龍ケ崎市の賃貸マンション補助金2026|入居者向けU34補助と耐震減額、ブロック塀撤去は上限10万円
龍ケ崎市で賃貸マンション・賃貸アパート・収益ビルをお持ちのオーナーさまへ。この記事は、令和8年度(2026年度)に龍ケ崎市の賃貸オーナーさまが「自分で使える制度」「入居者さまが使う制度」「使えない制度」を、龍ケ崎市と茨城県の公式ページで確認できた事実だけで仕分けたものです。確認日は2026年10月7日です。
結論からお伝えします。龍ケ崎市は、オーナーさまご自身が申請できる現金の補助が少ない街です。木造住宅の耐震診断・改修の補助は「所有者自らが居住している住宅」に限られ、賃貸は対象外。蓄電池の補助も、自ら居住する個人向けです。空家の解体補助は個人のみで、法人は対象から外れています。
その一方で、賃貸経営にじかに効く仕組みが三つあります。一つ目は、耐震改修の固定資産税の減額です。市の公式ページに「貸家住宅」を含むと書かれていて、昭和57年1月1日以前に建てた賃貸物件なら、1戸120平方メートルまでの固定資産税の2分の1が、工事完了の翌年度分だけ減額されます。二つ目は、危険ブロック塀等撤去補助です。対象者は「所有者又は共有者」で、賃貸人かどうかの区別は書かれていません。上限は10万円で、令和9年2月26日まで受け付けています。三つ目は、少し毛色が違いますが、入居者さまが使えるU34賃貸住宅更新等補助金です。35歳未満の夫婦と0〜4歳のお子さまがいる世帯が賃貸契約を更新するとき、最大7万円が支給されます。退去を減らしたいオーナーさまにとって、この制度は入居者さまとの会話の材料になります。
この記事では、これらを入居率・NOI(実質賃料収入)・損金算入・出口戦略の視点で整理し、補助に頼れない部分を工事の設計でどう取り返すかまで、20年以上この仕事を続けてきた私の現場感覚を交えてお話しします。
龍ケ崎市の賃貸オーナー向け制度マップ【令和8年度】
最初に全体を一枚にまとめます。「賃貸オーナーの立ち位置」は、市と県の公式ページの記載から私が判断した目安です。個別の物件で使えるかどうかは、必ず担当窓口でご確認ください。
| 制度名 | 対象・内容 | 賃貸オーナーの立ち位置 | 令和8年度の状況 |
|---|---|---|---|
| 耐震改修の固定資産税減額 | 昭和57年1月1日以前の住宅(貸家住宅を含むと明記) | ○(貸家も対象と明記) | 1戸120平方メートルまで2分の1。完了後3か月以内に申告。令和13年3月31日まで(更新2026年6月12日) |
| 危険ブロック塀等撤去補助 | 指定路線に面する高さ80センチ超の危険な塀 | ○(所有者・共有者。販売目的は除外) | 令和8年6月1日〜令和9年2月26日。上限10万円 |
| U34賃貸住宅更新等補助金 | 35歳未満の夫婦と0〜4歳児がいる世帯の賃貸契約の更新・住み替え | △(申請者は入居者) | 令和8年4月13日〜令和9年3月15日。最大7万円 |
| 木造住宅の耐震診断士派遣・耐震改修補助 | 昭和56年5月31日以前の木造住宅 | ×(所有者の居住が要件) | 改修は80%・上限115万円。設計・改修の受付は11月27日まで |
| 蓄電システム導入補助金 | 自ら居住する個人。賃貸住宅は所有者の承諾が必要 | △(入居者が申請、オーナーは承諾) | 10万円・30件。9月2日時点で受付終了、キャンセル待ちのみ |
| 老朽空家等解体費補助金 | 特定空家等に相当する老朽空家 | ×(個人のみ。法人は除外) | 解体費の50%・上限50万円。事前申請が必須 |
| 空家バンク活用促進補助金 | 空家バンク登録物件の家財処分・改修・建替え | △(賃貸借も対象の区分あり) | 家財処分は上限10万円、改修・除却は各上限50万円(更新2026年9月11日) |
| 若者・子育て世代住宅取得補助金 | 市内で住宅を取得する40歳未満または18歳未満の子がいる世帯 | ×(購入のみ。賃貸は対象外) | 最大15万円。入居層の「購入への流出」の論点 |
| 省エネ改修の固定資産税減額 | 平成26年4月1日以前の住宅 | ×(賃貸住宅は除くと明記) | 更新2024年5月17日 |
| マンション管理計画認定 | 市内の分譲マンション | ×(一棟所有の賃貸は対象外) | 市が認定。窓口は都市計画課 |
| 建築物の定期報告 | 対象用途・規模の建築物 | -(義務。補助ではない) | 窓口は県南県民センター建築指導課(土浦市) |
表を眺めると、龍ケ崎市の特徴が見えます。建物への現金補助の多くが「自己居住」を条件にしている一方で、税の減額とブロック塀の補助は賃貸物件でも使える余地があるのです。賃貸経営では、補助金の申請書類よりも、減額の申告期限と工事証明書の段取りのほうが、手残りに効く場面が多いと私は感じています。
耐震改修の固定資産税減額は「貸家住宅を含む」と書かれている
龍ケ崎市の「住宅耐震改修工事に伴う固定資産税の減額措置について」のページ(更新日:令和8年6月12日)は、賃貸オーナーさまにとって最も大切な一枚です。要件を整理します。
- 対象の建物:昭和57年1月1日以前に建築された住宅。市のページには「貸家住宅及び併用住宅の住宅部分を含む」と書かれています
- 工事の内容:現行の耐震基準に適合する耐震改修工事
- 工事費:50万円を超える改修工事
- 減額の内容:1戸あたり120平方メートルまでの固定資産税額の2分の1を、工事完了の翌年度分のみ減額
- 期限:令和13年3月31日までに完了した工事
- 申告:工事完了後3か月以内に、税務課へ申告書、耐震基準に適合していることの証明書(建築士や指定の検査機関が発行)、工事費の領収書などを提出
注意したいのは、減額は家屋の固定資産税のみで都市計画税は含まれないこと、そして省エネ改修やバリアフリー改修、長寿命化の減額とは併用できないことです。また、減額されるのは工事完了の翌年度の1年だけです。市の同じページには、区分所有の建物は専有部分のみが対象で、共用部分は対象にならないという趣旨の記載もあります。
たとえば、昭和55年築・8戸の木造アパートで、総額480万円(1戸あたり60万円)の耐震改修を行ったとします。建物の固定資産税が年30万円なら、減額は翌年度に約15万円。耐震改修の費用に対しては小さな金額ですが、証明書を取って3か月以内に申告する手間だけで戻ってくるお金です。逃すのはもったいありません。
実務で私がお勧めしているのは、工事を発注する前に、耐震基準適合の証明書を発行できる建築士や検査機関をチームに入れておくことです。証明書は工事が終わってから慌てて頼むと、必要な写真や図面がそろわず、申告に間に合わないことがあります。完了後3か月という期限は、見た目よりも短いのです。
木造耐震の補助は「自己居住」限定。賃貸オーナーは対象外
茨城県の「耐震診断・補強設計・耐震改修の補助を行っている市町村の一覧」(更新日:2026年6月10日)で、龍ケ崎市の欄は、診断が●、総合支援(設計・改修)が●、設計と改修と部分改修(耐震シェルター等)が「-」です。窓口は都市計画課(0297-64-1111、内線461・465)と記載されています。
ところが、市の要綱を読むと、賃貸オーナーさまには壁があります。
- 耐震診断士派遣:派遣の対象は「所有者自らが居住しているもの」
- 耐震改修補助:補助率は5分の4、上限は115万円ですが、「現に所有者の居住の用に供されていること」が要件で、賃貸物件は対象外
- 令和8年度の受付:診断士派遣は6月1日〜7月31日(受付終了)。設計・改修は6月1日〜11月27日
つまり、旧耐震の木造アパートや賃貸戸建てをお持ちの場合、診断も含めて自己資金で行う前提になります。代わりに、先ほどの固定資産税の減額が使えるわけです。
補助がないからといって、耐震の検討を後回しにする理由にはなりません。賃貸物件では、地震で建物が損傷して入居者さまに被害が出た場合、所有者としての責任が問われるおそれがあります。診断結果と補強の履歴は、融資の審査や売却の場面でも確認される情報です。制度の有無と、オーナーとしてのリスク管理は、分けて考えるのが賢明です。
危険ブロック塀等撤去補助(上限10万円)は、賃貸物件でも検討の価値あり
龍ケ崎市の危険ブロック塀等撤去補助(令和8年度版の概要)は、補助の対象者が「危険ブロック塀等の所有者又は共有者であり、市税等の滞納をしていない方」とされ、賃貸人や法人の除外は書かれていません。除外されているのは販売目的の物件です。
- 対象の塀:市内にあり、指定路線に面し、道路面からの高さが80センチメートルを超えるもの。撤去後は高さ80センチ以下になる工事に限られます
- 指定路線:通学路(市内の小中学校)と、県道・都市計画道路・幹線市道・緊急輸送道路のうち歩道があるもの
- 補助額:①撤去費用の3分の2、②塀の長さ×1メートルあたり13,000円×3分の2、③10万円のうち、最も低い額(千円未満は切り捨て)
- 受付期間:令和8年6月1日〜令和9年2月26日(開庁日の午前9時〜午後5時)
- 完了期限:令和9年3月末日まで
- 事前調査:市職員が国土交通省のチェックリストで点検し、現地を確認します
たとえば、延長10メートルの塀なら、13,000円×10メートル×3分の2で約86,000円です。20メートルなら約17万円になりますが、上限の10万円で頭打ちです。補助額は大きくありません。ただ、危険な塀を残したときのリスクを考えれば、投資効率は悪くないと私は考えます。
賃貸経営の視点では、ブロック塀は「事故が起きたときの損失が大きい割に、ふだんは目に入りにくい」部位です。通行人や入居者さまのお子さまにけがをさせてしまえば、補償だけでなく物件の評判にも響きます。予算に達した時点で受付が終了しますので、着手前に必ず市へ事前相談をしてください。撤去後のフェンスや外構の更新とあわせて検討すると効率的です。なお、令和7年度版の資料でも補助額の考え方は同じでしたが、年度ごとに内容が変わりますので、必ず最新の概要でご確認ください。
U34賃貸住宅更新等補助金:入居者さまが使える、退去対策のカード
龍ケ崎市には、賃貸オーナーさまのNOIに間接的に効く制度があります。「龍ケ崎市U34賃貸住宅更新等補助金」(令和8年度、更新2026年4月7日)です。
- 対象者:4月1日時点で夫婦のどちらかが35歳未満、かつ0〜4歳の子がいる世帯。令和6年1月1日以降に賃貸住宅の契約を更新または住み替えた人で、契約から2年以内に申請し、市内に2年以上住む意思があることなど
- 対象の賃貸住宅:龍ケ崎市内の賃貸住宅
- 補助額:最大7万円(基本5万円に、市内での消費額に応じたキャッシュバック最大2万円)
- 受付期間:令和8年4月13日〜令和9年3月15日(予算の範囲内)
- 窓口:市役所3階のまちの魅力創造課(0297-64-1111)
申請するのは入居者さまで、オーナーさまが申請書を出す制度ではありません。ただ、契約更新のタイミングで、対象になりそうな入居者さまにこの制度をお伝えすることは、オーナーさまにできる立派な入居者サービスです。更新を後押しする制度が使えるなら、退去の意思決定が少し変わるかもしれません。
退去が1戸出たときの損失は、思っているより大きいものです。仮に賃料5.5万円の部屋で、空室期間が2か月(11万円)、原状回復が15万円、広告料が1か月分(5.5万円)かかるとすれば、合計は約31.5万円です(あくまで仮定の試算です)。この金額と比べれば、入居者さまの更新を支える制度を一言添えるコストは、ほとんどゼロに近いはずです。
蓄電池・空家・住宅取得の補助は「賃貸オーナーから見てどうか」
蓄電システム導入補助金(令和8年度、更新2026年9月3日)は、市内に居住する個人が、自ら居住する住宅に設置する場合が対象で、法人は対象外です。賃貸住宅では所有者(オーナー)の承諾が必要とされています。補助額は10万円(30件目のみ5万円になる可能性)で、受付は6月1日に開始。9月2日時点で申請受付は終了し、キャンセル待ちの受付のみとなっています。つまり、入居者さまが申請し、オーナーさまが承諾する構図ですが、令和8年度は予算が尽きていて、実際には使いにくい状況です。
老朽空家等解体費補助金は、対象が「個人のみ」で、法人は除外されています。補助は解体費の50%で、上限は50万円。特定空家等に相当する老朽空家で、市から助言・指導を受けた後、命令が出る前の段階にあることが要件で、着手前の申請が必須です。賃貸経営で管理している物件がこの状態に至ることは多くありませんが、相続した古い空家を抱えている個人オーナーの方は、頭に入れておく価値があります。
空家バンク活用促進補助金(更新2026年9月11日)は、家財処分費(1/2・上限10万円)と改修工事費(1/2・上限50万円)の区分で、売買だけでなく賃貸借契約も対象とされています。建替促進(上限50万円)は売買のみです。賃貸戸建てを空家バンクに登録して貸す、というオーナーさまには、検討の余地があります。
そして、見落としがちなのが若者・子育て世代住宅取得補助金(令和8年4月13日〜令和9年2月26日、最大15万円)です。これは購入のみが対象で賃貸は対象外。市内に住宅を取得する40歳未満の方、または18歳未満の子がいる世帯に最大15万円が支給されます。賃貸オーナーさまにとっては、入居者さまが「そろそろ買おうか」と考えたときに背中を押す制度にもなります。ファミリー向けの賃貸物件では、入居者さまの購入による退去を前提に、募集戦略を立てておく必要があります。
固定資産税の「長寿命化」「省エネ」減額は、賃貸オーナーにはほぼ縁がない
市の「大規模の修繕等が行われたマンションに係る固定資産税の減額制度」のページ(更新2025年4月24日)では、令和5年4月1日から令和9年3月31日までに完了した大規模修繕が対象で、築20年以上、総戸数10戸以上、外壁塗装・床防水・屋根防水を実施、管理計画の認定または助言・指導を受けた管理組合が要件、減額は3分の1(1戸100平方メートル相当分まで)とされています。一棟所有の賃貸マンションが対象かどうかは、ページに明記がありません。ただし、制度の前提が管理組合と区分所有であることから、賃貸一棟では使いにくいと私は見ています。検討される場合は税務課にご確認ください。
省エネ改修の減額は、市のページ(更新2024年5月17日)で「賃貸住宅は除く」と明記されています。賃貸オーナーさまは使えない前提で計画してください。
マンション管理計画認定制度は、市が認定主体で、令和8年4月から運用が始まっています(窓口は都市計画課)。ただし対象は「市内にある分譲マンション」で、一棟所有の賃貸は含まれません。手数料の記載はありますが、賃貸オーナーさまには縁の遠い制度です。
定期報告は龍ケ崎市役所ではなく「県南県民センター」へ
茨城県の定期報告制度のページ(更新日:2026年8月30日)では、特定行政庁は水戸市・日立市・土浦市・古河市・高萩市・北茨城市・取手市・つくば市・ひたちなか市の9市とされています。龍ケ崎市はこの9市に含まれず、提出先は県南県民センター建築指導課(〒300-0051 土浦市真鍋五丁目17番26号、電話029-822-8519)です。防火設備の定期報告の報告期間は、令和7年1月1日から毎年7月1日〜12月28日です。
賃貸マンションや賃貸ビルが対象になるかどうかは、用途と規模で決まります。私が賃貸オーナーさまにお伝えしているのは、定期報告の周期を、外壁や防水の修繕計画の「物差し」にするという考え方です。外壁の打診調査の時期と、大規模修繕の時期を合わせれば、調査と補修を一度の仮設計画で済ませられることがあります。点検のたびに足場を組み直すのは、費用の面でも、入居者さまの負担の面でも、もったいないことです。
補助が薄い街だからこそ、仮設計画で手残りを守る
龍ケ崎市では、外壁塗装や防水といった大規模修繕の本体工事に使える現金補助は、私が確認できた範囲では見当たりません。だからこそ、総工費の中で大きな割合を占める仮設足場をどう計画するかが、オーナーさまの手残りを左右します。
一般に、大規模修繕の総工費のうち仮設足場の費用は15〜25%程度を占めるといわれます。たとえば、10階建て・外周80メートル・工期3か月の建物で、足場工法の仮設費の概算が168万円、ロープアクセス工法が59万円となった事例では、約109万円の差が出ました(建物の形状や条件により変わる参考値で、実際の見積は物件ごとに異なります)。
仕様の目安も挙げておきます。外壁の打診調査は1平方メートルあたり250〜500円、外壁塗装は3,500〜4,500円、防水は5,000〜8,000円程度が一般的なレンジです。調査で劣化の範囲を正確に把握してから、必要な箇所に必要な工事をすることが、過剰な見積を避ける一番の近道です。料金の考え方は明誠の大規模修繕の料金の考え方で公開しています。
株式会社明誠は、これまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕に携わってきました。ロープアクセス工法は、作業員1人につきメインロープとバックアップロープの2本に接続し、2点以上の吊元を確保して行うのが基本です。明誠と全国のフランチャイズ加盟企業では、過去16年間、墜落による労働災害ゼロを維持しています。作業員はIRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の技能訓練を受け、品質面ではISO9001を取得しています。安全への取り組みは明誠の安全管理をご覧ください。
足場・ロープアクセス・ハイブリッド、龍ケ崎市の物件ではどう選ぶか
明誠は、通常の足場工法、無足場のロープアクセス工法、両者を組み合わせたハイブリッド工法の3つから、建物にとって最適な工法を提案できる、日本でも数少ない会社です。
| 工法 | 向いている龍ケ崎市の物件のイメージ | 強み | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 通常の足場工法 | 2〜3階建ての木造・軽量鉄骨アパートで、外壁の全面塗装を行う場合 | 広い面を一度に施工でき、作業の自由度が高い | 足場費がかかり、窓がふさがる期間が長い。駐車場が使えない期間が出ることも |
| ロープアクセス工法(無足場) | 駅周辺や幹線沿いの中高層の賃貸マンション、敷地に余裕がない物件、部分補修 | 足場費の削減、工期短縮、入居者さまの生活への影響が小さい | 大面積の全面施工や重量物の搬入には向かない場合がある |
| ハイブリッド工法 | 低層部と高層部が混在する物件、店舗併用の賃貸ビル | 部位ごとに最適化して総額を下げる | 工程管理に高い調整力が必要 |
龍ケ崎市の賃貸物件は、郊外型で敷地に駐車場を確保しているものが多いのが特徴です。足場を組むと駐車場の一部が使えなくなり、入居者さまの不満や路上駐車につながることがあります。仮設を最小限にできるロープアクセスやハイブリッドは、入居者さまの暮らしへの影響を抑える点でも相性が良いと私は考えています。入居者さまの満足は、更新率に響きます。更新を後押しするU34補助のような制度があるなら、工事の質でも入居者さまに選んでいただきたいところです。
ロープアクセス工法の技術的な解説や事例は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムで詳しく紹介しています。賃貸ビルや店舗併用の物件については、ビルオーナー向けの明誠のサービスもあわせてご覧ください。
試算:龍ケ崎市の8戸アパートで考える、制度のインパクトと物件価値
ここからは、仮定にもとづくイメージ試算です(実在の物件の数字ではありません)。
仮に、昭和55年築・木造2階建て・8戸・平均賃料5.5万円の賃貸アパートを龍ケ崎市内にお持ちだとします。満室時の年間賃料収入は、8戸×5.5万円×12か月=528万円です。
- 耐震改修:総額480万円(1戸あたり60万円)で現行の耐震基準に適合させ、証明書を取得して3か月以内に申告できれば、固定資産税の減額が翌年度に約15万円(建物の固定資産税が年30万円の場合)
- ブロック塀:道路沿いの延長10メートルの塀を撤去し、費用が20万円だったとします。費用の3分の2は約13.3万円、延長基準は約8.6万円、上限10万円なので、補助額は最も低い約8.6万円(千円未満切り捨てで86,000円)
- 入居率:1戸の退去を減らせば、先ほどの試算で1回あたり約31.5万円の損失を避けられます。8戸のうち1戸の退去が年に1件減るだけで、この差は小さくありません
減額と補助を合わせても、耐震改修費の全額には遠く及びません。ただ、「自己居住限定ばかりで使えない」と思っていた龍ケ崎市でも、税の減額と外構の補助を組み合わせれば支援を受けられることは、知っておいて損はありません。
物件価値の面からも考えてみます。年間NOIが400万円のアパートを、キャップレート6.5%で評価すれば約6,154万円、7.0%で評価すれば約5,714万円です。0.5ポイントの違いで約440万円の差が出ます。旧耐震のまま放置された物件は、買い手や金融機関から「リスクのある物件」と見られ、キャップレートが高く(=価格が低く)なりがちです。耐震補強の履歴は、この差を縮める材料になります。
損金算入:修繕費と資本的支出の線引き、補助金の課税
工事費の税務処理は、オーナーさまの手残りに直結します。原状回復や維持管理の範囲の工事は修繕費としてその年の損金(個人は必要経費)に算入できますが、建物の価値を高めたり耐用年数を延ばしたりする性質の工事は資本的支出として資産に計上し、減価償却で費用化します。
耐震改修は、建物の性能を高める工事として資本的支出に区分されることが多い工事です。一方、外壁の塗り替えや防水の更新は、内容によって修繕費となる部分が多くなります。耐震補強と外装の修繕を同時に行う場合は、見積書の段階で工事項目を分けておくと、税理士が区分を判断しやすくなります。明誠では、オーナーさまの税務処理を前提に、見積の内訳を整理してお出ししています。
ブロック塀の撤去補助のように、オーナーさまが補助金を受け取る場合は、受け取った補助金の課税関係にも注意が必要です。個人であれば所得の計算で雑収入などとして計上する必要が出ることがあり、法人であれば収益計上や圧縮記帳の可否が論点になります。固定資産税の減額は「税が安くなる」ものなので、補助金とは性質が異なりますが、固定資産税は不動産所得の必要経費でもあるため、減額された分だけ経費も減ることになります。いずれも、必ず顧問税理士に事前にご相談ください。
出口戦略:龍ケ崎市の賃貸物件を「選ばれる物件」で売るために
将来、物件を売却する、あるいは相続で次世代に引き継ぐことを考えるなら、「どんな修繕を、いつ、いくらで行ったか」の記録が価値になります。旧耐震の物件であれば、耐震診断の結果と補強工事の内容、耐震基準適合の証明書の写しは、買い手にとって何より安心できる資料です。
龍ケ崎市は、関東鉄道竜ヶ崎線と常磐線の取手・牛久方面の生活圏にあり、都心への通勤者と地元の就業者の両方に賃貸需要がある街です。その分、築年数の新しい物件や、購入を促す市の補助との競争もあります。古い物件が選ばれ続けるには、「古いけれど、きちんと手を入れている」ことを示す必要があります。外壁や防水の修繕履歴、ブロック塀の撤去や外構の改善、定期報告の記録まで、管理の質を書類と写真で残しておくことをお勧めします。調査の記録はドローン調査なども活用して写真で残すと、売却時の説明資料として役立ちます。これまでの工事の実例は明誠の施工事例からご覧いただけます。
医療法人・介護事業者オーナーさまへ:龍ケ崎市の施設で優先すべきこと
龍ケ崎市内でクリニックやサービス付き高齢者向け住宅、介護施設を運営している、あるいはそうした建物を貸しているオーナーさまは、一般の賃貸住宅とは別の視点が必要です。
第一に、定期報告の対象になりやすいことです。病院や高齢者・障害者等の施設は、面積や所在階などの条件で対象かどうかが決まり、龍ケ崎市の提出先は県南県民センター建築指導課です。第二に、BCP(事業継続計画)の観点です。停電時の電源確保や、外壁の剥落・ブロック塀の倒壊による来訪者への危険は、運営の継続に直結します。第三に、工事中の利用者への影響です。施設の大規模修繕では、窓を長期間ふさがず、騒音や視界の遮断を抑えられる工法が求められます。足場を組まないロープアクセス工法は、こうした施設で選ばれることが多い工法です。
なお、龍ケ崎市の省エネ改修の固定資産税減額は、賃貸住宅が対象外です。施設や賃貸物件では使えない前提で計画してください。
龍ケ崎市のオーナーさま向け:着手までの5ステップ
- 建物の現状把握:外壁・防水・鉄部・ブロック塀を調査し、昭和57年1月1日以前の建物かどうか(耐震減額の対象か)を確認する
- 期限のある制度から逆算する:ブロック塀撤去補助は令和9年2月26日まで(予算到達で終了)、U34補助は令和9年3月15日まで(入居者が申請)
- 耐震改修の減額を見据えた体制づくり:耐震基準適合の証明書を発行できる建築士・検査機関を、発注前に決めておく
- 工法と仕様の比較見積:足場・ロープアクセス・ハイブリッドで比較し、修繕費と資本的支出の内訳を分けてもらう
- 入居者への周知:更新時期の入居者さまに、U34補助など使える制度をお伝えし、工事の工程と駐車場への影響も丁寧に説明する
雨漏りや漏水が気になる物件は、漏水対応のページも参考にしてください。
よくあるご質問
Q1. 龍ケ崎市に賃貸アパートの耐震診断や耐震改修の補助金はありますか?
A. 龍ケ崎市の耐震診断士派遣と耐震改修補助は、「所有者自らが居住している住宅」が要件のため、賃貸物件は対象外です。茨城県の一覧では診断と総合支援が●ですが、自己居住の条件を市の要綱でご確認ください。窓口は都市計画課(0297-64-1111、内線461・465)です。
Q2. 耐震改修の固定資産税減額は、賃貸アパートでも使えますか?
A. 市のページに「貸家住宅及び併用住宅の住宅部分を含む」と明記されています。昭和57年1月1日以前の住宅で、改修工事費が50万円を超え、1戸120平方メートルまでの固定資産税が工事完了翌年度に2分の1減額されます。完了後3か月以内の申告が必要で、令和13年3月31日までの工事が対象です。
Q3. 危険ブロック塀等撤去補助の上限と期限は?
A. 撤去費用の3分の2、延長×13,000円×3分の2、10万円のうち最も低い額が補助されます。令和8年6月1日から令和9年2月26日までの受付で、完了は令和9年3月末までです。予算に達した時点で終了し、事前調査が必要です。
Q4. U34賃貸住宅更新等補助金は、オーナーが申請できますか?
A. オーナーさまは申請できません。申請するのは、35歳未満の夫婦と0〜4歳の子がいる世帯の入居者さまです。最大7万円で、令和9年3月15日まで受け付けています。更新時期の入居者さまにお伝えすることで、退去防止の一助になります。
Q5. 蓄電池の補助は、賃貸物件のオーナーが使えますか?
A. 対象は自ら居住する個人で、法人は対象外です。賃貸住宅では所有者の承諾が必要ですが、令和8年度は9月2日時点で受付が終了し、キャンセル待ちのみとなっています。
Q6. 龍ケ崎市の定期報告はどこに提出しますか?
A. 龍ケ崎市は特定行政庁ではないため、県南県民センター建築指導課(土浦市真鍋五丁目17番26号、電話029-822-8519)が提出先です。
Q7. 老朽空家の解体補助は、法人の賃貸オーナーも使えますか?
A. 市のページでは個人のみが対象で、法人は除外されています。解体費の50%・上限50万円で、事前申請が必須です。
Q8. 耐震補強と外壁塗装を同時に行うと、税務上どう扱われますか?
A. 一般に、耐震補強は資本的支出、外壁の塗り替えは内容により修繕費となる部分が多い工事です。見積の段階で工事項目を分けておくと区分がしやすくなります。最終的な判断は顧問税理士にご確認ください。
この記事のポイントまとめ
- 龍ケ崎市の耐震補助と蓄電池補助は、自己居住が条件。賃貸オーナーが直接使える現金補助は多くありません。
- 代わりに、耐震改修の固定資産税減額(貸家住宅も対象・1戸120平方メートルまで2分の1)が令和13年3月31日完了分まで使えます。
- 危険ブロック塀撤去補助(上限10万円)は令和9年2月26日まで。所有者・共有者なら賃貸物件でも検討の価値があります。
- U34賃貸住宅更新等補助金(最大7万円)は入居者さまが使う制度。更新を後押しする話題として活用できます。
- 補助が薄い本体工事は、仮設計画と工法選びでNOIと出口価格を守ります。
龍ケ崎市の賃貸オーナーさまへ
龍ケ崎市は「補助金で修繕費を大きく減らせる街」ではありません。けれども、税の減額、ブロック塀の補助、入居者さまが使える賃貸更新の補助を正しく組み合わせれば、オーナーさまの打ち手は思っている以上にあります。そのうえで、足場を含めた工法の選び方で総額を最適化することが、手残りを守る一番の近道です。
お持ちの物件で、まだ修繕計画や税制の検討を始めていないオーナーさまは、ぜひ一度お問合せください。1棟の現地調査と利回り改善シミュレーション、キャッシュフロー試算だけでもご相談を承ります。こちらからお問合せいただけます。収益物件の修繕に関する考え方はオーナー向けの明誠のご案内にもまとめています。
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本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月7日時点で公表されている龍ケ崎市・茨城県・国土交通省の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請・申告される前に、必ず龍ケ崎市および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。
この記事の執筆者
本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。
最終更新:2026年10月7日
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出典(龍ケ崎市・茨城県・国土交通省 公式ウェブサイト)
- 住宅耐震改修工事に伴う固定資産税の減額措置について – 龍ケ崎市(更新令和8年6月12日)
- 危険ブロック塀等撤去補助(令和8年度)概要 – 龍ケ崎市
- 龍ケ崎市U34賃貸住宅更新等補助金(更新令和8年4月7日)
- 木造住宅への耐震化補助の受付について – 龍ケ崎市(更新令和8年8月18日)
- 耐震診断・補強設計・耐震改修の補助を行っている市町村の一覧(更新2026年6月10日)- 茨城県
- 蓄電システム導入補助金 – 龍ケ崎市(更新令和8年9月3日)
- 老朽空家等解体費等補助金について – 龍ケ崎市
- 空家バンク活用促進補助金 – 龍ケ崎市(更新令和8年9月11日)
- 若者・子育て世代住宅取得補助金(令和8年度)- 龍ケ崎市
- 大規模の修繕等が行われたマンションに係る固定資産税の減額制度 – 龍ケ崎市(更新令和7年4月24日)
- 省エネ改修工事に伴う固定資産税の減額措置について – 龍ケ崎市(更新令和6年5月17日)
- マンションに関すること – 龍ケ崎市
- 定期報告制度について – 茨城県(更新2026年8月30日)
守谷市の賃貸マンション補助金2026|ブロック塀は2/3補助、蓄電池は居住者限定
守谷市で賃貸マンション・賃貸アパート・収益ビルをお持ちのオーナーさまへ。この記事は、令和8年度(2026年度)に守谷市の賃貸オーナーさまが「使える制度」「入居者が使う制度」「使えない制度」を、守谷市と茨城県の公式ページで確認できた事実だけで仕分けたものです。
結論からお伝えします。守谷市は、茨城県が公表している木造住宅の耐震補助の市町村一覧(令和8年度)で、診断・設計・改修・総合支援・部分改修のすべてが「-(補助制度なし)」になっています。一覧に載る44市町村のうち、診断の補助まで含めてすべてが「-」なのは守谷市だけです。つまり守谷市では、耐震を「補助金」で後押ししてもらう道は、現時点ではありません。
その一方で、オーナーさまにとって見逃せない仕組みが三つあります。一つ目は、昭和57年1月1日以前に建てられた共同住宅も対象になる、耐震改修の固定資産税減額(1戸120平方メートル相当分まで2分の1)です。二つ目は、通学路や避難路に面した危険ブロック塀の撤去補助(費用の3分の2、上限20万円)で、申込期限は令和8年11月30日です。三つ目は、太陽光・蓄電池・高効率給湯器の補助に「第三者が所有する住宅に居住し、所有者の承諾を受けて設置するかた」という枠があることです。申請するのは入居者さまですが、承諾書を出すのはオーナーさまです。
もう一つ、守谷市には賃貸オーナーさまに直接かかわる独自のルールがあります。平成16年に施行された「守谷市集合住宅の建築及び管理に関する条例」です。4戸以上の共同住宅に、管理人等表示板の設置や管理規約の写しの提出などを求めています。補助の話ではありませんが、修繕や建替えの計画を立てるときに必ず関係してきます。
この記事では、これらの制度を入居率・NOI(実質賃料収入)・損金算入・出口戦略の視点で整理し、補助に頼れない部分をどう工事の設計で取り返すかまで、20年以上この仕事を続けてきた私の現場感覚を交えてお話しします。
守谷市の賃貸オーナー向け制度マップ【令和8年度】
最初に全体を一枚にまとめます。「賃貸オーナーの立ち位置」は、市と県の公式ページの記載から私が判断した目安です。個別の物件で使えるかどうかは、必ず担当窓口でご確認ください。
| 制度名 | 対象・内容 | 賃貸オーナーの立ち位置 | 令和8年度の状況 |
|---|---|---|---|
| 木造住宅の耐震診断・設計・改修の補助 | 昭和56年以前の木造住宅 | ×(制度なし) | 県の一覧で全項目「-」。問い合わせ先は都市計画課(内線245) |
| 耐震改修の固定資産税減額 | 昭和57年1月1日以前の専用住宅・共同住宅・併用住宅。1戸あたり工事費50万円超 | ○(共同住宅も対象と明記) | 令和13年3月31日までの完了分。1戸120平方メートル相当分まで2分の1 |
| 危険ブロック塀等撤去補助金 | 通学路・避難路等に面する高さ60センチ超の危険な塀 | ○(販売目的の土地は対象外) | 申込は令和8年6月1日〜11月30日。費用の3分の2・上限20万円 |
| 住宅用太陽光発電システム設置費補助金 | 居住者が設置。第三者所有住宅は所有者の承諾で可 | △(申請者は入居者、オーナーは承諾する側) | 5万円・30件。抽選は終了、交付申請は11月27日まで |
| 家庭用リチウムイオン蓄電池設置費補助金 | 同上+いばらきエコチャレンジ登録 | △(同上) | 5万円。9月28日更新時点で先着3件を追加募集中(窓口のみ) |
| 住宅用高効率給湯器設置費補助金 | 同上 | △(同上) | 3万円・30件。交付申請は11月27日まで |
| バリアフリー改修の固定資産税減額 | 高齢者等が居住する住宅 | ×(賃貸住宅は除くと明記) | 令和13年3月31日までの改修分 |
| 空家のリフォーム・解体の補助 | - | ×(市は実施していない) | 市のよくある質問で明記 |
| マンション管理計画認定制度 | 分譲マンションの管理組合 | ×(賃貸一棟は対象外) | 令和6年4月開始。窓口は都市計画課 |
| 建築物の定期報告 | 対象用途・規模の建築物の所有者・管理者 | -(義務。補助ではない) | 窓口は県南県民センター建築指導課(土浦市) |
表を眺めると、守谷市の特徴がはっきりします。現金の補助は「環境」と「ブロック塀」に集まり、建物そのものの改修への支援は「税の減額」という形で用意されているのです。賃貸経営では、補助金の申請書類よりも、減額の申告期限と工事証明書の段取りのほうが、手残りに効く場面が多いと私は感じています。
県内で唯一「耐震補助なし」の守谷市で、オーナーが押さえるべき事実
茨城県の「耐震診断・補強設計・耐震改修の補助を行っている市町村の一覧」(更新日:2026年6月10日)は、県内44市町村の令和8年度の補助制度を●と-で示した表です。守谷市の欄は、担当課が都市計画課、電話0297-45-1111(内線245)と書かれ、診断から部分改修(耐震シェルター等)まで五つの欄すべてが「-」です。隣の取手市やつくばみらい市、常総市には少なくとも診断と総合支援の●があり、牛久市にも診断の●があります。
守谷市はつくばエクスプレスの開業以降に住宅地が広がった街で、市の条例のページにも「守谷市には、1,000棟を超える集合住宅があり」と書かれています。比較的新しい建物が多いことが、木造耐震の補助を設けていない背景の一つかもしれません。ただ、これは私の推測であり、市がそう説明しているわけではありません。
賃貸オーナーさまにとって大事なのは、背景より次の二点です。
- 旧耐震(昭和56年5月31日以前の建築確認)の木造アパートや賃貸戸建てをお持ちの場合、診断も含めて自己資金が前提になる
- その代わり、耐震改修を行えば固定資産税の減額という形で一部が戻ってくる可能性がある
補助がないからといって、耐震の検討を後回しにする理由にはなりません。賃貸物件では、地震で建物が損傷して入居者さまに被害が出た場合、所有者としての責任が問われるおそれがあります。診断結果と補強の履歴は、融資の審査や売却の場面でも確認される情報です。制度の有無と、オーナーとしてのリスク管理は、分けて考えるのが賢明です。
耐震改修の固定資産税減額は「共同住宅も対象」と書かれている
守谷市の「住宅の耐震・バリアフリー・省エネ改修工事に伴う減額」のページ(更新日:令和8年4月21日)を読むと、三つの減額のうち、賃貸オーナーさまが使える可能性が最も高いのは耐震改修です。要件は次のとおりです。
- 対象の建物:昭和57年1月1日以前に建てられた専用住宅、共同住宅、併用住宅(居住部分の割合が2分の1以上)
- 工事の内容:建築基準法の現行の耐震基準に適合する耐震改修工事
- 工事費:50万円超(共同住宅等は1戸あたりの改修工事費用が50万円超)
- 期限:令和13年3月31日までに工事が完了すること
- 減額の内容:1戸あたり120平方メートル相当分までの固定資産税額の2分の1を、工事完了年の翌年度から1年間(通行障害既存耐震不適格建築物に当たる場合は2年間)
- 申告:工事完了日から3か月以内に、税務課資産税グループへ申告書・工事明細書や写真・領収書・増改築等工事証明書を提出
同じページで、バリアフリー改修の減額には「賃貸住宅は除く」と明記されていますが、耐震改修の要件にはその記載がありません。この違いは、賃貸オーナーさまにとって大きな意味があります。ただし、共同住宅で「1戸あたり50万円超」という条件を満たすには、棟全体の耐震改修費を戸数で割って50万円を超える規模の工事が必要です。たとえば8戸のアパートなら、総額400万円を超える耐震改修が目安になります。減額の対象になるのは家屋の固定資産税のみで、都市計画税は含まれない点、1戸につき1回のみで他の減額との併用ができない点にもご注意ください。
実務で私がお勧めしているのは、工事を発注する前に、増改築等工事証明書を発行できる建築士や検査機関を工事のチームに入れておくことです。証明書は工事が終わってから慌てて頼むと、必要な写真や図面がそろわず、減額を逃すことがあります。申告の期限が「完了日から3か月以内」と短いことも、早めの段取りが必要な理由です。
なお、省エネ改修の減額は、対象が「専用住宅、併用住宅」と書かれ、共同住宅の記載がありません。賃貸物件での扱いは、税務課資産税グループ(0297-45-1111)で個別にご確認ください。
危険ブロック塀等撤去補助金(上限20万円)は賃貸物件でも検討の価値大
守谷市で、賃貸オーナーさまが自分の名義で申請できる可能性が高い現金の補助が、危険ブロック塀等撤去補助金です(市のページ更新日:令和8年5月10日)。
- 対象:通学路・避難路等に面する危険なブロック塀等で、次のすべてを満たすもの
- 道路面からの高さが60センチメートルを超える
- 販売を目的とする土地にあるものではない
- 都市計画課が実施する事前相談・現地調査で危険と判断された
- 守谷市に営業所などを有する建設業許可業者または解体工事業登録業者が施工する
- 補助額:撤去費用の3分の2と、撤去延長1メートルあたり17,000円の3分の2のうち、低いほうの額。上限20万円(1,000円未満切り捨て)
- 申込期間:令和8年6月1日〜令和8年11月30日
- 工事完了期限:令和9年1月29日
- 注意:撤去工事の着手前に申請が必要。予算の範囲を超えた場合は期間内でも受付終了の可能性あり
自己居住の要件は書かれておらず、除外されているのは「販売を目的とする土地」です。そのため、賃貸アパートの敷地に古いブロック塀がある場合は、検討の価値が大きい制度だと私は考えています。たとえば延長20メートルの塀なら、1メートルあたり17,000円×20メートル×3分の2で約22.6万円となり、撤去費用の3分の2がそれ以上であれば上限の20万円に届きます。
賃貸経営の視点では、ブロック塀は「事故が起きたときの損失が大きい割に、ふだんは目に入りにくい」部位です。通行人や入居者のお子さまにけがをさせてしまえば、補償だけでなく物件の評判にも響きます。申込期限の11月30日まで残り2か月を切っています。まずは都市計画課開発指導グループ(内線245・246)へ事前相談・現地確認を依頼するところから始めてください。撤去後のフェンスや生垣の設置については、市に生垣設置補助金の制度もありますので、外構の更新とあわせて相談すると効率的です。
太陽光・蓄電池・給湯器の補助は「入居者が申請、オーナーが承諾」
守谷市の住宅用太陽光発電システム、家庭用リチウムイオン蓄電池、住宅用高効率給湯器の三つの補助(いずれも令和8年度)は、補助対象者の条件に共通の一文があります。
第三者が所有する住宅に居住し、所有者の承諾を受けて当該住宅に対象設備を設置するかた
申請する時点で対象設備を設置した住宅に住んでいる方が対象で、住民票で確認されます。つまり、オーナーさまご自身は申請できませんが、入居者さまが申請者になり、オーナーさまは承諾書(第三者所有)を出す側になります。市のページには承諾書の様式も掲載されています。
令和8年度の概要は次のとおりです。
| 補助 | 補助額 | 件数・受付の状況 | 主な条件 |
|---|---|---|---|
| 住宅用太陽光発電システム | 5万円 | 30件。抽選申込は8月12日で終了、当選者の交付申請は11月27日まで | 出力10キロワット未満、逆潮流ありで系統連系、中古・リースは不可 |
| 家庭用リチウムイオン蓄電池 | 5万円 | 30件。9月28日更新時点で先着3件を追加募集中(窓口のみ・11月27日まで) | 太陽光と接続、国の補助事業の登録製品、いばらきエコチャレンジ登録 |
| 住宅用高効率給湯器 | 3万円 | 30件。当選者の交付申請は11月27日まで | エコキュート・ハイブリッド給湯器・エネファームなど |
いずれも令和8年4月1日以降の着工で、令和8年11月27日までに工事を終えて申請する必要があります。窓口は生活経済部生活環境課です。
一棟の賃貸マンションでは、各住戸に太陽光を載せる場面は多くありません。この枠が現実に関係するのは、賃貸戸建てやテラスハウス、長屋型の賃貸でしょう。入居者さまから「給湯器を高効率型に替えたい」「蓄電池を置きたい」と相談されたとき、承諾の条件(設置位置、撤去や原状回復の取り決め、設備の所有の帰属)を決めておくと、トラブルを防げます。逆に言えば、給湯器の更新時期が近い賃貸戸建てでは、入居者さまと話し合って補助を使ってもらうことが、オーナーさまの更新費用の軽減と入居者満足の両方につながる可能性があります。設備の所有関係によって税務上の扱いも変わりますので、契約前に顧問税理士にもご確認ください。
守谷市集合住宅条例:4戸以上の賃貸オーナーが知っておくべき義務
守谷市には、平成16年7月1日に施行された「守谷市集合住宅の建築及び管理に関する条例」があります。対象は、4戸以上(賃貸の店舗や事務所を含む)の共同住宅、長屋住宅、マンション等です。市のページ(更新日:令和6年1月23日)では、路上駐車やごみの出し方をめぐる近隣トラブルを防ぐために制定したと説明されています。
すでに集合住宅を管理しているオーナーさまに求められていることは、次の三つです。
- 市に所有者と管理者を報告する
- 所有者と管理人の氏名・連絡先を書いた管理人等表示板を、出入口などの見やすい位置に設置する
- 迷惑行為の禁止、ごみ処理方法の徹底、地元自治会への協力などを定めた管理規約を作り、入居者に守ってもらう(写しを市に提出)
また、20戸以上の集合住宅では管理人の常駐が求められます(連絡体制を整え、苦情に速やかに対応できる場合は免除)。新築や建替えの場合は、1住戸の専用床面積19平方メートル以上、駐車場と駐輪場を原則1戸1台以上、鉄製階段などの防音対策、華美な色彩を避けた外観、などの基準があります。
大規模修繕との関係でいえば、外壁の塗り替えで色を大きく変えるときや、鉄骨階段の改修のときに、この条例の考え方(周辺環境への配慮、防音対策)を意識しておくと安心です。工事中の近隣対応も、条例が目指す「円滑な近隣関係」と同じ方向を向いています。足場を長期間かける工事では、駐車場の一部が使えなくなることもあり、入居者さまの路上駐車が近隣の苦情につながることがあります。工程と仮設の計画を、入居者さまと近隣の両方の目線で考えておくことが大切です。
定期報告は守谷市役所ではなく「県南県民センター」へ
茨城県の定期報告制度のページ(更新日:2026年8月30日)では、特定行政庁は水戸市・日立市・土浦市・古河市・高萩市・北茨城市・取手市・つくば市・ひたちなか市の9市ではそれぞれの市長、それ以外の市町村では県知事とされています。提出先の表で、守谷市は県南県民センター建築指導課(土浦市真鍋五丁目17番26号、電話029-822-8519)の管轄に含まれています。
賃貸マンションや賃貸ビルが定期報告(いわゆる12条点検の報告)の対象になるかどうかは、用途と規模で決まります。対象建築物と報告時期は、県が公表している一覧(PDF)で確認できます。なお、防火設備の定期報告の報告期間は、令和7年1月1日から毎年7月1日〜12月28日に変わっています。
私が賃貸オーナーさまにお伝えしているのは、定期報告の周期を、外壁や防水の修繕計画の「物差し」にするという考え方です。外壁の全面打診調査の時期と、大規模修繕の時期を合わせれば、調査と補修を一度の仮設計画で済ませられることがあります。点検のたびに足場を組み直すのは、費用の面でも、入居者さまの負担の面でも、もったいないことです。
マンション長寿命化促進税制と管理計画認定は「分譲向け」と割り切る
守谷市は令和6年4月から、マンション管理計画認定制度を運用しています(窓口は都市計画課)。市のページでは、市への認定申請手数料は無料とされ、別途、マンション管理センターの事前確認の費用がかかると案内されています。ただし、この制度は分譲マンションの管理組合のためのもので、一棟所有の賃貸マンションは対象外です。
管理計画認定と関係の深い「マンション長寿命化促進税制」も、区分所有のマンションを想定した国の制度です。国土交通省が示す主な要件は、築20年以上・総戸数10戸以上、長寿命化に資する大規模修繕工事(外壁塗装、床防水、屋根防水)の実施、令和7年4月1日から令和9年3月31日までの工事完了などで、減額の割合は国の参酌基準が3分の1(市町村が条例で6分の1〜2分の1の範囲で定める)です。守谷市の割合や、一棟所有の賃貸の扱いは公式ページでは確認できませんでしたので、検討される場合は税務課資産税グループへご確認ください。
賃貸オーナーさまにとっての意味は、制度そのものより「流れ」にあります。分譲マンションで管理の見える化が評価され始めたことは、賃貸の世界でも、修繕履歴と長期修繕計画を整えた物件が選ばれる時代に入ったことを示していると私は見ています。
試算:守谷市の8戸アパートで考える、減額と補助のインパクト
ここからは、仮定にもとづくイメージ試算です(実在の物件の数字ではありません)。
仮に、昭和55年築・木造2階建て・8戸・平均賃料5.0万円の賃貸アパートを守谷市内にお持ちだとします。満室時の年間賃料収入は、8戸×5.0万円×12か月=480万円です。
- 耐震改修:総額480万円(1戸あたり60万円)の耐震改修を行い、現行の耐震基準に適合したとします。1戸あたり50万円超の条件を満たすので、固定資産税減額の申告ができる可能性があります。建物の固定資産税が年30万円なら、減額は翌年度の1年間で約15万円です。
- ブロック塀:道路沿いの延長15メートルの危険ブロック塀を撤去し、費用が45万円だったとします。費用の3分の2は30万円、延長基準は17,000円×15メートル×3分の2で17万円なので、補助額は低いほうの17万円です。
- 入居率:耐震補強と外構の安全対策を「安心して住める根拠」として募集図面や物件資料に書ければ、空室期間を1戸あたり1か月短くできた場合、年間で5万円×空室数の改善になります。
減額と補助を合わせても、耐震改修費の全額には遠く及びません。ただ、「補助ゼロ」と思っていた守谷市でも、税と外構の補助を組み合わせれば数十万円規模の支援を受けられる可能性があることは、知っておいて損はありません。
物件価値の面からも考えてみます。年間NOIが300万円のアパートを、キャップレート7.0%で評価すれば約4,286万円、7.5%で評価すれば4,000万円です。0.5ポイントの違いで約286万円の差が出ます。旧耐震のまま放置された物件は、買い手や金融機関から「リスクのある物件」と見られ、キャップレートが高く(=価格が低く)なりがちです。耐震補強の履歴は、この差を縮める材料になります。
補助に頼れない部分は「仮設計画」で取り返す
守谷市では、外壁塗装や防水といった大規模修繕の本体工事に使える補助は、私が確認できた範囲では見当たりません。だからこそ、総工費の中で大きな割合を占める仮設足場をどう計画するかが、オーナーさまの手残りを左右します。
一般に、大規模修繕の総工費のうち仮設足場の費用は15〜25%程度を占めるといわれます。30戸規模のマンションの大規模修繕がおおよそ3,500〜5,000万円とすると、足場だけで数百万円規模です。たとえば、10階建て・外周80メートル・工期3か月の建物で、足場工法の仮設費の概算が168万円、ロープアクセス工法が59万円となった事例では、約109万円の差が出ました(建物の形状や条件により変わる参考値で、実際の見積は物件ごとに異なります)。
仕様の目安も挙げておきます。外壁の打診調査は1平方メートルあたり250〜500円、外壁塗装は3,500〜4,500円、防水は5,000〜8,000円程度が一般的なレンジです。調査で劣化の範囲を正確に把握してから、必要な箇所に必要な工事をすることが、過剰な見積を避ける一番の近道です。料金の考え方は明誠の大規模修繕の料金の考え方で公開しています。
株式会社明誠は、これまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕に携わってきました。ロープアクセス工法は、作業員1人につきメインロープとバックアップロープの2本に接続し、2点以上の吊元を確保して行うのが基本です。明誠と全国のフランチャイズ加盟企業では、過去16年間、墜落による労働災害ゼロを維持しています。作業員はIRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の技能訓練を受け、品質面ではISO9001を取得しています。安全への取り組みは明誠の安全管理をご覧ください。
足場・ロープアクセス・ハイブリッド、守谷市の物件ではどう選ぶか
明誠は、通常の足場工法、無足場のロープアクセス工法、両者を組み合わせたハイブリッド工法の3つから、建物にとって最適な工法を提案できる、日本でも数少ない会社です。
| 工法 | 向いている守谷市の物件のイメージ | 強み | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 通常の足場工法 | 2〜3階建ての木造・軽量鉄骨アパートで、外壁の全面塗装を行う場合 | 広い面を一度に施工でき、作業の自由度が高い | 足場費がかかり、窓がふさがる期間が長い。駐車場が使えない期間が出ることも |
| ロープアクセス工法(無足場) | 守谷駅周辺などの中高層の賃貸マンション、敷地に余裕がない物件、部分補修 | 足場費の削減、工期短縮、入居者さまの生活への影響が小さい | 大面積の全面施工や重量物の搬入には向かない場合がある |
| ハイブリッド工法 | 低層部と高層部が混在する物件、店舗併用の賃貸ビル | 部位ごとに最適化して総額を下げる | 工程管理に高い調整力が必要 |
守谷市内の賃貸物件は、駐車場を1戸1台以上確保している敷地が多いのが特徴です。足場を組むと駐車場の一部が使えなくなり、入居者さまの路上駐車が近隣の苦情につながることがあります。仮設を最小限にできるロープアクセスやハイブリッドは、集合住宅条例が目指す近隣との関係づくりとも相性が良いと私は考えています。
ロープアクセス工法の技術的な解説や事例は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムで詳しく紹介しています。賃貸ビルや店舗併用の物件については、ビルオーナー向けの明誠のサービスもあわせてご覧ください。
損金算入:修繕費と資本的支出の線引き、補助金の課税
工事費の税務処理は、オーナーさまの手残りに直結します。原状回復や維持管理の範囲の工事は修繕費としてその年の損金(個人は必要経費)に算入できますが、建物の価値を高めたり耐用年数を延ばしたりする性質の工事は資本的支出として資産に計上し、減価償却で費用化します。
耐震改修は、建物の性能を高める工事として資本的支出に区分されることが多い工事です。一方、外壁の塗り替えや防水の更新は、内容によって修繕費となる部分が多くなります。耐震補強と外装の修繕を同時に行う場合は、見積書の段階で工事項目を分けておくと、税理士が区分を判断しやすくなります。明誠では、オーナーさまの税務処理を前提に、見積の内訳を整理してお出ししています。
ブロック塀の撤去補助のように、オーナーさまが補助金を受け取る場合は、受け取った補助金の課税関係にも注意が必要です。個人であれば所得の計算、法人であれば収益計上や圧縮記帳の可否が論点になります。固定資産税の減額は「税が安くなる」ものなので、補助金とは性質が異なりますが、固定資産税は不動産所得の必要経費でもあるため、減額された分だけ経費も減ることになります。いずれも、必ず顧問税理士に事前にご相談ください。
出口戦略:守谷市の賃貸物件を「選ばれる物件」で売るために
将来、物件を売却する、あるいは相続で次世代に引き継ぐことを考えるなら、「どんな修繕を、いつ、いくらで行ったか」の記録が価値になります。旧耐震の物件であれば、耐震診断の結果と補強工事の内容、増改築等工事証明書の写しは、買い手にとって何より安心できる資料です。
守谷市は、つくばエクスプレスと関東鉄道常総線が通り、都心への通勤圏として賃貸需要のある街です。その分、築年数の新しい物件との競争もあります。古い物件が選ばれ続けるには、「古いけれど、きちんと手を入れている」ことを示す必要があります。外壁や防水の修繕履歴、ブロック塀の撤去や外構の改善、集合住宅条例にもとづく管理規約や表示板の整備まで、管理の質を書類と写真で残しておくことをお勧めします。調査の記録はドローン調査なども活用して写真で残すと、売却時の説明資料として役立ちます。これまでの工事の実例は明誠の施工事例からご覧いただけます。
医療法人・介護事業者オーナーさまへ:守谷市の施設で優先すべきこと
守谷市内でクリニックやサービス付き高齢者向け住宅、介護施設を運営している、あるいはそうした建物を貸しているオーナーさまは、一般の賃貸住宅とは別の視点が必要です。
第一に、定期報告の対象になりやすいことです。病院や高齢者・障害者等の施設は、面積や所在階などの条件で対象かどうかが決まり、守谷市の提出先は県南県民センター建築指導課です。第二に、BCP(事業継続計画)の観点です。停電時の電源確保や、外壁の剥落・ブロック塀の倒壊による来訪者への危険は、運営の継続に直結します。第三に、工事中の利用者への影響です。施設の大規模修繕では、窓を長期間ふさがず、騒音や視界の遮断を抑えられる工法が求められます。足場を組まないロープアクセス工法は、こうした施設で選ばれることが多い工法です。
なお、守谷市のバリアフリー改修の固定資産税減額は、対象が専用住宅・併用住宅で「賃貸住宅は除く」とされているため、施設や賃貸物件では使えない前提で計画してください。
守谷市のオーナーさま向け:着手までの5ステップ
- 建物の現状把握:外壁・防水・鉄部・ブロック塀を調査し、旧耐震かどうか(建築確認の日付)も確認する
- 期限のある制度から逆算する:ブロック塀撤去補助の申込は11月30日まで、太陽光・蓄電池・給湯器の交付申請は11月27日まで
- 耐震改修の減額を見据えた体制づくり:増改築等工事証明書を発行できる建築士・検査機関を、発注前に決めておく
- 工法と仕様の比較見積:足場・ロープアクセス・ハイブリッドで比較し、修繕費と資本的支出の内訳を分けてもらう
- 入居者・近隣への周知:集合住宅条例の考え方に沿って、駐車場や騒音への配慮を工程に組み込む
雨漏りや漏水が気になる物件は、漏水対応のページも参考にしてください。
よくあるご質問
Q1. 守谷市には木造アパートの耐震診断や耐震改修の補助金がありますか?
A. 茨城県の令和8年度の一覧では、守谷市は診断・設計・改修・総合支援・部分改修のすべてが「-(補助制度なし)」です。問い合わせ先は都市計画課(0297-45-1111、内線245)と記載されています。
Q2. 守谷市の耐震改修の固定資産税減額は、賃貸アパートでも使えますか?
A. 市のページでは、対象として昭和57年1月1日以前の「共同住宅」が明記され、共同住宅等は1戸あたりの改修工事費50万円超が条件です。賃貸住宅を除く旨はバリアフリー改修にのみ書かれています。1戸120平方メートル相当分まで2分の1の減額で、工事完了から3か月以内の申告が必要です。個別の可否は税務課資産税グループでご確認ください。
Q3. 危険ブロック塀等撤去補助金の上限と申込期限は?
A. 撤去費用の3分の2と、延長1メートルあたり17,000円の3分の2のうち低い額で、上限は20万円です。申込は令和8年11月30日まで、工事完了は令和9年1月29日までで、着手前の申請が必要です。窓口は都市計画課開発指導グループ(内線245・246)です。
Q4. 守谷市の太陽光・蓄電池補助を、賃貸物件のオーナーが申請できますか?
A. オーナーさまご自身は申請できません。ただし「第三者が所有する住宅に居住し、所有者の承諾を受けて設置するかた」が対象に含まれるため、入居者さまが申請者となり、オーナーさまが承諾書を出す形で使える可能性があります。蓄電池は9月28日更新時点で先着3件の追加募集中です。
Q5. 守谷市に空き家のリフォームや解体の補助はありますか?
A. 市のよくある質問で「守谷市では実施しておりません」と回答されています。空家バンク(都市計画課)による売買・賃貸の橋渡しは行われています。
Q6. 守谷市内の建物の定期報告はどこに提出しますか?
A. 守谷市は特定行政庁ではないため、県南県民センター建築指導課(土浦市真鍋五丁目17番26号、電話029-822-8519)が提出先です。
Q7. 守谷市集合住宅条例は、既存の賃貸アパートにも関係しますか?
A. 関係します。4戸以上の集合住宅を管理している場合、所有者・管理者の市への報告、管理人等表示板の設置、管理規約の作成と写しの提出が求められています。20戸以上では管理人の常駐(連絡体制が整っていれば免除)も求められます。
Q8. 耐震補強と外壁塗装を同時に行うと、税務上どう扱われますか?
A. 一般に、耐震補強は資本的支出、外壁の塗り替えは内容により修繕費となる部分が多い工事です。見積の段階で工事項目を分けておくと区分がしやすくなります。最終的な判断は顧問税理士にご確認ください。
この記事のポイントまとめ
- 守谷市は茨城県の一覧で、木造耐震の補助が診断も含めて全項目「-」。県内44市町村で唯一です。
- 代わりに、耐震改修の固定資産税減額(共同住宅も対象・1戸120平方メートル相当分まで2分の1)が令和13年3月31日完了分まで使えます。
- 危険ブロック塀撤去補助(3分の2・上限20万円)は申込期限が令和8年11月30日。賃貸物件でも検討の価値があります。
- 太陽光・蓄電池・給湯器の補助は入居者が申請し、オーナーが承諾する枠があります。
- 4戸以上の賃貸オーナーは、守谷市集合住宅条例の表示板・管理規約の義務も確認を。
- 補助が薄い本体工事は、仮設計画と工法選びでNOIと出口価格を守ります。
守谷市の賃貸オーナーさまへ
守谷市は「補助金で修繕費を大きく減らせる街」ではありません。けれども、税の減額、ブロック塀の補助、入居者さまが使える環境系の補助、そして集合住宅条例という独自のルールを正しく組み合わせれば、オーナーさまの打ち手は思っている以上にあります。そのうえで、足場を含めた工法の選び方で総額を最適化することが、手残りを守る一番の近道です。
お持ちの物件で、まだ修繕計画や税制の検討を始めていないオーナーさまは、ぜひ一度お問合せください。1棟の現地調査と利回り改善シミュレーション、キャッシュフロー試算だけでもご相談を承ります。こちらからお問合せいただけます。収益物件の修繕に関する考え方はオーナー向けの明誠のご案内にもまとめています。
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本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月6日時点で公表されている守谷市・茨城県・国土交通省の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請・申告される前に、必ず守谷市および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。
この記事の執筆者
本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。
最終更新:2026年10月6日
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ロープアクセス工法の詳細や実例については、姉妹サイト「ロープアクセスドットコム」の以下の記事もぜひご覧ください。
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『大規模修繕工事 職人だから言える本当の話 —— 見積書では見えない業界の裏側と、修繕積立金を守る発注術』(Kindle版)を出版しています。20年以上の現場経験から、管理組合・オーナーが修繕積立金を守るための発注術と、業界の内幕を書き下ろしました。
出典(守谷市・茨城県・国土交通省 公式ウェブサイト)
- 耐震診断・補強設計・耐震改修の補助を行っている市町村の一覧(令和8年度)- 茨城県(更新2026年6月10日)
- 住宅の耐震・バリアフリー・省エネ改修工事に伴う減額 – 守谷市(更新令和8年4月21日)
- 危険ブロック塀等撤去補助金 – 守谷市(更新令和8年5月10日)
- 令和8年度 守谷市住宅用太陽光発電システム設置費補助金 – 守谷市(更新令和8年7月13日)
- 令和8年度 守谷市家庭用リチウムイオン蓄電池設置費補助金 – 守谷市(更新令和8年9月28日)
- 令和8年度 守谷市住宅用高効率給湯器設置費補助金 – 守谷市(更新令和8年10月6日)
- 住宅の助成 – 守谷市
- 守谷市集合住宅の建築及び管理に関する条例 – 守谷市
- 空家のリフォームや解体にする補助はありますか? – 守谷市
- マンション管理計画・関連情報 – 守谷市
- 守谷市の住宅関連助成制度等一覧(R8.4.1)- 茨城県
- 定期報告制度について – 茨城県(更新2026年8月30日)
- マンション長寿命化促進税制 – 国土交通省
日立市の賃貸マンション補助金2026|ブロック塀は最大50万円、税制は1/2減額も賃貸に壁
日立市で賃貸マンション・賃貸アパート・収益ビルをお持ちのオーナーさまへ。この記事は、令和8年度(2026年度)に日立市で賃貸オーナーさまが実際に使える制度と、使えない制度の境界線を、公式ページで確認できた事実だけで整理したものです。「日立市の賃貸物件で大規模修繕をするとき、補助金や税制優遇は使えるのか」という疑問に、誇張なくお答えします。
結論から申し上げます。日立市の住宅系の補助金は、私が確認できた範囲では「自ら住む個人」向けか「分譲」向けがほとんどです。木造住宅の耐震改修補助は「所有者またはその二親等以内の親族が居住する戸建て木造」が前提で、賃貸に出している共同住宅は対象になりません。管理計画認定制度は日立市内の分譲マンション限定、「まちなかマンション建設促進補助金」は分譲の新築を手がける事業者向けで、賃貸住宅は対象外と明記されています。
ただし、日立市には賃貸オーナーさまが今まさに検討できる制度が二つあります。一つは、危険ブロック塀等の改善事業補助です。補助対象者は「所有者または管理者」で、最大50万円、受付は令和8年4月27日から11月30日までです。もう一つは、マンション長寿命化促進税制です。日立市は固定資産税の減額割合を2分の1と明記しており、全国で多い3分の1より手厚い設定です。ただし対象は管理計画認定などを受けた区分所有マンションが中心で、一棟所有の賃貸にそのまま使えるとは限りません。私が関東一円で賃貸マンション・ビルの大規模修繕に携わってきた現場感覚も交えながら、補助金に頼りすぎず、NOI(実質賃料収入)と出口価格を守る考え方を順に整理します。
日立市で賃貸オーナーが押さえるべき制度【令和8年度・一覧】
まず全体像を表で押さえます。詳細は後述の各見出しで解説します。
| 制度名 | 対象 | 賃貸オーナーの使いやすさ | 令和8年度の状況 |
|---|---|---|---|
| 危険ブロック塀等改善事業補助 | 危険ブロック塀等の所有者または管理者 | ○(要件を満たせば検討可。法人・賃貸の明記なし) | 令和8年4月27日〜11月30日・予算内で先着、最大50万円 |
| 木造住宅耐震化支援事業助成金 | 昭和56年5月31日以前の木造戸建て(所有者等が居住) | ×(賃貸共同住宅は対象外) | 診断は令和9年1月29日まで、改修等は令和8年11月30日まで |
| マンション長寿命化促進税制 | 築20年以上・10戸以上の区分所有マンション | △(管理計画認定等が前提。一棟賃貸は要確認) | 固定資産税1/2減額・令和9年3月31日までの完了分 |
| マンション管理計画認定制度 | 日立市内の分譲マンション | ×(賃貸一棟所有は対象外) | 令和6年5月運用開始・市の手数料は無料 |
| まちなかマンション建設促進補助金 | 分譲マンションを新築する事業者 | ×(賃貸は対象外と明記) | 令和8年4月13日更新・新築限定 |
| 耐震改修に伴う固定資産税の減額 | 昭和57年1月1日以前の住宅・工事費50万円以上 | △(ページ記載の完了期限が令和8年3月31日で要確認) | 窓口で現行の取扱いを確認 |
この表を見て、「使える制度が少ない」と感じられた方も多いと思います。ただ、私は補助金が薄い物件ほど、工事費そのものの最適化が効くと考えています。この点は後半でじっくりお話しします。
日立市は特定行政庁 — 建築確認も12条点検(定期報告)も市の建築指導課へ
日立市で収益物件を運用するうえで、まず押さえたいのが「行政の窓口」です。茨城県の建築確認事務のページ(更新2026年4月1日)には、日立市が「市特定行政庁(9市)」の一つとして、都市建設部建築指導課の連絡先とともに掲載されています。県の定期報告制度のページにも、水戸市・日立市・土浦市・古河市・高萩市・北茨城市・取手市・つくば市・ひたちなか市の9市は、それぞれ自らの申請を扱うと書かれています。
建築基準法第12条に基づく定期報告(12条点検)について、日立市の「建築物・建築設備の定期調査報告制度」のページには、共同住宅が対象になるのは「地階または3階以上の階にあるもの、2階が300㎡以上のもの」のうち、サービス付き高齢者向け住宅やグループホームなど、高齢者・障害者の就寝を伴う施設に限られると案内されています。報告の周期は3年ごと、提出先は都市建設部建築指導課(本庁舎5階)です。なお、このページの最終更新は令和7年7月24日で、令和8年度の最新の取扱いは窓口で再確認が必要です。
つまり、一般的な賃貸マンションは直ちに12条点検の対象とは限りませんが、サ高住やグループホームを併設・転用している物件、あるいは用途変更を検討している物件では、対象になる可能性があります。外壁タイルの浮きや落下リスクは、定期報告の打診調査で指摘されやすい項目です。大規模修繕の前に、点検履歴と外壁の状態を整理して建築指導課へ相談しておくと、工事後の是正指摘やテナントとのトラブルを未然に防げます。問合せ先は、日立市役所の代表番号0294-22-3111です。
危険ブロック塀等改善事業補助 — 最大50万円、ただし「市の事前調査で危険と判定」が入口
賃貸オーナーさまにとって、日立市で最も現実的な直接補助が、危険ブロック塀等の改善事業補助です。市のページ(更新は令和8年4月21日)によると、補助対象者は危険ブロック塀等の所有者または管理者で、補助の対象となる事業は、危険ブロック塀の除却工事、除却後の軽量フェンスの設置、除却後の生垣の設置です。補助率は対象経費の3分の2で、最大50万円とされています(塀の長さなどに応じた上限の内訳は、市が公表している令和8年度版の利用手引きで確認できます)。
受付期間は令和8年4月27日から11月30日までです。予算がなくなった時点で年度途中でも終了する可能性があると明記されています。対象となる塀には、次の三つの条件が示されています。
- 避難路等に面していること(住宅等から指定避難所までの経路、緊急輸送道路、小中学校の通学路)
- 道路面からの高さが60cmを超えるものであること
- 地震時に倒壊のおそれがあるもの(市の事前調査で危険と判定されたもの)
ここが日立市の制度の核心です。いきなり工事の見積りを取るのではなく、先に市へ事前調査を申請し、危険と判定されてから補助金の交付申請に進むという順序になっています。手順は、事前調査申請、市による危険判定、補助金交付申請、工事実施、実績報告の5段階で、実績報告の期限は工事完了から20日以内、または令和9年2月26日までのいずれか早い日とされています。工事の契約は交付決定の後でなければ補助の対象になりません。先に着工してしまうと、補助が受けられなくなる点に注意してください。
施工者の条件もあります。除却工事は、建設業法の許可を持つ建設業者か、解体工事業者のうち、市内に本店等を有する法人または個人事業者に限られます。市外の業者や、普段お付き合いのある管理会社の協力業者に依頼すると、補助の対象外になるおそれがあります。
除外条件として、市税の滞納がある方、敷地の販売を目的として撤去する所有者、すでに同じ補助を受けたことのある方が挙げられています。売却を前提にしたブロック塀の撤去は対象外ですから、出口として売却を近く予定している物件では、使えない可能性があります。
賃貸オーナーさまが特に確認すべき点が二つあります。一つは、対象者が「所有者または管理者」とされている一方、法人名義の物件や共同住宅の塀が対象になるかどうかは、私が確認できた範囲では明記されていないことです。管理会社が「管理者」に当たるのかも含め、申請前に建築指導課へ確認してください。もう一つは、日立市は海と山に挟まれた坂の多い街で、傾斜地に建つ賃貸物件では塀と擁壁が一体になっていることが少なくありません。擁壁の安全性は別の法令で扱われますので、塀だけの改善で済むのか、擁壁の点検も必要なのかを、事前調査の際に併せて相談しておくことをお勧めします。
賃貸マンションやアパートの道路側に古いブロック塀が残っていると、倒壊した際には通行人や入居者への被害だけでなく、所有者責任として原状回復や損害賠償で数百万円単位の負担になり得ます。受付は予算に達し次第終了するため、検討される場合は11月30日を待たず、早めの相談をお勧めします。
木造住宅の耐震化支援は「所有者等が居住する戸建て」限定 — 賃貸共同住宅は対象外
日立市には、木造住宅耐震化支援事業助成金があります。令和8年度の受付は4月27日に始まり、対象は昭和56年5月31日以前に建築された木造の戸建て住宅で、所有者または二親等以内の親族が居住していることが前提です。補助の区分は、耐震診断(上限3万円)、耐震改修計画(上限10万円)、耐震改修工事(上限30万円)、計画と工事の一体型(上限115万円)、耐震シェルターの設置(上限50万円)で、申込期限は耐震診断が令和9年1月29日、そのほかが令和8年11月30日です。契約の前に申請することが条件で、市内の登録施工業者などの要件もあります。
見てのとおり、これは「自分が住む木造の家」を守る制度です。RC造やS造の賃貸マンション、あるいは賃貸に出している木造アパートは、私が確認できた範囲では対象に当たりません。「耐震の補助金があるから使えるはず」と思い込んで耐震診断の見積りを取り、あとから対象外とわかるケースは珍しくありません。賃貸物件の耐震は、後述する法令の枠組みで考える必要があります。
特定既存耐震不適格建築物ルート — 賃貸共同住宅が名指しされる法令の話
市の住宅向け助成が使えなくても、賃貸オーナーさまが押さえておくべき法令があります。耐震改修促進法第14条では、一定規模以上の多数の人が利用する建築物のうち、旧耐震基準で建てられたものを「特定既存耐震不適格建築物」と位置づけ、所有者に耐震診断・耐震改修の努力義務を課しています。規模要件の表には、階数3以上かつ床面積1,000㎡以上の賃貸共同住宅なども含まれています。
日立市の補助金ページで私が確認できた耐震関連の助成は、木造住宅の耐震化支援とブロック塀の改善事業です。民間の賃貸共同住宅や事務所ビルの耐震診断・改修に対する市独自の助成は、見当たりませんでした。ただし、国の補助制度は別にありますので、規模の大きい物件では建築指導課へ「特定既存耐震不適格建築物に該当するか」「利用できる国の制度があるか」を確認する価値があります。
補助の有無にかかわらず、旧耐震の賃貸マンションを放置してよいわけではありません。耐震性が不明な物件は、金融機関の担保評価や売却時のデューデリジェンスで必ず問われます。耐震診断で現状を数字にしておくことが、出口戦略の第一歩です。
固定資産税の減額 — 耐震改修は「令和8年3月31日まで」の記載に注意
日立市の「耐震改修工事に伴う固定資産税の減額」のFAQページには、減額の対象が昭和57年1月1日以前から所在する住宅で、現行の耐震基準に適合する改修を行い、工事費が50万円以上であること、減額の範囲は1戸あたり120㎡相当分まで、期間は1年度分(通行の妨げになる建物は2年度分)と書かれています。完了後3か月以内に、工事の証明書類などを添えて資産税課へ申告します。
ただし、このページに示された工事の完了期限は令和8年3月31日となっており、令和8年10月の時点では期限が過ぎた記載のままです。国の税制措置が延長されている可能性はありますが、日立市のページからはそれを確認できませんでした。そのため、私はこの制度を「使える」とは書かず、着工前に資産税課(0294-22-3111、内線231〜234)へ現行の取扱いを確認することをお勧めします。また、賃貸住宅が対象かどうかも、ページには明記されていません。ここも確認事項です。
マンション長寿命化促進税制 — 減額割合は2分の1、ただし区分所有マンション向け
日立市の「長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションに対する固定資産税の減額制度」のページによると、一定の要件を満たすマンションが大規模修繕工事を完了した場合、翌年度の固定資産税が2分の1に減額されます。全国で多い3分の1と比べて手厚い設定で、水戸市と同じ割合です。
主な要件は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象マンション | 築20年以上、総戸数10戸以上、居住用専有部分が床面積の2分の1以上 |
| 管理体制 | 市の「管理計画認定制度」の認定を受けたマンション、または市から助言・指導を受けた管理組合 |
| 対象工事 | 外壁塗装等工事、床防水工事、屋根防水工事(実施の証明が必要) |
| 工事の実施期間 | 令和5年4月1日〜令和9年3月31日 |
| 減額の範囲 | 1戸あたり100㎡(共用部分を含む)まで |
| 回数 | 当該マンションにつき1度のみ |
| 申告期限 | 工事完了から3か月以内 |
この制度は、管理組合が決議して大規模修繕を行う区分所有(分譲)マンションを想定した仕組みです。一棟全体を一人のオーナーさまが所有する賃貸マンションでは、「管理組合」も「管理計画認定」も存在しないため、そのままでは要件を満たせない可能性が高いと私は見ています。ただし、賃貸と分譲が混在する物件や、区分所有の一部を所有している場合は条件が変わります。工事を発注する前に、資産税課へ「自分の物件は対象か」を必ず確認してください。令和9年3月31日という期限があるため、検討するなら令和8年度中に動くことが大切です。
マンション管理計画認定制度 — 市の手数料は無料、ただし対象は分譲マンション
日立市のマンション管理計画認定制度は、令和6年5月から運用が始まりました。市のページ(最終更新は令和8年6月11日)によると、申請窓口は都市建設部住政策推進課(本庁舎5階)、市の認定に係る手数料は無料です。ただし、公益財団法人マンション管理センターのシステム利用料と事前確認の審査料は別に必要です。認定基準は国土交通省告示のとおりで、日立市独自の基準はありません。対象は日立市内の分譲マンションのみです。
賃貸一棟所有のオーナーさまは対象外ですが、分譲マンションの一室を投資用に所有している区分所有オーナーさまには、無関係ではありません。管理計画の認定を受けたマンションは、固定資産税の減額特例や金融機関の融資金利の優遇を受けやすく、将来の売却価格にも好影響が出る可能性があります。区分所有のオーナーさまは、管理組合に認定の検討状況を確認してみてください。
「まちなかマンション建設促進補助金」は賃貸には使えない
日立市には、中心市街地などでの住宅建設を後押しする「まちなかマンション建設促進補助金」があります。対象区域は、日立BRTの各停留所から半径500m、JR常磐線の大甕駅・日立多賀駅・日立駅・小木津駅・十王駅から半径1km以内で、いずれも居住誘導区域内であることが条件です。補助額は、専有面積65㎡以上の住戸1戸あたり10万円、1計画あたり上限400万円です。
ただし、市のページ(更新は令和8年4月13日)では、対象は分譲マンションを新築する事業者であり、賃貸住宅は対象外と整理されています。既存の賃貸物件を修繕するオーナーさまには関係がなく、新築の分譲事業者向けの制度だとご理解ください。「日立市に補助金がある」と聞いても、中身を確認すると賃貸には使えないものが多い、という見本のような制度です。
日立市の賃貸市場と入居率の実感
日立市は、日立製作所の創業の地として知られる企業城下町で、JR常磐線の日立駅周辺や大甕駅、日立多賀駅の周辺に、社宅や賃貸マンション、アパートが広がってきました。私はこれまで関東一円の賃貸マンション・ビルの修繕に携わってきましたが、企業の事業所や工場の動きと入居の動きが連動しやすい街では、入居者の第一印象を左右する外観の劣化が、空室期間に直結しやすいと感じています。
外壁タイルの浮きや塗膜の劣化、屋上防水の切れ、鉄部のサビは、内見のときに入居希望者の評価を確実に下げます。さらに、日立市は海に近く、潮風を受ける立地では鉄部の腐食やシーリングの劣化が進みやすい傾向があります。築年数なりの劣化は、賃料の下落圧力として静かに効いてきます。周辺の競合物件が外観を整えていれば、同じ賃料では決まらなくなり、値下げか空室期間の長期化かを迫られます。入居率が1%下がると年間のキャッシュフローがどれだけ変わるか、一度数字で確認してみてください。
私が現場でよく見るのは、「補助金が出ないから修繕を先送りにした結果、雨漏りが起きて入居者が退去し、結局は高くついた」というパターンです。補助金の有無と、修繕の要否は別の話として切り分けて考えていただきたいのです。
補助金が薄いからこそ、工事費そのものの最適化が効く
補助金が使えない、あるいは使える額が小さい場合、最も効果が大きいのは工事費そのものを適正化することです。大規模修繕では、仮設足場の架設・解体だけで工事費全体の15〜25%を占めることが少なくありません。3階建て以上の賃貸マンションや、坂道や傾斜地で足場の設置条件が厳しい物件では、足場代が総額を押し上げる大きな要因になります。
一つの目安として、10階建て・外周80m・工期3か月のマンションでは、足場を組む場合の仮設費が約168万円のところ、ロープアクセス工法では約59万円と、約109万円の差が出る試算があります(あくまで参考値で、実際の費用は建物の形状・劣化状況・周辺環境で大きく変わります)。外壁の部分補修、防水、シーリングの打ち替え、タイル浮き補修、打診調査などは、足場を組まずに施工できる場合があります。打診調査の㎡単価は250〜500円程度、外壁塗装は3,500〜4,500円/㎡程度が目安で、補助金で数十万円を受け取ることと、工事費から数百万円を削減することでは、キャッシュフローへのインパクトが桁違いです。
株式会社明誠は、これまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセス工法での高所作業では、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業で、過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。ロープアクセスの基本的な考え方や安全基準は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムでも詳しく解説しています。建物の形状や劣化の状況によっては、足場が最適な場合もあります。大切なのは、最初から工法を決めつけず、建物ごとに最も合理的な工法を比較することです。費用の考え方は、当社の合理的な価格でご提案するページや、安全管理の安全への取り組みもご覧ください。明誠のこれまでの施工事例もご参照いただけます。
損金算入とキャッシュフロー:オーナーが押さえるべき税務の基本
補助金が使えない場合でも、税務上の扱いを正しく理解することで、実質的な手取りは大きく変わります。修繕費として一括で損金算入できるか、資本的支出として減価償却になるかで、その年の税引後キャッシュフローは大きく違ってきます。原状回復や維持管理のための外壁塗装や防水の改修は、修繕費と判断されることが多い一方、建物の価値を高める性質の工事は資本的支出とされる場合があります。区分は工事の内容や金額で判断が分かれるため、着工前に顧問税理士へ確認してください。
また、ブロック塀の改善事業補助のような補助金を受け取った場合、受給時に雑収入などとして課税される点にも注意が必要です。補助金を受け取れたとしても、税引後の手取りは満額ではありません。最大50万円の補助でも、税負担を含めて実質いくらになるかを試算しておくことが、健全な投資判断につながります。修繕計画の段階から、キャッシュフロー試算と併せて検討しましょう。
出口戦略への影響:耐震と管理状態の見える化が物件価値に効く
賃貸経営で多くのオーナーさまが見落としがちなのが、出口(売却)の視点です。金融機関は、担保評価の際に築年数だけでなく、修繕履歴、耐震性、定期報告の実施状況を見ます。買い手側の投資家も、収益還元価格の算定でキャップレートを判断するとき、将来の大規模修繕リスクを織り込みます。
「出口を見据えた修繕投資は、利回り改善より物件価値そのものを底上げします」と、私は常々申し上げています。修繕履歴が整理され、耐震診断の結果があり、外壁や防水が適切に維持されている物件は、査定で有利に評価されやすくなります。逆に、大規模修繕が未実施のまま売りに出すと、買い手から「修繕費を値引きしてほしい」と交渉される材料になります。なお、日立市のブロック塀補助は、敷地の販売を目的とした撤去が対象外です。売却を急ぐ物件では、制度の目的と自分の計画が合うかを事前に確認してください。投資の考え方は、収益不動産のオーナーさま向けページでも整理しています。
医療法人・介護事業者オーナーさまへ:BCP・防災の視点も
病院やクリニック、サービス付き高齢者向け住宅、グループホームなどを所有・運営されている医療法人・介護事業者さまは、賃貸マンションのオーナーさまとは異なる視点が必要です。まず、日立市の定期報告のページでも、高齢者・障害者の就寝を伴う施設が共同住宅の対象として挙げられていることです。規模や用途によって3年ごとの報告が必要になる場合があり、日立市内の建築物は市の建築指導課へ報告します。
次に、稼働を止めない工法選びが経営上の死活問題になる点です。足場を組む工事では、施設の出入口や駐車場、換気口が長期間ふさがれ、患者さまや入居者さま、面会のご家族の動線に影響が出ます。足場を組まないロープアクセス工法であれば、施設の動線を大きく変えずに外壁や防水の工事を進められるケースがあります。BCP(事業継続計画)や防災の観点からも、工事中の安全確保と稼働の維持を両立する工法を検討する価値があります。
足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3工法の選び方
私たち株式会社明誠は、通常の足場仮設工事・無足場工法であるロープアクセス・両者を組み合わせたハイブリッド工法の3つから、建物にとって最適な工法をご提案できる、日本でも数少ない会社です。ロープアクセスとしては日本初のフランチャイズ展開も行っており、塗装、防水、タイル、電気、看板など各分野の専門職が加盟しています。高品質で低価格な工事を目指しています。
3工法の使い分けの目安は次のとおりです。
| 工法 | 向いている建物・工事 | 主なメリット |
|---|---|---|
| 通常の足場仮設 | 全面改修・屋根の大規模工事・塗装の全面塗り替え | 作業の安全性と品質が安定、大面積の施工に強い |
| ロープアクセス(無足場) | 部分補修・防水・シーリング・タイル補修・外壁調査 | 足場代を削減、工期短縮、入居者への影響が少ない |
| ハイブリッド | 低層部は足場、高層部や狭小部はロープで対応 | 費用と安全性のバランスを最適化 |
日立市のように坂道や傾斜地、海沿いの立地が多いエリアでは、足場の設置条件や潮風による劣化の進み方が物件ごとに違います。だからこそ、建物の形状、周辺環境、工事範囲によって最適解は変わります。当社のロープアクセスの取り組みは、ロープアクセス工法のご案内でもご覧いただけます。また、技術詳細や訓練情報を知りたい方は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムが参考になります。まずは現地の状態を見て、3工法を並べて比較することが大切です。
よくあるご質問
Q1. 日立市の木造住宅耐震化支援は、賃貸アパートにも使えますか?
A. 私が確認できた範囲では使えません。対象は昭和56年5月31日以前に建築された木造の戸建て住宅で、所有者または二親等以内の親族が居住していることが前提です。賃貸共同住宅は対象外と考えて、まず市へ確認してください。
Q2. ブロック塀の補助金は、法人名義の賃貸ビルでも申請できますか?
A. 市のページでは対象者が「所有者または管理者」とされ、個人・法人の別や共同住宅の塀の扱いは明記されていません。法人名義の場合は、申請前に建築指導課へ確認してください。
Q3. ブロック塀の補助は、先に工事を発注してもいいですか?
A. いいえ。日立市では、先に市へ事前調査を申請して危険判定を受け、補助金の交付申請をして交付決定を受けた後に工事を契約する手順です。先に着工すると対象外になるおそれがあります。
Q4. 日立市のマンション長寿命化促進税制の減額割合は何分の1ですか?
A. 日立市のページでは、固定資産税の2分の1を減額すると案内されています。対象は築20年以上・10戸以上で、管理計画認定などを受けたマンションです。工事の完了期限は令和9年3月31日で、申告は完了後3か月以内です。
Q5. 一棟所有の賃貸マンションでも、長寿命化促進税制は使えますか?
A. 制度は管理組合のある区分所有マンションを想定しており、一棟所有の賃貸は要件を満たせない可能性が高いと私は見ています。着工前に資産税課へ確認してください。
Q6. 日立市で12条点検(定期報告)の提出先はどこですか?
A. 日立市は特定行政庁で、提出先は都市建設部建築指導課です。共同住宅は、地階または3階以上、あるいは2階が300㎡以上のもので、高齢者・障害者の就寝を伴う施設が対象と案内されています。ページは令和7年7月24日更新のため、現行の取扱いを窓口で確認してください。
Q7. 日立市の管理計画認定制度は、賃貸マンションにも使えますか?
A. 対象は市内の分譲マンションのみです。市の手数料は無料ですが、マンション管理センターの事前確認の審査料などが別に必要です。
Q8. 大規模修繕の費用は、修繕費と資本的支出のどちらで処理すればいいですか?
A. 工事の内容と金額で判断が分かれます。原状回復や維持管理の工事は修繕費、価値を高める工事は資本的支出とされる場合があります。着工前に顧問税理士へご確認ください。
この記事のポイントまとめ
- 日立市は特定行政庁で、建築確認・定期報告の窓口は市の建築指導課。共同住宅の定期報告は、高齢者・障害者の就寝施設が対象
- 危険ブロック塀等改善事業補助(3分の2・最大50万円)は令和8年11月30日まで。先に事前調査と危険判定が必要で、売却目的の撤去は対象外
- 木造住宅の耐震化支援は、所有者等が居住する木造戸建て限定。賃貸共同住宅は対象外
- マンション長寿命化促進税制は固定資産税2分の1と手厚いが、区分所有マンション向け。一棟賃貸は要確認
- 管理計画認定とまちなかマンション建設促進補助金は、分譲向けで賃貸は対象外
- 補助金が薄いからこそ、3工法の比較で工事費を最適化し、NOIと出口価格を守る
日立市の賃貸オーナーさまへ
私から最後に一言申し上げます。日立市でお持ちの物件について、補助金が使えるかどうかを調べるより先に、旧耐震かどうか、外壁や防水の劣化がどこまで進んでいるか、道路沿いに古いブロック塀が残っていないかを把握することが、投資判断の出発点です。補助金は「出たらありがたい」ものであって、修繕計画の前提にすべきものではありません。
お持ちの物件で、まだ修繕の検討を始めていないオーナーさまは、ぜひ一度お問合せください。1棟の現地調査と利回り改善シミュレーション、キャッシュフロー試算だけでも、ご相談を承ります。こちらからお問合せいただけます。数字の話と、次の一歩を、一緒に整理させてください。
▼ロープアクセス工法・無足場工法の詳細解説はこちら
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本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月2日時点で公表されている日立市および国土交通省・茨城県の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請・申告される前に、必ず日立市および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。
この記事の執筆者
本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。
最終更新:2026年10月2日
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ロープアクセス工法の詳細や実例については、姉妹サイト「ロープアクセスドットコム」の以下の記事もぜひご覧ください。
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出典(日立市・茨城県・国土交通省 公式ウェブサイト)
- 危険ブロック塀等の改善工事を助成します – 日立市
- 日立市危険ブロック塀等改善事業 補助制度利用の手引き(令和8年度版)- 日立市
- 日立市木造住宅耐震化支援事業助成金 – 日立市
- 日立市の住まいに関する支援・助成制度 – 日立市
- 日立市マンション管理計画認定制度のご案内 – 日立市
- 長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションに対する固定資産税の減額制度 – 日立市
- 耐震改修工事に伴う固定資産税の減額について – 日立市
- まちなかマンション建設促進補助金 – 日立市
- 建築物・建築設備の定期調査報告制度 – 日立市
- 建築指導課 – 日立市
- 定期報告制度について – 茨城県
- 建築確認事務に関する問合せ・申請先 – 茨城県
- マンション長寿命化促進税制(固定資産税の特例措置)- 国土交通省
- マンション管理計画認定制度 – 国土交通省
牛久市の賃貸マンション補助金2026|耐震は診断のみ、蓄電池5万円は自己居住限定
牛久市で賃貸マンション・賃貸アパート・収益ビルをお持ちのオーナーさまへ。この記事は、令和8年度(2026年度)に牛久市で賃貸オーナーさまが使える制度と使えない制度を、牛久市と茨城県の公式ページで確認できた事実だけで仕分けたものです。「牛久市で賃貸物件の大規模修繕を考えているが、補助金や税の優遇はどこまで当てにしてよいのか」という疑問に、期待値を上げすぎずにお答えします。
結論からお伝えします。牛久市の住宅系の支援は、私が公式ページで確認できた範囲では「自分で住む個人」と「子育て世帯の移住・定住」に向けたものが中心で、賃貸一棟を所有するオーナーさまが正面から使える補助は多くありません。木造住宅の耐震支援は、県の一覧表で「耐震診断」にのみ印が付き、補強設計や改修には印がありません。住宅用の蓄電システムの補助(1台5万円)は「市内に自ら居住・居住予定の個人のみ」、省エネ家電の買替え補助は自己居住限定で、しかも令和8年度分は予算額に達して受付を終了しています。
もう一つ、牛久市ならではの事実があります。茨城県の定期報告制度のページ(更新日:2026年8月30日)では、水戸市・日立市・土浦市・古河市・高萩市・北茨城市・取手市・つくば市・ひたちなか市の9市が自市で受付を行うと書かれており、牛久市はそこに含まれません。牛久市内の建築物の定期報告は、土浦市にある県南県民センターの建築指導課が窓口です。同じ茨城県南の取手市やつくば市と比べて、窓口の場所が違う点は意外に見落とされがちです。
では、賃貸オーナーさまの打ち手は何か。私は三つあると考えています。一つ目は、使える制度と使えない制度を最初に仕分けて、期待で資金計画を組まないこと。二つ目は、固定資産税の減額や定期報告といった「制度の手前」を押さえて、工事のタイミングを設計すること。三つ目は、補助金に頼れないぶん、足場を含めた工法と仕様の選び方で総額そのものを下げることです。入居率とNOI(実質賃料収入)、損金算入の考え方、出口戦略、そして病院・介護施設オーナーさまの視点まで、20年以上この仕事をしてきた私の現場感覚を交えて整理します。
牛久市で賃貸オーナーが確認すべき制度【令和8年度・一覧】
まず全体像を表で押さえます。表の「賃貸オーナーの使いやすさ」は、市の公式ページの記載から私が判断した目安です。個別の物件で使えるかどうかは、必ず担当窓口にご確認ください。
| 制度名 | 対象 | 賃貸オーナーの使いやすさ | 令和8年度の状況 |
|---|---|---|---|
| 耐震診断士派遣事業(旧耐震の木造住宅) | 昭和56年以前の旧耐震基準の木造住宅 | △(法人・賃貸の扱いは建築住宅課で確認) | 県の一覧で「耐震診断」のみ実施。補強設計・改修は印なし |
| 住宅用環境配慮型設備設置事業補助金(蓄電システム) | 市内に自ら居住・居住予定の個人 | ×(個人のみ・自己居住) | 令和8年6月1日〜令和9年1月29日・1台5万円 |
| 住宅用省エネ家電製品買替え促進補助金 | 自己居住の個人(法人は対象外) | ×(自己居住限定) | 予算額に達し受付終了(補助率1/3・上限5万円だった) |
| 子育て世帯空家活用応援補助金 | 市外から空家・空地バンク登録物件を購入・賃借する子育て世帯 | △(貸す側としての論点。補助の申請者は入居する世帯) | 改修費の1/2・上限50万円 |
| マンション管理計画認定制度 | 市内の分譲マンション | ×(賃貸一棟は対象外) | 認定主体は牛久市(手数料・窓口は建築住宅課で確認) |
| マンション長寿命化促進税制(固定資産税) | 築20年以上・10戸以上などの区分所有マンション | △(要件・一棟所有の扱いは資産税課で確認) | 3分の1減額・令和9年3月31日までの完了分(国の制度) |
| 建築物の定期報告 | 対象用途・規模の建築物の所有者・管理者 | -(義務。補助ではない) | 窓口は県南県民センター建築指導課(土浦市) |
表の読み方のコツは、「使える制度」を探す前に、「×」と「△」の理由を先に知ることです。牛久市の制度は、物件の持ち方(自己居住か賃貸か、個人か法人か、区分所有か一棟所有か)で使えるかどうかがはっきり分かれます。ご自身の物件がどこに当てはまるかを確認してから、工事計画の資金繰りを組むのが安全です。
牛久市の賃貸オーナーが直面する「自己居住の壁」
牛久市の補助制度を読んでいくと、同じ表現が何度も出てきます。「市内に自ら居住」「自己居住の住宅のみ」「個人のみ」。この言葉が、賃貸オーナーさまにとっての壁です。
令和8年度の蓄電システムの補助は、対象者が「市内に自ら居住・居住予定の個人のみ」と明記され、さらに申請者と同一世帯の方が「いばらきエコチャレンジ」に登録していることも要件です。省エネ家電の買替え補助も、申請の手引きに「自己居住の住宅のみ対象」「法人は対象外」と書かれています。つまり、賃貸に出している建物と、法人名義の建物は、申請の入口に立てないということです。
私がオーナーさまからよくいただく質問に、「補助金がないなら、工事はもう少し先でもいいのでは」というものがあります。気持ちはよく分かります。ただ、補助金の有無と、工事を行うべき時期は別の問題です。劣化は補助金の有無に関係なく進み、先送りした分だけ、将来の工事費は膨らみがちです。補助金が使えないという事実を、「だから工事の質と総額の設計が、そのまま利回りを左右する」と読み替えるのが、オーナー経営の考え方だと私は思っています。
耐震は「診断のみ」— 牛久市の木造住宅支援の範囲
茨城県が公表している木造住宅耐震補助の市町村別一覧では、牛久市は「耐震診断」に印が付き、「補強設計」「耐震改修」「総合支援」「部分改修」には印がありません。牛久市が令和8年4月1日時点でまとめた住宅関連の助成制度一覧でも、耐震関係は「耐震診断士派遣事業」(旧耐震基準の木造住宅に木造住宅耐震診断士を派遣する事業)のみの記載で、担当は建築住宅課です。
取手市のように、診断から設計、改修までを補助する枠組みがある市と比べると、牛久市は診断までを支援し、その先の補強工事費は所有者の負担という構造です。診断の対象が自己居住に限られるのか、賃貸アパートや法人所有でも使えるのかは、公式の一覧からは判断できませんので、建築住宅課(029-873-2111、内線2561〜2564)にご確認ください。
賃貸オーナーさまの木造アパートが旧耐震基準(昭和56年5月31日以前の建築確認)であれば、補助の有無にかかわらず、専門家による耐震診断を一度受けておく価値があります。診断結果と補強の履歴は、入居者募集のときにも、売却や融資のときにも、買い手や貸し手が見るポイントになるからです。診断で補強が必要と分かった場合、工事費は自己資金になる前提で、後述の損金算入や出口戦略とセットで計画を立ててください。
蓄電システムの補助(1台5万円)— 令和8年度は個人の自己居住限定
令和8年度の住宅用環境配慮型設備設置事業補助金(市のページ更新日:2026年10月2日)の概要は次のとおりです。
- 対象設備:太陽光発電(10kW未満)と連携し、国の委託事業者に登録された蓄電システム
- 補助額:1台当たり50,000円
- 対象者:市内に自ら居住・居住予定の個人のみ。市税の滞納がなく、過去に同種の補助を受けていないこと
- 受付期間:令和8年6月1日〜令和9年1月29日(平日8時30分〜17時15分、郵送不可)
- 主な条件:新規の未使用品、交付決定後に着工、完了後2か月以内に実績報告
- 窓口:牛久市役所第3分庁舎2階の環境政策課
前年度の令和7年度版では、家庭用燃料電池(エネファーム)の補助(4万円)もありましたが、令和8年度版のページで確認できた対象設備は蓄電システムのみです。賃貸オーナーさまにとって重要なのは、この補助が使えないこと自体より、入居者の側が使える可能性です。入居者が自ら居住する戸建て賃貸などで設備を導入したい場合、名義や設備の所有関係によって扱いが変わりますので、必ず環境政策課の窓口でご確認ください。
一方で、省エネ家電(エアコン・冷蔵庫)の買替え補助は、令和8年度分は申請期間が令和8年4月1日〜8月31日、補助率は購入額の3分の1・上限5万円でしたが、予算額に達したため申請受付は終了しています。入居者向けの設備更新を補助金で賄う発想は、牛久市では現実的ではありません。
空家・空地バンクの子育て世帯補助 — 貸す側のオーナーに関わる数少ない制度
賃貸オーナーさまに関わる可能性が高いのが、「親子特区!!うしく子育て世帯空家活用応援補助金」です。市の空家・空地バンクに登録された空家を、市外から購入または賃借した子育て世帯が、改修工事を行った場合に、費用の2分の1(上限50万円、1,000円未満切り捨て)を補助します。
申請の主体は、あくまで入居する子育て世帯です。主な条件は、世帯全員が購入・賃借の時点で市外に住民登録していること、18歳未満の子がいること、改修工事の完了日から引き続き10年以上居住する意思があること、3親等以内の親族との契約でないこと、市税の滞納がないこと、過去に同補助を受けていないこと、などです。賃借でも申請できますが、10年以上の賃借期間の担保を明確にする必要があります。
貸す側のオーナーさまにとっての意味は二つあります。一つは、空家・空地バンクに登録した戸建てや小規模物件であれば、補助金を使いたい子育て世帯の入居希望を呼び込める可能性があること。もう一つは、10年以上の賃借期間を求められるため、長期契約を前提とした賃貸借の設計(定期借家か普通借家か、改修の費用負担の取り決め)が必要になることです。マンションの一室というより、空き家化した戸建てや小規模物件の活用に向いた制度です。受付期間や登録の条件は、空家対策課(牛久市役所)でご確認ください。
牛久市は特定行政庁ではない — 定期報告は県南県民センター建築指導課へ
茨城県の定期報告制度のページ(更新日:2026年8月30日)には、水戸市・日立市・土浦市・古河市・高萩市・北茨城市・取手市・つくば市・ひたちなか市の9市が、それぞれの市で受付を行うと明記されています。牛久市は含まれていませんので、牛久市内の建築物の定期報告(いわゆる12条点検の報告)は、県の窓口である県南県民センター建築指導課(土浦市真鍋五丁目17番26号、電話029-822-8519)が受け付けます。
賃貸マンションや賃貸ビルが定期報告の対象になるかどうかは、用途と規模で変わります。ホテル、病院、物販店舗、学校など不特定多数の方が利用する用途や、共同住宅(賃貸マンション)でも階数と床面積の条件を満たすものは、対象になる場合があります。ご自身の物件が対象か、いつ報告するのかは、物件の階数と床面積によって異なりますので、県南県民センター建築指導課または管理会社にご確認ください。ホテル・病院・介護施設を所有または運営されているオーナーさまは、対象になる可能性が高いため、早めの確認をお勧めします。
窓口が土浦市にあることは、実務では意外な差になります。建築相談や図面の確認、事前の打合せのために、市役所の窓口ではなく県の出先機関へ出向く必要があるからです。牛久市役所の建築住宅課(029-873-2111)は耐震や景観、住宅の補助を担当しますが、定期報告そのものの提出先は県である点を、施設管理の担当者さまとも共有しておくと安心です。
この定期報告の周期は、修繕計画の「錨(いかり)」になります。外壁の打診調査は、報告のタイミングに合わせて実施すると、点検と補修を一つの足場計画で済ませられる場合があります。点検のたびに仮設を組み直すと、そのたびに費用と入居者への影響が重なるからです。
固定資産税の減額 — 補助が薄い市では税制が実質的な支援になる
補助金が薄い自治体では、固定資産税の減額が実質的な支援になります。賃貸オーナーさまが検討する価値があるのは、区分所有マンションの大規模修繕に関する国の制度「マンション長寿命化促進税制」です。国土交通省が示している主な要件は次のとおりです。
- 築20年以上で、総戸数10戸以上であること
- 外壁、バルコニー等の防水、屋根などの大規模な修繕工事を適切に実施していること
- 将来の修繕に備えた修繕積立金が適切に設定されていること(管理計画認定を受けたマンションでは、認定基準に合わせた積立金であること)
- 令和7年(2025年)4月1日から令和9年(2027年)3月31日までの間に工事が完了すること
減額は3分の1で、対象は工事完了の翌年度分の建物の固定資産税、床面積は1戸あたり100平方メートル相当分までです。都市計画税は含まれません。完了から3か月以内に、市の資産税課へ申告が必要です。
この制度は「区分所有された共同住宅」の管理組合を主な想定としています。区分所有ではなく、一棟すべてを所有する賃貸マンションオーナーさまがそのまま使えるかどうかは、要件の細部(総戸数、積立金の要件、居住用の専有部分の扱い)に左右されます。牛久市の取扱いについては、必ず牛久市役所の資産税課(代表029-873-2111)で個別に確認してください。税の減額は、工事が終わった後で、一定の期限内に自分で申告しなければ受けられないことも忘れずに。工事の契約前に、対象かどうか、必要書類は何か、期限はいつかを確認する習慣をつけてください。
マンション管理計画認定制度 — 牛久市が認定、ただし分譲マンション限定
茨城県の管理計画認定制度のページ(更新日:2026年4月1日)によると、県が認定を行うのは、茨城町・大洗町・城里町・東海村・大子町・美浦村・阿見町・河内町・八千代町・五霞町・境町・利根町の12の町村で、市域の分譲マンションは各市に問い合わせるよう案内されています。牛久市は市として独自に認定を行う立場で、市のガイドでは、認定の申請にあたって公益財団法人マンション管理センターの事前確認が必要とされています。
注意点は手数料です。市のガイド(令和5〜6年に公表されたもの)には「制度開始から3年間は無料とする予定」とあり、その後は制度の普及状況により変更される可能性があると書かれています。令和8年度の現行の手数料と申請窓口は、私が確認できた範囲では公開情報で断定できませんでしたので、必ず牛久市の建築住宅課(029-873-2111)へご確認ください。
賃貸一棟所有のオーナーさまは、この制度の直接の対象にはなりません。ただ、間接的な意味があります。管理計画認定を受けた分譲マンションが市場で評価される流れは、賃貸マンションにも「管理の見える化」が求められる時代に入ったことを示しているからです。修繕履歴、長期修繕計画、収支の記録を整えておくことは、認定の有無にかかわらず、融資の相談や売却の場面で効いてきます。
ブロック塀の安全点検 — 補助の有無は窓口で確認を
牛久市は、コンクリートブロック塀の安全点検を呼びかけるページを設けています。一方、市の住宅関連助成制度の一覧(令和8年4月1日時点)には、ブロック塀の撤去や改修に対する補助は載っていませんでした。変更や別の部署の制度の可能性もありますので、断定は避け、撤去・改修を計画する場合は事前に建築住宅課へ補助の有無を確認してください。
賃貸物件の敷地に古いブロック塀がある場合、補助の有無にかかわらず、点検の優先度は高いと私は考えています。倒壊すれば、通行人や入居者への賠償責任がオーナーさまに及ぶおそれがあるからです。高さ、控え壁、鉄筋の有無、ひび割れや傾きを一度確認し、不安があれば専門家に診てもらってください。
入居率1%がキャッシュフローをどう動かすか(試算)
補助金が限られる市で賃貸経営を守るには、「工事の質とタイミング」が収益に与える影響を数字で把握しておく必要があります。以下は、仮定にもとづくイメージ試算です(実際の物件の数字ではありません)。
仮に、12戸・平均賃料5.5万円の賃貸マンションがあるとします。満室時の年間賃料収入は、12戸×5.5万円×12か月=792万円です。入居率が1%下がると年間約7.9万円、空室が1戸あたり3か月続けば16.5万円の機会損失になります。外壁タイルの浮きや雨漏り、エントランスの劣化といった「見た目と安全の問題」は、内見の場面で静かに効いてきます。築年数なりの劣化は、賃料の下落圧力として少しずつ積み上がるのです。
さらに、物件価値は収益還元の考え方で動きます。年間NOIが600万円の物件を、キャップレート6.0%で評価すれば1億円、6.5%で評価すれば約9,231万円と、わずか0.5ポイントの違いで約770万円の差が出ます。管理状態が良く、修繕履歴が整理されている物件は、買い手や金融機関が見るリスクが小さくなり、有利な評価につながりやすくなります。修繕は「費用」ではなく、NOIと物件価値を守る投資として設計することが、オーナー経営の基本です。
補助が使えない市だからこそ、総額を決めるのは「足場」と「仕様」
牛久市で賃貸オーナーさまが使える補助は限られています。ですから、補助金で工事費を圧縮するという発想より、工法と仕様の選び方で総額そのものを設計するという発想のほうが、手残りに直結します。
大規模修繕の総工費のうち、仮設足場の費用は一般に15〜25%を占めるとされます。30戸規模のマンションの大規模修繕は、おおよそ3,500〜5,000万円がひとつのレンジで、その中で足場費は数百万円規模になります。足場をかけずにロープアクセスで施工できる部位が多い建物では、ここが最も大きな削減余地です。たとえば、10階建て・外周80メートル・工期3か月の建物で、足場工法の仮設費の概算が168万円、ロープアクセス工法が59万円となった事例では、約109万円の差が出ました(建物の形状や条件により変わる参考値であり、実際の見積は物件ごとに異なります)。
仕様の見直しも効きます。外壁の打診調査は一般に1平方メートルあたり250〜500円、外壁塗装は3,500〜4,500円、防水は5,000〜8,000円が目安です。まず調査で劣化の範囲を正確に把握し、必要な箇所に必要な工事をすることで、「全面やり替え」前提の見積を適正化できます。
株式会社明誠はこれまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセス工法での高所作業について、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業では、過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。作業員はIRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の技能訓練を受け、品質面ではISO9001を取得し、日本ロープ高所作業協会の事務局も担当しています。料金の考え方は、明誠の大規模修繕の料金の考え方にまとめています。また、これまでの工事の実例は明誠の施工事例からご覧いただけます。
損金算入と資本的支出:区分の仕方で手残りが変わる
オーナーさまにとって、工事費の税務処理は手残りに直結します。基本の考え方は、修繕費(その年の経費)と資本的支出(資産に計上して減価償却)のどちらに区分されるかです。原状回復や維持管理の範囲であれば修繕費として当期の損金(個人は必要経費)に算入できますが、建物の価値を高める、あるいは耐用年数を延ばす性質が強い工事は資本的支出となり、数年にわたって費用化されます。
実務では、工事の金額や周期などの形式的な基準を目安に区分を検討しますが、最終的な判断は工事の内容次第です。大規模修繕の見積書は、修繕費に当たる部分と資本的支出に当たる部分を分けて内訳を出すと、税理士が処理しやすくなります。私たちは、オーナーさまの税務処理を前提に、見積の項目を整理してお出ししています。
補助金を受け取る場合の税務にも注意が必要です。受給した補助金は、個人であれば所得として、法人であれば雑収入や圧縮記帳の可否など、受け取り方によって扱いが変わります。補助を受けた分だけ手残りが増えると考えがちですが、補助金は受給時に課税関係が生じうることを念頭に、必ず顧問税理士に事前にご相談ください。
出口戦略:修繕履歴と安全対応が売却価格と融資に効く
物件をいつか売却する、あるいは相続で次世代に引き継ぐことを考えるなら、「どんな修繕を、いつ、いくらで行ったか」の記録そのものが価値になります。買い手の側でも、金融機関の融資審査でも、建物の管理状態は確認されます。外壁や防水の修繕履歴、定期報告の実施記録、耐震診断や安全対策の有無が整理されている物件は、買い手の「見えないリスク」への割引が小さくなる傾向があります。
反対に、補助金が使えないという理由で修繕を先送りすると、劣化が進み、将来の工事費が膨らみます。特に防水と外壁は、劣化が小さいうちに手を入れれば小規模な補修で済むところを、放置するとやり替えが必要になりがちです。出口を見据えた修繕投資は、利回りを改善する以上に、物件価値そのものを底上げします。調査記録はドローン調査なども活用して写真で残しておくと、売却時の説明資料として役立ちます。
医療法人・介護事業者オーナーさまへ:定期報告とBCPの視点
牛久市内でクリニックやサービス付き高齢者向け住宅、介護施設を運営している、あるいはそうした建物を貸しているオーナーさまは、一般の賃貸住宅とは別の視点が必要です。入居者や患者さまの安全が事業の前提ですから、BCP(事業継続計画)と防災対策が、介護報酬・医療報酬を伴う運営の継続性に直結します。
病院やホテルなどの用途は定期報告の対象になりやすく、高齢者や障害のある方が入所・居住する施設は、面積や所在階などの条件で対象かどうかが決まります。牛久市の場合、提出先は県南県民センター建築指導課です。施設の外壁や防火設備の点検と修繕は、報告の周期から逆算して計画すると無理がありません。また、外壁の剥落やブロック塀の倒壊は、来訪者や入所者に直接の危険を及ぼします。施設の大規模修繕では、入居者・利用者の生活への影響を最小限にできる工法が求められます。足場を組まないロープアクセス工法は、窓や共用部を長期間覆わずに済むため、騒音や視界の遮断を抑えたい施設で選ばれています。詳しい施工の考え方は、ビルオーナー向けの明誠のサービスをご覧ください。
足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3工法の選び方
株式会社明誠は、通常の足場工法、無足場のロープアクセス工法、足場とロープアクセスを組み合わせたハイブリッド工法の3つから、建物にとって最適な工法を提案できる、日本でも数少ない会社です。それぞれの向き不向きを整理します。
| 工法 | 向いている建物 | 強み | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 通常の足場工法 | 中低層、形状が複雑、広い面を一度に施工したい建物 | 作業の自由度が高く、大面積の工事に向く | 足場費がかさみ、工期が長く、入居者・テナントへの影響が大きい |
| ロープアクセス工法(無足場) | 高層、足場の架設が難しい立地、コストを抑えたい建物 | 足場費の削減、工期短縮、入居者・テナントの生活への影響が小さい | 重量物の搬入や広範囲の全面施工には向きにくい場合がある |
| ハイブリッド工法 | 大規模・複雑で、部位ごとに最適化したい建物 | 足場とロープを部位で使い分け、総額を最適化 | 工程管理に高い調整力が必要 |
3つの工法を選べる会社は、建物の条件に合わない工法を押しつけません。牛久市内でも、物件の階数や形状、敷地に接する道路の幅によって最適解は変わります。前面道路が狭く足場の搬入や設置に制約がある物件では、ロープアクセスが有力な選択肢になります。一方で、中低層で広い面を施工する建物は足場、部分的な補修や高所の局所工事はロープアクセス、といった組み合わせが効果的な場合も少なくありません。ロープアクセス工法の技術的な詳細や、同業者・フランチャイズ加盟を検討されている方向けの情報は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムで解説しています。また、安全管理の考え方は明誠の安全管理への取り組みで公開しています。
修繕計画の立て方:調査を先に、制度の仕分けはその次に
牛久市のオーナーさまが無理なく修繕を進めるには、次の順序で考えるのが現実的です。
- 建物の現状把握:外壁の打診、屋上・バルコニーの防水、鉄部の錆、塀の状態を調査する。ドローンや目視でも概況は把握できます。
- 定期報告の要否と時期を確認:物件が定期報告の対象かどうか、対象の場合の報告時期を、県南県民センター建築指導課または管理会社に確認する。
- 制度の仕分け:使える制度、窓口確認が必要な制度(耐震診断、長寿命化税制、空家バンク関連)、使えない前提の制度(蓄電池、省エネ家電)に分ける。
- 工法と仕様の比較見積:足場・ロープアクセス・ハイブリッドで比較し、修繕費と資本的支出の内訳も出してもらう。
- 入居者・テナントへの周知と工程調整:騒音や視界の遮断を最小化する工程を組み、入居率への影響を避ける。
この流れの中で、調査を先に行い、必要な工事の範囲を絞ってから見積を取ることが最も大切です。調査前に総額を決めてしまうと、過剰な仕様にも、不足のある仕様にもなりやすいからです。漏水が気になる物件は、漏水対応のページも参考にしてください。
よくあるご質問
Q1. 牛久市の木造住宅の耐震支援は、改修工事費も補助してくれますか?
A. 茨城県の一覧では、牛久市は「耐震診断」のみに印があり、補強設計や耐震改修の補助は確認できません。診断士を派遣する事業は建築住宅課(029-873-2111)が担当しています。賃貸物件・法人所有が対象かどうかは窓口でご確認ください。
Q2. 牛久市の蓄電システムの補助金は、賃貸マンションのオーナーも使えますか?
A. 使えない前提で考えるのが安全です。令和8年度は「市内に自ら居住・居住予定の個人のみ」が対象で、補助額は1台5万円、受付は令和8年6月1日〜令和9年1月29日です。窓口は環境政策課です。
Q3. 牛久市の省エネ家電買替え補助金は、令和8年度も申請できますか?
A. 令和8年度分は予算額に達したため、申請受付は終了しています。自己居住の個人のみが対象で、法人は対象外でした。補助率は購入額の1/3、上限は5万円でした。
Q4. 空家・空地バンクの子育て世帯補助金は、貸す側のオーナーに関係しますか?
A. 申請するのは入居する子育て世帯ですが、空家・空地バンクに登録した物件が対象になる点で、貸す側にも関係します。補助額は改修費の1/2・上限50万円で、賃借でも申請できますが、10年以上の賃借期間の担保が必要です。
Q5. 牛久市の定期報告(12条点検の報告)の提出先はどこですか?
A. 牛久市は特定行政庁ではなく、県南県民センター建築指導課(土浦市真鍋五丁目17番26号、電話029-822-8519)が受け付けます。県の定期報告のページ(更新日:2026年8月30日)で、自市受付の9市に牛久市が含まれないことを確認できます。
Q6. 牛久市のマンション管理計画認定制度は、賃貸マンションにも使えますか?
A. 対象は分譲マンションで、賃貸一棟所有は対象外です。認定の主体は牛久市で、申請にはマンション管理センターの事前確認が必要です。手数料は市のガイドで「制度開始から3年間は無料の予定」とされていたため、現行の扱いは窓口でご確認ください。
Q7. マンション長寿命化促進税制の減額は、何分の1ですか?
A. 3分の1で、床面積100平方メートル相当分までが対象です。築20年以上・10戸以上などの要件があり、令和9年3月31日までに完了した工事が対象で、完了から3か月以内の申告が必要です。区分所有マンション向けの設計のため、一棟所有の賃貸の扱いは資産税課にご確認ください。
Q8. 大規模修繕の費用は、修繕費と資本的支出のどちらで処理すればいいですか?
A. 原状回復や維持管理の性質が強い工事は修繕費、価値を高めたり耐用年数を延ばしたりする工事は資本的支出となるのが原則です。内訳の区分で結果が変わるため、見積の段階で分けて出してもらい、必ず顧問税理士にご確認ください。
この記事のポイントまとめ
- 牛久市の蓄電池補助(1台5万円)と省エネ家電補助は自己居住の個人限定で、賃貸オーナーさまは使えない前提で計画します。省エネ家電補助は令和8年度分が受付終了です。
- 木造耐震は県の一覧で診断のみ。補強工事費は自己負担を前提に、損金算入と出口戦略をセットで考えます。
- 空家・空地バンクの子育て世帯補助(改修費の1/2・上限50万円)は、貸す側が長期賃貸借を設計できるかがカギです。
- 牛久市は特定行政庁ではなく、定期報告の窓口は県南県民センター建築指導課(土浦市)です。
- 補助が薄いからこそ、工法選び・仕様の見直し・調査先行でNOIと出口価格を守ることが重要です。
牛久市の賃貸オーナーさまへ
牛久市は、補助金で工事費を大きく圧縮できる環境ではありません。だからこそ、「使える制度は確実に使い、使えない制度に期待せず、工法と仕様で総額を最適化する」という現実的な設計が、オーナーさまの手残りを守ります。
お持ちの物件で、まだ修繕計画や補助・税制の検討を始めていないオーナーさまは、ぜひ一度お問合せください。1棟の現地調査と利回り改善シミュレーション、キャッシュフロー試算だけでも、ご相談を承ります。こちらからお問合せいただけます。あわせて、収益物件の修繕に関する考え方はオーナー向けの明誠のご案内にもまとめています。数字の話と、次の一歩を、一緒に整理させてください。
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ロープアクセスドットコム|無足場工法専門メディア
本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月5日時点で公表されている牛久市および国土交通省・茨城県の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請・申告される前に、必ず牛久市および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。
この記事の執筆者
本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。
最終更新:2026年10月5日
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ロープアクセス工法の詳細や実例については、姉妹サイト「ロープアクセスドットコム」の以下の記事もぜひご覧ください。
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『大規模修繕工事 職人だから言える本当の話 —— 見積書では見えない業界の裏側と、修繕積立金を守る発注術』(Kindle版)を出版しています。20年以上の現場経験から、管理組合・オーナーが修繕積立金を守るための発注術と、業界の内幕を書き下ろしました。
出典(牛久市・茨城県 公式ウェブサイト)
- 令和8年度住宅用環境配慮型設備設置事業補助金について – 牛久市(更新2026年10月2日)
- 令和8年度牛久市住宅用省エネ家電製品買替え促進補助金 申請の手引き – 牛久市
- 令和8年度住宅用省エネ家電製品買替え促進補助金(受付終了)- 牛久市
- 牛久市の住宅関連助成制度一覧(令和8年4月1日時点)- 茨城県
- 木造住宅耐震補助(市町村一覧)- 茨城県
- 親子特区!!うしく子育て世帯空家活用応援補助金 – 牛久市
- 牛久市マンション管理計画認定制度について – 牛久市
- マンション管理計画認定制度 – 茨城県(更新2026年4月1日)
- 定期報告制度について – 茨城県(更新2026年8月30日)
- 建築住宅課 – 牛久市
- コンクリートブロック塀の安全点検をしましょう! – 牛久市
- マンション長寿命化修繕に対する固定資産税の減額 – 国土交通省・各自治体案内
取手市の賃貸マンション補助金2026|耐震・リノベは自己居住限定、賃貸の勝ち筋は税制と工法
取手市で賃貸マンション・賃貸アパート・収益ビルをお持ちのオーナーさまへ。この記事は、令和8年度(2026年度)に取手市で賃貸オーナーさまが実際に使える制度と、使えない制度、すでに受付が終わった制度を、市と茨城県の公式ページで確認できた事実だけで仕分けたものです。「取手市で賃貸物件の大規模修繕を考えているが、補助金や税の優遇はどこまで当てにしてよいのか」という疑問に、期待値を上げすぎずにお答えします。
結論からお伝えします。取手市の住宅系の補助は、私が公式ページで確認できた範囲では「自分で住む個人」と「住宅を買う人」に手厚く、賃貸オーナーさまが正面から使えるものはほとんどありません。木造住宅の耐震改修補助は「自己の居住のために」と明記され、令和8年度分はすでに受付終了。無料の耐震診断も「所有者が法人でないこと」が条件で、募集棟数に達して終了しています。住宅リノベーション補助金は、賃貸物件と法人からの申請が対象外と明記されています。
では、賃貸オーナーさまの打ち手は何か。私は三つあると考えています。一つ目は、使える制度(と、使えるかもしれない制度)を正しく仕分けて、期待で資金計画を組まないこと。二つ目は、固定資産税の減額や定期報告といった「制度の手前」を押さえて、工事のタイミングを設計すること。三つ目は、補助金に頼れないぶん、足場を含めた工法と仕様の選び方で総額そのものを下げることです。この記事では、入居率とNOI(実質賃料収入)、損金算入の考え方、出口戦略、そして病院・介護施設オーナーさまの視点まで、20年以上この仕事をしてきた私の現場感覚を交えて整理します。
取手市で賃貸オーナーが確認すべき制度【令和8年度・一覧】
まず全体像を表で押さえます。各制度の詳細は、後の見出しで一つずつ解説します。表の「賃貸オーナーの使いやすさ」は、市の公式ページの記載から私が判断した目安で、個別の物件で使えるかどうかは必ず担当窓口にご確認ください。
| 制度名 | 対象 | 賃貸オーナーの使いやすさ | 令和8年度の状況 |
|---|---|---|---|
| 木造住宅耐震改修費・耐震建替費の補助 | 自己の居住のために改修する所有者 | ×(自己居住のみ) | 受付終了・補助率4/5、上限115万円 |
| 木造住宅の無料耐震診断 | 市内の木造一戸建て所有者(法人でないこと) | ×(法人は対象外) | 募集棟数に達して受付終了 |
| 住宅リノベーション補助金 | 自己居住用住宅の所有者 | ×(賃貸・法人は対象外と明記) | 令和10年3月31日まで・工事費10%で上限30万円(加算で最大55万円) |
| 住宅取得補助金 | 住宅を取得して居住する方 | ×(購入者向け。入居者の流出要因にも) | 令和10年3月31日まで・最大65万円 |
| 狭あい道路拡幅整備促進補助 | 狭あい道路の拡幅整備を行う市民 | △(法人・賃貸の扱いは窓口確認) | 予算がなくなり次第終了・塀の撤去は最大5万円 |
| マンション管理計画認定制度 | 市内の分譲マンション | ×(賃貸一棟は対象外) | 取手市が認定主体・市の手数料は無料 |
| マンション長寿命化促進税制(固定資産税) | 築20年以上・10戸以上の区分所有マンション等 | △(要件・一棟所有の扱いは資産税課で確認) | 1/3減額・令和9年3月31日までの完了分 |
| 建築物の定期報告 | 対象用途・規模の建築物の所有者・管理者 | -(義務。補助ではない) | 取手市建築指導課が受付 |
表の読み方のコツは、「使える制度」を探す前に、「×」と「△」の理由を先に知ることです。取手市の制度は、物件の持ち方(自己居住か賃貸か、個人か法人か、区分所有か一棟所有か)で使えるかどうかがはっきり分かれます。ご自身の物件がどこに当てはまるかを確認してから、工事計画の資金繰りを組むのが安全です。
取手市の賃貸オーナーが直面する「自己居住の壁」
取手市の補助制度を読んでいくと、同じ表現が何度も出てきます。「自己の居住のために」「自己居住用の住宅」。この言葉が、賃貸オーナーさまにとっての壁です。
木造住宅の耐震改修補助では、市の公式ページ(更新日:2026年9月15日)に「補助対象建築物を所有し、自己の居住のために耐震改修設計を伴う耐震改修工事を行うかた」と規定されています。住宅リノベーション補助金のページ(更新日:2026年7月31日)では、自己居住用であることが必須で、賃貸物件や法人による申請は対象外とされています。つまり、賃貸に出している建物は、そもそも申請の入口に立てないということです。
私がオーナーさまからよくいただく質問に、「補助金がないなら、工事はもう少し先でもいいのでは」というものがあります。気持ちはよく分かります。ただ、補助金の有無と、工事を行うべき時期は別の問題です。劣化は補助金の有無に関係なく進み、先送りした分だけ、将来の工事費は膨らみがちです。補助金が使えないという事実を、「だから工事の質と総額の設計が、そのまま利回りを左右する」と読み替えるのが、オーナー経営の考え方だと私は思っています。
木造住宅の耐震補助と無料診断 — 取手市は令和8年度分が受付終了
取手市は、昭和56年(1981年)5月31日以前に建築確認を受けた木造住宅について、茨城県木造住宅耐震診断士を派遣する無料の耐震診断を行ってきました。ただし、市の公式ページによると、令和8年度分は募集棟数に達したため受付を終了しています。診断の対象は、地上2階以下、延べ面積30平方メートル以上の木造一戸建てで、所有者が法人でないこと、過去に同じ診断を受けていないことが条件です。法人所有の賃貸アパートは、そもそもこの診断の対象外ということになります。
耐震改修費の補助(更新日:2026年9月15日、受付終了)は、補助額が「工事費用に5分の4を乗じた額または115万円のいずれか少ない額」、つまり補助率80%・上限115万円です。対象は、昭和56年5月31日以前に建築確認を受けた在来軸組構法などの建築物で、延べ面積30平方メートル以上、一戸建てまたは兼用住宅、地上階数2以下、そして耐震診断の「上部構造評点」が1.0未満で、改修後に1.0以上となることが要件です。
茨城県が公表している市町村別の一覧(更新日:2026年6月10日)でも、取手市は耐震診断と、設計・改修を一体で支援する「総合支援」に印が付いています。ただし、補強設計のみ、耐震改修のみ、部分改修(耐震シェルター等)の欄には印がありません。制度の枠組みは、個人の木造戸建てを想定した小さなものだと言えます。
賃貸オーナーさまが所有する木造アパートの場合、この制度は使えない前提で計画を立てるのが現実的です。そのうえで、耐震性に不安がある場合は、補助とは別に、専門家による診断を自費で行う価値があります。耐震診断の結果と補強の履歴は、入居者募集のときにも、売却のときにも、買い手や借り手が見るポイントになるからです。
住宅リノベーション補助金と住宅取得補助金 — 賃貸には使えず、競合にもなる
取手市は、定住化促進の取り組みとして「とりで住ま入る(スマイル)支援プラン」を掲げ、令和8年4月1日に制度を改正しています。賃貸オーナーさまにとって重要なのは、使えるかどうかだけでなく、この制度が賃貸の入居者層にどう影響するかです。
住宅リノベーション補助金(更新日:2026年7月31日)
中古住宅を購入した方などが、自己居住のために改修する費用を補助します。総工事費が税込100万円以上で、補助額は工事費の10%、上限30万円。子どもの人数、親世帯との同居、市内事業者の利用などの加算で、最大55万円まで増えます。令和8年度の改正では、最大補助額が45万円から55万円に増額され、認定申請の期限が1年から3年に緩和され、マンションの面積要件が55平方メートルから40平方メートルに引き下げられました。補助制度の期限は令和10年3月31日までで、賃貸物件や法人の申請は対象外です。
住宅取得補助金(更新日:2026年7月31日)
新築や購入で住宅を取得し、そこに住む方への補助です。基本額は住宅ローンの3%で上限30万円。居住誘導区域内で15万円、高校卒業までの子ども1人につき5万円(最大15万円)、市内在住の親世帯または子世帯がいる場合は5万円が加算され、最大65万円となります。マンションの場合は専有面積40平方メートル以上で、設計住宅性能評価書の交付などが条件です。
この二つの制度は、賃貸オーナーさまの直接の味方にはなりません。むしろ、子育て世帯や若い世代が「借りる」から「買う」へ動く後押しになりうる点に注意が必要です。賃貸の主要な入居層と、補助制度の主要な対象層が重なっているからです。補助額は最大でも数十万円規模ですから、購入の決定打になるとは限りませんが、条件が良い時期に購入を検討する世帯が増える可能性は織り込んでおくべきです。
対策は、賃料を下げて対抗することではありません。設備・共用部・安全性で「選ばれる賃貸」の水準を保つことです。たとえば外壁の浮きや雨漏り、エントランスの劣化は、内見の第一印象を下げ、入居の決まり方に静かに効きます。購入という選択肢が現実的になる時代だからこそ、賃貸の物件力を維持する修繕投資が、入居率を守る防衛策になります。
取手市は特定行政庁 — 定期報告も建築相談も市の建築指導課へ
茨城県の定期報告制度のページ(更新日:2026年8月30日)には、水戸市・日立市・土浦市・古河市・高萩市・北茨城市・取手市・つくば市・ひたちなか市の9市が、それぞれの市で定期報告を受け付けると明記されています。つまり取手市内の建築物の定期報告(いわゆる12条点検の報告)は、県ではなく取手市の建築指導課が窓口です。
窓口は、取手市西2丁目35番3号の分庁舎2階にある建築指導課で、電話は0297-74-2141(代表)です。市の定期報告のページによると、報告の対象になるのは、劇場、病院、ホテル、物販店舗など不特定多数の方が利用する特定の用途の建築物で、高齢者や障害のある方が入所・居住する施設は面積や所在階などの条件によって扱いが変わります。報告期間は、多くの建築物で毎年7月1日から12月28日までの期間内とされ、周期は建築物の種類によって異なります。令和7年(2025年)には防火設備の報告期間が7月1日から12月28日に変更され、配置図・平面図などの添付書類も新たに必要になりました。
賃貸マンションや賃貸ビルが定期報告の対象になるかどうかは、用途と規模で変わります。共同住宅(賃貸マンション)が対象かどうか、対象ならいつ報告するのかは、物件の階数と床面積によって異なりますので、ご自身の物件については必ず建築指導課または管理会社にご確認ください。ホテル・病院・介護施設を所有または運営されているオーナーさまは、対象になる可能性が高いため、今まさに報告期間中である点も含めて、早めの確認をお勧めします。
この定期報告の周期は、修繕計画の「錨(いかり)」になります。外壁の打診調査は、報告のタイミングに合わせて実施すると、点検と補修を一つの足場計画で済ませられる場合があります。点検のたびに仮設を組み直すと、そのたびに費用と入居者への影響が重なるからです。詳しい考え方は、後述の「修繕計画の立て方」で整理します。
狭あい道路拡幅整備促進補助 — 賃貸オーナーが検討できる数少ない選択肢
賃貸オーナーさまが検討できる可能性がある制度として、令和8年度の「狭あい道路拡幅整備促進補助」があります。幅員4メートルに満たない道路に接する敷地で、道路を広げる整備を行う場合に、費用の一部を補助するものです。
市の公式ページで確認できた補助内容は次のとおりです。
- 塀などの撤去:最大5万円
- 塀などの再築造:最大10万円
- 擁壁の再築造:最大30万円
- 分筆・地目変更:最大5万円
- 分筆寄付:最大15万円
重要な条件は、狭あい道路の事前協議を完了していること、そして工事の実施前に申請することです。事前申請なしで工事をしてしまうと、補助の対象外となります。受付は予算がなくなり次第終了で、具体的な期限は記載されていません。
対象者は、ページ上では「狭あい道路の拡幅整備を実施する市民」とされており、法人や賃貸物件の扱いは明記されていません。ですから、「賃貸オーナーでも使える」と断定はできません。ただし、敷地の前面道路が狭く、将来の建替えや大規模な外構工事を考えているオーナーさまは、使えるかどうかを早めに建築指導課へ相談する価値があります。老朽化したブロック塀の撤去と再築造を計画している場合は、補助の有無にかかわらず、倒壊時の第三者への賠償リスクを考えて、早めの点検をお勧めします。
なお、取手市のブロック塀の倒壊防止に関する公式ページ(建築指導課)には、市の補助制度についての記載はありませんでした。点検のチェックポイントや相談窓口が案内されているのみです。茨城県内の他市には、ブロック塀の撤去補助を設けている自治体もありますが、取手市については、私が確認できた範囲では専用の撤去補助は見つかりませんでした。変更の可能性もありますので、必ず窓口で最新の状況をお尋ねください。
固定資産税の減額 — 長寿命化促進税制は取手市でも使える可能性がある
補助金が薄い自治体では、固定資産税の減額が実質的な支援になります。取手市の資産税のページでは、固定資産税の減額制度として、耐震改修、認定長期優良住宅、バリアフリー改修、省エネ改修、そしてマンション長寿命化修繕の各制度が案内されています。このうち、賃貸オーナーさまが検討する価値があるのは、区分所有マンションの大規模修繕に関する制度です。
マンション長寿命化促進税制
取手市の公式ページに掲載されている主な要件は次のとおりです。
- 築20年以上で、総戸数10戸以上であること
- 外壁、バルコニー等の防水、屋根などの大規模な修繕工事を適切に実施していること
- 将来の修繕に備えた修繕積立金が適切に設定されていること(管理計画認定を受けたマンションでは、認定基準に合わせて修繕積立金を引き上げていること)
- 令和7年(2025年)4月1日から令和9年(2027年)3月31日までの間に工事が完了すること
減額は3分の1で、対象は工事完了の翌年度分の建物の固定資産税、床面積は1戸あたり100平方メートル相当分までです。都市計画税は含まれません。完了から3か月以内に、資産税課へ申告が必要です。
この制度は「区分所有された共同住宅」の管理組合を主な想定としています。区分所有ではなく、一棟すべてを所有する賃貸マンションオーナーさまがそのまま使えるかどうかは、要件の細部(総戸数、積立金の要件、居住用の専有部分の扱い)に左右されます。必ず資産税課(電話0297-74-2141)で個別に確認してください。
大切なのは、税の減額は工事が終わった後で、一定の期限内に自分で申告しなければ受けられないことです。工事の契約前に、対象かどうか、必要書類は何か、期限はいつかを確認する習慣をつけてください。耐震・バリアフリー・省エネの減額との併用には制限がありますので、その点も確認が必要です。
マンション管理計画認定制度 — 取手市は市が認定、ただし分譲マンション限定
茨城県の管理計画認定制度のページ(更新日:2026年4月1日)によると、県が認定を行うのは「県内の町村区域にある分譲マンション」で、市域のマンションは対象外とされています。市域の分譲マンションについては、各市に問い合わせるよう案内されています。
取手市は、令和6年(2024年)4月1日から独自に認定制度を運用しています。市の公式ページ(更新日:2026年3月26日)で確認できた内容は次のとおりです。
- 認定主体:取手市(申請先は都市計画課)
- 対象:市内にある既存の区分所有された分譲マンション
- 手数料:取手市への申請は無料。ただし、公益財団法人マンション管理センターのシステム使用料と事前確認の審査料は別途必要
- 認定基準:国土交通省告示の基準のとおりで、市独自の上乗せはなし
- 有効期間:認定から5年間
賃貸一棟所有のオーナーさまは、この制度の直接の対象にはなりません。ただ、間接的な意味があります。管理計画認定を受けた分譲マンションが市場で評価される流れは、賃貸マンションにも「管理の見える化」が求められる時代に入ったことを示しているからです。修繕履歴、長期修繕計画、収支の記録を整えておくことは、認定の有無にかかわらず、融資の相談や売却の場面で効いてきます。
環境対策課の補助金は個人向けが中心 — 事業者向けは省エネ診断
太陽光発電や省エネ家電に関する取手市の補助は、環境対策課が担当しています。市のページを確認したところ、住宅用太陽光発電システムの補助金や省エネ家電買換え補助金は個人向けの制度として案内されており、賃貸一棟所有の法人オーナーが使えるとは書かれていません。令和7年度の自立・分散型エネルギー設備導入事業費補助金、第2期省エネ家電買換え補助金は受付を終了しています。
事業者向けとしては、「中小規模事業所省エネルギー診断」がページに掲載され、受付中と表示されています。対象となる事業者の範囲や診断の内容は、ページ上の記載だけでは確認できなかったため、賃貸ビルやホテル、介護施設を運営する法人オーナーさまは、環境対策課(電話0297-74-2141)に対象になるかどうかをお問い合わせください。省エネ診断は、補助金そのものではありませんが、設備更新の投資判断の材料として使えます。
なお、出力50キロワット以上の事業用太陽光発電施設を設置する場合は、市への事前の届出が必要です。ビルの屋上などに設置を検討されるオーナーさまは、この届出が必要な規模かどうかも確認しておくと安心です。
入居率1%がキャッシュフローをどう動かすか(試算)
補助金が限られる市で賃貸経営を守るには、「工事の質とタイミング」が収益に与える影響を数字で把握しておく必要があります。以下は、仮定にもとづくイメージ試算です(実際の物件の数字ではありません)。
仮に、12戸・平均賃料5.5万円の賃貸マンションがあるとします。満室時の年間賃料収入は、12戸×5.5万円×12か月=792万円です。入居率が1%下がると年間約7.9万円、空室が1戸あたり3か月続けば16.5万円の機会損失になります。外壁タイルの浮きや雨漏り、エントランスの劣化といった「見た目と安全の問題」は、内見の場面で静かに効いてきます。築年数なりの劣化は、賃料の下落圧力として少しずつ積み上がるのです。
さらに、物件価値は収益還元の考え方で動きます。年間NOIが600万円の物件を、キャップレート6.0%で評価すれば1億円、6.5%で評価すれば約9,231万円と、わずか0.5ポイントの違いで約770万円の差が出ます。管理状態が良く、修繕履歴が整理されている物件は、買い手や金融機関が見るリスクが小さくなり、有利な評価につながりやすくなります。修繕は「費用」ではなく、NOIと物件価値を守る投資として設計することが、オーナー経営の基本です。
補助が使えない市だからこそ、総額を決めるのは「足場」と「仕様」
取手市で賃貸オーナーさまが使える補助は限られています。ですから、補助金で工事費を圧縮するという発想より、工法と仕様の選び方で総額そのものを設計するという発想のほうが、手残りに直結します。
大規模修繕の総工費のうち、仮設足場の費用は一般に15〜25%を占めるとされます。30戸規模のマンションの大規模修繕は、おおよそ3,500〜5,000万円がひとつのレンジで、その中で足場費は数百万円規模になります。足場をかけずにロープアクセスで施工できる部位が多い建物では、ここが最も大きな削減余地です。たとえば、10階建て・外周80メートル・工期3か月の建物で、足場工法の仮設費の概算が168万円、ロープアクセス工法が59万円となった事例では、約109万円の差が出ました(建物の形状や条件により変わる参考値であり、実際の見積は物件ごとに異なります)。
仕様の見直しも効きます。外壁の打診調査は一般に1平方メートルあたり250〜500円、外壁塗装は3,500〜4,500円、防水は5,000〜8,000円が目安です。まず調査で劣化の範囲を正確に把握し、必要な箇所に必要な工事をすることで、「全面やり替え」前提の見積を適正化できます。
株式会社明誠はこれまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセス工法での高所作業について、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業では、過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。作業員はIRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の技能訓練を受け、品質面ではISO9001を取得し、日本ロープ高所作業協会の事務局も担当しています。ロープアクセスでは、作業員がメインロープとバックアップロープの2本に接続し、2点以上の吊元を確保するのが業界標準で、この二重の備えが安全の前提です。料金の考え方は、明誠の大規模修繕の料金の考え方にまとめています。また、これまでの工事の実例は明誠の施工事例からご覧いただけます。
損金算入と資本的支出:区分の仕方で手残りが変わる
オーナーさまにとって、工事費の税務処理は手残りに直結します。基本の考え方は、修繕費(その年の経費)と資本的支出(資産に計上して減価償却)のどちらに区分されるかです。原状回復や維持管理の範囲であれば修繕費として当期の損金(個人は必要経費)に算入できますが、建物の価値を高める、あるいは耐用年数を延ばす性質が強い工事は資本的支出となり、数年にわたって費用化されます。
実務では、工事の金額や周期などの形式的な基準を目安に区分を検討しますが、最終的な判断は工事の内容次第です。大規模修繕の見積書は、修繕費に当たる部分と資本的支出に当たる部分を分けて内訳を出すと、税理士が処理しやすくなります。私たちは、オーナーさまの税務処理を前提に、見積の項目を整理してお出ししています。
補助金を受け取る場合の税務にも注意が必要です。受給した補助金は、個人であれば所得として、法人であれば雑収入や圧縮記帳の可否など、受け取り方によって扱いが変わります。補助を受けた分だけ手残りが増えると考えがちですが、補助金は受給時に課税関係が生じうることを念頭に、必ず顧問税理士に事前にご相談ください。取手市で賃貸オーナーさまが補助を受けられるケースは限られますが、狭あい道路の補助などを使う場合にも、同じ注意が当てはまります。
出口戦略:修繕履歴と安全対応が売却価格と融資に効く
物件をいつか売却する、あるいは相続で次世代に引き継ぐことを考えるなら、「どんな修繕を、いつ、いくらで行ったか」の記録そのものが価値になります。買い手の側でも、金融機関の融資審査でも、建物の管理状態は確認されます。外壁や防水の修繕履歴、定期報告の実施記録、耐震や安全対策の有無が整理されている物件は、買い手の「見えないリスク」への割引が小さくなる傾向があります。
反対に、補助金が使えないという理由で修繕を先送りすると、劣化が進み、将来の工事費が膨らみます。特に防水と外壁は、劣化が小さいうちに手を入れれば小規模な補修で済むところを、放置するとやり替えが必要になりがちです。出口を見据えた修繕投資は、利回りを改善する以上に、物件価値そのものを底上げします。調査記録はドローン調査なども活用して写真で残しておくと、売却時の説明資料として役立ちます。
医療法人・介護事業者オーナーさまへ:定期報告とBCPの視点
取手市内でクリニックやサービス付き高齢者向け住宅、介護施設を運営している、あるいはそうした建物を貸しているオーナーさまは、一般の賃貸住宅とは別の視点が必要です。入居者や患者さまの安全が事業の前提ですから、BCP(事業継続計画)と防災対策が、介護報酬・医療報酬を伴う運営の継続性に直結します。
前述のとおり、病院やホテルなどの用途は定期報告の対象になりやすく、高齢者や障害のある方が入所・居住する施設は、面積や所在階などの条件で対象かどうかが決まります。報告期間は多くの場合、7月1日から12月28日までです。施設の外壁や防火設備の点検と修繕は、報告の周期から逆算して計画すると無理がありません。また、外壁の剥落やブロック塀の倒壊は、来訪者や入所者に直接の危険を及ぼします。施設の大規模修繕では、入居者・利用者の生活への影響を最小限にできる工法が求められます。足場を組まないロープアクセス工法は、窓や共用部を長期間覆わずに済むため、騒音や視界の遮断を抑えたい施設で選ばれています。詳しい施工の考え方は、ビルオーナー向けの明誠のサービスをご覧ください。
足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3工法の選び方
株式会社明誠は、通常の足場工法、無足場のロープアクセス工法、足場とロープアクセスを組み合わせたハイブリッド工法の3つから、建物にとって最適な工法を提案できる、日本でも数少ない会社です。それぞれの向き不向きを整理します。
| 工法 | 向いている建物 | 強み | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 通常の足場工法 | 中低層、形状が複雑、広い面を一度に施工したい建物 | 作業の自由度が高く、大面積の工事に向く | 足場費がかさみ、工期が長く、入居者・テナントへの影響が大きい |
| ロープアクセス工法(無足場) | 高層、足場の架設が難しい立地、コストを抑えたい建物 | 足場費の削減、工期短縮、入居者・テナントの生活への影響が小さい | 重量物の搬入や広範囲の全面施工には向きにくい場合がある |
| ハイブリッド工法 | 大規模・複雑で、部位ごとに最適化したい建物 | 足場とロープを部位で使い分け、総額を最適化 | 工程管理に高い調整力が必要 |
3つの工法を選べる会社は、建物の条件に合わない工法を押しつけません。取手市内でも、物件の階数や形状、敷地に接する道路の幅によって最適解は変わります。たとえば、前面道路が狭く足場の搬入や設置に制約がある物件では、ロープアクセスが有力な選択肢になります。一方で、中低層で広い面を施工する建物は足場、部分的な補修や高所の局所工事はロープアクセス、といった組み合わせが効果的な場合も少なくありません。ロープアクセス工法の技術的な詳細や、同業者・フランチャイズ加盟を検討されている方向けの情報は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムで解説しています。また、安全管理の考え方は明誠の安全管理への取り組みで公開しています。
修繕計画の立て方:定期報告の周期と狭あい道路の確認から始める
取手市のオーナーさまが無理なく修繕を進めるには、次の順序で考えるのが現実的です。
- 建物の現状把握:外壁の打診、屋上・バルコニーの防水、鉄部の錆、塀の状態を調査する。ドローンや目視でも概況は把握できます。
- 定期報告の要否と時期を確認:物件が定期報告の対象かどうか、対象の場合の報告時期を、建築指導課または管理会社に確認する。
- 制度の仕分け:使える制度、使えるか窓口確認が必要な制度(狭あい道路補助、長寿命化税制)、使えない前提の制度(耐震補助、リノベ補助)に分ける。
- 工法と仕様の比較見積:足場・ロープアクセス・ハイブリッドで比較し、修繕費と資本的支出の内訳も出してもらう。
- 入居者・テナントへの周知と工程調整:騒音や視界の遮断を最小化する工程を組み、入居率への影響を避ける。
この流れの中で、調査を先に行い、必要な工事の範囲を絞ってから見積を取ることが最も大切です。調査前に総額を決めてしまうと、過剰な仕様にも、不足のある仕様にもなりやすいからです。漏水が気になる物件は、漏水対応のページも参考にしてください。
よくあるご質問
Q1. 取手市の木造住宅耐震改修補助は、賃貸アパートにも使えますか?
A. 使えない前提で考えるのが安全です。市のページでは、対象は「自己の居住のために耐震改修工事を行うかた」とされ、令和8年度分は受付を終了しています。補助率は工事費の4/5、上限は115万円でした。個別の事情は建築指導課(0297-74-2141)にご確認ください。
Q2. 取手市の無料耐震診断は、法人が所有する賃貸物件でも受けられますか?
A. 対象の条件に「所有者が法人でないこと」があり、法人所有の建物は対象外です。令和8年度分は募集棟数に達して受付を終了しています。耐震性が気になる場合は、自費で専門家の診断を受ける方法があります。
Q3. 住宅リノベーション補助金は、賃貸マンションの修繕に使えますか?
A. 使えません。自己居住用の住宅が対象で、賃貸物件や法人による申請は対象外と市のページに明記されています。補助率は工事費の10%、上限30万円(加算で最大55万円)、制度の期限は令和10年3月31日です。
Q4. 取手市のマンション管理計画認定制度は、賃貸マンションにも使えますか?
A. 対象は市内の分譲マンションで、賃貸一棟所有は対象外です。認定主体は取手市(都市計画課)で、市への手数料は無料、認定の有効期間は5年です。マンション管理センターの事前確認には別途費用がかかります。
Q5. マンション長寿命化促進税制の減額は、何分の1ですか?
A. 3分の1で、床面積100平方メートル相当分までが対象です。築20年以上・10戸以上などの要件があり、令和9年3月31日までに完了した工事が対象で、完了から3か月以内の申告が必要です。区分所有マンション向けの設計のため、一棟所有の賃貸の扱いは資産税課(0297-74-2141)にご確認ください。
Q6. 取手市で12条点検(定期報告)の提出先はどこですか?
A. 取手市は特定行政庁で、定期報告は市の建築指導課が受け付けています。県の定期報告のページ(更新日:2026年8月30日)にも、取手市は市で受付すると記載されています。対象の用途・規模や報告時期は、市のページや窓口でご確認ください。
Q7. 取手市でブロック塀の撤去補助はありますか?
A. 市のブロック塀の倒壊防止のページには、補助制度の記載はありません。前面道路が狭い場合は、狭あい道路拡幅整備促進補助で塀の撤去(最大5万円)が対象になる可能性があります。事前協議が必要ですので、建築指導課にご相談ください。
Q8. 大規模修繕の費用は、修繕費と資本的支出のどちらで処理すればいいですか?
A. 原状回復や維持管理の性質が強い工事は修繕費、価値を高めたり耐用年数を延ばしたりする工事は資本的支出となるのが原則です。内訳の区分で結果が変わるため、見積の段階で分けて出してもらい、必ず顧問税理士にご確認ください。
この記事のポイントまとめ
- 取手市の耐震補助・無料診断・リノベ補助は、自己居住が前提で、賃貸オーナーさまは使えない前提で計画します。耐震補助と無料診断は令和8年度分が受付終了です。
- 住宅取得補助(最大65万円)やリノベ補助(最大55万円)は、賃貸の入居層が購入へ動く後押しにもなりうるため、物件力の維持が入居率の防衛策になります。
- 狭あい道路拡幅整備促進補助と長寿命化促進税制(3分の1・令和9年3月31日まで)は、使えるかどうかを事前に窓口で確認する価値があります。
- 取手市は特定行政庁。定期報告は市の建築指導課で、報告期間は多くの建築物で7月1日から12月28日です。
- 補助が薄いからこそ、工法選び・仕様の見直し・調査先行でNOIと出口価格を守ることが重要です。
取手市の賃貸オーナーさまへ
取手市は、補助金で工事費を大きく圧縮できる環境ではありません。だからこそ、「使える制度は確実に使い、使えない制度に期待せず、工法と仕様で総額を最適化する」という現実的な設計が、オーナーさまの手残りを守ります。
お持ちの物件で、まだ修繕計画や補助・税制の検討を始めていないオーナーさまは、ぜひ一度お問合せください。1棟の現地調査と利回り改善シミュレーション、キャッシュフロー試算だけでも、ご相談を承ります。こちらからお問合せいただけます。あわせて、収益物件の修繕に関する考え方はオーナー向けの明誠のご案内にもまとめています。数字の話と、次の一歩を、一緒に整理させてください。
▼ロープアクセス工法・無足場工法の詳細解説はこちら
ロープアクセスドットコム|無足場工法専門メディア
本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月4日時点で公表されている取手市および国土交通省・茨城県の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請・申告される前に、必ず取手市および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。
この記事の執筆者
本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。
最終更新:2026年10月4日
関連記事(姉妹サイト)
ロープアクセス工法の詳細や実例については、姉妹サイト「ロープアクセスドットコム」の以下の記事もぜひご覧ください。
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『大規模修繕工事 職人だから言える本当の話 —— 見積書では見えない業界の裏側と、修繕積立金を守る発注術』(Kindle版)を出版しています。20年以上の現場経験から、管理組合・オーナーが修繕積立金を守るための発注術と、業界の内幕を書き下ろしました。
出典(取手市・茨城県 公式ウェブサイト)
- 木造住宅耐震改修費または耐震建替費の補助 – 取手市(建築指導課・更新2026年9月15日)
- 木造住宅無料耐震診断 – 取手市
- 住宅リノベーション補助金 – 取手市(更新2026年7月31日)
- 住宅取得補助金 – 取手市(更新2026年7月31日)
- 定住化促進住宅補助制度「とりで住ま入る(スマイル)支援プラン」 – 取手市
- 住まい・土地の補助制度 – 取手市
- 狭あい道路拡幅整備促進補助 – 取手市
- ブロック塀の倒壊防止 – 取手市
- 建築確認と開発行為 – 取手市
- 建築物及び建築設備等の定期報告制度 – 取手市
- マンション管理計画認定制度 – 取手市(更新2026年3月26日)
- マンション長寿命化修繕に対する固定資産税の減額 – 取手市
- 固定資産税の減免 – 取手市
- 補助金(環境対策課) – 取手市
- 定期報告制度について – 茨城県(更新2026年8月30日)
- 木造住宅耐震補助(市町村一覧)- 茨城県(更新2026年6月10日)
- マンション管理計画認定制度 – 茨城県(更新2026年4月1日)
- マンション管理計画認定制度 – 国土交通省
古河市の賃貸マンション補助金2026|止水板は最大30万円、ブロック塀は受付終了
古河市で賃貸マンション・賃貸アパート・収益ビルをお持ちのオーナーさまへ。この記事は、令和8年度(2026年度)に古河市の賃貸オーナーさまが実際に使える制度と、使えない制度・すでに終わった制度を、市の公式ページで確認できた事実だけで仕分けたものです。「古河市の賃貸物件で大規模修繕を考えているが、補助金や税制優遇はどこまで当てにできるのか」という疑問に、誇張なくお答えします。
結論からお伝えします。古河市の住宅系の補助は、私が公式ページで確認できた範囲では「自分で住む個人」向けか「分譲マンション」向けが中心で、賃貸オーナーさまが正面から使える制度は多くありません。木造住宅の耐震改修補助は「市内に住所を有し、自己用住宅として所有する方」が前提、省エネ改修の固定資産税減額は「賃貸住宅は対象外」、管理計画認定制度は分譲マンション限定です。さらに、賃貸オーナーさまにも関係のあった危険ブロック塀等の撤去補助は、令和8年度分が8月14日で受付を終了しています。
その一方で、今この瞬間に申請できる制度が一つあります。止水板の購入・設置に対する補助です。補助率は対象経費の50%、上限30万円、受付は令和8年11月30日まで。しかも対象は「所有者・使用者」と明記されており、個人だけでなく法人も申請できます。1階に店舗や駐車場、エントランスを持つ賃貸物件のオーナーさまにとっては、数少ない「今使える現金補助」です。この記事では、制度の仕分けに加えて、入居率とNOI(実質賃料収入)を守る視点、損金算入の考え方、出口戦略、そして3つの工法の選び方まで、20年以上この仕事をしてきた私の現場感覚も交えて整理します。
古河市で賃貸オーナーが確認すべき制度【令和8年度・一覧】
まず全体像を表で押さえます。詳細は後述の各見出しで一つずつ解説します。
| 制度名 | 対象 | 賃貸オーナーの使いやすさ | 令和8年度の状況 |
|---|---|---|---|
| 止水板設置補助 | 所有者・使用者(個人・法人可) | ○(賃貸建物の使用者も対象と明記) | 令和8年11月30日まで・予算上限で終了・補助率50%・上限30万円 |
| 危険ブロック塀等撤去費用補助 | 危険ブロック塀等の所有者または共有者 | △(法人・賃貸の明記なし) | 令和8年度は8月14日で受付終了・上限10万円 |
| 木造住宅耐震改修補助 | 市内に住所を有し自己用住宅として所有する方 | ×(賃貸は対象外の前提) | 補助率4/5・上限115万円・受付は広報で周知 |
| 住宅の耐震改修に伴う固定資産税減額 | 昭和57年1月1日より前の住宅など | △(要件・期限を資産税課で確認) | 1/2減額(長期優良住宅は2/3)・完了後3か月以内に申告 |
| 住宅の省エネ改修に伴う固定資産税減額 | 自己居住の住宅 | ×(賃貸住宅は対象外) | 1/3減額・完了後3か月以内に申告 |
| マンション長寿命化促進税制 | 築20年以上・10戸以上の区分所有マンション | △(管理計画認定等が前提。一棟賃貸は要確認) | 1/3減額・令和9年3月31日までの完了分 |
| マンション管理計画認定制度 | 古河市内の分譲マンション | ×(賃貸一棟所有は対象外) | 令和6年5月1日開始・市の手数料は無料 |
| 商店街空き店舗等対策事業補助金 | 商店街の空き店舗へ出店する事業者 | △(テナント側の制度。募集時の訴求材料) | 開業の30日前までに事前相談・予算内 |
表の見方のコツは、「○」を探すことより、「×」「△」の理由を先に知ることです。古河市の制度は、物件の持ち方(自己居住か賃貸か、区分所有か一棟所有か)で使えるかどうかが分かれます。ご自身の物件がどこに当てはまるかを確認してから、工事計画の資金繰りを組むのが安全です。
古河市は特定行政庁 — 建築確認も定期報告も市の建築指導課へ
茨城県が公表している定期報告制度のページ(更新日:2026年8月30日)には、特定行政庁として「水戸市・日立市・土浦市・古河市・高萩市・北茨城市・取手市・つくば市・ひたちなか市」が並び、これらの市ではそれぞれの市で定期報告を受け付けると明記されています。つまり古河市内の建築物の定期報告(いわゆる12条点検の報告)は、県ではなく古河市の建築指導課が窓口です。
窓口は、三和庁舎(古河市仁連2065番地)にある建築指導課で、電話は0280-76-1511(代表)、開庁は平日の午前8時30分から午後5時15分です。賃貸マンションや賃貸ビルのオーナーさまは、点検・耐震・ブロック塀といった「建物の安全」に関する相談を、まずここに集約できると覚えておくと動きやすくなります。
どの建物が定期報告の対象になるかは、用途と規模(階数・床面積)で決まります。県の定期報告のページには、「報告対象建築物と報告時期」「報告対象建築設備等と報告時期」のPDFが公開されています。共同住宅(賃貸マンション)が対象かどうか、いつ報告するのかは、物件の階数と床面積によって異なりますので、ご自身の物件については必ず建築指導課または管理会社に確認してください。点検の周期に合わせて外壁の打診調査と修繕を組み合わせると、足場の仮設や調査費用の重複を避けられます。この考え方は後述の「修繕計画の立て方」で詳しくお話しします。
止水板設置補助は令和8年11月30日まで — 賃貸の「使用者」も対象
古河市の止水板補助は、賃貸オーナーさまにとって令和8年度もっとも現実的な制度です。公式ページ(更新日:2026年4月8日)で確認できた内容は次のとおりです。
- 補助率と上限:対象経費の50%、上限30万円
- 受付期間:令和8年11月30日(月曜日)まで。予算上限に達した時点で受付終了
- 対象者:所有者・使用者。個人・法人ともに申請可。賃貸建物の使用者も対象と明記
- 対象経費:止水板として販売されている製品で、十分な止水性能と耐久性があり、取り外しや移動ができ、繰り返し使用できるもの。設置工事の費用を含む。自作や自施工は対象外
- 対象外:市税の滞納者、暴力団関係者、転売目的の購入者など
この制度の読みどころは「使用者」まで含まれている点です。賃貸物件の場合、オーナー(所有者)が申請するのか、1階で営業するテナント(使用者)が申請するのかを、契約や費用負担の取り決めに合わせて決めることになります。オーナーさまが申請する場合も、テナントが申請する場合も、事前に管理会社を交えて役割分担を文書にしておくと、後のトラブルを防げます。
なお、市のページには対象地域や河川名の記載がありません。補助の対象は、過去または今後の浸水被害が想定される場所の建物とされています。ご自身の物件が該当するかどうかは、古河市が公開しているハザードマップで浸水想定を確認し、担当窓口に相談するのが確実です。私の経験上、浸水リスクの有無は、入居者募集の場面でも、物件を売却する場面でも、買い手や借り手が必ず確認するポイントになっています。止水板は、補助率50%で「リスクの見える化と対策の実績」を作れる、費用対効果の高い投資と言えます。
受付は予算上限に達した時点で終了するため、年度の後半は枠が少なくなる可能性があります。検討される場合は、11月30日の期限を待たず、早めに建築・防災の担当窓口へ確認してください。
危険ブロック塀等の撤去補助 — 令和8年度は8月14日で受付終了
賃貸オーナーさまの敷地に古いブロック塀がある場合、古河市には「危険ブロック塀等撤去費用の一部を補助する制度」があります。ただし、市の公式ページ(更新日:2026年8月14日)には、「令和8年度の受付を終了いたしました」と明記されています。受付期限は令和8年8月14日(金曜日)でした。
制度の中身を、次年度以降の検討材料として整理しておきます。
- 対象者:危険ブロック塀等の所有者または共有者。共有の場合は他の共有者の同意書が必要。個人・法人の区別、賃貸オーナーについての明記はありません。
- 補助額:次の3つのうち最も低い額。(1)補助対象経費の3分の2、(2)撤去する延長に1メートルあたり10,000円(高さ1メートル以下は7,000円)を乗じた額、(3)10万円
- 対象のブロック塀:倒壊の危険があり、通学路または緊急輸送道路の通行者に危険を及ぼすおそれがある、組積造またはコンクリートブロック造で、高さ80センチメートル超のもの。不動産販売目的の撤去や、すでに補助を受けた敷地は対象外
- 手続き:事前申込書の提出、交付対象の確認、交付申請書の提出、工事、実績報告、交付請求の順。工事着手前の申請が必須
令和9年度以降の受付がどうなるかは、現時点で公表されていません。次年度に備えるなら、今のうちに自社物件のブロック塀の高さと劣化状況を把握し、写真で記録しておくと、申請の準備が早く進みます。
ブロック塀の撤去は、補助がなくても検討する価値があります。倒壊すれば第三者への賠償責任が発生しうるうえ、劣化した塀は内見時の第一印象を下げ、賃料交渉や入居の決まり方にも静かに影響します。補助金の有無で判断を先送りせず、管理会社の点検で危険度だけは把握しておくことをお勧めします。
木造住宅の耐震補助は「自己用住宅」限定 — 賃貸アパートは対象外の前提
古河市は、昭和56年(1981年)の建築基準法改正以前に建築された木造住宅について、茨城県の木造住宅耐震診断士を派遣する無料の耐震診断を行っています。診断結果をもとにした耐震改修訪問相談もあり、改修を行う場合の補助は次の内容です(市の公式ページ、更新日:2026年4月1日)。
- 補助率:補強設計・耐震建替え設計、耐震改修工事・耐震建替え工事に必要な経費の4/5に相当する額
- 上限:115万円
- 対象者:市内に住所を有し、自己用住宅として所有または所有予定の方
- 令和8年度の受付:ページには具体的な日程の記載がなく、広報およびお知らせページで周知するとされています
対象者が「自己用住宅として所有する方」とされているため、賃貸に出している木造アパート・戸建て賃貸は、この補助の対象にならないと考えるのが自然です。ページに賃貸住宅や法人についての記載がないことから、「使える可能性がある」と期待するのではなく、使えない前提で資金計画を組み、使えそうなら担当課に確認するくらいの距離感が現実的です。
参考までに、古河市の「耐震改修促進計画アクションプログラム2026」では、年間の目標として耐震診断士の派遣5戸、耐震改修訪問相談3戸、耐震改修費補助1戸が掲げられています。令和5年度の耐震診断士派遣は17戸で、目標を上回ったと記載されています。診断までは動いても、改修補助まで進む件数は少ない、という現状が数字から読み取れます。件数の少なさは、制度が「個人の自己居住」を想定した小さな枠であることを示しています。
固定資産税の減額 — 耐震・省エネ・長寿命化の3制度を賃貸目線で仕分ける
補助金が薄い自治体では、固定資産税の減額が実質的な支援になります。古河市の資産税課のページには、住宅の改修に関する3つの減額制度が掲載されています。賃貸オーナーさまの目線で仕分けると、次のようになります。
1. 住宅の耐震改修に伴う減額(更新日:2026年4月1日)
昭和57年1月1日より前に建てられた住宅を、現行の耐震基準に適合させる工事を行うと、工事完了の翌年度の固定資産税が、120平方メートル相当分まで2分の1に減額されます。長期優良住宅の認定を受けた場合は3分の2です。工事費が一定額(50万円)を超えることが条件で、完了から3か月以内に申告が必要です。賃貸住宅や併用住宅の扱い、工事完了期限の最新の取り扱いは、資産税課(電話0280-22-5111)で必ず確認してください。
2. 住宅の省エネ改修に伴う減額(更新日:2026年4月1日)
窓の断熱改修などを行った場合に3分の1が減額されますが、自己居住の住宅に限られ、賃貸住宅は対象外と明記されています。賃貸オーナーさまは、この制度を前提に計画を立てないでください。
3. マンション長寿命化促進税制(更新日:2025年5月27日)
令和5年度の税制改正で創設された制度で、古河市のページには次の要件が示されています。築20年以上かつ総戸数10戸以上、居住用の専有部分があること、過去に外壁・床防水・屋根防水の工事をすべて実施していること、そして管理計画認定を受けたマンションか、市の指導を受けた管理組合であること。減額は3分の1で、対象は工事完了の翌年の1月1日を賦課期日とする1年度分、床面積100平方メートル相当分までです。令和5年4月1日から令和9年3月31日までに完了した工事が対象で、完了から3か月以内の申請が必要です。耐震・バリアフリー・省エネの減額との併用はできません。
3つ目の制度は「区分所有マンションの管理組合」を主な対象に想定した設計です。一棟すべてを所有する賃貸マンションオーナーさまが、そのまま使えるとは限りません。「管理計画認定または市の指導を受けた管理組合」が要件に入っているため、一棟所有の場合の扱いは資産税課に確認が必要です。
大切なのは、税の減額は工事が終わった後で、一定の期限内に自分で申告しなければ受けられないことです。工事の契約前に、対象かどうか・必要書類・期限を確認しておく習慣をつけてください。
マンション管理計画認定制度 — 古河市は分譲限定、賃貸一棟は対象外
古河市のマンション管理計画認定制度は、令和6年(2024年)5月1日に運用が始まりました。担当は営繕住宅課(電話0280-76-1511)です。公式ページには次のように書かれています。
- 対象:古河市内の分譲マンション。申請者は管理組合の管理者等
- 手数料:古河市への手数料は無料。ただし、公益財団法人マンション管理センターの「管理計画認定手続支援サービス」による事前確認は有料
- 認定基準:国の基準(マンション管理適正化指針)をそのまま採用し、古河市独自の上乗せはなし
- 有効期間:認定から5年。更新の申請は期限前に行う必要がある
賃貸一棟所有のオーナーさまは、この制度の直接の対象にはなりません。ただし、間接的な意味はあります。管理計画認定を受けた分譲マンションが市場で評価される流れは、賃貸マンションにも「管理の見える化」が求められる時代に入ったことを示しているからです。修繕履歴、長期修繕計画、収支の記録を整えておくことは、認定の有無にかかわらず、融資の相談や売却の場面で効いてきます。
商店街の空き店舗補助とまちなか住宅取得奨励金 — 空室対策と競合の両面から
古河市には、収益物件のオーナーさまにとって「味方」と「競合」の両面を持つ二つの制度があります。
商店街空き店舗等対策事業補助金(更新日:2026年7月10日)
商店街の空き店舗に新規出店する事業者が、改装費や店舗の家賃を補助してもらえる制度です。申請は開業の30日前までに必要で、事前の相談が前提、予算内での交付です。補助の受け手は出店するテナント側ですが、1階が店舗区画の賃貸ビルを持つオーナーさまにとっては、「この区画には補助制度が使える可能性がある」とテナント募集の場で伝えられる点が意味を持ちます。補助率や上限額は市のページ上では確認できなかったため、詳細は産業戦略課(電話0280-22-5111)への確認が必要です。
若者・子育て世帯まちなか住宅取得奨励金(令和6年1月1日〜令和8年12月31日)
居住誘導区域内で住宅を取得し、そこに住む若者世帯(40歳未満)または15歳以下の子どもがいる世帯に、基本額10万円に居住年数や子育て等の加算を加え、最大で50万円程度が支給されます。賃貸オーナーさまにとっては、賃貸の入居ターゲットになりやすい若年・子育て世帯が「購入」に動く後押しになりうる制度です。受付は令和8年12月31日までの購入・居住が対象ですから、少なくとも令和8年度中は、この動きが強まる可能性を織り込んだほうが安全です。対策は、賃料を下げることではなく、設備・共用部・安全性で「選ばれる賃貸」の水準を保つことです。
入居率1%がキャッシュフローをどう動かすか(試算)
補助金が限られる市で賃貸経営を守るには、「工事の質とタイミング」が収益に与える影響を数字で把握しておく必要があります。以下は、仮定にもとづくイメージ試算です(実際の物件の数字ではありません)。
仮に、20戸・平均賃料6万円の賃貸マンションがあるとします。満室時の年間賃料収入は、20戸×6万円×12か月=1,440万円です。入居率が1%下がると年間約14.4万円、空室が1戸あたり3か月続けば18万円の機会損失です。外壁のタイルの浮きや雨漏り、エントランスの劣化といった「見た目と安全の問題」は、内見で静かに効いてきます。築年数なりの劣化は、賃料の下落圧力として少しずつ積み上がるのです。
さらに、物件価値は収益還元の考え方で動きます。年間NOIが700万円の物件を、キャップレート6.0%で評価すれば約1億1,667万円、6.5%で評価すれば約1億769万円と、わずか0.5ポイントの違いで約900万円の差が出ます。管理状態が良く、修繕履歴が整理されている物件は、買い手が見るリスクが小さくなり、有利な評価につながりやすくなります。修繕は「費用」ではなく、NOIと物件価値を守る投資として設計することが、オーナー経営の基本です。
補助金が薄い市だからこそ、工事費そのものの最適化が効く
古河市で賃貸オーナーさまが使える補助は、止水板のように限定的です。つまり、補助金で工事費を圧縮する余地は大きくありません。その場合に最も効くのは、工事の仕様と工法の選び方で、総額そのものを下げることです。
大規模修繕の総工費の中で、仮設足場の費用は一般に15〜25%を占めます。30戸規模のマンションの大規模修繕は、おおよそ3,500〜5,000万円がひとつのレンジで、その中で足場費は数百万円規模になります。足場をかけずにロープアクセスで施工できる部位が多い建物では、ここが大きな削減余地です。たとえば、10階建て・外周80メートル・工期3か月の建物で、足場工法の概算が168万円、ロープアクセス工法が59万円となった事例では、仮設費だけで約109万円の差が出ます(建物の形状や条件により変わる目安であり、実際の見積は物件ごとに異なります)。
あわせて、仕様の見直しも効きます。外壁の打診調査は一般に1平方メートルあたり250〜500円、外壁塗装は3,500〜4,500円、防水は5,000〜8,000円が目安です。まず調査で劣化の範囲を正確に把握し、必要な箇所に必要な工事をすることで、「全面やり替え」の見積を適正化できます。株式会社明誠はこれまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセス工法での高所作業について、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業では、過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。作業員はIRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の技能訓練を受け、品質面ではISO9001を取得し、日本ロープ高所作業協会の事務局も担当しています。料金の考え方は、明誠の大規模修繕の料金の考え方のページにまとめています。
損金算入と資本的支出:税務処理で手残りが変わる
オーナーさまにとって、工事費の税務処理は手残りに直結します。基本の考え方は、修繕費(その年の経費)と資本的支出(資産に計上して減価償却)のどちらに区分されるかです。原状回復や維持管理の範囲であれば修繕費として当期の損金(個人は必要経費)に算入できますが、価値を高める、あるいは耐用年数を延ばす性質が強い工事は資本的支出となり、数年にわたって費用化されます。
区分の判断には、一般に、1つの工事が20万円未満であるか、おおむね3年以内の周期で行う工事か、60万円未満であるか、あるいは前期末の取得価額のおおむね10%以下か、といった形式的な基準が使われます。ただし、実際の判断は工事の内容によって異なります。大規模修繕の見積書は、修繕費に当たる部分と資本的支出に当たる部分を分けて内訳を出すことで、税理士が処理しやすくなります。私たちは、オーナーさまの税務処理を前提に、見積の項目を整理してお出しするようにしています。
補助金を受け取る場合の税務にも注意が必要です。受給した補助金は、個人は所得の区分、法人は雑収入の計上や圧縮記帳の可否など、受け取り方によって扱いが変わります。たとえば止水板補助のように、補助を受けた分だけ手残りが増えると考えがちですが、税務上は収入として扱われる場合があります。補助金は受給時に課税関係が生じうることを念頭に、必ず顧問税理士に事前に相談してください。
出口戦略:修繕履歴と安全対応が売却価格に効く
物件をいつか売却する、あるいは相続で次世代に引き継ぐことを考えるなら、「どんな修繕を、いつ、いくらで行ったか」の記録そのものが価値になります。買い手の側では、金融機関の融資審査でも、建物の管理状態が確認されます。外壁や防水の修繕履歴、定期報告の実施記録、耐震や止水対策の有無が整理されている物件は、買い手の「見えないリスク」への割引が小さくなる傾向があります。
反対に、補助金が使えなかったからという理由で修繕を先送りすると、劣化が進んで、将来の工事費が膨らみます。特に防水と外壁は、劣化が小さいうちに手を入れれば小規模な補修で済むところを、放置するとやり替えが必要になりがちです。出口を見据えた修繕投資は、利回りを改善する以上に、物件価値そのものを底上げします。調査記録はドローン調査なども活用して写真で残しておくと、売却時の説明資料として役立ちます。
医療法人・介護事業者オーナーさまへ:BCPと浸水対策の視点
古河市内でクリニックやサービス付き高齢者向け住宅、介護施設を運営している、あるいはそうした建物を貸しているオーナーさまは、一般の賃貸住宅とは別の視点が必要です。入居者や患者さまの安全が事業の前提ですから、BCP(事業継続計画)と防災対策が、施設の信頼と介護報酬・医療報酬を伴う運営の継続性に直結します。
止水板は、まさにこの観点で意味を持ちます。浸水により電気設備や医療機器、エレベーターが使えなくなれば、運営の停止につながります。止水板の補助は個人・法人どちらも対象ですから、施設の運営法人が申請者になることも考えられます。あわせて、外壁の剥落やブロック塀の倒壊は、来訪者や入所者に直接の危険を及ぼします。施設の大規模修繕では、入居者・利用者の生活への影響を最小限にできる工法が求められます。足場を組まないロープアクセス工法は、窓や共用部を長期間覆わずに済むため、騒音や視界の遮断を抑えたい施設で選ばれています。詳しい施工の考え方は、ビルオーナー向けの明誠のサービスをご覧ください。
足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3工法の選び方
株式会社明誠は、通常の足場工法、無足場のロープアクセス工法、足場とロープアクセスを組み合わせたハイブリッド工法の3つから、建物にとって最適な工法を提案できる、日本でも数少ない会社です。それぞれの向き不向きを整理します。
| 工法 | 向いている建物 | 強み | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 通常の足場工法 | 中低層、形状が複雑、広い面を一度に施工したい建物 | 作業の自由度が高く、大面積の工事に向く | 足場費がかさみ、工期が長く、居住者・テナントへの影響が大きい |
| ロープアクセス工法(無足場) | 高層、足場の架設が難しい立地、コストを抑えたい建物 | 足場費の削減、工期短縮、入居者・テナントの生活への影響が小さい | 重量物の搬入や広範囲の全面施工には向きにくい場合がある |
| ハイブリッド工法 | 大規模・複雑で、部位ごとに最適化したい建物 | 足場とロープを部位で使い分け、総額を最適化 | 工程管理に高い調整力が必要 |
3つの工法を選べる会社は、建物の条件に合わない工法を押しつけません。古河市内でも、物件の階数や形状、周辺の敷地条件によって最適解は変わります。たとえば中低層で広い面を施工する建物は足場、部分的な補修や高所の局所工事はロープアクセス、といった組み合わせが効果的な場合が少なくありません。ロープアクセス工法の技術的な詳細や、同業者・フランチャイズ加盟を検討されている方向けの情報は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムで解説しています。また、安全管理の考え方は明誠の安全管理への取り組みで公開しています。
修繕計画の立て方:定期報告の周期から逆算する
古河市のオーナーさまが無理なく修繕を進めるには、次の順序で考えるのが現実的です。
- 建物の現状把握:外壁の打診、屋上・バルコニーの防水、鉄部の錆、ブロック塀の状態を調査する。ドローンや目視でも概況は把握できます。
- 定期報告の要否と時期を確認:物件が定期報告の対象かどうか、対象の場合の報告時期を建築指導課または県の公開資料で確認する。
- 制度の使える・使えないを仕分け:止水板のように使える制度、ブロック塀のように来年度に備える制度、税の減額のように事前確認が必要な制度に分ける。
- 工法と仕様の比較見積:足場・ロープアクセス・ハイブリッドで比較し、修繕費と資本的支出の内訳も出してもらう。
- 入居者・テナントへの周知と工程調整:騒音や視界の遮断を最小化する工程を組み、入居率への影響を避ける。
この流れの中で、調査を先に行い、必要な工事の範囲を絞ってから見積を取ることが最も大切です。調査前に総額を決めてしまうと、過剰な仕様や不足のある仕様のどちらにもなりやすいからです。漏水が気になる物件は、漏水対応のページも参考にしてください。
よくあるご質問
Q1. 古河市の止水板補助は、賃貸マンションのオーナーでも申請できますか?
A. 対象者は「所有者・使用者」で、個人・法人どちらも申請できます。賃貸建物の使用者も対象と市のページに明記されています。受付は令和8年11月30日まで、補助率は50%、上限30万円です。予算上限に達すると受付が終了するため、早めに担当窓口へ確認してください。
Q2. 古河市のブロック塀の撤去補助は、令和8年度はまだ申請できますか?
A. できません。令和8年度の受付は8月14日で終了しています。補助額は、経費の3分の2、延長に応じた単価額、10万円のうち最も低い額でした。令和9年度以降の受付は公表待ちですので、市の公式ページで最新情報をご確認ください。
Q3. 古河市の木造住宅耐震改修補助は、賃貸アパートにも使えますか?
A. 対象は「市内に住所を有し、自己用住宅として所有する方」とされています。賃貸に出している木造アパートは、対象外と考えるのが自然です。個別の事情は、建築指導課(0280-76-1511)にご確認ください。
Q4. 古河市のマンション長寿命化促進税制の減額割合は何分の1ですか?
A. 3分の1で、床面積100平方メートル相当分までが対象です。築20年以上・10戸以上、管理計画認定または市の指導を受けた管理組合などの要件があり、完了から3か月以内の申請が必要です。区分所有マンション向けの設計のため、一棟所有の賃貸の扱いは資産税課にご確認ください。
Q5. 賃貸マンションの省エネ改修でも、固定資産税の減額は受けられますか?
A. 古河市の省エネ改修に伴う減額は、自己居住の住宅に限られ、賃貸住宅は対象外と明記されています。賃貸オーナーさまは、この制度を前提にした資金計画は避けてください。
Q6. 古河市で12条点検(定期報告)の提出先はどこですか?
A. 古河市は特定行政庁で、定期報告は古河市の建築指導課が受け付けています。県の定期報告のページ(更新日:2026年8月30日)にも、古河市は市で受付すると記載されています。対象の規模や報告時期は、県が公開するPDFや市の窓口でご確認ください。
Q7. 古河市の管理計画認定制度は、賃貸マンションにも使えますか?
A. 対象は分譲マンションで、賃貸一棟所有は対象外です。市への手数料は無料ですが、マンション管理センターの事前確認は有料です。
Q8. 大規模修繕の費用は、修繕費と資本的支出のどちらで処理すればいいですか?
A. 原状回復や維持管理の性質が強い工事は修繕費、価値を高めたり耐用年数を延ばしたりする工事は資本的支出となるのが原則です。内訳の区分で結果が変わるため、見積の段階で分けて出してもらい、必ず顧問税理士にご確認ください。
この記事のポイントまとめ
- 古河市で賃貸オーナーさまが今使える現金補助は、止水板設置補助(補助率50%・上限30万円・令和8年11月30日まで)が中心です。
- 危険ブロック塀等の撤去補助は、令和8年度は8月14日で受付終了。令和9年度に備えて現状把握を進めておきましょう。
- 木造耐震補助・省エネ減額・管理計画認定は、自己居住または分譲が前提で、賃貸には使えない前提で資金計画を立てます。
- 長寿命化促進税制は3分の1ですが、区分所有向けの設計のため、一棟賃貸は資産税課への確認が必須です。
- 補助が薄いからこそ、工法選び・仕様の見直し・調査先行でNOIと出口価格を守ることが重要です。
古河市の賃貸オーナーさまへ
古河市は、補助金で工事費を大きく圧縮できる環境ではありません。だからこそ、「使える制度は確実に使い、使えない制度に期待せず、工法と仕様で総額を最適化する」という現実的な設計が、オーナーさまの手残りを守ります。
お持ちの物件で、まだ修繕計画や補助・税制の検討を始めていないオーナーさまは、ぜひ一度お問合せください。1棟の現地調査と利回り改善シミュレーション、キャッシュフロー試算だけでも、ご相談を承ります。こちらからお問合せいただけます。あわせて、収益物件の修繕に関する考え方はオーナー向けの明誠のご案内にもまとめています。数字の話と、次の一歩を、一緒に整理させてください。
▼ロープアクセス工法・無足場工法の詳細解説はこちら
ロープアクセスドットコム|無足場工法専門メディア
本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月3日時点で公表されている古河市および国土交通省・茨城県の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請・申告される前に、必ず古河市および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。
この記事の執筆者
本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。
最終更新:2026年10月3日
関連記事(姉妹サイト)
ロープアクセス工法の詳細や実例については、姉妹サイト「ロープアクセスドットコム」の以下の記事もぜひご覧ください。
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『大規模修繕工事 職人だから言える本当の話 —— 見積書では見えない業界の裏側と、修繕積立金を守る発注術』(Kindle版)を出版しています。20年以上の現場経験から、管理組合・オーナーが修繕積立金を守るための発注術と、業界の内幕を書き下ろしました。
出典(古河市・茨城県・国土交通省 公式ウェブサイト)
- 危険ブロック塀等の撤去費用の一部を補助します – 古河市
- 止水板の購入・設置に必要な工事に対し補助金を交付します – 古河市
- 古河市耐震改修促進事業のご案内 – 古河市
- 古河市耐震改修促進計画 – 古河市
- 住宅の耐震改修に伴う固定資産税の減額 – 古河市
- 住宅の省エネ改修に伴う固定資産税の減額 – 古河市
- 長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションに対する固定資産税の減額制度 – 古河市
- マンション管理計画の認定制度 – 古河市
- 古河市商店街空き店舗等対策事業補助金 – 古河市
- 古河市若者・子育て世帯まちなか住宅取得奨励金 – 古河市
- 建築指導課 – 古河市
- 定期報告制度について – 茨城県
- 木造住宅耐震補助(市町村一覧)- 茨城県
- マンション長寿命化促進税制(固定資産税の特例措置)- 国土交通省
- マンション管理計画認定制度 – 国土交通省
ひたちなか市の賃貸マンション補助金2026|ブロック塀は11月末まで受付、耐震・税制は賃貸の壁あり
ひたちなか市で賃貸マンション・賃貸アパート・収益ビルをお持ちのオーナーさまへ。この記事は、令和8年度(2026年度)にひたちなか市で賃貸オーナーさまが実際に使える制度と、使えない制度の境界線を、公式ページで確認できた事実だけで整理したものです。「ひたちなか市の賃貸物件で大規模修繕をするとき、補助金や税制優遇は使えるのか」という疑問に、誇張なくお答えします。
結論から申し上げます。ひたちなか市の住宅系補助金は、私が確認できた範囲ではほとんどが「自ら住む個人」向けです。木造住宅の耐震改修補助は「所有し、かつ居住する」戸建て木造が条件で、賃貸に出している共同住宅は対象になりません。固定資産税の減額も、バリアフリー改修と省エネ改修は「賃貸住宅を除く」と明記されています。マンション長寿命化促進税制(固定資産税3分の1減額)と管理計画認定制度は、分譲マンションの管理組合向けの仕組みです。
一方で、土浦市などと違い、今まさに受付中で賃貸オーナーさまが検討できる制度もあります。危険ブロック塀等の撤去補助は、対象者が「ブロック塀等の所有者」とされ、令和8年5月15日から11月30日まで(予算がなくなり次第終了)受付中です。また、入居者向けの家賃補助制度は、新耐震基準の民間賃貸住宅などを条件に、家賃の2分の1(上限月2万円)を補助する内容で、条件に合う物件のオーナーさまには募集上の訴求材料になり得ます。私が関東一円で賃貸マンション・ビルの大規模修繕に携わってきた現場感覚も交えながら、補助金に頼りすぎず、NOI(実質賃料収入)と出口価格を守る考え方を順に整理します。
ひたちなか市で賃貸オーナーが押さえるべき制度【令和8年度・一覧】
まず全体像を表で押さえます。詳細は後述の各見出しで解説します。
| 制度名 | 対象 | 賃貸オーナーの使いやすさ | 令和8年度の状況 |
|---|---|---|---|
| 危険ブロック塀等撤去補助 | ブロック塀等の所有者(法人の可否は明記なし) | △〜○(要件を満たせば対象になり得る) | 令和8年5月15日〜11月30日・予算内で先着 |
| 木造住宅耐震改修(設計・工事)補助 | 所有かつ居住する戸建て木造(評点1.0未満) | ×(賃貸共同住宅は対象外) | 令和8年5月15日〜10月30日・予算内で先着 |
| 住宅改修に伴う固定資産税の減額(耐震) | 一定の築年以前の住宅・工事費50万円超 | △(市ページに「賃貸」除外の記載なし。適用可否は要確認) | 令和13年3月31日までの工事完了分 |
| 同(バリアフリー・省エネ) | 既存住宅 | ×(「賃貸住宅を除く」と明記) | 工事完了後3か月以内の申告 |
| マンション長寿命化促進税制 | 築20年以上・10戸以上の分譲マンション | △(分譲向け。一棟所有の賃貸は要確認) | 3分の1減額・令和9年3月31日までの完了分 |
| マンション管理計画認定制度 | 市内の分譲マンション | ×(賃貸一棟所有は対象外) | 市の申請手数料は無料(別途、事前確認の審査料) |
| 家賃補助制度(入居者向け) | 市内の新耐震基準の民間賃貸住宅に入居する世帯 | △(入居者が申請。オーナーの訴求材料) | 5件募集中(令和8年8月1日現在)・先着 |
この表を見て、「使える制度が少ない」と感じられた方も多いと思います。ただ、私は補助金が薄い物件ほど、工事費そのものの最適化が効くと考えています。この点は後半でじっくりお話しします。
ひたちなか市は特定行政庁 — 建築確認も12条点検(定期報告)も市の建築指導課へ
ひたちなか市で収益物件を運用するうえで、まず押さえたいのが「行政の窓口」です。茨城県の建築確認事務のページでは、ひたちなか市は市特定行政庁(9市)の一つとして掲載されています(ページ更新は2026年4月1日)。建築確認の審査・検査と、耐震改修促進や建築相談は、いずれも市役所本庁の建築指導課が担当しています。
建築基準法第12条に基づく定期報告(12条点検)も同じです。茨城県のページによると、共同住宅が特定建築物として定期報告の対象になるのは床面積の合計が1,000㎡以上の場合で、ひたちなか市は特定行政庁に指定されているため、提出先は市の建築指導課となり、県への提出は不要と案内されています(ページ更新は2026年8月30日)。報告の周期や時期は、県の「報告対象建築物と報告時期」の資料で確認できます。
賃貸オーナーの立場で言えば、窓口が一本であることは「相談の往復が少なくて済む」という実務上のメリットです。外壁タイルの浮きや落下リスクは、12条点検の打診調査で指摘されやすい項目でもあります。大規模修繕の前に、点検履歴と外壁の状態を整理して建築指導課へ相談しておくと、工事後の是正指摘やテナントとのトラブルを未然に防げます。建築指導課の代表番号はひたちなか市役所の029-273-0111(審査係は直通029-273-0429、指導係は直通029-273-0465)です。
危険ブロック塀等撤去補助 — 今まさに受付中、賃貸オーナーが検討できる実用的な制度
賃貸オーナーさまにとって、ひたちなか市で最も現実的な直接補助が、危険ブロック塀等の撤去費用補助です。市のページ(更新は2026年5月12日)によると、令和8年度の受付期間は5月15日(金)から11月30日(月)までで、土日祝日は除きます。予算の範囲内で受け付けており、予算を超えた場合は期間内でも受付を終了することがあると明記されています。
補助額は、補助対象経費の3分の2と、塀の延長(m)×14,000円×3分の2のいずれか低い額で、上限は15万円です。補助対象者は「ブロック塀等の所有者」で、市税(市民税、固定資産税、都市計画税、軽自動車税、国民健康保険税)に未納がないことなどが条件です。対象は、補強コンクリートブロック造、コンクリートブロック造、れんが造・石造などの組積造の塀(門柱を除く)で、道路面から頂部までの高さが60cmを超えるものです。撤去後の高さが道路面から60cm以下になること、建設業者や解体業者に工事を依頼すること、そして敷地の販売を目的とした撤去ではないことも要件です。
ここで賃貸オーナーさまが注意すべき点が二つあります。一つは、対象者が「所有者」とされており、個人・法人の別が私の確認できた範囲では明記されていないことです。法人名義で賃貸物件を保有されている場合は、申請前に必ず建築指導課へ確認してください。もう一つは、売却を前提にした撤去は対象外だという点です。出口戦略として売却を近く予定している物件では、この制度が使えない可能性があります。
賃貸マンションやアパートの道路側には、古いブロック塀が残っているケースが珍しくありません。倒壊すれば、通行人や入居者の安全はもちろん、所有者責任として原状回復や損害賠償で数百万円単位の負担になり得ます。受付は予算に達し次第終了するため、検討される場合は11月30日を待たず、早めの相談をお勧めします。契約や着工の前に申請が必要な制度が一般的ですので、先に工事契約を結ぶことは避け、必ず窓口で手順を確認してください。
木造住宅の耐震改修補助は「所有かつ居住する戸建て」限定 — 賃貸共同住宅は対象外
ひたちなか市には、木造住宅耐震改修(設計・工事)の費用補助があります。令和8年度の受付期間は5月15日から10月30日までの平日で、補助額は耐震改修工事費の80%、上限115万円(設計費・検査費・消費税を除く)、予算の範囲内の先着受付です。耐震診断で評点が1.0未満と判定された、昭和56年5月31日以前に着工された2階建て以下の戸建て木造住宅が対象で、改修後に評点1.0以上になることが条件です。
ただし、対象者はその建物を所有し、かつ居住している方です。賃貸に出している共同住宅の耐震改修には使えません。ここを誤解して「うちも築40年だから使えるはず」と期待してしまうと、貴重な検討時間を失います。なお、受付期限の10月30日は目前に迫っていますが、賃貸オーナーさまにとって実質的な機会損失はありません。
ひたちなか市の耐震改修促進計画(計画期間は令和4年度から令和8年度までで、国の基本方針改正を受けて1年間延長、ページ更新は2026年6月16日)には、東日本大震災での市内の建物被害が7,973棟に上ったことが記録されています。地震の揺れを経験した地域だからこそ、旧耐震の賃貸物件を持つオーナーさまは、市の助成が使えるかどうかとは別に、建物の耐震性を把握しておく責任があります。
特定既存耐震不適格建築物ルート — 賃貸共同住宅が名指しされる法令の話
市の住宅向け助成が使えなくても、賃貸オーナーさまが押さえておくべき法令があります。耐震改修促進法第14条では、一定規模以上の多数の人が利用する建築物のうち、旧耐震基準で建てられたものを「特定既存耐震不適格建築物」と位置づけ、所有者に耐震診断・耐震改修の努力義務を課しています。規模要件の表には、階数3以上かつ床面積1,000㎡以上の賃貸共同住宅なども含まれています。
私が確認できた範囲では、ひたちなか市の補助金ページに掲載されている耐震関連の助成は、木造住宅の診断士派遣と改修補助、ブロック塀撤去補助、代理受領制度です。民間の賃貸共同住宅や事務所ビルの耐震診断・改修に対する市独自の助成は、見当たりませんでした。ただし、国の補助制度は別にありますので、規模の大きい物件では建築指導課へ「特定既存耐震不適格建築物に該当するか」「利用できる国の制度があるか」を確認する価値があります。
補助の有無にかかわらず、旧耐震の賃貸マンションを放置してよいわけではありません。耐震性が不明な物件は、金融機関の担保評価や売却時のデューデリジェンスで必ず問われます。耐震診断で現状を数字にしておくことが、出口戦略の第一歩です。
固定資産税の減額 — 耐震改修は「賃貸除外」の記載なし、バリアフリー・省エネは「賃貸住宅を除く」
ひたちなか市の「住宅の改修に伴う各種減額措置」のページ(更新は2026年4月24日)には、三つの減額制度が載っています。耐震改修は、一定の築年以前の住宅で、1戸当たりの耐震改修工事費が50万円(税込)を超える場合に、改修後の翌年度分の固定資産税が2分の1に減額される制度です(減額対象は120㎡相当分まで。長期優良住宅の認定を受けると3分の2)。工事完了は令和13年(2031年)3月31日までが対象で、完了後3か月以内の申告が必要です。
この耐震改修の項目には、「賃貸住宅を除く」という記載が、私が確認した範囲ではありません。一方、バリアフリー改修(減額割合3分の1・100㎡相当分まで)と省エネ改修(3分の1、長期優良住宅の認定で3分の2・120㎡相当分まで)は、いずれも「賃貸住宅を除く」と明記されています。つまり、賃貸オーナーさまにとって、固定資産税の減額が検討対象になり得るのは耐震改修のみです。
とはいえ、市のページには共同住宅が対象かどうかは書かれておらず、一棟の賃貸マンションに適用できるのか、床面積の上限をどう扱うのかは、私の確認できた範囲では判断できません。必ず市の資産税課(家屋係)に事前確認してください。耐震改修を伴う大規模修繕を検討する際は、税の減額を前提に資金計画を立てず、「適用できれば上乗せ」という位置づけにしておくのが堅実です。
マンション長寿命化促進税制 — 減額割合は3分の1、ただし分譲マンション向け
ひたちなか市は、マンション長寿命化促進税制(固定資産税の特例措置)の案内ページ(更新は2026年3月23日)を設けています。減額割合は3分の1で、対象住戸1戸当たり100㎡までの範囲に適用されます。主な要件は、築20年以上、総戸数10戸以上、居住用の専有部分が床面積の2分の1以上、過去に外壁塗装・床防水・屋根防水工事を実施済み、そして管理計画認定マンションまたは助言・指導の対象マンションであることです。工事の実施期間は令和5年4月1日から令和9年3月31日までで、完了後3か月以内の申告が必要です。問い合わせ先は市資産税課(家屋係029-212-7280)です。
この制度の目的は、区分所有の分譲マンションの管理組合が、長寿命化工事を計画的に実施することを後押しすることです。一棟すべてを単独で所有する賃貸マンションのオーナーさまは、「管理計画認定マンション」という要件を満たせず、対象になりにくいと私は考えています。区分所有の賃貸住戸(1棟の中の複数住戸)をお持ちの場合は、管理組合が管理計画認定を取得できるかどうかがポイントになります。適用の可否は、必ず資産税課で確認してください。
マンション管理計画認定制度 — 市の手数料は無料、ただし対象は分譲マンション
ひたちなか市のマンション管理計画認定制度(ページ更新は2025年10月21日)は、市内の分譲マンションが対象です。認定基準は国土交通省の基準に基づいており、市の独自基準はありません。申請の流れは、まずマンション管理センターの「管理計画認定手続支援サービス」で事前確認を受け、適合証を取得してから、市に認定申請をする二段階方式です。市への申請手数料はかかりませんが、マンション管理センターの利用料や事前確認の審査料は別途必要です。
賃貸一棟所有のオーナーさまは対象外ですが、区分所有の賃貸住戸をお持ちの方は、管理組合が認定を目指しているかを、理事会や総会の資料で確認しておくとよいでしょう。管理計画認定を受けた物件は、先ほどの長寿命化促進税制の要件にもつながり、市場評価の面でも管理状態の「見える化」に役立ちます。
家賃補助制度 — 入居者向けだが、条件に合う物件はオーナーの訴求材料に
ひたちなか市には、民間賃貸住宅に入居する世帯を対象にした家賃補助制度があります(住宅政策課の案内。募集状況は令和8年8月1日現在)。補助額は家賃月額の2分の1(上限月額2万円)で、期間は最長60か月、年4回に分けて交付されます。募集は令和8年5月25日から募集件数に達するまでの先着順で、8月1日時点では5件の募集でした。
対象となる住宅には条件があります。認定事業者が管理・あっせんしていること、昭和56年以降の新耐震基準に適合した市内の民間賃貸住宅であること、消防設備が設置済みであること、月額家賃が5万円以下(管理費・駐車料金を除く)であること、礼金なしで敷金が家賃2か月分まで、といった内容です。入居者側にも、市内在住または在勤、所得の上限、市税の滞納がないことなどの要件があり、市の承認前に契約した場合は対象外です。
これはあくまで入居者が申請する制度で、オーナーさまが補助を受け取るものではありません。募集件数も限られています。しかし、条件に合う物件を持つオーナーさまにとっては、募集の際に「この制度の対象になり得る」と案内できる余地があります。賃貸経営では、入居率が1%改善するだけで年間のキャッシュフローが変わります。制度の最新の要件と、認定事業者の登録の有無は、住宅政策課(029-273-1496)で確認してください。
ひたちなか市の賃貸市場と入居率の実感
私はこれまで関東一円の賃貸マンション・ビルの修繕に携わってきましたが、入居者層が単身中心の物件と、ファミリー世帯中心の物件とでは、劣化がNOIに与える影響の出方が違うと感じています。ひたちなか市でも、想定する入居者像によって、優先すべき修繕箇所は変わってきます。
外壁タイルの浮きや塗膜の劣化、屋上防水の切れ、鉄部のサビは、内見のときに入居希望者の「第一印象」を確実に下げます。築年数なりの劣化は、賃料の下落圧力として静かに効いてきます。周辺の競合物件が外観を整えていれば、同じ賃料では決まらなくなり、値下げか空室期間の長期化かを迫られます。私が現場でよく見るのは、「補助金が出ないから修繕を先送りにした結果、雨漏りが起きて入居者が退去し、結局は高くついた」というパターンです。補助金の有無と、修繕の要否は別の話として切り分けて考えていただきたいのです。
補助金が薄いからこそ、工事費そのものの最適化が効く
補助金が使えない、あるいは使える額が小さい場合、最も効果が大きいのは工事費そのものを適正化することです。大規模修繕では、仮設足場の架設・解体だけで工事費全体の15〜25%を占めることが少なくありません。3階建て以上の賃貸マンションや、敷地に余裕のない物件では、足場代が総額を押し上げる大きな要因になります。
一つの目安として、10階建て・外周80m・工期3か月のマンションでは、足場を組む場合の仮設費が約168万円のところ、ロープアクセス工法では約59万円と、約109万円の差が出る試算があります(あくまで参考値で、実際の費用は建物の形状・劣化状況・周辺環境で大きく変わります)。外壁の部分補修、防水、シーリングの打ち替え、タイル浮き補修、打診調査などは、足場を組まずに施工できる場合があります。打診調査の㎡単価は250〜500円程度、外壁塗装は3,500〜4,500円/㎡程度が目安で、補助金で十数万円を受け取ることと、工事費から数百万円を削減することでは、キャッシュフローへのインパクトが桁違いです。
株式会社明誠は、これまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセス工法での高所作業では、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業で、過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。ロープアクセスの基本的な考え方や安全基準は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムでも詳しく解説しています。建物の形状や劣化の状況によっては、足場が最適な場合もあります。大切なのは、最初から工法を決めつけず、建物ごとに最も合理的な工法を比較することです。費用の考え方は、当社の合理的な価格でご提案するページや、安全管理の安全への取り組みもご覧ください。明誠のこれまでの施工事例もご参照いただけます。
損金算入とキャッシュフロー:オーナーが押さえるべき税務の基本
補助金が使えない場合でも、税務上の扱いを正しく理解することで、実質的な手取りは大きく変わります。修繕費として一括で損金算入できるか、資本的支出として減価償却になるかで、その年の税引後キャッシュフローは大きく違ってきます。原状回復や維持管理のための外壁塗装や防水の改修は、修繕費と判断されることが多い一方、建物の価値を高める性質の工事は資本的支出とされる場合があります。区分は工事の内容や金額で判断が分かれるため、着工前に顧問税理士へ確認してください。
また、ブロック塀撤去補助のような補助金を受け取った場合、受給時に雑収入などとして課税される点にも注意が必要です。補助金を受け取れたとしても、税引後の手取りは満額ではありません。補助率が高い制度でも、税負担を含めて実質いくらになるかを試算しておくことが、健全な投資判断につながります。修繕計画の段階から、キャッシュフロー試算と併せて検討しましょう。
出口戦略への影響:耐震と管理状態の見える化が物件価値に効く
賃貸経営で多くのオーナーさまが見落としがちなのが、出口(売却)の視点です。金融機関は、担保評価の際に築年数だけでなく、修繕履歴、耐震性、12条点検の実施状況を見ます。買い手側の投資家も、収益還元価格の算定でキャップレートを判断するとき、将来の大規模修繕リスクを織り込みます。
「出口を見据えた修繕投資は、利回り改善より物件価値そのものを底上げします」と、私は常々申し上げています。修繕履歴が整理され、耐震診断の結果があり、外壁や防水が適切に維持されている物件は、査定で有利に評価されやすくなります。逆に、大規模修繕が未実施のまま売りに出すと、買い手から「修繕費を値引きしてほしい」と交渉される材料になります。なお、先ほどのブロック塀撤去補助は、売却目的の撤去が対象外ですので、売却を急ぐ物件では、制度の目的と自分の計画が合うかを事前に確認してください。投資の考え方は、収益不動産のオーナーさま向けページでも整理しています。
医療法人・介護事業者オーナーさまへ:BCP・防災の視点も
病院やクリニック、サービス付き高齢者向け住宅、グループホームなどを所有・運営されている医療法人・介護事業者さまは、賃貸マンションのオーナーさまとは異なる視点が必要です。まず、12条点検の対象になりやすい用途であることです。就寝施設を伴う建築物は、規模や用途によって定期報告の対象となる場合があり、ひたちなか市内の建築物は市の建築指導課へ報告することになります。
次に、稼働を止めない工法選びが経営上の死活問題になる点です。足場を組む工事では、施設の出入口や駐車場、換気口が長期間ふさがれ、患者さまや入居者さま、面会のご家族の動線に影響が出ます。足場を組まないロープアクセス工法であれば、施設の動線を大きく変えずに外壁や防水の工事を進められるケースがあります。BCP(事業継続計画)や防災の観点からも、工事中の安全確保と稼働の維持を両立する工法を検討する価値があります。
足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3工法の選び方
私たち株式会社明誠は、通常の足場仮設工事・無足場工法であるロープアクセス・両者を組み合わせたハイブリッド工法の3つから、建物にとって最適な工法をご提案できる、日本でも数少ない会社です。ロープアクセスとしては日本初のフランチャイズ展開も行っており、塗装、防水、タイル、電気、看板など各分野の専門職が加盟しています。高品質で低価格な工事を目指しています。
3工法の使い分けの目安は次のとおりです。
| 工法 | 向いている建物・工事 | 主なメリット |
|---|---|---|
| 通常の足場仮設 | 全面改修・屋根の大規模工事・塗装の全面塗り替え | 作業の安全性と品質が安定、大面積の施工に強い |
| ロープアクセス(無足場) | 部分補修・防水・シーリング・タイル補修・外壁調査 | 足場代を削減、工期短縮、入居者への影響が少ない |
| ハイブリッド | 低層部は足場、高層部や狭小部はロープで対応 | 費用と安全性のバランスを最適化 |
建物の形状、周辺環境、工事範囲によって最適解は変わります。当社のロープアクセスの取り組みは、ロープアクセス工法のご案内でもご覧いただけます。また、技術詳細や訓練情報を知りたい方は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムが参考になります。まずは現地の状態を見て、3工法を並べて比較することが大切です。
よくあるご質問
Q1. ひたちなか市の木造住宅耐震改修補助は、賃貸アパートにも使えますか?
A. 使えません。対象は、その建物を所有し、かつ居住している方の戸建て木造住宅(耐震診断で評点1.0未満)です。令和8年度の受付は5月15日から10月30日まで、補助額は工事費の80%・上限115万円で、予算内の先着です。
Q2. ブロック塀の撤去補助金は、法人名義の賃貸ビルでも申請できますか?
A. 対象者は「ブロック塀等の所有者」とされており、個人・法人の別は私の確認できた範囲では明記されていません。補助額は上限15万円、受付は令和8年11月30日までで予算に達し次第終了します。法人名義の場合は、建築指導課へ事前にご確認ください。
Q3. 売却予定の物件でもブロック塀撤去補助は使えますか?
A. 市の要件に「敷地の販売を目的として、撤去を行うものではないこと」とあり、売却目的の撤去は対象外です。売却を近く予定している場合は、窓口で個別に確認してください。
Q4. ひたちなか市のマンション長寿命化促進税制の減額割合は何分の1ですか?
A. 市の案内では3分の1で、1戸当たり100㎡までの範囲が対象です。築20年以上・10戸以上などの要件があり、管理計画認定マンションまたは助言・指導の対象であることも必要です。一棟所有の賃貸の適否は資産税課でご確認ください。
Q5. 旧耐震の賃貸マンションを耐震改修すると、固定資産税は下がりますか?
A. 市の耐震改修の減額措置(工事費50万円超、翌年度分が2分の1)には「賃貸住宅を除く」という記載は見当たりませんが、共同住宅の扱いは明記されていません。バリアフリー・省エネは賃貸住宅を除くと明記されています。適用の可否は資産税課の家屋係へご確認ください。
Q6. ひたちなか市で12条点検(定期報告)の提出先はどこですか?
A. ひたちなか市内は市の建築指導課で、県への提出は不要です。共同住宅は床面積の合計が1,000㎡以上で対象になります。周期や時期は建物ごとに異なるため、事前にご確認ください。
Q7. ひたちなか市の管理計画認定制度は、賃貸マンションにも使えますか?
A. 対象は市内の分譲マンションです。一棟所有の賃貸マンションは対象外です。市の申請手数料はかかりませんが、マンション管理センターの事前確認の審査料などは別途必要です。
Q8. 大規模修繕の費用は、修繕費と資本的支出のどちらで処理すればいいですか?
A. 工事内容によって判断が分かれ、税負担に大きく影響します。具体的な区分は税理士にご確認ください。修繕計画の段階からこの視点を持っておくことをお勧めします。
この記事のポイントまとめ
- ひたちなか市は特定行政庁で、建築確認・12条点検(共同住宅は1,000㎡以上が対象)の窓口は市の建築指導課
- ブロック塀等撤去補助(上限15万円・3分の2)は令和8年11月30日まで受付中で、対象者は「所有者」。売却目的は対象外
- 木造耐震改修補助(80%・上限115万円)は所有かつ居住する戸建て限定で、賃貸共同住宅は対象外
- 固定資産税は、バリアフリー・省エネ改修が「賃貸住宅を除く」。耐震改修は賃貸除外の記載がないが共同住宅の扱いは要確認
- マンション長寿命化促進税制(3分の1)と管理計画認定は分譲マンション向け。家賃補助は入居者向けで、オーナーの訴求材料になり得る
- 補助金が薄いからこそ、3工法の比較で工事費を最適化し、NOIと出口価格を守る
ひたちなか市の賃貸オーナーさまへ
私から最後に一言申し上げます。ひたちなか市でお持ちの物件について、補助金が使えるかどうかを調べるより先に、旧耐震かどうか、外壁や防水の劣化がどこまで進んでいるか、道路沿いに古いブロック塀が残っていないかを把握することが、投資判断の出発点です。補助金は「出たらありがたい」ものであって、修繕計画の前提にすべきものではありません。
お持ちの物件で、まだ修繕の検討を始めていないオーナーさまは、ぜひ一度お問合せください。1棟の現地調査と利回り改善シミュレーション、キャッシュフロー試算だけでも、ご相談を承ります。こちらからお問合せいただけます。数字の話と、次の一歩を、一緒に整理させてください。
▼ロープアクセス工法・無足場工法の詳細解説はこちら
ロープアクセスドットコム|無足場工法専門メディア
本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月1日時点で公表されているひたちなか市および国土交通省・茨城県の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請・申告される前に、必ずひたちなか市および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。
この記事の執筆者
本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。
最終更新:2026年10月1日
本間社長の著書のご案内
『大規模修繕工事 職人だから言える本当の話 —— 見積書では見えない業界の裏側と、修繕積立金を守る発注術』(Kindle版)を出版しています。20年以上の現場経験から、管理組合・オーナーが修繕積立金を守るための発注術と、業界の内幕を書き下ろしました。
出典(ひたちなか市・茨城県・国土交通省 公式ウェブサイト)
- 危険なブロック塀等の撤去に費用を補助します – ひたちなか市
- 木造住宅耐震改修(設計・工事)の費用を補助します – ひたちなか市
- ひたちなか市耐震改修促進計画 – ひたちなか市
- 補助金関連(建築) – ひたちなか市
- 建築指導課 – ひたちなか市
- 住宅の改修に伴う各種減額措置 – ひたちなか市
- 長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションに対する固定資産税の減額制度 – ひたちなか市
- マンション管理計画認定制度 – ひたちなか市
- 家賃補助制度による入居者を募集します – ひたちなか市
- 家賃補助制度 利用者の皆様へ – ひたちなか市
- 定期報告制度について – 茨城県
- 建築確認事務に関する問合せ・申請先 – 茨城県
- マンション長寿命化促進税制(固定資産税の特例措置)- 国土交通省
土浦市の賃貸マンション補助金2026|耐震・ブロック塀は令和8年度終了、賃貸オーナーが使える制度の境界線
土浦市で賃貸マンション・賃貸アパート・収益ビルをお持ちのオーナーさまへ。この記事は、令和8年度(2026年度)に土浦市で賃貸オーナーさまが実際に使える制度と、使えない制度の境界線を、誇張せず正直に整理したものです。「土浦市の賃貸物件で大規模修繕をするとき、補助金や税制優遇は使えるのか?」という疑問に、公式ページで確認できた事実だけで答えます。
結論から申し上げます。土浦市の住宅系の補助金や税の減額は、私が確認できた範囲ではほぼすべてが「自ら住む個人」または「分譲マンション」向けで、賃貸に出している物件のオーナーさまは対象外です。木造住宅の耐震改修助成は「自己居住のため」の改修が条件で、固定資産税の住宅改修減額は「賃貸住宅を除く」と明記されています。蓄電システムの補助は個人のみ、転入者リフォーム応援事業も自ら住む方が対象です。さらに、耐震改修助成とブロック塀等撤去補助は、令和8年度の申込がすでに締め切られています。一方で、賃貸オーナーさまの手元に残る選択肢もあります。危険ブロック塀等撤去補助は所有者・共有者・管理者が対象で、賃貸オーナーが所有者として対象になる余地があります。また、まちなか定住促進事業には、中心市街地で賃貸住宅(4戸以上)を新築する事業者向けの建設費補助があります。私が関東一円で賃貸マンション・ビルの大規模修繕に携わってきた現場感覚も交えながら、補助金に頼りすぎず、NOI(実質賃料収入)と出口価格を守る考え方を順に整理します。
土浦市で賃貸オーナーが押さえるべき制度【令和8年度・一覧】
まず全体像を表で押さえます。詳細は後述の各見出しで解説します。
| 制度名 | 対象 | 賃貸オーナーの使いやすさ | 令和8年度の状況 |
|---|---|---|---|
| 耐震改修助成事業 | 耐震診断で評点1.0未満の木造住宅(自己居住) | ×(自己居住のための改修が条件) | 予定2件(先着)で申込終了 |
| 木造住宅耐震診断士派遣事業 | 昭和56年5月31日以前建築・2階建て以下の木造 | ×(戸建て木造中心、共同住宅は想定外) | 予定9棟で申込終了 |
| 危険ブロック塀等撤去補助 | 所有者・共有者・管理者(個人・法人の別は明記なし) | △(要件を満たせば対象になり得る) | 申込終了(事業は令和7〜12年度の5年間) |
| 住宅改修に伴う固定資産税の減額 | 耐震・省エネ・バリアフリー改修 | ×(「賃貸住宅を除く」と明記) | 通年(工事完了後3か月以内に申告) |
| マンション長寿命化促進税制 | 長寿命化に資する大規模改修をしたマンション | △(分譲マンション向けの制度) | 市の案内は「3分の1」。令和9年3月31日までの改修分 |
| マンション管理計画認定制度 | 市内の分譲マンション | ×(賃貸一棟所有は対象外) | 令和7年4月1日から運用 |
| まちなか定住促進事業(賃貸住宅建設費補助) | 対象区域内で賃貸住宅(4戸以上)を新築する事業者 | △(新築限定・大規模修繕は対象外) | 1棟100万円(令和6年7月開始) |
| 蓄電システム補助 | 市内の自宅に設置する個人 | ×(法人・賃貸オーナーは対象外) | 1台5万円・先着順 |
この表を見て、「思ったより使える制度が少ない」と感じられた方も多いはずです。ただ、私は補助金が使えない物件ほど、工事費そのものの最適化が効くと考えています。この点は後半でじっくりお話しします。
土浦市は特定行政庁 — 建築確認から12条点検まで窓口は建築指導課
土浦市で収益物件を運用するうえで、意外と大きいのが「行政の窓口がどこか」です。茨城県の建築確認の窓口ページでは、土浦市は市特定行政庁(9市)の一つとして掲載されており、土浦市役所 都市政策部の建築指導課が確認申請を受け付けています(ページ更新は2026年4月1日)。市のページでも、建築確認申請は建築指導課が窓口で、2026年1月1日から電子申請にも対応すると案内されています。
もう一つ大切なのが、建築基準法第12条に基づく定期報告(12条点検)です。県の定期報告制度のページでは、土浦市内の建築物は土浦市の建築指導課へ、それ以外の地域は県の各センターへ提出すると案内されています。つまり、増改築や用途変更の相談から、定期報告、耐震に関する相談まで、土浦市内の物件は市役所本庁舎4階の建築指導課に集約できます。建築指導課の建築係は、建築基準法に基づく確認・検査・許可、違反建築物の指導、耐震性能向上の促進などを担当しています。
賃貸オーナーの立場で言えば、窓口が一本であることは「相談の往復が少なくて済む」という実務上のメリットです。大規模修繕の前に、外壁の状態や12条点検の履歴を整理して建築指導課へ相談しておくと、工事後の是正指摘やテナントとのトラブルを未然に防げます。連絡先は土浦市役所(代表 029-826-1111)で、建築係は内線2254・2488・2408です。
耐震改修助成は「自己居住のため」の改修限定 — 令和8年度は先着2件で終了
土浦市の耐震改修助成事業の対象は、市の耐震診断士派遣事業で耐震診断を受け、上部構造評点が1.0未満と判定された30㎡以上の住宅です。対象者は、木造住宅を本人または2親等以内の親族が所有し、自己居住のために改修工事を予定する方で、市税の滞納がないことも条件です。補助率は改修工事費の4分の5、上限115万円と手厚い内容ですが、令和8年度は予定件数2件(先着順)で受付が終了しています(市のページ更新は2026年5月13日)。
前段階の耐震診断士派遣事業も同様です。対象は昭和56年5月31日以前に建築確認を受けた2階建て以下の木造住宅で、診断は無料ですが、令和8年度は予定の9棟で申込が締め切られました。診断結果は目視中心の簡易な内容で、補強を検討する段階では精密診断が推奨されているとも書かれています。
賃貸オーナーさまにとっての結論は明快です。この制度は、賃貸に出している共同住宅の耐震改修には使えません。 自己居住のための改修が条件で、木造の戸建てを前提とした設計だからです。ここを誤解して「うちは築40年だから使えるはず」と期待してしまうと、貴重な検討時間を失います。私は、補助金が使えない場合ほど、早い段階で建物の現状を把握して自己資金による計画を立てる方が、結果的にNOIを守れると実感しています。
特定既存耐震不適格建築物ルート — 賃貸共同住宅が名指しされる法令の話
市の住宅向け助成が使えなくても、賃貸オーナーさまが押さえておくべき法令があります。耐震改修促進法第14条では、一定規模以上の多数の人が利用する建築物のうち、旧耐震基準で建てられたものを「特定既存耐震不適格建築物」と位置づけ、所有者に耐震診断・耐震改修の努力義務を課しています。規模要件の表には、階数3以上かつ床面積1,000㎡以上の賃貸共同住宅なども含まれています。
土浦市には耐震改修促進計画があり、揺れやすさマップや地域危険度マップも公開されています(市のページ更新は2025年3月31日)。住宅の耐震化を緊急に進めるためのアクションプログラム2025も掲載されています。ただ、私が確認できた範囲では、市の補助・助成ページ上で、民間の賃貸共同住宅や事務所ビルの耐震診断・改修に対する助成制度は見当たりませんでした。
だからといって、旧耐震の賃貸マンションを放置してよいわけではありません。耐震性が不明な物件は、金融機関の担保評価や売却時のデューデリジェンスで必ず問われます。補助金の有無にかかわらず、耐震診断で現状を数字にしておくことが、出口戦略の第一歩です。
危険ブロック塀等撤去補助 — 所有者・管理者が対象、ただし令和8年度は申込終了
土浦市には、危険ブロック塀等の撤去費用を補助する制度があります。対象者は危険ブロック塀等の所有者、共有者又は管理者で、個人・法人の別は市のページ上では明記されていません。賃貸オーナーさまは所有者として対象になる可能性があります。ただし、対象となる塀は、倒壊によって避難路、緊急輸送道路、通学路を通行する者に危険を及ぼすなど、6つの要件をすべて満たす必要があります。主な条件は、道路面からの高さが80cm超で、道路境界沿いに造られていることです。
補助額は、次のうち最小の額です。補助対象経費の3分の2、延長×14,000円/m×3分の2、そして上限10万円。事業自体は令和7年度から令和12年度までの5年間限定ですが、令和8年度の申込は締め切られています(市のページ更新は2026年5月20日)。
賃貸マンションや賃貸アパートでは、敷地の道路側に古いブロック塀が残っているケースが珍しくありません。入居者の安全はもちろん、倒壊事故が起きたときの所有者責任は重く、原状回復や損害賠償で数百万円単位の負担になり得ます。来年度以降に申請を検討される場合は、令和8年度が終了していることを踏まえ、受付開始時期を早めに市へ確認することをお勧めします。法人名義の場合は、対象になるかどうかを建築指導課へ事前に確認してください。
固定資産税の減額 — 住宅改修減額は「賃貸住宅を除く」、長寿命化税制は分譲向け
税の面では、土浦市には二つの制度があります。ひとつは、耐震・省エネ・バリアフリー改修に伴う固定資産税の減額です。ただし市の案内では、すべての改修タイプで「賃貸住宅を除く」と明記されています。耐震改修の場合の減額割合は2分の1(長期優良住宅の認定を受けると3分の2)、対象は工事費50万円超で昭和57年1月1日以前の建築物、減額は1年度分のみ、工事完了後3か月以内の申告が必要です(市のページ更新は2026年4月10日)。賃貸オーナーさまは、この制度を前提に資金計画を立ててはいけません。
もうひとつが、マンション長寿命化促進税制です。土浦市の固定資産税の特例に関するページには、この制度の案内があり、減額の割合は3分の1(わがまち特例)、改修時期は令和5年4月1日から令和9年3月31日まで、適用は翌年度分のみと記載されています(市のページ更新は2026年4月28日)。土浦市は割合まで明記している点で分かりやすい市といえます。
ただし、この制度は区分所有の分譲マンションの長寿命化工事を後押しする仕組みで、国土交通省の資料でも、管理計画認定マンションの場合などの要件が別紙で示されています。修繕積立金の確保や管理組合の合意形成を促すことが目的の制度ですので、一棟すべてを単独で所有する賃貸マンションのオーナーさまは、対象にならない可能性が高いと私は考えています。区分所有の賃貸(1棟の中の複数住戸を所有)の場合は、管理組合の一員としての扱いになるため、管理組合が管理計画認定を取得できるかがポイントになります。適用の可否は、必ず土浦市の資産税担当窓口で確認してください。
マンション管理計画認定制度 — 令和7年4月1日から運用、対象は分譲マンション
土浦市のマンション管理計画認定制度は、令和7年(2025年)4月1日から運用が始まっています。認定主体は土浦市で、申請窓口は住宅営繕課 住宅係(市役所本庁舎4階、029-826-1111 内線2420・2421)です。手数料は、認定・更新申請が1棟4,000円(2棟以上の追加1棟につき2,000円加算)、変更認定申請が1棟11,000円です。申請前に、マンション管理センターの電子システムで事前確認を受けることが必須とされています。
対象は「市内にある分譲マンション」で、賃貸一棟所有のオーナーさまは制度の対象外です。認定の有効期間は市のページには明記されていませんが、国の制度では5年間とされています(更新が必要)。区分所有の賃貸住戸をお持ちの方は、管理組合が認定を目指しているかどうかを、理事会や総会資料で確認しておくとよいでしょう。認定を受けた管理組合の物件は、市場評価の面でも管理状態の「見える化」に役立ちます。
まちなか定住促進事業 — 賃貸オーナーが使える数少ない直接補助(ただし新築限定)
土浦市の制度のなかで、賃貸オーナー・事業者が直接の受益者になりうるのが、まちなか定住促進事業です。対象区域は、市の中心市街地活性化に関する計画で定める約118.8ヘクタールの区域で、移住してきた世帯や新婚世帯、子育て世帯、学生の単身世帯を支援します。このうち事業者向けには、区域内で賃貸住宅(4戸以上)を新築する場合に1棟あたり100万円を補助する建設費補助があります(令和6年7月開始、市のページ更新は2025年12月4日)。
重要な注意点があります。これは新築の建設費補助であり、既存の賃貸マンションの大規模修繕には使えません。したがって、築古物件のオーナーさまにとっては直接の助けにはなりません。しかし、間接的なプラス面はあります。同じ事業には、対象区域内の賃貸住宅に住む新婚世帯や子育て世帯、学生に対して、家賃の2分の1を補助する制度(子育て世帯は月額上限2万円、学生は同1万円、期間は最長3〜4年)が含まれています。入居者側が申請する制度であり、入居者に所得や資産などの要件があるため、すべての入居者が対象ではありません。それでも、対象区域内で賃貸経営をされているオーナーさまが募集の際の訴求材料として案内できる可能性があります。賃貸経営では、入居率が1%改善するだけで年間のキャッシュフローが変わります。制度の最新の要件は、市の担当課で確認してください。
蓄電池・リフォーム系の補助はすべて自己居住向け
念のため、他の代表的な住宅系補助も確認しておきます。令和8年度の蓄電システム補助は、市内の自宅に蓄電システムを設置する個人のみが対象で、1台5万円、令和8年5月11日から先着順の受付です。法人や賃貸オーナーは対象外と明記されています。また、令和8年度の転入者リフォーム応援事業は、取得した中古住宅に申請者自身が居住することが条件で、補助率は2分の1、上限30万円、受付は2026年7月13日から12月28日までです。こちらも賃貸オーナーさまは対象になりません。
これらの制度は、「持ち家の個人」を市内に呼び込む施策として設計されています。賃貸物件のオーナーさまにとっては、直接の補助を受けられないだけでなく、周辺の持ち家取得が進むことで賃貸需要にどう影響するかという視点も必要です。
土浦市の賃貸市場と入居率の実感
私はこれまで関東一円の賃貸マンション・ビルの修繕に携わってきましたが、入居者層が学生や単身中心の物件と、ファミリー世帯中心の物件とでは、劣化がNOIに与える影響の出方が違うと感じています。土浦市でも、想定する入居者像によって、優先すべき修繕箇所は変わってきます。
外壁のタイルの浮きや塗膜の劣化、屋上防水の切れ、鉄部のサビなどは、内見のときに入居希望者の「第一印象」を確実に下げます。築年数なりの劣化は、賃料の下落圧力として静かに効いてきます。周辺の競合物件が外観を整えていれば、同じ賃料では決まらなくなり、値下げか空室期間の長期化かを迫られます。私が現場でよく見るのは、「補助金が出ないから修繕を先送りにした結果、雨漏りが起きて入居者が退去し、結局は高くついた」というパターンです。補助金の有無と、修繕の要否は別の話として切り分けて考えていただきたいのです。
補助金が薄いからこそ、工事費そのものの最適化が効く
補助金が使えない、あるいは使える額が小さい場合、最も効果が大きいのは工事費そのものを適正化することです。大規模修繕の費用は、足場の仮設・解体だけで工事費全体の2〜3割を占めることが少なくありません。3階建て以上の賃貸マンションや、敷地に余裕のない駅前の物件では、足場代が総額を押し上げる大きな要因になります。
たとえば、外壁の部分補修や防水、シーリングの打ち替え、タイルの浮き補修といった工事は、足場を組まずにロープアクセス工法で施工できる場合があります。足場を組まない分、工期が短くなり、入居者への圧迫感や騒音の影響も抑えられます。補助金で数十万円を受け取ることと、工事費から数百万円を削減することでは、キャッシュフローへのインパクトが桁違いです。
ロープアクセスの基本的な考え方や安全基準は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムでも解説しています。建物の形状や劣化の状況によっては、足場が最適な場合もあります。大切なのは、最初から工法を決めつけず、建物ごとに最も合理的な工法を比較することです。詳しい費用の考え方は、当社の合理的な価格でご提案するページもご覧ください。
損金算入とキャッシュフロー:オーナーが押さえるべき税務の基本
補助金が使えない場合でも、税務上の扱いを正しく理解することで、実質的な手取りは大きく変わります。修繕費として一括で損金算入できるか、資本的支出として減価償却になるかで、その年の税引後キャッシュフローは大きく違ってきます。原状回復や維持管理のための外壁塗装や防水の改修は、修繕費と判断されることが多い一方、建物の価値を高める性質の工事は資本的支出とされる場合があります。区分は工事の内容や金額で判断が分かれるため、着工前に顧問税理士へ確認してください。
また、補助金や助成金を受け取った場合、受給時に雑収入などとして課税される点にも注意が必要です。補助金を受け取れたとしても、税引後の手取りは満額ではありません。補助率が高い制度でも、税負担を含めて実質いくらになるかを試算しておくことが、健全な投資判断につながります。修繕計画の段階から、キャッシュフロー試算と併せて検討しましょう。
出口戦略への影響:耐震と管理状態の見える化が物件価値に効く
賃貸経営で多くのオーナーさまが見落としがちなのが、出口(売却)の視点です。金融機関は、担保評価の際に築年数だけでなく、修繕履歴、耐震性、12条点検の実施状況を見ます。買い手側の投資家も、収益還元価格の算定でキャップレートを判断するとき、将来の大規模修繕リスクを織り込みます。
「出口を見据えた修繕投資は、利回り改善より物件価値そのものを底上げします」と、私は常々申し上げています。修繕履歴が整理され、耐震診断の結果があり、外壁や防水が適切に維持されている物件は、査定で有利に評価されやすくなります。逆に、大規模修繕が未実施のまま売りに出すと、買い手から「修繕費を値引きしてほしい」と交渉される材料になります。補助金の有無にかかわらず、計画的な修繕は出口価格の下支えになります。投資の考え方は、収益不動産のオーナーさま向けページでも整理しています。
医療法人・介護事業者オーナーさまへ:BCP・防災の視点も
病院やクリニック、サービス付き高齢者向け住宅、グループホームなどを所有・運営されている医療法人・介護事業者さまは、賃貸マンションのオーナーさまとは異なる視点が必要です。まず、12条点検の対象になりやすい用途であることです。就寝施設を伴う建築物は、規模や用途によって定期報告の対象となる場合があります。土浦市内の建築物は、市の建築指導課へ報告することになります。
次に、稼働を止めない工法選びが経営上の死活問題になる点です。足場を組む工事では、施設の出入口や駐車場、換気口が長期間ふさがれ、患者さまや入居者さま、面会のご家族の動線に影響が出ます。足場を組まないロープアクセス工法であれば、施設の動線を大きく変えずに外壁や防水の工事を進められるケースがあります。BCP(事業継続計画)や防災の観点からも、工事中の安全確保と稼働の維持を両立する工法を検討する価値があります。
足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3工法の選び方
私たち株式会社明誠は、通常の足場仮設工事・無足場工法であるロープアクセス・両者を組み合わせたハイブリッド工法の3つから、建物にとって最適な工法をご提案できる、日本でも数少ない会社です。ロープアクセスとしては日本初のフランチャイズ展開も行っており、塗装、防水、タイル、電気、看板など各分野の専門職が加盟しています。高品質で低価格な工事を目指しています。
3工法の使い分けの目安は次のとおりです。
| 工法 | 向いている建物・工事 | 主なメリット |
|---|---|---|
| 通常の足場仮設 | 全面改修・屋根の大規模工事・塗装の全面塗り替え | 作業の安全性と品質が安定、大面積の施工に強い |
| ロープアクセス(無足場) | 部分補修・防水・シーリング・タイル補修・外壁調査 | 足場代を削減、工期短縮、入居者への影響が少ない |
| ハイブリッド | 低層部は足場、高層部や狭小部はロープで対応 | 費用と安全性のバランスを最適化 |
建物の形状、周辺環境、工事範囲によって最適解は変わります。当社のロープアクセスの取り組みは、ロープアクセス工法のご案内でもご覧いただけます。まずは現地の状態を見て、3工法を並べて比較することが大切です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 土浦市の耐震改修助成は、賃貸アパートにも使えますか?
A. 使えません。対象は、市の耐震診断士派遣事業で診断を受けた評点1.0未満の木造住宅で、自己居住のために改修する方です。令和8年度は予定件数2件(先着)で申込が終了しています。
Q2. ブロック塀の撤去補助金は、法人名義の賃貸ビルでも申請できますか?
A. 対象者は「所有者、共有者又は管理者」で、個人・法人の別は市のページ上で明記されていません。補助額は上限10万円で、令和8年度の申込は終了しています。法人名義の場合は、建築指導課へ事前にご確認ください。
Q3. 土浦市のマンション長寿命化促進税制の減額割合は何分の1ですか?
A. 市の案内では「3分の1(わがまち特例)」です。改修時期は令和5年4月1日から令和9年3月31日までで、適用は翌年度分のみです。ただし、区分所有の分譲マンションを想定した制度のため、一棟所有の賃貸は資産税担当窓口で適用の可否を確認してください。
Q4. 旧耐震の賃貸マンションを耐震改修すると、固定資産税は下がりますか?
A. 土浦市の住宅改修に伴う固定資産税の減額は、耐震・省エネ・バリアフリーのいずれも「賃貸住宅を除く」と明記されています。賃貸マンションでの適用は期待できません。
Q5. 土浦市で12条点検(定期報告)の提出先はどこですか?
A. 土浦市内の建築物は、土浦市役所 都市政策部の建築指導課です(県のページで案内)。対象となる規模や用途、周期は建物ごとに異なるため、事前に建築指導課へご確認ください。
Q6. 土浦市の管理計画認定制度は、賃貸マンションにも使えますか?
A. 対象は「市内にある分譲マンション」です。一棟所有の賃貸マンションは対象外です。分譲マンションの場合、令和7年4月1日から運用され、認定・更新申請の手数料は1棟4,000円です。
Q7. 大規模修繕の費用は、修繕費と資本的支出のどちらで処理すればいいですか?
A. 工事内容によって判断が分かれ、税負担に大きく影響します。具体的な区分は税理士にご確認ください。修繕計画の段階から、この視点を持っておくことをお勧めします。
この記事のポイントまとめ
- 土浦市は特定行政庁で、建築確認や12条点検の窓口は建築指導課に集約されている
- 耐震改修助成(先着2件)・耐震診断士派遣(予定9棟)・ブロック塀撤去補助は、令和8年度の申込が終了している
- 固定資産税の住宅改修減額は「賃貸住宅を除く」。蓄電池・転入者リフォームも自己居住の個人向けで、賃貸オーナーは対象外
- マンション長寿命化促進税制は市の案内で「3分の1」だが、分譲マンション向け。管理計画認定も分譲マンション限定
- まちなか定住促進事業には賃貸住宅(4戸以上)の新築建設費補助(1棟100万円)があるが、大規模修繕は対象外
- 補助金が薄いからこそ、3工法の比較で工事費を最適化し、NOIと出口価格を守る
土浦市の賃貸オーナーさまへ
私から最後に一言申し上げます。土浦市でお持ちの物件について、補助金が使えるかどうかを調べるより先に、旧耐震かどうか、外壁や防水の劣化がどこまで進んでいるかを把握することが、投資判断の出発点です。補助金は「出たらありがたい」ものであって、修繕計画の前提にすべきものではありません。
お持ちの物件で、まだ修繕の検討を始めていないオーナーさまは、ぜひ一度お問合せください。1棟の現地調査と利回り改善シミュレーション、キャッシュフロー試算だけでも、ご相談を承ります。こちらからお問合せいただけます。数字の話と、次の一歩を、一緒に整理させてください。
▼ロープアクセス工法・無足場工法の詳細解説はこちら
ロープアクセスドットコム|無足場工法専門メディア
本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月30日時点で公表されている土浦市および国土交通省・茨城県の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請・申告される前に、必ず土浦市および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。
この記事の執筆者
本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。
最終更新:2026年9月30日
本間社長の著書のご案内
『大規模修繕工事 職人だから言える本当の話 —— 見積書では見えない業界の裏側と、修繕積立金を守る発注術』(Kindle版)を出版しています。20年以上の現場経験から、管理組合・オーナーが修繕積立金を守るための発注術と、業界の内幕を書き下ろしました。
出典(土浦市・茨城県・国土交通省 公式ウェブサイト)
- 耐震改修計画および耐震改修工事に係る事業費を助成します – 土浦市
- 木造住宅耐震診断士派遣事業 – 土浦市
- 危険なブロック塀等の撤去費用を補助します – 土浦市
- 土浦市耐震改修促進計画 – 土浦市
- 建築確認申請 – 土浦市
- 建築指導課 – 土浦市
- 住宅改修工事に伴う固定資産税の減額について – 土浦市
- 固定資産税に係る課税標準の特例について – 土浦市
- マンション管理計画認定制度 – 土浦市
- まちなか定住促進事業 – 土浦市
- 令和8年度住宅用環境配慮型設備導入事業費補助事業(蓄電システム)- 土浦市
- 令和8年度 土浦市転入者リフォーム応援事業 – 土浦市
- 定期報告制度について – 茨城県
- 建築確認事務に関する問合せ・申請先 – 茨城県
- マンション長寿命化促進税制(固定資産税の特例措置)- 国土交通省
つくば市の賃貸マンション補助金2026|市の補助は「自己居住限定」の壁、使えるのは耐震改修減税と工法選び
つくば市で賃貸マンション・賃貸アパート・収益ビルをお持ちのオーナーさまへ。この記事は、令和8年度(2026年度)につくば市で賃貸オーナーさまが実際に使える制度と、使えない制度の境界線を、誇張せず正直に整理したものです。
結論から申し上げます。つくば市の住宅系の補助金は、私が確認できた範囲ではほぼすべてが「市内に住み、その住宅を自ら所有している個人」向けです。木造住宅の耐震改修補助も、安心住宅リフォーム支援補助金も、蓄電池・エコキュートの補助金も、賃貸に出している物件のオーナーさまは対象になりません。しかも耐震改修補助とブロック塀撤去補助は、令和8年度の募集がすでに終了しています。一方で、オーナーさまの手元に残る現実的な選択肢もあります。旧耐震の共同住宅を耐震改修した場合の固定資産税の減額は、市の案内で共同住宅も対象とされています。そして、つくば市は建築確認から12条点検(定期報告)まで市長が特定行政庁として窓口を一本で持つため、手続きの見通しは立てやすい市です。私がこれまで関東一円の賃貸マンション・ビルの大規模修繕に携わってきた現場感覚も交えながら、補助金に頼りすぎず、NOI(実質賃料収入)と出口価格を守るための考え方を順に整理します。
つくば市で賃貸オーナーが押さえるべき制度【令和8年度・一覧】
まず全体像を表で押さえます。詳細は後述の各見出しで解説します。
| 制度名 | 対象 | 賃貸オーナーの使いやすさ | 令和8年度の状況 |
|---|---|---|---|
| 木造住宅耐震改修費補助制度 | 昭和56年5月31日以前建築の2階建て以下・戸建て木造 | ×(共同住宅は対象外・居住要件あり) | 令和8年5/13〜8/31、先着2件、募集終了 |
| 危険ブロック塀等撤去費補助制度 | 通学路・避難路に危険を及ぼす塀の所有者 | △(所有者要件のみ。ただし枠が極小) | 令和8年5/13〜8/31、先着7件、募集終了 |
| つくば市安心住宅リフォーム支援補助金 | 市内の自己所有・自己居住の住宅 | ×(賃貸住宅は対象外) | 第1期5/8〜7/31、第2期8/3〜11/30 |
| 蓄電池・エコキュート補助金 | 市内在住の個人(機器の所有者かつ使用者) | ×(事業者・賃貸オーナーは対象外) | 令和8年10/7〜令和9年3/1、補正予算成立が前提 |
| 住宅耐震改修に伴う固定資産税の減額 | 旧耐震の住宅(共同住宅・併用住宅を含む) | ○(共同住宅も対象と案内) | 令和13年3月31日までの完了工事が対象 |
| マンション長寿命化促進税制 | 築20年以上・10戸以上の分譲マンション | 要確認(市の案内ページが見当たらない) | 国の措置は令和9年3月31日完了工事まで |
| 建築基準法12条点検(定期報告) | 福祉用途を含む一定規模の共同住宅など | 該当すれば報告義務 | 3年ごと、7/1〜12/28 |
つくば市は「特定行政庁(つくば市長)」— 窓口が一本で済む
これまで当ブログで取り上げてきた埼玉県の入間市・飯能市・八潮市・三郷市・吉川市は、市が扱える範囲が小規模建築物までの「限定特定行政庁」でした。RC造の賃貸マンションのような大規模建築物は、県の建築安全センターへ回る構造です。
つくば市はこれと立場が違います。市の建築基準法に基づく許可のページには「特定行政庁(つくば市長)が建築計画や周辺状況等を勘案して」という記載があり、市長が特定行政庁であることが確認できます(出典:建築基準法に基づく許可|つくば市)。建築確認・中間検査・完了検査は都市計画部建築指導課の審査係が担い、定期報告や耐震化の促進も同じ課の指導係が所管しています(出典:建築指導課|つくば市)。
なお、水戸市の回では「中核市」という立場を強調しましたが、つくば市については、私が公式ページで確認できたのは「市長が特定行政庁である」という点までです。市の区分については断定せず、実務上の意味=相談窓口が市役所内の建築指導課で完結するという点だけをお伝えします。賃貸マンションのオーナーさまにとって、耐震・定期報告・改修計画の相談先が一本化されている点は、県境をまたいで管轄が分かれる自治体よりも手続きの見通しが立てやすいと私は感じています。
木造住宅耐震改修費補助は「戸建て・自己居住」限定 — 令和8年度は先着2件で終了
つくば市には木造住宅の耐震改修費を補助する制度があります。補助率は工事費の5分の4、上限115万円と手厚い内容です。ただし、市の案内ページ(2026年5月1日更新)を確認すると、対象は次のとおり限定されています(出典:木造住宅耐震改修費補助制度|つくば市)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象住宅 | 昭和56年5月31日以前に建築された2階建て以下の戸建て木造住宅(延べ面積30㎡以上) |
| 共同住宅 | 対象外と明記 |
| 対象者 | 住民台帳に記録され、耐震改修後も居住する意思がある所有者。市税の滞納がないこと |
| 補助率・上限 | 工事費の5分の4、上限115万円 |
| 令和8年度の受付 | 令和8年5月13日〜8月31日、先着2件。募集は終了 |
RC造・SRC造の賃貸マンションや、賃貸に出している木造アパートのオーナーさまは、この制度を直接使うことはできません。さらに対象者の要件に「耐震改修後も居住する意思がある」ことが含まれるため、居住していないオーナーさまは要件面でも外れます。私がこれまで取り上げてきた埼玉県・茨城県の各市でも、木造住宅の耐震補助はほぼ例外なく戸建て限定で、この構図は全国的に共通しています。
危険ブロック塀等撤去費補助 — 制度はあるが、令和8年度は先着7件で終了
賃貸ビル・賃貸マンションの外構にブロック塀をお持ちのオーナーさまには、危険ブロック塀等の撤去費補助制度が関係します(出典:危険ブロック塀等撤去費補助制度|つくば市)。
- 対象者:危険ブロック塀等の所有者(申請日現在で市税の滞納がないこと)。個人限定・法人可という書き分けは、私が確認した範囲では明記が見当たらず、法人名義の物件は事前確認が必要です。
- 対象塀:倒壊の危険があり、通学路や避難路を通行する人に危険を及ぼすおそれがある、市内の組積造または補強コンクリートブロック造の塀で、道路面からの高さが80センチメートルを超えるもの。
- 補助率・上限:3分の2、上限10万円(撤去部分1メートルあたり最大1万4,000円が算定の目安)。
- 令和8年度の受付:令和8年5月13日〜8月31日、先着7件(または予算内)。募集は終了。
水戸市が補助率3分の2・上限20万円で個人・法人とも対象と明記していたことと比べると、つくば市は上限額が半分で、枠も先着7件と小さい制度です。危険なブロック塀の安全対策は、補助金の有無にかかわらず所有者の責任として先送りできない課題です。「来年度の募集を待つ」のではなく、まず現況の点検を行い、必要なら自己資金で対応する前提で計画を立てておくのが現実的だと私は考えます。
「自己居住限定」の壁 — 安心住宅リフォーム補助と蓄電池補助も賃貸オーナーは対象外
補助金ポータルでよく目にする「つくば市の住宅リフォーム補助」も、賃貸オーナーさまにとっては注意が必要です。
つくば市安心住宅リフォーム支援補助金は、補助対象経費の10%(上限10万円)を補助する制度ですが、対象者は「市内に対象の住宅を所有し、そこに居住している者」で、賃貸住宅は対象外です。令和8年度は第1期が5月8日〜7月31日、第2期が8月3日〜11月30日と案内されています(出典:令和8年度 つくば市安心住宅リフォーム支援補助金のご案内(PDF))。
令和8年度の蓄電池・自然冷媒ヒートポンプ式給湯機(エコキュート)補助金は、1台あたり5万円、263台分の予算という内容です。対象は市内在住の個人で、機器の所有者かつ使用者であることが条件のため、事業者・賃貸オーナーは対象外です。受付は令和8年10月7日〜令和9年3月1日で、市のページでは「令和8年9月補正予算の成立を前提としてお知らせしている」と明記されています。また、機器を申請前に設置すると補助対象外になる点も重要です(出典:令和8年度蓄電池・自然冷媒ヒートポンプ式給湯機補助金|つくば市)。
つくば市の補助金一覧ページを確認すると、賃貸共同住宅の所有者が対象になる制度として掲載されているのは、令和5年度の宅配ボックス設置事業補助金(補助対象経費の2分の1、上限5万円/棟)のみでした。この制度は令和5年度事業として掲載されているものなので、現行の令和8年度に同じ制度が継続しているかどうかは、必ず市の環境部門へ直接確認してください(出典:住宅・省エネ機器・宅配ボックスに関する補助金等のご案内|つくば市)。
固定資産税の減額 — 使えるのは「耐震改修」ルート、長寿命化税制の案内は見当たらない
補助金が薄いつくば市で、賃貸オーナーさまが現実的に検討できるのが固定資産税の減額措置です。
住宅耐震改修に伴う固定資産税の減額は、市の案内で「共同住宅、併用住宅(居住部分の割合が2分の1以上)であること」が要件として示されており、共同住宅も対象に含まれます。内容は次のとおりです(出典:住宅耐震改修工事をした既存住宅への固定資産税の減額措置|つくば市)。
- 減額割合:120平方メートル相当分について2分の1
- 減額期間:工事完了の翌年度から1年間(耐震診断で倒壊の危険がある建築物などとして一定の要件に該当する場合は2年間)
- 申告期限:耐震改修工事の完了後3か月以内
- 対象工事:令和13年3月31日までに完了した工事
このページの最終更新は2024年4月1日で、令和8年度の更新ではありません。制度自体が令和13年3月31日までの期間で案内されているため引用しましたが、申告の直前には必ず資産税課に最新の要件をご確認ください。
一方、マンション長寿命化促進税制(大規模修繕工事を行った分譲マンションの固定資産税減額)については、つくば市の資産税課のページ群で、制度案内そのものを見つけることができませんでした。確認できたのは新築住宅・長期優良住宅・耐震改修に関する減額のページで、「固定資産税のあらまし」のページ(2023年3月更新)にも減額措置の案内はありません。国土交通省の案内では、築20年以上・10戸以上などの要件を満たす分譲マンションが、令和9年3月31日までに完了する大規模修繕工事を行った場合に、翌年度の固定資産税が減額される仕組みですが、減額割合は市町村が条例で定めるとされています(出典:マンション長寿命化促進税制(固定資産税の特例措置)|国土交通省)。三郷市・吉川市と同じく、つくば市についても「割合がいくらか」を私の側で断定することはできません。工事完了前に、資産税課へ「対象となるかどうか、割合はいくらか、申告様式はどれか」を必ず確認してください。この制度は分譲マンションの区分所有者が個別に申告するもので、1棟を丸ごと所有する賃貸マンションオーナーさまが直接使えるとは限らない点にも注意が必要です。
マンション管理計画認定制度 — つくば市の案内ページは見当たらず、県ページ経由の確認が必要
分譲マンションの管理状態を認定するマンション管理計画認定制度について、茨城県のページ(2026年4月1日更新)では、県が運用するのは県内の町村区域のマンションで、市区域のマンションについては各市に問い合わせるよう案内されています(出典:マンション管理計画認定制度|茨城県)。県の手数料は新規・更新が1棟あたり4,000円と案内されています(追加棟は2,000円)が、これはあくまで県の窓口の話です。
つくば市について、私が公式サイト内で管理計画認定制度の専用ページを見つけることはできませんでした。住宅政策課のページには、老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等に関する法律(令和7年法律第47号)を所管する旨の記載がある一方で、認定制度の申請窓口や手数料の記載は確認できていません(出典:住宅政策課|つくば市)。したがって、「つくば市で今すぐ認定申請できる」とは断定できません。分譲マンションの管理組合が認定を検討する場合は、住宅政策課(029-883-1111)へ、認定の主体が市なのか県なのか、手数料はいくらかを直接確認するのが第一歩です。
認定を取得している物件は、住宅金融支援機構のフラット35での金利優遇など融資条件が有利になる実利があり、売却時のデューデリジェンスでも管理状態の客観的な裏付けになります。オーナーさまにとっては出口戦略の材料になる一方、区分所有ではなく1棟所有の賃貸マンションには、認定制度そのものが当てはまらない点は押さえておいてください。
建築基準法12条点検(定期報告)— 一般の賃貸マンションより「福祉用途」が要注意
12条点検については、つくば市の定期報告のページ(2025年7月1日更新)に、共同住宅の対象範囲が示されています(出典:定期報告(建築基準法関連)|つくば市)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 報告対象の共同住宅 | 地階または3階以上の階にあるもの、2階が300㎡以上のもののうち、高齢者・障害者の就寝施設(サービス付き高齢者向け住宅、グループホームなど) |
| 報告周期 | 3年ごと |
| 報告期間 | 対象年度の7月1日〜12月28日 |
| 提出先 | つくば市都市計画部建築指導課(研究学園一丁目1番地1、電話029-883-1111) |
ここで大切なのは、一般の賃貸マンションがそのまま対象になるとは書かれていないという点です。市のページが示しているのは、サ高住やグループホームのような、高齢者・障害者の就寝施設に使われる共同住宅です。したがって、一般の賃貸マンションのオーナーさまは、まず「自分の建物が定期報告の対象に当たるのか」を建物の規模・用途・階数から建築指導課に確認することが第一歩です。手数料については、ページに記載がなかったため、ここでは触れません。
一方、医療法人や介護事業者が運営する施設、サ高住を併設した賃貸物件をお持ちのオーナーさまは、定期報告の対象になり得ます。報告を怠れば、法令違反であるだけでなく、外壁や設備の劣化を見逃すことにもなりかねません。私の現場感覚では、報告のための調査を「単なる義務」ではなく、大規模修繕の時期と範囲を決めるための無料に近い診断材料として使い切るオーナーさまほど、修繕費の総額を抑えられています。
つくば市の賃貸マンション市場と入居率の実感
つくば市はつくばエクスプレスで都心と結ばれ、研究学園都市として大学・研究機関が集積するエリアです。学生・研究者・企業の研究職・単身赴任層など、賃貸需要の顔ぶれが一般的な郊外都市とは少し異なります。私が見る限り、こうした需要層は「築年数」よりも「共用部の管理状態」や「外観の清潔感」を内見時の判断材料にしやすい傾向があります。
築年数なりの劣化は、賃料の下落圧力として静かに効いてきます。外壁のタイルの浮きや欠損、シーリングの割れ、屋上防水の劣化、エントランスの色あせは、写真映えと内見の第一印象を直撃します。入居率1%の改善が、年間どれだけのキャッシュフロー差になるかを試算してみてください。たとえば20戸・平均賃料6万円の物件なら、1戸分の空室は年間72万円の賃料収入に相当します。入居率が5%(1戸)動くだけで、大規模修繕の費用の一部を数年で取り戻せる規模の差になり得ます。なお、これは私の試算の一例であり、実際の賃料水準や空室期間は物件ごとに異なります。
補助金が薄いからこそ、工事費そのものの最適化が効く
つくば市の補助金の現状を整理すると、賃貸オーナーさまが現金補助でキャッシュアウトを圧縮できる余地は限られていることがわかります。そうなると、費用の圧縮は「工事の中身と工法の選び方」で行うのが現実的です。
大規模修繕の総工費の中で、仮設足場の費用は一般に15〜25%程度を占めると言われます。たとえば10階建て・外周80m・工期3か月の物件を例にすると、足場工法で168万円かかる仮設工事が、ロープアクセス工法なら59万円程度(差額で約109万円の圧縮)に収まる試算を、私たちは提案の場でお示ししています。これはあくまで目安であり、建物の形状・立地・工事範囲によって大きく変動します。30戸規模のマンションの大規模修繕で総工費が3,500〜5,000万円というレンジを一つの目安に、複数の工法で見積もりを並べて比較することをお勧めします。
私たち株式会社明誠は、これまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセス工法での高所作業については、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業で、過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。また、IRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の技能訓練を受けた作業員、ISO9001品質マネジメントシステム、日本ロープ高所作業協会の事務局といった裏付けのもとで施工しています。安全管理の考え方は明誠の安全管理のページで、料金の考え方は大規模修繕の料金の考え方のページで詳しくご紹介しています。
損金算入とキャッシュフロー:オーナーが押さえるべき税務の基本
補助金や税制優遇の話をする際、私が必ずお伝えしているのが税務上の注意点です。大規模修繕工事の費用は、内容によって「修繕費」として一括で損金算入できるものと、「資本的支出」として減価償却が必要なものに分かれます。修繕費か資本的支出かで、その年の税負担が大きく変わります。また、補助金や給付を受けた場合、それは受給した年度の雑収入として課税対象になる点にも注意が必要です。固定資産税の減額は、納税額そのものが減るためキャッシュアウトを直接減らしますが、補助金は「もらって終わり」ではありません。確定申告の場面まで見据えた資金計画が必要です。税務処理の具体的な判断は税理士にご確認いただくべき領域ですが、修繕計画の段階からこの視点を持っておくことで、後から慌てずに済みます。
出口戦略への影響:耐震改修と管理状態の見える化が物件価値に効く理由
出口を見据えた修繕投資は、利回り改善より物件価値そのものを底上げします。旧耐震の共同住宅で耐震改修を行い、固定資産税の減額も受けた物件は、売却時に「耐震性の課題に手を打っている物件」として買い手に説明しやすくなります。分譲の区分所有に限れば、管理計画認定を取得している物件は、管理状態の客観的な裏付けとして評価されやすい傾向があります。
つくば市の場合、補助金が期待しにくい分、修繕の履歴と調査データをきちんと残すことが、売却時の交渉力に直結します。外壁調査の報告書、打診調査の結果、防水の保証書、12条点検の報告控えを一冊にまとめておくだけでも、買い手側のデューデリジェンスで「管理が行き届いている物件」という印象を作れます。
医療法人・介護事業者オーナーさまへ:BCP・防災の視点も
つくば市内でクリニック・サービス付き高齢者向け住宅・グループホームなどを運営されている医療法人・介護事業者のオーナーさまには、前述の12条点検の対象になり得る点が特に重要です。こうした施設は入居者・利用者の生命に直結するため、外壁の劣化やブロック塀の倒壊リスクを放置することは、介護報酬・医療報酬の算定要件以前に、事業継続計画(BCP)上のリスクそのものです。
大規模修繕を計画する際は、施設の稼働を止めずに工事を進められるかどうかが事業者にとって死活問題になります。足場を組まないロープアクセス工法であれば、施設の出入口や駐車場を塞がずに外壁調査・部分補修を進められるケースが多く、稼働を止められないという制約に対応しやすい工法だと私は考えています。ロープアクセス工法の詳しい技術情報は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムにまとめています。
足場・ロープアクセス・ハイブリッド工法の選び方
私たち株式会社明誠は、通常の足場仮設工事・無足場工法であるロープアクセス・両者を組み合わせたハイブリッド工法の3つから、建物にとって最適な工法をご提案できる、日本でも数少ない会社です。工法ごとの安全基準や比較の詳細は、ロープアクセスドットコムでも解説しています。足場が必要な部位と、ロープアクセスで足りる部位を切り分ければ、仮設コストの圧縮と工期短縮の両方が期待できます。入居者さま・テナントさまの生活動線を塞ぎにくいことも大きなメリットです。
また、私たちはロープアクセス工法として日本で初めてとなるフランチャイズ展開も行っており、塗装・防水・タイル・電気・看板工事など各分野の専門職が加盟することで、高品質かつ低価格な工事を実現しています。つくば市を含む茨城県内の物件でも、3工法の使い分けとフランチャイズネットワークによるコスト最適化をご提案できます。これまでの明誠の施工事例もあわせてご覧ください。オーナーさま向けのご案内はこちらの収益物件オーナー向けページにもまとめています。
よくある質問(FAQ)
Q1. つくば市の木造住宅耐震改修補助金は、賃貸アパートにも使えますか?
A. 使えません。対象は「昭和56年5月31日以前に建築された2階建て以下の戸建て木造住宅」で、共同住宅は対象外と明記されています。さらに、耐震改修後も居住する意思がある所有者が対象です。令和8年度の募集も終了しています。(出典:つくば市)
Q2. ブロック塀の撤去補助金は、法人名義の賃貸ビルでも申請できますか?
A. 対象者は「危険ブロック塀等の所有者」で、個人限定・法人可の書き分けは私が確認した範囲では明記が見当たりません。法人名義の場合は建築指導課へ事前確認をお願いします。なお、令和8年度は先着7件の枠が終了しています。
Q3. つくば市のマンション長寿命化促進税制の減額割合は何分の1ですか?
A. 私が確認した範囲では、つくば市の公式ページに制度案内が見当たらず、割合を断定できません。国の措置は令和9年3月31日までに完了する工事が対象で、減額割合は市町村が条例で定めるとされています。工事完了前に資産税課へ確認してください。
Q4. 旧耐震の賃貸マンションを耐震改修すると、固定資産税は下がりますか?
A. つくば市の案内では、共同住宅も対象に含まれ、120㎡相当分について2分の1を減額(原則1年間)とされています。工事完了後3か月以内の申告が必要です。ページの更新日が2024年4月1日のため、申告前に最新の要件を確認してください。
Q5. つくば市で12条点検の報告が必要なのはどんな建物ですか?
A. 市のページでは、共同住宅のうち、地階または3階以上の階にあるもの、2階が300㎡以上のもので、高齢者・障害者の就寝施設(サ高住、グループホームなど)が対象と示されています。周期は3年ごとです。一般の賃貸マンションが該当するかは建築指導課へ確認してください。
Q6. 蓄電池補助金は、賃貸マンションの共用部に設置しても使えますか?
A. 使えません。つくば市の令和8年度制度は、市内在住の個人で機器の所有者かつ使用者である場合に限られ、事業者・賃貸オーナーは対象外です。
Q7. 大規模修繕の費用は、修繕費と資本的支出のどちらで処理すればいいですか?
A. 工事内容によって判断が分かれ、税負担に大きく影響します。具体的な区分は税理士にご確認ください。修繕計画の段階からこの視点を持っておくことをお勧めします。
この記事のポイントまとめ
- つくば市は市長が特定行政庁で、建築確認から定期報告まで建築指導課が窓口
- 木造耐震改修補助・安心住宅リフォーム補助・蓄電池補助はいずれも自己居住の個人向けで、賃貸オーナーは対象外
- 耐震改修補助(先着2件)とブロック塀撤去補助(先着7件)は令和8年度の募集が終了
- 旧耐震の共同住宅は、耐震改修後の固定資産税減額(120㎡相当分の2分の1)が使える可能性がある
- マンション長寿命化促進税制と管理計画認定は、つくば市の公式案内が見当たらず、窓口確認が必須
- 補助金が薄いからこそ、足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3工法比較で工事費を最適化する
つくば市の賃貸オーナーさまへ
私から最後に一言申し上げます。つくば市でお持ちの物件について、補助金が使えるかどうかを調べるより先に、旧耐震かどうか、外壁や防水の劣化がどこまで進んでいるかを把握することが、投資判断の出発点です。まだ具体的な検討を始めていないオーナーさまは、ぜひ一度お問い合わせください。1棟の現地調査と、足場工法・ロープアクセス工法・ハイブリッド工法の3案を並べたコスト比較シミュレーション、利回り改善のキャッシュフロー試算だけでも、ご相談を承ります。固定資産税減額の申告期限は工事完了後3か月と短く、早めに動き出すほど選べる選択肢は広がります。数字の話も、次の一歩も、一緒に整理させてください。
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本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月29日時点で公表されているつくば市および国土交通省・茨城県の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請・申告される前に、必ずつくば市および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。
この記事の執筆者
本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。
最終更新:2026年9月29日
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『大規模修繕工事 職人だから言える本当の話 —— 見積書では見えない業界の裏側と、修繕積立金を守る発注術』(Kindle版)を出版しています。20年以上の現場経験から、管理組合・オーナーが修繕積立金を守るための発注術と、業界の内幕を書き下ろしました。
出典(つくば市・茨城県・国土交通省 公式ウェブサイト)
- 木造住宅耐震改修費補助制度 – つくば市
- 危険ブロック塀等撤去費補助制度 – つくば市
- 定期報告(建築基準法関連)- つくば市
- 建築基準法に基づく許可 – つくば市
- 建築指導課 – つくば市
- 住宅政策課 – つくば市
- 住宅耐震改修工事をした既存住宅への固定資産税の減額措置 – つくば市
- 令和8年度 つくば市安心住宅リフォーム支援補助金のご案内(PDF)
- 令和8年度蓄電池・自然冷媒ヒートポンプ式給湯機補助金 – つくば市
- 住宅・省エネ機器・宅配ボックスに関する補助金等のご案内 – つくば市
- マンション管理計画認定制度 – 茨城県
- マンション長寿命化促進税制(固定資産税の特例措置)- 国土交通省
水戸市の賃貸マンション補助金2026|固定資産税は1/2減額、耐震補助は戸建て限定の壁
水戸市で賃貸マンション・賃貸アパート・収益ビルをお持ちのオーナーさまへ。この記事は、令和8年度(2026年度)に水戸市で賃貸オーナーさまが実際に使える制度だけを、誇張せず正直に整理したものです。
結論から申し上げます。水戸市は、これまで当ブログで取り上げてきた埼玉県内の各市とは建築行政の立場が違います。水戸市は人口約27万の中核市で、大規模な建築物の建築確認・定期報告(12条点検)も市が自ら所管する特定行政庁です。埼玉県の限定特定行政庁の市のように「大きな建物は県のセンターへ」という線引きがなく、窓口が一本化されているのが実務上の大きな違いです。そして制度面でも良い意味で違いがあります。マンションの大規模修繕後に固定資産税が減額される「マンション長寿命化促進税制」について、水戸市は減額割合を2分の1と明記しています。これは私がこれまで記事にしてきた埼玉県内の各市(入間市・狭山市・八潮市はいずれも3分の1)よりも手厚い数字で、賃貸オーナーにとって見逃せない情報です。一方で、木造住宅の耐震改修費用補助金は戸建て住宅限定で、鉄筋コンクリート造(RC造)の賃貸共同住宅は対象外という現実もあります。この記事では、私がこれまで関東一円の賃貸マンション・ビルの大規模修繕に携わってきた現場感覚も交えながら、水戸市で使える制度と使えない制度の境界線を、順に整理していきます。
水戸市で賃貸オーナーが押さえるべき制度【令和8年度・一覧】
まず全体像を表で押さえます。詳細は後述の各見出しで解説します。
| 制度名 | 対象 | 賃貸マンションでの使いやすさ | 令和8年度の状況 |
|---|---|---|---|
| マンション長寿命化促進税制(固定資産税減額) | 築20年以上・10戸以上の分譲マンション | ◎(区分所有の賃貸戸にも適用可) | 減額割合1/2を明記、受付中 |
| 木造住宅耐震改修費用補助金 | 一戸建ての木造住宅 | ×(共同住宅は対象外) | 令和8年4/1〜11/30受付、予算到達次第終了 |
| 危険なブロック塀等撤去費用補助金 | 通学路・緊急輸送道路沿いの危険なブロック塀所有者 | ○(個人・法人とも対象) | 令和8年4/1〜11/30受付、予算到達次第終了 |
| マンション管理計画認定制度 | 既存分譲マンションの管理組合 | ◎(融資優遇・資産価値の土台) | 令和5年11月1日制度開始、随時受付 |
| 建築基準法12条点検(定期報告) | 特定建築物(規模要件は個別確認) | 該当すれば報告義務 | 建築物3年ごと、防火設備・昇降機は毎年 |
| マンションストック長寿命化等モデル事業(国) | 大規模修繕・建替え検討マンション | △(採択制、要件確認必須) | 国交省が公募、水戸市固有の上乗せなし |
水戸市は「特定行政庁」— 埼玉県の限定特定行政庁シリーズとの違い
私がこの連載で繰り返し取り上げてきた埼玉県の入間市・飯能市・八潮市・三郷市・吉川市は、いずれも「限定特定行政庁」でした。市が扱えるのは木造・2階以下・延べ300㎡以下といった小規模建築物までで、RC造の賃貸マンションのような大規模建築物の建築確認・12条点検は、県の建築安全センターが窓口になる構造です。
水戸市はこれと立場が違います。中核市である水戸市は、市独自に建築主事を置き、大規模建築物を含めてすべての建築確認・定期報告を市の建築指導課が所管します(出典:水戸市以外に建築確認申請を提出することはできますか)。つまり、賃貸マンションのオーナーさまにとっては「相談窓口が水戸市役所建築指導課の一本で完結する」という実務上のメリットがあります。県境をまたいで管轄が変わる埼玉県のケースと比べると、手続きの見通しが立てやすい点は水戸市の強みだと私は感じています。
マンション長寿命化促進税制:水戸市は減額割合「1/2」を明記
賃貸オーナーにとって最も見逃せないのが、大規模修繕工事を行ったマンションの固定資産税が減額される「マンション長寿命化促進税制」です。水戸市の資産税課ページでは、以下の要件が明記されています(出典:大規模修繕工事を行ったマンションの固定資産税が減額されます)。
- 対象工事期間:令和5年4月1日〜令和9年3月31日に完了した工事
- 築年数要件:新築から20年以上経過
- 戸数要件:10戸以上
- 減額割合:対象住戸1戸あたり100平方メートル相当分までの固定資産税額の2分の1を減額
- 減額期間:工事完了の翌年度分のみ(単年度限り)
- 申告期限:工事完了後3か月以内に資産税課へ申告
- 適用回数:1つのマンションにつき1回限り
私がこれまで書いてきた埼玉県の記事では、この割合が「1/3」と明記されている市(入間市・狭山市・八潮市)が最も手厚いケースで、飯能市のように割合が非公開の市、三郷市・吉川市のように制度案内そのものが見当たらない市もありました。水戸市の「1/2」という数字は、私がこの連載で確認してきた中でも際立って明確かつ手厚い部類に入ります。分譲賃貸戸を複数戸お持ちのオーナーさまであれば、大規模修繕のタイミングを見極めて、工事完了後3か月以内の申告を絶対に忘れないようにしていただきたい制度です。申告が遅れると、その年度の減額を受けられなくなる点は特に注意が必要です。
ただし、この制度は分譲マンションの各区分所有者(オーナー)が個別に申告する仕組みであり、管理組合全体で自動的に適用されるものではありません。賃貸に出している区分所有住戸であっても、所有者であるオーナーさま自身が申告主体になる点は、管理組合向けの記事とは異なる大事なポイントです。
木造住宅耐震改修補助金は戸建て限定 — 賃貸マンションオーナーが使えない現実
水戸市には「木造住宅の耐震改修費用を補助します」という制度があります(出典:木造住宅の耐震改修費用を補助します)。内容を見ると、次のとおり手厚い補助率です。
| 区分 | 補助率 | 上限額 |
|---|---|---|
| 耐震設計のみ | 50% | 10万円 |
| 耐震改修工事のみ | 23% | 50万円 |
| 設計と工事を一体実施 | 80% | 115万円 |
受付期間は令和8年4月1日から令和8年11月30日までで、予算に達し次第、期間内でも終了する場合があるとされています。
しかし、この制度の対象は「水戸市内にある一戸建ての木造住宅」と明記されており、共同住宅は対象外です。RC造・SRC造の賃貸マンションやアパートを保有するオーナーさまが、この補助金を直接使うことはできません。私がこれまで取材してきた埼玉県の各市でも、木造住宅の耐震補助はほぼ例外なく戸建て限定で、この構図は全国的に共通しています。賃貸共同住宅の耐震性を高めたい場合は、耐震改修促進法上の「特定既存耐震不適格建築物」(階数3以上かつ延べ面積1,000平方メートル以上の学校・病院・劇場・店舗・事務所・賃貸共同住宅・工場等が対象になり得る規模要件)に該当するかどうかを、水戸市建築指導課に個別に確認することをお勧めします。該当する場合、指導・助言の対象にはなりますが、それが直接の現金補助を意味するわけではない点は、正直にお伝えしておきます。
危険なブロック塀等撤去費用補助金 — 個人・法人とも対象
ブロック塀の安全対策は、賃貸ビル・賃貸マンションの外構を持つオーナーさまにも関係が深い制度です。水戸市の制度は次のとおりです(出典:危険なブロック塀等の撤去費用を補助します)。
- 対象者:危険なブロック塀等の所有者または共有者(個人・法人とも対象、共有の場合は他の共有者の同意が必要)
- 対象塀:通学路および災害時の主要道路(緊急輸送道路等)に面し、道路面からの高さが80センチメートルを超える組積造または補強コンクリートブロック造の塀
- 補助率:3分の2
- 上限額:20万円
- 受付期間:令和8年4月1日〜令和8年11月30日(予算上限に達し次第、期間内でも終了)
私がこの連載で取り上げてきた埼玉県の各市の中には、対象者が「個人限定」なのか「法人も含む」のか、要綱の表記があいまいな市が複数ありました(八潮市・三郷市など)。その点、水戸市は法人・個人の両方が対象であることが明記されており、賃貸ビル・賃貸マンションのオーナーさまが法人名義で所有している場合でも、要件さえ満たせば申請の対象になります。ただし対象となる塀は通学路・緊急輸送道路沿いに限定されるため、まずはご所有の物件の塀がこの条件に当てはまるかどうかを、建築指導課へご確認ください。
マンション管理計画認定制度 — 令和5年11月1日開始、手数料の内訳に注意
分譲マンションの管理状態を市が認定する「マンション管理計画認定制度」は、水戸市では令和5年11月1日から運用が始まっています(出典:マンション管理計画認定制度)。認定基準は水戸市独自のものではなく、国のマンション管理適正化指針に準拠しています。
- 制度開始日:令和5年11月1日
- 有効期間:認定を受けた日から5年間(期限内に更新申請が必要)
- 水戸市への申請手数料:無料
- 別途必要な費用:マンション管理センターが運営する管理計画認定手続支援システムの利用料、および事前確認に係る審査料(事前確認で1万円)
- 申請窓口:水戸市住宅政策課政策係(茨城県水戸市中央1-4-1、電話029-232-9222)
- 申請者:管理組合の管理者等(区分所有者個人ではなく管理組合単位)
私が管理組合向けの記事でも繰り返し説明していることですが、この認定を取得すると住宅金融支援機構のフラット35における金利優遇など、融資条件が有利になるという実利があります。オーナーさまにとっても、認定を取得している物件は「管理が行き届いている」という客観的な裏付けになり、売却時の出口戦略において物件価値の維持・向上につながる材料になります。水戸市への申請手数料自体は無料である一方、事前確認の審査料など外部機関への費用は別途発生する点は、管理組合の総会で説明する際に押さえておくべき実務ポイントです。
建築基準法12条点検(定期報告)— 水戸市の報告周期と窓口
水戸市の建築指導課が所管する定期報告制度(12条点検)は、次のとおり運用されています(出典:建築基準法に基づく定期報告制度について)。
| 報告対象 | 報告周期 | 報告受付期間 |
|---|---|---|
| 建築物(特定建築物本体) | 3年ごとに1回 | 7月1日〜12月28日 |
| 防火設備 | 毎年 | 7月1日〜12月28日 |
| 昇降機等 | 毎年 | 4月1日〜3月31日 |
報告先は水戸市役所5階514室の建築指導課です(電話029-224-1111 内線3461)。公表されているページでは百貨店・興行場・カラオケ店・飲食店等の用途を中心に規模要件(延べ面積1,000〜2,000平方メートル等、用途地域により異なる)が示されていますが、賃貸共同住宅が定期報告の対象に含まれるかどうかは、建物の規模・用途・所在地によって個別に判定されます。断定的な情報がない以上、ここで「対象外です」と決めつけることはせず、正直に「まず建築指導課に規模を伝えて確認するのが第一歩」とお伝えします。埼玉県の限定特定行政庁の市のように「大規模建築物は県のセンター」という線引きがなく、水戸市の場合はこの確認も含めてすべて市の建築指導課で完結するのが実務上のわかりやすさです。
茨城県には分譲マンション無料アドバイザー派遣が見当たらない
埼玉県には「分譲マンションアドバイザー」の無料派遣制度があり、私がこれまで取り上げた入間市・八潮市・三郷市・吉川市など19市が対象になっています(ただし令和8年度分はすでに予算上限に達し受付終了しているケースが続いています)。東京都にも公益財団法人東京都防災・建築まちづくりセンターによる同様の無料派遣制度があります。
一方で、茨城県のウェブサイトを確認した範囲では、分譲マンション管理に特化した県レベルの無料アドバイザー派遣制度は見当たりませんでした。これは埼玉県・東京都と比べた場合の茨城県の特徴として、正直にお伝えしておきます。水戸市内で管理組合の運営やマンション管理計画認定の取得についてご相談されたい場合は、まず水戸市住宅政策課(029-232-9222)へ直接お問い合わせいただくか、公益財団法人マンション管理センターの相談窓口をご利用いただくのが現実的な入り口になります。制度が整備されていない分、オーナーさま・管理組合の側から積極的に情報を取りに行く姿勢が、他県以上に重要になると私は感じています。
国の制度も選択肢に:マンションストック長寿命化等モデル事業・窓リノベ
水戸市独自の制度に加えて、国の制度も選択肢に入ります。
- マンションストック長寿命化等モデル事業(国土交通省):長寿命化に資する大規模修繕や建替えの検討を行うマンションを対象にした公募型の支援事業です。水戸市独自の上乗せ制度ではなく、国の公募要件に沿って採択されるかどうかが決まります。
- 先進的窓リノベ2026事業(環境省):高断熱窓への改修を対象にした国の補助事業です。賃貸マンションの共用部・専有部いずれの窓改修にも活用できる可能性があり、テナント満足度と賃料維持の両面で投資判断の材料になります。
これらの国の制度は水戸市に限らず全国の物件で申請できるため、自治体独自の補助が薄い場合こそ、国の制度の公募スケジュールをこまめに確認する価値があります。
損金算入とキャッシュフロー:オーナーが押さえるべき税務の基本
補助金や税制優遇の話をする際、私が必ずお伝えしているのが税務上の注意点です。大規模修繕工事の費用は、その内容によって「修繕費」として一括で損金算入できるものと、「資本的支出」として減価償却が必要なものに分かれます。修繕費か資本的支出かで、その年の税負担が大きく変わります。また、補助金を受給した場合、その補助金は受給した年度の雑収入として課税対象になる点にも注意が必要です。固定資産税の減額はキャッシュアウトを直接減らす効果がありますが、補助金そのものは「もらって終わり」ではなく、確定申告の場面まで見据えた資金計画が必要になります。税務処理の具体的な判断は税理士にご確認いただくべき領域ですが、修繕計画を立てる段階からこの視点を持っておくことで、後から慌てずに済みます。
出口戦略への影響:固定資産税減額と管理計画認定が物件価値に効く理由
築年数なりの劣化は、賃料の下落圧力として静かに効いてきます。入居率1%の改善が年間のキャッシュフローにどれだけ効くかは、物件の規模次第で数十万円単位の差になり得ます。そして、修繕投資は利回り改善だけでなく、出口を見据えた物件価値そのものの底上げに直結します。マンション管理計画認定を取得している物件、固定資産税減額の適用を受けた物件は、売却時のデューデリジェンスで「管理状態が良い物件」という客観的な裏付けとして評価されやすくなります。水戸市の固定資産税減額割合が1/2と明記されている今のうちに、大規模修繕のタイミングと申告手続きを計画に組み込んでおくことは、数年後の売却価格にも影響する投資判断だと私は考えています。
水戸市の賃貸マンション市場と入居率の実感
水戸市は茨城県の県庁所在地であり、県内最大の人口約27万人を抱える中核市です。偕楽園・千波湖といった観光資源に加え、水戸駅周辺の再開発や県庁・官公庁の集積があり、単身赴任層・公務員層・医療福祉関係者の賃貸需要が一定数見込めるエリアだと私は見ています。とはいえ、築年数が経過した賃貸マンションでは、外壁の劣化や共用部の古さが、内見時の第一印象として賃料の下落圧力に直結します。入居率1%の改善が、年間でどれだけのキャッシュフロー差になるかを試算すると、10戸規模の物件でも決して小さくない金額になることが多く、大規模修繕のタイミングを先送りするほど、この差はじわじわと効いてきます。固定資産税の減額や補助金は直接のコスト圧縮効果がありますが、それ以上に「見た目の劣化を放置しない」こと自体が、入居率と賃料単価を守るための投資だと、私は現場で数多くの物件を見てきた経験から申し上げます。
医療法人・介護事業者オーナーさまへ:BCP・防災の視点も
水戸市内でクリニック・サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)・特別養護老人ホームなどを運営されている医療法人・介護事業者のオーナーさまにも、この記事の内容は関係があります。こうした施設は入居者・利用者の生命に直結するため、外壁の劣化やブロック塀の倒壊リスクを放置することは、介護報酬・医療報酬の算定要件以前に、事業継続計画(BCP)上のリスクそのものです。台風や地震の際に外壁の一部が落下すれば、施設の稼働停止や利用者への被害に直結しかねません。水戸市の危険なブロック塀等撤去費用補助金は法人名義でも申請できるため、施設周辺の塀の安全性を今一度確認しておくことをお勧めします。また、大規模修繕を計画する際は、施設の稼働を止めずに工事を進められるかどうかが事業者にとって死活問題になります。足場を組まないロープアクセス工法であれば、施設の出入口や駐車場を塞がずに外壁調査・部分補修を進められるケースが多く、介護・医療施設特有の「稼働を止められない」という制約に対応しやすい工法だと私は考えています。
ロープアクセス・足場・ハイブリッド工法の選び方
大規模修繕の費用を抑えつつ工期を短縮する方法として、私たち株式会社明誠は通常の足場仮設工事・無足場工法であるロープアクセス・両者を組み合わせたハイブリッド工法の3つから、建物にとって最適な工法をご提案できる、日本でも数少ない会社です。足場を組まないロープアクセス工法は、仮設コストの圧縮と工期短縮の両方に効き、入居者さまの生活動線を塞ぎにくいというメリットもあります。ロープアクセス工法の技術情報や安全基準については、姉妹サイトロープアクセスドットコム|無足場工法専門メディアに詳しくまとめていますので、あわせてご参照ください。
また、私たちはロープアクセス工法として日本で初めてとなるフランチャイズ展開も行っており、塗装・防水・タイル・電気・看板工事など各分野の専門職が加盟することで、高品質かつ低価格な工事を実現しています。水戸市のような中核市エリアでも、この3工法の使い分けと、フランチャイズネットワークによるコスト最適化の両方をご提案できる体制を整えています。ロープアクセス工法の具体的な安全基準や施工事例は、ロープアクセスドットコムでも詳しく解説していますので、大規模修繕を検討されているオーナーさまはぜひご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 水戸市のマンション長寿命化促進税制は、賃貸に出している区分所有住戸にも使えますか?
A. はい。制度は所有者(オーナー)単位で申告するものなので、賃貸に出している住戸でも所有者であるオーナーさまが申告すれば減額の対象になります。ただし築20年以上・10戸以上の建物であることが要件です。詳しくは本文の「マンション長寿命化促進税制」を参照。
Q2. 木造住宅耐震改修補助金は、賃貸アパートにも使えますか?
A. 使えません。水戸市の制度は「一戸建ての木造住宅」限定で、共同住宅(賃貸アパート・賃貸マンション)は対象外と明記されています。(出典:水戸市)
Q3. ブロック塀の撤去補助金は、法人名義で所有していても申請できますか?
A. はい。水戸市の制度は個人・法人のいずれも対象です。ただし対象となる塀は通学路または緊急輸送道路に面し、高さ80センチメートルを超えるものに限られます。
Q4. マンション管理計画認定を取得すると、具体的にどんなメリットがありますか?
A. 住宅金融支援機構のフラット35における金利優遇など融資条件が有利になるほか、管理状態の良さが客観的に示され、売却時の物件評価にもプラスに働きます。
Q5. 水戸市で12条点検(定期報告)が必要かどうかは、どこに確認すればいいですか?
A. 水戸市は中核市として建築確認・定期報告を自ら所管する特定行政庁です。建物の規模・用途を伝えたうえで、水戸市役所建築指導課(内線3461)に直接確認するのが確実です。
Q6. 茨城県には埼玉県のような無料マンションアドバイザー派遣はありませんか?
A. 私が確認した範囲では、埼玉県・東京都のような県レベルの無料派遣制度は見当たりませんでした。水戸市住宅政策課や公益財団法人マンション管理センターへの相談が現実的な窓口です。
Q7. 大規模修繕の費用は、修繕費と資本的支出のどちらで処理すればいいですか?
A. 工事内容によって判断が分かれ、税負担に大きく影響します。具体的な区分は税理士にご確認いただくのが確実ですが、修繕計画の段階からこの視点を持っておくことをお勧めします。
この記事のポイントまとめ
- 水戸市は中核市として建築確認・12条点検を市が一本で所管する特定行政庁
- マンション長寿命化促進税制の固定資産税減額割合は1/2と明記、埼玉県内の各市より手厚い
- 木造住宅耐震改修補助金は戸建て限定、RC造の賃貸共同住宅は対象外
- ブロック塀等撤去費用補助金は個人・法人とも対象、補助率2/3・上限20万円
- マンション管理計画認定制度は令和5年11月1日開始、有効期間5年
- 茨城県には分譲マンション無料アドバイザー派遣が見当たらない、水戸市窓口への直接相談が現実的
- 国のマンションストック長寿命化等モデル事業・窓リノベ制度も選択肢になる
水戸市の賃貸オーナーさまへ
私から最後に一言申し上げます。水戸市でお持ちの物件について、まだこの記事で紹介した固定資産税減額の申告手続きを検討し始めていないオーナーさまは、ぜひ一度お問い合わせください。1棟の現地調査と、足場工法・ロープアクセス工法・ハイブリッド工法の3案を並べたコスト比較シミュレーションだけでも、ご相談を承ります。固定資産税減額の申告期限は工事完了後3か月以内と短く、管理計画認定の取得や12条点検の要否確認も含めて、早めに動き出すほど選べる選択肢は広がります。数字の話も、次の一歩も、一緒に整理させてください。当社のロープアクセス・足場との組み合わせ提案については、こちらのページでも詳しくご紹介しています。
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本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月28日時点で公表されている水戸市および国土交通省・環境省の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請・申告される前に、必ず水戸市および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。
この記事の執筆者
本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。
最終更新:2026年9月28日

