計です。事前確認と区の審査で見ているポイントが完全一致しないケースがあり得るということです。

事前確認に関する問い合わせ先も公開されています。(公財)マンション管理センターは03-6261-1274、(一社)マンション管理業協会は03-3500-2721、(一社)日本マンション管理士会連合会は03-5801-2721です。制度そのものの相談は、日本マンション管理士会連合会の「マンション管理計画認定制度 相談ダイヤル」(03-5801-0858/月〜土 10:00〜17:00、祝日・年末年始を除く)が国土交通省のページでも案内されています。

有効期間と更新の注意

認定の有効期間は、認定を受けた日から5年間です。台東区からは有効期間満了に関する通知等は行われませんので、認定を受けた日を管理組合の帳簿にしっかり残しておく必要があります。5年後の更新申請を忘れると、認定は失効します。更新申請の流れと手数料は、当初認定申請と同じです。


認定の3つの経済効果——税・ローン・融資

認定を取ると、お金の面で3つの効果が出てきます。

1)マンション長寿命化促進税制(固定資産税の減額)

管理計画認定マンションが長寿命化に資する大規模修繕工事を行った場合、固定資産税額が減額されます。東京23区の減額割合は2分の1で、減額期間は工事完了年の翌年度分(完了日が1月1日の場合はその年度分)です。1戸当たり100㎡の床面積相当分までが対象です。

主な要件は次のとおりです。

  • 新築された日から20年以上が経過していること
  • 総戸数10戸以上であること
  • 長寿命化工事(外壁塗装等工事、床防水工事、屋根防水工事のすべて)を過去に1度以上行っていること
  • 令和3年9月1日以降に、修繕積立金の額を管理計画の認定基準まで引き上げたこと

(出典:国土交通省「マンション長寿命化促進税制」、東京都主税局「長寿命化に資する大規模修繕工事が行われたマンションに対する固定資産税の減額制度」)

適用期限について、ここは重要な更新があります。この特例措置の現行の適用期間は令和5年4月1日から令和9年3月31日までですが、令和8年度税制改正で5年間の延長(令和8年4月1日〜令和13年3月31日)が示されており、あわせて対象住宅の床面積要件の下限が40㎡(現行50㎡)に緩和される方向です(出典:国土交通省「令和8年度税制改正概要」)。適用を前提に工事計画を立てる場合は、工事完了時点で有効な期限と要件を都税事務所に確認したうえで進めるのが安全です。

申告期限は工事完了日から3か月以内です。東京23区は都が課税主体なので、申告先は物件所在地を管轄する都税事務所になります。ここを区役所に持っていくと、二度手間になります。

2)フラット35の金利引下げ・フラット50の利用

認定マンションを購入する人は、住宅金融支援機構の【フラット35】維持保全型の対象となり、借入金利が当初5年間、年0.25%引き下げられます。また、返済期間が最長50年となる【フラット50】も利用できます(出典:国土交通省「マンション管理計画認定制度」、台東区「マンション管理計画認定制度」)。

台東区は、浅草・上野の観光需要と、都心へのアクセスの良さから、インバウンド需要と中古分譲マンションの投資需要が交錯するエリアです。買い手のローン金利が当初5年間下がるという事実は、販売図面に書ける材料になります。認定マンションは(公財)マンション管理センターの「管理計画認定マンション閲覧サイト」や不動産情報サイトの建物ライブラリーでも公開されるため、管理の質が外から見える状態になります。

3)マンション共用部分リフォーム融資の金利引下げ・すまい・る債の利率上乗せ

管理組合が大規模修繕工事を行う際に使えるマンションすまい・る融資(マンション共用部分リフォーム融資)では、管理計画認定の取得で金利が年0.2%引き下げられます。加えて、認定を取得している場合は返済期間を1年以上35年以内とすることが可能になります(出典:住宅金融支援機構「マンションすまい・る融資(管理組合申込みの場合)」)。

さらに、管理組合向けのマンションすまい・る債についても、認定マンションは利率の上乗せを受けられます。

私はいつも理事長さまに、こうお伝えしています。「認定は、減税のためだけの制度ではありません。借りるときの金利、売るときの評価、そして積立金の健全化——この3つが同時に動く話です」と。


令和9年4月1日から認定基準が見直されます

ここは、令和8年度に申請を検討している管理組合が知っておくべき最重要ポイントです。

令和7年5月30日に公布された「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」(令和7年法律第47号)に基づき、管理計画認定制度の見直しが令和9年4月1日に施行されます。令和8年5月15日の閣議決定で施行期日が確定し、同年5月20日に政令が公布されました(出典:国土交通省 報道発表「マンション管理・再生の円滑化等のための改正法の一部の施行期日を定める政令等を閣議決定」(令和8年5月15日))。

施行される内容は2つです。

  • 管理計画認定制度の見直し(新築時の分譲事業者による認定申請の導入)
  • 管理計画認定マンションの表示制度の創設

これに伴い、令和8年7月31日に省令と告示が公布されています(マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則の一部を改正する省令〈令和8年国土交通省令第70号〉、マンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な方針の一部を改正する告示〈令和8年国土交通省告示第1017号〉。いずれも令和9年4月1日施行)。

実務上の分かれ目は、ここです。

地方公共団体への申請日が令和9年4月1日以降となる場合は、見直し後の認定基準が適用されます。

つまり、申請日が令和9年3月31日までなら現行基準、4月1日以降なら新基準という切り分けです。改正省令の附則で経過措置も設けられています。

なお、台東区マンション管理適正化推進計画については、令和7年11月28日付でマンション管理適正化法の一部改正があり、推進計画本文の引用条文の一部に条ズレが生じている旨が区のホームページに明記されています(「マンション管理適正化法第5条の4」→「第5条の14」への読み替え)。近年、この分野は法令改正が続いており、実務での照合が地味に効いてくる時期です(出典:台東区マンション管理適正化推進計画)。

令和8年9月14日現在から数えると、現行基準での申請期限まで約6か月半。総会決議から事前確認、システム申請まで含めると、決して余裕のあるスケジュールではありません。現行基準で進めたい管理組合は、秋の理事会で議題に乗せる判断が必要になる時期です。


逆算スケジュール——総会決議から認定通知まで

台東区で、令和9年3月31日までに認定申請を完了させたい場合の逆算です。所要期間は私が現場で見てきた実感ベースの目安で、区や事前確認機関の混雑状況によって前後します。

時期の目安 やること 所要の目安
9月〜10月 理事会で議題化。長期修繕計画の作成・見直しが7年以内か、計画期間30年以上・大規模修繕2回以上を満たすかを確認 1〜2か月
10月 台東区住宅課へ事前相談(03-5246-9028)。手続きの粒度と提出書類チェックリストの確認 1〜2週間
10月〜11月 長期修繕計画の見直しと修繕積立金の改定案づくり。標準様式への準拠を確認 1〜2か月
11月〜12月 総会で認定申請の決議。長期修繕計画と修繕積立金額の決議も同時に 招集期間を含めて1〜2か月
12月〜1月 事前確認の依頼。事前確認適合証の取得(通常1〜2か月) 1〜2か月
1月〜2月 システムから台東区へ認定申請→区から連絡→納付書受領→みずほ銀行派出所または金融機関で納付→領収証書コピーを提出 2〜3週間
2月〜3月 区の審査、認定通知書の交付 2〜3週間

一番読めないのは、総会のタイミングです。管理規約で総会の招集時期が決まっている管理組合は、そこが動かせない固定点になります。私の経験上、認定申請でスケジュールが崩れる原因の7割はここです。

臨時総会を開くか、通常総会に間に合わせるか。この判断だけは、9月〜10月のうちに理事会で決めておきたいところです。書類は後から追いつきますが、総会は追いつきません。


台東区特有の論点——下町の三重苦「店舗併用・狭隘道路・外国人区分所有者」

ここからが、私が本業として一番お伝えしたい話です。

台東区の分譲マンションを見ていて、私が気になっている論点は3つあります。

①1階店舗・2階以上住居の「店舗併用型」の総会運営

浅草・上野・浅草橋・鳥越・入谷。台東区の駅前や商店街沿いには、1階が飲食店・雑貨店・小売店で、2階以上が住居というマンションが数多くあります。この場合、区分所有者は住居のオーナーだけでなく、店舗のオーナー・テナントも構成員に含まれることが多く、総会での議決権配分と、店舗側の営業日程との調整が難所になります。

大規模修繕工事の際は、店舗側の売上への影響(足場養生による集客低下・営業時間の一時制限)が理事会と店舗オーナーの間で必ず論点になります。認定申請の段階では、長期修繕計画の見直し決議で店舗オーナーからの反対が出やすい局面があります。「積立金の値上げ案は住居側だけの負担ではなく、店舗側の管理費相当額の見直しとセットで議論する」——この骨組みを事前に固めておかないと、総会は紛糾します。

②狭隘道路と密集市街地の足場問題

浅草・鳥越・谷中の一帯は、江戸〜明治期の街路網がほぼそのまま残っていて、前面道路が幅員4m未満の狭隘道路のマンションが少なくありません。隣地との離隔も取れない立地が多く、足場を全周に組もうとすると、道路占用許可・隣地承諾・仮設計画のハードルが一気に上がります。

さらに台東区は、東京都の「木密地域不燃化10年プロジェクト」や、密集市街地整備の対象エリアを抱えています。周辺の低層住宅が密集していると、足場架設のための隣地立ち入りに時間がかかることもあります。

③外国人区分所有者と総会運営

浅草・上野の観光地立地と、羽田・成田両空港へのアクセスの良さから、台東区の中古分譲マンションは外国人投資家による区分所有・賃貸運用の対象になりやすいエリアです。認定申請の総会決議で、外国人区分所有者への招集通知の到達・議決権行使書の返送・言語対応が、事務局側の負担になります。

この場合、管理規約に書面決議・電磁的方法による決議の条項が入っているかどうかが最初の関門です。国基準の管理規約項目には「災害等の緊急時の対応」「書面交付・電磁的方法による情報提供」があり、これらが規約に明記されていないと、認定申請の前に規約改正の総会を挟む必要が出てきます。国土交通省のマンション標準管理規約(令和7年改正版)を土台に、書面決議・電磁的方法の運用を整えておくと、申請時にも運用時にも効いてきます。

これら3つの論点、そして足場の問題については、ロープアクセス工法(産業用ロープで職人が降下しながら施工する、足場を組まない工法)が効いてきます。足場費そのものが不要になり、工期も短くなります。1階店舗の営業影響も、居住者の生活影響も、窓の外に足場と養生シートが数か月かかり続ける状態を避けられるのは、かなり大きい違いです。

私たちは、通常の足場工法、ロープアクセス工法、そして部位ごとに使い分けるハイブリッド工法の3つから、建物にとって一番合う方法をご提案しています。工法の詳しい解説はロープアクセス工法のご紹介と、ロープアクセス専門サイトのロープアクセス工法の技術解説にまとめています。台東区のような下町立地・狭隘道路・店舗併用型での施工事例や、足場とロープアクセスを組み合わせた場合のコスト比較については、ロープアクセスによる大規模修繕の実際で具体的な数字を交えて整理しています。

会社としての考え方や、管理組合さま向けのサービス体系については明誠のコンセプトと管理組合さま向けサービスのご案内もあわせてご覧ください。


まとめ:台東区の管理組合が今週のうちに動けること3点

長くなりましたので、要点を3つに絞ります。

1)長期修繕計画の「7年」と「30年・2回」を確認する

いま手元にある長期修繕計画は、いつ作成または見直したものでしょうか。7年を超えていれば、認定の入口に立てません。あわせて、計画期間が30年以上あるか、残存期間内に大規模修繕工事が2回以上入っているかを見てください。この3つのチェックは、理事会の議題として5分で終わります。

2)台東区住宅課へ事前相談(03-5246-9028)

台東区は区独自基準がなく、区が公開している提出書類チェックリスト(Excel)とその記入例(PDF)が便利です。事前確認のシステムにアップロードするファイルは1ファイルあたり9MB以内という制約もあります。事前相談で運用のクセを把握してから、事前確認の依頼をかけるとブレが減ります。

3)「マンション管理組合登録制度」への登録も同時に検討する

台東区には、認定制度とは別に「マンション管理組合登録制度」があります。登録すると、区の助成制度(マンション計画修繕調査費助成、マンション共用部分バリアフリー化支援助成、マンションアドバイザー利用助成、マンション耐震化助成など)を利用できるようになります。認定申請の準備を進めるついでに、この登録もあわせて行っておくと、次の大規模修繕の段階で使える手数が増えます(出典:台東区「マンション管理計画認定制度」)。

そして、もし次の大規模修繕が3年以内に視野に入っているなら、認定の準備と修繕の仕様検討は同時に進めたほうが得です。台東区のように狭隘道路・店舗併用・密集地という条件が重なるエリアでは、工法の選択肢を3つ持てるかどうかで、見積書の総額が数百万円単位で変わることも珍しくありません。

工法の選択肢が1つしかない会社に相談すると、その1つの工法での見積しか出てきません。3つの工法を比べたうえで判断したいという段階のご相談だけでも、遠慮なくお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。お問い合わせはお問合せフォームから承っています。


出典・参考資料


本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月14日時点で公表されている台東区および国土交通省・東京都の公式情報をもとに執筆しています。台東区の制度案内ページは2026年2月20日更新(ちらしは令和7年10月28日更新)で運用中ですが、手数料・様式・令和9年4月1日施行の新基準の扱いについては、実際の申請前に必ず最新の運用をご確認ください。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。台東区住宅課マンション施策担当(03-5246-9028)および該当窓口へ最新の内容をご確認のうえ、ご検討をお願いいたします。


株式会社明誠は、東京都東大和市を拠点に、マンション・ビル・ホテルの大規模修繕工事を手がけています。通常の足場工法、無足場のロープアクセス工法、両者を組み合わせたハイブリッド工法の3つから、建物の条件に合わせた工法をご提案します。

ロープアクセス工法の詳細は、専門サイト https://rope-access-method.com/ をご覧ください。

【令和8年度版】文京区のマンション管理計画認定制度|区手数料無料・防災+コミュニティの独自上乗せ基準の全手順

【令和8年度版】文京区のマンション管理計画認定制度|区手数料無料・防災+コミュニティの独自上乗せ基準の全手順

2026年9月14日 更新

「うちのマンションは白山にあるんですが、区の独自基準が令和7年4月から追加されたと聞きました。実際、何が求められるのでしょうか」——先週、文京区の理事長さまから、そうご相談をいただきました。

私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。東京都東大和市を拠点に、20年近くマンション・ビル・ホテルの外壁と向き合ってきました。足場を組む工事も、ロープ1本でぶら下がる無足場の工事も、どちらも自分の手でやってきた人間です。

結論から申し上げると、その理事長さまが耳にした話は正確です。文京区の管理計画認定は、令和7年4月以降、国の基準にプラスして「防災対策」と「地域コミュニティ」という2つの区独自の上乗せ基準が課される仕組みになっています。

今日お話しするのは、文京区にあるマンションが管理計画認定を取ると何が変わり、いくらかかり、区独自基準にどう対応すればいいのかという一点に絞ります。


結論:文京区で認定を取ると何が変わり、いくらかかるか

先に全体像を表でお示しします。

論点 文京区での答え
認定の主体 文京区(マンション管理適正化推進計画を策定済みの特別区)
窓口 文京区都市計画部住環境課管理担当(文京シビックセンター18階北側)/電話 03-5803-1374
制度運用開始 令和5年7月
事前相談 推奨。区独自基準について事前相談をお願い(来庁時は事前連絡)
マンション管理センター経由 使います。「事前確認適合証」を取得してシステムから申請
独自基準 あり(令和7年4月から)。防災対策5項目のうち1つ以上+地域コミュニティ2項目のうち1つ以上、両方必要
区への申請手数料 無料
別途必要な費用 システム使用料10,000円+事前確認審査料(おおむね10,000円程度)
手数料の総額目安 約20,000円(区への手数料はゼロ)
認定までの期間 区の審査は概ね1か月(不備がない場合)
有効期間 5年間(5年ごとの更新認定)
主な経済効果 長寿命化促進税制、フラット35の金利引下げ、共用部分リフォーム融資の金利引下げ、すまい・る債の利率上乗せ

(出典:文京区「マンション管理計画認定制度」、国土交通省「マンション管理計画認定制度」)

文京区の一番の特徴は、区への申請手数料が無料であることです。他区では基本手数料4,000〜5,000円程度がかかりますが、文京区はここをゼロにしています。ただしその代わりに、区独自の上乗せ基準を全国でも早期に導入した区でもあります。手数料は削って、基準の内容で管理の質を担保しにいっている——そういう設計だと私は理解しています。

なお、文京区のこの制度案内ページの更新日は2026年(令和8年)4月2日です。令和8年9月時点でおおむね半年前の更新ですので、条件は現行に近いものと考えられます。ただ、詳細部分は申請前に住環境課へ電話で確認いただくのが安全です。


認定主体はどこか——文京区は「区が認定する」

管理計画認定制度の認定主体は、マンション管理適正化法に基づく「マンション管理適正化推進計画」を策定した市・特別区です。市以外の町村部は都道府県が担います(出典:国土交通省「マンション管理計画認定制度」)。

文京区は特別区で、推進計画を策定済みです。つまり文京区が認定主体です。東京都に申請するものではありません。

私はこの点を取り違えている理事会に、これまで何度も出会いました。「東京都の窓口に電話したら区へ、と言われて、区に電話したら都では、と言われて、たらい回しになってしまった」という管理組合が、実際にありました。文京区のマンションについては、窓口は文京シビックセンター18階北側の住環境課管理担当、電話は03-5803-1374です(出典:文京区「マンション管理計画認定制度」)。

なお、固定資産税の減額措置(後述の長寿命化促進税制)だけは話が別です。東京23区の固定資産税は東京都が課税するため、申告先は物件所在地を管轄する都税事務所になります。文京区内のマンションであれば文京都税事務所(固定資産税)電話:03-3812-3469が窓口です。認定は区、減税の申告は都。この二本立てを最初に頭に入れておくと、後で慌てません。


国が定める必須基準——16項目が土台

文京区の認定基準は、まず国の16項目を土台にしています(出典:国土交通省「マンション管理計画認定基準」、文京区「マンション管理計画の認定基準」)。

1)管理組合の運営

  • 管理者等(理事長など)が定められていること
  • 監事が選任されていること
  • 集会(総会)が年に1回以上開催されていること

2)管理規約

  • 管理規約が作成されていること
  • 災害などの緊急時や管理上必要なときの専有部への立ち入り、修繕などの履歴情報の管理について定められていること
  • 管理組合の財務・管理に関する情報の書面交付(または電磁的方法による提供)について定められていること

3)管理組合の経理

  • 管理費と修繕積立金などを明確に区分して経理していること
  • 修繕積立金会計から他の会計への充当がされていないこと
  • 直前の事業年度末時点で、修繕積立金の3か月以上の滞納額が全体の1割以内であること

4)長期修繕計画の作成及び見直し等

  • 長期修繕計画が「長期修繕計画標準様式」に準拠して作成され、計画内容と修繕積立金額が総会で決議されていること
  • 長期修繕計画の作成または見直しが7年以内に行われていること
  • 計画期間が30年以上で、かつ残存期間内に大規模修繕工事が2回以上含まれていること
  • 将来の一時的な修繕積立金の徴収を予定していないこと
  • 計画期間全体での修繕積立金の総額から算定された平均額が著しく低額でないこと
  • 計画期間の最終年度において、借入金の残高のない計画となっていること

5)その他

  • 組合員名簿・居住者名簿を備え、年1回以上は内容の確認を行っていること
  • (区の指針に照らして適切なものであること)

私の経験上、ここでつまずくマンションの大半は4)の長期修繕計画です。特に「一時金徴収を前提にしていないこと」と「最終年度に借入金残高がないこと」の2つ。この2条件は、修繕積立金の水準そのものに踏み込む要件です。積立金を上げずに認定は取れない、という設計になっています。逆に言えば、認定の準備がそのまま積立金不足の是正になる、ということでもあります。

文京区は、都心3区ほどではないにせよ、山の手台地に旧耐震分譲マンションが点在するエリアです。白山、千駄木、本駒込、根津。1970年代〜80年代に建てられた中層マンションで、いま修繕積立金が段階的引き上げの初期水準のまま止まっている——というケースが、私の見てきた限りかなりの数あります。認定申請を機に、積立金の水準を国の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」に合わせにいく判断が必要になる管理組合が多いはずです。


文京区独自の上乗せ基準——「防災対策」と「地域コミュニティ」

ここからが文京区の本題です。

令和7年4月から、国の16項目に加えて、次の2カテゴリの独自基準が上乗せされました。両方を満たさないと認定は取れません(出典:文京区「区独自基準の審査に必要な書類」)。

5)防災対策——5項目のうち1つ以上

次のうち、申請時点でいずれか1つ以上をマンションで実施していること。

項目 内容
① 防災マニュアル 防災マニュアルを作成し、居住者等への周知徹底を図るよう努めていること
② 防災訓練 年1回以上の定期的な防災訓練を実施していること
③ 防災用品の備蓄 飲料水、食料、簡易トイレなどの防災用品を備蓄していること
④ 自発的な活動組織 災害に対して平常時や災害時に自発的な活動を行う組織を結成していること
⑤ 情報の収集・周知 ハザードマップその他の防災・災害対策に関する情報の収集・周知をしていること

確認書類:文京区独自基準に係る申出書に加え、防災マニュアルの写し(配付事実が分かる書類とセット)、訓練の実施が分かる書類(実施日時・参加者・実施内容が明記されたもの/申請日から1年以内)、備蓄品リスト、組織の活動報告書、マンション広報など。

6)地域コミュニティ——2項目のうち1つ以上

次のうち、申請時点でいずれか1つ以上をマンションで実施していること。

項目 内容
① 町会・自治会との連絡担当者 管理組合が、地域住民との良好なコミュニティの形成に取り組むため、町会や自治会との連絡担当者を選任していること
② 緊急時連絡先の表示 管理人をはじめ、緊急時の連絡先等について、来訪者の見やすい場所に表示をすること

確認書類:連絡担当者の氏名・役職が分かる書類、または管理人の駐在時間・管理会社名・その連絡先など管理体制に関する表示が分かる書類(写真等)。

この2つを初めて読んだとき、私は正直、少しほっとしました。すでに満たしているマンションが、文京区にはかなりあるはずだと思ったからです。

たとえば防災対策のうち③備蓄。地震対策として飲料水と携帯トイレを共用倉庫に置いてある、というマンションは珍しくありません。町会・自治会との連絡担当者も、規約上は理事長が兼務している管理組合が多いのですが、その事実を「担当者一覧」の紙1枚に落とせば要件に届きます。緊急時連絡先の表示も、エントランスに管理会社の掲示板があれば、写真1枚で証拠になります。

つまり文京区の独自基準は、新しく何かを始めないと取れないものではなく、すでにやっていることを書類に落とせば取れる可能性があるものです。ここに気づくかどうかで、理事会の心理的ハードルが大きく変わります。


手数料と申請ルート——文京区は「区への手数料ゼロ+独自基準の書類提出」

文京区の申請は、他区と比べて費用が軽いのが最大の特徴です。区への申請手数料が無料なので、必要になるのはマンション管理センターまわりの費用だけです。

手数料の内訳

内容 費用 支払先
システム使用料 10,000円 (公財)マンション管理センター
事前確認審査料 おおむね10,000円程度(依頼先により異なる) 依頼先
区の申請手数料 無料 —

(出典:文京区「マンション管理計画認定制度」、(公財)マンション管理センター「管理計画認定手続支援サービス」)

総額の目安は約20,000円。5年で1回の支出と考えれば、年あたり4,000円。総戸数40戸のマンションなら、1戸あたり年100円です。制度による経済効果(減税・金利引下げ)に比べれば、限りなくゼロに近いコストと言えます。

申請の流れ(4ステップ)

文京区の申請フローは、区が公開している手引きでは4ステップに整理されています。

  1. 文京区へ事前相談(03-5803-1374)。区独自基準について事前に相談。来庁される場合は事前に電話連絡を。認定申請にあたっては総会での決議が必要です
  2. 事前確認の依頼。(公財)マンション管理センターの「管理計画認定手続支援サービス」を利用。4パターンあります(マンション管理士に直接/管理委託先経由でマンション管理業協会/日本マンション管理士会連合会/マンション管理センターに直接)
  3. 事前確認適合証の発行。基準適合が確認されると、マンション管理センターから発行されます
  4. 文京区へ管理計画認定申請。(1)「事前確認適合証」取得後、マンション管理センターのシステムで区に認定申請、(2)区に、区独自基準の審査に必要な書類を提出(電子申請・郵送・窓口のいずれか)

(出典:文京区「マンション管理計画認定申請の手引き」)

(2)の区独自基準の書類提出をシステムだけで終わらせようとして、抜け落ちる管理組合が出てきます。区は電子申請(LoGoフォーム)、郵送、窓口の3つの提出方法を用意しています。電子申請の窓口は「文京区独自基準に係る申出書」のLoGoフォームです。郵送・窓口の場合は「文京区独自基準に係る申出書」に必要書類を添付して、〒112-8555 文京区春日1-16-21 文京シビックセンター18階北側 都市計画部住環境課へ提出します。

注意点:区での認定までは、申請内容の確認から認定まで概ね1か月(不備等がない場合)です。事前確認の1〜2か月と合わせて、事前確認の依頼から認定通知まで3か月前後を見ておくと安全です。

なお、事前確認の問い合わせ先は、(公財)マンション管理センターが03-6261-1274(平日9:30〜17:00)、(一社)マンション管理業協会が03-3500-2721、(一社)日本マンション管理士会連合会が03-5801-2721です。制度そのものの相談は、日本マンション管理士会連合会の「マンション管理計画認定制度 相談ダイヤル」(03-5801-0858/月〜土 10:00〜17:00、祝日・年末年始を除く)が国土交通省のページでも案内されています。

経過措置

令和7年3月31日までに事前確認申請をした管理組合については経過措置が設けられています(出典:文京区「マンション管理計画認定制度」)。これから初めて申請する管理組合は、原則として令和7年4月からの新しい独自基準(防災+コミュニティ)で申請していく形になります。


認定の3つの経済効果——税・ローン・融資

認定を取ると、お金の面で3つの効果が出てきます。

1)マンション長寿命化促進税制(固定資産税の減額)

管理計画認定マンションが長寿命化に資する大規模修繕工事を行った場合、固定資産税額が減額されます。東京23区の減額割合は2分の1で、減額期間は工事完了年の翌年度分(完了日が1月1日の場合はその年度分)です。1戸当たり100㎡の床面積相当分までが対象です。

主な要件は次のとおりです。

  • 新築された日から20年以上が経過していること
  • 総戸数10戸以上であること
  • 長寿命化工事(外壁塗装等工事、床防水工事、屋根防水工事のすべて)を過去に1度以上行っていること
  • 令和3年9月1日以降に、修繕積立金の額を管理計画の認定基準まで引き上げたこと

(出典:国土交通省「マンション長寿命化促進税制」、東京都主税局「長寿命化に資する大規模修繕工事が行われたマンションに対する固定資産税の減額制度」)

適用期限について、ここは重要な更新があります。この特例措置の現行の適用期間は令和5年4月1日から令和9年3月31日までですが、令和8年度税制改正で5年間の延長(令和8年4月1日〜令和13年3月31日)が示されており、あわせて対象住宅の床面積要件の下限が40㎡(現行50㎡)に緩和される方向です(出典:国土交通省「令和8年度税制改正概要」)。適用を前提に工事計画を立てる場合は、工事完了時点で有効な期限と要件を都税事務所に確認したうえで進めるのが安全です。

申告期限は工事完了日から3か月以内、申告先は文京都税事務所(03-3812-3469)です。ここを区役所に持っていくと、二度手間になります。

2)フラット35の金利引下げ・フラット50の利用

認定マンションを購入する人は、住宅金融支援機構の【フラット35】維持保全型の対象となり、借入金利が当初5年間、年0.25%引き下げられます。また、返済期間が最長50年となる【フラット50】も利用できます(出典:国土交通省「マンション管理計画認定制度」、文京区「マンション管理計画認定制度」)。

文京区は、東京大学をはじめとする大学の集積、区内2駅の医療機関、教育環境の良さから、中古マンションの流通単価が23区の中でも高めに推移するエリアです。買い手のローン金利が当初5年間下がるという事実は、販売図面に書ける材料になります。認定マンションは(公財)マンション管理センターの「管理計画認定マンション閲覧サイト」や不動産情報サイトの建物ライブラリーでも公開されるため、管理の質が外から見える状態になります。

3)マンション共用部分リフォーム融資の金利引下げ・すまい・る債の利率上乗せ

管理組合が大規模修繕工事を行う際に使えるマンションすまい・る融資(マンション共用部分リフォーム融資)では、管理計画認定の取得で金利が年0.2%引き下げられます。加えて、認定を取得している場合は返済期間を1年以上35年以内とすることが可能になります(出典:住宅金融支援機構「マンションすまい・る融資(管理組合申込みの場合)」)。

さらに、管理組合向けのマンションすまい・る債についても、認定マンションは利率の上乗せを受けられます。

私はいつも理事長さまに、こうお伝えしています。「認定は、減税のためだけの制度ではありません。借りるときの金利、売るときの評価、そして積立金の健全化——この3つが同時に動く話です」と。


令和9年4月1日から認定基準が見直されます

ここは、令和8年度に申請を検討している管理組合が知っておくべき最重要ポイントです。

令和7年5月30日に公布された「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」(令和7年法律第47号)に基づき、管理計画認定制度の見直しが令和9年4月1日に施行されます。令和8年5月15日の閣議決定で施行期日が確定し、同年5月20日に政令が公布されました(出典:国土交通省 報道発表「マンション管理・再生の円滑化等のための改正法の一部の施行期日を定める政令等を閣議決定」(令和8年5月15日))。

施行される内容は2つです。

  • 管理計画認定制度の見直し(新築時の分譲事業者による認定申請の導入)
  • 管理計画認定マンションの表示制度の創設

これに伴い、令和8年7月31日に省令と告示が公布されています(マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則及び長期優良住宅の普及の促進に関する法律施行規則の一部を改正する省令〈令和8年国土交通省令第70号〉、マンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な方針の一部を改正する告示〈令和8年国土交通省告示第1017号〉。いずれも令和9年4月1日施行)。

実務上の分かれ目は、ここです。

地方公共団体への申請日が令和9年4月1日以降となる場合は、見直し後の認定基準が適用されます。

つまり、申請日が令和9年3月31日までなら現行基準、4月1日以降なら新基準という切り分けです。改正省令の附則で経過措置も設けられています。

令和8年9月14日現在から数えると、現行基準での申請期限まで約6か月半。総会決議から事前確認、システム申請まで含めると、決して余裕のあるスケジュールではありません。現行基準(かつ令和7年4月からの区独自基準)で進めたい管理組合は、秋の理事会で議題に乗せる判断が必要になる時期です。

文京区の場合、区独自基準の運用は令和7年4月から始まって1年半が経過しています。区の窓口も運用に慣れてきており、この時期に事前相談をかけると相談内容の整理が進みやすい局面にあると私は見ています。


逆算スケジュール——総会決議から認定通知まで

文京区で、令和9年3月31日までに認定申請を完了させたい場合の逆算です。所要期間は私が現場で見てきた実感ベースの目安で、区や事前確認機関の混雑状況によって前後します。

時期の目安 やること 所要の目安
9月〜10月 理事会で議題化。長期修繕計画の作成・見直しが7年以内か、計画期間30年以上・大規模修繕2回以上を満たすかを確認。防災・コミュニティの独自基準の該当項目を洗い出す 1〜2か月
10月 文京区住環境課へ事前相談(03-5803-1374)。区独自基準の該当項目と証拠書類の目線合わせ 2〜4週間
10月〜11月 長期修繕計画の見直しと修繕積立金の改定案づくり。標準様式への準拠を確認 1〜2か月
11月〜12月 総会で認定申請の決議。長期修繕計画と修繕積立金額の決議も同時に 招集期間を含めて1〜2か月
12月〜1月 事前確認の依頼。事前確認適合証の取得 1〜2か月
1月〜2月 システムから文京区へ認定申請+区独自基準の書類提出(電子申請・郵送・窓口いずれか) 2週間〜1か月
2月〜3月 区の審査、認定通知書の交付 概ね1か月

一番読めないのは、総会のタイミングです。管理規約で総会の招集時期が決まっている管理組合は、そこが動かせない固定点になります。私の経験上、認定申請でスケジュールが崩れる原因の7割はここです。

臨時総会を開くか、通常総会に間に合わせるか。この判断だけは、9月〜10月のうちに理事会で決めておきたいところです。書類は後から追いつきますが、総会は追いつきません。


文京区特有の論点——旧耐震・大学立地・狭い前面道路

ここからが、私が本業として一番お伝えしたい話です。

文京区の分譲マンションを見ていて、私が気になっている論点は3つあります。

①旧耐震比率が23区平均より高い

文京区は関東大震災後の住宅地整備が早かった土地柄で、坂の上下に古い分譲マンションが点在しています。昭和56年5月31日以前に建築確認を受けたマンション(旧耐震)については、認定申請にあたって耐震診断の実施と、耐震性不足の場合の耐震改修・建替え検討が国の基準に含まれています。旧耐震マンションは、この検討状況の書類化が最初の関門になります。

文京区にはマンション耐震改修工事に係る助成制度もあり、認定申請の準備と並行して耐震関連の補助制度も見ておく価値があります。詳しくは区のマンション劣化診断調査費助成やマンション共用部分改修費助成のページで確認してください。

②大学立地ゆえの「賃貸化した区分所有者」問題

文京区は東京大学、お茶の水女子大学、日本女子大学、東京医科歯科大学、順天堂大学など、大学と付属病院の集積地です。この立地のよさゆえに、元居住者が卒業や退職を機に賃貸に出して、区分所有者が学生・研修医などの若い賃借人に貸しているというマンションが多く見られます。

これが認定申請にどう効いてくるかというと、総会の定足数と、居住者名簿の整備の2点です。区分所有者が遠方にいる場合、書面決議や委任状の運用が必要になります。名簿は、区分所有者名簿と居住者名簿の2本立てを、年1回以上更新している必要があります。ここは国基準の「その他」項目に該当します。

③狭隘道路と隣接建物の近接

小石川、白山、千駄木、根津。この一帯は、幕末から明治にかけての街路網がほぼそのまま残っていて、前面道路が幅員4m未満の狭隘道路のマンションが少なくありません。隣地との離隔も取れない立地が多く、足場を全周に組もうとすると、道路占用許可・隣地承諾・仮設計画のハードルが一気に上がります。

こういう建物では、ロープアクセス工法(産業用ロープで職人が降下しながら施工する、足場を組まない工法)が効いてきます。足場費そのものが不要になり、工期も短くなります。居住者の生活への影響という点でも、窓の外に足場と養生シートが数か月かかり続ける状態を避けられるのは、かなり大きい違いです。

私たちは、通常の足場工法、ロープアクセス工法、そして部位ごとに使い分けるハイブリッド工法の3つから、建物にとって一番合う方法をご提案しています。工法の詳しい解説はロープアクセス工法のご紹介と、ロープアクセス専門サイトのロープアクセス工法の技術解説にまとめています。文京区のように狭隘道路が多く、大学・病院・学校が近接する立地での施工事例や、足場とロープアクセスを組み合わせた場合のコスト比較については、ロープアクセスによる大規模修繕の実際で具体的な数字を交えて整理しています。

会社としての考え方や、管理組合さま向けのサービス体系については明誠のコンセプトと管理組合さま向けサービスのご案内もあわせてご覧ください。


まとめ:文京区の管理組合が今週のうちに動けること3点

長くなりましたので、要点を3つに絞ります。

1)長期修繕計画の「7年」と「30年・2回」を確認する

いま手元にある長期修繕計画は、いつ作成または見直したものでしょうか。7年を超えていれば、認定の入口に立てません。あわせて、計画期間が30年以上あるか、残存期間内に大規模修繕工事が2回以上入っているかを見てください。この3つのチェックは、理事会の議題として5分で終わります。

2)区独自基準の「防災+コミュニティ」の該当項目を棚卸しする

防災用品を備蓄している。年1回の防災訓練をやっている。町会・自治会の連絡担当者を理事から出している。エントランスに管理会社の連絡先を掲示している。——このどれかに心当たりがあれば、独自基準は手が届く範囲にあります。証拠書類は既存の掲示物や広報の写真、備蓄品リスト1枚で足ります。新しい取組を始める話ではなく、いまやっていることを書類にする話です。

3)文京区住環境課へ事前相談する(03-5803-1374)

文京区は「区独自基準について、事前に区に相談をお願いします」と明記しています。来庁される場合は事前連絡が必要です。このとき、「令和9年4月1日以降の申請の扱い」と「独自基準の証拠書類の粒度」もあわせて確認しておくと、後戻りがなくなります。区への手数料は無料ですので、事前相談も気軽にかけられる制度設計です。

そして、もし次の大規模修繕が3年以内に視野に入っているなら、認定の準備と修繕の仕様検討は同時に進めたほうが得です。文京区のように旧耐震・狭隘道路・大学立地という条件が重なるエリアでは、工法の選択肢を3つ持てるかどうかで、見積書の総額が数百万円単位で変わることも珍しくありません。

工法の選択肢が1つしかない会社に相談すると、その1つの工法での見積しか出てきません。3つの工法を比べたうえで判断したいという段階のご相談だけでも、遠慮なくお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。お問い合わせはお問合せフォームから承っています。


出典・参考資料


本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月14日時点で公表されている文京区および国土交通省・東京都の公式情報をもとに執筆しています。文京区の制度案内ページは2026年4月2日更新で運用中ですが、手数料・様式・区独自基準の運用、および令和9年4月1日施行の新基準の扱いについては、実際の申請前に必ず最新の運用をご確認ください。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。文京区都市計画部住環境課管理担当(03-5803-1374)および該当窓口へ最新の内容をご確認のうえ、ご検討をお願いいたします。


株式会社明誠は、東京都東大和市を拠点に、マンション・ビル・ホテルの大規模修繕工事を手がけています。通常の足場工法、無足場のロープアクセス工法、両者を組み合わせたハイブリッド工法の3つから、建物の条件に合わせた工法をご提案します。

ロープアクセス工法の詳細は、専門サイト https://rope-access-method.com/ をご覧ください。

【令和8年度版】台東区の12条点検・外壁打診調査|浅草・上野の商業ビルと下町密集地

【令和8年度版】台東区の12条点検・外壁打診調査|浅草・上野の商業ビルと下町密集地

台東区のマンション・商業ビル・ホテルで、12条点検(建築基準法第12条第1項の定期調査報告)の対象になるのはどの建物で、外壁の全面打診はいつ必要になるのか。この記事では、その1点に絞ってお答えします。

株式会社明誠の本間です。東京都東大和市を拠点に、20年近く外壁と防水の現場をやってきました。台東区は、私たちが「調査計画を立てるのに一番アタマを使うエリア」と話す場所です。浅草・上野の観光商業ビル、御徒町の混構造の古い共同住宅、谷中・根岸の狭隘道路と木造密集地域、蔵前・浅草橋の中小オフィスビル。同じ区内でも建物の性格と道路条件がまったく違うので、12条点検の当たり方も変わります。

正直に申し上げます。台東区は前面道路が4mを切る狭隘道路が多く、隣地との離隔もほとんど取れない物件が全国屈指の多さです。12条点検は「報告書を出して終わり」の手続きと思われがちですが、全面打診の10年周期が大規模修繕の周期とほぼ重なる。ここを意識して段取りを組めるかどうかで、オーナーさまや管理組合が負担する総額は大きく変わります。


結論:台東区で12条点検の対象になる建物と、打診が必要になるタイミング

先に結論からお伝えします。

論点 台東区での答え
対象建築物 共同住宅、ホテル、旅館、百貨店、飲食店、遊技場など不特定多数が利用する「特定建築物」(用途・規模は東京都都市整備局の対象建築物一覧表で確定)
報告周期 用途と規模により毎年または3年ごと
報告時期 東京都の運用では報告年度の5月1日〜10月31日
外壁の全面打診 竣工または外壁改修から10年を超えたあと、最初の定期調査のタイミングで実施
令和8年度に報告する場合 平成28年4月1日以降に打診等を実施していることが前提。未実施なら要是正の指摘対象
提出先 公益財団法人 東京都防災・建築まちづくりセンター(特定建築物・防火設備)
所管行政庁 原則は台東区。ただし敷地内に延べ面積1万㎡超の建築物がある場合は東京都所管

台東区の商業地・下町エリアで特に多いご相談は、外国人観光客や不特定多数が入るホテル・旅館・雑居ビルの扱いです。用途に飲食店・物販店・宿泊施設が混在する「混構造・混用途」の物件は、階数や規模の閾値でパチンと対象に入ります。判定は思っているより広い、と覚えておいたほうが安全です。

詳細は台東区の建築基準法による建築物等の定期報告制度についてと、東京都都市整備局の定期報告対象建築物・建築設備等及び報告時期一覧をご確認ください。


建築基準法第12条とは何か(1項報告と定期検査の違い)

まず用語の整理からいきます。ここは毎回、理事会や個人オーナーさまにご説明する部分です。

建築基準法第12条は、建物の安全を所有者・管理者の責任で確かめ、その結果を特定行政庁(=建築行政を担当する自治体。台東区の場合は原則として台東区)に報告させる規定です。世の中で「12条点検」と呼ばれているものは、実務上は4種類に分かれます。

区分 対象 周期 台東区での提出先
特定建築物定期調査(12条1項) 敷地・構造・外部・内部・防火避難 毎年または3年ごと 東京都防災・建築まちづくりセンター
防火設備定期検査(12条3項) 防火扉・防火シャッター等 毎年 同上
建築設備定期検査(12条3項) 換気・排煙・非常照明・給排水 毎年 日本建築設備・昇降機センター
昇降機等定期検査(12条3項) エレベーター・エスカレーター等 昇降機は毎年 東京都昇降機安全協議会

外壁の打診調査が入ってくるのは、この一番上の特定建築物定期調査です。調査は一級建築士、二級建築士、または特定建築物調査員の資格者が行います。

共同住宅は「3年ごと」が基本

台東区のマンションで多いのは3年周期の区分です。東京都は報告年度をあらかじめ定めており、たとえば令和6年度が報告年次だった共同住宅は、次が令和9年度になります。

新築直後には「初回免除」という仕組みもあります。検査済証の交付を受けた日の属する年度の翌年度以降、2回目の報告時期から報告が必要になる、という扱いです。令和5年度中に検査済証が交付された共同住宅なら、令和6年度の報告は免除され、令和9年度(令和9年5月1日〜10月31日)から報告が必要になります。

私はいつも理事長さまや個人オーナーさまに、「検査済証の日付を先に確認してください」とお伝えしています。ここが分かれば、次の報告年度と全面打診の時期が同時に見えてくるからです。

なお建築設備と昇降機は扱いが違い、検査済証交付日の翌日から起算して2年を経過する日までに初回報告が必要です。特定建築物の初回免除と混同されやすい部分なので、ご注意ください。


全面打診が必要になる4つのトリガー

ここからが本題です。外壁の打診には2段階あります。

① 通常の打診(手の届く範囲)
外壁の外装仕上げ材(タイル、石張り、モルタルなど)について、手の届く範囲を打診棒などで叩いて確認する調査。これはおおむね6か月〜3年ごとの定期調査ごとに行います。

② 全面打診等
落下すれば歩行者等に危害を与えるおそれのある部分について、全面を打診する調査。こちらが10年周期です。

平成20年4月1日施行の国土交通省告示第282号(平成20年国土交通省告示第282号)で、この調査項目・調査方法・判定基準が明確化されました(出典:国土交通省「建築基準法に基づく定期報告制度について」)。

全面打診等が発動するトリガーは、実務上おおむね次の4つです。

  1. 竣工から10年を超えたあと、最初の定期調査のタイミング
  2. 外壁改修(タイル張替え等)から10年を超えたあと、最初の定期調査のタイミング
  3. 通常の調査で要是正(剥離・浮き・ひび割れ等)と判定された場合
  4. 落下事故が発生した、または落下のおそれが具体的に認められた場合

そして東京都の運用では、令和8年度に報告する建物で全面打診等が必要な外装材がある場合、平成28年4月1日以降に打診等を実施している必要があります。実施していなければ要是正の扱いになります。ここは年度がずれると要件もずれるので、公式の最新情報で確認してください。

赤外線・ドローンという選択肢も認められている

令和4年1月18日に告示第282号が一部改正され、無人航空機(ドローン)による赤外線調査が、テストハンマーによる打診と同等以上の精度を有する場合の代替調査方法として位置づけられました。有機系接着剤張り工法のタイルについては、引張接着試験による方法も認められています(出典:国土交通省「定期報告制度における外壁のタイル等の調査について」)。

ただし、台東区の場合はドローン運用そのものが難しい立地が多い。浅草寺周辺、上野公園周辺、隅田川花火の関係空域、成田・羽田の航空管制、木造密集地の火災リスク。飛ばせる空域を確保するだけで、事前調整に時間がかかります。打診と赤外線を組み合わせ、地上や隣接ビル屋上からの限定的な赤外線撮影で当たりをつけて、打診で確定させる。私はこの形を推しています。


台東区固有の運用で押さえるべき3点

① 前面道路が狭く、足場・高所作業車が入れない物件が全国屈指に多い

台東区の特定建築物・防火設備の担当窓口は、まちづくり推進部建築課監察担当(電話03-5246-1340)です。

一方で、敷地内に延べ面積が1万㎡を超える建築物がある場合、その敷地内の建築物はすべて東京都の所管になります。この場合の窓口は東京都都市整備局市街地建築部建築企画課(直通03-5388-3344)です。台東区は駅前商業ビルや大型ホテルなど、1万㎡超が絡む物件もあります。

そして台東区の実務で最も効いてくるのが、前面道路の幅員です。谷中・根岸・下谷の路地、蔵前・浅草橋の裏通り、上野の飲食店密集エリア。前面道路が4m前後だと、足場材の搬入トラックが入らない、高所作業車が展開できない、道路使用許可の条件が厳しい、といった制約が同時に来ます。区の建築課監察担当だけでなく、警察署の交通課と管轄消防署への事前調整も欠かせません。

② 混構造・混用途の古い共同住宅が多く、外装材の判定が難しい

御徒町・鳥越・浅草橋の1970〜80年代築の共同住宅は、下階が店舗(RC造)、上階が住宅(ALC・軽量鉄骨)という混構造がよくあります。増築を重ねているケースも多く、外装材が面ごとにモルタル・タイル・サイディング・トタンと混在する。

こうなると、打診音の判定は経験値がものを言います。若手の調査員だと「これは要是正」と広めに拾いがちですが、実際は下地の材質が変わっているだけ、というケースが少なくありません。混構造・混用途の建物は、経験のある調査者に見てもらう。これが台東区での鉄則です。

③ 台東区は計画修繕調査費助成とアドバイザー派遣が使える

台東区にはマンション計画修繕調査費助成があり、大規模修繕の計画的な実施や長期修繕計画作成のための共用部分・給排水管の調査が対象です。12条点検そのものへの助成ではありませんが、全面打診のタイミングと合わせて設計すると効率がよい制度です。

項目 内容
補助率 調査費の1/3(住宅専用面積割合または住戸数割合で按分)
対象調査 共用部分の建物(配線等電気関係を含む)および給排水管の調査
主な要件 管理規約が整備され管理組合が適正に運営されている/総会決議済/過去10年以内に同項目の助成を受けていない/台東区マンション管理組合登録制度に登録している

出典:台東区「マンション計画修繕調査費助成」

このほか、マンション管理・修繕相談員派遣制度(弁護士・マンション管理士・一級建築士を年4回・1回2時間まで無料派遣)や、マンションアドバイザー利用助成、マンション耐震化助成(耐震アドバイザー派遣は1回20,000円限度・同一マンション5回まで)もあります(出典:マンション管理・修繕相談員派遣制度、マンションに関する主な支援制度)。

なお、これらの助成の多くは台東区マンション管理組合登録制度への登録が前提です。登録がまだの管理組合は、まずここから動く必要があります。


実務コスト感:足場かロープアクセスかで、こんなに違う

ここからは制度の話ではなく、私たちの見積り現場の話です。数字は当社の実務経験にもとづく目安であり、建物形状・立地・高さ・道路条件で変わります。

全面打診でいちばん効くのは、「外壁に人をどう届かせるか」のコストです。打診作業そのものの単価より、アクセス手段の費用のほうが大きくなるケースが多い。

アクセス手段 特徴 向いている建物
枠組足場 全面を安定して調査できる。設営・解体に日数と費用 中低層、複雑形状、修繕工事と同時施工
ゴンドラ 常設ゴンドラがあれば低コスト。可動範囲に制約 常設設備のある高層オフィス
高所作業車 小面積なら機動的。前面道路の幅員・駐車許可が必要 低層、道路条件のよい物件
ロープアクセス(無足場工法) 足場を組まずに全面へ到達。設営が短時間、居ながら調査が可能 高層、足場架設が困難、調査だけ先行したい物件

台東区で私が特に痛感するのは、そもそも足場を組めない物件の多さです。谷中の路地に面したペンシルビル、浅草の観光動線を止められない商業ビル、上野駅前の営業を止められないホテル。足場と高所作業車のどちらも展開できない物件で、ロープアクセスだけが現実解、というケースが実際にあります。

さらに台東区は外国人観光客の動線に接する物件が非常に多い。浅草の仲見世周辺、上野アメ横、雷門通り、かっぱ橋道具街。歩行者密度が高いところで足場を架けると、養生の飛散防止と落下物対策を通常より厳しく取ることになり、外部足場だけで想定の1.3〜1.5倍のコストになることがあります。

調査のためだけに全面足場を架けて、数週間後に解体する。そのあと大規模修繕でもう一度架ける。この「二度架け」をやってしまうと、費用は素直に倍方向に動きます。ロープアクセス工法の技術情報や安全基準については、姉妹サイトのロープアクセスドットコムに詳しくまとめています。


ロープアクセス工法が12条打診で選ばれる理由

私たちが台東区で全面打診のご相談を受けるとき、ロープアクセス工法をご提案する理由は3つです。

1. 足場を組まない分、調査だけを先に回せる

全面打診は、大規模修繕より先に必要になることがあります。報告年度が先に来るからです。足場なしで全面に到達できれば、「まず打診だけ実施して、結果を見て修繕の規模と予算を決める」という順番が取れます。台東区の計画修繕調査費助成と組み合わせるなら、この順番のほうが素直です。

2. 商業ビル・ホテルの営業を止めなくてよい

足場を架ければ、店舗の看板は隠れ、客導線は狭くなり、防犯面の不安も出ます。台東区の商業ビル・ホテルでは、これが直接「売上」と「稼働率」に響きます。ロープアクセスなら、外壁に人が降りるのは作業する面だけ。店舗のファサードを塞ぐ期間も、養生シートで全棟が覆われる期間もありません。

3. 調査から補修まで、同じアクセス手段でつながる

打診で浮きが見つかったとき、その場で範囲をマーキングし、部分補修まで同じロープで続けられます。「調査は調査会社、補修は工事会社、足場はまた別」と分かれると、その都度アクセス費用が発生します。

ただし、ロープアクセス工法が常に最適だとは申し上げません。全面的な塗替えや防水改修まで一気にやるなら、足場のほうが総額で有利な場合があります。私たちが足場・ロープアクセス・ハイブリッド(部位ごとの使い分け)の3工法から選べる体制を取っているのは、そのためです。工法の考え方は明誠のコンセプトとロープアクセス工法のご紹介にまとめています。


12条点検を大規模修繕と一体化する3つのメリット

私はこれを、ワンセットで提案するようにしています。

① アクセス費用が1回で済む

先ほどの「二度架け」問題です。全面打診の年度と大規模修繕の着工年度を寄せられれば、足場やロープの設営費は1回分になります。台東区のように狭隘道路と観光動線に囲まれた立地では、この効果が特に大きい。

② 打診結果がそのまま修繕設計の根拠になる

全面打診では、浮きの位置と面積が図面上に落ちます。これは大規模修繕のタイル補修数量を積算する、そのままの基礎データです。別途の劣化診断をやり直す必要が減ります。

③ 「要是正」を放置した期間をつくらない

要是正の指摘を受けたあと、予算取りと総会決議で1年、設計で半年、と時間が流れがちです。その間に剥落事故が起きれば、責任は所有者・管理者に向かいます。歩行者密度の高い浅草・上野で剥落事故が起きれば、被害の重さも段違いです。調査と補修の段取りを最初からつないでおけば、この空白を短くできます。

管理組合さま向けのご支援は管理組合のお客様へ、ビル・収益物件のオーナーさま向けはビルオーナーのお客様へにまとめています。ロープアクセスの施工事例や技術解説はロープアクセスドットコムもあわせてご覧ください。


まとめ:台東区のオーナー・管理組合が今週動くこと3点

長くなりましたので、今週できることに絞ります。

1. 検査済証の日付と、前回の打診実施日を確認する

この2つが分かれば、次の報告年度と全面打診の要否がほぼ判定できます。管理会社にメール1本で確認できるはずです。

2. 前面道路の幅員と隣地の離隔を実測する

足場が組める道路条件かどうかを、早めに把握します。台東区は前面道路が4m前後の物件が多く、道路使用許可の条件も他区より厳しい傾向があります。ここで詰まると、報告年度の直前に慌てることになります。

3. 台東区マンション管理組合登録と、計画修繕調査費助成の要件を確認する

計画修繕調査費助成やアドバイザー派遣を使うには、台東区マンション管理組合登録制度への登録と総会決議が前提です。窓口は台東区住宅課(電話03-5246-9028)です。

12条点検は、オーナーさまにとっては「やらされる手続き」に見えるかもしれません。けれど私は、10年に一度、建物の外壁を全面見てもらえる貴重な機会だと思っています。その1回を、報告書だけで終わらせるか、次の10年の修繕計画につなげるか。ここが分かれ目です。

ご相談だけでも遠慮なくお声がけください。報告年度の確認や、足場とロープアクセスのどちらが向く建物かの当たりをつける段階だけでも、お力になれることがあります。お問合せはこちらから承ります。


よくある質問(FAQ)

Q1. 台東区の賃貸マンションでも12条点検の対象になりますか?
A. 用途と規模が特定建築物の要件に当てはまれば、分譲・賃貸を問わず対象です。判定は東京都都市整備局の報告時期一覧でご確認ください。

Q2. 竣工から10年経ったら、その年にすぐ全面打診をするのですか?
A. 竣工または外壁改修から10年を超えたあと、最初に到来する定期調査のタイミングで実施する運用です。共同住宅は3年周期のため、10年ちょうどの年とは限りません。

Q3. 赤外線調査やドローンで打診の代わりにできますか?
A. 令和4年1月18日の告示第282号一部改正で、テストハンマーによる打診と同等以上の精度を有する場合の代替調査方法として無人航空機による赤外線調査が位置づけられました。ただし建物条件や飛行空域の制約により適否が分かれるため、打診との併用を検討する価値があります(出典:国土交通省)。

Q4. 報告書はどこに出せばよいですか?
A. 特定建築物・防火設備は公益財団法人 東京都防災・建築まちづくりセンター(電話03-5989-1929)です。ただし敷地内に延べ面積1万㎡超の建築物がある場合は東京都所管となり、窓口が東京都都市整備局市街地建築部建築企画課(直通03-5388-3344)に変わります。

Q5. 打診で浮きが見つかったら、すぐ全面改修が要るのですか?
A. 浮きの分布と面積によります。部分的なら部分補修で対応できる場合もあります。ロープアクセスであれば調査と同じ体制で部分補修まで続けられるため、まず範囲を確定させることをおすすめします。


この記事のポイントまとめ

  • 台東区の12条点検は原則区扱い、敷地内1万㎡超なら東京都扱いになる
  • 共同住宅の定期調査は3年周期、報告時期は5月1日〜10月31日が東京都の運用
  • 外壁の全面打診は竣工または外壁改修から10年超で、最初の定期調査時に実施
  • 令和8年度の報告は、平成28年4月1日以降の打診実施が前提となる
  • 前面道路4m前後・観光動線・木造密集エリアが多く、足場が組めない物件が多い
  • 台東区の計画修繕調査費助成は補助率1/3、マンション管理組合登録が前提
  • 全面打診と大規模修繕を寄せれば、アクセス費用の二度架けを避けられる

出典・参考資料

本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月14日時点で公表されている台東区および国土交通省・東京都の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請・報告される前に、台東区および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。


執筆者:本間 幸紘(株式会社明誠 代表取締役)
専門領域:マンション大規模修繕/ロープアクセス工法/建物長寿命化計画
実務経験:建設・改修業界 20年以上
所属:一般社団法人 全国建設業支援協会(JCSA)

株式会社明誠について:東京都東大和市を拠点に、東京・関東一円でロープアクセス工法・従来足場工法・両者を組み合わせたハイブリッド工法の3つから、建物に合った工法をご提案できる改修会社です。日本初のロープアクセス工事フランチャイズを展開しています。

最終更新:2026年9月14日

ロープアクセス工法の詳細解説・技術情報は、姉妹サイト ロープアクセスドットコム(https://rope-access-method.com/)をご覧ください。

【令和8年度版】文京区の12条点検・外壁打診調査|大学ビル・山の手マンションの実務

【令和8年度版】文京区の12条点検・外壁打診調査|大学ビル・山の手マンションの実務

文京区のマンション・大学ビル・オフィスビルで、12条点検(建築基準法第12条第1項の定期調査報告)の対象になるのはどの建物で、外壁の全面打診はいつ必要になるのか。この記事では、その1点に絞ってお答えします。

株式会社明誠の本間です。東京都東大和市を拠点に、20年近く外壁と防水の現場をやってきました。文京区は、私たちが「読みにくいエリア」と口を揃える場所です。本郷・湯島の東京大学、御茶ノ水の東京医科歯科大学(現・東京科学大学)を中心に大規模な学校・研究ビルが集積し、その周りに閑静な住宅街と小中規模のマンションが密集する。同じ区内でも建物の性格がまったく違うので、12条点検の当たり方も変わります。

正直に申し上げます。文京区は防火地域・準防火地域の指定が広く、旧耐震のオフィスビルや古い中低層マンションが残っているエリアです。12条点検は「報告書を出して終わり」の手続きと思われがちですが、全面打診の10年周期が大規模修繕の周期とほぼ重なる。ここを意識して段取りを組めるかどうかで、オーナーさまや管理組合が負担する総額は大きく変わります。


結論:文京区で12条点検の対象になる建物と、打診が必要になるタイミング

先に結論からお伝えします。

論点 文京区での答え
対象建築物 学校、共同住宅、ホテル、事務所、飲食店など不特定多数が利用する「特定建築物」(用途・規模は東京都都市整備局の対象建築物一覧表で確定)
報告周期 用途と規模により毎年または3年ごと
報告時期 東京都の運用では報告年度の5月1日〜10月31日
外壁の全面打診 竣工または外壁改修から10年を超えたあと、最初の定期調査のタイミングで実施
令和8年度に報告する場合 平成28年4月1日以降に打診等を実施していることが前提。未実施なら要是正の指摘対象
提出先 公益財団法人 東京都防災・建築まちづくりセンター(特定建築物・防火設備)
所管行政庁 原則は文京区。ただし敷地内に延べ面積1万㎡超の建築物がある場合は東京都所管

この表のうち、文京区のオーナーさまが特に引っかかりやすいのが最後の1行です。文京区は東京大学、東京科学大学、順天堂大学など、単独で1万㎡を優に超える大学キャンパスや附属病院を抱えます。同じ敷地内に大きな棟があれば、隣接する研究棟や関連施設も含めて都扱いになります。窓口を間違えると、報告シーズンの終盤に慌てることになります。

詳細は文京区の定期報告に関することと、東京都都市整備局の定期報告対象建築物・建築設備等及び報告時期一覧をご確認ください。


建築基準法第12条とは何か(1項報告と定期検査の違い)

まず用語の整理からいきます。ここは毎回、理事会でご説明する部分です。

建築基準法第12条は、建物の安全を所有者・管理者の責任で確かめ、その結果を特定行政庁(=建築行政を担当する自治体。文京区の場合は原則として文京区)に報告させる規定です。世の中で「12条点検」と呼ばれているものは、実務上は4種類に分かれます。

区分 対象 周期 文京区での提出先
特定建築物定期調査(12条1項) 敷地・構造・外部・内部・防火避難 毎年または3年ごと 東京都防災・建築まちづくりセンター
防火設備定期検査(12条3項) 防火扉・防火シャッター等 毎年 同上
建築設備定期検査(12条3項) 換気・排煙・非常照明・給排水 毎年 日本建築設備・昇降機センター
昇降機等定期検査(12条3項) エレベーター・エスカレーター等 昇降機は毎年 東京都昇降機安全協議会

外壁の打診調査が入ってくるのは、この一番上の特定建築物定期調査です。調査は一級建築士、二級建築士、または特定建築物調査員の資格者が行います。

共同住宅は「3年ごと」が基本

文京区のマンションで多いのは3年周期の区分です。東京都は報告年度をあらかじめ定めており、たとえば令和6年度が報告年次だった共同住宅は、次が令和9年度になります。

新築直後には「初回免除」という仕組みもあります。検査済証の交付を受けた日の属する年度の翌年度以降、2回目の報告時期から報告が必要になる、という扱いです。令和5年度中に検査済証が交付された共同住宅なら、令和6年度の報告は免除され、令和9年度(令和9年5月1日〜10月31日)から報告が必要になります。

私はいつも理事長さまに、「検査済証の日付を先に確認してください」とお伝えしています。ここが分かれば、次の報告年度と全面打診の時期が同時に見えてくるからです。

なお建築設備と昇降機は扱いが違い、検査済証交付日の翌日から起算して2年を経過する日までに初回報告が必要です。特定建築物の初回免除と混同されやすい部分なので、ご注意ください。


全面打診が必要になる4つのトリガー

ここからが本題です。外壁の打診には2段階あります。

① 通常の打診(手の届く範囲)
外壁の外装仕上げ材(タイル、石張り、モルタルなど)について、手の届く範囲を打診棒などで叩いて確認する調査。これはおおむね6か月〜3年ごとの定期調査ごとに行います。

② 全面打診等
落下すれば歩行者等に危害を与えるおそれのある部分について、全面を打診する調査。こちらが10年周期です。

平成20年4月1日施行の国土交通省告示第282号(平成20年国土交通省告示第282号)で、この調査項目・調査方法・判定基準が明確化されました(出典:国土交通省「建築基準法に基づく定期報告制度について」)。

全面打診等が発動するトリガーは、実務上おおむね次の4つです。

  1. 竣工から10年を超えたあと、最初の定期調査のタイミング
  2. 外壁改修(タイル張替え等)から10年を超えたあと、最初の定期調査のタイミング
  3. 通常の調査で要是正(剥離・浮き・ひび割れ等)と判定された場合
  4. 落下事故が発生した、または落下のおそれが具体的に認められた場合

そして東京都の運用では、令和8年度に報告する建物で全面打診等が必要な外装材がある場合、平成28年4月1日以降に打診等を実施している必要があります。実施していなければ要是正の扱いになります。ここは年度がずれると要件もずれるので、公式の最新情報で確認してください。

赤外線・ドローンという選択肢も認められている

令和4年1月18日に告示第282号が一部改正され、無人航空機(ドローン)による赤外線調査が、テストハンマーによる打診と同等以上の精度を有する場合の代替調査方法として位置づけられました。有機系接着剤張り工法のタイルについては、引張接着試験による方法も認められています(出典:国土交通省「定期報告制度における外壁のタイル等の調査について」)。

ただし、文京区のように敷地が狭く、隣地との離隔が乏しい住宅街のマンションでは、ドローンを飛ばす空域自体を確保しにくい場面が少なくありません。近隣の学生寮や病院の窓に近づけない、といった配慮も要ります。打診と赤外線を組み合わせ、赤外線で当たりをつけて打診で確定させる。私はこの形を推しています。


文京区固有の運用で押さえるべき3点

① 大学・附属病院に近い建物は「都扱い」に飛ぶことがある

文京区の特定建築物・防火設備の担当窓口は、都市計画部建築指導課(〒112-8555 文京区春日1-16-21 文京シビックセンター18階南側、電話03-5803-1262)です。

一方で、敷地内に延べ面積が1万㎡を超える建築物がある場合、その敷地内の建築物はすべて東京都の所管になります。この場合の窓口は東京都都市整備局市街地建築部建築企画課(直通03-5388-3344)です。

本郷・湯島・お茶の水は、この線引きに引っかかる物件がほかの区より多いエリアです。キャンパスと道路1本挟んだ収益ビルでも、同じ地番の敷地に大きな棟があれば都扱いになります。まず敷地単位で確認する。これが文京区での実務の第一歩です。

② 防火地域・準防火地域が広く、外装の劣化評価がシビア

文京区は区内の広範囲が防火地域・準防火地域に指定されています。外装材そのものの防火性能に加え、タイルやモルタルの浮きが避難経路に落下するリスクが定期調査で厳しく見られます。本郷通り・春日通り・不忍通りといった主要幹線に面した建物では、歩道側外壁の打診結果が要是正になると、通行止め・仮設養生の対応が真っ先に問われます。

私が現場でよく相談を受けるのは、旧耐震の中低層オフィスビル(昭和56年5月以前の建築確認)です。外装がリシン吹付けの上にタイル張り増し、といった複合構成になっていて、打診音の判定が難しい。こういう建物こそ、告示改正で認められた赤外線併用の意義が大きい。

③ 文京区は劣化診断の費用助成が使える

文京区にはマンション劣化診断調査費助成があります。12条点検そのものへの助成ではありませんが、外壁・内壁・天井・床等の住宅本体、および手すり・扉・階段・配管等の鉄製品に関する調査が対象になるため、全面打診のタイミングと合わせて設計すると効率がよい制度です。

項目 内容
助成額 税抜き調査費の50%(1,000円未満切捨て)
上限額 50万円
対象調査 外壁・内壁・天井・床等の住宅本体、手すり・扉・階段・配管等の鉄製品
申請時期 劣化診断調査を開始する3週間前まで(年末年始・大型連休を含む場合は4週間前)
注意点 令和8年2月10日までに実績報告可能な案件のみ対象。既に契約・実施したものは申請不可

出典:文京区「マンション劣化診断調査費助成」

このほか、マンションアドバイザー制度利用助成(弁護士・建築士・マンション管理士等の派遣)や、マンション長期修繕計画作成費助成もあります(出典:マンションアドバイザー制度利用助成、マンション長期修繕計画作成費助成)。修繕計画・劣化診断・アドバイザー派遣を組み合わせて、理事会の初動として使えるのが文京区の強みです。


実務コスト感:足場かロープアクセスかで、こんなに違う

ここからは制度の話ではなく、私たちの見積り現場の話です。数字は当社の実務経験にもとづく目安であり、建物形状・立地・高さ・道路条件で変わります。

全面打診でいちばん効くのは、「外壁に人をどう届かせるか」のコストです。打診作業そのものの単価より、アクセス手段の費用のほうが大きくなるケースが多い。

アクセス手段 特徴 向いている建物
枠組足場 全面を安定して調査できる。設営・解体に日数と費用 中低層、複雑形状、修繕工事と同時施工
ゴンドラ 常設ゴンドラがあれば低コスト。可動範囲に制約 常設設備のある高層オフィス
高所作業車 小面積なら機動的。前面道路の幅員・駐車許可が必要 低層、道路条件のよい物件
ロープアクセス(無足場工法) 足場を組まずに全面へ到達。設営が短時間、居ながら調査が可能 高層、足場架設が困難、調査だけ先行したい物件

文京区で私が特に痛感するのは、足場を組むこと自体のハードルの高さです。本郷・小石川・千駄木の坂道と細街路、隣地との離隔がほとんどないペンシルビル、大学と道路を挟んで建つ収益マンション。足場が組めない、あるいは組むと近隣配慮でコストが跳ね上がる物件が本当に多い。

さらに文京区特有の事情として、大学の学期スケジュールに配慮しなければならないケースがあります。学生寮や近隣に研究棟がある場合、講義期間中は騒音・振動を出しにくい。夏休み・春休みの短い期間に工事を寄せるので、足場の架設・解体に4〜6週間を取られると本工事の実働がほとんど残らない、ということが起きます。

調査のためだけに全面足場を架けて、数週間後に解体する。そのあと大規模修繕でもう一度架ける。この「二度架け」をやってしまうと、費用は素直に倍方向に動きます。ロープアクセス工法の技術情報や安全基準については、姉妹サイトのロープアクセスドットコムに詳しくまとめています。


ロープアクセス工法が12条打診で選ばれる理由

私たちが文京区で全面打診のご相談を受けるとき、ロープアクセス工法をご提案する理由は3つです。

1. 足場を組まない分、調査だけを先に回せる

全面打診は、大規模修繕より先に必要になることがあります。報告年度が先に来るからです。足場なしで全面に到達できれば、「まず打診だけ実施して、結果を見て修繕の規模と予算を決める」という順番が取れます。文京区の劣化診断費用助成と組み合わせるなら、この順番のほうが素直です。

2. 居住者・テナントへの影響が小さい

足場を架ければ、窓は開けにくくなり、防犯面の不安も出ます。文京区の閑静な住宅街のマンションでは、これが直接「住み心地」と「賃貸稼働率」に響きます。ロープアクセスなら、外壁に人が降りるのは作業する面だけ。バルコニーを塞ぐ期間も、養生シートで全棟が覆われる期間もありません。

3. 調査から補修まで、同じアクセス手段でつながる

打診で浮きが見つかったとき、その場で範囲をマーキングし、部分補修まで同じロープで続けられます。「調査は調査会社、補修は工事会社、足場はまた別」と分かれると、その都度アクセス費用が発生します。

ただし、ロープアクセス工法が常に最適だとは申し上げません。全面的な塗替えや防水改修まで一気にやるなら、足場のほうが総額で有利な場合があります。私たちが足場・ロープアクセス・ハイブリッド(部位ごとの使い分け)の3工法から選べる体制を取っているのは、そのためです。工法の考え方は明誠のコンセプトとロープアクセス工法のご紹介にまとめています。


12条点検を大規模修繕と一体化する3つのメリット

私はこれを、ワンセットで提案するようにしています。

① アクセス費用が1回で済む

先ほどの「二度架け」問題です。全面打診の年度と大規模修繕の着工年度を寄せられれば、足場やロープの設営費は1回分になります。

② 打診結果がそのまま修繕設計の根拠になる

全面打診では、浮きの位置と面積が図面上に落ちます。これは大規模修繕のタイル補修数量を積算する、そのままの基礎データです。別途の劣化診断をやり直す必要が減ります。

③ 「要是正」を放置した期間をつくらない

要是正の指摘を受けたあと、予算取りと総会決議で1年、設計で半年、と時間が流れがちです。その間に剥落事故が起きれば、責任は所有者・管理者に向かいます。調査と補修の段取りを最初からつないでおけば、この空白を短くできます。

管理組合さま向けのご支援は管理組合のお客様へ、ビル・収益物件のオーナーさま向けはビルオーナーのお客様へにまとめています。ロープアクセスの施工事例や技術解説はロープアクセスドットコムもあわせてご覧ください。


まとめ:文京区のオーナー・管理組合が今週動くこと3点

長くなりましたので、今週できることに絞ります。

1. 検査済証の日付と、前回の打診実施日を確認する

この2つが分かれば、次の報告年度と全面打診の要否がほぼ判定できます。管理会社にメール1本で確認できるはずです。

2. 敷地内(または同じ地番)に延べ面積1万㎡超の建物があるかを確認する

あれば都扱い、なければ文京区扱い。窓口が変わります。文京区は特に大学キャンパス周辺で分かれやすいエリアです。

3. 劣化診断調査費助成を使えるか、住環境課に問い合わせる

文京区の劣化診断費用助成は、申請が調査開始の3週間前まで(大型連休を含む場合は4週間前)、実績報告は令和8年2月10日までに可能な案件のみが対象です。年度の後半に動き出すと間に合わないことがあります。窓口は文京区住環境課(電話03-5803-1374)です。

12条点検は、オーナーさまにとっては「やらされる手続き」に見えるかもしれません。けれど私は、10年に一度、建物の外壁を全面見てもらえる貴重な機会だと思っています。その1回を、報告書だけで終わらせるか、次の10年の修繕計画につなげるか。ここが分かれ目です。

ご相談だけでも遠慮なくお声がけください。報告年度の確認や、足場とロープアクセスのどちらが向く建物かの当たりをつける段階だけでも、お力になれることがあります。お問合せはこちらから承ります。


よくある質問(FAQ)

Q1. 文京区の賃貸マンションでも12条点検の対象になりますか?
A. 用途と規模が特定建築物の要件に当てはまれば、分譲・賃貸を問わず対象です。判定は東京都都市整備局の報告時期一覧でご確認ください。

Q2. 竣工から10年経ったら、その年にすぐ全面打診をするのですか?
A. 竣工または外壁改修から10年を超えたあと、最初に到来する定期調査のタイミングで実施する運用です。共同住宅は3年周期のため、10年ちょうどの年とは限りません。

Q3. 赤外線調査やドローンで打診の代わりにできますか?
A. 令和4年1月18日の告示第282号一部改正で、テストハンマーによる打診と同等以上の精度を有する場合の代替調査方法として無人航空機による赤外線調査が位置づけられました。ただし建物条件により適否が分かれるため、打診との併用を検討する価値があります(出典:国土交通省)。

Q4. 報告書はどこに出せばよいですか?
A. 特定建築物・防火設備は公益財団法人 東京都防災・建築まちづくりセンター(電話03-5989-1929)です。ただし敷地内に延べ面積1万㎡超の建築物がある場合は東京都所管となり、窓口が東京都都市整備局市街地建築部建築企画課(直通03-5388-3344)に変わります。

Q5. 打診で浮きが見つかったら、すぐ全面改修が要るのですか?
A. 浮きの分布と面積によります。部分的なら部分補修で対応できる場合もあります。ロープアクセスであれば調査と同じ体制で部分補修まで続けられるため、まず範囲を確定させることをおすすめします。


この記事のポイントまとめ

  • 文京区の12条点検は原則区扱い、敷地内1万㎡超なら東京都扱いになる(大学キャンパス周辺は要注意)
  • 共同住宅の定期調査は3年周期、報告時期は5月1日〜10月31日が東京都の運用
  • 外壁の全面打診は竣工または外壁改修から10年超で、最初の定期調査時に実施
  • 令和8年度の報告は、平成28年4月1日以降の打診実施が前提となる
  • 文京区の劣化診断費用助成は1/2・上限50万円、申請は調査開始の3週間前まで
  • 全面打診と大規模修繕を寄せれば、アクセス費用の二度架けを避けられる

出典・参考資料

本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月14日時点で公表されている文京区および国土交通省・東京都の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請・報告される前に、文京区および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。


執筆者:本間 幸紘(株式会社明誠 代表取締役)
専門領域:マンション大規模修繕/ロープアクセス工法/建物長寿命化計画
実務経験:建設・改修業界 20年以上
所属:一般社団法人 全国建設業支援協会(JCSA)

株式会社明誠について:東京都東大和市を拠点に、東京・関東一円でロープアクセス工法・従来足場工法・両者を組み合わせたハイブリッド工法の3つから、建物に合った工法をご提案できる改修会社です。日本初のロープアクセス工事フランチャイズを展開しています。

最終更新:2026年9月14日

ロープアクセス工法の詳細解説・技術情報は、姉妹サイト ロープアクセスドットコム(https://rope-access-method.com/)をご覧ください。

新宿区の管理組合が無料で使える相談・派遣9つ|「管理相談員派遣」は1回2時間、理事会にそのまま呼べます

新宿区の管理組合が無料で使える相談・派遣9つ|「管理相談員派遣」は1回2時間、理事会にそのまま呼べます

2026年9月13日 更新

「相談って、区役所まで出向いて15分話すやつですよね」

新宿区の、築30年を超えたマンションの理事長さまから、こう言われたことがあります。大規模修繕の見積りを3社から取ったものの、どれが妥当なのか判断がつかない。誰かに聞きたいが、平日の昼間に区役所へ出向く時間がない。だから相談は諦めていた、という話でした。

私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。東京都東大和市を拠点に、20年近くマンションやビルの外壁と向き合ってきました。足場を組む工事も、ロープ1本でぶら下がる無足場の工事も、両方やってきた人間です。

そのときお伝えしたのは、「新宿区は、専門家のほうから理事会に来てくれる制度がありますよ」ということでした。

新宿区マンション管理相談員派遣。1回あたり2時間、1年度につき同一マンションで3回まで、費用は無料。しかも派遣先は「複数の区分所有者の方が集まる場」、つまり総会や理事会、修繕委員会の場そのものです。

理事長さまは「2時間も、理事会に来てくれるんですか」と言われました。そうなのです。区役所の窓口相談が1件15分から20分程度であることを思えば、2時間という枠がどれだけ大きいかが分かります。しかも理事全員がその場で同じ話を聞ける。

今日は、新宿区のマンション管理組合とビルオーナーが、お金をかけずに使える相談・派遣の制度を9つ、令和8年度(2026年4月1日から2027年3月31日まで)の一次情報で整理します。


結論:新宿区で無料で使える相談・派遣は9つある

先に一覧でお見せします。

# 制度・窓口 誰が対応するか 費用 申込先
1 新宿区マンション管理相談員派遣 区が委嘱した専門家 無料(1回2時間・年度3回まで) 住宅課居住支援係 03-5273-3567
2 マンション管理相談 区が委嘱した相談員 無料(第2・第4金曜/要予約) 住宅課居住支援係 03-5273-3567
3 分譲マンション無料なんでも相談 マンション管理士 無料(第1・第3水曜) 東京都マンション管理士会新宿支部
4 令和8年度 無料建築相談会 区職員+建築士 無料(年度内2回まで・1組30分) 建築指導課管理係 03-5273-3732
5 管理計画認定制度 相談ダイヤル マンション管理士 無料(月〜土) (一社)日本マンション管理士会連合会 03-5801-0858
6 東京都 マンションアドバイザー無料派遣 マンション管理士等 無料 (公財)東京都防災・建築まちづくりセンター
7 東京都 マンション管理士無料派遣 マンション管理士 無料(防災力向上・認知症対応) 東京都マンションポータルサイト
8 (公財)マンション管理センター 電話相談 相談員 無料 03-3222-1517/03-3222-1519
9 東京都 分譲マンション総合相談窓口 マンション管理士 無料 (公財)東京都防災・建築まちづくりセンター

これに加えて、長期修繕計画の作成費や管理計画認定の手数料に対する補助も新宿区にはあります。こちらは無料ではなく補助なので本稿の主題から外れますが、後半で触れます。

ここからが本題です。


1. マンション管理相談員派遣:新宿区の本命は「2時間×3回」という枠

新宿区の支援メニューのなかで、私が一番もったいないと感じているのがこの制度です。

費用と回数

新宿区の公式ページには、こう書かれています。

項目 内容
対象 区内にある分譲マンションの管理組合、賃貸マンションの所有者
派遣先 複数の区分所有者が集まる場など(総会、理事会、専門委員会など)
時間 1回あたり2時間
回数 1年度につき同一マンションで3回まで(区長が特に必要と認めたときは3回に限らない)
相談員 マンション管理士、一級建築士、建築設備士、弁護士などの資格を有する者、またはマンション問題に知見を有する者で区の委嘱を受けた専門家
費用 無料

(出典:新宿区「「新宿区マンション管理相談員派遣」」/最終更新日 2026年9月1日)

私がここで強調したいのは、相談員の顔ぶれが「マンション管理士」だけではないという点です。一級建築士、建築設備士が含まれている。つまり大規模修繕の話、劣化診断の話、設備更新の話を、それぞれ専門の人に聞ける設計になっています。

申請のときに相談内容を書きますから、そこで「外壁の劣化診断と修繕の進め方」と書けば、建築の分かる相談員が来る可能性が高くなります。逆に「滞納の督促方法」と書けば法律に強い相談員が来る。3回の枠を、論点ごとに割り当てるのが私のお勧めです。

賃貸マンションのオーナーも対象

見落とされがちですが、対象には「賃貸マンションの所有者」が入っています。分譲の管理組合限定ではありません。新宿区に収益物件をお持ちの個人オーナー・法人オーナーさまも使える制度です。

ただし派遣先が「複数の区分所有者が集まる場など」とされている点は、賃貸の場合どう扱われるかを事前に住宅課へご確認ください。

管理組合がまだ無い場合でも申請できる

ここは実務上とても大きいところです。

分譲マンションの場合は、管理組合の理事会の決定を経て理事長名で申請します。ただし管理組合設立前などで管理組合がない場合は、区分所有者の概ね5分の1以上、かつ議決権の概ね5分の1以上の区分所有者の連名で申請できるとされています。

「管理組合が機能していないから相談もできない」という詰まり方をしなくていい。私が現場で見てきたなかで、一番動けなくなっているのはこのパターンでした。5分の1という数字は、決して届かない数字ではありません。

手続きの流れ

順番 やること
1 派遣希望日の2週間前までに申請(紙の申請書または電子申請)
2 区が審査し「派遣決定通知書」または「派遣不承認通知書」が届く
3 派遣終了後、相談員が持参する「派遣業務報告書」に申請者が署名

申請書は令和8年9月1日に一部改正されています。古い様式を使い回さないよう、区のページから最新版をダウンロードしてください。電子申請のフォームも令和7年3月28日に変更されています。

そして希望日の2週間前までという締切。これが効きます。「次の理事会に呼びたい」と思いついてからでは間に合いません。理事会の年間スケジュールを決める段階で、派遣の申請日も一緒に決めてしまう。それが現実的な進め方です。


2. マンション管理相談:毎月2回、80分枠が2つ

派遣ほど大がかりでなく、理事長さま個人が持ち込む相談にはこちらです。

項目 内容
対象 区内の分譲マンションの管理組合役員・区分所有者、賃貸マンションの所有者
相談員 マンション管理士、一級建築士、弁護士等の資格を持つ者、またはマンション問題に知見を有する者で区の委嘱を受けた者
日程 原則として毎月第2・第4金曜日(祝日を除く)
時間 [1] 13時00分〜14時20分/[2] 14時30分〜15時50分
場所 新宿区役所 第一分庁舎2階 区民相談室(歌舞伎町一丁目5番1号)
相談料 無料
予約 住宅課居住支援係 03-5273-3567(相談日の2日前まで/電子申請も可)
人数 相談者は2名以内

(出典:新宿区「マンション管理相談」/最終更新日 2026年4月1日)

令和8年度の相談日は、4月10日・24日、5月8日・22日、6月12日・26日、7月10日・24日、8月14日・28日、9月11日・25日、10月9日・23日、11月13日・27日、12月11日・25日、令和9年1月8日・22日、2月12日・26日、3月12日・26日です。

注目していただきたいのは1枠80分という設計です。よくある「1件15分」の窓口相談とは性格が違います。図面や見積書を広げて話す時間が取れます。

ただし相談者は2名以内。理事長さまと修繕委員長さま、といった組み合わせが現実的です。そして賃貸マンションの所有者の場合は「建物の維持管理に関する相談のみ」とされています。


3. 分譲マンション無料なんでも相談:予約なしで、月2回

区の事業ではなく、東京都マンション管理士会新宿支部が主催している相談会です。区のページからも案内されています。

項目 内容
開催日 毎月第1・第3水曜日
時間 午後1時〜4時
場所 新宿区役所 本庁舎1階ロビー
対応 マンション管理士
費用 無料

(出典:東京都マンション管理士会新宿支部「分譲マンション無料なんでも相談」)

本庁舎1階のロビーで開かれます。区役所に別の用事で来たついでに立ち寄れる形です。「いきなり理事長になってしまった」「管理規約が実態に合っていない」「大規模修繕の進め方が分からない」といった、まだ整理できていない段階の相談に向いています。

私が思うに、この相談会の使いどころは「何を相談すべきかを相談する」ところです。ここで論点を整理してから、1の派遣や2の管理相談に持ち込むと、限られた枠が生きます。


4. 令和8年度 無料建築相談会:建物そのものの話はここ

管理組合の運営ではなく、建物の話に寄った相談はこちらです。一般社団法人東京都建築士事務所協会新宿支部との協働で実施されています。

項目 内容
相談内容 建替え、リフォーム、バリアフリー、耐震診断など(紛争等に関するもの、工事業者のあっせんは除く)
相談員 新宿区都市計画部職員/東京都建築士事務所協会新宿支部所属の建築士
費用 無料
時間 1組30分まで
回数 年度内2回まで
対象 新宿区内の建築物・土地についての相談
予約 開催日の3日前までの予約制(予約フォーム)
問合せ 建築指導課管理係 03-5273-3732

(出典:新宿区「令和8年度 無料建築相談会」)

令和8年度の開催日は、原則として毎月の水曜日に本庁舎3階302会議室で、13時30分・14時15分・15時00分の3枠です。10月15日(木)と2月18日(木)だけは本庁舎1階ロビーでの開催で、朝9時30分からの枠も含めて7枠に増え、当日受付も可能(予約優先)になります。

年度内2回までという上限があるので、使うタイミングを選んでください。私のお勧めは、劣化診断の見積りを取る前と、工事の見積書が出そろった後です。

なお「工事業者のあっせんは除く」とされています。ここで施工会社を紹介してもらうことはできません。図面や仕様の読み方、耐震診断の必要性といった、判断の土台を作る場です。


5. 管理計画認定制度の相談ダイヤル:制度そのものの疑問はここ

マンション管理計画認定制度や、マンション長寿命化促進税制について聞ける無料の電話相談です。

項目 内容
電話番号 03-5801-0858
受付時間 月曜から土曜 午前10時〜午後5時(祝日、年末年始を除く)
相談内容 マンション管理計画認定制度をはじめマンション管理適正化法全般
対応者 原則として相談者の地元の都道府県マンション管理士会の相談員

(出典:新宿区「新宿区マンション管理計画認定制度」/最終更新日 2026年6月1日)

土曜日も受け付けているのがこの窓口の強みです。平日昼間に電話できない理事長さまでも使えます。

新宿区は令和6年2月に新宿区マンション管理適正化推進計画を策定し、同月から管理計画認定制度の運用を開始しています。区への申請手数料は当面の間無料。ただしシステム利用料と事前確認審査料は別途かかります(この費用には補助があります。後述します)。

認定を取ると、住宅金融支援機構の金利優遇(マンションすまい・る債の債券利率上乗せ、【フラット35】や共用部分リフォーム融資の金利引下げ)の対象になります。長寿命化工事を実施して一定の要件を満たせば、固定資産税の減税措置の対象となる場合もあります。

大規模修繕を控えた管理組合にとって、認定は「借入条件が良くなるかもしれない札」です。工事の資金計画を立てる前に、この電話1本で確認しておく価値はあります。


6・7. 東京都の2つの無料派遣:区の枠を使い切っても、まだある

新宿区の枠とは別に、東京都の制度が2つあります。

マンションアドバイザー無料派遣

(公財)東京都防災・建築まちづくりセンターが実施しています。東京都の管理状況届出制度に届け出た管理組合が対象の枠と、管理不全の兆候がある場合の枠があり、回数の扱いが異なります。区の派遣と併用できるかを含め、事前に確認してください。

マンション管理士無料派遣(防災力向上・認知症対応)

東京都のマンション社会的機能向上支援事業(分譲)として、防災力向上と認知症対応の2つのテーマでマンション管理士を無料派遣するものです。募集件数の上限があり、達した時点で締め切られます。

(出典:(公財)東京都防災・建築まちづくりセンター「マンションアドバイザー無料派遣」、東京都マンションポータルサイト「分譲マンション向けマンション管理士無料派遣」)

防災は、大規模修繕と相性のいいテーマです。工事のタイミングでしか手を入れられない部位(屋上、避難ハッチ周り、外部階段の手すり)があります。防災の派遣で洗い出した課題を、修繕の仕様に織り込む。この順番で進めると、工事1回あたりの密度が上がります。


8・9. 国と都の常設窓口:区の外にもタダの窓口はある

(公財)マンション管理センター

国土交通大臣の指定を受けたマンション管理適正化推進センターです。

相談内容 電話
管理組合運営、管理規約等 03-3222-1517
建物・設備の維持管理 03-3222-1519

受付は月曜から金曜(祝日・年末年始を除く)の9時30分から17時。1件あたり15分前後でのアドバイスを心がけている、とされています(出典:(公財)マンション管理センター「相談窓口について」)。

公平・中立の立場でのアドバイスが原則で、特定の企業の紹介はしない、個別事案の適法性の判断はしない、回答は口頭のみ、という前提です。「うちの見積書は高いか安いか」を判定してもらう窓口ではありません。

東京都の分譲マンション総合相談窓口

(公財)東京都防災・建築まちづくりセンターが、分譲マンションの管理・建替え・改修に関する相談に専門のマンション管理士が総合的に応じる窓口を置いています。

なお、管理会社との契約トラブルや訪問販売型のリフォーム勧誘など、消費者トラブルの色が濃い話は消費生活相談の領域です。新宿区の消費生活相談の電話番号と受付時間は、変更されることがあるため、新宿区ホームページの相談窓口のページでご確認ください。法テラス(日本司法支援センター)も選択肢になります。


無料ではないが、知っておきたい3つの補助

無料の枠の外に置きましたが、新宿区には大規模修繕の準備段階に直結する補助があります。

長期修繕計画作成費等補助事業

項目 内容
対象 区内のマンション管理組合が当該年度に行う長期修繕計画の作成・見直しの委託経費
補助額 対象経費(消費税等を除く)の2分の1、上限20万円
主な要件 区分所有者5人以上/延べ面積の過半が住宅用途/建築後5年以上/作成・見直し後の計画期間が30年以上/総会等で決議済み
完了実績報告 令和9年3月31日まで

補助事業の着手(委託経費の支払いを含む)は交付決定後である必要があります。すでに契約したもの、すでに作成・見直しを実施したものは申請できません。ここで失敗する管理組合が本当に多い。「先に業者と契約してしまった」が一番よくある取りこぼしです。

順番は、総会で決議 → 区へ申請 → 交付決定 → 契約・着手、です。

管理計画認定手続支援サービス手数料補助事業

システム利用料(1万円)と事前確認審査料の補助で、合計5万円が限度です。事前確認審査料は依頼先によって上限が4通りに分かれており、事前確認講習を修了したマンション管理士に依頼する場合と、管理会社等を経由してマンション管理適正評価制度と併せて申請する場合が上限4万円。マンション管理士会連合会経由の管理適正化診断サービスと併せる場合とセンターのサービス利用の場合が1万円です。

要件として「管理計画の認定を受けたマンションである」ことが必要です。認定を取ってから申請する流れになります。

管理計画認定取得促進補助事業

認定を取得した区内分譲マンションの管理組合が新たに宅配ボックスを設置する費用の20%、上限20万円です。申請時点で宅配ボックスが設置されていないことが条件。総会等での決議も必要です。

(出典:新宿区「新宿区マンション管理計画認定制度」/最終更新日 2026年6月1日)


新宿区で令和8年10月1日に施行される2つの条例

相談窓口の話からは少し外れますが、新宿区の管理組合・オーナーさまに関わる制度変更なので触れておきます。

新宿区は、令和7年3月に策定した「新宿区マンション等まちづくり方針」に基づき、「新宿区大規模マンション及び開発事業に係る市街地環境の整備に関する条例」を制定し、「新宿区ワンルームマンション等の建築及び管理に関する条例」を改正しました。いずれも令和8年10月1日施行です。

大規模マンション条例は、100戸以上の共同住宅などと、都市開発諸制度等を活用した新築などの開発事業が対象で、計画の届出と事前協議が義務付けられます。

ワンルームマンション条例の改正は、既存のオーナーさまにも関わります。対象が「地階を除く階数3以上・ワンルーム形式10戸以上」から「地階を含む階数3以上」に広がり、「ワンルーム形式の住戸が総住戸の3分の1以上のもの」も加わりました(階数3の場合は総住戸10戸以上に限る)。基準の見直しでは、建築に関する基準に「再配達の削減のための設置」が追加され、管理に関する基準では管理人による管理方法が見直され、「廃棄物及び資源の適切な管理」「管理人用郵便受けの設置等」が追加されています。

(出典:新宿区「【令和8年4月配信】大規模マンション条例ほか1条例を公布しました!」/最終更新日 2026年4月1日)

新宿区にワンルーム主体の賃貸物件をお持ちのオーナーさまは、施行後の基準が自分の物件にどう当たるかを、1の派遣や4の建築相談で確認されるといいと思います。


何を用意していけばいいか:3点セット+1

相談窓口へ手ぶらで行くと、一般論しか返ってきません。私がいつも理事長さまにお伝えしているのは、次の3点を持っていくことです。

# 書類 なぜ必要か
1 総会議事録(直近2〜3年分) 何が決議済みで何が未決議かが分かる。相談員は「総会で何が決まっているか」を最初に確認する
2 長期修繕計画書 次の大規模修繕の時期と想定費用の前提が分かる。積立金不足の議論はここが出発点
3 管理規約(+使用細則) 工事の決議要件、専有と共用の区分、理事会の権限が書かれている

+1:修繕積立金の残高と滞納額

3点セットに加えて、修繕積立金の現在残高と滞納額を数字で言えるようにしておいてください。この2つの数字があるかないかで、相談の解像度がまるで変わります。

「積立金は足りていますか」と聞かれて「たぶん足りないと思います」と答える理事長さまを、私は何度も見てきました。残高が分からないと、工法の選択肢も絞れません。

写真があればもっといい

外壁のひび割れ、タイルの浮き、鉄部のさび、屋上の防水層の膨れ。スマートフォンで撮った写真で構いません。建築相談で建築士と話すとき、写真1枚が説明の10分を短縮します。撮影日が分かるようにしておくと、劣化の進行を後から追えます。


新宿区の物件で、私が工法の話を急がない理由

ここで工法の話に少し触れます。

新宿区は、西新宿の超高層から、四谷・神楽坂の敷地に余裕のない中層まで、建物の性格が大きく分かれる区です。隣地との距離が取れない物件、前面道路が狭く資材の搬入に制約がある物件、繁華街に面していて足場の養生が近隣営業に影響する物件。いずれも新宿区では珍しくありません。

こういう建物で足場を組む前提だけで予算を組むと、見積金額が想定を大きく超えることがあります。仮設足場の費用は工事全体の2割から3割を占めることも珍しくありません。そこで選択肢として出てくるのが、ロープアクセス工法(無足場工法)です。産業用ロープで作業員が壁面に取り付き、足場を組まずに塗装や補修を行う方法です。

私は「ロープアクセスがいつでも安い」とは申し上げません。全面的にタイルを貼り替えるような工事では、足場のほうが適している場面もあります。私が提案しているのは、部位ごとに足場と無足場を使い分けるハイブリッド工法という選び方です。この考え方は明誠の考え方にまとめています。

無足場工法の技術的な中身や、適した建物の条件は、ロープアクセス工法の専門サイト(rope-access-method.com)に整理してあります。作業手順や安全管理の考え方も同じサイトにまとめました。相談員を理事会に呼ぶ前にこちらへ目を通しておかれると、2時間の中身が濃くなると思います。

ただ、この判断は劣化の実態が分かってからの話です。だから私は、区や都の無料派遣で劣化診断と工法の考え方を先に聞いていただくことをお勧めしています。工法を決めてから診断する順番では、選択肢が残りません。

管理組合向け・オーナー向けのサービスの全体像は大規模修繕のサービスご案内にまとめてあります。


まとめ:今週動くこと3点

長くなりました。新宿区の管理組合とオーナーさまが、今週できることを3つに絞ります。

① 住宅課居住支援係(03-5273-3567)に電話して、令和8年度の派遣残数を確認する

マンション管理相談員派遣は1年度につき3回まで。令和8年度の枠は令和9年3月31日で切り替わり、残りはリセットされます。前の理事会が令和8年度に何回使ったかを確認しないと、残り枠が分かりません。まずここからです。

② 3点セットをそろえる

総会議事録(直近2〜3年分)、長期修繕計画書、管理規約。この3つをファイル1冊にまとめておく。理事が交代しても引き継げます。修繕積立金の残高と滞納額をメモに書き添えておくと、相談の質が変わります。

③ 理事会の年間予定と、派遣の申請日を一緒に決める

派遣は希望日の2週間前までに申請が必要です。申請書は令和8年9月1日に一部改正されているので、最新版を区のページから取ってください。年度内に3回使い切るなら、9月・12月・2月あたりに割り当てるのが現実的です。

長期修繕計画作成費等補助を使う予定があるなら、契約前に区へ申請して交付決定を受ける。この順番だけは外さないでください。完了実績報告の締切は令和9年3月31日です。


無料の相談窓口は、使わなければゼロですが、使えば専門家の時間そのものです。新宿区の管理相談員派遣は1回2時間が年度3回、管理相談は毎月2回の80分枠、なんでも相談は毎月2回、建築相談会は年度2回。これを組み合わせている管理組合と、1回も使っていない管理組合の差は、5年後の修繕積立金残高に出ます。

大規模修繕の工法や見積の読み方について、総会の前段階の整理だけでもお力になれることがあります。お問合せフォームからご相談だけでも遠慮なくお声がけください。どの制度をどの順番で使うかの整理からご一緒できます。


出典・参考資料


本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月13日時点で公表されている新宿区および国土交通省・東京都の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請される前に、必ず新宿区および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。


株式会社明誠|東京都東大和市
大規模修繕・足場工法・ロープアクセス工法(無足場工法)・ハイブリッド工法
ロープアクセス工法の専門情報:https://rope-access-method.com/

港区の管理組合が無料で使える相談・専門家派遣9つ|管理アドバイザー「合計10回」を使い切っていますか

港区の管理組合が無料で使える相談・専門家派遣9つ|管理アドバイザー「合計10回」を使い切っていますか

2026年9月13日 更新

「1回だけ来てもらって、それで終わりました」

高輪のマンションで、理事長さまからこう言われたことがあります。港区の管理アドバイザー派遣を使って、長期修繕計画(12年から30年先までの修繕工事と費用をまとめた計画書)の見直しについて専門家に一度だけ話を聞いた。それで「制度は使った」ことになっていました。

私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。東京都東大和市を拠点に、20年近くマンションやビルの外壁と向き合ってきました。足場を組む工事も、ロープ1本でぶら下がる無足場の工事も、両方やってきた人間です。

そのとき私がお伝えしたのは、「港区の派遣は、年度に関係なく合計10回まで無料ですよ」ということでした。

理事長さまは驚いていました。10回。1回ごとに論点を変えて、劣化診断の話、業者選定の話、修繕積立金の話、規約の話と積み上げていける枠が、まだ9回分残っていたのです。

私が現場で一番悔しい思いをするのは、こういう場面です。工事の見積書を前にして「もっと早く誰かに相談できていれば」とおっしゃる管理組合に、私は何度も出会ってきました。港区は23区のなかでも支援メニューが多い区で、しかも派遣回数の上限が桁違いに大きい。使い切らない理由がありません。

今日は、港区のマンション管理組合とビルオーナーが、お金をかけずに使える相談・派遣の制度を9つ、令和8年度(2026年4月1日から2027年3月31日まで)の一次情報で整理します。


結論:港区で無料で使える相談・派遣は9つある

先に一覧でお見せします。

# 制度・窓口 誰が対応するか 費用 申込先
1 管理アドバイザー派遣 区が選定した専門家 無料(年度にかかわらず合計10回) 住宅課住宅支援係 03-3578-2229
2 マンション総合窓口 区職員(マンション総合調整担当) 無料(予約不要・随時) 本庁舎6階 03-3578-2459
3 マンション管理組合運営相談 マンション管理士 無料(月2回・要予約) 住宅課住宅支援係 03-3578-2229
4 マンション管理の法律相談 弁護士 無料(月2回・要予約) 住宅課住宅支援係 03-3578-2229
5 すまいの建築相談 建築士 無料(月1回・要予約) 住宅課住宅支援係 03-3578-2229
6 マンション建替え相談 建築士 無料(月1回・要予約) 住宅課住宅支援係 03-3578-2229
7 東京都 マンション管理士無料派遣 マンション管理士 無料(各テーマ2回) 東京都マンション管理士会
8 東京都 マンションアドバイザー無料派遣 マンション管理士等 無料(届出組合1回/管理不全の兆候5回) 東京都防災・建築まちづくりセンター
9 港区マンション交流会 管理組合同士+専門家 無料(会員登録制) 住宅課住宅支援係 03-3578-2224

これに加えて、劣化診断そのものに対する費用助成(上限50万円)も港区にはあります。こちらは無料ではなく助成なので本稿の主題から外れますが、後半で触れます。

ここからが本題です。


1. 管理アドバイザー派遣:港区最大の武器は「合計10回」という上限

港区の分譲マンション等管理支援事業のなかで、私が一番もったいないと感じているのがこの制度です。

費用と回数

港区の公式ページには、こう書かれています。

項目 内容
派遣の費用 無料(すべて区で負担)
派遣の回数 年度にかかわらず合計10回までが限度
派遣場所 申請者が用意

(出典:港区「分譲マンション等管理支援事業」/更新日 2026年5月8日)

「年度にかかわらず合計10回」。ここが港区の特徴です。年度内2回、といった年度単位の枠ではなく、通算で10回という設計になっています。つまり令和8年度に3回使って、令和9年度に4回、令和10年度に3回、という配分もできる。

私はこれを、論点ごとに1回ずつ割り当てる使い方でお勧めしています。

相談できる内容

港区が示しているアドバイザー業務内容は次のとおりです。

  • 管理組合の設立および運営に関する相談
  • 管理規約、使用規則等の作成および見直しに関する相談
  • 管理費、修繕積立金等の財務に関する相談
  • 管理費、修繕積立金等の滞納に関する相談
  • 区分所有者等のマナーおよびルールに関する相談
  • 管理委託契約の契約等に関する相談
  • 修繕計画の作成および修繕積立金の設定に関する相談
  • 建築物、設備等の劣化診断および修繕工事に関する相談

大規模修繕に関わる項目が、この中に3つ入っています。「修繕計画の作成および修繕積立金の設定」「建築物、設備等の劣化診断および修繕工事」「管理委託契約の契約等」です。

私が理事会に呼ばれてお話しするとき、いつも先にお伝えしているのは「工法を決める前に、この3つを別々の回で相談してください」ということです。劣化の実態を知らずに工法を選ぶと、足場を組む前提で予算を組んでしまって、あとから選択肢が減ります。

できないこと(ここを誤解しないでください)

港区は制約も明記しています。

  • マンション管理に関する業務を、アドバイザーが作業するものではない
  • 管理組合や区分所有者等の紛争の解決や権利調整は行わない
  • 管理規約や長期修繕計画書等の作成は派遣内容に含まない

つまり「アドバイザーに長期修繕計画を作ってもらう」ことはできません。判断の材料をもらう制度であって、成果物を作ってもらう制度ではない。ここを取り違えると、派遣を受けても手応えがないまま1回分を消費してしまいます。

申込のスケジュール

ここが実務上、一番大事なところです。

項目 内容
希望日の記入 申請日から2週間以降の日付を記入
土日 対応可能
電子申請 可能
申請の締切 2月末日
派遣日の締切 第2希望を含めて3月21日

土曜・日曜の派遣に対応しているのは、理事会が平日夜か週末に開かれる管理組合にとって大きい点です。理事会当日にアドバイザーを呼ぶ、という段取りが組めます。

申請から2週間以降でないと希望日にできないので、「次の理事会で呼びたい」という思いつきでは間に合いません。理事会の年間スケジュールを決めた段階で、派遣の申請日も一緒に決めてしまうのが現実的な進め方です。

申請書類は港区の申請ページからダウンロードできます。


2. マンション総合窓口:令和8年6月に本庁舎6階へ

港区は令和8年6月9日更新のページで、マンションに関する相談を分野や所管部署を問わず最初に受け付ける窓口として「マンション総合窓口」を案内しています(出典:港区「マンション総合窓口」)。

項目 内容
場所 港区役所 本庁舎6階(看板が目印)
電話 03-3578-2459(マンション総合調整担当)
費用 無料
予約 電話相談も受付

私がこの窓口を評価しているのは、「どこに相談すればいいか分からない」段階で使えるからです。

大規模修繕の相談は住宅課、耐震は別の担当、エレベーターの安全装置はまた別。管理組合の役員は1年から2年で交代することが多く、前任者の引き継ぎメモに窓口名が書かれていないことも珍しくありません。総合窓口があれば、まずそこに電話して振り分けてもらえます。

順番としては、総合窓口で全体像を聞く → 専門相談を予約する → 管理アドバイザー派遣を申し込むという流れが無駄がありません。


3〜6. 区民相談室の専門相談:月2回のマンション管理士と弁護士

港区は区役所3階の区民相談室で、住まいに関する専門相談を分野ごとに開いています。令和8年4月1日更新の「すまいの相談一覧」から、マンションに関わる4つを抜き出します。

相談名 開催日 時間 相談員 予約締切
マンション管理組合運営相談 第2・第4火曜日 13時〜16時(1人1時間・先着3人) マンション管理士 前週の金曜正午
マンション管理の法律相談 第2・第4火曜日 13時〜16時(1人1時間・先着3人) 弁護士 前週の金曜正午
すまいの建築相談 第4火曜日 13時〜16時(1人1時間・先着3人) 建築士 前週の金曜正午
マンション建替え相談 第3火曜日 13時30分〜16時30分(1人1時間・先着3人) 建築士 前週の月曜正午

予約はすべて住宅課住宅支援係(03-3578-2229)への電話です。受付時間は平日午前8時30分から午後5時(土日祝・年末年始を除く)。

1人1時間、という枠の使い方

1人1時間という枠は、23区の管理相談としては長めです。港区の場合、第2・第4火曜日にはマンション管理士と弁護士が同じ時間帯に入っています。管理費滞納のように「運営の実務」と「法的手続き」の両面がある論点なら、両方を別の回で予約して突き合わせる、という使い方ができます。

私が現場で見てきた限り、管理費・修繕積立金の滞納は大規模修繕の資金計画を最も揺らす要因です。滞納額が積立金総額の数パーセントでも、工事の入札直前に「予定していた予算が組めない」という話になる。弁護士相談で督促の手順を確認しておくことは、工事の準備そのものだと私は考えています。

対面か電話か(リモートはなし)

相談方法は電話または対面です。港区のページには「リモート相談は行っておりません」と明記されています。申込時にどちらかを申し出る形です。電話相談を選んだ場合、相談時間になると相談員から電話がかかってきます。

対面を選んだ場合は当日、港区役所(港区芝公園一丁目5番25号)3階の区民相談室へ直接向かいます。

注意点:すまいの相談は「港区在住の人のみ」

ここは正直に申し上げます。港区のすまいの相談一覧には、はっきりこう書かれています。

港区在住の人のみとなります。在勤の人、区内に不動産を所有しているが在住していない人のご相談は受付けておりません。

港区に収益不動産をお持ちで、ご自身は別の区や県にお住まいのオーナーさまは、この専門相談の対象外です。

では手がないのか、というとそうではありません。管理アドバイザー派遣は「区内の分譲マンションの管理組合」が対象であり、居住地要件ではなく建物の所在地で判断されます。管理組合として申請する形なら、理事長さまのお住まいがどこであっても使えます。また、後述する東京都の制度は都内のマンション管理組合が対象で、こちらも区民要件はありません。

オーナーさま個人としての相談は、港区の一般の法律相談という選択肢もあります。こちらは対象が「区内在住・在勤・在学者」で、在勤の方まで広がります。

項目 内容
対象 区内在住・在勤・在学者
日時 月・金曜日 13時〜16時/水曜日 13時〜16時および17時〜19時
相談方法 対面・電話・オンライン(Microsoft Teams)
相談時間 25分
回数制限 1人につき1年度内(4月1日〜翌年3月31日)に3回まで
予約 みなとコール 03-5472-3710/港区相談予約システム

(出典:港区「相談窓口」/更新日 2026年4月8日)

水曜日に17時から19時の夜間枠があり、オンライン相談にも対応しています。平日日中に区役所へ行けない方にとっては、こちらのほうが現実的かもしれません。


7. 東京都のマンション管理士無料派遣:令和9年2月26日まで受付

区の制度と重ねて使えるのが、東京都の制度です。こちらは防災力向上と認知症対応という2つのテーマに絞られています。

令和8年度の募集内容は次のとおりです(出典:東京都マンションポータルサイト「分譲マンション向けマンション管理士無料派遣(防災力向上・認知症対応)」)。

項目 内容
対象 都内に所在するマンション管理組合
回数 1管理組合につき、防災力向上と認知症対応それぞれ2回まで
利用料 無料
受付期間 令和8年6月23日(火)〜令和9年2月26日(金)
募集数 防災力向上・認知症対応あわせて160件(達し次第締切)
申込先 東京都マンション管理士会(https://www.kanrisi.org/)
問い合わせ 東京都住宅政策本部 マンション課 03-5320-5004

ここで見落としやすい点が1つあります。派遣回数は通算でカウントされます。過去(令和5年度から令和7年度)に本事業で派遣を受けている管理組合は、その回数も各テーマ2回の上限に含まれます。「前の理事会が使ったかどうか」を確認してから申し込むほうが確実です。

受付は令和9年2月26日までですが、募集数160件に達した時点で新規の申込みは締め切られます。年度後半になるほど枠は減ると考えたほうがよいでしょう。

防災の相談が、なぜ大規模修繕の話につながるか

アドバイスの例として、東京都は「発災時の緊急対応を定める管理規約の整備方法」「災害時にも活用できる居住者等名簿の作成」などを挙げています。

一見、修繕工事とは別の話に見えます。私の経験上、これは同じ話です。

台風の翌朝、外壁のタイルが1枚落ちていた。誰がどう判断して、誰に連絡して、どこまでを緊急工事として発注するのか。この段取りが決まっていない管理組合では、落下の報告が理事長さまに届くまでに数日かかることがあります。その数日のあいだに、下に人が通っています。

居住者名簿と緊急連絡の流れを整えることは、外壁の安全管理とつながっています。私はこれを、修繕の話と切り離さずに考えていただきたいと思っています。


8. 東京都のマンションアドバイザー無料派遣:管理状況届出とセットの制度

もう1つ、東京都の制度があります。こちらは条件付きです。

(公財)東京都防災・建築まちづくりセンターが運営する「マンションアドバイザー無料派遣」は、東京都の管理状況届出制度の届出・更新を行った管理組合限定で、有料のアドバイザー派遣を無料で使える仕組みです。

区分 無料回数
届出が受理、または更新を届け出た要届出マンション 1回まで無料
うち、管理不全の兆候があるマンション 5回まで無料

1コースあたり2時間程度です。

届出の対象になるマンション

東京都の条例(東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例/平成31年3月制定、令和2年4月から届出制度開始)では、昭和58年12月31日以前に新築された、居住用の独立部分が6以上ある分譲マンションに管理状況の届出義務があります。前回の届出から5年以内ごとに更新が必要です。

つまり築40年を超えるマンションであれば、届出義務があり、届出をすればこの無料派遣の対象になります。

大規模修繕に直結するコース

無料で使えるコースのうち、修繕の検討段階で効くのは次の2つです。

コース 内容
B-5① 修繕工事検討段階での相談(建物・設備等の劣化状況の調査・診断、修繕工事の検討組織、修繕工事の方式等)
B-5② 修繕工事準備段階での相談(修繕工事の内容、業者選定の仕方、合意形成等)

B-5①に「修繕工事の方式」が入っています。ここで足場を組む方式と無足場の方式を比較する、という論点を持ち込めます。

私は自社の工事を売り込むためにこれを言っているのではありません。第三者の専門家から工法の選択肢を聞いておいていただくほうが、あとの合意形成が楽になるからです。理事会で「なぜこの工法なのか」を説明するとき、区や都の派遣で聞いた話が根拠になります。

申込は申込書に記入のうえ、FAX・メール・郵送でセンターへ。申し込みから1週間から2週間程度でアドバイザーから日程調整の連絡が入ります。問い合わせは東京都防災・建築まちづくりセンター まちづくり推進課(03-5989-1453)です。

なお、無料派遣を利用した相談内容は、東京都・マンション所在の特別区および市町村で共有される旨がセンターのページに明記されています。行政目的以外には利用しないとされていますが、把握しておいたほうがよい点です。


9. 港区マンション交流会:管理組合同士で情報を持ち寄る

制度というより「場」ですが、私はこれも支援メニューの1つだと思っています。

港区マンション交流会は、区内の分譲マンションの管理組合の理事会役員や区分所有者を対象にした会です。管理運営や維持管理の問題について情報を共有し、どう対処したかを持ち寄ることで、理事会役員の負担を軽くする趣旨とされています。

会員のメリットとして港区が挙げているのは次の4点です。

  1. マンションに関する問題を他の会員と情報共有できる
  2. マンション管理士等の専門家のアドバイスを受けられる
  3. 上記を通じて適正で円滑な運営管理の知識が身につく
  4. セミナーの開催日程や内容等の案内をメールや郵送で受け取れる

活動回数は年2回程度とされています。申込はオンライン申請、またはFAX・郵送・持参。問い合わせは住宅課住宅支援係(03-3578-2224)です。

情報の鮮度について1点お断りします。 港区の「港区マンション交流会の会員登録」ページは、本稿執筆時点(2026年9月13日)で更新日が2025年6月30日、つまり令和7年度の内容です。令和8年度の開催回数や日程が同じかどうかは、このページからは確認できません。会員登録や次回開催の予定は、住宅課へ直接お問い合わせいただくのが確実です。

私が交流会をお勧めする理由

工事の見積書を比較するとき、一番効くのは「同じ規模のマンションが、いくらでどこまでやったか」という実例です。これはインターネットで探しても出てきません。同規模・同年代のマンションの理事長さま同士が話せる場は、それだけの価値があります。

私が伺った現場でも、交流会で聞いた他組合の進め方を参考に、修繕委員会の立ち上げ方を決めた管理組合がありました。


番外:無料ではないが強力な「劣化診断費用助成」

無料ではないので9つの外に置きましたが、港区には劣化診断の費用助成があります。

項目 内容
助成額 劣化診断に要した費用の2分の1
上限額 50万円
助成回数 年度内1回限り
対象建物 区内のマンション(分譲または賃貸)/延べ面積の2分の1以上が居住用/関係法令に適合/建築後5年以上経過
対象者 区内の分譲マンション管理組合、区内の賃貸マンション経営者(個人・法人)
完了報告の締切 2月末日

(出典:港区「分譲マンション等管理支援事業」/更新日 2026年5月8日)

賃貸マンションの経営者も対象である点に注目してください。分譲の管理組合限定ではありません。港区に賃貸物件をお持ちの法人・個人オーナーさまが使える制度です。

ただし条件が厳しめです。

  • 申請が予算額に達した場合は受付終了
  • すでに診断の契約をしたもの、すでに診断を実施したものは申請できない
  • 同一項目の診断は、助成を受けてから10年経過するまで対象外
  • アスベスト関連の経費は対象外
  • 調査・診断後に要するもの(大規模修繕の見積り、長期修繕計画の作成等)は含まない

港区が示している参考スケジュールでは、11月15日に申請した場合、助成金の支払いは翌年4月末日まで。申請から入金まで半年近くかかる設計です。完了報告の最終締切が2月末日なので、年明けの申請では間に合わない可能性が高い。

管理組合の場合は、総会で劣化診断の実施が決議され、費用の予算案が承認されていることが申請の条件です。つまり総会の議決が先。秋の総会で決議して、11月から12月に申請、というのが現実的な線です。

予算額に達した時点で受付が終了する制度なので、令和8年度の予算残額については住宅課住宅支援係へ事前に確認されることをお勧めします。本稿では残額を確認できていません。


都・国の相談窓口:区の外にもタダの窓口はある

港区の窓口が対象外だった場合、あるいは区の枠を使い切った場合の行き先です。

(公財)マンション管理センター

国土交通大臣の指定を受けた「マンション管理適正化推進センター」です。指定を受けている唯一の団体とされています。

相談内容 電話
管理組合運営、管理規約等 03-3222-1517
建物・設備の維持管理 03-3222-1519

受付は月曜から金曜(祝日・年末年始を除く)の9時30分から17時。1件あたり15分前後でのアドバイスを心がけている、とされています。メールでの相談フォームもあります(出典:(公財)マンション管理センター「相談窓口について」)。

公平・中立の立場でのアドバイスが原則で、特定の弁護士や企業の紹介はしない、個別事案の適法性の判断はしない、回答は口頭のみ、という前提です。「うちのマンションの見積書は高いか安いか」を判定してもらう窓口ではありません。標準管理規約や法令に照らして一般的な考え方を確認する窓口です。

なお同センターは令和7年の法改正に対応した『マンション管理基本法令集』を令和8年6月25日に発行しています。規約の見直しを検討中の管理組合には参考になるはずです。

東京都の分譲マンション総合相談窓口

(公財)東京都防災・建築まちづくりセンターが、分譲マンションの管理・建替え・改修に関する相談に専門のマンション管理士が総合的に応じる窓口を置いています。港区自身が関連リンクとして案内している窓口です。

港区立消費者センター・法テラス

管理会社との契約や訪問販売型のリフォーム勧誘など、消費者トラブルの色が濃い話はこちらです。

窓口 電話 受付
港区立消費者センター(相談専用) 03-3456-6827 月〜土 9時30分〜16時(土は電話のみ)
東京都消費生活総合センター 03-3235-1155 月〜土 9時〜17時
法テラス(日本司法支援センター) 0570-078374 月〜金 9時〜21時、土 9時〜17時

(出典:港区「消費者の相談窓口」/更新日 2024年10月25日、港区「相談窓口」/更新日 2026年4月8日)

消費者の相談窓口ページの更新日は2024年10月です。令和8年度の受付時間が同じかどうかは、このページからは確認できません。電話番号と受付時間は、お問い合わせの前に港区のページで再確認いただくのが確実です。

高齢の区分所有者が強引な訪問販売でリフォーム契約をしてしまった、という相談を私も現場で聞いたことがあります。東京都消費生活総合センターには「高齢者被害110番」(03-3235-3366/月〜土 9時〜17時)という専用窓口もあります。

国土交通省のマンション政策情報

制度の全体像は国土交通省のマンション政策のページにまとまっています。法改正の動きを追うときはこちらが起点です。

令和7年5月30日公布の「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律」(令和7年法律第47号)が令和7年11月28日に一部施行されています。標準管理規約も令和7年に改正されました。港区も「令和7年マンション標準管理規約の改正について」というページを設けています。規約の見直しを相談内容にする場合、この改正が反映されているかが論点になります。


何を用意していけばいいか:3点セット+1

相談窓口へ行くとき、手ぶらで行くと一般論しか返ってきません。私がいつも理事長さまにお伝えしているのは、次の3点を持っていくことです。

3点セット

# 書類 なぜ必要か
1 総会議事録(直近2〜3年分) 何が決議済みで何が未決議かが分かる。相談員は「総会で何が決まっているか」を最初に確認する
2 長期修繕計画書 次の大規模修繕の時期と想定費用の前提が分かる。積立金不足の議論はここが出発点
3 管理規約(+使用細則) 工事の決議要件、専有と共用の区分、理事会の権限が書かれている

港区の管理アドバイザー派遣では、相談内容に応じて管理規約・使用規則・管理委託契約書・会計関係資料・総会や理事会の議事録・長期修繕計画書・修繕工事の履歴資料を借りることがある、とされています。求められる資料はおおむねこの範囲です。

+1:修繕積立金の残高と滞納額

3点セットに加えて、修繕積立金の現在残高と滞納額を数字で言えるようにしておいてください。この2つの数字があるかないかで、相談の解像度が変わります。

「積立金は足りていますか」と聞かれて「たぶん足りないと思います」と答える理事長さまを、私は何度も見てきました。残高が分からないと、工法の選択肢も絞れません。

写真があればもっといい

外壁のひび割れ、タイルの浮き、鉄部のさび、屋上の防水層の膨れ。スマートフォンで撮った写真で構いません。建築相談で建築士と話すとき、写真1枚が説明の10分を短縮します。

撮影の日付が分かるようにしておくと、劣化の進行を後から追えます。


港区の物件で、私が工法の話を急がない理由

ここで工法の話に少し触れます。

港区は高層・超高層の物件が多い区です。芝浦港南地区の湾岸エリアには足場を組むことが難しい建物もあります。敷地に余裕がなく、隣地との距離が取れない物件もあります。

こういう建物で、足場を組む前提だけで予算を組むと、見積金額が想定を大きく超えることがあります。仮設足場の費用は工事全体の2割から3割を占めることも珍しくありません。そこで選択肢として出てくるのが、ロープアクセス工法(無足場工法)です。産業用ロープで作業員が壁面に取り付き、足場を組まずに塗装や補修を行う方法です。

私は「ロープアクセスがいつでも安い」とは申し上げません。全面的にタイルを貼り替えるような工事では、足場のほうが適している場面もあります。私が提案しているのは、部位ごとに足場と無足場を使い分けるハイブリッド工法という選び方です。この考え方は明誠の考え方にまとめています。

無足場工法の技術的な中身や適した建物の条件は、ロープアクセス工法の専門サイト(rope-access-method.com)に整理してあります。作業手順や安全管理の考え方も同じサイトにまとめました。無料相談に行かれる前にこちらに目を通しておかれると、アドバイザーへの質問の質が上がると思います。

ただ、この判断は劣化の実態が分かってからの話です。だから私は、区や都の無料派遣で劣化診断と工法の考え方を先に聞いていただくことをお勧めしています。工法を決めてから診断する順番では、選択肢が残りません。

管理組合向け・オーナー向けのサービスの全体像は大規模修繕のサービスご案内にまとめてあります。


まとめ:今週動くこと3点

長くなりました。港区の管理組合とオーナーさまが、今週できることを3つに絞ります。

① マンション総合窓口(03-3578-2459)に電話して、過去の利用履歴を確認する

管理アドバイザー派遣は通算10回。東京都の管理士派遣も令和5年度からの通算でカウントされます。前の理事会が何回使ったかを確認しないと、残り枠が分かりません。まずここからです。

② 3点セットをそろえる

総会議事録(直近2〜3年分)、長期修繕計画書、管理規約。この3つをファイル1冊にまとめておく。理事が交代しても引き継げます。修繕積立金の残高と滞納額をメモに書き添えておくと、相談の質が変わります。

③ 理事会の年間予定と、派遣の申請日を一緒に決める

港区の管理アドバイザー派遣は、申請日から2週間以降の日付でないと希望日にできません。申請締切は2月末日、派遣日の締切は3月21日。土日の派遣に対応しているので、理事会の日に合わせて呼べます。年間予定を立てる段階で申請日を決めてしまうのが確実です。

東京都のマンション管理士無料派遣は令和9年2月26日まで受付ですが、160件に達した時点で締切です。防災か認知症対応のテーマで使う予定があるなら、年度後半を待たないほうがいいでしょう。


無料の相談窓口は、使わなければゼロですが、使えば専門家の時間そのものです。港区の管理アドバイザー派遣は合計10回。1回1時間の専門相談が月2回。これを使い切っている管理組合と、1回で終わっている管理組合の差は、5年後の修繕積立金残高に出ます。

大規模修繕の工法や見積の読み方について、総会の前段階の整理だけでもお力になれることがあります。お問合せフォームからご相談だけでも遠慮なくお声がけください。どの制度をどの順番で使うかの整理からご一緒できます。


出典・参考資料


本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月13日時点で公表されている港区および国土交通省・東京都の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請される前に、必ず港区および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。


株式会社明誠|東京都東大和市
大規模修繕・足場工法・ロープアクセス工法(無足場工法)・ハイブリッド工法
ロープアクセス工法の専門情報:https://rope-access-method.com/

新宿区のマンション漏水・防災対策|神田川・妙正寺川と「川から離れた着色」から逆算する修繕優先順位

新宿区のマンション漏水・防災対策|神田川・妙正寺川と「川から離れた着色」から逆算する修繕優先順位

2026年9月13日 更新

新宿区のオーナーさまから、以前こんなご質問をいただいたことがあります。「うちのマンションは川から500mくらい離れているのに、区のハザードマップで色が付いている。これは印刷ミスじゃないのか」。

印刷ミスではありません。あれは、新宿区の水害リスクを理解するうえで、いちばん大事な部分です。

私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。東京都東大和市を拠点に、20年近くマンションやビルの外壁と向き合ってきました。足場を組む工事も、ロープ1本でぶら下がる無足場の工事も、どちらもやってきた人間です。

今日は、新宿区が公表している最新のハザード資料から逆算して、新宿区のマンション・ビルで先に手を打つべき漏水ポイントと、防災上の共用部の修繕優先度、そして令和8年度に実際に使える区の支援を整理します。区の支援については、使えないものは「使えない」と正直に書きます。よその区の制度と混同すると、予算の組み方そのものが狂うからです。


結論:新宿区は「川より、足元の雨」を先に考える区です

先に結論を3つ申し上げます。

1つ目。新宿区で警戒すべき主役は、川の氾濫より内水です。 内水とは、下水道や排水路が雨をさばききれずにあふれる現象のこと。川から水が来るより先に、降った雨が足元からあふれてきます。冒頭のオーナーさまが見た「川から離れた着色」は、これです。

2つ目。新宿区には、外壁・防水といった大規模修繕そのものに使える区独自の助成はありません。 板橋区・港区などにある止水板設置助成も、新宿区にはありません。ここを勘違いしたまま長期修繕計画を組むと、あとで資金計画に穴が空きます。

3つ目。それでも、無料で使える支援は複数あります。 特に区のマンション管理相談員派遣は、年度内3回まで無料。大規模修繕の進め方そのものを、第三者の専門家に相談できます。

ここからが本題です。


新宿区のハザード資料を1枚で読む

新宿区が公表しているハザード資料は、大きく3種類です(出典:新宿区「ハザードマップ(災害危険個所図)」)。

1. 新宿区洪水ハザードマップ(令和7年8月改定・2026年8月25日更新)

想定している雨は、総雨量690mm・時間最大雨量153mmという想定最大規模降雨です。表面が洪水(外水)と雨水出水(内水)、裏面が高潮という構成になっています。

直近では、東京都港湾局が「高潮浸水想定区域図(令和6年12月)」を公表したことを受けて、令和7年8月に改定されました。あわせて、避難行動判定フローが裏面に掲載されています(出典:新宿区「新宿区洪水ハザードマップ」/2026年8月25日更新)。

ここで、冒頭の質問に答えます。区は同じページのQ&Aで、こう明記しています。河川沿いに赤い実線で示された「洪水浸水想定区域」の外に着色されている部分が、「雨水出水浸水想定区域」による浸水を示している。つまり、川から離れた着色は内水の想定なのです。

なお、水防法に基づく内水のハザードマップは「一部有」という扱いで、洪水(外水)と重複する範囲については作成されていません。そして令和8年3月に、東京都下水道局から雨水出水浸水想定区域が公表されています。

もう1つ、見落とされやすい記述があります。区は、白く塗られていない部分も0.1m未満の浸水が発生する可能性を表していると説明したうえで、「特に内水氾濫については、雨水桝等が清掃されていない場合等に適切な排水がなされず局所的に内水氾濫を起こす可能性があります」と書いています。

これは行政の文章としては、かなり踏み込んだ表現だと私は思います。要するに、掃除がされていなければ、地図が白い場所でも水は出るということです。建物側でいえば、屋上ドレン(排水口)とバルコニー排水口の清掃が、そのまま同じ意味を持ちます。

2. 新宿区土砂災害ハザードマップ(令和元年度版/追補版は令和7年10月16日更新)

「新宿区に崖はない」と思っておられる方は、けっこういらっしゃいます。実際には、新宿区は土砂災害警戒区域・特別警戒区域の指定がある区です。

マップ本体は令和元年度版ですが、土砂災害対策工事の完了にともなって区域の一部が変更されており、区は追補版(令和7年10月16日更新)を別PDFで公開しています(出典:新宿区「新宿区土砂災害ハザードマップ」/2025年10月24日更新)。

本体だけを見て「うちは区域外」と判断すると、追補版の変更を見落とします。2つセットで確認してください。

3. 新宿区がけ・擁壁ハザードマップ

こちらは建築指導課が作成しているもので、危機管理課のページからリンクされています。ただし、そのリンク元ページの最終更新日は2019年12月18日のままです。最新の運用や助成の条件は、後述する擁壁の支援事業のページ(2026年4月1日更新)で確認するほうが確実です。

あわせて見るべき2つの地図

区は各浸水想定区域図を「新宿区みんなのGIS」に搭載しており、住所検索と浸水深ポップアップが使えます。紙のマップより、自分の建物の位置を特定しやすいはずです。

もう1つが道路の冠水履歴です(出典:新宿区「道路の冠水履歴」/2026年4月17日更新)。平成元年度から令和7年度までが4分割のPDFで公開されています。ただし区は、これが区道の冠水履歴であって家屋の浸水を示したものではないこと、道路課で確認した概略の位置であり区内すべての履歴ではないことを明記しています。過大にも過小にも読まないほうがよい資料です。


地域特性と漏水事故の関係

落合・下落合・中井——妙正寺川と神田川が合わさる低地

新宿区の水害史で、いまも語られるのが平成17年9月4日の集中豪雨です。新宿区議会が平成17年10月に提出した意見書には、この豪雨で妙正寺川が氾濫し、新宿区内で床上浸水101世帯・床下浸水59世帯(同年10月10日現在)という被害が出たことが記されています。あわせて、妙正寺川・北原橋周辺の護岸が老朽化により40mにわたって損壊したこと、当時の河川改修が大半は時間降雨30mm対応だったことも書かれています(出典:新宿区議会「神田川・妙正寺川の治水対策を早急に実現することを求める意見書」/平成17年10月)。

20年以上前の資料です。ただ、このエリアの建物を見るときに、私はこの数字を頭に置いています。一度水が来た場所は、地形が変わらないかぎり、また来る可能性があるからです。

低地のマンションで私が最初に確認するのは、地下ピットと1階の設備がどこにあるか、そして敷地内の雨水排水がどこへ流れるかです。外壁の話に入る前に、まずそこを見ます。

新宿駅周辺・西新宿——超高層と風の雨

西新宿の超高層ビル群と、その周辺の大型マンション。ここで効いてくるのは、雨量よりも風です。

高層階では、雨は上から落ちてくるのではなく、横から、ときには下から吹き上がってきます。サッシまわりのシーリングと水切り、バルコニー手すり壁の天端(てんば=上端の面)が、真っ先に痛みます。地上から見上げても、この劣化はまず分かりません。

そして高層になるほど、足場という選択肢のコストが跳ね上がります。全面足場を組めば、仮設費だけで工事費のかなりの部分を占めることになる。ロープアクセス工法(産業用ロープで壁面を上下しながら作業する無足場の工法)であれば、傷んでいる面だけ、必要な高さだけを狙って調査・打ち替えができます。工法の使い分けの考え方はロープアクセス工法のご紹介と、施工事例をまとめた https://rope-access-method.com/ に整理してあります。

四谷・市谷・神楽坂——谷筋と古いビル

地名に「谷」が入る場所は、たいてい本当に谷です。四谷、市谷、そして神楽坂の坂下。水は必ず低いほうへ集まります。

このエリアは築年数の経った中小ビルが多く、屋上防水の押さえコンクリートの下で水がまわっているケースにしばしば出会います。表面からは見えません。だからテナントさまから「天井にシミが出ました」と言われたときには、すでに広い範囲に水が入っている。

もう1つ、谷筋の建物で忘れられがちなのが地下室の浸水対策届出です。新宿区では、洪水ハザードマップ上で想定浸水深0.1m以上の区域に地下室等を設ける建築物について、浸水対策を講じて届出書を提出することとされています。対策例として、防水板の設置、マウンドアップ、開口部の嵩上げ、排水ポンプが挙げられています(出典:新宿区「地下室の浸水対策」。※このページの最終更新日は2024年4月1日で、令和6年度時点の内容です。実際の届出要否は建築指導課 指導係 設備担当 03-5273-3745 へご確認ください)。

戸山・若松町・早稲田——台地と擁壁

戸山の箱根山周辺をはじめ、新宿区には高低差の大きい場所がいくつもあります。台地側の建物で見落とされやすいのが、擁壁の水抜き穴です。

私が現場で一番悔しい思いをするのは、水抜き穴が土や落ち葉で完全に埋まっているのに、誰もそれを「点検項目」だと思っていなかった、という場面です。清掃だけなら、費用はほとんどかかりません。それで擁壁の寿命が延びることもあります。


大規模修繕で見るべき漏水ポイント7つ

立地にかかわらず、私が調査でチェックする順番です。

# 部位 見るポイント
1 屋上ドレン(排水口) ストレーナー(ゴミ受け)の有無、詰まり、周囲の防水の納まり
2 屋上防水 膨れ、破断、立上りの浮き、押さえコンクリートのひび
3 バルコニー・開放廊下の排水 排水口の詰まり、床防水の立上り高さ
4 外壁シーリング 切れ、肉やせ、剥離。特に異種材料の取り合い部
5 サッシまわり シーリングの切れ、水切りの変形、ビス穴からの浸入
6 防水立上り 高さが足りているか、端部の押さえ金物が浮いていないか
7 エキスパンションジョイント カバーの変形、シールの切れ。地震後は特に

新宿区の場合、1と3を最優先に置いています。区自身が「雨水桝等が清掃されていない場合等に適切な排水がなされず局所的に内水氾濫を起こす可能性」と書いているのと、まったく同じ理屈が建物の上でも起きるからです。しかもこの2つは、費用がほとんどかかりません。漏水の原因調査そのものについては漏水・雨漏り調査にまとめました。


漏水の緊急対応で、ロープアクセスが強い理由

台風が過ぎたあと、電話が鳴ります。「上階の外壁から水が入っている、見てほしい」。

このとき、足場を組んでいたら間に合いません。仮設足場は、計画・近隣説明・資材搬入・組立てで、どんなに急いでも数日から数週間かかります。新宿区のように隣地との離れが取れない敷地、道路が狭い場所では、そもそも組めないこともあります。

ロープアクセスなら、屋上にアンカーを取れる条件が整っていれば、当日または翌日に人を降ろして、目視と触診で原因を特定できます。応急のシール処置まで同じ日に済むこともあります。

もちろん万能ではありません。作業面積が広い場合、部材の搬入量が多い場合、下地補修が全面に及ぶ場合は、足場のほうが結果的に安く早い。だから私は、足場とロープアクセスを部位ごとに使い分けるハイブリッド工法を提案することが多いです。「どちらが優れているか」ではなく「この建物のこの面はどちらか」という考え方です。判断の基準は https://rope-access-method.com/ に工法別で整理しています。


防災上の共用部——どこから直すか

内水と地震の両方を考えると、新宿区の共用部の優先度はこうなります。

共用部 新宿区での注意点 優先度
受変電設備(キュービクル) 地下・1階設置が多い。浸水すると全館停電 ★★★
給水ポンプ・受水槽 停電すると上階が断水。高層ほど影響が大きい ★★★
エレベーター機械室・ピット ピット浸水で長期停止。高層では生活が成り立たなくなる ★★★
地下駐車場・地下倉庫の開口部 届出対象の可能性。スロープ上端の高さと排水ポンプ ★★★(谷筋・低地)
避難通路(開放廊下・階段) 排水詰まりと防水立上りの高さ ★★
自家発電設備 燃料の備蓄量と、燃料タンクの設置階 ★★
外構・擁壁 水抜き穴、排水溝、斜面側の排水経路 ★★(台地側は★★★)

電気室の位置は、後から動かすのが非常に大変です。 移設が難しい場合は、防水扉・止水板・防水シャッターといった「入れない」対策と、機器の嵩上げ(かさあげ)を組み合わせることになります。

私はいつも理事長さまに、「大規模修繕の設計段階で、電気室の浸水対策も一緒に検討しませんか」とお伝えしています。別々にやると、足場も申請も近隣説明も二度手間になるからです。ビルオーナーさま向けのご提案、管理組合さま向けのご提案は、この一体検討を前提に組み立てています。


新宿区の支援——令和8年度に実際に使えるもの、使えないもの

ここは正直に書きます。

まず「無い」もの

  • 止水板設置助成は、新宿区にはありません。 港区(上限150万円)、板橋区、品川区、大田区などにはありますが、新宿区の助成・融資一覧には記載がありません。
  • 外壁塗装・防水・給排水管更新といった大規模修繕そのものへの区独自助成もありません。 区のマンション向け助成は、耐震改修、エレベーター防災改修、長期修繕計画の作成費、省エネ機器の4系統に絞られています。

他区の事例を紹介するブログ記事は多いのですが、区が違えば制度も違います。予算書に「区の助成◯◯万円」と書く前に、必ず新宿区の一次情報でご確認ください。

使えるもの1:長期修繕計画作成費等補助事業

項目 内容
助成額 補助対象経費(消費税等を除く)の2分の1、20万円を限度
対象 区内マンション管理組合が当該年度に行う長期修繕計画の作成・見直しの委託経費(工事費は対象外)
主な要件 区分所有者5人以上/延べ面積の過半が住宅用途/建築後5年以上/計画期間30年以上/総会等の決議/交付決定後に着手(既契約・実施済は不可)
完了実績報告 令和9年3月31日まで
窓口 都市計画部 住宅課 居住支援係 03-5273-3567

(出典:新宿区「長期修繕計画作成費等補助事業」/2026年6月1日更新)

同じページには、管理計画認定を取得したマンション向けの宅配ボックス設置補助(補助対象経費の20%・上限20万円)と、管理計画認定手続支援サービス手数料補助(上限5万円)も掲載されています。

なお、令和8年度の申請受付開始日・締切日は区のページに印字がありません。必ず住宅課へ直接ご確認ください。

使えるもの2:マンション管理相談員派遣(無料)

マンション管理士・一級建築士・弁護士などを、総会や理事会、専門委員会に派遣してもらえる制度です。1回2時間、同一マンション年度3回まで、無料。派遣希望日の2週間前までに理事長名で申請します(電子申請も可)。窓口は住宅課 居住支援係 03-5273-3567(出典:新宿区「新宿区マンション管理相談員派遣」/2026年9月1日更新)。

費用はかかりません。私の立場から申し上げるのも妙な話ですが、大規模修繕の進め方に不安があるなら、まずここを使うのが順番として正しいと思います。施工会社の説明だけで判断するより、第三者の目を一度入れたほうが、理事会としての納得感がまるで違います。

このほか、原則毎月第2・第4金曜のマンション管理相談(予約制・無料)、区のマンション管理セミナー(令和8年度は全3回、第2回は分譲向けで11月開催予定)、情報誌「新宿マンション〜彩り〜」(第2号「大規模修繕のきほん」、第3号「大規模修繕工事の進め方」)もあります。

使えるもの3:擁壁及びがけ安全化対策支援事業

台地側・斜面地の物件をお持ちなら、金額が大きいのはこちらです。

項目 内容
築造工事費助成 助成対象工事費の3分の2。上限は土砂災害警戒区域・特別警戒区域内3,500万円、それ以外1,500万円
土砂災害対策工事費助成 助成対象工事費の3分の2、上限1,200万円
専門家派遣 擁壁コンサルタント派遣/土砂災害アドバイザー派遣(無料)
令和8年度 受付期間 工事費助成:令和8年4月1日〜10月30日/擁壁コンサルタント派遣:〜12月28日/土砂災害アドバイザー派遣:〜11月27日
工事完了報告 令和9年2月12日まで
窓口 都市計画部 建築指導課 指導係 構造担当 03-5273-3745

(出典:新宿区「擁壁及びがけ安全化対策支援事業」/2026年4月1日更新)

ここで強くお伝えしておきたいことがあります。区は、交付決定通知前に工事契約をすると助成を受けられないと明記しています。また予算の範囲内であり、受付期間内でも募集が終了することがあります。工事を終えてから申請しても間に合いません。段取りの順番が、そのまま使えるか使えないかを分けます。

使えるもの4:耐震改修工事への助成

昭和56年5月31日以前に着工したS造・RC造・SRC造の分譲マンションで、Is値0.6未満を0.6相当以上にする工事が対象です。分譲マンション(延べ1,000㎡以上かつ地上3階以上、区分所有者2以上)で工事費の3分の1・上限4,000万円、緊急輸送道路沿道マンションでは対象事業費の6分の5・上限1億円という水準です。

令和8年度の申請受付は令和8年10月末まで、完了実績報告は令和9年2月5日までとされています(出典:新宿区「非木造:耐震改修工事への助成」。※助成内容のページは2025年4月1日更新=令和7年度時点の表示のままです。令和8年度の受付期限はこちらのページ(2026年4月1日更新)に基づきます。金額の最新値は防災都市づくり課 耐震担当 03-5273-3829 へご確認ください)。


背景データ:インフラ側はどこまで受け止めてくれるのか

「昔はこんなに漏らなかった」というお声を、本当によくいただきます。感覚の問題ではありません。

気象庁は、全国のアメダスで観測した1時間降水量50mm以上の年間発生回数について、統計期間の初めごろと比べて増加していることを公表しています(出典:気象庁「大雨や猛暑日など(極端現象)のこれまでの変化」)。

一方で、インフラ側の備えも進んでいます。神田川・環状七号線地下調節池は、貯留量54万m³、トンネル延長4.5km、内径12.5mという規模の施設で、神田川・善福寺川・妙正寺川の3か所に取水施設を持っています。妙正寺川の取水施設は平成19年3月の供用開始です。最大取水量は平成25年9月15日の台風18号で540,000m³(満水)。直近では令和7年7月10日の豪雨で129,000m³を貯留しています(出典:東京都建設局「調節池」/2026年8月13日更新、および東京都建設局「令和7年7月10日の豪雨における調節池等の効果」/2025年9月5日更新)。

ここが肝心なところです。インフラは、川の水位を下げてくれます。しかし、あなたの屋上に溜まった雨は下げてくれません。 新宿区のハザードマップが前提にしている時間最大153mmという雨は、下水道の整備水準を大きく超えます。受けきれない分は、建物側で受け止めるしかない。これが、私が屋上ドレンとバルコニー排水口を最優先に挙げる理由です。

なお、詳細な浸水深を数値で確認したい場合は、東京都建設局の浸水リスク検索サービスで、ハザードマップに記載されていない浸水深10cm未満のデータまで確認できます。


まとめ:今週、理事会・管理会社に投げられる3点

長くなりました。新宿区の建物で、今週すぐ動けることを3つに絞ります。

1. ハザードマップの「川から離れた着色」に自分の建物が入っているかを確認する

新宿区洪水ハザードマップか新宿区みんなのGISで、住所から浸水深を見る。土砂災害の区域は本体(令和元年度版)だけでなく、追補版(令和7年10月16日更新)もあわせて見る。10分で終わります。

2. 屋上ドレンとバルコニー排水口の清掃記録を、管理会社に出してもらう

直近1年で何回清掃したか。ストレーナーは付いているか。区自身が「清掃されていなければ局所的に内水氾濫が起こり得る」と書いています。建物の上でも、理屈はまったく同じです。

3. 長期修繕計画の見直し時期を確認し、補助の対象になるか住宅課に聞く

作成・見直しの委託費が対象で、2分の1・上限20万円。ただし交付決定後に着手が条件です。すでに契約済みだと対象外になります。あわせて、無料のマンション管理相談員派遣(年度3回まで)も、同じ住宅課 03-5273-3567 が窓口です。

10月までに動けるかどうかが、今シーズンの分かれ目です。理事会で1分だけでも、この話題を出してみてください。調査だけ、ご相談だけでも構いません。総会前の整理の段階から、お力になれることがあります。お問合せフォームからお声がけください。


本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月13日時点で公表されている新宿区および国土交通省・気象庁・東京都の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請される前に、必ず新宿区および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。本文中、最終更新日が令和7年度以前のページを参照した箇所には、その旨を都度明記しました。ハザードマップの被害想定は東京都および区が公表したものであり、実際の被害状況と異なることがあります。


出典・参考資料


関連ページ

ロープアクセス工法の詳しい解説・施工事例はこちら → https://rope-access-method.com/

港区のマンション漏水・防災対策|台地と埋立地、2つの顔から逆算する修繕優先順位

港区のマンション漏水・防災対策|台地と埋立地、2つの顔から逆算する修繕優先順位

2026年9月13日 更新

港区のマンションを2棟持っておられるオーナーさまから、以前こう言われたことがあります。「同じ港区なのに、白金の物件と港南の物件で、傷み方がまるで違う」。

私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。東京都東大和市を拠点に、20年近くマンションやビルの外壁と向き合ってきました。足場を組む工事も、ロープ1本でぶら下がる無足場の工事も、両方やってきた人間です。

先ほどのオーナーさまの実感は、まったく正しいと私は思います。港区は、麻布・赤坂・高輪の台地と崖地、そして芝浦・港南・台場の埋立地という、性格のまったく違う2つの地形を1つの区に抱えています。同じ区内でも、警戒すべき災害の種類が違うのです。

今日は、港区が公表している最新のハザード資料から逆算して、港区のマンション・ビルで先に手を打つべき漏水ポイントと、防災上の共用部の修繕優先度を整理します。


結論:港区は「地形で対策を分ける」区です

先に結論から申し上げます。港区の建物では、まず自分の建物がどちらの地形に立っているかを決めてから、対策の順番を組みます。

立地 該当エリアの例 最優先の対策
埋立・沿岸(低地) 芝浦、港南、海岸、台場、東新橋 地下・1階の電気設備の浸水対策/塩害を前提とした外壁シーリング
谷筋・低地(内陸) 新橋、虎ノ門、浜松町、三田、古川沿い 屋上防水とドレン清掃/開口部の止水
台地・崖地 麻布、赤坂、高輪、白金、六本木 擁壁の水抜き穴と排水/斜面側の外壁面

そのうえで、どの立地でも共通して最優先なのは屋上ドレン(排水口)の詰まりです。私が現場で見てきた漏水事故の大半は、河川の氾濫ではなく、ドレンの詰まりとシーリングの切れから始まっています。派手な災害より、地味な詰まりのほうが、はるかに高い確率で建物を傷めます。

ここからが本題です。


港区のハザード資料を1枚で読む

港区が公表している主な資料は、次の5種類です(出典:港区「ハザードマップ」/2026年9月9日更新)。

1. 浸水ハザードマップ(洪水・雨水出水)

総雨量690mm・時間最大雨量153mmという想定最大規模降雨が降った場合の想定です。対象は城南地区河川流域、隅田川及び新河岸川流域、江東内部河川流域の3流域。浸水深は10m四方のメッシュで示されています。

このマップは、令和8年3月に東京都下水道局が水防法に基づく雨水出水(内水)浸水想定区域を指定・公表したことを受けて、令和8年7月1日に洪水と雨水出水を合わせた形へ更新されました。ただし区の説明によれば、浸水区域と深さそのものは令和6年4月版から変わっていません。元になった平成31年のシミュレーションが、すでに外水と内水の両方が同時に起こる前提で計算されていたためです(出典:港区「浸水ハザードマップ」/2026年9月1日更新)。

ここは読み違えやすいところなので補足します。「内水」とは、下水道や排水路が雨をさばききれずにあふれる現象のことです。川から水が来るより先に、降った雨が足元からあふれてくる。港区のマンションで実際に起きやすいのは、圧倒的にこちらです。

2. 高潮浸水ハザードマップ

台風や発達した低気圧で海面が大きく上昇する高潮の想定です。令和6年12月に東京都が改定した高潮浸水想定区域図を反映し、こちらも令和8年7月1日に更新されています。芝浦・港南・海岸・台場といった沿岸部を持つ港区にとって、実務上の重みが大きい資料です。

3. 津波ハザードマップ(令和6年3月)

元禄関東地震(M8.5)を想定した区独自のマップで、2つのケースが用意されているのが特徴です。

ケース 前提 津波最大水位
ハザードマップA 防潮堤・水門・古川護岸が健全に機能 T.P.+3.2m
ハザードマップB すべての防潮施設が機能不全(最悪想定) T.P.+3.3m

区の資料では、地震直後に区内で65〜74cm程度の地盤沈下が予測されること、津波の第一波が地震発生から約70分後、最大となる第二波が約150分後に到達するとされています。区内には津波避難ビルが22か所指定されています。

なお港区は、津波防災地域づくりに関する法律に基づく津波災害警戒区域の指定はありません。マップがあることと区域指定があることは別の話なので、ここは混同しないほうがよいと思います。

4. 液状化マップ・揺れやすさマップ(令和6年3月)

区の資料には、沿岸部の大部分で液状化の発生が見込まれる地域が広く存在すると明記されています。津波の浸水予測でも、液状化による地盤沈下を0〜7cm(平均的条件)と0〜20cm(厳しい条件)の2通りで織り込んでいます。

液状化は地震の話に見えますが、私の実感では漏水の話でもあります。地盤が動けば、建物と外構の取り合い、埋設配管、エキスパンションジョイント(建物どうしのつなぎ目)に無理がかかります。地震のあと数か月してから漏り始める、というケースを私は何度も見てきました。

5. 土砂災害ハザードマップ(令和元年度指定)

港区は「都心=崖はない」というイメージと違い、土砂災害警戒区域の一部指定がある区です。マップは芝地区、麻布・赤坂地区、麻布地区、芝・高輪地区、高輪地区に分かれています。

区域の指定・解除・変更は毎年のように動いています。区が公表している直近の動きだけでも、南麻布一丁目で令和7年3月19日に新たな指定、六本木五丁目と三田一丁目で令和7年10月16日に変更、赤坂九丁目で令和8年6月24日に変更、麻布台一丁目で令和8年6月24日に解除がありました(出典:港区「土砂災害に備えて」/2026年7月1日更新)。

港区のマップ自体は令和元年度指定時点のものなので、最新の区域は東京都の土砂災害警戒区域等マップで確認するのが実務上は確実です。


地域特性と漏水事故の関係

芝浦・港南・台場——塩害とタワーの高さ

湾岸の建物で私がいつも最初に見るのは、シーリングの表面です。海が近い場所では、外壁に塩分が乗ります。塗膜とシーリングの劣化が、内陸より一段早く進む。同じ12年周期で回していても、湾岸の建物のほうが切れ始めが早い、というのが私の経験上の感覚です。

そしてタワーマンションの場合、もう1つ厄介なのが風です。高層階では、雨は上から落ちてくるのではなく、横から、ときには下から吹き上がってきます。サッシまわりのシーリングと水切り、バルコニー手すり壁の天端(てんば=上端の面)が、真っ先に効いてきます。

ここは足場の有無でも差が出るところです。タワーで全面足場を組むと、仮設費が工事費のかなりの部分を占めます。ロープアクセス工法(産業用ロープで壁面を上下しながら作業する無足場の工法)であれば、傷んでいる面だけ、必要な高さだけを狙って打ち替えるという進め方ができます。工法の使い分けについてはロープアクセス工法のご紹介と、施工事例をまとめた https://rope-access-method.com/ に整理してあります。

新橋・虎ノ門・浜松町・古川沿い——低地と古いビル

古川(渋谷川の下流部、天現寺橋から下流の4.4km区間)の流域は、港区が長く水害と向き合ってきたエリアです。平成11年8月29日の集中豪雨では大きな被害が出ました。現在は東京都が整備した古川地下調節池が機能しており、平成28年8月20日の集中豪雨では6,000㎥の流入実績があったと区は公表しています(出典:港区「古川地下調節池について」)。

インフラ側の備えは進んでいます。ただ、それでも建物側でやることは残ります。このエリアは築年数の経った中小ビルが多く、屋上防水の押さえコンクリート下で水がまわっているケースにしばしば出会います。表面からは見えません。だから、入居テナントさまから「天井にシミが出た」と言われたときには、すでに広範囲に水が入っている。

麻布・赤坂・高輪・白金——斜面と擁壁

台地側の建物で見落とされやすいのが、擁壁の水抜き穴です。港区は擁壁の点検ポイントを明示しており、「水抜き穴がない/数が少ない/詰まっている」「傾斜や膨らみがある」「増し積みをしたもの」などを注意が必要な擁壁として挙げています(出典:港区「がけや擁壁の安全対策」/2025年10月16日更新)。

私が現場で一番悔しい思いをするのは、擁壁の水抜き穴が土や落ち葉で完全に埋まっているのに、誰もそれを「点検項目」だと思っていなかったという場面です。清掃だけなら、費用はほとんどかかりません。


大規模修繕で見るべき漏水ポイント7つ

立地にかかわらず、私が調査でチェックする順番です。

# 部位 見るポイント
1 屋上防水 膨れ、破断、立上りの浮き、押さえコンクリートのひび
2 屋上ドレン(排水口) ストレーナー(ゴミ受け)の有無、詰まり、周囲の防水の納まり
3 外壁シーリング 切れ、肉やせ、剥離。特に異種材料の取り合い部
4 バルコニー・開放廊下の排水 排水口の詰まり、床防水の立上り高さ
5 防水立上り 高さが足りているか、端部の押さえ金物が浮いていないか
6 サッシまわり シーリングの切れ、水切りの変形、ビス穴からの浸入
7 エキスパンションジョイント カバーの変形、シールの切れ。地震後は特に

この7つのうち、1・2・4は費用がほとんどかからず、効果が大きい。だから私は、いきなり大規模修繕の話をする前に、まずここを見てくださいとお伝えしています。漏水の原因調査そのものについては漏水・雨漏り調査にまとめました。


漏水の緊急対応で、ロープアクセスが強い理由

台風が過ぎたあと、電話が鳴ります。「上階の外壁から水が入っている、見てほしい」。

このとき、足場を組んでいたら間に合いません。仮設足場は、計画・近隣説明・資材搬入・組立てで、どんなに急いでも数日から数週間かかります。狭小地や隣地との離れがない建物なら、そもそも組めないこともあります。

ロープアクセスなら、屋上にアンカーを取れる条件が整っていれば、当日または翌日に人を降ろして、目視と触診で原因を特定できます。応急のシール処置まで、同じ日に済むこともあります。

もちろん万能ではありません。作業面積が広い場合、部材の搬入量が多い場合、下地補修が全面に及ぶ場合は、足場のほうが結果的に安く早い。だから私は、足場とロープアクセスを部位ごとに使い分けるハイブリッド工法を提案することが多いです。「どちらが優れているか」ではなく「この建物のこの面はどちらか」という考え方です。判断の基準は https://rope-access-method.com/ に工法別で整理しています。


防災上の共用部——どこから直すか

浸水と地震の両方を考えると、共用部の優先度はこうなります。

共用部 港区での注意点 優先度
受変電設備(キュービクル) 地下・1階設置が多い。浸水すると全館停電 ★★★
給水ポンプ・受水槽 停電すると上階が断水。高層ほど影響が大きい ★★★
エレベーター機械室・ピット ピット浸水で長期停止。タワーでは生活が成り立たなくなる ★★★
自家発電設備 燃料の備蓄量と、燃料タンクの設置階 ★★
避難通路(開放廊下・階段) 排水詰まりと防水立上りの高さ ★★
機械式駐車場ピット 排水ポンプの能力と非常電源の有無 ★★
外構・擁壁 水抜き穴、排水溝、斜面側の排水経路 ★★(台地側は★★★)

電気室の位置は、後から動かすのが非常に大変です。 移設が難しい場合は、防水扉・止水板・防水シャッターといった「入れない」対策と、機器の嵩上げ(かさあげ)を組み合わせることになります。

私はいつも理事長さまに、「大規模修繕の設計段階で、電気室の浸水対策も一緒に検討しませんか」とお伝えしています。別々にやると、足場も申請も近隣説明も二度手間になるからです。ビルオーナーさま向けのご提案、管理組合さま向けのご提案は、この一体検討を前提に組み立てています。


港区の助成——防災投資として使えるもの

港区には、漏水・浸水対策と直結する助成があります。令和8年度時点で受付が続いているものを整理します。

止水板設置工事等の助成

浸水による建築物の被害を防ぐため、止水板の設置工事費用の一部を区が助成する制度です。

項目 内容
助成対象者 区内の建築物の所有者・賃借人、またはマンションの管理組合
助成額 上限150万円(助成率は工事費の4/5を限度)
助成期間 令和8年4月1日から令和11年3月31日までの3年間
対象経費 内壁・外壁への止水板設置工事、土間コンクリート打設等の関連工事、簡易型止水板の購入 など
対象外 令和8年4月1日以後に建築確認を受け、都市開発諸制度等を活用した建築物/他の助成を受ける建築物
窓口 街づくり支援部土木課土木計画係(03-3578-2217)

(出典:港区「止水板設置工事等の助成」/2026年4月9日更新)

ここで一点、強くお伝えしておきたいことがあります。区の案内には、計画段階(工事を始める前)で相談すること、交付承認前に着工した場合は助成の対象外になることが明記されています。工事を終えてから申請しても間に合いません。段取りの順番が、そのまま使えるか使えないかを分けます。

がけ・擁壁改修工事費用助成/アドバイザー派遣

擁壁の新設工事・築造替え工事に対する費用助成と、専門家を現地に派遣して目視調査や技術的助言を行うアドバイザー派遣があります(出典:港区「がけや擁壁の安全対策」)。区は「がけ・擁壁安全ハンドブック」も配布しており、簡単なチェックシートが付いています。台地側の物件をお持ちなら、目を通す価値があると思います。

共同住宅の防災力向上支援(防災カルテ)

6階建て以上かつ20戸以上の高層住宅、および3階から5階建てかつ10戸以上の中層住宅を対象に、防災対策の取組状況をレーダーチャートで示す「防災カルテ」の作成、区職員の直接訪問による助言を行っています。令和7年度からは、共同住宅ごとの防災マニュアル作成支援と、それに基づく訓練の実施支援も加わりました(出典:港区「皆さんのマンションの防災力向上を支援します!」/2025年7月3日更新。問い合わせは防災課地域防災支援係 03-3578-2516)。

費用はかかりません。理事会として「うちの防災レベルは客観的にどうなのか」を知る材料としては、かなり使えるものだと私は思います。


背景データ:雨の降り方が変わっている

「昔はこんなに漏らなかった」というお声を、本当によくいただきます。感覚の問題ではありません。

気象庁は、全国のアメダスで観測した1時間降水量50mm以上の年間発生回数について、統計期間の初めごろと比べて増加していることを公表しています(出典:気象庁「大雨や猛暑日など(極端現象)のこれまでの変化」)。東京の観測点についても、日降水量50mm以上の日数の長期変化傾向がグラフとCSVで公開されています(出典:気象庁「大都市における日降水量50mm以上の長期変化傾向」)。

港区の浸水ハザードマップが前提にしている時間最大153mmは、下水道の整備水準を大きく超える雨です。インフラ側で受けきれない分は、建物側で受け止めるしかない。これが、私が屋上ドレンと外壁シーリングを最優先に挙げる理由です。

なお港区は、これらのハザード情報を都市計画情報提供サービスの電子マップや、3D都市モデル(PLATEAU)でも公開しています。紙のマップより、自分の建物の位置を特定しやすいはずです。


まとめ:今週、理事会・管理会社に投げられる3点

長くなりました。港区の建物で、今週すぐ動けることを3つに絞ります。

1. 自分の建物が「台地側」か「埋立側」かを、地図の上で確定させる

港区のハザードマップのページから、浸水・高潮・津波・液状化・土砂災害を順に見て、自分の建物がどれに該当するかをメモする。土砂災害の区域だけは動きが早いので、東京都の土砂災害警戒区域等マップで最新を確認する。10分で終わります。

2. 屋上ドレンの清掃記録を、管理会社に出してもらう

直近1年で何回清掃したか。ストレーナーは付いているか。台地側なら、擁壁の水抜き穴の状況もあわせて聞いてみてください。

3. 電気室・給水ポンプの設置階を、図面で確認する

地下または1階にあるなら、止水板の見積りを1本取っておく。港区の助成は上限150万円・助成率4/5で、管理組合も対象です。ただし着工前の相談が前提なので、順番を間違えないようにしてください。

10月までに動けるかどうかが、今シーズンの分かれ目です。理事会で1分だけでもこの話題を出してみてください。調査だけ、ご相談だけでも構いません。総会前の整理の段階から、お力になれることがあります。お問合せフォームからお声がけください。


本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月13日時点で公表されている港区および国土交通省・気象庁・東京都の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請される前に、港区および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。ハザードマップの被害想定は東京都および区が公表したものであり、実際の被害状況と異なることがあります。


出典・参考資料


関連ページ

ロープアクセス工法の詳しい解説・施工事例はこちら → https://rope-access-method.com/

【令和8年度版】新宿区のマンション管理計画認定制度|区手数料は当面無料・補助金3本で自己負担を抑える全手順

【令和8年度版】新宿区のマンション管理計画認定制度|区手数料は当面無料・補助金3本で自己負担を抑える全手順

2026年9月13日 更新

「認定を取るのに、結局いくらかかるんでしょうか」——これは、管理計画認定の話をするときに理事長さまから必ず出てくる質問です。

私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。東京都東大和市を拠点に、20年近くマンション・ビル・ホテルの外壁と向き合ってきました。足場を組む工事も、ロープ1本でぶら下がる無足場の工事も、どちらも自分の手でやってきた人間です。

新宿区のマンションについて、この質問への答えを先に申し上げます。新宿区への申請手数料は、当面の間、無料です。 そして、マンション管理センターに払うシステム利用料と事前確認審査料には、上限5万円の補助が用意されています。

つまり新宿区は、23区の中でも「費用面のハードルが低い区」です。ところが、その事実が管理組合に届いていないと私は感じています。今日は、新宿区の管理計画認定について、いくらかかり、いくら戻ってきて、どの順番で動けばいいのかを整理します。


結論:新宿区で認定を取ると何が変わり、いくらかかるか

先に全体像を表でお示しします。

論点 新宿区での答え
認定の主体 新宿区(令和6年2月にマンション管理適正化推進計画を策定し、同月から運用開始)
窓口 新宿区都市計画部住宅課居住支援係/電話 03-5273-3567
対象 新宿区全域に立地する既存の分譲マンション
区独自の上乗せ基準 なし。国の基本方針が定める基準と同一の内容
区への申請手数料 当面の間、無料
システム利用料 10,000円((公財)マンション管理センター)
事前確認審査料 依頼先により1万円〜4万円程度
手数料の補助 上限5万円(システム利用料+事前確認審査料の合計額)
申請ルート マンション管理センターの「管理計画認定手続支援サービス」から。変更認定申請以外は区へ直接申請できない
有効期間 5年間(5年ごとの更新認定)
主な経済効果 長寿命化促進税制、フラット35の金利引下げ、共用部分リフォーム融資の金利引下げ、すまい・る債の利率上乗せ

(出典:新宿区「新宿区マンション管理計画認定制度」(最終更新日:2026年6月1日)、国土交通省「マンション管理計画認定制度」)

ここで1点、情報の鮮度について申し上げておきます。新宿区の制度案内ページの最終更新日は2026年(令和8年)6月1日です。令和8年度に入ってから更新されている、現行年度の一次情報です。本記事の金額と要件は、この令和8年度版のページと、区が公開している交付要綱に基づいています。


認定主体は新宿区——都ではなく、区に申請します

管理計画認定制度の認定主体は、マンション管理適正化法に基づく「マンション管理適正化推進計画」を策定した市・特別区です。市以外の町村部は都道府県が担います(出典:国土交通省「マンション管理計画認定制度」)。

新宿区は令和6年2月に新宿区マンション管理適正化推進計画を策定し、同じ月から制度の運用を開始しました。つまり新宿区が認定主体です。東京都に申請するものではありません。

ただし、固定資産税の減額措置(後述の長寿命化促進税制)だけは別です。東京23区の固定資産税は東京都が課税するため、申告先は物件所在地を管轄する都税事務所になります。認定は区、減税の申告は都。この二本立てを最初に頭に入れておくと、あとで慌てません。

なお、認定申請そのものは(公財)マンション管理センターの「管理計画認定手続支援サービス」経由で行います。変更認定申請を除き、区へ直接申請することはできません。区の窓口に書類を持ち込んでも受け付けてもらえない、という意味です。ここは新宿区の案内に明記されています。


認定基準は国の基準と同一——区独自の上乗せはありません

新宿区の認定基準は、国が「マンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な方針」で定めている基準と同一の内容です。推進計画の概要版にも「(区独自の上乗せ基準なし)」とはっきり書かれています(出典:新宿区マンション管理適正化推進計画【概要版】)。

これは、実務上かなり大きな意味を持ちます。近隣区では独自基準を設ける動きがあり、たとえば文京区は令和7年4月から、渋谷区は令和8年4月から、それぞれ独自の追加基準を運用しています。区ごとに書類が変わると、管理会社もマンション管理士も手探りになります。新宿区は国基準と同じなので、全国共通の手引きと様式がそのまま使えます。

具体的な基準は、次の5分野16項目です。

1)管理組合の運営

  • 管理者等(理事長など)が定められていること
  • 監事が選任されていること
  • 総会が年1回以上開催されていること

2)管理規約

  • 管理規約が作成されていること
  • 災害などの緊急時や管理上必要なときの専有部への立ち入り、修繕などの履歴情報の管理について定められていること
  • 管理組合の財務・管理に関する情報の書面交付(または電磁的方法による提供)について定められていること

3)管理組合の経理

  • 管理費と修繕積立金などを明確に区分して経理していること
  • 修繕積立金会計から他の会計への充当がされていないこと
  • 直前の事業年度末時点で、修繕積立金の3か月以上の滞納額が全体の1割以内であること

4)長期修繕計画の作成及び見直し等

  • 長期修繕計画が「長期修繕計画標準様式」に準拠して作成され、計画内容と修繕積立金額が総会で決議されていること
  • 長期修繕計画の作成または見直しが7年以内に行われていること
  • 計画期間が30年以上で、かつ残存期間内に大規模修繕工事が2回以上含まれていること
  • 将来の一時的な修繕積立金の徴収を予定していないこと
  • 計画期間全体での修繕積立金の総額から算定された平均額が著しく低額でないこと
  • 計画期間の最終年度において、借入金の残高のない計画となっていること

5)その他

  • 組合員名簿・居住者名簿を備え、年1回以上は内容の確認を行っていること

(出典:新宿区「認定基準と確認対象書類」、国土交通省「マンション管理計画認定基準」)

私の経験上、ここでつまずくマンションの大半は4)の長期修繕計画です。特に「一時金徴収を前提にしていないこと」と「最終年度に借入金残高がないこと」。この2条件は、修繕積立金の水準そのものに踏み込む要件です。積立金を上げずに認定は取れない、という設計になっています。

逆に言えば、認定の準備がそのまま積立金不足の是正になるということでもあります。私はこの点を、理事会でいつもお伝えしています。


新宿区のマンションの現状——「30年以上の計画」を持つのは4割

新宿区が推進計画の中で公表している数字を見ると、この基準の重さがよく分かります。

指標 現状(平成28年度実態調査) 区の目標値
管理組合があるマンションの割合 84.3% 100%
管理規約があるマンションの割合 85.6% 100%
30年以上の長期修繕計画に基づく修繕積立金額を設定している割合 41.1% 60%
居住者名簿があるマンションの割合 69.0% 100%
管理組合または自治会が地域活動を行っている割合 39.7% 60%

(出典:新宿区マンション管理適正化推進計画【概要版】、計画期間:令和5年度〜令和9年度)

注目していただきたいのが、太字の41.1%です。認定基準の「計画期間30年以上」を満たしているマンションが、新宿区では4割程度にとどまっているということです。裏を返せば、残る約6割は認定の入口に立てていない。

同じ調査では、区内の分譲マンションの約3分の1が旧耐震基準で建てられていること、築20年以上のマンションの約2〜3割が長期修繕計画を策定していないことも報告されています。1970年代・1980年代竣工のストックが厚いのが、新宿区の特徴です。

この数字を見て、私は「新宿区が補助金を3本も用意している理由」がよく分かりました。区としては、まず長期修繕計画を整えてもらわないことには認定も進まない。だから作成費から補助しているわけです。


手数料と3つの補助——新宿区の支援策はここが本題です

ここからが、新宿区の管理組合にとって一番実利のある話です。

区への申請手数料は当面の間、無料

新宿区への申請手数料は、当面の間、無料とされています。港区が4,200円、中央区や千代田区もそれぞれ条例で手数料を定めている中で、新宿区は区の手数料をゼロにしています。

かかるのは、(公財)マンション管理センターへのシステム利用料10,000円と、事前確認の依頼先に支払う事前確認審査料の2つです。

(出典:新宿区「新宿区マンション管理計画認定制度」手数料)

補助1:管理計画認定手続支援サービス手数料補助事業(上限5万円)

その残る2つの費用に対して、新宿区は補助を用意しています。

補助対象 金額
システム利用料 1万円
事前確認審査料ア:事前確認講習を修了したマンション管理士に依頼 上限4万円
事前確認審査料イ:管理会社等を経由し「マンション管理適正評価制度」と併せて申請 上限4万円
事前確認審査料ウ:マンション管理士会連合会を経由し「マンション管理適正化診断サービス」と併せて申請 1万円
事前確認審査料エ:マンション管理センターのサービスを利用 1万円
補助額 対象経費の合計額(消費税等を含む)/上限5万円

要件は3つです。新宿区内のマンション管理組合であること、補助金の活用について総会等で決議を経ていること、そして管理計画の認定を受けたマンションであること。認定取得後に申請する、あと払いの補助です。

(出典:新宿区マンション管理計画認定手続支援サービス手数料補助金交付要綱)

ここを読み込むと、費用構造が見えてきます。たとえば「エ:センターのサービスを利用」で進めた場合、システム利用料1万円+事前確認審査料1万円=2万円。補助の上限5万円の範囲内なので、認定取得にかかった実費が補助で戻る計算になります。区の手数料は無料ですから、新宿区は費用面では極めて動きやすい区だと言えます。

ただし、あくまで補助金です。予算や要綱は年度ごとに見直される可能性がありますので、申請前に住宅課(03-5273-3567)へ令和8年度の運用を確認することをおすすめします。

補助2:長期修繕計画作成費等補助事業(上限20万円)

認定の前段階、長期修繕計画そのものの作成・見直しにも補助があります。

項目 内容
補助対象 区内のマンション管理組合が当該年度に行う長期修繕計画の作成・見直しに係る委託経費
補助額 対象経費の合計額(消費税等を除く)の2分の1/上限20万円(千円未満切り捨て)
要件 区分所有者が5人以上/延べ面積の過半が住宅用途/建築後5年以上/作成・見直し後の計画期間が30年以上/総会等で決議済み ほか
完了実績報告の期限 令和9年3月31日まで

(出典:新宿区マンション長期修繕計画作成費等補助金交付要綱)

この補助には、見落とすと致命的な注意点が2つあります。

※補助事業の着手(委託経費の支払い含む)は交付決定後に行う必要があります。
※既に契約をしたもの又は既に作成や見直しを実施したものは申請できません。

つまり、先に業者と契約してしまうと補助が使えません。順番は「区へ申請 → 交付決定 → 委託契約 → 作成・見直し → 完了実績報告」です。ここを逆にしてしまった管理組合を、私は他区の案件で実際に見たことがあります。あとから遡って申請することはできませんでした。

完了実績報告の期限が令和9年3月31日ということは、令和8年度中に作成・見直しを終える必要があるということです。令和8年9月13日現在から数えると、残り約6か月半。委託先の選定と総会決議を含めると、決して余裕のあるスケジュールではありません。

補助3:管理計画認定取得促進補助事業(宅配ボックス/上限20万円)

3つ目は、認定取得後のインセンティブです。

項目 内容
補助対象 宅配ボックスの製品購入費用および設置施工費用
補助額 対象経費の20%/上限20万円(千円未満切り捨て)
要件 管理計画認定を受けた区内マンションの管理組合/申請時点で宅配ボックスが未設置/設置について総会等で決議済み

(出典:新宿区管理計画認定取得促進補助金交付要綱)

宅配ボックスが未設置のマンションにとっては、認定を取る動機がひとつ増えます。居住者アンケートで要望が挙がりやすい設備でもありますので、認定と抱き合わせで理事会に諮ると話が通りやすい、という実務上の使い方ができます。


申請の流れ——STEP0からSTEP5まで

新宿区が示している手順は、次の6ステップです。

  1. STEP0 認定申請に係る合意。認定申請することを集会(臨時総会を含む)で決議します。ここが出発点です
  2. STEP1 事前確認の申請。マンション管理センターの「管理計画認定手続支援サービス」から申請します(4通りの方法があります)
  3. STEP2 事前確認適合証の取得。認定基準に適合していると認められると、マンション管理センターから発行されます
  4. STEP3 新宿区へ認定申請。適合証の取得後、同じ支援サービスから新宿区へ申請します
  5. STEP4 管理計画の認定。区が審査し、基準に適合していれば認定通知書が発行されます
  6. STEP5 マンションの公表。公表に同意したマンションは、マンション管理センターの管理計画認定マンション閲覧サイトで認定コード・認定日・マンション名・所在地などが公表されます

(出典:新宿区「新宿区マンション管理計画認定制度」申請方法・手順、(公財)マンション管理センター「管理計画認定手続支援サービス」)

制度そのものの相談先としては、(一社)日本マンション管理士会連合会の「マンション管理計画認定制度 相談ダイヤル」(03-5801-0858/月〜土 10:00〜17:00、祝日・年末年始を除く)が無料で使えます。区も自区のページでこの窓口を案内しています。

また新宿区には、マンション管理相談とマンション管理相談員派遣という無料の支援もあります。後者は総会・理事会・専門委員会に区の相談員が来てくれる制度です。認定の話を理事会で通したいとき、外部の専門家が同席してくれるのは実務上かなり効きます。


認定の3つの経済効果——税・ローン・融資

認定を取ると、お金の面で3つの効果が出てきます。

1)マンション長寿命化促進税制(固定資産税の減額)

管理計画認定マンションが長寿命化に資する大規模修繕工事を行った場合、固定資産税額が減額されます。東京23区の減額割合は2分の1で、減額期間は工事完了年の翌年度分です。1戸当たり100㎡の床面積相当分までが対象です。

主な要件は次のとおりです。

  • 新築された日から20年以上が経過していること
  • 総戸数10戸以上であること
  • 長寿命化工事(外壁塗装等工事、床防水工事、屋根防水工事のすべて)を過去に1度以上行っていること
  • 令和3年9月1日以降に、修繕積立金の額を管理計画の認定基準まで引き上げたこと

(出典:国土交通省「マンション長寿命化促進税制」、東京都主税局「長寿命化に資する大規模修繕工事が行われたマンションに対する固定資産税の減額制度」)

適用期限には重要な動きがあります。この特例措置の現行の適用期間は令和5年4月1日から令和9年3月31日までですが、令和8年度税制改正で5年間の延長(令和8年4月1日〜令和13年3月31日)が示されており、あわせて対象住宅の床面積要件の下限が40㎡(現行50㎡)に緩和される方向です(出典:国土交通省「令和8年度税制改正概要」)。適用を前提に工事計画を立てる場合は、工事完了時点で有効な期限と要件を都税事務所に確認したうえで進めるのが安全です。

申告期限は工事完了日から3か月以内です。23区は都が課税主体なので、申告先は物件所在地を管轄する都税事務所になります。ここを区役所に持っていくと二度手間になります。

2)フラット35の金利引下げ・フラット50の利用

認定マンションを購入する人は、住宅金融支援機構の【フラット35】維持保全型の対象となり、借入金利が当初5年間、年0.25%引き下げられます。返済期間が最長50年となる【フラット50】も利用できます(出典:国土交通省「マンション管理計画認定制度」、住宅金融支援機構)。

これは、売るときに効く効果です。新宿区は中古流通が活発なエリアで、区分所有者の入れ替わりも比較的早い。買い手のローン金利が当初5年間下がるという事実は、販売図面に書ける材料になります。認定マンションは閲覧サイトで公開されるため、管理の質が外から見える状態になる点も見逃せません。

3)マンション共用部分リフォーム融資の金利引下げ・すまい・る債の利率上乗せ

管理組合が大規模修繕工事を行う際に使えるマンションすまい・る融資(マンション共用部分リフォーム融資)では、管理計画認定の取得で金利が年0.2%引き下げられます。加えて、認定取得済みの場合は返済期間を1年以上35年以内とすることが可能になります(出典:住宅金融支援機構「マンションすまい・る融資(管理組合申込みの場合)」)。

さらに、管理組合向けのマンションすまい・る債についても、認定マンションは利率の上乗せを受けられます。

私はいつも理事長さまに、こうお伝えしています。「認定は、減税のためだけの制度ではありません。借りるときの金利、売るときの評価、そして積立金の健全化——この3つが同時に動く話です」と。


令和9年4月1日から認定基準が見直されます

ここは、令和8年度に申請を検討している管理組合が知っておくべき最重要ポイントです。

令和7年5月30日に公布された「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」(令和7年法律第47号)に基づき、管理計画認定制度の見直しが令和9年4月1日に施行されます。令和8年5月15日の閣議決定で施行期日が確定し、同年5月20日に政令が公布されました(出典:国土交通省 報道発表「マンション管理・再生の円滑化等のための改正法の一部の施行期日を定める政令等を閣議決定」(令和8年5月15日))。

施行される内容は2つです。

  • 管理計画認定制度の見直し(新築時の分譲事業者による認定申請の導入)
  • 管理計画認定マンションの表示制度の創設

これに伴い、令和8年7月31日に省令と告示が公布されています。

  • マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則及び長期優良住宅の普及の促進に関する法律施行規則の一部を改正する省令(令和8年国土交通省令第70号)
  • マンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な方針の一部を改正する告示(令和8年国土交通省告示第1017号)

いずれも令和9年4月1日施行です(出典:国土交通省「マンション管理計画認定制度」)。

実務上の分かれ目は、ここです。

地方公共団体への申請日が令和9年4月1日以降となる場合は、見直し後の認定基準が適用されます。

つまり、申請日が令和9年3月31日までなら現行基準、4月1日以降なら新基準という切り分けです。改正省令の附則で経過措置も設けられています。

新宿区の認定基準は国基準と同一ですから、この見直しはそのまま新宿区の基準の見直しになります。区の案内ページは令和8年6月1日更新で、令和9年4月1日施行の扱いについてはまだ具体的な記載がありません。事前確認の依頼前に、住宅課へ「令和9年4月以降の申請の扱い」を確認しておくと、後戻りを避けられます。

そしてもう一点。新宿区の推進計画の計画期間は令和5年度から令和9年度までです。令和9年度は計画の最終年度にあたり、次期計画の策定作業と制度見直しが重なる時期になります。支援策の内容も、このタイミングで見直される可能性があります。


逆算スケジュール——総会決議から認定通知まで

新宿区で、令和9年3月31日までに認定申請を完了させたい場合の逆算です。所要期間は私が現場で見てきた実感ベースの目安で、区や事前確認機関の混雑状況によって前後します。

時期の目安 やること 所要の目安
9月〜10月 理事会で議題化。長期修繕計画の作成・見直しが7年以内か、計画期間30年以上・大規模修繕2回以上を満たすかを確認 1〜2か月
9月〜10月 長期修繕計画の見直しが必要な場合、先に区へ補助金を申請(交付決定前の契約は対象外) 2週間〜1か月
10月〜11月 交付決定後に委託契約。長期修繕計画の見直しと修繕積立金の改定案づくり 1〜2か月
11月〜12月 総会で認定申請の決議。長期修繕計画と修繕積立金額の決議、補助金活用の決議も同時に 招集期間を含めて1〜2か月
12月〜1月 事前確認の依頼。事前確認適合証の取得 1〜2か月
1月〜2月 支援サービスから新宿区へ認定申請 2週間〜1か月
2月〜3月 区の審査、認定通知書の交付。長期修繕計画補助の完了実績報告(令和9年3月31日期限) 1〜2か月
認定後 手数料補助(上限5万円)の申請。宅配ボックス補助を使う場合もこの段階 —

一番読めないのは、総会のタイミングです。管理規約で総会の招集時期が決まっている管理組合は、そこが動かせない固定点になります。私の経験上、認定申請でスケジュールが崩れる原因の7割はここです。

しかも新宿区の場合、総会で決議すべき項目が複数あります。認定申請そのものの決議、長期修繕計画と修繕積立金額の決議、補助金活用の決議。これらを1回の総会にまとめられるかどうかで、全体の期間が数か月変わります。議案書を作る段階で、決議事項を洗い出しておくことをおすすめします。

臨時総会を開くか、通常総会に間に合わせるか。この判断は、9月〜10月のうちに理事会で決めておきたいところです。書類は後から追いつきますが、総会は追いつきません。


認定準備と大規模修繕は、同じ時期に進めたほうが得です

ここからが、私が本業として一番お伝えしたい話です。

認定基準の「4)長期修繕計画」を満たすには、計画期間30年以上で、残存期間内に大規模修繕工事が2回以上入っている必要があります。そして修繕積立金は、一時金徴収を前提にせず、最終年度に借入金残高が残らない水準でなければなりません。

この条件を満たす計画を作ろうとすると、次の大規模修繕にいくらかかるかという見積が必要になります。ここが曖昧なままだと、積立金の設定も逆算できません。

そして、その「いくらかかるか」は、工法の選択で大きく変わります。

新宿区のマンションは、立地条件が厳しい物件が少なくありません。隣地との離隔が取れない敷地、前面道路が狭くて資材搬入の段取りに手間がかかる立地、道路占用許可のハードルが高い場所。区内には高層・超高層のマンションもあり、足場を全周に組むだけで工事費が跳ね上がるケースがあります。

こういう建物では、ロープアクセス工法(産業用ロープで職人が降下しながら施工する、足場を組まない工法)が効いてきます。足場費そのものが不要になり、工期も短くなります。居住者の生活への影響という点でも、窓の外に足場と養生シートが数か月かかり続ける状態を避けられるのは、かなり大きい違いです。

実際にあった話をします。以前、ある管理組合で、大規模修繕の3年後に屋上だけ仕様を変えたいというご相談をいただきました。屋上だけなので工事自体は小さいのですが、資材を上げるための仮設と安全対策で、工事費の3割以上が段取り費用に消えました。3年前の大規模修繕のときに仕様を1行変えておけば、その3割は出ていません。理事長さまと一緒に見積書を眺めながら、私が一番悔しい思いをしたのはその瞬間でした。

長期修繕計画の見直しに区の補助(上限20万円)を使うなら、その計画に載せる工事費の前提を、足場工法だけで組まないことをおすすめします。ロープアクセス工法やハイブリッド工法で試算すると、30年間の総額が変わり、必要な積立金の水準も変わるからです。認定基準の「著しく低額でないこと」をクリアしやすくなる可能性があります。

私たちは、通常の足場工法、ロープアクセス工法、そして部位ごとに使い分けるハイブリッド工法の3つから、建物にとって一番合う方法をご提案しています。工法の詳しい解説はロープアクセス工法のご紹介と、ロープアクセス専門サイトのロープアクセス工法の技術解説にまとめています。大規模修繕全体の進め方は大規模修繕工事のご紹介をご覧ください。

新宿区のように立地条件が厳しい物件での施工事例や、足場とロープアクセスを組み合わせた場合のコスト比較については、ロープアクセスによる大規模修繕の実際で具体的な数字を交えて整理しています。


まとめ:新宿区の管理組合が今週のうちに動けること3点

長くなりましたので、要点を3つに絞ります。

1)長期修繕計画の「7年」と「30年・2回」を確認する

いま手元にある長期修繕計画は、いつ作成または見直したものでしょうか。7年を超えていれば、認定の入口に立てません。あわせて、計画期間が30年以上あるか、残存期間内に大規模修繕工事が2回以上入っているかを見てください。新宿区でこの条件を満たしているマンションは4割程度というのが、区の調査結果です。このチェックは、理事会の議題として5分で終わります。

2)見直しが必要なら、契約より先に区へ補助申請する

長期修繕計画作成費等補助(対象経費の2分の1、上限20万円)は、交付決定前に契約や支払いをすると対象外になります。順番を間違えると、20万円がまるごと消えます。完了実績報告の期限は令和9年3月31日です。

3)新宿区住宅課へ相談する(03-5273-3567)

新宿区への申請手数料は当面の間無料で、システム利用料と事前確認審査料には上限5万円の補助があります。3つの補助の令和8年度の運用と、「令和9年4月1日以降の申請の扱い」を一度で確認しておくと、後戻りがなくなります。総会・理事会へ区の相談員を派遣してもらう制度もありますので、理事会で議論する前に一度使ってみる価値があります。

そして、もし次の大規模修繕が5年以内に視野に入っているなら、認定の準備と修繕の工法検討は同時に進めたほうが得です。長期修繕計画に載せる工事費の前提が変われば、必要な修繕積立金の水準も変わります。

工法の選択肢が1つしかない会社に相談すると、その1つの工法での見積しか出てきません。3つの工法を比べたうえで判断したいという段階のご相談だけでも、お気軽にお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。お問い合わせはお問合せフォームから承っています。


出典・参考資料


本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月13日時点で公表されている新宿区および国土交通省・東京都の公式情報をもとに執筆しています。新宿区の制度案内ページの最終更新日は2026年6月1日で、令和8年度の一次情報として確認しました。ただし補助金は予算の状況により受付が終了する場合があり、要綱も年度ごとに見直されることがあります。また令和9年4月1日には認定基準の見直しが施行されます。実際に申請される前に、必ず新宿区都市計画部住宅課居住支援係(03-5273-3567)および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。


株式会社明誠は、東京都東大和市を拠点に、マンション・ビル・ホテルの大規模修繕工事を手がけています。通常の足場工法、無足場のロープアクセス工法、両者を組み合わせたハイブリッド工法の3つから、建物の条件に合わせた工法をご提案します。

ロープアクセス工法の詳細は、専門サイト https://rope-access-method.com/ をご覧ください。

【令和8年度版】港区のマンション管理計画認定制度|区手数料4,200円・「みなと認定マンションプラス」5カテゴリの全手順

【令和8年度版】港区のマンション管理計画認定制度|区手数料4,200円・「みなと認定マンションプラス」5カテゴリの全手順

2026年9月13日 更新

「港区は、認定にランクがあるらしいと聞いたのですが」——先月、芝浦港南地区のあるマンションの理事長さまから、そう質問されました。

私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。東京都東大和市を拠点に、20年近くマンション・ビル・ホテルの外壁と向き合ってきました。足場を組む工事も、ロープ1本でぶら下がる無足場の工事も、どちらも自分の手でやってきた人間です。

結論から申し上げると、その理事長さまの情報は正しいものでした。港区の管理計画認定は、23区の中でもかなり特徴的な設計になっています。国の必須基準を満たした「みなと認定マンション」と、そこに社会貢献の取組を上乗せした「みなと認定マンションプラス」という二段構造です。

今日お話しするのは、港区にあるマンションが管理計画認定を取ると何が変わり、いくらかかり、どの順番で動けばいいのかという一点に絞ります。


結論:港区で認定を取ると何が変わり、いくらかかるか

先に全体像を表でお示しします。

論点 港区での答え
認定の主体 港区(マンション管理適正化推進計画を策定済みの特別区)
窓口 港区街づくり支援部住宅課住宅支援係(区役所6階)/電話 03-3578-2223
事前相談 予約制で、事前確認の依頼前に必要。変更申請時も必要
マンション管理センター経由 使います。「事前確認適合証」を取得してシステムから申請
独自基準 あり。必須基準+選択基準の二段構造
認定の呼称 必須基準のみ=「みなと認定マンション」/選択基準も満たす=「みなと認定マンションプラス」
区の基本手数料 4,200円(長期修繕計画が1つ増えるごとに1,600円加算)
手数料の総額目安 約24,200円(区4,200円+システム使用料10,000円+事前確認審査料おおむね10,000円程度)
有効期間 5年間(5年ごとの更新認定)
主な経済効果 長寿命化促進税制、フラット35の金利引下げ、共用部分リフォーム融資の金利引下げ、すまい・る債の利率上乗せ

(出典:港区「港区マンション管理計画認定制度」、国土交通省「マンション管理計画認定制度」)

ここで先に1点、正直に申し上げておきます。港区がこの制度を案内しているページの更新日は2024年(令和6年)4月2日です。令和8年9月時点で2年以上、表示上は更新されていません。手数料は区の条例で定まるものなので大きく動くとは考えにくいのですが、金額と締切は申請前に住宅課へ電話で確認いただくのが安全です。本記事でも、確認が必要な箇所はその都度明示していきます。


認定主体はどこか——港区は「区が認定する」

管理計画認定制度の認定主体は、マンション管理適正化法に基づく「マンション管理適正化推進計画」を策定した市・特別区です。市以外の町村部は都道府県が担います(出典:国土交通省「マンション管理計画認定制度」)。

港区は特別区で、推進計画を策定済みです。つまり港区が認定主体です。東京都に申請するものではありません。

私はこの点を取り違えている理事会に、これまで何度も出会いました。「都に出すのか区に出すのか分からないので、とりあえず保留にしています」という管理組合が、実際にありました。港区のマンションについては、窓口は区役所6階の住宅課住宅支援係、電話は03-3578-2223です(出典:港区マンション管理適正化推進計画)。

なお、固定資産税の減額措置(後述の長寿命化促進税制)だけは話が別です。東京23区の固定資産税は東京都が課税するため、申告先は物件所在地を管轄する都税事務所になります。認定は区、減税の申告は都。この二本立てを最初に頭に入れておくと、後で慌てません。


必須基準——国の5分野が「みなと認定マンション」の土台

港区の必須基準は、国の認定基準を土台にしています。国が定める5分野は次のとおりです(出典:国土交通省「マンション管理計画認定基準」)。

1)管理組合の運営

  • 管理者等(理事長など)が定められていること
  • 監事が選任されていること
  • 集会(総会)が年に1回以上開催されていること

2)管理規約

  • 管理規約が作成されていること
  • 災害などの緊急時や管理上必要なときの専有部への立ち入り、修繕などの履歴情報の管理について定められていること
  • 管理組合の財務・管理に関する情報の書面交付(または電磁的方法による提供)について定められていること

3)管理組合の経理

  • 管理費と修繕積立金などを明確に区分して経理していること
  • 修繕積立金会計から他の会計への充当がされていないこと
  • 直前の事業年度末時点で、修繕積立金の3か月以上の滞納額が全体の1割以内であること

4)長期修繕計画の作成及び見直し等

  • 長期修繕計画が「長期修繕計画標準様式」に準拠して作成され、計画内容と修繕積立金額が総会で決議されていること
  • 長期修繕計画の作成または見直しが7年以内に行われていること
  • 計画期間が30年以上で、かつ残存期間内に大規模修繕工事が2回以上含まれていること
  • 将来の一時的な修繕積立金の徴収を予定していないこと
  • 計画期間全体での修繕積立金の総額から算定された平均額が著しく低額でないこと
  • 計画期間の最終年度において、借入金の残高のない計画となっていること

5)その他

  • 組合員名簿・居住者名簿を備え、年1回以上は内容の確認を行っていること
  • 昭和56年5月31日以前に建築確認を受けたマンションは、耐震診断を実施し、耐震性が不足している場合は耐震改修や建替えなどに向けた検討を行っていること

この必須基準を満たすと、港区は「みなと認定マンション」として認定します。

私の経験上、ここでつまずくマンションの大半は4)の長期修繕計画です。特に「一時金徴収を前提にしていないこと」と「最終年度に借入金残高がないこと」の2つ。この2条件は、修繕積立金の水準そのものに踏み込む要件です。積立金を上げずに認定は取れない、という設計になっています。逆に言えば、認定の準備がそのまま積立金不足の是正になる、ということでもあります。


港区独自の「みなと認定マンションプラス」——5カテゴリの選択基準

ここからが港区の本題です。

港区は必須基準に加えて、社会貢献の取組を評価するための選択基準を5カテゴリ設けています。このうちいずれか1つを満たすと、「みなと認定マンションプラス」として認定されます。

カテゴリ 満たすべき内容(概要)
防災対策 ア〜ウの3区分それぞれで1つ以上。ア:年1回以上の防災情報の周知または定期的な防災訓練/イ:飲料水・食料品・携帯トイレなどの備蓄、災害時資器材の備蓄/ウ:防災組織の結成、地域の防災組織への参加、安否確認方法の定め
コミュニティ形成 自治会(自治会費が管理費と明確に区分)を設置しコミュニティ活動を実施、または自治会がない場合は管理組合に認知されたコミュニティグループが活動していること
省エネ対策 共用部・敷地内でゼロカーボンに向けた取組を2つ以上。照明器具の省エネ、屋上の高反射率塗料、屋上緑化・壁面緑化・生垣、外壁塗料による省エネ、玄関扉の断熱改修、外断熱・サッシ、インバータ制御エレベーター、給水方式の変更、スマートマンション化、太陽光発電、EV充電設備
子育て対応 ア:子ども参加型イベント、子育て用品・書籍のリユース環境、情報交換環境のいずれか1つ以上/イ:キッズルーム、プレイロット、子ども用自転車置場、ベビーカー置場、エントランス・共用部の段差解消のいずれか1つ以上
高齢者対応 ア:高齢者の安否確認体制(緊急連絡先入りの居住者名簿、見守り体制など)/イ:エントランス・共用部の段差解消(エレベーター設置、スロープなど)

(出典:港区「港区マンション管理計画認定制度」認定基準)

この表を初めて読んだとき、私は正直、驚きました。すでに満たしているマンションが、港区にはかなりあるはずだと思ったからです。

たとえば「コミュニティ形成」。自治会があって、年に一度でも夏祭りや懇親会をやっている。共用花壇を住民で手入れしている。それだけで要件に届く可能性があります。「高齢者対応」も、エレベーターがあってスロープが整っているマンションで、緊急連絡先を記載した居住者名簿を備えていれば、実質もう半分以上できています。

つまり「プラス」は、新しく何かを始めないと取れないものではなく、すでにやっていることを書類に落とせば取れる可能性があるものです。ここに気づくかどうかで、理事会の心理的ハードルが大きく変わります。

なお、選択基準の適合確認は事前相談の場で行われます。「みなと認定マンションプラス」を目指すなら、希望するカテゴリの要件を満たしていることが分かる書類を、事前相談に持参する必要があります。


手数料と申請ルート——港区は「マンション管理センター+区独自審査」の二本立て

港区の申請は、他区と比べてやや手数がかかります。国のシステムに加えて、区独自基準の審査書類を紙で出す必要があるからです。

手数料の内訳(認定申請・更新申請)

内容 費用 支払先
システム使用料 10,000円 (公財)マンション管理センター
事前確認審査料 おおむね10,000円程度(依頼先により異なる) 依頼先
区の手数料(基本手数料) 4,200円 港区
区の手数料(加算手数料) 1,600円(長期修繕計画が1つ増えるごと) 港区

(出典:港区「港区マンション管理計画認定制度」手数料)

長期修繕計画が1つのマンションであれば、総額の目安は約24,200円です。5年で1回の支出と考えれば、年あたり5,000円弱。総戸数50戸なら、1戸あたり年100円に届きません。

区の手数料は申請受付が完了した後、区から管理組合へ納入通知書が送られ、その案内に沿って支払う流れです。先払いではありません。手数料の具体的な計算例は、区が公開している「マンション管理計画認定制度申請の手引き」のP16〜17に掲載されています。

変更認定の手数料

認定を受けた管理計画を変更する場合の手数料は、変更する項目ごとに分かれています。

変更する項目 基本手数料 加算手数料
管理組合の運営 4,300円 2,400円
管理規約 3,600円 2,400円
管理組合の経理 4,100円 2,500円
長期修繕計画の作成及び見直し等 8,600円 4,600円
組合員名簿・居住者名簿 2,700円 1,600円
その他 1,900円 800円

長期修繕計画の変更だけが8,600円と、他の項目の2倍以上に設定されています。審査の重さがそのまま金額に出ている、ということだと私は理解しています。軽微な変更に該当する場合は変更申請そのものが不要で、その線引きは手引きP19に整理されています。

申請の流れ(7ステップ)

  1. 港区へ事前相談(予約制/03-3578-2223)。第1号様式「管理計画確認書」を記入して持参。旧耐震のマンションは耐震診断結果の書類も。「プラス」を狙うならカテゴリの証拠書類も
  2. 総会決議。認定申請を行う旨を総会で決議します。事前確認の依頼前に必要です
  3. 事前確認の依頼。(公財)マンション管理センター、(一社)マンション管理業協会、(一社)日本マンション管理士会連合会などに依頼。方法は4パターンあります
  4. 事前確認適合証の発行。基準適合が確認されると、マンション管理センターから発行されます
  5. システムから港区へ認定申請。マンション管理センターの「管理計画認定手続支援サービス」から送信します
  6. 区独自基準の書類を港区へ提出(持参または郵送)。ここを忘れると手続きは完了しません。システム送信だけでは終わらない、というのが港区の落とし穴です
  7. 手数料納付 → 審査 → 認定通知書の交付。公表に同意した管理組合は、港区とマンション管理センターのサイトで「マンション名・所在地・認定コード」が公表されます

(出典:港区「港区マンション管理計画認定制度」申請の流れ、(公財)マンション管理センター「管理計画認定手続支援サービス」)

事前確認に関する問い合わせ先も公開されています。(公財)マンション管理センターは03-6261-1274、(一社)マンション管理業協会は03-3500-2721、(一社)日本マンション管理士会連合会は03-5801-0858です。制度そのものの相談は、日本マンション管理士会連合会の「マンション管理計画認定制度 相談ダイヤル」(03-5801-0858/月〜土 10:00〜17:00、祝日・年末年始を除く)が国土交通省のページでも案内されています。


認定の3つの経済効果——税・ローン・融資

認定を取ると、お金の面で3つの効果が出てきます。

1)マンション長寿命化促進税制(固定資産税の減額)

管理計画認定マンションが長寿命化に資する大規模修繕工事を行った場合、固定資産税額が減額されます。東京23区の減額割合は2分の1で、減額期間は工事完了年の翌年度分(完了日が1月1日の場合はその年度分)です。1戸当たり100㎡の床面積相当分までが対象です。

主な要件は次のとおりです。

  • 新築された日から20年以上が経過していること
  • 総戸数10戸以上であること
  • 長寿命化工事(外壁塗装等工事、床防水工事、屋根防水工事のすべて)を過去に1度以上行っていること
  • 令和3年9月1日以降に、修繕積立金の額を管理計画の認定基準まで引き上げたこと

(出典:国土交通省「マンション長寿命化促進税制」、東京都主税局「長寿命化に資する大規模修繕工事が行われたマンションに対する固定資産税の減額制度」)

適用期限について、ここは重要な更新があります。この特例措置の現行の適用期間は令和5年4月1日から令和9年3月31日までですが、令和8年度税制改正で5年間の延長(令和8年4月1日〜令和13年3月31日)が示されており、あわせて対象住宅の床面積要件の下限が40㎡(現行50㎡)に緩和される方向です(出典:国土交通省「令和8年度税制改正概要」)。適用を前提に工事計画を立てる場合は、工事完了時点で有効な期限と要件を都税事務所に確認したうえで進めるのが安全です。

申告期限は工事完了日から3か月以内です。東京23区は都が課税主体なので、申告先は物件所在地を管轄する都税事務所になります。ここを区役所に持っていくと、二度手間になります。

港区のホームページには、この税制について「(予定)減税の特例措置の開始時期は未定です」という記述が残っています。これは制度開始前の表現がそのまま残っているものと考えられます。現行制度の内容は国土交通省と東京都主税局のページで確認してください。

2)フラット35の金利引下げ・フラット50の利用

認定マンションを購入する人は、住宅金融支援機構の【フラット35】維持保全型の対象となり、借入金利が当初5年間、年0.25%引き下げられます。また、返済期間が最長50年となる【フラット50】も利用できます(出典:国土交通省「マンション管理計画認定制度」、港区「港区マンション管理計画認定制度」)。

これは、売るときに効く効果です。港区のマンションは中古流通が活発なエリアです。買い手のローン金利が当初5年間下がるという事実は、販売図面に書ける材料になります。認定マンションは(公財)マンション管理センターの「管理計画認定マンション閲覧サイト」や不動産情報サイトの建物ライブラリーでも公開されるため、管理の質が外から見える状態になります。

3)マンション共用部分リフォーム融資の金利引下げ・すまい・る債の利率上乗せ

管理組合が大規模修繕工事を行う際に使えるマンションすまい・る融資(マンション共用部分リフォーム融資)では、管理計画認定の取得で金利が年0.2%引き下げられます。加えて、認定を取得している場合は返済期間を1年以上35年以内とすることが可能になります(出典:住宅金融支援機構「マンションすまい・る融資(管理組合申込みの場合)」)。

さらに、管理組合向けのマンションすまい・る債についても、認定マンションは利率の上乗せを受けられます。

私はいつも理事長さまに、こうお伝えしています。「認定は、減税のためだけの制度ではありません。借りるときの金利、売るときの評価、そして積立金の健全化——この3つが同時に動く話です」と。


令和9年4月1日から認定基準が見直されます

ここは、令和8年度に申請を検討している管理組合が知っておくべき最重要ポイントです。

令和7年5月30日に公布された「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」(令和7年法律第47号)に基づき、管理計画認定制度の見直しが令和9年4月1日に施行されます。令和8年5月15日の閣議決定で施行期日が確定し、同年5月20日に政令が公布されました(出典:国土交通省 報道発表「マンション管理・再生の円滑化等のための改正法の一部の施行期日を定める政令等を閣議決定」(令和8年5月15日))。

施行される内容は2つです。

  • 管理計画認定制度の見直し(新築時の分譲事業者による認定申請の導入)
  • 管理計画認定マンションの表示制度の創設

これに伴い、令和8年7月31日に省令と告示が公布されています。

  • マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則及び長期優良住宅の普及の促進に関する法律施行規則の一部を改正する省令(令和8年国土交通省令第70号)
  • マンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な方針の一部を改正する告示(令和8年国土交通省告示第1017号)

いずれも令和9年4月1日施行です(出典:国土交通省「マンション管理計画認定制度」令和9年4月1日施行関係)。

実務上の分かれ目は、ここです。

地方公共団体への申請日が令和9年4月1日以降となる場合は、見直し後の認定基準が適用されます。

つまり、申請日が令和9年3月31日までなら現行基準、4月1日以降なら新基準という切り分けです。改正省令の附則で経過措置も設けられています。

令和8年9月13日現在から数えると、現行基準での申請期限まで約6か月半。総会決議から事前確認、システム申請まで含めると、決して余裕のあるスケジュールではありません。現行基準で進めたい管理組合は、秋の理事会で議題に乗せる判断が必要になる時期です。

そしてもう一度申し上げますが、港区の制度案内ページの更新日は2024年4月2日のままです。令和9年4月1日施行の新基準や、区独自基準の扱いがどう整理されるかは、現時点で区のページからは読み取れません。事前相談の電話をするときに、「令和9年4月以降の申請の扱い」も一緒に確認しておくと、二度手間を避けられます。

なお、近隣区では独自基準の見直しが先に動いています。文京区は令和7年4月から独自の追加基準を、渋谷区は令和8年4月から独自の追加基準を設けています。港区も同様の流れで整理が進む可能性がありますので、事前相談の段階で最新の運用を確認する価値があります。


逆算スケジュール——総会決議から認定通知まで

港区で、令和9年3月31日までに認定申請を完了させたい場合の逆算です。所要期間は私が現場で見てきた実感ベースの目安で、区や事前確認機関の混雑状況によって前後します。

時期の目安 やること 所要の目安
9月〜10月 理事会で議題化。長期修繕計画の作成・見直しが7年以内か、計画期間30年以上・大規模修繕2回以上を満たすかを確認 1〜2か月
10月 港区住宅課へ事前相談の予約(03-3578-2223)。第1号様式「管理計画確認書」を準備。「プラス」を狙うならカテゴリの証拠書類も 予約待ちを含めて2〜4週間
10月〜11月 長期修繕計画の見直しと修繕積立金の改定案づくり。標準様式への準拠を確認 1〜2か月
11月〜12月 総会で認定申請の決議。長期修繕計画と修繕積立金額の決議も同時に 招集期間を含めて1〜2か月
12月〜1月 事前確認の依頼。事前確認適合証の取得 1〜2か月
1月〜2月 システムから港区へ認定申請+区独自基準の書類を提出 2週間〜1か月
2月〜3月 手数料納付、区の審査、認定通知書の交付 1〜2か月

一番読めないのは、総会のタイミングです。管理規約で総会の招集時期が決まっている管理組合は、そこが動かせない固定点になります。私の経験上、認定申請でスケジュールが崩れる原因の7割はここです。

臨時総会を開くか、通常総会に間に合わせるか。この判断だけは、9月〜10月のうちに理事会で決めておきたいところです。書類は後から追いつきますが、総会は追いつきません。


「省エネ対策」カテゴリと大規模修繕は、同じ工事で両方狙えます

ここからが、私が本業として一番お伝えしたい話です。

「みなと認定マンションプラス」の省エネ対策カテゴリを、もう一度見てください。

  • 屋上に高反射率塗料の活用
  • 外壁塗料による省エネ
  • 屋上緑化、壁面緑化又は生垣造成
  • 玄関扉による省エネ(カバー工法による改修など)
  • 外断熱・サッシによる省エネ

このうち上2つは、大規模修繕工事でそのまま実施できる項目です。屋上防水を打ち替えるときに高反射率塗料の仕様を選ぶ。外壁を塗り替えるときに遮熱塗料を選ぶ。この2つを採用すれば、省エネ対策カテゴリの「2つ以上」という要件に届きます。

つまり、次の大規模修繕を、そのまま「プラス」の認定材料にできるということです。認定のために別途工事を発注する必要はありません。仕様の選び方の話です。

私はこれを、必ずワンセットで提案するようにしています。理由は単純で、別々にやると二度足場を組むことになるからです。

実際にあった話をします。以前、ある管理組合で、大規模修繕の3年後に屋上だけ遮熱仕様に変えたいというご相談をいただきました。屋上だけなので工事自体は小さいのですが、資材を上げるための仮設と安全対策で、工事費の3割以上が段取り費用に消えました。3年前の大規模修繕のときに仕様を1行変えておけば、その3割は出ていません。理事長さまと一緒に見積書を眺めながら、私が一番悔しい思いをしたのはその瞬間でした。

そして、港区のマンションでもう一つ大きいのが足場の問題です。港区は、隣地との離隔が取れない敷地、前面道路が狭い立地、道路占用許可のハードルが高い場所が少なくありません。高層マンションも多く、足場を全周に組むだけで工事費が跳ね上がります。

こういう建物では、ロープアクセス工法(産業用ロープで職人が降下しながら施工する、足場を組まない工法)が効いてきます。足場費そのものが不要になり、工期も短くなります。居住者の生活への影響という点でも、窓の外に足場と養生シートが数か月かかり続ける状態を避けられるのは、かなり大きい違いです。

私たちは、通常の足場工法、ロープアクセス工法、そして部位ごとに使い分けるハイブリッド工法の3つから、建物にとって一番合う方法をご提案しています。工法の詳しい解説はロープアクセス工法のご紹介と、ロープアクセス専門サイトのロープアクセス工法の技術解説にまとめています。大規模修繕全体の進め方は大規模修繕工事のご紹介をご覧ください。

港区のように立地条件が厳しい物件での施工事例や、足場とロープアクセスを組み合わせた場合のコスト比較については、ロープアクセスによる大規模修繕の実際で具体的な数字を交えて整理しています。


まとめ:港区の管理組合が今週のうちに動けること3点

長くなりましたので、要点を3つに絞ります。

1)長期修繕計画の「7年」と「30年・2回」を確認する

いま手元にある長期修繕計画は、いつ作成または見直したものでしょうか。7年を超えていれば、認定の入口に立てません。あわせて、計画期間が30年以上あるか、残存期間内に大規模修繕工事が2回以上入っているかを見てください。この3つのチェックは、理事会の議題として5分で終わります。

2)港区住宅課へ事前相談を予約する(03-3578-2223)

港区は事前相談が予約制で、事前確認の依頼より先に済ませる順番になっています。第1号様式「管理計画確認書」を記入して持参します。このとき、「令和9年4月1日以降の申請の扱い」と「区独自基準の最新の運用」もあわせて確認しておくと、後戻りがなくなります。

3)「プラス」の5カテゴリのうち、すでに満たしているものを探す

防災訓練をやっている。自治会がある。エレベーターがあって段差がない。居住者名簿に緊急連絡先が入っている。——このどれかに心当たりがあれば、「みなと認定マンションプラス」は手が届く範囲にあります。新しい取組を始める話ではなく、いまやっていることを書類にする話です。

そして、もし次の大規模修繕が3年以内に視野に入っているなら、認定の準備と修繕の仕様検討は同時に進めたほうが得です。屋上の高反射率塗料と外壁の遮熱塗料を仕様に入れるだけで、省エネ対策カテゴリの要件に届く可能性があります。

港区は、足場が組みにくい建物が多いエリアです。工法の選択肢が1つしかない会社に相談すると、その1つの工法での見積しか出てきません。3つの工法を比べたうえで判断したいという段階のご相談だけでも、遠慮なくお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。お問い合わせはお問合せフォームから承っています。


出典・参考資料


本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月13日時点で公表されている港区および国土交通省・東京都の公式情報をもとに執筆しています。特に港区の制度案内ページは2024年4月2日更新のまま推移しており、手数料・様式・令和9年4月1日施行の新基準の扱いについては最新の運用が反映されていない可能性があります。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請される前に、必ず港区街づくり支援部住宅課住宅支援係(03-3578-2223)および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。


株式会社明誠は、東京都東大和市を拠点に、マンション・ビル・ホテルの大規模修繕工事を手がけています。通常の足場工法、無足場のロープアクセス工法、両者を組み合わせたハイブリッド工法の3つから、建物の条件に合わせた工法をご提案します。

ロープアクセス工法の詳細は、専門サイト https://rope-access-method.com/ をご覧ください。

お気軽にご相談ください!